(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173025
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 70/42 20060101AFI20241205BHJP
B29C 43/34 20060101ALI20241205BHJP
B29C 43/18 20060101ALI20241205BHJP
B29C 70/10 20060101ALI20241205BHJP
B29B 15/08 20060101ALI20241205BHJP
B29K 105/12 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
B29C70/42
B29C43/34
B29C43/18
B29C70/10
B29B15/08
B29K105:12
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091139
(22)【出願日】2023-06-01
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケブラー
(71)【出願人】
【識別番号】520474783
【氏名又は名称】株式会社ミライ化成
(74)【代理人】
【識別番号】100119585
【弁理士】
【氏名又は名称】東田 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100168572
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 仁志
(72)【発明者】
【氏名】円子 春菜
【テーマコード(参考)】
4F072
4F204
4F205
【Fターム(参考)】
4F072AA02
4F072AB06
4F072AB10
4F072AB14
4F072AB27
4F072AB29
4F072AB33
4F072AD44
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4F072AH42
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4F205HA08
4F205HA25
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4F205HA45
4F205HB01
4F205HB11
4F205HC06
4F205HC17
4F205HF05
4F205HK03
4F205HK04
4F205HL15
(57)【要約】
【課題】
細かな凹凸を形成可能でありかつ、容易に疑似等方性の成形品を製造することのできる、炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法を提供する。
【解決手段】
本発明に係る炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法は、金型の凹部の少なくとも一部上に炭素繊維と樹脂とを含む多軸配向またはランダム配向の不織繊維ウェブ片を複数配置して、前記金型上に前記不織繊維ウェブ片を含む繊維ウェブの積層体を形成する第1の工程と、前記積層体をプレス成型して成型品を得る第2の工程と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型の凹部の少なくとも一部上に炭素繊維と樹脂とを含む多軸配向またはランダム配向の不織繊維ウェブ片を複数配置して、前記金型上に前記不織繊維ウェブ片を含む繊維ウェブの積層体を形成する第1の工程と、
前記積層体をプレス成型して成型品を得る第2の工程と、を含む、炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法。
【請求項2】
第1の工程において、前記金型の凹部の少なくとも一部上に前記不織繊維ウェブ片を不規則に配置して積層体を形成する、請求項1に記載の炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法。
【請求項3】
前記不織繊維ウェブ片中の前記樹脂は、樹脂繊維を含む、請求項1に記載の炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法。
【請求項4】
前記不織繊維ウェブ片中の前記樹脂は、熱可塑性樹脂を含む、請求項1に記載の炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法。
【請求項5】
前記不織繊維ウェブ片は、カーディング処理された繊維ウェブを含む、請求項1に記載の炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法。
【請求項6】
前記不織繊維ウェブ片は、湿式不織布を含む、請求項1に記載の炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法。
【請求項7】
前記不織繊維ウェブ片の主面における面積は、0.010cm2以上100cm2以下である、請求項1に記載の炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法。
【請求項8】
前記不織繊維ウェブ片のJIS L 1913:2010の一般不織布試験方法に規定される引張強度に基づくたてよこ比が、30:1~1:30である、請求項1に記載の炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法。
【請求項9】
前記炭素繊維は、再生炭素繊維を含む、請求項1に記載の炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維を強化材として用いた炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastics;CFRP)は、軽量、高強度、かつ高弾性の材料であり、航空機、小型船舶、自動車、鉄道車両等の部材に幅広く使用されている。
【0003】
このような炭素繊維強化プラスチックは、一般に、炭素繊維に樹脂を含侵させたプリプレグを積層して、成型・硬化させることにより成型品として製造される。
【0004】
ところで、炭素繊維自体は異方性を有することから、成型品は、必然的に炭素繊維の配向に応じた強度の異方性が生じ得る。このような強度の異方性を低減することを目的として一方向プリプレグのチョップドシートの配置を工夫して、強度のむらを低減させる方法が提案されている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-027956号公報
【特許文献2】特開2018-203907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、炭素繊維強化プラスチックは、上述したように軽量、高強度、かつ高弾性の材料であることから、さらなる様々な用途への適用が期待される。ここで、炭素繊維強化プラスチック中の炭素繊維は高弾性の固体である一方で、樹脂は成型時において流動する。このため、成型時においては、このような炭素繊維と樹脂との混合物である炭素繊維強化プラスチックは流動しにくく、金型の微細な凹部に適切に流れ込まない問題があった。具体的には、炭素繊維強化プラスチック自体が金型の微細な凹部に流れ込まない結果、凹部において空隙が生じ、凸部が適切に形成されないといった問題があった。あるいは、成型時において炭素繊維強化プラスチック中の樹脂のみが凹部に流れ込み、一方で炭素繊維が凹部に入り込みにくく、この結果、得られる成形品は、金型の凹部に対応した凸部において樹脂のみが存在するものとなる問題があった。
【0007】
また、上述した特許文献1、2に記載される方法では、一方向プリプレグを用いることから、一方向プリプレグの配置を十分に丁寧に行わない限り、強度むらのない疑似等方性の成形品を得ることができない。
【0008】
したがって、本発明の目的は、細かな凹凸を形成可能でありかつ、容易に疑似等方性の成形品を製造することのできる、炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、成型品の形成に用いる金型の凹部分において、多軸配向またはランダム配向の不織繊維ウェブ片を複数配置することにより、細かな凹凸であっても適切に形成できることを見出し、本発明に至った。
【0010】
本発明の要旨は、以下の通りである。
[1] 金型の凹部の少なくとも一部上に炭素繊維と樹脂とを含む多軸配向またはランダム配向の不織繊維ウェブ片を複数配置して、前記金型上に前記不織繊維ウェブ片を含む繊維ウェブの積層体を形成する第1の工程と、
前記積層体をプレス成型して成型品を得る第2の工程と、を含む、炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法。
[2] 第1の工程において、前記金型の凹部の少なくとも一部上に前記不織繊維ウェブ片を不規則に配置して積層体を形成する、[1]に記載の炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法。
[3] 前記不織繊維ウェブ片中の前記樹脂は、樹脂繊維を含む、[1]に記載の炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法。
[4] 前記不織繊維ウェブ片中の前記樹脂は、熱可塑性樹脂を含む、[1]に記載の炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法。
[5] 前記不織繊維ウェブ片は、カーディング処理された繊維ウェブを含む、[1]に記載の炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法。
[6] 前記不織繊維ウェブ片は、湿式不織布を含む、[1]に記載の炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法。
[7] 前記不織繊維ウェブ片の主面における面積は、0.010cm2以上100cm2以下である、[1]に記載の炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法。
[8] 前記不織繊維ウェブ片のJIS L 1913:2010の一般不織布試験方法に規定される引張強度に基づくたてよこ比が、30:1~1:30である、[1]に記載の炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法。
[9] 前記炭素繊維は、再生炭素繊維を含む、[1]に記載の炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
以上、本発明によれば、細かな凹凸を形成可能でありかつ、容易に疑似等方性の成形品を製造することのできる、炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法を提供するができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法に用いられる金型の一方を説明する平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示される金型を用いて形成される炭素繊維強化樹脂成型品の斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示される金型を用いた炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法の一例を示す平面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示される金型を用いた炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、
図1に示される金型を用いた炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法の一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係る炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法によって製造される炭素繊維強化樹脂成型品の模式的な部分構造を示す断面図である。
【
図7】
図7は、従来技術に係る炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法によって製造される炭素繊維強化樹脂成型品の模式的な部分構造を示す断面図である。
【
図8】
図8は、従来技術に係る炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法によって製造される炭素繊維強化樹脂成型品の模式的な部分構造を示す断面図である。
【
図9】
図9は、実施例1に係る炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法によって製造される炭素繊維強化樹脂成型品の写真画像である。
【
図10】
図10は、比較例1に係る炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法によって製造される炭素繊維強化樹脂成型品の写真画像である。
【
図11】
図11は、実施例2に係る炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法によって製造される炭素繊維強化樹脂成型品の写真画像である。
【
図12】
図12は、比較例2に係る炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法によって製造される炭素繊維強化樹脂成型品の写真画像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法に用いられる金型の一方を説明する平面図、
図2は、
図1に示される金型を用いて形成される炭素繊維強化樹脂成型品の斜視図、
図3は、
図1に示される金型を用いた炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法の一例を示す平面図、
図4、5は、
図1に示される金型を用いた炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法の一例を示す模式図、
図6は、本発明の一実施形態に係る炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法によって製造される炭素繊維強化樹脂成型品の模式的な部分構造を示す断面図、
図7、8は、従来技術に係る炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法によって製造される炭素繊維強化樹脂成型品の模式的な部分構造を示す断面図である。
【0014】
本発明に係る繊維強化樹脂成型品の製造方法は、金型の凹部の少なくとも一部上に炭素繊維と樹脂とを含む多軸配向またはランダム配向の不織繊維ウェブ片を複数配置して、前記金型上に前記不織繊維ウェブ片を含む繊維ウェブの積層体を形成する第1の工程と、前記積層体をプレス成型して成型品を得る第2の工程と、を含む。また、本実施形態においては、第1の工程に先立ち、炭素繊維と樹脂とを含む多軸配向またはランダム配向の不織繊維ウェブ片を準備する準備工程を含む。以下、各工程について詳細に説明する。
【0015】
<1.準備工程>
まず、準備工程においては、炭素繊維と樹脂とを含む多軸配向またはランダム配向の不織繊維ウェブ片を準備する。
【0016】
不織繊維ウェブ片に含まれる炭素繊維は、得られる炭素繊維強化樹脂成型品において、補強繊維として機能する。不織繊維ウェブ片に含まれる炭素繊維としては、特に限定されるものではなく、PAN(ポリアクリロニトリル)系およびピッチ系のいずれの炭素繊維も用いることができる。なお、PAN系炭素繊維は、結晶度が高くかつ強度が比較的大きいことから、不織繊維ウェブ片を製造するのにより適している。
【0017】
また、炭素繊維の繊維径としても特に限定されるのもではなく、例えば1.0μm以上15μm以下、好ましくは3.0μm以上10μm以下、より好ましくは5.0μm以上7.0μm以下であることができる。特に、炭素繊維の繊度が5.0μm以上7.0μm以下であると、得られる炭素繊維強化樹脂成型品の強度を十分なものとしつつ、金型に凹凸が存在する場合であっても、好適に炭素繊維を当該凹凸に沿って配置することが可能である。
【0018】
また、炭素繊維の長さは特に限定されるものではなく、例えば1.0mm以上400mm以下、好ましくは3.0mm以上300mm以下、より好ましくは6.0mm以上200mm以下、特に好ましくは30mm以上150mm以下であることができる。特に、炭素繊維の長さが6.0mm以上150mm以下であると、得られる炭素繊維強化樹脂成型品の強度を十分なものとしつつ、後述するプレス成型時における炭素繊維の流動性を十分なものとすることができ、好適に炭素繊維を凹凸に沿って配置することが可能である。
【0019】
また、炭素繊維は未使用、すなわちバージンの炭素繊維であってもよいし、すでに炭素繊維強化プラスチック等にすでに使用した炭素繊維をリサイクルした再生炭素繊維であってもよいし、これらの混合物であってもよい。中でも、再生炭素繊維は、繊維の配向が繊維毎に異なりやすく、多軸配向またはランダム配向の不織繊維ウェブ片を容易に製造することができる。
【0020】
不織繊維ウェブ片中の炭素繊維の含有量は、特に限定されないが、例えば5.0質量%以上90質量%以下、好ましくは15質量%以上70質量%以下、より好ましくは30質量%以上50質量%以下であることができる。不織繊維ウェブ片中の炭素繊維の含有量を上述した範囲内とすることにより、プレス成型時における炭素繊維の流動性を十分なものとしつつ、得られる炭素繊維強化樹脂成型品の強度を十分なものとすることができる。
【0021】
また、不織繊維ウェブ片中の樹脂は、得られる炭素繊維強化樹脂成型品においてマトリクス樹脂として機能する。不織繊維ウェブ片中の樹脂は、特に限定されるものではなく、例えば、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂のいずれであってもよい。
【0022】
熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等が挙げられ、これらのうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせで用いることができる。
【0023】
熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリテトラフロロエチレン等が挙げられ、これらのうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
上述した中でも、不織繊維ウェブ片中の樹脂は、好ましくは熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂は、プレス成型時において溶融して流動化しやすい。したがって、不織繊維ウェブ片中の炭素繊維も熱可塑性樹脂の流動化に伴い流動化しやすくなり、金型に存在する凹部に対してより容易に不織繊維ウェブ片由来の材料が流れ込む。一方で、不織繊維ウェブ片中に樹脂が多量に含まれる場合には、炭素繊維と分離しやすく、このため金型に凹部が存在する場合には、樹脂のみが凹部に流れ込む問題があった。しかしながら、本実施形態に係る方法においては、炭素繊維が樹脂と共に移動しやすくなることから、上述した問題が抑制されている。
【0025】
また、不織繊維ウェブ片中の樹脂はいかなる形態で存在していてもよい。例えば、樹脂は樹脂繊維や粒状をなしており、不織繊維ウェブ片中に分散してもよい。あるいは、樹脂はシート状をなして、炭素繊維のシートの表面に付着していてもよいし、または不織繊維ウェブ片中の炭素繊維間に含侵した状態であってもよい。また、不織繊維ウェブ片中の樹脂は、上述したような形態のうち、複数の形態で同時に存在していてもよい。
【0026】
上述した中でも、樹脂は、樹脂繊維を含むことが好ましい。樹脂繊維は、炭素繊維とともに混合して樹脂繊維が均一に分散した不織繊維ウェブ片を容易に製造することができる。また、樹脂繊維を不織繊維ウェブ片中に含める場合、不織繊維ウェブ片中の樹脂繊維の含有量の容易かつ精確に調節することができる。
【0027】
不織繊維ウェブ片中の樹脂の含有量は、特に限定されないが、例えば10質量%以上95質量%以下、好ましくは30質量%以上75質量%以下、より好ましくは50質量%以上70質量%以下であることができる。不織繊維ウェブ片中の樹脂の含有量を上述した範囲内とすることにより、プレス成型時における樹脂の過度の流動抑制しつつ、プレス成型時における成型性を良好なものとすることができる。
【0028】
また、不織繊維ウェブ片中には、他の補強繊維が含まれていてもよい。このような補強繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、ケブラー繊維、ダイニーマ繊維、バサルト繊維、ボロン繊維、金属繊維等が挙げられる。
【0029】
また、不織繊維ウェブ片は、多軸配向またはランダム配向をなしている。ここで、多軸配向またはランダム配向をなすとは、炭素繊維および含まれる場合には他の補強繊維が、多軸またはランダムに配向していることをいう。多軸配向としては、例えば異なる方向に配向した炭素繊維層が複数層積層されることにより達成することができる。また、ランダム配向としては、例えば、炭素繊維の短繊維を樹脂中に分散させるあるいは再生炭素繊維を用いることにより達成できる。再生炭素繊維は、多くの場合、リサイクル前の炭素繊維強化樹脂材料中の炭素繊維の配向を維持することが困難であり、綿状で回収される。したがって、再生炭素繊維は、回収された時点では、多くの場合ランダム配向をなしている。また、再生炭素繊維は、資源の有効活用の観点から、ひいては環境負荷の抑制の観点から有利である。
【0030】
また、不織繊維ウェブ片の多軸配向またはランダム配向の程度は、JIS L 1913:2010の一般不織布試験方法に規定される引張強度に基づくたてよこ比により、表すことも可能である。不織繊維ウェブ片のたてよこ比(たて方向の引張強度:よこ方向の引張強度)は、例えば、30:1~1:30、好ましくは15:1~1:15、より好ましくは、5:1~1:5である。なお、たてよこ比における方向に関し、不織繊維ウェブ片を平面視した際に、外形をなす任意の点のうち最も大きい距離を有する2点をつないだ方向を「たて」とし、たてに対して垂直に交わる方向を横とする。なお、一方向プリプレグの引張強度のたてよこ比は、上記の範囲を大きく外れる。
【0031】
なお、不織繊維ウェブ片の種類によっては、非常に薄い等の理由により引張強度試験の実施が困難な場合がある。この場合においては、例えば、不織繊維ウェブ片が、それぞれ同方向を向くように複数重ねて密着させてシートを作成し、このシートについて引張強度試験を行ってもよい。そして、シートの引張強度試験の結果に基づき得られるシートのたてよこ比を、不織繊維ウェブ片のたてよこ比としてもよい。
【0032】
また、不織繊維ウェブ片は、例えば、不織繊維ウェブを形成し、これを小片に裁断することにより得ることができる。不織繊維ウェブの形成方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、カーディング等に代表される乾式法、湿式法のいずれも用いることができる。すなわち、不織繊維ウェブは、カーディング処理された繊維ウェブ等の乾式不織布および/または湿式不織布を含むことができる。なお、樹脂として樹脂繊維を用いる場合には、スパンボンド法またはメルトブローン法により樹脂の繊維ウェブを形成し、これを湿式法または乾式法により形成した炭素繊維の繊維ウェブと組み合わせてもよい。また、得れた繊維ウェブは単独で不織繊維ウェブとしてもよいし、以下に説明するように複数の繊維ウェブを積層して不織繊維ウェブとしてもよい。
【0033】
また、所定の重量、厚みを得るために、また多軸配向もしくはランダム配向を得るために、上述した方法により得られた複数の繊維ウェブを適宜積層することが好ましい。繊維ウェブの積層方法としては、一方向ウェブ、クロスレイウェブ、クリスクロスウェブのいずれであってもよいが、容易に多軸配向もしくはランダム配向を得る観点から、クロスレイウェブまたはクリスクロスウェブとすることが好ましい。
【0034】
また、積層した複数の繊維ウェブを結合させるために、または一枚の繊維ウェブの厚みを調整するために、繊維ウェブ中の繊維同士を接着または絡合させてもよい。接着方法としては、例えば、接着樹脂を含むエマルジョンまたは溶液を含侵、スプレー、塗布する方法や、繊維ウェブを加熱して融着させる方法が挙げられる。また、繊維ウェブに樹脂のシートを配置し、プレスすることにより、上記の目的を達成してもよい。
【0035】
また、絡合方法としては、ニードルパンチ、水流ジェット、気流ジェット、ファイブリッド等が挙げられる。上述した中でも、炭素繊維はそれ自身が溶融せず、また剛性を有することから、ニードルパンチにより繊維ウェブ中の繊維同士を絡合させることが好ましい。
以上のようにして得られた不織繊維ウェブを適宜裁断し、不織繊維ウェブ片を得ることができる。
【0036】
不織繊維ウェブ片の主面の面積は、金型の表面積より小さいものであれば特に限定されないが、例えば、0.010cm2以上100cm2以下、好ましく0.50cm2以上10cm2以下、より好ましくは、1.0cm2以上5.0cm2以下である。このように、比較的小さな小片とすることにより、不織繊維ウェブ片中の炭素繊維の流動性を十分なものとすることができ、また、上記の範囲内であれば取り扱いも容易である。
【0037】
また、不織繊維ウェブ片の目付量は、特に限定されないが、例えば、10g/m2以上800g/m2以下、好ましく30g/m2以上500g/m2以下、より好ましくは、50g/m2以上300g/m2以下である。このように、比較的小さな小片とすることにより、不織繊維ウェブ片中の炭素繊維の流動性を十分なものとすることができ、また、上記の範囲内であれば取り扱いも容易である。
【0038】
<2.第1の工程>
第1の工程においては、金型の凹部の少なくとも一部上に炭素繊維と樹脂とを含む多軸配向またはランダム配向の不織繊維ウェブ片を複数配置して、金型上に不織繊維ウェブ片を含む繊維ウェブの積層体を形成する。
【0039】
図1は、本発明の一実施形態に係る炭素繊維強化樹脂成型品の製造方法に用いられる金型の一方を説明する平面図である。なお、
図1に示す金型は、あくまでも金型の一例であって金型としては任意の形状の金型を使用することが可能である。
【0040】
図1に示す金型200Aは、対をなす他の金型200Bとともに繊維ウェブの積層体をプレス成型して、
図2に示す炭素繊維強化樹脂成型品100を形成するのに用いられる。金型200Aは、全体として方形状をなし、その角部が面取りされた平面形状を有している。そして、金型200Aは、円筒状の凹部210A~Fと、ハニカム形状の凹部220と溝状の凹部230A~230Fとを有している。これらの凹部210A~F、220、230A~230Fは、最大幅が例えば0.50mm以上10mm以下、好ましくは1.0mm以上3.0mm以下である。また、凹部210A~F、220、230A~230Fは、その深さが例えば0.10mm以上20mm以下、好ましくは0.50mm以上5.0mm以下である。このような幅および/または深さの凹部においては、一般には、プレス成型時において炭素繊維が入りにくい傾向にある。このため、従来、このような幅、房化を有する凹部に材料が流れ込まず、凹部に空隙が生じやすくなる結果、凹部に応じた形状に成型できない問題があった。一方で、本実施形態においては、上述した不織繊維ウェブ片を用いることにより、このような問題を防止している。
【0041】
また、繊維ウェブ中の樹脂の含有量を増加させて材料の流動性を向上させることも考えられる。しかしながら、従来の方法を用いると、樹脂と炭素繊維とが分離しやすくなるため、流動性の高い樹脂が凹部に流れ込みやすい傾向にある。この結果、従来凹部に対応する部位に樹脂のみが存在する問題があった。このような問題についても、本実施形態においては、上述した不織繊維ウェブ片を用いることにより、このような問題を防止している。
【0042】
そして、金型200Aおよび金型200Bを用いて形成される炭素繊維強化樹脂成型品100は、理想的には
図2に示すような形状を有する。炭素繊維強化樹脂成型品100には、金型200Aの凹部210A~210F、220、230A~230Fに対応する凸部110A~110F、120、130A~130Fが形成されている。
【0043】
そして、
図3に示すように、本工程においては、まず、このような金型200Aの凹部210A~210F、220、230A~230F上に、不織繊維ウェブ片150を配置する。なお、この場合において、不織繊維ウェブ片150は、不規則に配置してもよいし、規則的に配置してもよい。また、従来の一方向プリプレグとは異なり、不織繊維ウェブ片150の配置時においてその方向を調節する必要もない。したがって、本実施形態においては、乱雑かつ不規則に不織繊維ウェブ片150を配置した場合であっても、炭素繊維強化樹脂成型品100の疑似等方性が担保される。
【0044】
また、図示の態様に限定されず、不織繊維ウェブ片150は、金型200Aの凹部210A~210F、220、230A~230Fのうち少なくとも一部、例えば成型が困難な凹部の上に配置されていればよい。
【0045】
次に、本実施形態においては、不織繊維ウェブ片150上から、金型200Aを覆うように繊維ウェブシート160を配置し、繊維ウェブの積層体170を形成する。このように、不織繊維ウェブ片150とは別途に比較的大きな繊維ウェブシート160を配置することにより、繊維ウェブシート160は、凹部210A~F、220、230A~230F以外の部位についての成型材料となることができる。また、このような繊維ウェブシート160を用いることにより、積層体170が崩れることが防止されるとともに、不織繊維ウェブ片150を全体にわたって配置する手間を省略することができる。
【0046】
このような繊維ウェブシート160としては、特に限定されず、疑似等方性の炭素繊維の不織布または織布であることができる。また、繊維ウェブシート160に使用される炭素繊維および樹脂としては、不織繊維ウェブ片150に用いることのできるものと同様である。なお、繊維ウェブシート160に用いられる炭素繊維および樹脂は、不織繊維ウェブ片150に用いられる炭素繊維および樹脂と共通することが好ましい。特に、繊維ウェブシート160は、不織繊維ウェブ片150の裁断前の繊維ウェブであることが好ましい。これにより、得られる炭素繊維強化樹脂成型品100の物理的特性および組成をより均一とすることができる。
【0047】
<3.第2の工程>
本工程においては、積層体170をプレス成型して炭素繊維強化樹脂成型品100を得る。具体的には、
図5に示すように、プレス成型装置のダイセット300Aおよびダイセット300Bに担持した金型200Aおよび200Bにより積層体170をプレスする。
【0048】
プレス成型装置としては、樹脂や炭素繊維の種類また製造する炭素繊維強化樹脂成型品100によって適宜選択することができる。例えば、熱可塑性樹脂を樹脂として用いる場合、プレス成型装置として、ヒートアンドクールプレス成型装置を用いることができる。
【0049】
プレス条件としては、積層体170を構成する樹脂の種類等に応じて適宜変更できるが、プレス温度は、例えば、150℃以上500℃以下、好ましくは180℃以上400℃以下、より好ましくは200℃以上350℃以下であることができる。また、プレス圧は、例えば5.0Kgf/cm2以上2,500Kgf/cm2以下、好ましくは50Kgf/cm2以上1,000Kgf/cm2以下、より好ましくは100Kgf/cm2以上500Kgf/cm2以下であることができる。プレス時間は、例えば30秒以上3,600秒以下、好ましくは60秒以上1,800秒以下、より好ましくは180秒以上600秒以下であることができる。
【0050】
また、樹脂の種類に応じて、金型200A、200Bを加熱したり、金型200A、200Bにより積層体170を押圧して、脱気を行ってもよい。
【0051】
以上、本実施形態によれば、金型200Aの凹部210A~F、220、230A~230Fの少なくとも一部上に炭素繊維と樹脂とを含む多軸配向またはランダム配向の不織繊維ウェブ片150を複数配置して、金型200A上に不織繊維ウェブ片150を含む繊維ウェブの積層体170を形成することにより、細かな凹部210A~F、220、230A~230Fに対応した細かな凸部110A~F、120、130A~130Fを容易かつ適切に形成することができる。
【0052】
すなわち、不織繊維ウェブ片150は、金型200Aと比較して小片であり、このような小片の不織繊維ウェブ片150は、プレス成型の際において、その炭素繊維同士の絡まりが少なく、炭素繊維が流動しやすくなっている。さらに、不織繊維ウェブ片150は、多軸配向またはランダム配向であるため、炭素繊維は比較的多方向に移動することができる。このため、
図6に示すように、例えば凹部210Aにおいて、炭素繊維と樹脂とが比較的に均一になった状態で、不織繊維ウェブ片150由来の炭素繊維と樹脂とが流れ込み、比較的均一な凸部110Aが形成される。
【0053】
これに対し、不織繊維ウェブ片150を用いなかった場合、例えば、単に繊維ウェブシート160を積層したのみである場合、均一な凸部を適切に形成することが困難である。例えば、凹部210A上に繊維ウェブシート160を配置しても、例えば、凹部210A上の炭素繊維は周辺の炭素繊維と絡み合い、プレス成型時において流動しにくい状態となる。この結果、
図7に示すように凹部210Aにおいて、樹脂および炭素繊維が好適に流れ込まず空洞211が生じる結果、得られる炭素繊維強化樹脂成型品400Aにおいて、一部が欠損した凸部410Aが形成されてしまう。
【0054】
あるいは、繊維ウェブシート160中の樹脂の含有量を増加させて材料の流動性を向上させることも考えられる。しかしながら、このような場合、樹脂の流動性が炭素繊維の流動性と比して過剰となる結果、繊維ウェブシート中の樹脂と炭素繊維が分離してしまい、
樹脂が優先的に流れ込む結果、
図8に示すように得られる炭素繊維強化樹脂成型品400Bにおいて、先端側に樹脂領域412と基端側に樹脂と炭素繊維とが混在する混在領域411とを有する不均一な凸部410Bが形成されてしまう。
また、一方向プリプレグを用いた場合にも、プレス成型時における炭素繊維の移動方向が制限されてしまう結果、同様の問題が起きやすい。
【0055】
また、多軸配向またはランダム配向の不織繊維ウェブ片150を用いることにより、比較的乱雑に不織繊維ウェブ片150を金型200A上に配置した場合であっても、容易に
疑似等方性の炭素繊維強化樹脂成型品100を得ることができる。これに対し、一方向プリプレグを用いた場合には、疑似等方性の炭素繊維強化樹脂成型品を得るためには、特別な工夫を行って疑似等方性を担保することが必要となる。
【0056】
以上、本発明について好適な実施形態に基づき詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成を付加することもできる。
【実施例0057】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0058】
(実施例1)
1.不織繊維ウェブ片および繊維ウェブシートの製造
まず、再生炭素繊維(繊維長:50mm)と樹脂繊維としてのポリアミド繊維(繊維長51cm、繊度:2.2dtex)とをそれぞれオープナーで開繊した。次いで、開戦した再生炭素繊維とポリアミド繊維とを重量比で61:71となるように混合し、混合繊維を得た。
【0059】
次に、混合繊維をワイヤーカード機に投入し、幅30cm繊維ウェブを得た。この繊維ウェブについて、製造時の機械方向をたて、横断方向をよことして、JIS L 1913:2010の一般不織布試験方法に規定される引張強度を行った。繊維ウェブの引張強度に基づくたてよこ比は、およそ5:1であった。次に、得られた繊維ウェブをクロスレイヤー機を用いて積層してクロスレイウェブとし、複数の繊維ウェブが積層された積層繊維ウェブを得た。
【0060】
次に、積層繊維ウェブをニードルパンチ機へ投入し、積層繊維ウェブ中の繊維を絡合させて幅30cm、長さ70cmの第1の繊維ウェブシートを得た。この第1の繊維ウェブシートを3枚重ね、ダブルプレスベルト機に投入して、270℃、61.2kgf/cm2の圧力にて30秒程度、ナイロン樹脂を溶融させながら圧着し、冷却して積層繊維ウェブシートを得た。積層繊維ウェブシートは、金型の大きさに合わせて長さ34cm、幅26cmに裁断し、第2の繊維ウェブシートとした。
【0061】
第2の繊維ウェブシートの一部について、幅1.0cm、長さ3.0cmの短冊状に裁断し、不織繊維ウェブ片を得た。この不織繊維ウェブ片について、JIS L 1913:2010の一般不織布試験方法に規定される引張強度を行った。この結果不織繊維ウェブ片の引張強度に基づくたてよこ比は、およそ103kPa:34kPa、すなわちおよそ3:1であった。
【0062】
2.繊維ウェブの積層(第1の工程)
図1に示すような金型を用意し、ヒートアンドクールプレス成型装置に配置した。金型の大きさは長さ27cm、幅19cmであった。次に、不織繊維ウェブ片を100g量り取り、この金型の凹部を覆うように、適宜配置した。次に、第2の繊維ウェブシートを6枚金型および不織繊維ウェブ片の上から積層し、繊維ウェブの積層体を得た。
【0063】
3.プレス成型(第2の工程)
積層体を配置した金型の上から、対となる金型をかぶせて閉じ、265℃まで昇温した。次に、上に配置した金型を数回上下させることにより金型を数回開閉し、積層体内の脱気を行った。
【0064】
次に、金型の温度を265℃に保持したまま、金型の面に204kgf/cm2の圧力にての圧力をかけ180秒保持した。その後、金型を90℃まで水冷により冷却し、金型から成型体を取り出して、実施例に係る炭素繊維強化樹脂成型品を得た。
【0065】
(比較例1)
第1の工程において、不織繊維ウェブ片を用いず、金型上に第2の繊維ウェブシート7枚を積層して繊維ウェブの積層体を得た以外は、実施例と同様にして、比較例に係る炭素繊維強化樹脂成型品を得た。
【0066】
(実施例2)
不織繊維ウェブ片および繊維ウェブシートの製造時において、樹脂繊維としてのポリアミド繊維の含有量を再生炭素繊維とポリアミド繊維とを重量比で90:56となるように混合した以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る炭素繊維強化樹脂成型品を得た。
【0067】
(比較例2)
不織繊維ウェブ片および繊維ウェブシートの製造時において、樹脂繊維としてのポリアミド繊維の含有量を再生炭素繊維とポリアミド繊維とを重量比で90:56となるように混合した以外は、比較例1と同様にして、実施例2に係る炭素繊維強化樹脂成型品を得た。
【0068】
実施例1、2に係る炭素繊維強化樹脂成型品の写真画像と、比較例1、2に係る炭素繊維強化樹脂成型品の写真画像とを
図9~12にそれぞれ示す。
図8、10に示すように、実施例1、2に係る炭素繊維強化樹脂成型品は、ほぼ全ての凸部が適切に形成されており、かつ凸部において樹脂と炭素繊維との分離が観察できないあるいは抑制されていた。これに対し、
図9に示すように、比較例1に係る炭素繊維強化樹脂成型品においては、形成された凸部において炭素繊維と樹脂との分離が多く観察された。また
図11に示すように、比較例2に係る炭素繊維強化樹脂成型品においては、欠損した凸部が多数観察された。