(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173021
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】タッチパネルシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20241205BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20241205BHJP
G06F 3/045 20060101ALI20241205BHJP
H01H 36/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G06F3/041 580
G06F3/041 595
G06F3/044
G06F3/041 550
G06F3/045 F
H01H36/00 D
H01H36/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091131
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】512093491
【氏名又は名称】株式会社アスコ
(71)【出願人】
【識別番号】393019436
【氏名又は名称】株式会社デイ・エム・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】辻 博行
【テーマコード(参考)】
5G046
【Fターム(参考)】
5G046AA02
5G046AA03
5G046AB01
5G046AB02
5G046AC21
(57)【要約】
【課題】画面への近接の検出、および画面上における細かい位置での検出を可能とする。
【解決手段】タッチパネルシステム(1)は、抵抗膜方式のタッチパネル(30)と、タッチパネル(30)と重ねて配置された静電スイッチ(141)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗膜方式のタッチパネルと、
前記タッチパネルと重ねて配置された静電スイッチと、を備えたタッチパネルシステム。
【請求項2】
前記静電スイッチを駆動させる静電スイッチ駆動部と、
前記タッチパネルを駆動させるタッチパネル駆動部と、
前記静電スイッチ駆動部および前記タッチパネル駆動部の駆動を制御する駆動制御部と、を備えた、請求項1に記載のタッチパネルシステム。
【請求項3】
前記静電スイッチのみを駆動させるモードを第1モード、前記タッチパネルのみを駆動させるモードを第2モード、前記タッチパネルと前記静電スイッチとの両方を駆動させるモードを第3モードとしたとき、
前記駆動制御部は、前記第1モード、前記第2モード、および前記第3モードの切り替えを行う、請求項2に記載のタッチパネルシステム。
【請求項4】
前記静電スイッチを複数備え、
複数の前記静電スイッチのうちの1つは、前記第1モード、前記第2モード、および前記第3モードの切り替えを受け付ける切替スイッチである、請求項3に記載のタッチパネルシステム。
【請求項5】
前記切替スイッチは、前記タッチパネルの端部となる位置に配置されている、請求項4に記載のタッチパネルシステム。
【請求項6】
前記静電スイッチの少なくとも一部は、前記タッチパネルの中央近傍となる位置に配置されている、請求項4に記載のタッチパネルシステム。
【請求項7】
前記静電スイッチは、操作体が該静電スイッチから所定距離以内となったとき、操作される、請求項1に記載のタッチパネルシステム。
【請求項8】
前記静電スイッチを複数備え、前記複数の静電スイッチの位置および検知タイミングから、前記操作体によるジェスチャを検知する、請求項7に記載のタッチパネルシステム。
【請求項9】
タッチパネルシステムの制御方法であって、
前記タッチパネルシステムは、抵抗膜方式のタッチパネルと該タッチパネルと重ねて配置された静電スイッチとを備え、
前記タッチパネルと前記静電スイッチとの何れか、または前記タッチパネルと前記静電スイッチとの両方を駆動させるか否かの設定を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した指示に従い、前記タッチパネルと前記静電スイッチとの何れか、または両方を駆動させる駆動ステップと、を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを有するタッチパネルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザインタフェースとしてタッチパネルが知られている。タッチパネルは、画面上でユーザの操作入力を受け付けることができるので、簡単で直感的な操作を実現することができる。
【0003】
また、ユーザインタフェースとして静電スイッチも知られている。例えば、特許文献1には、近接センサと静電スイッチとを備えたユーザインタフェース装置が記載されている。特許文献2には、近接、タッチ、および押込みを検出する感圧式静電スイッチが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-18432号公報
【特許文献2】特開2019-29160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、感染症等への懸念から不特定多数の人間が同じ画面に直接触れることが好まれない。また、工場等の作業員が、油等で手が汚れている状態で画面上の操作が求められることもある。このような場合、画面に直接触れることなく操作できることが望ましい。
【0006】
一方で、メンテナンス等の作業項目が多数存在するような操作に対応する場合、高い解像度での検出が必要となる。この場合、画面に直接触れる操作の方が望ましい。
【0007】
例えば、静電容量方式のタッチパネルであれば、画面への近接および接触の何れでも操作可能とすることができるが、近接を検知する場合、駆動電力の出力が大きくなり、画面上での高い解像度での検出が困難となる。
【0008】
また、抵抗膜方式のタッチパネルでは、画面への近接を検出することはできない。
【0009】
本発明の一態様は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、画面への近接の検出、および画面上における高い解像度での位置検出を可能とするタッチパネルシステムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るタッチパネルシステムは、抵抗膜方式のタッチパネルと、前記タッチパネルと重ねて配置された静電スイッチと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、画面への近接の検出、および画面上での高い解像度での位置検出を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係るタッチパネルシステムの構成を示す図である。
【
図2】タッチパネルシステムにおける画面例および静電スイッチの配置例を示す図である。
【
図3】タッチパネルシステムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】タッチパネルシステムにおける他の実施形態の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。本実施形態に係るタッチパネルシステム1は、ユーザの指等の操作体がタッチパネル30に直接触れない近接(非接触)の操作、いわゆるエアタッチによる操作が可能であるとともに、タッチにより、タッチパネルシステム1の画面上における細かい位置での検出も可能とするものである。
【0014】
図1を参照して、タッチパネルシステム1について説明する。
図1は、タッチパネルシステム1の構成を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、タッチパネルシステム1は、コントローラ10、表示制御部20、タッチパネル30、およびLCD(Liquid crystal display)110を含む。
図1に示すように、タッチパネルシステム1では、LCD110上にタッチパネル30が配置されており、タッチパネル30は、LCD110側から抵抗膜120、抵抗膜130、および静電スイッチ膜140がこの順で積層されている。抵抗膜120と抵抗膜130とで抵抗膜方式のタッチパネルを形成している。また、静電スイッチ膜140には、静電スイッチ141が形成されている。
【0015】
コントローラ10は、タッチパネル30および静電スイッチ141を制御するものであり、モード取得部11、モード設定部(駆動制御部)12、静電スイッチ制御部(静電スイッチ駆動部)13、タッチパネル制御部(タッチパネル駆動部)14、および出力部15を含む。
【0016】
モード取得部11は、モードを取得し、取得したモードの内容をモード設定部12に通知する。モード取得部11は、外部装置で受け付けたモードを当該外部装置から取得してもよいし、静電スイッチ制御部13またはタッチパネル制御部14で検出したタッチまたはエアタッチにより選択されたモードを取得するものであってもよい。
【0017】
モードとは、モードに応じてタッチパネル30のみを駆動させるか、静電スイッチ141のみを駆動させるか、または、タッチパネル30と静電スイッチ141との両方を駆動させるものである。ここでは、静電スイッチ141のみを駆動させるモードを第1モード、タッチパネル30のみを駆動させるモードを第2モード、静電スイッチ141およびタッチパネル30の両方を駆動させるモードを第3モードとする。
【0018】
第1モードでは、静電スイッチ141のみが駆動されるので、静電スイッチ141による検知のみが可能となる。よって、静電スイッチ141が配置されていない箇所にタッチされてもタッチパネルシステム1は何の動作も行わない。
【0019】
第2モードでは、タッチパネル30のみが駆動されるので、タッチパネル30による検知のみが可能となる。よって、エアタッチによりタッチパネルシステム1を操作することはできない。
【0020】
第3モードでは、静電スイッチ141およびタッチパネル30の両方が駆動される。よって、静電スイッチ141によりエアタッチの検知も可能であるし、タッチパネル30により画面上での細かい位置での検出も可能である。
【0021】
モード設定部12は、モード取得部11から通知されたモードに応じて、静電スイッチ制御部13に静電スイッチ141を制御させるか、タッチパネル制御部14にタッチパネル30を制御させるか、または静電スイッチ制御部13に静電スイッチ141を制御させ、タッチパネル制御部14にタッチパネル30を制御させる。換言すれば、モード設定部12は、静電スイッチ141のみを駆動させる第1モード、タッチパネル30のみを駆動させる第2モード、およびタッチパネル30と静電スイッチ141との両方を駆動させる第3モードの切り替えを行う。
【0022】
静電スイッチ制御部13は、静電スイッチ141の駆動を制御するものである。より詳細には、静電スイッチ制御部13は、静電スイッチ141に備えられた電極間の静電容量の変化量を取得し、当該変化量から静電スイッチ141へのタッチまたはエアタッチの有無を検出する。
【0023】
タッチパネル制御部14は、タッチパネル30の駆動を制御するものである。より詳細には、タッチパネル制御部14は、抵抗膜120および抵抗膜130のうちの一方に電位を加えたときの他方の電位の変化量、及びその逆のときの電位の変化量からタッチパネル30へのタッチ位置を算出する。
【0024】
出力部15は、静電スイッチ141へのタッチ(エアタッチ)、タッチパネル30へのタッチがあった場合に、当該タッチ位置を示す情報を出力する。出力部15は、例えば上位装置(図示せず)にタッチ位置を出力する。上位装置では取得したタッチ位置と、LCD110に表示している表示内容とから、タッチ位置に応じた処理を行う。
【0025】
LCD110は、表示装置である。抵抗膜120、抵抗膜130および静電スイッチ膜140は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透明の導電性材料で形成されており、ユーザは、抵抗膜120、抵抗膜130および静電スイッチ膜140を透過する光を視認することにより、LCD110における表示内容を確認することができる。ユーザは、LCD110に表示された表示内容における所望する内容を示す箇所をタッチ、またはエアタッチすることにより選択することができる。
【0026】
タッチパネル30を形成する抵抗膜120と抵抗膜130とは、例えば略矩形であり、ドットスペーサ(図示せず)を介して貼り合わされた2層構造となっている。
【0027】
抵抗膜120は、導電性透明素材(例えば、ITO)により透明電極が形成されているとともに、一方の辺に電極121が接続され、電極121と対向する辺に電極122が接続されている。同様に、抵抗膜130は、導電性透明素材により透明電極が形成され、一方の辺に電極131が接続され、電極131と対向する辺に電極132が接続されている。
【0028】
そして、抵抗膜120と抵抗膜130とが貼り合わされたときに、抵抗膜120に接続された電極121および電極122と、抵抗膜130に接続された電極131および電極132とは、向かい合わない辺に接続されている。
【0029】
電極121、電極122、電極131、電極132には、コントローラ10のタッチパネル制御部14から配線が接続されている。タッチパネル制御部14は、タッチパネル30におけるタッチ位置の検出処理等を実行するものである。具体的には、電極121および電極122の間に電圧を印加して、電極131および電極132の間の電位を測定するとともに、電極131および電極132の間に電圧を印加して、電極121および電極122の間の電位を測定することにより、タッチ位置の検出を行うものである。
【0030】
また、タッチパネル制御部14、抵抗膜120および抵抗膜130の抵抗値の変化量を測定可能であってもよい。
【0031】
静電スイッチ膜140は、上述したように導電性の高い透明の膜であり、静電スイッチ141が形成されている。なお、ここでは、静電スイッチ141が3個配置されている例を挙げているが、静電スイッチは3個に限られるものではなく、1個または2個であってもよいし、4個以上であってもよい。また、
図1では、3個の静電スイッチ141は静電スイッチ膜140の略中央(中央近傍)に設けられているが、静電スイッチ141の配置位置もこれに限られるものではない。静電スイッチ141は、静電スイッチ膜140の任意の位置に設けることができる。
【0032】
静電スイッチ141は、静電スイッチ膜140に形成されており、静電スイッチ膜140と同様に透明である。静電スイッチ141は、複数の電極(図示せず)を備え、複数の電極はそれぞれ静電スイッチ制御部13と接続されている。静電スイッチ制御部13は、電極間の静電容量の変化量を測定することにより、静電スイッチ141に対するタッチ(またはエアタッチ)の有無を検出する。換言すれば、静電スイッチ141は、操作体が静電スイッチ141から所定距離以内となったとき、操作体を検知する。
【0033】
以上のように、タッチパネルシステム1は、抵抗膜方式のタッチパネル30と、タッチパネル30と重ねて配置された静電スイッチ141とを備える。また、タッチパネルシステム1は、静電スイッチ141を駆動させる静電スイッチ制御部13と、タッチパネル30を駆動させるタッチパネル制御部14と、静電スイッチ制御部13およびタッチパネル制御部14に駆動制御の指示を行うモード設定部12とを備える。
【0034】
これにより、タッチパネル30において、精度良く画面上のタッチ位置を検出できるとともに、静電スイッチ141により画面への操作体の近接(エアタッチ)を検知できる。よって、タッチパネルシステム1は、画面への近接の検出および画面上における高い解像度での位置検出、換言すれば細かい位置検出を可能とすることができる。
【0035】
図2に、LCD110における画面例および静電スイッチ141の配置例を示す。
図2の201Aは、第1モードにおけるLCD110の表示例および静電スイッチ141の配置例を示す。201Aでは、画面の略中央で、横一列に並べて静電スイッチ141が3個並んでおり、これに対応させて表示211、表示212、表示213が設けられている。
【0036】
これは、例えば、スーパ等のセルフレジにおける支払い装置のタッチパネルに用いることができる。セルフレジの例であれば、表示211が「現金」、表示212が「クレジットカード」、表示213が「バーコード決済」と表示され、ユーザは所望の支払方法をエアタッチで選択することができる。
【0037】
一方、このセルフレジのメンテナンスを行う場合、上述した静電スイッチ141の配置例では、作業項目の選択が難しくなり対応することができない。静電スイッチ141では、高い解像度での位置検出ができないうえ、画面上における位置は固定されて、検出位置の変更もできないところ、メンテナンスでは、様々な作業項目が考えられ、上述した支払方法の選択画面のような3つの項目からの選択では収まらないためである。そこで、メンテナンス画面では、第2モードとし、
図2の201Bに示すように、多数の作業項目231を表示して、タッチパネル30によりユーザの選択を受け付ける。タッチパネル30は、高い解像度での位置検出が可能な上、画面上での操作位置はソフトウェア的に任意に設定できるため、多数の作業項目231への対応も可能である。
【0038】
セルフレジでは、不特定多数の人の利用が考えられる。よって、直接画面に触れることは、不特定多数の人と間接的に接触していることになる。そこで、接触の機会を減らすためにエアタッチで選択できるように、第1モードとする。一方、メンテナンスは、作業者が1人または数人で対応するものであり、不特定多数の人との接触とはならない。また、多数の作業項目の選択を行うためには、実際にタッチされることにより選択できることが望ましいため、第2モードとする。これにより、不特定多数の人との接触を抑制しつつ、メンテナンス等も容易に実行することができる。
【0039】
また、
図2の201Cに示すような、第1モードにおけるLCD110の表示例および静電スイッチ141の配置例であってもよい。201Cに示す例では、画面の略中央に静電スイッチ141が2個並んでおり、これに対応させて表示221、表示222が設けられている。また、静電スイッチ141のうちの1つである静電スイッチ141Aが画面の右下に配置され、これに対応させて表示223が設けられている。ここでは、静電スイッチ141Aが、第1モードと第2モードとを切り替える切替スイッチとなっている。静電スイッチ141Aを切替スイッチとすることにより、エアタッチにより、第1モードと第2モードとの切り替えを行うことができる。換言すれば、複数の静電スイッチ141のうちの1つは、第1モード、第2モード、および第3モードを切り替える切替スイッチであり、切替スイッチは、タッチパネル30の端部となる位置に配置されている。
【0040】
これは、例えば、飲食店の店頭に配置された受付機のタッチパネルに用いることができる。受付機の例であれば、表示221が「店内」、表示222が「持ち帰り」と表示され、ユーザは所望の利用方法をエアタッチで選択することができる。また、表示223は例えば「メンテナンス」と小さく表示される。メンテナンスの作業者が当該表示領域を選択することにより、第1モードから第2モードに移行するとともに、201Bに示すようなメンテナンス画面が表示される。
【0041】
これにより、不特定多数の人が利用する受付の場面では、エアタッチでの選択が可能となり、メンテナンスの場面では、タッチによる選択を可能とすることができる。
【0042】
また、
図2の201Dに示すような画面例および静電スイッチ141の配置であってもよい。201Dは、第3モードにおける例である。ここでは、画面の右端の中央付近に静電スイッチ141が配置され、これに対応させて表示241が設けられている。そして、タッチパネルにより検知される操作用のボタン242が画面下部に複数配置されている。
【0043】
これは、例えば、油を用いる工場等における装置の作業受付機のタッチパネルに用いることができる。作業受付機の例であれば、表示241が「緊急停止」と表示され、ボタン242にはその他の項目が表示される。
【0044】
油を用いる工場の場合、作業者の手は油で汚れていることが多い。この場合に、作業受付機に直接触れると、作業受付機は油で汚れてしまうことになる。手を洗う等により油を落としたあとに作業受付機を操作すれば、作業受付機が汚れることはないが、緊急時等は対応できない可能性が高い。
【0045】
そこで、緊急時には、表示241をエアタッチすることにより、装置を緊急に停止させることができるようにするとともに、通常時は、手を洗う等してからボタン242を操作するようにすれば、緊急時に対応できるとともに、作業受付機が油等で汚れてしまうことも抑制できる。
【0046】
〔処理の流れ〕
次に、
図3を参照して、タッチパネルシステム1における処理の流れを説明する。
図3は、タッチパネルシステム1における処理の流れを示すフローチャートである。
図3に示すように、タッチパネルシステム1では、モード取得部11がモードを取得する(S101、取得ステップ)。取得したモードが第1モードであれば(S102でYES)、モード設定部12は、静電スイッチ制御部13に静電スイッチ141を駆動させる(S103、駆動ステップ)。設定されたモードが第1モードではなく(S102でNO)、第2モードであれば(S105でYES)、モード設定部12は、タッチパネル制御部14にタッチパネル30を駆動させる(S106、駆動ステップ)。設定されたモードが第2モードでもなければ(S105でNO)、モード設定部12は、第3モードであるとして(S107)、静電スイッチ制御部13に静電スイッチ141を駆動させるとともに、タッチパネル制御部14にタッチパネル30を駆動させる(S108、駆動ステップ)。
【0047】
その後、モードが変更されると(S104でYES)、ステップS102に戻る。
【0048】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0049】
本実施形態では、タッチパネルシステム1は、複数の静電スイッチ141を備え、ジェスチャ入力が可能である。ジェスチャ入力が可能とは、操作体の3次元の動作を識別し、識別した動作に応じた入力が可能であることである。
【0050】
静電スイッチ制御部13は、複数の静電スイッチ141のそれぞれが操作体を検出したタイミングの違いにより、ジェスチャを判別することができる。例えば、
図4の401に示すように、3個の静電スイッチ141X、静電スイッチ141Y、静電スイッチ141Zが横方向に一列に配置されている場合を考える。操作体Fが、画面の左から右に移動するジェスチャである場合、静電スイッチ141X、静電スイッチ141Y、静電スイッチ141Zの順で操作体Fを検知することになる。よって、静電スイッチ制御部13は、静電スイッチ141X、静電スイッチ141Y、静電スイッチ141Zの検知結果、およびそのタイミングから、画面の左から右に移動する操作体Fのジェスチャを検知できる。
【0051】
同様に、例えば、操作体Fが、画面の右から左に移動するジェスチャである場合(
図4の402)、静電スイッチ141Z、静電スイッチ141Y、静電スイッチ141Xの順で操作体Fを検知することになる。静電スイッチ制御部13は、静電スイッチ141Z、静電スイッチ141Y、静電スイッチ141Xの検知結果、およびそのタイミングから、画面の右から左に移動する操作体Fのジェスチャを検知できる。
【0052】
〔ソフトウェアによる実現例〕
タッチパネルシステム1のコントローラ10の機能は、コントローラ10としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0053】
この場合、コントローラ10は、前記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により前記プログラムを実行することにより、前記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0054】
前記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、コントローラ10が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、前記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介してコントローラ10に供給されてもよい。
【0055】
また、コントローラ10の機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、コントローラ10として機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータによりコントローラ10の機能を実現することも可能である。
【0056】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るタッチパネルシステムは、抵抗膜方式のタッチパネルと、前記タッチパネルと重ねて配置された静電スイッチと、を備える。
【0057】
前記の構成によれば、タッチパネルにおいて、精度良く画面上のタッチ位置を検出できるとともに、静電スイッチにより画面への操作体の近接を検知できる。すなわち、画面への近接の検出、および画面上における細かい位置での検出を可能とすることができる。
【0058】
本発明の態様2に係るタッチパネルシステムは、前記態様1において、前記静電スイッチを駆動させる静電スイッチ駆動部と、前記タッチパネルを駆動させるタッチパネル駆動部と、前記静電スイッチ駆動部および前記タッチパネル駆動部の駆動を制御する駆動制御部とを備える。
【0059】
前記の構成によれば、タッチパネルと静電スイッチとが重ねられたタッチパネルシステムにおいて、タッチパネルと静電スイッチとの少なくも何れかを駆動できる。
【0060】
本発明の態様3に係るタッチパネルシステムは、前記態様1または2において、前記静電スイッチのみを駆動させるモードを第1モード、前記タッチパネルのみを駆動させるモードを第2モード、前記タッチパネルと前記静電スイッチとの両方を駆動させるモードを第3モードとしたとき、前記駆動制御部は、前記第1モード、前記第2モード、および前記第3モードの切り替えを行う。
【0061】
前記の構成によれば、静電スイッチのみ駆動させるか、タッチパネルのみを駆動させるか、または静電スイッチとタッチパネルとの両方を駆動させるかを選択することができる。
【0062】
本発明の態様4に係るタッチパネルシステムは、前記態様3において、前記静電スイッチを複数備え、複数の前記静電スイッチのうちの1つは、前記第1モード、前記第2モード、および前記第3モードの切り替えを受け付ける切替スイッチである。
【0063】
前記の構成によれば、静電スイッチを用いて、モードの変更を行うことができる。
【0064】
本発明の態様5に係るタッチパネルシステムは、前記態様4において、前記切替スイッチは、前記タッチパネルの端部となる位置に配置されている。
【0065】
前記の構成によれば、モードを切り替える静電スイッチは、端部に配置されるので、誤って操作される可能性が低くなる。
【0066】
本発明の態様6に係るタッチパネルシステムは、前記態様1~5の何れかにおいて、前記静電スイッチの少なくとも一部は、前記タッチパネルの中央近傍となる位置に配置されている。
【0067】
前記の構成によれば、静電スイッチが中央近傍に配置されるので、静電スイッチへの操作が容易になる。よって、いわゆるエアタッチの操作が容易となる。
【0068】
本発明の態様7に係るタッチパネルシステムは、前記態様1~6の何れかにおいて、前記静電スイッチは、操作体が該静電スイッチから所定距離以内となったとき、操作される。
【0069】
前記の構成によれば、静電スイッチは、該静電スイッチから所定距離以内の操作体を検知できる。
【0070】
本発明の態様8に係るタッチパネルシステムは、前記態様1~7の何れかにおいて、前記静電スイッチを複数備え、前記複数の静電スイッチの位置および検知タイミングから、前記操作体によるジェスチャを検知する。
【0071】
前記の構成によれば、ジェスチャによる操作を検知できるので、入力操作のバリエーションを増やすことができる。
【0072】
本発明の態様9に係るタッチパネルシステムの制御方法は、前記タッチパネルシステムは、抵抗膜方式のタッチパネルと該タッチパネルと重ねて配置された静電スイッチとを備え、前記タッチパネルと前記静電スイッチとの何れか、または両方を駆動させるか否かの設定を取得する取得ステップと、前記取得ステップで取得した指示に従い、前記タッチパネルと前記静電スイッチとの何れか、または両方を駆動させる駆動ステップと、を含む。
【0073】
前記の方法によれば、タッチパネルにおいて、精度良く画面上のタッチ位置を検出できるとともに、静電スイッチにより画面への操作体の近接を検知できる。すなわち、画面への近接の検出、および画面上における細かい位置の検出を可能とすることができる。
【0074】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
1 タッチパネルシステム
10 コントローラ
11 モード取得部
12 モード設定部(駆動制御部)
13 静電スイッチ制御部(静電スイッチ駆動部)
14 タッチパネル制御部(タッチパネル駆動部)
15 出力部
20 表示制御部
30 タッチパネル
110 LCD
120 抵抗膜
130 抵抗膜
140 静電スイッチ膜
141、141A、141X、141Y、141Z 静電スイッチ