(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173010
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ヒートポンプ装置
(51)【国際特許分類】
F24F 1/22 20110101AFI20241205BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20241205BHJP
F24F 1/24 20110101ALI20241205BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F24F1/22
F25B1/00 396A
F25B1/00 396G
F24F1/24
F24F5/00 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091115
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】粂 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 耕
(72)【発明者】
【氏名】森脇 俊二
【テーマコード(参考)】
3L054
【Fターム(参考)】
3L054BB02
3L054BG08
(57)【要約】
【課題】本開示は、電装ボックスの支持強度を高めることで、可燃性冷媒が漏洩しても着火を防止することができるように安全性を確保しながら、電装品の温度上昇を抑えて電装品の信頼性を高めたヒートポンプ装置を提供する。
【解決手段】本開示におけるヒートポンプ装置は、圧縮機と熱交換器とを備えて、可燃性冷媒を封入した冷媒回路と、熱交換器に空気を送風する送風機と、送風機を支持する一対の送風機支柱と、圧縮機及び送風機を制御する制御基板と、制御基板を収納する密閉構成の電装ボックスと、制御基板に密着し、かつ、電装ボックスの外部に露出して設置されたヒートシンクと、を備えるヒートポンプ装置において、電装ボックスは、少なくとも一つの送風機支柱によって支持され、熱交換器の前方にはヒートシンクが配置され、ヒートシンクの少なくとも一部が一対の送風機支柱の間に位置する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、室外空気および冷媒の間で熱交換を行う熱交換器と、を備えて、可燃性冷媒を封入した冷媒回路と、
前記熱交換器に空気を送風する送風機と、
前記送風機を支持する一対の送風機支柱と、
前記圧縮機及び前記送風機を制御する制御基板と、
前記制御基板を収納する密閉構成の電装ボックスと、
前記制御基板に密着し、かつ、前記電装ボックスの外部に露出して設置されたヒートシンクと、
を備えるヒートポンプ装置において、
前記電装ボックスは、少なくとも一つの前記送風機支柱によって支持され、
前記熱交換器の前方には前記ヒートシンクが配置され、
前記ヒートシンクの少なくとも一部が前記一対の送風機支柱の間に位置する、
ヒートポンプ装置。
【請求項2】
前記電装ボックスを支持する前記送風機支柱は、前記ヒートシンクから所定の距離を介して配置される、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項3】
前記電装ボックスを支持する前記送風機支柱には、支持板が固定され、
前記支持板には、前記電装ボックスが固定される、
請求項2に記載のヒートポンプ装置。
【請求項4】
前記支持板には、前記一対の送風機支柱の間に対応して開口が設けられ、
前記ヒートシンクは、前記開口に対向するように前記一対の送風機支柱の間に固定される、
請求項3に記載のヒートポンプ装置。
【請求項5】
前記ヒートシンクは、樹脂ケースを介して前記制御基板および前記電装ボックスに取り付けられる、
請求項1から4のいずれかに記載のヒートポンプ装置。
【請求項6】
機械室と送風機室とに分ける仕切り板を備え、
前記仕切り板と前記送風機支柱とで、前記電装ボックスを支持する、
請求項1から4のいずれかに記載のヒートポンプ装置。
【請求項7】
前記支持板と前記ヒートポンプ装置の前面とが接続される、
請求項3または4に記載のヒートポンプ装置。
【請求項8】
前記可燃性冷媒は、R32若しくはR32を70重量パーセント以上含む混合冷媒、または、プロパン若しくはプロパンを含む混合冷媒である、
請求項1から4のいずれかに記載のヒートポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、可燃性冷媒を用いたヒートポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、作動冷媒として可燃性冷媒を用いるヒートポンプ装置であって、冷媒の漏洩時における装置運転上の安全性を確保したヒートポンプ装置を開示する。このヒートポンプ装置は、可燃性冷媒を作動冷媒として用いた熱交換器と、熱交換器より上部に、略気密的な構成の電装品と、を備える。
【0003】
特許文献2は、ヒートポンプ装置の内部の空気の流通方向の違いに対応して空気の流通方向にヒートシンクの放熱フィンを沿わせることにより、ヒートシンクの放熱効率を改善するヒートポンプ装置を開示する。このヒートポンプ装置は、送風機室と機械室を仕切る仕切板と、電装ボックスを支持する回転部と、ヒートシンクの放熱フィンを送風機の送風方向に沿わせるために傾斜して配置された電装ボックスと、を備える。
【0004】
特許文献3は、ヒートポンプ装置の性能を低下させることなく電装ボックスの冷却性能を高めることができるヒートポンプ装置を開示する。このヒートポンプ装置は、送風機室と機械室を仕切る仕切板と、ヒートシンクが送風機の真上になるように配置された電装ボックスと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-220824号公報
【特許文献2】特開2010-190454号公報
【特許文献3】特開2015-215149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、電装ボックスの支持強度を高めることで、可燃性冷媒が漏洩しても着火を防止することができるように安全性を確保しながら、電装品の温度上昇を抑えて電装品の信頼性を高めたヒートポンプ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示におけるヒートポンプ装置は、圧縮機と、室外空気および冷媒の間で熱交換を行う熱交換器と、を備えて、可燃性冷媒を封入した冷媒回路と、熱交換器に空気を送風する送風機と、送風機を支持する一対の送風機支柱と、圧縮機及び送風機を制御する制御基板と、制御基板を収納する密閉構成の電装ボックスと、制御基板に密着し、かつ、電装ボックスの外部に露出して設置されたヒートシンクと、を備えるヒートポンプ装置において、電装ボックスは、少なくとも一つの送風機支柱によって支持され、熱交換器の前方にはヒートシンクが配置され、ヒートシンクの少なくとも一部が一対の送風機支柱の間に位置する。
【発明の効果】
【0008】
本開示におけるヒートポンプ装置は、電装ボックスを、重量のあるヒートシンクの近傍で強固に支持しつつ、ヒートシンクを、通風量が多い放熱効果の高い位置に配置できる。よって、電装ボックスの支持強度と冷却性能を同時に高められ、密閉構成の電装ボックスであっても、電装ボックスの内部の制御基板の温度上昇を抑え易くできる。そのため、電装ボックスの支持強度を高めることで、可燃性冷媒が漏洩しても着火を防止することができるように安全性を確保しながら、電装品の温度上昇を抑えて電装品の信頼性を高めたヒートポンプ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1におけるヒートポンプ装置の正面図
【
図2】実施の形態1におけるヒートポンプ装置の内部構造を示す正面図
【
図3】実施の形態1におけるヒートポンプ装置の
図2のA-A’線断面図
【
図4】実施の形態1におけるヒートポンプ装置の
図2のB-B’線断面図
【
図5】実施の形態1におけるヒートポンプ装置の冷凍サイクル回路図
【
図6】実施の形態1における電装ボックスの支持構造を示す前上方からの斜視図
【
図7】実施の形態1における電装ボックスの内部構造を説明する分解斜視略図
【
図9】実施の形態1における電装ボックスの支持構造を示す前下方から見た斜視図
【
図11】実施の形態2における電装ボックスの支持構造を示す前下方から見た斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、ヒートポンプ装置では、低GWP(地球温暖化係数)冷媒を使用することが求められるという状況にあった。しかしながら、低GWPの冷媒は総じて反応性が高く、可燃性であるという課題があった。そのため、ヒートポンプ装置を扱う業界では、冷媒回路から冷媒が漏出した場合でも、冷媒を着火させないために、冷媒と電装品とを隔離する技術が提案されていた。
このような冷媒と電装品を隔離する技術として、密閉構成の電装ボックスが知られているが、密閉構成の電装ボックスでは、収納された電装品の放熱が課題となる。このため、密閉構成の電装ボックスを備える従来のヒートポンプ装置では、電装品の温度上昇を抑制するために、ヒートシンクを送風機の上部に接近させて配置することで放熱性を改善する構成が提案されている。
【0011】
ここで、ヒートシンクを送風機の上部に接近させて配置するためには、仕切り板によって電装ボックスを支持することが考えられる。しかしながら、仕切り板によって電装ボックスを支持する場合には、支持点となる仕切り板と、重量物であるヒートシンクとの距離が離れるため、送風機上方にヒートシンクを安定的に支持するには、強度が十分ではないという課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0012】
そこで本開示は、電装ボックスの支持強度を高めることで、可燃性冷媒が漏洩しても着火を防止できるように安全性を確保しながら、電装品の温度上昇を抑えて電装品の信頼性を高めたヒートポンプ装置を提供する。
【0013】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0014】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図9を用いて、実施の形態1を説明する。
【0015】
[1-1.構成]
[1-1-1.全体の構成]
図1は、ヒートポンプ装置1を前方から見たヒートポンプ装置1の正面図である。
図2は、前方側から見たヒートポンプ装置1の内部構造を示す正面図である。
図3は、
図2のA-A’線断面図であり、ヒートポンプ装置1を
図2のA-A’から見た下面図である。
図4は、
図2のB-B’線断面図であり、ヒートポンプ装置1を
図2のB-B’から見た側面図である。
図1に示すように、ヒートポンプ装置1は、いわゆる室外機の外観を構成する略直方体の筐体10を備えている。本実施の形態では、筐体10の各部は、いずれも鋼板によって形成される。
【0016】
筐体10は、筐体10の底面を形成する底面パネル14と、筐体10の右側(左右方向一側)を前後から覆う前後一対の側面パネル15と、筐体10の前面の左側(左右方向他側)を覆う前面パネル16と、筐体10の上面を覆う天板17と、を備えている。
前面パネル16には、2つの開口部16aが上下に並べて設けられている。それぞれの開口部16aからは送風機21が露出している。よって、筐体10は、送風機21が一つの場合に比べて、上方に高くなり易い。なお、図示しないが、ヒートポンプ装置1の使用時には、開口部16aは通風が可能な格子によって外側から覆われる。
【0017】
図2に示すように、ヒートポンプ装置1の筐体10の内部空間は、上下方向に延在する仕切り板11によって左右に仕切られる。仕切り板11は、左右方向に厚みを有する矩形状の板である。仕切り板11は、背面側において、空気熱交換器20のエンドプレートと螺合されて保持される。また、仕切り板11は、下面において、底面パネル14と螺合されて保持される。なお、本実施の形態では、螺合は、ボルト止めやビス止めなどの意味で用いる。すなわち、螺合は、部材、部品の大きさなどに応じて、ねじ山を有するボルトやビスなどの適宜の固定具を用いた固定の意味で使用する。仕切り板11によって、筐体10の内部には、左側(左右方向他側)の送風機室12と、右側(左右方向一側)の機械室13と、が形成される。
【0018】
送風機室12には、空気熱交換器(熱交換器)20が設置されている。本実施形態の空気熱交換器20は、
図3に示すように、筐体10の背面と側面に露出するように略L字状に形成されている。空気熱交換器20は、筐体10の背面に露出する背面部20aと、筐体10の側面に露出する側面部20bとを有する。空気熱交換器20は、例えば、フィンチューブ式の熱交換器が用いられる。
【0019】
空気熱交換器20の背面部20aの前方には、上下方向に延びる送風機支柱18(
図2参照)が設置されている。送風機支柱18は左右一対設置されている。送風機支柱18は、筐体10の底面パネル14に螺合されて保持される。送風機支柱18には、上下に送風機21が支持される。
【0020】
送風機21は、モーター21aと、モーター21aの駆動軸に固定されたファン羽根21bとを有する。送風機21は、例えば、プロペラ状の羽根車を備える軸流ファンが用いられる。送風機21は、駆動時に軸流方向が前面パネル16の開口部16aに向かうよう配置される。モーター21aは、一対の送風機支柱18の中央に保持される。詳細には、モーター21aは、送風機支柱18の中央と、モーター21aの中心およびファン羽根21bの中心とが、一致するように送風機支柱18に支持される。
よって、本実施形態の送風機室12には、空気熱交換器20と、送風機支柱18と、送風機21と、が設置されている。
【0021】
[1-1-2.冷媒回路の構成]
図5は、ヒートポンプ装置1の冷凍サイクル回路図である。
機械室13の内部には、
図5に示す圧縮機23、水熱交換器24、膨張装置25等の冷媒回路29を形成する各種の機器や、これらを互いに接続する冷媒配管26が収容されている。
図5に示すように、圧縮機23、四方弁27、水熱交換器24、膨張装置25および空気熱交換器20は、所定の冷媒配管26を介して環状に接続され、冷媒回路29を構成している。
水熱交換器24は、例えば、プレート熱交換器が用いられる。水熱交換器24には、所定の給水配管22が接続されており、水熱交換器24において、冷媒回路29を循環する冷媒と熱交換が行われる。
【0022】
圧縮機23で圧縮されて高温高圧となった冷媒は、
図5に実線矢印で示すように流れ、水熱交換器24に送られ、水熱交換器24により給水配管22を流れる水と熱交換して冷却され凝縮する。水は、冷媒の熱を受けて温水となって、例えば、利用側機器(図示せず)に供給される。
水熱交換器24から排出された冷媒は、膨張装置25で減圧されて蒸発し、空気熱交換器20で熱交換され、ガス冷媒となって再び圧縮機23に戻される。
【0023】
また、四方弁27を切り替えることにより、
図5に破線矢印で示すように、冷媒が流れ、空気熱交換器20で外気と熱交換し、膨張装置25で減圧された後、水熱交換器24に送られることで、給水配管22を流れる水を冷却することができるように構成されている。冷水は、利用側機器(図示せず)に供給される。
【0024】
ここで、本実施の形態においては、冷媒として可燃性冷媒が用いられる。可燃性冷媒は、R32を使用可能である。また、R32に代えて、可燃性冷媒は、R32を70重量パーセント以上含む混合冷媒でもよい。さらに、これらに代えて、可燃性冷媒は、プロパンでもよい。また、プロパンに代えて、可燃性冷媒は、プロパンを含む混合冷媒でもよい。R32およびプロパンは、それぞれGWPが低い冷媒であり、環境負荷が小さい。
【0025】
冷媒回路29には、種々の物理量を検出するセンサが設けられている。冷媒配管26の各部には、配管表面の温度を計測する温度センサ(図示せず)が設けられている。圧縮機23の吸い込み側と吐出側には、それぞれ冷媒の圧力を計測する圧力センサPS1、PS2が設けられる。また、給水配管22には、水熱交換器24の上流側および下流側において、水温を検出する温度センサTS1、TS2が設けられる。さらに、空気熱交換器20の近傍には、空気熱交換器20からの冷媒の漏出を検出する冷媒センサRS1が設けられる。
膨張装置25および四方弁27には、それぞれこれらを駆動するためのアクチュエータが備わっている。
【0026】
図6は、電装ボックス30の支持構造を示す前上方からの斜視図である。
仕切り板11の上部には、切り欠き部11aが形成されている。本実施の形態では、切り欠き部11aは、下方に矩形状に凹んだ切り欠き状である。切り欠き部11aには、密閉構成である電装ボックス30が配置される。すなわち、切り欠き部11aには、電装ボックス30の電装品収納ケース32が収まるように、電装ボックス30が支持される。電装ボックス30は、機械室13と送風機室12を跨って、筐体10の上部に配置される。電装ボックス30は、
図6に示すように空気熱交換器20の上面を渡して接続される。
【0027】
電装ボックス30は、送風機室12では、送風機21を支持する送風機支柱18の上端に取り付けられる(
図4参照)。本実施の形態では、電装ボックス30は、支持板19を介して送風機支柱18の上端に取り付けられる。よって、本実施の形態の電装ボックス30は、仕切り板11と送風機支柱18とに支持される。このとき、送風機室12および機械室13の上部に配置される電装ボックス30の上端と、天板17との間には、通風が可能な空間S(
図4参照)が形成される。
【0028】
[1-1-3.電装ボックスの構成]
図7は、電装ボックス30の内部構造を説明する分解斜視略図である。
電装ボックス30は、上面が開放された箱型の電装品収納ケース32と、電装品収納ケース32を閉塞する樹脂フタ33(
図6参照)と、を備えている。
【0029】
電装品収納ケース32は、熱伝導性の高い材料、例えば、金属材料によって形成されている。本実施の形態では、電装品収納ケース32は、板金製である。電装品収納ケース32は、板金が箱状に折り曲げられると共に、折り曲げられた箱状の四隅の接合部が溶接されることで、気密性を有する箱型に形成される。電装品収納ケース32は、上方に開口する開口部31を有する。電装品収納ケース32の底面には、矩形状に開口する底面開口部35(
図7参照)が形成される。底面開口部35からは、ヒートシンク34が下方に突出する。
【0030】
樹脂フタ33は、
図6に示すように、長方形の平板状に形成される。樹脂フタ33は、環状ゴムパッキン(図示せず)を介して、開口部31を閉塞するように、電装品収納ケース32に取り付けられる。詳細には、樹脂フタ33は、電装品収納ケース32のフランジ32F(
図7参照)の全周に対して適宜に螺合される。これにより、電装品収納ケース32の開口部31は、樹脂フタ33および環状ゴムパッキンによって密閉される。なお、環状ゴムパッキンは、例えば、発泡ゴム、クロロプレンゴム、EPDM、NBR、H-NBRなどで形成される。本実施の形態において環状ゴムパッキンは、円形断面の発泡ゴムの紐を環状に形成したOリングである。環状ゴムパッキンは、平板状のゴムパッキンを用いてもよい。
【0031】
電装品収納ケース32内には、圧縮機23や送風機21を制御する制御基板40と、電装品収納ケース32の底面開口部35から外部に露出するヒートシンク34と、が配置される。
【0032】
電装品収納ケース32内の制御基板40に電源を供給する電源線、および、制御基板40と圧縮機23とを接続する圧縮機接続線などの大電流が流れ得る配線は、ケーブルグランド(封止手段)を介して電装ボックス30の内部から外部に引き出される。本実施の形態において、制御基板40の電源線、および、圧縮機接続線には、最大で後述の基準電流I以上の電流が流れる。
【0033】
[1-1-4.制御基板の詳細な構成]
制御基板40は、送風機21、圧縮機23、膨張装置25、および四方弁27等のヒートポンプ装置1の各部を制御する基板である。また、制御基板40は、冷媒回路29および給水配管22の各部に取り付けられたセンサに接続され、センサから発信される出力信号を受け取る。具体的には、制御基板40は、圧力センサPS1、PS2(
図5参照)、温度センサTS1、TS2(
図5参照)、および、冷媒センサRS1(
図5参照)等からの出力信号を受信する。
本実施の形態において、制御基板40に供給される電流値は、基準電流Iを最大として設定される。本実施の形態において、基準電流Iは、15Aである。
【0034】
制御基板40の上面には、コンデンサ42などの電気部品が設けられている。また、制御基板40の下面には、インバーター素子(図示せず)が設けられている。コンデンサ42は、制御基板40の上面から上方に突出している。制御基板40は、送風機21、圧縮機23、膨張装置25、および四方弁27等の制御に使用される。インバーター素子には、大電流が流れ得る。
【0035】
[1-1-5.電装ボックスと制御基板との構成]
制御基板40は、電装ボックス30の底面開口部35を、電装品収納ケース32の内側から閉塞するように配置される。制御基板40は、樹脂ケース41を介して、電装品収納ケース32に螺合されて取り付けられる。樹脂ケース41は、制御基板40と、電装品収納ケース32との間に位置する。換言すれば、樹脂ケース41は、制御基板40を電装品収納ケース32に接しない位置に固定する。
【0036】
詳細には、樹脂ケース41は、左右方向に長い受け皿状の部材である。樹脂ケース41の上面には、制御基板40が固定される。樹脂ケース41と制御基板40とは、四隅を螺合される。樹脂ケース41には、樹脂ケース41を上下に貫通する略矩形の開口である放熱用開口部43が形成される。放熱用開口部43は、制御基板40のインバーター素子の設置領域に応じて形成される。すなわち、放熱用開口部43を通じて制御基板40のインバーター素子が外側下方から視認可能となる位置に、放熱用開口部43は形成される。
【0037】
樹脂ケース41の下面には、複数の放熱フィン34aを有するヒートシンク34が取り付けられる。ヒートシンク34は、放熱用開口部43を下方から覆うように配置される。ヒートシンク34は、放熱用開口部43から放熱フィン34aが下方に突出する向きに配置される。ヒートシンク34は、放熱フィン34aが前後方向に延びるように配置される。ヒートシンク34は、樹脂ケース41の上面から四隅を螺合されて位置決めされる。また、ヒートシンク34は、グリースのような潤滑剤を介して制御基板40の上面から螺合される。これにより、ヒートシンク34と、樹脂ケース41と、制御基板40とが一体とされる。このとき、ヒートシンク34は、放熱用開口部43を通じて制御基板40の下面のインバーター素子と密着する。よって、ヒートシンク34が、インバーター素子の放熱を授受する構成となる。ヒートシンク34は、インバーター素子の熱を放熱する。
【0038】
一体とされた樹脂ケース41は、ヒートシンク34が、底面開口部35を通って電装品収納ケース32の外部に露出するように、電装品収納ケース32に対して位置決めされる。すなわち、樹脂ケース41は、ヒートシンク34および底面開口部35に、放熱用開口部43が上下に重なる(底面視で重なる)ように位置決めされる。このとき、樹脂ケース41が電装品収納ケース32に当接して、ヒートシンク34は、電装品収納ケース32から離間する。すなわち、ヒートシンク34は、金属製の電装品収納ケース32に直に接触しないように支持される。
【0039】
[1-1-6.支持板の構成]
図8は、実施の形態1における支持板19の斜視図である。
電装ボックス30は、支持板19を介して送風機支柱18に取り付けられる。本実施の形態の電装ボックス30は、支持板19に螺合されることにより、送風機支柱18に取り付けられる。
【0040】
支持板19は、折り曲げ板状である。本実施の形態の支持板19は、前後方向に厚みを有する板状の背面部19aを有する。背面部19aは、左右の送風機支柱18の間隔よりも大きい左右幅を有する。背面部19aには、開口部19a1が形成される。開口部19a1は、背面部19aを厚み方向に貫通する孔形状である。
【0041】
背面部19aの下方には、支柱固定部19cが形成される。支柱固定部19cは、送風機支柱18の上端部に螺合される。本実施の形態の支柱固定部19cは、左右一対形成される。左右一対の支柱固定部19cと、背面部19aとの門型の囲み形状により、下方に開放された開口部(開口)19a2が形成される。換言すれば、開口部19a2は、支持板19を上方に切り欠いた開口形状である。左右一対の支柱固定部19cは、左右それぞれの送風機支柱18の上端部に固定される。これにより、支持板19が左右の送風機支柱18に跨った状態で固定される。
【0042】
詳細には、左右の支柱固定部19cは、それぞれ、背面部19aの左右外端部から下方に延びる下方延出部19dを有する。下方延出部19dの下端には、前方に折り曲げられた形状の前方延出部19eが形成される。前方延出部19eの前端には、下方に折り曲げられた形状の前面固定部19fが形成される。前面固定部19fの左右方向外側には、側面固定部19gが形成される。側面固定部19gは、背面部19aの左右方向外端が、前方に折り曲げられた形状である。
【0043】
背面部19aの上方には、背面部19aから後方に折り曲げられた形状の後方延出部19hが形成される。後方延出部19hの後端には、上方に折り曲げられた形状の後端固定部19iが形成される。本実施の形態では、後端固定部19iは、左右一対形成される。後方延出部19hの前端には、上下方向に螺合可能なボックス固定部19jが形成される。
【0044】
背面部19aの下部には、背面部19aに対して前方に突出する支持面部19bが形成される。本実施の形態の支持面部19bは、開口部19a2に関する切り起こし状である。支持面部19bは、電装ボックス30の前後幅に対応して前方に延出する。支持面部19bには、ヒートシンク34を回避する回避開口部19b1が形成される。本実施の形態の回避開口部19b1は、支持面部19bが左右方向に切り欠かれた切り欠き形状である。回避開口部19b1があることにより、支持面部19bは、ヒートシンク34の重心に近い位置で電装ボックス30を支持(当接)可能である。
【0045】
支持面部19bの前端には、上方に折り曲げられた形状の正面部19kが形成される。正面部19kの上端には、前方に折り曲げられた形状の前端延出部19mが形成される。前端延出部19mの前端には、上方に折り曲げられた形状の前端固定部19nが形成される。前端延出部19mの後端には、上下方向に螺合可能なボックス固定部19pが形成される。
【0046】
[1-1-7.電装ボックスの支持構成]
図9は、実施の形態1における電装ボックス30の支持構造を示す前下方から見た斜視図である。
電装ボックス30は、支持板19を介して送風機支柱18に支持される。支持板19は、送風機支柱18の上端部に螺合される。本実施の形態の送風機支柱18は、熱伝導性の高い材料から構成されている。送風機支柱18は、外観角柱状である。送風機支柱18の上端部には、支持板19の支柱固定部19cが、それぞれの送風機支柱18の前面および外側側面を覆うように配置される。
【0047】
すなわち、送風機支柱18の前面には、支持板19の前面固定部19fが配置される。また、送風機支柱18の外側側面には、支持板19の側面固定部19gが配置される。そして、送風機支柱18の上端が、支持板19の前方延出部19eに突き当てられる。この状態で、前面固定部19fは前方から送風機支柱18の前面に螺合される。また、側面固定部19gは、左右方向外側から送風機支柱18の側面に螺合される。これにより、送風機支柱18の上端部に、支持板19が固定される。
【0048】
また、支持板19は、後方延出部19hが空気熱交換器20の上方に配置される。このとき、後方延出部19hの後端固定部19iが空気熱交換器20の後方に位置する。後端固定部19iには、天板17が螺合される。よって、支持板19は、空気熱交換器20の後背部で天板17と螺合される。
【0049】
さらに、本実施の形態では、支持板19は、前端延出部19mが前面パネル16の上部に配置される。このとき、前端延出部19mの前端固定部19nには、前面パネル16と螺合される。
よって、支持板19は、筐体10の前後に渡って強固に固定される。
【0050】
支持板19が送風機21の上方に固定されると、支持板19の背面部19aは、空気熱交換器20の背面部20aの前面に沿って配置される。このとき、支持板19には開口部19a1、19a2が形成されるため、開口部19a1、19a2を通じて熱交換された空気が筐体10内に流入可能である。
【0051】
仕切り板11の切欠き部11aには、電装ボックス30が配置される。電装ボックス30は、送風機室12と機械室13とに跨った状態で配置される。このとき、電装ボックス30は、送風機室12では、支持板19に支持される。すなわち、電装ボックス30は、支持板19の背面部19a、支持面部19b、および正面部19kで構成される凹部形状に収納される。電装ボックス30は、背面部19aおよび正面部19kで前後方向に位置決めされる。また、電装ボックス30は、支持面部19bに当接支持される。このとき、電装ボックス30のフランジ32Fが、ボックス固定部19j、19pに螺合される。本実施の形態では、電装ボックス30が支持板19のボックス固定部19j、19pに螺合されることで、電装ボックス30が送風機支柱18に螺合された状態となる。電装ボックス30は、前面、底面、後面が支持板19に包囲された状態で支持されるため、より強固に支持され易くなっている。
【0052】
ここで、電装ボックス30には、下方に突出するヒートシンク34が設けられているが、支持板19を介することにより、送風機支柱18が、ヒートシンク34から所定の距離、具体的には、絶縁距離以上の距離を空けて電装ボックス30を支持することができる。
【0053】
本実施の形態では、ヒートシンク34は、支持面部19bの回避開口部19b1に進入して支持面部19bよりも下方に突出する。このとき、ヒートシンク34は、すくなくとも一部が、左右の送風機支柱18の中央、かつ、上側の送風機21よりも上方に位置するように配置される。また、ヒートシンク34は、空気熱交換器20の前面に対して露出して、放熱フィン34aが送風機21の軸流方向B(
図4参照)に沿って延びるように並べられる。すなわち、送風機21の風がヒートシンク34の放熱フィン34aの間に沿って流れるようにヒートシンク34が配置される。このとき、放熱フィン34aは、支持板19の開口部19a2に対向する。すなわち、正面視では、放熱フィン34aと、支持板19の開口部19a2とが重複する。
なお、本実施の形態では、電装品収納ケース32全体を金属材料により形成しているが、送風機室12に位置する部分のみを金属材料により形成してもよい。
【0054】
[1-2.動作]
以上のように構成されたヒートポンプ装置1について、その動作を以下説明する。
ヒートポンプ装置1において、運転時には、制御基板40に対して接続された電源線を通じて外部電源から給電され、圧縮機23、送風機21、膨張装置25、四方弁27、および冷媒回路29に係る部品は、電装ボックス30内の制御基板40によってその動作を制御される。
【0055】
制御基板40を通電する電流によって、制御基板40上の素子は発熱を生じる。発生した熱は、電装ボックス30の内部の空気に伝わると共に、制御基板40の下面のインバーター素子に密着して接続されたヒートシンク34に伝わる。
【0056】
ここで、電装ボックス30は、可燃性冷媒の侵入防止のため通風口が無い密閉構造である。このため、電装ボックス30の内部の空気温度は上昇するが、電装品収納ケース32および樹脂フタ33の周囲を通る送風によって放熱される。また、インバーター素子などは、大電流が流れることで発熱が大きいが、インバーター素子は、制御基板40の下面に位置しており、直に、ヒートシンク34に密着している。このため、インバーター素子は、ヒートシンク34を介して放熱され易くなっている。
【0057】
送風機21が駆動している際には、外部の空気は吸気口から吸引され、空気熱交換器20を介して冷媒と熱交換し、送風機21のファン羽根21bによって吸引され、前面パネル16の吹出口16bに吹き出される。したがって、送風機21の駆動時においては、空気熱交換器20を通じた外部空気が電装ボックス30の下部に位置するヒートシンク34の放熱フィン34a間を通過することで、放熱フィン34aの熱が外部空気によって奪われ、吹出口16bへ放散される。
【0058】
本実施の形態では、ヒートシンク34の少なくとも一部は、正面視で、左右の送風機支柱18の間に位置されるが、送風機21の中心は、左右の送風機支柱18の中央と一致する。送風機21の引き込む外部の空気は、送風機21の中心に引き寄せられるように流れるため、空気は、ヒートシンク34の放熱フィン34a間を添うように放熱フィン34aに平行に流れる。このため、ヒートシンク34の放熱量が改善し、密閉構造の電装ボックス30であっても、制御基板40のインバーター素子の温度上昇を抑えられる。
【0059】
ヒートシンク34は、電装ボックス30の中でも重量がある要素部品だが、左右の送風機支柱18の中央に位置するようにヒートシンク34を支持することで、重心に近い位置で電装ボックス30を支持できる。よって、本実施の形態では、電装ボックス30を安定して筐体10の上部に配置できる。
【0060】
[1-3.効果]
以上のように、本実施の形態において、ヒートポンプ装置1は、冷媒回路29と、送風機21と、一対の送風機支柱18と、制御基板40と、電装ボックス30と、ヒートシンク34と、を備える。冷媒回路29は、圧縮機23と、空気熱交換器20と、を備える。空気熱交換器20は、室外空気および冷媒の間で熱交換を行う。冷媒回路29には、可燃性冷媒を封入する。送風機21は、空気熱交換器20に空気を送風する。一対の送風機支柱18は、送風機21を支持する。制御基板40は、圧縮機23及び送風機21を制御する。電装ボックス30は、制御基板40を収納する密閉構成である。ヒートシンク34は、制御基板40に密着し、かつ、電装ボックス30の外部に露出して設置される。このヒートポンプ装置1において、電装ボックス30は、少なくとも一つの送風機支柱18によって支持される。空気熱交換器20の前方にはヒートシンク34が配置される。ヒートシンク34の少なくとも一部が一対の送風機支柱18の間に位置する。
この構成により、電装ボックス30を、重量のあるヒートシンク34の近傍で強固に支持しつつ、通風量が多い放熱効果の高い位置に、ヒートシンク34を配置できる。よって、電装ボックス30の支持強度と冷却性能を同時に高められる。したがって、密閉構成の電装ボックス30であっても、電装ボックス30の内部の制御基板40の温度上昇を抑え易くできる。そのため、電装ボックス30の支持強度を高めることで、可燃性冷媒が漏洩しても着火を防止することができるように安全性を確保しながら、電装品の温度上昇を抑えて電装品の信頼性を高めたヒートポンプ装置1を提供することができる。
【0061】
本実施の形態のように、電装ボックス30を支持する送風機支柱18は、ヒートシンク34から所定の距離を介して配置されてもよい。
この構成により、電装ボックス30を支持する送風機支柱18を、高圧大電流が流れる制御基板40に密着するヒートシンク34から絶縁距離を確保して配置することができる。したがって、ヒートシンク34から送風機支柱18に大電流が通電することなく、送風機支柱18が電装ボックス30を支持可能になる。そのため、安全性を保ちつつ、送風機支柱18によって電装ボックス30およびヒートシンク34を送風機21の上方に保持でき、電装品の冷却性能を改善でき電装品の信頼性を向上することができる。
【0062】
また、本実施の形態のように、電装ボックス30を支持する送風機支柱18には、支持板19が固定され、支持板19には、電装ボックス30が固定されてもよい。
この構成により、支持板19により電装ボックス30の支持自由度を高めることができ、送風機支柱18とヒートシンク34との間に容易に絶縁距離を取り易くできる。そのため、安全性を保ちつつヒートシンク34を送風機21の上方に保持して冷却性能を改善でき信頼性を向上することができる。
【0063】
また、本実施の形態のように、支持板19には、一対の送風機支柱18の間に対応して開口部19a2が設けられ、ヒートシンク34は、開口部19a2に対向するように一対の送風機支柱18の間に固定されてもよい。
この構成により、ヒートシンク34の放熱フィン34a間の通風を阻害し難くできる。そのため、ヒートシンク34の放熱性を改善しつつ電装ボックス30をより強固に支持可能になり、電装品の信頼性を向上することができる。
【0064】
また、本実施の形態のように、ヒートシンク34は、樹脂ケース41を介して制御基板40および、電装ボックス30の電装品収納ケース32に取り付けられてもよい。
この構成により、ヒートシンク34が、電装ボックス30の電装品収納ケース32と直に接触しないようにヒートシンク34を電装ボックス30に取り付けることができる。したがって、ヒートシンク34が制御基板40と密着していても、電装ボックス30の電装品収納ケース32と、ヒートシンク34および制御基板40との間を樹脂ケース41により絶縁しつつ、電装ボックス30の電装品収納ケース32にヒートシンク34を支持できる。このため、安全性を確保しながら電装品の信頼性を高めることができる。
【0065】
また、本実施の形態のように、機械室13と送風機室12とに分ける仕切り板11を備え、仕切り板11と送風機支柱18とで、電装ボックス30を支持してもよい。
この構成により、電装ボックス30に取り付けたヒートシンク34を送風機21の上方に保持するにあたって、送風機支柱18と仕切り板11とによって支持するため、電装ボックス30を、より強固に支持可能になる。そのため、電装ボックス30の支持強度を高めることで、安全性を確保しながら電装品の信頼性を高めることができる。
【0066】
また、本実施の形態のように、支持板19とヒートポンプ装置1の前面とが接続されてもよい。本実施の形態では、支持板19と前面パネル16とが接続される。
この構成により、支持板19が、ヒートポンプ装置1の前面と接続されるので、支持板19を、送風機支柱18と共に前後に渡って支持し易くできる。このため、電装ボックス30をより強固に支持できる。
【0067】
また、本実施の形態のように、可燃性冷媒は、R32若しくはR32を70重量パーセント以上含む混合冷媒、または、プロパン若しくはプロパンを含む混合冷媒であってもよい。
この構成により、R32およびプロパンは、それぞれGWPが低い冷媒であるため、環境負荷を小さくすることができる。
【0068】
(実施の形態2)
以下、
図10、
図11を用いて、実施の形態2を説明する。
【0069】
[2-1.構成]
[2-1-1.全体の構成]
図10は、実施の形態2における支持板219の斜視図である。
図11は、実施の形態2における電装ボックス230の支持構造を示す前下方から見た斜視図である。
実施の形態2におけるヒートポンプ装置1は、実施の形態1における支持板19および電装ボックス30に代えて、支持板219および電装ボックス230を有する。実施の形態2では、電装ボックス230が支持板219を介して送風機支柱18に支持される点が、実施の形態1のヒートポンプ装置1とは異なる。
【0070】
[2-1-2.支持板の構成]
実施の形態2の支持板219は、実施の形態1の支持板19の正面部19kや、前端延出部19m、前端固定部19n、ボックス固定部19pなどが省略された形状であり、簡素な構成となっている。
【0071】
具体的には、実施の形態2の支持板219は、実施の形態1の支持板19の背面部19a、開口部19a1、後方延出部19h、後端固定部19i、ボックス固定部19jに対応して、背面部219a、開口部219a1、後方延出部219h、後端固定部219i、ボックス固定部219jを有する。
【0072】
背面部219aの下方には、背面部219aに対して前方に突出する支持面部219bが形成される。本実施の形態の支持面部219bは、開口部219a1に関して、切り起こし状である。支持面部219bは、ヒートシンク34と接触しない長さで前方に突出する。
【0073】
背面部219aの下方には、支柱固定部219cが形成される。支柱固定部219cは、送風機支柱18の上端部に螺合される。本実施の形態の支柱固定部219cは、左右一対形成される。支柱固定部219cは、実施の形態1の支持板19の下方延出部19d、前面固定部19f、側面固定部19gに対応して、下方延出部219d、前面固定部219f、側面固定部219gを有する。
【0074】
また、支持板219は、実施の形態1の前方延出部19eに対応する前方延出部219eを有する。実施の形態2の前方延出部219eは、左右に分離しておらず、左右方向に延びる一本形状である点が、実施の形態1の前方延出部19eと異なる。
【0075】
左右一対の支柱固定部219cと、背面部219aと、前方延出部219eの囲み形状により、支持板219には、上下方向に貫通する孔形状である開口部219a2が形成される。開口部219a2は、設置状態で、ヒートシンク34に対向可能である。
【0076】
[2-1-3.電装ボックスの構成]
実施の形態2における電装ボックス230は、実施の形態1における電装品収納ケース32に代えて、電装品収納ケース232を有する。実施の形態2の電装品収納ケース232は、開口部31の前縁に前端固定部232aが形成される点が、実施の形態1における電装品収納ケース32とは異なる。前端固定部232aは、実施の形態1における支持板19の前端固定部19nに対応する形状に形成される。
【0077】
[2-1-4.電装ボックスの支持構成]
電装ボックス230は、支持板219を介して送風機支柱18に支持される。支持板219は、送風機支柱18の上端部に螺合される。本実施の形態でも、支持板219の支柱固定部219cが、それぞれの送風機支柱18の前面および外側側面を覆うように配置され、螺合される。
また、支持板219では、後方延出部219hの後端固定部219iに天板17が螺合される。
よって、送風機支柱18の上端部に、支持板19が固定される。
【0078】
支持板219には、仕切り板11から延びる電装ボックス230が配置される。電装ボックス230は、支持面部219bに当接支持される。このとき、電装ボックス230のフランジ32Fが、ボックス固定部219jに螺合される。また、電装ボックス230は、前端固定部232aが前面パネル16と螺合される。
よって、電装ボックス230は、送風機支柱18と前面パネル16に螺合され、筐体10の前後に渡って強固に固定される。
【0079】
[2-2.効果等]
以上のように、本実施の形態においても、電装ボックス230は、少なくとも一つの送風機支柱18によって支持される。また、空気熱交換器20の前方にはヒートシンク34が配置される。さらに、ヒートシンク34の少なくとも一部が一対の送風機支柱18の間に位置する。
よって、実施の形態2でも、電装ボックス230の支持強度を高めることで、可燃性冷媒が漏洩しても着火を防止することができるように安全性を確保しながら、電装品の温度上昇を抑えて電装品の信頼性を高めたヒートポンプ装置1を提供することができる。
【0080】
また、本実態の形態においても、支持板219により、ヒートシンク34から絶縁距離を介した状態で、送風機支柱18が電装ボックス230を支持する。
これにより、ヒートシンク34が上記のように大電流の流れる制御基板40と密着していても、絶縁距離を介した構成をとり易くなる。そのため、支持板219を簡素な構成としつつも、安全性を保ちつつヒートシンク34を送風機21上方に保持して冷却性能を改善でき電装品の信頼性を向上することが出来る。
【0081】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、本実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記本実施の形態で説明した各構成要素を一部変更して、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0082】
実施の形態1、2では、制御基板40は、樹脂ケース41を介して電装品収納ケース32、232に取り付けられると説明したが、これは一例である。制御基板40は、樹脂ケース41を介さずとも、シール部材などの絶縁可能な部材を介して、電装品収納ケース32、232に対して螺合等によって取り付けられていてもよい。
【0083】
また、実施の形態1、2では、送風機支柱18は、筐体10の底面パネル14に螺合されると説明したが、送風機支柱18は底面パネル14から上下方向に延在せずともよく、筐体10もしくは仕切り板11から横方向に延在する構成でもよい。
【0084】
また、実施の形態1、2では、電装ボックス30、230は仕切り板11に設けた切り欠き部11aを介して機械室13と送風機室12に渡って配置されるが、仕切り板11に切り欠き部11aを設けるのではなく、電装ボックス30、230の底面と一致する高さの仕切り板11としてもよい。このとき、仕切り板11の上方に、複数の部材を追加構成することによって、仕切り板11の上方では、機械室13と送風機室12との仕切りを行うことが可能である。
【0085】
実施の形態1、2では、支持板19、219は、一対の送風機支柱18のいずれにも固定される構成が強度の点からは望ましいが、片方の送風機支柱18のみに固定される構成でもよい。
【0086】
実施の形態1、2では、支持板19、219は、一体の構成を説明したが、左右の送風機支柱18毎に異なる支持板が固定されて、電装ボックス30、230が二つの支持板を介して送風機支柱18に固定される構成でもよい。
【0087】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0088】
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
【0089】
(技術1)圧縮機と、室外空気および冷媒の間で熱交換を行う熱交換器と、を備えて、可燃性冷媒を封入した冷媒回路と、前記熱交換器に空気を送風する送風機と、前記送風機を支持する一対の送風機支柱と、前記圧縮機及び前記送風機を制御する制御基板と、前記制御基板を収納する密閉構成の電装ボックスと、前記制御基板に密着し、かつ、前記電装ボックスの外部に露出して設置されたヒートシンクと、を備えるヒートポンプ装置において、前記電装ボックスは、少なくとも一つの前記送風機支柱によって支持され、前記熱交換器の前方には前記ヒートシンクが配置され、前記ヒートシンクの少なくとも一部が前記一対の送風機支柱の間に位置する、ヒートポンプ装置。
この構成により、電装ボックスを、重量のあるヒートシンクの近傍で強固に支持しつつ、ヒートシンクを、通風量が多い放熱効果の高い位置に配置できる。よって、電装ボックスの支持強度と冷却性能を同時に高められ、密閉構成の電装ボックスであっても、電装ボックスの内部の制御基板の温度上昇を抑え易くできる。そのため、電装ボックスの支持強度を高めることで、可燃性冷媒が漏洩しても着火を防止することができるように安全性を確保しながら、電装品の温度上昇を抑えて電装品の信頼性を高めたヒートポンプ装置を提供することができる。
【0090】
(技術2)前記電装ボックスを支持する前記送風機支柱は、前記ヒートシンクから所定の距離を介して配置される、技術1に記載のヒートポンプ装置。
この構成により、電装ボックスを支持する送風機支柱を、高圧大電流が流れる制御基板に密着するヒートシンクから絶縁距離を確保して配置することができる。したがって、ヒートシンクから送風機支柱に大電流が通電することなく、送風機支柱が電装ボックスを支持可能になる。そのため、安全性を保ちつつ、送風機支柱によって電装ボックスおよびヒートシンクを送風機の上方に保持でき、電装品の冷却性能を改善でき電装品の信頼性を向上することができる。
【0091】
(技術3)前記電装ボックスを支持する前記送風機支柱には、支持板が固定され、前記支持板には、前記電装ボックスが固定される、技術1または2に記載のヒートポンプ装置。
この構成により、支持板により電装ボックスの支持自由度を高めることができ、送風機支柱とヒートシンクとの間に容易に絶縁距離を取り易くできる。そのため、安全性を保ちつつヒートシンクを送風機の上方に保持して冷却性能を改善でき信頼性を向上することができる。
【0092】
(技術4)前記支持板には、前記一対の送風機支柱の間に対応して開口が設けられ、前記ヒートシンクは、前記開口に対向するように前記一対の送風機支柱の間に固定される、技術3に記載のヒートポンプ装置。
この構成により、ヒートシンクの放熱フィン間の通風を阻害し難くできる。そのため、ヒートシンクの放熱性を改善しつつ電装ボックスをより強固に支持可能になり、電装品の信頼性を向上することができる。
【0093】
(技術5)前記ヒートシンクは、樹脂ケースを介して前記制御基板および前記電装ボックスに取り付けられる、技術1から4のいずれかに記載のヒートポンプ装置。
この構成により、ヒートシンクが電装ボックスと直に接触しないようにヒートシンクを電装ボックスに取り付けることができる。したがって、ヒートシンクが制御基板と密着していても、電装ボックスと、ヒートシンクおよび制御基板との間を樹脂ケースにより絶縁しつつ、電装ボックスにヒートシンクを支持できる。そのため、安全性を確保しながら電装品の信頼性を高めることができる。
【0094】
(技術6)機械室と送風機室とに分ける仕切り板を備え、前記仕切り板と前記送風機支柱とで、前記電装ボックスを支持する、技術1から5のいずれかに記載のヒートポンプ装置。
この構成により、電装ボックスに取り付けたヒートシンクを送風機の上方に保持するにあたって、送風機支柱と仕切り板とによって支持するため、電装ボックスを、より強固に支持可能になる。そのため、電装ボックスの支持強度を高めることで、安全性を確保しながら電装品の信頼性を高めることができる。
【0095】
(技術7)前記支持板と前記ヒートポンプ装置の前面とが接続される、技術3または4に記載のヒートポンプ装置。
この構成により、支持板が、ヒートポンプ装置の前面と接続されるので、支持板を、送風機支柱と共に前後に渡って支持し易くできる。このため、電装ボックスをより強固に支持できる。
【0096】
(技術8)前記可燃性冷媒は、R32若しくはR32を70重量パーセント以上含む混合冷媒、または、プロパン若しくはプロパンを含む混合冷媒である、技術1から7のいずれかに記載のヒートポンプ装置。
この構成により、R32およびプロパンは、それぞれGWPが低い冷媒であるため、環境負荷を小さくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本開示は、可燃性冷媒を用いるヒートポンプ装置に適用可能である。具体的には、ヒートポンプ温水暖房機のほか、ヒートポンプ式の給湯器またはヒートポンプ装置などに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 ヒートポンプ装置
10 筐体
11 仕切り板
11a 切り欠き部
12 送風機室
13 機械室
14 底面パネル
15 側面パネル
16 前面パネル
16a 開口部
16b 吹出口
17 天板
18 送風機支柱
19 支持板
19a 背面部
19a1 開口部
19a2 開口部(開口)
19b 支持面部
19b1 回避開口部
19c 支柱固定部
19d 下方延出部
19e 前方延出部
19f 前面固定部
19g 側面固定部
19h 後方延出部
19i 後端固定部
19j ボックス固定部
19k 正面部
19m 前端延出部
19n 前端固定部
19p ボックス固定部
20 空気熱交換器(熱交換器)
20a 背面部
20b 側面部
21 送風機
21a モーター
21b ファン羽根
22 給水配管
23 圧縮機
24 水熱交換器
25 膨張装置
26 冷媒配管
27 四方弁
29 冷媒回路
30 電装ボックス
31 開口部
32 電装品収納ケース
32F フランジ
33 樹脂フタ
34 ヒートシンク
34a 放熱フィン
35 底面開口部
40 制御基板
41 樹脂ケース
42 コンデンサ(電気部品)
43 放熱用開口部
219 支持板
219a 背面部
219a1 開口部
219a2 開口部
219b 支持面部
219c 支柱固定部
219e 前方延出部
219f 前面固定部
219h 後方延出部
219i 後端固定部
219j ボックス固定部
230 電装ボックス
232 電装品収納ケース
232a 前端固定部
B 軸流方向
I 基準電流
PS1 圧力センサ(センサ)
PS2 圧力センサ(センサ)
RS1 冷媒センサ(センサ)
S 空間
TS1 温度センサ(センサ)
TS2 温度センサ(センサ)