(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173045
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】シート搬送装置およびシート搬送装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B65H 31/00 20060101AFI20241205BHJP
B65H 29/38 20060101ALI20241205BHJP
B65H 29/26 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65H31/00 Z
B65H29/38
B65H29/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091165
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】596025412
【氏名又は名称】株式会社ホリゾン
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】加藤 崇裕
(72)【発明者】
【氏名】西村 理
(72)【発明者】
【氏名】柏木 康平
【テーマコード(参考)】
3F054
3F106
【Fターム(参考)】
3F054AA04
3F054AA06
3F054AB01
3F054BA02
3F054BB08
3F054BB09
3F054BD03
3F054BD10
3F054BF07
3F054BF14
3F054BG11
3F054BJ05
3F054BJ07
3F106HA02
3F106HA08
3F106HA15
3F106HA17
3F106LB09
(57)【要約】
【課題】落下するシートを対応する集積部に確実に集積させ、かつ複数の集積部に集積されたシートを積み重ねて移動させる。
【解決手段】第1列および第2列のシートS1を第1集積部21および第2集積部22に集積するシート集積部20と、集積されたシートを第2搬送方向TD2に沿って搬送する第2搬送部30と、第1列のシートS1が第1集積部21に落下し、かつ第2列のシートS1が第2集積部22に落下するように案内する案内部材41と、案内部材41の下端よりも搬送部材31の上端が上方に配置される搬入状態と、案内部材41の下端よりも搬送部材31の上端が下方に配置される搬出状態とを切り替える調整部50と、第1搬送部10がシートを落下させる際に搬入状態となり、第2搬送部30がシートS1を搬出する際に搬出状態となるよう調整部50を制御する制御部と、を備えるシート搬送装置100を提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1搬送方向に沿って複数列でシートを搬送するとともに落下位置から下方に落下させる第1搬送部と、
前記第1搬送方向と交差する第2搬送方向の上流側から下流側に向けて高さ方向の位置が漸次増加する第1傾斜面を有する第1集積部と、前記第2搬送方向の上流側から下流側に向けて前記高さ方向の位置が漸次増加する第2傾斜面を有する第2集積部とを有し、前記落下位置から落下する第1列の前記シートを前記第1集積部に集積し、前記落下位置から落下する第2列の前記シートを前記第2集積部に集積するシート集積部と、
前記第2搬送方向に沿って搬送部材を移動させることにより、前記第1傾斜面に集積された第1群の前記シートを前記第2傾斜面に集積された第2群の前記シートの上方に積み重ね、積み重ねられた前記シートを前記第2搬送方向に沿って搬送する第2搬送部と、
前記シート集積部の上方で前記第2搬送方向の前記第1集積部と前記第2集積部の間に前記高さ方向の延びるように配置されるとともに前記落下位置から落下する第1列の前記シートが前記第1集積部に落下し、かつ前記落下位置から落下する第2列の前記シートが前記第2集積部に落下するように案内する案内部材を有するシート案内部と、
前記案内部材の前記高さ方向の下端よりも前記搬送部材の前記高さ方向の上端が上方に配置される搬入状態と、前記案内部材の前記高さ方向の下端よりも前記搬送部材の前記高さ方向の上端が下方に配置される搬出状態とを切り替えるよう前記第2搬送部に対する前記シート案内部の前記高さ方向の位置を調整する調整部と、
前記第1搬送部が前記落下位置から前記シートを落下させる際に前記搬入状態となり、前記第2搬送部が前記シート集積部に集積された前記シートを搬出する際に前記搬出状態となるよう前記調整部を制御する制御部と、を備えるシート搬送装置。
【請求項2】
前記第1搬送方向の前記シート集積部よりも下流側に前記第2搬送方向および前記高さ方向に延びるように配置されるとともに前記落下位置から落下する前記シートの前記第1搬送方向の先端が突き当てられるストッパを備える請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記第1搬送方向の前記シート集積部よりも上流側に前記第2搬送方向および前記高さ方向に延びるように配置されるとともに前記落下位置から落下する前記シートの前記第1搬送方向の後端を位置決めする位置決め部と、
前記第1搬送方向において、前記位置決め部と前記ストッパとの中間位置に前記搬送部材が配置されるように、前記位置決め部に対する前記搬送部材および前記ストッパの位置を切り替える切替部を備える請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記案内部材は、前記第1集積部の前記第1傾斜面の前記第2搬送方向の下流側の端部に配置される請求項1または請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記搬入状態における前記シート集積部から前記落下位置までの第1距離が前記搬出状態における前記シート集積部から前記落下位置までの第2距離よりも短くなるよう前記調整部を制御する請求項1または請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
シート搬送装置の制御方法であって、
前記シート搬送装置は、
第1搬送方向に沿って複数列でシートを搬送するとともに落下位置から下方に落下させる第1搬送部と、
前記第1搬送方向と交差する第2搬送方向の上流側から下流側に向けて高さ方向の位置が漸次増加する第1傾斜面を有する第1集積部と、前記第2搬送方向の上流側から下流側に向けて前記高さ方向の位置が漸次増加する第2傾斜面を有する第2集積部とを有し、前記落下位置から落下する第1列の前記シートを前記第1集積部に集積し、前記落下位置から落下する第2列の前記シートを前記第2集積部に集積するシート集積部と、
前記第2搬送方向に沿って搬送部材を移動させることにより、前記第1傾斜面に集積された第1群の前記シートを前記第2傾斜面に集積された第2群の前記シートの上方に積み重ね、積み重ねられた前記シートを前記第2搬送方向に沿って搬送する第2搬送部と、
前記シート集積部の上方で前記第2搬送方向の前記第1集積部と前記第2集積部の間に前記高さ方向に延びるように配置されるとともに前記落下位置から落下する第1列の前記シートが前記第1集積部に落下し、かつ前記落下位置から落下する第2列の前記シートが前記第2集積部に落下するように案内する案内部材を有するシート案内部と、を備え、
前記案内部材の前記高さ方向の下端よりも前記搬送部材の前記高さ方向の上端が上方に配置される搬入状態と、前記案内部材の前記高さ方向の下端よりも前記搬送部材の前記高さ方向の上端が下方に配置される搬出状態とを切り替えるよう前記第2搬送部に対する前記シート案内部の前記高さ方向の位置を調整する調整工程と、
前記調整工程が前記搬入状態とする場合に、前記落下位置から前記シートを落下させるよう前記第1搬送部を制御する第1搬送工程と、
前記調整工程が前記搬出状態とする場合に、前記シート集積部に集積された前記シートを搬出するよう前記第2搬送部を制御する第2搬送工程と、を備えるシート搬送装置の制御方法。
【請求項7】
前記シート搬送装置は、前記第1搬送方向の前記シート集積部よりも下流側に前記第2搬送方向および前記高さ方向に延びるように配置されるとともに前記落下位置から落下する前記シートの前記第1搬送方向の先端が突き当てられるストッパを備える請求項6に記載のシート搬送装置の制御方法。
【請求項8】
前記シート搬送装置は、前記第1搬送方向の前記シート集積部よりも上流側に前記第2搬送方向および前記高さ方向に延びるように配置されるとともに前記落下位置から落下する前記シートの前記第1搬送方向の後端を位置決めする位置決め部を備え、
前記第1搬送方向において、前記位置決め部と前記ストッパとの中間位置に前記搬送部材が配置されるように、前記位置決め部に対する前記搬送部材および前記ストッパの位置を切り替える切替工程を備える請求項7に記載のシート搬送装置の制御方法。
【請求項9】
前記案内部材は、前記第1集積部の前記第1傾斜面の前記第2搬送方向の下流側の端部に配置される請求項6または請求項7に記載のシート搬送装置の制御方法。
【請求項10】
前記調整工程は、前記搬入状態における前記シート集積部から前記落下位置までの第1距離が前記搬出状態における前記シート集積部から前記落下位置までの第2距離よりも短くなるよう前記シート集積部の前記高さ方向の位置を調整する請求項6または請求項7に記載のシート搬送装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置およびシート搬送装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の方向に並んだ複数列のカードをカード排出機構からカード支持機構へ排出し、カード支持機構が受け取った複数列のカードをカード集積機構が所定方向と平行なカード押出方向に押し出すことにより、カードを所定の位置に集積するカード集積装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、カード支持機構が備える複数のカード受け部を、水平状態から、カード押出方向の上流側に位置するカードの列が下流側に位置するカードの列に乗り上がるように斜めに支持する状態に切り替える。複数のカード受け部がカードを斜めに支持する状態で複数列のカードを押し出すことにより、複数列のカードが一纏めに集積された状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、上方から落下する複数列のカードをカード排出機構の複数のスタックトレイに集積する際に、所定の列のカードが所定の列に対応するスタックトレイに集積されずに隣接する他のスタックトレイに誤って集積されてしまう可能性がある。例えば、カードが落下する際に生じる気流の変化などにより、所定の列のカードが所定の列に対応するスタックトレイに集積されずに隣接する他のスタックトレイに集積されてしまう可能性がある。
【0005】
また、特許文献1では、複数列のカードを搬送方向に落下させてカード排出機構に集積した後に、カード排出機構からガード支持機構へ複数列のカードを押し出して排出するため、搬送方向に沿った装置のサイズがカード排出機構とカード支持機構の双方を合計した比較的大きいサイズとなってしまう。
【0006】
本発明は以上の問題に鑑みてなされたものであり、複数列で第1搬送方向に搬送されて落下位置から下方へ落下するシートを対応するそれぞれの集積部に確実に集積させ、かつ第1搬送方向のサイズを大きくすることなく複数の集積部に集積されたシートを積み重ねて第2搬送方向に沿って移動させることが可能なシート搬送装置およびシート搬送装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るシート搬送装置は、第1搬送方向に沿って複数列でシートを搬送するとともに落下位置から下方に落下させる第1搬送部と、前記第1搬送方向と交差する第2搬送方向の上流側から下流側に向けて高さ方向の位置が漸次増加する第1傾斜面を有する第1集積部と、前記第2搬送方向の上流側から下流側に向けて前記高さ方向の位置が漸次増加する第2傾斜面を有する第2集積部とを有し、前記落下位置から落下する第1列の前記シートを前記第1集積部に集積し、前記落下位置から落下する第2列の前記シートを前記第2集積部に集積するシート集積部と、前記第2搬送方向に沿って搬送部材を移動させることにより、前記第1傾斜面に集積された第1群の前記シートを前記第2傾斜面に集積された第2群の前記シートの上方に積み重ね、積み重ねられた前記シートを前記第2搬送方向に沿って搬送する第2搬送部と、前記シート集積部の上方で前記第2搬送方向の前記第1集積部と前記第2集積部の間に前記高さ方向に延びるように配置されるとともに前記落下位置から落下する第1列の前記シートが前記第1集積部に落下し、かつ前記落下位置から落下する第2列の前記シートが前記第2集積部に落下するように案内する案内部材を有するシート案内部と、前記案内部材の前記高さ方向の下端よりも前記搬送部材の前記高さ方向の上端が上方に配置される搬入状態と、前記案内部材の前記高さ方向の下端よりも前記搬送部材の前記高さ方向の上端が下方に配置される搬出状態とを切り替えるよう前記第2搬送部に対する前記シート案内部の前記高さ方向の位置を調整する調整部と、前記第1搬送部が前記落下位置から前記シートを落下させる際に前記搬入状態となり、前記第2搬送部が前記シート集積部に集積された前記シートを搬出する際に前記搬出状態となるよう前記調整部を制御する制御部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係るシート搬送装置によれば、第1搬送部により搬送される複数列のシートが落下位置から下方に落下し、第1列のシートが第1集積部に集積され、第2列のシートが第2集積部に集積される。第1搬送部が落下位置からシートを落下させる際に、案内部材の高さ方向の下端よりも搬送部材の高さ方向の上端が上方に配置される搬入状態となるよう調整部が制御される。案内部材の下端が搬送部材の上端よりも下方に位置するため、第1列のシートが第1集積部に落下し、かつ第2列のシートが第2集積部に落下するように案内される。そのため、複数列で搬送されて落下位置から下方へ落下するシートを対応するそれぞれの集積部に確実に集積させることができる。
【0009】
また、本発明の一態様に係るシート搬送装置によれば、第2搬送部がシート集積部に集積されたシートを搬出する際に、案内部材の高さ方向の下端よりも搬送部材の高さ方向の上端が下方に配置される搬出状態となるよう調整部が制御される。案内部材の下端が搬送部材の上端よりも上方に位置するため、第2搬送方向に移動して各集積部のシートを押し出す搬送部材が案内部材に接触することがない。そして、搬送部材を第2搬送方向に沿って移動させることにより、第1集積部に集積された第1群のシートが第1傾斜面に沿って高さ方向の上方に移動し、第2集積部に集積された第2群のシートの上方に積み重ねられ、積み重ねられたシートが第2搬送方向に沿って移動する。このように、本発明の一態様に係るシート搬送装置によれば、複数の集積部の集積されたシートを積み重ねて第2搬送方向に沿って移動させることができる。
【0010】
本発明の一態様に係るシート搬送装置においては、前記第1搬送方向の前記シート集積部よりも下流側に前記第2搬送方向および前記高さ方向に延びるように配置されるとともに前記落下位置から落下する前記シートの前記第1搬送方向の先端が突き当てられるストッパを備える構成としてもよい。
【0011】
本構成のシート搬送装置によれば、第1搬送方向のシート集積部よりも下流側に第2搬送方向および高さ方向に延びるようにストッパが配置される。落下位置から落下するシートの第1搬送方向に移動しても、シートの先端がストッパに接触し、第1搬送方向への更なるシートの移動が規制される。そのため、シートが第1搬送方向に沿って移動してシート集積部に集積されない不具合を防止することができる。
【0012】
本発明の一態様に係るシート搬送装置においては、前記第1搬送方向の前記シート集積部よりも上流側に前記第2搬送方向および前記高さ方向に延びるように配置されるとともに前記落下位置から落下する前記シートの前記第1搬送方向の後端を位置決めする位置決め部と、前記第1搬送方向において、前記位置決め部と前記ストッパとの中間位置に前記搬送部材が配置されるように、前記位置決め部に対する前記搬送部材および前記ストッパの位置を切り替える切替部を備える構成としてもよい。
【0013】
本構成のシート搬送装置によれば、位置決め部とストッパとの中間位置に搬送部材が配置されるように、位置決め部に対する搬送部材およびストッパの位置が切り替えられる。シートのサイズに応じて位置決め部からストッパまでの第1搬送方向の距離を切り替えた際に、位置決め部とストッパとの中間位置に搬送部材が配置される。そのため、第2搬送方向に沿って搬送部材を移動させる際に、第1集積部に集積するシートおよび第2集積部に集積するシートの第1搬送方向の中間位置を安定して押し出すことができる。
【0014】
本発明の一態様に係るシート搬送装置において、前記案内部材は、前記第1集積部の前記第1傾斜面の前記第2搬送方向の下流側の端部に配置される構成としてもよい。
本構成のシート搬送装置によれば、案内部材が第1傾斜面の第2搬送方向の下流側の端部に配置されるため、第1傾斜面のうち最も高い位置において第1傾斜面と案内部材とが対向する。そのため、案内部材の下端と第1傾斜面との間の高さ方向の距離が第2搬送方向において最も短くなる。よって、案内部材の下端と第1傾斜面との間から隣接する他の集積部にシートが集積される不具合を適切に防止することができる。
【0015】
本発明の一態様に係るシート搬送装置において、前記制御部は、前記搬入状態における前記シート集積部から前記落下位置までの第1距離が前記搬出状態における前記シート集積部から前記落下位置までの第2距離よりも短くなるよう前記調整部を制御する構成としてもよい。
本構成のシート搬送装置によれば、搬入状態において、シート集積部から落下位置までの第1距離を搬出状態よりも短くすることで、シートがシート集積部に安定して積載されるようにすることができる。また、搬出状態において、シート集積部から落下位置までの第2距離を搬入状態よりも長くすることで、シート集積部に集積可能なシートの枚数を十分に確保することができる。
【0016】
本発明の一態様に係るシート搬送装置の制御方法において、前記シート搬送装置は、第1搬送方向に沿って複数列でシートを搬送するとともに落下位置から下方に落下させる第1搬送部と、前記第1搬送方向と交差する第2搬送方向の上流側から下流側に向けて高さ方向の位置が漸次増加する第1傾斜面を有する第1集積部と、前記第2搬送方向の上流側から下流側に向けて前記高さ方向の位置が漸次増加する第2傾斜面を有する第2集積部とを有し、前記落下位置から落下する第1列の前記シートを前記第1集積部に集積し、前記落下位置から落下する第2列の前記シートを前記第2集積部に集積するシート集積部と、前記第2搬送方向に沿って搬送部材を移動させることにより、前記第1傾斜面に集積された第1群の前記シートを前記第2傾斜面に集積された第2群の前記シートの上方に積み重ね、積み重ねられた前記シートを前記第2搬送方向に沿って搬送する第2搬送部と、前記シート集積部の上方で前記第2搬送方向の前記第1集積部と前記第2集積部の間に前記高さ方向に延びるように配置されるとともに前記落下位置から落下する第1列の前記シートが前記第1集積部に落下し、かつ前記落下位置から落下する第2列の前記シートが前記第2集積部に落下するように案内する案内部材を有するシート案内部と、を備え、前記案内部材の前記高さ方向の下端よりも前記搬送部材の前記高さ方向の上端が上方に配置される搬入状態と、前記案内部材の前記高さ方向の下端よりも前記搬送部材の前記高さ方向の上端が下方に配置される搬出状態とを切り替えるよう前記第2搬送部に対する前記シート案内部の前記高さ方向の位置を調整する調整工程と、前記調整工程が前記搬入状態とする場合に、前記落下位置から前記シートを落下させるよう前記第1搬送部を制御する第1搬送工程と、前記調整工程が前記搬出状態とする場合に、前記シート集積部に集積された前記シートを搬出するよう前記第2搬送部を制御する第2搬送工程と、を備える。
【0017】
本発明の一態様に係るシート搬送装置の制御方法によれば、第1搬送部により搬送される複数列のシートが落下位置から下方に落下し、第1列のシートが第1集積部に集積され、第2列のシートが第2集積部に集積される。第1搬送部が落下位置からシートを落下させる際に、案内部材の高さ方向の下端よりも搬送部材の高さ方向の上端が上方に配置される搬入状態となるよう調整部が制御される。案内部材の下端が搬送部材の上端よりも下方に位置するため、第1列のシートが第1集積部に落下し、かつ第2列のシートが第2集積部に落下するように案内される。そのため、複数列で搬送されて落下位置から下方へ落下するシートを対応するそれぞれの集積部に確実に集積させることができる。
【0018】
また、本発明の一態様に係るシート搬送装置の制御方法によれば、第2搬送部がシート集積部に集積されたシートを搬出する際に、案内部材の高さ方向の下端よりも搬送部材の高さ方向の上端が下方に配置される搬入状態となるよう調整部が制御される。案内部材の下端が搬送部材の上端よりも上方に位置するため、第2搬送方向に移動して各集積部のシートを押し出す搬送部材が案内部材に接触することがない。そして、搬送部材を第2搬送方向に沿って移動させることにより、第1集積部に集積された第1群のシートが第1傾斜面に沿って高さ方向の上方に移動し、第2集積部に集積された第2群のシートの上方に積み重ねられ、積み重ねられたシートが第2搬送方向に沿って移動する。このように、本発明の一態様に係るシート搬送装置によれば、複数の集積部の集積されたシートを積み重ねて第2搬送方向に沿って移動させることができる。
【0019】
本発明の一態様に係るシート搬送装置の制御方法において、前記シート搬送装置は、前記第1搬送方向の前記シート集積部よりも下流側に前記第2搬送方向および前記高さ方向に延びるように配置されるとともに前記落下位置から落下する前記シートの前記第1搬送方向の先端が突き当てられるストッパを備える構成としてもよい。
【0020】
本構成のシート搬送装置の制御方法によれば、第1搬送方向の集積部よりも下流側に第2搬送方向および高さ方向に延びるようにストッパが配置される。落下位置から落下するシートの第1搬送方向に移動しても、シートの先端がストッパに接触し、第1搬送方向への更なるシートの移動が規制される。そのため、シートが第1搬送方向に沿って移動してシート集積部に集積されない不具合を防止することができる。
【0021】
本発明の一態様に係るシート搬送装置の制御方法において、前記シート搬送装置は、前記第1搬送方向の前記シート集積部よりも上流側に前記第2搬送方向および前記高さ方向に延びるように配置されるとともに前記落下位置から落下する前記シートの前記第1搬送方向の後端を位置決めする位置決め部を備え、前記第1搬送方向において、前記位置決め部と前記ストッパとの中間位置に前記搬送部材が配置されるように、前記位置決め部に対する前記搬送部材および前記ストッパの位置を切り替える切替工程を備える構成としてもよい。
【0022】
本構成のシート搬送装置の制御方法によれば、位置決め部とストッパとの中間位置に搬送部材が配置されるように、位置決め部に対する搬送部材およびストッパの位置が切り替えられる。シートのサイズに応じて位置決め部からストッパまでの第1搬送方向の距離を切り替えた際に、位置決め部とストッパとの中間位置に搬送部材が配置される。そのため、第2搬送方向に沿って搬送部材を移動させる際に、第1集積部に集積するシートおよび第2集積部に集積するシートの第1搬送方向の中間位置を安定して押し出すことができる。
【0023】
本発明の一態様に係るシート搬送装置の制御方法において、前記案内部材は、前記第1集積部の前記第1傾斜面の前記第2搬送方向の下流側の端部に配置される構成としてもよい。
本構成のシート搬送装置の制御方法によれば、案内部材が第1傾斜面の第2搬送方向の下流側の端部に配置されるため、第1傾斜面のうち最も高い位置において第1傾斜面と案内部材とが対向する。そのため、案内部材の下端と第1傾斜面との間の高さ方向の距離が第2搬送方向において最も短くなる。よって、案内部材の下端と第1傾斜面との間から隣接する他の集積部にシートが集積される不具合を適切に防止することができる。
【0024】
本発明の一態様に係るシート搬送装置の制御方法において、前記調整工程は、前記搬入状態における前記シート集積部から前記落下位置までの第1距離が前記搬出状態における前記シート集積部から前記落下位置までの第2距離よりも短くなるよう前記シート集積部の前記高さ方向の位置を調整する構成としてもよい。
本構成のシート搬送装置の制御方法によれば、搬入状態において、シート集積部から落下位置までの第1距離を搬出状態よりも短くすることで、シートがシート集積部に安定して積載されるようにすることができる。また、搬出状態において、シート集積部から落下位置までの第2距離を搬入状態よりも長くすることで、シート集積部に集積可能なシートの枚数を十分に確保することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、複数列で第1搬送方向されて落下位置から下方へ落下するシートを対応するそれぞれの集積部に確実に集積させ、かつ複数の集積部に集積されたシートを積み重ねて第2搬送方向に沿って移動させることが可能なシート搬送装置およびシート搬送装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシート処理システムを示す図である。
【
図2】
図1のシート搬送装置を示す正面図であり、ストッパから位置決め部までの距離を第1長さとした状態を示す。
【
図3】
図2に示すシート搬送装置の左側面図であり、シート集積部にシートを集積させる搬入状態を示す。
【
図4】
図2に示すシート搬送装置の左側面図であり、シート集積部に集積されたシートを搬出する搬出状態を示す。
【
図5】
図2に示すシート搬送装置の左側面図であり、シート集積部に集積されたシートを搬出する搬出状態を示す。
【
図6】
図2に示すシート搬送装置の左側面図であり、シート集積部に集積されたシートを搬出する搬出状態を示す。
【
図7】
図4に示すシート搬送装置を上方からみた平面図である。
【
図8】シート集積部および第2搬送部を上方からみた平面図である。
【
図9】
図1のシート搬送装置を示す正面図であり、ストッパから位置決め部までの距離を第2長さとした状態を示す。
【
図10】本発明の一実施形態に係るシート搬送装置の制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一実施形態に係るシート搬送装置100を含むシート処理システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るシート処理システム1を示す図である。本実施形態のシート処理システム1は、シート搬送装置100と、給紙装置200と、抜き装置300と、分離装置400と、を備える。
【0028】
給紙装置200は、集積部210に集積された複数枚のシートS0を1枚ずつシート給送部220により抜き装置300へ第1搬送方向TD1に沿って給送する装置である。
【0029】
抜き装置300は、それぞれ
図1中の矢印の向きに回転する抜きローラ310および抜きローラ320が対向する位置にシートS0を通過させることにより、シートS0から複数のシートS1を抜き出す装置である。抜きローラ310および抜きローラ320には、シートS0から複数のシートS1を抜き出すためにシートS0に挿入される抜き型が形成されている。
【0030】
抜き装置300は、シート給送部220により給送されるシートS0を、搬送ローラ330および搬送ベルト340により第1搬送方向TD1に沿って抜きローラ310および抜きローラ320が対向する位置に搬送する。抜きローラ310および抜きローラ320を通過したシートS0は、分離装置400へ搬送される。
【0031】
分離装置400は、抜き装置300によりシートS0から抜き出される複数のシートS1を、シートS0から分離する装置である。分離装置400は、抜き装置300から搬送されるシートS0を搬送ベルト410により分離部420へ搬送する。分離部420は、複数のシートS1をシートS0から分離して搬送ベルト430へ搬送し、複数のシートS1が分離されたシートS0を下方へ排出する。搬送ベルト430は、第1搬送方向TD1に沿って複数のシートS1をシート搬送装置100へ搬送する。
【0032】
次に、図面を参照してシート搬送装置100について説明する。
図2は、
図1のシート搬送装置100を示す正面図である。
図3は、
図2に示すシート搬送装置100の左側面図でありシート集積部20にシートS1を集積させる搬入状態を示す。
図4から
図6は、
図2に示すシート搬送装置100の左側面図であり、シート集積部20に集積されたシートS1を搬出する搬出状態を示す。
図7は、
図4に示すシート搬送装置100を上方からみた平面図である。
図3から
図7では、シート搬送装置100の一部の構成の図示を省略している。
【0033】
図2に示すように、シート搬送装置100は、第1搬送部10と、シート集積部20と、第2搬送部30と、シート案内部40と、調整部50と、ストッパ(端板)60と、位置決め部65と、切替部70と、制御部80と、を備える。
【0034】
第1搬送部10は、第1搬送方向TD1に沿って複数列でシートS1を搬送するとともに落下位置P0から高さ方向HDの下方に落下させる装置である。第1搬送部10は、第1搬送方向TD1の上流側から下流側に向けて、一対の搬送ローラ11と、一対の搬送ローラ12と、一対の搬送ローラ13と、を有する。
図7に示すように、第1搬送部10は、幅方向WDに複数列(
図7に示す例では5列)でシートS1を搬送し、シートS1を落下位置P0からシート集積部20に向けて下方に落下させる。
【0035】
シート集積部20は、落下位置P0から落下する複数列のシートS1を集積する装置である。
図7に示すように、シート集積部20は、第1列Co1のシートS1を集積する一対の第1集積部21と、第2列Co2のシートS1を集積する一対の第2集積部22と、第3列Co3のシートS1を集積する一対の第3集積部23と、第4列Co4のシートS1を集積する一対の第4集積部24と、第5列Co5のシートS1を集積する一対の第5集積部25と、積み重ねられたシートS1を支持するための一対の支持部26と、本体部27と、を有する。第1集積部21,第2集積部22,第3集積部23,第4集積部24,第5集積部25、および支持部26は、本体部27に取り付けられている。
【0036】
図3から
図6に示す第2搬送方向TD2は、シート集積部20に集積されるシートS1を搬送する方向であり、第1搬送方向TD1と直交する(交差する)方向である。
図3から
図6に示すように、第1集積部21は、第2搬送方向TD2の上流側から下流側に向けて高さ方向HDの位置が一定の勾配で漸次増加する第1傾斜面21aを有する。第2集積部22は、第2搬送方向TD2の上流側から下流側に向けて高さ方向HDの位置が一定の勾配で漸次増加する第2傾斜面22aを有する。
【0037】
第3集積部23は、第2搬送方向TD2の上流側から下流側に向けて高さ方向HDの位置が一定の勾配で漸次増加する第3傾斜面23aを有する。第4集積部24は、第2搬送方向TD2の上流側から下流側に向けて高さ方向HDの位置が一定の勾配で漸次増加する第4傾斜面24aを有する。第5集積部25は、第2搬送方向TD2の上流側から下流側に向けて高さ方向HDの位置が一定の勾配で漸次増加する第5傾斜面25aを有する。支持部26は、第2搬送方向TD2の上流側から下流側に向けて高さ方向HDの位置が一定の支持面26aを有する。
【0038】
第2搬送部30は、第2搬送方向TD2に沿って搬送部材31を移動させることにより、第1集積部21,第2集積部22,第3集積部23,第4集積部24,第5集積部25のそれぞれに集積されたシートS1を積み重ね、積み重ねられたシートを第2搬送方向TD2に沿って移動させる装置である。第2搬送部30は、
図3から
図6に矢印で示す回転方向に沿って回転することにより搬送部材31を第2搬送方向TD2に沿って移動させる駆動機構32を備える。
【0039】
第2搬送部30は、
図3に示す第2搬送方向TD2の上流側の位置から第1集積部21へ向けて搬送部材31を移動させ、第1傾斜面21aに集積された第1群のシートS1を、第2傾斜面22aに集積された第2群のシートS1の上方に積み重ねる。第2搬送部30は、搬送部材31を第2搬送方向TD2に沿って更に移動させることにより、第2傾斜面22aに集積されたシートS1を第3傾斜面23aに集積された第3群のシートS1の上方に積み重ねる。
【0040】
また、第3傾斜面23aに集積されたシートS1を第4傾斜面24aに集積された第4群のシートS1の上方に積み重ねる。また、第4傾斜面24aに集積されたシートS1を第5傾斜面25aに集積された第5群のシートS1の上方に積み重ねて
図5に示す状態とする。
図6に示すように、第2搬送部30は、第4傾斜面24aに集積されたシートS1を支持部26の支持面26aに沿って移動させてシート搬送装置100の外部へ搬送する。
【0041】
搬送部材31は、断面が矩形の棒状部材である。搬送部材31は、第1集積部21から支持部26に向けて第2搬送方向TD2に沿って移動する際に、高さ方向HDに沿って延びるように配置される。搬送部材31は、第2搬送方向TD2と直交する面をシートS1に突き当てることにより、シートS1を第2搬送方向TD2に沿って移動させる。
【0042】
図8は、シート集積部20および第2搬送部30を上方からみた平面図である。
図8に示すように、シート集積部20の本体部27には、第1集積部21の上流側から支持部26まで第2搬送方向TD2に沿って延びるスリット27aが形成されている。搬送部材31は、スリット27aに挿入された状態で、第1集積部21の上流側から支持部26まで第2搬送方向TD2に沿って移動する。
【0043】
シート案内部40は、第1搬送部10の落下位置P0から落下する複数列のシートS1が第1集積部21,第2集積部22,第3集積部23,第4集積部24,第5集積部25のそれぞれに落下するように案内する装置である。シート案内部40は、板状に形成される案内部材41,42,43,44,45と、案内部材41,42,43,44,45が取り付けられる本体部46と、を備える。
【0044】
案内部材41は、シート集積部20の上方で第2搬送方向TD2の第1集積部21と第2集積部22の間に高さ方向HDに延びるように配置されるとともに落下位置P0から落下する第1列Co1のシートS1が第1集積部21に落下し、かつ落下位置P0から落下する第2列Co2のシートS1が第2集積部22に落下するように案内する。案内部材41は、第1集積部21の第1傾斜面21aの第2搬送方向TD2の下流側に端部に配置される。
【0045】
案内部材42は、シート集積部20の上方で第2搬送方向TD2の第2集積部22と第3集積部23の間に高さ方向HDに延びるように配置されるとともに落下位置P0から落下する第2列Co2のシートS1が第2集積部22に落下し、かつ落下位置P0から落下する第3列Co3のシートS1が第3集積部23に落下するように案内する。案内部材42は、第2集積部22の第2傾斜面22aの第2搬送方向TD2の下流側に端部に配置される。
【0046】
案内部材43は、シート集積部20の上方で第2搬送方向TD2の第3集積部23と第4集積部24の間に高さ方向HDに延びるように配置されるとともに落下位置P0から落下する第3列Co3のシートS1が第3集積部23に落下し、かつ落下位置P0から落下する第4列Co4のシートS1が第4集積部24に落下するように案内する。案内部材43は、第3集積部23の第3傾斜面23aの第2搬送方向TD2の下流側に端部に配置される。
【0047】
案内部材44は、シート集積部20の上方で第2搬送方向TD2の第4集積部24と第5集積部25の間に高さ方向HDに延びるように配置されるとともに落下位置P0から落下する第4列Co4のシートS1が第4集積部24に落下し、かつ落下位置P0から落下する第5列Co5のシートS1が第5集積部25に落下するように案内する。案内部材44は、第4集積部24の第4傾斜面24aの第2搬送方向TD2の下流側に端部に配置される。
【0048】
案内部材45は、シート集積部20の上方で第2搬送方向TD2の第5集積部25と支持部26の間に高さ方向HDに延びるように配置されるとともに落下位置P0から落下する第4列Co4のシートS1が第4集積部24に落下し、かつ落下位置P0から落下する第5列Co5のシートS1が第5集積部25に落下するように案内する。案内部材45は、第5集積部25の第5傾斜面25aの第2搬送方向TD2の下流側に端部に配置される。
【0049】
調整部50は、案内部材41,42,43,44,45の高さ方向HDの下端よりも搬送部材31の高さ方向HDの上端が上方に配置される搬入状態と、案内部材41,42,43,44,45の高さ方向HDの下端よりも搬送部材31の高さ方向HDの上端が下方に配置される搬出状態とを切り替えるよう第2搬送部30に対するシート案内部40の高さ方向HDの位置を調整する装置である。
【0050】
調整部50は、シート案内部40の本体部46の第2搬送方向TD2の両端部を高さ方向HDに沿って移動させる一対の調整機構51,52と、シート集積部20の本体部27の第2搬送方向TD2の両端部を高さ方向HDに沿って移動させる一対の調整機構53,54と、を備える。
【0051】
図3において、調整部50は、案内部材41,42,43,44,45の高さ方向HDの下端よりも搬送部材31の高さ方向HDの上端が上方に配置される搬入状態となるように、第2搬送部30に対するシート案内部40の高さ方向HDの位置を調整している。一方、
図4から
図6において、調整部50は、案内部材41,42,43,44,45の高さ方向HDの下端よりも搬送部材31の高さ方向HDの上端が下方に配置される搬出状態となるように、第2搬送部30に対するシート案内部40の高さ方向HDの位置を調整している。
【0052】
調整部50は、
図4から
図6に示す搬出状態において、
図3に示す搬入状態よりも本体部46が上方に配置されるように一対の調整機構51,52を動作させる。また、調整部50は、
図4から
図6に示す搬出状態において、
図3に示す搬入状態よりも本体部27が下方に配置されるように一対の調整機構53,54を動作させる。
【0053】
調整機構51は、連結部材51aによりシート案内部40に連結されている。調整機構52は、連結部材52aによりシート案内部40に連結されている。調整機構53は、連結部材53aによりシート集積部20に連結されている。調整機構54は、連結部材54aによりシート集積部20に連結されている。調整機構51,52は、連結部材51a,52aを高さ方向HDに沿って移動させることにより、シート案内部40の高さ方向HDの位置を調整する。
【0054】
調整機構53,54は、連結部材53a,54aを高さ方向HDに沿って移動させることにより、シート集積部20の高さ方向HDの位置を調整する。調整機構51,52,53,54は、連結部材51a,52a,53a,54aを高さ方向HDに沿って移動させる動力を、例えば、モータ、エアシリンダ、ソレノイド等により発生させる。
【0055】
図2に示すように、ストッパ60は、第1搬送方向TD1のシート集積部20よりも下流側に配置されるとともに落下位置P0から落下するシートS1の第1搬送方向TD1の先端が突き当てられる板状部材である。ストッパ60は、第2搬送方向TD2および高さ方向HDに延びるように形成されている。
【0056】
図2に示すように、位置決め部65は、第1搬送方向TD1のシート集積部20よりも上流側に配置されるとともに落下位置P0から落下するシートS1の第1搬送方向TD1の後端を位置決めする板状部材である。位置決め部65は、第2搬送方向TD2および高さ方向HDに延びるように形成されている。
【0057】
切替部70は、第1搬送方向TD1において、位置決め部65とストッパ60との中間位置に搬送部材31が配置されるように、位置決め部65に対する搬送部材31およびストッパ60の位置を切り替える装置である。
図2は、
図1のシート搬送装置100を示す正面図であり、ストッパ60から位置決め部65までの距離を第1長さL1とした状態を示す。
図9は、
図1のシート搬送装置100を示す正面図であり、ストッパ60から位置決め部65までの距離を第2長さL2とした状態を示す。第2長さL2は、第1長さL1よりも長い。
【0058】
切替部70は、操作ハンドル71と、回転軸72と、第1送りねじ73と、第2送りねじ74と、を備える。回転軸72は、作業者が操作ハンドル71を回転させる動力により回転する。回転軸72が回転すると、回転軸72に固定されたタイミングプーリ72aおよびタイミングプーリ72aに掛け回されたタイミングベルト72bが回転する。タイミングベルト72bが回転すると、タイミングベルト72bが掛け回されたタイミングプーリ73aが回転する。
【0059】
タイミングプーリ73aは、第1送りねじ73に形成される雄ねじと係合する雌ねじを有する。タイミングプーリ73aが回転すると、第1送りねじ73が第1搬送方向TD1に沿って進退する。第1送りねじ73の端部にストッパ60が固定されている。ストッパ60は、タイミングプーリ73aの回転に応じて第1搬送方向TD1における位置が変動する。
【0060】
回転軸72が回転すると、回転軸72に固定されたタイミングプーリ72cおよびタイミングプーリ72cに掛け回されたタイミングベルト72dが回転する。タイミングベルト72dが回転すると、タイミングベルト72dが掛け回されたタイミングプーリ74aが回転する。
【0061】
タイミングプーリ74aは、第2送りねじ74に形成される雄ねじと係合する雌ねじを有する。第2送りねじ74は、固定部75に対して回転しないように固定されている。タイミングプーリ74aが回転すると、タイミングプーリ74aが回転可能に連結される台車90が第1搬送方向TD1に沿って進退する。台車90は、タイミングプーリ74aの回転に応じて第1搬送方向TD1における位置が変動する。台車90が移動すると、台車90に固定されたシート集積部20および第2搬送部30が第1搬送方向TD1に移動する。
【0062】
作業者は、操作ハンドル71を回転させることにより、第1搬送方向TD1において、位置決め部65とストッパ60との中間位置に搬送部材31が配置されるように、位置決め部65に対する搬送部材31およびストッパ60の位置を切り替える。操作ハンドル71を1回転させる際、搬送部材31が第1搬送方向TD1に移動する移動量は、ストッパ60が第1搬送方向TD1に移動する移動量の半分となる。そのため、操作ハンドル71を回転させてストッパ60の第1搬送方向TD1の位置を任意の位置に移動させても、位置決め部65とストッパ60との中間位置に搬送部材31が配置される状態が維持される。
【0063】
制御部80は、シート搬送装置100の各部を制御する装置である。制御部80は、第1搬送部10が落下位置P0からシートS1を落下させる際に搬入状態となり、第2搬送部30がシート集積部20に集積されたシートS1を搬出する際に搬出状態となるよう調整部50を制御する。
【0064】
制御部80は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。
【0065】
次に、
図10を参照して、本実施形態の制御部80が実行するシート搬送装置100の制御方法を説明する。
図10は、本発明の一実施形態に係るシート搬送装置100の制御方法を示すフローチャートである。
【0066】
ステップS101で、制御部80は、案内部材41,42,43,44,45の高さ方向HDの下端よりも搬送部材31の高さ方向HDの上端が下方に配置される搬出状態を、案内部材41,42,43,44,45の高さ方向HDの下端よりも搬送部材31の高さ方向HDの上端が上方に配置される搬入状態に切り替えるように、調整部50を制御する。調整部50は、第2搬送部30に対するシート案内部40の高さ方向HDの距離が短くなるよう一対の調整機構51,52を動作させ、
図3に示す搬入状態とする。
【0067】
また、調整部50は、シート集積部20の本体部27から落下位置P0までの高さ方向HDの距離が第1距離D1となるよう一対の調整機構53,54を動作させる。本体部27から落下位置P0までの第1距離D1は、後述する搬出状態における本体部27から落下位置P0までの第2距離D2よりも短い。搬入状態において、シート集積部20の本体部27から落下位置P0までの第1距離D1を搬出状態における第2距離D2よりも短くしているのは、落下位置P0からシート集積部20までの第1距離D1を搬出状態よりも短くすることで、シートS1がシート集積部20に安定して積載されるようにするためである。
【0068】
ステップS102で、制御部80は、第1搬送部10を駆動して幅方向WDに複数列(
図7に示す例では5列)でシートS1を搬送し、シートS1を落下位置P0からシート集積部20に向けて下方に落下させる。
【0069】
ステップS103で、制御部80は、搬入状態を搬出状態へ変更するかどうかを判断する。制御部80は、YESと判断する場合にステップS104に処理を進め、NOと判断する場合は搬入状態を維持して第1搬送部10の駆動を継続する。
ステップS104で、制御部80は、第1搬送部10を停止させるよう制御する。なお、ステップS104では、予め給紙装置200からの給紙動作を停止させるようにし、第1搬送部10の駆動を継続する変形例としてもよい。
【0070】
ステップS105で、制御部80は、搬入状態を搬出状態に切り替えるように、調整部50を制御する。調整部50は、第2搬送部30に対するシート案内部40の高さ方向HDの距離が長くなるよう一対の調整機構51,52を動作させ、
図4に示す搬出状態とする。
【0071】
また、調整部50は、シート集積部20から落下位置P0までの高さ方向HDの距離が第2距離D2となるよう一対の調整機構53,54を動作させる。本体部27から落下位置P0までの第2距離D2は、搬入状態における本体部27から落下位置P0までの第1距離D1よりも長い。搬出状態において、シート集積部20から落下位置P0までの第2距離D2を搬入状態における第1距離D1よりも長くしているのは、落下位置P0からシート集積部20までの第2距離D2を搬入状態よりも長くすることで、シート集積部20に集積可能なシートS1の枚数を十分に確保するためである。
【0072】
ステップS106で、制御部80は、第2搬送部30を駆動し、第1集積部21,第2集積部22,第3集積部23,第4集積部24,第5集積部25のそれぞれに集積されたシートS1を積み重ね、積み重ねられたシートS1を第2搬送方向TD2に沿って移動させる。
ステップS107で、制御部80は、第2搬送部30を停止させるよう制御する。
【0073】
ステップS108で、制御部80は、シートS1の搬送動作を終了させるかどうかを判断し、YESであれば本フローチャートの処理を終了させ、NOであればステップS101以降の処理を繰り返す。
【0074】
以上説明した本実施形態のシート搬送装置100が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態のシート搬送装置100によれば、第1搬送部10により搬送される複数列のシートS1が落下位置P0から下方に落下し、第1列Co1のシートS1が第1集積部21に集積され、第2列Co2のシートS1が第2集積部22に集積される。第1搬送部10が落下位置P0からシートS1を落下させる際に、案内部材41,42,43,44,45の高さ方向HDの下端よりも搬送部材31の高さ方向の上端が上方に配置される搬入状態となるよう調整部50が制御される。案内部材41,42,43,44,45の下端が搬送部材31の上端よりも下方に位置するため、第1列Co1のシートS1が第1集積部21に落下し、かつ第2列Co2のシートが第2集積部22に落下するように案内される。そのため、複数列で搬送されて落下位置P0から下方へ落下するシートS1を対応するそれぞれの集積部に確実に集積させることができる。
【0075】
また、本実施形態のシート搬送装置100によれば、第2搬送部30がシート集積部20に集積されたシートS1を搬出する際に、案内部材41,42,43,44,45の高さ方向HDの下端よりも搬送部材31の高さ方向HDの上端が下方に配置される搬出状態となるよう調整部50が制御される。案内部材41,42,43,44,45の下端が搬送部材31の上端よりも上方に位置するため、第2搬送方向TD2に移動して各集積部のシートS1を押し出す搬送部材31が案内部材41,42,43,44,45に接触することがない。
【0076】
そして、搬送部材31を第2搬送方向TD2に沿って移動させることにより、第1集積部21に集積された第1群のシートS1が第1傾斜面21aに沿って高さ方向HDの上方に移動し、第2集積部22に集積された第2群のシートS1の上方に積み重ねられ、積み重ねられたシートが第2搬送方向TD2に沿って移動する。このように、本実施形態のシート搬送装置100によれば、複数の集積部の集積されたシートS1を積み重ねて第2搬送方向TD2に沿って移動させることができる。
【0077】
また、本実施形態のシート搬送装置100によれば、第1搬送方向TD1のシート集積部20よりも下流側に第2搬送方向TD2および高さ方向HDに延びるようにストッパ60が配置される。落下位置P0から落下するシートS1の第1搬送方向TD1に移動しても、シートS1の先端がストッパ60に接触し、第1搬送方向TD1への更なるシートS1の移動が規制される。そのため、シートS1が第1搬送方向TD1に沿って移動してシート集積部20に集積されない不具合を防止することができる。
【0078】
本実施形態のシート搬送装置100によれば、位置決め部65とストッパ60との中間位置に搬送部材31が配置されるように、位置決め部65に対する搬送部材31およびストッパ60の位置が切り替えられる。シートS1のサイズに応じて位置決め部65からストッパ60までの第1搬送方向TD1の距離を切り替えた際に、位置決め部65とストッパ60との中間位置に搬送部材31が配置される。そのため、第2搬送方向TD2に沿って搬送部材31を移動させる際に、第1集積部21に集積するシートS1および第2集積部22に集積するシートS1の第1搬送方向TD1の中間位置を安定して押し出すことができる。
【0079】
本実施形態のシート搬送装置100によれば、案内部材41が第1傾斜面21aの第2搬送方向TD2の下流側の端部に配置されるため、第1傾斜面21aのうち最も高い位置において第1傾斜面21aと案内部材41とが対向する。そのため、案内部材41の下端と第1傾斜面21aとの間の高さ方向HDの距離が第2搬送方向TD2において最も短くなる。よって、案内部材41の下端と第1傾斜面21aとの間から隣接する第2集積部22にシートS1が集積される不具合を適切に防止することができる。他の案内部材42,43,44,45についても同様である。
【0080】
〔他の実施形態〕
以上の説明において、シート処理システム1は、給紙装置200から給紙されるシートS0から抜き装置300で複数のシートS1を抜き出し、分離装置400でシートS0から複数のシートS1を分離してシート搬送装置100へ搬送するものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、シート処理システム1は、給紙装置200から給紙されるシートS0をシートカッター(図示略)により第1搬送方向TD1およびそれに直交する方向に切断して詳細図のシートを形成し、形成したシートをシート搬送装置100するものとしてもよい。
【0081】
以上の説明において、第1搬送部10は、分離装置400から供給される複数のシートS1を1枚ずつ落下位置P0からシート集積部20に向けて下方に落下させるものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、第1搬送部10がシートS1を第1搬送方向TD1に沿って搬送する搬送速度を分離装置400がシートS1を第1搬送方向TD1に沿って搬送する搬送速度よりも遅くし、第1搬送部10が第1搬送方向TD1において一部が重なった状態の複数のシートS1を落下位置P0からシート集積部20に向けて下方に落下させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 シート処理システム
10 第1搬送部
11,12,13 搬送ローラ
20 シート集積部
21 第1集積部
21a 第1傾斜面
22 第2集積部
22a 第2傾斜面
26 支持部
26a 支持面
27 本体部
27a スリット
30 第2搬送部
31 搬送部材
32 駆動機構
40 シート案内部
41,42,43,44,45 案内部材
46 本体部
50 調整部
51,52,53,54 調整機構
60 ストッパ
70 切替部
71 操作ハンドル
72 回転軸
73 第1送りねじ
74 第2送りねじ
80 制御部
90 台車
100 シート搬送装置
200 給紙装置
300 抜き装置
400 分離装置
HD 高さ方向
P0 落下位置
S0,S1 シート
TD1 第1搬送方向
TD2 第2搬送方向
WD 幅方向