IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-選定方法、プログラム及び選定装置 図1
  • 特開-選定方法、プログラム及び選定装置 図2
  • 特開-選定方法、プログラム及び選定装置 図3
  • 特開-選定方法、プログラム及び選定装置 図4
  • 特開-選定方法、プログラム及び選定装置 図5
  • 特開-選定方法、プログラム及び選定装置 図6
  • 特開-選定方法、プログラム及び選定装置 図7
  • 特開-選定方法、プログラム及び選定装置 図8
  • 特開-選定方法、プログラム及び選定装置 図9
  • 特開-選定方法、プログラム及び選定装置 図10
  • 特開-選定方法、プログラム及び選定装置 図11
  • 特開-選定方法、プログラム及び選定装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172997
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】選定方法、プログラム及び選定装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 5/46 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
H02P5/46 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091100
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田澤 徹
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 博司
【テーマコード(参考)】
5H572
【Fターム(参考)】
5H572AA14
5H572EE04
5H572FF05
5H572GG01
5H572HA01
5H572JJ03
5H572JJ04
5H572JJ17
5H572KK08
5H572MM09
(57)【要約】
【課題】選定対象の機構装置の設計を容易に行うことが可能な選定方法を提供する。
【解決手段】上記選定方法では、選定対象の機構装置が備える電動機及び機構要素を選定する。上記選定方法は、第1入力工程S20、第2入力工程S21、選定工程S22及び出力工程S23を備える。第1入力工程S20では、基本機構条件及び基本動作条件の入力を受け付ける。第2入力工程S21では、第1入力工程S20で入力された上記基本機構条件及び上記基本動作条件の変更許容範囲の入力を受け付ける。選定工程S22では、上記基本機構条件及び上記基本動作条件を上記変更許容範囲内で変更しながら、上記基本機構条件及び上記基本動作条件に基づいて上記機構装置の実現性の評価を行い、上記評価で用いられた上記基本機構条件に含まれる上記仕様を満たす電動機及び機構要素を選定する。出力工程S23では、選定工程S22での評価結果及び選定結果を表示装置に出力する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
選定対象の機構装置が備える電動機及び機構要素を選定する選定方法であって、
前記電動機及び前記機構要素の各々の仕様を含む基本機構条件、及び、前記電動機の動作パターンを含む基本動作条件の入力を受け付ける第1入力工程と、
前記第1入力工程で入力された前記基本機構条件及び前記基本動作条件の変更許容範囲の入力を受け付ける第2入力工程と、
前記基本機構条件及び前記基本動作条件を前記変更許容範囲内で変更しながら、前記基本機構条件及び前記基本動作条件に基づいて前記機構装置の実現性の評価を行い、前記評価で用いられた前記基本機構条件に含まれる前記仕様を満たす前記電動機及び前記機構要素を選定する選定工程と、
前記選定工程で行われた前記評価の評価結果、及び、前記選定工程で行われた前記選定の選定結果のうちの少なくとも前記選定結果を表示装置に出力する出力工程と、を備える、
選定方法。
【請求項2】
前記第2入力工程では、前記第1入力工程で入力された前記基本機構条件及び前記基本動作条件に関する優先順位の入力を受け付け、
前記選定工程では、前記基本機構条件及び前記基本動作条件のうちの前記優先順位の低い条件を優先的に前記変更許容範囲内で変更し、
前記出力工程では、前記評価結果を、前記優先順位と対応させて前記表示装置に表示させる、
請求項1に記載の選定方法。
【請求項3】
前記基本機構条件に含まれる前記仕様は、複数の仕様項目を有し、
前記第2入力工程では、前記複数の仕様項目の各々について前記変更許容範囲及び優先度の入力を受け付け、
前記選定工程では、前記基本機構条件及び前記基本動作条件を前記変更許容範囲内で変更するとき、前記複数の仕様項目のうち、前記優先度が低い仕様項目の設定値を優先的に前記変更許容範囲内で変更する、
請求項1又は2に記載の選定方法。
【請求項4】
前記変更許容範囲は、代表値を含み、
前記選定工程では、前記代表値を用いて前記実現性の前記評価を行い、前記評価の前記評価結果が前記実現性を満たす場合は、前記実現性の前記評価を終了し、前記評価の前記評価結果が前記実現性を満たさない場合は、前記変更許容範囲内の前記代表値以外の設定値を用いて前記実現性を評価し直す、
請求項1又は2に記載の選定方法。
【請求項5】
前記選定工程では、選定された前記電動機の回生エネルギを前記基本機構条件及び前記基本動作条件に基づいて算出し、算出した前記回生エネルギを消費する能力を有する回生抵抗を選定し、
前記出力工程では、前記選定工程で選定された前記回生抵抗の情報を前記表示装置に出力する、
請求項1又は2に記載の選定方法。
【請求項6】
前記出力工程では、前記選定工程で選定された前記電動機及び前記機構要素の納期情報を前記表示装置に出力する、
請求項1又は2に記載の選定方法。
【請求項7】
前記出力工程では、前記選定工程で選定された前記電動機及び前記機構要素の価格情報を前記表示装置に出力する、
請求項1又は2に記載の選定方法。
【請求項8】
前記選定工程では、選定された前記電動機に要求される必要トルクを算出し、算出した前記必要トルクが前記基本機構条件で設定された許容レベル以下であるか否かに基づいて、前記機構装置が前記実現性を満たすか否かを評価する、
請求項1又は2に記載の選定方法。
【請求項9】
前記選定工程では、前記必要トルクの時系列データの最大値が前記電動機を制御する制御装置で規定される最大トルク以下であるか、および、前記必要トルクの時系列データから計算される負荷率が前記電動機の前記制御装置で規定される値以下であるか、を判定する、
請求項8に記載の選定方法。
【請求項10】
前記出力工程では、前記選定結果として、選定された前記電動機及び前記機構要素の品番情報を前記表示装置に出力する、
請求項1又は2に記載の選定方法。
【請求項11】
コンピュータに請求項1又は2に記載の選定方法を実行させる、
プログラム。
【請求項12】
選定対象の機構装置が備える電動機及び機構要素を選定する選定装置であって、
前記電動機及び前記機構要素の各々の仕様を含む基本機構条件、及び、前記電動機の動作パターンを含む基本動作条件の入力を受け付ける第1入力部と、
前記第1入力部にて入力された前記基本機構条件及び前記基本動作条件の変更許容範囲の入力を受け付ける第2入力部と、
前記基本機構条件及び前記基本動作条件を前記変更許容範囲内で変更しながら、前記基本機構条件及び前記基本動作条件に基づいて前記機構装置の実現性の評価を行い、前記評価で用いられた前記基本機構条件に含まれる前記仕様を満たす前記電動機及び前記機構要素を選定する選定部と、
前記選定部で行われた前記評価の評価結果、及び、前記選定部で行われた前記選定の選定結果のうちの少なくとも前記選定結果を表示装置に出力する出力部と、を備える、
選定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に選定方法、プログラム及び選定装置に関し、より詳細には、選定対象の機構装置が備える電動機及び機構要素を選定する選定方法、プログラム及び選定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された選定方法は、機械を駆動する電動機と、電動機を制御する電動機制御装置とを選定する選定方法である。この選定方法は、第1入力ステップと、第2入力ステップと、評価ステップと、選定ステップとを備える。第1入力ステップでは、電動機及び機械を有する機械システムの機構条件を入力する。第2入力ステップでは、電動機を制御する際の運転パターンを含む使用条件を入力する。評価ステップでは、入力した使用条件及び機構条件を満たす電動制御装置が機械システムとして成立するか否かを評価する。選定ステップでは、評価ステップの評価結果に基づいて電動機及び電動機制御装置を選定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/075152号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の選定方法では、入力された機構条件及び使用条件は固定値である。このため、評価の結果、入力した使用条件及び機構条件を満たす電動制御装置が機械システムとして成立しない場合は、手動で、機構条件及び使用条件を変更して入力し直して、評価及び選定をやり直す必要がある。したがって、利用者は、所望の電動機及び所望の電動制御装置が選定されるまで、手動で、機構条件及び使用条件を何度も入力し直して、評価及び選定を何度もやり直す必要がある。このため、電動機制御装置の設計を容易に行うことが難しい。
【0005】
本開示の目的は、選定対象の機構装置の設計を容易に行うことが可能な選定方法、プログラム及び選定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の選定方法は、選定対象の機構装置が備える電動機及び機構要素を選定する選定方法である。前記選定方法は、第1入力工程と、第2入力工程と、選定工程と、出力工程と、を備える。前記第1入力工程では、基本機構条件、及び、基本動作条件の入力を受け付ける。前記基本機構条件は、前記電動機及び前記機構要素の各々の仕様を含む。前記基本動作条件は、前記電動機の動作パターンを含む。前記第2入力工程では、前記第1入力工程で入力された前記基本機構条件及び前記基本動作条件の変更許容範囲の入力を受け付ける。前記選定工程では、前記基本機構条件及び前記基本動作条件を前記変更許容範囲内で変更しながら、前記基本機構条件及び前記基本動作条件に基づいて前記機構装置の実現性の評価を行い、前記評価で用いられた前記基本機構条件に含まれる前記仕様を満たす前記電動機及び前記機構要素を選定する。前記出力工程では、前記選定工程で行われた前記評価の評価結果、及び、前記選定工程で行われた前記選定の選定結果のうちの少なくとも前記選定結果を表示装置に出力する。
【0007】
本開示の一態様のプログラムは、コンピュータに前記選定方法を実行させる。
【0008】
本開示の一態様の選定装置は、選定対象の機構装置が備える電動機及び機構要素を選定する選定装置である。前記選定装置は、第1入力部と、第2入力部と、選定部と、出力部と、を備える。前記第1入力部は、基本機構条件、及び、基本動作条件の入力を受け付ける。前記基本機構条件は、前記電動機及び前記機構要素の各々の仕様を含む。前記基本動作条件は、前記電動機の動作パターンを含む。前記第2入力部は、前記第1入力部で入力された前記基本機構条件及び前記基本動作条件の変更許容範囲の入力を受け付ける。前記選定部は、前記基本機構条件及び前記基本動作条件を前記変更許容範囲内で変更しながら、前記基本機構条件及び前記基本動作条件に基づいて前記機構装置の実現性の評価を行い、前記評価で用いられた前記基本機構条件に含まれる前記仕様を満たす前記電動機及び前記機構要素を選定する。前記出力部は、前記選定部で行われた前記評価の評価結果、及び、前記選定部で行われた前記選定の選定結果のうちの少なくとも前記選定結果を表示装置に出力する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の選定方法、プログラム及び選定装置によれば、選定対象の機構装置の設計を容易に行うことができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る選定方法が適用された選定装置の構成図である。
図2図2は、同上の選定装置の選定部の処理内容(選定工程)を説明するフローチャートである。
図3図3は、基本機構条件(選定対象の機構装置の構成)の入力を受け付ける入力画面の一例を説明する説明図である。
図4図4は、基本機構条件(選定対象の機構装置の或る機構要素の仕様)の入力を受け付ける入力画面の一例を説明する説明図である。
図5図5は、基本機構条件(選定対象の機構装置の他の機構要素の仕様)の入力を受け付ける入力画面の一例を説明する説明図である。
図6図6は、基本機構条件(優先順位)の入力を受け付ける入力画面の一例を説明する説明図である。
図7図7は、基本動作条件(選定対象の機構装置の或る電動機の動作パターンの仕様)の入力を受け付ける入力画面の一例を説明する説明図である。
図8図8は、結果表示画面の一例を説明する説明図である。
図9図9は、同上の選定方法を説明するフローチャートである。
図10図10は、選定された或る機構要素の価格情報及び納期情報を表示するサブ画面の一例を説明する説明図である。
図11図11は、変形例3の結果表示画面の一例を説明する説明図である。
図12図12は、変形例4における基本機構条件(優先順位)の入力を受け付ける入力画面を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)実施形態
以下、本実施形態に係る選定方法が適用された選定装置について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
(1-1)本実施形態に係る選定方法の概要
図9に示すように、本実施形態に係る選定方法は、選定対象の機構装置が備える電動機及び機構要素を選定する選定方法である。上記選定方法は、第1入力工程S20と、第2入力工程S21と、選定工程S22と、出力工程S23と、を備える。第1入力工程S20では、基本機構条件及び基本動作条件の入力を受け付ける。上記基本機構条件は、上記電動機及び上記機構要素の各々の仕様を含む。上記基本動作条件は、上記電動機の動作パターンを含む。第2入力工程S21では、第1入力工程S20で入力された上記基本機構条件及び上記基本動作条件の変更許容範囲の入力を受け付ける。選定工程S22では、上記基本機構条件及び上記基本動作条件を上記変更許容範囲内で変更しながら、上記基本機構条件及び上記基本動作条件に基づいて上記機構装置の実現性の評価を行い、上記評価で用いられた上記基本機構条件に含まれる上記仕様を満たす上記電動機及び上記機構要素を選定する。出力工程S23では、選定工程S22で行われた上記評価の評価結果、及び、選定工程S22で行われた上記選定の選定結果のうちの少なくとも選定結果を表示装置2に出力する。
【0013】
この構成によれば、基本機構条件及び基本動作条件だけでなく変更許容範囲も入力できるため、変更許容範囲内で複数の評価結果及び複数の選定結果のうちの少なくとも選定結果を出力できる。このため、利用者は、複数の選定結果から所望の選定結果を選ぶことができる。すなわち、変更許容範囲を予め入力するため、基本機構条件及び基本動作条件を入力し直して評価及び選定を何度もやり直す必要がない。このため、利用者は、選定対象の機構装置の設計を容易に行える。
【0014】
(1-2)本実施形態に係る選定装置の構成
本実施形態に係る選定装置1は、本実施形態に係る選定方法が適用された選定装置の一例である。上記選定方法は、上述の通り、選定対象の機構装置が備える電動機及び機構要素を選定する。上記機構装置は、例えば、所定の製品を製造又は運搬するための装置(例えば産業用ロボット又は半導体製造装置)の少なくとも一部を構成する。上記電動機は、上記機構要素を駆動する駆動源である。上記機構要素は、上記電動機に直接又は間接的に結合されて上記電動機によって駆動される。上記機構要素は、例えば、ボールねじ、ベルトプーリ機構、ラックピニオン機構などである。上記機構要素及び上記電動機はそれぞれ、上記機構装置に少なくとも1つ備えられている。
【0015】
より詳細には、上記選定方法では、選定対象の機構装置は、利用者が指定する複数の構成要素(すなわち1つ以上の電動機及び1つ以上の機構要素)を、利用者が指定する配列で結合することで構成される。上記選定方法では、このように構成された選定対象の機構装置が実現性を満たすように、上記機構装置が備える電動機及び機構要素を選定する。
【0016】
図1に示すように、選定装置1は、表示装置2と、入力装置3と、記憶装置4と、処理装置5と、を備える。
【0017】
表示装置2は、各種の情報が表示可能な表示装置であり、例えば液晶表示装置である。表示装置2は、各種の表示画面を表示する。上記の各種の表示画面は、入力画面G2,G3(図4図7参照)、及び、結果表示画面G4(図8参照)を含む。入力画面G2,G3は、選定装置1に各種の条件(後述の基本機構条件、基本動作条件及び変更許容範囲)を入力するための画面である。結果表示画面G4は、選定装置1の処理結果(例えば選定結果)を表示するための画面である。
【0018】
入力装置3は、利用者よる選定装置1への上記の各種の条件の入力を受け付けるための装置である。入力装置3は、例えばキーボード及びマウスであってもよいし、表示装置2の表示画面に配置されて上記表示画面への利用者のタッチ操作を検出するタッチセンサであってもよい。
【0019】
記憶装置4は、不揮発性の記憶装置であり、例えばSSD(Solid State Drive)又はHDD(Hard Disk Drive)で構成されている。記憶装置4は、選定装置1の処理で用いられる各種の情報を記憶する。上記の各種の情報は、入力装置3に入力された上記の各種の条件、選定装置1の処理結果(例えば選定結果)を含む。
【0020】
記憶装置4は、品番データベース41と、価格データベース42と、納期データベース43とを有する。
【0021】
品番データベース41は、選定対象の機構装置に備えることが可能な各種の電動機及び各種の機構要素がそれらの仕様と品番とを対応付けて記憶している。したがって、品番データベース41を用いることで、電動機及び機構要素の仕様から、その仕様を満たす品番の電動機及び機構要素を検索することが可能である。なお、本実施形態では、品番データベース41は、選定装置1の構成に含まれるが、選定装置1の構成に含まれなくてもよい。この場合、品番データベース41は、選定装置1の外部構成となる。
【0022】
価格データベース42は、品番データベース41に記憶されている各種の電動機及び各種の機構要素がそれらの品番と価格とを対応付けて記憶している。したがって、価格データベース42を用いることで、電動機及び機構要素の品番から、その品番の電動機及び機構要素の価格を検索することが可能である。
【0023】
納期データベース43は、選定対象の機構装置に備えることが可能な各種の電動機及び各種の機構要素がそれらの品番と納期とを対応付けて記憶している。納期とは、その品番の電動機又は機構要素が発注されたときに納品可能な期日である。したがって、納期データベース43を用いることで、電動機及び機構要素の品番から、その品番の電動機及び機構要素の納期を検索することが可能である。
【0024】
処理装置5は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。処理装置5は、プロセッサがメモリに記録されているプログラムを実行することにより、処理装置5の各機能が実現される。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0025】
処理装置5は、第1入力部51と、第2入力部52と、選定部53と、出力部54と、を備える。
【0026】
第1入力部51は、第1入力工程を実行する処理部である。上記第1入力工程では、入力装置3を介して、利用者による基本機構条件及び基本動作条件の入力を受け付ける。
【0027】
上記基本機構条件は、選定対象の機構装置の構成の情報を含む。上記の「機構装置の構成」とは、機構装置を構成する構成要素(電動機及び機構要素)の組み合わせ、及び、その組み合わせにおける結合状態での配列を意味する。また、上記基本機構条件は、選定対象の機構装置が備える構成要素(電動機及び機構要素)の仕様を含む。
【0028】
上記基本動作条件は、選定対象の機構装置が備える電動機の動作パターンの情報を含む。上記基本動作条件に含まれる動作パターンによって、選定対象の機構装置が備える電動機の動作が指定される。上記動作パターンは、例えば、電動機の回転数の時間変化であり、電動機の回転開始時刻、回転速度、到達速度、継続時間などの情報を含む。
【0029】
第2入力部52は、第2入力工程を実行する処理部である。上記第2入力工程では、入力装置3を介して、第1入力工程で入力された基本機構条件及び基本動作条件の各々の変更許容範囲と、上記基本機構条件及び上記基本動作条件に関する優先順位と、優先度との入力を受け付ける。
【0030】
上記優先順位は、上記基本機構条件及び上記基本動作条件の各々の設定値(すなわち仕様)を上記変更許容範囲内で変更するとき、上記基本機構条件及び上記基本動作条件のうちの優先順位の高い条件の設定値を優先的に変更せずに固定することを示す情報である。換言すれば、上記優先順位は、上記基本機構条件及び上記基本動作条件のうちの優先順位の低い条件の設定値を優先的に変更許容範囲内で変更することを示す情報である。具体的には、上記優先順位は、例えば、第1優先が「動作パターン」で、第2優先が「機構要素」で、第3優先が「電動機」という内容で設定される。この場合、上記基本機構条件及び上記基本動作条件の各々の設定値を上記変更許容範囲内で変更するとき、まず、電動機、機構要素及び動作パターンのうち、第1優先である「動作パターン」の設定値は例えば代表値のままで変更しないで、他の条件(電動機及び機構要素)の設定値を変更許容範囲内で変更して、実現性を評価するときの構成要素(選定対象の機構装置の構成要素)の条件(実施条件)を生成し、生成した条件に対して、選定対象の機構装置の実現性を評価する。次に、第2優先である「機構要素」の設定値は例えば代表値のままで変更しないで、他の条件(電動機及び動作パターン)の設定値を上記変更許容範囲内で変更して、実現性を評価するときの構成要素の別の条件を生成し、生成した別の条件に対して、選定対象の機構装置の実現性を評価する。さらに次に、第3優先である「電動機」の設定値は例えば代表値のままで変更しないで、他の条件(機構要素及び動作パターン)の設定値を上記変更許容範囲内で変更して、実現性を評価するときの構成要素のさらに別の条件を生成し、生成したさらに別の条件に対して、選定対象の機構装置の実現性を評価する。このように、電動機、機構要素及び動作パターンのうち、優先順位の高いものから順に設定値を例えば代表値のままで固定し、その他の条件の設定値を変更許容範囲内で変更して、実現性を評価するときの構成要件の条件を順に生成し、生成した各条件に対して、選定対象の機構装置の実現性を評価する。
【0031】
なお、上記の優先順位の例では、動作パターン、機構要素、及び、電動機の3つの条件の括りの中で優先順位を設定する場合を例示するが、これら以外の条件の優先順位を設定してもよい。例えば、機構要素及び電動機の動作パターンの間で優先順位を付けてもよい。
【0032】
上記優先度は、上記基本機構条件及び上記基本動作条件が仕様として複数の仕様項目を有する場合に、それら複数の仕様項目の設定値を変更許容範囲内で変更するときに、それら複数の仕様項目の間の優先度を指定するための情報である。すなわち、優先度の高い仕様項目の設定値は優先的に固定される。換言すれば、優先度の低い仕様項目の設定値は優先的に変更される。なお、上記基本構成条件の上記複数の仕様項目は、選定対象の機構装置の構成要素(電動機及び機構要素)の仕様の一例である。また、上記基本動作条件の上記複数の仕様項目は、選定対象の機構装置が備える電動機の動作パターンの仕様の一例である。
【0033】
本実施形態では、上記基本機構条件及び上記基本動作条件はそれぞれ、代表値によって設定される。そして、上記変更許容範囲は、代表値を含む範囲の上限値及び下限値として設定される。上記基本機構条件及び上記基本動作条件がそれぞれ複数の仕様項目を有する場合は、複数の仕様項目毎に代表値、変更許容範囲の上限値及び下限値が設定される。
【0034】
利用者は、上記基本機構条件、上記基本動作情報、上記変更許容範囲、上記優先順位、及び上記優先度を入力装置3に入力する。これにより、選定対象の機構装置の構成の情報、動作パターンの情報、変更許容範囲の情報、優先順位の情報、及び、優先度の情報を選定装置1に入力可能である。
【0035】
選定部53は、選定工程を実行する処理部である。上記選定工程では、第1入力工程及び第2入力工程で入力された基本機構条件、基本動作条件及び変更許容範囲に基づいて、基本機構条件(すなわち電動機及び機構要素の設定値)及び基本動作条件(すなわち動作パターンの設定値)を変更許容範囲内で変更しながら、基本機構条件及び基本動作条件に基づいて選定対象の機構装置の実現性の評価を行う。
【0036】
その際、上記のように、基本機構条件及び基本動作条件に関する優先順位が設定されている場合は、選定工程では、優先順位の高い基本機構条件及び基本動作条件の設定値を例えば代表値に固定し、優先順位の低い基本機構条件及び基本動作条件の設定値を優先的に変更許容範囲内で変更する。
【0037】
また、上記のように、電動機、機構要素及び動作パターンの少なくとも一つの構成要素が複数の仕様項目を有する場合は、第2入力工程では、それら複数の仕様項目には変更許容範囲及び優先度が設定されている。そして、選定工程では、上記少なくとも1つの構成要素の上記複数の仕様項目の各々の設定値を変更許容範囲内で変更するとき、上記複数の仕様項目のうち、優先度が低い仕様項目から順に仕様項目の設定値を変更許容範囲内で変更する。
【0038】
また、上記選定工程では、上記評価で用いられた基本機構条件に含まれる仕様を満たす電動機及び機構要素を選定する。より詳細には、上記選定工程では、品番データベース41を用いて、上記評価で用いられた基本機構条件に含まれる仕様(の設定値)から、その仕様(の設定値)を満たす品番の電動機及び機構要素を検索し、検索した品番の電動機及び機構要素を選定する。
【0039】
また、上記選定工程では、選定された電動機の回生エネルギを基本機構条件及び基本動作条件に基づいて算出し、計算した回生エネルギを消費する能力を有する回生抵抗を選定する。
【0040】
出力部54は、出力工程を実行する処理部である。上記出力工程では、選定工程で行われた評価の評価結果、及び、選定工程で行われた選定の選定結果のうちの少なくとも選定結果を表示装置2に出力する。本実施形態では、出力部54は、評価結果及び選定結果の両方を表示装置2に出力する。これにより、表示装置2では、評価結果及び選定結果が対応付けられて表示される。なお、表示装置2では、選定結果は、例えば、選定対象の機構装置の各構成要素の品番で表示される。
【0041】
また、上記出力工程では、評価結果を、上記優先順位と対応させて表示装置2に出力する。これにより、表示装置2では、評価結果と優先順位とが対応付けられて表示される。
【0042】
また、上記出力工程では、選定工程で選定された回生抵抗の情報を表示装置2に出力する。これにより、表示装置2では、評価結果、選定結果及び回生抵抗の情報が対応付けられて表示される。
【0043】
また、上記出力工程では、入力装置3への入力操作によって、表示装置2に表示された選定結果の中の所望の構成要素の品番が選択されると、価格データベース42を用いて、その品番の構成要素の価格を検索する。そして、上記出力工程では、検索した価格の情報を表示装置2に出力して表示させる。
【0044】
また、上記出力工程では、入力装置3への入力操作によって、表示装置2に表示された選定結果の中の所望の構成要素の品番が選択されると、納期データベース43を用いて、その品番の構成要素の納期を検索する。そして、上記出力工程では、検索した納期の情報を表示装置2に出力して表示させる。
【0045】
(1-3)選定工程の処理の詳細
図2を参照して選定工程の処理の詳細を説明する。
【0046】
図2に示すように、選定工程では、まず、基本機構条件及び基本動作条件において、それらの代表値が設定値として選択される(ステップS1)。そして、選択された設定値(より詳細には、機構要素及び基本動作条件の各々の設定値(すなわち下記の許容レベル以外の設定値)に基づいて、選定対象の機構装置の電動機に要求される必要トルクが算出される(ステップS2)。
【0047】
そして、算出された必要トルクが許容レベル以下であるか否かが判定される(ステップS3)。具体的には、必要トルクの時系列データの最大値が電動機を制御する制御装置(例えばモータ・アンプ)で規定される最大トルク以下であるか、および、必要トルクの時系列データから計算される負荷率が電動機の制御装置(例えばモータ・アンプ)で規定される値以下であるか、が判定される。なお、上記「許容レベル」は、本実施形態では、基本機構条件として設定される。ステップS3の判定の結果、必要トルクが許容レベル以下である場合(ステップS3のYes)は、上記設定値が選択された場合の選定対象の機構装置は、実現性を満たしていると判定(すなわち評価)される(ステップS4)。そして、上記設定値(すなわち仕様)を満たす電動機及び機構要素が選定される(ステップS5)。より詳細には、品番データベース41を用いて、上記設定値(すなわち仕様)を満たす品番の電動機及び機構要素が選定される。そして、実現性の評価結果、及び、電動機及び機構要素の選定結果が、互いに対応付けられて記憶装置4に記憶される(ステップS6)。そして、処理がステップS9に進む。
【0048】
他方、ステップS3の判定の結果、必要トルクが許容レベルを超える場合(ステップS3のNo)は、上記設定値が選択された場合の選定対象の機構装置は、実現性を満たしていないと判定(すなわち評価)される(ステップS7)。この場合、上記設定値(すなわち仕様)を満たす電動機及び機構要素は選定されず、この場合の妥当性の評価結果のみが記憶装置4に記憶される(ステップS8)。そして、処理がステップS9に進む。
【0049】
ステップS9では、基本機構条件及び基本動作条件の変更許容範囲内の取り得る値の全てが設定値として選択されたか否かが判定される。上記変更許容範囲内の取り得る値の全てが設定値として選択されていない場合(ステップS9のNo)は、上記変更許容範囲内の未だ選択されていない別の値が別の設定値として選択される(ステップS10)。この場合、上記別の設定値は、上述のように、上記優先順位及び上記優先度が考慮されて選択されている。そして、処理がステップS2に戻り、選択された別の設定値に対して、ステップS2~S9の処理が繰り返される。
【0050】
そして、ステップS9の判定の結果、それらの変更許容範囲内の取り得る値の全てが設定値として選択された場合(ステップS9のYes)は、選定工程は終了する。
【0051】
なお、選定工程が終了すると、出力工程で、ステップS6,S8で記憶装置4に記憶された評価結果及び選定結果が表示装置2に出力される。そして、表示装置2に出力された評価結果及び選定結果は、結果表示画面G4として表示装置2に表示される。
【0052】
(1-4)入力画面の一例
図3及び図4を参照して、基本機構条件の入力を受け付ける入力画面G1の一例を説明する。
【0053】
図3は、基本機構条件として選定対象の機構装置の構成(すなわち機構装置が備える電動機及び機構要素の組み合わせ及び配列)の情報を入力するための入力画面G1の一例を示す。図3に示すように、入力画面G1は、第1領域G11と、第2領域G12と、を有する。
【0054】
第1領域G11は、選定対象の機構装置の取り得る構成要素の一覧を表示する領域であり、入力画面G1の縁部(例えば左縁)に配置されている。上記の構成要素(電動機及び機構要素)の一覧には、複数の構成要素に対応する複数の構成要素アイコンm1~m6が表示されている。構成要素アイコンm1は、電動機を示すアイコンである。構成要素アイコンm2は、例えば水平用のボールねじを示すアイコンである。構成要素アイコンm3は、例えば水平用のベルトプーリ機構を示すアイコンである。構成要素アイコンm4は、例えば水平用のラックピニオン機構を示すアイコンである。構成要素アイコンm5は、カップリングを示すアイコンである。構成要素アイコンm6は、負荷イナーシャを示すアイコンである。以下の説明で、構成要素アイコンm1~m6を区別しない場合は、構成要素アイコンm0と記載する場合がある。
【0055】
第2領域G12は、入力画面G1のうち、第1領域G11以外の領域であり、選定対象の機構装置の構成を入力するための作業を行う作業領域である。
【0056】
利用者は、入力装置3への入力操作によって、第1領域G11の構成要素の一覧に表示された複数の構成要素アイコンm1~m6の中から、利用者が所望する複数の構成要素アイコンm0を選択する。そして、利用者は、選択した複数の構成要素アイコンm0を第2領域G12に移動させて配置させる。このとき、第2領域G12に配置された複数の構成要素アイコンm0には、例えば第2領域G12に配置された順番に自動的に識別番号p1(例えば「E01」、「E02」、「E03」、「E11」など)が付与される。そして、付与された識別番号p1は、付与された構成要素アイコンm0の周囲に表示される。この識別番号p1の付与は、第1入力部51の処理によって行われる。
【0057】
そして、利用者は、第2領域G12に配置された複数の構成要素アイコンm0を所望の配列で結合させる。なお、結合された2つの構成要素アイコンm0の間には、結合を示す結合アイコンk1が表示される。図3の例では、識別番号「E11」の構成要素アイコンm1の右側に識別番号「E12」の構成要素アイコンm5が結合され、識別番号「E12」の構成要素アイコンm5の右側に識別番号「E13」の構成要素アイコンm2が結合される。また、識別番号「E13」の構成要素アイコンm2の上側に識別番号「E21」の構成要素アイコンm6が結合されている。
【0058】
本実施形態では、利用者は、第2領域G12に配置された複数の構成要素アイコンm0の中から2つ以上の所望の構成要素アイコンm0を選択してグループ化することが可能である。グループ化された構成要素アイコンm0のグループn1は、例えば点線で示されて、自動的に識別番号q1が付与される。図3の例では、識別番号「E11」の構成要素アイコンm1、識別番号「E12」の構成要素アイコンm5、識別番号「E13」の構成要素アイコンm2、識別番号「E21」の構成要素アイコンm6がグループ化される。そして、そのグループn1に識別番号q1として「G01」が付与されている。そして、付与された識別番号「G01」は、付与されたグループn1の周囲に表示される。この識別番号q1の付与は、第1入力部51の処理によって行われる。
【0059】
また、図3の例では、識別番号「E01」の構成要素アイコンm1の右側に識別番号「E02」の構成要素アイコンm5が結合され、識別番号「E02」の構成要素アイコンm5の右側に識別番号「E03」の構成要素アイコンm2が結合され、識別番号「E03」の構成要素アイコンm2の上側に識別番号「G01」のグループn1が結合されている。
【0060】
このように、利用者は、入力画面G1の第2領域G12において、選定対象の機構装置の所望の構成(すなわち機構装置が備える電動機及び機構要素の組み合わせ及び配列)と同じ組み合わせ及び配列で、複数の構成要素アイコンm0を結合させる。これにより、選定対象の機構装置の所望の構成の情報を選定装置1に入力することが可能である。
【0061】
なお、図3の例では、選定対象の機構装置として、2つの電動機で負荷をX方向及びY方向に移動させるためのXYテーブルの構成の情報が入力される場合が例示されている。
【0062】
本実施形態では、入力装置3への入力操作によって、第2領域G12に配置された複数の構成要素アイコンm0の中の所望の構成要素アイコンm0が選択されると、入力画面Gs2(図4及び図5参照)が表示される。入力画面G2は、選択された構成要素アイコンm0に対応する構成要素(電動機及び機構要素)の仕様の設定値を入力するための画面である。
【0063】
図4は、基本構成条件として、選択された構成要素アイコンm0に対応する構成要素の仕様の設定値を入力するための入力画面G2の一例を示す。図4に示す入力画面G2は、さらに、上記仕様の設定値の変更許容範囲、及び、上記仕様の優先度の設定を入力するための入力画面を兼ねている。
【0064】
図4に示す入力画面G2Aは、識別番号「E01」の構成要素アイコンm1が選択された場合の入力画面G2を示す。図4に示すように、入力画面G2Aは、選択要素の欄R11と、仕様項目の欄R12と、入力領域の欄R13とを有する。
【0065】
選択要素の欄R11は、入力画面G2Aの例えば左端領域に配置されている。選択要素の欄R11には、選択された識別番号「E01」の構成要素アイコンm1が表示される。仕様項目の欄R12は、選択要素の欄R11の例えば右側に配置されている。仕様項目の欄R12には、仕様a6として、複数の仕様項目a1が記載されている。複数の仕様項目a1として、例えば、「モータ出力」、「負荷イナーシャ比」及び「長さ」などが表示されている。複数の仕様項目a1は、例えば上下に並んで配置されている。入力領域の欄R13は、仕様項目の欄R12の例えば右側に配置されている。入力領域の欄R13には、仕様項目a1毎に複数の入力領域(入力領域f11~f14、入力領域f21~f24、又は入力領域f31~f34)が表示されている。
【0066】
入力領域f11~f14は、仕様項目「モータ出力」に対応する。入力領域f21~f24は、仕様項目「負荷イナーシャ比」に対応する。入力領域f31~f34は、仕様項目「長さ」に対応する。入力領域f11,f21,f31は、対応する仕様項目a1の設定値a7の代表値a2を入力するための入力領域である。入力領域f12,f22,f32は、対応する仕様項目a1の設定値a7の変更許容範囲の下限値a3を入力するための入力領域である。入力領域f13,f23,f33は、対応する仕様項目a1の設定値a7の変更許容範囲の上限値a4を入力するための入力領域である。入力領域f14,f24,f34は、対応する仕様項目a1の優先度a5を入力するための入力領域である。
【0067】
図4の例では、仕様項目「モータ出力」に対応する入力領域f11~f14にはそれぞれ、代表値:200[W]、下限値:100[W]、上限値:1000[W]、優先度:5が入力されている。仕様項目「負荷イナーシャ比」に対応する入力領域f21~f24にはそれぞれ、代表値:5倍、下限値:1倍、上限値:30倍、優先度:10が入力されている。仕様項目「長さ」に対応する入力領域f31~f34にはそれぞれ、代表値:20[mm]、下限値:1[mm]、上限値:100[mm]、優先度:15が入力されている。
【0068】
なお、入力領域f14,f24,f34への優先度a5の入力は、他の入力領域に既に入力されている優先度の値との重複を回避するために、既に用いられている優先度の値をリストに表示して既に用いられている優先度の値が分かるようにしておく。そして、利用者は、そのリストに表示されていない優先度の値を優先度a5として入力領域に入力してもよい。なお、上記リストは、優先度a5を入力しようとする入力領域(例えばf14)を選択すると、入力領域(例えばf14)の周囲にサブ画面が表示されて、そのサブ画面に表示される。
【0069】
このように、基本機構条件の各仕様項目a1(すなわち仕様a6)に対応する各入力領域(入力領域f11~f14、入力領域f21~f24、又は入力領域f31~f34)に所望の設定値を入力する。これにより、基本構成条件の設定値a7(代表値a2、許容変更範囲の下限値a3及び上限値a4、並びに、優先度a5)を入力することが可能である。
【0070】
図5に示す入力画面G2Bは、識別番号「E03」の構成要素アイコンm2が選択された場合の入力画面G2を示す。図5に示すように、入力画面G2Bは、選択要素の欄R21と、仕様項目の欄R22と、入力領域の欄R23とを有する。
【0071】
選択要素の欄R21は、入力画面G2Bの例えば左端領域に配置されている。選択要素の欄R21には、選択された識別番号「E03」の構成要素アイコンm2が表示される。仕様項目の欄R22は、選択要素の欄R21の例えば右側に配置されている。仕様項目の欄R22には、仕様b6として、複数の仕様項目b1が表示されている。複数の仕様項目b1として、例えば、「全長」、「リード」及び「ねじ径」などが表示される。複数の仕様項目b1は、例えば上下に並んで配置される。入力領域の欄R23は、仕様項目の欄R22の例えば右側に配置されている。入力領域の欄R23には、仕様項目b1毎に複数の入力領域(入力領域f41~f44、入力領域f51~f54、又は入力領域f61~f64)が表示される。
【0072】
入力領域f41~f44は、仕様項目「全長」に対応する。入力領域f51~f54は、仕様項目「リード」に対応する。入力領域f61~f64は、仕様項目「ねじ径」に対応する。入力領域f41,f51,f61は、対応する仕様項目b1の設定値b7の代表値b2を入力するための入力領域である。入力領域f42,f52,f62は、対応する仕様項目b1の設定値b7の変更許容範囲の下限値b3を入力するための入力領域である。入力領域f43,f53,f63は、対応する仕様項目b1の設定値b7の変更許容範囲の上限値b4を入力するための入力領域である。入力領域f44,f54,f64は、対応する仕様項目b1の優先度b5を入力するための入力領域である。
【0073】
図5の例では、仕様項目「全長」に対応する入力領域f41~f44にはそれぞれ、代表値:500[mm]、下限値:100[mm]、上限値:1000[mm]、優先度:1が入力されている。仕様項目「リード」に対応する入力領域f51~f54にはそれぞれ、代表値:10[mm]、下限値:5[mm]、上限値:10[mm]、優先度:2が入力されている。仕様項目「ねじ径」に対応する入力領域f61~f64にはそれぞれ、代表値:20[mm]、下限値:16[mm]、上限値:20[mm]、優先度:3が入力されている。
【0074】
このように、基本機構条件の各仕様項目b1(すなわち仕様b6)に対応する各入力領域(入力領域f41~f44、入力領域f51~f54、又は入力領域f61~f64)に所望の設定値を入力する。これにより、基本構成条件の設定値b7(代表値b2、許容変更範囲の下限値b3及び上限値b4、並びに、優先度b5)を入力することが可能である。
【0075】
図6は、基本機構条件として、優先順位の設定の入力を受け付ける入力画面G6の一例を示す。入力画面G6では、優先順位の設定入力の対象として、「機構要素」「電動機」「動作パターン」が決まっており、その設定対象の優先順位の入力を受け付ける。入力画面G6への優先順位の入力は、入力装置3を介して行われる。図6の例では、「機構要素」の優先順位として「1」が入力され、「電動機」の優先順位として「2」が入力され、「動作パターン」の優先順位として「3」が入力された場合が例示される。
【0076】
次に図7を参照して、基本動作条件(選定対象の機構装置の各電動機の動作パターンの仕様c6の設定値c7)の入力を受け付ける入力画面G3の一例を説明する。
【0077】
図7に示す入力画面G3は、基本動作条件として、入力画面G1の第2領域G12(図3参照)に配置された各構成要素アイコンm1(すなわち電動機に対応する構成要素アイコンm1)に対応する各電動機の動作パターンの仕様の設定値を入力するための入力画面である。図7に示す入力画面G3は、さらに、上記仕様の設定値の変更許容範囲、及び、上記仕様の優先度の設定を入力するための入力画面を兼ねている。
【0078】
本実施形態では、図3に示す入力画面G1で、上述のように選定対象の機構装置の所望の構成の情報を入力した後、入力装置3への入力操作によって、入力画面G3が表示装置2に表示される。
【0079】
図7に示すように、入力画面G3は、第1領域G31と、第2領域G32とを有する。
【0080】
第1領域G31は、1つ以上(例えば2つ)のサブ入力画面SG1,SG2を含む。各サブ入力画面SG1,SG2は、入力画面G1の第2領域G12(図3参照)に配置された各構成要素アイコンm1(すなわち識別番号「E01」の構成要素アイコンm1、及び、識別番号「E11」の構成要素アイコンm1)に対応する画面である。各サブ入力画面SG1,SG2は、図7の紙面垂直方向に重ねて表示されている。図7の例では、サブ入力画面SG1が紙面前側に配置されており、サブ入力画面SG2は、サブ入力画面SG1の後側に配置されており、視認できない状態である。各サブ入力画面SG1,SG2はそれぞれ、タブtb1,tb2を有する。タブtb1,tb2には、対応する構成要素アイコンm1の識別番号(例えば「E01」又は「E11」)が表示されている。タブtb1,tb2の一方を選択することで、選択されたタブtb1,tb2を有するサブ入力画面SG1,SG2が最前面に配置される。
【0081】
サブ入力画面SG1は、仕様項目の欄R31と、入力領域の欄R32とを有する。
【0082】
仕様項目の欄R31は、入力画面G3の例えば左側領域に配置されている。仕様項目の欄R31には、仕様c6として、複数の仕様項目c1が表示されている。複数の仕様項目c1として、例えば、「移動距離」、「開始時刻」、「最高速度」、「到達速度#1」、「継続時間#1」、「減速時間」、「到達速度#2」、「継続時間#2」などが表示されている。複数の仕様項目c1は、例えば上下に並んで配置される。入力領域の欄R32は、仕様項目の欄R31の例えば右側に配置されている。入力領域の欄R32には、仕様項目c1毎に1つ以上の入力領域(入力領域g11、入力領域g21、入力領域g31~g34、入力領域g41~g43,g34、入力領域g51~g53,g34、入力領域g61~g63,g34、入力領域g71,g34、入力領域g81~g83,g34)が表示される。
【0083】
入力領域g11は、仕様項目「移動距離」に対応する。入力領域g21は、仕様項目「開始時刻」に対応する。入力領域g31~g34は、仕様項目「加速時間」に対応する。入力領域g41~g43,g34は、仕様項目「到達速度#1」に対応する。入力領域g61~g63,g34は、仕様項目「減速時間」に対応する。入力領域g71は、仕様項目「到達速度#2」に対応する。入力領域g81~g83,g34は、仕様項目「待ち時間」に対応する。
【0084】
入力領域g11,g21,g31,g41,g61,g71は、対応する仕様項目c1の設定値c7の代表値c2を入力するための入力領域である。入力領域g32,g42,g62,g82は、対応する仕様項目c1の設定値c7の変更許容範囲の下限値c3を入力するための入力領域である。入力領域g33,g43,g63,g83は、対応する仕様項目c1の設定値c7の変更許容範囲の上限値c4を入力するための入力領域である。入力領域g34は、対応する仕様項目c1の優先度c5を入力するための入力領域である。図7の例では、入力領域g34は、仕様項目「加速時間」、「到達速度#1」、「減速時間」、「到達速度#2」、「待ち時間」の間で共通である。したがって、仕様項目「加速時間」、「到達速度#1」、「減速時間」、「到達速度#2」、「待ち時間」の優先度c5は共通である。
【0085】
図7の例では、仕様項目「移動距離」に対応する入力領域g11には、代表値:4[rev]が入力されている。仕様項目「開始時刻」に対応する入力領域g21には、代表値:0[ms]が入力されている。仕様項目「加速時間」に対応する入力領域g31~g34にはそれぞれ、代表値:20[ms]、下限値:15[ms]、上限値:50[ms]、優先度:4が入力されている。仕様項目「到達速度#1」に対応する入力領域g41~g43,g34にはそれぞれ、代表値:3000[r/min]、下限値:2000[r/min]、上限値:3000[r/min]、優先度:4が入力されている。仕様項目「減速時間」に対応する入力領域g61~g63,g34にはそれぞれ、代表値:20[ms]、下限値:15[ms]、上限値:50[ms]、優先度:4が入力されている。仕様項目「到達速度#2」に対応する入力領域g71には、代表値:0[r/min]が入力されている。仕様項目「待ち時間」に対応する入力領域g81~g83,g34にはそれぞれ、代表値:200[ms]、下限値:200[ms]、上限値:2000[ms]、優先度:4が入力されている。
【0086】
サブ入力画面SG2は、サブ入力画面SG1と同じ構成であるため、サブ入力画面SG2の説明は省略する。
【0087】
第2領域G32は、各サブ入力画面SG1,SG2で設定された代表値c2に基づく各電動機の運動パターンを示すグラフW01,W11を表示する領域である。グラフW01,W11において、例えば、横軸は時間であり、縦軸は電動機の回転速度である。
【0088】
第2領域G32の上段のグラフW01は、サブ入力画面SG1で設定された代表値c2に基づく電動機(すなわち識別番号「E01」の構成要素アイコンm1に対応する電動機)の動作パターンのグラフを示す。第2領域G32の下段のグラフW11は、サブ入力画面SG2で設定された代表値c2に基づく電動機(すなわち識別番号「E11」の構成要素アイコンm1に対応する電動機)の動作パターンのグラフを示す。すなわち、各サブ入力画面SG1,SG2に基本動作条件の設定値c7が入力されると、その入力された設定値c7の代表値c2に基づいて動作パターンのグラフW01,W11が作成されて第2領域G32に表示される。
【0089】
このように、基本動作条件の各仕様項目c1に対応する各入力領域(入力領域g11、入力領域g21、入力領域g31~f34、入力領域g41~g43,g34、入力領域g51~g53,g34、入力領域g61~g63,g34、入力領域g71、入力領域g81~g83,g34)に所望の設定値を入力する。これにより、基本動作条件の設定値c7(代表値c2、変更許容範囲の下限値c3及び上限値c4、並びに、優先度c5)を入力することが可能である。
【0090】
(1-5)結果表示画面の一例
図8を参照して、選定装置1の選定結果及び評価結果(すなわち、選定工程で行われた評価の評価結果、及び、選定工程で行われた選定の選定結果)を示す結果表示画面G4の一例を説明する。
【0091】
図8に示すように、結果表示画面G4の最上段には、評価及び選定を行うときに実施された条件(以下「実施条件」と呼ぶ。)の種類(「基本条件」、「ユーザ条件#1」、「ユーザ条件#2」、「ユーザ条件#3」など)が表示される。結果表示画面G4の最左段には、実施条件の詳細項目(「優先項目」、「実現性」、「機構要素(E02)の品番」、「機構要素(E03)の品番」、「電動機(E01)の動作パターン」、「電動機(E01)の品番」、「回生抵抗」など)が表示される。
【0092】
結果表示画面G4の最左欄の各詳細項目(「優先項目」など)について説明する。
【0093】
「優先項目」は、評価及び選定を行うときに選定対象の機構装置の電動機、機構要件及び動作パターンのうちのどの条件を固定するかを示す項目である。例えば、「優先項目」が「電動機」である場合は、電動機、機構要件及び動作パターンのうち、電動機の設定値は例えば代表値に固定され、他の条件(機構要件及び動作パターン)の設定値は変更許容範囲内で変更される。
【0094】
「優先項目」は、第2入力工程で入力された上記優先順位に基づいて設定される。すなわち、図8の例では「優先項目」は、左側から右側に順に「動作パターン」「機構要素」「電動機」の順に表示されている。この順番は、上記優先順位における第1番目、第2番目及び第3番目の順に対応している。
【0095】
「実現性」は、各実施条件で選定対象の機構装置の実現性を評価しときの評価結果(すなわち選定工程で行われた評価の評価結果)h1を示す。実現性を満たす場合は「○」が表示され、実現性を満たさない場合は「×」が表示される。
【0096】
結果表示画面G4の最左欄の「機構要素(E02)の品番」、「機構要素(E03)の品番」、「電動機(E01)の動作パターン」、「電動機(E01)の品番」及び「回生抵抗」などは、選定工程で行われた選定の選定結果i1を示す。本実施形態では、選定対象の機構装置の機構要素及び電動機の選定結果i1は、例えば品番で表示される。
【0097】
より詳細には、「機構要素(E02)の品番」は、識別番号「E02」に対応する機構要素(すなわちカップリング)における、対応する実施条件で用いられた設定値(すなわち仕様)を満たす品番を示す。「機構要素(E03)の品番」は、識別番号「E03」に対応する機構要素(すなわちボールねじ)における、対応する実施条件で用いられた設定値(すなわち仕様)を満たす品番を示す。「電動機(E01)の動作パターン」は、識別番号「E01」に対応する電動機の動作パターンにおける、対応する実施条件で用いられた設定値(すなわち仕様)を満たす動作パターンを示す。
【0098】
「電動機(E01)の動作パターン」は、動作パターンの設定値(すなわち仕様)の全てが代表値である場合は、例えば「パターン#1」と表示される。また、「電動機(E01)の動作パターン」は、動作パターンの設定値が変更許容範囲内で変更された場合は、変更内容に応じて、例えば「パターン#2」又は「パターン#3」などと表示される。
【0099】
「電動機(E01)の品番」は、識別番号「E01」に対応する電動機における、対応する実施条件で用いられた設定値(すなわち仕様)を満たす品番を示す。
【0100】
なお、図8の例では、結果表示画面G4の最左欄の詳細項目には、選定対象の機構装置の構成要素及び動作パターンの選定結果i1の詳細項目として、「機構要素(E02)の品番」、「機構要素(E03)の品番」、「電動機(E01)の品番」及び「電動機(E01)の動作パターン」のみ表示されている。ただし、実際には、機構要素(E02)、機構要素(E03)及び電動機(E01)以外の構成要素、及び、電動機(E01)以外の電動機の動作パターンの各々の詳細項目も表示される。
【0101】
「回生抵抗」は、対応する実施条件において選定対象の機構装置に要求される回生抵抗の値(回生抵抗の情報r1)を示す。回生抵抗とは、対応する実施条件で選定対象の機構装置を動作させたときに選定対象の機構装置の各電動機に流れる回生電力を消費するために必要な抵抗(容量[W])である。本実施形態では、「回生抵抗」の値は、回生エネルギのみを考慮して決められる。ただし、選定対象の機構装置が複数の電動機を備える場合において、或る電動機の回生時に他の電動機が力行している場合は、上記或る電動機の回生時の回生エネルギから上記他の電動機の力行時の消費エネルギを差し引いた値を実質的な回生電力と見なして回生抵抗の値が決定されてもよい。
【0102】
次に、結果表示画面G4の最上段の各実施条件(「基本条件」など)について説明する。
【0103】
「基本条件」は、基本機構条件及び基本動作条件の設定値として代表値を用いた場合の実施条件である。すなわち「基本条件」は、選定対象の機構装置の各構成要素(電動機及び機構要素)及び各電動機の動作パターンの設定値として代表値を用いた場合の実施条件である。
【0104】
「ユーザ条件#1」は、図8の例では「優先項目」が「動作パターン」である場合の実施条件である。「ユーザ条件#2」は、図8の例では「優先項目」が「機構要素」である場合の実施条件である。「ユーザ条件#3」は、図8の例では「優先項目」が「電動機」である場合の実施条件である。
【0105】
なお、「ユーザ条件#1」では、選定対象の機構装置の機構要素、電動機及び動作パターンのうち、動作パターンの設定値は代表値に固定され、他の条件(機構要素及び電動機)の設定値は変更許容範囲内で変更される。このため、変更許容範囲内での他の条件(機構要素及び電動機)の設定値の取り得る組み合わせの数だけ、「ユーザ条件#1」の数は存在するが、図8の例では、「ユーザ条件#1」は、作図便宜上、1つのみ表示されている。「ユーザ条件#2」及び「ユーザ条件#3」も同様にそれぞれ1のみ表示されている。
【0106】
図8に示されるように、例えば、実施条件が「基本条件」である場合は、選定工程で実現性を満たさないと判定された場合を示しており、「実現性」の欄には「×」表示される。これにより、この場合は、選定対象の機構装置は実現性を満たさないことが分かる。なお、実現性を満たさない場合は、選定対象の機構装置の選定結果i1は、表示されない。この場合、「機構要素(E02)の品番」、「機構要素(E03)の品番」、「電動機(E01)の動作パターン」、「電動機(E01)の品番」及び「回生抵抗」の各々の欄には「-」が表示される。
【0107】
また、例えば、実施条件が「ユーザ条件#1」である場合は、選定工程で実現性を満たすと判定された場合を示しており、評価結果h1として、「実現性」の欄には「○」が表示される。また、選定結果i1として、「機構要素(E02)の品番」の欄には「品番k12」が表示され、「機構要素(E03)の品番」の欄には「品番q12」が表示され、「電動機(E01)の動作パターン」の欄には「パターン#1」が表示され、「電動機(E01)の品番」の欄には「p12」が表示され、回生抵抗の情報r1として「回生抵抗」の欄には「45[W]」が表示される。これにより、実施条件が「ユーザ条件#1」である場合は、選定対象の機構装置は実現性を満たしていることが分かる。そして、この場合、識別番号「E02」の機構要素として品番「k12」の機構要素が選定され、識別番号「E03」の機構要素として品番「q12」の機構要素が選定され、識別番号「E01」の電動機の動作パターンとして「パターン#1」が選定され、識別番号「E01」の電動機として品番「p12」の電動機が選定されたことが分かる。また、この場合は、回生抵抗の値は「45[W]」が適切であることが分かる。
【0108】
また、結果表示画面G4において、例えば実施条件が「ユーザ条件#1」である場合において、入力装置3への入力操作によって、例えば、「機構要素(E02)の品番」の欄の「k12」の表示が選択されると、上記の「機構要素(E02)の品番」の欄の周囲にサブ画面SG5(図10参照)が表示される。そして、そのサブ画面SG5によって、品番「k12」の機構要素の価格情報d1及び納期情報d2が表示される。図10の例では、価格情報d1によって、品番k12の機構要素の価格は15000円であることが分かり、納期情報d2によって、上記機構要素の納期は2023年4月28日であることが分かる。
【0109】
このように、結果表示画面G4から、利用者は、どの実施条件の場合が選定対象の機構装置が実現性を満たし、その場合の機構装置の各構成要素(機構要素及び電動機)としてどの品番の構成要素が選定されたかを容易に知ることができる。図8の例では、結果表示画面G4から、実施条件が「基本条件」及び「ユーザ条件#2」である場合は実現性を満たさず、実施条件が「ユーザ条件#1」及び「ユーザ条件#3」である場合は実現性を満たすことが分かる。これにより、利用者は、実現性を満たさない「基本条件」及び「ユーザ条件#2」は採用できないため、実現性を満たす「ユーザ条件#1」及び「ユーザ条件#3」の何れかを採用すればよいことが分かる。このとき、利用者は、上述のように「ユーザ条件#1」及び「ユーザ条件#3」の各々の場合の選定対象の機構装置の各構成要素の価格情報d1及び納期情報d2を確認する。これにより、選定対象の構成装置の価格を重視する場合は、「ユーザ条件#1」及び「ユーザ条件#3」のうち、価格が安い方の実施条件を選び、選定対象の構成装置の納期を重視する場合は、「ユーザ条件#1」及び「ユーザ条件#3」のうち、納期が早い方の実施条件を選ぶことができる。
【0110】
(1-6)動作説明
図9を参照して、選定装置1の動作(すなわち選定方法)を説明する。
【0111】
図9に示すように、選定装置1の動作は、第1入力工程S20と、第2入力工程S21と、選定工程S22と、出力工程S23と、を有する。
【0112】
第1入力工程S20では、処理装置5の第1入力部51は、入力装置3への入力操作を介して、基本機構条件及び基本動作条件の入力を受け付ける。より詳細には、利用者は、入力装置3への入力操作によって表示装置2に入力画面G1(図3参照)を表示させる。そして、利用者は、上述のように、選定対象の機構装置の構成の設定(すなわち上記機構装置の構成要件の組み合わせ及び配列)を入力画面G1に入力する。また、利用者は、入力装置3への入力操作によって、表示装置2に入力画面G2(図4及び図5参照)を表示させる。そして、利用者は、上述のように、選定対象の機構装置の構成要素(電動機及び機構要素)の各仕様項目a1,b1に対する設定値a7、b7(より詳細には代表値a2,b2)を入力画面G2に入力する。また、利用者は、入力装置3への入力操作によって、表示装置2に入力画面G3(図7参照)を表示させる。そして、利用者は、上述のように、選定対象の機構装置の各電動機の動作パターンの各仕様項目c1の設定値c7(より詳細には代表値c2)を入力画面G3に入力する。
【0113】
第2入力工程S21では、処理装置5の第2入力部52は、入力装置3への入力操作を介して、基本機構条件及び基本動作条件の変更許容範囲(下限値及び上限値)、及び、優先度の入力を受け付ける。より詳細には、利用者は、入力装置3への入力操作によって表示装置2に入力画面G2,G3(図4図7参照)を表示させる。そして、利用者は、上述のように、選定対象の機構装置の各構成要素の各仕様項目a1~c1の設定値a7~c7の変更許容範囲(下限値a3~c3及び上限値a4~c4)、及び、優先度a5~c5を入力画面G2,G3に入力する。
【0114】
また、第2入力工程S21では、処理装置5の第2入力部52は、入力装置3への入力操作を介して、基本機構条件及び基本動作条件の優先順位の入力を受け付ける。より詳細には、利用者は、入力装置3への入力操作によって表示装置2に所定の入力画面を表示させて、選定対象の機構装置の電動機、機構要素及び動作パターンの3つの条件の優先順位を上記所定の入力画面に入力する。
【0115】
選定工程S22では、処理装置5の選定部53は、上述のように、入力された基本機構条件及び基本動作条件の各仕様項目a1~c1の設定値a7~c7を、入力された変更許容範囲(下限値a3~c3及び上限値a4~c4)内で変更しながら、基本機構条件及び基本動作条件の各仕様項目a1~c1の設定値a7~c7に基づいて選定対象の機構装置の実現性の評価を行う。その際、選定部53は、電動機、機構要素及び動作パターンのうち、優先順位の高い条件の設定値を例えば代表値a2~c2に固定し、優先順位の低い基条件の設定値を優先的に変更許容範囲内で変更する。また、選定部53は、選定対象の機構装置の或る構成要素の各仕様項目a1~c1の設定値を変更許容範囲内で変更するとき、上記或る構成要素の各仕様項目のうち、優先度が低い仕様項目の設定値を優先的に変更許容範囲内で変更する。例えば、選定部53は、上述のように、基本構成条件及び基本動作条件の各仕様項目の設定値を各実施条件(「基本条件」「ユーザ条件#1」「ユーザ条件#2」「ユーザ条件#3」など)に変更する。
【0116】
そして、選定工程S22では、選定部53は、各評価で用いられた基本機構条件の各仕様項目a1,b1の設定値(すなわち仕様)を満たす電動機及び機構要素を選定する。より詳細には、選定部53は、品番データベース41を用いることで、電動機及び機構要素の仕様(の設定値)から、その仕様(の設定値)を満たす品番の電動機及び機構要素を検索し、検索した品番の電動機及び機構要素を選定する。
【0117】
また、選定工程S22では、選定部53は、各評価結果h1において、評価結果h1で選定された基本機構条件及び基本動作条件の設定値a7~c7に基づいて、選定対象の機構装置に要求される回生抵抗の値を算出する。より詳細には、選定部53は、評価結果h1で選択された基本機構条件及び基本動作条件の設定値a7~c7に基づいて、選定対象の機構装置の各電動機が回生する回生エネルギを計算し、計算した回生エネルギを消費する能力を有する回生抵抗を算出する。そして、選定部53は、算出した回生抵抗を選定する。
【0118】
出力工程S23では、出力部54は、選定工程S22で行われた評価の評価結果h1、及び、選定工程S22で行われた選定の選定結果(選定された電動機及び機構要素の品番の選定結果i1、及び、選定された回生抵抗の情報r1)を表示装置2に出力する。そして、表示装置2は、出力工程S23で出力された評価結果h1、選定結果i1、及び回生抵抗の情報r1を結果表示画面G4(図8参照)として表示する。
【0119】
また、出力工程S23では、出力部54は、表示装置2に表示されている結果表示画面G4において、入力装置3への入力操作によって、各実施条件(例えば「ユーザ情報#1」)における選定結果i1の欄(例えば「機構要素(E02)の品番」、「機構要素(E03)の品番」、「電動機(E01)の動作パターン」及び「電動機(E01)の品番」の各々の欄)のうちの所望の欄(例えば「機構要素(E02)の品番」)が選択される。これにより、出力部54は、選択された欄に表示されている品番「k12」の電動機に関する価格及び納期を価格データベース42及び納期データベース43から検索する。そして、出力部54は、検索した価格の価格情報d1及び納期の納期情報d2を表示装置2に出力する。そして、表示装置2は、上記の選択された欄の周囲にサブ画面SG5(図10参照)を表示し、表示したサブ画面SG5に、上記の検索された価格情報d1及び納期情報d2を表示する。
【0120】
(1-7)効果
上記実施形態に係る選定方法は、選定対象の機構装置が備える電動機及び機構要素を選定する選定方法である。選定方法は、第1入力工程S20と、第2入力工程S21と、選定工程S22と、出力工程S23と、を備える。第1入力工程S20では、基本機構条件、及び、基本動作条件の入力を受け付ける。上記基本機構条件は、上記電動機及び上記機構要素の各々の仕様a6,b6を含む。上記基本動作条件は、上記電動機の動作パターンを含む。第2入力工程S21では、第1入力工程S20で入力された上記基本機構条件及び上記基本動作条件の変更許容範囲(下限値a3~c3及び上限値a4~c4)の入力を受け付ける。選定工程S22では、上記基本機構条件及び上記基本動作条件を上記変更許容範囲内で変更しながら、上記基本機構条件及び上記基本動作条件に基づいて上記機構装置の実現性の評価を行う。そして、選定工程S22では、上記評価で用いられた上記基本機構条件に含まれる上記仕様a6~c6を満たす電動機及び機構要素を選定する。出力工程S23では、選定工程S22で行われた評価の評価結果h1、及び、選定工程S22で行われた選定の選定結果(選定結果i1及び回生抵抗の情報r1)を表示装置2に出力する。
【0121】
この構成によれば、上記基本機構条件及び上記基本動作条件だけでなく上記変更許容範囲も入力できるため、上記変更許容範囲内で複数の評価結果h1及び複数の選定結果i1を出力できる。このため、利用者は、複数の評価結果h1及び複数の選定結果i1から所望の評価結果及び所望の選定結果を選ぶことができる。すなわち、上記変更許容範囲を予め入力するため、上記基本機構条件及び上記基本動作条件を入力し直して評価及び選定を何度もやり直す必要がない。このため、利用者は、選定対象の機構装置の設計を容易に行える。
【0122】
また、第2入力工程S21では、入力された上記基本機構条件及び上記基本動作条件に関する優先順位の入力を受け付ける。選定工程S22では、基本機構条件及び基本使用条のうちの優先順位の低い条件を優先的に変更許容範囲内で変更する。出力工程S23では、評価結果を、優先順位と対応させて表示装置2に表示させる。
【0123】
この構成によれば、評価結果h1を優先順位と対応させて表示装置2に表示させることができる。この結果、利用者は、複数の評価結果h1及び複数の選定結果i1の中から所望の評価結果及び所望の選定結果を選び易くなる。
【0124】
また、上記基本機構条件に含まれる仕様a6,b6は、複数の仕様項目a1,b1を有する。第2入力工程S21では、複数の仕様項目a1,b1の各々について変更許容範囲(下限値a3,b3及び上限値a4,b4)及び優先度a5,b5の入力を受け付ける。選定工程S22では、上記基本機構条件及び上記基本動作条件を変更許容範囲内で変更するとき、複数の仕様項目a1,b1のうち、優先度が低い仕様項目の設定値a7,b7を優先的に変更許容範囲内で変更する。
【0125】
この構成によれば、仕様a6,b6が複数の仕様項目a1,b1を有する場合、複数の仕様項目a1,b1の間で仕様項目a1,b1の設定値a7,b7を変更許容範囲内で変更するときの優先度を付けることができる。
【0126】
また、選定工程S22では、選定された上記電動機の回生エネルギを上記基本機構条件及び上記基本動作条件に基づいて算出し、計算した回生エネルギを消費する能力を有する回生抵抗を選定する。出力工程S23では、選定工程S22で選定された回生抵抗の情報r1を表示装置2に出力する。
【0127】
この構成によれば、実現性の評価結果h1、及び、上記電動機及び上記機構要素の選定結果i1の他に、選定された回生抵抗の情報r1も出力できる。
【0128】
また、出力工程S23では、選定工程S22で選定された上記電動機及び上記機構要素の納期情報d2を表示装置2に出力する。
【0129】
この構成によれば、上記電動機及び上記機構要素の納期を考慮して、複数の評価結果h1及び複数の選定結果i1から所望の評価結果及び所望の選定結果を選択できる。
【0130】
また、出力工程S23では、選定工程S22で選定された上記電動機及び上記機構要素の価格情報d1を表示装置2に出力する。
【0131】
この構成によれば、上記電動機及び上記機構要素の価格を考慮して、複数の評価結果h1及び複数の選定結果i1から所望の評価結果及び所望の選定結果を選択できる。
【0132】
また、選定工程S22では、選定された上記電動機に要求される必要トルクを算出し、算出した必要トルクが上記基本構成条件で設定された許容レベル以下であるか否かに基づいて、上記機構装置が実現性を満たすか否かを評価する。
【0133】
この構成によれば、簡単な手法で選定対象の機構装置の実現性を評価できる。
【0134】
また、選定工程S22では、必要トルクの時系列データの最大値が電動機を制御する制御装置で規定される最大トルク以下であるか、および、必要トルクの時系列データから計算される負荷率が電動機の制御装置で規定される値以下であるか、を判定する。
【0135】
この構成によれば、電動機の焼け付き、又は、電動機の制御装置の破損を抑止できる。
【0136】
また、出力工程S23では、選定結果i1として、選定された上記電動機及び上記機構要素の品番情報を表示装置2に出力する。
【0137】
この構成によれば、選定された上記電動機及び上記機構要素を、それらの品番で特定できる。
【0138】
(2)選定方法以外の発明の形態
上記実施形態に係る選定方法と同様の機能は、選定装置1、コンピュータプログラム(プログラム)、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0139】
一態様に係る選定装置1は、選定対象の機構装置が備える電動機及び機構要素を選定する選定装置1である。選定装置1は、第1入力部51と、第2入力部52と、選定部53と、出力部54と、を備える(図1参照)。第1入力部51は、基本機構条件、及び、基本動作条件の入力を受け付ける。上記基本機構条件は、上記電動機及び上記機構要素の各々の仕様a6~c6を含む(図4図7参照)。上記基本動作条件は、上記電動機の動作パターンを含む。第2入力部52は、第1入力部51にて入力された上記基本機構条件及び上記基本動作条件の変更許容範囲(下限値a3~c3及び上限値a4~c4)の入力を受け付ける(図4図7参照)。選定部53は、上記基本機構条件及び上記基本動作条件を上記変更許容範囲内で変更しながら、上記基本機構条件及び上記基本動作条件に基づいて上記機構装置の実現性の評価を行う。選定部53は、上記評価で用いられた上記基本機構条件に含まれる仕様a6~c6を満たす上記電動機及び上記機構要素を選定する。出力部54は、選定工程S22で行われた評価の評価結果h1、及び、選定工程S22で行われた選定の選定結果i1を表示装置2に出力する(図8参照)。
【0140】
一態様に係るプログラムは、コンピュータに上記実施形態に係る選定方法を実行させる。
【0141】
一態様に係る非一時的記録媒体は、上記選定方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録する。
【0142】
(3)変形例
上記実施形態の変形例を説明する。以下の変形例は組み合わせて実施可能である。
【0143】
(3-1)変形例1
上記実施形態の選定工程S22では、代表値a2~c2を用いて実現性の評価を行い(ステップS1→S2→S3)、その評価の結果が実現性を満たす場合(ステップS4)は、次に、変更許容範囲内の代表値以外の値を用いて実現性の評価を行う(ステップS4→S5→S6→S9→S10→S2→S3)。ただし、選定工程S22において、代表値a2~c2を用いて実現性の評価を行い、その評価の結果が実現性を満たす場合は、実現性の評価を終了してもよい。そして、その評価の結果が実現性を満たさない場合だけ、変更許容範囲(下限値a3~c3及び上限値a4~c4)内の代表値a2~c2以外の設定値を用いて実現性を評価し直してもよい。
【0144】
変形例1によれば、代表値a2~c2を用いて行われた評価の評価結果h1が実現性を満たさないときだけ、変更許容範囲内の代表値a2~c2以外の設定値を用いて実現性を評価し直すため、選定工程での評価の処理負担を軽減できる。
【0145】
(3-2)変形例2
上記実施形態において、選定対象の機構装置の構成に、電動機及び機構要素の他に、電動機のギヤ比を追加してもよい。この場合、上記基本機構条件及び上記基本動作条件の設定値、変更許容範囲及び優先度を入力するとき、電動機及び機構要素の設定値、変更許容範囲及び優先度の他に、各電動機のギヤ比の設定値、変更許容範囲及び優先度も入力可能になる。これにより、各電動機のギヤ比も考慮して、選定対象の機構装置の構成要素を選定できる。
【0146】
さらに、利用者が選定装置に入力した選定対象の機構装置の構成に各電動機のギヤ比の設定が無い場合、第1入力部51は、自動的に、上記機構装置の各電動機のギヤ比の設定を入力するようにしてもよい。また、第2入力部52は、自動的に、各電動機のギヤ比の設定値の変更許容範囲(下限値及び上限値)及び優先度の設定(すなわち予め決められた設定)を入力するようにしてもよい。これにより、利用者が電動機のギヤ比を考慮することを忘れていても、電動機のギヤ比を考慮して、選定対象の機構装置の構成要素を選定できる。
【0147】
(3-3)変形例3
上記実施形態において、優先度の低い仕様項目の設定値を優先的に変更許容範囲内で変更するとき、最初は、最低優先度の仕様項目の設定値のみを変更し、残りの仕様項目は代表値に固定して、選定対象の機構装置の実現性を評価する。そして、この設定で実現性を満たさない場合は、次に、最低優先度の項目と2番目に低い優先度の仕様項目との設定値のみを変更し、残りの項目は代表値に固定して、選定対象の機構装置の実現性を評価する。このように、優先度の低い仕様項目から順に、変更する仕様項目の数を1つずつ増やして、選定対象の機構装置の実現性を評価してもよい。この場合、図11に示すように、結果表示画面G5では、各実施条件にて、例えば「優先項目」の欄で、優先度が高い側から何番目までの優先度の仕様項目まで代表値に固定されたかを示す情報を表示してもよい。
【0148】
図11の例では、実施条件が「基本条件」の場合は、優先項目の欄には、「1~15」が記載が記載されており、実現性の欄には、「×」が記載されている。これにより、優先項目の欄から、優先度が高い側(1番目)から15番目までの優先度の仕様項目まで代表値に固定されて実現性が評価されたことが分かる。そして、実現性の欄から、この実施条件での評価結果は、実現性が無いことが分かる。また、この場合、実現性が無いため、選定結果i1及び回生抵抗の情報r1は結果表示画面G5には表示されない。
【0149】
また、実施条件が「修正後条件#1」の場合は、優先項目の欄には、「1~14」が記載が記載されており、実現性の欄には、「×」が記載されている。これにより、優先項目の欄から、優先度が高い側(1番目)から14番目までの優先度の仕様項目まで代表値に固定されて実現性が評価されたことが分かる。そして、実現性の欄から、この実施条件での評価結果は、実現性が無いことが分かる。また、この場合も、実現性が無いため、選定結果i1及び回生抵抗の情報r1は結果表示画面G5には表示されない。
【0150】
また、実施条件が「修正後条件#2」の場合は、優先項目の欄には、「1~13」が記載が記載されており、実現性の欄には、「○」が記載されている。これにより、優先項目の欄から、優先度が高い側(1番目)から13番目までの優先度の仕様項目まで代表値に固定されて実現性が評価されたことが分かる。そして、実現性の欄から、この実施条件での評価結果は、実現性が有ることが分かる。この場合、実現性が有るため、上記実施形態と同様に、選定結果i1及び回生抵抗の情報r1が結果表示画面G5に表示される。
【0151】
また、実施条件が「修正後条件#3」の場合は、優先項目の欄には、「1~12」が記載が記載されており、実現性の欄には、「○」が記載されている。これにより、優先項目の欄から、優先度が高い側(1番目)から12番目までの優先度の仕様項目まで代表値に固定されて実現性が評価されたことが分かる。そして、実現性の欄から、この実施条件での評価結果は、実現性が有ることが分かる。この場合、実現性が有るため、上記実施形態と同様に、選定結果i1及び回生抵抗の情報r1が結果表示画面G5に表示される。
【0152】
なお、結果表示画面G5の「優先項目」の欄で、上記のように、優先度が高い側から何番目までの優先度の仕様項目まで代表値に固定されたかを示す情報を表示する代わりに、全ての仕様項目のうち、設定値を代表値に固定できた仕様項目の数を表示してもよい。
【0153】
(3-4)変形例4
上記実施形態では、優先順位の設定の入力の例として、動作パターン、機構要素及び電動機の3つの条件の括りの中で優先順位の設定を入力する場合を例示する(図6参照)。ただし、図12に示すように、上記の3つの条件以外の条件の優先順位の設定を入力できるようにしてもよい。図12は、優先順位の設定入力の対象として、選定対象の機構装置の機構要素(例えば機構E01,E02,・・・,E21)及び電動機の動作パターン(例えば動作E01,E11)の間で優先順位の設定の入力を受け付ける場合の入力画面G7の一例を示す。
【0154】
入力画面G7では、優先順位の設定入力の対象として、選定対象の機構装置の複数の機構要素(例えば機構E01,E02,・・・,E11)及び電動機の動作パターン(例えば動作E01,E11)が決まっており、その設定対象の優先順位の入力を受け付ける。入力画面G7への優先順位の入力は、入力装置3を介して行われる。図12の例では、「機構E01」「機構E02」「機構E03」「機構E11」「機構E21」「動作E01」「動作E11」の優先順位としてそれぞれ「9」「10」「3」「1」「2」「12」「13」が入力されている。
【0155】
(4)態様
以上説明した実施形態及び変形例から明らかなように、本明細書には以下の態様が開示されている。
【0156】
第1の態様に係る選定方法は、選定対象の機構装置が備える電動機及び機構要素を選定する選定方法である。選定方法は、第1入力工程(S20)と、第2入力工程(S21)と、選定工程(S22)と、出力工程(S23)と、を備える。第1入力工程(S20)では、基本機構条件、及び、基本動作条件の入力を受け付ける。上記基本機構条件は、上記電動機及び上記機構要素の各々の仕様(a6,b6)を含む。上記基本動作条件は、上記電動機の動作パターンを含む。第2入力工程(S21)では、第1入力工程(S20)で入力された上記基本機構条件及び上記基本動作条件の変更許容範囲(下限値(a3~c3)及び上限値(a4~c4))の入力を受け付ける。選定工程(S22)では、上記基本機構条件及び上記基本動作条件を上記変更許容範囲内で変更しながら、上記基本機構条件及び上記基本動作条件に基づいて上記機構装置の実現性の評価を行い、上記評価で用いられた上記基本機構条件に含まれる仕様(a6,b6)を満たす電動機及び機構要素を選定する。出力工程(S23)では、選定工程(S22)で行われた評価の評価結果(h1)、及び、選定工程(S22)で行われた選定の選定結果(i1)のうちの少なくとも選定結果(i1)を表示装置(2)に出力する。
【0157】
この構成によれば、上記基本機構条件及び上記基本動作条件だけでなく上記変更許容範囲も入力できるため、上記変更許容範囲内で複数の評価結果(h1)及び複数の選定結果(i1)のうちの少なくとも選定結果(i1)を出力できる。このため、利用者は、複数の選定結果(i1)から所望の選定結果を選ぶことができる。すなわち、上記変更許容範囲を予め入力するため、上記基本機構条件及び上記基本動作条件を入力し直して評価及び選定を何度もやり直す必要がない。このため、利用者は、選定対象の機構装置の設計を容易に行える。
【0158】
第2の態様に係る選定方法は、第1の態様において、第2入力工程(S21)では、第1入力工程(S20)で入力された上記基本機構条件及び上記基本動作条件に関する優先順位の入力を受け付ける。選定工程(S22)では、上記基本機構条件及び上記基本動作条件のうちの優先順位の低い条件を優先的に上記変更許容範囲内で変更する。出力工程(S23)では、評価結果(h1)を、優先順位と対応させて表示装置(2)に表示させる。
【0159】
この構成によれば、評価結果(h1)を優先順位と対応させて表示装置(2)に表示させることができる。この結果、利用者は、複数の評価結果(h1)及び複数の選定結果(i1)の中から所望の評価結果及び所望の選定結果を選び易くなる。
【0160】
第3の態様に係る選定方法では、第1又は第2の態様において、上記基本機構条件に含まれる仕様(a6,b6)は、複数の仕様項目(a1,b1)を有する。第2入力工程(S21)では、複数の仕様項目(a1,b1)の各々について変更許容範囲(下限値(a3,b3)及び上限値(a4,b4))及び優先度(a5,b5)の入力を受け付ける。選定工程(S22)では、上記基本機構条件及び上記基本動作条件を上記変更許容範囲内で変更するとき、複数の仕様項目(a1,b1)のうち、優先度(a5,b5)が低い仕様項目の設定値(a7,b7)を優先的に上記変更許容範囲内で変更する。
【0161】
この構成によれば、仕様(a6,b6)が複数の仕様項目(a1,b1)を有する場合、複数の仕様項目(a1,b1)の間で仕様項目(a1,b1)の設定値(a7,b7)を上記変更許容範囲内で変更するときの優先度(a5,b5)を付けることができる。
【0162】
第4の態様に係る選定方法では、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、変更許容範囲(下限値(a3~c3)及び上限値(a4~c4))は、代表値(a2~c2)を含む。選定工程(S22)では、代表値(a2~c2)を用いて実現性の評価を行い、上記評価の評価結果(h1)が実現性を満たす場合は、実現性の評価を終了する。上記評価の評価結果(h1)が実現性を満たさない場合は、上記変更許容範囲内の代表値(a2~c2)以外の設定値(a7~c7)を用いて実現性を評価し直す。
【0163】
この構成によれば、代表値(a2~c2)を用いて行われた評価の評価結果(h1)が実現性を満たさないときだけ、上記変更許容範囲内の代表値(a2~c2)以外の設定値(a7~c7)を用いて実現性を評価し直す。このため、選定工程(S22)での評価の処理負担を軽減できる。
【0164】
第5の態様に係る選定方法では、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、選定工程(S22)では、選定された上記電動機の回生エネルギを上記基本機構条件及び上記基本動作条件に基づいて算出し、算出した回生エネルギを消費する能力を有する回生抵抗を選定する。出力工程(S23)では、選定工程(S22)で選定された上記回生抵抗の情報(r1)を表示装置(2)に出力する。
【0165】
この構成によれば、実現性の評価結果(h1)、及び、上記電動機及び上記機構要素の選定結果(i1)の他に、選定された回生抵抗の情報(r1)も出力できる。
【0166】
第6の態様に係る選定方法では、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、出力工程(S23)では、選定工程(S22)で選定された上記電動機及び上記機構要素の納期情報(d2)を表示装置(2)に出力する。
【0167】
この構成によれば、上記電動機及び上記機構要素の納期を考慮して、複数の評価結果(h1)及び複数の選定結果(i1)から所望の評価結果及び所望の選定結果を選択できる。
【0168】
第7の態様に係る選定方法では、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、出力工程(S23)では、選定工程(S22)で選定された上記電動機及び上記機構要素の価格情報(d1)を表示装置(2)に出力する。
【0169】
この構成によれば、上記電動機及び上記機構要素の価格を考慮して、複数の評価結果(h1)及び複数の選定結果(i1)から所望の評価結果及び所望の選定結果を選択できる。
【0170】
第8の態様に係る選定方法では、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、選定工程(S22)では、選定された上記電動機に要求される必要トルクを算出し、算出した必要トルクが上記基本構成条件で設定された許容レベル以下であるか否かに基づいて、上記機構装置が実現性を満たすか否かを評価する。
【0171】
この構成によれば、簡単な手法で選定対象の機構装置の実現性を評価できる。
【0172】
第9の態様に係る選定方法では、前記選定工程では、前記必要トルクの時系列データの最大値が前記電動機を制御する制御装置で規定される最大トルク以下であるか、および、前記必要トルクの時系列データから計算される負荷率が前記電動機の前記制御装置で規定される値以下であるか、を判定する。
【0173】
この構成によれば、電動機の焼け付き、又は、電動機の制御装置の破損を抑止できる。
【0174】
第10の態様に係る選定方法では、第1~第9の態様のいずれか1つにおいて、出力工程(S23)では、選定結果として、選定された上記電動機及び上記機構要素の品番情報を表示装置(2)に出力する。
【0175】
この構成によれば、選定された上記電動機及び上記機構要素を、それらの品番で特定できる。
【0176】
第11の態様に係るプログラムは、コンピュータに第1~第10の態様のいずれか1つの選定方法を実行させる。
【0177】
この構成によれば、上記選定方法をプログラムで提供できる。
【0178】
第12の態様に係る選定装置(1)は、選定対象の機構装置が備える電動機及び機構要素を選定する選定装置(1)である。選定装置(1)は、第1入力部(51)と、第2入力部(52)と、選定部(53)と、出力部(54)と、を備える。第1入力部(51)は、基本機構条件、及び、基本動作条件の入力を受け付ける。上記基本機構条件は、上記電動機及び上記機構要素の各々の仕様(a6,b6)を含む。上記基本動作条件は、上記電動機の動作パターンを含む。第2入力部(52)は、第1入力部(51)にて入力された上記基本機構条件及び上記基本動作条件の変更許容範囲(下限値(a3~c3)及び上限値(a4~c4))の入力を受け付ける。選定部(53)は、上記基本機構条件及び上記基本動作条件を上記変更許容範囲内で変更しながら、上記基本機構条件及び上記基本動作条件に基づいて上記機構装置の実現性の評価を行い、上記評価で用いられた上記基本機構条件に含まれる仕様(a6,b6)を満たす上記電動機及び上記機構要素を選定する。出力部(54)は、選定部(53)で行われた評価の評価結果(h1)、及び、選定部(53)で行われた選定の選定結果(i1)のうちの少なくとも選定結果(i1)を表示装置(2)に出力する。
【0179】
この構成によれば、上記基本機構条件及び上記基本動作条件だけでなく上記変更許容範囲も入力できるため、上記変更許容範囲内で複数の評価結果(h1)及び複数の選定結果(i1)のうちの少なくとも選定結果(i1)を出力できる。このため、利用者は、複数の選定結果(i1)から所望の選定結果を選ぶことができる。すなわち、上記変更許容範囲を予め入力するため、上記基本機構条件及び上記基本動作条件を入力し直して評価及び選定を何度もやり直す必要がない。このため、利用者は、選定対象の機構装置の設計を容易に行える。
【符号の説明】
【0180】
1 選定装置
2 表示装置
51 第1入力部
52 第2入力部
53 選定部
54 出力部
a1,b1 仕様項目
a2~c2 代表値
a3~c3 下限値(変更許容範囲)
a4~c4 上限値(変更許容範囲)
a5,b5 優先度
a6,b6 仕様
a7~c7 設定値
h1 評価結果
i1 選定結果
r1 回生抵抗の情報
S20 第1入力工程
S21 第2入力工程
S22 選定工程
S23 出力工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12