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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172989
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】物流管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20240101AFI20241205BHJP
【FI】
G06Q10/08
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091088
(22)【出願日】2023-06-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】517391657
【氏名又は名称】北海道物流開発株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 博之
(72)【発明者】
【氏名】清 雅人
(72)【発明者】
【氏名】多田 直樹
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
5L049CC51
(57)【要約】
【課題】荷物の輸送経路全体に亘って物流の状況を把握しつつ物流を効率的に管理できる。
【解決手段】中央管理システム100のデータベースサーバ110には、荷物の輸送経路上に設定された複数の設定箇所のそれぞれについて、荷物の到達及び荷物の出発に関する予定情報が保持されている。また、荷物の到達及び荷物の出発に関する実績情報が拠点会社システム200及び輸送会社システム300からの情報に基づいて取得される。各システムにおいて、予定情報と実績情報が照合され、その照合結果に応じた処理(イレギュラー照会処理又は経過報告処理)が実行される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
起点から目的地点まで輸送される荷物を管理する処理を実行する1つ以上のコンピュータを備えている物流管理システムであって、
前記1つ以上のコンピュータが、
前記荷物の管理に関する予定情報を記憶する予定記憶手段、
前記荷物の管理に関する実績情報を取得する実績取得手段、
前記実績取得手段が取得した前記実績情報を前記予定記憶手段が記憶している前記予定情報と照合する照合手段、及び
前記照合手段による照合結果に応じた処理を実行する照合結果対応手段として機能し、
前記予定情報が、前記荷物の輸送経路上に設定された複数の設定箇所のそれぞれについて、前記荷物の到達及び前記荷物の出発の少なくともいずれかに関する予定を示す情報を含んでおり、
前記実績情報が、前記複数の設定箇所のそれぞれについて、前記荷物の到達及び前記荷物の出発の少なくともいずれかに関する実績を示す情報を含んでいることを特徴とする物流管理システム。
【請求項2】
前記複数の設定箇所の少なくともいずれかにおいて、仮想的な境界線で囲まれた仮想領域が設定されており、
前記1つ以上のコンピュータが、前記荷物の位置情報を取得する位置取得手段として機能し、
前記実績取得手段が、前記位置取得手段が取得した前記荷物の位置情報に基づいて、前記仮想領域に前記荷物が進入したこと及び前記仮想領域から前記荷物が退出したことの少なくともいずれかを判定すると共に、その判定結果を示す情報を前記実績情報として取得することを特徴とする請求項1に記載の物流管理システム。
【請求項3】
前記複数の設定箇所の少なくとも一部が、前記輸送経路上の複数の拠点間の領域に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の物流管理システム。
【請求項4】
前記複数の設定箇所の少なくとも一部が、前記輸送経路上の複数の拠点のそれぞれに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の物流管理システム。
【請求項5】
前記実績取得手段が、前記拠点内での前記荷物の管理作業に関する実績を示す拠点作業実績情報を取得し、
前記予定情報が、前記管理作業に関する情報である拠点作業予定情報を含んでおり、
前記照合手段が、前記拠点作業実績情報を前記拠点作業予定情報と照合することを特徴とする請求項4に記載の物流管理システム。
【請求項6】
前記実績取得手段が、前記拠点作業実績情報の1つとして、前記管理作業を行う作業員の位置情報を取得することを特徴とする請求項5に記載の物流管理システム。
【請求項7】
前記荷物がそれ自体の識別情報を保持しており、
前記実績取得手段が、前記拠点作業実績情報の1つとして、前記管理作業の対象となる前記荷物から前記識別情報を取得することを特徴とする請求項5に記載の物流管理システム。
【請求項8】
前記荷物が、前記識別情報を示す文字列及び図形の少なくともいずれかからなる識別マーカを外部から視認可能に有しており、
前記実績取得手段が、
前記荷物から前記識別マーカを読み取る、作業員が携帯する読み取り手段と、
前記読み取り手段による読み取り結果において前記識別情報を認識する識別情報認識手段とを含んでいることを特徴とする請求項7に記載の物流管理システム。
【請求項9】
前記1つ以上のコンピュータが、作業員が携帯する第1携帯装置を含んでおり、
前記第1携帯装置が、前記読み取り手段及び前記識別情報認識手段として機能することを特徴とする請求項8に記載の物流管理システム。
【請求項10】
前記1つ以上のコンピュータが、作業員が携帯する、前記第1携帯装置と通信可能な第2携帯装置を含んでおり、
前記第2携帯装置が、
前記識別情報を前記第1携帯装置から取得する手段、並びに、前記識別情報を前記照合手段に送信する手段及び前記識別情報を照合する前記照合手段のいずれかの手段として機能することを特徴とする請求項9に記載の物流管理システム。
【請求項11】
前記1つ以上のコンピュータが、
前記拠点側の作業員と前記拠点間の輸送側の作業員との間で前記荷物の受け渡しが行われたことを、前記拠点側の作業員が前記荷物から前記識別情報を読み取った時間と、前記拠点間の輸送側の作業員が前記荷物から前記識別情報を読み取った時間とに基づいて把握する受け渡し把握手段として機能することを特徴とする請求項5に記載の物流管理システム。
【請求項12】
前記予定情報が、前記拠点側の作業員と前記拠点間の輸送側の作業員との間の前記荷物の受け渡し時間に関する受け渡し時間情報を含んでおり、
前記実績情報が、前記拠点側の作業員が前記荷物から前記識別情報を読み取った時間を示す情報と、前記拠点間の輸送側の作業員が前記荷物から前記識別情報を読み取った時間を示す情報とを含んでいることを特徴とする請求項5に記載の物流管理システム。
【請求項13】
前記1つ以上のコンピュータが、作業員が携帯する携帯装置を含んでおり、
前記予定情報が、前記予定記憶手段から前記携帯装置へと送信され、前記携帯装置において閲覧可能になることを特徴とする請求項1に記載の物流管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、起点から目的地点までの荷物の輸送に係る物流を管理する物流管理システムがある。特許文献1のシステムはその一例であり、特定の物流センターから他の複数の物流センターへの物品の移管を管理するものである。このシステムは、上記特定の物流センターで作業する作業者に情報を提供するユーザ端末を備えている。この情報は、他の物流センターに移管される対象であるか否かを示す情報、指定された棚に陳列する作業に関する情報、他の物流センターへの移管のための物品の分配作業に関する情報等を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-101568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
起点から目的地点までの荷物の輸送経路全体に亘って物流の状況を把握し、物流を管理することが求められている。また、物流の現場では多くの管理作業が手作業により行われている現状があり、効率化が求められている。特許文献1のシステムでは、作業のための情報提供がなされるのみであり、上記のような物流の状況把握を可能とするものではない。また、物流の管理作業の効率化にも十分に寄与するとは言えない。
【0005】
本発明の目的は、荷物の輸送経路全体に亘って物流の状況を把握しつつ物流を効率的に管理できる物流管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の物流管理システムは、起点から目的地点まで輸送される荷物を管理する処理を実行する1つ以上のコンピュータを備えている物流管理システムであって、前記1つ以上のコンピュータが、前記荷物の管理に関する予定情報を記憶する予定記憶手段、前記荷物の管理に関する実績情報を取得する実績取得手段、前記実績取得手段が取得した前記実績情報を前記予定記憶手段が記憶している前記予定情報と照合する照合手段、及び前記照合手段による照合結果に応じた処理を実行する照合結果対応手段として機能し、前記予定情報が、前記荷物の輸送経路上に設定された複数の設定箇所のそれぞれについて、前記荷物の到達及び前記荷物の出発の少なくともいずれかに関する予定を示す情報を含んでおり、前記実績情報が、前記複数の設定箇所のそれぞれについて、前記荷物の到達及び前記荷物の出発の少なくともいずれかに関する実績を示す情報を含んでいる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る物流管理システムによると、起点から目的地点までの輸送経路上に複数の設定箇所が設定される。また、各設定箇所において、荷物の到達及び出発の少なくともいずれかに関する予定情報が記憶されていると共に、荷物の到達及び出発の少なくともいずれかに関する実績情報が取得される。そして、予定情報と実績情報とが照合され、その結果に応じた適宜の処理が実行される。このため、輸送経路全体の荷物の状況が把握される。また、予定と実績の照合及びその結果に応じた処理がシステムにより実行されることで物流の管理作業が自動化される。これにより、物流が効率的に管理される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る物流管理システムが管理する物流の一例を示す概念図である。
図2】本発明の一実施形態に係る物流管理システムの構成を示すブロック図である。
図3図2の物流管理システムのより詳細な構成を示すブロック図である。
図4図3の拠点会社システムにおいて用いられる装置構成等を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好適な一実施形態に係る物流管理システム1について図1図4を参照しつつ、以下に説明する。なお、以下において、「サーバ」、「PC」、「携帯端末」又は「レコーダ」の名称を有する各装置は本発明の「コンピュータ」に対応する。
【0010】
本実施形態に係る物流管理システム1(以下、本システムともいう)は、図1に一例を示す物流に関わる作業を管理するシステムである。図1に示す物流は、起点から物流拠点A及びBを経て目的地点までの輸送経路に沿って構築されている。この物流には、荷物を輸送する1つ以上の輸送会社と、荷物の輸送経路の途中において荷物を一時的に保管する物流拠点A及びBを運営する1つ以上の拠点会社とが関与する。輸送会社は、自社が管理する各車両拠点から起点並びに物流拠点A及びBのそれぞれへと輸送車両を向かわせる。各車両の作業員は、起点並びに物流拠点A及びBのそれぞれに到達すると、到達地点において保管された荷物を受け取り、次の地点へと輸送車両にてその荷物を輸送する。各物流拠点の作業員は、輸送会社の作業員から荷物を受け取り、拠点内の所定の棚に荷物を保管し、適宜のタイミングで荷物を棚から取り出して輸送会社の作業員に引き渡す。これにより、起点から物流拠点A及びBを経て目的地点まで荷物が輸送される。
【0011】
本実施形態において、荷物の輸送経路には複数の管理対象箇所(本発明の「複数の設定箇所」に対応する)が設定されている。この管理対象箇所は、物流管理システム1が荷物の到達及び出発の状況を管理する対象となる箇所である。管理対象箇所には、起点、目的地点、物流拠点及び後述のジオフェンスGが含まれている。
【0012】
図2に示すように、物流管理システム1は、中央管理システム100、拠点会社システム200、輸送会社システム300及びジオフェンスシステム400を有している。中央管理システム100は、物流作業を管理する中核となるシステムである。拠点会社システム200及び輸送会社システム300は、拠点会社及び輸送会社がそれぞれ保有するシステムである。これらのシステムは、インターネット等の通信ネットワークを通じて互いにデータ通信可能である。インターネットに代えて、又は加えて、LAN(Local Area Network)その他の通信ネットワークNが用いられてもよい。また、中央管理システム100は、物流依頼元900の端末装置やシステムと接続している。後述の通り、物流依頼元900に対しては物流管理システム1から経過報告処理やイレギュラー報告処理がなされる。
【0013】
図3に示すように、中央管理システム100は、データベースサーバ110(本発明の「予定記憶手段」に対応する)及び中央管理サーバ120を有している。データベースサーバ110及び中央管理サーバ120は互いにデータ通信可能に接続されている。データベースサーバ110及び中央管理サーバ120は、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ストレージ等を有している。ROM、RAM、ストレージ等の記憶装置に格納されたデータからなるソフトウェアがCPU等のハードウェアに各種の処理を実行させることにより、以下において説明する中央管理システム100の機能が実現されている。
【0014】
データベースサーバ110には、中央管理サーバ120や、データベースサーバ110に接続されたその他の端末装置を通じて情報が入力される。データベースサーバ110に格納されたこれらの入力情報は、中央管理サーバ120及びその他の端末装置からの要請により、データベースサーバ110から要請元の装置へと出力される。
【0015】
データベースサーバ110は、物流が実行されるに当たって事前に策定された物流計画を示す物流計画情報を保持している。物流計画情報は、各荷物の識別情報に関連付けてデータベースサーバ110のストレージに格納されている。物流計画情報は、輸送経路、集荷経路、スケジュール等を示す情報からなる。輸送経路は、起点、物流拠点及び目的地点の各地点の位置並びにこれらの各地点を結ぶ経路を含んでいる。集荷経路は車両拠点から各地点までの経路である。スケジュールを示す情報は、起点、物流拠点及び目的地点並びに各ジオフェンスGにおける荷物又は車両の到達時刻及び出発時刻を示す情報である。ジオフェンスG(図1参照)は、輸送経路及び集荷経路のそれぞれの途中に1つ以上が設定されている。ジオフェンスGは、経路上に設定された複数の地点のそれぞれを中心とした円形の仮想領域である。各ジオフェンスGには識別情報が設定されている。なお、ジオフェンスGは、円形、矩形等の外縁を有する閉領域であればどのような形状であってもよい。また、ジオフェンスGは、円筒形や直方体等、閉空間の領域を有していてもよい。
【0016】
また、データベースサーバ110は、図1の物流に従事する作業員が行う作業の予定を示す予定情報と、作業員が実際に行った作業の実績を示す実績情報とを保持している。予定情報は、上記物流計画に基づいており、作業員が行うべき作業内容及び作業時刻を示している。
【0017】
拠点会社の作業員による作業には、各物流拠点における荷物の管理作業、つまり、目的地点や物流拠点の搬出入口に搬入された荷物を輸送会社の作業員から受け取る作業、受け取った荷物を保管用の棚まで運び入れる作業、棚に保管された荷物を棚から搬出入口まで運び出す作業、搬出入口において荷物を輸送会社の作業員に引き渡す作業等がある。
【0018】
予定情報のうち、拠点作業予定情報には、上記作業に必要な情報、例えば、作業を担当する作業員の識別情報、作業の内容、各作業の予定時刻や棚の識別情報、作業員の移動経路を示す情報等が、荷物の識別情報と関連付けられつつ含まれている。これらは、起点、各物流拠点及び目的地点における荷物の管理作業に関する予定情報に相当する。拠点作業予定情報のうち、搬出入口において荷物を受け取る作業及び引き渡す作業に関する情報が、本発明の「前記荷物の到達及び前記荷物の出発の少なくともいずれかに関する予定を示す情報」に対応する。
【0019】
輸送会社の作業員による作業には、集荷のために目的地点や物流拠点まで車両を移動させる作業、目的地点又は物流拠点の搬出入口において拠点会社の作業員から荷物を受け取る作業、搬出入口で受け取った荷物を次の地点まで輸送する作業、輸送した荷物を輸送先の搬出入口において拠点会社の作業員に引き渡す作業等がある。
【0020】
予定情報のうち、輸送作業予定情報には、これらの作業に必要な情報、例えば、作業を担当する作業員の識別情報、輸送経路や集荷経路を示す情報、各ジオフェンス及び各地点の到達/出発予定時刻を示す情報、搬出入口において荷物を受け取る/引き渡す予定時刻を示す情報等が、荷物の識別情報と関連付けられつつ含まれている。これらは、輸送車両の運行や輸送の作業に関する予定情報に相当する。輸送作業予定情報のうち、搬出入口において荷物を受け取る作業及び引き渡す作業に関する情報は、本発明の「前記荷物の到達及び前記荷物の出発の少なくともいずれかに関する予定を示す情報」に対応する。
【0021】
実績情報は、後述の通り、拠点会社システム200、輸送会社システム300及びジオフェンスシステム400から中央管理システム100へと送信されてくる情報に基づいてデータベースサーバ110に蓄積される。実績情報には、拠点会社の作業員による作業の実績を示す拠点作業実績情報と、輸送会社の作業員による作業の実績を示す輸送作業実績情報とがある。拠点作業実績情報は、起点、各物流拠点及び目的地点における荷物の管理作業に関する実績情報である。具体的には、拠点作業実績情報は、作業を行った作業員の識別情報、各作業の実施時刻や棚の識別情報、作業員の位置情報等を、荷物の識別情報と関連付けつつ含んでいる。なお、拠点作業実績情報のうち、搬出入口において荷物を受け取った作業及び引き渡した作業に関する情報が、本発明の「前記荷物の到達及び前記荷物の出発の少なくともいずれかに関する実績を示す情報」に対応する。
【0022】
輸送作業実績情報は、輸送車両の運行や輸送の作業に関する実績情報である。具体的には、輸送作業実績情報は、作業を行った作業員の識別情報、各ジオフェンスの到達時刻及び出発時刻を示す情報、搬出入口において荷物を受け取った時刻及び引き渡した時刻を示す情報等を、荷物の識別情報と関連付けつつ含んでいる。なお、輸送作業実績情報のうち、搬出入口において荷物を受け取った作業及び引き渡した作業に関する情報が、本発明の「前記荷物の到達及び前記荷物の出発の少なくともいずれかに関する実績を示す情報」に対応する。
【0023】
また、データベースサーバ110はビーコン情報を保持している。ビーコン情報は、各物流拠点内に設置された複数のビーコン231(図4参照)のそれぞれについて、各ビーコン231の識別情報と関連付けてビーコン231の拠点内での設置位置を示している。ビーコン231は、近距離無線通信(無線LANやNFC(Near field communication)、Bluetooth(登録商標)等)を通じてビーコン231の識別情報を示す信号を発している。スマートフォン等の携帯端末が受信したビーコン231からの信号に基づいて、その携帯端末がいずれのビーコン231の近傍にあるかを把握できる。つまり、携帯端末の位置の把握が可能になる。
【0024】
さらに、データベースサーバ110は端末情報を保持している。端末情報は、作業員が携帯している後述の携帯端末221及び320の識別情報と作業員の識別情報とを関連付ける関連付け情報を含んでいる。
【0025】
中央管理サーバ120は、作業指示送信処理、作業更新取得処理、情報閲覧処理及び作業結果対応処理を実行する。
【0026】
作業指示送信処理は、予定情報を含む作業指示を生成すると共に、各作業の予定時刻に先立って、拠点会社システム200及び輸送会社システム300に送信する処理である。拠点会社システム200への作業指示には拠点作業予定情報が含まれており、輸送会社システム300への作業指示には輸送作業予定情報が含まれている。いずれの作業指示にも、各作業員及び各携帯端末221の少なくともいずれかの識別情報と関連付けて、各作業員に予定された作業についての指示が含まれている。
【0027】
作業実績更新処理は、拠点会社システム200等から送信される情報に基づき、データベースサーバ110の実績情報を更新する処理である。この処理の詳細については後述する。
【0028】
作業結果対応処理において、中央管理サーバ120は、予定情報と実績情報との照合結果に基づいてイレギュラー対応処理又は経過報告処理を実行する(本発明の「照合結果対応手段」の機能に対応する)。照合結果は、後述の通り、中央管理サーバ120、拠点会社システム200及び輸送会社システム300のそれぞれにおいて取得される。中央管理サーバ120は、作業が適切に実行されていないことを照合結果が示した場合にイレギュラー対応処理を行う。具体的には、中央管理サーバ120は、該当する作業項目について作業が予定通りに実施されていない旨のイレギュラー報告を物流依頼元900(図2参照)に送信する。また、中央管理サーバ120は、拠点会社システム200及び輸送会社システム300のうち、該当する作業項目に対応するシステムに対して作業が予定通りに実施されていない旨を照会するイレギュラー照会を送信する。一方、作業が適切に実行されたことを照合結果が示した場合には、中央管理サーバ120は経過報告処理を行う。具体的には、中央管理サーバ120は、該当する作業項目について作業が適切に実施された旨を示す経過報告を物流依頼元900に送信する。
【0029】
情報閲覧処理は、拠点会社システム200等から送信される情報閲覧要請に応じ、データベースサーバ110が保持する物流計画情報、予定情報及び実績情報のうち、要請に対応する情報を要請元のシステムに送信する処理である。
【0030】
図3に示すように、拠点会社システム200は、拠点会社PC210、携帯端末221(本発明の「第2携帯装置」に対応する)及びレコーダ222(本発明の「第1携帯装置」に対応する)を有している。拠点会社PC210は、ノートPC(Personal Computer)やデスクトップPCであり、CPU、ROM、RAM、ストレージ等を有している。拠点会社PC210には、ディスプレイ若しくはタッチパネルディスプレイ、キーボード等の各種の入出力デバイスが搭載され又は接続されている。これらの入出力デバイスは、文字や画像等をディスプレイの画面に表示すると共に、文字や数字等のユーザ入力を受け付けることができる。拠点会社PC210において、ストレージ等の記憶装置に格納されたデータからなるソフトウェアがCPU等のハードウェアに各種の処理を実行させることにより、以下の機能が実現されている。
【0031】
拠点会社PC210は、中央管理システム100から送信される作業指示に基づき、各作業員が行うべき作業の内容、作業予定時刻等の情報をディスプレイに表示させる。また、拠点会社PC210は、入力デバイスを通じたユーザ入力に従って中央管理システム100に情報閲覧要請を行う。そして、拠点会社PC210は、これに応じて中央管理システム100から送信される情報をディスプレイに表示させる。さらに、拠点会社PC210は、中央管理システム100からイレギュラー照会が送信された際にその照会内容をディスプレイに表示させる。拠点会社は、ディスプレイの表示内容を確認することで作業が予定通り行われていないことを把握し、これに対して適宜の社内対応を行う。
【0032】
携帯端末221は、拠点会社の作業員が各自で携帯しているスマートフォンやタブレットPC等の携帯用の端末装置であり、CPU、ROM、RAM、ストレージ、GPS(Global Positioning System)通信及び近距離無線通信用の通信回路等を有している。携帯端末221にはタッチパネルディスプレイが搭載されている。タッチパネルディスプレイは、文字や画像等をその画面に表示すると共に、文字や数字、メニュー項目の選択等のユーザ入力を受け付けることができる。携帯端末221において、ストレージ等の記憶装置に格納されたデータからなるソフトウェアがCPU等のハードウェアに各種の処理を実行させることにより、以下の機能が実現されている。
【0033】
携帯端末221は、中央管理システム100から送信される作業指示に基づき、当該端末を使用している作業員が行うべき作業の内容、作業予定時刻等の情報をタッチパネルディスプレイに表示させる。また、携帯端末221は、タッチパネルディスプレイを通じたユーザ入力に従って中央管理システム100に情報閲覧要請を行う。そして、携帯端末221は、これに応じて中央管理システム100から送信される情報をタッチパネルディスプレイに表示させる。
【0034】
また、携帯端末221は、物流拠点内の位置を取得する位置取得処理を実行する。位置取得処理において、携帯端末221は、ビーコン231(図4参照)からの信号を、近距離無線通信を通じて受信する。受信された信号が示すビーコン231の識別情報は、その携帯端末221の識別情報及び受信時刻を示す情報と併せて中央管理システム100に送信される。中央管理システム100の中央管理サーバ120は、拠点会社システム200から送信された上記情報並びにデータベースサーバ110のビーコン情報及び端末情報に基づき、作業員の位置を把握する。そして、中央管理サーバ120は、作業実績更新処理においてデータベースサーバ110の実績情報を更新する。これにより、各作業の実績に関する情報(位置及び時刻等)が携帯端末221の識別情報と関連付けられつつ拠点作業実績情報に追加される(本発明の「実績取得手段」の機能に対応する)。
【0035】
さらに、携帯端末221は、後述の画像解析による認識の結果である荷物又は棚の識別情報をレコーダ222から受信する。そして、携帯端末221は、中央管理システム100から受信した作業指示と、レコーダ222から受信した荷物又は棚の識別情報及びレコーダ222からこれを受信した時刻とを照合する(本発明の「照合手段」の機能に対応する)。これにより、作業指示に応じた作業が適切に実行されたか否かを示す照合結果が取得される。
【0036】
具体的には、携帯端末221は、適切な作業予定時刻において、作業員が適切な棚に到達していること、適切な荷物を作業員が取り出したこと、搬出入口において荷物を受け取った又は引き渡したこと等の条件の成否をレコーダ222から受信した情報及び時刻に基づいて判定する。そして、携帯端末221は、これらの条件が成立すると判定した場合に、作業指示に応じた作業が適切に実行されたことを示す照合結果を生成すると共に、これらの条件が成立しないと判定した場合に、作業指示に応じた作業が適切に実行されなかったことを示す照合結果を生成する。
【0037】
上記照合結果は、取得された荷物又は棚の識別情報及び時刻並びに携帯端末221の識別情報と共に中央管理システム100に送信される。中央管理システム100の中央管理サーバ120は、作業実績更新処理において、荷物又は棚の識別情報及び時刻を携帯端末221の識別情報と関連付けつつデータベースサーバ110の実績情報に追加する。また、中央管理サーバ120は、作業結果対応処理として、拠点会社システム200から送信された上記照合結果に応じてイレギュラー対応処理及び経過報告処理を選択的に実行する。
【0038】
レコーダ222は、図4に示すようなヘルメット型の携帯端末であり、作業員が頭部に装着して使用する。レコーダ222は、LED照明223、カメラ224(本発明の「読み取り手段」に対応する)及び画像解析部225(本発明の「識別情報認識手段」に対応する)を有している。LED照明223は、作業員の視線の前方を照らす。カメラ224は、LED照明223で照らされた被写体を撮影する。カメラ224からは、被写体の像を示す画像データが画像解析部225に送信される。画像解析部225は、CPU、ROM、RAM、ストレージ、近距離無線通信用の電子回路等のハードウェアと、ROM、RAM、ストレージ等に格納されたプログラム等のデータからなるソフトウェアとによって構築されている。画像解析部225は、画像解析処理により、カメラ224から送信された画像データが示す画像において、二次元バーコード(本発明の「識別マーカ」に対応する)を示す画像領域を抽出する。
【0039】
本実施形態において、二次元バーコードは荷物の表面に形成されていると共に、各物流拠点において荷物保管用の各棚の表面に形成されている。荷物に形成された二次元バーコードは荷物の識別情報を示し、棚に形成された二次元バーコードは棚の識別情報を示している。
【0040】
画像解析部225は、上記の通り抽出した画像領域内の二次元バーコードが示す荷物又は棚の識別情報を画像解析により認識する。このように認識された識別情報は、近距離無線通信を通じて携帯端末221に送信される。
【0041】
図3に示すように、輸送会社システム300は、輸送会社PC310及び携帯端末320を有している。輸送会社PC310は、ノートPCやデスクトップPCであり、CPU、ROM、RAM、ストレージ等を有している。輸送会社PC310には、ディスプレイ若しくはタッチパネルディスプレイ、キーボード等の各種の入出力デバイスが搭載され又は接続されている。これらの入出力デバイスは、文字や画像等をディスプレイの画面に表示すると共に、文字や数字等のユーザ入力を受け付けることができる。輸送会社PC310において、ストレージ等の記憶装置に格納されたデータからなるソフトウェアがCPU等のハードウェアに各種の処理を実行させることにより、以下の機能が実現されている。
【0042】
輸送会社PC310は、中央管理システム100から送信される作業指示に基づき、各作業員が行うべき作業の内容、作業予定時刻等の情報をディスプレイに表示させる。また、輸送会社PC310は、入力デバイスを通じたユーザ入力に従って中央管理システム100に情報閲覧要請を行う。そして、拠点会社PC210は、これに応じて中央管理システム100から送信される情報をディスプレイに表示させる。さらに、輸送会社PC310は、中央管理システム100からイレギュラー照会が送信された際にその照会内容をディスプレイに表示させる。拠点会社は、ディスプレイの表示内容を確認することで作業が予定通り行われていないことを把握し、これに対して適宜の社内対応を行う。
【0043】
携帯端末320は、輸送会社の作業員が各自で携帯しているスマートフォンやタブレットPC等の携帯用の端末装置であり、CPU、ROM、RAM、ストレージ、内蔵カメラ、GPS通信及び近距離無線通信用の通信回路等を有している。携帯端末320にはタッチパネルディスプレイが搭載されている。タッチパネルディスプレイは、文字や画像等をその画面に表示すると共に、文字や数字、メニュー項目の選択等のユーザ入力を受け付けることができる。携帯端末320において、ストレージ等の記憶装置に格納されたデータからなるソフトウェアがCPU等のハードウェアに各種の処理を実行させることにより、以下の機能が実現されている。
【0044】
携帯端末320は、中央管理システム100から送信される作業指示に基づき、当該端末を使用している作業員が行うべき作業の内容、作業予定時刻等の情報をタッチパネルディスプレイに表示させる。また、携帯端末320は、タッチパネルディスプレイを通じたユーザ入力に従って中央管理システム100に情報閲覧要請を行う。そして、携帯端末320は、これに応じて中央管理システム100から送信される情報をタッチパネルディスプレイに表示させる。
【0045】
また、携帯端末320は、GPSや携帯通信等の基地局から取得される情報に基づく位置の取得処理を行う。荷物を輸送中の車両に搭乗した作業員の携帯端末320の位置の取得により、荷物の位置が取得される(本発明の「位置取得手段」の機能に対応する)。取得された位置は、その携帯端末320の識別情報と共にジオフェンスシステム400に定期的に送信される。
【0046】
さらに、携帯端末320は、荷物の受け取り時及び引き取り時のそれぞれにおいて荷物に形成された二次元バーコードを以下のように読み取る。携帯端末320のタッチパネルディスプレイを通じて作業員が所定のユーザ入力を行うと、内蔵カメラが被写体を撮影し、撮影結果を示す画像データを出力する。携帯端末320のストレージには、内蔵カメラが出力した画像データが表す二次元バーコードが示す荷物の識別情報を認識するための画像解析用のアプリケーションソフトウェアが格納されている。携帯端末320は、このアプリケーションソフトウェアの機能により認識された荷物の識別情報を取得する。
【0047】
そして、携帯端末320は、中央管理システム100から受信した作業指示と、取得された荷物の識別情報とを照合する(本発明の「照合手段」の機能に対応する)。これにより、作業指示に応じた作業が適切に実行されたか否かを示す照合結果が取得される。
【0048】
具体的には、携帯端末320は、作業指示が示す作業予定時刻において、作業指示が示す適切な荷物を作業員が受け取ったこと又は引き渡したことを、荷物の識別情報及びこれを取得した時刻に基づいて判定する。そして、携帯端末221は、作業指示が示す適切な荷物を作業員が受け取った又は引き渡したと判定した場合に、作業指示に応じた作業が適切に実行されたことを示す照合結果を生成すると共に、これらの条件が成立しなかった場合に、作業指示に応じた作業が適切に実行されなかったことを示す照合結果を生成する。
【0049】
上記照合結果は、取得された荷物の識別情報及び時刻並びに携帯端末320の識別情報と共に中央管理システム100に送信される。中央管理システム100の中央管理サーバ120は、作業実績更新処理において、荷物の識別情報及び時刻を携帯端末320の識別情報と関連付けつつデータベースサーバ110の実績情報に追加する(本発明の「実績取得手段」の機能に対応する)。また、中央管理サーバ120は、作業結果対応処理として、輸送会社システム300から送信された上記照合結果に応じてイレギュラー対応処理及び経過報告処理を選択的に実行する。
【0050】
さらに、中央管理サーバ120は、携帯端末221及び320の両方から送信される情報に基づいて、荷物の受け渡しが適切に行われたか否かを以下の通りに判定する。各物流拠点の搬出入口において、拠点会社の作業員と輸送会社の作業員との間で荷物の受け渡しが行われる場合、その受け渡しに対応する予定情報には、拠点会社の作業員による荷物の受け取り又は引き渡しの予定時刻を示す情報と、輸送会社の作業員による荷物の引き渡し又は受け取りの予定時刻を示す情報との両方が、互いに近い時刻として含まれていることになる。一方、データベースサーバ110の実績情報には、拠点会社システム200においてレコーダ222を用いて読み取られた荷物の識別情報及び時刻を示す情報と、輸送会社システム300において携帯端末320を用いて読み取られた荷物の識別情報及び時刻を示す情報との両方が記録される。そして、荷物の受け渡しが適切に行われた場合、実績情報が示す両者の時刻も互いに近い時刻となるはずである。
【0051】
上記に応じ、中央管理サーバ120は、データベースサーバ110の実績情報を照会し、拠点会社システム200における荷物の識別情報の読み取り時刻と、輸送会社システム300における荷物の識別情報の読み取り時刻とを比較し、これらの時刻が互いに近い場合に荷物の受け渡しが行われたことを把握する(本発明の「受け渡し把握手段」の機能に対応する)。そして、中央管理サーバ120は、実績情報が示すこれらの時刻を予定情報が示す上記予定時刻と照合し、これらが互いに近い場合に、拠点会社及び輸送会社の作業員同士の間で荷物の引き渡しが適切に行われたものと判定する(本発明の「照合手段」の機能に対応する)。中央管理サーバ120は、作業結果対応処理として、荷物の引き渡しが適切に行われたか否かに応じてイレギュラー対応処理及び経過報告処理を選択的に実行する。
【0052】
なお、起点や物流拠点から輸送会社の作業員へと荷物が引き渡されたことが把握されてから、その輸送会社の作業員から物流拠点や目的地点に荷物が引き渡されたことが把握されるまで、その輸送会社の作業員が荷物を輸送する車両に搭乗した作業員であることが中央管理システム100において把握される。
【0053】
ジオフェンスシステム400はサーバを有している。サーバは、CPU、ROM、RAM、ストレージ等を有している。サーバにおいて、ストレージ等の記憶装置に格納されたデータからなるソフトウェアがCPU等のハードウェアに各種の処理を実行させることにより、以下において説明するジオフェンスシステム400の機能が実現されている。
【0054】
ジオフェンスシステム400は、管理情報記憶部410、位置情報取得部420及びジオフェンス検出部430を有している。管理情報記憶部410はジオフェンスGの領域を示す情報(ジオフェンス中心地点及び円の半径を示す情報)をジオフェンスGの識別情報と関連付けて記憶している。位置情報取得部420は、携帯端末320から送信される位置情報及び携帯端末320の識別情報を取得する。ジオフェンス検出部430は、位置情報取得部420が取得した位置情報及び管理情報記憶部410の記憶内容に基づいて、位置情報取得部420が取得した識別情報に対応する携帯端末320によるジオフェンスGへの進入又はジオフェンスGからの退出を検出する。
【0055】
具体的には、ジオフェンス検出部430は、携帯端末320から定期的に送信される位置情報に基づき、各携帯端末320が各ジオフェンスGの内側にあるか外側にあるかを定期的に判定する。そして、ジオフェンス検出部430は、前回の判定でジオフェンスGの外側にあった携帯端末320が最新の判定でジオフェンスGの内側にあることに基づき、その携帯端末320がジオフェンスGに進入したことを検出する。また、ジオフェンス検出部430は、前回の判定でジオフェンスGの内側にあった携帯端末320が最新の判定でジオフェンスGの外側にあることに基づき、その携帯端末320がジオフェンスGから退出したことを検出する。
【0056】
ジオフェンス検出部430により携帯端末320のジオフェンスGへの進入又はジオフェンスGからの退出が検出された場合に、その検出結果を示す情報がジオフェンスG及び携帯端末320の識別情報と共に中央管理システム100へと送信される。検出結果には、ジオフェンス検出部430が当該検出を行った時刻が含まれている。
【0057】
中央管理システム100の中央管理サーバ120は、ジオフェンスシステム400から送信された上記情報を、データベースサーバ110の予定情報と照合し、適切な到達時刻又は出発時刻に適切なジオフェンスGにおいて荷物が到達又は出発したか否かを判定する。
【0058】
具体的には、中央管理サーバ120は、ジオフェンスシステム400から送信された携帯端末320の識別情報とデータベースサーバ110の端末情報とに基づいて作業員を把握する。また、中央管理サーバ120は、ジオフェンスシステム400から送信された検出結果とジオフェンスGの識別情報とに基づいて、いずれの作業員におけるいずれのジオフェンスGについての進入又は退出か及びその時刻を把握する。中央管理サーバ120は、作業実績更新処理において、把握した内容をデータベースサーバ110の実績情報に追加する(本発明の「実績取得手段」の機能に対応する)。また、中央管理サーバ120は、把握した内容と予定情報とを照合し、予定情報が示す適切な到達時刻又は出発時刻に適切なジオフェンスGにおいて荷物が到達又は出発したか否かを示す照合結果を生成する(本発明の「照合手段」の機能に対応する)。そして、中央管理サーバ120は、この照合結果に応じて、作業結果対応処理としてイレギュラー対応処理及び経過報告処理を選択的に実行する。
【0059】
以上説明した本実施形態によると、起点から目的地点までの輸送経路上に複数の管理対象箇所(起点、目的地点、物流拠点及びジオフェンスG)が設定される。また、中央管理システム100のデータベースサーバ110に、管理対象箇所のそれぞれにおける荷物の到達及び出発の少なくともいずれかに関する予定情報が記憶されている。そして、拠点会社システム200、輸送会社システム300及びジオフェンスシステム400のそれぞれにおいて、荷物の到達及び出発の少なくともいずれかに関する実績情報が取得される。これにより、輸送経路全体の状況が把握される。
【0060】
物流の現場では、多くの管理作業が手作業により行われている。例えば、各物流拠点の荷物の受け渡しには、伝票書類に基づく手作業による検品作業が伴い、このことが物流の管理作業の効率化を妨げる大きな要因の1つとなっている。これに対し、物流管理システム1によると、例えば、各物流拠点において荷物の受け渡しが適切に行われたか否かが予定情報と実績情報との照合により自動で判定される。さらに、その照合結果に応じた適宜の処理(経過報告処理又はイレギュラー対応処理)が実行される。このように、本実施形態によると、予定情報と実績情報との照合及びその結果に応じた処理により、管理作業の自動化が実現している。
【0061】
以上の通り、本実施形態によると、輸送経路全体の荷物の状況が把握されると共に、予定と実績の照合及びその結果に応じた処理を実行することで物流が効率的に管理される。
【0062】
また、本実施形態によると、レコーダ222において二次元バーコードを解析することで取得された識別情報が携帯端末221に送信される。つまり、レコーダ222による撮影画像自体は携帯端末221に送信されない。このため、撮影画像内の二次元バーコード以外の不要な被写体像が携帯端末221に送信されることがない。したがって、不要な情報流出が抑制される。
【0063】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0064】
例えば、上述の実施形態では、起点から複数の物流拠点を経て目的地点までの輸送経路が想定されている。これに対し、起点と目的地点との間に1つの物流拠点のみが存在してもよいし、物流拠点がなくてもよい。
【0065】
また、上述の実施形態において、物流拠点で行われている荷物の管理作業が起点及び目的地点のいずれか一方でも又は両方でも行われてもよい。この場合、データベースサーバ110に記憶される予定情報には、起点や目的地点において行われる管理作業に関する情報が含まれることになる。また、起点や目的地点において、上述の実施形態と同様の方法で作業の実績情報が取得され、データベースサーバ110の実績情報に追加されることになる。
【0066】
また、上述の実施形態においては、荷物又は棚の識別情報を示す二次元バーコードが用いられている。二次元バーコードは、情報を図形により表すものである。これに対し、識別情報に対応する文字列(本発明の「識別マーカ」に対応する)が荷物又は棚の表面に形成されており、当該文字列を読み取った画像を解析することにより識別情報が取得されてもよい。この場合、文字列は、アルファベット、かな、カナ、漢字、数字等、様々な種類の文字の1つ以上を組み合わせたものであってよい。
【0067】
また、上述の実施形態においては、レコーダ222において二次元バーコードを画像解析することで取得された識別情報が携帯端末221に送信されている。これに対し、携帯端末221において二次元バーコードの画像解析が行われ、識別情報が取得されてもよい。
【0068】
また、上述の実施形態においては、レコーダ222から送信された識別情報を携帯端末221が作業指示と照合している。これに対し、識別情報が携帯端末221から中央管理システム100に転送され、中央管理システム100において識別情報が予定情報と照合されてもよい。
【0069】
また、上述の実施形態においては、データベースサーバ110の実績情報において、拠点会社システム200における荷物の識別情報の読み取り時刻と、輸送会社システム300における荷物の識別情報の読み取り時刻とが比較され、これらの時刻が互いに近い場合に荷物の受け渡しが行われたことが把握されている。これに対し、その他の方法により荷物の受け渡しが把握されてもよい。例えば、荷物の受け渡しの際には携帯端末221と携帯端末320とが近くにあることから、携帯端末221が取得した荷物の識別情報が携帯端末221から近距離無線通信を通じて携帯端末320に送信され、その識別情報が携帯端末320において取得された荷物の識別情報と照合されることにより、荷物の受け渡しが把握されてもよい。
【0070】
また、上述の実施形態においては、例えば、携帯端末221がレコーダ222から荷物等の識別情報を受信した時刻を作業指示と照合する。このような時刻の照合の処理においては、2つの時刻が互いに完全に一致しているか否かが判定されるのではなく、2つの時刻が近接していること、例えば、2つの時刻の差が所定の値より小さいことが判定されればよい。本実施形態に係る上記以外の時刻の照合についても同様である。
【0071】
また、上述の実施形態においては、ジオフェンスGが起点、物流拠点及び目的地点の2地点間のそれぞれに設定されている。これに対し、ジオフェンスGが起点や物流拠点、目的地点自体に設定されていてもよい。これによると、ジオフェンスGにおいて荷物の進入及び退出が検出されることで、起点や物流拠点、目的地点の各地点において荷物が到達したこと及び出発したことが把握可能となる。
【符号の説明】
【0072】
1 物流管理システム
100 中央管理システム
110 データベースサーバ
120 中央管理サーバ
200 拠点会社システム
221 携帯端末
222 レコーダ
224 カメラ
225 画像解析部
231 ビーコン
300 輸送会社システム
320 携帯端末
400 ジオフェンスシステム
900 物流依頼元
N 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-10-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
起点から目的地点まで輸送される、それ自体の識別情報を保持した荷物を管理する処理を実行する1つ以上のコンピュータを備えている物流管理システムであって、
前記1つ以上のコンピュータが、
前記荷物の管理に関する予定情報を記憶する予定記憶手段、
前記荷物の管理に関する実績情報を取得する実績取得手段、
前記荷物の受け渡しを把握する受け渡し把握手段、
前記実績取得手段が取得した前記実績情報を前記予定記憶手段が記憶している前記予定情報と照合する照合手段、及び
前記照合手段による照合結果に応じた処理を実行する照合結果対応手段として機能し、
前記予定情報が、前記荷物の輸送経路上に設定された複数の設定箇所のそれぞれについて、前記荷物の到達及び前記荷物の出発の少なくともいずれかに関する予定を示す情報を含んでおり、
前記実績情報が、前記複数の設定箇所のそれぞれについて、前記荷物の到達及び前記荷物の出発の少なくともいずれかに関する実績を示す情報を含んでおり、
前記複数の設定箇所の少なくとも一部が、前記輸送経路上の複数の拠点と拠点間の領域とのそれぞれに設定されており、
前記実績取得手段が、前記拠点内での前記荷物の管理作業に関する実績を示す拠点作業実績情報及び前記拠点間の前記荷物の輸送作業に関する実績を示す輸送作業実績情報を取得し、
前記予定情報が、前記管理作業に関する情報である拠点作業予定情報及び前記輸送作業に関する情報である輸送作業予定情報を含んでおり、
前記1つ以上のコンピュータが、前記識別情報を読み取り可能な携帯装置として、前記拠点内の作業員が携帯する拠点側携帯装置及び前記拠点間の輸送側の作業員が携帯する輸送側携帯装置を含んでおり、
前記拠点作業予定情報及び前記輸送作業予定情報のそれぞれが前記識別情報を含んでおり、
前記拠点作業実績情報及び前記輸送作業実績情報のそれぞれが、前記管理作業の対象となる前記荷物から前記拠点側携帯装置及び前記輸送側携帯装置がそれぞれ読み取った前記識別情報を含んでおり、
前記受け渡し把握手段が、前記拠点側の作業員と前記拠点間の輸送側の作業員との間で前記荷物の受け渡しが行われたことを、前記拠点側携帯装置が前記荷物から前記識別情報を読み取った時間と、前記輸送側携帯装置が前記荷物から前記識別情報を読み取った時間とに基づいて把握することを特徴とする物流管理システム。
【請求項2】
起点から目的地点まで輸送される、それ自体の識別情報を保持した荷物を管理する処理を実行する1つ以上のコンピュータを備えている物流管理システムであって、
前記1つ以上のコンピュータが、
前記荷物の管理に関する予定情報を記憶する予定記憶手段、
前記荷物の管理に関する実績情報を取得する実績取得手段、
前記実績取得手段が取得した前記実績情報を前記予定記憶手段が記憶している前記予定情報と照合する照合手段、及び
前記照合手段による照合結果に応じた処理を実行する照合結果対応手段として機能し、
前記予定情報が、前記荷物の輸送経路上に設定された複数の設定箇所のそれぞれについて、前記荷物の到達及び前記荷物の出発の少なくともいずれかに関する予定を示す情報を含んでおり、
前記実績情報が、前記複数の設定箇所のそれぞれについて、前記荷物の到達及び前記荷物の出発の少なくともいずれかに関する実績を示す情報を含んでおり、
前記複数の設定箇所の少なくとも一部が、前記輸送経路上の複数の拠点と拠点間の領域とのそれぞれに設定されており、
前記実績取得手段が、前記拠点内での前記荷物の管理作業に関する実績を示す拠点作業実績情報及び前記拠点間の前記荷物の輸送作業に関する実績を示す輸送作業実績情報を取得し、
前記予定情報が、前記管理作業に関する情報である拠点作業予定情報及び前記輸送作業に関する情報である輸送作業予定情報を含んでおり、
前記1つ以上のコンピュータが、前記識別情報を読み取り可能な携帯装置として、前記拠点内の作業員が携帯する拠点側携帯装置及び前記拠点間の輸送側の作業員が携帯する輸送側携帯装置を含んでおり、
前記拠点作業予定情報及び前記輸送作業予定情報のそれぞれが、前記拠点側の作業員と前記拠点間の輸送側の作業員との間の前記荷物の受け渡し時間に関する受け渡し時間情報を前記識別情報と関連付けて含んでおり、
前記拠点作業実績情報が、前記拠点側携帯装置が前記荷物から前記識別情報を読み取った時間を示す第1時間情報を含んでおり、
前記輸送作業実績情報が、前記輸送側携帯装置が前記荷物から前記識別情報を読み取った時間を示す第2時間情報を含んでおり、
前記照合手段が、前記受け渡し時間情報と前記第1時間情報及び前記第2時間情報のそれぞれとを照合することを特徴とする物流管理システム。
【請求項3】
前記複数の設定箇所の少なくともいずれかにおいて、仮想的な境界線で囲まれた仮想領域が設定されており、
前記1つ以上のコンピュータが、前記荷物の位置情報を取得する位置取得手段として機能し、
前記実績取得手段が、前記位置取得手段が取得した前記荷物の位置情報に基づいて、前記仮想領域に前記荷物が進入したこと及び前記仮想領域から前記荷物が退出したことの少なくともいずれかを判定すると共に、その判定結果を示す情報を前記実績情報として取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の物流管理システム。
【請求項4】
前記実績取得手段が、前記拠点作業実績情報の1つとして、前記管理作業を行う作業員の位置情報を取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の物流管理システム。
【請求項5】
前記荷物が、前記識別情報を示す文字列及び図形の少なくともいずれかからなる識別マーカを外部から視認可能に有しており、
前記実績取得手段が、
前記荷物から前記識別マーカを読み取る、作業員が携帯する読み取り手段と、
前記読み取り手段による読み取り結果において前記識別情報を認識する識別情報認識手段とを含んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載の物流管理システム。
【請求項6】
前記1つ以上のコンピュータが、作業員が携帯する第1携帯装置を含んでおり、
前記第1携帯装置が、前記読み取り手段及び前記識別情報認識手段として機能することを特徴とする請求項に記載の物流管理システム。
【請求項7】
前記1つ以上のコンピュータが、作業員が携帯する、前記第1携帯装置と通信可能な第2携帯装置を含んでおり、
前記第2携帯装置が、
前記識別情報を前記第1携帯装置から取得する手段、並びに、前記識別情報を前記照合手段に送信する手段及び前記識別情報を照合する前記照合手段のいずれかの手段として機能することを特徴とする請求項に記載の物流管理システム。
【請求項8】
前記1つ以上のコンピュータが、
前記拠点側の作業員と前記拠点間の輸送側の作業員との間で前記荷物の受け渡しが行われたことを、前記拠点側の作業員が前記荷物から前記識別情報を読み取った時間と、前記拠点間の輸送側の作業員が前記荷物から前記識別情報を読み取った時間とに基づいて把握する受け渡し把握手段として機能することを特徴とする請求項に記載の物流管理システム。
【請求項9】
前記1つ以上のコンピュータが、作業員が携帯する携帯装置を含んでおり、
前記予定情報が、前記予定記憶手段から前記携帯装置へと送信され、前記携帯装置において閲覧可能になることを特徴とする請求項1又は2に記載の物流管理システム