(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173003
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】携帯無線機
(51)【国際特許分類】
H04B 1/3827 20150101AFI20241205BHJP
A63B 71/06 20060101ALI20241205BHJP
H04M 1/72448 20210101ALI20241205BHJP
【FI】
H04B1/3827 110
A63B71/06 T
H04M1/72448
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091107
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】515264986
【氏名又は名称】株式会社ベアリッジ
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】中橋 康太郎
【テーマコード(参考)】
5K011
5K127
【Fターム(参考)】
5K011AA14
5K011DA02
5K011EA01
5K011EA03
5K011HA01
5K011HA03
5K011HA06
5K011JA01
5K011KA12
5K011KA16
5K011KA18
5K127AA17
5K127AA33
5K127BA08
5K127DA11
5K127GB73
5K127MA05
5K127MA07
(57)【要約】
【課題】練習試合時には流れを止めることなく、かつコーチ、監督からの音声は相手に聞こえず自分だけに聞こえる携帯無線機を得ることを目的とする。
【解決手段】人体に装着した場合に、音を聞き取りやすくするため、指向性を有するスピーカ40を本体の下部に備えた携帯無線機10であって、アンテナ30から受信した電波を音声信号に変換して前記スピーカ40から音を発生させる制御部14を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に装着した場合に、音を聞き取りやすくするため、指向性を有するスピーカを本体の下部に備えた携帯無線機であって、
アンテナから受信した電波を音声信号に変換して前記スピーカから音を発生させる制御部を有することを特徴とする携帯無線機。
【請求項2】
発信側にある複数のチャンネル毎に関連付けられた周波数に基づき、前記発信側のチャンネル判定部がチャンネル番号を判定し、前記チャンネル判定部の特定に応じたチャンネルの周波数となる電波を発信し、該当する複数又は単数の受信側が前記アンテナを介し受信することを特徴とする請求項1に記載の携帯無線機。
【請求項3】
音量調整ボタンを備え、前記制御部は、音量調整ボタンの押回数に応じた音量で前記スピーカから音を発生させることを特徴とする請求項2記載の携帯無線機。
【請求項4】
表側に液晶画面を備え、前記制御部は、前記判定したチャンネル番号、前記音量を前記液晶画面に表示させることを特徴とする請求項2記載の携帯無線機。
【請求項5】
リストバンドに前記本体を挿入するポケットを形成し、前記本体のスピーカを上方にして挿入し人体の腕に装着することを特徴とする請求項2記載の携帯無線機。
【請求項6】
前記制御部は、受信した信号の使用者名、所属を前記記憶部に基づいて判定し、前記液晶画面に表示する手段を有することを特徴とする請求項2記載の携帯無線機。
【請求項7】
少なくとも陸上競技、サッカー、野球、バレーボールを含むスポーツ競技に適用されることを特徴とする請求項5に記載の携帯無線機。
【請求項8】
音声の送信に係る機能を省いた構成であることを特徴とする請求項1に記載の携帯無線機。
【請求項9】
小型、軽量化及び強度を持たせた構成に形成したことを特徴とする請求項8に記載の携帯無線機。
【請求項10】
本体内部を覆う筐体に防水構造を形成し、内部を保護することを特徴とする請求項9に記載の携帯無線機。
【請求項11】
1つの携帯無線機から他の複数の携帯無線機へ同時に音声を送信することができると共に、他の複数の携帯無線機の個々にも音声を送信可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯無線機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯無線機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、使用許可免許が不要なことから携帯無線機(トランシーバ)が野外活動でも使用されている。例えば、特許文献1は、サッカー等の団体スポーツにおいて、監督又はコーチ等が競技者に指示を出す場合等に用いることができる通信システムである。
【0003】
この通信システムは、所定の通話チャンネルに合わせることにより、各携帯無線機との間で通話可能な状態となる。そして、通話チャンネルとしては、複数の無線機との間で音声を送受信可能な共用チャンネルと、各無線機との間で個別に音声を送受信可能な専用チャンネルとが含まれている。
【0004】
複数の受信候補者の中から受信者が特定された場合、携帯無線機の通話チャンネルを、特定された受信者の携帯無線機の専用チャンネルに合わせる。そして、携帯無線機からの音声を発生させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スポーツ等の練習試合や練習中に、フィールドに散らばる競技者達へ瞬時に、且つ確実で正確な指示やアドバイスを伝えることは、世界のトップコーチであっても困難である。
【0007】
例えば、100m先の競技者へ指示が届くようにとサイドラインから手を振ってジャンプしたり、大声で呼んだり、また、最悪だと喉を枯らしてしまうこともある。
【0008】
正しく確実に指示を伝えるために、監督やコーチは練習の流れや競技者の動きを止めたりしてしまうこともある。時には競技者等を一時集合させたりしている。これに対して特許文献1は携帯無線機を使用するものであるから、有効に練習ができる。
【0009】
しかしながら、特許文献1の携帯無線機及び他の企業の携帯無線機は、スピーカが正面についているものであるから、練習相手の競技者にも相手監督、相手コーチに指示が聞こえてしまう。また、チャンネル数も大体は16チャンネル程度である。さらに、軽量、小型、強度及び防水であることが好ましいが実現されていない。
【0010】
本発明の携帯無線機は、例えば、練習試合時には流れを止めることなく、かつコーチ、監督からの音声は相手に聞こえず自分だけに聞こえる携帯無線機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以上の問題に鑑みてなされたもので、(1)人体に装着した場合に、音を聞き取りやすくするため、指向性を有するスピーカを本体の下部に備えた携帯無線機であって、アンテナから受信した電波を音声信号に変換して前記スピーカから音を発生させる制御部を有することを特徴とする。
(2)上記(1)であって、発信側にある複数のチャンネル毎に関連付けられた周波数に基づき、前記発信側のチャンネル判定部がチャンネル番号を判定し、前記チャンネル判定部の特定に応じたチャンネルの周波数となる電波を発信し、該当する複数または単数の受信側が前記アンテナを介し受信することを特徴とする。
(3)上記(2)であって、音量調整ボタンを備え、前記制御部は、音量調整ボタンの押回数に応じた音量で前記スピーカから音を発生させることを特徴とする。
(4)上記(2)であって、表側に液晶画面を備え、前記制御部は、前記判定したチャンネル番号、前記音量を前記液晶画面に表示させることを特徴とする。
(5)上記(2)であって、リストバンドに前記本体を挿入するポケットを形成し、前記本体のスピーカを上方にして挿入し人体の腕に装着することを特徴とする。
(6)上記(2)であって、前記制御部は、受信した信号の使用者名、所属を前記記憶部に基づいて判定し、前記液晶画面に表示する手段を有することを特徴とする。
(7)上記(5)であって、サッカー、ラグビー、アメフト、ホッケー、アイスホッケー、ラクロス、野球、ソフトボール、陸上競技、自転車競技、スキー、スノーボード、ボート、カヌー、乗馬等の屋外競技を含むスポーツ競技全般に適用されることを特徴とする。
(8)上記(1)であって、音声の送信に係る機能を省いた構成であることを特徴とする。
(9)上記(8)であって、小型、軽量化及び強度を持たせた構成に形成したことを特徴とする。
(10)上記(9)であって、本体内部を覆う筐体に防水構造を形成し、内部を保護することを特徴とする。
(11)上記(1)であって、1つの携帯無線機から他の複数の携帯無線機へ同時に音声を送信することができると共に、他の複数の携帯無線機の個々にも音声を送信可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、携帯無線機を携帯している利用者にのみ、他の携帯無線機からの音声を聞かせることができるので、セキュリュティを保てる。例えば、スポーツ競技等に利用した場合は、相手チームの競技者に自チームのコーチ、監督等の音声が聞こえないようになると共に、練習試合において流れを止めることなく練習を継続させることができる。また、本携帯無線機は、小型、軽量、防水性及び頑丈に構成されているので、衝撃等の際に携帯しても故障等の心配がなく、また屋外の使用で濡れても大丈夫である。さらに、通常より小型であるので、身体に装着しても邪魔にならない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】(a)携帯無線機を表面(正面)側から視た斜視図。(b)携帯無線機を後面(背面)側から視た斜視図。
【
図3】(a)携帯無線機の左側面図。(b)携帯無線機の正面図。(c)携帯無線機の背面図。(d)携帯無線機の右側面図。(e)携帯無線機の平面図。(f)携帯無線機の底面図。
【
図6】(a),(b)携帯無線機を人体に装着した場合の説明図。
【
図7】(a)~(c)携帯無線機を保持具に収容した状態を示す図。
【
図9】(a)~(c)携帯無線機を競技に利用した場合の説明図。
【
図10】(a)~(d)携帯無線機を競技に利用した場合の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。本例では既に公知である技術は説明を省略する。また、発明の技術的思想(構造、配置)を具体化するための装置や方法を例示したものであって、本発明の技術的思想は、下記のものに特定されるものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において、種々の変更を加えることができる。特に、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、携帯無線機10及び携帯無線機11を表側から視た場合を基準に下側、上側、右側、左側、裏側を定義する。
【0015】
図1は本実施の形態の携帯無線機10(トランシーバ)の外観図である。携帯無線機10は、距離の離れた人同士で会話ができる便利な通信手段である。携帯無線機10の通信方式は、携帯電話のように基地局の中継を介さず、本体にある受信機と送信機を使って直接音声の送受信を行う。使い方は機種によって異なり、一般的な使い方としては「チャンネルを合わせて話をする」だけで、簡単に通話を行うことができる。具体的な手順は、携帯無線機10の電源を入れる。音量を調節する。通信するチャンネルを合わせる。送信ボタンを押しながら話す。
【0016】
これは、携帯電話が基地局の中継を介して通信するのに対し、携帯無線機10(トランシーバ)は本体の受信機と送信機を使って直接通信を行う仕組みになっているためで、基地局の中継を介さない分、情報伝達速度が速く、例えば、2台間の電波が届く距離であれば、携帯電話の電波が届かないような山間部であっても通信することが可能である。
【0017】
送信ボタンを押しながら話す仕組みは、PTT(プッシュツートーク)と呼ばれ、このPTTとは、送信機と受信機を切り替えて行う通信の仕組みをいう。
【0018】
携帯無線機10は、電源を入れてチャンネルを合わせると電波を受信して、相手の音声が聞こえるようになっているが、本例の携帯無線機10は送受信可能で他の複数台の携帯無線機11は受信のみの機能を備えてある。
【0019】
また、携帯無線機10及び携帯無線機11は、1対1の通話のほかにも、複数の通話先を指定して、全員を同時に呼び出して話しかけることが可能である。本例では監督が携帯無線機10を携帯し複数の競技者に指示を出す場合を想定し説明する。複数の競技者は携帯無線機11を携帯する。
【0020】
図1(a)及び(b)に示すように、本実施の形態の監督等が携帯する携帯無線機10は上側にチャンネル調整部20と、アンテナ30とを備えている。また、下部にはスピーカ40を備えている。一方、スピーカ40の隣には音声を検知するマイク41を備えている。また、正面には液晶画面50を備えている。この液晶画面50が直角に視える方向を基準(表側)に下側、上側、右側、左側、裏側と定義する。本例でマイク41は監督等が備える携帯無線機10の1台のみに設定してある。他の競技者等が備える携帯無線機11にはマイク41は設定されていない。
【0021】
図2は本実施の形態の携帯無線機11の表側と裏側の構造の説明図である。
図2(a)は表側であり、
図2(b)は裏側である。
図2(a)に示すように、表側には液晶画面50の他に、押下するごとに音量を上げるプラス音量ボタン60と、複数又は単数の受信のモードを切り替える等の様々なモードを変換するモードボタン70と、電源のオン、オフを切り替える電源ボタン100と、押下することに音量を下げるマイナス音量ボタン80とを備えている。
【0022】
また、
図2(b)に示すように、携帯無線機11の裏側には充電接続部90を備えている。さらに、側面にはUSBジャック120を備えている。さらに、上側にはイヤホンジャック110を備えている。
【0023】
図3は本実施の形態の携帯無線機11の詳細外観図である。
図3(a)~
図3(f)にそれぞれ表側、左側、裏側、右側、上側及び下側の方向から視た形状を示す。
図3(a)は携帯無線機11を正面(表側)から視た場合の図である。正面には液晶画面があり判定したチャンネル番号、音量を表示可能である。また、携帯無線機11の下側には指向性のあるスピーカ40が設置されリストバンド102(
図7参照)へスピーカ40が上向きになるようにセットすることにより競技者等へ音声が届きやすくなる。携帯無線機11は平たい小型(マイク41を装着しない分だけ小型にできる)の直方体の形状(例えば、縦80mm×横50mm×厚さ15mm)であり、面積の大きい平たい面を人体(競技者等)の腕に携帯無線機保持具(以下、リストバンドという)102を介し確実に装着できるものである。
【0024】
図4は本実施の形態の携帯無線機10の概略構成図である。なお、
図4において上記と同一符号のものについては説明を省略する。
図4は、例えば監督等が携帯する携帯無線機10で本例では1台とする。
【0025】
図4に示すように、携帯無線機10は、内部には、チャンネル判定部12と、制御部14と、アンテナ駆動部16と、音量調整部18と、マイク41等を備えている。電源部などは図示しない。制御部14はコンピュータよりなり、CPU(Central Processing Unit)と、CPU上で動作する制御プログラム等を格納したROM(Read-only Memory)と、各種データを一時的に格納するためのRAM(Random Access Memory)(何れも不図示)を備えて構成されている。
【0026】
チャンネル判定部12は、47チャンネルが受信できる。チャンネル調整部20の回転位置が、1チャンネル、2チャンネル・・・47チャンネルであるかを判定する。すなわち、最大人数として47人と通信することが可能である。
【0027】
つまり、チャンネル調整部20は、所定の通話チャンネルに合わせることに他の携帯無線機と通話が可能となる。
【0028】
なお、チャンネルとしては、複数の携帯無線機11(例えば、3人、5人、11人等)との間で音声を送受信可能な共用チャンネルと、個別に音声を送受信可能な専用チャンネルと、コーチ、監督用のチャンネル、外国人用のチャンネルなどがある。これらは、モードボタン70により切り替え可能に構成されている。
【0029】
例えば、制御部14は、モードボタン70のモードがグループ(すなわち、複数の携帯無線機11への送信)を示している場合は、例えば複数チャンネルをグループモードに設定する。つまり、3個の携帯無線機11へ同時に音声信号の電波を送信可能である。すなわち、1チャンネル目はグループ全体のチャンネル、2チャンネル目は個別のチャンネルに設定する。具体的には、例えば、1グループ3名の場合には、Aさん用は、1チャンネルは422.0500MHz、2チャンネルは422.0625MHzと設定する。また、Bさん用は、1チャンネルは422.0500MHz、2チャンネルは422.0750MHzと設定する。一方、Cさん用は、1チャンネルは422.0500MHz、2チャンネルは422.0875MHzと設定する。これにより、送信者は、全員に話したい時は422.0500MHzにチャンネルを合わせて通話し、Aさんにだけ話したい時は422.0625MHzに合わせて通話することができる。
【0030】
また、本例では、監督の場合はチャンネル20を監督用としている。このチャンネルの対象者は記憶部に記憶されている。チャンネルを20(予めチャンネル20は単数の携帯無線機10から複数の携帯無線機11へ電波を発信するチャンネルと設定しておく)に設定することにより、例えば、上述したように11個の携帯無線機11に同時に音声信号の電波を送信可能である。さらに、双方向の通信が可能な場合は簡単に競技者との音声信号の送受信を行うことが可能である。
【0031】
アンテナ駆動部16は、制御部14からチャンネルの周波数帯で音声信号を送受信できるようにアンテナ30から所定の電波を送受信するように駆動する。
【0032】
音量調整部18は、音量ボタン(60又は80)の押下数に応じた音量をスピーカ40に設定する。
【0033】
図5は本実施の形態の携帯無線機11の概略構成図である。なお、
図5において上記と同一符号のものについては説明を省略する。
【0034】
図5に示すように、携帯無線機11は、内部には、チャンネル判定部12と、制御部14と、アンテナ駆動部16と、音量調整部18等を備えている。ここで、マイク41は備えていない。これにより、小型、軽量化及び強度を持たせた構成に形成している。また、本体内部を覆う筐体に防水構造を形成し、内部を保護する。電源部などは図示しない。制御部14はコンピュータよりなり、CPUと、CPU上で動作する制御プログラム等を格納したROMと、各種データを一時的に格納するためのRAM(何れも不図示)を備えて構成されている。
【0035】
チャンネル判定部12は、47チャンネルが受信できる。チャンネル調整部20の回転位置が、1チャンネル、2チャンネル・・・47チャンネルであるかを判定する。また、携帯無線機11は、指向性を有するスピーカ40を備えている。指向性があるため、スピーカ40を小型にしている(指向性があるため、小さなスピーカでも音が確実に競技者に届く)。これにより、携帯無線機11全体も小型化にしている。さらに、マイク41もないため、小型かつ軽量で、筐体を頑丈に構成することが可能である。
【0036】
以下に本実施の形態の携帯無線機10及び携帯無線機11をサッカーの練習に使用する場合について説明する。
【0037】
図6に示す競技者SP(移動体)の腕に装着されたるリストバンド102に携帯無線機11を挿入して用いる。
図7(a)に示すようにリストバンド102は伸縮可能な生地で形成され、ポケットがリストバンド102に重なりあった状態で形成されている。そして、ファスナによりポケットの開口103が形成され携帯無線機11をスピーカ40がリストバンド102の開口103の近くになるようにセットされる。ここで、ポケットも伸縮可能な生地で形成されているため、携帯無線機11を確実に人体の腕又は手首等に装着することが可能である。そして、
図7(b)に示すように腕にリストバンド102を装着して用いる。一方、
図7(c)に示すように手首に携帯無線機11が挿入されたリストバンド102を装着してもよい。この際、スピーカ40は競技者SPの耳の部分に向くようにリストバンド102に挿入する。すなわち、スピーカ40を上にしてリストバンド102に挿入する。
【0038】
図8に示すように、競技者SP(移動体)の手首又は腕にリストバンド102を介し携帯無線機10を装着して、例えば、複数のサッカー場の競技者(SP1、SP2、・・・)が互いに監督からの音声を自分の携帯無線機11で聞くことができる。
【0039】
このとき、スピーカ40は、指向性を有しているので、他の競技者には聞こえない。
【0040】
従って、以下に説明する効果を奏する。練習試合や練習中に、フィールドに散らばる競技者達へ 瞬時に、且つ確実で正確な指示やアドバイスを伝えることは、世界のトップコーチであっても困難である。
【0041】
例えば、30m先の競技者へ指示が届くようにとサイドラインから手を振ってジャンプしたり、大声で叫んだり、喉を枯らしてしまうこともある。
【0042】
また、正しく確実に伝えるために、監督やコーチは練習の流れや競技者の動きを止めたり、時に皆を一時集合させたり、また屋外練習後のミーティングで、どんなプレーをしたか、うろ覚えの競技者へアドバイスをしている。
【0043】
また、日本語の通じない外国人競技者に対して、しっかりと指示が伝わっていなかったりする。
【0044】
本実施の形態の携帯無線機10及び携帯無線機11は、コーチと競技者の間に直接的なつながりを生み出し、監督やコーチは練習において流れや競技者の動きを止めることなく、正確に競技者にアドバイスをすることができている。
【0045】
したがって、もう声を張り上げる必要はなく、また外国人競技者には日本人競技者とは別のチャンネルに設定し、そのチャンネルでは通訳者が使用することで日本語が通じなくとも自動で日本語を翻訳し的確な指示を出すことができることになる。
【0046】
さらに、小型・軽量・防水、また長時間の使用に耐え、監督、コーチ等の指示・戦略・哲学を効率良く且つ効果的にリアルタイムに競技者へ伝えることが可能である。
【0047】
このため、
図9(a)に示すように、練習のリズムを守りながら、効率的に競技者にアドバイスができ、かつ練習を中断して指示をすることがなくなるので、効率化により、競技者も練習に集中するようになる。
【0048】
さらに、
図9(b)に示すように、リアルタイムに哲学、指導を競技者ひとり一人に丁寧に伝え、大事な 競技者育成の瞬間を逃さないことで、育成スピードは格段にあがる。
【0049】
特に、新しい戦術をチームで取り入れる場合は、リアルタイムのフィードバックは欠かすことができないが(
図9(c)参照)、本実施の携帯無線機10及び携帯無線機11を使用すれば、競技者は素早く戦術を習得し、実践を重ねることができる。
【0050】
さらに、遠い距離でもアドバイスをすることが出来るので、 今までは大声をあげたり、拡声器を使って指示したりしていたが、大声を出す必要がなく、また一人の競技者の指導であっても 他の競技者にその内容が共有できるので、とても効率が良い(
図10(a)、(b)、(c)及び(d)参照)。
【0051】
大声での指示や指導は、端的になってしまい、時に言い方がきつくなってしまうこともあるが、通信できるので、声を荒げず、またタイムリーに指示や指導が出来るのがとてもスムーズに行える。
【0052】
特に、コーチ2名がそれぞれの担当のところで指導する時、どうしても競技者を見る目がひとつになってしまうが、それを隣のコートで 指導しているコーチが『今の良かったよ』と遠くから声をかけることができるので、競技者達からすると見られている意識が高まるし、コーチ側も伝えることが出来てとても良い。
【0053】
また、コーチ(携帯無線機着用)が中で一緒にプレーする時など、どんな声かけをしているのかを、外の人もリアルタイムで、聞けるし、それをベンチのコーチが解説しながら説明することも出来る。
【0054】
さらに、試合中にコーチが審判などをやっていて、手が離せない時に競技者を呼べる。なお、携帯無線機10及び携帯無線機11は、防水構造で、耐衝撃構造である、耐衝撃構造落下や振動にも強い。
【0055】
また、スピーカ出力0.7W~1.5Wであるので音がはっきり聞こえる。チャンネル数1CH~47CHであるのでグループ分けに最適である。また、上記実施の形態は、サーカーに用いる例として説明したが、ラグビー、アメフト、ホッケー、アイスホッケー、ラクロス、野球、ソフトボール、陸上競技、自転車競技、スキー、スノーボード、ボート、カヌー、乗馬等の屋外競技を含むスポーツ競技全般、展示会場、作業所等で使用してもよい。
【0056】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0057】
10 携帯無線機
11 携帯無線機
20 チャンネル調整部
30 アンテナ
40 スピーカ
50 液晶画面
60 プラス音量ボタン
70 モードボタン
80 マイナス音量ボタン
90 充電接続部
100 電源ボタン
110 イヤホンジャック
120 USBジャック