IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

<>
  • 特開-荷物積付装置 図1
  • 特開-荷物積付装置 図2
  • 特開-荷物積付装置 図3
  • 特開-荷物積付装置 図4
  • 特開-荷物積付装置 図5
  • 特開-荷物積付装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172971
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】荷物積付装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 57/03 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B65G57/03 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091059
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】野畑 茂広
【テーマコード(参考)】
3F029
【Fターム(参考)】
3F029AA05
3F029BA01
3F029BA11
3F029CA52
3F029CA57
3F029CA58
3F029CA64
3F029DA21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】積み付けられた荷物の荷崩れを抑制できる荷物積付装置を提供する。
【解決手段】荷物積付装置1は、荷物3のうちのソフトケース3Aを積み付ける場合、コンテナ2の開口部68に対し、ソフトケース3Aの取手3aが奥側に配置されるように、ソフトケース3Aを積み付ける。この場合、ソフトケース3A上の荷物3が、取手3a側へ荷崩れが発生しようとしても、コンテナ2の奥側の側壁部63、または既積付荷物によって支えられる。これにより積み付けられた荷物3の荷崩れを抑制することができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送された荷物をコンテナに積み付ける積付ユニットと、を備え、
前記荷物のうちのソフトケースを積み付ける場合、前記コンテナの開口部に対し、前記ソフトケースの取手が奥側に配置されるように、前記ソフトケースを積み付ける、荷物積付装置。
【請求項2】
前記荷物のうちのハードケースを積み付ける場合、前記開口部に対し、前記ハードケースの取手が手前側に配置されるように、前記ハードケースを積み付ける、請求項1に記載の荷物積付装置。
【請求項3】
前記搬送部において、前記積付ユニットが前記荷物を受け取る位置よりも、上流側に設けられ、前記荷物が前記ソフトケースかハードケースかを判定する判定部、を更に備える、請求項1記載の荷物積付装置。
【請求項4】
前記搬送部において、前記荷物が前記ソフトケースであるか、ハードケースであるかに基づいて、前記荷物の向きを調整する調整機構、を更に備える、請求項1記載の荷物積付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物積付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、荷物をコンテナに積み付ける荷積み装置が記載されている。特許文献1に記載の荷積み装置は、搬送部から流れてくる荷物を選択し、荷物の寸法等に応じて、積み付けロジックに基づいてコンテナに積み付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-074734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、航空機に搭載される荷物輸送用のコンテナには旅客の多種多様な荷物が積まれる。主となる荷物として、スーツケースが挙げられる。スーツケースには、樹脂またはアルミ製の硬質なハードケースと、布製のソフトタイプケースとがある。スーツケースの形状やサイズ、受託数量などは日々の航空便ごとにばらばらである。更に、ソフトタイプケースは材質の特性上、車輪側は硬く潰れにくいが、取手側は柔らかく潰れやすいため、積み付け時に荷物が傾斜して荷崩れしやすくなるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、積み付けられた荷物の荷崩れを抑制できる荷物積付装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る荷物積付装置は、荷物を搬送する搬送部と、搬送部により搬送された荷物をコンテナに積み付ける積付ユニットと、を備え、荷物のうちのソフトケースを積み付ける場合、コンテナの開口部に対し、ソフトケースの取手が奥側に配置されるように、ソフトケースを積み付ける。
【0007】
上述のように、ソフトケースは、取手側が潰れ易いため、ソフトケースに積まれた荷物は、取手側へ荷崩れを生じ易い。これに対し、荷物積付装置は、荷物のうちのソフトケースを積み付ける場合、コンテナの開口部に対し、ソフトケースの取手が奥側に配置されるように、ソフトケースを積み付ける。この場合、ソフトケース上の荷物が、取手側へ荷崩れが発生しようとしても、コンテナ奥側の側壁部、または既積付荷物によって支えられる。これにより、積み付けられた荷物の荷崩れを抑制することができる。
【0008】
荷物積付装置は、荷物のうちのハードケースを積み付ける場合、開口部に対し、ハードケースの取手が手前側に配置されるように、ハードケースを積み付けてよい。この場合、作業者がコンテナから荷物を取り出すとき、手前側に配置されたハードケースの取手を速やかに掴んで取り出すことができる。
【0009】
荷物積付装置は、搬送部において、積付ユニットが荷物を受け取る位置よりも、上流側に設けられ、荷物がソフトケースかハードケースかを判定する判定部、を更に備えてよい。この場合、積付ユニットが荷物を受け取る位置よりも上流側の位置にて、予め荷物の種類を把握しておくことができる。従って、積付ユニットが荷物を受け取る時には、予め把握しておいた情報に基づいて、スムーズに積み付け作業を行うことができる。
【0010】
荷物積付装置は、搬送部において、荷物がソフトケースであるか、ハードケースであるかに基づいて、荷物の向きを調整する調整機構、を更に備えてよい。この場合、積付ユニットが、コンテナに積み付けるときに荷物の向きを調整する必要がない。従って、積付ユニットは、スムーズに積み付け作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、積み付けられた荷物の荷崩れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る荷物積付装置を示す概略構成図である。
図2】コンテナの斜視図である。
図3】荷物積付装置の制御系構成図である。
図4】ソフトケース及びハードケースを示す斜視図である。
図5】ソフトケースの潰れ易さについて説明した概念図である。
図6】コンテナ内での荷物の積付態様を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る荷物積付装置を示す概略構成図である。図1において、本実施形態の荷物積付装置1は、例えば空港におけるバックヤードの積付場に設置されている。荷物積付装置1は、航空機に積載される複数のコンテナ2に搭乗者の手荷物3(荷物)を積み付ける装置である。ここでは、コンテナ2に積み付けられる手荷物3は、スーツケースである。
【0015】
コンテナ2は、トーイングトラクタ(図示せず)により牽引される複数(ここでは2つ)の台車4上に載置されている。台車4の前端及び後端には、連結器4aが設けられている。各台車4同士は、連結器4aにより連結されている。
【0016】
荷物積付装置1は、複数(ここでは前後2つ)のコンテナ2に対して同時に手荷物3を積み付ける。コンテナ2の一側面には、扉(図示せず)が設けられている。荷物積付装置1は、コンテナ2の扉が開いた状態で、コンテナ2の側方からコンテナ2内に手荷物3を積み付ける。なお、トーイングトラクタの前側に位置するコンテナ2を前コンテナ2Aとし、トーイングトラクタの後側に位置するコンテナ2を後コンテナ2Bとする。前コンテナ2A及び後コンテナ2Bは、横並びに配置されている。
【0017】
荷物積付装置1は、メインコンベア5と、仕分コンベア6と、退避コンベア7と、荷受コンベア8と、プッシャー9と、ターンテーブル10と、プッシャー11と、バッファコンベア12と、プッシャー13と、プッシャー14と、ストックコンベア40と、積付ロボット15とを備えている。このうち、メインコンベア5、仕分コンベア6、退避コンベア7、荷受コンベア8、プッシャー9、ターンテーブル10、プッシャー11、バッファコンベア12、プッシャー13、プッシャー14、及びストックコンベア40は、搬送部90を構成する。
【0018】
メインコンベア5、仕分コンベア6及び退避コンベア7は、各コンテナ2の配列方向(X軸方向)に配列されている。荷受コンベア8、ターンテーブル10及びバッファコンベア12は、X軸方向に垂直な方向(Y軸方向)にメインコンベア5よりもコンテナ2に近い位置において、X軸方向に配列されている。バッファコンベア12は、X軸方向において荷受コンベア8よりもコンテナ2に近い位置に配置されている。
【0019】
メインコンベア5は、空港側コンベア16から受け取った手荷物3をコンテナ2に向けて搬送する搬送部である。空港側コンベア16は、空港のターミナルビルに設置された搭乗手続きカウンタからバックヤードの積付場まで手荷物3を搬送する。メインコンベア5は、手荷物3を1つずつ順送りする。なお、メインコンベア5のうち、空港側コンベア16と隣接する箇所(以降、情報検知場所DP1と称する場合がある)の上方には、当該情報検知場所DP1上の手荷物3を撮像する上流カメラ23(荷物検知部)が配置されている。上流カメラ23の詳細については後述する。
【0020】
仕分コンベア6は、メインコンベア5よりも下流側に配置されている。仕分コンベア6は、後述する積付ロボット15によりコンテナ2に積み付けられない積付対象外の手荷物3、つまりスーツケース以外の手荷物3を退避コンベア7に向けて送り出す。退避コンベア7は、積付対象外の手荷物3を指定場所まで搬送する。
【0021】
荷受コンベア8は、仕分コンベア6よりも下流側において退避コンベア7に対して分岐して配置されている。荷受コンベア8には、積付ロボット15によりコンテナ2に積み付けられる積付対象の手荷物3(スーツケース)が載置される。プッシャー9は、積付対象の手荷物3を仕分コンベア6から荷受コンベア8に向けて押し付けて移動させる。
【0022】
ターンテーブル10は、荷受コンベア8よりも下流側に配置されている。ターンテーブル10には、積付対象の手荷物3が載置される。プッシャー11は、積付対象の手荷物3を荷受コンベア8からターンテーブル10に向けて押し付けて移動させる。プッシャー9,11は、メインコンベア5により搬送された手荷物3をターンテーブル10に移動させる。なお、ターンテーブル10(以降、情報検知場所DP2と称する場合がある)の上方には、当該ターンテーブル10上の手荷物3を撮像する下流カメラ24(荷物検知部)が配置されている。下流カメラ24の詳細については後述する。
【0023】
バッファコンベア12は、ターンテーブル10よりも下流側に配置されている。バッファコンベア12には、積付対象の手荷物3が載置される。バッファコンベア12のY軸方向のコンテナ2側端部には、位置決め用の壁部18が設けられている。プッシャー13は、積付対象の手荷物3をターンテーブル10からバッファコンベア12に向けて押し付けて移動させる。
【0024】
プッシャー14は、バッファコンベア12に載置された積付対象の手荷物3を壁部18に突き当てるように押し付ける。プッシャー14及び壁部18は、バッファコンベア12に載置された手荷物3をターンテーブル10とバッファコンベア12との配列方向(X軸方向)に垂直な方向(Y軸方向)に対して位置決めする。
【0025】
ストックコンベア40は、搬送された手荷物3を一時的にストックしておくためのコンベアである。すなわち、ストックコンベア40は、バッファコンベア12に到達した手荷物3が後から積み付けを行うべきものであった場合に、当該手荷物3を後から積み付けできるように一時的にストックする。ストックコンベア40は、メインコンベア5の上方に設けられている。ストックコンベア40は、一つ当たりの手荷物3を収納する収納部41を複数有する。複数の収納部41は、メインコンベア5が延びる方向、すなわちX軸方向に配列されている。なお、収納部41の列は、上下方向に複数段設けられてよい。収納部41は、Y軸方向の正側から積付ロボット15のアクセス(手荷物3のストック、及び取り出し)が可能である。
【0026】
積付ロボット15は、積付対象の手荷物3をコンテナ2に積み付ける積付ユニットである。積付ロボット15は、走行台車19と、この走行台車19に取り付けられたロボットアーム20とを有している。
【0027】
走行台車19は、各コンテナ2の配列方向(X軸方向)に平行に延びるレール21に沿って走行する。レール21は、各コンテナ2の正面側(扉側)に設置されている。つまり、レール21は、各コンテナ2とメインコンベア5との間に配置されている。
【0028】
ロボットアーム20は、3軸(XYZ軸)方向に移動可能であると共に、3軸回りに回動可能である。Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向に垂直な高さ方向である。ロボットアーム20の先端部には、バッファコンベア12に載置された積付対象の手荷物3を保持するロボットハンド22が設けられている。
【0029】
次に、図2を参照して、コンテナ2の詳細な構成について説明する。図2は、コンテナ2の斜視図である。コンテナ2は、側壁部61,62,63,64、下壁部66、及び上壁部67を有する。側壁部61,62は、X軸方向に互いに離間して対向した状態で、YZ平面に平行に広がる。側壁部61は、X軸方向の正側に配置され、側壁部62は、X軸方向の負側に配置される。なお、側壁部62の下端側の一部は傾斜壁部62aとなっている。側壁部63,64は、Y軸方向に互いに離間して対向した状態で、XZ平面に平行に広がる。側壁部63は、Y軸方向の正側に配置され、側壁部64は、Y軸方向の負側に配置される。下壁部66は、側壁部61,62,63,64の下端部においてXY平面に平行に広がる。上壁部67は、側壁部61,62,63,64の上端部においてXY平面に平行に広がる。
【0030】
コンテナ2は、開口部68を有する。開口部68は、積み付け時のロボットアーム20とコンテナ2との対向方向(Y軸方向)においてロボットアーム20側の端部(Y軸方向の負側の端部)に形成される。開口部68は、側壁部64に形成される。なお、開口部68は、X軸方向において、傾斜壁部62aの下端の位置から、側壁部61まで広がっている。開口部68は、Z軸方向において、下壁部66から上壁部67の位置まで広がっている。従って、側壁部61は、X軸方向における開口部68の正側の縁部68aを形成する。また、側壁部64は、X軸方向における開口部68の負側の縁部68bを形成する。
【0031】
図3は、荷物積付装置1の制御系構成図である。図3において、荷物積付装置1は、上流カメラ23と、下流カメラ24と、積付処理ユニット25と、制御盤26とを備えている。
【0032】
上流カメラ23は、メインコンベア5の情報検知場所DP1の上方に配置されている。上流カメラ23は、メインコンベア5に載置された手荷物3を撮像し、手荷物3の撮像画像を取得する。下流カメラ24は、ターンテーブル10の上方に配置されている。下流カメラ24は、情報検知場所DP2であるターンテーブル10に載置された手荷物3を撮像し、手荷物3の撮像画像を取得する。
【0033】
積付処理ユニット25は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。積付処理ユニット25は、上流カメラ23及び下流カメラ24により得られた手荷物3の撮像画像を取得し、所定の処理を実行し、制御盤26に検知データ及び制御信号を出力する。
【0034】
制御盤26は、バックヤードの積付場に設置されている。制御盤26は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。制御盤26は、積付処理ユニット25からの制御信号に応じて、プッシャー9,11、ターンテーブル10、プッシャー13,14及び積付ロボット15を制御する。
【0035】
積付処理ユニット25は、第1手荷物検知部28(判定部)と、第2手荷物検知部29と、積付演算部33とを有している。
【0036】
制御盤26は、移動制御部30と、回転制御部31と、位置制御部32と、積付制御部38とを有している。
【0037】
第1手荷物検知部28は、上流カメラ23により取得された手荷物3の撮像画像に基づいて、搬送部90により搬送される手荷物3に関する荷物情報を検知する。第1手荷物検知部28は、上流カメラ23と協働して手荷物3の荷物情報を検知する。第2手荷物検知部29は、下流カメラ24により取得された手荷物3の撮像画像に基づいて、搬送部90により搬送される手荷物3に関する荷物情報を検知する。第2手荷物検知部29は、下流カメラ24と協働して荷物情報を検知する。なお、荷物情報には、例えば、手荷物3の寸法、手荷物3の種別、手荷物3の材質、手荷物3の向きなどの情報が含まれる。ここで、第1手荷物検知部28及び第2手荷物検知部29は、どちらがどの荷物情報を検知してもよい。ただし、上流側の第1手荷物検知部28が手荷物3の寸法、手荷物3の種別、及び手荷物3の材質を検知することが好ましい。第2手荷物検知部29は積み付け直前における手荷物3の向きを検知してもよい。
【0038】
積付演算部33は、第2手荷物検知部29により検知された手荷物3の寸法などに基づいて、手荷物3を寸法などに応じて異なるコンテナ2に優先的に積み付けるような制御信号を求める。積付演算部33は、積付ロボット15を制御する制御部を構成する。
【0039】
移動制御部30は、第1手荷物検知部28の検知データに基づいて、手荷物3が積付対象(スーツケース)であると判断されたときに、プッシャー9,11により手荷物3をターンテーブル10に移動させるような制御信号を制御盤26に送出する。移動制御部30は、制御盤26と協働して、手荷物3がターンテーブル10に移動するようにプッシャー9,11を制御する。
【0040】
回転制御部31は、第2手荷物検知部29により検知された手荷物3の向きに基づいて、ターンテーブル10に載置された手荷物3の向きを調整する制御信号を制御盤26に送出する。このとき、回転制御部31は、調整に必要なターンテーブル10の回転方向及び回転量を求め、その回転方向及び回転量に応じてターンテーブル10を回転させるような制御信号を制御盤26に送出する。回転制御部31は、制御盤26と協働して、手荷物3の向きを調整するようにターンテーブル10を制御する。
【0041】
位置制御部32は、手荷物3の向きを調整するようにターンテーブル10が制御された後、プッシャー13,14によりバッファコンベア12において手荷物3をY軸方向に対して位置決めするような制御信号を制御盤26に送出する。位置制御部32は、制御盤26と協働して、手荷物3がY軸方向に対して位置決めされるようにプッシャー13,14を制御する。
【0042】
積付制御部38は、積付演算部33により得られた制御信号に応じて積付ロボット15を制御する。積付制御部38は、積付演算部33と協働して、所望の積み付け態様となるように、積付ロボット15を制御する制御部を構成する。積付制御部38は、積付ロボット15のロボットアーム20及び走行台車19(図1参照)のそれぞれに対して、適切なタイミングで制御信号を送信する。積付制御部38は、積付ロボット15の基本的な動作を定めた基本ロジックに基づいて、積付ロボット15を制御する。ここで、積付制御部38は、搬送順(バッファコンベア12に到達した手荷物3の順)で基本ロジックに従って手荷物3を積み付ける。これに対し、搬送順に積み付けを行うよりも、積付順を調整した方がよい場合がある。従って、積付制御部38は、基本ロジックのみならず、積付順を調整する調整ロジックを追加して、積付ロボット15を制御する。なお、基本ロジックや調整ロジックに基づく制御信号は、積付演算部33によって演算が行われる。以降の説明において、積付制御部38が積付ロボット15を制御すると言った場合は、積付演算部33が制御信号を演算し、積付制御部38が当該制御信号に基づいて積付ロボット15を制御することを意味する場合がある。
【0043】
以上のように構成された荷物積付装置1において、手荷物3をコンテナ2に積み付ける態様について具体的に説明する。
【0044】
まず、図4を参照して、手荷物3の種類について説明する。手荷物3には、図4(a)に示すようなソフトケース3Aと、図4(b)に示すようなハードケース3Bと、が含まれる。ソフトケース3Aは、布材料を壁面の主たる材料としているものである。ハードケース3Bは、樹脂材料またはアルミ材料を壁面の主たる材料としているものである。ソフトケース3Aの壁面は、ハードケース3Bに比べて柔らかい。ソフトケース3Aの車輪3b側の領域E1は、固く潰れにくい。その一方、ソフトケース3Aの取手3a側の領域E2は、柔らかく潰れやすい。従って、図5に示すように、ソフトケース3Aの上に他の手荷物3を積み付けると、車輪3b側の領域E1側の潰れ量よりも、取手3a側の領域E2の潰れ量が大きくなる。その結果、ソフトケース3Aの上面は、車輪3b側から取手3a側へ向けて下方へ傾斜するように潰れる。そのため、ソフトケース3Aの上側に乗せられた手荷物3は、取手3a側へ滑り落ちやすくなる。
【0045】
従って、図6に示すように、荷物積付装置100は、手荷物3のうちのソフトケース3Aを積み付ける場合、コンテナ2の開口部68に対し、ソフトケース3Aの取手3aが奥側に配置されるように、ソフトケース3Aを積み付ける。なお、コンテナ2の奥側とは、開口部68と対向する位置に配置される側壁部63側である。このような配置により、積まれた各ソフトケース3Aの取手3aは、奥側の側壁部63と近接した状態で対向するように配置される。そのため、積まれたソフトケース3Aが取手3a側から落下する場合も、ただちに奥側の側壁部63で支えられる。荷物積付装置100は、手荷物3のうちのハードケース3Bを積み付ける場合、コンテナ2の開口部68に対し、ハードケース3Bの取手3aが手前側に配置されるように、ハードケース3Bを積み付ける。そのため、作業者は、コンテナ2から手荷物3を取り出すときに、ハードケース3Bの取手3aを速やかに持つことができる。
【0046】
上述のようにソフトケース3A及びハードケース3Bを積み付けるための詳細な構成について説明する。荷物積付装置100は、上述のような積み付けを行うために、判定部110と、調整機構120と、を更に備える。
【0047】
判定部110は、搬送部90において、積付ロボット15が手荷物3を受け取る位置(バッファコンベア12)よりも、上流側に設けられ、手荷物3がソフトケース3Aかハードケース3Bかを判定する。判定部110は、図1に示すメインコンベア5の情報検知場所DP1と、上流カメラ23と、図3に示す第1手荷物検知部28と、を備える。判定部110の第1手荷物検知部28は、上流カメラ23によって情報検知場所DP1の手荷物3の画像を取得したら、当該画像に基づいて、手荷物3がソフトケース3Aかハードケース3Bかを判定する。判定部110が、情報検知場所DP1に存在する手荷物3がソフトケース3Aであることを判定すると、荷物積付装置100は、当該手荷物3が搬送部90の下流側へ進むときに、当該手荷物3に対してソフトケース3Aに対応する動作を行う。判定部110が、情報検知場所DP1に存在する手荷物3がハードケース3Bであることを判定すると、荷物積付装置100は、当該手荷物3が搬送部90の下流側へ進むときに、当該手荷物3に対してハードケース3Bに対応する動作を行う。
【0048】
調整機構120は、搬送部90において、手荷物3がソフトケース3Aであるか、ハードケース3Bであるかに基づいて、手荷物3の向きを調整する機構である。調整機構120は、図1に示すターンテーブル10と、下流カメラ24と、図3に示す第2手荷物検知部29と、回転制御部31と、を備える。第2手荷物検知部29は、第1手荷物検知部28の検出結果に基づいて、ターンテーブル10の手荷物3がソフトケース3Aであるか、ハードケース3Bであるかを把握する。また、第2手荷物検知部29は、下流カメラ24の画像に基づいて、ターンテーブル10の手荷物3の向きを把握する。回転制御部31は、ターンテーブル10の手荷物3の種類及び向きに基づいて、ターンテーブル10の回転方向及び回転量を制御する。
【0049】
手荷物3がソフトケース3Aである場合、回転制御部31は、取手3aが積付ロボット15とは反対側を向くように、ターンテーブル10を回転する。これにより、積付ロボット15がソフトケース3Aを把持し、コンテナ2に積み付けたら、ソフトケース3Aは、取手3a側が奥側を向いた状態となる。手荷物3がハードケース3Bである場合、回転制御部31は、取手3aが積付ロボット15側を向くように、ターンテーブル10を回転する。これにより、積付ロボット15がハードケース3Bを把持し、コンテナ2に積み付けたら、ハードケース3Bは、取手3a側が手前側を向いた状態となる。
【0050】
なお、積付ロボット15は、コンテナ2の手前側にハードケース3Bが積み付けられることで、奥側にソフトケース3Aを積み付けられなくなる場合、新たに搬送されたハードケース3Bを収納部41に一時的に配置し、ソフトケース3Aを先にコンテナ2に積み付ける。
【0051】
次に、本実施形態に係る荷物積付装置1の作用・効果について説明する。
【0052】
図5で説明したように、ソフトケース3Aは、取手3a側が潰れ易いため、ソフトケース3Aに積まれた荷物3は、取手3a側へ荷崩れを生じ易い。これに対し、荷物積付装置1は、荷物3のうちのソフトケース3Aを積み付ける場合、コンテナ2の開口部68に対し、ソフトケース3Aの取手3aが奥側に配置されるように、ソフトケース3Aを積み付ける。この場合、ソフトケース3A上の荷物3が、取手3a側へ荷崩れが発生しようとしても、コンテナ2の奥側の側壁部63、または既積付荷物によって支えられる。これにより、積み付けられた荷物3の荷崩れを抑制することができる。
【0053】
荷物積付装置1は、荷物3のうちのハードケース3Bを積み付ける場合、コンテナ2の開口部68に対し、ハードケース3Bの取手3aが手前側に配置されるように、ハードケース3Bを積み付けてよい。この場合、作業者がコンテナ2から荷物3を取り出すとき、手前側に配置されたハードケース3Bの取手3aを速やかに掴んで取り出すことができる。
【0054】
荷物積付装置1は、搬送部90において、積付ロボット15が荷物3を受け取る位置(ターンテーブル10)よりも、上流側に設けられ、荷物3がソフトケース3Aかハードケース3Bかを判定する判定部110、を更に備えてよい。この場合、積付ロボット15が荷物3を受け取る位置よりも上流側の位置にて、予め荷物3の種類を把握しておくことができる。従って、積付ロボット15が荷物3を受け取る時には、予め把握しておいた情報に基づいて、スムーズに積み付け作業を行うことができる。
【0055】
荷物積付装置1は、搬送部90において、荷物3がソフトケース3Aであるか、ハードケース3Bであるかに基づいて、荷物3の向きを調整する調整機構120、を更に備えてよい。この場合、積付ロボット15が、コンテナ2に積み付けるときに荷物3の向きを調整する必要がない。従って、積付ロボット15は、スムーズに積み付け作業を行うことができる。
【0056】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば、上記実施形態では、横並びに配置された2つのコンテナ2に手荷物3が積み付けられているが、特にその形態には限られず、横並びに配置された3つ以上のコンテナ2に手荷物3を積み付けてもよい。また、搬送部90の配置も適宜変更されてよい。
【0057】
上記実施形態では、コンテナ2の手前側にハードケース3Bが積み付けられたが、手前側にソフトケース3Aが積み付けられ、奥側にハードケース3Bが積み付けられてもよい。また、手前側と奥側に関係なく、ソフトケース3Aとハードケース3Bとをランダムに積み付けてもよい。
【0058】
上記実施形態では、コンテナ2の開口部68に対し、ハードケース3Bの取手3aが手前側に配置されたが、ハードケース3Bの取手3aが奥側に配置されるように、ハードケース3Bを積み付けてもよい。
【0059】
上記実施形態では、判定部110および調整機構120を備えていたが、判定部110を備えていなくてもよく、調整機構120を備えていなくともよく、あるいは判定部110および調整機構120を備えていなくてもよい。
【0060】
[形態1]
荷物を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送された荷物をコンテナに積み付ける積付ユニットと、を備え、
前記荷物のうちのソフトケースを積み付ける場合、前記コンテナの開口部に対し、前記ソフトケースの取手が奥側に配置されるように、前記ソフトケースを積み付ける、荷物積付装置。
[形態2]
前記荷物のうちのハードケースを積み付ける場合、前記開口部に対し、前記ハードケースの取手が手前側に配置されるように、前記ハードケースを積み付ける、形態1に記載の荷物積付装置。
[形態3]
前記搬送部において、前記積付ユニットが前記荷物を受け取る位置よりも、上流側に設けられ、前記荷物が前記ソフトケースかハードケースかを判定する判定部、を更に備える、形態1又は2に記載の荷物積付装置。
[形態4]
前記搬送部において、前記荷物が前記ソフトケースであるか、ハードケースであるかに基づいて、前記荷物の向きを調整する調整機構、を更に備える、形態1~3の何れか一項に記載の荷物積付装置。
【符号の説明】
【0061】
1…荷物積付装置、2…コンテナ、3…手荷物(荷物)、3A…ソフトケース、3a…取手、3B…ハードケース、15…積付ロボット(積付ユニット)、68…開口部、90…搬送部、110…判定部、120…調整機構。
図1
図2
図3
図4
図5
図6