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特開2024-17305電子部品検出装置、電子部品検出方法及び電子部品検出プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017305
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】電子部品検出装置、電子部品検出方法及び電子部品検出プログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20240201BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20240201BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/60 311T
H05K13/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119848
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】519294332
【氏名又は名称】株式会社新川
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】藤原 聖也
【テーマコード(参考)】
5E353
5F044
5F047
【Fターム(参考)】
5E353BB01
5E353CC03
5E353EE53
5E353EE54
5E353EE89
5E353GG21
5E353HH61
5E353JJ25
5E353JJ48
5E353KK24
5E353QQ01
5F044RR12
5F047AA11
5F047FA01
5F047FA08
5F047FA72
(57)【要約】
【課題】電子部品の有無の判定精度が向上した電子部品検出装置、電子部品検出方法及び電子部品検出プログラムを提供する。
【解決手段】電子部品検出装置1は、電子部品12を保持すると遮られる光路35を有する保持部30と、光路35にセンサ光を投光する投光部31と、光路35を通過したセンサ光を受光する受光部41と、受光部41に対する保持部30の相対的位置を変化させる駆動部50と、受光部41における受光量に基づき、電子部品12の有無を判定する判定部90とを備え、判定部90は、保持部30が電子部品12を保持しない場合における、相対的位置の変化に応じた受光量の変化の相互関係を記憶し、相互関係に基づいて、受光量が閾値を上回る検出可能位置範囲を相対的位置の中から特定し、特定した検出可能位置範囲の中から電子部品12の有無を判定する判定タイミングを決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を保持可能に構成され、前記電子部品を保持すると遮られる光路を有する保持部と、
前記保持部の前記光路にセンサ光を投光する投光部と、
前記保持部の前記光路を通過した前記センサ光を受光する受光部と、
前記受光部に対する前記保持部の相対的位置を変化させる駆動部と、
前記受光部における受光量に基づき、前記保持部における前記電子部品の有無を判定する判定部と
を備え、
前記判定部は、
前記保持部が前記電子部品を保持しない場合における、前記相対的位置の変化に応じた前記受光部における受光量の変化の相互関係を記憶し、
前記相互関係に基づいて、前記受光部における受光量が閾値を上回る検出可能位置範囲を前記相対的位置の中から特定し、特定した前記検出可能位置範囲の中から前記電子部品の有無を判定する判定タイミングを決定する、
電子部品検出装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記判定タイミングにおいて、前記受光部における受光量と前記閾値との比較に基づき、前記保持部における前記電子部品の有無を判定する、
請求項1に記載の電子部品検出装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記保持部が前記電子部品を保持しない場合における、前記受光部における受光量が前記閾値を下回る状態から上回る状態へ変化する相対的位置を第1タイミングとして記憶し、
前記保持部が前記電子部品を保持しない場合における、前記受光部における受光量が前記閾値を上回る状態から下回る状態へ変化する相対的位置を第2タイミングとして記憶し、
前記第1タイミングと前記第2タイミングとの中間の相対的位置を算出して前記判定タイミングとして記憶する、
請求項1に記載の電子部品検出装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記受光部における受光量が最大となる相対的位置を前記判定タイミングとして記憶する、
請求項1に記載の電子部品検出装置。
【請求項5】
前記保持部は吸着コレットを有し、
前記光路は前記吸着コレットの吸引孔である、
請求項1に記載の電子部品検出装置。
【請求項6】
前記保持部は、前記電子部品を基板にボンディングするボンディングヘッドに含まれる、
請求項1に記載の電子部品検出装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記保持部が前記電子部品を前記基板へと搬送する往路において、前記保持部における前記電子部品の有無を判定する、
請求項6に記載の電子部品検出装置。
【請求項8】
前記判定部は、ボンディングを開始する前に、前記往路と同じ経路において前記相互関係を記憶し、前記判定タイミングを決定する、
請求項7に記載の電子部品検出装置。
【請求項9】
前記判定部は、前記保持部が前記電子部品を前記基板へと搬送した復路において、前記保持部における前記電子部品の有無を判定する、
請求項6に記載の電子部品検出装置。
【請求項10】
前記判定部は、前記保持部が前記電子部品を前記基板へと搬送した復路において前記相互関係を記憶し、前記判定タイミングを決定する、
請求項6に記載の電子部品検出装置。
【請求項11】
前記判定部は、前記投光部における投光量に基づいて前記閾値を決定する、
請求項1に記載の電子部品検出装置。
【請求項12】
電子部品を保持可能に構成され、前記電子部品を保持すると遮られる光路を有する保持部と、
前記保持部の前記光路にセンサ光を投光する投光部と、
前記保持部の前記光路を通過した前記センサ光を受光する受光部と、
前記受光部に対する前記保持部の相対的位置を変化させる駆動部と、
前記受光部における受光量に基づき、前記保持部における前記電子部品の有無を判定する判定部と
を備えた電子部品検出装置を用いた電子部品検出方法であって、
前記保持部が前記電子部品を保持しない場合における、前記相対的位置の変化に応じた前記受光部における受光量の変化の相互関係を記憶することと、
前記相互関係に基づいて、前記受光部における受光量が閾値を上回る検出可能位置範囲を前記相対的位置の中から特定し、特定した前記検出可能位置範囲の中から前記電子部品の有無を判定する判定タイミングを決定することとを含む、
電子部品検出方法。
【請求項13】
電子部品を保持可能に構成され、前記電子部品を保持すると遮られる光路を有する保持部と、
前記保持部の前記光路にセンサ光を投光する投光部と、
前記保持部の前記光路を通過した前記センサ光を受光する受光部と、
前記受光部に対する前記保持部の相対的位置を変化させる駆動部と、
前記受光部における受光量に基づき、前記保持部における前記電子部品の有無を判定する判定部と
を備えた電子部品検出装置を動作させる電子部品検出プログラムであって、
コンピュータに、
前記保持部が前記電子部品を保持しない場合における、前記相対的位置の変化に応じた前記受光部における受光量の変化の相互関係を記憶させることと、
前記相互関係に基づいて、前記受光部における受光量が閾値を上回る検出可能位置範囲を前記相対的位置の中から特定し、特定した前記検出可能位置範囲の中から前記電子部品の有無を判定する判定タイミングを決定させることとを実行させる、
電子部品検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電子部品検出装置、電子部品検出方法及び電子部品検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンダイのような電子部品をピックアップする装置は、電子部品が正常にピックアップ又はリリースされているか否かを判定する電子部品検出装置を備える場合がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、ダイを吸着する吸着器具を備える処理ヘッドと、流量センサが設けられた検出流路とバイパス流路とを備える吸着流量検出回路と、吸着流量検出回路を介してエアを吸引するエア吸引手段と、流量センサの検出結果に基づいてダイが吸着器具に吸着されたことを判定する判定手段を備える制御部とを有する、ダイボンダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-179556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のダイボンダにおいては、吸着器具が使用によって徐々に変形した結果、吸引エアの流量が変化し、判定精度が低下する場合がある。
【0006】
本願発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本願発明の目的は、電子部品の有無の判定精度が向上した電子部品検出装置、電子部品検出方法及び電子部品検出プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の一態様に係る電子部品検出装置は、電子部品を保持可能に構成され、電子部品を保持すると遮られる光路を有する保持部と、保持部の光路にセンサ光を投光する投光部と、保持部の光路を通過したセンサ光を受光する受光部と、受光部に対する保持部の相対的位置を変化させる駆動部と、受光部における受光量に基づき、保持部における電子部品の有無を判定する判定部とを備え、判定部は、保持部が電子部品を保持しない場合における、相対的位置の変化に応じた受光部における受光量の変化の相互関係を記憶し、相互関係に基づいて、受光部における受光量が閾値を上回る検出可能位置範囲を相対的位置の中から特定し、特定した検出可能位置範囲の中から電子部品の有無を判定する判定タイミングを決定する。
【0008】
この態様によれば、電子部品によって光路が遮られたときの受光量の変化によって、保持部における電子部品の有無を判定する。このため、保持部が変形等の経年劣化をきたしたとしても、電子部品が保持されてさえいれば受光量は充分に変化するため、保持部における電子部品の有無を正確に判定することができる。また、相対的位置の変化と受光量の変化との相互関係に基づいて、充分な受光量が保証される検出可能位置範囲を特定し、そこから判定タイミングを決定する。このため、投光部及び受光部の取付位置及び取付角度の変動によって検出可能位置範囲が変動した場合であっても、適切な判定タイミングが決定されるため、検出不良を抑制することができる。
【0009】
上記態様において、判定部は、判定タイミングにおいて、受光部における受光量と閾値との比較に基づき、保持部における電子部品の有無を判定してもよい。
【0010】
この態様によれば、適切な判定タイミングにおいて電子部品の有無を判定することができるため、検出不良を抑制することができる。
【0011】
上記態様において、判定部は、保持部が電子部品を保持しない場合における、受光部における受光量が閾値を下回る状態から上回る状態へ変化する相対的位置を第1タイミングとして記憶し、保持部が電子部品を保持しない場合における、受光部における受光量が閾値を上回る状態から下回る状態へ変化する相対的位置を第2タイミングとして記憶し、第1タイミングと第2タイミングとの中間の相対的位置を算出して判定タイミングとして記憶してもよい。
【0012】
この態様によれば、判定タイミングは第1タイミング及び第2タイミングに対する猶予が大きいため、判定タイミングを決定した後に検出可能位置範囲が変動したとしても、判定タイミングが検出可能位置範囲から外れ難い。したがって、判定タイミングにおいて充分な受光量を保証することができ、検出不良を抑制することができる。
【0013】
上記態様において、判定部は、受光部における受光量が最大となる相対的位置を判定タイミングとして記憶してもよい。
【0014】
この態様によれば、判定タイミングを決定した後に検出可能位置範囲が変動したとしても、受光量の低下を抑制することができる。したがって、判定タイミングにおいて充分な受光量を保証することができ、検出不良を抑制することができる。
【0015】
上記態様において、保持部は吸着コレットを有し、光路は吸着コレットの吸引孔であってもよい。
【0016】
この態様によれば、保持部において電子部品を保持する機構とは別に光路を設ける必要がないため、構成を簡素化することができる。
【0017】
上記態様において、保持部は、電子部品を基板にボンディングするボンディングヘッドに含まれてもよい。
【0018】
上記態様において、判定部は、保持部が電子部品を基板へと搬送する往路において、保持部における電子部品の有無を判定してもよい。
【0019】
この態様によれば、ボンディングのために保持された電子部品の有無を検出することができる。例えば往路において電子部品が保持されていないことが早期に判定されれば、ボンディングヘッドの無駄な動作を低減することができる。
【0020】
上記態様において、判定部は、ボンディングを開始する前に、往路と同じ経路において相互関係を記憶し、判定タイミングを決定してもよい。
【0021】
この態様によれば、実際の往路と同じ経路における、相対的位置の変化及び受光量の変化の相互関係を記憶するため、判定タイミングの精度を向上させることができる。
【0022】
上記態様において、判定部は、保持部が電子部品を基板へと搬送した復路において、保持部における電子部品の有無を判定してもよい。
【0023】
この態様によれば、ボンディングの失敗によって保持部に保持されたままの電子部品を検出することができる。このとき、ボンディングヘッドは、保持した電子部品を再度基板へと搬送してボンディングしてもよく、回収用ボックスにリリースしてもよい。したがって、電子部品を保持したまま次の電子部品をピックアップしようとして、電子部品同士が接触して電子部品等が損傷することを抑制できる。
【0024】
上記態様において、判定部は、保持部が電子部品を基板へと搬送した復路において相互関係を記憶し、判定タイミングを決定してもよい。
【0025】
この態様によれば、連続してボンディングするときに、適宜判定タイミングを修正することができる。したがって、連続してボンディングするときに、投光部及び受光部の取付位置及び取付角度の経時変化によって検出可能位置範囲が変動した場合であっても、検出不良を抑制することができる。
【0026】
上記態様において、判定部は、投光部における投光量に基づいて閾値を決定してもよい。
【0027】
この態様によれば、投光量が変動した場合であっても、適切な検出可能位置範囲を特定することができ、適切な判定タイミングを決定することができる。
【0028】
本願発明の他の一態様に係る電子部品検出方法は、電子部品を保持可能に構成され、電子部品を保持すると遮られる光路を有する保持部と、保持部の光路にセンサ光を投光する投光部と、保持部の光路を通過したセンサ光を受光する受光部と、受光部に対する保持部の相対的位置を変化させる駆動部と、受光部における受光量に基づき、保持部における電子部品の有無を判定する判定部とを備えた電子部品検出装置を用いた電子部品検出方法であって、保持部が電子部品を保持しない場合における、相対的位置の変化に応じた受光部における受光量の変化の相互関係を記憶することと、相互関係に基づいて、受光部における受光量が閾値を上回る検出可能位置範囲を相対的位置の中から特定し、特定した検出可能位置範囲の中から電子部品の有無を判定する判定タイミングを決定することとを含む。
【0029】
この態様によれば、電子部品によって光路が遮られたときの受光量の変化によって、保持部における電子部品の有無を判定する。このため、保持部が変形等の経年劣化をきたしたとしても、電子部品が保持されてさえいれば受光量は充分に変化するため、保持部における電子部品の有無を正確に判定することができる。また、相対的位置の変化と受光量の変化との相互関係に基づいて、充分な受光量が保証される検出可能位置範囲を特定し、そこから判定タイミングを決定する。このため、投光部及び受光部の取付位置及び取付角度の変動によって検出可能位置範囲が変動した場合であっても、適切な判定タイミングが決定されるため、検出不良を抑制することができる。
【0030】
本願発明の他の一態様に係る電子部品検出プログラムは、電子部品を保持可能に構成され、電子部品を保持すると遮られる光路を有する保持部と、保持部の光路にセンサ光を投光する投光部と、保持部の光路を通過したセンサ光を受光する受光部と、受光部に対する保持部の相対的位置を変化させる駆動部と、受光部における受光量に基づき、保持部における電子部品の有無を判定する判定部とを備えた電子部品検出装置を動作させる電子部品検出プログラムであって、コンピュータに、保持部が電子部品を保持しない場合における、相対的位置の変化に応じた受光部における受光量の変化の相互関係を記憶させることと、相互関係に基づいて、受光部における受光量が閾値を上回る検出可能位置範囲を相対的位置の中から特定し、特定した検出可能位置範囲の中から電子部品の有無を判定する判定タイミングを決定させることとを実行させる。
【0031】
この態様によれば、電子部品によって光路が遮られたときの受光量の変化によって、保持部における電子部品の有無を判定する。このため、保持部が変形等の経年劣化をきたしたとしても、電子部品が保持されてさえいれば受光量は充分に変化するため、保持部における電子部品の有無を正確に判定することができる。また、相対的位置の変化と受光量の変化との相互関係に基づいて、充分な受光量が保証される検出可能位置範囲を特定し、そこから判定タイミングを決定する。このため、投光部及び受光部の取付位置及び取付角度の変動によって検出可能位置範囲が変動した場合であっても、適切な判定タイミングが決定されるため、検出不良を抑制することができる。
【発明の効果】
【0032】
本願発明によれば、電子部品の有無の判定精度が向上した電子部品検出装置、電子部品検出方法及び電子部品検出プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】一実施形態に係る電子部品検出装置の構成を示す図である。
図2】ボンディングヘッドの構成を示す拡大図である。
図3】判定タイミングを決定する方法を示すフローチャートである。
図4】電子部品の有無を判定する方法を示すフローチャートである。
図5】判定タイミングを決定する方法の様子を示す図である。
図6】電子部品の有無を判定する方法の様子を示す図である。
図7】電子部品の有無を判定する方法の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら本願発明の実施形態について説明する。本実施形態の図面は例示であり、各部の寸法や形状は模式的なものであり、本願発明の技術的範囲を当該実施形態に限定して解するべきではない。
【0035】
<電子部品検出装置>
まず、図1及び図2を参照しつつ、本願発明の一実施形態に係る電子部品検出装置1の構成について説明する。図1は、一実施形態に係る電子部品検出装置の構成を示す図である。図2は、ボンディングヘッドの構成を示す拡大図である。
【0036】
なお、図1及び図2には、位置関係及び移動方向等を説明するために、便宜的にX軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標を付している。X軸、Y軸及びZ軸のそれぞれに平行な方向をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向とする。X軸方向は紙面に垂直方向、Y軸方向は紙面の左右方向、Z軸方向は紙面の上下方向である。
【0037】
電子部品検出装置1は、ダイ(半導体チップ)12をリードフレーム21にボンディングする実装装置、いわゆるダイボンダに備えられている。電子部品検出装置1は、ボンディングのために搬送中のダイ12を検出し、正常に搬送されているか否かを判定する。ダイ12は電子部品の一例に相当し、リードフレーム21は基板の一例に相当する。
【0038】
なお、電子部品はダイ12に限定されるものではなく、例えば、能動素子、受動素子又はMEMSデバイスなどであってもよい。基板はリードフレーム21に限定されるものではなく、例えば、インタポーザ基板、半導体基板又はキャリアプレートなどであってもよい。
【0039】
電子部品検出装置1は、ピックアップ部10、ボンディングステージ20、ボンディングヘッド30、受光部41、駆動部50及び判定部90を備えている。
【0040】
ピックアップ部10は、ダイ12の集合基板であるウェハ11を搬送し、ボンディングヘッド30へとダイ12を供給する。ピックアップ部10は、電子部品を供給する電子部品供給部の一例に相当する。電子部品供給部は、例えば、トレイフィーダ、パーツフィーダ又はテープフィーダなどであってもよい。
【0041】
ボンディングステージ20は、リードフレーム21を供給する。また、ボンディングステージ20は、搬送されてきたリードフレーム21にダイ12をボンディングするためのステージである。ボンディングステージ20は、リードフレーム21を搬送するための移動ステージを兼ねてもよい。ボンディングステージ20は、Y軸方向においてピックアップ部10と並んで設けられている。ボンディングステージ20は、基板への電子部品のボンディングが実行されるボンディング部の一例に相当する。電子部品検出装置1を含むダイボンダは、例えば、マガジンに収納された基板を供給する基板供給部、基板をマガジンから取り出してボンディング部へ搬送するローダ、電子部品が実装された基板をボンディング部から搬送してマガジンに収容するアンローダ、基板をスライドして搬送するガイドレール、又は、基板を整列させる基板インデックスなどの図示しない構成要素を有して構成されてもよい。
【0042】
ボンディングヘッド30は、ダイ12をピックアップ可能に構成されている。また、ボンディングヘッド30は、ダイ12をリードフレーム21にボンディング可能に構成されている。ボンディングヘッド30は、投光部31と、吸着コレット33と、光路35とを備えている。
【0043】
投光部31は、光路35にセンサ光SLを投光する。投光部31は、ファイバセンサの一対のセンサヘッドのうち、投光素子に光学的に接続された方のセンサヘッドである。投光部31は、ボンディングヘッド30の駆動部50側の端部に設けられている。投光部31は、投光レンズ32を有している。投光レンズ32は、Z軸方向において光路35に対向している。投光部31は、投光レンズ32から光路35にセンサ光SLを投光する。
【0044】
なお、投光部31は、センサ光SLの投光量を検出する投光センサをさらに備えてもよい。
【0045】
吸着コレット33は、先端にダイ12を吸着して保持する保持ツールである。吸着コレット33は、ボンディングヘッド30の駆動部50とは反対側の端部に設けられている。吸着コレット33は、電子部品を保持可能に構成される保持部の一例に相当する。但し、保持部は、電子部品を保持可能であれば、吸着コレットに限定されるものではない。保持部は、例えば、電子部品を電気的に吸着する静電チャックであってもよく、電子部品を機械的に支持するメカニカルチャックであってもよい。
【0046】
光路35は、ボンディングヘッド30のうち少なくとも吸着コレット33をZ軸方向に貫通する貫通孔である。光路35は、吸着コレット33の吸引孔であり、エアを吸引して光路35を負圧にする吸引ツールに接続されている。図2に示すように、吸着コレット33にダイ12が保持されると、光路35は遮られる。すなわち、吸着コレット33がダイ12を保持するときセンサ光SLは吸着コレット33の先端から出射されず、吸着コレット33がダイ12を保持しないときセンサ光SLは吸着コレット33の先端から出射される。
【0047】
なお、図示を省略しているが、ボンディングヘッド30は、光路35からエアを吸引する吸引ツール、ダイ12を加熱する加熱ツール、ダイ12を冷却する冷却ツール、及び、非酸化性雰囲気を形成するパージガスを供給するパージガス供給ツールなどをさらに備えてもよい。
【0048】
受光部41は、光路35を通過したセンサ光SLを受光する。受光部41は、ファイバセンサの一対のセンサヘッドのうち、受光素子に光学的に接続された方のセンサヘッドである。受光素子は光電センサであり、受光量に応じた強度の電気信号を出力する。受光部41は、受光レンズ42を有している。受光レンズ42は、ボンディングヘッド30によるダイ12の搬送経路において、Z軸方向において光路35を挟んで投光レンズ32に対向する。受光部41は、受光レンズ42においてセンサ光SLを受光する。
【0049】
駆動部50は、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向にボンディングヘッド30を移動させる直交ロボットである。駆動部50は、X軸アクチュエータ51、Y軸アクチュエータ52及びZ軸アクチュエータ53を有している。X軸アクチュエータ51はボンディングヘッド30をX軸方向に沿って移動させ、Y軸アクチュエータ52はボンディングヘッド30をY軸方向に沿って移動させ、Z軸アクチュエータ53はボンディングヘッド30をZ軸方向に沿って移動させる。
【0050】
ボンディングヘッド30がダイ12をピックアップするとき、駆動部50は、ボンディングヘッド30をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に沿って移動させる。ボンディングヘッド30がダイ12をピックアップ部10からボンディングステージ20へと搬送するとき、駆動部50は、例えば、ボンディングヘッド30をX軸方向において固定し、Y軸方向及びZ軸方向に沿って移動させる。このとき、駆動部50は、受光部41の上方を通過する、一様な搬送経路に沿ってボンディングヘッド30を移動させる。ボンディングヘッド30がダイ12をリードフレーム21にボンディングするとき、駆動部50は、ボンディングヘッド30をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に沿って移動させる。
【0051】
なお、駆動部は、直交ロボットに限定されるものではなく、例えばロボットマニピュレータ等であってもよい。また、駆動部は、受光部に対する投光部の相対的位置を変化させるものであれば、受光部を移動させてもよく、投光部及び受光部の両方を移動させてもよい。
【0052】
判定部90は、ダイ12を保持しないボンディングヘッド30を移動させるときに、受光部41における受光量が閾値を上回った検出可能位置範囲を、ボンディングヘッド30のY軸における位置として特定する。また、判定部90は、検出可能位置範囲の中からダイ12の有無を判定する判定タイミングを決定する。判定部90は、ダイ12を保持したボンディングヘッド30を移動させるときに、判定タイミングにおける受光量と閾値との比較に基づき、ダイ12の有無を判定する。具体的には、判定部90は、受光量が閾値よりも小さいとき、ボンディングヘッド30にダイ12が保持されていると判定し、受光量が閾値よりも大きいとき、ボンディングヘッド30にダイ12が保持されていないと判定する。
【0053】
判定部90は、ヘッド制御部91、投受光制御部92、光量判定部93、位置情報記憶部94及びタイミング決定部95を備えている。判定部90の各部は、コンピュータのハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせによって構成される。すなわち、判定部90は、コンピュータのハードウェア、ソフトウェア又はこれらの協働によって実行される。コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを備えている。メモリには本発明のプログラムが格納されている。CPUは、メモリに格納されたプログラムを実行することによって、ヘッド制御部91、投受光制御部92、光量判定部93、位置情報記憶部94及びタイミング決定部95の機能を実現するように構成されている。
【0054】
ヘッド制御部91は、駆動部50を制御し、ボンディングヘッド30をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動させる。また、ヘッド制御部91は、ボンディングヘッド30の吸引ツール、加熱ツール、冷却ツール及びパージガス供給ツールを制御し、ボンディングヘッド30にダイ12のピックアップ、リリース及びボンディングを実行させてもよい。
【0055】
投受光制御部92は、投光部31及び受光部41を制御する。例えば、ボンディングヘッド30がダイ12の搬送経路を移動しているとき、投受光制御部92は、投光部31の投光素子及び受光部41の受光素子をオン状態にする。ボンディングヘッド30がダイ12の搬送経路以外を移動しているとき、又はボンディングヘッド30が停止しているとき、投受光制御部92は、投光部31の投光素子及び受光部41の受光素子をオフ状態にする。なお、投受光制御部92は、電子部品検出装置1に電源を投入している間、投光部31の投光素子及び受光部41の受光素子を常にオン状態にしてもよい。
【0056】
光量判定部93は、受光量と閾値とを比較する。具体的には、光量判定部93は、受光量が閾値よりも小さいか、それとも閾値以上の大きさにあるかを判定する。ダイ12を保持しないボンディングヘッド30を移動させるとき、光量判定部93は、ボンディングヘッド30によるダイ12の搬送経路の略全域において、受光量と閾値とを比較する。また、ダイ12を保持しているか否か不明なボンディングヘッド30を移動させるとき、光量判定部93は、タイミング決定部95で決定される判定タイミングにおいて、受光量と閾値とを比較する。また、光量判定部93は、受光量の最小値、最大値及び平均値などに基づき、閾値を決定してもよい。
【0057】
なお、光量判定部93は、投光量も加味して光量を判定してもよい。具体的には、投光量と受光量との差分又は比率が閾値よりも小さいか、それとも閾値以上の大きさにあるかを判定してもよい。また、光量判定部93は、投光量に基づき閾値を決定してもよく、投光量と受光量との差分又は比率の最小値、最大値及び平均値などに基づき、閾値を決定してもよい。投光量は、例えば投光素子の設定値であるが、投光センサによって検出された検出値であってもよい。
【0058】
位置情報記憶部94は、ボンディングヘッド30のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向における位置情報を記憶する。このとき、位置情報記憶部94は、光量判定部93の判定結果を位置情報に関連付けて記憶する。具体的には、ボンディングヘッド30がダイ12を保持しない場合における、ボンディングヘッド30の位置の変化に応じた受光量の変化の相互関係を記憶する。
【0059】
タイミング決定部95は、位置情報記憶部94に記憶された相互関係に基づき、ダイ12を保持しないボンディングヘッド30を移動させたときに受光量が閾値以上の大きさとなる位置範囲を、検出可能位置範囲として特定する。タイミング決定部95は、特定された検出可能位置範囲の中から判定タイミングを決定する。判定タイミングは、ダイ12を保持したボンディングヘッド30を移動させるときに、ダイ12の有無を判定する位置である。ボンディングヘッド30は、ダイ12を搬送するとき受光部41の上方を通過する一様な搬送経路に沿って移動する。このため、ボンディングヘッド30がダイ12を保持しない場合に充分な受光量を保証できる位置を、判定タイミングとすることができる。したがって、この判定タイミングにおいては、ボンディングヘッド30がダイ12を保持するときは受光量が閾値よりも小さくなり、ボンディングヘッド30がダイ12を保持しないときは、受光量が閾値以上の大きさとなる。
【0060】
判定タイミングは、例えば、検出可能位置範囲の中央に決定される。ボンディングヘッド30が受光部41の上方をY軸方向に沿って移動するのであれば、判定タイミングは、検出可能位置範囲の中から、Y軸方向における中間位置に決定される。具体的には、判定タイミングは、ボンディングヘッド30がダイ12を保持しないときに、受光量が閾値を下回る状態から上回る状態へと変化する位置と、受光量が閾値を上回る状態から下回る状態へと変化する位置との中間位置に決定される。
【0061】
なお、判定タイミングは中間位置に限定されるものではない。判定タイミングは、検出可能位置範囲の中から適宜決定されてもよく、例えばボンディングヘッド30がダイ12を保持しないときに受光量が最大となる位置に決定されてもよい。
【0062】
<電子部品検出方法>
次に、図3図7を参照しつつ、本願発明の一実施形態に係る電子部品検出装置1を用いた電子部品検出方法について説明する。図3は、判定タイミングを決定する方法を示すフローチャートである。図4は、電子部品の有無を判定する方法を示すフローチャートである。図5は、判定タイミングを決定する方法の様子を示す図である。図6及び図7は、電子部品の有無を判定する方法の様子を示す図である。図5図6の下部に示したタイミングチャートの横軸は、投光部31のY軸方向における位置を示している。
【0063】
まず、図3を参照しつつ判定タイミングを決定する方法について説明する。はじめに、ボンディングヘッド30にダイ12が保持されていないことを確認し(S11)、投光部31及び受光部41の動作を開始する(S12)。投光部31の投光素子から投光を開始させ、受光部41の受光素子を受光可能な状態とする。ステップS12は、判定部90の投受光制御部92によって実行される。
【0064】
次に、ボンディング動作時の往路に沿ってボンディングヘッド30を移動させる(S13)。ボンディングヘッド30がダイ12をボンディングするとき、ボンディングヘッド30は、搬送経路の往路に沿ってダイ12を保持した状態で移動し、リードフレーム21に対してダイ12をリリースし、搬送経路を往路とは逆方向に進む復路に沿ってダイ12を保持しない状態で移動する。ステップS13では、当該往路と同じ経路において、ダイ12を保持しないボンディングヘッド30を移動させる。ステップS13は、判定部90のヘッド制御部91によって実行される。
【0065】
次に、ボンディングヘッド30の位置の変化と、受光量の変化との相互関係を記憶する(S14)。図5に示すように、ボンディングヘッド30がダイ12を保持して往路を移動するとき、光路35の延長線上に受光部41の受光レンズ42が位置する位置範囲において、受光量が閾値以上の大きさとなる。光路35の延長線上に受光部41の受光レンズ42が位置する位置範囲の前後では、受光量が閾値よりも小さい。受光量が閾値を下回る状態から上回る状態へ変化する位置を第1タイミングT1として記憶し、受光量が閾値を上回る状態から下回る状態へ変化する位置を第2タイミングT2として記憶する。第1タイミングT1と第2タイミングT2との間の間隔は、受光レンズ42のY軸方向における寸法と略等しい。ステップS14は、判定部90の光量判定部93及び位置情報記憶部94によって実行される。
【0066】
次に、検出可能位置範囲から判定タイミングTDを決定する(S15)。図5に示すように、第1タイミングT1から第2タイミングT2までの位置範囲を、受光量が閾値を上回る検出可能位置範囲として特定する。次に、第1タイミングT1と第2タイミングT2との中間位置を算出し、判定タイミングTDとして記憶する。すなわち、次式TD=(T1+T2)/2によって判定タイミングTDが算出される。ステップS15は、判定部90のタイミング決定部95によって実行される。
【0067】
なお、判定タイミングTDは、T1<TD<T2の関係を満たすのであれば、TD=(T1+T2)/2には限定されない。T1<TD<(T1+T2)/2であってもよく、(T1+T2)/2<TD<T2であってもよい。
【0068】
次に、図4を参照しつつ電子部品の有無を判定する方法について説明する。はじめに、ピックアップ部10からダイ12をピックアップし(S21)、ボンディングヘッド30によってダイ12を搬送する(S22)。ステップS21,S22は、判定部90のヘッド制御部91によって実行される。
【0069】
次に、往路の判定タイミングTDにおいて、ダイ12の有無を判定する(S23)。図6に示すように、判定タイミングTDにボンディングヘッド30が到達したことをトリガーとして、受光量と閾値とを比較する判定処理を実行する。判定処理において受光量が閾値を下回ると、ボンディングヘッド30にダイ12が有る、すなわちダイ12のピックアップが正常に実行されたと判断し、次のステップへと進む。仮に判定処理において受光量が閾値を上回ると、ボンディングヘッド30にダイ12は無い、すなわちダイ12のピックアップが正常に実行されていないと判断し、ステップS21からやり直す。このとき、ボンディングヘッド30をピックアップ部10の位置まで戻して、ピックアップ部10からダイ12をピックアップする。ステップS23は、判定部90の光量判定部93及びヘッド制御部91によって実行される。
【0070】
ボンディングヘッド30にダイ12が有ると判断したときは、リードフレーム21にダイ12をボンディングし(S24)、復路の判定タイミングTDにおいて、ダイ12の有無を判定する(S25)。図7に示すように、ステップS23と同様、判定タイミングTDにボンディングヘッド30が到達したことをトリガーとして、受光量と閾値とを比較する判定処理を実行する。判定処理において受光量が閾値を上回ると、ボンディングヘッド30にダイ12が無い、すなわちダイ12のリリースが正常に実行されたと判断し、電子部品の有無の判定を終了する。仮に判定処理において受光量が閾値を下回ると、ボンディングヘッド30にダイ12が有る、すなわちダイ12のリリースが正常に実行されていないと判断し、ステップS24からやり直す。このとき、ボンディングヘッド30をボンディングステージ20の位置まで戻して、ダイ12をリードフレーム21にボンディングする。ステップS24は、判定部90のヘッド制御部91によって実行され、ステップS25は、判定部90の光量判定部93及びヘッド制御部91によって実行される。
【0071】
なお、ステップS25においてダイ12のリリースが正常に実行されていないと判断したとき、ボンディングヘッド30に保持されたダイ12は、図示しない回収用ボックスにリリースされてもよい。このような回収用ボックスは、例えば、ボンディングヘッド30の搬送経路において、ピックアップ部10と受光部41との間に設けられる。これによれば、ステップS25における判定後、ボンディングヘッド30を復路から外れさせることなく、ダイ12をリリースすることができる。したがって、すぐに次のダイ12のピックアップに取り掛かることができ、製造効率を向上させることができる。
【0072】
以上説明したように、本発明の一態様に係る電子部品検出装置1は、ダイ12を保持すると遮られる光路35を有する吸着コレット33と、光路35にセンサ光SLを投光する投光部31と、光路35を通過したセンサ光SLを受光する受光部41と、ボンディングヘッド30を移動させる駆動部50と、受光量に基づきダイ12の有無を判定する判定部90とを備えている。そして、判定部90は、ボンディングヘッド30の位置の変化に応じた受光量の変化の相互関係を記憶し、相互関係に基づき受光量が閾値を上回る検出可能位置範囲を特定し、検出可能位置範囲の中から判定タイミングTDを決定する。
【0073】
これによれば、ダイ12によって光路35が遮られたときの受光量の変化によって、吸着コレット33におけるダイ12の有無を判定する。このため、吸着コレット33が変形等の経年劣化をきたしたとしても、ダイ12が保持されてさえいれば受光量は充分に変化するため、吸着コレット33におけるダイ12の有無を正確に判定することができる。また、ボンディングヘッド30の位置の変化と受光量の変化との相互関係に基づいて、充分な受光量が保証される検出可能位置範囲を特定し、そこから判定タイミングを決定する。このため、投光部31及び受光部41の取付位置及び取付角度の変動によって検出可能位置範囲が変動した場合であっても、適切な判定タイミングTDが決定されるため、検出不良を抑制することができる。
【0074】
一態様として、判定部90は、判定タイミングTDにおいて、受光量と閾値との比較に基づき、吸着コレット33におけるダイ12の有無を判定する。
【0075】
これによれば、適切な判定タイミングTDにおいてダイ12の有無を判定することができるため、検出不良を抑制することができる。
【0076】
一態様として、判定部90は、受光量が閾値を下回る状態から上回る状態へ変化する第1タイミングT1と、受光量が閾値を上回る状態から下回る状態へ変化する第2タイミングT2とを記憶し、第1タイミングT1と第2タイミングT2との中間位置を算出して判定タイミングTDとして記憶する。
【0077】
これによれば、判定タイミングTDは第1タイミングT1及び第2タイミングT2に対する猶予が大きいため、判定タイミングTDを決定した後に検出可能位置範囲が変動したとしても、判定タイミングTDが検出可能位置範囲から外れ難い。したがって、判定タイミングTDにおいて充分な受光量を保証することができ、検出不良を抑制することができる。
【0078】
一態様として、判定部90は、受光量が最大となる位置を判定タイミングTDとして記憶する。
【0079】
これによれば、判定タイミングTDを決定した後に検出可能位置範囲が変動したとしても、受光量の低下を抑制することができる。したがって、判定タイミングTDにおいて充分な受光量を保証することができ、検出不良を抑制することができる。
【0080】
一態様として、光路35は吸着コレット33の吸引孔である。
【0081】
これによれば、ダイ12を保持する機構とは別に光路35を設ける必要がないため、ボンディングヘッド30の構成を簡素化することができる。
【0082】
一態様として、吸着コレット33は、ダイ12をリードフレーム21にボンディングするボンディングヘッドに含まれる。
【0083】
一態様として、判定部90は、吸着コレット33がダイ12をリードフレーム21へと搬送する往路において、吸着コレット33におけるダイ12の有無を判定する。
【0084】
これによれば、ボンディングのために保持されたダイ12の有無を検出することができる。例えば往路においてダイ12が保持されていないことが早期に判定されれば、ボンディングヘッド30の無駄な動作を低減することができる。
【0085】
一態様として、判定部90は、ボンディングを開始する前に、往路と同じ経路において相互関係を記憶し、判定タイミングTDを決定する。
【0086】
これによれば、実際の往路と同じ経路における、ボンディングヘッド30の位置の変化及び受光量の変化の相互関係を記憶するため、判定タイミングTDの精度を向上させることができる。
【0087】
一態様として、判定部90は、吸着コレット33がダイ12をリードフレーム21へと搬送した復路において、吸着コレット33におけるダイ12の有無を判定する。
【0088】
これによれば、ボンディングの失敗によって吸着コレット33に保持されたままのダイ12を検出することができる。このとき、ボンディングヘッドは、保持したダイ12を再度基板へと搬送してボンディングしてもよく、回収用ボックスにリリースしてもよい。したがって、ダイ12を保持したまま次のダイ12をピックアップしようとして、ダイ12同士が接触してダイ12等が損傷することを抑制できる。
【0089】
一態様として、判定部90は、吸着コレット33がダイ12をリードフレーム21へと搬送した復路において相互関係を記憶し、判定タイミングTDを決定する。
【0090】
これによれば、連続してボンディングするときに、適宜判定タイミングTDを修正することができる。したがって、連続してボンディングするときに、投光部31及び受光部41の取付位置及び取付角度の経時変化によって検出可能位置範囲が変動した場合であっても、検出不良を抑制することができる。
【0091】
一態様として、判定部90は、投光量に基づいて閾値を決定する。
【0092】
これによれば、投光量が変動した場合であっても、適切な検出可能位置範囲を特定することができ、適切な判定タイミングを決定することができる。
【0093】
本発明の他の一態様に係る電子部品検出方法は、電子部品検出装置1を用いた電子部品検出方法であって、ボンディングヘッド30の位置の変化に応じた受光量の変化の相互関係を記憶することと、相互関係に基づき受光量が閾値を上回る検出可能位置範囲を特定し、検出可能位置範囲の中から判定タイミングTDを決定することとを含む。
【0094】
これによれば、ダイ12によって光路35が遮られたときの受光量の変化によって、吸着コレット33におけるダイ12の有無を判定する。このため、吸着コレット33が変形等の経年劣化をきたしたとしても、ダイ12が保持されてさえいれば受光量は充分に変化するため、吸着コレット33におけるダイ12の有無を正確に判定することができる。また、ボンディングヘッド30の位置の変化と受光量の変化との相互関係に基づいて、充分な受光量が保証される検出可能位置範囲を特定し、そこから判定タイミングTDを決定する。このため、投光部31及び受光部41の取付位置及び取付角度の変動によって検出可能位置範囲が変動した場合であっても、適切な判定タイミングTDが決定されるため、検出不良を抑制することができる。
【0095】
本発明の他の一態様に係る電子部品検出プログラムは、電子部品検出装置1を動作させる電子部品検出プログラムであって、コンピュータに、ボンディングヘッド30の位置の変化に応じた受光量の変化の相互関係を記憶することと、相互関係に基づき受光量が閾値を上回る検出可能位置範囲を特定し、検出可能位置範囲の中から判定タイミングTDを決定することとを実行させる。
【0096】
これによれば、ダイ12によって光路35が遮られたときの受光量の変化によって、吸着コレット33におけるダイ12の有無を判定する。このため、吸着コレット33が変形等の経年劣化をきたしたとしても、ダイ12が保持されてさえいれば受光量は充分に変化するため、吸着コレット33におけるダイ12の有無を正確に判定することができる。また、ボンディングヘッド30の位置の変化と受光量の変化との相互関係に基づいて、充分な受光量が保証される検出可能位置範囲を特定し、そこから判定タイミングTDを決定する。このため、投光部31及び受光部41の取付位置及び取付角度の変動によって検出可能位置範囲が変動した場合であっても、適切な判定タイミングTDが決定されるため、検出不良を抑制することができる。
【0097】
なお、本発明の一態様に係る電子部品検出装置、電子部品検出方法及び電子部品検出プログラムは、ダイボンダ以外の実装装置に適用されてもよく、例えばフリップチップボンダに適用されてもよい。電子部品検出装置がフリップチップボンダに設けられる場合、電子部品の検出は、電子部品を反転させるピックアップヘッドにおいて実施されてもよく、電子部品のバンプ電極にフラックスを転写するフラックス供給部において実施されてもよい。また、電子部品の検出は、電子部品供給部とフラックス供給部との間で実施されてもよく、フラックス供給部と基板供給部との間で実施されてもよい。本発明の一態様に係る電子部品検出装置、電子部品検出方法及び電子部品検出プログラムは、実装装置以外の各種装置、例えば搬送装置又は樹脂封止装置などに設けられてもよい。
【0098】
以上説明したように、本願発明の一態様によれば、電子部品の有無の判定精度が向上した電子部品検出装置、電子部品検出方法及び電子部品検出プログラムを提供することができる。
【0099】
以上説明した実施形態は、本願発明の理解を容易にするためのものであり、本願発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0100】
1…電子部品検出装置
10…ピックアップ部
11…ウェハ
12…ダイ
20…ボンディングステージ
21…リードフレーム
30…ボンディングヘッド
31…投光部
32…投光レンズ
33…吸着コレット
35…光路
41…受光部
42…受光レンズ
50…駆動部
51…X軸アクチュエータ
52…Y軸アクチュエータ
53…Z軸アクチュエータ
90…判定部
91…ヘッド制御部
92…投受光制御部
93…光量判定部
94…位置情報記憶部
95…タイミング決定部
SL…センサ光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7