(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172952
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
B23Q 7/04 20060101AFI20241205BHJP
B23K 26/70 20140101ALI20241205BHJP
【FI】
B23Q7/04 A
B23Q7/04 K
B23K26/70
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091034
(22)【出願日】2023-06-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】511293559
【氏名又は名称】フリースペースエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】草加 昌則
(72)【発明者】
【氏名】北 吉浩
【テーマコード(参考)】
3C033
4E168
【Fターム(参考)】
3C033HH11
3C033HH28
4E168AD07
4E168AD11
4E168GA01
4E168GA02
4E168HA06
(57)【要約】
【課題】加工装置へワークを搬送する搬送システムにおいて、加工前ワークと加工済ワークの搬送動作を効率よく行うこと。
【解決手段】搬送システムは、加工前ワークが保管されるワークストッカーと、加工装置への加工前ワークの搬入を待機する待機エリアの上方に昇降可能に設けられ、待機エリアに加工前ワークを搬送する第一搬送ユニットと、第一搬送ユニットよりも下方において、ワークストッカーと待機エリアの上方との間を移動可能とされており、加工済ワークをワークストッカーに搬送する第二搬送ユニットと、を備え、第二搬送ユニットは、第一搬送ユニット側に、加工前ワークが載置されるワーク載置部を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを加工する加工装置に前記ワークを搬送する搬送システムであって、
加工前ワークが保管されるワークストッカーと、
前記加工装置への前記加工前ワークの搬入を待機する待機エリアの上方に昇降可能に設けられ、前記待機エリアに前記加工前ワークを搬送する第一搬送ユニットと、
前記第一搬送ユニットよりも下方において、前記ワークストッカーと前記待機エリアの上方との間を移動可能とされており、前記加工装置により加工されて前記待機エリアに搬出された加工済ワークを前記ワークストッカーに搬送する第二搬送ユニットと、
を備え、
前記第二搬送ユニットは、前記第一搬送ユニット側に前記加工前ワークが載置されるワーク載置部を有する、
搬送システム。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送システムであって、
前記第一搬送ユニットは、前記第二搬送ユニットが前記待機エリアと前記第一搬送ユニットとの間に位置した際に、前記ワーク載置部から前記加工前ワークを取得し、
前記第一搬送ユニットは、前記第二搬送ユニットが前記加工済ワークを取得して前記ワークストッカーまで移動した後、前記加工前ワークを前記待機エリアに向けて降下させる、
搬送システム。
【請求項3】
請求項2に記載の搬送システムであって、
前記第一搬送ユニットは、前記加工前ワークを吸着により保持する吸着機構と、
前記待機エリアの上方において、前記吸着機構の水平位置を固定する位置固定部と、
前記吸着機構を前記水平位置から前記待機エリアまでの範囲で昇降させる昇降機構と、
を有する、
搬送システム。
【請求項4】
請求項3に記載の搬送システムであって、
前記第二搬送ユニットは、前記加工前ワークを支持するための、前記加工前ワークの平面方向に並んで配列された複数のアームを有するフォークユニットと、
前記待機エリアから前記ワークストッカーに亘って水平方向に伸長する水平軌道上で前記フォークユニットを移動させるとともに、前記水平軌道に対して前記待機エリア側で当該フォークユニットを保持する駆動機構と、を有し、
前記ワーク載置部は、前記水平軌道に対して前記吸着機構側で前記駆動機構に固定されたワーク保持体として構成される、
搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ワークを搬送する搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザ加工機へのワークの搬入及び搬出を効率よく実行するチェンジャ機構を備えた搬送システムが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
上述した搬送システムは、ワークが保管されたワークストッカーからレーザ加工機へ加工前ワークを搬入するための待機エリアまで、バキュームローダによって加工前ワークを搬送する一枚取りユニットと、レーザ加工機から搬出された加工済ワークを待機エリアからワークストッカーまで搬送するフォークユニットと、を備える。これにより、加工済ワークを待機エリアからワークストッカーへ搬送するととともに、ワークストッカーから加工前ワークを待機エリアへ搬送することができる。
【0004】
上述した搬送システムでは、フォークユニットと一枚取りユニットとを所定のタイミングで動作させることに加えて、レーザ加工機へのワークの搬入及び搬出を実行するチェンジャ機構を連動させることにより、ワーク加工の効率化を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の搬送システムでは、例えば、フォークユニットが待機エリアの上方に位置して加工済ワークを抱え上げている間、一枚取りユニットは、加工前ワークを待機エリアに降下する動作を中断せざるを得ない。
【0007】
このように、上述した搬送システムにおいても、ワークの搬送動作にはロスがあり、さらなる改良の余地があった。
【0008】
そこで、本発明は、レーザ加工機等の製造装置へワークを搬送する搬送システムにおいて、加工前ワークと加工済ワークの搬送動作を効率よく行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様としての搬送システムは、ワークを加工する加工装置に前記ワークを搬送する搬送システムであって、加工前ワークが保管されるワークストッカーと、前記加工装置への加工前ワークの搬入を待機する待機エリアの上方に昇降可能に設けられ、前記待機エリアに前記加工前ワークを搬送する第一搬送ユニットと、前記第一搬送ユニットよりも下方において、前記ワークストッカーと前記待機エリアの上方との間を移動可能とされており、前記加工装置により加工されて前記待機エリアに搬出された加工済ワークを前記ワークストッカーに搬送する第二搬送ユニットと、と備え、前記第二搬送ユニットは、前記第一搬送ユニット側に前記加工前ワークが載置されるワーク載置部を有する。
【発明の効果】
【0010】
これらの態様によれば、レーザ加工機等の製造装置へワークを搬送する搬送システムにおいて、加工前ワークと加工済ワークの搬送動作を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る搬送システムを説明する斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る搬送システムを説明する正面図である。
【
図3】
図3は、搬送システムの第一工程を説明する模式図である。
【
図4】
図4は、搬送システムの第二工程を説明する模式図である。
【
図5】
図5は、搬送システムの第三工程を説明する模式図である。
【
図6】
図6は、搬送システムの第四工程を説明する模式図である。
【
図7】
図7は、搬送システムの第五工程を説明する模式図である。
【
図8】
図8は、搬送システムの第六工程を説明する模式図である。
【
図9】
図9は、搬送システムの第七工程を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[搬送システムの構成]
本発明の実施形態に係る搬送システム1について、図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る搬送システム1を説明する斜視図である。
図2は、搬送システム1を説明する正面図である。
図1及び
図2におけるX方向を搬送システム1の幅方向と称し、Y方向をレーザ加工機100への出し入れ方向と称し、Z方向を搬送システム1の高さ方向と称する。
【0014】
搬送システム1は、ワークを加工する加工装置にワークを搬入する、或いは加工装置から加工済ワークを搬出する搬送システムである。本実施形態では、加工装置がレーザ加工機100の場合について説明する。
【0015】
本実施形態において、ワークとは、金属を板状に成形したものであり、レーザ加工機100によって所定の形状に切断する加工や、穴あけ加工が施される。
【0016】
本実施形態では、レーザ加工機100によるレーザ加工前のワークを加工前ワークWfと記し、レーザ加工済のワークを加工済ワークWsと記す。加工前ワークWfと加工済ワークWsを区別なく表す場合には、単にワークと記す。また、加工済ワークWsから切り抜かれた個々のパーツを製品ワークと記し、製品にならない部分を残材ワークと記す。
【0017】
レーザ加工機100は、レーザ光源、レーザ駆動部、レーザ射出部等を備え、ワークWに対して熱密度の高いレーザ光を照射することができる。これにより、レーザ加工機100は、ワークに切断加工や穴あけ加工を施すことができる。
【0018】
図1に示すように、搬送システム1は、ワークを保管するワークストッカー10と、主に加工前ワークWfを搬送する第一搬送ユニット20と、加工前ワークWf及び加工済ワークWsを搬送する第二搬送ユニット30とを備える。
【0019】
搬送システム1は、レーザ加工機100への加工前ワークWfの搬入を待機させるとともに、レーザ加工機100から搬出された加工済ワークWsを待機させるための待機エリア40を有する。待機エリア40は、第一搬送ユニット20及び第二搬送ユニット30のZ方向における下方にある。
【0020】
ワークストッカー10は、加工前ワークWfを保持する保持パレット11を複数積層して保管することができる。ワークストッカー10は、高さ方向における最下部に、加工後ワークを載置する載置エリアSを有する。
【0021】
図2に示すように、載置エリアSには、例えば、加工済ワークWsをワークストッカー10の外部に搬出するためのタイヤ付き台車60が配置されている。台車60の代わりに、レール上を移動する可動式テーブルが配置されていてもよい。
【0022】
第一搬送ユニット20は、待機エリア40の上方に、待機エリア40に向けて降下可能に設けられている。第一搬送ユニット20は、X方向及びY方向においては、梁31に固定されている。なお、
図2においては、第一搬送ユニット20の構成を明確に示すために、第一搬送ユニット20を固定する梁31は、二点破線で示している。
【0023】
図2に示すように、第一搬送ユニット20は、待機エリア40側に、加工前ワークWfを吸着する吸着機構として、バキュームローダ22を有する。
【0024】
搬送システム1には、バキュームローダ22を昇降機構23の待機位置から待機エリア40までの範囲で昇降させるための昇降機構23が設けられている。昇降機構23は、梁31に対して、X方向及びY方向における位置が固定されている。すなわち、梁31と昇降機構23とは、バキュームローダ22の水平位置を固定する位置固定部を構成する。
【0025】
第一搬送ユニット20は、バキュームローダ22により加工前ワークWfを吸着して、吊り下げ支持しながら、昇降機構23によって、加工前ワークWfを待機エリア40に向けて降下することができる。
【0026】
第二搬送ユニット30は、高さ方向において第一搬送ユニット20よりも下方に設けられている。
【0027】
搬送システム1には、図示しない駆動装置によって、一対の梁31に形成された一本レールである水平軌道32に沿って第二搬送ユニット30を幅方向に移動可能とする駆動機構33が設けられている。
【0028】
水平軌道32は、待機エリア40の上方からワークストッカー10に亘って水平方向(X方向)に伸長する。なお、
図2においては、第二搬送ユニット30の構成を明確に示すために、水平軌道32は、二点破線で示している。
【0029】
第二搬送ユニット30は、駆動機構33によって、ワークストッカー10と待機エリア40の上方との間を、搬送システム1の幅方向(X方向)に移動可能に構成されている。
【0030】
第二搬送ユニット30は、加工前ワークWfを支持するための複数のアーム34を有する。複数のアーム34は、加工前ワークWfの平面方向に並んで櫛形に配列されている。第二搬送ユニット30は、いわゆるフォークユニットを構成する。
【0031】
アーム34は、搬送システム1の幅方向外側から内側へと折り返されて、先端同士を突き合わせるU字状に形成されている。アーム34は、幅方向において、対向するアーム34の互いの先端の間隔を、ワークの幅以上に広げる拡幅動作が可能に構成されている。これにより、第二搬送ユニット30は、ワークを抱えるようにして保持することができる。
【0032】
本実施形態における第二搬送ユニット30は、第一搬送ユニット20側に加工前ワークWfが載置されるワーク載置部35を有する。ワーク載置部35は、水平軌道32に対して、バキュームローダ22側において駆動機構33に固定されたワーク保持体を構成する。
【0033】
ワーク載置部35には、ワークストッカー10において、加工前ワークWfを載せた保持パレット11が移送される。
【0034】
本実施形態において、待機エリア40には、レーザ加工機100に搬入するパレットと、レーザ加工機100から搬出されたパレットとを入れ替えるパレットチェンジャ41が配置されている。換言すれば、パレットチェンジャ41は、待機エリア40を構成している。
【0035】
パレットチェンジャ41において使用されるパレットとして、搬送システム1の幅方向に延びて、高さ方向に突出した複数の板状桟部(スラット)42が所定の間隔で配置されて形成された、いわゆるスキッドパレット43が適用される。
【0036】
パレットチェンジャ41は、搬送路44(
図1)を介して、レーザ加工機100内部のパレット搬送部と連結されている。これにより、加工前ワークWfは、スキッドパレット43に載せられたまま、レーザ加工機100に搬入されてレーザ加工が施される。また、加工後ワークWsは、レーザ加工の後、スキッドパレット43に載せられたまま、レーザ加工機100から待機エリア40に搬出される。
【0037】
第二搬送ユニット30の複数のアーム34それぞれの間隔は、スキッドパレット43のスラット42の間隔に合わせて形成されている。このため、第二搬送ユニット30のアームがスキッドパレット43に載置された加工済ワークWsの幅方向における両側からスラット42の間に挿入されることができる。
【0038】
これにより、第二搬送ユニット30は、スキッドパレット43に載置された加工済ワークWsを抱えて保持することができる(
図5及び
図6)。
【0039】
この後、第二搬送ユニット30が上昇することにより、加工済ワークWsは、第二搬送ユニット30の複数のアーム34によって両側から抱えられて、スキッドパレット43から持ち上げられる(
図7)。
【0040】
第二搬送ユニット30は、載置エリアSに移動した際に、加工済ワークWsの両側を支持したアーム34の互いの先端の間隔を幅方向に広げて、加工済ワークWsを解放し、加工済ワークWsを載置エリアSにある台車60に受け渡すように構成されている(
図9)。
【0041】
上記構成のほか、搬送システム1には、ワークストッカー10において、待機エリア40が設けられた側とは反対側に、ワークの入れ替え機構としてのトラバーサ50が併設されている。
【0042】
トラバーサ50は、トラバーサガイド51に沿って、搬送システム1の高さ方向に移動することができる。また、トラバーサ50は、搬送システム1の幅方向にもスライド可能とされている。
【0043】
これにより、搬送システム1の外部からワークストッカー10への加工前ワークWf又は加工済ワークWsの出し入れ動作、ワークストッカー10から第二搬送ユニット30のワーク載置部35への保持パレット11の移送等を行うことができる。
【0044】
[搬送システムの動作]
次に、搬送システム1によるワークの搬送動作について説明する。
【0045】
図3は、搬送システム1の第一工程を説明する模式図である。
図4は、搬送システム1の第二工程を説明する模式図である。
図5は、搬送システム1の第三工程を説明する模式図である。
図6は、搬送システム1の第四工程を説明する模式図である。
【0046】
また、
図7は、搬送システム1の第五工程を説明する模式図である。
図8は、搬送システム1の第六工程を説明する模式図である。
図9は、搬送システム1の第七工程を説明する模式図である。
【0047】
加工前ワークWfを取得するための動作の前段階としての第一工程において、第二搬送ユニット30がワークストッカー10の内側に移動する。
【0048】
トラバーサ50は、ワークストッカー10に積層された保持パレット11から第一の加工前ワークWfが載置された保持パレット11を第二搬送ユニット30に設けられたワーク載置部35に移送する。
【0049】
続いて、
図4に示す第二工程において、第二搬送ユニット30は、ワーク載置部35に第一の加工前ワークWfを載せて、ワークストッカー10の内側から待機エリア40、すなわちパレットチェンジャ41の上方に移動する。
【0050】
第二搬送ユニット30がパレットチェンジャ41の上方への移動を完了すると、第二搬送ユニット30は、パレットチェンジャ41のスキットパレットに載置された加工済ワークWsを取り上げる動作を開始する。
【0051】
図5に示す第三工程において、第二搬送ユニット30は、アーム34を拡幅して、加工済ワークWsに対向する位置にアーム34を降下させる。その後、
図6に示す第四工程において、アーム34を狭めて、加工済ワークWsを保持する。
【0052】
図5に示すように、第二搬送ユニット30が加工済ワークWsを抱え上げる動作のためにパレットチェンジャ41の上方に留まっている間に、第一搬送ユニット20におけるバキュームローダ22は、第二搬送ユニット30に設けられたワーク載置部35に向けて降下する。
【0053】
続いて、
図6に示すように、バキュームローダ22は、ワーク載置部35から第一の加工前ワークWfを吸着し、吊り下げ支持する。
【0054】
続いて、
図7に示す第五工程において、第一の加工前ワークWfを取り上げられた第二搬送ユニット30は、パレットチェンジャ41から取得した加工済ワークWsを抱えて、パレットチェンジャ41の上方へ第二搬送ユニット30を移動する。
【0055】
続いて、
図8に示す第六工程において、第二搬送ユニット30がワークストッカー10の内側へ移動する。
【0056】
第二搬送ユニット30がワークストッカー10の内側への移動を完了すると、第一搬送ユニット20におけるバキュームローダ22は、第二搬送ユニット30がワークストッカー10の内側に動いたことで開放されたパレットチェンジャ41の上方において、第一の加工前ワークWfを降下させて、パレットチェンジャ41にセットされたスキットパレットに、第一の加工前ワークWfを載せる。
【0057】
パレットチェンジャ41は、レーザ加工機100への第一の加工前ワークWfが載せられたスキットパレットと、レーザ加工が施された加工済ワークWsを載せたスキットパレットとをチェンジする。レーザ加工機100は、第一の加工前ワークWfへのレーザ加工を行う。
【0058】
レーザ加工機100によるレーザ加工が終了すると、加工済ワークWsを載せたスキットパレットがレーザ加工機100から搬出される。
【0059】
一方、ワークストッカー10の内側に移動した第二搬送ユニット30は、
図9に示す第七工程において、載置エリアSに加工済ワークWsを降下する動作を実行する。
【0060】
第二搬送ユニット30が載置エリアSに加工済ワークWsを降下する動作を実行している間に、トラバーサ50は、ワークストッカー10に積層された保持パレット11から第二搬送ユニット30に設けられたワーク載置部35に第二の加工前ワークWfを移動する。
【0061】
図3に示す状態に戻って、第二搬送ユニット30は、ワーク載置部35に、第二の加工前ワークWfを載せた状態で、ワークストッカー10の内側からパレットチェンジャ41の上方に移動する。
【0062】
続いて、
図4に示すように、第二搬送ユニット30がパレットチェンジャ41の上方への移動を完了すると、第二搬送ユニット30は、
図5から
図7に示すように、パレットチェンジャ41のスキットパレットに載置された加工済ワークWsを取り上げる動作を開始する。
【0063】
第二搬送ユニット30は、アーム34を降下させて、加工済ワークWsを抱え上げる。
【0064】
第二搬送ユニット30が加工済ワークWsを抱え上げるためにパレットチェンジャ41の上方に留まっている間に、第一搬送ユニット20におけるバキュームローダ22が第二搬送ユニット30に設けられたワーク載置部35に向けて降下する。
【0065】
バキュームローダ22は、ワーク載置部35から第二の加工前ワークWfを吸着し、吊り下げ支持する。
【0066】
ワーク載置部35から第二の加工前ワークWfを取り上げられた第二搬送ユニット30は、
図7に示すように、パレットチェンジャ41から取得した加工済ワークWsを抱えて、ワークストッカー10に向けて移動を開始する。
【0067】
第二搬送ユニット30がワークストッカー10の内側への移動を完了すると、バキュームローダ22は、第二の加工前ワークWfを降下させて、パレットチェンジャ41にセットされたスキットパレットに載せる。
【0068】
パレットチェンジャ41は、レーザ加工機100への第二の加工前ワークWfが載せられたスキットパレットと、レーザ加工が施された加工済ワークWsを載せたスキットパレットとをチェンジする。レーザ加工機100は、第二の加工前ワークWfへのレーザ加工を行う。
【0069】
レーザ加工機100によるレーザ加工が終了すると、加工済ワークWsを載せたスキットパレットがレーザ加工機100から搬出される。
【0070】
一方、ワークストッカー10の内側に移動した第二搬送ユニット30は、
図8及び
図9に示すように、載置エリアSに加工済ワークWsを降下する動作を実行する。
【0071】
第二搬送ユニット30が載置エリアSに加工済ワークWsを降下する動作を実行している間に、トラバーサ50は、ワークストッカー10に積層された保持パレット11から第二搬送ユニット30に設けられたワーク載置部35に第三の加工前ワークWfを移動する。
【0072】
第二搬送ユニット30は、ワーク載置部35に、第三の加工前ワークWfを載せた状態で、ワークストッカー10の内側からパレットチェンジャ41の上方に移動する。
【0073】
搬送システム1は、以上の工程を繰り返すことにより、レーザ加工機100による加工済ワークWsを回収する動作の一部を利用して加工前ワークWfをレーザ加工機100へ向けて搬送することができる。
【0074】
[効果]
本実施形態に係る搬送システム1によれば、加工前ワークWfが保管されるワークストッカー10と、レーザ加工機100への加工前ワークWfの搬入を待機する待機エリア40の上方に昇降可能に設けられ、待機エリア40に加工前ワークWfを搬送する第一搬送ユニット20と、第一搬送ユニット20よりも下方において、ワークストッカー10と待機エリア40の上方との間を移動可能とされており、レーザ加工機100により加工されて待機エリア40に搬出された加工済ワークWsをワークストッカー10に搬送する第二搬送ユニット30とを備える。また、当該搬送システム1において、第二搬送ユニット30は、第一搬送ユニット20側に加工前ワークWfが載置されるワーク載置部35を有する。
【0075】
従来の搬送システムでは、ワークストッカーから加工前ワークWfを待機エリアに搬送する動作と、加工後ワークを待機エリア40からワークストッカーに搬送する動作とは、それぞれ別のユニットを用いて、個別に行わざるを得なかった。
【0076】
これに対して、本実施形態に係る搬送システム1によれば、ワークストッカー10と待機エリア40の上方との間を移動可能とされている第二搬送ユニット30に加工前ワークWfを載置するワーク載置部35を設けたことにより、待機エリア40(パレットチェンジャ41)からワークストッカー10に加工済ワークWsを回収し終えた第二搬送ユニット30のワーク載置部35に、次に加工する加工前ワークWfを載置することができる。
【0077】
このため、ワークストッカー10からパレットチェンジャ41への加工前ワークWfの搬送には、加工済ワークWsをワークストッカー10に搬送する第二搬送ユニット30の戻り動作、すなわち、第二搬送ユニット30がワークストッカー10からパレットチェンジャ41の上方に向けた移動を利用することができる。
【0078】
これにより、搬送システム1によれば、従来、別々のユニットにより行われていた、ワークストッカーから加工前ワークWfを待機エリアに搬送する動作と、加工後ワークを待機エリアからワークストッカーに搬送する動作とを、第二搬送ユニット30による一回の往復動作によって完結することができる。
【0079】
したがって、搬送システム1によれば、レーザ加工機100への加工前ワークWfと加工済ワークWsの搬送動作を効率よく行うことができる。
【0080】
また、第二搬送ユニット30に加工前ワークWfを載置するワーク載置部35を設けたことにより、レーザ加工機100への加工前ワークWfの搬入を待機する待機エリア40(パレットチェンジャ41)に加工前ワークWfを搬送する第一搬送ユニット20を、X方向及びY方向において固定することができる。
【0081】
したがって、ワークストッカー10から加工前ワークWfをパレットチェンジャ41に搬送するために、第一搬送ユニット20を搬送システム1の幅方向に駆動するための駆動機構が不要となる。
【0082】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0083】
実施形態において、
図3から
図9を用いて説明した第一工程から第七工程は、説明の便宜上の区分けであって、第一搬送ユニット20が第二搬送ユニット30から加工前ワークWfを取得する動作と、第二搬送ユニット30がパレットチェンジャ41から加工済ワークWsを取得する動作の連携は、上述した流れに限定されない。
【0084】
本実施形態において、ワークストッカー10では、加工前ワークWfのみがワーク載置部35に移送される構造とされていてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 搬送システム
10 ワークストッカー
11 保持パレット
20 第一搬送ユニット
22 バキュームローダ
23 昇降機構
30 第二搬送ユニット
31 梁
32 水平軌道
33 駆動機構
34 アーム
35 ワーク載置部
40 待機エリア
41 パレットチェンジャ
42 板状桟部(スラット)
43 スキッドパレット
50 トラバーサ
51 トラバーサガイド
S 載置エリア
Wf 加工前ワーク
Ws 加工済ワーク
【手続補正書】
【提出日】2024-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを加工する加工装置に前記ワークを搬送する搬送システムであって、
加工前ワークが保管されるワークストッカーと、
前記加工装置への前記加工前ワークの搬入を待機する待機エリアの上方に設けられ、前記加工前ワークを前記待機エリアの上方における水平位置から前記待機エリアまでの範囲で昇降させる第一搬送ユニットと、
前記水平位置よりも下方の水平軌道において、前記ワークストッカーと前記待機エリアの上方との間を移動可能とされており、前記加工装置により加工されて前記待機エリアに搬出された加工済ワークを前記ワークストッカーに搬送する第二搬送ユニットと、
を備え、
前記第二搬送ユニットは、前記第一搬送ユニット側に前記加工前ワークが載置されるワーク載置部と、
前記加工済ワークの平面方向に並んで配列され、前記加工済ワークを支持するための複数のアームを有するフォークユニットと、
前記待機エリアから前記ワークストッカーに亘って水平方向に伸長する前記水平軌道上で前記フォークユニットを移動させるとともに、前記水平軌道に対して前記待機エリア側で当該フォークユニットを保持する駆動機構と、を有し、
前記ワーク載置部が前記水平軌道に対して前記フォークユニットの背面に設けられ、前記駆動機構に固定されたワーク保持体として構成される、
搬送システム。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送システムであって、
前記第一搬送ユニットは、前記第二搬送ユニットが前記待機エリアと前記第一搬送ユニットとの間に位置した際に、前記ワーク載置部から前記加工前ワークを取得し、
前記第一搬送ユニットは、前記第二搬送ユニットが前記加工済ワークを取得して前記ワークストッカーまで移動した後、前記加工前ワークを前記待機エリアに向けて降下させる、
搬送システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の一態様としての搬送システムは、ワークを加工する加工装置に前記ワークを搬送する搬送システムであって、加工前ワークが保管されるワークストッカーと、前記加工装置への前記加工前ワークの搬入を待機する待機エリアの上方に設けられ、前記加工前ワークを前記待機エリアの上方における水平位置から前記待機エリアまでの範囲で昇降させる第一搬送ユニットと、前記水平位置よりも下方の水平軌道において、前記ワークストッカーと前記待機エリアの上方との間を移動可能とされており、前記加工装置により加工されて前記待機エリアに搬出された加工済ワークを前記ワークストッカーに搬送する第二搬送ユニットと、を備え、前記第二搬送ユニットは、前記第一搬送ユニット側に前記加工前ワークが載置されるワーク載置部と、前記加工済ワークの平面方向に並んで配列され、前記加工済ワークを支持するための複数のアームを有するフォークユニットと、前記待機エリアから前記ワークストッカーに亘って水平方向に伸長する前記水平軌道上で前記フォークユニットを移動させるとともに、前記水平軌道に対して前記待機エリア側で当該フォークユニットを保持する駆動機構と、を有し、前記ワーク載置部が前記水平軌道に対して前記フォークユニットの背面に設けられ、前記駆動機構に固定されたワーク保持体として構成される。