(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172944
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20241205BHJP
F25B 1/053 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F25B1/00 341C
F25B1/00 341R
F25B1/053 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091024
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大西 徹
(72)【発明者】
【氏名】榎島 史修
(57)【要約】
【課題】気体軸受の耐久性の向上を図ること。
【解決手段】圧縮機12は、切換弁71が許容状態であるときに起動するため、圧縮機12の起動時においては圧縮機12の圧縮比が小さくなっている。したがって、回転体から気体軸受に加わる押し付け荷重が小さくなる。切換弁71は、圧縮機12の起動後に遮断状態に切り換わる。したがって、圧縮機12の起動後の圧縮機12の圧縮比が、切換弁71を許容状態に切り換える前の圧縮比に戻るため、圧縮機12の起動後の圧縮効率に影響を及ぼすことが回避されている。そして、圧縮機12は、切換弁71が遮断状態から許容状態に切り換わった後に停止する。このため、圧縮機12が停止しようとして回転体の回転数が浮上回転数を下回って、気体軸受が回転体と接した状態で回転体を支持していても、回転体から気体軸受に加わる押し付け荷重が小さくなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、
前記圧縮機から吐出された冷媒を凝縮する凝縮器と、
前記凝縮器で凝縮された冷媒を減圧する膨張弁と、
前記膨張弁で減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器と、をこの順に環状に接続して構成される冷凍サイクルを備え、
前記冷凍サイクルを用いて、前記凝縮器及び前記蒸発器の少なくとも一方を介した冷媒と温調対象との熱交換を行うことにより、前記温調対象の温度を調節し、
前記圧縮機は、
前記蒸発器からの冷媒が吸入される吸入圧領域、及び圧縮された冷媒が吐出される吐出圧領域を有するハウジングと、
前記ハウジング内に収容される回転体と、
前記回転体の回転によって冷媒を圧縮するために駆動する圧縮部と、
前記回転体を回転可能に支持する気体軸受と、を備えている冷凍サイクル装置であって、
前記冷凍サイクルは、
前記吐出圧領域から前記凝縮器の入口までの間の領域である第1領域と、
前記蒸発器の出口から前記吸入圧領域までの間の領域である第2領域と、を有し、
前記第1領域と前記第2領域とを接続するバイパス通路と、
前記第1領域から前記バイパス通路を介した前記第2領域への冷媒の流れを許容する許容状態と、前記第1領域から前記バイパス通路を介した前記第2領域への冷媒の流れを遮断する遮断状態と、に切換可能な切換弁と、を備え、
前記圧縮機は、前記切換弁が前記許容状態であるときに起動するとともに、前記切換弁は、前記圧縮機の起動後に前記遮断状態に切り換わり、前記圧縮機は、前記切換弁が前記遮断状態から前記許容状態に切り換わった後に停止することを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項2】
前記切換弁は、前記温調対象の温度が上昇して予め設定されている第1閾値温度に達すると前記許容状態に切り換わり、且つ、前記温調対象の温度が下降して予め設定されている第2閾値温度に達すると前記許容状態に切り換わることを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記切換弁は、前記圧縮機が起動してから所定時間経過後に前記許容状態から前記遮断状態に切り換わることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記切換弁は、前記圧縮機が起動してから前記回転体の回転数が所定回転数に達すると前記許容状態から前記遮断状態に切り換わることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、
前記圧縮機から吐出された冷媒を凝縮する凝縮器と、
前記凝縮器で凝縮された冷媒を減圧する膨張弁と、
前記膨張弁で減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器と、をこの順に環状に接続して構成される冷凍サイクルを備え、
前記冷凍サイクルを用いて、前記凝縮器及び前記蒸発器の少なくとも一方を介した冷媒と温調対象との熱交換を行うことにより、前記温調対象の温度を調節し、
前記圧縮機は、
前記蒸発器からの冷媒が吸入される吸入圧領域、及び圧縮された冷媒が吐出される吐出圧領域を有するハウジングと、
前記ハウジング内に収容される回転体と、
前記回転体の回転によって冷媒を圧縮するために駆動する圧縮部と、
前記回転体を回転可能に支持する気体軸受と、を備えている冷凍サイクル装置であって、
前記膨張弁は、第1開度と、前記第1開度よりも大きい開度である第2開度と、に切換可能であり、
前記圧縮機は、前記膨張弁が前記第2開度であるときに起動するとともに、前記膨張弁は、前記圧縮機の起動後に前記第1開度に切り換わり、前記圧縮機は、前記膨張弁が前記第1開度から前記第2開度に切り換わった後に停止することを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項6】
前記膨張弁は、前記温調対象の温度が上昇して予め設定されている第1閾値温度に達すると前記第2開度に切り換わり、且つ、前記温調対象の温度が下降して予め設定されている第2閾値温度に達すると前記第2開度に切り換わることを特徴とする請求項5に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項7】
前記膨張弁は、前記圧縮機が起動してから所定時間経過後に前記第2開度から前記第1開度に切り換わることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項8】
前記膨張弁は、前記圧縮機が起動してから前記回転体の回転数が所定回転数に達すると前記第2開度から前記第1開度に切り換わることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器と、をこの順に環状に接続して構成される冷凍サイクルを備えた冷凍サイクル装置が知られている。圧縮機は、冷媒を圧縮して吐出する。凝縮器は、圧縮機から吐出された冷媒を凝縮する。膨張弁は、凝縮器で凝縮された冷媒を減圧する。蒸発器は、膨張弁で減圧された冷媒を蒸発させる。そして、冷凍サイクル装置は、冷凍サイクルを用いて、凝縮器及び蒸発器の少なくとも一方を介した冷媒と温調対象との熱交換を行うことにより、温調対象の温度を調節する。
【0003】
圧縮機は、ハウジングと、回転体と、圧縮部と、を備えている。ハウジングは、吸入圧領域、及び吐出圧領域を有している。吸入圧領域には、蒸発器からの冷媒が吸入される。吐出圧領域には、圧縮された冷媒が吐出される。回転体は、ハウジング内に収容されている。圧縮部は、回転体の回転によって冷媒を圧縮するために駆動する。
【0004】
さらに、圧縮機は、例えば特許文献1のような気体軸受を備えている場合がある。気体軸受は、回転体を回転可能に支持する。気体軸受は、回転体が浮上回転数に達するまでは、回転体と接した状態で回転体を支持する。そして、回転体の回転数が浮上回転数に達すると、気体軸受と回転体との間に生じる気体膜の動圧によって、回転体が気体軸受に対して浮上する。これにより、気体軸受は、回転体と接触せずに回転体を支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、冷凍サイクルにおいて、吐出圧領域から凝縮器の入口までの間の領域である第1領域と、蒸発器の出口から吸入圧領域までの間の領域である第2領域と、の圧力差が大きくなるほど、圧縮機の圧縮比は大きくなる。ここで、圧縮機の圧縮比が大きいほど、回転体が浮上回転数に達しておらず、気体軸受が回転体と接した状態で回転体を支持している際の回転体から気体軸受に加わる押し付け荷重が大きくなる。回転体から気体軸受に加わる押し付け荷重が大きいほど、気体軸受の耐久性が悪化してしまう。したがって、気体軸受の耐久性の向上を図ることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する冷凍サイクル装置は、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、前記圧縮機から吐出された冷媒を凝縮する凝縮器と、前記凝縮器で凝縮された冷媒を減圧する膨張弁と、前記膨張弁で減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器と、をこの順に環状に接続して構成される冷凍サイクルを備え、前記冷凍サイクルを用いて、前記凝縮器及び前記蒸発器の少なくとも一方を介した冷媒と温調対象との熱交換を行うことにより、前記温調対象の温度を調節し、前記圧縮機は、前記蒸発器からの冷媒が吸入される吸入圧領域、及び圧縮された冷媒が吐出される吐出圧領域を有するハウジングと、前記ハウジング内に収容される回転体と、前記回転体の回転によって冷媒を圧縮するために駆動する圧縮部と、前記回転体を回転可能に支持する気体軸受と、を備えている冷凍サイクル装置であって、前記冷凍サイクルは、前記吐出圧領域から前記凝縮器の入口までの間の領域である第1領域と、前記蒸発器の出口から前記吸入圧領域までの間の領域である第2領域と、を有し、前記第1領域と前記第2領域とを接続するバイパス通路と、前記第1領域から前記バイパス通路を介した前記第2領域への冷媒の流れを許容する許容状態と、前記第1領域から前記バイパス通路を介した前記第2領域への冷媒の流れを遮断する遮断状態と、に切換可能な切換弁と、を備え、前記圧縮機は、前記切換弁が前記許容状態であるときに起動するとともに、前記切換弁は、前記圧縮機の起動後に前記遮断状態に切り換わり、前記圧縮機は、前記切換弁が前記遮断状態から前記許容状態に切り換わった後に停止する。
【0008】
これによれば、切換弁が許容状態に切り換わると、第1領域からバイパス通路を介した第2領域への冷媒の流れが許容されるため、第1領域と第2領域との圧力差が小さくなっていく。すると、圧縮機の圧縮比は小さくなっていく。一方で、切換弁が遮断状態に切り換わると、第1領域からバイパス通路を介した第2領域への冷媒の流れが遮断されるため、第1領域と第2領域との圧力差が、切換弁を許容状態に切り換える前の圧力差に戻る。したがって、圧縮機の圧縮比が、切換弁を許容状態に切り換える前の圧縮比に戻る。
【0009】
ここで、圧縮機の起動時は、回転体が浮上回転数に達しておらず、気体軸受が回転体と接した状態で回転体を支持している。圧縮機は、切換弁が許容状態であるときに起動するため、圧縮機の起動時においては圧縮機の圧縮比が小さくなっている。したがって、回転体から気体軸受に加わる押し付け荷重を小さくすることができる。切換弁は、圧縮機の起動後に遮断状態に切り換わる。したがって、圧縮機の起動後の圧縮機の圧縮比が、切換弁を許容状態に切り換える前の圧縮比に戻るため、圧縮機の起動後の圧縮効率に影響を及ぼすことが回避されている。そして、圧縮機は、切換弁が遮断状態から許容状態に切り換わった後に停止する。ここで、圧縮機が停止しようとして回転体の回転数が小さくなっていくと、回転体の回転数が浮上回転数を下回って、気体軸受が回転体と接した状態で回転体を支持することになる。圧縮機は、切換弁が許容状態に切り換わって圧縮機の圧縮比が小さい状態で停止する。このため、圧縮機が停止しようとして回転体の回転数が浮上回転数を下回って、気体軸受が回転体と接した状態で回転体を支持していても、回転体から気体軸受に加わる押し付け荷重を小さくすることができる。以上により、気体軸受の耐久性の向上を図ることができる。
【0010】
上記冷凍サイクル装置において、前記切換弁は、前記温調対象の温度が上昇して予め設定されている第1閾値温度に達すると前記許容状態に切り換わり、且つ、前記温調対象の温度が下降して予め設定されている第2閾値温度に達すると前記許容状態に切り換わるとよい。このような構成は、切換弁を許容状態に切り換えるタイミングとして好適である。
【0011】
上記冷凍サイクル装置において、前記切換弁は、前記圧縮機が起動してから所定時間経過後に前記許容状態から前記遮断状態に切り換わるとよい。このような構成は、圧縮機が起動してから切換弁を許容状態から遮断状態に切り換えるタイミングとして好適である。
【0012】
上記冷凍サイクル装置において、前記切換弁は、前記圧縮機が起動してから前記回転体の回転数が所定回転数に達すると前記許容状態から前記遮断状態に切り換わるとよい。このような構成は、圧縮機が起動してから切換弁を許容状態から遮断状態に切り換えるタイミングとして好適である。
【0013】
上記課題を解決する冷凍サイクル装置は、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、前記圧縮機から吐出された冷媒を凝縮する凝縮器と、前記凝縮器で凝縮された冷媒を減圧する膨張弁と、前記膨張弁で減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器と、をこの順に環状に接続して構成される冷凍サイクルを備え、前記冷凍サイクルを用いて、前記凝縮器及び前記蒸発器の少なくとも一方を介した冷媒と温調対象との熱交換を行うことにより、前記温調対象の温度を調節し、前記圧縮機は、前記蒸発器からの冷媒が吸入される吸入圧領域、及び圧縮された冷媒が吐出される吐出圧領域を有するハウジングと、前記ハウジング内に収容される回転体と、前記回転体の回転によって冷媒を圧縮するために駆動する圧縮部と、前記回転体を回転可能に支持する気体軸受と、を備えている冷凍サイクル装置であって、前記膨張弁は、第1開度と、前記第1開度よりも大きい開度である第2開度と、に切換可能であり、前記圧縮機は、前記膨張弁が前記第2開度であるときに起動するとともに、前記膨張弁は、前記圧縮機の起動後に前記第1開度に切り換わり、前記圧縮機は、前記膨張弁が前記第1開度から前記第2開度に切り換わった後に停止する。
【0014】
これによれば、膨張弁が第2開度に切り換わると、冷凍サイクルにおける吐出圧領域から凝縮器の入口までの間の領域である第1領域と冷凍サイクルにおける蒸発器の出口から吸入圧領域までの間の領域である第2領域との圧力差が小さくなっていく。すると、圧縮機の圧縮比は小さくなっていく。一方で、膨張弁が第1開度に切り換わると、第1領域と第2領域との圧力差が、膨張弁を第2開度に切り換える前の圧力差に戻る。したがって、圧縮機の圧縮比が、膨張弁を第2開度に切り換える前の圧縮比に戻る。
【0015】
ここで、圧縮機の起動時は、回転体が浮上回転数に達しておらず、気体軸受が回転体と接した状態で回転体を支持している。圧縮機は、膨張弁が第2開度であるときに起動するため、圧縮機の起動時においては圧縮機の圧縮比が小さくなっている。したがって、回転体から気体軸受に加わる押し付け荷重を小さくすることができる。膨張弁は、圧縮機の起動後に第1開度に切り換わる。したがって、圧縮機の起動後の圧縮機の圧縮比が、膨張弁を第2開度に切り換える前の圧縮比に戻るため、圧縮機の起動後の圧縮効率に影響を及ぼすことが回避されている。そして、圧縮機は、膨張弁が第1開度から第2開度に切り換わった後に停止する。ここで、圧縮機が停止しようとして回転体の回転数が小さくなっていくと、回転体の回転数が浮上回転数を下回って、気体軸受が回転体と接した状態で回転体を支持することになる。圧縮機は、膨張弁が第2開度に切り換わって圧縮機の圧縮比が小さい状態で停止する。このため、圧縮機が停止しようとして回転体の回転数が浮上回転数を下回って、気体軸受が回転体と接した状態で回転体を支持していても、回転体から気体軸受に加わる押し付け荷重を小さくすることができる。以上により、気体軸受の耐久性の向上を図ることができる。
【0016】
上記冷凍サイクル装置において、前記膨張弁は、前記温調対象の温度が上昇して予め設定されている第1閾値温度に達すると前記第2開度に切り換わり、且つ、前記温調対象の温度が下降して予め設定されている第2閾値温度に達すると前記第2開度に切り換わるとよい。このような構成は、膨張弁を第2開度に切り換えるタイミングとして好適である。
【0017】
上記冷凍サイクル装置において、前記膨張弁は、前記圧縮機が起動してから所定時間経過後に前記第2開度から前記第1開度に切り換わるとよい。このような構成は、圧縮機が起動してから膨張弁を第2開度から第1開度に切り換えるタイミングとして好適である。
【0018】
上記冷凍サイクル装置において、前記膨張弁は、前記圧縮機が起動してから前記回転体の回転数が所定回転数に達すると前記第2開度から前記第1開度に切り換わるとよい。このような構成は、圧縮機が起動してから膨張弁を第2開度から第1開度に切り換えるタイミングとして好適である。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、気体軸受の耐久性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、第1実施形態における冷凍サイクル装置を示す概略構成図である。
【
図3】
図3は、圧縮機の一部分を拡大して示す断面図である。
【
図4】
図4は、電池冷却モードを示すグラフである。
【
図5】
図5は、電池暖機モードを示すグラフである。
【
図6】
図6は、第2実施形態における冷凍サイクル装置を示す概略構成図である。
【
図7】
図7は、電池冷却モードを示すグラフである。
【
図8】
図8は、電池暖機モードを示すグラフである。
【
図9】
図9は、変更例における圧縮機の一部分を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
以下、冷凍サイクル装置を具体化した第1実施形態を
図1~
図5にしたがって説明する。第1実施形態の冷凍サイクル装置は、例えば、燃料電池車に搭載されている。
【0022】
<冷凍サイクル装置の基本構成>
図1に示すように、冷凍サイクル装置10は、冷凍サイクル11を備えている。冷凍サイクル11は、圧縮機12と、第1熱交換器13と、膨張弁14と、第2熱交換器15と、を備えている。
【0023】
圧縮機12と第1熱交換器13とは第1配管16によって接続されている。第1配管16の第1端は、圧縮機12の吐出口12aに接続されている。第1配管16の第2端は、第1熱交換器13の入口13aに接続されている。
【0024】
第1熱交換器13と膨張弁14とは第2配管17によって接続されている。第2配管17の第1端は、第1熱交換器13の出口13bに接続されている。第2配管17の第2端は、膨張弁14の入口14aに接続されている。
【0025】
膨張弁14と第2熱交換器15とは第3配管18によって接続されている。第3配管18の第1端は、膨張弁14の出口14bに接続されている。第3配管18の第2端は、第2熱交換器15の入口15aに接続されている。
【0026】
第2熱交換器15と圧縮機12とは第4配管19によって接続されている。第4配管19の第1端は、第2熱交換器15の出口15bに接続されている。第4配管19の第2端は、圧縮機12の吸入口12bに接続されている。
【0027】
このように、冷凍サイクル11は、圧縮機12と、第1熱交換器13と、膨張弁14と、第2熱交換器15と、をこの順に環状に接続して構成されている。冷凍サイクル11を流れる冷媒は、圧縮機12、第1熱交換器13、膨張弁14、及び第2熱交換器15の順に流れる。
【0028】
なお、第4配管19には、図示しないアキュムレータが設けられている。アキュムレータは、圧縮機12へのガス状の冷媒の流出を許容し、且つ、圧縮機12への液状の冷媒の流出を阻止する。
【0029】
冷凍サイクル装置10は、第1熱媒体回路20と、第2熱媒体回路30と、を備えている。第1熱媒体回路20は、第1熱媒体熱交換器21と、第1熱媒体ポンプ22と、を有している。第1熱媒体回路20には熱媒体が流れる。第1熱媒体回路20を流れる熱媒体は、例えば、水である。第1熱媒体回路20においては、第1熱媒体ポンプ22の駆動によって熱媒体が循環する。第1熱媒体回路20は、第1熱交換器13に連結されている。第1熱媒体回路20を流れる熱媒体は、第1熱交換器13を介して冷媒と熱交換可能である。第1熱媒体熱交換器21は、温調対象である電池40と熱的に結合されている。第1熱媒体熱交換器21を流れる熱媒体は、電池40と熱交換可能である。
【0030】
第2熱媒体回路30は、第2熱媒体熱交換器31と、第2熱媒体ポンプ32と、を有している。第2熱媒体回路30には熱媒体が流れる。第2熱媒体回路30を流れる熱媒体は、例えば、水である。第2熱媒体回路30においては、第2熱媒体ポンプ32の駆動によって熱媒体が循環する。第2熱媒体回路30は、第2熱交換器15に連結されている。第2熱媒体回路30を流れる熱媒体は、第2熱交換器15を介して冷媒と熱交換可能である。第2熱媒体熱交換器31は、電池40と熱的に結合されている。第2熱媒体熱交換器31を流れる熱媒体は、電池40と熱交換可能である。
【0031】
第1熱交換器13は、第1熱交換器13を流れる冷媒と外気との熱交換を行う第1状態と、第1熱交換器13を流れる冷媒と第1熱媒体回路20を流れる熱媒体との熱交換を行う第2状態と、に切換可能に構成されている。
【0032】
第2熱交換器15は、第2熱交換器15を流れる冷媒と外気との熱交換を行う第1状態と、第2熱交換器15を流れる冷媒と第2熱媒体回路30を流れる熱媒体との熱交換を行う第2状態と、に切換可能に構成されている。
【0033】
<圧縮機>
図2に示すように、圧縮機12は、ハウジング50と、回転体51と、圧縮部52と、モータ53と、気体軸受54と、を備えている。ハウジング50は、筒状である。ハウジング50は、回転体51と、圧縮部52と、モータ53と、気体軸受54と、を収容している。したがって、回転体51は、ハウジング50内に収容されている。
【0034】
回転体51は、回転軸55と、スラストカラー56と、を含む。回転軸55は、モータ53の駆動により回転する。スラストカラー56は、円板状である。スラストカラー56は、回転軸55の外周面に圧入されることにより回転軸55に固定されている。スラストカラー56は、回転軸55の外周面から回転軸55の径方向へ突出している。
【0035】
気体軸受54は、2つのラジアル軸受57と、2つのスラスト軸受58と、を含む。2つのラジアル軸受57及び2つのスラスト軸受58は、ハウジング50に保持されている。2つのラジアル軸受57は、モータ53を挟んだ両側にそれぞれ配置されている。2つのラジアル軸受57は、回転軸55におけるモータ53を挟んだ両側の部位をそれぞれ回転可能に支持している。2つのラジアル軸受57は、回転体51をラジアル方向で回転可能に支持している。なお、「ラジアル方向」とは、回転軸55の軸方向に対して直交する方向である。
【0036】
2つのスラスト軸受58は、スラストカラー56を回転軸55の軸方向で挟む位置にそれぞれ配置されている。2つのスラスト軸受58は、スラストカラー56をスラスト方向で回転可能に支持している。なお、「スラスト方向」とは、回転軸55の軸方向である。このように、気体軸受54は、回転体51を回転可能に支持する。
【0037】
気体軸受54は、回転体51が浮上回転数に達するまでは、回転体51と接した状態で回転体51を支持する。そして、回転体51の回転数が浮上回転数に達すると、気体軸受54と回転体51との間に生じる気体膜の動圧によって、回転体51が気体軸受54に対して浮上する。これにより、気体軸受54は、回転体51と接触せずに回転体51を支持する。
【0038】
圧縮部52は、回転軸55の端部に固定されている。圧縮部52は、回転軸55の端部に固定されている。圧縮部52は、回転軸55と一体的に回転するインペラである。したがって、本実施形態の圧縮機12は、遠心圧縮機である。圧縮部52は、回転体51の回転によって冷媒を圧縮するために駆動する。
【0039】
図3に示すように、圧縮機12は、インペラ室59と、ディフューザ流路60と、吐出室61と、を備えている。インペラ室59は、圧縮部52を収容する。インペラ室59は、吸入口12bに連通している。吸入口12bは、ハウジング50の軸方向に延びている。吐出室61は、インペラ室59の周囲で吸入口12bの軸線周りに延びている。ディフューザ流路60は、インペラ室59と吐出室61とを連通している。吐出室61は、吐出口12aに連通している。
【0040】
第4配管19から吸入口12bに吸入された冷媒は、圧縮部52の駆動によりインペラ室59からディフューザ流路60に送り込まれて、ディフューザ流路60にて昇圧される。そして、ディフューザ流路60を通過した空気は、吐出室61に吐出される。吐出室61に吐出された冷媒は、吐出口12aを介して第1配管16に吐出される。
【0041】
吸入口12bは、第2熱交換器15からの冷媒が吸入される吸入圧領域62である。吐出室61及び吐出口12aは、圧縮された冷媒が吐出される吐出圧領域63である。したがって、圧縮機12は、第2熱交換器15からの冷媒が吸入される吸入圧領域62、及び圧縮された冷媒が吐出される吐出圧領域63を有している。
【0042】
<第1領域及び第2領域>
吐出室61、吐出口12a、第1配管16、及び第1熱交換器13の入口13aは、冷凍サイクル11における吐出圧領域63から第1熱交換器13の入口13aまでの間の領域である第1領域64である。第2熱交換器15の出口15b、第4配管19、及び吸入口12bは、冷凍サイクル11における第2熱交換器15の出口15bから吸入圧領域62までの間の領域である第2領域65である。したがって、冷凍サイクル11は、吐出圧領域63から第1熱交換器13の入口13aまでの間の領域である第1領域64と、第2熱交換器15の出口15bから吸入圧領域62までの間の領域である第2領域65と、を有している。
【0043】
<バイパス通路>
図1に示すように、冷凍サイクル装置10は、バイパス通路70を備えている。バイパス通路70は、例えば、配管である。バイパス通路70の第1端は、第1配管16に接続されている。バイパス通路70の第2端は、第4配管19に接続されている。したがって、バイパス通路70は、冷凍サイクル11において、第1領域64と第2領域65とを接続する。バイパス通路70は、第1配管16内を流れる冷媒を第4配管19内へ流す。したがって、バイパス通路70は、第1領域64の冷媒を第2領域65へ流す。
【0044】
<切換弁>
冷凍サイクル装置10は、切換弁71を備えている。切換弁71は、バイパス通路70に設けられている。切換弁71は、例えば、オンオフ弁である。切換弁71は、電磁弁である。切換弁71は、開状態になると、第1配管16内からバイパス通路70を介した第4配管19内への冷媒の流れを許容する。一方で、切換弁71は、閉状態になると、第1配管16内からバイパス通路70を介した第4配管19内への冷媒の流れを遮断する。よって、切換弁71は、第1配管16内からバイパス通路70を介した第4配管19内への冷媒の流れを許容する許容状態と、第1配管16内からバイパス通路70を介した第4配管19内への冷媒の流れを遮断する遮断状態と、に切換可能に構成されている。したがって、切換弁71は、第1領域64からバイパス通路70を介した第2領域65への冷媒の流れを許容する許容状態と、第1領域64からバイパス通路70を介した第2領域65への冷媒の流れを遮断する遮断状態と、に切換可能である。
【0045】
<制御>
冷凍サイクル装置10は、制御装置80を備えている。制御装置80は、中央処理制御装置(CPU)を備えている。制御装置80は、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)等により構成されるメモリを備えている。制御装置80は、タイマカウンタ、入力インターフェース、出力インターフェース等を備えている。
【0046】
冷凍サイクル装置10は、温度センサ81を備えている。温度センサ81は、電池40の温度を検出可能に構成されている。温度センサ81は、制御装置80に電気的に接続されている。温度センサ81によって検出された電池40の温度に関する検出信号は、制御装置80に送信される。
【0047】
冷凍サイクル装置10は、回転数センサ82を備えている。回転数センサ82は、圧縮機12の回転体51の回転数を検出可能に構成されている。回転数センサ82は、制御装置80に電気的に接続されている。回転数センサ82によって検出された圧縮機12の回転体51の回転数に関する検出信号は、制御装置80に送信される。
【0048】
制御装置80は、圧縮機12に電気的に接続されている。制御装置80は、圧縮機12の駆動を制御する。制御装置80には、圧縮機12の起動及び停止を指令するための指令信号を圧縮機12に送信する圧縮機駆動プログラムが予め記憶されている。圧縮機12は、制御装置80からの起動指令信号を受信すると起動するとともに、制御装置80からの停止指令信号を受信すると停止する。
【0049】
制御装置80は、第1熱媒体ポンプ22に電気的に接続されている。制御装置80は、第1熱媒体ポンプ22の駆動を制御する。制御装置80は、第2熱媒体ポンプ32に電気的に接続されている。制御装置80は、第2熱媒体ポンプ32の駆動を制御する。
【0050】
制御装置80は、電池40を冷却する電池冷却モードと、電池40を暖機する電池暖機モードと、に冷凍サイクル装置10を切り換え可能である。電池冷却モードでは、第1熱交換器13が第1状態に切り換わっているとともに、第2熱交換器15が第2状態に切り換わっている。電池暖機モードでは、第1熱交換器13が第2状態に切り換わっているとともに、第2熱交換器15が第1状態に切り換わっている。
【0051】
制御装置80には、電池冷却モードのときに、第1熱媒体ポンプ22の駆動を停止し、且つ、第2熱媒体ポンプ32を駆動させるプログラムが予め記憶されている。したがって、電池冷却モードでは、第1熱媒体回路20においては熱媒体が循環しておらず、第2熱媒体回路30においては熱媒体が循環している。
【0052】
制御装置80には、電池暖機モードのときに、第1熱媒体ポンプ22を駆動させ、且つ、第2熱媒体ポンプ32の駆動を停止させるプログラムが予め記憶されている。したがって、電池暖機モードでは、第1熱媒体回路20においては熱媒体が循環しており、第2熱媒体回路30においては熱媒体が循環していない。
【0053】
図4は、制御装置80によって冷凍サイクル装置10が電池冷却モードに切り換わっているときの電池40の温度、圧縮機12のオンオフ状態、及び切換弁71の開閉状態を示すグラフである。
【0054】
図4に示すように、電池冷却モードでの圧縮機駆動プログラムでは、温度センサ81により検出される電池40の温度が上昇して予め設定されている制御温度Tmaxに達すると、圧縮機12を起動する指令信号を圧縮機12に送信する。電池冷却モードでの圧縮機駆動プログラムでは、温度センサ81により検出される電池40の温度が下降して予め設定されている制御温度Tminに達すると、圧縮機12を停止する指令信号を圧縮機12に送信する。
【0055】
図5は、制御装置80によって冷凍サイクル装置10が電池暖機モードに切り換わっているときの電池40の温度、圧縮機12のオンオフ状態、及び切換弁71の開閉状態を示すグラフである。
【0056】
図5に示すように、電池暖機モードでの圧縮機駆動プログラムでは、温度センサ81により検出される電池40の温度が上昇して予め設定されている制御温度Tmaxに達すると、圧縮機12を停止する指令信号を圧縮機12に送信する。電池暖機モードでの圧縮機駆動プログラムでは、温度センサ81により検出される電池40の温度が下降して予め設定されている制御温度Tminに達すると、圧縮機12を起動する指令信号を圧縮機12に送信する。
【0057】
制御装置80は、切換弁71に電気的に接続されている。制御装置80には、切換弁71の駆動を制御する弁駆動プログラムが予め記憶されている。
図4及び
図5に示すように、弁駆動プログラムでは、電池冷却モード及び電池暖機モードの両モードで、温度センサ81により検出される電池40の温度が上昇して予め設定されている第1閾値温度Tx1に達すると開状態に切り換わる。なお、「第1閾値温度Tx1」とは、制御温度Tmaxよりも僅かに低い温度である。弁駆動プログラムでは、電池冷却モード及び電池暖機モードの両モードで、温度センサ81により検出される電池40の温度が下降して予め設定されている第2閾値温度Tx2に達すると開状態に切り換わる。なお、「第2閾値温度Tx2」とは、制御温度Tminよりも僅かに高い温度である。したがって、切換弁71は、電池40の温度が上昇して予め設定されている第1閾値温度Tx1に達すると許容状態に切り換わり、且つ、電池40の温度が下降して予め設定されている第2閾値温度Tx2に達すると許容状態に切り換わる。
【0058】
弁駆動プログラムでは、電池冷却モード及び電池暖機モードの両モードで、圧縮機12が起動してから所定時間経過後に開状態から閉状態に切り換わる。したがって、切換弁71は、圧縮機12が起動してから所定時間経過後に許容状態から遮断状態に切り換わる。このように、圧縮機12は、切換弁71が許容状態であるときに起動するとともに、切換弁71は、圧縮機12の起動後に遮断状態に切り換わる。なお、ここでいう「所定時間」とは、圧縮機12が起動してから回転体51が浮上回転数に達したと想定される時間である。この所定時間は、例えば実験等によって予め求められている。
【0059】
電池冷却モードでは、圧縮機12の起動後、温度センサ81により検出される電池40の温度が下降して第2閾値温度Tx2に達すると、切換弁71が遮断状態から許容状態に切り換わり、圧縮機12は、切換弁71が遮断状態から許容状態に切り換わった後に停止する。電池暖機モードでは、圧縮機12の起動後、温度センサ81により検出される電池40の温度が上昇して第1閾値温度Tx1に達すると、切換弁71が遮断状態から許容状態に切り換わり、圧縮機12は、切換弁71が遮断状態から許容状態に切り換わった後に停止する。このように、圧縮機12は、切換弁71が許容状態であるときに起動するとともに、切換弁71は、圧縮機12の起動後に遮断状態に切り換わり、圧縮機12は、切換弁71が遮断状態から許容状態に切り換わった後に停止する。
【0060】
弁駆動プログラムでは、電池冷却モード及び電池暖機モードの両モードで、圧縮機12が停止してから所定時間経過後に開状態から閉状態に切り換わる。したがって、切換弁71は、圧縮機12が停止してから所定時間経過後に許容状態から遮断状態に切り換わる。なお、ここでいう「所定時間」とは、圧縮機12が制御装置80からの停止指令信号を受信してから圧縮機12の回転体51が完全に停止したと想定される時間である。この所定時間は、例えば実験等によって予め求められている。
【0061】
なお、電池暖機モードでは、冷凍サイクル装置10の運転が開始された時点で、電池40の温度が制御温度Tminを下回っている場合には、圧縮機12が起動されるとともに切換弁71が許容状態になっている。そして、切換弁71は、冷凍サイクル装置10の運転が開始されてから所定時間経過後に許容状態から遮断状態に切り換わる。
【0062】
<電池冷却モード>
例えば、制御装置80によって冷凍サイクル装置10が電池冷却モードに切り換えられているとする。圧縮機12は、低温低圧の冷媒を圧縮して高温高圧のガス冷媒を吐出する。したがって、圧縮機12は、冷媒を圧縮して吐出する。圧縮機12の吐出口12aから第1配管16内へ吐出されたガス冷媒は、第1配管16及び第1熱交換器13の入口13aを介して第1熱交換器13に供給される。
【0063】
電池冷却モードでは、第1熱交換器13は第1状態に切り換わっているため、第1熱交換器13に供給されたガス冷媒は、外気との第1熱交換器13を介した熱交換が行われることにより凝縮して液化する。したがって、第1熱交換器13は、圧縮機12から吐出された冷媒を凝縮する凝縮器として機能している。
【0064】
第1熱交換器13で凝縮されて液化した高温高圧の液冷媒は、第1熱交換器13の出口13bを介して第2配管17内に流れるとともに、第2配管17及び膨張弁14の入口14aを介して膨張弁14内を通過する。膨張弁14内を通過する液冷媒は、膨張弁14によって減圧され、低温低圧の液冷媒となる。したがって、膨張弁14は、第1熱交換器13で凝縮された冷媒を減圧する。
【0065】
膨張弁14によって減圧された低温低圧の液冷媒は、膨張弁14の出口14bから第3配管18内に流れるとともに、第3配管18及び第2熱交換器15の入口15aを介して第2熱交換器15に供給される。電池冷却モードでは、第2熱交換器15は第2状態に切り換わっているため、第2熱交換器15を流れる液冷媒は、第2熱媒体回路30を流れる熱媒体との熱交換が行われることにより蒸発する。したがって、第2熱交換器15は、膨張弁14で減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器として機能している。
【0066】
第2熱媒体回路30を流れる熱媒体は、第2熱交換器15にて液冷媒に放熱する。これにより、第2熱媒体回路30を流れる熱媒体が冷却される。その結果、電池40は、第2熱媒体回路30を流れる熱媒体と第2熱媒体熱交換器31を介した熱交換が行われることにより熱媒体によって冷却される。
【0067】
第2熱交換器15を流れた冷媒は、第2熱交換器15の出口15bから第4配管19内に流れるとともに、第4配管19及び圧縮機12の吸入口12bを介して圧縮機12に吸入される。
【0068】
<電池暖機モード>
例えば、制御装置80によって冷凍サイクル装置10が電池暖機モードに切り換えられているとする。圧縮機12は、低温低圧の冷媒を圧縮して高温高圧のガス冷媒を吐出する。圧縮機12の吐出口12aから第1配管16内へ吐出されたガス冷媒は、第1配管16及び第1熱交換器13の入口13aを介して第1熱交換器13に供給される。
【0069】
電池暖機モードでは、第1熱交換器13は第2状態に切り換わっているため、第1熱交換器13に供給されたガス冷媒は、第1熱媒体回路20を流れる熱媒体との第1熱交換器13を介した熱交換が行われることにより凝縮して液化する。
【0070】
第1熱媒体回路20を流れる熱媒体は、第1熱交換器13にてガス冷媒から吸熱する。これにより、第1熱媒体回路20を流れる熱媒体が暖められる。その結果、電池40は、第1熱媒体回路20を流れる熱媒体と第1熱媒体熱交換器21を介した熱交換が行われることにより熱媒体によって暖機される。このように、冷凍サイクル装置10は、冷凍サイクル11を用いて、第1熱交換器13及び第2熱交換器15を介した冷媒と電池40との熱交換を行うことにより、電池40の温度を調節する。
【0071】
第1熱交換器13で凝縮されて液化した高温高圧の液冷媒は、第1熱交換器13の出口13bを介して第2配管17内に流れるとともに、第2配管17及び膨張弁14の入口14aを介して膨張弁14内を通過する。膨張弁14内を通過する液冷媒は、膨張弁14によって減圧され、低温低圧の液冷媒となる。
【0072】
膨張弁14によって減圧された低温低圧の液冷媒は、膨張弁14の出口14bから第3配管18内に流れるとともに、第3配管18及び第2熱交換器15の入口15aを介して第2熱交換器15に供給される。電池暖機モードでは、第2熱交換器15は第1状態に切り換わっているため、第2熱交換器15を流れる液冷媒は、外気との熱交換が行われることにより蒸発する。第2熱交換器15を流れた冷媒は、第2熱交換器15の出口15bから第4配管19内に流れるとともに、第4配管19及び圧縮機12の吸入口12bを介して圧縮機12に吸入される。
【0073】
[第1実施形態の作用]
次に、第1実施形態の作用について説明する。
ところで、冷凍サイクル11において、第1領域64と第2領域65との圧力差が大きくなるほど、圧縮機12の圧縮比は大きくなる。ここで、圧縮機12の圧縮比が大きいほど、回転体51が浮上回転数に達しておらず、気体軸受54が回転体51と接した状態で回転体51を支持している際の回転体51から気体軸受54に加わる押し付け荷重が大きくなる。
【0074】
切換弁71が許容状態に切り換わると、第1領域64からバイパス通路70を介した第2領域65への冷媒の流れが許容されるため、第1領域64と第2領域65との圧力差が小さくなっていく。すると、圧縮機12の圧縮比は小さくなっていく。一方で、切換弁71が遮断状態に切り換わると、第1領域64からバイパス通路70を介した第2領域65への冷媒の流れが遮断されるため、第1領域64と第2領域65との圧力差が、切換弁71を許容状態に切り換える前の圧力差に戻る。したがって、圧縮機12の圧縮比が、切換弁71を許容状態に切り換える前の圧縮比に戻る。
【0075】
ここで、圧縮機12の起動時は、回転体51が浮上回転数に達しておらず、気体軸受54が回転体51と接した状態で回転体51を支持している。
図4及び
図5に示すように、圧縮機12は、切換弁71が許容状態であるときに起動するため、圧縮機12の起動時においては圧縮機12の圧縮比が小さくなっている。したがって、回転体51から気体軸受54に加わる押し付け荷重が小さくなる。
【0076】
切換弁71は、圧縮機12の起動後に遮断状態に切り換わる。したがって、圧縮機12の起動後の圧縮機12の圧縮比が、切換弁71を許容状態に切り換える前の圧縮比に戻るため、圧縮機12の起動後の圧縮効率に影響を及ぼすことが回避されている。そして、圧縮機12は、切換弁71が遮断状態から許容状態に切り換わった後に停止する。ここで、圧縮機12が停止しようとして回転体51の回転数が小さくなっていくと、回転体51の回転数が浮上回転数を下回って、気体軸受54が回転体51と接した状態で回転体51を支持することになる。圧縮機12は、切換弁71が許容状態に切り換わって圧縮機12の圧縮比が小さい状態で停止する。このため、圧縮機12が停止しようとして回転体51の回転数が浮上回転数を下回って、気体軸受54が回転体51と接した状態で回転体51を支持していても、回転体51から気体軸受54に加わる押し付け荷重が小さくなる。
【0077】
[第1実施形態の効果]
第1実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1-1)圧縮機12は、切換弁71が許容状態であるときに起動するため、圧縮機12の起動時においては圧縮機12の圧縮比が小さくなっている。したがって、回転体51から気体軸受54に加わる押し付け荷重を小さくすることができる。切換弁71は、圧縮機12の起動後に遮断状態に切り換わる。したがって、圧縮機12の起動後の圧縮機12の圧縮比が、切換弁71を許容状態に切り換える前の圧縮比に戻るため、圧縮機12の起動後の圧縮効率に影響を及ぼすことが回避されている。そして、圧縮機12は、切換弁71が遮断状態から許容状態に切り換わった後に停止する。ここで、圧縮機12が停止しようとして回転体51の回転数が小さくなっていくと、回転体51の回転数が浮上回転数を下回って、気体軸受54が回転体51と接した状態で回転体51を支持することになる。圧縮機12は、切換弁71が許容状態に切り換わって圧縮機12の圧縮比が小さい状態で停止する。このため、圧縮機12が停止しようとして回転体51の回転数が浮上回転数を下回って、気体軸受54が回転体51と接した状態で回転体51を支持していても、回転体51から気体軸受54に加わる押し付け荷重を小さくすることができる。以上により、気体軸受54の耐久性の向上を図ることができる。
【0078】
(1-2)切換弁71は、電池40の温度が上昇して予め設定されている第1閾値温度Tx1に達すると許容状態に切り換わり、且つ、電池40の温度が下降して予め設定されている第2閾値温度Tx2に達すると許容状態に切り換わる。このような構成は、切換弁71を許容状態に切り換えるタイミングとして好適である。
【0079】
(1-3)切換弁71は、圧縮機12が起動してから所定時間経過後に許容状態から遮断状態に切り換わる。このような構成は、圧縮機12が起動してから切換弁71を許容状態から遮断状態に切り換えるタイミングとして好適である。
【0080】
[第2実施形態]
以下、冷凍サイクル装置を具体化した第2実施形態を
図6~
図8にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。第2実施形態では、冷凍サイクル装置は、バイパス通路及び切換弁を備えておらず、制御装置が膨張弁の開度を制御する点が第1実施形態とは異なる。
【0081】
図6に示すように、膨張弁14は、比例弁である。膨張弁14は、電磁弁である。膨張弁14は、第1開度と、第1開度よりも大きい開度である第2開度と、に切換可能である。
【0082】
図7は、制御装置80によって冷凍サイクル装置10が電池冷却モードに切り換わっているときの電池40の温度、圧縮機12のオンオフ状態、及び膨張弁14の開度状態を示すグラフである。
【0083】
図8は、制御装置80によって冷凍サイクル装置10が電池暖機モードに切り換わっているときの電池40の温度、圧縮機12のオンオフ状態、及び膨張弁14の開度状態を示すグラフである。
【0084】
制御装置80は、膨張弁14に電気的に接続されている。制御装置80には、膨張弁14の開度を調整する弁開度調整プログラムが予め記憶されている。
図7及び
図8に示すように、弁開度調整プログラムでは、電池冷却モード及び電池暖機モードの両モードで、温度センサ81により検出される電池40の温度が上昇して予め設定されている第1閾値温度Tx1に達すると第2開度に切り換わる。弁駆動プログラムでは、電池冷却モード及び電池暖機モードの両モードで、温度センサ81により検出される電池40の温度が下降して予め設定されている第2閾値温度Tx2に達すると第2開度に切り換わる。したがって、膨張弁14は、電池40の温度が上昇して予め設定されている第1閾値温度Tx1に達すると第2開度に切り換わり、且つ、電池40の温度が下降して予め設定されている第2閾値温度Tx2に達すると第2開度に切り換わる。
【0085】
弁開度調整プログラムでは、電池冷却モード及び電池暖機モードの両モードで、圧縮機12が起動してから所定時間経過後に第2開度から第1開度に切り換わる。したがって、膨張弁14は、圧縮機12が起動してから所定時間経過後に第2開度から第1開度に切り換わる。このように、圧縮機12は、膨張弁14が第2開度であるときに起動するとともに、膨張弁14は、圧縮機12の起動後に第1開度に切り換わる。なお、ここでいう「所定時間」とは、圧縮機12が起動してから回転体51が浮上回転数に達したと想定される時間である。この所定時間は、例えば実験等によって予め求められている。
【0086】
電池冷却モードでは、圧縮機12の起動後、温度センサ81により検出される電池40の温度が下降して第2閾値温度Tx2に達すると、膨張弁14が第1開度から第2開度に切り換わり、圧縮機12は、膨張弁14が第1開度から第2開度に切り換わった後に停止する。電池暖機モードでは、圧縮機12の起動後、温度センサ81により検出される電池40の温度が上昇して第1閾値温度Tx1に達すると、切換弁71が第1開度から第2開度に切り換わり、圧縮機12は、膨張弁14が第1開度から第2開度に切り換わった後に停止する。このように、圧縮機12は、膨張弁14が第2開度であるときに起動するとともに、膨張弁14は、圧縮機12の起動後に第1開度に切り換わり、圧縮機12は、膨張弁14が第1開度から第2開度に切り換わった後に停止する。
【0087】
弁開度調整プログラムでは、電池冷却モード及び電池暖機モードの両モードで、圧縮機12が停止してから所定時間経過後に第2開度から第1開度に切り換わる。なお、ここでいう「所定時間」とは、圧縮機12が制御装置80からの停止指令信号を受信してから圧縮機12の回転体51が完全に停止したと想定される時間である。この所定時間は、例えば実験等によって予め求められている。
【0088】
なお、膨張弁14は、冷凍サイクル装置10の運転が停止されている状態では全閉の状態になっている。また、電池暖機モードでは、冷凍サイクル装置10の運転が開始された時点で、電池40の温度が制御温度Tminを下回っている場合には、圧縮機12が起動されるとともに膨張弁14が第2開度になっている。そして、膨張弁14は、冷凍サイクル装置10の運転が開始されてから所定時間経過後に第2開度から第1開度に切り換わる。
【0089】
[第2実施形態の作用]
次に、第2実施形態の作用について説明する。
膨張弁14が第2開度に切り換わると、第1領域64と第2領域65との圧力差が小さくなっていく。すると、圧縮機12の圧縮比は小さくなっていく。一方で、膨張弁14が第1開度に切り換わると、第1領域64と第2領域65との圧力差が、膨張弁14を第2開度に切り換える前の圧力差に戻る。したがって、圧縮機12の圧縮比が、膨張弁14を第2開度に切り換える前の圧縮比に戻る。
【0090】
ここで、圧縮機12の起動時は、回転体51が浮上回転数に達しておらず、気体軸受54が回転体51と接した状態で回転体51を支持している。
図7及び
図8に示すように、圧縮機12は、膨張弁14が第2開度であるときに起動するため、圧縮機12の起動時においては圧縮機12の圧縮比が小さくなっている。したがって、回転体51から気体軸受54に加わる押し付け荷重が小さくなる。
【0091】
膨張弁14は、圧縮機12の起動後に第1開度に切り換わる。したがって、圧縮機12の起動後の圧縮機12の圧縮比が、膨張弁14を第2開度に切り換える前の圧縮比に戻るため、圧縮機12の起動後の圧縮効率に影響を及ぼすことが回避されている。そして、圧縮機12は、膨張弁14が第1開度から第2開度に切り換わった後に停止する。ここで、圧縮機12が停止しようとして回転体51の回転数が小さくなっていくと、回転体51の回転数が浮上回転数を下回って、気体軸受54が回転体51と接した状態で回転体51を支持することになる。圧縮機12は、膨張弁14が第2開度に切り換わって圧縮機12の圧縮比が小さい状態で停止する。このため、圧縮機12が停止しようとして回転体51の回転数が浮上回転数を下回って、気体軸受54が回転体51と接した状態で回転体51を支持していても、回転体51から気体軸受54に加わる押し付け荷重が小さくなる。
【0092】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態では、以下の効果を得ることができる。
(2-1)圧縮機12は、膨張弁14が第2開度であるときに起動するため、圧縮機12の起動時においては圧縮機12の圧縮比が小さくなっている。したがって、回転体51から気体軸受54に加わる押し付け荷重を小さくすることができる。膨張弁14は、圧縮機12の起動後に第1開度に切り換わる。したがって、圧縮機12の起動後の圧縮機12の圧縮比が、膨張弁14を第2開度に切り換える前の圧縮比に戻るため、圧縮機12の起動後の圧縮効率に影響を及ぼすことが回避されている。そして、圧縮機12は、膨張弁14が第1開度から第2開度に切り換わった後に停止する。ここで、圧縮機12が停止しようとして回転体51の回転数が小さくなっていくと、回転体51の回転数が浮上回転数を下回って、気体軸受54が回転体51と接した状態で回転体51を支持することになる。圧縮機12は、膨張弁14が第2開度に切り換わって圧縮機12の圧縮比が小さい状態で停止する。このため、圧縮機12が停止しようとして回転体51の回転数が浮上回転数を下回って、気体軸受54が回転体51と接した状態で回転体51を支持していても、回転体51から気体軸受54に加わる押し付け荷重を小さくすることができる。以上により、気体軸受54の耐久性の向上を図ることができる。
【0093】
(2-2)膨張弁14は、電池40の温度が上昇して予め設定されている第1閾値温度Tx1に達すると第2開度に切り換わり、且つ、電池40の温度が下降して予め設定されている第2閾値温度Tx2に達すると第2開度に切り換わる。このような構成は、膨張弁14を第2開度に切り換えるタイミングとして好適である。
【0094】
(2-3)膨張弁14は、圧縮機12が起動してから所定時間経過後に第2開度から第1開度に切り換わる。このような構成は、圧縮機12が起動してから膨張弁14を第2開度から第1開度に切り換えるタイミングとして好適である。
【0095】
[変更例]
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0096】
○ 第1実施形態において、弁駆動プログラムでは、電池冷却モード及び電池暖機モードの両モードで、圧縮機12が起動してから回転数センサ82によって検出される回転体51の回転数が所定回転数に達すると開状態から閉状態に切り換わってもよい。ここでいう「所定回転数」とは、回転体51の浮上回転数である。この所定回転数は、例えば実験等によって予め求められている。このように、切換弁71は、圧縮機12が起動してから回転体51の回転数が所定回転数に達すると許容状態から遮断状態に切り換わってもよい。このような構成は、圧縮機12が起動してから切換弁71を許容状態から遮断状態に切り換えるタイミングとして好適である。
【0097】
○ 第2実施形態において、弁開度調整プログラムでは、電池冷却モード及び電池暖機モードの両モードで、圧縮機12が起動してから回転数センサ82によって検出される回転体51の回転数が所定回転数に達すると第2開度から第1開度に切り換わってもよい。ここでいう「所定回転数」とは、回転体51の浮上回転数である。この所定回転数は、例えば実験等によって予め求められている。このように、膨張弁14は、圧縮機12が起動してから回転体51の回転数が所定回転数に達すると第2開度から第1開度に切り換わってもよい。このような構成は、圧縮機12が起動してから膨張弁14を第2開度から第1開度に切り換えるタイミングとして好適である。
【0098】
○
図9に示すように、例えば、ハウジング50にバイパス通路70が形成されていてもよい。バイパス通路70には、切換弁71が設けられている。バイパス通路70は、例えば、吐出口12aと吸入口12bとを接続している。要は、バイパス通路70は、冷凍サイクル11において、第1領域64と第2領域65とを接続していればよい。
【0099】
○ 第1実施形態において、弁駆動プログラムでは、電池冷却モード及び電池暖機モードの両モードで、圧縮機12が停止してから開状態が維持されていてもよい。要は、切換弁71は、圧縮機12が停止してから許容状態が維持されていてもよい。
【0100】
○ 第2実施形態において、弁開度調整プログラムでは、電池冷却モード及び電池暖機モードの両モードで、圧縮機12が停止してから第2開度が維持されていてもよい。
○ 上記各実施形態において、冷凍サイクル装置10は、第1熱媒体回路20及び第2熱媒体回路30を備えていない構成であってもよい。そして、例えば、第2熱交換器15に温調対象である電池40が熱的に結合されていてもよい。この場合、電池40を冷却する場合には、冷凍サイクル11において、圧縮機12、第1熱交換器13、膨張弁14、及び第2熱交換器15の順に冷媒を流す。このようにして、第1熱交換器13を凝縮器として機能させるとともに第2熱交換器15を蒸発器として機能させる。一方で、電池40を暖機する場合には、冷凍サイクル11において、圧縮機12、第2熱交換器15、膨張弁14、第1熱交換器13の順に冷媒を流す。このようにして、第1熱交換器13を蒸発器として機能させるとともに第2熱交換器15を凝縮器として機能させる。このような構成の場合、冷凍サイクル11は、冷媒の流れを切り換える四方弁を備えている。要は、冷凍サイクル装置10は、冷凍サイクル11を用いて、凝縮器及び蒸発器の少なくとも一方を介した冷媒と温調対象との熱交換を行うことにより、温調対象の温度を調節することが可能な構成であればよい。
【0101】
○ 第1実施形態において、例えば、切換弁71が、第1配管16とバイパス通路70との接続箇所に設けられる三方弁であってもよい。要は、切換弁71は、第1領域64からバイパス通路70を介した第2領域65への冷媒の流れを許容する許容状態と、第1領域64からバイパス通路70を介した第2領域65への冷媒の流れを遮断する遮断状態と、に切換可能な構成であればよい。
【0102】
○ 第1実施形態において、切換弁71は、機械式であってもよい。
○ 第2実施形態において、膨張弁14は、機械式であってもよい。
○ 第2実施形態において、膨張弁14は、冷凍サイクル装置10の運転が停止されている状態では全開の状態になっていてもよい。
【0103】
○ 上記各実施形態において、圧縮部52がインペラでなくてもよく、例えば、圧縮部52がスクロール式であったり、ベーン式であったりしてもよい。要は、圧縮機12の型式は特に限定されるものではない。
【0104】
○ 上記各実施形態において、冷凍サイクル装置10の温調対象は、電池40に限らず、例えば、車両の室内空気であってもよい。
○ 上記各実施形態において、冷凍サイクル装置10は、燃料電池車に搭載されていなくてもよい。要は、冷凍サイクル装置10は、車両に搭載されるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0105】
10…冷凍サイクル装置、11…冷凍サイクル、12…圧縮機、13…凝縮器として機能する第1熱交換器、13a…入口、14…膨張弁、15…蒸発器として機能する第2熱交換器、15b…出口、40…温調対象である電池、50…ハウジング、51…回転体、52…圧縮部、54…気体軸受、62…吸入圧領域、63…吐出圧領域、64…第1領域、65…第2領域、70…バイパス通路、71…切換弁。