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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172977
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】組み立て体
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091066
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼園 康司
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353BB01
5E353JJ41
5E353JJ48
5E353JJ56
5E353QQ01
(57)【要約】
【課題】簡便に製造することができる組み立て体を提供する。
【解決手段】組み立て体は、第1部材と、第2部材と、接着剤とを備える。第1部材は、セラミックスからなる。第2部材は、金属からなる。接着剤は、第1部材と第2部材との間に介在し、第1部材と第2部材とを接着する。また、接着剤は、光硬化性接着剤を含有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックスからなる第1部材と、
金属からなる第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間に介在し、前記第1部材と前記第2部材とを接着する接着剤と、
を備え、
前記接着剤は、光硬化性接着剤を含有する
組み立て体。
【請求項2】
前記接着剤は、熱硬化性接着剤を含有する
請求項1に記載の組み立て体。
【請求項3】
前記接着剤は、金属フィラーを含有する
請求項1または2に記載の組み立て体。
【請求項4】
前記金属フィラーは、金を含有する
請求項3に記載の組み立て体。
【請求項5】
前記金属フィラーは、銀を含有する
請求項3に記載の組み立て体。
【請求項6】
前記第1部材は、半導電性セラミックスからなる
請求項1または2に記載の組み立て体。
【請求項7】
前記第1部材は、第1貫通孔を有し、
前記第2部材は、第2貫通孔を有し、
前記第1貫通孔および前記第2貫通孔は、互いに連通している
請求項1または2に記載の組み立て体。
【請求項8】
真空吸着ノズル組み立て体として用いられる、
請求項7に記載の組み立て体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、組み立て体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チップコンデンサやチップ抵抗器などのチップ状の電子部品を回路基板に実装するため、セラミックス製のノズルと金属製のフランジとで構成される吸着ノズル組み立て体が用いられている。かかる組み立て体は、ノズルとフランジとが熱硬化性接着剤で接着されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5188455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、上記の従来技術では、接着工程において長時間の熱プロセスを必要とするため、製造工程に多くの時間および手間がかかっていた。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、簡便に製造することができる組み立て体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の組み立て体は、第1部材と、第2部材と、接着剤とを備える。第1部材は、セラミックスからなる。第2部材は、金属からなる。接着剤は、前記第1部材と前記第2部材との間に介在し、前記第1部材と前記第2部材とを接着する。また、前記接着剤は、光硬化性接着剤を含有する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、簡便に製造することができる組み立て体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る組み立て体の構成の一例を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る組み立て体の構成の一例を示す断面図である。
図3図3は、実施形態に係る組み立て体の構成の別の一例を示す拡大断面図である。
図4図4は、別の実施形態に係る組み立て体の構成の一例を示す斜視図である。
図5図5は、別の実施形態に係る組み立て体の構成の一例を示す断面図である。
図6図6は、別の実施形態に係る組み立て体の構成の一例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する組み立て体の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの開示が限定されるものではない。また、実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0010】
従来、チップコンデンサやチップ抵抗器などのチップ状の電子部品を回路基板に実装するため、セラミックス製のノズルと金属製のフランジとで構成される吸着ノズル組み立て体が用いられている。かかる組み立て体は、ノズルおよびフランジが光硬化性接着剤ではなく熱硬化性接着剤で接着されている。
【0011】
なぜなら、ノズルおよびフランジをそれぞれ構成するセラミックスおよび金属は、光を透過させない性質を有するため、光硬化性接着剤で接着しようとした場合、接着力が十分に発揮されない恐れがあると考えられていたからである。
【0012】
一方で、ノズルおよびフランジを熱硬化性接着剤で接着した場合、接着工程において長時間の熱プロセスを必要とするため、製造工程に多くの時間がかかっていた。さらに、この長時間の熱プロセス中にノズルとフランジとの間で位置ズレが発生することを防ぐため、多くの手間がかかっていた。
【0013】
そこで、上述の問題点を克服し、組み立て体を簡便に製造することができる技術の実現が期待されている。
【0014】
<実施形態>
図1は、実施形態に係る組み立て体1の構成の一例を示す斜視図であり、図2は、実施形態に係る組み立て体1の構成の一例を示す断面図である。
【0015】
本開示の組み立て体1は、たとえば、真空吸着ノズル組み立て体として用いられる。組み立て体1は、たとえば、図示しない電子部品を先端の吸着面14で真空吸引することによって、かかる電子部品を保持する。
【0016】
図2などに示すように、実施形態に係る組み立て体1は、第1部材10と、第2部材20と、接着剤30とを備えてもよい。
【0017】
第1部材10は、たとえば、セラミックスからなってもよい。第1部材10は、たとえば、絶縁性と導電性との中間の電気伝導性(以下、「半導電性」とも呼称する。)を有してもよい。第1部材10は、たとえば、導電性の金属酸化物粒子を含有するセラミックスで構成され、抵抗値が10(Ω・cm)~10(Ω・cm)の範囲であってもよい。
【0018】
第1部材10の主成分は、たとえば、ジルコニア(ZrO)、アルミナ(Al)、ジルコニア-アルミナ複合物または炭化珪素(SiC)であってもよい。これにより、第1部材10に高い機械的特性を付与することができる。
【0019】
なお、本開示における「主成分」とは、構成する成分の全体を100質量%とした場合、55質量%以上のことである。なお、「ジルコニア-アルミナ複合物が主成分である」とは、ジルコニアとアルミナとの含有量の合計が55質量%以上であるもののことであり、ジルコニアの含有量が多いもののみならず、アルミナの含有量が多いものであってもよい。
【0020】
また、第1部材10に含まれる金属酸化物粒子の主成分は、酸化鉄(Fe)、酸化クロム(Cr)または酸化チタン(TiO)であってもよい。これにより、高い機械的特性を有する第1部材10に半導電性を付与することができる。
【0021】
たとえば、第1部材10が導電性材料で構成されている場合、電子部品から過度に静電気が除電されることから、かかる静電気に起因してスパークが発生する恐れがある。一方で、第1部材10が絶縁性材料で構成されている場合、電子部品から静電気をまったく除電することができない。
【0022】
しかしながら、実施形態に係る組み立て体1では、第1部材10に半導電性のセラミックスが用いられることから、電子部品を吸着してから回路基板にセットするまでの間に、吸着された電子部品を適度に除電することができる。
【0023】
第1部材10は、たとえば、先細り形状を有し、電子部品を吸着する側から順に、先端部11と、錐状部12と、凸部13とを有する。
【0024】
第1部材10は、先端部11の吸着面14から先端部11、錐状部12および凸部13にわたって形成される第1貫通孔15を有する。吸着面14は、先端部11に設けられ、吸着する電子部品と接する面である。凸部13は、錐状部12の基端側から突出する。
【0025】
第2部材20は、たとえば、金属からなってもよい。第2部材20は、たとえば、ステンレスまたはアルミニウム合金などで構成されてもよい。
【0026】
第2部材20は、たとえば、円柱部21と、かかる円柱部21よりも直径が大きい円板部22とが重なり合った構成を有する。また、第2部材20は、凹部23を有する。かかる凹部23は、円板部22における円柱部21とは反対側の面に設けられ、第1部材10の凸部13を収容可能である。第2部材20は、円柱部21の上面から凹部23の底面にわたって形成される第2貫通孔24を有する。
【0027】
組み立て体1は、たとえば、第1部材10の凸部13と第2部材20の凹部23とが嵌め合わされることによって一体化される。そして、組み立て体1では、第1部材10が有する第1貫通孔15と、第2部材20が有する第2貫通孔24とが連通することにより、電子部品などを吸着するための吸引孔として機能する。
【0028】
接着剤30は、第1部材10と第2部材20との間に介在し、第1部材10と第2部材20とを接着する。
【0029】
ここで、実施形態では、接着剤30が、光硬化性を有する接着剤(以下、「光硬化性接着剤」とも呼称する。)を含有してもよい。なお、本開示における「光硬化性」とは、赤外線、可視光線、紫外線、電子線などの活性エネルギー線の照射によって硬化反応が進む性質のことである。また、光硬化性接着剤は、光重合開始剤を含有するものとも言える。なお、以下において、硬化前の接着剤も、硬化後の接着剤も光硬化性接着剤と記載する場合がある。
【0030】
これにより、接着剤30の硬化反応がすばやく進むため、組み立て体1の製造工程における接着工程の時間を短くすることができる。したがって、実施形態によれば、組み立て体1を簡便に製造することができる。
【0031】
実施形態に係る組み立て体1の接着工程は、たとえば、第1部材10および第2部材20の少なくとも一方に接着剤30を塗布し、第1部材10および第2部材20を貼り合わせた上で、第1部材10および第2部材20の側方から光L(図3参照)を照射してもよい。
【0032】
これにより、セラミックス製の第1部材10および金属製の第2部材20を透過しない波長の光Lであっても、接着剤30に光Lを照射することができるため、少なくとも第1部材10および第2部材20の相対位置が変化しない程度には固定できる。
【0033】
また、実施形態では、接着剤30に含まれる光硬化性接着剤が、嫌気硬化性を有していてもよい。これにより、接着剤30において光Lが届きにくい部位でも、硬化反応を起こすことができるため、組み立て体1の機械的特性を向上させることができる。
【0034】
また、実施形態では、接着剤30に含まれる光硬化性接着剤が、連鎖重合性を有していてもよい。これにより、接着剤30において光Lが届きにくい部位でも、硬化反応を起こすことができるため、組み立て体1の機械的特性を向上させることができる。
【0035】
また、実施形態では、接着剤30に含まれる光硬化性接着剤が、アクリル系モノマーやオリゴマーを主成分とする接着剤であってもよい。これにより、接着剤30が硬化する際の体積減少、いわゆる肉痩せを低減することができる。
【0036】
また、実施形態では、接着剤30が、熱硬化性を有する接着剤(以下、「熱硬化性接着剤」とも呼称する。)を含有してもよい。なお、本開示における「熱硬化性」とは、加熱によって硬化反応が進む性質のことである。
【0037】
これにより、側方からの光Lが届きにくい組み立て体1の中央側においても、接着工程の際に熱を加えることで十分な接着力が得られるため、組み立て体1の機械的特性をさらに向上させることができる。なお、熱硬化性接着剤としては、ビスフェノール型A型エポキシ樹脂を用いるとよいが、これに限らず、ビスフェノールF,フェノールノボラックとエピクロルヒドリンとの反応で得られたポリグリシジルエーテル,ビニルシクロヘキシンジオキシド,ジシクロペンタジエンオキシド等の、通常、エポキシ樹脂の希釈剤として用いるものであればよい。
【0038】
この場合、組み立て体1の接着工程は、たとえば、光硬化性接着剤と熱硬化性接着剤とを混ぜた接着剤30を第1部材10および第2部材20の少なくとも一方に塗布し、第1部材10および第2部材20を貼り合わせた上で、第1部材10および第2部材20の側方から光Lを照射して、第1部材10および第2部材20を仮止めする。
【0039】
そして、仮止めされた第1部材10および第2部材20を熱処理炉に入れるなどして、接着剤30に熱を加え、第1部材10および第2部材20を本止めしてもよい。
【0040】
またこの場合、組み立て体1の接着工程は、たとえば、光硬化性接着剤を接着部の外周側に塗布するとともに、熱硬化性接着剤を接着部の中央側に塗布し、第1部材10および第2部材20を貼り合わせた上で、第1部材10および第2部材20の側方から光Lを照射して、第1部材10および第2部材20を仮止めしてもよい。
【0041】
そして、仮止めされた第1部材10および第2部材20を熱処理炉に入れるなどして、接着剤30に熱を加え、第1部材10および第2部材20を本止めしてもよい。
【0042】
また、実施形態では、図3に示すように、接着剤30が、金属フィラー31を含有してもよい。図3は、実施形態に係る組み立て体1の構成の別の一例を示す拡大断面図である。
【0043】
接着剤30に金属フィラー31を含有させることで、図3に示すように、側方から照射された光Lが金属フィラー31で反射・散乱するため、組み立て体1の中央側にも光Lを到達させることができる。
【0044】
したがって、実施形態によれば、組み立て体1の中央側においても十分な接着力が得られるため、組み立て体1の機械的特性をさらに向上させることができる。
【0045】
また、実施形態では、接着剤30が金属フィラー31を含有することで、接着剤30に導電性が付与される。これにより、接着剤30を介して電子部品から除電された静電気を第2部材20に逃がすことができるため、電子部品から静電気を安定して除電することができる。
【0046】
なお、本開示の金属フィラー31は、フィラー全体が金属で構成されてもよいし、フィラーの表面が金属で構成されるとともに、内部が金属ではない材料、たとえば樹脂などで構成されてもよい。金属フィラー31は、例えば、直径が5μm~45μmの範囲の球状のものを用いてもよい。金属フィラー31の直径は、15μm~30μmの範囲であってもよい。
【0047】
いずれの構成であっても、光Lに対する高い反射率を得ることができるとともに、接着剤30に導電性を付与することができる。
【0048】
また、実施形態では、金属フィラー31が、金(Au)を含有してもよい。これにより、光Lが紫外光である場合、金属フィラー31が光Lに対する高い反射率を得ることができる。したがって、実施形態によれば、組み立て体1の中央側に多くの光Lを到達させることができる。
【0049】
また、実施形態では、金属フィラー31が金を含有することで、金属フィラー31の展延性を向上させることができる。したがって、実施形態によれば、接着工程などで金属フィラー31が容易につぶれるため、照射された光Lをさらに反射・散乱させることができる。
【0050】
また、実施形態では、金属フィラー31が金を含有することで、金属フィラー31の化学的安定性が優れる。したがって、実施形態によれば、組み立て体1の信頼性を向上させることができる。
【0051】
また、実施形態では、金属フィラー31が、銀(Ag)を含有してもよい。これにより、光Lが紫外光である場合、金属フィラー31が光Lに対する高い反射率を得ることができる。したがって、実施形態によれば、組み立て体1の中央側に多くの光Lを到達させることができる。
【0052】
なお、金属フィラー31に含まれる金属は、金または銀に限られず、光Lに対する反射率が高い金属であればどのような金属であってもよい。たとえば、光Lが紫外光である場合、かかる紫外光に対する反射率が高いニッケル(Ni)またはクロム(Cr)などが用いられてもよい。
【0053】
実施形態に係る組み立て体は、ここまで説明した真空吸着ノズル組み立て体として用いられる組み立て体1に限られない。図4は、別の実施形態に係る組み立て体1Aの構成の一例を示す斜視図である。図4に示すように、別の実施形態に係る組み立て体1Aは、ピンセット組み立て体として用いられる組み立て体であってもよい。
【0054】
図4の例に係る組み立て体1Aは、一対の把持部41と、脚部42と、一対の接着剤43とを備えてもよい。
【0055】
脚部42は、第2部材の一例である。脚部42は、基端部42aから一対の先端部42bに渡って板状体が二股状に延伸しており、かかる一対の先端部42bが互いに接離するように開閉操作される。
【0056】
脚部42は、たとえば、金属からなってもよい。脚部42は、たとえば、ステンレスまたはアルミニウム合金などで構成されてもよい。
【0057】
把持部41は、第1部材の一例である。一対の把持部41は、脚部42における一対の先端部42bにそれぞれ取り付けられ、脚部42を閉じることにより物品を把持する。把持部41は、接着剤43を用いて脚部42の先端部42bに取り付けられる取付部41aと、把持される物品と接触する接触部41bとを有する。
【0058】
把持部41は、たとえば、セラミックスからなってもよい。把持部41は、たとえば、半導電性を有してもよい。把持部41は、たとえば、上述の第1部材10と同様の材料で構成されてもよい。
【0059】
一対の接着剤43は、脚部42と一対の把持部41との間にそれぞれ介在し、脚部42と一対の把持部41とを接着する。接着剤43は、たとえば、上述の接着剤30と同様の材料で構成されてもよい。
【0060】
ここで、図4の例では、接着剤43が、光硬化性接着剤を含有してもよい。これにより、接着剤43の硬化反応がすばやく進むため、組み立て体1Aの製造工程における接着工程の時間を短くすることができる。したがって、図4の例によれば、組み立て体1Aを簡便に製造することができる。
【0061】
また、図4の例では、接着剤43が、熱硬化性接着剤を含有してもよい。これにより、光が届きにくい接着剤43の中央部においても、接着工程の際に熱を加えることで十分な接着力が得られるため、組み立て体1Aの機械的特性をさらに向上させることができる。
【0062】
また、図4の例では、接着剤43が、金属フィラーを含有してもよい。これにより、組み立て体1Aに照射された光が金属フィラーで反射・散乱するため、接着剤43の中央部にも光を到達させることができる。
【0063】
したがって、図4の例によれば、組み立て体1Aの中央側においても十分な接着力が得られるため、組み立て体1Aの機械的特性をさらに向上させることができる。
【0064】
また、図4の例では、接着剤43が金属フィラーを含有することで、接着剤43に導電性が付与される。これにより、把持部41で把持した電子部品から除電された静電気を、接着剤43を介して脚部42に逃がすことができるため、電子部品から静電気を安定して除電することができる。
【0065】
図5は、別の実施形態に係る組み立て体1Bの構成の一例を示す断面図である。図5に示す組み立て体1Bは、たとえば、圧電部材組み立て体として用いられる組み立て体であり、圧電ブザー、超音波モータおよび各種センサーなどに利用されるものであってもよい。
【0066】
図5の例に係る組み立て体1Bは、第1部材51と、一対の第2部材52と、一対の接着剤53とを備えてもよい。組み立て体1Bは、たとえば、板状の第1部材51における両方の主面に、接着剤53で第2部材52が接着された構成を有してもよい。
【0067】
第1部材51は、たとえば、セラミックスからなってもよい。第1部材51は、たとえば、圧電セラミックスで構成されてもよい。第2部材52は、たとえば、金属からなってもよい。第2部材52は、たとえば、ステンレスまたはアルミニウム合金などで構成されてもよい。
【0068】
一対の接着剤53は、第1部材51と一対の第2部材52との間にそれぞれ介在し、第1部材51と第2部材52とを接着する。接着剤53は、たとえば、上述の接着剤30と同様の材料で構成されてもよい。
【0069】
ここで、図5の例では、接着剤53が、光硬化性接着剤を含有してもよい。これにより、接着剤53の硬化反応がすばやく進むため、組み立て体1Bの製造工程における接着工程の時間を短くすることができる。したがって、図5の例によれば、組み立て体1Bを簡便に製造することができる。
【0070】
また、図5の例では、接着剤53が、熱硬化性接着剤を含有してもよい。これにより、光が届きにくい接着剤53の中央部においても、接着工程の際に熱を加えることで十分な接着力が得られるため、組み立て体1Bの機械的特性をさらに向上させることができる。
【0071】
また、図5の例では、接着剤53が、金属フィラーを含有してもよい。これにより、組み立て体1Bに照射された光が金属フィラーで反射・散乱するため、接着剤53の中央部にも光を到達させることができる。
【0072】
したがって、図5の例によれば、組み立て体1Bの中央側においても十分な接着力が得られるため、組み立て体1Bの機械的特性をさらに向上させることができる。
【0073】
また、図5の例では、接着剤53が金属フィラーを含有することで、接着剤53に導電性が付与される。これにより、第1部材51と第2部材52とを良好に導通できるため、組み立て体1Bで構成される圧電ブザー、超音波モータおよび各種センサーなどを良好に動作させることができる。
【0074】
図6は、別の実施形態に係る組み立て体1Cの構成の一例を示す拡大断面図である。図6に示す組み立て体1Cは、たとえば、ガス分配板組み立て体として用いられる組み立て体であり、半導体処理チャンバにおいて、ガスGを分配して供給するガス分配板に利用されるものであってもよい。
【0075】
図6の例に係る組み立て体1Cは、第1部材61と、第2部材62と、接着剤63とを備えてもよい。
【0076】
第1部材61は、たとえば、セラミックスからなってもよい。第1部材61は、たとえば、炭化ケイ素、イットリア、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどから構成されてもよい。第1部材61は、ガス分配板の寿命を延ばすために、イットリウムまたはその酸化物でコーティングされてもよいし、酸化膜を形成しても良い。これにより、ガス分配板のハロゲン含有化学物質に対する耐性を向上させることができる。
【0077】
第2部材62は、たとえば、金属からなってもよい。第2部材62は、たとえば、ステンレスまたはアルミニウム合金などで構成されてもよい。第2部材62は、たとえば、半導体処理チャンバのRF電極として機能してもよい。
【0078】
接着剤63は、第1部材61と第2部材62との間に介在し、第1部材61と第2部材62とを接着する。接着剤63は、たとえば、上述の接着剤30と同様の材料で構成されてもよい。
【0079】
また、組み立て体1Cには、第1部材61、第2部材62および接着剤63を貫通する複数の貫通孔64が形成される。かかる複数の貫通孔64によって、ガス分配板の一方側、たとえば上方から供給されるガスGを、複数のガスGに分配してガス分配板の他方側、たとえば下方に供給することができる。
【0080】
ここで、図6の例では、接着剤63が、光硬化性接着剤を含有してもよい。これにより、接着剤63の硬化反応がすばやく進むため、組み立て体1Cの製造工程における接着工程の時間を短くすることができる。したがって、図6の例によれば、組み立て体1Cを簡便に製造することができる。
【0081】
また、図6の例では、接着剤63が、熱硬化性接着剤を含有してもよい。これにより、光が届きにくい接着剤63の中央部においても、接着工程の際に熱を加えることで十分な接着力が得られるため、組み立て体1Cの機械的特性をさらに向上させることができる。
【0082】
また、図6の例では、接着剤63が、金属フィラーを含有してもよい。これにより、組み立て体1Cに照射された光が金属フィラーで反射・散乱するため、接着剤63の中央部にも光を到達させることができる。
【0083】
したがって、図6の例によれば、組み立て体1Cの中央側においても十分な接着力が得られるため、組み立て体1Bの機械的特性をさらに向上させることができる。
【0084】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。たとえば、実施形態に係る組み立て体は、ここまで説明した真空吸着ノズル組み立て体、ピンセット組み立て体、圧電部材組み立て体およびガス分配板組み立て体として用いられる組み立て体に限られない。
【0085】
さらなる効果や他の態様は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本開示のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【0086】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
セラミックスからなる第1部材と、
金属からなる第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間に介在し、前記第1部材と前記第2部材とを接着する接着剤と、
を備え、
前記接着剤は、光硬化性接着剤を含有する
組み立て体。
(2)
前記接着剤は、熱硬化性接着剤を含有する
前記(1)に記載の組み立て体。
(3)
前記接着剤は、金属フィラーを含有する
前記(1)または(2)に記載の組み立て体。
(4)
前記金属フィラーは、金を含有する
前記(3)に記載の組み立て体。
(5)
前記金属フィラーは、銀を含有する
前記(3)または(4)に記載の組み立て体。
(6)
前記第1部材は、半導電性セラミックスからなる
前記(1)~(5)のいずれか一つに記載の組み立て体。
(7)
前記第1部材は、第1貫通孔を有し、
前記第2部材は、第2貫通孔を有し、
前記第1貫通孔および前記第2貫通孔は、互いに連通している
前記(1)~(6)のいずれか一つに記載の組み立て体。
(8)
真空吸着ノズル組み立て体として用いられる、
前記(7)に記載の組み立て体。
【符号の説明】
【0087】
1、1A、1B、1C 組み立て体
10 第1部材
15 第1貫通孔
20 第2部材
24 第2貫通孔
30 接着剤
31 金属フィラー
41 把持部(第1部材の一例)
42 脚部(第2部材の一例)
43 接着剤
51 第1部材
52 第2部材
53 接着剤
61 第1部材
62 第2部材
63 接着剤
64 貫通孔
G ガス
図1
図2
図3
図4
図5
図6