(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173015
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】キュービクル式受電設備
(51)【国際特許分類】
H02B 1/38 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
H02B1/38 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091120
(22)【出願日】2023-06-01
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】寺社下 文也
(72)【発明者】
【氏名】下岡 達矢
(72)【発明者】
【氏名】栗田 茉奈
【テーマコード(参考)】
5G016
【Fターム(参考)】
5G016AA04
5G016CC01
(57)【要約】
【課題】 箱体の扉に設けられた窓から内部に設置した指示計器の指示値を視認し易く、また指示計器のメンテナンスが容易なキュービクル式受電設備を提供する。
【解決手段】 前面に扉2を備えた箱体1に、高圧電力を低圧電力に変換する高圧受電設備を収容し、高圧受電設備の所定の電路の電圧値、電流値を含む計測値を表示する複数の指示計器7を有し、扉2に箱体1の内部を視認するための窓5を備え、扉2の裏面であって窓5の背部に指示計器7の少なくとも1つを収納した計器用筐体8が、扉2に一端が蝶着されて左右方向に回動可能に取り付けられ、計器用筐体8に収納された指示計器7の表示値を、箱体1の前方から窓5を介して視認できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に扉を備えた箱体に、高圧電力を低圧電力に変換する高圧受電設備を収容し、前記高圧受電設備の所定の電路の電圧値、電流値を含む計測値を表示する複数の指示計器を有し、前記扉に前記箱体の内部を視認するための窓を備えたキュービクル式受電設備であって、
前記扉の裏面であって前記窓の背部に、前記指示計器の少なくとも1つを収納した計器用筐体が、前記扉に端部が蝶着されて左右方向に回動可能に取り付けられ、
前記計器用筐体に収納された前記指示計器の表示値を、前記箱体の前方から前記窓を介して視認できることを特徴とするキュービクル式受電設備。
【請求項2】
前記計器用筐体は、前記窓の一部を占有して設置され、前記窓の前記計器用筐体が占有しない部位から前記箱体の内部を視認できることを特徴とする請求項1記載のキュービクル式受電設備。
【請求項3】
前面に扉を備えた箱体に、高圧電力を低圧電力に変換する高圧受電設備を収容し、前記高圧受電設備の所定の電路の電圧値、電流値を含む計測値を表示する複数の指示計器を有し、前記扉に前記箱体の内部を視認するための窓を備えたキュービクル式受電設備であって、
前記扉は、前記指示計器を視認するための専用窓を有すると共に、
前記扉の裏面であって前記専用窓の背部に、前記指示計器の少なくとも1つを収納した計器用筐体が、前記扉に端部が蝶着されて左右方向に回動可能に取り付けられ、
前記計器用筐体に収納された前記指示計器の表示値を、前記箱体の前方から前記専用窓を介して視認できることを特徴とするキュービクル式受電設備。
【請求項4】
前記計器用筐体の前記扉との蝶着部には、前記計器用筐体が一定角度以上開放動作するのを阻止するストッパが設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のキュービクル式受電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキュービクル式受電設備に関し、詳しくは収容している受電設備の所定の電路の電圧/電流等の計測値を表示する指示計器の取付位置を変更したキュービクル式受電設備に関する。
【背景技術】
【0002】
キュービクル式受電設備は、高圧受電設備を収容したキュービクルと称される箱体で構成され、箱体の内部に配設されている高圧電路等の所定の電路に対して電圧値、電流値、電力等を計測し、その計測値を表示する指示計器が備えられている。この指示計器は、箱体内の前面に配置されたパネルに取り付けられ、扉に設けられた窓越しに或いは扉を開けることでその指示値を確認できた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、箱体の扉に設けた窓から指示計器の表示値の確認が可能であった。
しかしながら、取り付けられている指示計器は箱体内に配置されたパネルに取り付けられているため、扉の窓と指示計器との間には一定の距離があり、窓越しに指示計器の表示値を精度良く読み取るのが難しかった。まして、窓が埃等で汚れている場合は読み取ることが困難であった。
加えて、指示計器の交換等のメンテナンスの際には、パネルを開けて或いはパネルの裏に回って作業しなければならないため作業し辛かった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、箱体の扉に設けられた窓から内部に設置した指示計器の指示値を視認し易く、また指示計器のメンテナンスが容易なキュービクル式受電設備を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、本発明の第1の構成は、前面に扉を備えた箱体に、高圧電力を低圧電力に変換する高圧受電設備を収容し、高圧受電設備の所定の電路の電圧値、電流値を含む計測値を表示する複数の指示計器を有し、扉に箱体の内部を視認するための窓を備えたキュービクル式受電設備であって、扉の裏面であって窓の背部に、指示計器の少なくとも1つを収納した計器用筐体が、扉に端部が蝶着されて左右方向に回動可能に取り付けられ、計器用筐体に収納された指示計器の表示値を、箱体の前方から窓を介して視認できることを特徴とする。
この構成によれば、少なくとも1つの指示計器は窓の背部にとりつけられるため、窓越しであってもその表示値を視認し易い。加えて、指示計器は計器用筐体に収納されるが、計器用筐体は回動可能であるため、開操作すれば容易に交換等のメンテナンス操作ができる。また、指示計器の前面に表示変更ボタン等の操作部を有していても、計器用筐体を開操作することで指示計器の操作部を容易に操作できる。
【0007】
本発明の別の態様は、上記構成において、計器用筐体は、窓の一部を占有して設置され、窓の計器用筐体が占有しない部位から箱体の内部を視認できることを特徴とする。
この構成によれば、窓の背部に指示計器を配置しても、窓の一部であるため引き続き窓から箱体内部を視認できる。
【0008】
本発明の第2の構成は、前面に扉を備えた箱体に、高圧電力を低圧電力に変換する高圧受電設備を収容し、高圧受電設備の所定の電路の電圧値、電流値を含む計測値を表示する複数の指示計器を有し、扉に箱体の内部を視認するための窓を備えたキュービクル式受電設備であって、扉は指示計器を視認するための専用窓を有すると共に、扉の裏面であって専用窓の背部に、指示計器の少なくとも1つを収納した計器用筐体が、扉に端部が蝶着されて左右方向に回動可能に取り付けられ、計器用筐体に収納された指示計器の表示値を、箱体の前方から専用窓を介して視認できることを特徴とする。
この構成によれば、少なくとも1つの指示計器は窓の背部にとりつけられるため、窓越しであってもその表示値を視認し易い。加えて、指示計器を視認するための窓は専用窓であるため、従来よりある窓は引き続き箱体内部を良好に視認できる。
加えて、指示計器は計器用筐体に収納されるが、計器用筐体は回動可能であるため、開操作すれば容易に交換等のメンテナンス操作ができる。また、指示計器の前面に表示変更ボタン等の操作部を有していても、計器用筐体を開操作することで指示計器の操作部を容易に操作できる。
【0009】
本発明の別の態様は、上記構成において、計器用筐体の扉との蝶着部には、計器用筐体が一定角度以上開放動作するのを阻止するストッパが設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、計器用筐体はストッパの作用で一定角度以上開かないため、高圧受電設備から指示計器に配設された電線が挟まれて断線するようなことがないし、開きすぎて計器用筐体が箱内内部の機器等に衝突するのを防止できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、少なくとも1つの指示計器は窓の背部にとりつけられるため、窓越しであってもその表示値を視認し易い。加えて、指示計器は計器用筐体に収納されるが、計器用筐体は回動可能であるため、開操作すれば容易に交換等のメンテナンス操作ができる。また、指示計器の前面に表示変更ボタン等の操作部を有していても、計器用筐体を回動することで指示計器の操作部を容易に操作できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係るキュービクル式受電設備の一例を示す説明図であり、左前方から見た斜視図である。
【
図5】計器用筐体を閉じて扉の前方から窓を見た正面図である。
【
図6】キュービクル式受電設備の他の形態を示し、扉を右後方から見た斜視図である。
【
図8】計器用筐体を閉じて別角度から見たB部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係るキュービクル式受電設備の一例を示す斜視図であり、側板を外し且つ窓を設けた扉を開けた状態を示している。
キュービクル式受電設備10は、受電した高圧電力を低圧電力に変換する高圧受電設備を箱体1に収容して構成されている。箱体1は、前面に観音開きする2枚の扉2を有し、左右側面及び背面は図示しない閉塞板で閉塞されている。また、屋根板3を備えて雨水が内部に侵入しないよう構成され、一方の扉2には内部を視認するための窓5が設けられている。
【0013】
高圧受電設備は、高圧電力を低圧電力に変換する三相変圧器6に加えて、高圧負荷開閉器、電力用コンデンサ、単相変圧器、配線用遮断器(何れも図示せず)等で構成され、それらが箱体1に収納されている。また、高圧電路等の所定の電路の電圧値、電流値、位相、更に所定部位の温度等が計測され、これらの計測値を表示する複数の指示計器7を備えている。
【0014】
そして、一部の指示計器7は扉2の裏面に取り付けられた計器用筐体8に収納されている。計器用筐体8は1面が開放された箱状の筐体であり、扉2の裏面に開放された面が対峙するように配置され、その面の右端部が扉2に蝶着されて取り付けられている。結果、計器用筐体8は左右方向に回動して開閉動作が可能となっている。指示計器7は、開放された1面から収納され、その表示部が露出して配置される。
尚、計器用筐体8は、ここでは2個の指示計器7が収納される大きさで形成され、窓5の裏面に配置しても、窓5の一部エリアのみ閉塞するだけで、略3分の2のエリアは引き続き前方から箱体1の内部を視認可能としている。
【0015】
図2は
図1のA部拡大図であり、窓5を左後方から見た斜視図である。
図2に示すように、計器用筐体8は、扉2に形成された窓5を囲むように取り付けられた取付枠9に対して蝶着されている。尚、窓5はガラス板等の透明な板5aが配置されて閉塞されている。また、取付枠9は、スタッドボルト9aを使用して扉2に取り付けられている。
そして、
図2に示す状態は計器用筐体8を開いた状態であり、このように開くことで、指示計器7の前面に設けられている操作部7aの操作が可能となるし、指示計器7のメンテナンスを可能としている。通常状態では、窓5を介して指示計器7の表示値を視認できるように通常計器用筐体8は閉じられている。
【0016】
図3は、
図2の状態の計器用筐体8を別角度からみた斜視図であり、蝶着された右側から見た図である。
図3に示すように、蝶着部は蝶番11を使用し構成され、蝶番11の回動軸上の両側にはストッパ12が設けられている。ストッパ12は計器用筐体8に形成され、計器用筐体8が扉2に対して90度以上開かないよう構成されている。
また、Mは計器用筐体8に収容された指示計器7に接続されている電線を示している。この
図3に示すように、計器用筐体8が90度以上開かないようストッパ12を設けることで、高圧受電設備の所定の部位に設置された各種センサから配設されて指示計器7に接続されている電線Mが挟まれて断線等を起こすようなことがない。
【0017】
図4は計器用筐体8を閉じたA部の拡大図、
図5は計器用筐体8を閉じて扉2の前方から窓5を見た図である。このように閉じた状態が通常の使用状態であり、閉じることで、扉2の前方から窓5を介して指示計器7の表示を視認し易い。また、指示計器7を窓5の背部に取り付けても、窓5の右下の一部を占有するだけであり、窓5の空いた領域から箱体1の内部を引き続き確認できる。
【0018】
このように、少なくとも1つの指示計器7は窓5の背部にとりつけられるため、窓越しであってもその表示値を視認し易い。加えて、指示計器7は計器用筐体8に収納されるが、計器用筐体8は回動可能であるため、開操作すれば容易に交換等のメンテナンス作業ができる。また、指示計器7の前面に表示変更ボタン等の操作部を有していても、計器用筐体8を開操作することで指示計器7の操作部を容易に操作できる。
更に、窓5の背部に指示計器7を配置しても、窓5の一部のエリアが指示計器7で覆われるだけであり、他の空いたエリアから引き続き窓から箱体1の内部を視認できる。また計器用筐体8は一定角度以上開かないため、開きすぎて計器用筐体8が箱体1の内部の機器等に衝突するのを防止できる。
【0019】
尚、計器用筐体8を窓5の右下に配置しているが、窓5の隅部に配置すれば良く、右上でも良いし左下でも良い。
【0020】
図6~8はキュービクル式受電設備10の他の形態を示している。
図6は窓5を備えた扉2を後方から見た斜視図、
図7は
図6のB部拡大図、
図8は計器用筐体8を閉じて別角度から見たB部の拡大図である。上記
図1に示す形態では、箱体1の内部を視認するための窓5の背部に計器用筐体8を配置しているが、ここでは窓5の下方に指示計器7の表示値を視認するための専用窓14を別途設けて、この専用窓14に対して計器用筐体8が背部に取り付けられている。
計器用筐体8は、上記形態と同様に取付枠9に蝶着され、取付枠9を介して扉2に取り付けられている。そして、蝶着部を形成する蝶番11の両サイドには上記形態と同様にストッパ12が設けられている。
【0021】
このように、窓5とは別に専用窓14を設けても良く、上記形態と同様の効果を奏することができる。即ち扉2の裏面に取り付けられた指示計器7は、扉2に設けられた専用窓14から視認できるため、表示値を視認し易い。また、指示計器7は計器用筐体8に収納されるが、計器用筐体8は回動可能であるため、開操作すれば容易に交換等のメンテナンス作業ができる。更に、指示計器7の前面に表示変更ボタン等の操作部を有していても、計器用筐体8を開操作することで指示計器7の操作部を容易に操作できる。
加えて、指示計器7を視認するための窓は専用窓14であるため、従来よりある窓5は引き続き箱体1の内部を良好に視認できる。
【0022】
尚、上記実施形態では、計器用筐体8に収納される指示計器7を2台としているが、1台のみであっても良いし3台以上としても良い。
また、何れの形態も、計器用筐体8を取付枠9を介して扉2に取り付けているが、収納する指示計器7が比較的軽量の計器であれば、取付枠9を使用せず直接扉2に蝶着しても良い。
【符号の説明】
【0023】
1・・箱体、2・・扉、3・・屋根、5・・窓、6・・三相変圧器、7・・指示計器、8・・計器用筐体、9・・取付枠、10・・キュービクル式受電設備、11・蝶番、12・・ストッパ、14・・専用窓。