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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172999
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/3504 20140101AFI20241205BHJP
【FI】
G01N21/3504
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091102
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】猿谷 敏之
(72)【発明者】
【氏名】北川 雄真
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB01
2G059EE01
2G059FF01
2G059GG01
2G059HH01
2G059HH02
2G059JJ13
2G059KK01
(57)【要約】
【課題】被測定対象の状態を測定するときの測定時間を短縮可能な測定装置を提供する。
【解決手段】本開示に係る測定装置1は、第1方向D1に長尺な第1照射形状を有する第1照射光L1及び第1方向D1と異なる第2方向D2に長尺な第2照射形状を有する第2照射光L2を含む照射光Lを照射する照射部11と、照射光Lに基づく被測定光を受光する受光部12と、受光部12での受光信号に基づいて被測定対象Sの状態を測定する制御部90と、を備え、制御部90は、第1方向D1と交わる第1走査方向に第1照射光L1を走査させ、第2方向D2と交わる第2走査方向に第2照射光L2を走査させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に長尺な第1照射形状を有する第1照射光及び前記第1方向と異なる第2方向に長尺な第2照射形状を有する第2照射光を含む照射光を照射する照射部と、
前記照射光に基づく被測定光を受光する受光部と、
前記受光部での受光信号に基づいて被測定対象の状態を測定する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1方向と交わる第1走査方向に前記第1照射光を走査させ、前記第2方向と交わる第2走査方向に前記第2照射光を走査させる、
測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記照射部は、一方向に長尺な照射形状を有する前記照射光を照射し、
前記照射部から照射される前記照射光の長尺方向を前記第1方向と前記第2方向との間で変移させる変移部をさらに備える、
測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の測定装置であって、
前記変移部は、前記照射部及び前記受光部を含む光学系の全体を回転させる、
測定装置。
【請求項4】
請求項2に記載の測定装置であって、
前記変移部は、前記照射部の全体を回転させる、
測定装置。
【請求項5】
請求項2に記載の測定装置であって、
前記変移部は、前記照射部において光源に対し配置されているレンズを回転させる、
測定装置。
【請求項6】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記照射部は、前記第1照射光を照射する第1照射部と前記第2照射光を照射する第2照射部とを有する、
測定装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の測定装置であって、
前記照射部は、前記照射光が前記受光部の画角内で広がるように前記照射光を照射する、
測定装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の測定装置であって、
前記制御部は、前記第1走査方向に前記第1照射光を走査させたときの前記被測定対象の第1検知領域と、前記第2走査方向に前記第2照射光を走査させたときの前記被測定対象の第2検知領域と、の間の交差領域を前記被測定対象の存在領域として特定する、
測定装置。
【請求項9】
請求項8に記載の測定装置であって、
前記制御部は、前記存在領域を含む可視画像において前記存在領域を他の領域と異なる態様で表示させる、
測定装置。
【請求項10】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の測定装置であって、
前記第1方向と前記第2方向とは、互いに直交する、
測定装置。
【請求項11】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の測定装置であって、
前記第1方向と前記第1走査方向とは、互いに直交する、
測定装置。
【請求項12】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の測定装置であって、
前記第2方向と前記第2走査方向とは、互いに直交する、
測定装置。
【請求項13】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の測定装置であって、
前記制御部は、前記照射光に対する前記被測定対象の吸収特性に基づいて前記被測定対象の状態を測定する、
測定装置。
【請求項14】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の測定装置であって、
前記受光部は、前記照射部と同一側に配置され、前記被測定対象の背後に位置する背景物体で散乱又は反射した前記被測定光を受光する、
測定装置。
【請求項15】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の測定装置であって、
前記第1照射形状及び前記第2照射形状の少なくとも一方は、楕円形状を含む、
測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスのような被測定対象の有無及び濃度などを含む被測定対象の状態を測定する技術が知られている。例えば、特許文献1には、レーザー光を走査して2次元的なガス分布を取得することで、効率良く高精度にガスを測定するガス検知システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-152435号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、被測定対象の状態を測定するときの測定時間の短縮という観点では改善の余地があった。
【0005】
本開示は、被測定対象の状態を測定するときの測定時間を短縮可能な測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態に係る測定装置は、第1方向に長尺な第1照射形状を有する第1照射光及び前記第1方向と異なる第2方向に長尺な第2照射形状を有する第2照射光を含む照射光を照射する照射部と、前記照射光に基づく被測定光を受光する受光部と、前記受光部での受光信号に基づいて被測定対象の状態を測定する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1方向と交わる第1走査方向に前記第1照射光を走査させ、前記第2方向と交わる第2走査方向に前記第2照射光を走査させる。
【0007】
これにより、測定装置は、被測定対象の状態を測定するときの測定時間を短縮可能である。測定装置は、第1方向に長尺な第1照射形状を有する第1照射光を第1方向と交わる第1走査方向に走査し、第1方向と異なる第2方向に長尺な第2照射形状を有する第2照射光を第2方向と交わる第2走査方向に走査する。これにより、スポット状のレーザー光を照射する従来技術と比較して、照射光が走査の1ステップごとに照射する領域が増大する。したがって、1ステップごとに必要とされる空間的な走査間隔も大きくなる。結果として、測定装置は、走査時間を短縮して、被測定対象の状態の測定処理を高速化可能である。
【0008】
一実施形態における測定装置では、前記照射部は、一方向に長尺な照射形状を有する前記照射光を照射し、前記照射部から照射される前記照射光の長尺方向を前記第1方向と前記第2方向との間で変移させる変移部をさらに備えてもよい。
【0009】
これにより、測定装置は、複数の照射部を必要とせずに、一方向に長尺な照射形状を有する照射光を照射する単一の照射部を用いて、複数の異なる方向に長尺な照射形状をそれぞれ有する複数の照射光を異なるタイミングで照射可能である。例えば、測定装置は、第1方向に長尺な第1照射形状を有する第1照射光及び第1方向と異なる第2方向に長尺な第2照射形状を有する第2照射光を異なるタイミングで照射可能である。
【0010】
一実施形態における測定装置では、前記変移部は、前記照射部及び前記受光部を含む光学系の全体を回転させてもよい。これにより、測定装置は、照射部の回転と同期して受光部も回転させることが可能である。測定装置は、被測定対象の状態の測定に用いる光学系の内部において照射部と受光部との間の相対的な配置関係を維持した状態で照射光の照射形状を回転させることが可能である。
【0011】
一実施形態における測定装置では、前記変移部は、前記照射部の全体を回転させてもよい。測定装置は、光学系のうち照射部の全体を回転させることで、光学系の全体を回転させるときと比較して、回転動作を行う構成部をよりコンパクトにすることができる。測定装置は、よりコンパクトな動作で、照射光の照射形状を回転させることができる。
【0012】
一実施形態における測定装置では、前記変移部は、前記照射部において光源に対し配置されているレンズを回転させてもよい。これにより、測定装置は、光学系の全体又は照射部の全体を回転させるときと比較して、回転動作を行う構成部をさらにコンパクトにすることができる。測定装置は、さらにコンパクトな動作で、照射光の照射形状を回転させることができる。
【0013】
一実施形態における測定装置では、前記照射部は、前記第1照射光を照射する第1照射部と前記第2照射光を照射する第2照射部とを有してもよい。これにより、測定装置は、回転機構などを含む変移部を省略して、2つの照射部に基づき第1照射光及び第2照射光を安定して同時に照射可能である。測定装置は、照射部及び受光部を含む光学系を回転させることなく光学系内での照射部及び受光部の配置を常に固定した状態で、2つの照射部に基づき第1照射光及び第2照射光を安定して照射可能である。
【0014】
一実施形態における測定装置では、前記照射部は、前記照射光が前記受光部の画角内で広がるように前記照射光を照射してもよい。これにより、測定装置は、被測定対象に照射された照射光に基づく被測定光を漏れなく受光することが可能となる。例えば、測定装置は、受光部の画角の中央部に照射光を照射すると、被測定光の全体を漏れなくより確実に受光することが可能である。このとき、測定装置は、照射光が有する照射形状の長尺方向の幅を最も長くすることができる。測定装置は、光学系の全体を走査部により走査することで、照射部と受光部との間の相対的な配置関係を維持し、受光部の画角の中央部に照射光を常時照射しながら照射光を効果的に走査することも可能となる。
【0015】
一実施形態における測定装置では、前記制御部は、前記第1走査方向に前記第1照射光を走査させたときの前記被測定対象の第1検知領域と、前記第2走査方向に前記第2照射光を走査させたときの前記被測定対象の第2検知領域と、の間の交差領域を前記被測定対象の存在領域として特定してもよい。
【0016】
これにより、測定装置は、被測定対象が存在する領域を容易に特定可能である。測定装置は、交差領域によって領域を小さく狭めることで空間分解能を向上させることが可能となる。測定装置は、被測定対象の状態を測定するときの測定時間の短縮と空間分解能の向上とを両立可能である。
【0017】
一実施形態における測定装置では、前記制御部は、前記存在領域を含む可視画像において前記存在領域を他の領域と異なる態様で表示させてもよい。これにより、測定装置は、被測定対象が存在している領域を、可視画像上で明確に示すことができる。ユーザは、測定装置の出力部に表示された可視画像上で被測定対象が存在している領域を容易に確認することができる。ユーザは、ガスなどの目に見えない被測定対象であっても、測定装置による測定処理及び出力処理に基づいて、その存在を視覚的に容易に確認可能である。
【0018】
一実施形態における測定装置では、前記第1方向と前記第2方向とは、互いに直交してもよい。これにより、測定装置は、長尺方向が互いに直交する第1照射光及び第2照射光に基づいて、被測定対象の状態を測定可能である。測定装置は、走査部を用いた照射光の走査において、矩形状の2次元平面上での走査を容易にする。
【0019】
一実施形態における測定装置では、前記第1方向と前記第1走査方向とは、互いに直交してもよい。これにより、測定装置は、第1照射光の長尺方向に直交する方向に第1照射光を走査可能である。測定装置は、走査部を用いた第1照射光の走査において、矩形状の2次元平面の一の軸方向に沿って当該2次元平面上を隙間なく走査することも可能となる。
【0020】
一実施形態における測定装置では、前記第2方向と前記第2走査方向とは、互いに直交してもよい。これにより、測定装置は、第2照射光の長尺方向に直交する方向に第2照射光を走査可能である。測定装置は、走査部を用いた第2照射光の走査において、矩形状の2次元平面の他の軸方向に沿って当該2次元平面上を隙間なく走査することも可能となる。
【0021】
一実施形態における測定装置では、前記制御部は、前記照射光に対する前記被測定対象の吸収特性に基づいて前記被測定対象の状態を測定してもよい。これにより、測定装置は、被測定対象の有無及び被測定対象の濃度を精度良く測定したり、被測定対象の光吸収スペクトルを正確に算出したりすることも可能である。
【0022】
一実施形態における測定装置では、前記受光部は、前記照射部と同一側に配置され、前記被測定対象の背後に位置する背景物体で散乱又は反射した前記被測定光を受光してもよい。これにより、測定装置は、照射部及び受光部を背景物体に対して同一側に配置して光学系を一体的に構成することが可能である。したがって、測定装置は、装置全体をコンパクトに構成することも可能である。
【0023】
一実施形態における測定装置では、前記第1照射形状及び前記第2照射形状の少なくとも一方は、楕円形状を含んでもよい。これにより、測定装置は、一方向に長尺な照射形状を有する照射光をシリンドリカルレンズなどに基づいて容易に生成することができる。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、被測定対象の状態を測定するときの測定時間を短縮可能な測定装置を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の一実施形態に係る測定装置の構成の一例を示す模式図である。
図2図1の変移部による光学系の動作の一例を示す模式図である。
図3図1の走査部による照射光の走査の様子の一例を示す模式図である。
図4】本開示の第1変形例に係る測定装置の構成の一例を示す模式図である。
図5】本開示の第2変形例に係る測定装置の構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
従来技術の背景及び問題点についてより詳細に説明する。
【0027】
特許文献1に記載のガス検知システムは、レーザー光を空間に照射する投光部と、測定光を受光する受光部と、投光部及び受光部に関連する信号系を制御する制御部と、投光部及び受光部を2次元に走査する走査部と、を有する。走査部は、測定方位を偏向して測定点を移動させる。走査部は、レーザー光を走査して測定点を移動させる。ガス検知システムは、ガスの種類により決まる光吸収特性を利用して、受光した測定光から被測定対象となるガスを検知し、2次元的なガス分布を得る。
【0028】
第1の例では、制御部は、走査部による測定点の移動の期間と停止の期間とを交互に設けて当該移動を間欠的に実行するとともに、当該停止の期間にガス検知のための測定光の受光部による検出の期間を設ける。これにより、制御部は、当該検出と当該移動とを交互に繰り返し実行しガスの2次元分布情報を得る。
【0029】
第2の例では、制御部は、走査部による測定点の移動を連続的に実行するとともに、走査部による測定点の移動中に、ガス検知のための測定光の受光部による検出の期間を設けて、当該検出を当該移動と並行に実行しガスの2次元分布情報を得る。
【0030】
特許文献1に記載のガス検知システムのような、レーザー光を照射するガス検知システムは、赤外カメラを応用したガス検知システムと比較して、高感度かつ少ない誤検知という利点を有する。一方で、広範囲の空間をレーザーで走査するためには長い時間を要するという課題があった。照射するレーザー光を小さく絞ると空間分解能が向上してガスの存在領域を特定しやすいが、1ステップごとに必要とされる空間的な走査間隔が小さくなる。結果として、被測定対象の状態を測定するときの測定時間が長くなっていた。
【0031】
測定時間の短縮化を目的として、照射するレーザー光を円状などに広げると、1ステップごとに必要とされる空間的な走査間隔が大きくなり、走査時間が短縮される。しかしながら、この場合、空間分解能が低下してガスの存在領域の特定が困難であった。
【0032】
本開示は、以上のような問題点を解決するために、被測定対象の状態を測定するときの測定時間を短縮可能な測定装置を提供することを目的とする。
【0033】
以下では、添付図面を参照しながら本開示の一実施形態について主に説明する。
【0034】
図1は、本開示の一実施形態に係る測定装置1の構成の一例を示す模式図である。図1を参照しながら、測定装置1の構成及び機能の一例について主に説明する。
【0035】
測定装置1は、光学系10と、増幅部20と、第1駆動部30aと、第2駆動部30bと、変移部40と、走査部50と、記憶部60と、入力部70と、出力部80と、制御部90と、を有する。光学系10は、照射部11と受光部12とを有する。制御部90は、測定部91と処理部92とを有する。
【0036】
光学系10に含まれる照射部11は、半導体レーザーなどの光源111を有する。照射部11は、照射部11に含まれている任意の光学系を介し、被測定対象Sの存在領域を含む空間に向けて照射光Lを照射する。本開示において、「被測定対象S」は、測定装置1を用いた検知及び測定の対象となる任意の対象を含む。被測定対象Sは、例えば、ガスを含む。照射部11は、照射光Lを被測定対象Sに向けて照射する。被測定対象Sは、例えば、壁などの背景物体Wと照射部11との間の空間内に存在する。照射部11によって照射される照射光Lの波長は、被測定対象Sが有する光吸収帯域に含まれる。本開示において、「光吸収帯域」は、例えば、可視領域及び赤外領域などに含まれる任意の波長領域を含む。照射部11によって照射される照射光Lの波長は、被測定対象Sが吸収する波長を含む。
【0037】
照射部11は、光源111に加えて、光源111から出射した照射光Lに光学的に作用するレンズ112を有する。レンズ112は、シリンドリカルレンズなどを含む。照射部11は、光源111から出射した照射光Lがレンズ112を通過することで、一方向に長尺な照射形状を有する照射光Lを照射する。照射形状は、例えば、楕円形状を含む。
【0038】
光学系10に含まれる受光部12は、フォトダイオードなどの受光素子を含む光検出器121を有する。受光部12は、照射部11により被測定対象Sに照射された照射光Lに基づく被測定光を受光する。本開示において、「被測定光」は、照射部11から照射された照射光Lに基づく背景物体Wからの散乱光又は反射光であって、被測定対象Sによる吸収を受けた光などを含む。受光部12は、背景物体Wと受光部12との間の空間内に存在する被測定対象Sを透過した被測定光を受光する。受光部12によって受光可能な波長帯域の少なくとも一部は、被測定対象Sが有する光吸収帯域に含まれる。受光部12が有する光検出器121は、被測定光の波長で検出感度を有する。
【0039】
受光部12は、光検出器121に加えて、受光部12に入射してきた被測定光に光学的に作用するレンズ122を有する。レンズ122は、集光レンズなどを含む。受光部12は、照射部11と同一側に配置されている。より具体的には、照射部11は、被測定対象Sが背景物体Wと照射部11との間に位置するように、被測定対象Sに対して背景物体Wと反対側に配置されている。同様に、受光部12は、被測定対象Sが背景物体Wと受光部12との間に位置するように、被測定対象Sに対して背景物体Wと反対側に配置されている。受光部12は、被測定対象Sの背後に位置する背景物体Wで散乱又は反射した被測定光であって、被測定対象Sを透過した被測定光をレンズ122により集光し光検出器121の受光素子で検出することで受光する。
【0040】
増幅部20は、受光部12の光検出器121から出力された受光信号を増幅するアンプなどを含む。増幅部20は、光検出器121からの受光信号を増幅して制御部90に出力する。
【0041】
第1駆動部30aは、照射部11の光源111を駆動するための駆動モジュールなどを含む。駆動モジュールは、例えば、半導体レーザーを駆動するためのドライバなどを含む。
【0042】
第2駆動部30bは、変移部40及び走査部50の各々を駆動してその動作を制御するための駆動モジュールなどを含む。駆動モジュールは、変移部40による光学系10の回転を制御する第1アクチュエータ及び走査部50による光学系10の2次元での走査を制御する第2アクチュエータなどを含む。
【0043】
図2は、図1の変移部40による光学系10の動作の一例を示す模式図である。変移部40は、照射部11及び受光部12を含む光学系10の全体を回転させる回転機構などを含む。図2に一例として示されるように、変移部40は、光学系10の全体を(a)の状態から(b)の状態へと90°回転させる。変移部40は、照射部11の光軸及び受光部12の光軸に平行となる回転軸周りに光学系10の全体を回転させる。
【0044】
変移部40は、図1及び図2の(a)において紙面手前側で上辺を構成するAB線が90°回転して紙面手前側の下辺となるように光学系10の全体を回転させる。これにより、照射部11から照射される楕円形状の照射光Lの長尺方向は、90°回転する。図1及び図2を例に挙げると、照射光Lの長尺方向は、第1方向D1から第2方向D2へと回転する。
【0045】
本開示において、「第1方向D1」は、例えば、図1の縦方向に対応する。「第2方向D2」は、例えば、図1の紙面に直交する方向に対応する。以上のように、一例として、第1方向D1と第2方向D2とは、互いに直交する。第1方向D1は、図2の(a)に示す状態にある光学系10のxyz座標系において、y軸に沿った方向となる。第2方向D2は、図2の(a)に示す状態にある光学系10のxyz座標系において、x軸に沿った方向となる。
【0046】
走査部50は、照射部11及び受光部12を含む光学系10の全体を2次元で走査する走査機構などを含む。走査部50は、例えば、背景物体Wと光学系10との間の距離を一定に維持しながら、図1の第1方向D1及び第2方向D2へと光学系10を移動させる。
【0047】
記憶部60は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、ROM(Read-Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)などの記憶装置を含む。記憶部60は、測定装置1の動作を実現するために必要な情報を記憶する。記憶部60は、測定装置1の動作によって得られた情報を記憶する。例えば、記憶部60は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び通信などの任意の手段で取得される各種データなどを記憶する。
【0048】
記憶部60は、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部60は、測定装置1に内蔵されているものに限定されず、USB(Universal Serial Bus)などのデジタル入出力ポートなどによって接続されている外付け型の記憶装置を含んでもよい。
【0049】
入力部70は、ユーザ入力を検出して、ユーザの操作に基づく入力情報を取得する1つ以上の入力インタフェースを含む。当該入力インタフェースは、物理キー、静電容量キー、出力部80のディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、カメラなどの撮像モジュール、及び音声入力を受け付けるマイクロフォンなどを含む。
【0050】
出力部80は、情報を出力してユーザに通知する1つ以上の出力インタフェースを含む。当該出力インタフェースは、情報を画像で出力するディスプレイ、情報を音で出力するスピーカ、及び情報を振動で出力するバイブレータなどを含む。
【0051】
制御部90は、1つ以上のプロセッサを含む。本開示において、「プロセッサ」は、汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサであるが、これらに限定されない。制御部90は、測定装置1を構成する各構成部と通信可能に接続され、測定装置1全体の動作を制御する。
【0052】
制御部90に含まれる測定部91は、増幅部20により増幅された、光検出器121からの受光信号を取得する。測定部91は、受光部12での受光信号に基づいて被測定対象Sの状態を測定する。本開示において、「被測定対象Sの状態」は、被測定対象Sの有無及び被測定対象Sの濃度などを含む。測定部91は、受光部12での受光信号に基づいて、被測定対象Sの存在を検知したり、検知した被測定対象Sの濃度を測定したりする。測定部91は、照射光Lに対する被測定対象Sの吸収特性に基づいて被測定対象Sの状態を測定する。以上に加えて、測定部91は、被測定対象Sの状態の測定に関連する他の演算処理なども実行する。
【0053】
制御部90に含まれる処理部92は、測定部91による被測定対象Sの状態の測定処理に必要な各種の制御処理を実行する。処理部92は、処理部92に通信可能に接続されている各構成部の動作を制御する。
【0054】
処理部92は、第1駆動部30aを制御して照射部11の光源111を動作させる。処理部92は、第1駆動部30aを制御することで、照射部11の光源111のオンオフを制御する。処理部92は、第2駆動部30bを制御して変移部40を動作させる。処理部92は、第2駆動部30bを制御することで、変移部40の回転機構を動作させ照射部11及び受光部12を含む光学系10の全体を回転させる。
【0055】
処理部92は、照射部11の光源111をオンにし、変移部40の回転機構を動作させることで、2つの異なる照射光Lを異なるタイミングで照射部11から照射させる。照射部11は、第1方向D1に長尺な第1照射形状を有する第1照射光L1及び第1方向D1と異なる第2方向D2に長尺な第2照射形状を有する第2照射光L2を含む照射光Lを被測定対象Sへ照射する。
【0056】
第1照射形状及び第2照射形状は、共に楕円形状を含む。第1照射形状は、第1方向D1に沿って長軸を有し、第1方向D1に直交する第2方向D2に沿って短軸を有する楕円形状を含む。第2照射形状は、第2方向D2に沿って長軸を有し、第2方向D2に直交する第1方向D1に沿って短軸を有する楕円形状を含む。
【0057】
照射光Lの照射形状における長軸の長さと短軸の長さとの間の比を示すアスペクト比は、所定の条件に基づいて定められる。本開示において、「所定の条件」は、走査部50の走査による照射光Lの移動速度、被測定対象Sが存在する領域を特定するときの精度、すなわち空間分解能、及び走査部50の走査による照射光Lの全体の走査範囲などを含む。一例として、照射光Lの照射形状のアスペクト比は、10以上であってもよい。
【0058】
変移部40は、照射部11から照射される照射光Lの長尺方向を第1方向D1と第2方向D2との間で変移させる。照射部11は、図1及び図2の(a)において紙面手前側でAB線が上辺を構成するときに、第1方向D1に長尺な第1照射形状を有する第1照射光L1を照射する。照射部11は、変移部40の動作によって光学系10の全体が90°回転し、図2の(b)において紙面手前側でAB線が下辺を構成するときに、第2方向D2に長尺な第2照射形状を有する第2照射光L2を照射する。
【0059】
照射部11は、照射光Lが受光部12の画角θ内で広がるように照射光Lを照射する。照射部11は、受光部12の画角θ内に第1照射形状が含まれるように、第1照射光L1を照射する。照射部11は、受光部12の画角θ内に第2照射形状が含まれるように、第2照射光L2を照射する。
【0060】
処理部92は、第2駆動部30bを制御して走査部50を動作させる。処理部92は、第2駆動部30bを制御することで、走査部50の走査機構を動作させ照射部11及び受光部12を含む光学系10の全体を2次元で走査する。処理部92は、照射部11の光源111をオンにし、走査部50の走査機構を動作させることで、照射光Lを所定の方向に走査させる。
【0061】
処理部92は、変移部40によって光学系10の全体を回転させる前であって、照射部11が第1照射光L1を照射しているとき、第1方向D1と交わる第1走査方向に第1照射光L1を走査させる。例えば、第1方向D1と第1走査方向とは、互いに直交する。第1走査方向は、一例として、第2方向D2に平行である。
【0062】
処理部92は、変移部40によって光学系10の全体を回転させた後であって、照射部11が第2照射光L2を照射しているとき、第2方向D2と交わる第2走査方向に第2照射光L2を走査させる。例えば、第2方向D2と第2走査方向とは、互いに直交する。第2走査方向は、一例として、第1方向D1に平行である。
【0063】
図3は、図1の走査部50による照射光Lの走査の様子の一例を示す模式図である。図3を参照しながら、照射部11から照射される照射光Lが走査部50によって走査されるときの様子の一例について説明する。
【0064】
走査部50は、変移部40によって光学系10の全体を回転させる前であって、照射部11が第1照射光L1を照射しているとき、第2方向D2に平行な第1走査方向に沿って第1照射光L1を走査する。初めに、走査部50は、走査領域Rの上半部において、第1走査方向X1に沿って左から右に第1照射光L1を走査する。続いて、走査部50は、走査領域Rの下半部において、第1走査方向X2に沿って右から左に折り返して第1照射光L1を走査する。
【0065】
走査部50は、変移部40によって光学系10の全体を回転させた後であって、照射部11が第2照射光L2を照射しているとき、第1方向D1に平行な第2走査方向に沿って第2照射光L2を走査する。初めに、走査部50は、走査領域Rの左側部において、第2走査方向Y1に沿って上から下に第2照射光L2を走査する。続いて、走査部50は、走査領域Rの中央部において、第2走査方向Y2に沿って下から上に折り返して第2照射光L2を走査する。最後に、走査部50は、走査領域Rの右側部において、第2走査方向Y3に沿って上から下に折り返して第2照射光L2を走査する。
【0066】
走査部50による照射光Lの走査中に被測定対象Sが存在すると、被測定対象Sの濃度に応じて照射光Lが吸収される。測定部91は、このような照射光Lの吸収による被測定光の光強度変化を反映した受光信号を、増幅部20を介して受光部12から取得し、被測定対象Sの状態を測定する。例えば、測定部91は、被測定対象Sの存在を検知する。測定部91は、第1走査方向に第1照射光L1を走査させたときの被測定対象Sの第1検知領域R1と、第2走査方向に第2照射光L2を走査させたときの被測定対象Sの第2検知領域R2と、の間の交差領域R3を被測定対象Sの存在領域として特定する。測定部91は、例えば、変移部40の回転機構の角度及び走査部50の走査機構の移動量などの必要な情報を処理部92から取得して、被測定対象Sの第1検知領域R1及び第2検知領域R2を特定し、交差領域R3を特定する。
【0067】
処理部92は、測定部91によって特定された存在領域を含む可視画像において当該存在領域を他の領域と異なる態様で出力部80のディスプレイに表示させる。可視画像は、光学系10に隣接して配置されている任意の撮像モジュールを用いて、光学系10に基づく被測定対象Sの状態の測定と並行して撮像される。処理部92は、当該撮像モジュールから任意の方法で可視画像を取得する。処理部92は、取得された可視画像に測定部91によって特定された存在領域を重ね合わせる。処理部92は、例えば、可視画像において当該存在領域を強調表示した状態で出力部80のディスプレイに表示させる。
【0068】
以上のような一実施形態に係る測定装置1によれば、被測定対象Sの状態を測定するときの測定時間を短縮可能である。測定装置1は、第1方向D1に長尺な第1照射形状を有する第1照射光L1を第1方向D1と交わる第1走査方向に走査し、第1方向D1と異なる第2方向D2に長尺な第2照射形状を有する第2照射光L2を第2方向D2と交わる第2走査方向に走査する。これにより、スポット状のレーザー光を照射する従来技術と比較して、照射光Lが走査の1ステップごとに照射する領域が増大する。したがって、1ステップごとに必要とされる空間的な走査間隔も大きくなる。結果として、測定装置1は、走査時間を短縮して、被測定対象Sの状態の測定処理を高速化可能である。
【0069】
測定装置1は、照射部11から照射される照射光Lの長尺方向を第1方向D1と第2方向D2との間で変移させる変移部40をさらに有する。これにより、測定装置1は、複数の照射部11を必要とせずに、一方向に長尺な照射形状を有する照射光Lを照射する単一の照射部11を用いて、複数の異なる方向に長尺な照射形状をそれぞれ有する複数の照射光Lを異なるタイミングで照射可能である。例えば、測定装置1は、第1方向D1に長尺な第1照射形状を有する第1照射光L1及び第1方向D1と異なる第2方向D2に長尺な第2照射形状を有する第2照射光L2を異なるタイミングで照射可能である。
【0070】
測定装置1の変移部40は、照射部11及び受光部12を含む光学系10の全体を回転させる。これにより、測定装置1は、照射部11の回転と同期して受光部12も回転させることが可能である。測定装置1は、被測定対象Sの状態の測定に用いる光学系10の内部において照射部11と受光部12との間の相対的な配置関係を維持した状態で照射光Lの照射形状を回転させることが可能である。
【0071】
測定装置1の照射部11は、照射光Lが受光部12の画角θ内で広がるように照射光Lを照射する。これにより、測定装置1は、被測定対象Sに照射された照射光Lに基づく被測定光を漏れなく受光することが可能となる。例えば、測定装置1は、受光部12の画角θの中央部に照射光Lを照射すると、被測定光の全体を漏れなくより確実に受光することが可能である。このとき、測定装置1は、照射光Lが有する照射形状の長尺方向の幅を最も長くすることができる。測定装置1は、光学系10の全体を走査部50により走査することで、照射部11と受光部12との間の相対的な配置関係を維持し、受光部12の画角θの中央部に照射光Lを常時照射しながら照射光Lを効果的に走査することも可能となる。
【0072】
測定装置1の制御部90は、第1走査方向に第1照射光L1を走査させたときの被測定対象Sの第1検知領域R1と、第2走査方向に第2照射光L2を走査させたときの被測定対象Sの第2検知領域R2と、の間の交差領域R3を被測定対象Sの存在領域として特定する。これにより、測定装置1は、被測定対象Sが存在する領域を容易に特定可能である。測定装置1は、交差領域R3によって領域を小さく狭めることで空間分解能を向上させることが可能となる。測定装置1は、被測定対象Sの状態を測定するときの測定時間の短縮と空間分解能の向上とを両立可能である。
【0073】
測定装置1の制御部90は、被測定対象Sの存在領域を含む可視画像において存在領域を他の領域と異なる態様で表示させる。これにより、測定装置1は、被測定対象Sが存在している領域を、可視画像上で明確に示すことができる。ユーザは、測定装置1の出力部80に表示された可視画像上で被測定対象Sが存在している領域を容易に確認することができる。ユーザは、ガスなどの目に見えない被測定対象Sであっても、測定装置1による測定処理及び出力処理に基づいて、その存在を視覚的に容易に確認可能である。
【0074】
測定装置1は、第1方向D1と第2方向D2とが互いに直交することで、長尺方向が互いに直交する第1照射光L1及び第2照射光L2に基づいて、被測定対象Sの状態を測定可能である。測定装置1は、走査部50を用いた照射光Lの走査において、矩形状の2次元平面上での走査を容易にする。
【0075】
測定装置1は、第1方向D1と第1走査方向とが互いに直交することで、第1照射光L1の長尺方向に直交する方向に第1照射光L1を走査可能である。測定装置1は、走査部50を用いた第1照射光L1の走査において、矩形状の2次元平面の一の軸方向に沿って当該2次元平面上を隙間なく走査することも可能となる。
【0076】
測定装置1は、第2方向D2と第2走査方向とが互いに直交することで、第2照射光L2の長尺方向に直交する方向に第2照射光L2を走査可能である。測定装置1は、走査部50を用いた第2照射光L2の走査において、矩形状の2次元平面の他の軸方向に沿って当該2次元平面上を隙間なく走査することも可能となる。
【0077】
測定装置1の制御部90は、照射光Lに対する被測定対象Sの吸収特性に基づいて被測定対象Sの状態を測定する。これにより、測定装置1は、被測定対象Sの有無及び被測定対象Sの濃度を精度良く測定したり、被測定対象Sの光吸収スペクトルを正確に算出したりすることも可能である。
【0078】
測定装置1の受光部12は、照射部11と同一側に配置され、被測定対象Sの背後に位置する背景物体Wで散乱又は反射した被測定光を受光する。これにより、測定装置1は、照射部11及び受光部12を背景物体Wに対して同一側に配置して光学系10を一体的に構成することが可能である。したがって、測定装置1は、装置全体をコンパクトに構成することも可能である。
【0079】
測定装置1は、第1照射形状及び第2照射形状が共に楕円形状を含むことで、一方向に長尺な照射形状を有する照射光Lをシリンドリカルレンズなどに基づいて容易に生成することができる。
【0080】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。したがって、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含されるとする。
【0081】
例えば、上述した各構成部の形状、大きさ、配置、向き、及び個数は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の形状、大きさ、配置、向き、及び個数は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。図示した測定装置1の各構成要素は機能概念的なものであり、各構成要素の具体的形態は図示のものに限定されない。
【0082】
上述した各構成部などに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部などを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0083】
例えば、上記実施形態では、測定装置1は、照射部11と第1駆動部30aとを互いに異なる構成部として有しているが、これに限定されない。測定装置1は、照射部11と第1駆動部30aとを1つの構成部としてまとめて有してもよい。例えば、測定装置1は、照射部11にドライバの機能をまとめて構成してもよいし、第1駆動部30aに光源111の機能をまとめて、光ファイバなどの導光部材を用いて照射光Lをレンズ112まで導いてもよい。
【0084】
上記実施形態では、測定装置1は、受光部12と増幅部20とを互いに異なる構成部として有しているが、これに限定されない。測定装置1は、受光部12と増幅部20とを1つの構成部としてまとめて有してもよい。
【0085】
上記実施形態では、測定装置1は、変移部40と第2駆動部30bとを互いに異なる構成部として有しているが、これに限定されない。測定装置1は、変移部40と第2駆動部30bとを1つの構成部としてまとめて有してもよい。
【0086】
上記実施形態では、測定装置1は、走査部50と第2駆動部30bとを互いに異なる構成部として有しているが、これに限定されない。測定装置1は、走査部50と第2駆動部30bとを1つの構成部としてまとめて有してもよい。
【0087】
上記実施形態では、測定装置1は、変移部40と走査部50とを互いに異なる構成部として有しているが、これに限定されない。測定装置1は、変移部40と走査部50とを1つの構成部としてまとめて有してもよい。
【0088】
上記実施形態では、測定装置1は、第2駆動部30bと処理部92とを互いに異なる構成部として有しているが、これに限定されない。測定装置1は、第2駆動部30bと処理部92とを1つの構成部としてまとめて有してもよい。
【0089】
上記実施形態では、測定装置1は、測定部91と処理部92とを互いに異なる構成部として有しているが、これに限定されない。測定装置1は、測定部91と処理部92とを1つの構成部としてまとめて有してもよい。
【0090】
上記実施形態で説明した測定部91の機能の少なくとも一部が処理部92によって実現されてもよいし、処理部92の機能の少なくとも一部が測定部91によって実現されてもよい。
【0091】
図4は、本開示の第1変形例に係る測定装置1の構成の一例を示す模式図である。上記実施形態では、変移部40は、照射部11及び受光部12を含む光学系10の全体を回転させると説明したが、これに限定されない。図4に示されるように、変移部40は、光学系10全体ではなく光学系10のうち照射部11のみに対して配置されていてもよい。変移部40は、光学系10のうち照射部11の全体を回転させてもよい。
【0092】
測定装置1は、光学系10のうち照射部11の全体を回転させることで、光学系10の全体を回転させるときと比較して、回転動作を行う構成部をよりコンパクトにすることができる。測定装置1は、よりコンパクトな動作で、照射光Lの照射形状を回転させることができる。
【0093】
以上に限定されず、変移部40は、照射部11において光源111に対し配置されているレンズ112を回転させてもよい。これにより、測定装置1は、光学系10の全体又は照射部11の全体を回転させるときと比較して、回転動作を行う構成部をさらにコンパクトにすることができる。測定装置1は、さらにコンパクトな動作で、照射光Lの照射形状を回転させることができる。
【0094】
図1に示す上記の実施形態及び図4に示す上記の第1変形例において、変移部40が照射光Lの照射形状を回転させるときの角度は、90°に限定されず、任意の他の値であってもよい。このような場合であっても、走査部50は、回転角度ごとに、照射光Lの照射形状の長尺方向に直交する方向に照射光Lを走査してもよい。
【0095】
上記実施形態及び上記第1変形例では、走査部50は、図3に示されるように走査領域Rの一端から他端まで順に照射光Lを走査すると説明したがこれに限定されない。測定装置1は、第2方向D2に平行な第1走査方向に沿って走査部50が第1照射光L1を走査し、被測定対象Sを測定部91が検知すると、変移部40を用いて照射光Lの照射形状を直ちに回転させてもよい。測定装置1は、検知した領域の近傍で第2走査方向に沿って第2照射光L2を走査してもよい。これにより、測定装置1は、被測定対象Sが存在する領域をより短時間で特定可能である。
【0096】
上記実施形態及び上記第1変形例では、測定装置1の照射部11は、照射光Lが受光部12の画角θ内で広がるように照射光Lを照射すると説明したが、これに限定されない。測定装置1は、被測定対象Sの状態を測定可能であれば、照射光Lの一部が受光部12の画角θ外で広がるように照射光Lを照射してもよい。
【0097】
上記実施形態及び上記第1変形例では、測定装置1の制御部90は、第1検知領域R1と第2検知領域R2との間の交差領域R3を被測定対象Sの存在領域として特定すると説明したが、これに限定されない。測定装置1は、このような演算処理を実行しなくてもよい。
【0098】
上記実施形態及び上記第1変形例では、測定装置1の制御部90は、被測定対象Sの存在領域を含む可視画像において当該存在領域を他の領域と異なる態様で表示させると説明したが、これに限定されない。測定装置1は、このような出力処理を実行しなくてもよい。
【0099】
上記実施形態及び上記第1変形例では、第1方向D1と第2方向D2とは、互いに直交すると説明したが、これに限定されない。第1方向D1と第2方向D2とは、互いに直交しなくてもよい。
【0100】
上記実施形態及び上記第1変形例では、第1方向D1と第1走査方向とは、互いに直交すると説明したが、これに限定されない。第1方向D1と第1走査方向とは、互いに直交しなくてもよい。
【0101】
上記実施形態及び上記第1変形例では、第2方向D2と第2走査方向とは、互いに直交すると説明したが、これに限定されない。第2方向D2と第2走査方向とは、互いに直交しなくてもよい。
【0102】
上記実施形態及び上記第1変形例では、測定装置1の制御部90は、照射光Lに対する被測定対象Sの吸収特性に基づいて被測定対象Sの状態を測定すると説明したが、これに限定されない。測定装置1は、照射光Lに対する被測定対象Sの散乱特性及び反射特性などに基づいて被測定対象Sの状態を測定してもよい。
【0103】
上記実施形態及び上記第1変形例では、受光部12は、照射部11と同一側に配置され、被測定対象Sの背後に位置する背景物体Wで散乱又は反射した被測定光を受光すると説明したが、これに限定されない。受光部12は、被測定対象Sを挟んで照射部11と対向するように配置されていてもよい。このとき、受光部12は、照射部11から照射された照射光Lが被測定対象Sを透過することで得られる被測定光を受光してもよい。
【0104】
上記実施形態及び上記第1変形例では、第1照射形状及び第2照射形状は、共に楕円形状を含むと説明したが、これに限定されない。第1照射形状及び第2照射形状のいずれか一方のみが、楕円形状を含んでもよい。又は、第1照射形状及び第2照射形状は、いずれも楕円形状とは異なる他の形状を含んでもよい。他の形状は、例えば、ライン形状を含んでもよい。
【0105】
上記実施形態及び上記第1変形例では、走査部50は、背景物体Wと光学系10との間の距離を一定に維持しながら、第1方向D1及び第2方向D2へと光学系10を移動させると説明したが、これに限定されない。走査部50は、照射光Lの走査にあたり、背景物体Wと光学系10との間の距離を一定に維持しなくてもよい。走査部50は、例えば、支点を中心に、パン方向となる第2方向D2及びチルト方向となる第1方向D1のそれぞれで光学系10を回動させることが可能なパンチルト機構を含んでもよい。
【0106】
上記実施形態及び上記第1変形例では、背景物体Wは、平面を有する壁として説明したが、これに限定されない。背景物体Wは、壁以外の任意の物体であってもよいし、平面を有していなくてもよい。
【0107】
図5は、本開示の第2変形例に係る測定装置1の構成の一例を示す模式図である。上記実施形態では、測定装置1は、一方向に長尺な照射形状を有する照射光Lの長尺方向を第1方向D1と第2方向D2との間で変移させる変移部40をさらに有すると説明したが、これに限定されない。測定装置1は、変移部40を有さなくてもよい。このとき、測定装置1の照射部11は、第1照射光L1を照射する第1照射部11aと第2照射光L2を照射する第2照射部11bとを有してもよい。
【0108】
第1光学系10aに含まれる第1照射部11aは、半導体レーザーなどの第1光源111aを有する。第1照射部11aは、第1照射部11aに含まれている任意の光学系を介し、被測定対象Sの存在領域を含む空間に向けて第1照射光L1を照射する。第1照射部11aによって照射される第1照射光L1の波長は、被測定対象Sが有する光吸収帯域に含まれる。第1照射部11aによって照射される第1照射光L1の波長は、被測定対象Sが吸収する波長を含む。
【0109】
第1照射部11aは、第1光源111aに加えて、第1光源111aから出射した照射光Lに光学的に作用する第1レンズ112aを有する。第1レンズ112aは、シリンドリカルレンズなどを含む。第1照射部11aは、第1光源111aから出射した照射光Lが第1レンズ112aを通過することで、第1方向D1に長尺な照射形状を有する第1照射光L1を照射する。
【0110】
第2光学系10bに含まれる第2照射部11bは、半導体レーザーなどの第2光源111bを有する。第2照射部11bは、第2照射部11bに含まれている任意の光学系を介し、被測定対象Sの存在領域を含む空間に向けて第2照射光L2を照射する。第2照射部11bによって照射される第2照射光L2の波長は、被測定対象Sが有する光吸収帯域に含まれる。第2照射部11bによって照射される第2照射光L2の波長は、被測定対象Sが吸収する波長を含む。
【0111】
第2照射部11bは、第2光源111bに加えて、第2光源111bから出射した照射光Lに光学的に作用する第2レンズ112bを有する。第2レンズ112bは、シリンドリカルレンズなどを含む。第2照射部11bは、第2光源111bから出射した照射光Lが第2レンズ112bを通過することで、第2方向D2に長尺な照射形状を有する第2照射光L2を照射する。
【0112】
以上のような照射部11の構成に伴って、測定装置1の受光部12は、第1光学系10aに含まれる第1受光部12aと第2光学系10bに含まれる第2受光部12bとを有してもよい。
【0113】
第1光学系10aに含まれる第1受光部12aは、フォトダイオードなどの受光素子を含む第1光検出器121aを有する。第1受光部12aは、第1照射部11aにより被測定対象Sに照射された第1照射光L1に基づく第1被測定光を受光する。第1受光部12aによって受光可能な波長帯域の少なくとも一部は、被測定対象Sが有する光吸収帯域に含まれる。第1受光部12aが有する第1光検出器121aは、第1被測定光の波長で検出感度を有する。
【0114】
第1受光部12aは、第1光検出器121aに加えて、第1受光部12aに入射してきた第1被測定光に光学的に作用する第1レンズ122aを有する。第1レンズ122aは、集光レンズなどを含む。第1受光部12aは、第1照射部11aと同一側に配置されている。第1受光部12aは、第1被測定光を第1レンズ122aにより集光し第1光検出器121aの受光素子で検出することで受光する。
【0115】
第2光学系10bに含まれる第2受光部12bは、フォトダイオードなどの受光素子を含む第2光検出器121bを有する。第2受光部12bは、第2照射部11bにより被測定対象Sに照射された第2照射光L2に基づく第2被測定光を受光する。第2受光部12bによって受光可能な波長帯域の少なくとも一部は、被測定対象Sが有する光吸収帯域に含まれる。第2受光部12bが有する第2光検出器121bは、第2被測定光の波長で検出感度を有する。
【0116】
第2受光部12bは、第2光検出器121bに加えて、第2受光部12bに入射してきた第2被測定光に光学的に作用する第2レンズ122bを有する。第2レンズ122bは、集光レンズなどを含む。第2受光部12bは、第2照射部11bと同一側に配置されている。第2受光部12bは、第2被測定光を第2レンズ122bにより集光し第2光検出器121bの受光素子で検出することで受光する。
【0117】
第1照射部11aは、第1照射光L1が第1受光部12aの第1画角θ1内で広がるように第1照射光L1を照射する。第1照射部11aは、第1受光部12aの第1画角θ1内に第1照射形状が含まれるように、第1照射光L1を照射する。
【0118】
第2照射部11bは、第2照射光L2が第2受光部12bの第2画角θ2内で広がるように第2照射光L2を照射する。第2照射部11bは、第2受光部12bの第2画角θ2内に第2照射形状が含まれるように、第2照射光L2を照射する。
【0119】
測定装置1は、第1受光部12aに対して第1増幅部20aを有し、第2受光部12bに対して第2増幅部20bを有してもよい。第1増幅部20a及び第2増幅部20bの各々の構成及び機能は、上記実施形態における増幅部20と同一である。
【0120】
測定装置1は、第1照射部11aに対する第1駆動部30aに加えて、第2照射部11bに対し第3駆動部30cを有してもよい。第3駆動部30cの構成及び機能は、第1駆動部30aと同一である。
【0121】
測定装置1の第2駆動部30bは、第1光学系10aの全体を走査する第1走査部50aを駆動してその動作を制御するための第1駆動モジュールなどを含んでもよい。第1駆動モジュールは、第1走査部50aによる第1光学系10aの2次元での走査を制御する第1アクチュエータなどを含んでもよい。測定装置1の第2駆動部30bは、第2光学系10bの全体を走査する第2走査部50bを駆動してその動作を制御するための第2駆動モジュールなどを含んでもよい。第2駆動モジュールは、第2走査部50bによる第2光学系10bの2次元での走査を制御する第2アクチュエータなどを含んでもよい。
【0122】
第1走査部50aは、第1照射部11a及び第1受光部12aを含む第1光学系10aの全体を2次元で走査する第1走査機構などを含んでもよい。第1走査部50aは、例えば、背景物体Wと第1光学系10aとの間の距離を一定に維持しながら、図5の第1方向D1及び第2方向D2へと第1光学系10aを移動させてもよい。
【0123】
第2走査部50bは、第2照射部11b及び第2受光部12bを含む第2光学系10bの全体を2次元で走査する第2走査機構などを含んでもよい。第2走査部50bは、例えば、背景物体Wと第2光学系10bとの間の距離を一定に維持しながら、図5の第1方向D1及び第2方向D2へと第2光学系10bを移動させてもよい。
【0124】
制御部90は、上記実施形態と同様の構成及び機能を有する処理部92に加えて、第1測定部91a及び第2測定部91bを有してもよい。
【0125】
第1測定部91aは、第1受光部12aでの第1受光信号に基づいて被測定対象Sの状態を測定する。第1測定部91aは、第1受光部12aでの第1受光信号に基づいて、被測定対象Sの存在を検知したり、検知した被測定対象Sの濃度を測定したりする。第1測定部91aは、第1照射光L1に対する被測定対象Sの吸収特性に基づいて被測定対象Sの状態を測定する。以上に加えて、第1測定部91aは、被測定対象Sの状態の測定に関連する他の演算処理なども実行する。
【0126】
第2測定部91bは、第2受光部12bでの第2受光信号に基づいて被測定対象Sの状態を測定する。第2測定部91bは、第2受光部12bでの第2受光信号に基づいて、被測定対象Sの存在を検知したり、検知した被測定対象Sの濃度を測定したりする。第2測定部91bは、第2照射光L2に対する被測定対象Sの吸収特性に基づいて被測定対象Sの状態を測定する。以上に加えて、第2測定部91bは、被測定対象Sの状態の測定に関連する他の演算処理なども実行する。
【0127】
処理部92は、第1走査方向に第1照射光L1を走査させたときの被測定対象Sの第1検知領域R1を第1測定部91aから取得する。処理部92は、第2走査方向に第2照射光L2を走査させたときの被測定対象Sの第2検知領域R2を第2測定部91bから取得する。処理部92は、第1検知領域R1と第2検知領域R2との間の交差領域R3を被測定対象Sの存在領域として特定する。
【0128】
処理部92は、第1駆動部30aを制御して第1照射部11aの第1光源111aを動作させるときに、第1光源111aから照射される第1照射光L1の波長を第1周波数で変調させる。同様に、処理部92は、第3駆動部30cを制御して第2照射部11bの第2光源111bを動作させるときに、第2光源111bから照射される第2照射光L2の波長を第2周波数で変調させる。第1周波数と第2周波数とは、互いに異なる値である。
【0129】
このとき、第1測定部91aは、第1受光部12aでの第1受光信号に基づいて被測定対象Sの状態を測定するときに、第1測定部91aが有する第1ロックインアンプなどに基づいて、第1受光信号のうち第1周波数に応じた受光信号のみを抽出する。第2測定部91bは、第2受光部12bでの第2受光信号に基づいて被測定対象Sの状態を測定するときに、第2測定部91bが有する第2ロックインアンプなどに基づいて、第2受光信号のうち第2周波数に応じた受光信号のみを抽出する。
【0130】
測定装置1は、以上のようなロックインアンプを用いた処理により、第1照射光L1の波長と第2照射光L2の波長とが互いに同一であったとしても、第1測定部91a及び第2測定部91bの各々において、必要な受光信号のみを正確に取得する。例えば、測定装置1は、第1照射光L1に基づく第1被測定光を第1受光部12aで受光するときに第2照射光L2に基づく第2被測定光が混在しても、第1測定部91aにおいて第1周波数に応じた第1被測定光の受光信号のみを抽出可能である。同様に、測定装置1は、第2照射光L2に基づく第2被測定光を第2受光部12bで受光するときに第1照射光L1に基づく第1被測定光が混在しても、第2測定部91bにおいて第2周波数に応じた第2被測定光の受光信号のみを抽出可能である。
【0131】
これにより、測定装置1は、第1照射光L1の波長と第2照射光L2の波長とが互いに同一であったとしても、一方に基づく受光信号と他方に基づく受光信号とを互いに正確に区別して、被測定対象Sの存在領域となる交差領域R3を精度良く特定可能である。
【0132】
図5に示す第2変形例では、測定装置1は、第1測定部91aと第2測定部91bとを互いに異なる構成部として有しているが、これに限定されない。測定装置1は、第1測定部91aと第2測定部91bとを1つの測定部91としてまとめて有してもよい。
【0133】
以上のような第2変形例に係る測定装置1は、回転機構などを含む変移部40を省略して、2つの照射部11に基づき第1照射光L1及び第2照射光L2を安定して同時に照射可能である。測定装置1は、照射部11及び受光部12を含む光学系10を回転させることなく光学系10内での照射部11及び受光部12の配置を常に固定した状態で、2つの照射部11に基づき第1照射光L1及び第2照射光L2を安定して照射可能である。
【0134】
上記第2変形例では、第1走査部50aは、背景物体Wと第1光学系10aとの間の距離を一定に維持しながら、図5の第1方向D1及び第2方向D2へと第1光学系10aを移動させると説明したが、これに限定されない。第1走査部50aは、第1照射光L1の走査にあたり、背景物体Wと第1光学系10aとの間の距離を一定に維持しなくてもよい。第1走査部50aは、例えば、支点を中心に、パン方向となる第2方向D2及びチルト方向となる第1方向D1のそれぞれで第1光学系10aを回動させることが可能なパンチルト機構を含んでもよい。
【0135】
上記第2変形例では、第2走査部50bは、背景物体Wと第2光学系10bとの間の距離を一定に維持しながら、図5の第1方向D1及び第2方向D2へと第2光学系10bを移動させると説明したが、これに限定されない。第2走査部50bは、第2照射光L2の走査にあたり、背景物体Wと第2光学系10bとの間の距離を一定に維持しなくてもよい。第2走査部50bは、例えば、支点を中心に、パン方向となる第2方向D2及びチルト方向となる第1方向D1のそれぞれで第2光学系10bを回動させることが可能なパンチルト機構を含んでもよい。
【0136】
以下に本開示の実施形態の一部について例示する。しかしながら、本開示の実施形態はこれらに限定されない点に留意されたい。
[付記1]
第1方向に長尺な第1照射形状を有する第1照射光及び前記第1方向と異なる第2方向に長尺な第2照射形状を有する第2照射光を含む照射光を照射する照射部と、
前記照射光に基づく被測定光を受光する受光部と、
前記受光部での受光信号に基づいて被測定対象の状態を測定する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1方向と交わる第1走査方向に前記第1照射光を走査させ、前記第2方向と交わる第2走査方向に前記第2照射光を走査させる、
測定装置。
[付記2]
付記1に記載の測定装置であって、
前記照射部は、一方向に長尺な照射形状を有する前記照射光を照射し、
前記照射部から照射される前記照射光の長尺方向を前記第1方向と前記第2方向との間で変移させる変移部をさらに備える、
測定装置。
[付記3]
付記2に記載の測定装置であって、
前記変移部は、前記照射部及び前記受光部を含む光学系の全体を回転させる、
測定装置。
[付記4]
付記2に記載の測定装置であって、
前記変移部は、前記照射部の全体を回転させる、
測定装置。
[付記5]
付記2に記載の測定装置であって、
前記変移部は、前記照射部において光源に対し配置されているレンズを回転させる、
測定装置。
[付記6]
付記1に記載の測定装置であって、
前記照射部は、前記第1照射光を照射する第1照射部と前記第2照射光を照射する第2照射部とを有する、
測定装置。
[付記7]
付記1乃至6のいずれか1つに記載の測定装置であって、
前記照射部は、前記照射光が前記受光部の画角内で広がるように前記照射光を照射する、
測定装置。
[付記8]
付記1乃至7のいずれか1つに記載の測定装置であって、
前記制御部は、前記第1走査方向に前記第1照射光を走査させたときの前記被測定対象の第1検知領域と、前記第2走査方向に前記第2照射光を走査させたときの前記被測定対象の第2検知領域と、の間の交差領域を前記被測定対象の存在領域として特定する、
測定装置。
[付記9]
付記8に記載の測定装置であって、
前記制御部は、前記存在領域を含む可視画像において前記存在領域を他の領域と異なる態様で表示させる、
測定装置。
[付記10]
付記1乃至9のいずれか1つに記載の測定装置であって、
前記第1方向と前記第2方向とは、互いに直交する、
測定装置。
[付記11]
付記1乃至10のいずれか1つに記載の測定装置であって、
前記第1方向と前記第1走査方向とは、互いに直交する、
測定装置。
[付記12]
付記1乃至11のいずれか1つに記載の測定装置であって、
前記第2方向と前記第2走査方向とは、互いに直交する、
測定装置。
[付記13]
付記1乃至12のいずれか1つに記載の測定装置であって、
前記制御部は、前記照射光に対する前記被測定対象の吸収特性に基づいて前記被測定対象の状態を測定する、
測定装置。
[付記14]
付記1乃至13のいずれか1つに記載の測定装置であって、
前記受光部は、前記照射部と同一側に配置され、前記被測定対象の背後に位置する背景物体で散乱又は反射した前記被測定光を受光する、
測定装置。
[付記15]
付記1乃至14のいずれか1つに記載の測定装置であって、
前記第1照射形状及び前記第2照射形状の少なくとも一方は、楕円形状を含む、
測定装置。
【符号の説明】
【0137】
1 測定装置
10 光学系
10a 第1光学系
10b 第2光学系
11 照射部
11a 第1照射部
11b 第2照射部
111 光源
111a 第1光源
111b 第2光源
112 レンズ
112a 第1レンズ
112b 第2レンズ
12 受光部
12a 第1受光部
12b 第2受光部
121 光検出器
121a 第1光検出器
121b 第2光検出器
122 レンズ
122a 第1レンズ
122b 第2レンズ
20 増幅部
20a 第1増幅部
20b 第2増幅部
30a 第1駆動部
30b 第2駆動部
30c 第3駆動部
40 変移部
50 走査部
50a 第1走査部
50b 第2走査部
60 記憶部
70 入力部
80 出力部
90 制御部
91 測定部
91a 第1測定部
91b 第2測定部
92 処理部
D1 第1方向
D2 第2方向
L 照射光
L1 第1照射光
L2 第2照射光
R 走査領域
R1 第1検知領域
R2 第2検知領域
R3 交差領域
S 被測定対象
W 背景物体
X1、X2 第1走査方向
Y1、Y2、Y3 第2走査方向
θ 画角
θ1 第1画角
θ2 第2画角
図1
図2
図3
図4
図5