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特開2024-173037電子機器、その制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173037
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】電子機器、その制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04812 20220101AFI20241205BHJP
   H04N 23/63 20230101ALI20241205BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20241205BHJP
   G03B 7/00 20210101ALI20241205BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20241205BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20241205BHJP
   G03B 17/20 20210101ALI20241205BHJP
【FI】
G06F3/04812
H04N23/63 100
G06F3/0346 423
G03B7/00
G02B7/28 N
G03B13/36
G03B17/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091152
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】植草 友貴
【テーマコード(参考)】
2H002
2H011
2H102
2H151
5B087
5C122
5E555
【Fターム(参考)】
2H002GA63
2H011BA23
2H102AA44
2H102BB26
2H102CA11
2H151BA01
2H151CB22
2H151DA03
2H151DA10
2H151DA25
2H151DA26
5B087AA09
5B087CC33
5C122DA03
5C122DA04
5C122DA09
5C122EA47
5C122FD01
5C122FH02
5C122FH03
5C122FH07
5C122FK09
5C122FK12
5C122FK28
5C122FK37
5C122FK40
5C122FK41
5C122FL08
5C122GA01
5C122HA13
5C122HA35
5C122HA46
5C122HA75
5C122HA86
5C122HB01
5C122HB05
5C122HB06
5E555AA06
5E555BA18
5E555BB18
5E555BC08
5E555CA42
5E555CB65
5E555CC22
5E555DB06
5E555DB53
5E555DC09
5E555DC10
5E555DC13
5E555DC25
5E555DC35
5E555DD06
5E555DD08
5E555EA11
5E555EA22
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】 場合に応じて、ポインタの表示方法を切り換えるとともに、視線位置に表示されている表示アイテムに関する処理を実行する場合は、表示アイテムの表示形態を変更し、ユーザの操作性を向上させる。
【解決手段】 本発明の電子機器は、表示手段を見るユーザの視線位置を検出する検出手段と、撮像手段により撮像されたライブビュー画像が前記表示手段に表示され、かつ、視線位置が、前記ライブビュー画像上で所定の処理が実行される位置である場合、視線位置に第1ポインタを表示し、表示アイテムが前記表示手段に表示され、かつ、視線位置が、前記表示アイテムに関する処理が実行される位置である場合、前記表示アイテムの表示形態を変更し、視線位置が、所定の処理が実行されない位置である場合、視線位置に前記第1ポインタと比べて明示的でない前記第2ポインタを表示するように制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段を見るユーザの視線位置を検出する検出手段と、
撮像手段により撮像されたライブビュー画像が前記表示手段に表示され、かつ、前記検出手段により検出された視線位置が、前記ライブビュー画像上で所定の処理が実行される位置である場合、視線位置に第1ポインタを表示するように制御し、
表示アイテムが前記表示手段に表示され、かつ、前記検出手段により検出された視線位置が、前記表示アイテムに関する処理が実行される位置である場合、前記表示アイテムの表示形態を変更するように制御し、
前記検出手段により検出された視線位置が、所定の処理が実行されない位置である場合、視線位置に前記第1ポインタと比べて明示的でない前記第2ポインタを表示するように制御する制御手段とを有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記表示アイテムのサイズは、前記第2ポインタのサイズに対して、所定の値以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記表示アイテムが前記表示手段に表示され、かつ、前記検出手段により検出された視線位置が、前記表示アイテムに関する処理が実行される位置である場合、前記制御手段が、視線位置に前記第2ポインタを表示するように制御することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1ポインタ及び前記第2ポインタが線で表される場合、前記制御手段は、前記第1ポインタ及び前記第2ポインタの前記線の透過率、色、太さ、種類、又は数を変更して表示するように制御することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記ライブビュー画像に前記撮像手段による撮像を補助するための情報が重畳して表示され、かつ、視線位置に前記撮像を補助するための情報が表示されている場合、前記制御手段は、視線位置に前記第1ポインタを表示するように制御することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記撮像を補助するための情報は、前記電子機器の傾きに関する情報、検出された被写体の位置やフォーカス位置を示す情報、前記撮像手段により撮像された画像の明るさに関する情報であることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記表示アイテムの表示形態は、前記表示アイテムの枠の太さ又は色、前記表示アイテムの背景色、前記表示アイテムの表示サイズの少なくとも1つを変更することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
ユーザによる操作を受け付けるための操作手段をさらに有し、
前記操作手段による操作を受け付けた場合、前記制御手段は、視線による操作を中断し、中断時の視線位置の最近傍の表示アイテムを起点として、前記操作手段による操作を行うように制御することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
ユーザによる操作を受け付けるための操作手段をさらに有し、
前記第1ポインタ表示中に前記操作手段によりAF処理を実行するための操作を受け付けた場合、前記制御手段は、撮影待機画面でなければ撮影待機画面への切り替えとAF位置の決定を行うように制御することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項10】
表示手段を見るユーザの視線位置を検出する検出ステップと、
撮像手段により撮像されたライブビュー画像が前記表示手段に表示され、かつ、前記検出手段により検出された視線位置が、前記ライブビュー画像上で所定の処理が実行される位置である場合、視線位置に第1ポインタを表示するように制御し、
表示アイテムが前記表示手段に表示され、かつ、前記検出手段により検出された視線位置が、前記表示アイテムに関する処理が実行される位置である場合、前記表示アイテムの表示形態を変更するように制御し、
前記検出手段により検出された視線位置が、所定の処理が実行されない位置である場合、視線位置に前記第1ポインタと比べて明示的でない前記第2ポインタを表示するように制御する制御ステップとを有することを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項11】
コンピュータに請求項10に記載の電子機器の制御方法を実行させるためのプログラム。
【請求項12】
コンピュータに請求項10に記載の電子機器の制御方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、その制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年デジタルカメラのミラーレス化が進み、手動で十字キーやマルチコントローラー等を操作せずとも、ユーザの視線で操作することができる、「視線入力」の技術を搭載した電子機器が知られている。この「視線入力」の技術において、ユーザが自身の視線位置を把握するために、ユーザの視線位置に視線ポインタを表示することも知られている。
【0003】
特許文献1では、ライブビュー画像上で、ユーザが視線入力を使用して所望の領域を選択する場合に、ユーザの視線位置を示す領域である視線ポインタを表示する。特許文献1では、さらに、視線ポインタの付近に表示される被写体を選択領域として選択することで、スムーズな操作性を実現する撮像装置が開示されている。
【0004】
また、人間の眼球には、固視微動と呼ばれる、ある一点を注視している際にも眼球が細かい運動を起こすという特性がある。特許文献2では、その固視微動の影響を緩和するために視線ポインタをある程度大きい大きさで、所定期間分平均化した位置に基づいて表示することで、不快感を軽減する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-87068号公報
【特許文献2】特開2021-108447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の撮像装置では、ユーザが視線入力を使用した所望の領域の選択を行わずに、単に撮像に関する情報を見ている場合、視線位置を示す視線ポインタを表示すると、撮像に関する情報が視認しにくくなってしまう可能性がある。また、特許文献1の撮像装置では、撮像に関する設定画面上などでユーザの視線位置に基づく位置に表示されている表示アイテムを選択する場合、視線位置を示す視線ポインタを表示すると、表示アイテムの視認性が低下してしまう可能性がある。
【0007】
そのため、ライブビュー画像上で所望の領域を選択する場合に表示されるポインタに比べて、ユーザが所望の領域の選択をしない場合に表示されるポインタや、撮像に関する設定画面上などの表示アイテムに表示されるポインタの視認性を低下させる必要がある。
【0008】
しかしながら、特に、撮像に関する設定画面上などで、ユーザの視線位置に基づく位置に表示されている表示アイテムを選択する場合は、視線入力を使用して選択した表示アイテムに関する処理を実行したいというユーザの意図がある。そのため、ポインタの視認性を低くしたとしても、特許文献2に記載のような、表示アイテムと比べて大きいサイズのポインタが表示アイテムに表示されてしまうと、表示アイテムの視認性が低下し、ユーザの操作性が低くなってしまう可能性がある。
【0009】
そこで、本発明では、ユーザの視線位置が、ライブビュー画像上で所定の処理が実行される直前の状態と思われる位置である場合と、所定の処理が実行されない直前の状態と思われる位置である場合とで、ポインタの表示方法を切り換える。本発明では、さらに、ユーザの視線位置が、表示アイテムに関する処理が実行される直前の状態と思われる位置である場合に、表示アイテムの表示形態を変更する。これにより、ユーザの操作性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、表示手段を見るユーザの視線位置を検出する検出手段と、撮像手段により撮像されたライブビュー画像が前記表示手段に表示され、かつ、前記検出手段により検出された視線位置が、前記ライブビュー画像上で所定の処理が実行される位置である場合、視線位置に第1ポインタを表示するように制御し、表示アイテムが前記表示手段に表示され、かつ、前記検出手段により検出された視線位置が、前記表示アイテムに関する処理が実行される位置である場合、前記表示アイテムの表示形態を変更するように制御し、前記検出手段により検出された視線位置が、所定の処理が実行されない位置である場合、視線位置に前記第1ポインタと比べて明示的でない前記第2ポインタを表示するように制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ライブビュー画像上で所定の処理が実行される直前の状態と思われる位置である場合と、所定の処理が実行されない直前の状態と思われる位置である場合とで、ポインタの表示方法を切り換えることにより、ユーザの操作性を向上させる。さらに、本発明によれば、ユーザの視線位置が、表示アイテムに関する処理が実行される直前の状態と思われる位置である場合に、表示アイテムの表示形態を変更することにより、ユーザの操作性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態1に係る電子機器としての撮像装置100の構成の一例を示すブロック図である。
図2】本実施形態1の撮像装置100の構成の一例を示す図であり、撮像装置100の筐体を切った断面図である。
図3】視線検出方法の原理を説明する説明図である。
図4】(a)は、眼球用撮像素子121から得られる角膜反射像の画像例であり、(b)は、角膜反射像の画像例の領域αにおける、眼球用撮像素子121から得られる輝度情報の例である。
図5】本実施形態1における視線検出処理のフローチャートである。
図6】本実施形態1に係る撮像装置100の表示部で検出された視線位置に表示されるポインタなどの表示切り替え処理に関するフローチャートである。
図7】本実施形態1に係る撮像装置100の表示部で検出された視線位置に表示されるポインタなどの表示切り替え処理を説明する模式図である。
図8】本実施形態1に係る撮像装置100の表示部で検出された視線位置に表示されるポインタなどの表示例である。
図9】表示アイテムの境界部分における視線位置と表示アイテムの表示位置との関係性の一例を示す模式図である。
図10】本実施形態2に係る視線位置に表示されるポインタなどの表示切り替え処理に関するフローチャートである。
図11】本実施形態2のポインタなどの表示切り替え処理を説明する模式図である。
図12】本実施形態3に係る視線位置に表示されるポインタなどの表示切り替え処理に関するフローチャートである。
図13】本実施形態3のポインタなどの表示切り替え処理を説明する模式図である。
図14】本実施形態4のポインタなどの表示切り替え処理を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0014】
<実施形態1>
図1は、本実施形態1に係る電子機器としての撮像装置100の構成の一例を示すブロック図である。電子機器100は、例えば、デジタルカメラである。結像光学部101は、焦点レンズや防振レンズを含む複数のレンズ群及び絞りを備えている。結像光学部101は、具備する焦点制御部118で焦点調節、絞り制御部119で露出調節、ブレ補正等を行い、撮像素子102に光学像を結像する。
【0015】
撮像素子102は、光学像を電気信号(アナログ画像信号)に変換する光電変換機能を有する。撮像素子102は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等で構成される。また、撮像素子102は、像面位相差オートフォーカス(AF)用に専用画素や各画素内に複数の独立したフォトダイオードを備えている。
【0016】
A/D変換部103は、撮像素子102からのアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換する。A/D変換により出力されたデジタル画像データは、後述の画像処理部104に入力される。
【0017】
システムバス116は、主にCPU(Central Processing Unit)114などから各ブロックの制御信号を伝送するためのシステムバスであり、データバス117は、主に画像データを転送するためのデータバスである。
【0018】
CPU114は、撮像装置全体の制御を司るマイクロコンピュータ等で構成され、各機能ブロックに対して動作指示を行い、各種の制御処理を実行する。また、各種制御処理の際に必要となる演算も行う。CPU114は、システムバス116を介して画像処理部104、データ転送部105、メモリ制御部106、不揮発性メモリ制御部108、記録メディア制御部110、表示制御部112、操作部115、及び撮像素子102等を制御する。マイクロコンピュータの実行は、ROM(Read Only Memory)109に記録されたプログラムを実行することにより、本実施形態の各処理を実現する。さらに、CPU114は、結像光学部101のレンズ及び絞りの制御や、焦点距離等の情報取得を行っている。
【0019】
データ転送部105は、データ転送を行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)で構成されている。
【0020】
DRAM(Dynamic Random Access Memory)107は、データを記憶するメモリである。DRAM107は、所定枚数の静止画像、所定時間の動画像、及び音声等のデータや、CPU114の動作用の定数、及びプログラム等を格納するのに十分な記憶容量を備える。
【0021】
メモリ制御部106は、CPU114又はデータ転送部105からの指示に応じて、DRAM107へのデータ書き込み及びデータ読み出しを行う。
【0022】
不揮発性メモリ制御部108は、CPU114からの指示に応じて、ROM109にデータの書き込み及び読み出しを行う。ROM109は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等が用いられる。
【0023】
ROM109には、CPU114の動作用の定数、及びプログラム等が記憶される。
【0024】
画像処理部104は、各種画像処理部及びバッファメモリ等から構成されており、画像データに対して、倍率色収差補正、現像処理、ノイズリダクション処理、幾何変形、拡縮といったリサイズなどの処理を適切に行う。その他、画像処理部104は、現像及び加工された画像から被写体を検出、認識、追尾する処理を行い、A/D変換器103により変換された画像データに対して画素補正、黒レベル補正、シェーディング補正、傷補正などを適正に行う撮像補正部等も備える。
【0025】
記録メディア111は、SD(Secure Digital)カード等の記録媒体であり、記録メディア制御部110により制御され、画像データの記録や記録データの読み出しを行う。
【0026】
表示部113は、液晶ディスプレイや電子ビューファインダで構成される。表示部113は、表示制御部112により制御され、画像処理部104から転送された各種の画像データ、各種設定、メニュー画面、及び視線位置に表示されるポインタなどのGUI(Graphical User Interface)を表示する。また、静止画撮影の撮影前や、動画撮影時には、A/D変換部103から入力された画像データをリアルタイムで処理して、表示する。
【0027】
操作部115は、ユーザにより操作されるスイッチ、ボタン、及びタッチパネル等を含み、電源のON/OFF、及びシャッターのON/OFF等の操作に使用される。
【0028】
眼球用撮像素子121は、電子ビューファインダを覗くユーザの眼球の光学像を結像し、視線検出部120に画像データを出力する。
【0029】
視線検出部120は、眼球用撮像素子121から入力された画像を基にユーザの視線方向を検出する。視線検出動作の詳細については後述する。
【0030】
照明光源123及び照明光源駆動部124は、視線検出のための赤外光源とそれを制御する駆動部である。赤外光は、ユーザの眼球に向けて照射され、その反射像を眼球用撮像素子120で結像する。
【0031】
自動焦点検出部122は、視線検出部120や画像処理部104により出力される焦点を合わせる領域に対するレンズ駆動量を算出し、焦点制御部118に対して焦点レンズの駆動制御を指示する。レンズ駆動量の算出は、例えば、撮像素子102で取得される焦点検出用画像に基づく像面位相差方式等で行われる。
【0032】
図2は、本実施形態1に係る撮像装置100の構成の一例を示す図であり、撮像装置100の筐体を切った断面図である。図1及び図2において、対応する部位は同じ番号で表記されている。
【0033】
100Aは、レンズ交換式カメラにおける撮影レンズを示す。本実施形態1では、便宜上撮影レンズ100Aの内部を205、206の二枚のレンズで表したが、さらに多数のレンズで構成されていてもよい。100Bは、カメラ本体の筐体部を示し、その内部に含まれるユニットの構成は以下のようになる。
【0034】
撮像素子102は、撮像装置100の撮影レンズ100Aの予定結像面に配置されている。表示部113に表示された被写体像を観察するための接眼レンズ203が配置されている。
【0035】
照明光源123a~123bは、光源の角膜反射による反射像と瞳孔の関係から視線方向を検出するためのユーザの眼球204を照明するための光源であり、赤外発光ダイオードで構成され、接眼レンズ203の周りに配置されている。照明された眼球像と光源123a~123bの角膜反射による像は、接眼レンズ203を透過し、光分割器202で反射され、受光レンズ201によってCCD等の光電素子列を2次元的に配した眼球用撮像素子121上に結像される。受光レンズ201は、ユーザの眼球204の瞳孔と眼球用撮像素子121を共役な結像関係に位置付けている。眼球用撮像素子121上に結像された眼球と光源123a~123bの角膜反射による像の位置関係から後述する所定のアルゴリズムで視線方向を検出する。
【0036】
撮影レンズ100A内には、絞り207、絞り制御部119、駆動ギヤ等で構成されるレンズ駆動部材210、及びレンズ駆動用モータ211が設けられている。フォトカプラ209は、レンズ駆動部材210に連動するパルス板208の回転を検知して、焦点制御部118に伝えている。焦点制御部118は、この情報とカメラ側からのレンズ駆動量の情報に基づいてレンズ駆動用モータ211を所定量駆動させ、焦点レンズ205を合焦点位置に移動させるようになっている。マウント接点212は、公知のカメラとレンズとのインターフェイスとなる。
【0037】
また、前述した操作部115には、シャッターボタン、タッチパネル対応液晶、ダイヤル、ボタン式十字キーなどの操作部材が配置されている。
【0038】
図2の123a~123bは、ユーザに対して不感の赤外光を放射する発光ダイオード等の光源であり、各光源は受光レンズ201の光軸に対して略対称に配置され、ユーザの眼球204を照らしている。眼球204で反射した照明光の一部は、受光レンズ201により、眼球用撮像素子121に集光する。
【0039】
以下、図3~5を用いて、視線検出方法について説明する。図3は、視線検出方法の原理を説明する説明図である。図3において、図1及び図2に対応する部位は、同じ番号で表記されている。図4(a)は、眼球用撮像素子121から得られる角膜反射像の画像例であり、図4(b)は、角膜反射像の画像例の領域αにおける、眼球用撮像素子121から得られる輝度情報の例である。図5は、視線検出処理のフローチャートである。
【0040】
[視線検出のフローチャートの説明]
図5において、視線検出処理が開始すると、S501では、照明光源123a、123bは、ユーザの眼球204に向けて赤外光を放射する。赤外光によって照明されたユーザの眼球像は、受光レンズ201を通して眼球用撮像素子121上に結像し、眼球用撮像素子121により光電変換がなされる。これにより、眼球像は、電気信号として処理が可能となる。
【0041】
S502では、眼球用撮像素子121から得られた眼球画像信号を視線検出部120に送る。
【0042】
S503では、S502で得られた眼球画像信号の情報から、図3に示す照明光源123a、123bの角膜反射像Pd、Pe及び瞳孔中心cに対応する点の座標を求める。照明光源123a、123bより放射された赤外光は、ユーザの眼球204の角膜301を照明する。このとき角膜301の表面で反射した赤外光の一部により形成される角膜反射像Pd、Peは、受光レンズ201により集光され、眼球用撮像素子121上に結像する(図示の点Pd’、Pe’)。同様に、瞳孔302の端部a、bからの光束も眼球用撮像素子121上に結像する。
【0043】
図4(a)は、眼球用撮像素子121から得られる角膜反射像の画像例を示し、図4(b)は、角膜反射像の画像例の領域αにおける、眼球用撮像素子121から得られる輝度情報の例を示す。図示のように、水平方向をX軸、垂直方向をY軸とする。このとき、光源123a、123bの角膜反射像が結像した像Pd’、Pe’のX軸方向(水平方向)の座標をそれぞれXd、Xeとする。また、瞳孔302の端部a、bからの光束が結像した像a’、b’のX軸方向の座標をそれぞれXa、Xbとする。
【0044】
図4(b)は、光源123a、123bの角膜反射像が結像した像Pd’、Pe’に相当する位置Xd、Xeでは、極端に強いレベルの輝度が得られることを示している。また、瞳孔302の領域αに相当する、座標XaからXbの間の領域は、上記Xd、Xeの位置を除き、極端に低いレベルの輝度が得られることを示している。これに対し、瞳孔302の外側の光彩401の領域に相当する、Xaより小さいX座標の値を持つ領域及びXbより大きいX座標の値を持つ領域では、上述した2種の輝度レベルの中間の値が得られる。X座標の位置に対する輝度レベルの変動情報から、光源123a、123bの角膜反射像が結像した像Pd’、Pe’のX座標Xd、Xeと、瞳孔端の像a’、b’のX座標Xa、Xbを得ることができる。
【0045】
また、受光レンズ201の光軸に対する眼球204の光軸の回転角θxが小さい場合、眼球用撮像素子121上に結像する瞳孔中心cに相当する箇所(c’とする)の座標Xcは、Xc≒(Xa+Xb)/2と表すことができる。上記より、眼球用撮像素子121上に結像する瞳孔中心に相当するc’のX座標、光源123a、123bの角膜反射像Pd’、Pe’の座標を見積もることができる。
【0046】
さらに、S504では、眼球像の結像倍率βを算出する。βは、受光レンズ201に対する眼球204の位置により決まる倍率で、実質的には角膜反射像Pd’、Pe’の間隔(Xd-Xe)の関数として求めることができる。
【0047】
また、S505では、角膜反射像Pd及びPeの中点のX座標と角膜301の曲率中心OのX座標とはほぼ一致するため、角膜301の曲率中心Oと瞳孔302の中心cまでの標準的な距離をOcとすると、眼球204の光軸のZ-X平面内の回転角θxは、
β×Oc×sinθx≒{(Xd+Xe)/2}-Xc
の関係式から求めることができる。
【0048】
また、図3及び4においては、ユーザの眼球がY軸に垂直な平面内で回転する場合の回転角θxを算出する例を示しているが、ユーザの眼球がX軸に垂直な平面内で回転する場合の回転角θyの算出方法も同様である。
【0049】
S505においてユーザの眼球204の光軸の回転角θx、θyが算出されると、S506では、θx、θyを用いて、表示部113上でのユーザの視線位置を求める。視線位置を表示部113上での瞳孔302の中心cに対応する座標(Hx,Hy)であるとして、
Hx= m×(Ax×θx+Bx)
Hy= m×(Ay×θy+By)
の関係式から求めることができる。このとき、係数mは、カメラのファインダ光学系の構成で定まる定数で、回転角θx、θyを表示部113上での瞳孔302の中心cに対応する位置座標に変換する変換係数であり、予め決定されてメモリ107に記憶されているとする。
【0050】
また、Ax、Bx、Ay、Byは、ユーザの視線の個人差を補正する視線補正係数であり、キャリブレーション作業を行うことで取得され、視線検出処理が開始する前にメモリ107に記憶されているものとする。
【0051】
上記のように表示部113上での瞳孔302の中心cの座標(Hx,Hy)を算出した後、S507で固視微動による座標ブレの影響を緩和するため、所定期間分平均化する時系列フィルタを座標に適用する。そして、S508においてメモリ107に上記座標を記憶して、視線検出処理を終了する。
【0052】
上記は光源123a、123bの角膜反射像を利用した表示部上での視線座標の取得手法を示したが、それに限られるものではなく、撮像された眼球画像から眼球回転角度を取得する手法であれば本実施形態に適用可能である。
【0053】
図6は、本実施形態1に係る撮像装置100の表示部で検出された視線位置に表示されるポインタなどの表示切り替え処理に関するフローチャートである。また、図7は、本実施形態1に係る撮像装置100の表示部で検出された視線位置に表示されるポインタなどの表示切り替え処理を説明する模式図である。さらに、図8は、本実施形態1に係る撮像装置100の表示部で検出された視線位置に表示されるポインタなどの表示例である。
【0054】
S601では、CPU114は、主被写体を含む撮影領域の画像を取得し、A/D変換部103を介して画像処理部104に出力する。S601で撮影領域の画像が取得されると、S602に進む。
【0055】
S602では、CPU114は、操作部115によるユーザの操作に応じて表示部113に表示する画面を決定する。例えば、電源スイッチをONにする操作やシャッターボタンの半押し等のAFを実行するための操作がなされた場合などは、CPU114は、図7(a)に示すような撮影待機画面を表示部113に表示する。撮影条件やカメラ本体などの設定に関するボタンが操作された場合は、CPU114は、図7(b)に示すようなクイック設定画面やメニュー画面などを表示部113に表示する。S602で、表示部118に表示する画面モードが決定されると、S603に進む。なお、上述した表示部113に表示される画面は、撮影モードの場合の例である。再生モードの場合には、再生画面や再生に関する設定画面などが表示部113に表示される。
【0056】
S603では、画像処理部104は、CPU114からのS602で決定された表示画面に応じた制御命令に従う。例えば、表示部113に撮影待機画面を表示する場合は、撮影に関する情報表示用のGUIを生成し、図7(a)のような、ライブビュー画像に撮影に関する情報表示用のGUIを重畳して表示した表示用画像を生成する。表示部113にクイック設定画面を表示する場合は、設定項目等のユーザにより選択・操作可能なGUI(以下、「表示アイテム」と記載する)を生成し、図7(b)のような、ライブビュー画像に表示アイテムを重畳して表示した表示用画像を生成する。S603で画像の生成がされると、処理はS605の完了と待ち合わせを行い、S606に進む。
【0057】
一方、S604で眼球用撮像素子121は、照明光源123が照射されたユーザの眼球の画像を取得し、画像データを視線検出部120に出力する。S604でユーザの眼球画像を取得すると、処理はS605に進む。
【0058】
S605では、視線検出部120は、前述した視線検出処理によりユーザの視線を検出し、ファインダ内の表示部113に表示される画像における視線座標を算出し、その視線座標をCPU114に出力する。S605でユーザの視線座標が算出されると、処理はS603の完了と待ち合わせを行い、S606に進む。
【0059】
S606では、CPU114は、表示用画像上の視線位置に基づく位置で処理を実行するか否かを判定する。視線位置に基づく位置で処理を実行すると判定される場合は、S607に進み、そうでない場合は、S613に進む。
【0060】
S607では、CPU114は、表示部113に表示されるライブビュー画像と、S605で視線検出部120により出力された視線座標から、ユーザの視線位置がライブビュー画像上にあるか否かを判定する。視線位置がライブビュー画像上にあると判定される場合、S608に進み、そうでない場合、S610に進む。
【0061】
S608では、CPU114は、ライブビュー画像に撮影に関する情報表示用のGUIを重畳して表示した表示用画像(図7(a))が表示されている場合は、ライブビュー画像上のユーザの視線位置に第1ポインタ701を表示する。また、S608では、CPU114は、ライブビュー画像に表示アイテムを重畳して表示した表示用画像(図7(b))が表示されている場合は、ライブビュー画像上のユーザの視線位置に第1ポインタ703を表示する。このように、表示部113に表示される表示用画像は異なるものの、GUIが重畳されていないライブビュー画像上の視線位置に第1ポインタが表示される。
【0062】
なお、図8(a)に示すように、撮影を補助するための表示がされ、撮影を補助するための表示上に視線位置がある場合は、視線位置に第1ポインタ802(第1ポインタ803)を表示する。撮影を補助するための表示は、ライブビュー画像上に水準器、AF枠、被写体検出枠、グリッド線、ヒストグラム表示などである。
【0063】
第1ポインタが表示された表示用画像は、表示制御部112に出力され、EVF等の表示部113に表示される。S608で第1ポインタが表示された表示用画像が表示されると、S609に進む。
【0064】
S609では、CPU114は、第1ポインタ701又は第1ポインタ703が示す視線位置に基づく位置で所定の処理を実行する。所定の処理は、AF処理などである。
【0065】
S610では、CPU114は、S603で画像処理部104により生成されたGUIを含む表示用画像と、S605で視線検出部120により出力された視線座標から、視線位置が表示アイテム上にあるか否かを判定する。視線位置が表示アイテム上にあると判定される場合、S611へ進み、そうでない場合はAに進む。
【0066】
S611では、CPU114は、ユーザの視線位置に第1ポインタとは異なる第2ポインタ704(図7(b))を表示するとともに、ユーザの視線位置に表示されている表示アイテムの表示形態を変更(図7(b)の705)する。図7(b)において、第1ポインタ703は、実線で表示されているのに対し、第2ポインタ704は、点線で表示されていて、第1ポインタと比べて第2ポインタは、明示的ではない。また、図7(b)の705に示すように、視線位置に基づく位置に表示されている表示アイテムの枠線の太さと色を変更することで、操作対象又は選択対象となっていることを明示的に表示する。さらに、表示アイテムのどのあたりに視線が位置しているのかを示すため、上下の枠線の太さを左右方向に変化させて重畳して表示してもよい。
【0067】
また、図8(b)に示すように、CPU114は、ユーザの視線位置に第1ポインタとは異なる第2ポインタ804を表示するとともに、ユーザの視線位置に表示されている表示アイテムの表示形態を変更(図8(b)の805)する。図8(a)において、第1ポインタ802又は803は、実線で表示されているのに対し、第2ポインタ804は、点線で表示されていて、第1ポインタと比べて第2ポインタは、明示的ではない。また、隣接する表示アイテム806のサイズと比べて、視線位置に表示されている表示アイテムのサイズを大きくして表示(図8(b)の805)することで、操作対象又は選択対象となっていることを明示的に表示する。
【0068】
表示部113にカメラ本体の設定画面が表示されている場合は、図8(c)に示すように、ユーザの視線位置に第1ポインタとは異なる第2ポインタ807を表示するとともに、ユーザの視線位置に表示されている項目の表示形態を変更する。図8(a)において、第1ポインタ802又は803は、実線で表示されているのに対し、第2ポインタ807は、点線で表示されていて、第1ポインタと比べて第2ポインタは、明示的ではない。また、項目の背景色を変更したり、グラデーションにしたりするなどして強調表示することで、操作対象又は選択対象となっていることを明示的に表示する。
【0069】
第2ポインタ及び表示形態が変更された表示アイテムが表示された表示用画像は、表示制御部112に出力され、EVF等の表示部113に表示される。S611で表示部113に表示用画像が表示されると、S612に進む。
【0070】
S612では、CPU114は、視線位置に基づく位置に表示される表示アイテムに関する処理を実行する。
【0071】
S606で視線位置に基づく位置で処理を実行しないと判定される場合、例えば、視線位置に撮影に関する情報が表示されている場合(図7(a)や図8(a))、S613では、CPU114は、視線位置に第2ポインタ702又は801を表示する。第1ポインタと比べて第2ポインタ702は、背面にあるGUIの視認性がよくなるように透過度を高くして表示する。また、図8(c)のように、カメラ本体の設定画面において、操作・選択できる項目がない場合、視線位置に第2ポインタ808を表示する。第1ポインタは、実線であるのに対し、第2ポインタ801は、点線で表示する。第1ポインタと比べて第2ポインタ808は、ラインを細くしたり、色を変えたりして表示する。
【0072】
第2ポインタが重畳して表示された表示用画像は、表示制御部112に出力され、EVF等の表示部113に表示され、処理を終了する。
【0073】
このような表示切り替え処理は、ユーザにより撮像装置100の電源がONにされてからOFFにされるまで繰り返される。撮影モードの場合、撮影が継続される間は、S601~S613の処理を繰り返し、再生モードの場合、再生が継続される間は、S607の処理が、視線位置が再生された画像上にあるか否かに変更されること以外は、S601~S613と同じ処理を繰り返す。
【0074】
このように、ライブビュー画像上で視線位置に基づく位置で処理を実行する場合に視線位置に表示するポインタに比べて、視線位置に基づく位置で処理を実行しない場合に表示するポインタは、視認性を低くする。
【0075】
撮像に関する設定画面上やメニュー画面上で、ユーザの視線位置に基づく位置に表示されている表示アイテムに関する処理を実行する場合は、ポインタのサイズによっては、表示アイテムがポインタに隠れてしまう可能性がある。そのため、表示アイテムの視認性が低下し、ユーザの操作性が低くなってしまうことが考えられる。そこで、表示アイテムの表示形態を変更し、ユーザの操作性を向上させる。
【0076】
また、視線位置に表示アイテムが表示されている場合は、ポインタを非表示にしてもよいし、表示アイテムがポインタに隠れないようなポインタのサイズの場合は、第2ポインタを表示しつつ、表示アイテムの表示形態を変更してもよい。
【0077】
なお、視線検出方法としてユーザがファインダを覗くことを前提とした検出方法の例を説明したが、この限りではない。ユーザが背面パネルの表示を見ている場合の視線検出方法としても良い。
【0078】
また、設定項目等の操作可能なGUIによる視線位置の表示について、位置指定が任意の座標となる第1ポインタ及び第2ポインタの表示時とは異なり、特定の座標のGUIが指定対象となる。そのため、視線位置変化の表示分解能はポインタ表示時と同じでなくてもよい。例えば、視線位置の検出性能又は第1ポインタ及び第2ポインタの表示時よりも低い、予め設定された複数段階の分解能で表現してもよい。これにより、表示用画像のGUI生成レートを下げることができ、消費電力の削減を図ることが可能となる。
【0079】
また、視線座標の算出において固視微動の影響を緩和するために常に一定の時系列フィルタを適用する例を説明したが、この限りではない。設定項目等の操作可能なGUIによる視線位置の表示において、視線座標が隣接するGUIの境界でブレが発生することで、強調表示されるGUIの切り替わりが頻繁に発生してしまう。このため、操作可能なGUIによる視線位置の表示時においては、視線座標算出時の時系列フィルタのフィルタ強度を、第1ポインタ及び第2ポインタの表示時よりも高く設定するようにしてもよい。ただし、時系列フィルタのフィルタ強度を高くしてしまうと、ユーザの視線の移動に対する応答性が低下してしまう。そのため、予め設定された閾値以上の単位時間当たりの変位を検出した場合には、フィルタ強度を第1ポインタ及び第2ポインタの表示時と同一にするか、又はフィルタを一時的に適用しないようにしてもよい。
【0080】
また、時系列フィルタのフィルタ強度を高くするのではなく、図9に示すように、GUIの境界904を基準に強調表示するGUIを判定するのではなく、境界904に対してヒステリシスをもった判定境界906、905を適用するようにしてもよい。例えば、視線位置901から視線位置903に視線が移動したとしても、判定境界906を越えない限り、GUI902が強調表示されたままとなり、境界904近傍で視線座標のブレが発生しても表示にブレは発生しない。判定境界906を越えて視線位置907に視線が移動した時、GUI908が強調表示される。GUI908からGUI902に視線が移動する場合は、判定境界905を基準に同様の判定がなされる。
【0081】
<実施形態2>
実施形態2では、視線による位置指定の操作をしている途中で、ユーザによる操作部に対する操作を可能とする。図10は、本実施形態2に係る視線位置に表示されるポインタなどの表示切り替え処理に関するフローチャートであり、図11は、本実施形態2のポインタなどの表示切り替え処理を説明する模式図である。本実施形態2に係る撮像装置100の構成は、実施形態1と同一である。図10のフローチャートにおいて、図6のフローチャートと異なる点以外を以下で説明する。
【0082】
S607で視線位置がライブビュー画像上にあると判定されると、S1001で、CPU114は、ユーザによるダイヤル等の操作部115に対する操作を検知したか否かを判定する。ユーザによる操作部115に対する操作を検知した場合、S1002へ進み、そうでない場合は、S608へ進む。
【0083】
S1002では、CPU114は、視線による位置指定の操作を中断し、S1003へ進む。
【0084】
S1003では、CPU114は、視線位置の最近傍の表示アイテムを起点に操作部115に対する操作を受け付け、S1005へ進む。
【0085】
S1005では、CPU114は、視線による位置指定の操作を再開し、S611へ進む。
【0086】
図11(b)に示すように、ライブビュー画像上に視線位置がある場合に、操作部115による操作を検知すると、CPU114は、視線による位置指定の操作を中断する。そして、視線位置から最近傍に位置する表示アイテム1105を起点として操作部115による操作を反映させる。例えば、ユーザがダイヤルを左方向に1クリック分操作すると、表示アイテム1106に選択位置が移動する。その際、表示アイテム1106の表示形態の変更や第2ポインタの表示は、視線による位置指定の操作が再開されるまでは行わない。視線による位置指定を再開する場合は、例えば、予め割り当てられたボダン操作等を行う。表示アイテム1105を起点とした操作部115による操作の受け付け処理が完了すると、視線による位置指定の操作を再開し、図10のフローチャートのS611に進む。なお、図11(b)のように、操作部による操作を検知する前に、ライブビュー画像上に視線位置がある場合は、視線位置に第1ポインタを表示していてもよい。
【0087】
S610で視線位置が表示アイテム上にあると判定されると、S1001で、CPU114は、ユーザによるダイヤル等の操作部115に対する操作を検知したか否かを判定する。ユーザによる操作部115に対する操作を検知した場合、S1002へ進み、そうでない場合は、S611へ進む。
【0088】
S1002では、CPU114は、視線による位置指定の操作を中断し、S1004へ進む。
【0089】
S1004では、CPU114は、視線位置に表示されている表示アイテムを起点に操作部115に対する操作を受け付け、S1005へ進む。
【0090】
S1005では、CPU114は、視線による位置指定の操作を再開し、S611へ進む。
【0091】
図11(a)に示すように、視線位置に表示アイテムが表示されている場合に、操作部115による操作を検知すると、CPU114は、視線による位置指定の操作を中断し、表示アイテム1102を起点として操作部115による操作を反映させる。例えば、ユーザがダイヤルを左方向に1クリック分操作すると、表示アイテム1103に選択位置が移動する。その際、表示アイテム1103の表示形態の変更や第2ポインタの表示は、視線による位置指定の操作が再開されるまでは行わない。視線による位置指定を再開する場合は、例えば、予め割り当てられたボタン操作等を行う。表示アイテム1102を起点とした操作部115による操作の受け付け処理が完了すると、視線による位置指定の操作を再開し、図10のフローチャートのS611に進む。なお、図11(a)のように、操作部による操作を検知する前に、視線位置に表示アイテムが表示されている場合は、視線位置に表示されている表示アイテムの表示形態を変更していてもよいし、視線位置に第2ポインタを表示していてもよい。
【0092】
このように、視線による位置指定の操作をしている途中でユーザが操作部115による操作を行うことは可能であり、操作部115による操作を検知した時点での視線位置を起点とすることで、ユーザの視線移動を最小限にすることができる。これにより、視線による位置指定の操作と操作部115による操作を併用した時の視認性及び操作性を向上させることができる。
【0093】
<実施形態3>
実施形態3では、視線位置に第1ポインタを表示した後に、ユーザによるシャッターボタンの半押し等によるAF位置の指定操作を検知すると、ユーザが操作部115によるAF操作を可能とする。
【0094】
図12は、本実施形態3に係る視線位置に表示されるポインタなどの表示切り替え処理に関するフローチャートであり、図13は、本実施形態3のポインタなどの表示切り替え処理を説明する模式図である。本実施形態3に係る撮像装置100の構成は、実施形態1と同一である。図12のフローチャートにおいて、図6のフローチャートと異なる点以外を以下で説明する。
【0095】
S608で視線位置に第1ポインタ(図13(a)の1301)が表示された後、S1201では、CPU114は、ユーザによるシャッターボタンの半押し等の、操作部115に対するAF操作を検知したか否かを判定する。AF操作を検知したと判定される場合は、S1202へ進み、そうでない場合は、S609へ進む。
【0096】
S1202では、CPU114は、表示部に撮影待機画面が表示されているか否かを判定する。表示部に撮影待機画面が表示されていると判定される場合は、S1204へ進み、そうでない場合は、S1203へ進む。
【0097】
S1203では、CPU114は、表示部に表示されている画面から撮影待機画面に遷移し、AF位置を決定し、S1205ヘ進む。
【0098】
S1204では、CPU114は、AF位置を決定し、S1205へ進む。
【0099】
S1205では、CPU114は、AF位置で所定の処理を実行する。
【0100】
図13(a)のように、AF位置の指定操作を検知したときに表示部113に表示されている画面がクイック設定画面である場合、CPU114は、表示画面を図13(b)の撮影待機画面に切り替える。そして、画像処理部104は、AF位置の指定操作を検知した時点での視線位置に基づいて被写体認識処理を実行する。
【0101】
被写体認識処理は、例えば、深層学習(ディープラーニング)、すなわち学習済みの畳み込み層を含む多層ニューラルネットワークを用いて特定の被写体領域を推定するものである。画像処理部104が被写体認識の結果をCPU114に出力すると、CPU114は、AF位置を決定し、自動焦点検出部122に認識被写体領域に対する焦点制御を行うように指示を行う。自動焦点検出部122は、レンズ駆動量を算出し、焦点制御部118に焦点レンズの駆動制御を指示すると、焦点制御部118の焦点レンズの駆動制御により認識被写体領域に対する焦点制御が完了する。
【0102】
一方、画像処理部104は、撮影待機画面に被写体認識枠1302を重畳して表示する表示用画像を生成すると、表示用画像を表示制御部112に出力し、EVF等の表示部113に表示される。また、認識被写体領域に対する焦点制御が完了したタイミングで、被写体認識枠1302は強調表示に変更される。
【0103】
AF位置の指定操作を検知したときに表示部113に表示されている画面が撮影待機画面である場合は、上述した通りのAF位置の決定及び焦点制御がされる。
【0104】
このように、視線による位置指定の操作により第1ポインタが表示されている途中でも、ユーザが操作部115によるAF位置指定の操作を行うことが可能となる。瞬時に撮影待機画面への遷移、AF位置の決定及び焦点制御を行うことで、撮影までのタイムラグを最小限にすることができる。これにより、視線による位置指定を利用した操作による操作性を向上することができる。
【0105】
なお、AF位置の決定の際に、視線位置に基づく被写体認識結果を利用する例を説明したが、単純に視線位置をそのままAF位置として決定してもよい。
【0106】
<実施形態4>
図14は、本実施形態4に係る電子機器100の構成の一例を示す模式図である。電子機器としては、例えば、スマートフォンである。図14(a)は、スマートフォン1401の撮影モード画面であり、(b)は、メインメニュー画面である。図14(a)の撮影モード画面において、ライブビュー画像上に視線位置がある場合は、第1ポインタ1402を表示する。第1ポインタ1402の表示位置で、AF処理を実行する。一方、撮影に関する情報表示上に視線位置がある場合は、第1ポインタと比べて透過度の高い第2ポインタ1403を表示する。
【0107】
また、図14(b)のメインメニュー画面において、2つの表示アイテム1405及び1406がグループ化されている。視線位置に表示アイテムが表示されている場合、表示アイテム1405の枠を太くするような表示にするとともに、点線で示した第2ポインタ1404を表示する。一方、メインメニュー画面において、所定の処理を実行しない場合、視線位置には、第1ポインタよりも薄い色の第2ポインタ1407を表示する。
【0108】
このように、撮影モード画面上で視線位置に基づく位置で処理を実行する場合に視線位置に表示するポインタに比べて、視線位置に基づく位置で処理を実行しない場合に表示するポインタは、視認性を低くする。
【0109】
スマートフォン1401のメインメニュー画面上で、ユーザの視線位置に基づく位置に表示されている表示アイテムに関する処理を実行する場合は、ポインタのサイズによっては、表示アイテムがポインタに隠れてしまう可能性がある。そのため、表示アイテムの視認性が低下し、ユーザの操作性が低くなってしまうことが考えられる。そこで、表示アイテムの表示形態を変更し、ユーザの操作性を向上させる。図14(b)の場合は、表示アイテムに比べてポインタのサイズが小さいため、第2ポインタを表示しつつ、表示アイテムの表示形態を変更する。
【0110】
<その他の実施形態>
電子機器100のCPU114が行うものとして説明した上述の各種制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェア(例えば複数のプロセッサや回路)が処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0111】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0112】
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0113】
なお、本実施形態の開示は、以下の構成および方法を含む。
【0114】
(構成1)
表示手段を見るユーザの視線位置を検出する検出手段と、
撮像手段により撮像されたライブビュー画像が前記表示手段に表示され、かつ、前記検出手段により検出された視線位置が、前記ライブビュー画像上で所定の処理が実行される位置である場合、視線位置に第1ポインタを表示するように制御し、
表示アイテムが前記表示手段に表示され、かつ、前記検出手段により検出された視線位置が、前記表示アイテムに関する処理が実行される位置である場合、前記表示アイテムの表示形態を変更するように制御し、
前記検出手段により検出された視線位置が、所定の処理が実行されない位置である場合、視線位置に前記第1ポインタと比べて明示的でない前記第2ポインタを表示するように制御する制御手段とを有することを特徴とする電子機器。
【0115】
(構成2)
前記表示アイテムのサイズは、前記第2ポインタのサイズに対して、所定の値以下であることを特徴とする構成1に記載の電子機器。
【0116】
(構成3)
前記表示アイテムが前記表示手段に表示され、かつ、前記検出手段により検出された視線位置が、前記表示アイテムに関する処理が実行される位置である場合、
前記制御手段が、視線位置に前記第2ポインタを表示するように制御することを特徴とする構成1又は2に記載の電子機器。
【0117】
(構成4)
前記第1ポインタ及び前記第2ポインタが線で表される場合、
前記制御手段は、前記第1ポインタ及び前記第2ポインタの前記線の透過率、色、太さ、種類、又は数を変更して表示するように制御することを特徴とする構成1乃至3のいずれか1項に記載の電子機器。
【0118】
(構成5)
前記ライブビュー画像に前記撮像手段による撮像を補助するための情報が重畳して表示され、かつ、視線位置に前記撮像を補助するための情報が表示されている場合、
前記制御手段は、視線位置に前記第1ポインタを表示するように制御することを特徴とする構成1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【0119】
(構成6)
前記撮像を補助するための情報は、前記電子機器の傾きに関する情報、検出された被写体の位置やフォーカス位置を示す情報、前記撮像手段により撮像された画像の明るさに関する情報であることを特徴とする構成5に記載の電子機器。
【0120】
(構成7)
前記表示アイテムの表示形態は、前記表示アイテムの枠の太さ又は色、前記表示アイテムの背景色、前記表示アイテムの表示サイズの少なくとも1つを変更することを特徴とする構成1乃至6のいずれか1項に記載の電子機器。
【0121】
(構成8)
ユーザによる操作を受け付けるための操作手段をさらに有し、
前記操作手段による操作を受け付けた場合、前記制御手段は、視線による操作を中断し、中断時の視線位置の最近傍の表示アイテムを起点として、前記操作手段による操作を行うように制御することを特徴とする構成1乃至7のいずれか1項に記載の電子機器。
【0122】
(構成9)
ユーザによる操作を受け付けるための操作手段をさらに有し、
前記第1ポインタ表示中に前記操作手段によりAF処理を実行するための操作を受け付けた場合、
前記制御手段は、撮影待機画面でなければ撮影待機画面への切り替えとAF位置の決定を行うように制御することを特徴とする構成1乃至7のいずれか1項に記載の電子機器。
【0123】
(構成10)
表示手段を見るユーザの視線位置を検出する検出ステップと、
撮像手段により撮像されたライブビュー画像が前記表示手段に表示され、かつ、前記検出手段により検出された視線位置が、前記ライブビュー画像上で所定の処理が実行される位置である場合、視線位置に第1ポインタを表示するように制御し、
表示アイテムが前記表示手段に表示され、かつ、前記検出手段により検出された視線位置が、前記表示アイテムに関する処理が実行される位置である場合、前記表示アイテムの表示形態を変更するように制御し、
前記検出手段により検出された視線位置が、所定の処理が実行されない位置である場合、視線位置に前記第1ポインタと比べて明示的でない前記第2ポインタを表示するように制御する制御ステップとを有することを特徴とする電子機器の制御方法。
【0124】
(構成11)
コンピュータに構成10に記載の電子機器の制御方法を実行させるためのプログラム。
【0125】
(構成12)
コンピュータに構成10に記載の電子機器の制御方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
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