(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172970
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】医用情報処理装置、医用情報処理システム、及び医用情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20241205BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A61B6/03 330Z
A61B5/055 370
A61B5/055 390
A61B6/03 360D
A61B6/03 360J
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091058
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮田 晶子
(72)【発明者】
【氏名】釣巻 久
(72)【発明者】
【氏名】古牧 伸介
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 明美
【テーマコード(参考)】
4C093
4C096
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA16
4C093CA35
4C093DA04
4C093FA06
4C093FA44
4C093FF17
4C093FF19
4C093FF28
4C093FG18
4C093FG20
4C096AA03
4C096AA04
4C096AA10
4C096AA17
4C096AA18
4C096AB37
4C096AB44
4C096AC01
4C096AD03
4C096AD06
4C096AD07
4C096AD12
4C096AD24
4C096BB31
4C096DA21
(57)【要約】
【課題】X線CT装置による検査の後に、MRI装置による検査が選択される場合において、MRI装置による検査に適切な撮像法や撮像条件を提供すること。
【解決手段】一実施形態に係る医用情報処理装置は、解析部と、判断部と、決定部と、を備える。解析部は、X線CT装置で取得された被検体のX線CT画像に基づいて、被検体の疾患情報の解析をする。判断部は、疾患情報の解析結果に基づいて、MRI装置で被検体の撮像をするか否かの判断をする。決定部は、疾患情報と判断に基づいて、MRI装置で用いられる被検体を撮像するための撮像法及び撮像条件の少なくとも一方を決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線CT装置で取得された被検体のX線CT画像に基づいて、前記被検体の疾患情報の解析をする解析部と、
前記疾患情報の解析結果に基づいて、MRI装置で前記被検体の撮像をするか否かの判断をする判断部と、
前記疾患情報と前記判断に基づいて、前記MRI装置で用いられる前記被検体を撮像するための撮像法及び撮像条件の少なくとも一方を決定する決定部と、
を備える、医用情報処理装置。
【請求項2】
前記解析部、前記判断部、及び前記決定部の少なくとも1つは、前記X線CT装置、前記MRI装置、及びワークステーション装置の少なくとも1つに設けられる、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
(a)前記解析部、前記判断部、及び前記決定部のすべてが、前記X線CT装置又は前記ワークステーション装置に設けられる、(b)前記解析部、及び前記判断部が、前記X線CT装置又は前記ワークステーション装置に設けられ、前記決定部が、前記MRI装置に設けられる、又は、(c)前記解析部、前記判断部、及び前記決定部のすべてが、前記MRI装置に設けられる、
請求項2に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記疾患情報に基づいたパルスシークエンスを前記撮像法として決定し、(a)緊急性に応じた所望の撮像時間、(b)診断目的に応じた所望の分解能、のうち少なくとも1つを満たすように前記MRI装置における前記撮像条件を決定する、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
前記解析部は、前記被検体の前記X線CT画像に基づいて疾患部位の範囲をさらに解析し、
前記決定部は、前記疾患部位の範囲を撮像範囲とするように前記撮像条件をさらに決定する、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
前記疾患情報は、脳梗塞、脳内出血、動脈瘤破裂くも膜下出血、微量なくも膜下出血、亜急性くも膜下出血、及びその他のくも膜下出血、のうち少なくとも1つの疾患に係る情報である、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項7】
前記判断をユーザに提示する提示部、をさらに備え、
前記判断部が、前記MRI装置で前記被検体の撮像をすると判断した場合に、前記決定部は前記MRI装置で用いられる前記被検体を撮像するための撮像法及び撮像条件の少なくとも一方を決定して、
前記判断部が、前記MRI装置で前記被検体の撮像を否と判断した場合に、前記提示部はその旨をユーザに提示する、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項8】
前記解析部は、前記被検体の前記X線CT画像において、(a)CT値による出血の有無、(b)出血のある脳内の部位、(c)シルビウス裂が明瞭に描出されているか否か、の少なくとも1つによって、前記被検体の前記疾患情報の解析をする、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項9】
前記解析部は、前記被検体の前記X線CT画像に基づいて、
(a)脳内の実質部外に出血がある場合には、動脈瘤破裂くも膜下出血、又はその他のくも膜下出血の疑いがある、
(b)脳内に出血がなく、かつ、シルビウス裂が明瞭に描出されていない場合には、微量なくも膜下出血、又は亜急性くも膜下出血の疑いがある、
(c)脳内に出血がなく、かつ、シルビウス裂が明瞭に描出されている場合には、脳梗塞の疑いがある、
と、前記被検体の前記疾患情報を解析し、
前記判断部は、前記疾患情報の解析結果が得られたとき、前記MRI装置で前記被検体の撮像をすると判断する、
請求項8に記載の医用情報処理装置。
【請求項10】
前記判断部が、前記MRI装置で前記被検体の撮像をすると判断した場合に、前記決定部は前記MRI装置で用いられる前記被検体を撮像するための撮像法及び撮像条件を、DWI画像、FLAIR画像、MRA画像、T2*画像、T2画像、及びT1画像の少なくとの1つが取得できるように決定する、
請求項9に記載の医用情報処理装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の医用情報処理装置と、
前記医用情報処理装置とネットワークを介して接続される前記X線CT装置と、
前記医用情報処理装置とネットワークを介して接続される前記MRI装置と、
を備える、医用情報処理システム。
【請求項12】
コンピュータを、
X線CT装置で取得された被検体のX線CT画像に基づいて、前記被検体の疾患情報の解析をする解析手段と、
前記疾患情報に基づいて、MRI装置で前記被検体の撮像をするか否かの判断をする判断手段と、
前記疾患情報と前記判断に基づいて、前記MRI装置で用いられる前記被検体を撮像するための撮像法及び撮像条件の少なくとも一方を決定する決定手段と、
して機能させるための、医用情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用情報処理装置、医用情報処理システム、及び医用情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療診断において、緊急又は特定の疾患が疑われるなどの場合に、短時間で広範囲を撮像できるX線CT(Computed Tomography)装置による撮像を実施し、その撮像結果を基に、次の検査又は治療などの処置について判断がされることがある。例えば、頭痛、吐き気、意識の悪化がある患者に対して、脳内出血や脳梗塞を疑い、第一にX線CT装置による検査が選択され、検査結果から診断のための所見が得られなかった場合に、第二に磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置による検査が選択される場合がある。
【0003】
また、経験不足の技師が担当した場合や忙しい場合などに、撮像条件が適切に選択されないことがある。そこで、例えば、X線CT装置による撮像画像から、X線診断装置における撮像方向を含む撮像条件が決定する技術がある。第一にX線CT装置による検査が選択され、第二にMRI装置による検査が選択される場合においても、同様の理由により、撮像条件が適切に選択されないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の1つは、X線CT装置による検査の後に、MRI装置による検査が選択される場合において、MRI装置による検査に適切な撮像法や撮像条件を提供することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る医用情報処理装置は、解析部と、判断部と、決定部と、を備える。解析部は、X線CT装置で取得された被検体のX線CT画像に基づいて、被検体の疾患情報の解析をする。判断部は、疾患情報の解析結果に基づいて、MRI装置で被検体の撮像をするか否かの判断をする。決定部は、疾患情報と判断に基づいて、MRI装置で用いられる被検体を撮像するための撮像法及び撮像条件の少なくとも一方を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係る医用情報処理装置の構成例を示す概略図。
【
図2】第1の実施形態に係る医用情報処理装置の動作例を示すフローチャート。
【
図3】第1の実施形態の変形例に係る医用情報処理装置の動作例を示すフローチャート。
【
図4】頭部診断の場合の具体的な動作例を示すフローチャート。
【
図5】シルビウス裂が明瞭に描出されているか否かの判断についての説明図。
【
図6】頭部に関する疾患情報とデータセットの一例についての説明図。
【
図7】第1の実施形態に係る医用情報処理システムの構成例を示す概略図。
【
図8】第2の実施形態に係る医用情報処理装置の構成例を示す概略図。
【
図9】第3の実施形態に係る医用情報処理装置の構成例を示す概略図。
【
図10】第4の実施形態に係る医用情報処理装置の構成例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、医用情報処理装置、医用情報処理システム、及び医用情報処理プログラムの実施形態について詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1実施形態に係る医用情報処理装置100の構成例を示す概略図である。医用情報処理装置100は、被検体のX線CT画像に基づいて、当該被検体のMRI装置による検査に適切な撮像法や撮像条件を提供する情報処理装置である。医用情報処理装置100は、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション装置400(
図7を参照)などの一般的な情報処理装置により構成される。
図1に示すように、医用情報処理装置100は、処理回路110、及び記憶回路120を備えている。また、医用情報処理装置100は、さらに、入力インタフェース130、ネットワークインタフェース140、及び、ディスプレイ150を備えていてもよい。
【0010】
医用情報処理装置100のディスプレイ150は、液晶ディスプレイパネル、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、有機EL(Electro Luminescence)パネルなどの一般的な表示デバイスにより構成される。
【0011】
ネットワークインタフェース140は、ネットワークNの形態に応じた種々の情報通信用プロトコルを実装する。ネットワークインタフェース140は、各種プロトコルに応じた通信制御を行い、有線、又は、無線で、ネットワークNに接続することができる機能を有する。ネットワークインタフェース140は、ネットワークNを介して、医用情報処理装置100、X線CT装置、及びMRI装置の通信を可能にする。ネットワークインタフェース140は、ネットワークNを介して、例えば、被検体のX線CT画像、当該被検体のMRI装置による検査に適切な撮像法や撮像条件などの各種データを受け渡すことができる。
【0012】
入力インタフェース130は、ユーザによって操作が可能な入力デバイスと、入力デバイスからの信号を入力する入力回路とを含む。入力デバイスは、例えば、トラックボール、スイッチ、マウス、キーボード、走査面に触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力デバイス、音声入力デバイスなどによって実現される。ユーザにより入力デバイスが操作されると、入力回路はその操作に応じた信号を生成して処理回路110に出力する。なお、入力インタフェース130は、入力デバイスがディスプレイと一体に構成されたタッチパネルであってもよい。
【0013】
記憶回路120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクなどの、プロセッサにより読み取り可能な記憶媒体によって構成される。記憶回路120は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、DVD(Digital Video Disk)などの可搬型メディアによって構成されてもよい。可搬型メディアによって、医用情報処理装置100、X線CT装置、及びMRI装置とで、被検体のX線CT画像、当該被検体のMRI装置による検査に適切な撮像法や撮像条件などの各種データを受け渡すことができる。また、記憶回路120は、処理回路110において用いられる各種処理プログラムや、プログラムの実行に必要なデータなどを記憶する。
【0014】
処理回路110は、医用情報処理装置100を統括制御する機能を実現する。また、処理回路110は、記憶回路120に記憶された各種処理プログラムを読み出して実行することにより、各種機能を実現するプロセッサである。処理回路110のプロセッサは、解析機能F1、判断機能F2、決定機能F3、提示機能F4などの各機能を実現する。医用情報処理装置100の処理回路110における上記機能の構成及び動作について、
図2のフローチャートを用いて、説明する。
【0015】
ステップST10において、解析機能F1は、X線CT装置200で撮像された被検体のX線CT画像を取得する。医用情報処理装置100は、被検体のX線CT画像を、ネットワークインタフェース140からネットワークN(
図7を参照)を介して取得してもよいし、記憶回路120から取得してもよい。
【0016】
ステップST20において、解析機能F1は、X線CT装置200で取得された被検体のX線CT画像に基づいて、被検体の疾患情報の解析をする。疾患情報は、例えば、X線CT画像におけるCT値から出血の有無などが判断されることで解析されてもよい。また、疾患情報は、例えば、X線CT画像において特定の組織や器官の異常が検出されることで解析されてもよい。疾患情報の解析に、例えば、AI技術や機械学習などが用いられてもよい。
【0017】
ステップST30において、判断機能F2は、疾患情報の解析結果に基づいて、MRI装置300で被検体の撮像をするか否かの判断をする。例えば、疾患情報の解析結果だけでは診断や治療の決定が困難な場合に、MRI装置300で被検体の撮像をすると判断されてもよい。また、疾患情報の解析結果から診断や治療の決定が可能な場合に、MRI装置300で被検体の撮像をしないと判断されてもよい。
【0018】
ステップST40において、決定機能F3は、疾患情報と判断に基づいて、MRI装置300で用いられる被検体を撮像するための撮像法及び撮像条件の少なくとも一方を決定する。ここで、撮像法は、例えば、パルスシークエンスの種類で規定することができる。決定機能F3は、疾患情報に基づいたパルスシークエンスを撮像法として決定する。MRI装置300で用いられる撮像法は、例えば、取得されたX線CT画像では診断や治療の決定が困難な場合であっても、当該撮像法により取得されるMR画像では診断や治療の決定が可能となり得る撮像法である。撮像法は、例えば、DWI画像、FLAIR画像、MRA画像、T2*画像、T2画像、T1画像などの所望のコントラスト画像が取得できる撮像法として決定されてもよい。
【0019】
また、決定機能F3は、(a)緊急性に応じた所望の撮像時間、(b)診断目的に応じた所望の分解能、のうち少なくとも1つを満たすようにMRI装置300における撮像条件を決定する。撮像条件とは、例えば、空間分解能、撮像画像枚数、エコー時間、繰り返し回数、加算回数、バンド幅などのパラメータ設定や、ハーフフーリエ、圧縮センシング(Compress Sensing)などのオプション機能設定などがある。空間分解能は、例えば、スライス厚やマトリックスサイズなどを含む。なお、撮像条件は、前述した例に限らず、前述した例の一部又は全部が決定されてもよい。撮像条件は、撮像法に応じて決定されてもよい。
【0020】
撮像条件は、緊急性に応じた所望の撮像時間とするために、例えば、予め登録されている初期撮像条件から空間分解能を減らしたり、圧縮センシングなどのオプション機能を付加したり、撮像画像枚数を削減したりするように決定されてもよい。また、撮像条件は、緊急性に応じた所望の撮像時間と、診断目的に応じた所望の分解能との両方のバランスが最適になるように決定されてもよい。また、撮像条件は、撮像法とともに、所望のコントラスト画像を取得できるように決定されてもよい。
【0021】
ステップST50において、決定機能F3は、決定された撮像法及び撮像条件をMRI装置300に提供する。医用情報処理装置100は、決定された撮像法及び撮像条件を、ネットワークインタフェース140からネットワークNを介して提供してもよいし、記憶回路120から提供してもよい。
【0022】
ステップST60において、提示機能F4は、MRI装置300で被検体の撮像をするか否かの判断をユーザに提示する。提示機能F4は、次の治療や検査等について具体的に提示してもよい。提示される内容は、例えば、疾患情報や疾患部位などに応じた内容であってもよい。ユーザへの提示は、例えば、ディスプレイ150で行われる。
【0023】
(第1の実施形態の変形例)
図3は、第1の実施形態の変形例に係る医用情報処理装置100の動作例を示すフローチャートである。第1の実施形態の変形例に係る医用情報処理装置100は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置100で撮像法と撮像条件の決定が行われることに加えて、疾患部位の範囲を撮像範囲とするように撮像条件が決定される。
【0024】
ステップST10は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置100のステップST10と実質的に異ならないため、重複する説明を省略する。
【0025】
ステップST20Bにおいて、解析機能F1は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置100のステップST20と同様に、X線CT装置200で取得された被検体のX線CT画像に基づいて、被検体の疾患情報の解析をする。さらに、解析機能F1は、被検体のX線CT画像に基づいて、疾患部位の範囲を解析する。疾患部位の範囲とは、後述するステップST40Bにおいて撮像範囲として決定されて、MRI装置300による検査でMR画像の取得のために撮像される範囲である。疾患部位の範囲は、例えば、頭部、肝臓部などの疾患部位の全範囲、すなわち疾患部位や疾患器官の特定であってもよい。
【0026】
ステップST30は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置100のステップST30と実質的に異ならないため、重複する説明を省略する。
【0027】
ステップST40Bにおいて、決定機能F3は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置100のステップST40と同様に、疾患情報と判断に基づいて、MRI装置300で用いられる被検体を撮像するための撮像法及び撮像条件の少なくとも一方を決定する。さらに、決定機能F3は、疾患部位の範囲を撮像範囲とするように撮像条件を決定する。ステップST40Bは、疾患部位の範囲を撮像範囲とするように撮像条件を決定する他は、ステップST40と実質的に異ならないため、重複する説明を省略する。
【0028】
ステップST50Bにおいて、決定機能F3は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置100のステップST50と同様に、決定された撮像法及び撮像条件をMRI装置300に提供する。さらに、決定機能F3は、決定された撮像範囲をMRI装置300に提供する。医用情報処理装置100は、決定された撮像法及び撮像範囲を含む撮像条件を、ネットワークインタフェース140からネットワークNを介して提供してもよいし、記憶回路120から提供してもよい。
【0029】
ステップST60は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置100のステップST60と実質的に異ならないため、重複する説明を省略する。
【0030】
このように、第1の実施形態の変形例に係る医用情報処理装置100によれば、第1の実施形態に係る医用情報処理装置100における、MRI装置300による検査に適切な撮像法や撮像条件の提供に加えて、疾患部位の範囲を撮像範囲とするように撮像条件を決定することができる。
【0031】
(頭部診断の具体例)
医用情報処理装置100は、頭部診断の場合に限らず、他の疾患部位や疾患器官においても用いることができるが、以下、頭部診断の場合の具体的な医用情報処理装置100の動作例について、
図4のフローチャートを用いて説明する。
図4に示すように、頭部診断の場合においても、
図3のフローチャートと同様に、ステップST10乃至ステップST60の処理が行われる。
【0032】
ステップST10において、X線CT装置200で撮像された被検体のX線CT画像が取得された後、ステップST20Bに進む。ステップST20Bでは、解析機能F1が、被検体のX線CT画像に基づいて、被検体の疾患情報を解析する。また、解析機能F1は、被検体のX線CT画像に基づいて、疾患部位の範囲をさらに解析してもよい。ステップST20Bは、例えば、ステップST21乃至ステップST25で構成される。
【0033】
ステップST21において、被検体のX線CT画像が頭部画像であるか否かの判断が行われる。ステップST21において、被検体のX線CT画像が頭部画像である(すなわち、YES)場合には、ステップST22に進む。
【0034】
一方で、ステップST21において、被検体のX線CT画像が頭部画像ではない(すなわち、NO)場合には、ステップST25に進む。そして、ステップST25において、被検体のX線CT画像が肝臓画像であるか否かの判断が行われる。さらに、ステップST25において、被検体のX線CT画像が肝臓画像ではない(すなわち、NO)場合には、他の疾患部位の画像であるか否かの判断が行われることとなる。
【0035】
また、被検体のX線CT画像が肝臓画像である(ステップST25でYES)場合には、肝臓画像に特化した被検体の疾患情報の解析、MRI装置300で被検体の撮像をするか否かの判断、撮像法及び撮像条件の少なくとも一方の決定などが行われることとなる。
【0036】
なお、
図4のステップST21、及びステップST25では、頭部画像、及び肝臓画像について順番に判断されているが、判断される疾患部位の順番を限定するものではない。また、疾患部位の範囲は、解析機能F1による解析によらず、例えば、ユーザの入力操作や被検体に関する登録情報などから、疾患部位の全範囲が特定されていてもよい。その場合には、
図4において、ステップST10からステップST22に進む。
【0037】
ステップST22において、被検体のX線CT画像において脳内出血があるか否かが判断される。X線CT画像における出血の有無は、CT値によって判断される。例えば、一般的に、脳の白質のCT値が30~34HU程度、灰白質のCT値が37~40HU程度であるところを、CT値が50~60HU程度になっている場合に、出血があると判断してもよい。
【0038】
ステップST22において、被検体のX線CT画像において脳内に出血がある(すなわち、YES)場合には、ステップST23に進む。ステップST23では、X線CT画像における脳内出血が脳実質内の出血であるか否かが判断される。そして、X線CT画像における脳内出血が脳実質内の出血である(ステップST23でYES)場合には、被検体の疾患情報として、脳内出血であると解析される。
【0039】
一方で、ステップST23において、X線CT画像における出血が脳実質内の出血ではない(すなわち、NO)場合、つまり、脳内の実質部外に出血がある場合には、動脈瘤破裂くも膜下出血、又はその他のくも膜下出血の疑いがあると解析される。ここで、その他のくも膜下出血とは、動脈瘤破裂くも膜下出血、微量なくも膜下出血、又は亜急性くも膜下出血を除くくも膜下出血のことである。
【0040】
一方で、ステップST22において、被検体のX線CT画像において出血がない(すなわち、NO)場合には、ステップST24に進む。ステップST24では、シルビウス裂が明瞭に描出されているか否かが判断される。
【0041】
ここで、
図5を用いて、シルビウス裂が明瞭に描出されているか否かの判断について説明する。
図5(a)は、シルビウス裂を含む脳構造の概略図である。
図5(a)に示すように、一般的に、シルビウス裂とは前頭頭頂葉及び側頭葉の間の隙間、すなわち脳溝をいう。そのため、シルビウス裂は、X線CT画像において、脳室と異なるコントラストになり同定できる。しかし、シルビウス裂から出血すると、シルビウス裂周辺の隙間が血液で満たされ、X線CT画像上で脳室とシルビウス裂との判別がつき難くなる。
【0042】
そこで脳室とシルビウス裂との判別のために、
図5(b)に示すように、例えば、
図5(a)の切断スライスA-A’のようにシルビウス裂に対して垂直なスライス上でCT値のプロファイルをとる。シルビウス裂から出血がない場合には、例えば、
図5(b)の上図に示すように、シルビウス裂のCT値が脳室のCT値と異なるプロファイルとなり、シルビウス裂の描出が明瞭となる。
【0043】
一方で、
図5(b)の下図に示すように、CT値のプロファイルがシルビウス裂と脳室とで滑らかである場合、すなわちシルビウス裂の描出が不明瞭な場合には、シルビウス裂から出血している可能性を疑うことができる。例えば、切断スライスを脳室断面が最も大きく出るスライスに設定して、視床基底核下近傍をプロファイルした際の波形が滑らかか否かで判別してもよい。
【0044】
図4のシルビウス裂が明瞭に描出されているか否かの判断をするステップST24に戻る。前述したように、ステップST24は、ステップST22において、被検体のX線CT画像において脳内に出血がない場合に進むステップである。ステップST24において、シルビウス裂が明瞭に描出されている(すなわち、YES)場合には、被検体の疾患情報として、脳梗塞の疑いがあると解析される。また、シルビウス裂が明瞭に描出されていない(ステップST24でNO)場合には、微量なくも膜下出血、又は亜急性くも膜下出血の疑いがあると解析される。
【0045】
このように、解析機能F1は、被検体のX線CT画像において、(a)CT値による出血の有無、(b)出血のある脳内の部位、(c)シルビウス裂が明瞭に描出されているか否か、の少なくとも1つによって、被検体の疾患情報の解析をする。なお、解析される疾患情報は、脳梗塞、脳内出血、動脈瘤破裂くも膜下出血、微量なくも膜下出血、亜急性くも膜下出血、及びその他のくも膜下出血、のうち少なくとも1つの疾患に係る情報である。
【0046】
ステップST20Bを構成するステップST21乃至ステップST25において、被検体のX線CT画像に基づいて被検体の疾患情報が解析された後、ステップST30に進む。ステップST30では、判断機能F2が、ステップST20Bにおける疾患情報の解析結果に基づいて、MRI装置300で被検体の撮像をするか否かを判断する。
【0047】
具体的には、被検体の疾患情報が脳内出血と解析された場合には、CT画像のみで十分な診断が可能であるため、判断機能F2は、MRI装置300で被検体の撮像をしないと判断する。被検体の疾患情報が微量・亜急性くも膜下出血の疑いがあると解析された場合には、判断機能F2は、MRI装置300で被検体の撮像をすると判断する。被検体の疾患情報が脳梗塞の疑いがあると解析された場合には、判断機能F2は、MRI装置300で被検体の撮像をすると判断する。
【0048】
被検体の疾患情報が動脈瘤破裂、又はその他のくも膜下出血の疑いがあると解析された場合には、判断機能F2は、MRI装置300で被検体の撮像をすると判断する。なお、被検体の疾患情報が動脈瘤破裂、又はその他のくも膜下出血の疑いがあると解析された場合には、ステップST31のように、提示機能F4が、脳動脈瘤検索に造影CTAを行うか否かをユーザに判断を依頼するための提示をしてもよい。そして、ユーザの判断にしたがって、MRI装置300で被検体の撮像をするか否かの判断が行われてもよい。ユーザの判断依頼の提示は、例えば、ディスプレイ150で行われる。また、ユーザの判断は、例えば、入力インタフェース130から入力される。
【0049】
なお、ステップST31を行わず、被検体の疾患情報が動脈瘤破裂、又はその他のくも膜下出血の疑いがあると解析された場合には、判断機能F2は、MRI装置300で被検体の撮像をすると判断してもよい。その場合には、ユーザが後から造影CTAを行うか否かについて判断をしてもよい。
【0050】
ステップST31において、例えば、ユーザ入力操作により、脳動脈瘤検索に造影CTAを行う(すなわち、YES)が選択された場合には、判断機能F2は、MRI装置300で被検体の撮像をしないと判断する。一方で、脳動脈瘤検索に造影CTAを行わない(ステップST31でNO)が選択された場合には、判断機能F2は、MRI装置300で被検体の撮像をすると判断する。
【0051】
他に、被検体の疾患情報が微量・亜急性くも膜下出血の疑いがあると解析された場合には、判断機能F2は、MRI装置300で被検体の撮像をすると判断する。被検体の疾患情報が脳梗塞の疑いがあると解析された場合には、判断機能F2は、MRI装置300で被検体の撮像をすると判断する。
【0052】
このように、ステップST31を含むステップST30において、判断機能F2が、MRI装置300で被検体の撮像をすると判断した場合に、ステップST40Bに進む。ステップST40Bでは、決定機能F3はMRI装置300で用いられる被検体を撮像するための撮像法及び撮像条件の少なくとも一方を決定する。
【0053】
前述したように、決定機能F3は、疾患情報に基づいたパルスシークエンスを撮像法として決定する。また、決定機能F3は、(a)緊急性に応じた所望の撮像時間、(b)診断目的に応じた所望の分解能、のうち少なくとも1つを満たすようにMRI装置300における撮像条件を決定する。
【0054】
ここで、
図6を用いて、頭部に関する疾患情報とデータセットの一例について具体的に説明する。
図6では、例えば、急性期脳梗塞や微量・亜急性くも膜下出血の場合に、X線CT画像での診断が困難な場合であってもMR画像で診断が可能となる例を示している。また、
図6では、急性期脳梗塞の場合にはデータセットD1が、微量・亜急性くも膜下出血の場合にはデータセットD2が、その他のくも膜下出血の場合にはデータセットD3が、それぞれ撮像法や撮像範囲として決定されている。
【0055】
図6では、データセットD1は、撮像法がDWI画像、FLAIR画像、MRA画像、及びT2
*画像を取得するためのパルスシークエンスであり、撮像範囲が全脳である。データセットD2は、撮像法がDWI画像、FLAIR画像、MRA画像、T2
*画像、T2画像、及びT1画像を取得するためのパルスシークエンスであり、撮像範囲が全脳と出血箇所を含むX線CT画像に基づいて解析された疾患部位の範囲(
図5の点線で囲まれた撮像範囲)である。データセットD3は、撮像法がMRA画像、FLAIR画像、DWI画像、T2
*画像を取得するためのパルスシークエンスであり、撮像範囲が全脳である。
【0056】
このように、判断機能F2が、MRI装置300で被検体の撮像をすると判断した場合に、決定機能F3はMRI装置300で用いられる被検体を撮像するための撮像法及び撮像条件を、DWI画像、FLAIR画像、MRA画像、T2*画像、T2画像、及びT1画像の少なくとも1つが取得できるように決定してもよい。また、決定機能F3は、疾患部位の範囲を撮像範囲とするように撮像条件をさらに決定してもよい。疾患部位の範囲を撮像範囲とするように撮像条件が決定されれば、疾患部位の範囲のMR画像が適切に取得できる。また、過分な撮像による撮像時間の延長を抑制することもできる。
【0057】
なお、データセットD1、D2、及びD3は、データセットの一例であり、前述した通り、撮像法及び撮像範囲を含む撮像条件は、疾患情報に基づいて決定される。そして、ステップST40Bにおいて決定された被検体を撮像するための撮像法及び撮像範囲を含む撮像条件の少なくとも一方は、ステップST50Bにおいて、MRI装置300に提供される。
【0058】
図4のステップST30に戻り、判断機能F2が、MRI装置300で被検体の撮像をしないと判断した場合に、ステップST60に進む。ステップST60において、MRI装置300で被検体の撮像をしないと判断された場合に、提示機能F4は、その旨をユーザに提示する。また、提示機能F4は、具体的に次の治療や検査等について提示してもよい。
【0059】
図4では、例えば、疾患情報が脳内出血と解析され、MRI装置300での撮像をしないと判断された場合には、「治療推奨」の旨が提示される。また、疾患情報が動脈瘤破裂、又はその他のくも膜下出血の疑いがあると解析され、MRI装置300での撮像をしないと判断された場合(ステップST31でYES)には、「造影CTA推奨」の旨が提示される。また、疾患情報が動脈瘤破裂、又はその他のくも膜下出血の疑いがあると解析され、MRI装置300での撮像をすると判断された場合(ステップST31でNO)には、撮像条件等の決定とともに、「MRA推奨」の旨が提示される。なお、「治療推奨」、「造影CTA推奨」、「MRA推奨」は提示内容の一例であり、前述した通り、疾患情報や疾患部位などに応じた提示内容がユーザに提示される。
【0060】
X線CT装置200による検査の後に、MRI装置300による検査が選択される際に、例えば、適切な撮像法や撮像条件を選択する必要がある場合や、予め登録されている初期撮像条件から撮像時間の短縮や疾患に合った撮像条件にするために撮像条件の一部を変更する必要がある場合がある。
【0061】
しかしながら、経験不足の技師などのユーザが検査を担当した場合にMRI装置300による検査に適切な撮像法や撮像条件が分からないことがある。また、ユーザが忙しい場合に適切な撮像法や撮像条件の設定に時間を要するため困難なことがある。そのような場合であっても、第1の実施形態に係る医用情報処理装置100によれば、MRI装置300による検査に適切な撮像法や撮像条件を提供することができる。
【0062】
(医用情報処理システム)
第1の実施形態、及びその変形例に係る医用情報処理装置100は、処理回路110を構成する解析機能F1、判断機能F2、及び決定機能F3のすべてを含む機能が、例えば、X線CT装置200、及びMRI装置300と独立に設けられたプロセッサにより実現されている。すなわち、
図1に示す医用情報処理装置100は、記憶回路120を介して、被検体のX線CT画像、及び当該被検体のMRI装置による検査に適切な撮像法や撮像条件などの各種データを受け渡している。
【0063】
これに対して、医用情報処理装置100は、ネットワークNを介して、X線CT装置200、及びMRI装置300と通信し、各種データを受け渡してもよい。
図7を用いて、第1の実施形態に係る医用情報処理システム1の構成例を示す概略図について説明する。
図7に示すように、医用情報処理システム1は、医用情報処理装置100と、医用情報処理装置100とネットワークNを介して接続されるX線CT装置200と、医用情報処理装置100とネットワークNを介して接続されるMRI装置300と、を備える。
【0064】
X線CT装置200は、X線CT撮像技術を利用可能である。X線CT装置200は、X線管とX線検出器を被検体の周りに高速回転させ、多数のスライスに対応する投影データを取得し、X線CT画像を生成する撮像装置である。X線CT装置200は、被検体にX線を照射することでX線検出器が検出したX線に基づいて、被検体の断層画像を生成する医用画像診断装置である。X線CT装置200は、画像処理装置であるコンソール装置201を備える。
【0065】
X線CT装置200のコンソール装置201は、処理回路210と、記憶回路220と、入力インタフェース230と、ネットワークインタフェース240と、ディスプレイ250と、を備える。X線CT装置200の記憶回路220、入力インタフェース230、ネットワークインタフェース240、及びディスプレイ250のそれぞれは、医用情報処理装置100の記憶回路120、入力インタフェース130、ネットワークインタフェース140、及びディスプレイ150のそれぞれを実質的に具備しているため、重複する説明を省略する。
【0066】
X線CT装置200の処理回路210は、記憶回路220に記憶された各種処理プログラムを読み出して実行することにより、各種機能を実現するプロセッサである。X線CT装置200の処理回路210は、X線CT撮像によりデータ収集回路が取得した投影データからX線CT画像を生成する画像処理やX線CT装置200の統括制御などを行う。X線CT画像を生成する画像処理は、X線CT画像生成機能F5が行う。以下、X線CT画像生成機能F5がX線CT装置200の処理回路210に設けられているとして説明するが、X線CT画像生成機能F5が医用情報処理装置100の処理回路110に設けられていてもよい。
【0067】
MRI装置300は、磁気共鳴イメージング技術を利用可能である。MRI装置300は、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをラーモア周波数の高周波(RF:Radio Frequency)信号で励起し、励起に伴って被検体から発生する磁気共鳴信号を再構成してMR画像を生成する医用画像診断装置である。MRI装置300は、画像処理装置であるコンソール装置301を備える。
【0068】
MRI装置300のコンソール装置301は、処理回路310と、記憶回路320と、入力インタフェース330と、ネットワークインタフェース340と、ディスプレイ350と、を備える。MRI装置300の記憶回路320、入力インタフェース330、ネットワークインタフェース340、及びディスプレイ350のそれぞれは、医用情報処理装置100の記憶回路120、入力インタフェース130、ネットワークインタフェース140、及びディスプレイ150のそれぞれを実質的に具備しているため、重複する説明を省略する。
【0069】
MRI装置300の処理回路310は、記憶回路320に記憶された各種処理プログラムを読み出して実行することにより、各種機能を実現するプロセッサである。MRI装置300の処理回路310は、撮像法や撮像条件などのユーザの入力操作に従ったMRI撮像のための処理やMRI撮像によりデータ収集回路が取得した磁気共鳴信号からMR画像を生成する画像処理やMRI装置の統括制御などを行う。
【0070】
なお、
図7におけるワークステーション装置400は、
図1における第1の実施形態に係る医用情報処理装置100の一例である。ワークステーション装置400は、処理回路410と、記憶回路420と、入力インタフェース430と、ネットワークインタフェース440と、ディスプレイ450と、を備える。
【0071】
ワークステーション装置400の処理回路410、記憶回路420、入力インタフェース430、ネットワークインタフェース440、及びディスプレイ450のそれぞれは、医用情報処理装置100の処理回路110、記憶回路120、入力インタフェース130、ネットワークインタフェース140、及びディスプレイ150のそれぞれを具備する。すなわち、ワークステーション装置400の処理回路410、記憶回路420、入力インタフェース430、ネットワークインタフェース440、及びディスプレイ450は、医用情報処理装置100の処理回路110、記憶回路120、入力インタフェース130、ネットワークインタフェース140、及びディスプレイ150と実質的に異ならないので、重複する説明を省略する。
【0072】
図7に示すように、
図1に示した医用情報処理装置100の処理回路110を構成する解析機能F1、判断機能F2、及び決定機能F3のすべてが、ワークステーション装置400に設けられていてもよい。また、
図7では不図示の提示機能F4は、ワークステーション装置400の処理回路410に設けられていてもよい。
【0073】
なお、これに限らず、解析機能F1、判断機能F2、及び決定機能F3の少なくとも1つは、X線CT装置200、MRI装置300、及びワークステーション装置400の少なくとも1つに設けられていてもよい。また、
図7乃至
図10では不図示の提示機能F4は、X線CT装置200、MRI装置300、及びワークステーション装置400の少なくとも1つに設けられていてもよい。また、提示機能F4は、X線CT装置200のディスプレイ250、MRI装置300のディスプレイ350、及びワークステーション装置400のディスプレイ450の少なくとも1つに提示してもよい。
【0074】
図8乃至
図10を用いて、他の実施形態に係る医用情報処理装置100の構成例を説明する。他の実施形態に係る医用情報処理装置100は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置100と、処理回路110を構成する解析機能F1、判断機能F2、及び決定機能F3が設けられる装置が異なる。第1の実施形態に係る医用情報処理装置100、X線CT装置200、MRI装置300、及びワークステーション装置400と実質的に異ならない他の構成、及び作用には同一符号を付して説明を省略する。
【0075】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置100の構成例を示す概略図である。
図8に示すように、医用情報処理装置100の処理回路110を構成する解析機能F1、判断機能F2が、ワークステーション装置400に設けられ、決定機能F3が、MRI装置300に設けられていてもよい。
図8で不図示の提示機能F4は、例えば、ワークステーション装置400の処理回路410に設けられて、ディスプレイ450に提示されてもよい。
【0076】
第2の実施形態に係る医用情報処理装置100では、X線CT装置200のX線CT画像生成機能F5により生成された被検体のX線CT画像に基づいて、ワークステーション装置400の解析機能F1が、被検体の疾患情報の解析をする。さらに、ワークステーション装置400の判断機能F2は、疾患情報の解析結果に基づいて、MRI装置300で被検体の撮像をするか否かの判断をする。そして、MRI装置300の、決定機能F3が、疾患情報と判断に基づいて、MRI装置300で用いられる被検体を撮像するための撮像法及び撮像条件の少なくとも一方を決定する。
【0077】
ワークステーション装置400は、例えば、記憶回路、又はネットワークNを介して、X線CT装置200からX線CT画像を取得する。また、MRI装置300は、例えば、記憶回路、又はネットワークNを介して、ワークステーション装置400から疾患情報と判断に関する情報を取得する。さらに、MRI装置300が同様にX線CT画像をワークステーション装置400から取得して、MRI装置300で用いられる被検体を撮像するための撮像法及び撮像条件の少なくとも一方の決定に用いてもよい。
【0078】
(第3の実施形態)
図9は、第3の実施形態に係る医用情報処理装置100の構成例を示す概略図である。
図9に示すように、医用情報処理装置100の処理回路110を構成する解析機能F1、判断機能F2が、X線CT装置200に設けられ、決定機能F3が、MRI装置300に設けられていてもよい。
図9で不図示の提示機能F4は、例えば、X線CT装置200の処理回路210に設けられて、ディスプレイ250に提示されてもよい。
【0079】
第3の実施形態に係る医用情報処理装置100では、X線CT装置200のX線CT画像生成機能F5により生成された被検体のX線CT画像に基づいて、X線CT装置200の解析機能F1が、被検体の疾患情報の解析をする。さらに、X線CT装置200の判断機能F2が、疾患情報の解析結果に基づいて、MRI装置300で被検体の撮像をするか否かの判断をする。そして、MRI装置300の、決定機能F3が、疾患情報と判断に基づいて、MRI装置300で用いられる被検体を撮像するための撮像法及び撮像条件の少なくとも一方を決定する。
【0080】
MRI装置300は、例えば、記憶回路、又はネットワークNを介して、X線CT装置200から疾患情報と判断に関する情報を取得する。また、MRI装置300が同様にX線CT画像をX線CT装置200から取得して、MRI装置300で用いられる被検体を撮像するための撮像法及び撮像条件の少なくとも一方の決定に用いてもよい。
【0081】
(第4の実施形態)
図10は、第4の実施形態に係る医用情報処理装置100の構成例を示す概略図である。
図10に示すように、医用情報処理装置100の処理回路110を構成する解析機能F1、判断機能F2、及び決定機能F3のすべてが、MRI装置300に設けられていてもよい。
図10で不図示の提示機能F4は、例えば、MRI装置300の処理回路310に設けられて、ディスプレイ350に提示されてもよい。
【0082】
第4の実施形態に係る医用情報処理装置100では、X線CT装置200のX線CT画像生成機能F5により生成された被検体のX線CT画像に基づいて、MRI装置300の解析機能F1が、被検体の疾患情報の解析をする。さらに、MRI装置300の判断機能F2は、疾患情報の解析結果に基づいて、MRI装置300で被検体の撮像をするか否かの判断をする。そして、MRI装置300決定機能F3が、疾患情報と判断に基づいて、MRI装置300で用いられる被検体を撮像するための撮像法及び撮像条件の少なくとも一方を決定する。
【0083】
MRI装置300は、例えば、記憶回路、又はネットワークNを介して、X線CT装置200からX線CT画像を取得する。
【0084】
(その他)
他に、医用情報処理装置100の処理回路110を構成する解析機能F1、判断機能F2、及び決定機能F3のすべてが、X線CT装置200に設けられていてもよい。この場合、提示機能F4は、例えば、X線CT装置200の処理回路210に設けられて、ディスプレイ250に提示されてもよい。
【0085】
また、医用情報処理装置100の処理回路110を構成する解析機能F1が、X線CT装置200又はワークステーション装置400に設けられ、判断機能F2、及び決定機能F3が、MRI装置300に設けられていてもよい。この場合、提示機能F4は、例えば、MRI装置300の処理回路310に設けられて、ディスプレイ350に提示されてもよい。
【0086】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、X線CT装置による検査の後に、MRI装置による検査が選択される場合において、MRI装置による検査に適切な撮像法や撮像条件を提供することができる。
【0087】
なお、上記実施形態において、「プロセッサ」という文言は、例えば、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple
Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びFPGA)などの回路を意味するものとする。プロセッサは、記憶媒体に保存されたプログラムを読み出して実行することにより、各種機能を実現する。
【0088】
また、上記実施形態では処理回路の単一のプロセッサが各機能を実現する場合の例について示したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサが各機能を実現してもよい。また、プロセッサが複数設けられる場合、プログラムを記憶する記憶媒体は、プロセッサごとに個別に設けられてもよいし、1つの記憶媒体が全てのプロセッサの機能に対応するプログラムを一括して記憶してもよい。
【0089】
なお、実施形態の説明における解析機能F1、判断機能F2、決定機能F3、及び提示機能F4は、夫々、特許請求の範囲の記載などにおける、解析部、判断部、決定部、及び提示部の一例である。
【0090】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均などの範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0091】
100…医用情報処理装置 200…X線CT装置 300…MRI装置 110…処理回路 120…記憶回路 140…ネットワークインタフェース F1…解析機能 F2…判断機能 F3…決定機能 F4…提示機能 F5…X線CT画像生成機能