IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 清水建設株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-空調椅子 図1
  • 特開-空調椅子 図2
  • 特開-空調椅子 図3
  • 特開-空調椅子 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172972
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】空調椅子
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/068 20060101AFI20241205BHJP
   A47C 7/74 20060101ALI20241205BHJP
   A47C 27/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F24F13/068 C
F24F13/068 A
A47C7/74 C
A47C27/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091060
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 恒佑
【テーマコード(参考)】
3B084
3B096
3L080
【Fターム(参考)】
3B084JA07
3B084JG02
3B084JG06
3B096AC12
3L080BA02
3L080BB04
(57)【要約】
【課題】移動が容易で、温調機能及び換気機能を持たせることができる空調椅子を提供する。
【解決手段】床3の全面から空調空気を供給して空調空間E2を形成する空調システム1の床3に配置される空調椅子10であって、通気性を有する着座可能な座面12が形成された椅子本体11を備え、椅子本体11は、前記床から吹き出す空調空気を取り込む吸入口13が床3に向けて形成されるとともに、座面12に空調空気を吹き出す吹出口14が形成され、吸入口13から吹出口へ空調空気を供給する送風ファン15が設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床の全面から空調空気を供給して空調空間を形成する空調システムの前記床に配置される空調椅子であって、
通気性を有する着座可能な座面が形成された椅子本体を備え、
前記椅子本体は、前記床から吹き出す空調空気を取り込む吸入口が前記床に向けて形成されるとともに、前記座面に空調空気を吹き出す吹出口が形成され、前記吸入口から前記吹出口へ空調空気を供給する送風ファンが設けられることを特徴とする空調椅子。
【請求項2】
前記送風ファンの後段に粒子除去用のフィルタを設けたことを特徴とする請求項1に記載の空調椅子。
【請求項3】
前記送風ファンは、軸流ファン又はシロッコファンであることを特徴とする請求項1に記載の空調椅子。
【請求項4】
前記椅子本体の上部には、背もたれが設けられることを特徴とする請求項1に記載の空調椅子。
【請求項5】
前記椅子本体の底部には、キャスターが設けられて床面上を移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の空調椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動が容易で、温調機能及び換気機能を持たせることができる空調椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
個人で空調を行うことのできるパーソナル空調は以前よりさまざまなものが提案されている。パーソナル空調には、温熱環境を整えるための温調機能と、外気を取り入れて空気環境を良好に調整する換気機能との2つの機能が求められる。
【0003】
このパーソナル空調の形態の一つに、利用者の椅子に空調機能を付加した空調椅子がある。オフィスを対象とした空調椅子については、主に2つのタイプが提案されている。1つは一般的なオフィスチェアに送風機能や暖房機能を付加し、より家具に近い家具付帯型のもの(例えば、特許文献1参照)と、他の1つは、建物に椅子が接続され、建物と一体化した1つの設備として構築された建物一体型のもの(例えば、特許文献2参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6798880号公報
【特許文献2】特開2021-137086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の家具付帯型の空調椅子は、移動などが容易であるとともに空調椅子の導入が容易であり、レイアウト変更時の取り回しにも優れるが、あくまで室内の空気を暖め、または送風するものであり、新鮮外気の供給を行う換気機能は有していない。さらに、室温よりも低温の冷気を生成する機能を建物から切り離して持たせることは困難であり、空調椅子の小型化を阻害することにもなる。
【0006】
一方、建物一体型の空調椅子は、建物自体と接続されているため、建物側が備えた空調システムから供給される新鮮外気を含んだ空気を供給できるが、建物と一体にする必要性があることから、空調椅子の導入や空調椅子の移動・据え付けなどに手間とコストがかかる。さらに、空調椅子の設置可能な場所もある程度限定されることになる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、移動が容易で、温調機能及び換気機能を持たせることができる空調椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、床の全面から空調空気を供給して空調空間を形成する空調システムの前記床に配置される空調椅子であって、通気性を有する着座可能な座面が形成された椅子本体を備え、前記椅子本体は、前記床から吹き出す空調空気を取り込む吸入口が前記床に向けて形成されるとともに、前記座面に空調空気を吹き出す吹出口が形成され、前記吸入口から前記吹出口へ空調空気を供給する送風ファンが設けられることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記の発明において、前記送風ファンの後段に粒子除去用のフィルタを設けたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記の発明において、前記送風ファンは、軸流ファン又はシロッコファンであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記椅子本体の上部には、背もたれが設けられることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、前記椅子本体の底部には、キャスターが設けられて床面上を移動可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、移動が容易で、温調機能及び換気機能を持たせることができる空調椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、空調システムが形成する空調空間に本実施の形態である空調椅子が配置された状態を示す図である。
図2図2は、利用者が立位の場合に利用される空調椅子の配置状態を示す図である。
図3図3は、空調椅子に粒子除去用のフィルタを設けた変形例を示す図である。
図4図4は、空調椅子に通気性のある背もたれを設けた変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。図1は、空調システム1が形成する空調空間E2に本実施の形態である空調椅子10が配置された状態を示す図である。図1に示すように、空調システム1は、床3の全面から空調空気を供給して空調空間E2を形成する。
【0016】
空調システム1は、空調機2を有する。空調機2は、建物の外部から外気を取り入れ、床3の下部に形成された空調空気供給空間E1に空調空気を吹き出して供給する。空調空気供給空間E1に供給された空調空気は、通気性を有する床3を介して空調空間E2に供給される。ここで、床3は、通気性のある部材で形成され、床3の全面から空調空間E2に空調空気が供給される。すなわち、空調システム1は、全面床吹出空調を行う。空調空間E2に供給された空調空気は、例えば天井に備え付けられた排気ファン4により外部に排出される。なお、空調機2は、新鮮外気のみならず、空調空間E2内の空調空気を再度空調空気として循環する機能をもたせてもよい。これにより、空調システム1は、新鮮外気を含む冷房または暖房された空調空気が空調空間E2内の各所に供給されることになる。
【0017】
空調空間E2に配置された空調椅子10は、通気性を有する着座可能な座面12が形成された椅子本体11を備え、椅子本体11は、底部に床3から吹き出す空調空気を取り込む吸入口13が床3に向けて形成されるとともに、上部に空調空気を吹き出す吹出口14が形成された座面12を有し、該空気室内に吸入口13から筒状の空気室を介して座面12へ空調空気を供給する送風ファン15が設けられる。これにより、空調空気は、空気室に設けられた送風ファン15により、吸入口13で吸引され、座面12から空調空気が吹き出される。
【0018】
図1に示した空調椅子10は、背もたれを持たない、いわゆるスツール型である。また、机5は、天板6が人間の椅坐位に適した高さとなっている。この空調椅子10に座った利用者100に対して座面12から空調空気が供給され、空調空気が人体の発熱による上昇流(プルーム)に乗り、効率よく利用者100の呼吸域に温調された新鮮空気が給気される。
【0019】
なお、スツール型の空調椅子であるので、移動が容易であるとともに、図2に示すように、天板26が人間の立位に適した高さをもつ机25の場合、天板26の下にも容易に入る。このため、立位の利用者100は、空調椅子10に座らずに、空調椅子10を空調装置として利用することができる。なお、空調椅子10には、さらに床3の面上での移動を容易にするため、椅子本体11の底部にキャスター16が設けれている。
【0020】
ここで、図3に示すように、送風ファン15の後段に粒子除去用のフィルタ17を設けてもよい。フィルタ17は、カーペットなどを含む床3の上で巻き上げられた堆積塵の他、臭気物質、化学物質、ウィルスなどを除去することができる。
【0021】
また、図4に示すように、空調椅子10に通気性がある背もたれ20を設け、座面12のみならず、背もたれ20からも空調空気を供給するようにしてもよい。
【0022】
本実施の形態の空調椅子10は、新鮮空気を取り込む換気機能を有して全面床吹出型の空調システムを前提として、空調空間E2内での移動が容易で、温調機能及び換気機能を持たせることができる。
【0023】
なお、上記の空調椅子10では、送風ファン15を軸流ファンとして説明していたが、これに限らず、静圧が高いシロッコファンを送風ファン15としてもよい。
【0024】
また、上記の実施の形態及び変形例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 空調システム
2 空調機
3 床
4 排気ファン
5,25 机
6,26 天板
10 空調椅子
11 椅子本体
12 座面
13 吸入口
14 吹出口
15 送風ファン
16 キャスター
17 フィルタ
100 利用者
E1 空調空気供給空間
E2 空調空間
図1
図2
図3
図4