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特開2024-173030印刷装置、印刷データ生成方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173030
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷データ生成方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B41J2/01 203
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091145
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】小島 拓也
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA07
2C056EB58
2C056EC79
2C056FA13
(57)【要約】
【課題】隣り合う二つのヘッドの重複部分のノズルを駆動するための印刷データを生成する場合に、制御装置の負荷の増大を抑制することができる印刷装置等を提供する。
【解決手段】印刷装置は、主制御回路と、直列的に接続された第k副制御回路及び第k+1副制御回路と、第kヘッドと、第k+1ヘッドとを備え、主制御回路が副制御回路群に印刷データを送信した場合、第k副制御回路は印刷データから第kヘッドによって印刷するためのデータを取得し、取得したデータを除いた印刷データを第k+1副制御回路に転送し、印刷データは、第kヘッドが印刷する領域と第k+1ヘッドが印刷する領域とが重なる重なり領域に印刷するための重なりデータを含み、第k+1副制御回路は、重なりデータに基づいて、第kヘッドが重なり領域に印刷するための第1印刷データと、第k+1ヘッドが重なり領域に印刷するための第2印刷データとを生成する生成処理を実行する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主制御回路と、
直列的に接続され、第k副制御回路及び第k+1副制御回路(kは自然数)を含む副制御回路群と、
前記副制御回路群によって制御され、前記第k副制御回路によって駆動される第kヘッド及び前記第k+1副制御回路によって駆動される第k+1ヘッドを含むヘッド群と
を備え、
前記主制御回路が前記副制御回路群に印刷データを送信した場合、前記第k副制御回路は前記印刷データから前記第kヘッドによって印刷するためのデータを取得し、取得した前記データを除いた前記印刷データを前記第k+1副制御回路に転送し、
前記印刷データは、前記第kヘッドが印刷する領域と前記第k+1ヘッドが印刷する領域とが重なる重なり領域に印刷するための重なりデータを含み、
前記第k+1副制御回路は、前記重なりデータに基づいて、前記第kヘッドが前記重なり領域に印刷するための第1印刷データと、前記第k+1ヘッドが前記重なり領域に印刷するための第2印刷データとを生成する生成処理を実行する
印刷装置。
【請求項2】
前記副制御回路群は双方向に通信可能に構成されており、
前記第k+1副制御回路は前記第1印刷データを前記第k副制御回路に送信する
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第k+1副制御回路は、所定ライン数に対応する前記印刷データを取得する毎に前記生成処理を実行する
請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第k副制御回路は、前記印刷データから前記重なりデータを除いた前記第kヘッドによって印刷するためのデータを取得する
請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記副制御回路群は第k+2副制御回路を含み、
前記ヘッド群は前記第k+2副制御回路によって駆動される第k+2ヘッドを含み、
前記印刷データは、前記第k+1ヘッドが印刷する領域と前記第k+2ヘッドが印刷する領域とが重なる第2重なり領域に印刷するための第2重なりデータを含み、
前記主制御回路は、
前記重なりデータを識別する第1識別子と、前記第2重なりデータを識別する第2識別子とを前記印刷データに付加して、前記印刷データを前記副制御回路群に送信し、
前記第k+1副制御回路は、
前記第1識別子を参照して、前記重なりデータを取得し、
前記重なりデータに基づいて、前記生成処理を実行し、
前記印刷データを前記第k+2副制御回路に送信し、
前記第k+2副制御回路は、
前記第2識別子を参照して、前記第2重なりデータを取得し、
前記第2重なりデータに基づいて、前記第k+1ヘッドが前記重なり領域に印刷するための第3印刷データと、前記第k+2ヘッドが前記重なり領域に印刷するための第4印刷データとを生成する第2生成処理を実行する
請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記副制御回路群は第k+2副制御回路を含み、
前記ヘッド群は前記第k+2副制御回路によって駆動される第k+2ヘッドを含み、
前記印刷データは、前記第k+1ヘッドが印刷する領域と前記第k+2ヘッドが印刷する領域とが重なる第2重なり領域に印刷するための第2重なりデータを含み、
前記第k副制御回路は、前記重なりデータを識別する第1識別子を前記印刷データに付加して、前記印刷データを前記第k+1副制御回路に送信し、
前記第k+1副制御回路は、
前記第1識別子を参照して、前記重なりデータを取得し、
前記重なりデータに基づいて、前記生成処理を実行し、
前記第1識別子を、前記第2重なりデータを識別する第2識別子に書き換えて、前記印刷データを前記第k+2副制御回路に送信し、
前記第k+2副制御回路は、
前記第2識別子を参照して、前記第2重なりデータを取得し、
前記第2重なりデータに基づいて、前記第k+1ヘッドが前記重なり領域に印刷するための第3印刷データと、前記第k+2ヘッドが前記重なり領域に印刷するための第4印刷データとを生成する第2生成処理を実行する
請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項7】
主制御回路と、直列的に接続され、第k副制御回路及び第k+1副制御回路(kは自然数)を含む副制御回路群と、前記副制御回路群によって制御され、前記第k副制御回路によって駆動される第kヘッド及び前記第k+1副制御回路によって駆動される第k+1ヘッドを含むヘッド群とを備える印刷装置にて実行される印刷データ生成方法であって、
前記主制御回路が前記副制御回路群に印刷データを送信した場合、前記第k副制御回路は前記印刷データから前記第kヘッドによって印刷するためのデータを取得し、取得した前記データを除いた前記印刷データを前記第k+1副制御回路に転送し、
前記印刷データは、前記第kヘッドが印刷する領域と前記第k+1ヘッドが印刷する領域とが重なる重なり領域に印刷するための重なりデータを含み、
前記第k+1副制御回路は、前記重なりデータに基づいて、前記第kヘッドが前記重なり領域に印刷するための第1印刷データと、前記第k+1ヘッドが前記重なり領域に印刷するための第2印刷データとを生成する生成処理を実行する
印刷データ生成方法。
【請求項8】
主制御回路と、直列的に接続され、第k副制御回路及び第k+1副制御回路(kは自然数)を含む副制御回路群と、前記副制御回路群によって制御され、前記第k副制御回路によって駆動される第kヘッド及び前記第k+1副制御回路によって駆動される第k+1ヘッドを含むヘッド群とを備える印刷装置を制御するコンピュータプログラムであって、
前記印刷装置に、
前記主制御回路が前記副制御回路群に印刷データを送信した場合、前記第k副制御回路は前記印刷データから前記第kヘッドによって印刷するためのデータを取得し、取得した前記データを除いた前記印刷データを前記第k+1副制御回路に転送し、
前記印刷データは、前記第kヘッドが印刷する領域と前記第k+1ヘッドが印刷する領域とが重なる重なり領域に印刷するための重なりデータを含み、
前記第k+1副制御回路は、前記重なりデータに基づいて、前記第kヘッドが前記重なり領域に印刷するための第1印刷データと、前記第k+1ヘッドが前記重なり領域に印刷するための第2印刷データとを生成する生成処理を実行する
処理を実行させる
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、直列的に接続された副制御回路群によって、ヘッド群を駆動させて印刷を行う印刷装置、印刷データ生成方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルを有する複数の記録ヘッドをシートの搬送方向に直交する方向に直列的に並べた印刷装置が開示されている。隣り合う二つの記録ヘッドは搬送方向に偏倚するように配置され、一方の記録ヘッドの端部と、他方の記録ヘッドの端部とは搬送方向に重なる重複部を構成する。各重複部のノズルを駆動するための印刷データに対してマスクが適用され、適用後の印刷データに基づいて、ノズルの駆動が制御される(特許文献1参照)。
【0003】
例えば記録ヘッドの位置が寸法誤差によって目標位置からずれ、各重複部のノズルから吐出されたインクによってシートに形成された画像の濃度が目標濃度から大きくずれるおそれがある。上述の印刷装置にあっては印刷データにマスクを適用することによって、記録ヘッドの位置がずれたとしても、重複部のノズルの駆動によってシートに形成された画像の濃度変動を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-006260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
制御装置が各重複部のノズルを駆動するための印刷データにマスクを適用し、適用後の印刷データを生成する生成処理を実行する場合、記録ヘッドが増加するに従って、重複部の数も増加し、制御装置の生成処理が増大する。
【0006】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、隣り合う二つのヘッドの重複部分のノズルを駆動するための印刷データを生成する場合に、制御装置の負荷の増大を抑制することができる印刷装置、印刷データ生成方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態に係る印刷装置は、主制御回路と、直列的に接続され、第k副制御回路及び第k+1副制御回路(kは自然数)を含む副制御回路群と、前記副制御回路群によって制御され、前記第k副制御回路によって駆動される第kヘッド及び前記第k+1副制御回路によって駆動される第k+1ヘッドを含むヘッド群とを備え、前記主制御回路が前記副制御回路群に印刷データを送信した場合、前記第k副制御回路は前記印刷データから前記第kヘッドによって印刷するためのデータを取得し、取得した前記データを除いた前記印刷データを前記第k+1副制御回路に転送し、前記印刷データは、前記第kヘッドが印刷する領域と前記第k+1ヘッドが印刷する領域とが重なる重なり領域に印刷するための重なりデータを含み、前記第k+1副制御回路は、前記重なりデータに基づいて、前記第kヘッドが前記重なり領域に印刷するための第1印刷データと、前記第k+1ヘッドが前記重なり領域に印刷するための第2印刷データとを生成する生成処理を実行する。
【0008】
本開示の一実施形態に係る印刷データ生成方法は、主制御回路と、直列的に接続され、第k副制御回路及び第k+1副制御回路(kは自然数)を含む副制御回路群と、前記副制御回路群によって制御され、前記第k副制御回路によって駆動される第kヘッド及び前記第k+1副制御回路によって駆動される第k+1ヘッドを含むヘッド群とを備える印刷装置にて実行される印刷データ生成方法であって、前記主制御回路が前記副制御回路群に印刷データを送信した場合、前記第k副制御回路は前記印刷データから前記第kヘッドによって印刷するためのデータを取得し、取得した前記データを除いた前記印刷データを前記第k+1副制御回路に転送し、前記印刷データは、前記第kヘッドが印刷する領域と前記第k+1ヘッドが印刷する領域とが重なる重なり領域に印刷するための重なりデータを含み、前記第k+1副制御回路は、前記重なりデータに基づいて、前記第kヘッドが前記重なり領域に印刷するための第1印刷データと、前記第k+1ヘッドが前記重なり領域に印刷するための第2印刷データとを生成する生成処理を実行する。
【0009】
本開示の一実施形態に係るコンピュータプログラムは、主制御回路と、直列的に接続され、第k副制御回路及び第k+1副制御回路(kは自然数)を含む副制御回路群と、前記副制御回路群によって制御され、前記第k副制御回路によって駆動される第kヘッド及び前記第k+1副制御回路によって駆動される第k+1ヘッドを含むヘッド群とを備える印刷装置を制御するコンピュータプログラムであって、前記印刷装置に、前記主制御回路が前記副制御回路群に印刷データを送信した場合、前記第k副制御回路は前記印刷データから前記第kヘッドによって印刷するためのデータを取得し、取得した前記データを除いた前記印刷データを前記第k+1副制御回路に転送し、前記印刷データは、前記第kヘッドが印刷する領域と前記第k+1ヘッドが印刷する領域とが重なる重なり領域に印刷するための重なりデータを含み、前記第k+1副制御回路は、前記重なりデータに基づいて、前記第kヘッドが前記重なり領域に印刷するための第1印刷データと、前記第k+1ヘッドが前記重なり領域に印刷するための第2印刷データとを生成する生成処理を実行する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一実施形態に係る印刷装置、印刷データ生成方法及びコンピュータプログラムにあっては、第k+1副制御回路が、第kヘッドが重なり領域に印刷するための第1印刷データと、第k+1ヘッドが重なり領域に印刷するための第2印刷データとを生成する。即ち、主制御回路は重なり領域に印刷するための印刷データを生成する必要がなく、主制御回路の負荷の増大を抑制することができる。また各副制御回路は、自身のヘッドと自身の上流側のヘッドとの重なり領域について、印刷データを生成すればよく、ヘッドの数が増加しても、各副制御回路において、重なり領域に印刷するためのデータの生成処理の負荷は増加しない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】印刷装置の略示平面図である。
図2】インクジェットヘッドの平面透視図である。
図3】制御装置及びインクジェットヘッドのブロック図である。
図4】第kヘッドモジュールのブロック図である(kはn以下の自然数)。
図5】マスク処理部におけるマスクの一例を示す概念図である。
図6】SoCにおけるデータ処理を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の実施の形態に係る印刷装置を示す図面に基づいて説明する。図1は、印刷装置1の略示平面図である。図1において、印刷用紙100の搬送方向は印刷装置1の前後方向に対応する。印刷用紙100は印刷媒体の一例であり、フィルム又は布等を印刷媒体としてもよい。また印刷用紙100の幅方向は印刷装置1の左右方向に対応する。また前後方向及び左右方向と直交する方向、即ち図1の紙面垂直方向は印刷装置1の上下方向に対応する。
【0013】
図1に示すように、印刷装置1は、ケース2内に収容されたプラテン3、四つのインクジェットヘッド4、二つの搬送ローラ5、6、及び制御装置7等を備える。プラテン3の上面を、印刷用紙100が通過する。四つのインクジェットヘッド4は、プラテン3の上方において、搬送方向に並んでいる。各インクジェットヘッド4は、いわゆるラインタイプのヘッドである。インクジェットヘッド4には、インクタンク(図示略)からインクが供給される。四つのインクジェットヘッド4には、異なる色のインクが供給される。
【0014】
図1に示すように、二つの搬送ローラ5、6は、プラテン3に対して後側と前側にそれぞれ配置されている。二つの搬送ローラ5、6は、図示しないモータによってそれぞれ駆動され、プラテン3上の印刷用紙100を前方へ搬送する。制御装置7は、PC等の外部装置9とデータ通信可能に接続されており、外部装置9から送られた印刷データに基づいて、印刷装置1の各部を制御する。
【0015】
図2は、インクジェットヘッド4の平面透視図である。インクジェットヘッド4は複数のヘッド42を備える。ヘッド42の下面には複数のノズル42aが設けられている。複数のヘッド42は、左右方向に並んだ4個のヘッド42を有する第1ヘッド列421と、左右方向に並んだ5個のヘッド42を備える第2ヘッド列422を備える。第1ヘッド列421は前側に配置され、第2ヘッド列422は後側に配置される。以下第1ヘッド列421のヘッド42をヘッド42Fとも称し、第2ヘッド列422のヘッド42をヘッド42Rとも称する。
【0016】
左右方向において、5個のヘッド42Rの間に4個の隙間が設けられる。左右方向において、4個のヘッド42Fの位置は4個の隙間の位置に対応する。即ち、各ヘッド42Fは隣り合う2つのヘッド42Rの間に配置される。前後方向において、各ヘッド42Fの左端部は、隣り合う2つのヘッド42Rにおける左側のヘッド42Rの右端部に重なり、各ヘッド42Fの右端部は、隣り合う2つのヘッド42Rにおける右側のヘッド42Rの左端部に重なる。ヘッド42F及びヘッド42Rが重なる領域は重なり領域42bを構成する。
【0017】
ヘッド42Fの左右端部におけるノズル42aは重なり領域42bに配置される。最も左側に位置するヘッド42Rの右端部におけるノズル42aは重なり領域42bに配置され、最も右側に位置するヘッド42Rの左端部におけるノズル42aは重なり領域42bに配置される。最も左側に位置するヘッド42Rと、最も右側に位置するヘッド42Rとの間に位置するヘッド42Rの左右端部におけるノズル42aは重なり領域42bに配置される。なおインクジェットヘッド4は駆動機構(図示略)を備え、該駆動機構によってフラッシング受け(図示略)まで移動することができる。
【0018】
図3は、制御装置7及びインクジェットヘッド4のブロック図である。制御装置7は主制御回路7aを備える。主制御回路7aは制御部7b、記憶部7c、及び通信インタフェース(I/F)7dを備える。制御部7bはロジック回路、例えばFPGAを備える。なお制御部7bはプロセッサ、例えばCPU、又はASIC等を備えてもよい。記憶部7cは主記憶装置及び補助記憶装置を含む。主記憶装置としては例えばRAMが挙げられる。補助記憶装置としては、例えばROM及び書き換え可能な記憶媒体、例えばEEPROM、FlashROM、ハードディスク等が挙げられる。補助記憶装置に制御プログラムが記憶される。制御部7bは補助記憶装置から主記憶装置に制御プログラムを読み出して実行する。制御プログラムは記録媒体70(図1参照)、例えば光ディスク又は持ち運び可能なフラッシュメモリから補助記憶装置にインストールされてもよい。なお制御プログラムは、印刷装置1に通信ネットワークを介して接続されたサーバから補助記憶装置にダウンロードされてもよい。通信I/F7dは順方向通信経路51及び逆方向通信経路52に接続される。制御装置7は、制御プログラムに基づいて、印刷装置1を制御する。
【0019】
インクジェットヘッド4は、複数のヘッドモジュール40を備える。複数のヘッドモジュール40は、例えば左右方向に並び、順方向通信経路51を介して直列的に接続され、また逆方向通信経路52を介して、直列的に接続される。複数のヘッドモジュール40は、例えば、第1ヘッドモジュール40(1)、第2ヘッドモジュール40(2)、第3ヘッドモジュール40(3)、・・・、第nヘッドモジュール40(n)を有する(nは自然数)。第1ヘッドモジュール40(1)は最も左に位置し、第nヘッドモジュール40(n)は最も右に位置する。第1ヘッドモジュール40(1)が全ヘッドモジュール40の中で制御装置7に最も近い位置にあり、第nヘッドモジュール40(n)が全ヘッドモジュール40の中で制御装置7から最も遠い位置にある。
【0020】
図4は、第kヘッドモジュール40(k)のブロック図である(kはn以下の自然数)。第kヘッドモジュール40(k)は、SoC41と、ヘッド42とを備える。以下、第kヘッドモジュール40(k)のSoC41をSoC(k)と、ヘッド42をヘッド(k)とも称する。SoC(k)は副制御回路に対応する。SoC(k)は、制御部41a、記憶部41b、通信I/F41c、通信I/F41d、データ処理部41e、マスク処理部41fを備える。マスク処理部41fはバッファ41gを備える。バッファ41gは、例えばEEPROM、FlashROMを備える。制御部41aは例えばロジック回路又はプロセッサを備える。記憶部41bは、EEPROM、FlashROM、ハードディスク等の書き換え可能な記憶媒体、ROM及びRAM等を含む。通信I/F41c、41dは順方向通信経路51及び逆方向通信経路52に接続される。
【0021】
順方向通信経路51におけるデータの送信方向は、SoC(1)からSoC(n)に向かう方向、即ち順方向である。順方向は、上流から下流に向かう方向である。逆方向通信経路52におけるデータの送信方向は、SoC(n)からSoC(1)に向かう方向、即ち逆方向である。逆方向は、下流から上流に向かう方向である。
【0022】
なお図2の左は上流に対応し、右は下流に対応する。図2に示す最も左側のヘッド42は最も上流に位置するヘッドであり、最も右側のヘッドは最も下流に位置するヘッドである。図2の各ヘッド42に対応するSoCは順方向通信経路51及び逆方向通信経路52によって直列的に接続される。
【0023】
複数のSoC、即ちSoC(1)~SoC(n)はSoC群410を構成し、複数のヘッド42、即ちヘッド(1)~ヘッド(n)はヘッド群420を構成する(図3参照)。SoC群410は副制御回路群に対応する。
【0024】
図5はマスク処理部41におけるマスクの一例を示す概念図である。マスク処理部41は、例えば図5に示すように、第1マスク及び第2マスクを備える。第1マスク及び第2マスクは排他関係にあり、いずれのマスクも3画素×3画素であり、搬送方向に繰り返し適用される。これらのマスクは黒色の画素のビットは1であり、吐出を意味する。また白色の画素のビットは0であり非吐出を意味する。第1マスク及び第2マスクを示すマスクデータは、例えばマスク処理部41のメモリ(図示略)に予め記憶される。
【0025】
図6は、SoCにおけるデータ処理を説明する説明図である。主制御回路7aは印刷データをSoC群410に送信する。SoC群410は印刷データをSoC(1)からSoC(n)まで転送する。ここでは一例として、SoC群410に含まれるSoC(k)、SoC(k+1)及びSoC(k+2)におけるデータ処理を説明する。なお主制御回路7aが送信する印刷データは、後述するデータD(k)、データD(k+1)及びデータD(k+2)を含む。
【0026】
SoC(k)のデータ処理部41eは通信I/F41cを介して、上流側から、即ちSoC(k-1)から印刷データを取得する(図4の矢印A1参照)。SoC(k)のデータ処理部41eは、印刷データから自身、即ちSoC(k)に対応するデータD(k)を取得し、データD(k)を記憶部41bに記憶する(図4の矢印A2参照)。SoC(k)のデータ処理部41eはデータD(k)を除いた印刷データを通信I/F41dを介して、下流側、即ちSoC(k+1)に送信する(図4の矢印A3参照)。
【0027】
データD(k)は、重なりデータDs(k)と、非重なりデータDt(k)とを備える(図6参照)。重なりデータDs(k)は、ヘッド(k-1)が印刷する領域とヘッド(k)が印刷する領域とが重なる重なり領域42bに印刷するためのデータである。非重なりデータDt(k)は重なりデータDs(k)を含まず、且つ、ヘッド(k)が印刷する領域とヘッド(k+1)が印刷する領域とが重なる重なり領域42bに印刷するため重なりデータDs(k+1)を含まないデータである。即ち、非重なりデータDt(k)は、ヘッド(k)が印刷する領域のうち、重なり領域42bを除いた領域に印刷するためのデータである。SoC(k)は、印刷データから重なりデータDs(k+1)を除いた、ヘッド(k)によって印刷するためのデータを取得する。
【0028】
SoC(k)のデータ処理部41eは、重なりデータDs(k)をマスク処理部41fに送信する(図4の矢印B6参照)。SoC(k)のマスク処理部41fは、自身のバッファ41gに重なりデータDs(k)を記憶する。SoC(k)のマスク処理部41fは重なりデータDs(k)に、例えば第2マスクを適用してデータDs2(k)を生成し、SoC(k)の記憶部41bにデータDs2(k)を記憶する(図4の矢印B7参照)。SoC(k)のマスク処理部41fは重なりデータDs(k)に、例えば第1マスクを適用してデータDs1(k)を生成し、上流側、即ちSoC(k-1)に送信する。なおk-1は自然数である。
【0029】
SoC(k)のマスク処理部41fにおけるマスク処理は、例えば以下のように実行される。マスク処理部41fは自身のバッファ41gに重なりデータDs(k)を、所定ライン数分記憶する。所定ライン数は第1マスク及び第2マスクのサイズに対応した数である。所定ライン数分の重なりデータDs(k)を記憶した場合、例えば第2マスクを適用してデータDs2(k)を生成し、例えば第1マスクを適用してデータDs1(k)を生成する。第1マスク及び第2マスクのサイズに対応したライン数分の重なりデータDs(k)を蓄積し、蓄積した重なりデータDs(k)に対して第1マスク及び第2マスクを適用することによって、効率良くマスク処理を実行することができる。所定ライン数はマスクのサイズに応じて設定されればよく、例えば3~4ラインでもよいし、1ページ分のライン数でもよい。
【0030】
SoC(k+1)のデータ処理部41eは通信I/F41cを介して、上流側から、即ちSoC(k)から印刷データを取得する(図4の矢印A4参照)。SoC(k+1)のデータ処理部41eは、印刷データから自身、即ちSoC(k+1)に対応するデータD(k+1)を取得し、データD(k+1)を記憶部41bに記憶する(図4の矢印A5参照)。SoC(k+1)のデータ処理部41eはデータD(k+1)を除いた印刷データを通信I/F41cを介して、下流側、即ちSoC(k+2)に送信する(図4の矢印A6参照)。
【0031】
データD(k+1)は、重なりデータDs(k+1)と、非重なりデータDt(k+1)とを備える(図6参照)。重なりデータDs(k+1)は、ヘッド(k)が印刷する領域とヘッド(k+1)が印刷する領域とが重なる重なり領域42bに印刷するためのデータである。非重なりデータDt(k+1)は重なりデータDs(k+1)を含まず、且つ、ヘッド(k+1)が印刷する領域とヘッド(k+2)が印刷する領域とが重なる重なり領域42bに印刷するため重なりデータDs(k+2)を含まないデータである。重なりデータDs(k+2)は第2重なりデータに対応する。即ち、非重なりデータDt(k+1)は、ヘッド(k+1)が印刷する領域のうち、重なり領域42bを除いた領域に印刷するためのデータである。SoC(k+1)は、印刷データから重なりデータDs(k+2)を除いた、ヘッド(k+1)によって印刷するためのデータを取得する。
【0032】
SoC(k+1)のデータ処理部41eは、重なりデータDs(k+1)をマスク処理部41fに送信する(図4の矢印B1参照)。SoC(k+1)のマスク処理部41fは、自身のバッファ41gに重なりデータDs(k+1)を記憶する。SoC(k+1)のマスク処理部41fは重なりデータDs(k+1)に、例えば第2マスクを適用してデータDs2(k+1)を生成し、SoC(k+1)の記憶部41bに記憶する(図4の矢印B2参照)。SoC(k+1)のマスク処理部41fは重なりデータDs(k+1)に、例えば第1マスクを適用して、データDs1(k+1)を生成し、通信I/F41cを介して上流側、即ちSoC(k)に送信する(図4の矢印B3参照)。データDs1(k+1)は第1印刷データに対応し、データDs2(k+1)は第2印刷データに対応する。
【0033】
SoC(k+1)のマスク処理部41fにおけるマスク処理は、例えば以下のように実行される。マスク処理部41fは自身のバッファ41gに重なりデータDs(k+1)を、所定ライン数分記憶する。所定ライン数は第1マスク及び第2マスクのサイズに対応した数である。所定ライン数分の重なりデータDs(k+1)を記憶した場合、例えば第2マスクを適用してデータDs2(k+1)を生成し、例えば第1マスクを適用してデータDs1(k+1)を生成する。第1マスク及び第2マスクのサイズに対応したライン数分の重なりデータDs(k+1)を蓄積し、蓄積した重なりデータDs(k+1)に対して第1マスク及び第2マスクを適用することによって、効率良くマスク処理を実行することができる。所定ライン数はマスクのサイズに応じて設定されればよく、例えば3~4ラインでもよいし、1ページ分のライン数でもよい。
【0034】
SoC(k)のデータ処理部41eは通信I/F41dを介して、下流側から、即ちSoC(k+1)からデータDs1(k+1)を取得する(図4の矢印B4参照)。SoC(k)のデータ処理部41eは記憶部41bにデータDs1(k+1)を記憶する(図4の矢印B5参照)。
【0035】
前述したように、SoC(k)はデータD(k)と、データDs2(k)と、データDs1(k+1)とを記憶する(図6参照)。SoC(k)の制御部41aは、データD(k)に含まれるデータDs(k)をデータDs2(k)に書き換え、書き換えたデータD(k)にデータDs1(k+1)を追加する。即ち、データDs2(k)と、非重なりデータDt(k)と、データDs1(k+1)とによって構成されたデータを生成し、このデータに基づいて、ヘッド(k)を駆動する。
【0036】
SoC(k+2)のデータ処理部41eは通信I/F41cを介して、上流側から、即ちSoC(k+1)から印刷データを取得する。SoC(k+2)のデータ処理部41eは、印刷データから自身、即ちSoC(k+2)に対応するデータD(k+2)を取得し、データD(k+2)を記憶部41bに記憶する。SoC(k+2)のデータ処理部41eはデータD(k+2)を除いた印刷データを通信I/F41dを介して、下流側、即ちSoC(k+3)に送信する。
【0037】
データD(k+2)は、重なりデータDs(k+2)と、非重なりデータDt(k+2)とを備える(図6参照)。重なりデータDs(k+2)は、ヘッド(k+1)が印刷する領域とヘッド(k+2)が印刷する領域とが重なる重なり領域42bに印刷するためのデータである。重なりデータDs(k+2)は第2重なりデータに対応する。非重なりデータDt(k+2)は重なりデータDs(k+2)を含まず、且つ、ヘッド(k+2)が印刷する領域とヘッド(k+3)が印刷する領域とが重なる重なり領域42bに印刷するため重なりデータDs(k+3)を含まないデータである。即ち、非重なりデータDt(k+2)は、ヘッド(k+2)が印刷する領域のうち、重なり領域42bを除いた領域に印刷するためのデータである。
【0038】
SoC(k+2)のデータ処理部41eは、重なりデータDs(k+2)を、SoC(k+2)のマスク処理部41fに送信する。SoC(k+2)のマスク処理部41fは、自身のバッファ41gに重なりデータDs(k+2)を記憶する。SoC(k+2)のマスク処理部41fは重なりデータDs(k+2)に、例えば第2マスクを適用してデータDs2(k+2)を生成し、SoC(k+2)の記憶部41bにデータDs2(k+2)を記憶する。データDs2(k+2)は第4印刷データに対応する。SoC(k+2)のマスク処理部41fは重なりデータDs(k+2)に、例えば第1マスクを適用してデータDs1(k+2)を生成し、上流側、即ちSoC(k+1)に送信する。データDs1(k+2)は第3印刷データに対応する。
【0039】
SoC(k+1)のデータ処理部41eは通信I/F41dを介して、下流側から、即ちSoC(k+2)からデータDs1(k+2)を取得する(図4の矢印B8参照)。SoC(k+1)のデータ処理部41eは記憶部41bにデータDs1(k+2)を記憶する(図4の矢印B9参照)。
【0040】
前述したように、SoC(k+1)はデータD(k+1)と、データDs2(k+1)と、データDs1(k+2)とを記憶する(図6図4の矢印A5、B2、B9参照)。SoC(k+1)の制御部41aは、データD(k+1)に含まれるデータDs(k+1)をデータDs2(k+1)に書き換え、書き換えたデータD(k+1)にデータDs1(k+2)を追加する。即ち、データDs2(k+1)と、非重なりデータDt(k+1)と、データDs1(k+2)とによって構成されたデータを生成し、このデータに基づいて、ヘッド(k+1)を駆動する。SoC(2)~SoC(k-1)、SoC(k+2)~SoC(n-1)は、SoC(k)及びSoC(k+1)と同様な印刷処理を実行する。
【0041】
SoC(1)のデータ処理部41eは通信I/F41cを介して、上流側から、即ち主制御回路7aから印刷データを取得する。SoC(1)のデータ処理部41eは、印刷データから自身、即ちSoC(1)に対応するデータD(1)を取得し、データD(1)を記憶部41bに記憶する。SoC(1)のデータ処理部41eはデータD(1)を除いた印刷データを通信I/F41dを介して、下流側、即ちSoC(2)に送信する。
【0042】
データD(1)は非重なりデータDt(1)を備えるが、重なりデータDs(1)を備えない。ヘッド(1)よりも上流のヘッドは存在しないからである。非重なりデータDt(1)は重なりデータDs(1)を含まず、且つ、ヘッド(1)が印刷する領域とヘッド(2)が印刷する領域とが重なる重なり領域42bに印刷するため重なりデータDs(2)を含まないデータである。即ち、非重なりデータDt(1)は、ヘッド(1)が印刷する領域のうち、重なり領域42bを除いた領域に印刷するためのデータである。
【0043】
SoC(1)のデータ処理部41eは通信I/F41dを介して、下流側から、即ちSoC(2)からデータDs1(2)を取得する。SoC(1)のデータ処理部41eは記憶部41bにデータDs1(2)を記憶する。
【0044】
前述したように、SoC(1)はデータD(1)と、データDs1(2)とを記憶する。SoC(1)の制御部41aは、データD(1)、即ち非重なりデータDt(1)と、データDs1(2)とによって構成されたデータを生成し、このデータに基づいて、ヘッド(k)を駆動する。
【0045】
SoC(n)のデータ処理部41eは通信I/F41cを介して、上流側から、即ちSoC(n-1)から印刷データを取得する。SoC(n)のデータ処理部41eは、印刷データに含まれる自身、即ちSoC(n)に対応するデータD(n)を取得し、記憶部41bに記憶する。SoC(n)は最下流に位置するので、下流側に印刷データを送信しない。
【0046】
データD(n)は、重なりデータDs(n)と、非重なりデータDt(n)とを備える。重なりデータDs(n)は、ヘッド(n-1)が印刷する領域とヘッド(n)が印刷する領域とが重なる重なり領域42bに印刷するためのデータである。非重なりデータDt(n)は重なりデータDs(n)を含まないデータである。即ち、非重なりデータDt(n)は、ヘッド(k+1)が印刷する領域のうち、重なり領域42bを除いた領域に印刷するためのデータである。なおヘッド(n)は最下流に位置するので、ヘッド(n)よりも下流のヘッドは存在せず、ヘッド(n)が印刷する領域と、ヘッド(n)よりも下流のヘッドが印刷する領域とが重なる重なり領域に印刷するための重なりデータも存在しない。
【0047】
SoC(n)のデータ処理部41eは、重なりデータDs(n)をマスク処理部41fに送信する。SoC(n)のマスク処理部41fは、自身のバッファ41gに重なりデータDs(n)を記憶する。SoC(n)のマスク処理部41fは重なりデータDs(n)に、例えば第2マスクを適用してデータDs2(n)を生成し、SoC(n)の記憶部41bにデータDs2(n)を記憶する。SoC(n)のマスク処理部41fは重なりデータDs(n)に、例えば第1マスクを適用してデータDs1(n)を生成し、上流側、即ちSoC(n-1)に送信する。なおSoC(n)は最下流に位置するので、下流側からデータを取得しない。
【0048】
前述したように、SoC(n)はデータD(n)と、データDs2(n)とを記憶する。SoC(n)の制御部41aは、データD(n)に含まれるデータDs(n)をデータDs2(n)に書き換える。即ち、データDs2(n)と、非重なりデータDt(n)とによって構成されたデータを生成し、このデータに基づいて、ヘッド(n)を駆動する。
【0049】
主制御回路7aは、重なりデータDs(k+1)を識別する第1識別子及び重なりデータDs(k+2)を識別する第2識別子を含み、各重なりデータDs(g)(g=2~nの自然数)を識別する各識別子を印刷データのヘッダに付加して、SoC群410に送信する。例えば、SoC(k+1)のデータ処理部41eは第1識別子を参照して、重なりデータDs(k+1)を取得し、SoC(k+1)のマスク処理部41fは重なりデータデータDs(k+1)に基づいて、データDs1(k+1)及びデータDs2(k+1)を生成する。SoC(k+2)のデータ処理部41eは第2識別子を参照して、重なりデータDs(k+2)を取得し、SoC(k+2)のマスク処理部41fは重なりデータデータDs(k+2)に基づいて、データDs1(k+2)及びデータDs2(k+2)を生成する。
【0050】
なおSoCが重なりデータを示す識別子を書き換えて、下流側に印刷データを送信してもよい。例えば、主制御回路7aは重なりデータDs(2)を識別する識別子を印刷データのヘッダに付加して、SoC群410に送信する。SoC(2)のデータ処理部41eは重なりデータDs(2)を識別する識別子を参照して、重なりデータDs(2)を取得する。SoC(2)のデータ処理部41eは重なりデータDs(2)を識別する識別子を、重なりデータDs(3)を識別する識別子に書き換えて、下流側に印刷データを送信する。このようにして各SoCは識別子を順に書き換え、SoC(k+1)のデータ処理部41eは第1識別子を参照して、重なりデータDs(k+1)を取得し、SoC(k+1)のマスク処理部41fは重なりデータデータDs(k+1)に基づいて、データDs1(k+1)及びデータDs2(k+1)を生成する。SoC(k+1)のデータ処理部41eは第1識別子を第2識別子に書き換えて、SoC(k+2)に印刷データを送信する。SoC(k+2)のデータ処理部41eは第2識別子を参照して、重なりデータDs(k+2)を取得し、SoC(k+2)のマスク処理部41fは重なりデータDs(k+2)に基づいて、データDs1(k+2)及びデータDs2(k+2)を生成する。SoC(k+2)のデータ処理部41eは第2識別子を、重なりデータDs(k+3)を示す識別子に書き換えて、SoC(k+3)に印刷データを送信する。なお各識別子は各重なりデータに紐付いている。
【0051】
実施の形態に係る印刷装置1にあっては、SoC(k+1)が、ヘッド(k)が重なり領域に印刷するための第1印刷データと、ヘッド(k+1)が重なり領域に印刷するための第2印刷データとを生成する。即ち、主制御回路7aは重なり領域に印刷するための印刷データを生成する必要がなく、主制御回路7aの負荷の増大を抑制することができる。また各SoCは、自身のヘッドと自身の上流側のヘッドとの重なり領域について、印刷データを生成すればよく、ヘッドの数が増加しても、各SoCにおいて、重なり領域に印刷するためのデータの生成処理の負荷は増加しない。
【0052】
なおコンピュータプログラムは、単一のコンピュータ上で、または1つのサイトに配置されるか、若しくは複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0053】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 印刷装置
7 制御装置
7a 主制御回路
41 SoC(副制御回路)
41e データ処理部
41f マスク処理部
41g バッファ
41b 記憶部
410 SoC群
42 ヘッド
42b 重なり領域
420 ヘッド群
図1
図2
図3
図4
図5
図6