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特開2024-173085深さ測定装置、深さ測定方法及び深さ測定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173085
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】深さ測定装置、深さ測定方法及び深さ測定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 15/00 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
G01B15/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091212
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】515086908
【氏名又は名称】株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】相浦 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】白石 有司
【テーマコード(参考)】
2F067
【Fターム(参考)】
2F067AA06
2F067AA24
2F067AA25
2F067BB04
2F067EE04
2F067HH04
2F067JJ03
2F067KK06
2F067NN06
2F067RR21
2F067RR24
2F067RR35
(57)【要約】
【課題】部材の間隔を取得することが可能な深さ測定装置、深さ測定方法及び深さ測定プログラムを提供する。
【解決手段】深さ測定装置は、透過X線画像を取得する第1取得部と、その透過X線画像に基づいて、計測対象が配される位置に対応する基準位置からX線源を移動させて所定の透過X線画像を取得した位置までのX線源のスライド移動量と、基準位置から所定の透過X線画像を取得した位置までの検出部における第1面及び第2面それぞれに配した他の部材の像のズレ量と、X線源から検出部までの深さ方向の距離と、を取得する第2取得部と、第2取得部で取得した内容に基づいて、基準位置におけるX線源から、第1面及び第2面それぞれに配した他の部材までの深さを取得する第3取得部と、第3取得部で取得した内容に基づいて、第1面と第2面との距離を取得する第4取得部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材の第1面と、当該第1面に対して深さ方向に離れた、部材の第2面とのそれぞれに、部材とはX線の吸収係数の異なる他の部材を配した計測対象に対して、前記深さの方向に対して交差する方向にX線源をスライド移動させつつX線を照射して検出部で得られた透過X線画像を取得する第1取得部と、
前記第1取得部で取得する透過X線画像に基づいて、計測対象が配される位置に対応する基準位置から前記X線源を移動させて所定の透過X線画像を取得した位置までの前記X線源のスライド移動量と、前記基準位置から前記所定の透過X線画像を取得した位置までの前記検出部における前記第1面及び前記第2面それぞれに配した他の部材の像のズレ量と、前記X線源から前記検出部までの前記深さ方向の距離と、を取得する第2取得部と、
前記第2取得部で取得する前記スライド移動量と、前記第1面及び前記第2面それぞれに配した他の部材の像の前記ズレ量と、前記深さ方向の距離とに基づいて、前記基準位置における前記X線源から、前記第1面及び前記第2面それぞれに配した他の部材までの深さを取得する第3取得部と、
前記第3取得部で取得する、前記第1面に配した他の部材の深さと、前記第2面に配した他の部材の深さとに基づいて、前記第1面と前記第2面との距離を取得する第4取得部と、
を備える深さ測定装置。
【請求項2】
前記第1面を有する部材と、前記第2面を有する部材とは、同一又は異なる部材であり、
前記第1面及び前記第2面それぞれに配する他の部材は、前記第1面を有する部材及び前記第2面を有する部材それぞれとX線吸収係数が異なる
請求項1に記載の深さ測定装置。
【請求項3】
前記第3取得部は、前記スライド移動量をd、他の部材の像の前記ズレ量をx、前記深さ方向の距離をLとすると、下式(1)により、他の部材までの深さaを取得する
請求項1に記載の深さ測定装置。
【数1】
【請求項4】
前記第2取得部は、前記X線源を多段階に移動させることに応じて取得する複数の透過X線画像に基づく他の部材の輪郭部におけるX線の透過量の変化が所定値以上の位置を特定し、当該特定した位置と基準位置とに基づいて前記スライド移動量を取得する
請求項1に記載の深さ測定装置。
【請求項5】
部材の第1面と、当該第1面に対して深さ方向に離れた、部材の第2面とのそれぞれに、部材とは電磁波の吸収係数の異なる他の部材を配した計測対象に対して、前記深さの方向に対して交差する方向に照射源をスライド移動させつつ電磁波を照射して検出部で得られた透過画像を取得する第1取得部と、
前記第1取得部で取得する透過画像に基づいて、計測対象が配される位置に対応する基準位置から前記照射源を移動させて所定の透過画像を取得した位置までの前記照射源のスライド移動量と、前記基準位置から前記所定の透過画像を取得した位置までの前記検出部における前記第1面及び前記第2面それぞれに配した他の部材の像のズレ量と、前記照射源から前記検出部までの前記深さ方向の距離と、を取得する第2取得部と、
前記第2取得部で取得する前記スライド移動量と、前記第1面及び前記第2面それぞれに配した他の部材の像の前記ズレ量と、前記深さ方向の距離とに基づいて、前記基準位置における前記照射源から、前記第1面及び前記第2面それぞれに配した他の部材までの深さを取得する第3取得部と、
前記第3取得部で取得する、前記第1面に配した他の部材の深さと、前記第2面に配した他の部材の深さとに基づいて、前記第1面と前記第2面との距離を取得する第4取得部と、
を備える深さ測定装置。
【請求項6】
コンピュータが、
部材の第1面と、当該第1面に対して深さ方向に離れた、部材の第2面とのそれぞれに、部材とはX線の吸収係数の異なる他の部材を配した計測対象に対して、前記深さの方向に対して交差する方向にX線源をスライド移動させつつX線を照射して検出部で得られた透過X線画像を取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップで取得する透過X線画像に基づいて、計測対象が配される位置に対応する基準位置から前記X線源を移動させて所定の透過X線画像を取得した位置までの前記X線源のスライド移動量と、前記基準位置から前記所定の透過X線画像を取得した位置までの前記検出部における前記第1面及び前記第2面それぞれに配した他の部材の像のズレ量と、前記X線源から前記検出部までの前記深さ方向の距離と、を取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップで取得する前記スライド移動量と、前記第1面及び前記第2面それぞれに配した他の部材の像の前記ズレ量と、前記深さ方向の距離とに基づいて、前記基準位置における前記X線源から、前記第1面及び前記第2面それぞれに配した他の部材までの深さを取得する第3取得ステップと、
前記第3取得ステップで取得する、前記第1面に配した他の部材の深さと、前記第2面に配した他の部材の深さとに基づいて、前記第1面と前記第2面との距離を取得する第4取得ステップと、
を実行する深さ測定方法。
【請求項7】
コンピュータに、
部材の第1面と、当該第1面に対して深さ方向に離れた、部材の第2面とのそれぞれに、部材とはX線の吸収係数の異なる他の部材を配した計測対象に対して、前記深さの方向に対して交差する方向にX線源をスライド移動させつつX線を照射して検出部で得られた透過X線画像を取得する第1取得機能と、
前記第1取得機能で取得する透過X線画像に基づいて、計測対象が配される位置に対応する基準位置から前記X線源を移動させて所定の透過X線画像を取得した位置までの前記X線源のスライド移動量と、前記基準位置から前記所定の透過X線画像を取得した位置までの前記検出部における前記第1面及び前記第2面それぞれに配した他の部材の像のズレ量と、前記X線源から前記検出部までの前記深さ方向の距離と、を取得する第2取得機能と、
前記第2取得機能で取得する前記スライド移動量と、前記第1面及び前記第2面それぞれに配した他の部材の像の前記ズレ量と、前記深さ方向の距離とに基づいて、前記基準位置における前記X線源から、前記第1面及び前記第2面それぞれに配した他の部材までの深さを取得する第3取得機能と、
前記第3取得機能で取得する、前記第1面に配した他の部材の深さと、前記第2面に配した他の部材の深さとに基づいて、前記第1面と前記第2面との距離を取得する第4取得機能と、
を実現させる深さ測定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、深さ測定装置、深さ測定方法及び深さ測定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線を被検体に照射して得られた透過画像情報から断層像情報を生成する装置が存在する。その装置は、被検体が載置され、裏面にマークが形成されたテーブル部材と、テーブル部材に載置された被検体に放射線を照射するX線源とを備える。装置は、テーブル部材を回転させながら被検体にX線を照射し、画像上のマーク位置に基づいて回転振れの無い透過画像情報に補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-309687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された装置は、回転振れの無い画像を生成するためにマークを利用する。
ところで、X線を被検体に照射する技術は、特許文献1に記載のように断層画像を生成する際に利用されるばかりでなく、種々の利用が可能である。例えば、第1部材と第2部材との面間隔を求めたり、1つの部材の厚さを求めたりする技術に利用可能である。
しかしながら、例えば、部材にX線吸収係数について特徴となるものがないと、透過X線画像では目印となるものがなく、部材の面を特定することができない。従来は、透過X線画像を用いて部材の面を把握することに基づいて、面間隔及び厚さ(間隔)を取得することができなかった。
【0005】
本開示は、部材の間隔を取得することが可能な深さ測定装置、深さ測定方法及び深さ測定プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様の深さ測定装置は、部材の第1面と、その第1面に対して深さ方向に離れた、部材の第2面とのそれぞれに、部材とはX線の吸収係数の異なる他の部材を配した計測対象に対して、深さの方向に対して交差する方向にX線源をスライド移動させつつX線を照射して検出部で得られた透過X線画像を取得する第1取得部と、第1取得部で取得する透過X線画像に基づいて、計測対象が配される位置に対応する基準位置からX線源を移動させて所定の透過X線画像を取得した位置までのX線源のスライド移動量と、基準位置から所定の透過X線画像を取得した位置までの検出部における第1面及び第2面それぞれに配した他の部材の像のズレ量と、X線源から検出部までの深さ方向の距離と、を取得する第2取得部と、第2取得部で取得するスライド移動量と、第1面及び第2面それぞれに配した他の部材の像のズレ量と、深さ方向の距離とに基づいて、基準位置におけるX線源から、第1面及び第2面それぞれに配した他の部材までの深さを取得する第3取得部と、第3取得部で取得する、第1面に配した他の部材の深さと、第2面に配した他の部材の深さとに基づいて、第1面と第2面との距離を取得する第4取得部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の深さ測定装置、深さ測定方法及び深さ測定プログラムは、部材の間隔を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る深さ測定装置について説明するための図である。
図2】X線源、検出部及び計測対象の一例について説明するための図である。
図3】一実施形態に係る深さ測定装置について説明するためのブロック図である。
図4】透過X線画像に関連する他の部材の輪郭部について説明するための図である。(A)は複数の他の部材を重ねた際の第1図、(B)は透過量について説明する第1図、(C)は複数の他の部材を重ねた際の第2図、(D)は透過量について説明する第2図である。
図5】一実施形態に係る深さ測定方法について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について説明する。
【0010】
[深さ測定装置1の概要]
まず、一実施形態に係る深さ測定装置1の概要について説明する。
図1は、一実施形態に係る深さ測定装置1について説明するための図である。
図2は、X線源2、検出部3及び計測対象20の一例について説明するための図である。
【0011】
本開示では、トモシンセシス技術を応用した深度計測技術を提案する。具体的には、深さ測定装置1は、例えば、トモシンセシス技術を応用して、隣接する部材200の間隔(面間隔)及び部材200の厚さ等を測定する、すなわち深さを測定する構成等であってもよい。本開示では、面間隔及び厚さをまとめて「間隔」又は「距離」という場合がある。
【0012】
図1に例示するように、深さ測定装置1は、例えば、X線源2、X線検出部(検出部)3及び処理部10を備える。
【0013】
X線源2は、対象に対して照射するX線を発生させるX線発生装置である。X線源2は、例えば、固定陽極X線管を備える。X線管の陽極には、例えば、ターゲットとして、タングステン、モリブデン等の金属が使用される。X線源2は、例えば、処理部10の制御に基づいて、X線を透過させる計測対象20の厚さ及び材質等に応じて、発生させるX線量(エネルギ量)を設定する。X線源2には、例えば、公知のX線用の照射装置が使用されてもよい。
計測対象20は、例えば、金属部材を始めとする種々の材質からなる部材等であってもよい。
【0014】
検出部3は、例えば、X線源2から照射された後、計測対象20を透過したX線を検出する。検出部3は、例えば、計測対象20を透過した透過X線の強度(一例として、線量及び照射線量等)を検出する。検出部3には、例えば、公知のX線用の検出装置が使用されてもよい。
【0015】
処理部10は、例えば、X線源2及びX線検出部3それぞれとの間で情報の送受信を行ってもよい。処理部10は、例えば、サーバ、デスクトップ及びラップトップ等のコンピュータ(情報処理装置)等であってもよい。
【0016】
すなわち、深さ測定装置1は、計測対象20に対してX線源2からX線を照射し、検出部3で検出する。図2に例示するように、計測対象20は、第1面211を備える部材200と、第2面221を備える部材200とを備える。それらの部材200は、同一の部材であってもよく、異なる部材であってもよい。なお、図1には、計測対象20として概略の形状を記載する。第1面211と第2面221とは、X線源2から検出部3へ向かう方向を深さ方向Yとすると、深さ方向Yに離れた異なる面であってもよい。第1面211及び第2面221それぞれには、部材200とはX線の吸収係数の異なる他の部材230が配される。
【0017】
X線源2は、基準位置から、深さ方向Yに対して交差する方向(交差方向X)に移動することが可能である。X線源2は、スライド移動しつつ計測対象20に向けてX線を照射する。基準位置は、計測対象20が配される位置に対応する位置等であってもよい。
検出部3は、X線を検出して、透過X線画像(透過X線画像情報)を生成する。
【0018】
深さ測定装置1は、X線源2から検出部3までの深さ方向Yの距離Lを取得する。また、深さ測定装置1は、透過X線画像に基づいて、X線源2のスライド移動量d12と、検出部3における他の部材230の像のズレ量x12とを取得する。X線源2のスライド移動量d12は、基準位置dからX線源2を移動させて所定の透過X線画像を取得した位置dまでの移動量である。所定の透過X線画像は、他の部材230の像が明瞭に得られるような画像等であってもよい。他の部材230の像のズレ量x12は、X線源2のスライド移動量d12に応じて、検出部3において他の部材230の像を取得した際の、他の部材230の像の移動量である。すなわち、他の部材230の像のズレ量x12は、検出部3側における基準位置xから所定の透過X線画像を取得した位置xまでの他の部材230の像の移動量である。ここで、深さ測定装置1は、第1面211に配した他の部材230の像のズレ量x112(図示せず)と、第2面221に配した他の部材230の像のズレ量x212(図示せず)とを取得する。
【0019】
深さ測定装置1は、上述した、スライド移動量d12と、第1面211及び第2面221それぞれに配した他の部材230の像のズレ量x112,x212と、深さ方向の距離Lとに基づいて、基準位置dにおけるX線源2から、第1面211及び第2面221それぞれに配して他の部材230までの深さa,aを取得する。
深さ測定装置1は、第1面211に配した他の部材230の深さaと、第2面221に配した他の部材230の深さaとに基づいて、第1面211と第2面221との間隔(距離(隙量))を取得する。
【0020】
[深さ測定装置1の詳細]
次に、一実施形態に係る深さ測定装置1について詳細に説明する。ここでは特に、処理部10について詳細に説明する。
図3は、一実施形態に係る深さ測定装置1について説明するためのブロック図である。
図4は、透過X線画像に関連する他の部材230の輪郭部について説明するための図である。図4(A)は複数の他の部材230を重ねた際の第1図、図4(B)は透過量について説明する第1図、図4(C)は複数の他の部材230を重ねた際の第2図、図4(D)は透過量について説明する第2図である。
【0021】
深さ測定装置1(処理部10)は、例えば、通信部121、記憶部122、表示部123及び制御部110等を備える。通信部121、記憶部122及び表示部123は、出力部の一実施形態であってもよい。制御部110は、例えば、X線源制御部111、第1取得部112、第2取得部113、第3取得部114、第4取得部115及び出力制御部116等を備える。制御部110は、例えば、深さ測定装置1(処理部10)の演算処理装置等によって構成されてもよい。制御部110(例えば、演算処理装置等)は、例えば、記憶部122等に記憶される各種プログラム等を適宜読み出して実行することにより、各部の機能を実現してもよい。
【0022】
通信部121は、例えば、深さ測定装置1の外部にある装置(外部装置)等との間で種々の情報の送受信が可能な通信インターフェースである。通信部121は、例えば、X線源2及び検出部3と通信を行ってもよい。また、通信部121は、例えば、サーバ及びユーザ端末(図示せず)等と通信を行ってもよい。ユーザ端末は、例えば、深さ測定装置1のユーザが使用する端末であってもよく、デスクトップ、ラップトップ、タブレット及びスマートフォン等であってもよい。
【0023】
記憶部122は、例えば、種々の情報及びプログラムを記憶してもよい。記憶部122の一例は、メモリ、ソリッドステートドライブ及びハードディスクドライブ等であってもよい。なお、記憶部122は、例えば、クラウド上にある記憶領域及びサーバ等であってもよい。
【0024】
表示部123は、例えば、種々の文字、記号及び画像等を表示することが可能なディスプレイである。
【0025】
X線源制御部111は、通信部121を介して、X線源2を制御する。一例として、X線源制御部111は、X線源2をスライド移動させるよう制御する。図2に例示するように、スライド移動させる方向は、例えば、X線源2から検出部3に向かう深さ方向Yに対して交差する方向(交差方向X)、特には直交する方向等であってもよい。これにより、X線源制御部111は、X線源2をスライド移動させつつ、すなわち、X線源2を交差方向Xに多段階又は連続的に移動させつつ、そのX線源2から計測対象20に対して複数回X線を照射させる。
【0026】
第1取得部112は、計測対象20に対して、深さの方向に対して交差する方向にX線源2をスライド移動させつつX線を照射して検出部3で得られた透過X線画像を取得する。一例として、第1取得部112は、計測対象20に対して、深さの方向Yに対して交差する方向XにX線源2をスライド移動させてX線を照射し、得られた透過X線画像に関する情報(透過X線画像情報)を、通信部121を介して取得してもよい。すなわち、第1取得部112は、X線の照射位置が異なる、複数の透過X線画像を取得する。
【0027】
計測対象20は、部材200の第1面211と、その第1面211に対して深さ方向に離れた、部材200の第2面221とのそれぞれに、部材200とはX線の吸収係数の異なる他の部材230を配したものである。第1面211及び第2面221は、深さ方向Yの距離を測定する際の測定対象となる面である。第1面211と第2面221との間は、空間であってもよく、部材であってもよく、部材と空間との混合であってもよい。この場合の部材は、例えば、1つの部材の一方の面が第1面となり、一方の面の反対側の他方の面が第2面となるような場合である。部材と空間との混合は、例えば、第1面211を有する部材200(第1部材210)と、第2面221を有する部材200(第2部材220)との間に、空間を空けて、第3部材が配される構成であってもよく、又は、一例としてU字型形状を有する第1部材210(又は、第2部材220)の突起状先端部が配される構成であってもよい。
第1面211を有する部材200(第1部材210)と、第2面221を有する部材200(第2部材220)とは、同一又は異なる部材である。
【0028】
第1面211及び第2面221それぞれに配する他の部材230は、第1面211を有する部材200(第1部材210)及び第2面221を有する部材200(第2部材220)それぞれとX線吸収係数が異なる。すなわち、他の部材230は、第1面211を有する部材200(第1部材210)及び第2面221を有する部材200(第2部材220)それぞれのX線吸収係数に対して、値の大きな又は小さなX線吸収係数を有する部材であってもよい。第1面211に配する他の部材230と、第2面221に配する他の部材230とは、同一又は異なる部材であってもよい。
ここで一例として、第1面211を有する部材200(第1部材210)及び第2面221を有する部材200(第2部材220)は鋼材等であってもよく、他の部材230は鉛等から構成される部材であってもよい。なお、他の部材230は、種々の方法により部材200に配することが可能である。一例として、他の部材230は、粘着テープ及び粘着剤等を利用して、部材200に配することが可能である。
【0029】
なお、第1面211に配される他の部材230と、第2面221に配される他の部材230とは、深さ方向Yに対して対向(略対向)してもよく、Y方向に対して交差するX方向に離れていてもよい。
【0030】
また、第1面211及び第2面221それぞれに配される他の部材230は、例えば、目印となるような平板形状であってもよい。この場合の一例として、第1面211に配される他の部材230と、第2面221に配される他の部材230とは、深さ方向Yから見た平面形状が異なっていてもよい。図4に例示する場合、他の部材230の形状は円形であるが、楕円形、矩形及び三角形等であってもよく、他の形状であってもよい。
【0031】
また、第1面211及び第2面221それぞれに配される他の部材230は、例えば、高さ方向(Y方向)に対して段階的な厚さを有する形状(階段形状)であってもよい。一例として、階段形状の他の部材230は、平面サイズの異なる複数の他の部材を積層させること等により形成されてもよい。この場合、X線の強度を予め調整することなく計測対象20に照射した場合でも、階段形状の厚さに応じたいずれかの段(例えば、より厚くなる段)において、部材200とは明確に異なるような透過X線強度を得ることが可能になる。すなわち、透過X線画像の輝度において、部材200と他の部材230とを区別しやすくすることが可能になる。
【0032】
又は、第1面211及び第2面221それぞれに配される他の部材230は、例えば、相対的により広い面を有する平板であり、その平板に1又は複数の孔部が形成されてもよい。一例として、第1面211に配される他の部材230の孔部と、第2面221に配される他の部材230の孔部とは、深さ方向Yから見た平面形状が異なっていてもよい。この場合、透過X線画像の輝度において、部材200(他の部材230の孔部(開口))と他の部材230とを区別しやすくすることが可能になる。
【0033】
第2取得部113は、第1取得部112で取得する透過X線画像に基づいて、X線源2のスライド移動量d12と、他の部材230の像のズレ量x12と、X線源2から検出部3までの深さ方向Yの距離Lと、を取得する。
X線源2のスライド移動量d12は、計測対象20が配される位置に対応する基準位置dからX線源2を移動させて所定の透過X線画像を取得した位置dまでのX線源2の移動量である。
他の部材230の像のズレ量x12は、計測対象20が配される位置に対応する基準位置xから所定の透過X線画像を取得した位置xまでの、検出部3における第1面211及び第2面221それぞれに配した他の部材230の像の位置のズレ量である。
なお、X線源2側の基準位置dと、位置dと、第1面211及び第2面221それぞれに配した他の部材230の位置O,Oとで形成される三角形と、検出部3側の基準位置xと、位置xと、第1面211及び第2面221それぞれに配した他の部材230の位置O,Oとで形成される三角形とは、相似形状となる。
【0034】
第2取得部113は、X線源2を多段階に移動させることに応じて取得する複数の透過X線画像に基づく他の部材230の輪郭部におけるX線の透過量の変化が所定値以上の位置dを特定し、その特定した位置dと基準位置dとに基づいてスライド移動量d12を取得してもよい。
【0035】
ここで、X線源2をスライド移動させつつ他の部材230の像が記録された透過X線画像の複数を重ねる場合、他の部材230に対してX線源2の見掛けの移動量が小さい際には、複数の画像を重ねた他の部材230の輪郭部はより鮮明になると考えられる。同様に、他の部材230に対してX線源2の見掛けの移動量が大きい際には、画像を重ねた他の部材230の輪郭部はより不鮮明になると考えられる。
【0036】
他の部材230が深さ方向Yに対してより浅い位置(X線源2側により近い位置)に有る場合、その他の部材230からより近い位置をX線源2が移動する際(図2に例示する移動量d12が小さい場合)には、その他の部材230に対するX線源2の見掛けの移動量(例えば、検出部3に投影される他の部材230の像の-X方向への移動量)がより大きくなると考えられる。すなわちこの場合には、複数の画像を重ねた他の部材230の輪郭部はより不鮮明になると考えられる。
同様に、他の部材230が深さ方向Yに対してより浅い位置(X線源2側により近い位置)に有る場合、その他の部材230からより遠い位置をX線源2が移動する際(図2に例示する移動量d12が大きい場合)には、その他の部材230に対するX線源2の見掛けの移動量(例えば、検出部33に投影される他の部材230の像の-X方向への移動量)がより小さくなると考えられる。すなわちこの場合には、複数の画像を重ねた他の部材230の輪郭部はより鮮明になると考えられる。
【0037】
また一方、他の部材230が深さ方向Yに対してより深い位置(検出部3側により近い位置)に有る場合、その他の部材230からより近い位置をX線源2が移動する際(図2に例示する移動量d12が小さい場合)には、その他の部材230に対するX線源2の見掛けの移動量(例えば、検出部3に投影される他の部材230の像の-X方向への移動量)がより小さくなると考えられる。すなわちこの場合には、画像を重ねた他の部材230の輪郭部はより鮮明になると考えられる。
同様に、他の部材230が深さ方向Yに対してより深い位置(検出部3側により近い位置)に有る場合、その他の部材230からより遠い位置をX線源2が移動する際(図2に例示する移動量d12が大きい場合)には、その他の部材230に対するX線源2の見掛けの移動量(例えば、検出部3に投影される他の部材230の像の-X方向への移動量)がより大きくなると考えられる。すなわちこの場合には、画像を重ねた他の部材230の輪郭部はより不鮮明になると考えられる。
【0038】
他の部材230の輪郭部は、例えば、X線の透過量に応じて特定される。X線の透過量がより少ない場合には他の部材230があること、またX線の透過量がより多い場合には他の部材230が無いことと推定が可能である。
したがって、複数の透過X線画像を重ねた場合、他の部材230の像の移動がより大きいと複数の他の部材230の像のずれが大きくなり(図4(A)参照)、他の部材230の像の輪郭部がより不鮮明になり、他の部材230の輪郭部(他の部材230の像の周縁部)のX線透過量Tの差231がより緩やかな変動になる(図4(B)参照)。
同様に、複数の透過X線画像を重ねた場合、他の部材230の像の移動がより少ないと複数の他の部材230の像のずれが少なくなり(図4(C)参照)、他の部材230の像の輪郭部がより鮮明になり、他の部材230の輪郭部(他の部材230の像の周縁部)のX線透過量Tの差231がより急激な変動になる(図4(D)参照)。
【0039】
第2取得部113は、X線源2のスライド移動に応じた複数の透過X線画像を重ねた場合の、他の部材230の輪郭部の透過量Tの変化が予め設定された所定値以上の場合(例えば、透過量Tの変化の割合が閾値以上の場合)、検出部3側に投影される他の部材230の移動が最も少ない位置、すなわち、X線源2を基準位置dから移動させて透過X線画像を取得した位置(所定位置)dとして特定する。第2取得部113は、基準位置dと位置dとに基づいて、スライド移動量d12を取得する。すなわち、第2取得部113は、第1面211の他の部材230に基づいて、基準位置d及び位置dからスライド移動量d112を取得する。また、第2取得部113は、第2面221の他の部材230に基づいて、基準位置d及び位置dからスライド移動量d212を取得する。
なお、第2取得部113は、例えば、透過量Tとして、透過X線の強度又は輝度を利用してもよい。
【0040】
上記と同様に、第2取得部113は、透過X線画像に基づいて、位置d,dに応じた検出部3側の位置x,xを取得する。換言すると、第2取得部113は、透過X線画像に基づいて、スライド移動量d12に応じた他の像のズレ量x12を取得する。すなわち、第2取得部113は、第1面211に配した他の部材230の透過X線画像に基づいて、スライド移動量d112に応じた他の像のズレ量x112を取得する。また、第2取得部113は、第2面221に配した他の部材230の透過X線画像に基づいて、スライド移動量d212に応じた他の像のズレ量x212を取得する。
【0041】
第2取得部113は、X線源2と検出部3との深さ方向Yの距離Lについては、予め測定された値が入力される等により、取得することが可能である。
【0042】
第3取得部114は、第2取得部113で取得する、第1面211及び第2面221それぞれに配した他の部材230に応じたスライド移動量d12と、第1面211及び第2面221それぞれに配した他の部材230の像のズレ量x12と、深さ方向の距離Lとに基づいて、基準位置におけるX線源2から、第1面211及び第2面221それぞれに配した他の部材230までの深さa(第1面211,第2面221までの深さ)を取得する。すなわち、第3取得部114は、スライド移動量をd12、他の部材230の像のズレ量をx12、深さ方向の距離をLとすると、下式(1)により、他の部材230までの深さa(第1面211,第2面221までの深さ)を取得してもよい。
【0043】
【数1】
【0044】
ここで、X線源2側の基準位置dと、位置dと、第1面211及び第2面221それぞれに配した他の部材230の位置O,Oとで形成される三角形と、検出部3側の基準位置xと、位置xと、第1面211及び第2面221それぞれに配した他の部材230の位置O,Oとで形成される三角形とは、相似形状となる。このため、上式(1)は、下式(2)から得ることが可能である。
a:(L-a)=d12:x12・・・(2)
【0045】
第3取得部114は、上式(1)を利用して、基準位置におけるX線源2から、第1面211に配された他の部材230までの深さaと、第2面221に配された他の部材230までの深さaとを取得することができる。
すなわち、第1面211に配された他の部材230の深さa(第1面211の深さ)を取得する場合、第1面211の他の部材230の像に応じたスライド移動量d112と、第1面211に配した他の部材230の像のズレ量をx112とすると、上式(1)に基づいて、下式(3)により深さaを取得することが可能である。
【0046】
【数2】
【0047】
同様に、第2面221に配された他の部材230の深さa(第2面221の深さ)を取得する場合、第2面221の他の部材230の像に応じたスライド移動量d212と、第2面221に配した他の部材230の像のズレ量をx212とすると、上式(1)に基づいて、下式(4)により深さaを取得することが可能である。
【0048】
【数3】
【0049】
なお、第3取得部114は、上述したように第1面211及び第2面221それぞれに配される他の部材230に孔部が形成された場合、上記と同様に、第1面211に配される他の部材230の孔部までの深さ(第1面211の深さ)と、第2面221に配される他の部材230の孔部までの深さ(第2面221の深さ)とを取得してもよい。
【0050】
第4取得部115は、第3取得部114で取得する、第1面211に配した他の部材230の深さa(第1面211の深さ)と、第2面221に配した他の部材230の深さa(第2面221の深さ)とに基づいて、第1面211と第2面221との間隔(距離)を取得する。第4取得部115は、深さaと深さaとに基づいて減算を行うことにより、第1面211と第2面221との深さ方向の間隔(距離(隙量))を取得することができる。
【0051】
出力制御部116は、例えば、第4取得部115で取得された第1面211と第2面221との間隔(距離)を出力するよう出力部を制御してもよい。出力部は、例えば、通信部121、記憶部122及び表示部123等であってもよい。
すなわち、出力制御部116は、第1面211と第2面221との間隔(距離)に関する情報を外部装置(図示せず)に送信するよう通信部121を制御してもよい。外部装置は、例えば、サーバ及びユーザ端末等であってもよい。
出力制御部116は、第1面211と第2面221との間隔(距離)に関する情報を記憶するよう記憶部122を制御してもよい。
出力制御部116は、第1面211と第2面221との間隔(距離)を表示するよう表示部123を制御してもよい。
【0052】
[深さ測定方法]
次に、一実施形態に係る深さ測定方法について説明する。
図5は、一実施形態に係る深さ測定方法について説明するためのフローチャートである。
【0053】
ステップST101において、第1取得部112は、計測対象20に対して、深さの方向Yに対して交差する方向XにX線源2をスライド移動させつつX線を照射して検出部3で得られた透過X線画像を取得する。計測対象20は、部材200の第1面211と、その第1面211に対して深さ方向Yに離れた、部材200の第2面221とのそれぞれに、部材200とはX線の吸収係数の異なる他の部材230を配したものである。ここで、第1面211を有する部材200と、第2面221を有する部材200とは、同一又は異なる部材である。また、第1面211及び第2面221それぞれに配する他の部材230は、第1面211を有する部材200及び第2面221を有する部材200それぞれとX線吸収係数が異なる。
【0054】
ステップST102において、第2取得部113は、ステップST101で取得する透過X線画像に基づいて、X線源2のスライド移動量d12と、他の部材230の像のズレ量x12と、X線源2から検出部3までの深さ方向Yの距離Lと、を取得する。
X線源2のスライド移動量d12は、計測対象20が配される位置に対応する基準位置dからX線源2を移動させて所定の透過X線画像を取得した位置dまでのX線源2の移動量である。すなわち、X線源2のスライド移動量d12は、第1面211及び第2面221それぞれに配した他の部材230に応じた移動量d112,d212である。
他の部材230の像のズレ量x12は、基準位置xから所定の透過X線画像を取得した位置xまでの検出部3における第1面211及び第2面221それぞれに配した他の部材230の像の位置のズレ量x112,x212である。
第2取得部113は、X線源2を多段階に移動させることに応じて取得する複数の透過X線画像に基づく他の部材230の輪郭部におけるX線の透過量の変化が所定値以上の位置dを特定し、その特定した位置dと基準位置dとに基づいてスライド移動量d12を取得してもよい。
同様に、第2取得部113は、検出部3側において、複数の透過X線画像に基づく他の部材230の輪郭部におけるX線の透過量の変化が所定値以上の位置xを特定し、その特定した位置xと基準位置xとに基づいて他の部材230の位置のズレ量x12を取得してもよい。
【0055】
ステップST103において、第3取得部114は、ステップST102で取得する、スライド移動量d12(d112,d212)と、第1面211及び第2面221それぞれに配した他の部材230の像のズレ量x12(x112,x212)と、深さ方向Yの距離Lとに基づいて、基準位置におけるX線源2から、第1面211及び第2面221それぞれに配した他の部材230までの深さaを取得する。第3取得部114は、スライド移動量をd12(d112,d212)、他の部材230の像のズレ量をx12(x112,x212)、深さ方向の距離をLとすると、上式(1)(式(3)及び式(4))により、他の部材230までの深さa(a,a)を取得してもよい。
【0056】
ステップST104において、第4取得部115は、第3取得部114で取得する、第1面211に配した他の部材230の深さaと、第2面221に配した他の部材230の深さaとに基づいて、第1面211と第2面221との間隔(距離)を取得する。
【0057】
[機能及び回路について]
次に、上述した深さ測定装置1の機能及び回路について説明する。
深さ測定装置1の各部は、コンピュータの演算処理装置等の機能として実現されてもよい。すなわち、深さ測定装置1のX線源制御部111、第1取得部112、第2取得部113、第3取得部114、第4取得部115及び出力制御部116(制御部110)は、コンピュータの演算処理装置等によるX線源制御機能、第1取得機能、第2取得機能、第3取得機能、第4取得機能及び出力制御機能(制御機能)としてそれぞれ実現されてもよい。
深さ測定プログラムは、上述した各機能をコンピュータに実現させることができる。深さ測定プログラムは、例えば、メモリ、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ又は光ディスク等の、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体等に記録されていてもよい。記録媒体は、例えば、非一時的なコンピュータ可読媒体と言い換えてもよい。
また、上述したように、深さ測定装置1の各部は、コンピュータの演算処理装置等で実現されてもよい。その演算処理装置等は、例えば、集積回路等によって構成される。このため、深さ測定装置1の各部は、演算処理装置等を構成する回路として実現されてもよい。すなわち、深さ測定装置1のX線源制御部111、第1取得部112、第2取得部113、第3取得部114、第4取得部115及び出力制御部116(制御部110)は、コンピュータの演算処理装置等を構成するX線源制御回路、第1取得回路、第2取得回路、第3取得回路、第4取得回路及び出力制御回路(制御回路)として実現されてもよい。
また、深さ測定装置1の通信部121、記憶部122及び表示部123(出力部)は、例えば、演算処理装置等の機能を含む通信機能、記憶機能及び表示機能(出力機能)として実現されてもよい。また、深さ測定装置1の通信部121、記憶部122及び表示部123(出力部)は、例えば、集積回路等によって構成されることにより通信回路、記憶回路及び表示回路(出力回路)として実現されてもよい。また、深さ測定装置1の通信部121、記憶部122及び表示部123(出力部)は、例えば、複数のデバイスによって構成されることにより通信装置、記憶装置及び表示装置(出力装置)として構成されてもよい。
【0058】
深さ測定装置1は、上述した複数の各部のうち1又は任意の複数を組み合わせることが可能である。
本開示では、「情報」の文言を使用しているが、「情報」の文言は「データ」と言い換えることができ、「データ」の文言は「情報」と言い換えることができる。
【0059】
[変形例]
上述した実施形態では、X線を利用した装置について説明した。しかしながら、本開示の深さ測定装置1等では、X線を利用するばかりでなく、種々の波長(波長域)の光及び放射線(電磁波)を利用してもよい。この場合、深さ測定装置1等は、例えば、赤外光、可視光及び紫外光等の光、並びに、放射線を照射源から計測対象20に照射することに応じて透過画像を取得し、上述した実施形態と同様に深さを取得してもよい。種々の波長(波長域)を利用して透過画像を取得し、また深さを取得する部材200の一例は、半導体等を始めとする種々の材質からなる部材であってもよい。
【0060】
[本実施形態の態様及び効果]
次に、本実施形態の一態様及び各態様が奏する効果について説明する。なお、以下に記載する各態様は出願時の一例であり、本実施形態は以下に記載する態様に限定されることはない。すなわち、本実施形態は以下に記載する各態様に限定されることはなく、上述した各部を適宜組み合わせて実現されてもよい。また、下位の態様は、それよりも上位の態様のいずれでも引用できる場合がある。
また、以下に記載する効果は一例であり、各態様が奏する効果は以下に記載するものに限定されることはない。また、各態様は、例えば、以下に記載する少なくとも1つの効果を奏してもよい。
【0061】
(態様1)
一態様の深さ測定装置は、部材の第1面と、その第1面に対して深さ方向に離れた、部材の第2面とのそれぞれに、部材とはX線の吸収係数の異なる他の部材を配した計測対象に対して、深さの方向に対して交差する方向にX線源をスライド移動させつつX線を照射して検出部で得られた透過X線画像を取得する第1取得部と、第1取得部で取得する透過X線画像に基づいて、計測対象が配される位置に対応する基準位置からX線源を移動させて所定の透過X線画像を取得した位置までのX線源のスライド移動量と、基準位置から所定の透過X線画像を取得した位置までの検出部における第1面及び第2面それぞれに配した他の部材の像のズレ量と、X線源から検出部までの深さ方向の距離と、を取得する第2取得部と、第2取得部で取得するスライド移動量と、第1面及び第2面それぞれに配した他の部材の像のズレ量と、深さ方向の距離とに基づいて、基準位置におけるX線源から、第1面及び第2面それぞれに配した他の部材までの深さを取得する第3取得部と、第3取得部で取得する、第1面に配した他の部材の深さと、第2面に配した他の部材の深さとに基づいて、第1面と第2面との距離を取得する第4取得部と、を備える。
これにより、深さ測定装置は、計測対象における部材の間隔を取得することができる。また、深さ測定装置は、他の部材を測定対象の面(第1面及び第2面)に配するだけで、トモシンセシス技術を利用して第1面と第2面との間隔(距離(隙量))を取得できるので、相対的により短い時間で且つ定量的に測定することができる。
すなわち、深さ測定装置は、異なる部材(例えば、第1部材及び第2部材)において、第1部材に配された第1面と、第2部材に配された第2面との間の間隔(距離)を取得することができる。なお、第1部材の第1面と第2部材の第2面とは、対向してもよく、又は、対向しなくともよい。対向しない場合とは、第1部材の第1面と、第2部材の第2面との間に、第1部材及び第2部材とは異なる第3部材が配される場合等であってもよい。
また、深さ測定装置は、同一の部材の異なる面(第1面及び第2面)の間隔、一例としてU字型を形成した部材の先端部における異なる面の間隔、及び、任意の形状の部材の厚さ(部材の第1面と、その部材において第1面とは反対側となる第2面との距離)を取得することができる。
また、深さ測定装置は、他の部材を配する位置を適宜調整することにより、任意の位置の面間隔を取得することができる。
【0062】
(態様2)
一態様の深さ測定装置では、第1面を有する部材と、第2面を有する部材とは、同一又は異なる部材であり、第1面及び第2面それぞれに配する他の部材は、第1面を有する部材及び第2面を有する部材それぞれとX線吸収係数が異なることとしてもよい。
これにより、深さ測定装置は、異なる部材の面間隔及び同一の部材の面間隔を取得することができる。また、深さ測定装置は、X線の吸収係数を部材と他の部材とで異なることとすることにより、検出部で得られる透過X線画像において部材と他の部材とを区別することができる。
【0063】
(態様3)
一態様の深さ測定装置では、第3取得部は、スライド移動量をd、他の部材の像のズレ量をx、深さ方向の距離をLとすると、上式(1)(式(3)及び式(4))により、他の部材までの深さaを取得することとしてもよい。
これにより、深さ測定装置は、算出式を利用して、基準位置におけるX線源から、第1面に配された他の部材までの深さaと、第2面に配された他の部材までの深さaとを取得することができる。深さ測定装置は、深さaと深さaとに基づいて減算を行うことにより、第1面と第2面との深さ方向の距離を取得することができる。
【0064】
(態様4)
一態様の深さ測定装置では、第2取得部は、X線源を多段階に移動させることに応じて取得する複数の透過X線画像に基づく他の部材の輪郭部におけるX線の透過量の変化が所定値以上の位置を特定し、その特定した位置と基準位置とに基づいてスライド移動量を取得することとしてもよい。
これにより、深さ測定装置は、トモシンセシス技術を利用して得た複数の透過X線画像を重ねた際の、他の部材の輪郭部におけるX線の透過量の変化が所定値以上の場合、他の部材に焦点が合っていると推定することができる。深さ測定装置は、その推定に基づいてスライド移動量を取得することができる。
【0065】
(態様5)
一態様の深さ測定装置は、部材の第1面と、その第1面に対して深さ方向に離れた、部材の第2面とのそれぞれに、部材とは電磁波の吸収係数の異なる他の部材を配した計測対象に対して、深さの方向に対して交差する方向に照射源をスライド移動させつつ電磁波を照射して検出部で得られた透過画像を取得する第1取得部と、第1取得部で取得する透過画像に基づいて、計測対象が配される位置に対応する基準位置から照射源を移動させて所定の透過画像を取得した位置までの照射源のスライド移動量と、基準位置から所定の透過画像を取得した位置までの検出部における第1面及び第2面それぞれに配した他の部材の像のズレ量と、照射源から検出部までの深さ方向の距離と、を取得する第2取得部と、第2取得部で取得するスライド移動量と、第1面及び第2面それぞれに配した他の部材の像のズレ量と、深さ方向の距離とに基づいて、基準位置における照射源から、第1面及び第2面それぞれに配した他の部材までの深さを取得する第3取得部と、第3取得部で取得する、第1面に配した他の部材の深さと、第2面に配した他の部材の深さとに基づいて、第1面と第2面との距離を取得する第4取得部と、を備える。
これにより、深さ測定装置は、上述した一態様と同様の効果を奏することができる。
【0066】
(態様6)
一態様の深さ測定方法では、コンピュータが、部材の第1面と、その第1面に対して深さ方向に離れた、部材の第2面とのそれぞれに、部材とはX線の吸収係数の異なる他の部材を配した計測対象に対して、深さの方向に対して交差する方向にX線源をスライド移動させつつX線を照射して検出部で得られた透過X線画像を取得する第1取得ステップと、第1取得ステップで取得する透過X線画像に基づいて、計測対象が配される位置に対応する基準位置からX線源を移動させて所定の透過X線画像を取得した位置までのX線源のスライド移動量と、基準位置から所定の透過X線画像を取得した位置までの検出部における第1面及び第2面それぞれに配した他の部材の像のズレ量と、X線源から検出部までの深さ方向の距離と、を取得する第2取得ステップと、第2取得ステップで取得するスライド移動量と、第1面及び第2面それぞれに配した他の部材の像のズレ量と、深さ方向の距離とに基づいて、基準位置におけるX線源から、第1面及び第2面それぞれに配した他の部材までの深さを取得する第3取得ステップと、第3取得ステップで取得する、第1面に配した他の部材の深さと、第2面に配した他の部材の深さとに基づいて、第1面と第2面との距離を取得する第4取得ステップと、を実行する。
これにより、深さ測定方法は、上述した一態様の深さ測定装置と同様の効果を奏することができる。
【0067】
(態様7)
一態様の深さ測定プログラムは、コンピュータに、部材の第1面と、その第1面に対して深さ方向に離れた、部材の第2面とのそれぞれに、部材とはX線の吸収係数の異なる他の部材を配した計測対象に対して、深さの方向に対して交差する方向にX線源をスライド移動させつつX線を照射して検出部で得られた透過X線画像を取得する第1取得機能と、第1取得機能で取得する透過X線画像に基づいて、計測対象が配される位置に対応する基準位置からX線源を移動させて所定の透過X線画像を取得した位置までのX線源のスライド移動量と、基準位置から所定の透過X線画像を取得した位置までの検出部における第1面及び第2面それぞれに配した他の部材の像のズレ量と、X線源から検出部までの深さ方向の距離と、を取得する第2取得機能と、第2取得機能で取得するスライド移動量と、第1面及び第2面それぞれに配した他の部材の像のズレ量と、深さ方向の距離とに基づいて、基準位置におけるX線源から、第1面及び第2面それぞれに配した他の部材までの深さを取得する第3取得機能と、第3取得機能で取得する、第1面に配した他の部材の深さと、第2面に配した他の部材の深さとに基づいて、第1面と第2面との距離を取得する第4取得機能と、を実現させる。
これにより、深さ測定プログラムは、上述した一態様の深さ測定装置と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 深さ測定装置
2 X線源
3 検出部
10 処理部
110 制御部
111 X線源制御部
112 第1取得部
113 第2取得部
114 第3取得部
115 第4取得部
116 出力制御部
121 通信部
122 記憶部
123 表示部
20 計測対象
200 部材
210 第1部材
220 第2部材
230 他の部材
231 X線透過量の差
図1
図2
図3
図4
図5