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特開2024-17308無機コーテッドサンドおよびその製造方法
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  • 特開-無機コーテッドサンドおよびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017308
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】無機コーテッドサンドおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22C 1/18 20060101AFI20240201BHJP
   B22C 1/10 20060101ALI20240201BHJP
   B22C 1/02 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B22C1/18 B
B22C1/10 C
B22C1/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119853
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】青沼 宏明
【テーマコード(参考)】
4E092
【Fターム(参考)】
4E092AA02
4E092AA03
4E092AA04
4E092AA09
4E092AA18
4E092BA04
(57)【要約】
【課題】鋳型の機械的強度を向上できる無機コーテッドサンドに関する技術を提供する。
【解決手段】無機コーテッドサンドの製造方法は、耐火性骨材と、水ガラスを含む粘結剤組成物とを混合し、水分を蒸発させることにより当該水ガラスの固形分を含む被覆層を前記耐火性骨材の表面に形成し、被覆耐火性骨材を得る工程と、前記被覆耐火性骨材と、無機粒子とを混合する工程と、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐火性骨材と、水ガラスを含む粘結剤組成物とを混合し、水分を蒸発させることにより当該水ガラスの固形分を含む被覆層を前記耐火性骨材の表面に形成し、被覆耐火性骨材を得る工程と、
前記被覆耐火性骨材と、無機粒子とを混合する工程と、
を含む、無機コーテッドサンドの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の無機コーテッドサンドの製造方法であって、
前記無機粒子が、シリカ、金属酸化物の中から選ばれる1種または2種である、無機コーテッドサンドの製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の無機コーテッドサンドの製造方法であって、
前記被覆耐火性骨材を得る工程において、前記粘結剤組成物の添加量が、前記耐火性骨材100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下である無機コーテッドサンドの製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか一項に記載の無機コーテッドサンドの製造方法によって得られた無機コーテッドサンドを用いて鋳型を形成する、鋳型の造型方法。
【請求項5】
耐火性骨材と、記耐火性骨材の表面に形成された被覆層と、前記被覆層上に形成された無機粒子層と、を含み、
前記被覆層が水ガラスの固形分を含む、無機コーテッドサンド。
【請求項6】
請求項5に記載の無機コーテッドサンドであって、
前記無機粒子が、シリカ、金属酸化物の中から選ばれる1種または2種である、無機コーテッドサンド。
【請求項7】
請求項5または6に記載の無機コーテッドサンドであって、
前記無機粒子の含有量が、前記無機コーテッドサンド全量に対して、0.1~3.0質量%である、無機コーテッドサンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機コーテッドサンドおよびその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、無機コーテッドサンドおよびその製造方法、ならびに無機コーテッドサンドを用いた鋳型の造型方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋳物の鋳造に用いられる鋳型としては、例えば、耐火性骨材と、耐火性骨材の表面に形成された被覆層とを有する無機コーテッドサンドを用いて、目的とする形状に造型して得られたものが知られている。
このような無機コーテッドサンドに関する技術としては、例えば、特許文献1、2に記載のものが挙げられる。
【0003】
特許文献1には、耐火性骨材の表面が水ガラスを含む被覆層にて覆われてなる、常温流動性を有する乾態のコーテッドサンドにして、被覆層に球状粒子が含有せしめられているコーテッドサンドが開示されている。
【0004】
特許文献2には、加熱した耐火性骨材に対して、粘結材として水ガラス水溶液を混和せしめ、水分を蒸発させることにより、かかる耐火性骨材の表面に該粘結材の被覆層を形成してなる、常温流動性を有する乾態のコーテッドサンドにして、その水分率が0.5質量%以下となるように調整されたコーテッドサンドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2018/097180号
【特許文献2】国際公開第2014/098129号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2に開示される従来の無機コーテッドサンドは、造型した鋳型の強度の点で改善の余地があった。本発明は、鋳型の機械的強度を向上できる無機コーテッドサンドに関する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは、耐火性骨材の表面が水ガラスを含む被覆層にて覆われてなる無機コーテッドサンドを用いた鋳型の機械的強度を向上すべく鋭意検討を行ったところ、無機コーテッドサンドの製造過程において、耐火性骨材に水ガラスを含む被覆層を形成したあとに無機粒子を適用することで、鋳型の強度を効果的に向上できることを見出した。
すなわち、本発明は、同一の無機粒子を用いた場合であっても、水ガラスと無機粒子をともに含有する被覆層を備える無機コーテッドサンドとするよりも、水ガラスを含む被覆層を形成したあとに無機粒子を適用した無機コーテッドサンドとするほうが、より鋳型の強度を向上できるものである。
【0008】
本発明によれば、
耐火性骨材と、水ガラスを含む粘結剤組成物とを混合し、水分を蒸発させることにより当該水ガラスの固形分を含む被覆層を前記耐火性骨材の表面に形成し、被覆耐火性骨材を得る工程と、
前記被覆耐火性骨材と、無機粒子とを混合する工程と、
を含む、無機コーテッドサンドの製造方法が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、
上記の無機コーテッドサンドの製造方法によって得られた無機コーテッドサンドを用いて鋳型を形成する、鋳型の造型方法が提供される。
【0010】
本発明によれば、
耐火性骨材と、記耐火性骨材の表面に形成された被覆層と、前記被覆層上に形成された無機粒子層と、を含み、
前記被覆層が水ガラスの固形分を含む、無機コーテッドサンドが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、鋳型の機械的強度を向上できる無機コーテッドサンドに関する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例2の無機コーテッドサンドの表面を観察したSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について説明する。また、本明細書中において、数値範囲を示す「A~B」は断りがなければA以上B以下の範囲を表し、両端の値をいずれも含む。また、各実施形態に記載される構成・要素は発明の効果を損なわない限りにおいて適宜組み合わせることもできる。
【0014】
<無機コーテッドサンド>
無機コーテッドサンドは、耐火性骨材と、耐火性骨材の表面に形成された被覆層とを有する。被覆層は、水ガラスの固形分を含む。
無機コーテッドサンドは、被覆層上にさらに無機粒子層を有する。
【0015】
無機コーテッドサンドは、具体的には無機コーテッドサンドの粒子群で構成され、耐火性骨材は、具体的には耐火性骨材の粒子群で構成される。
流動性を良好にし、成形金型への充填性をより一層向上させる観点から、無機コーテッドサンドは球状であることが好ましい。ここで、無機コーテッドサンドが球状とはボールのような丸い形状をしたものをいう。
より具体的には、流動性、鋳型品質および鋳型強度向上の観点や、鋳型の造型しやすさの観点から、無機コーテッドサンドの球形度は好ましくは0.75以上であり、より好ましくは0.80以上、さらに好ましくは0.82以上である。また、球形度の上限値については、具体的には1以下である。本実施形態において、無機コーテッドサンドの球形度は、具体的には耐火性骨材の球形度と一致する。
【0016】
ここで、無機コーテッドサンドの球形度は、光学顕微鏡またはデジタルスコープ(例えば、キーエンス社製、VH-8000型)により得られた粒子の像(写真)を画像解析することにより、粒子の粒子投影断面の面積及び該断面の周囲長を求め、次いで、〔粒子投影断面の面積(mm)と同じ面積の真円の円周長(mm)〕/〔粒子投影断面の周囲長(mm)〕を計算し、任意の50個の粒子につき、それぞれ得られた値を平均して求めることができる。
【0017】
無機コーテッドサンドの平均粒子径は、鋳型品質および鋳型強度向上の観点や、鋳型の造型しやすさの観点から、0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましい。また、無機コーテッドサンドの平均粒子径が上記下限値以上であると、鋳型の製造の際に、被覆層の使用量を減らすことができるため、無機コーテッドサンドの再生がより容易となる点においても好ましい。
無機コーテッドサンドの平均粒子径は、鋳型品質および鋳型強度向上の観点や、鋳型の造型しやすさの観点から、2mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、0.5mm以下がさらに好ましい。また、無機コーテッドサンドの平均粒子径が上記上限値以下であると、鋳型の製造の際に、空隙率が小さくなり、鋳型強度を高められる点においても好ましい。
【0018】
本実施形態において、無機コーテッドサンドおよび後述する耐火性骨材の平均粒子径は、具体的には以下の方法により測定することができる。
【0019】
(平均粒子径の測定方法)
粒子の粒子投影断面からの球形度=1の場合は直径(mm)を測定し、一方、球形度<1の場合はランダムに配向させた粒子の長軸径(mm)と短軸径(mm)を測定して(長軸径+短軸径)/2を求め、任意の100個の粒子につき、それぞれ得られた値を平均して平均粒径(mm)とする。長軸径と短軸径は、以下のように定義される。粒子を平面上に安定させ、その粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最小となる粒子の幅を短軸径といい、一方、この平行線に直角な方向の2本の平行線で粒子をはさむときの距離を長軸径という。
粒子の長軸径と短軸径は、光学顕微鏡またはデジタルスコープ(例えば、キーエンス社製、VH-8000型)により該粒子の像(写真)を撮影し、得られた像を画像解析することにより求めることができる。
【0020】
以下、無機コーテッドサンドの各構成について説明する。
【0021】
[耐火性骨材]
耐火性骨材の材料として、天然砂および人工砂からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
【0022】
天然砂としては、例えば、石英質を主成分とする珪砂、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、アルミナ砂からなる群から選択される1種または2種以上が挙げられる。
【0023】
人工砂としては、例えば、合成ムライト砂、SiOを主成分とするSiO系の鋳物砂、Alを主成分とするAl系の鋳物砂、SiO/Al系の鋳物砂、SiO/MgO系の鋳物砂、SiO/Al/ZrO系の鋳物砂、SiO/Al/Fe系の鋳物砂、スラグ由来の鋳物砂からなる群から選択される1種または2種以上が挙げられる。ここで、主成分とは、砂の含有成分の中で最も多い成分をいう。
人工砂とは、天然より産出する鋳物砂ではなく、人工的に金属酸化物の成分を調製し、溶融または焼結した鋳物砂のことを表す。また、使用済みの耐火性骨材を回収した回収砂や、回収砂に再生処理を施した再生砂なども使用できる。
【0024】
耐火性骨材は、無機コーテッドサンドの流動性を良好にし、成形金型への充填性をより一層向上させる観点から、好ましくは粒子状である。
また、耐火性骨材の平均粒子径は、鋳型品質および鋳型強度向上の観点や、鋳型の造型しやすさの観点から、好ましくは0.05mm以上であり、より好ましくは0.1mm以上である。また、耐火性骨材の平均粒子径が上記下限値以上であると、鋳型の製造の際に、被覆層の使用量を減らすことができるため、無機コーテッドサンドの再生がより容易となるという点においても好ましい。
耐火性骨材の平均粒子径は、鋳型品質および鋳型強度向上の観点や、鋳型の造型しやすさの観点から、好ましくは2mm以下であり、より好ましくは1mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下である。また、耐火性骨材の平均粒子径が上記上限値以下であると、鋳型の製造の際に、空隙率が小さくなり、鋳型強度を高められるという点においても好ましい。
【0025】
[被覆層]
被覆層は、耐火性骨材の表面に設けられた被覆層である。被覆とは、連続である場合に限られず、一部に非連続な部分があってもよい。
被覆層は、水ガラスを含む粘結剤組成物と耐火性骨材とを混合し、水分を蒸発させることにより耐火性骨材の表面に形成される。
【0026】
なお、被覆層が形成されていることは、SEM画像による無機コーテッドサンド表面の観察やエネルギー分散型X線分光法(EDX)による元素分析を用いて確認することができる。
【0027】
無機コーテッドサンド中の被覆層(固形分量)の含有量は、鋳型強度を向上させる観点から、無機コーテッドサンド中の水以外の成分全体に対して好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、さらにより好ましくは1.0質量%以上、殊更好ましくは1.5質量%以上である。
また、成形金型への充填性を向上させる観点、および、鋳型強度を向上させる観点から、無機コーテッドサンド中の被覆層(固形分量)の含有量は、無機コーテッドサンド中の水以外の成分全体に対して好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下、さらにより好ましくは4.5質量%以下、殊更好ましくは4質量%以下、殊更好ましくは3.5質量%以下である。
【0028】
無機コーテッドサンド中の耐火性骨材100質量部に対する被覆層(固形分量)の含有量は、鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは0.05質量部以上であり、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上、さらにより好ましくは1質量部以上、殊更好ましくは1.5質量部以上である。
また、成形金型への充填性を向上させる観点、および、鋳型強度を向上させる観点から、無機コーテッドサンド中の耐火性骨材100質量部に対する被覆層(固形分量)の含有量は、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは6質量部以下、さらにより好ましくは4.5質量部以下、殊更好ましくは4質量部以下、殊更好ましくは3.5質量部以下である。
【0029】
なお、被覆層の含有量とは、被覆層に含まれる水を除いた固形分量の含有量をいう。例えば、粘結剤組成物として後述するケイ酸化合物に換算して含有量を求める。
【0030】
被覆層中の粘結剤組成物の含有量は、鋳型強度を向上する観点、および、鋳型の表面安定性を良好にする観点から、被覆層全体に対して好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらにより好ましくは45質量%以上である。
また、同様の観点から、被覆層中の粘結剤組成物の含有量は、被覆層全体に対して好ましくは100質量%以下である。
ここで、被覆層中の粘結剤組成物の含有量は、被覆層中の水以外の成分(固形分量)全体に対する、水分を除く粘結剤組成物(固形分量)の含有量をいう。
【0031】
(粘結剤組成物)
粘結剤組成物は、水ガラスを含むものである。
水ガラスは、水に溶けた状態のケイ酸化合物の溶液のことを意図する。水ガラスから、水や溶剤等の揮発する物質を除いた不揮発分(固形分)が上記ケイ酸化合物に該当する。
水ガラス中の水ガラスの固形分(ケイ酸化合物)量は、目的に応じて適宜設定されるが、例えば、20~50質量%であることが好ましい。これにより、適度な量のケイ酸化合物を水溶液中に均一に分散させることができ、耐火性骨材との混合時に、ケイ酸化合物を耐火性骨材の表面に対して、ムラなく均一に被覆させることができる。
【0032】
上記のケイ酸化合物としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム、およびケイ酸アンモニウムの中から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
【0033】
上記のケイ酸ナトリウムとして、具体的には、ケイ酸ナトリウム1号~5号からなる群から選択される1種または2種以上が挙げられる。ここで、ケイ酸ナトリウムは、SiO/NaOのモル比により1号~5号に分類されており、ケイ酸ナトリウム1号~3号についてはJIS-K-1408に規定されている。各号におけるSiO/NaOのモル比は、具体的には以下の通りである。
ケイ酸ナトリウム1号:SiO/NaOのモル比=2.0~2.3
ケイ酸ナトリウム2号:SiO/NaOのモル比=2.4~2.6
ケイ酸ナトリウム3号:SiO/NaOのモル比=2.8~3.3
ケイ酸ナトリウム4号:SiO/NaOのモル比=3.3~3.5
ケイ酸ナトリウム5号:SiO/NaOのモル比=3.6~3.8
また、2種以上のケイ酸ナトリウムを混合することで、SiO/NaOのモル比を所望の程度に調整してもよい。
ケイ酸ナトリウムは、好ましくは、2号水ガラスである。
【0034】
粘結剤組成物全量に対する水ガラスの固形分量は、鋳型強度を向上させる点から、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは95質量%以上であり、ことさらに好ましくは98質量%以上であり、さらに一層好ましくは実質的に100質量%である。
【0035】
なかでも、粘結剤組成物中のケイ酸ナトリウムの含有量は、鋳型強度を向上する観点、生産性に優れる観点および入手容易性の観点から、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、よりさらに好ましくは98質量%以上、よりさらに好ましくは実質的に100質量%である。
ここで「実質的」とは、意図せずに含まれる成分、例えば、原料であるケイ酸ナトリウム中に含まれるケイ酸ナトリウム以外の成分を含みうることを意味する。
粘結剤組成物中のケイ酸ナトリウム含有量は、粘結剤組成物中の水以外の成分全体に対する、ケイ酸ナトリウムの含有量をいう。
【0036】
(その他添加剤)
粘結剤組成物は、水ガラス以外の成分を含んでもよく、例えば、無機粒子、保湿剤、耐湿向上剤、耐火性骨材と粘結剤組成物の結合を強化するカップリング剤、滑剤、界面活性剤、離型剤等が挙げられる。
上記の無機粒子としては、後述の無機粒子と同じものが挙げられる。ただし、鋳型の強度を向上させる点からは、無機粒子は含まれないことが好ましい。
上記の保湿剤としては、例えば多価アルコール、水溶性高分子、炭化水素類、糖類、タンパク質、上述したもの以外の無機化合物が挙げられる。
上記の耐湿向上剤としては、金属酸化物、炭酸塩、ホウ酸塩、硫酸塩、リン酸塩等が挙げられる。
上記の滑剤としては、例えば、ワックス類;脂肪酸アマイド類;アルキレン脂肪酸アマイド類;ステアリン酸;ステアリルアルコール;ステアリン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;ステアリン酸モノグリセリド;ステアリルステアレート;硬化油等が挙げられる。
上記の離型剤としては、例えば、パラフィン、ワックス、軽油、マシン油、スピンドル油、絶縁油、廃油、植物油、脂肪酸エステル、有機酸、蛭石、フッ素系離型剤、シリコーン系離型剤等が挙げられる。
【0037】
(水含有量)
無機コーテッドサンドに含まれる被覆層中の水の含有量は、高強度の鋳型を得る観点から、粘結剤組成物100質量部に対して、好ましくは5質量部以上であり、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上である。
また、成形金型への充填性向上の観点及び高強度の鋳型を得る観点から、無機コーテッドサンドに含まれる被覆層中の水の含有量は、粘結剤組成物100質量部に対して、好ましくは55質量部以下であり、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下である。
【0038】
[無機粒子層]
無機コーテッドサンドは、被覆層上にさらに無機粒子層を有する。こうすることで、無機コーテッドサンドの粒子同士が無機微粒子を介してより強固に結着し、その結果、得られる鋳型の強度をさらに向上させることができる。
無機粒子層とは、無機粒子が被覆層上に付着することで形成される層であり、被覆層とは異なる層である。無機粒子が連続して付着する場合に限られず、一部に非連続な部分があってもよい。また、一部において無機粒子が重なり合っていてもよい。
【0039】
なお、無機粒子層が形成されていることは、無機コーテッドサンドの表面をSEM画像にて観察することにより確認できる。
【0040】
(無機粒子)
無機粒子としては、特に限定されないが、非晶質シリカ等のシリカ;酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化セリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化銅及び酸化鉄等の金属酸化物;土状黒鉛、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛等の天然黒鉛並びに人造黒鉛等の黒鉛;白雲母、および黒雲母などの雲母;ケイ酸ジルコニウムの中から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
なかでも、シリカ、金属酸化物の中から選ばれる1種または2種であることが好ましく、非晶質シリカ、酸化銅及び酸化鉄であることがより好ましい。
形状は球状、鱗片状、多面体状等様々なものを使用できるが、良好な分散性を得る点から、球状であることが好ましい。
【0041】
無機粒子の含有量は、鋳型強度を向上する観点から、前記無機コーテッドサンド全量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.3質量%以上であることがさらに好ましい。一方、無機粒子の含有量は、鋳型の表面形状を良好にする観点、および、粉塵飛散を抑制する観点から、前記無機コーテッドサンド全量に対して、3.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以下であることがさらに好ましい。
【0042】
無機粒子の平均粒子径d50は、鋳型強度を向上する観点、および、ハンドリング性向上の観点から、好ましくは0.1μm以上であり、より好ましくは0.3μm以上である。
また、鋳型強度を向上する観点から、無機粒子の上記平均粒子径d50は、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは8.0μm以下であり、さらに好ましくは5.0μm以下であり、さらに好ましくは2.0μm以下である。
なお、平均粒子径d50は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による重量基準粒度分布における累積50%を意図する。
【0043】
(シリカ)
シリカとしては、ケイ酸ナトリウムとの反応性が高い観点から、前述の非晶質シリカ粒子が好ましい。
【0044】
非晶質シリカ粒子の非晶化度は、無機コーテッドサンドの粒子同士を非晶質シリカ粒子を介してより強固に結着させる観点から、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは93%以上、さらにより好ましくは95%以上、殊更好ましくは98%以上である。非晶質シリカ粒子の非晶化度の上限は限定されないが、例えば、100%以下であり、99.8%以下であってもよく、また、99%以下であってもよい。
【0045】
非晶質シリカ粒子の非晶化度は、下記に示されるX線回折法によって求めることができる。
(X線回折法)
非晶質シリカ粒子を乳鉢で粉砕し、粉末X線回折装置のX線ガラスホルダーに圧着して測定する。粉末X線回折装置は、理学電機社製MultiFlex(光源CuKα線、管電圧40kV、管電流40mA)を用い、2θ=5~90°の範囲で走査間隔0.01°、走査速度2°/min、スリット DS1、SS1、RS0.3mmにて行う。2θ=10°~50°の範囲で、低角度側及び高角度側のX線強度を直線で結び、直線下の面積をバックグラウンドとし、機器付属のソフトを用いて結晶化度を求め、100から引いて非晶化度とする。具体的には、バックグラウンドより上の面積について、非晶質ピーク(ハロー)と各結晶性成分をカーブフィッティングにより分離し、それぞれの面積を求め、下記式にて非晶化度(%)を計算する。
非晶化度(%)=ハローの面積/(結晶性成分面積+ハロー面積)×100
【0046】
非晶質シリカ粒子の平均粒子径d50は、鋳型強度を向上する観点、および、ハンドリング性向上の観点から、好ましくは0.1μm以上であり、より好ましくは0.3μm以上である。また、鋳型強度を向上する観点から、非晶質シリカ粒子の上記平均粒子径d50は、好ましくは2.0μm以下であり、より好ましくは1.0μm以下、さらに好ましくは0.8μm以下、さらにより好ましくは0.6μm以下である。
【0047】
ここで、平均粒子径d50は、例えば無機コーテッドサンドから被覆層を水で溶解させて除去し、非晶質シリカ粒子を取り出し、次いで、得られた非晶質シリカ粒子の粒度をレーザー回折散乱式粒度分布測定法で測定することによって得ることができる。
また、平均粒子径d50は、原料である非晶質シリカ粒子の粒度をレーザー回折散乱式粒度分布測定法で測定することによって得ることもできる。
【0048】
また、走査型電子顕微鏡の観察画像から求められる、非晶質シリカ粒子の平均粒子径は、単位質量当たりの鋳型強度向上やハンドリング性向上の観点から、好ましくは0.1μm以上であり、より好ましくは0.3μm以上である。また、単位質量当たりの鋳型強度向上の観点から、走査型電子顕微鏡の観察画像から求められる、非晶質シリカ粒子の平均粒子径は、好ましくは2.0μm以下であり、より好ましくは1.0μm以下、さらに好ましくは0.8μm以下、さらにより好ましくは0.6μm以下である。
ここで、走査型電子顕微鏡の観察画像から求められる、非晶質シリカ粒子の平均粒子径は、種々の画像解析手法を用いることができる。前処理として不規則な粒子選別を行ってもよい。例えば、元素を頼りに被覆層と非晶質シリカ粒子を判定した後に、任意の非晶質シリカ粒子を100個選択し、それらの粒子径を測定し、最大粒子径から数えて10個と最低粒子径から数えて10個の合計20個の非晶質シリカ粒子を除いた80個の非晶質シリカ粒子の粒子径の平均値を非晶質シリカ粒子の平均粒子径とすることができる。
【0049】
非晶質シリカ中の非晶質シリカ粒子の含有量は、鋳型強度を向上する観点および入手容易性の観点から、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、よりさらに好ましくは98質量%以上、よりさらに好ましくは実質的に100質量%である。ここで「実質的」とは、意図せずに含まれる成分、例えば、非晶質シリカ粒子中に含まれる非晶質シリカ粒子以外の非晶質シリカを含みうることを意味する。
【0050】
無機コーテッドサンド中の水分含有量は、鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、同様の観点から、好ましくは0.25質量%以下であり、より好ましくは0.20質量%以下である。
【0051】
<無機コーテッドサンドの製造方法>
無機コーテッドサンドの製造方法は、以下の工程を含む。
工程1:耐火性骨材と、水ガラスを含む粘結剤組成物とを混合し、水分を蒸発させることにより当該水ガラスの固形分を含む被覆層を前記耐火性骨材の表面に形成し、被覆耐火性骨材を得る工程
工程2:被覆耐火性骨材と、無機粒子とを混合する工程
以下、各工程の詳細を説明する。
【0052】
[工程1]
まず、耐火性骨材と、水ガラスを含む粘結剤組成物とを混合し、水分を蒸発させることにより当該水ガラスの固形分を含む被覆層を前記耐火性骨材の表面に形成し、被覆耐火性骨材を得る。
【0053】
粘結剤組成物の添加量は、鋳型強度を向上させる観点、および、鋳型の表面形状を良好にする観点から、耐火性骨材100質量部に対して好ましくは0.03質量部以上であり、より好ましくは0.1質量部以上であり、さらに好ましくは0.5質量部以上、さらにより好ましくは1質量部以上である。
また、成形金型への充填性を向上させる観点から、粘結剤組成物の添加量は、耐火性骨材100質量部に対して好ましくは5質量部以下であり、より好ましくは4質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下、さらにより好ましくは2質量部以下である。
【0054】
また、粘結剤組成物(固形分量)100質量部に対する無機粒子の添加量は、鋳型強度を向上する観点から、具体的には10質量部以上であり、好ましくは20質量部以上であり、より好ましくは40質量部以上、さらに好ましくは50質量部以上、さらにより好ましくは60質量部以上である。
一方、鋳型の表面形状を良好にする観点、および、粉塵飛散を抑制する観点から、粘結剤組成物(固形分量)100質量部に対する無機粒子の添加量は、好ましくは200質量部以下であり、より好ましくは180質量部以下であり、さらに好ましくは150質量部以下、ことさらに好ましくは120質量部以下、さらにより好ましくは80質量部以下である。
【0055】
また、耐火性骨材と、水ガラスを含む粘結剤組成物との混合方法は、特に限定されず、公知の混合槽を用い、公知の方法を用いることができる。具体的には、耐火性骨材が投入された混合槽に粘結剤組成物を添加してもよく、粘結剤組成物が投入された混合槽に耐火性骨材を添加してもよく、耐火性骨材と粘結剤組成物を同時に混合槽に投入してもよい。
また、混合する際、加熱してもよい。加熱温度は、水分の蒸発時間を短縮する観点から、20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましく、100℃以上がことさらに好ましい。一方、粘結剤組成物の硬化が進むことを抑制する観点から、160℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、140℃以下がさらに好ましく、130℃以下がことさらに好ましい。
混合時間は、均一に混合する観点、鋳型強度を向上させる観点から、30秒以上が好ましく、1分以上がより好ましく、一方、生産性の観点から、10分以下が好ましく、5分以下がより好ましく、3分以下がさらに好ましく、2分以下がことさらに好ましい。
【0056】
また、耐火性骨材は、予め加熱したものとしてもよい。これにより、生産性を向上することができる。例えば、耐火性骨材を加熱炉等により、100~200℃に加熱してもよい。
【0057】
水分を蒸発させる方法は、状況に応じて適宜調整されるが、水分の蒸発時間を短縮する観点から、100℃以上とすることが好ましい。一方、粘結剤組成物の硬化が進むことを抑制する観点から、160℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、140℃以下がさらに好ましく、130℃以下がことさらに好ましい。
加熱時間は、無機コーテッドサンドの流動性を向上する観点、乾態にする観点から、1分以上が好ましく、2分以上がより好ましく、一方、生産性の観点から、10分以下が好ましく、5分以下がより好ましく、3分以下がさらに好ましく、2分以下がことさらに好ましい。
【0058】
また、上記の混合から水分の蒸発までに要する時間としては、生産性の観点から、15分以下とすることが好ましい。
【0059】
また、被覆層を前記耐火性骨材の表面に形成する方法は、粘結剤組成物の種類に応じて選択してもよい。
【0060】
粘結剤組成物がケイ酸ナトリウムを含むとき、例えば、加熱した耐火性骨材に対して、粘結剤組成物としての水ガラス水溶液を、必要に応じて添加剤とともに、混練または混合して均一に混和し、耐火性骨材の表面を水ガラス水溶液で被覆するとともに、水ガラス水溶液の水分を蒸散させることにより、常温流動性を有する乾態の無機コーテッドサンドを得ることができる。
【0061】
[工程2]
次に、被覆耐火性骨材と、無機粒子とを混合する。
混合方法は特に限定されず、上記工程1において説明したのと同様の方法を用いることができる。
【0062】
また、混合する際、加熱してもよいが、コストを抑える点から、環境温度(0~40℃)としてもよい。また、工程1で予め加熱した耐火性骨材を用いたり、加熱を施した場合は、冷却処理などは設けず、自然放冷の状態で工程2を行ってもよい。
混合時間は、均一に混合する観点、鋳型強度を向上させる観点から、30秒以上が好ましく、1分以上がより好ましく、一方、生産性の観点から、10分以下が好ましく、5分以下がより好ましく、3分以下がさらに好ましい。
混合速度は、特に限定されないが、例えば、100~300rpmとすることが好ましい。
【0063】
無機粒子の添加量は、鋳型強度を向上させる観点、および、鋳型の表面形状を良好にする観点から、被覆耐火性骨材100質量部に対して好ましくは0.03質量部以上であり、より好ましくは0.1質量部以上であり、さらに好ましくは0.5質量部以上であり、さらにより好ましくは1質量部以上である。
また、成形金型への充填性を向上させる観点から、無機粒子の添加量は、被覆耐火性骨材100質量部に対して、好ましくは5質量部以下であり、より好ましくは4質量部以下であり、さらに好ましくは3質量部以下であり、さらにより好ましくは2質量部以下である。
【0064】
無機粒子は、固体状、または水分散液にして、被覆耐火性骨材等と混合することができる。また、無機粒子の添加は、一括して行ってもよいし、複数回に分けて行ってもよい。
【0065】
本実施形態の製造方法では耐火性骨材に被覆膜を形成したのちに無機粒子を添加(外添)すればよく、工程1と工程2は、同じ混合槽で続けて行ってもよく、異なる混合槽としてもよい。
鋳型強度を向上する観点から、工程1と工程2は、異なる混合槽とすることが好ましい。この場合、鋳型強度を向上する観点から、工程1のあと、さらに、回収物を篩にかけて、凝集物(ダマ)を除去することが好ましい。篩としては、10~80メッシュとすることが好ましい。すなわち、工程1において、粒状の被覆耐火性骨材が凝集し、塊状となっている場合、これを除去することが好ましい。これにより、工程2において、粒状の被覆耐火性骨材の表面全体に対して無機粒子を付着させやすくなり、その結果、鋳型の強度を向上させやすくなる。
このようにして、添加した無機粒子をすべて被覆耐火性骨材の表面に付着することができる。
【0066】
以上の方法により、本実施形態における無機コーテッドサンドを得ることができる。
また、得られた無機コーテッドサンドは、単独で、もしくはその他の公知の耐火性骨材やその他の添加剤と組み合わせて、所望の鋳型を造型することができる。
【0067】
<鋳型>
本実施形態において、鋳型は、前述の本実施形態における無機コーテッドサンドを用いて作製される。鋳型の造型方法としては、加熱された成形金型を用いた造型方法、加熱された成形金型にさらに水蒸気を通気した後、熱風を通気する造型方法等が挙げられる。
被覆層がケイ酸ナトリウムを含む場合は、無機コーテッドサンドに水を添加し混練した後に、加熱された成形金型へ充填して造型する方法、または無機コーテッドサンドを加熱された成形金型へ充填した後に、水蒸気を通気して、さらにその後に熱風を通気して造型する方法が好ましい。
【0068】
また、鋳型生産性を向上させる観点から、好ましくは無機コーテッドサンドを充填する前に成形金型を予め加熱により保温する。このときの加熱温度は、鋳型生産性を向上させる観点から及び鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは100℃以上であり、より好ましくは150℃以上であり、また、好ましくは300℃以下であり、より好ましくは250℃以下である。
【0069】
また、被覆層がケイ酸ナトリウムを含むとき、無機コーテッドサンドに水を添加して混練した後に加熱された成形金型に充填する。また、水蒸気を通気する造型方法では、例えば、目的とする鋳型を与える成形金型内に無機コーテッドサンドを充填した後に、水蒸気を吹き込む。水蒸気の通気により無機コーテッドサンドの充填相が湿らされて湿潤状態となる。そして、90~200℃に加熱された成形金型内に熱風を通気して無機コーテッドサンドを乾燥して硬化させる。
【0070】
また、本実施形態における無機コーテッドサンドは、積層造型法に用いることもできる。
【0071】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例0072】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0073】
[原料]
まず、以下に示す原料を用いて、表1に示す各無機コーテッドサンドを作製した。
(無機コーテッドサンドの製造に用いた原料)
・耐火性骨材
ルナモスMS#50(花王クエーカー社製、平均粒子径:237μm、球形度:0.98)
・粘結剤組成物
2号水ガラス(SiO/NaOのモル比=2.4)(富士化学社製:45質量%水溶液)
・無機粒子
非晶質シリカ微粒子:デンカ溶融シリカ SFP-20M(平均粒子径d50:0.4μm、非晶化度:99.5%以上)(デンカ社製)
酸化鉄:Fe、平均粒子径d50:1.48μm
酸化銅:CuO、平均粒子径d50:4.04μm
【0074】
<実施例1>
予め120℃に加熱した耐火性骨材(100質量部)を攪拌機Aに投入した。次いで、表1に示す粘結剤組成物を撹拌機Aに投入して3分間の混練を行い、水分を蒸発せしめる一方、砂粒塊が崩壊するまで攪拌混合せしめた後に取り出すことにより、常温で自由流動性のある乾態の被覆耐火性骨材を得た。続けて、表1に示す無機粒子(外添)を投入して、1分間、回転数270rpmで混練を行い、無機コーテッドサンドを得た。
【0075】
<実施例2~4>
予め120℃に加熱した耐火性骨材(100質量部)を攪拌機Aに投入した。次いで、表1に示す粘結剤組成物を撹拌機Aに投入して3分間の混練を行い、水分を蒸発せしめる一方、砂粒塊が崩壊するまで攪拌混合せしめた後に取り出すことにより、常温で自由流動性のある乾態の被覆耐火性骨材を得た。さらに、得られた粒状の被覆耐火性骨材を篩(20メッシュ)にかけ、被覆耐火性骨材の粒同士が凝集して塊状となっているものを除去した。
除去後、得られた回収物を撹拌機Bに投入し、そこへさらに表1に示す無機粒子(外添)を投入して、1分間、回転数270rpmで混練を行い、無機コーテッドサンドを得た。
【0076】
<比較例1~3>
予め120℃に加熱した耐火性骨材(100質量部)を攪拌機Aに投入した。次いで、表1に示す粘結剤組成物と無機粒子(内添)を撹拌機Aに投入して3分間の混練を行い、水分を蒸発せしめる一方、砂粒塊が崩壊するまで攪拌混合せしめた後に取り出すことにより、常温で自由流動性のある乾態の無機コーテッドサンドを得た。
【0077】
[評価]
得られた無機コーテッドサンドを用いて、以下の評価を行った。
【0078】
<無機粒子層の観察>
得られた無機コーテッドサンドをSEMで観察した。実施例1~4の無機コーテッドサンドは、被覆耐火性骨材の表面に多数の無機粒子が存在していることが確認された。図1に、実施例2のSEM観察結果を示した。図1中、白乃至灰色の丸状の粒は無機粒子を示す。
【0079】
<鋳型強度>
以下の方法で鋳型を作製し、鋳型強度の測定を行った。評価結果を表1に示す。
22.3×22.3×180mm試験片(5本取り)用の金型を180℃に加熱した。各例の無機コーテッドサンドについて、予め無機コーテッドサンド(100質量部)に水(2質量部)を加えて2分間混練を行った後、CSR-43ブロー造型機を使用し、ブロー圧0.3MPaで無機コーテッドサンドを金型に充填した。その後、金型内で無機コーテッドサンドを150秒間静置することで硬化させ、鋳型試験片を得た。
(測定)
あらかじめPBV抗折アタッチメントを取り付けたジョージフィッシャー社製万能強度試験機PFG型を用いて各鋳型試験片の鋳型強度(MPa)を測定した。なお、鋳型試験片は、金型から取り出したあと25℃/55%RHの恒温恒湿室で1時間放置したものを用いた。
【0080】
【表1】
図1