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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173024
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】保護用回転成形体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 41/04 20060101AFI20241205BHJP
   E21F 11/00 20060101ALI20241205BHJP
   B29K 101/12 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
B29C41/04
E21F11/00
B29K101:12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091137
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】506117840
【氏名又は名称】スイコー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川西 健太
(72)【発明者】
【氏名】矢島 由浩
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 芸
(72)【発明者】
【氏名】壹岐 智成
(72)【発明者】
【氏名】前田 智之
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 伸弘
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AA03
4F205AA13
4F205AA19
4F205AA21
4F205AA45
4F205AG06
4F205AH43
4F205GA01
4F205GB01
4F205GC04
4F205GN01
4F205GN29
(57)【要約】
【課題】防護性、移動性、作業性等に優れ、トンネル内作業時の防護体として好適に用いることができる保護用回転成形体を提供する。
【解決手段】保護用回転成形体1は、熱可塑性樹脂の回転成形体1であって、本体部2と、本体部2の上方に設けられた屋根部3とを備え、本体部2に1つから3つの開口部4が設けられるとともに、内部に人が入ることができる大きさの空間5を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂の回転成形体であって、
本体部と、
前記本体部の上方に設けられた屋根部と
を備え、
前記本体部に1つから3つの開口部が設けられるとともに、
内部に人が入ることができる大きさの空間を有する
保護用回転成形体。
【請求項2】
前記開口部のうちの1つが前記本体部の底部に設けられている
請求項1に記載の保護用回転成形体。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂が硬質樹脂である
請求項1に記載の保護用回転成形体。
【請求項4】
少なくとも前記本体部が透明である
請求項1から3のいずれか1項に記載の保護用回転成形体。
【請求項5】
前記屋根部が略中空半球形状である
請求項4に記載の保護用回転成形体。
【請求項6】
前記屋根部が平板形状である
請求項4に記載の保護用回転成形体。
【請求項7】
前記本体部が略円錐台形状である
請求項5に記載の保護用回転成形体。
【請求項8】
前記本体部が円筒形状である
請求項6に記載の保護用回転成形体。
【請求項9】
前記本体部の内側の面に背負い部材が設けられている
請求項7に記載の保護用回転成形体。
【請求項10】
請求項1に記載の保護用回転成形体の製造方法であって、
前記熱可塑性樹脂を含む成形材料を回転成形して、成形物を得る工程と、
前記成形物に開口部を形成する工程と
を備える
保護用回転成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、保護用回転成形体及び保護用回転成形体の製造方法に関し、より詳しくは、トンネル内作業時の作業員向け保護具である熱可塑性樹脂の保護用回転成形体及びこの保護用回転成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
施工中のトンネルにおいて、掘削先端の地山やトンネルを掘削した表面の土砂や岩等の剥がれ落ち(肌落ち)による災害が発生すると被災者の重篤度が高いため、原則切羽への立ち入りが禁止され、真に必要な場合だけ立ち入らせることとなっている。また、切羽における作業は出来るだけ機械で行うようにしているが、鏡吹き付け等の肌落ち防止対策実施前に機械では対応できない作業、例えば地山の事前調査や測定等の作業をするためには作業員が立ち入らざるを得ず、その際、落石等の落下物による被災を回避するため、作業員には保護具の着用が求められている。しかしながら、一般的に用いられる保護具は保護帽、バックプロテクター、安全靴などであり、作業員を肌落ち被災から守るためには十分なものではない。また、この落下物等から作業員を防護する方策も検討されて、特許文献1には、複数の単位フレームの着脱自在な連結によって外殻フレーム構造体を構成し、該外殻フレーム構造体の表面に帯状布帛を該帯状布帛が外部負荷に対して湾曲変形可能となるように覆った防護用簡易構造物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-52099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような防護用簡易構造物は、組立部品を運搬し組み立てることにより使用するものであり、そもそも当該組立作業の為の肌落ち防止はなされておらず、肌落ちに対しての又はこの構造物を使う人の防護性、運搬容易で場所を移動しやすいという移動性、構造物を使う人の作業性等については改善の余地があり、これらを向上させることが求められている。
【0005】
本開示の課題は、作業員に対する防護性、移動性、作業性等に優れ、トンネル内作業時の防護体として好適に用いることができる保護用回転成形体、及びこの保護用回転成形体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る保護用回転成形体は、熱可塑性樹脂の回転成形体であって、本体部と、前記本体部の上方に設けられた屋根部とを備え、前記本体部に1つから3つの開口部が設けられるとともに、内部に人が入ることができる大きさの空間を有する。
【0007】
前記開口部のうちの1つが前記本体部の底部に設けられていてもよい。
【0008】
前記熱可塑性樹脂が硬質樹脂であってもよい。
【0009】
少なくとも前記本体部が透明であってもよい。
【0010】
前記屋根部が略中空半球形状であってもよい。
【0011】
前記屋根部が平板形状であってもよい。
【0012】
前記本体部が略円錐台形状であってもよい。
【0013】
前記本体部が円筒形状であってもよい。
【0014】
前記本体部の内側の面に背負い部材が設けられていてもよい。
【0015】
本開示の一態様に係る保護用回転成形体の製造方法は、前記保護用回転成形体の製造方法であって、前記熱可塑性樹脂を含む成形材料を回転成形して、成形物を得る工程と、前記成形物に開口部を形成する工程とを備える。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、防護性、移動性、作業性、利便性等に優れ、トンネル内での防護体として好適に用いることができる保護用回転成形体、及びこの保護用回転成形体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る保護用回転成形体を示す概略的斜視図である。
図2図2は、本開示の他の実施形態に係る保護用回転成形体を示す概略的斜視図である。
図3図3は、本開示の他の実施形態に係る保護用回転成形体を示す概略的斜視図である。
図4図4は、本開示の他の実施形態に係る保護用回転成形体を示す概略的斜視図である。
図5図5は、本開示の他の実施形態に係る保護用回転成形体を示す概略的斜視図である。
図6図6は、本開示の他の実施形態に係る保護用回転成形体を示す概略的斜視図である。
図7図7は、図6の保護用回転成形体の使用方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.概要
本実施形態の保護用回転成形体は、熱可塑性樹脂の回転成形体であって、本体部と、本体部の上方に設けられた屋根部とを備え、本体部に1つから3つの開口部が設けられるとともに、内部に人が入ることができる大きさの空間を有している。
【0019】
図1図6の回転成形体1は、本体部2と、屋根部3とを備える。本体部2には、少なくとも1つの開口部4が本体部2の底部6に設けられている。回転成形体1は、内部に人が入れる空間5を有している。
【0020】
本実施形態の保護用回転成形体1は、熱可塑性樹脂の回転成形体1であり、本体部2と屋根部3とを一体成形したものであるので、強度に優れ、防護性に優れている。また、人が入ることができる大きさの空間5を有し、かつ本体部2の底部6に開口部4を有しているので、保護用回転成形体1が同じ形状であれば重ねて運搬することが容易であるため、運搬性に優れ、かつ作業する人が入れる空間5を有しているため、作業する人が空間5に入った状態での移動も容易であり、作業する人の作業性にも優れている。従って、本実施形態の保護用回転成形体1は、例えば施工中のトンネル内等の工事現場などにおける肌落ち等による落下物から作業員を防護するための防護体(落下物防護体)に好適に用いることができる。
【0021】
2.詳細
以下、本実施形態の保護用回転成形体1、及び保護用回転成形体1の製造方法について、詳細に説明する。
【0022】
<回転成形体>
本実施形態の保護用回転成形体1は、熱可塑性樹脂の保護用回転成形体1である。つまり、保護用回転成形体1は、熱可塑性樹脂製である。
【0023】
熱可塑性樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、側鎖分岐低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンと1-ブテン、1-オクテン等のα-オレフィンとの共重合体などのポリオレフィン、ポリスチレン、高衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂、ポリフェニレンエーテル、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエステル系エラストマー等が挙げられる。これらの中で、ポリオレフィン及びポリカーボネートが好ましく、ポリエチレン及びポリカーボネートがより好ましい。
【0024】
熱可塑性樹脂は、硬質樹脂であることが好ましい。すなわち、熱可塑性樹脂は、熱可塑性硬質樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂が硬質樹脂である場合、保護用回転成形体1の肌落ち等による落下物に対する防護性をより向上させることができる。「硬質樹脂」とは、JIS K7221で測定される23℃における曲げ弾性率が100MPa以上である樹脂をいう。曲げ弾性率は、200MPa以上であることが好ましく、500MPa以上であることがより好ましく、1000MPa以上であることがさらに好ましい。
【0025】
熱可塑性樹脂は、透明でも、不透明であってもよく、無色でも、有色であってもよい。熱可塑性樹脂が有色である場合、色は特に限定されない。熱可塑性樹脂が透明又は無色である場合、保護用回転成形体1の移動性、作業性等を向上させることができるので、少なくとも本体部2は透明又は無色であることがより望ましい。
【0026】
保護用回転成形体1は、本体部2と、屋根部3とを備え、本体部2は1つから3つの開口部4を有し、そのうちの1ヶ所の開口部4は、本体部2の底部6に設けられ、本体部2の内部に人が入って作業する空間5への出入りに用いられる。つまり、保護用回転成形体1は、本体部2と屋根部3とからなる中空の成形体であって、人が中空である内部に入るための開口部4を有している。
【0027】
保護用回転成形体1は、通常、一体成形品である。つまり、本体部2と屋根部3とは、一体的に形成されている。このため、保護用回転成形体1は、強度に優れている。
【0028】
以下、各構成について説明する。
【0029】
[本体部]
本体部2は、保護用回転成形体1の屋根部3以外の部分である。本体部2は、通常、底部6と、側部7とを有している。底部6とは、本体部2の底面の部分である。側部7とは、本体部2の側面の部分である。底部6は、保護用回転成形体1を地面等の上に配置した場合、通常、地面等に接する部分(接地部)である。
【0030】
本体部2の形状としては、例えば円錐形状、円筒形状、四角柱形状等の角柱形状、円錐台形状、四角錐台形状等の角錐台形状などが挙げられる。これらの中で、強度及び安定性の観点から、円錐形状、円筒形状及び円錐台形状であることが好ましく、円錐台形状であることがより好ましい。
【0031】
本体部2には、取っ手が設けられていてもよい。取っ手は、本体部2の側部7に設けられていることが好ましい。これにより、保護用回転成形体1の移動性、作業性等をより向上させることができる。取っ手は、回転成形体1の内側の面に設けられても、外側の面に設けられてもよい。取っ手の数は、1つでも、2つでも、3つ以上であってもよい。また、取っ手の取り付け方向は水平方向でも鉛直方向でもよい。
【0032】
本体部2には、背負い部材8が設けられていてもよい。背負い部材8は、通常一対設けられ、これら一対の背負い部材8、8は、本体部2の内側の面に設けられていることが好ましい。これにより、保護用回転成形体1を、内部にいる人が背負うことができ、移動性、作業性等をより向上させることができる。背負い部材8は、逆J字形状の棒状部材で構成されていてもよく、ベルト部材などで構成されていてもよい。
【0033】
本体部2の底部6の形状としては、例えば平面形状、上方凸形状、下方凸形状、波打ち形状等が挙げられるが、底部6の形状は、安定性の観点から、接地面に沿う形状であることが好ましく、平面形状であることがより好ましい。
【0034】
本体部2の底部6は、鍔(つば)形状であってもよい。「鍔形状」とは、図5に記載の通り、底部6において本体部2の肉厚より水平方向に広い所定の巾を有する板状の部材が周方向に設けられている形状をいう。すなわち、本体部2は、底部6において、縁(ふち)部を有してもよい。本体部2の底部6が鍔形状であることで、保護用回転成形体1の安定性をより向上させることができる。鍔形状は、回転成形体1の内側に向かって突出する形状でも、外側に向かって突出する形状でも、内側及び外側の両方に向かって突出する形状でもよい。
【0035】
本体部2の肉厚は、1mm以上40mm以下であることが好ましく、1.5mm以上30mm以下であることがより好ましく、2mm以上20mm以下であることがさらに好ましい。
【0036】
(開口部)
本体部2は、1つから3つの開口部4を含んでいる。開口部4は、例えば本体部2の底部6に設けられる開口部4Aと、本体部2の側部7に設けられる開口部4Bとを有している。開口部4Aは、例えば本体部2の内部に人が入って作業する空間5への出入りに用いられる。開口部4Bは、例えば空間5内の作業員が作業を行うために用いられる。なお、本発明において本体部2の内部へ作業員が用いる機器の電源配線やひも等を通すために用いられる最大径が10cm以下の穴は、開口部4には含まれないものとする。開口部4の数は、1つでも、2つでも、3つであってもよい。開口部4Bの数は、1つ又は2つであることが好ましい。
【0037】
開口部4は、本体部2の底部6にあっても、側部7にあっても、底部6及び側部7の両方にあってもよく、底部6及び側部7にわたっていてもよい。開口部4Aが底部6にあることにより、保護用回転成形体1の運搬性、移動性をより向上させることができる。開口部4Bが側部7にあることにより、回転成形体1を用いる人の作業性をより向上させることができる。
【0038】
本体部2の底部6にある開口部4Aの形状としては、例えば円形状、矩形状などが挙げられる。これらの中で、円形状であることが好ましい。
【0039】
本体部2の側部7にある開口部4Bの形状としては、例えば円形状、矩形状、アーチ形状などが挙げられる。
【0040】
底部6にある開口部4Aの大きさとしては、例えば保護用回転成形体1内の空間5に作業員が出入りしやすい大きさであればよい。
【0041】
本体部2の側部7にある開口部4Bの大きさとしては、例えば保護用回転成形体1内の空間5内の作業員が保護用回転成形体1内から作業を行う際に支障とならない大きさであればよい。
【0042】
本体部2が2つ以上の開口部4を含み、開口部4のうちの1つが本体部2の底部6に設けられていることが好ましい。これにより、保護用回転成形体1の移動性をより向上させることができる。
【0043】
本体部2が2つの開口部4を含み、開口部4のうちの一方が本体部2の底部6に設けられ、もう一方が本体部2の側部7に設けられていることが好ましい。すなわち、本体部2が、2つの開口部4を底部6と側部7とにそれぞれ独立して有していることが好ましい。これにより、保護用回転成形体1の移動性及び保護用回転成形体1内の作業員による作業性をより向上させることができる。また、この形状によって、保護用回転成形体1としての必要強度を維持させることができる。
【0044】
開口部4は、回転成形により本体部2の形成と同時に形成してもよいし、回転成形により形成された成形物の本体部2の一部を除去することにより形成してもよい。
【0045】
[屋根部]
屋根部3は、保護用回転成形体1の本体部2以外の部分であって、本体部2の上方に設けられた部分である。
【0046】
屋根部3の形状としては、平板形状、略中空半球形状等が挙げられる。屋根部3の形状は、保護用回転成形体1の強度をより高め、防護性をより向上させる観点から、略中空半球形状が好ましい。
【0047】
屋根部3の肉厚は、1mm以上40mm以下であることが好ましく、1.5mm以上30mm以下であることがより好ましく、2mm以上20mm以下であることがさらに好ましい。
【0048】
(空間)
保護用回転成形体1は、内部に人が入ることができる空間5を有している。保護用回転成形体1は、内部に空間5を有することにより、人が内部に入って作業等を行う用途に好適に用いることができる。
【0049】
「人が入ることができる大きさ」とは、人間1人が入ることができる大きさをいう。空間5の周方向の大きさは、人間1人のみが入ることができる大きさであることが好ましい。また、空間5は、人間が立っていられる高さがあればよく、又は少なくとも人間が空間5内でしゃがむことができる高さがあればよい。
【0050】
保護用回転成形体1の高さは、例えば0.5m以上3m以下であり、1m以上2m以下であることが好ましい。保護用回転成形体1の平面視断面の寸法は、例えば0.3m以上4m以下であり、0.5m以上2m以下であることが好ましい。
【0051】
保護用回転成形体1の形状の例を、図1図6に示す。
図1の保護用回転成形体1は、本体部2が円錐台形状、屋根部3が中空半球形状であり、開口部4として、本体部2の底部6に円形状の1つの開口部4A、及び側部7にアーチ形状の1つの開口部4Bを有している。
図2の保護用回転成形体1は、本体部2が円錐台形状、屋根部3が平板形状であり、開口部4として、側部7にアーチ形状の1つの開口部4Bを有している。
図3の保護用回転成形体1は、本体部2が円錐台形状、屋根部3が中空半球形状であり、開口部4として、本体部2の底部6に円形状の1つの開口部4Aを有している。
図4の保護用回転成形体1は、本体部2が円筒形状、屋根部3が平板形状であり、開口部4として、本体部2の底部6に円形状の1つの開口部4A、及び側部7にアーチ形状の1つの開口部4Bを有している。
図5の保護用回転成形体1は、本体部2が円錐台形状、本体部2の底部6に鍔形状の縁部を有し、屋根部3が中空半球形状であり、開口部4として、本体部2の底部6に円形状の1つの開口部4A、及び側部7にアーチ形状の1つの開口部4Bを有している。
図6の保護用回転成形体1は、本体部2が円錐台形状、屋根部3が中空半球形状であり、本体部2の底部6及び側部7にわたる矩形状の1つの開口部4を有している。
図7は、図6の保護用回転成形体1の使用方法を示す図である。図6の保護用回転成形体1は、本体部2に一対の背負い部材8、8が設けられているので、人が肩に背負いながら使用することができる。
【0052】
本実施形態の保護用回転成形体1は、防護性、運搬性、移動性、作業性等に優れているので、落下物防護体として好適に用いることができる。
【0053】
<回転成形体の製造方法>
本実施形態の保護用回転成形体1の製造方法は、例えば、熱可塑性樹脂を含む成形材料を回転成形して、成形物を得る工程(以下、回転成形工程ともいう)と、成形物に開口部を形成する工程(以下、開口部形成工程ともいう)とを備える。
本実施形態の製造方法によれば、上述の保護用回転成形体1を簡便かつ確実に製造することができる。
以下、各工程について説明する。
【0054】
[回転成形工程]
本工程では、熱可塑性樹脂を含む成形材料を回転成形して、成形物を得る。
【0055】
本工程では、まず、熱可塑性樹脂を含む成形材料を調製する。成形材料は、熱可塑性樹脂以外にも、顔料、難燃剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、酸化防止剤、相溶化剤、分散剤、離型剤、抗菌剤、蓄光剤等の他の成分を含んでもよい。
【0056】
次に、金型内に成形材料を投入する。次いで、金型を回転させながら、加熱する。金型の温度が上昇するに伴い、成形材料が溶融する。溶融した成形材料が金型表面に付着して、徐々に堆積していく。金型を一定時間加熱した後、金型を冷却し、成形物を金型から取り出す。このようにして、成形材料から回転成形による成形物が得られる。回転成形工程によれば、底部6に開口部を有する成形物を得ることもできる。
【0057】
本実施形態では、回転成形を行う際の金型温度は、熱可塑性樹脂の種類に応じて適宜設定されるが、80℃以上450℃以下であることが好ましく、100℃以上350℃以下であることがより好ましい。回転成形を行う際の加熱時間は、3分以上180分以下であることが好ましく、5分以上120分以下であることがより好ましい。回転成形における加熱方式としては、例えば、直火式、熱風循環オーブン式、媒体循環式等が挙げられる。回転成形における回転方式は、製造する回転成形体の形状等に応じて、一軸回転でも、二軸回転でもよく、一軸回転に揺動運動を組み合わせた方式でもよい。
【0058】
[開口部形成工程]
本工程では、回転成形工程で得られた成形物に開口部を形成する。
【0059】
本工程では、例えば、成形物の側部7を、カッター等の工作工具、電気工具などを用いて除去することにより、本体部2の側部7に開口部4Bを有する保護用回転成形体1を得ることができる。
【0060】
また、本工程は、回転成形工程において、成形物の形成と同時に行うこともできる。すなわち、本工程は、例えば、金型にフッ素樹脂等の断熱材を配置してから回転成形することにより行うこともできる。これにより、例えば本体部2の底部6又は側部7に開口部4を有する保護用回転成形体1を得ることができる。
【0061】
(まとめ)
上述の実施形態から明らかなように、第1の態様の保護用回転成形体1は、熱可塑性樹脂の保護用回転成形体1であって、本体部2と、本体部2の上方に設けられた屋根部3とを備え、本体部2に1つから3つの開口部4が設けられるとともに、内部に人が入ることができる大きさの空間5を有する。
【0062】
第1の態様によれば、防護性、移動性、作業性等に優れ、防護体として好適に用いることができる回転成形体1を提供することができる。
【0063】
第2の態様の保護用回転成形体1では、第1の態様において、開口部4のうちの1つが本体部2の底部6に設けられている。
【0064】
第2の態様によれば、保護用回転成形体1を重ねて運搬することができ、運搬性をより向上させることができる。
【0065】
第3の態様の保護用回転成形体1では、第1又は第2の態様において、熱可塑性樹脂が硬質樹脂である。
【0066】
第3の態様によれば、保護用回転成形体1の強度をより向上させることができる。
【0067】
第4の態様の保護用回転成形体1では、第1から第3のいずれか一の態様において、少なくとも本体部2が透明である。
【0068】
第4の態様によれば、保護用回転成形体1の作業時の利便性を向上させることができる。
【0069】
第5の態様の保護用回転成形体1では、第1から第4のいずれか一の態様において、屋根部3が、略中空半球形状である。
【0070】
第5の態様によれば、保護用回転成形体1の強度をより高めることができ、防護性をより向上させることができる。
【0071】
第6の態様の保護用回転成形体1では、第1から第4のいずれか一の態様において、屋根部3が、平板形状である。
【0072】
第6の態様によれば、種々の形状の保護用回転成形体1を製造することができる。
【0073】
第7の態様の保護用回転成形体1では、第1から第6のいずれか一の態様において、本体部2が、略円錐台形状である。
【0074】
第7の態様によれば、保護用回転成形体1の強度及び安定性をより向上させることができる。
【0075】
第8の態様の保護用回転成形体1では、第1から第6のいずれか一の態様において、本体部2が、円筒形状である。
【0076】
第8の態様によれば、保護用回転成形体1の強度及び安定性をより向上させることができる。
【0077】
第9の態様の保護用回転成形体1では、第1から第8のいずれか一の態様において、本体部2の内側の面に背負い部材8が設けられている。
【0078】
第9の態様によれば、保護用回転成形体1の移動性及び作業性をより向上させることができる。
【0079】
第10の態様の保護用回転成形体の製造方法は、第1から第9のいずれか一の態様の保護用回転成形体1の製造方法であって、熱可塑性樹脂を含む成形材料を回転成形して、成形物を得る工程と、成形物に開口部を形成する工程とを備える。
【0080】
第10の態様によれば、保護用回転成形体1を簡便かつ確実に製造することができる。
【0081】
以上のように本発明を実施するための態様について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、保護用回転成形体をトンネル工事内での作業員による作業時の肌落ち時の保護具として用いたが、これに限定されず、公園等において、飛んでくるボール等から人を保護することができる遊具、地震等による倒壊物などから人を保護することができる簡易トイレボックス、道路わき等で使用され、通行者等から人を保護するための道路安全資材などとして利用することもできる。
【符号の説明】
【0082】
1 回転成形体
2 本体部
3 屋根部
4 開口部
5 空間
6 底部
7 側部
8 背負い部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7