(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172996
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】電動工具システム
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B25F5/00 C
B25F5/00 Z
B25F5/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091099
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土橋 和生
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA01
3C064AA03
3C064AB02
3C064AC01
3C064BA12
3C064BB58
3C064BB84
3C064CA80
3C064CB17
3C064CB24
3C064CB27
3C064CB62
3C064CB71
3C064CB84
(57)【要約】
【課題】作業効率の向上を図ることができる電動工具システムを提供する。
【解決手段】電動工具システム100は、対象物に対する作業を行う作業者によって把持される電動工具装置1と、対象物において作業が行われる作業箇所を含む撮像範囲の撮像を行う撮像装置2と、を備える。電動工具装置1は、投光部12と位置検出部131と投光制御部132とを備える。投光部12は、可視光の投光を行う。位置検出部131は、作業箇所情報及び撮像画像に少なくとも基づいて位置検出を行う。作業箇所情報は、作業箇所を少なくとも特定可能な情報である。撮像画像は、撮像装置2が作業箇所を含む撮像範囲を撮像した画像である。位置検出は、作業箇所と電動工具装置1との位置関係に関する検出である。投光制御部132は、位置検出の検出結果に基づいて投光制御を行う。投光制御は、作業箇所に向けた可視光の投光を投光部12に行わせる制御である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に対する作業を行う作業者によって把持される電動工具装置と、
前記対象物において前記作業が行われる作業箇所を含む撮像範囲の撮像を行う撮像装置と、を備え、
前記電動工具装置は、
可視光の投光を行う投光部と、
前記作業箇所を少なくとも特定可能な作業箇所情報、及び前記撮像装置が前記作業箇所を含む前記撮像範囲を撮像した撮像画像、に少なくとも基づいて、前記作業箇所と前記電動工具装置との位置関係に関する検出である位置検出、を行う位置検出部と、
前記位置検出の検出結果に基づいて、前記作業箇所に向けた前記可視光の投光を前記投光部に行わせる制御である投光制御、を行う投光制御部と、を備える、
電動工具システム。
【請求項2】
前記位置検出は、前記作業箇所情報及び前記撮像画像に基づく前記作業箇所及び前記電動工具装置の間の相対位置の検出である、
請求項1に記載の電動工具システム。
【請求項3】
前記撮像装置は、前記電動工具装置に固定されている、
請求項2に記載の電動工具システム。
【請求項4】
前記位置検出部は、前記撮像画像において、前記作業箇所の画像である作業箇所画像と、前記対象物に投光された前記可視光の画像である投光画像と、の位置関係である画像位置関係を検出し、
前記投光制御部は、前記画像位置関係が所定の位置関係となるように、前記投光部からの前記可視光の投光方向を制御する、
請求項3に記載の電動工具システム。
【請求項5】
前記撮像装置は、定期的又は不定期に前記撮像を行い、
前記位置検出部は、
前記撮像が行われる度に、前記撮像による前記撮像画像から前記作業箇所画像を検出する画像検出を行い、
前記画像検出によって前記作業箇所画像が未だ検出されていない作業箇所未検出状態から前記作業箇所画像が検出されている作業箇所検出状態への変化の後に、前記画像位置関係の検出を開始する、
請求項4に記載の電動工具システム。
【請求項6】
前記投光制御部は、前記作業箇所未検出状態から前記作業箇所検出状態への変化に応じて前記可視光の投光を開始させ、
前記位置検出部は、前記可視光の投光開始に応じて、前記画像位置関係の検出を開始する、
請求項5に記載の電動工具システム。
【請求項7】
前記投光制御部は、前記画像位置関係が前記所定の位置関係となっていない作業箇所未指示状態では、前記画像位置関係が前記所定の位置関係に近づくように、前記投光方向を制御する、
請求項5又は6に記載の電動工具システム。
【請求項8】
前記画像位置関係が前記所定の位置関係となっている作業箇所指示状態で、前記投光部からの前記可視光によって前記作業箇所が示されている旨の前記作業者への通知を行う通知部を更に備える、
請求項7に記載の電動工具システム。
【請求項9】
前記投光制御部は、前記作業箇所指示状態では、前記電動工具装置の姿勢変化に応じた前記撮像画像における前記作業箇所画像の変位、に前記投光画像が追従するように、前記投光方向を制御する、
請求項8に記載の電動工具システム。
【請求項10】
前記通知部は、前記作業箇所指示状態で、かつ前記撮像画像における前記作業箇所画像の位置が所定の条件を満たす場合に、前記電動工具装置は前記作業箇所を向いている旨の前記作業者への通知を更に行う、
請求項9に記載の電動工具システム。
【請求項11】
前記作業箇所情報は、前記作業箇所での前記作業の作業内容を更に特定可能であり、
前記投光制御部は、前記作業箇所情報を基に特定される作業内容によって異なる態様で、前記作業箇所への前記可視光の投光を前記投光部に行わせる、
請求項1に記載の電動工具システム。
【請求項12】
前記作業箇所情報は、前記作業箇所の画像データであり、
前記位置検出部は、前記撮像画像と前記画像データとの比較により、前記撮像画像において前記作業箇所の画像である作業箇所画像を特定する、
請求項1に記載の電動工具システム。
【請求項13】
前記撮像装置は、前記電動工具装置とは別体であり、
前記位置検出部は、前記撮像装置が前記作業箇所及び前記電動工具装置を含む撮像範囲を撮像した撮像画像と、前記作業箇所情報と、に少なくとも基づいて、前記位置検出を行う、
請求項1に記載の電動工具システム。
【請求項14】
前記作業は、前記作業者が行う複数の作業の各々であり、
前記作業箇所は、前記複数の作業に対応する複数の作業箇所の各々であり、
前記作業箇所情報は、前記複数の作業箇所に対応する複数の作業箇所情報の各々であり、
前記複数の作業箇所情報を記憶する記憶部を更に備え、
前記位置検出部は、前記記憶部に記憶されている前記複数の作業箇所情報、及び前記撮像装置が前記複数の作業箇所を含む撮像範囲を撮像した撮像画像、を基に、前記複数の作業箇所の各々について前記位置検出を実行し、
前記投光制御部は、前記複数の作業箇所に対応する複数の前記位置検出の各々の検出結果に基づいて、前記複数の作業箇所の各々について前記投光制御を実行する、
請求項1に記載の電動工具システム。
【請求項15】
前記記憶部は、前記複数の作業箇所情報を、所定の順序で、又は前記所定の順序に関する順序情報と共に、記憶し、
前記電動工具装置は、前記記憶部に前記所定の順序で記憶されている前記複数の作業箇所情報、又は、前記記憶部に記憶されている前記複数の作業箇所情報及び前記順序情報、を基に、前記複数の作業箇所を前記所定の順序で前記作業箇所に決定する、
請求項14に記載の電動工具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動工具システムに関し、より詳細には、作業者によって把持される電動工具装置を備える電動工具システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業箇所を撮像する撮像装置の撮像画像を基に、作業者が正しい作業箇所で作業を行おうとしているか否かの確認(正常か異常かの判定)を行い、異常と判定された場合に再度作業箇所の撮影を行うよう指示する作業管理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の作業管理システムでは、正常と判定されるまで何度も撮影を行う必要があり、作業効率が低下する場合があった。
【0005】
例えば、作業が、部品等の対象物にあけられた複数のネジ孔のうち、特定のネジ孔へのネジの締め付け作業である場合、作業者は、複数のネジ孔のうち、作業対象であると自身が認識しているネジ孔を撮像する。従って、作業者が、特定のネジ孔以外のネジ孔を作業箇所であると誤認していると、作業管理システムは、異常と判定し、再撮影を指示する。このため、特定のネジ孔が撮像されて正常と判断されるまで、撮影が繰り返される。
【0006】
本開示の目的は、作業効率の向上を図ることができる電動工具システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る電動工具システムは、電動工具装置と撮像装置とを備える。前記電動工具装置は、作業者によって把持される。前記作業者は、対象物に対する作業を行う。前記撮像装置は、作業箇所を含む撮像範囲の撮像を行う。前記作業箇所は、前記対象物において前記作業が行われる箇所である。前記電動工具装置は、投光部と位置検出部と投光制御部とを備える。前記投光部は、可視光の投光を行う。前記位置検出部は、作業箇所情報及び撮像画像に少なくとも基づいて位置検出を行う。前記作業箇所情報は、前記作業箇所を少なくとも特定可能な情報である。前記撮像画像は、前記撮像装置が前記作業箇所を含む前記撮像範囲を撮像した画像である。前記位置検出は、前記作業箇所と前記電動工具装置との位置関係に関する検出である。前記投光制御部は、前記位置検出の検出結果に基づいて、投光制御を行う。前記投光制御は、前記作業箇所に向けた前記可視光の投光を前記投光部に行わせる制御である。
【発明の効果】
【0008】
本開示の電動工具システムは、作業効率の向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る電動工具システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の電動工具システムの動作の一部を説明するためのフローチャートである。
【
図3】
図3は、同上の動作の他の一部を説明するためのフローチャートである。
【
図4】
図4Aは、同上の電動工具システムの初期状態における投光像(スポットライト)を示す模式図であり、
図4Bは、同上の初期状態の後の作業箇所指示状態における投光像を示す模式図である。
【
図5】
図5Aは、同上の投光像が作業箇所指示状態のまま、電動工具装置の回転軸が作業箇所を向くように電動工具装置の姿勢が変化している状態を示す模式図であり、
図5Bは、同上の投光像が作業箇所指示状態のまま、電動工具装置の回転軸が作業箇所を向いた状態を示す模式図である。
【
図6】
図6Aは、同上の投光像が4つの作業箇所のうち1つ目を示している状態の模式図であり、
図6Bは、同上の投光像が4つの作業箇所のうち2つ目を示している状態の模式図であり、
図6Cは、同上の投光像が4つの作業箇所のうち3つ目を示している状態の模式図であり、
図6Dは、同上の投光像が4つの作業箇所のうち4つ目を示している状態の模式図である。
【
図7】
図7は、同上の電動工具システムにおける投光像の変形例(プロジェクションマッピングの映像)を示す模式図である。
【
図8】
図8は、同上の実施形態の変形例の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)概要
最初に、本開示の実施形態の概要について、
図1,
図4A及び
図4B等を用いて説明する。
【0011】
本開示の実施形態に係る電動工具システム100は、
図1に示すように、電動工具装置1と撮像装置2とを備える。
【0012】
(1-1)電動工具装置
電動工具装置1は、作業者(不図示)によって把持される。作業者は、把持している電動工具装置1で、例えば、
図4Aに示すような対象物200に対する作業を行う。
【0013】
(1-2)撮像装置
図1に示す撮像装置2は、撮像を行う。本実施形態における撮像装置2は、
図4Aに示すように、電動工具装置1に固定され、電動工具装置1の前方(後述)を撮像する。
【0014】
(1-3)電動工具装置の要部
電動工具装置1は、
図1に示すように、投光部12と位置検出部131と投光制御部132とを備える。
【0015】
(1-3-1)投光部
投光部12は、投光を行う。投光とは、可視光12Lの放射である。
【0016】
投光は、通常、電動工具装置1の前方に向けて行われる。電動工具装置1の前方とは、例えば
図4Aにおいて回転軸Axに付された矢印の向きである。この矢印の向きは、電動工具装置1によって締め付けられつつある締結部品(第1ネジ301,第2ネジ302:
図6D参照)が回転軸Axの周りに回転しながら進む向きを示している。ただし、投光は、電動工具装置1の側方又は後方に向けて行われる場合があってもよい。
【0017】
電動工具装置1による作業が行われる際には、通常、電動工具装置1の前方に対象物200が存在することから、投光は、対象物200への可視光12Lの照射である、といってもよい。
【0018】
本実施形態における可視光12Lは、通常、対象物200の一部にのみ投光像12Liが生じるような、配光角(発散角)が所定値以下の可視光であり、実施形態では、発散角が概ね0のレーザ光である。
【0019】
すなわち、実施形態における投光部12は、例えば、レーザーポインタであり、投光は、レーザーポインタからのレーザ光の、対象物200の一部(例えば、作業箇所201)への照射である。
【0020】
(1-3-2)位置検出部
図1に示す位置検出部131は、位置検出を行う。
【0021】
位置検出とは、作業箇所201(
図4A参照)と電動工具装置1との位置関係に関する検出である。位置関係は、通常、作業箇所201に対する電動工具装置1の位置(つまり相対位置)である。ただし、位置関係は、所定の基準位置に対する、作業箇所201及び電動工具装置1の各々の位置(つまり絶対位置:例えば、基準位置を原点とする三次元座標など)、の関係でもよい。
【0022】
すなわち、本実施形態における位置検出は、通常、作業箇所201に対する電動工具装置1の相対位置の検出であるが、作業箇所201及び電動工具装置1の各々の絶対位置の検出でもよい。
【0023】
(1-3-2a)撮像画像等に基づく位置検出
位置検出部131は、例えば、作業箇所情報、及び撮像装置2による撮像画像、に少なくとも基づいて、作業箇所201と電動工具装置1との位置関係(相対位置又は絶対位置)に関する位置検出を行う。
【0024】
(1-3-2b)作業箇所情報、及び作業箇所
作業箇所情報とは、作業箇所201に関する情報である。作業箇所201とは、対象物200において作業が行われる箇所である。
【0025】
(1-3-2c)作業箇所情報による作業箇所の特定
作業箇所情報は、作業箇所201を少なくとも特定可能な情報である。
【0026】
作業箇所201を特定可能な情報とは、例えば、作業箇所201の画像データである。作業箇所201の画像データは、例えば、対象物200の3Dデータから生成される2D画像、又は対象物200の設計図のデータなどである。ただし、作業箇所201の画像データは、作業箇所201を事前に撮像した画像(事前撮像画像)でも構わない。なお、事前撮像画像の撮像主体は、撮像装置2でも、別のカメラ(不図示)でもよい。
【0027】
(1-3-2d)撮像画像、及び撮像範囲
撮像画像とは、撮像装置2によって撮像された画像である。本実施形態における撮像画像は、電動工具装置1に固定された撮像装置2が、電動工具装置1の前方の撮像範囲2Rを撮像した画像である。電動工具装置1で対象物200に対する作業が行われるとき、撮像装置2の撮像範囲2Rには、例えば、
図4Aに示すように、対象物200(少なくとも作業箇所201)が含まれる。
【0028】
(1-3-2e)作業箇所の具体的な特定方法:画像比較
作業箇所情報は、例えば、作業箇所201の画像データを含む。
【0029】
位置検出部131は、撮像装置2による撮像画像と、作業箇所情報に含まれる画像データと、の比較(以下「画像比較」と記す)により、撮像画像において、作業箇所201の画像である作業箇所画像、を特定する。画像比較は、例えば、撮像画像と画像データとの間のパターンマッチングなどでもよい。
【0030】
こうして、撮像装置2による撮像画像と、作業箇所情報に含まれる作業箇所201の画像データと、の画像比較を行うことで、撮像画像に含まれる作業箇所画像を的確に特定できる。
【0031】
(1-3-2f)画像比較による相対位置の検出
本実施形態における位置検出部131は、作業箇所情報及び撮像画像に基づいて、作業箇所201に対する電動工具装置1の相対位置に関する位置検出を行う。ただし、相対位置を検出する場合でも、受信信号強度が考慮されてもよい。
【0032】
(1-3-2g)受信信号強度を考慮した絶対位置の検出
絶対位置の検出を行う際には、作業箇所情報及び撮像画像に加えて、例えば、受信信号強度が考慮される。具体的には、例えば、無線信号を受信する受信機が電動工具装置1に設けられ、位置検出部131は、絶対位置が既知である3つ以上の送信機(不図示)の各々から無線信号を受信機が受信した際の受信信号強度に基づく三点測位により、電動工具装置1の絶対位置を検出する。
【0033】
なお、位置検出のための送信機及び受信機の配置は、上記とは逆でもよい。すなわち、無線信号を送信する送信機が電動工具装置1に設けられ、絶対位置が既知である3つ以上の受信機(不図示)の各々が無線信号を受信した際の受信信号強度が電動工具装置1に通知されてもよい。この場合も、位置検出部131は、通知された受信信号強度を基に三点測位を行うことができる。
【0034】
さらに、位置検出部131は、撮像画像及び作業箇所情報を基に、作業箇所201に対する電動工具装置1の相対位置を検出する。そして、位置検出部131は、上記2つの検出結果、つまり、電動工具装置1の絶対位置と、作業箇所201に対する電動工具装置1の相対位置とから、作業箇所201の絶対位置を求めてもよい。
【0035】
(1-3-3)投光制御部
投光制御部132は、位置検出部131による位置検出の検出結果に基づいて、投光制御を行う。
【0036】
投光制御とは、投光部12による可視光12Lの投光に関する制御である。
【0037】
(1-3-3a)各種の投光制御
投光制御は、可視光12Lの投光方向に関する制御を含む。また、投光制御は、可視光12Lの投光態様(例えば、可視光12Lの色である投光色など)に関する制御を含んでもよい。さらに、投光制御は、投光の開始及び終了の少なくとも一方のタイミングに関する投光タイミングの制御を含んでもよい。
【0038】
(1-3-3b)投光方向の制御
投光方向制御は、作業箇所201に向けた可視光12Lの投光を投光部12に行わせる制御である。投光制御は、例えば、撮像範囲2Rに対応する撮像画像において、投光像12Liに対応する投光画像が、作業箇所201に対応する作業箇所画像に近づいていくように、投光部12からの可視光12Lの投光方向12Dを制御することである。
【0039】
(1-3-3c)位置検出の検出結果に基づく投光制御
投光制御部132は、位置検出部131による位置検出の検出結果に基づいて、投光制御を行う。
【0040】
投光制御部132は、例えば
図4Aに示すように、撮像範囲2Rに対応する撮像画像において、投光像12Liに対応する投光画像の位置が、作業箇所201に対応する作業箇所画像の位置へと変位するように、投光部12からの可視光12Lの投光方向12Dを制御する。それによって、撮像範囲2R内の対象物200上で、投光像12Liの位置が作業箇所201に近づく向きに変位していく。
【0041】
(1-3-3d)作業箇所指示状態
このような投光制御によって、投光部12からの可視光12Lは、作業箇所指示状態となる。
【0042】
作業箇所指示状態とは、例えば
図4Bに示すように、対象物200において投光像12Liが作業箇所201を示している状態である。
【0043】
(1-4)利点
このように、本実施形態の電動工具システム100では、電動工具装置1に投光部12が設けられ、電動工具装置1は、作業箇所201及び電動工具装置1の間の位置関係に関する位置検出と、作業箇所201を投光部12からの可視光12Lで示す投光制御と、を行う。これによって、作業者による作業箇所201の把握の容易化が図られ、ひいては作業効率の向上が図られる。
【0044】
なお、ARグラスを用いて作業箇所を示すことも考えられるが、これに対して本実施形態には次のような利点がある。すなわち、本実施形態では、作業を行うとき、電動工具装置1が作業箇所の直近にあり、電動工具装置1と作業箇所との間に障害物が存在する可能性は低いため、作業箇所表示の障害が少ない。これ対して、ARグラスを用いる場合、作業者に装着されたARグラスと作業箇所との間に電動工具装置1が存在する可能性があり、作業箇所表示の障害が多くなる。また、入りこんだ場所の作業を行う場合でも、本実施形態では、電動工具装置1からの投光により作業箇所が見えやすいが、ARグラスを用いる場合は作業箇所が見えにくい。
【0045】
(2)詳細
次に、電動工具システム100の詳細について、
図1及び
図4A~
図5Bを用いて説明する。なお、以下では、既出事項の説明を省略又は簡略化している。
【0046】
(2-1)複数の作業箇所、及び現時点の作業箇所
対象物200には、複数の作業箇所201が存在していてもよい。
【0047】
本実施形態における対象物200には、例えば
図4Aに示すように、4つの作業箇所201(4つのネジ孔201A~201D)が存在する。ただし、複数の作業箇所201は、一の対象物200に存在するとは限らず、例えば、複数の対象物200に分散して存在していてもよい。
【0048】
(2-2)複数の作業
作業者は、複数の作業箇所201に対応する複数の作業を、電動工具装置1によって順次行ってもよい。この場合、「(1)概要」で説明した作業は、作業者が行う複数の作業の各々である。同様に、作業箇所201は、複数の作業に対応する複数の作業箇所(201A~201D)の各々である。作業箇所情報は、複数の作業箇所(201A~201D)に対応する複数の作業箇所情報の各々である。
【0049】
現時点での作業箇所201は、複数の作業箇所201のいずれか1つであり、以下では、現時点の作業箇所201を単に「作業箇所201」と称する場合がある。
【0050】
(2-3)作業箇所情報による作業内容の特定
作業箇所情報は、作業箇所201を特定可能であるのに加えて、作業内容を更に特定可能である。
【0051】
作業内容とは、作業箇所201での作業の内容である。作業内容は、例えば、作業の種類(締め付け作業、孔あけ作業など)でもよし、締め付け作業で使用する締結部品(301,302)の種類(第1ネジ301、第2ネジ302など)でもよいし、孔あけ作業で使用するドリルのサイズ(3mm、5mmなど)でも構わない。
【0052】
本実施形態における作業箇所情報は、作業箇所201の画像データに加えて、作業内容情報を更に含む。作業内容情報とは、作業箇所201での作業内容に関する情報である。
【0053】
(2-3-1)投光態様の制御:作業内容によって異なる態様での投光
投光制御部132は、作業箇所情報を基に特定される作業箇所201に対し、作業箇所情報を基に更に特定される作業内容によって異なる態様で、可視光12Lの投光を行わせる。
【0054】
異なる態様とは、例えば、異なる色、異なる輝度、異なる点灯パターンなどである。異なる色とは、例えば、緑色と青色などであり、異なる輝度とは、例えば、第1輝度B1と第2輝度B2(B1<B2)などであり、異なる点灯パターンは、例えば、点滅と連続点灯、高速点滅と低速点滅などである。
【0055】
本実施形態における投光制御部132は、作業箇所情報を基に特定される作業箇所201に対し、作業箇所情報を基に更に特定される作業内容によって異なる色(例えば、第1ネジ301の締め付け作業の場合は緑色、第2ネジ302の締め付け作業の場合は青色など)で、投光部12に可視光12Lの投光を行わせる。
【0056】
これにより、投光像12Liによって作業箇所201を示す際に、作業箇所201での作業内容(例えば、作業箇所201で用いる締結部品の種類など)をも作業者に把握させることができる。
【0057】
(2-4)電動工具装置、及びそれを用いて行われる作業の詳細
電動工具装置1は、
図1に示すように、記憶部10と駆動部11と投光部12と処理部13とを備える。処理部13は、位置検出部131と投光制御部132と通知部133とを備える。
【0058】
なお、記憶部10は、電動工具装置1が備えているとは限らず、電動工具システム100の電動工具装置1以外の構成要素(例えば、撮像装置2)が備えていてもよい。
【0059】
(2-4-1)記憶部
記憶部10は、1つ以上の作業箇所201に対応する1つ以上の作業箇所情報を記憶する。
【0060】
複数の作業箇所情報が記憶部10に記憶される場合、記憶部10は、所定の順序に関する順序情報を更に記憶する。所定の順序とは、複数の作業箇所情報に対応する複数の作業、の実行の順序である。なお、順序情報が更に記憶されることに代えて、複数の作業箇所情報が所定の順序で記憶されていてもよい。
【0061】
なお、記憶部10は、通常、電動工具装置1が有するメモリ(不図示)によって実現される。ただし、記憶部10は、電動工具装置1が有するプロセッサ(不図示)によるアクセスが可能なものであれば、例えば、電動工具システム100が有する他のメモリ、外部の装置(例えば、クラウド上のサーバなど:不図示)のメモリやその他の記憶媒体、などによって実現されてもよい。
【0062】
(2-4-1a)対象物情報
作業箇所情報は、例えば、対象物情報の構成要素である。すなわち、記憶部10は、1つ以上の作業箇所情報を含む対象物情報を記憶してもよい。
【0063】
対象物情報とは、対象物200に関する情報である。例えば、
図4Aに示すような対象物200の場合は、4つの作業箇所201(例えば、4つのネジ孔201A~201D:
図4A参照)に対応する4つの作業箇所情報が対象物情報に含まれている。
【0064】
(2-4-1b)対象物情報の具体例
対象物情報は、例えば、3Dモデル及び2D画像の少なくとも一方を含む。3Dモデルは、対象物200の3次元形状に関するモデルである。2D画像は、対象物200の二次元の画像であり、例えば、設計図の画像であるが、上面図及び側面図などの複数の平面図(外観図)の組でもよい。2D画像は、例えば、3Dモデルから作成されるCG画像であるが、対象物200を撮像した画像でも構わない。
【0065】
また、対象物情報は、例えば、対象物200の属性に関する属性情報(部品名、品番、素材、寸法など)を更に含んでもよい。
【0066】
(2-4-1c)基準情報
対象物情報は、例えば、基準情報の構成要素である。基準情報とは、作業の基準となる情報である。すなわち、記憶部10は、対象物情報を含む基準情報を記憶してもよい。基準情報は、例えば、1つ以上の対象物200に対応する1つ以上の対象物情報を含む。基準情報は、具体的には、例えば、BIM(Building Information Modeling)データなどであってもよい。
【0067】
(2-4-2)駆動部
駆動部11は、電動工具装置1が有するアンビル(不図示)を、
図4Aに示す回転軸Axの周りに回転駆動する。
【0068】
アンビルには、電動工具装置1で行われる各種の作業に応じた各種の先端工具が取り付けられる。各種の作業とは、例えば、締め付け作業、孔あけ作業などであり、各種の先端工具とは、例えば、締め付け作業用のビット、孔あけ作業用のドリルなどである。
【0069】
電動工具装置1で行われる作業は、例えば、対象物200に対する締結部品(301,302)の締め付け作業である。締結部品(301,302)は、各種のネジ孔201A~201D(例えば、
図6Dに示すような第1ネジ301)であるが、クランプ(不図示)などでもよい。
【0070】
駆動部11がアンビル(及びこれに取り付けられるビット等の先端工具)を回転駆動することにより、1つ以上の作業箇所201の各々に、第1ネジ301又は第2ネジ302等の締結部品(301,302)が締め付けられる。1つ以上の作業箇所201は、例えば、
図4Aに示すような、矩形の対象物200の四隅に予め開けられた4つのネジ孔201A~201D、である。
【0071】
または、電動工具装置1で行われる作業は、対象物200に対し、孔あけ用のドリルで4つのネジ孔201A~201D等をあける作業などでもよい。
【0072】
(2-4-3)処理部
処理部13は、各種の処理を行う。各種の処理とは、位置検出部131の処理、投光制御部132の処理、及び通知部133の処理などである。また、処理部13は、
図2及び
図3のフローチャートで説明する各種の判断などの処理も行う。
【0073】
なお、処理部13は、電動工具装置1が有するプロセッサ、及び前述したようなメモリによって実現される。メモリには、例えば、フローチャートに対応するプログラム、及び基準情報等の情報が記憶され、プロセッサがメモリ内のプログラム及び情報に基づいて動作することにより、フローチャートの処理が実現される。
【0074】
(2-5)撮像装置の詳細
(2-5-1)電動工具装置に対する撮像装置の向き
本実施形態における撮像装置2は、電動工具装置1に対して、例えば、
図4Aに示されるように、撮像装置2の光軸(撮像装置2から撮像範囲2Rの中心に向かう向き)が、電動工具装置1の回転軸Axに対して平行(又は略平行)になるような向き、に固定される。
【0075】
撮像装置2は、電動工具装置1に対して、例えば、着脱可能に固定されてもよいし、離脱不能に固定されてもよいし、予め一体化されていてもよい。
【0076】
(2-5-2)撮像装置の固定の態様
本実施形態における撮像装置2は、電動工具装置1に対して、回転不能に固定される。ただし、撮像装置2は、電動工具装置1に対して回転可能に固定されてもよい。撮像装置2は、例えば、初期状態での上記向き(電動工具装置1の向きと同じ向き)を基準として、上下及び左右の少なくとも一方向に回転可能に固定されてもよい。それによって、初期状態における撮像装置2の電動工具装置1に対する向きの調整、ひいては対象物200における投光像12Liの位置調整が可能となる。
【0077】
このように、撮像装置2が電動工具装置1に固定されたことで、撮像装置2が電動工具装置1に固定されていない場合(つまり、電動工具装置1とは別体である場合)と比べて、位置検出のための処理量の削減を図ることができる。また、撮像装置2が電動工具装置1に固定されていないと、作業者に遮られて作業箇所201に投光できない不具合が発生することがあるが、撮像装置2が電動工具装置1に固定されていることで、このような不都合の発生の回避を図ることができる。
【0078】
(2-6)位置検出の詳細:作業箇所及び電動工具装置の間の相対位置の検出
本実施形態における位置検出は、作業箇所情報及び撮像画像に基づく、作業箇所201及び電動工具装置1の間の相対位置の検出である。
【0079】
すなわち、位置検出部131は、特定された作業箇所に対応する作業箇所情報、及び撮像装置2による撮像画像に基づいて、作業箇所201及び電動工具装置1の間の相対位置を検出する。
【0080】
こうして、電動工具装置1が、作業箇所201及び電動工具装置1の間の相対位置に関する検出結果を用いて投光制御を行うことで、電動工具装置1(又は撮像装置2)の絶対位置の検出を併用する場合と比べて、電動工具システム100の単純化を図ることができる。
【0081】
(2-7)画像位置関係の検出、及び検出結果に基づく投光方向の制御
位置検出部131は、画像位置関係を検出する。画像位置関係とは、例えば
図4A等に示す撮像範囲2Rに対応する撮像画像(以下、単に「撮像画像」と記す場合がある)において、作業箇所201の画像である作業箇所画像と、対象物200に投光された可視光12L(対象物200上に生じた投光像12Li)の画像である投光画像と、の位置関係である。
【0082】
投光制御部132は、画像位置関係が所定の位置関係となるように、投光部12からの可視光12Lの投光方向12Dを制御する。
【0083】
(2-7-1)所定の位置関係
所定の位置関係とは、例えば、撮像画像において投光画像が作業箇所画像と重なるような位置関係である。投光画像が作業箇所画像と重なるような位置関係とは、例えば、投光画像が作業箇所画像の全体を覆うような位置関係(例えば、
図4Bに示すように、投光像12Liが作業箇所201の全体を覆うように照射されている状態、に対応する位置関係)である。ただし、所定の位置関係は、例えば、投光画像と作業箇所画像とが部分的に重なる(又は外接する)ような位置関係でもよいし、投光画像の全体が作業箇所画像の範囲内に存在するような位置関係でも構わない。
【0084】
または、所定の位置関係は、撮像画像において、投光画像が作業箇所画像に対して所定の向きに所定の距離だけ離れているような位置関係であってもよい。なお、このような位置関係は、例えば、初期状態における可視光12Lの投光方向12D(投光部12の光軸)と、撮像装置2の光軸とが、互いに平行であるが、所定の向きに所定の距離だけ離れていることに起因するものであってもよい。
【0085】
投光画像が作業箇所画像に対して所定の向きに所定の距離だけ離れているような位置関係とは、具体的には、例えば、作業箇所画像から投光画像への向きが、所定の向きに対して一定範囲内にあり、かつ作業箇所画像から投光画像への距離が、所定の距離に対して一定範囲内にあるような位置関係であってもよい。
【0086】
(2-7-2)画像位置関係に基づく投光方向制御の利点
このように、電動工具装置1は、撮像画像における作業箇所画像と投光画像との画像位置関係を基に投光方向を制御することで、位置検出及び投光制御のための処理量の削減を図ることができる。
【0087】
(2-8)撮像の態様:定期的な又は不定期の撮像
撮像装置2は、通常、定期的に撮像を行う。定期的な撮像は、例えば、動画像の撮像(動画撮影)であるが、一定周期での静止画の撮像でもよい。ただし、撮像装置2は、不定期に撮像を行ってもよい。つまり、一連の撮像(複数回の撮像)の間の時間間隔は、通常、一定であるが、必ずしも一定でなくてもよい。なお、「定期的な又は不定期の撮像」は、例えば「間欠的な撮像」又は「反復的な撮像」などと言い換えてもよい。
【0088】
このように、撮像装置2は、例えば、動画撮影を行うが、静止画撮影を適宜なタイミングで繰り返し行ってもよい。
【0089】
(2-9)画像位置関係の検出開始タイミング
位置検出部131は、例えば、撮像が行われる度に、撮像による撮像画像から作業箇所画像を検出する画像検出を試みる。そして、位置検出部131は、画像検出によって作業箇所画像が未だ検出されていない作業箇所未検出状態から、作業箇所画像が検出されている作業箇所検出状態への変化、の後に画像位置関係の検出を開始する(S4:Yes→S6:
図2及び
図3参照)。
【0090】
このように、電動工具システム100では、作業箇所画像の検出後に画像位置関係の検出が開始される。つまり、電動工具装置1は、作業箇所201が撮像装置2の撮像範囲2Rに入って初めて、電動工具装置1は画像位置関係の検出を行うので、電動工具装置1での位置検出のための処理量の削減を図ることができる。
【0091】
(2-10)投光の開始タイミング及び画像位置関係検出の開始タイミング
投光制御部132は、作業箇所未検出状態から作業箇所検出状態への変化に応じて、投光部12に可視光12Lの投光を開始させる(S4:Yes→S5:
図2参照)。位置検出部131は、可視光12Lの投光開始に応じて、画像位置関係の検出を開始する(S5→S6)。
【0092】
このように、電動工具システム100では、作業箇所画像の検出に応じて投光が開始された後、画像位置関係の検出が開始される。つまり、電動工具装置1は、作業箇所201が撮像装置2の撮像範囲2Rに入って初めて投光を行うことで、投光のための消費電力の削減及び投光制御のための処理量の削減を図ることができる。
【0093】
(2-11)作業箇所未指示状態での方向制御
投光制御部132は、画像位置関係が所定の位置関係となっていない作業箇所未指示状態では、画像位置関係が所定の位置関係に近づくように、投光方向12Dを制御する。
【0094】
詳しくは、投光制御部132は、例えば、作業箇所未指示状態で、最初に、第1方向(例えば、左右方向)について、画像位置関係が所定の位置関係に最も近づくように投光方向12Dを制御し、次に、第1方向と垂直な第2方向(例えば、上下方向)について、画像位置関係が所定の位置関係に最も近づくように投光方向12Dを制御してもよい。または、このような第1方向に関する制御及び第2方向に関する制御が並列に行われてもよい。
【0095】
このように、作業箇所未指示状態では、画像位置関係が所定の位置関係に近づくような方向制御が行われる。こうして、電動工具装置1は、画像位置関係を基に、投光方向12Dの的確な制御が行える。
【0096】
(2-12)作業箇所指示状態の維持のための方向制御
投光制御部132は、作業箇所指示状態では、電動工具装置1の姿勢変化に応じた撮像画像における作業箇所画像の変位、に投光画像が追従するように、投光方向12Dを制御する。電動工具装置1の姿勢変化は、例えば、電動工具装置1の向きの変化、又は回転軸Axの向きの変化、といってもよい。
【0097】
詳しくは、作業箇所指示状態で、作業者が電動工具装置1の姿勢を変化させると、撮像画像において作業箇所画像(及びこれを含む対象物200の画像全体)が変位(撮像画像における作業箇所画像の位置が変化)する。投光制御部132は、このような変位を検知し、検知した作業箇所画像の変位に投光画像が追従する(作業箇所画像の変位に連れて投光画像も変位する)ように、投光方向12Dを制御する。
【0098】
これにより、電動工具装置1の姿勢変化に応じて、画像位置関係が所定の位置関係にから外れようとしたときに、所定の位置関係に戻る(近づく)ように投光方向12Dが制御される。従って、電動工具装置1の姿勢が変化しても、対象物200上の投光像12Liは、作業箇所201を示し続けたままとなり、作業箇所指示状態が維持される。
【0099】
一般に、作業者は、作業箇所指示状態で電動工具装置1が投光像12Liで示されている作業箇所201を向いていなければ、電動工具装置1の姿勢を例えば
図4B→
図5A→
図5Bのように変化させることで、電動工具装置1を作業箇所201に向ける動作を行う。
【0100】
詳しくは、前述した
図4Aは、作業者が電動工具装置1を、作業箇所201(ネジ孔201A等)を含む作業対象200に向けた状態を示している。この状態で、電動工具装置1の回転軸Axは、作業対象200の中心付近を向いており、投光像12Liも、作業対象200の中心付近にある。
図4Bは、電動工具装置1の姿勢は
図4Aと同じまま、投光方向12Dが自動的に変化したことで、投光像12Liがネジ孔201Aに当たっている状態、を示している。
図5Aは、電動工具装置1の回転軸Axが、投光像12Liの当たっているネジ孔201Aを向くように、作業者が工具1の姿勢を変化させている途中の状態、を示している。
図5Bは、電動工具装置1の姿勢を変化させる動作が完了し、回転軸Axが、投光像12Liの当たっているネジ孔201A、を向いた状態を示している。
図5Bの状態で、作業者は、ネジ孔201Aにネジ301を挿入し、電動工具装置1のトリガスイッチを操作し、それによってネジ孔201Aに対するネジ301の締め付け作業が実行される。
【0101】
もし電動工具装置1が投光制御を行わなければ、このような作業者の動作に伴い、作業箇所201を示していた投光像12Liは、作業箇所201から外れていく。しかし、本実施形態では、電動工具装置1は、投光制御を行うことによって、電動工具装置1を作業箇所201に向ける動作が行なわれている期間も、投光像12Liで作業箇所201を示し続けることができる。
【0102】
(2-13)通知部
電動工具システム100は、
図1に示すように、通知部133を更に備える。通知部133は、電動工具装置1と作業箇所201との間の位置関係に関連する各種の通知を行う。各種の通知は、例えば、後述する第1通知、及び後述する第2通知などである。
【0103】
(2-13-1)第1通知:作業箇所指示状態の通知
通知部133は、画像位置関係が所定の位置関係となっている作業箇所指示状態で、第1通知を行う。第1通知とは、投光部12からの可視光12Lによって作業箇所201が示されている旨の作業者への通知である。第1通知は、例えば、電動工具装置1に設けられたランプLmの点滅(
図4B参照)による通知である。ただし、第1通知は、例えば、ランプLmの所定の色(例えば、黄色)での点灯による通知などでもよい。
【0104】
または、第1通知は、投光部12からの可視光12Lそれ自体の変化(例えば、色の変化、輝度の変化、点滅など)による通知でもよい。本実施形態では、投光部12からの可視光12Lの色で作業内容を示すため、第1通知は、色の変化以外の変化が好適であり、例えば、輝度の変化による通知でもよい。輝度の変化による第1通知は、例えば、作業箇所指示状態となったときに、可視光12Lの輝度を、第1輝度から第2輝度に高めることであってもよい。
【0105】
(2-13-1a)第1通知の開始及び停止
通知部133は、作業箇所未指示状態から作業箇所指示状態への変化に応じて、第1通知を開始する。そして、作業箇所指示状態では、撮像画像における作業箇所画像の位置が所定の条件(後述)を満たすことで第2通知が開始されるまで、第1通知は継続される。撮像画像における作業箇所画像の位置が所定の条件を満たす前に、作業箇所未指示状態となった場合、第1通知は停止される。
【0106】
(2-13-1b)第1通知の利点
こうして、投光像12Liが作業箇所201を示していることを作業者に通知する(例えば、作業箇所未指示状態から作業箇所指示状態への変化に応じて、ランプLmを消灯状態から点滅状態に変化させる)ことで、作業箇所201に向かって移動中の投光像12Liによって示される、作業箇所201とは別の箇所、が作業箇所201であると誤解される不都合の回避を図ることができる。
【0107】
また、作業者が、作業箇所201とは別の箇所を作業箇所201と誤解している場合に、作業箇所201を投光像12Liによって示すことで、作業者に対して、電動工具装置1を作業箇所201に向ける(電動工具装置1の姿勢を
図4B→
図5A→
図5Bのように変化させる)動作を促すことができる。
【0108】
(2-13-2)第2通知:作業箇所指示状態で工具が作業個所を向いたことの通知
通知部133は、作業箇所指示状態で、かつ撮像画像における作業箇所画像の位置が所定の条件を満たす場合に、第2通知を更に行う。
【0109】
第2通知とは、投光像12Liが作業箇所201を示し、かつ電動工具装置1(回転軸Ax)が作業箇所201を向いている旨の作業者への通知である。本実施形態における第2通知は、例えば、ランプLmの連続点灯(
図5B参照)による通知である。
【0110】
または、第2通知は、ランプLmの別の色での点灯状態による通知でもよい。例えば、ランプLmが点滅状態から連続点灯状態へと変化したこと(又は第1色から第2色に変化したこと)で、投光像12Liが作業箇所を示したまま、電動工具装置1が作業箇所201を向いたことが分かる。
【0111】
または、第2通知は、投光部12からの可視光12Lそれ自体の変化(例えば、色の変化、輝度の変化、点滅など)による通知でもよい。
【0112】
(2-13-2a)所定の条件
所定の条件は、例えば、作業箇所画像が、撮像画像の中央に位置しているという条件である。作業箇所画像が撮像画像の中央に位置していることは、例えば、作業箇所画像が、撮像画像の中心点から所定の範囲内(例えば所定の半径の円内)に位置していることであってもよい。
【0113】
または、所定の条件は、作業箇所画像が、撮像画像の中央から所定の向きに所定の距離だけ離れた場所に位置している、という条件であってもよい。作業箇所画像が撮像画像の中央から所定の向きに所定の距離だけ離れた場所に位置していることは、例えば、撮像画像の中心点から作業箇所画像への向きが、所定の向きに対して一定範囲内にあり、かつ撮像画像の中心点から作業箇所画像への距離が、所定の距離に対して一定範囲内にあるような場所、に位置していることであってもよい。
【0114】
(2-13-2b)第2通知の利点
こうして、電動工具装置1が作業箇所201に向いたことを作業者に更に通知する(例えば、所定の条件が満たされていない状態から満たされている状態への変化に応じて、ランプLmを点滅状態から連続点灯状態に変化させる)ことで、作業者に対して、電動工具装置1よる作業箇所201への作業の開始を促すことができる。
【0115】
(3)動作例
次に、
図2及び
図3のフローチャートを用いて電動工具システム100の動作例を説明する。なお、以下では、既出事項の説明を省略又は簡略化している。また、以下の説明では、
図6に例示しているように、作業対象200に同じサイズの複数のネジ孔(200A~200D)がある一方、どのネジ孔にも適合する複数種類のネジ(例えば、径は同じで長さが異なる第1ネジ301及び第2ネジ302、等)が準備されており、各ネジ孔に対して指定された種類のネジを締め付けていく、という作業を想定している。つまり、作業箇所(ネジ孔200A~200D)によって、作業内容(第1ネジの締め付け作業か、第2ネジの締め付け作業か)が異なっている。
【0116】
電動工具システム100が起動されると、撮像装置2は撮像を開始し、電動工具装置1は
図2及び
図3の処理を開始する。なお、
図2及び
図3の処理は、電動工具システム100の動作停止に応じて終了される。
【0117】
最初に、処理部13は、初期処理を行う(ステップS1)。初期処理では、記憶部10からの基準情報の読込み等が行われる。基準情報は、対象物200に関する対象物情報を含み、対象物情報は、4つの作業箇所201(4つのネジ孔201A~201D)に対応する4つの作業箇所情報、及び4つの作業箇所201の作業順序に関する順序情報を含む。
【0118】
次に、処理部13は、基準情報に含まれる順序情報等を用いて、作業箇所201の決定を行う(ステップS2)。
【0119】
次に、処理部13を構成する投光制御部132は、ステップS2で決定された作業箇所201に対応する作業内容に応じた投光態様(例えば、投光色)の決定を行う(ステップS3)。
【0120】
例えば、“ネジ孔201A”が作業箇所201に決定された場合、この作業箇所“ネジ孔201A”に対する作業内容が“第1ネジ301の締め付け”であることから、この作業内容“第1ネジ301の締め付け”に対応する投光態様として、投光色“緑色”が決定される。また、例えば、“ネジ孔201C”が作業箇所201に決定された場合、作業箇所“ネジ孔201C”に対する作業内容が“第2ネジ302の締め付け”であることから、この作業内容“第2ネジ302の締め付け”に対応する投光態様として、投光色“青色”が決定される。
【0121】
なお、作業対象(ネジ孔201A~201D)の位置と作業内容(ネジの種類:第1ネジ301,第2ネジ302)との対応関係、を作業者が事前に理解していれば(又は、例えば、ネジ孔の径が異なっていて、そのネジ孔にどのネジを締め付けるべきかが一見して明らかである場合)には、ステップS3の処理は不要である。ただし、作業対象の位置を可視光12Lで示すと共に、作業内容を可視光の色で示せば、上記対応関係を作業者が事前に理解していない(又は、見た目では判断できない)場合でも、一連の作業を容易に進めることができる。
【0122】
次に、投光制御部132は、作業箇所画像の未検出状態から検出状態への変化があったか否かを判断する(ステップS4)。作業箇所画像の未検出状態から検出状態への変化がまだないと判断された場合(ステップS4でNo)、処理はステップS4に戻る。
【0123】
ステップS4で作業箇所画像の未検出状態から検出状態への変化があった(Yes)と判断されると、投光制御部132は、投光部12に可視光12Lの投光を開始させる(ステップS5)。
【0124】
次に、位置検出部131は、撮像装置2からの撮像画像と、ステップS2で決定された撮像箇所に対応する撮像箇所情報とに基づいて、撮像画像における作業箇所画像及び投光画像の間の位置関係(画像位置関係)に関する位置検出を行う(ステップS6)。
【0125】
次に、位置検出部131は、ステップS6での位置検出の結果に基づいて、投光像12Liが作業箇所201を示している(画像位置関係が所定の位置関係にある)か否かを判断する(ステップS7)。投光像12Liが作業箇所201を示していない(画像位置関係が所定の位置関係にない)と判断された場合(ステップS7でNo)、投光制御部132は、投光像12Liが作業箇所201を示す(画像位置関係が所定の位置関係に近づく)ように、投光方向の制御を行う(ステップS8)。その後、処理はステップS6に戻る。
【0126】
ステップS7で投光像12Liが作業箇所201を示している(Yes)と判断されると、通知部133は、例えばランプLmを点滅状態とする(
図4B参照)ことで、第1通知を行う(ステップS9)。
【0127】
次に、処理部13は、電動工具装置1が作業箇所201を向いているか否かを判断する(ステップS10)。電動工具装置1が未だ作業箇所201を向いていないと判断された場合(ステップS10でNo)、処理はステップS6に戻る。
【0128】
ステップS10で電動工具装置1が作業箇所201を向いている(Yes)と判断されると、通知部133は、例えばランプLmを連続点灯状態とすることで、第2通知を行う(ステップS11)。
【0129】
次に、処理部13は、駆動部11の動作状態に基づいて、ステップS2で決定された作業箇所201に対する作業が実行されたか否かを判断する(ステップS12)。決定された作業箇所201に対する作業が未だ実行されていないと判断された場合(ステップS12でNo)、処理はステップS6に戻る。
【0130】
ステップS12で、決定された作業箇所201に対する作業が実行された(Yes)と判断されると、投光部12は、可視光12Lの投光を停止する(ステップS13)。
【0131】
次に、処理部13は、全ての作業箇所201(ここでは、4つのネジ孔201A~201D)の作業が完了したか否かを判断する(ステップS14)。全ての作業箇所201の作業が未だ完了していない(4つのネジ孔201A~201Dの中に、未だ作業箇所に決定されていないネジ孔が残っている)と判断された場合(ステップS14でNo)、処理はステップS2に戻る。
【0132】
ステップS14で全ての作業箇所201の作業が完了した(Yes)と判断されると、処理は終了される。
【0133】
なお、以上の処理において、ステップS6~S12のループは、例えば1秒といった周期で繰り返される。そして、ステップS6~S12のループのうち、ステップS6からステップS7でNo→S8を経てステップS6に戻るループが、
図4Aの状態(ランプ消灯状態)に対応する。また、ステップS6からステップS7でYes→ステップS9→ステップS10でNoを経てS6に戻るループが、
図4B及び
図5Aの状態(ランプ点滅状態)に対応する。さらに、ステップS6からステップS7でYes→ステップS9→ステップS10でYes→ステップS11→ステップS12でNoを経てS6に戻るループが、
図5Bの状態(ランプ連続点灯状態)に対応する。
【0134】
なお、以上の処理において、ステップS12でNoの場合、処理はステップS10に戻ってもよい。つまり、投光像12Liが作業箇所201を示したときに、ステップS7の判断結果がNoからYesに変化し、ランプLmが点滅開始することで、作業者は作業箇所201を認識する。従って、作業者が作業箇所201を認識した後は、ステップS6~S9は実行しなくてもよい(ただし、その場合は、ステップS10~S12のループ内に、位置検出を行うステップが追加される)。これにより、ランプLmの頻繁な状態変化の抑制を図ることができる。
【0135】
(4)具体例
次に、
図4A~
図6Dを用いて、電動工具システム100の動作の具体例を説明する。なお、以下では、既出事項の説明は省略又は簡略化している。
【0136】
本具体例での作業は、対象物200の4つのネジ孔201A~201Dに、“ネジ孔201A,ネジ孔201B,ネジ孔201C,ネジ孔201D”の順序で、第1ネジ301及び第2ネジ302のいずれかを締め付けていく作業である。4つのネジ孔201A~201Dうち、2つのネジ孔201A及び201Bには、第1ネジ301が、他の2つのネジ孔201C及び201Dには、第2ネジ302が、それぞれ締め付けられる。
【0137】
作業内容が“第1ネジ301の締め付け”である作業箇所201には、第1態様の可視光12Lである“緑色光”が、作業内容が“第2ネジ302の締め付け”である作業箇所201には、第2態様の可視光12Lである“青色光”が、それぞれ投光される。緑色光が第1ネジ301に、青色光が第2ネジ302に、それぞれ対応することは、作業者が事前に認識している。
【0138】
なお、本例では、上記のような2種類の作業内容を想定しているが、例えば、色の数を増やすことで、更にはランプLmのセグメント数を増やすことで、より多くの種類の作業を区別可能になる。
【0139】
記憶部10は、このような対象物200に関する対象物情報を記憶している。この対象物情報には、4つのネジ孔201A~201Dに対応する4つの作業箇所情報、及び順序情報が含まれる。4つの作業箇所情報の各々は、作業箇所(ネジ孔201A~201D)の画像データ、並びに作業内容及び投光態様に関する情報を含む。
【0140】
作業者が電動工具装置1を手で把持し、電源ボタン(不図示)を押すと、電動工具装置1は、撮像装置2と共に起動し、撮像装置2による撮像が開始される。作業者が把持している電動工具装置1を対象物200に向けると、撮像装置2の撮像画像から作業箇所画像が検出され、投光部12から可視光12Lの投光が開始される。
【0141】
この時点(初期状態)で、電動工具装置1(回転軸Ax)は、
図4Aに示すように、対象物200の略中央を向いており、投光部12から可視光12Lは、対象物200の略中央に向けて照射され、対象物200の略中央に可視光12Lの投光像12Liが結像する。
【0142】
電動工具装置1では、順序情報を基に、まず、ネジ孔201Aが作業箇所201に決定される。次に、作業箇所201(ネジ孔201A)に対応する作業箇所情報を基に、作業箇所201(ネジ孔201A)に対する作業内容が“第1ネジ301の締め付け”であることが特定され、作業箇所201(ネジ孔201A)に対する投光態様が“緑色光”に決定される。そして、投光部12から、決定された投光態様での可視光12Lの投光(緑色光の投光)が開始される。
【0143】
位置検出部131によって、撮像範囲2Rに対応する撮像画像において、対応する作業箇所画像と、投光像12Liに対応する投光画像と、の間の画像位置関係が検出される。そして、投光制御部132によって、画像位置関係が所定の位置関係に近づく(投光画像が作業箇所画像に接近する)ように、投光部12からの可視光12Lの投光方向が制御されることで、
図4Bに示すように、投光像12Liが作業箇所201(ネジ孔201A)を示している状態(作業箇所指示状態)となる。こうして作業箇所指示状態となったことに伴い、ランプLmが消灯状態から点滅状態に変化する。
【0144】
作業者は、ランプLmが点滅状態となったことで、投光像12Liが作業箇所201(ネジ孔201A)を示していることを認識する。この時点(作業箇所指示状態となった時点)での電動工具装置1の向きは、作業箇所201(ネジ孔201A)を向いていないため、作業者は、電動工具装置1が作業箇所201(ネジ孔201A)を向くように、電動工具装置1の姿勢(回転軸Axの向き)を変化させる。
【0145】
仮に、投光方向の制御を行わなかったとすると、このような姿勢変化に伴って、可視光12Lの投光方向も、回転軸Axの向きと同様に変化し、投光像12Liの位置が作業箇所201(ネジ孔201A)の位置から外れていく。しかし、本具体例では、このような姿勢変化の途中でも、画像位置関係を所定の位置関係に近づける(戻す)ような投光方向の制御が、投光制御部132によって行われることで、
図5Bに示すように、投光像12Liは、作業箇所201(ネジ孔201A)を示している作業箇所指示状態のまま維持される。
【0146】
その後、
図5Bに示すように、電動工具装置1が作業箇所201(ネジ孔201A)を向いた状態となると、電動工具装置1において、撮像画像における作業個所画像の位置に関する所定の条件(本具体例では、作業箇所画像が、撮像画像の中央に位置している、という条件)を満たしたと判断され、ランプLmが点滅状態から連続点灯状態に変化する。これにより、作業者は、電動工具装置1が作業箇所201(ネジ孔201A)を向いていることを認識する。
【0147】
この時点での撮像範囲2Rが、
図6Aに示されている。この撮像範囲2Rにおいて、作業箇所201(ネジ孔201A)への投光像12Liが緑色(
図6Aでは、便宜上、実線で示している)であることから、作業者は、次に行うべき作業が作業箇所201(ネジ孔201A)に第1ネジ301を締め付ける作業であることを認識し、電動工具装置1で作業箇所201(ネジ孔201A)に第1ネジ301を締め付ける作業を実行する。
【0148】
作業箇所201(ネジ孔201A)への第1ネジ301の締め付け作業の完了に応じて、電動工具装置1では、ランプLmが連続点灯状態から消灯状態に変化することで、作業箇所指示状態でなくなったことが通知される。また、順序情報を基に、ネジ孔201Bが作業箇所201に決定される。さらに、作業箇所201(ネジ孔201B)に対応する作業箇所情報を基に、作業箇所201(ネジ孔201B)に対する作業内容が“第1ネジ301の締め付け”であることが特定され、作業箇所201(ネジ孔201B)に対する投光態様が“緑色光”(現状の投光態様のまま変更なし)に決定される。
【0149】
この時点で、
図6Bに示すように、ネジ孔201Aの位置には、上記作業で締め付けられた第1ネジ301が存在し、投光部12からの投光像12Liは、ネジ孔201A上の第1ネジ301を示している。電動工具装置1では、位置検出部131によって、作業箇所201(ネジ孔201B)に対応する作業箇所画像と、投光像12Liに対応する投光画像と、の間の画像位置関係が検出される。そして、投光制御部132によって、投光画像が作業箇所画像に接近するように投光方向が制御されることで、投光像12Liは、作業箇所201(ネジ孔201B)を示している状態(作業箇所指示状態)となる。これに伴い、ランプLmが消灯状態から点滅状態に変化する。
【0150】
作業者は、ランプLmが点滅状態となったことで、投光像12Liが作業箇所201(ネジ孔201B)を示していることを認識し、電動工具装置1が作業箇所201(ネジ孔201B)を向くように、電動工具装置1の姿勢を変化させる。なお、このような姿勢変化の途中でも、画像位置関係を所定の位置関係に近づける(戻す)ような投光方向の制御が行われることで、
図6Bに示すように、投光像12Liは、作業箇所201(ネジ孔201B)を示している作業箇所指示状態のまま維持される。
【0151】
その後、電動工具装置1が作業箇所201(ネジ孔201B)を向いた状態となると、ランプLmが点滅状態から連続点灯状態に変化し、作業者は、電動工具装置1が作業箇所201(ネジ孔201B)を向いていることを認識する。
図6Bの撮像範囲2Rにおいて、作業箇所201(ネジ孔201B)への投光像12Liが緑色(実線)であることから、作業者は、次に行うべき作業が作業箇所201(ネジ孔201B)に第1ネジ301を締め付ける作業であることを認識し、電動工具装置1で作業箇所201(ネジ孔201B)に第1ネジ301を締め付ける作業を実行する。
【0152】
作業箇所201(ネジ孔201B)への第1ネジ301の締め付け作業の完了に応じて、電動工具装置1では、ランプLmが連続点灯状態から消灯状態に変化する。また、順序情報を基に、ネジ孔201Cが作業箇所201に決定される。さらに、作業箇所201(ネジ孔201C)に対応する作業箇所情報を基に、作業箇所201(ネジ孔201C)に対する作業内容が“第2ネジ302の締め付け”であることが特定され、作業箇所201(ネジ孔201C)に対する投光態様が“青色光”に決定される。
【0153】
この時点で、
図6Cに示すように、ネジ孔201Bの位置には、上記作業で締め付けられた第1ネジ301が存在し、投光部12からの投光像12Liは、ネジ孔201B上の第1ネジ301を示している。電動工具装置1では、位置検出部131によって、作業箇所201(ネジ孔201C)に対応する作業箇所画像と、投光像12Liに対応する投光画像と、の間の画像位置関係が検出される。そして、投光制御部132によって、投光画像が作業箇所画像に接近するように投光方向が制御されることで、投光像12Liは、作業箇所201(ネジ孔201C)を示している状態(作業箇所指示状態)となる。これに伴い、ランプLmが消灯状態から点滅状態に変化する。
【0154】
作業者は、ランプLmが点滅状態となったことで、投光像12Liが作業箇所201(ネジ孔201C)を示していることを認識し、電動工具装置1が作業箇所201(ネジ孔201C)を向くように、電動工具装置1の姿勢を変化させる。なお、このような姿勢変化の途中でも、投光方向の制御が行われることで、
図6Cに示すように、投光像12Liは、作業箇所201(ネジ孔201C)を示している作業箇所指示状態のまま維持される。
【0155】
その後、電動工具装置1が作業箇所201(ネジ孔201C)を向いた状態となると、ランプLmが点滅状態から連続点灯状態に変化し、作業者は、電動工具装置1が作業箇所201(ネジ孔201C)を向いていることを認識する。
図6Cの撮像範囲2Rにおいて、作業箇所201(ネジ孔201C)への投光像12Liが青色(破線)であることから、作業者は、次に行うべき作業が作業箇所201(ネジ孔201C)に第2ネジ302を締め付ける作業であることを認識し、電動工具装置1で作業箇所201(ネジ孔201C)に第2ネジ302を締め付ける作業を実行する。
【0156】
作業箇所201(ネジ孔201C)への第2ネジ302の締め付け作業の完了に応じて、電動工具装置1では、ランプLmが連続点灯状態から消灯状態に変化する。また、順序情報を基に、ネジ孔201Dが作業箇所201に決定される。さらに、作業箇所201(ネジ孔201D)に対応する作業箇所情報を基に、作業箇所201(ネジ孔201D)に対する作業内容が“第2ネジ302の締め付け”であることが特定され、作業箇所201(ネジ孔201C)に対する投光態様が“青色光”(現状の投光態様のまま変更なし)に決定される。
【0157】
この時点で、
図6Dに示すように、ネジ孔201Cの位置には、上記作業で締め付けられた第2ネジ302が存在し、投光部12からの投光像12Liは、ネジ孔201C上の第2ネジ302を示している。電動工具装置1では、位置検出部131によって、作業箇所201(ネジ孔201D)に対応する作業箇所画像と、投光像12Liに対応する投光画像と、の間の画像位置関係が検出される。そして、投光制御部132によって、投光画像が作業箇所画像に接近するように投光方向が制御されることで、投光像12Liは、作業箇所201(ネジ孔201D)を示している状態(作業箇所指示状態)となる。これに伴い、ランプLmが消灯状態から点滅状態に変化する。
【0158】
作業者は、ランプLmが点滅状態となったことで、投光像12Liが作業箇所201(ネジ孔201D)を示していることを認識し、電動工具装置1が作業箇所201(ネジ孔201D)を向くように、電動工具装置1の姿勢を変化させる。なお、このような姿勢変化の途中でも、投光方向の制御が行われることで、
図6Dに示すように、投光像12Liは、作業箇所201(ネジ孔201D)を示している作業箇所指示状態のまま維持される。
【0159】
その後、電動工具装置1が作業箇所201(ネジ孔201D)を向いた状態となると、ランプLmが点滅状態から連続点灯状態に変化し、作業者は、電動工具装置1が作業箇所201(ネジ孔201D)を向いていることを認識する。
図6Dの撮像範囲2Rにおいて、作業箇所201(ネジ孔201D)への投光像12Liが青色(破線)であることから、作業者は、次に行うべき作業が作業箇所201(ネジ孔201D)に第2ネジ302を締め付ける作業であることを認識し、電動工具装置1で作業箇所201(ネジ孔201D)に第2ネジ302を締め付ける作業を実行する。
【0160】
作業箇所201(ネジ孔201D)への第2ネジ302の締め付け作業の完了に応じて、電動工具装置1では、ランプLmが連続点灯状態から消灯状態に変化する。
【0161】
以上で、対象物200に対する作業は完了となり、電動工具システム100は、対象物200に関する動作を終了する。
【0162】
(5)実施形態の第1変形例
次に、本実施形態の第1変形例について
図7を用いて説明する。なお、以下では、実施形態と同様の事項についての説明は省略又は簡略化し、相違点のみ詳しく説明する。
【0163】
本変形例において、投光部12は、プロジェクタであり、投光は、例えば
図7に示すような、プロジェクタからの可視光12Lによる映像である投光像12Liの、対象物200に対する投影(プロジェクションマッピング)である。
【0164】
投光像12Liは、1つ以上の作業箇所201(ネジ孔201A~201D)に他対応する1つ以上の作業内容(ネジ孔201Aに対する第1ネジ301の締め付け作業、ネジ孔201Bに対する第1ネジ301の締め付け作業、ネジ孔201Cに対する第2ネジ302の締め付け作業、及びネジ孔201Dに対する第2ネジ302の締め付け作業)に関する映像を含む。
【0165】
作業内容に関する映像は、本変形例では、締め付け部品(第1ネジ301,第2ネジ302)の映像である。すなわち、投光像12Liには、
図7に示すように、2本の第1ネジ301に対応する2つの第1ネジ像301i、及び2本の第2ネジ302に対応する2つの第2ネジ像302i、を含む。
【0166】
図7の投光像12Liは、2つの第1ネジ像301iが2つのネジ孔301A及び301Bに対応する位置にそれぞれ配置され、2つの第2ネジ像302iが2つのネジ孔301C及び301Dに対応する位置にそれぞれ配置されるように、対象物200に対して投影される。これにより、作業者に対し、2つのネジ孔301A及び301Bの各々には第1ネジ301を、2つのネジ孔301C及び301Dの各々には第2ネジ302を、それぞれ締め付ける作業を行うべきことを、直接的に認識させることができる。
【0167】
ただし、作業内容に関する映像は、締め付け部品の映像に限らず、例えば、2本の第1ネジ301に対応する2つの緑色の円環、及び2本の第2ネジ302に対応する2つの青色の円環、などでもよい。このような2つの緑色の円環及び2つの青色の円環を含む投光像12Li(不図示)は、2つの緑色の円環が2つのネジ孔301A及び301Bをそれぞれ囲み、2つの2つの青色の円環が2つのネジ孔301C及び301Dをそれぞれ囲むように、対象物200に対して投影されてもよい。
【0168】
または、プロジェクタからの可視光12Lは、作業者がこれから作業をしようとする作業箇所201(例えば、ネジ孔201A)を含む一定範囲を照らすような、スポット径が大きなスポットライトであってもよい。そして、このようなスポットライトの中に、作業箇所201(ネジ孔201A)を示すような、スポット径が小さなポインタ光が含まれていてもよい。
【0169】
(6)実施形態の第2変形例
次に、本実施形態の第2変形例について
図8を用いて説明する。なお、以下では、実施形態と同様の事項についての説明は省略又は簡略化し、相違点のみ詳しく説明する。
【0170】
本変形例において、撮像装置2は、電動工具装置1とは別体である(つまり、電動工具装置1に固定されていない)。撮像装置2は、好ましくは、作業者の頭部に装着される物品、例えば、
図8に示すようなゴーグルGg、又はヘルメット(不図示)などに設けられる。電動工具装置1と撮像装置2とは、例えば、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線で通信可能に接続される。
【0171】
作業者は、例えば、ゴーグルGgを頭部に装着した状態で、電動工具装置1を手で把持し、把持している電動工具装置1を対象物200に向ける。すると、ゴーグルGgに設けられた撮像装置2は、電動工具装置1の後方から、電動工具装置1及びその前方に位置する作業箇所201を含む撮像範囲2R、を撮像する。
【0172】
位置検出部131は、撮像装置2が作業箇所201及び電動工具装置1を含む撮像範囲2Rを撮像した撮像画像と、作業箇所201(例えば、ネジ孔201A)に対応する作業箇所情報と、に少なくとも基づいて、電動工具装置1と作業箇所201との間の位置検出を行う。
【0173】
電動工具装置1と作業箇所201との間の位置検出は、作業箇所201に対する電動工具装置1の相対位置である。記憶部10は、例えば、電動工具装置1の特徴点(投光部12やランプLmなど)の画像データを更に記憶している。位置検出部131は、撮像装置2による撮像画像と、作業箇所201に対応する画像データと、電動工具装置1の特徴点の画像データと、を基に、作業箇所201に対する電動工具装置1の相対位置を検出する。
【0174】
なお、本変形例でも、前述したような受信信号強度を考慮した絶対位置の検出が行われてもよい。具体的には、例えば、無線信号を受信する受信機が電動工具装置1及び撮像装置2(又はゴーグルGg)の各々に設けられ、位置検出部131は、絶対位置が既知である3つ以上の送信機(不図示)の各々から無線信号を受信機が受信した際の受信信号強度に基づく三点測位により、電動工具装置1及び撮像装置2の各々の絶対位置を検出する。そして、位置検出部131は、電動工具装置1及び撮像装置2の各々絶対位置と、作業箇所201に対する電動工具装置1の相対位置とから、作業箇所201の絶対位置を求めてもよい。
【0175】
この変形例によれば、撮像装置2が電動工具装置1に固定されていなくても、作業箇所201及び電動工具装置1を含む撮像範囲2Rを撮像した撮像画像、及び作業箇所情報を用いることで(又は、撮像画像及び作業箇所情報に加えて、例えば、撮像装置2の絶対位置に関する情報も併用することで)、位置検出及び投光制御が行える。
【0176】
(7)その他の変形例:作業箇所と特定可能な情報の変形例
作業箇所201を特定可能な情報は、作業箇所201の画像データに限らず、例えば、作業箇所201の位置情報や、作業箇所201の特徴情報などでもよい。作業箇所201の位置情報とは、対象物200における作業箇所201の位置を示す情報である。位置情報は、例えば、対象物200における一の点(例えば、中心点、又は4つの頂点のうち一の頂点など)を原点とする座標であってもよい。作業箇所201の特徴情報とは、作業箇所201の特徴(例えば、形状、サイズ、色など)に関する情報である。
【0177】
(8)まとめ
第1の態様に係る電動工具システム(100)は、電動工具装置(1)と撮像装置(2)とを備える。電動工具装置(1)は、作業者によって把持される。作業者は、対象物(200)に対する作業を行う。撮像装置(2)は、作業箇所(201)を含む撮像範囲(2R)の撮像を行う。作業箇所は、対象物(200)において作業が行われる箇所である。電動工具装置(1)は、投光部(12)と位置検出部(131)と投光制御部(132)とを備える。投光部(12)は、可視光(12L)の投光を行う。位置検出部(131)は、作業箇所情報及び撮像画像に少なくとも基づいて位置検出を行う。作業箇所情報は、作業箇所(201)を少なくとも特定可能な情報である。撮像画像は、撮像装置(2)が作業箇所(201)を含む撮像範囲(2R)を撮像した画像である。位置検出は、作業箇所(201)と電動工具装置(1)との位置関係に関する検出である。投光制御部(132)は、位置検出の検出結果に基づいて、投光制御を行う。投光制御は、作業箇所(201)に向けた可視光(12L)の投光を投光部(12)に行わせる制御である。
【0178】
この態様によれば、電動工具装置(1)に投光部(12)が設けられ、作業箇所(201)及び電動工具装置(1)の間の位置関係に関する位置検出と、作業箇所(201)を投光部(12)からの可視光(12L)で示す投光制御と、を行うことによって、作業効率の向上を図ることができる。
【0179】
第2の態様に係る電動工具システム(100)では、第1の態様において、位置検出は、作業箇所情報及び撮像画像に基づく作業箇所(201)及び電動工具装置(1)の間の相対位置の検出である。
【0180】
この態様によれば、作業箇所(201)及び電動工具装置(1)の間の相対位置に関する検出結果を用いて投光制御を行うことで、電動工具装置(1)及び撮像装置(2)の少なくとも一方の絶対位置の検出を併用する場合と比べて、電動工具システム(100)の単純化を図ることができる。
【0181】
第3の態様に係る電動工具システム(100)では、第2の態様において、撮像装置(2)は、電動工具装置(1)に固定されている。
【0182】
この態様によれば、撮像装置(2)が電動工具装置(1)に固定されていない場合(つまり、電動工具装置(1)とは別体である場合)と比べて、位置検出のための処理量の削減を図ることができる。また、撮像装置(2)が電動工具装置(1)に固定されていないと、作業者に遮られて作業箇所(201)に投光できない不具合が発生することがあるが、撮像装置(2)が電動工具装置(1)に固定されていることで、このような不都合の発生の回避を図ることができる。
【0183】
第4の態様に係る電動工具システム(100)では、第3の態様において、位置検出部(131)は、画像位置関係を検出する。画像位置関係は、撮像画像において、作業箇所(201)の画像である作業箇所画像と、対象物(200)に投光された可視光(12L)の画像である投光画像と、の位置関係である。投光制御部(132)は、画像位置関係が所定の位置関係となるように、投光部(12)からの可視光(12L)の投光方向(12D)を制御する。
【0184】
この態様によれば、撮像画像における作業箇所画像と投光画像との画像位置関係を基に投光方向を制御することで、位置検出及び投光制御のための処理量の削減を図ることができる。
【0185】
第5の態様に係る電動工具システム(100)では、第4の態様において、撮像装置(2)は、定期的又は不定期に撮像を行う。位置検出部(131)は、撮像が行われる度に、撮像による撮像画像から作業箇所画像を検出する画像検出を行う。そして、位置検出部(131)は、画像検出によって作業箇所画像が未だ検出されていない作業箇所未検出状態から作業箇所画像が検出されている作業箇所検出状態への変化の後に、画像位置関係の検出を開始する(S4:Yes→S6)。
【0186】
この態様によれば、作業箇所(201)が撮像装置(2)の撮像範囲(2R)に入って初めて画像位置関係の検出を行うことで、位置検出のための処理量の削減を図ることができる。
【0187】
第6の態様に係る電動工具システム(100)では、第5の態様において、投光制御部(132)は、作業箇所未検出状態から作業箇所検出状態への変化に応じて可視光(12L)の投光を開始させる(S4:Yes→S5)。位置検出部(131)は、可視光(12L)の投光開始に応じて、画像位置関係の検出を開始する(S5→S6)。
【0188】
この態様によれば、作業箇所(201)が撮像装置(2)の撮像範囲(2R)に入って初めて投光を行うことで、投光のための消費電力の削減及び投光制御のための処理量の削減を図ることができる。
【0189】
第7の態様に係る電動工具システム(100)では、第5又は第6の態様において、投光制御部(132)は、画像位置関係が所定の位置関係となっていない作業箇所未指示状態では、画像位置関係が所定の位置関係に近づくように、投光方向(12D)を制御する。
【0190】
この態様によれば、画像位置関係を基に、投光方向(12D)の的確な制御が行える。
【0191】
第8の態様に係る電動工具システム(100)は、第7の態様において、通知部(133)を更に備える。通知部(133)は、画像位置関係が所定の位置関係となっている作業箇所指示状態で、通知(第1通知)を行う。通知(第1通知)は、投光部(12)からの可視光(12L)によって作業箇所(201)が示されている旨の作業者への通知である。
【0192】
この態様によれば、投光像(12Li)が作業箇所(201)を示していることを作業者に通知することで、作業箇所(201)に向かって移動中の投光像(12Li)によって示される、作業箇所(201)とは別の箇所、が作業箇所(201)であると誤解される不都合の回避を図ることができる。また、作業者が、作業箇所(201)とは別の箇所を作業箇所(201)と誤解している場合に、作業箇所(201)を投光像(12Li)によって示すことで、作業者に対して、電動工具装置(1)を作業箇所(201)に向ける動作を促すことができる。
【0193】
第9の態様に係る電動工具システム(100)では、第8の態様において、投光制御部(132)は、作業箇所指示状態では、電動工具装置(1)の姿勢変化に応じた撮像画像における作業箇所画像の変位、に投光画像が追従するように、投光方向(12D)を制御する。
【0194】
この態様によれば、作業者が、電動工具装置(1)を作業箇所(201)に向ける動作を行っている期間も、作業箇所(201)を投光像(12Li)によって示し続けることができる。
【0195】
第10の態様に係る電動工具システム(100)では、第9の態様において、通知部(133)は、作業箇所指示状態で、かつ撮像画像における作業箇所画像の位置が所定の条件を満たす場合に、通知(第2通知)を更に行う。通知(第2通知)は、電動工具装置(1)が作業箇所(201)を向いている旨の作業者への通知である。
【0196】
この態様によれば、電動工具装置(1)が作業箇所(201)に向いたことを作業者に更に通知することで、作業者に対して、電動工具装置(1)よる作業箇所(201)への作業の開始を促すことができる。
【0197】
第11の態様に係る電動工具システム(100)では、第1~第10いずれかの態様において、作業箇所情報は、作業箇所(201)での作業の作業内容を更に特定可能である。投光制御部(132)は、作業箇所情報を基に特定される作業内容によって異なる態様で、作業箇所(201)への可視光(12L)の投光を投光部(12)に行わせる。
【0198】
この態様によれば、投光像(12Li)によって作業箇所(201)を示す際に、作業箇所(201)での作業内容をも作業者に把握させることができる。
【0199】
第12の態様に係る電動工具システム(100)では、第1~第11のいずれかの態様において、作業箇所情報は、作業箇所の画像データである。位置検出部(131)は、撮像画像と画像データとの比較により、撮像画像において作業箇所(201)の画像である作業箇所画像を特定する。
【0200】
この態様によれば、撮像画像と、作業箇所の画像データとの比較によって、撮像画像に含まれる作業箇所画像を的確に特定できる。
【0201】
第13の態様に係る電動工具システム(100)では、第1又は第2の態様において、撮像装置(2)は、電動工具装置(1)とは別体である。位置検出部(131)は、撮像装置(2)が作業箇所(201)及び電動工具装置(1)を含む撮像範囲(2R)を撮像した撮像画像と、作業箇所情報と、に少なくとも基づいて、位置検出を行う。
【0202】
この態様によれば、撮像装置(2)が電動工具装置(1)に固定されていなくても、作業箇所(201)及び電動工具装置(1)を含む撮像範囲(2R)を撮像した撮像画像、及び作業箇所情報を少なくとも用いることで、位置検出及び投光制御が行える。
【0203】
第14の態様に係る電動工具システム(100)では、第1~第13のいずれかの態様において、作業は、作業者が行う複数の作業の各々である。作業箇所(201)は、複数の作業に対応する複数の作業箇所(201A~201D)の各々である。作業箇所情報は、複数の作業箇所(201A~201D)に対応する複数の作業箇所情報の各々である。電動工具システム(100)は、記憶部(10)を更に備える。記憶部(10)は、複数の作業箇所情報を記憶する。位置検出部(131)は、記憶部(10)に記憶されている複数の作業箇所情報、及び撮像装置(2)が複数の作業箇所(201A~201D)を含む撮像範囲(2R)を撮像した撮像画像、を基に、前記複数の作業箇所(201A~201D)の各々について位置検出を実行する。投光制御部(132)は、複数の作業箇所(201A~201D)に対応する複数の位置検出の各々の検出結果に基づいて、複数の作業箇所(201A~201D)の各々について投光制御を実行する。
【0204】
この態様によれば、撮像範囲(2R)に複数の作業箇所(201A~201D)が含まれる場合にも、複数の作業箇所(201A~201D)の各々について、位置検出及び投光制御が行える。
【0205】
第15の態様に係る電動工具システム(100)では、第14の態様において、記憶部(10)は、複数の作業箇所情報を、所定の順序で、又は所定の順序に関する順序情報と共に、記憶する。電動工具装置(1)は、記憶部(10)に所定の順序で記憶されている複数の作業箇所情報、又は、記憶部(10)に記憶されている複数の作業箇所情報及び順序情報、を基に、複数の作業箇所(201A~201D)を所定の順序で作業箇所に決定する。
【0206】
この態様によれば、複数の作業箇所(201A~201D)について所定の順序で、位置検出及び投光制御を行える。
【符号の説明】
【0207】
100 電動工具システム
1 電動工具装置
10 記憶部
11 駆動部
12 投光部
13 処理部
131 位置検出部
132 投光制御部
133 通知部
2 撮像装置
200 対象物
201(201A~201D) 作業箇所
201A~201D ネジ孔
12L 可視光
12Li 投光像
2R 撮像範囲
301 第1ネジ
302 第2ネジ
301i 第1ネジ像
302i 第2ネジ像