(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173087
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】農作業者の見守りシステム、農作業者の見守り方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20241205BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20241205BHJP
A01B 69/00 20060101ALI20241205BHJP
G08B 21/04 20060101ALI20241205BHJP
G06Q 50/02 20240101ALI20241205BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G05D1/02 N
A01B69/00 B
G08B21/04
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091215
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石山 健二
(72)【発明者】
【氏名】本田 士郎
(72)【発明者】
【氏名】今 健人
(72)【発明者】
【氏名】窪田 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】今井 浩久
【テーマコード(参考)】
2B043
5C086
5C087
5H301
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB19
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB20
2B043DA07
2B043DA15
2B043DA17
2B043EA18
5C086AA22
5C086BA18
5C086BA22
5C086CA06
5C086CA11
5C086CA28
5C086CB36
5C086EA13
5C086FA02
5C086FA06
5C087AA32
5C087AA37
5C087AA44
5C087DD03
5C087DD14
5C087DD40
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG40
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5C087GG84
5H301BB01
5H301CC03
5H301CC06
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD15
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG09
5H301QQ08
5L049CC01
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】農作業者に発生した異常を早期に検出できる見守りシステムを提供する。
【解決手段】見守りシステムS1は、圃場内を走行する農作業支援車両V1の周囲で作業する作業者によって繰り返し行われる所定動作を検出するリピート動作検出部11eと、基準動作時間以下の時間間隔で所定動作が検出されないことを少なくとも1つの条件として、異常が発生したと判断する異常検出部11fとを含む。このシステムS1によると、例えば作業者が一人で剪定等の農作業を行っている場合でも、作業者に発生した異常を、異常発生から大きな時間を空けることなく検知できる。また、農作業のために繰り返し行われる動作が異常検出に利用されるので、作業者の負担を軽減できる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場内を走行する農作業支援車両の周囲で作業する作業者によって繰り返し行われる所定動作を検出する動作検出部と、
所定時間以下の時間間隔で前記所定動作が検出されないことを少なくとも1つの条件として、異常が発生したと判断する異常検出部と
を含む農作業者の見守りシステム。
【請求項2】
前記異常検出部は、前記動作検出部によって前記所定動作が検出された後、前記所定時間を超えても次の前記所定動作が検出されないことを少なくとも1つの条件として、異常が発生したと判断する
請求項1に記載される農作業者の見守りシステム。
【請求項3】
前記車両の周囲で作業している前記作業者が操作可能な入力部と、
前記作業者による走行指令を前記入力部で受け付けたときに、前記車両を所定距離又は所定時間だけ走行させる走行制御部と
を含み、
前記動作検出部により検出される前記所定動作は、前記入力部に対する前記走行指令の入力操作を含む
請求項1に記載される農作業者の見守りシステム。
【請求項4】
前記車両の周囲を観察する周囲観察装置を含み、
前記動作検出部により検出される前記所定動作は、前記周囲観察装置の観察領域に前記作業者が入ること及び/又は前記周囲観察装置の観察領域内で前記作業者が動くことを含む
請求項1に記載される農作業者の見守りシステム。
【請求項5】
前記作業者が行う作業内容を受け付ける入力部を含み、
前記異常検出部は、前記作業者が行う作業内容に応じて設定された異常検出条件が充足するか否かを判断する
請求項1に記載される農作業者の見守りシステム。
【請求項6】
前記異常検出条件は、前記所定時間以下の時間間隔で前記所定動作が検出されないことを含み、
前記所定時間が前記作業内容に応じて設定されている
請求項5に記載される農作業者の見守りシステム。
【請求項7】
前記入力部が受け付ける前記作業内容には、作業の対象となる果樹種が含まれる
請求項5に記載される農作業者の見守りシステム。
【請求項8】
前記作業者の情報を受け付ける入力部を含み、
前記異常検出部は、前記作業者の情報に応じて設定された異常検出条件が充足するか否かを判断する
請求項1に記載される農作業者の見守りシステム。
【請求項9】
前記異常検出条件は、前記所定時間以下の時間間隔で前記所定動作が検出されないことを含み、
前記所定時間が前記作業者の情報に応じて設定されている
請求項8に記載される農作業者の見守りシステム。
【請求項10】
前記車両の周囲で作業する前記作業者が操作可能な入力部と、
前記車両の周囲を観察する周囲観察装置を含み、
前記作業者による走行指令を前記入力部で受け付けたときに、前記車両を所定距離又は所定時間だけ走行させる第1走行モードと、前記周囲観察装置を利用して前記作業者に追従するように前記車両を走行させる第2走行モードとを実行する走行制御部と
を含み、
前記第1走行モードにおいて前記動作検出部により検出される前記所定動作は、前記入力部に対する前記走行指令の入力操作を含み、
前記第2走行モードにおいて前記動作検出部により検出される前記所定動作は、前記周囲観察装置の観察範囲に前記作業者が入ること及び/又は前記周囲観察装置の観察領域内で前記作業者が動くことを含む
請求項1に記載される農作業者の見守りシステム。
【請求項11】
前記異常検出部は、前記所定時間以下の時間間隔で前記所定動作が検出されない場合に、前記作業者に応答を要求し、その結果に基づいて異常が発生したか否かを判断する
請求項1に記載される農作業者の見守りシステム。
【請求項12】
前記異常検出部によって異常が検出された場合に、異常発生を通報する異常通報部を有する
請求項1に記載される農作業者の見守りシステム。
【請求項13】
圃場内を走行する農作業支援車両の周囲で作業する作業者によって繰り返し行われる所定動作を検出する動作検出工程と、
所定時間以下の時間間隔で前記所定動作が検出されないことを少なくとも1つの条件として、異常が発生したと判断する異常検出工程と
を含む農作業者の見守り方法。
【請求項14】
圃場内を走行する農作業支援車両の周囲で作業する作業者によって繰り返し行われる所定動作を検出する動作検出手段、及び
所定時間以下の時間間隔で前記所定動作が検出されないことを少なくとも1つの条件として、異常が発生したと判断する異常検出手段
としてコンピュータを機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、農作業者の見守りシステム、農作業者の見守り方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
農作業を支援する種々の車両が提案されている。例えば、特許文献1では、ロータリ耕耘装置が連結された自律走行作業車両と、自律走行作業車両の斜め後側を走行し、オペレータが搭乗・操作する随伴走行作業車両とを含むシステムが提案されている。このシステムでは、自律走行作業車両の走行状態(走行方向・走行速度)と、随伴走行作業車両の走行状態とを比較することで、オペレータの操作の異常を判定している。また、このシステムでは、随伴走行作業車両に搭載されたディスプレイに「異常はないか?」というメッセージを表示することで、オペレータの状態を監視している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
剪定作業によって発生した枝や、収穫作業によって得られた収穫物などを、作業者の近くで積載し、集積場所まで運ぶ自動運転車両が検討されている。この車両を活用することにより、農作業の負荷を大きく軽減できる。農業従事者の高齢化が深刻化しているため、農作業の負担軽減に加えて、作業者の安全性への配慮も重要となっている。例えば、作業者が転倒していないかや、体調不良が乗じていないかなどの監視が望まれる。また、農業に従事する人口の減少という問題もある。経験が豊富でない人々や、障害者、圃場のある国での作業に慣れていない外国人の労働力を農業に活用できれば、人口減少の問題の解消に繋がる可能性がある。そのような人々の作業も監視するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本開示で提案する農作業者の見守りシステムは、圃場内を走行する農作業支援車両の周囲で作業する作業者によって繰り返し行われる所定動作を検出する動作検出部と、所定時間以下の時間間隔で前記所定動作が検出されないことを少なくとも1つの条件として、異常が発生したと判断する異常検出部とを含む。
【0006】
このシステムによると、例えば作業者が一人で剪定等の農作業を行っている場合でも、作業者に発生した異常(例えば、転倒や体調不良)を、異常発生から大きな時間を空けることなく検知できる。また、農作業のために繰り返し行われる動作が異常検出に利用されるので、例えば作業者に対して定期的に応答を要求するシステムに比して、作業者の負担を軽減できる。
【0007】
(2)(1)の見守りシステムにおいて、前記異常検出部は、前記動作検出部によって前記所定動作が検出された時点から計時を開始し、前記所定動作が検出された時点から、前記所定時間を超えても次の前記所定動作が検出されないことを少なくとも1つの条件として、異常が発生したと判断してよい。
【0008】
(3)(1)又は(2)の見守りシステムは、前記車両の周囲で作業している前記作業者が操作可能な入力部と、前記作業者による走行指令を前記入力部で受け付けたときに、前記車両を所定距離又は所定時間だけ走行させる走行制御部とを含んでよい。前記動作検出部により検出される前記所定動作は、前記入力部に対する前記走行指令の入力操作を含んでよい。この走行制御部及び入力部によれば、作業者の農作業の進行に合わせて車両を進めることができる。また、その入力部に対する走行指令の入力操作が異常検出に利用されるので、例えば作業者に対して定期的に応答を要するシステムに比して、作業者の負担を軽減できる。
【0009】
(4)(1)又は(2)の見守りシステムは、前記車両の周囲を観察する周囲観察装置を含んでよい。前記動作検出部により検出される前記所定動作は、前記周囲観察装置の観察領域に前記作業者が入ること及び/又は前記周囲観察装置の観察領域内で前記作業者が動くことを含んでよい。異常検出に利用される動作が周囲観察装置の観察領域に入ることであったり、作業者が周囲観察装置の観察領域内で動くことであったりするので、例えば作業者に対して定期的に応答を要するシステムに比して、作業者の負担を軽減できる。
【0010】
(5)(1)~(4)の見守りシステムは、前記作業者が行う作業内容を受け付ける入力部を含んでよい。前記異常検出部は、前記作業者が行う作業内容に応じて設定された異常検出条件が充足するか否かを判断してよい。これによれば、作業内容に適した条件で異常検出を行うことができる。
【0011】
(6)(5)の見守りシステムにおいて、前記異常検出条件は、前記所定時間以下の時間間隔で前記所定動作が検出されないことを含んでよい。前記所定時間が前記作業内容に応じて設定されてよい。これによれば、作業内容に適した時間内に前記所定動作が検出されない場合に、異常を検出できる。
【0012】
(7)(5)又は(6)の見守りシステムにおいて、前記入力部が受け付ける前記作業内容には、作業の対象となる果樹種が含まれてよい。これによれば、果樹種によって農作業に要する時間や負荷が異なる場合に、果樹種に適した条件で異常検出を行うことができる。
【0013】
(8)(1)~(7)の見守りシステムは、前記作業者の情報を受け付ける入力部を含んでよい。前記異常検出部は、前記作業者の情報に応じて設定された異常検出条件が充足するか否かを判断してよい。これによれば、例えば作業者の経験や年齢に適した条件で異常検出を行うことができる。
【0014】
(9)(8)の見守りシステムは、前記異常検出条件は、前記所定時間以下の時間間隔で前記所定動作が検出されないことを含み、前記所定時間が前記作業者の情報に応じて設定されている。これによれば、作業者の経験や年齢に適した時間内に前記所定動作が検出されない場合に、異常を検出できる。
【0015】
(10)(1)~(9)の見守りシステムは、前記車両の周囲で作業する前記作業者が操作可能な入力部と、前記車両の周囲を観察する周囲観察装置とを含んでよい。また、前記見守りシステムは、前記作業者による走行指令を前記入力部で受け付けたときに、前記車両を所定距離又は所定時間だけ走行させる第1走行モードと、前記周囲観察装置を利用して前記作業者に追従するように前記車両を走行させる第2走行モードとを実行する走行制御部とを含んでよい。前記第1走行モードにおいて前記動作検出部により検出される前記所定動作は、前記入力部に対する前記走行指令の入力操作を含む。前記第2走行モードにおいて前記動作検出部により検出される前記所定動作は、前記周囲観察装置の観察範囲に前記作業者が入ること及び/又は前記周囲観察装置の観察領域内で前記作業者が動くことを含む。
【0016】
(11)(1)~(10)の見守りシステムにおいて、前記異常検出部は、前記所定時間以下の時間間隔で前記所定動作が検出されない場合に、前記作業者に応答を要求し、その結果に基づいて異常が発生したか否かを判断してよい。これによれば、例えば異常の誤検知を低減できる。
【0017】
(12)(1)~(11)の見守りシステムは、前記異常検出部によって異常が検出された場合に、異常発生を通報する異常通報部を有してよい。
【0018】
(13)本開示で提案する農作業者の見守り方法は、圃場内を走行する農作業支援車両の周囲で作業する作業者によって繰り返し行われる所定動作を検出する動作検出工程と、所定時間以下の時間間隔で前記所定動作が検出されないことを少なくとも1つの条件として、異常が発生したと判断する異常検出工程とを含む。
【0019】
(14)本開示で提案するプログラムは、圃場内を走行する農作業支援車両の周囲で作業する作業者によって繰り返し行われる所定動作を検出する動作検出手段、及び所定時間以下の時間間隔で前記所定動作が検出されないことを少なくとも1つの条件として、異常が発生したと判断する異常検出手段としてコンピュータを機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示で提案する見守りシステムを有する農作業支援システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】農作業支援車両のハードウェアを示すブロック図である。見守りシステムは、同図に示す制御装置、周囲観察装置、寸進指令入力部等によって構成される。
【
図3】農作業支援車両が利用される圃場の例を示す概略図である。
【
図4】制御装置が有する機能を示すブロック図である。
【
図5A】見守りシステムが有する作業者管理テーブルを示す図である。
【
図5B】見守りシステムが有する基準動作時間テーブルを示す図である。
【
図5C】基準動作時間テーブルの変形例を示す図である。
【
図6】入出力装置に表示される作業入力画面の例を示す図である。
【
図7】寸進モードにおいて制御装置が実行する処理の例を示すフロー図である。
【
図8】自律走行モードにおいて制御装置が実行する処理の例を示すフロー図である。
【
図9】追従部を有する制御装置の機能を有するブロック図である。
【
図10】追従モードにおいて制御装置が実行する処理の例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示で提案する農作業者の見守りシステムについて説明する。
図1は、農作業者の見守りシステムの一例を含む農作業支援システム1を示すブロック図である。
図2は、農作業支援車両の一例である車両V1、及び見守りシステムS1のハードウェアを示すブロック図である。
【0022】
見守りシステムS1の一例は、
図2で示すように、車両V1に搭載される制御装置11や、周囲観察装置30などによって構成される。見守りシステムS1は、車両V1の外部のハードウェア(例えば、
図1に示す管理装置70)を利用して構成されてもよい。
【0023】
図1で示すように、農作業支援システム1は、1又は複数の車両V1と、管理装置70を有していてよい。管理装置70は、情報通信網Cnを介して車両V1と接続されてよい。情報通信網Cnは、インターネット、携帯電話網、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、専用回線などを含む。
【0024】
[車両の使用]
車両V1は、例えば、みかんや、ナシ、リンゴ、モモなどの果樹を栽培している圃場において利用される。作業者は、圃場において、例えば、収穫作業や、剪定作業などを行う。車両V1は果樹列に沿って走行し、農作業者は、収穫作業によって得られた農作物や、剪定によって発生した枝などを、車両V1に積み込む。(本明細書においては、農作物や、枝など、圃場内での作業によって取得したものを「圃場発生物」と称する。)車両V1は、農作業者の指令に応じて、果樹列から離れた所定の場所(例えば、枕地に設置された定置作業場)まで、圃場発生物を搬送する。なお、車両V1は、ここで説明した例に限られない。例えば、車両V1は、農薬散布装置を搭載していたり、或いは、草刈り装置を搭載していてもよい。
【0025】
[管理装置]
管理装置70は、
図1で示すように、処理装置71、記憶装置72、及び通信装置73を有している。記憶装置72はHDD(Hard Disk Drive)や、SSD(Solid State Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)など含んでよい。記憶装置72には、車両V1が走行すべき経路情報、圃場の地図情報(例えば、点群データから作成されたマップ)などが格納されている。処理装置71は、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。処理装置71は、記憶装置72に記憶されているプログラムを実行し、農作業支援に係る種々の処理を実行する。例えば、処理装置71は、圃場内の経路情報や、地図情報などを車両V1に送信する。通信装置73は、情報通信網Cnを介して、車両V1と通信するための通信モジュールである。処理装置71は、車両V1から送られてくる情報に基づいて、農作業者の異常を判定してもよい。
【0026】
管理装置70は出力装置74を有してよい。出力装置74は、具体的には、表示装置や、スピーカなどである。表示装置は、例えば、通信装置73を通して管理装置70が受信した車両V1に関する情報(例えば、速度や、圃場における現在位置など)を表示してよい。また、見守りシステムS1(
図2参照)の処理によって異常が検知された場合、管理装置70は、その旨の情報を車両V1から受信し、表示装置に表示したり、或いはスピーカによって音声で出力してもよい。
【0027】
[見守りシステム及び車両のハードウェア]
車両V1は、
図2で示す制御装置11を有している。制御装置11は処理装置12と記憶装置13とを含む。記憶装置13は、例えば、RAM(Random Access Memory)や、ROM(Read Only Memory)を含んでいる。処理装置12は、CPU(Central Processing Unit)や、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを含んでいる。処理装置12は、記憶装置13に格納されているプログラムを実行し、車両V1に搭載されている駆動機構21やステアリング機構23などを制御する。制御装置11は、車両V1に搭載されるネットワーク(例えば、CAN(Controller Area Network))を介して互いに接続される複数の装置(各装置が処理装置と記憶装置とを含む)によって構成されてもよい。
【0028】
[駆動機構等]
車両V1は、農産物や、剪定により発生した枝などの圃場発生物を載せるための荷台19(
図1参照)を有している。また、車両V1は、
図2で示す駆動機構21と、ブレーキ機構22と、ステアリング機構23とを有している。
【0029】
駆動機構21は、車輪の駆動源として、例えば電動モータを有する。この場合、車両V1は電動モータに供給する電力を蓄えるバッテリを有する。駆動源はエンジンであってもよい。駆動機構21は、駆動源から車輪への動力伝達経路上に、変速機や減速機を有してもよい。
【0030】
ブレーキ機構22は車輪に対して制動力を付与する機構であり、例えば、ブレーキ装置と、ブレーキ装置に油圧を介して接続されるコントロールバルブとを含む。
【0031】
ステアリング機構23は、例えば前輪を操舵するための機構であり、ステアリングシャフト、ステアリングシャフトと車輪とを連結するタイロッドと、ステアリングシャフトを回転させるアクチュエータとを含む。
【0032】
車両V1は、
図2で示す機構に加えて、運転者が車両V1を運転操作するための操作部材を有してよい。具体的には、車両V1は、駆動機構21を操作するためのアクセル操作部材(例えば、アクセルペダルや、アクセルグリップなど)、ブレーキ機構22を操作するためのブレーキ操作部材(例えば、ブレーキペダルや、ブレーキレバーなど)、ステアリング機構23を操作するためのステアリング操作部材を有してもよい。
【0033】
見守りシステムS1は、
図2で示すように、車両V1に搭載され、車両V1の周囲を観察するための周囲観察装置30を有している。周囲観察装置30は、車両V1の周囲にある地物を表す情報を出力する。周囲観察装置30は、例えば、LiDAR(Light Detection and Ranging)31と、カメラ32とを含んでよい。また、周囲観察装置30は、ミリ波レーダを含んでもよい。
【0034】
車両V1はGNSS受信機34を有してよい。GNSS受信機34はGNSS衛星(例えばGPS衛星)から到来する電波を受信し、その電波に基づいて車両V1の位置を測位する。通信装置38は情報通信網Cnを介して管理装置70に接続するための無線通信モジュールである。
【0035】
また、
図2で示すように、見守りシステムS1は寸進指令入力部35を有している。寸進指令入力部35は、農作業者が、所定の距離(例えば1~5メートル)や所定の時間(例えば1~5秒)だけ車両V1を前進させるための入力手段である。寸進指令入力部35は操作ボタンであってよい。農作業者は、寸進指令入力部35の操作(オン操作)を繰り返すことで、自身の農作業の進行に合わせて、車両V1を少しずつ前進させることができる。寸進指令入力部35は、車両V1の車体に設置されていてもよいし、或いは、車体から離れて農作業者によって保持されていてもよい。寸進指令入力部35は、近距離無線で制御装置11に接続されていてもよいし、或いは、制御装置11に有線で接続されてもよい。
【0036】
図2で示すように、見守りシステムS1は発進指令入力部36を有している。発進指令入力部36は、停止中の車両V1に対して農作業者が走行開始を指示するための入力手段である。発進指令入力部36も操作ボタンであってよい。発進指令入力部36は、寸進指令入力部35と同様、車両V1の車体に設置されていてもよいし、或いは、車体から離れて農作業者によって保持されていてもよい。発進指令入力部36も、近距離無線で制御装置11に接続されてもよいし、或いは、制御装置11に有線で接続されてもよい。発進指令入力部36は、車両V1が走行しているときには、制御装置11に停止を指示してもよい。
【0037】
後において説明するように、1台の車両V1を利用した農作業には、複数の作業者が関与し得る。複数の発進指令入力部36が、複数の作業者(具体的には、果樹列に沿って作業する作業者、及び定置作業場での作業者)によってそれぞれ保持されていてよい。
【0038】
見守りシステムS1は、入出力装置37を有している。入出力装置37は、例えばタブレットPCや、スマートフォンなどの携帯端末である。入出力装置37は、例えば後述する作業入力画面B(
図6参照)を提示し、また作業者から作業内容等の情報を受け付ける。
【0039】
見守りシステムS1は、スピーカ39を有してよい。スピーカ39は、例えば車両V1に搭載される。見守りシステムS1によって異常の可能性が認められた場合に、作業者に応答を要求する音声メッセージを出力してよい。
【0040】
[圃場の例]
図3は、車両V1が利用される圃場の例を示す図である。
図3で示すように、圃場では、例えば、複数の果樹列F1~F4が並んでいる。この図では、果樹列F1~F4に沿って描かれている複数の黒丸は果実を表している。各果樹列F1~F4では、果樹が並んでいる。果樹列は、主幹が独立した果樹の列だけでなく、接ぎ木等によって相互に連結している果樹の列であってもよい。また、果樹列は、ブドウの様なつる性の果樹であってもよい。この場合、果樹を支える支柱が果樹列として見なされてよい。すなわち、複数の支柱が一方向に並び果樹列を構成してよい。
【0041】
図3で示す例では、4つの果樹列F1~F4が概ね並行に形成されているが、1つの果樹列が隣の果樹列に対して斜めに形成されていてもよい。また、1又は複数の果樹列F1~F4は湾曲していてもよい。
【0042】
以下では、複数の果樹列を区別する場合に、果樹列について符号F1~F4を用いる。複数の果樹列F1~F4を区別しない場合、果樹列について符号Fを用いる。また、以下では、各果樹列Fが伸びている方向(
図3においてD1)を「果樹列縦方向」と称する。複数の果樹列Fが並んでいる方向(
図3においてD2)を「果樹列横方向」と称する。
【0043】
図3で示すように、圃場には枕地領域R1・R2が確保されている。枕地領域R1・R2は果樹が栽培されていない領域である。果樹列Fが形成されている領域に対して果樹列縦方向D1の一方側に、枕地領域R1が確保されている。枕地領域R1とは反対側に、枕地領域R2が確保されている。
【0044】
また、圃場には、定置作業場Pdが確保されている。定置作業場Pdは、作業者が、車両V1によって搬送された圃場発生物(例えば、収穫した農作物や、剪定により発生した枝など)を車両V1から降ろし、別の輸送車両に積み替えたり、或いは、圃場発生物である果実等を品質に応じて分類したりする場所である。定置作業場Pdは、枕地領域R2に設けられてよい。
【0045】
[圃場における車両の動きと利用]
車両V1は、果樹列F1~F4のそれぞれに沿って走行する。例えば、
図3で示すように、車両V1は、果樹列F1に沿った移動作業路G1を、果樹列縦方向D1の一方側に向かって(例えば、定置作業場Pdから離れる方向に)走行したり、或いは、果樹列F1に沿った移動作業路G2を反対側に向かって(定置作業場Pdに近づく方向に)走行したりする。
【0046】
移動作業路G1・G2とは、果樹列F1の右側又は左側に沿った車両V1用の動線である。以下では、複数の移動作業路を区別する場合に移動作業路について符号G1・G2・・G3等を用い、それらを区別しない場合には移動作業路について符号Gを用いる。
【0047】
農作業者W1(
図3参照)は、例えば、寸進指令入力部35を通して、制御装置11に走行指令を入力できる。この指令が入力されると、車両V1は、所定距離或いは所定時間だけ前進し、その後、停止する。以下では、この距離を「寸進距離」と称し、この時間を「寸進時間」と称する。
【0048】
寸進距離は、1つの果樹列Fに沿った移動作業路Gよりも十分に短い距離であり、例えば1~5メートルであってよい。寸進時間は、1つ果樹列Fに沿った移動作業路Gの走行に車両V1が要する時間よりも十分に短い時間であり、例えば1~5秒であってよい。
【0049】
車両V1は、農作業者W1によって寸進指令入力部35が操作される度に、果樹列Fに沿って寸進距離或いは寸進時間だけ前進する。作業者W1は、収穫や剪定などの農作業を車両V1の周囲で行い、得られた圃場発生物(果実や、剪定により発生した枝)を、車両V1に積み込む。その後、作業者W1は再び寸進指令入力部35を操作し、寸進距離或いは寸進時間だけ車両V1を走行させる。そして、作業者W1は、停止した車両V1の周囲で、再び農作業を行う。このように、作業者W1は、この寸進指令入力部35のオン操作と、車両V1の周囲での農作業とを繰り返し行う。
【0050】
車両V1は、圃場内を予め規定された経路に沿って、自動的に走行してもよい。すなわち、作業者のステアリング操作やアクセル操作を要することなく、車両V1は予め規定された経路に沿って走行してもよい。以下では、この経路を「計画経路」と称する。計画経路は、例えば、枕地領域R1・R2に設定される。
【0051】
図3に示すように、例えば、移動作業路G1の終了位置から移動作業路G2の開始位置に向かう計画経路(
図3において実線L1)が、枕地領域R1に予め設定される。作業者W1が、移動作業路G1の終了位置で発進指令入力部36を操作(オン操作)すると、車両V1はこの計画経路L1に沿って走行し、移動作業路G2の開始位置で停止する。その後、農作業者W1は、上述した寸進指令入力部35の繰り返し操作によって、自身の農作業の進行に合わせて車両V1を走行させる。なお、車両V1は、移動作業路G1の終了位置に到達した後、発進指令入力部36の操作(オン操作)を要することなく、移動作業路G2の開始位置まで移動してもよい。
【0052】
また、
図3で示すように、移動作業路G2の終了位置から定置作業場Pbに向かう計画経路(
図3において実線L2)が、予め設定されていてもよい。移動作業路G2の終了位置で農作業者W1が発進指令入力部36を操作すると、車両V1はこの計画経路L2に沿って走行し、定置作業場Pbで停止する。定置作業場Pbでは、別の作業者W2(
図3参照)が車両V1の荷台19から圃場発生物を下ろしたり、別の輸送車両に積み替えるなどの定置作業を行う。
【0053】
また、
図3で示すように、定置作業場Pbから移動作業路G3の開始位置に向かう計画経路(
図3において実線L3)が、予め設定されていてもよい。定置作業を終えた作業者W2が定置作業場Pbで発進指令入力部36を操作すると、車両V1はこの計画経路に沿って走行し、移動作業路G3の開始位置で停止する。その後、もう一人の農作業者W1が、上述した寸進指令入力部35の繰り返し操作によって、自身の農作業の進行に合わせて車両V1を走行させる。
【0054】
なお、上述した例では、計画経路は枕地領域R1・R2に設定されていた。これとは異なり、計画経路は、隣り合う2つの果樹列Fの間にある移動作業路Gに設定されていてもよい。この場合、車両V1は、寸進指令入力部35のオン操作を受けたときに、寸進距離(或いは寸進時間)だけ、移動作業路Gに規定された計画経路に沿って走行してもよい。また、枕地領域R1・R2においても、寸進指令入力部35が利用されてもよい。例えば、車両V1は、寸進指令入力部35のオン操作を受けたときに、寸進距離(或いは寸進時間)だけ、移動作業路Gに規定された計画経路に沿って走行してもよい。また、車両V1の走行には、寸進指令入力部35は利用されなくてもよい。後において説明する様に、車両V1は、農作業者の移動に追従するように、走行してもよい。
【0055】
[制御装置の機能]
制御装置11が有する機能について説明する。
図4は、制御装置11が有する機能を示すブロック図である。制御装置11は、その機能として、走行制御部11A、見守り部11Bを有している。走行制御部11Aは、寸進部11a及び自律走行部11bを有している。また、見守り部11Bは、リピート動作検出部11e、異常検出部11f、異常通報部11g、及び条件設定部11hを有している。これらの機能は、制御装置11が備える処理装置12が記憶装置13に保存されているプログラムを実行することで実現される。
【0056】
なお、見守り部11Bの処理の全部又は一部は、制御装置11とは別の装置において実行されてもよい。例えば、見守り部11Bの処理の全部又は一部は、管理装置70で実行されてもよい。この場合、車両V1に搭載されたセンサ等の出力や、制御装置11で行われた処理結果などが、情報通信網Cnを介して管理装置70に送信されてよい。
【0057】
[寸進部]
寸進部11aは、作業者からの走行指令を寸進指令入力部35(請求項の「入力部」)で受け付けたときに、駆動機構21、ブレーキ機構22、及びステアリング機構23を制御し、上述した寸進距離又は寸進時間だけ車両V1を走行させる。このとき、作業者(運転者)によるステアリング機構23等の操作は必要とされない。寸進部11aは、寸進距離又は寸進時間の走行後に、車両V1を停止させる。以下では、寸進部11aによるこのような走行モードを「寸進モード」と称する。
【0058】
寸進部11aは、例えば、果樹列Fと車両V1との距離が所定距離(例えば、数メートル)に維持されるように、ステアリング機構23を制御してよい。例えば、寸進部11aは、周囲観察装置30の出力に基づいて果樹列Fと車体との距離を計測し、計測する距離が所定距離を維持するように、ステアリング機構23を制御してよい。これにより、車両V1と果樹列Fとの間に、剪定や収穫などの農作業に適した距離が保たれ、農作業者は効率的に農作業を進めることができる。また、例えば果樹列Fが曲がっている場合でも、車両V1は果樹列Fに沿って走行できる。
【0059】
図3で例示する圃場では、車両V1が隣り合う2つの果樹列Fの間を走行する場合がある。寸進部11aは、車両V1の左側にある果樹列Fからの距離を維持する左側寸進モードと、車両V1の右側にある果樹列Fからの距離を維持する右側寸進モードとを有してよい。これとは異なり、寸進部11aは、隣り合う2つの果樹列Fの中間位置を走行するように、ステアリング機構23を制御してもよい。
【0060】
[自律走行部]
自律走行部11bは、圃場に設定された計画経路(
図3の例において実線L1・L2・L3で示される経路)に沿って車両V1が走行するように、駆動機構21及びステアリング機構23等を制御する。自律走行部11bは、例えば、発進指令入力部36を通して走行指令を受け付けたときに、計画経路上に設定された次の停止位置まで車両V1を走行させる。自律走行部11bは、寸進部11aによって車両V1が制御されない領域において、この制御を実行してよい。以下では、自律走行部11bによるこのような走行モードを「自律走行モード」と称する。
【0061】
自律走行部11bの処理は、例えば次のように実現され得る。制御装置11は、計画経路を示す経路情報を有する。経路情報は、例えば、経路を規定する連続した複数のウェイポイントを含んでよい。各ウェイポイントは位置情報(例えば、圃場におけるX座標とY座標)で特定される。経路情報では、各位置での車両V1の速度が規定されていてもよい。経路情報は、例えば管理装置70から情報通信網Cnを介して制御装置11に格納したり、或いは、車両V1の管理者によって入出力装置37を介して制御装置11に格納されてもよい。
【0062】
自律走行部11bは、周囲観察装置30の出力に基づいて、車両V1の現在位置(現在座標)と車両V1の向きとを検出(推定)する。例えば、記憶装置13には点群データから作成されたマップが格納される。自律走行部11bは、LiDAR31の出力データとマップとを照合することによって、車両V1の現在位置と向きと算出する。自律走行部11bは、LiDAR31の出力データに加えて、又はLiDAR31の出力データに代えて、カメラ32の出力及び/又はGNSS受信機34で受信した信号に基づいて、車両の現在位置と向きと算出してもよい。自律走行部11bは、車両V1の現在位置と向きとが、経路情報で特定される計画経路(例えば、ウェイポイント)に追従するように、駆動機構21、ブレーキ機構22、及びステアリング機構23を制御する。
【0063】
経路情報は、定置作業場Pd、及び、移動作業路Gの開始位置に対応して、停止指令を含んでいてよい。例えば、停止すべき位置のウェイポイントに停止指令が対応づけられていてよい。その停止指令が対応づけられた位置に車両V1が到達したとき、自律走行部11bは車両V1を停止させてよい。
【0064】
なお、計画経路に沿った走行は、寸進部11aにおいて実行されてもよい。すなわち、寸進部11aは、寸進指令入力部35により寸進指令を受け付けたときに、圃場に設定された計画経路に沿って、寸進距離又は寸進時間だけ車両V1を走行させてもよい。この計画経路は、枕地領域R1・R2に規定されてもよいし、移動作業路Gに規定されてもよい。
【0065】
[走行モードの切り換え]
車両V1が、例えば定置作業場Pdで停止しているときに、作業者W2(
図3参照)が発進指令入力部36を通して走行指令を入力すると、自律走行部11bは、次の移動作業路Gの開始位置に向けて移動を開始してよい。一方、車両V1が、例えば移動作業路Gの開始位置で停止しているときに、作業者W1(
図3参照)が寸進指令入力部35を通して走行指令を入力すると、寸進部11aは、上述した果樹列Fに沿った走行を開始してよい。
【0066】
経路情報は、モード変更指令を含んでもよい。例えば、移動作業路Gの開始位置に対応するウェイポイントには、自律走行モードから寸進モードへのモード変更指令が対応づけられていてよい。これにより、車両V1が移動作業路Gの開始位置に到達すると、寸進部11aによる制御が開示される。また、移動作業路Gの終了位置に対応するウェイポイントには、寸進モードから自律走行モードへのモード変更指令が対応づけられていてよい。これにより、車両V1が移動作業路Gの終了位置に到達すると、自律走行部11bによる制御が開示される。
【0067】
これとは異なり、圃場にはモード変更指令を示すマーカーM(
図3参照)が設置されていてよい。制御装置11は、マーカーMと車両V1との相対位置に基づいて、車両V1が移動作業路Gの終了位置にあるか否かを判定してよい。そして、車両V1が移動作業路Gの終了位置に至ったとき、制御装置11は、その走行モードを寸進モードから自律走行モードへ変更してもよい。
【0068】
[リピート動作検出部]
リピート動作検出部11eは、車両V1の周囲で作業する農作業者によって繰り返し行われる所定動作を検出する。リピート動作検出部11eによって検出される動作は、作業者(運転者)による運転操作(ステアリング機構23や駆動機構21の操作)ではなく、車両V1に乗車していない農作業者の動きである。リピート動作検出部11eによって検出される動作は、農作業のなかで行われる動作の一つである。
【0069】
車両V1が寸進モードで制御されている場合、農作業者は、自身の農作業の進行に合わせた頻度で、寸進指令入力部35のオン操作(すなわち、寸進指令の入力操作)を繰り返し行う。寸進モードにおいてリピート動作検出部11eによって検出される動作は、寸進指令入力部35のオン操作である。
【0070】
[異常検出部]
異常検出部11fは、リピート動作検出部11eの検出結果に基づいて、農作業者の異常を検出する。異常検出の少なくとも1つの条件は、所定時間以下の時間間隔で、上述した動作(すなわち寸進指令入力部35のオン操作)が検出されないことである。
【0071】
寸進モードが実行されている間、作業者は、1つの位置での農作業(収穫や選定など)が終了すると、寸進指令入力部35によって寸進指令を入力し、数メートル離れた次の位置に向けて車両V1を移動させる。1つの位置での農作業に要する時間は、通常、ある範囲(数十秒から数分)に収まると推察される。そこで、所定時間以下の時間間隔で、次の寸進指令入力部35のオン操作が検出されない場合、異常検出部11fは、農作業者に異常が発生していると判断する。(以下では、この時間を「基準動作時間」と称する。)
【0072】
異常検出部11fは、寸進指令入力部35にオン操作が検出された後、基準動作時間を超えても次のオン操作が検出されない場合に、異常が発生したと判断する。より具体的には、異常検出部11fは、寸進指令入力部35がオン操作された時点から計時を開始し、その後、基準動作時間を超えても次のオン操作が検出されない場合に、異常が発生したと判断する。
【0073】
なお、異常検出には、更に他の条件が設けられていてもよい。例えば、異常検出部11fは、基準動作時間を経過しても次の寸進指令入力部35のオン操作が検出されない場合に、作業者に応答を要求してもよい。例えば、異常検出部11fは、作業者の状況を問い合わせるメッセージ(例えば、「大丈夫ですか?」や、「異常はありませんか?」など)をスピーカー39を通して出力してもよい。そして、その問い合わせに対して、予め規定された応答(例えば、寸進指令や発進指令とは異なるボタン操作)がない場合に、異常検出部11fは、作業者に異常が生じていると判断してもよい。
【0074】
[異常通報部]
異常通報部11gは、異常検出部11fによって異常が検出された場合に、異常発生を通報する。異常通報部11gは、例えば、別の作業者(定置作業場Pbで作業している作業者W2(
図3参照))に向けて通報してもよい。この場合の通報は、例えば、警報音や、異常発生を示す音声メッセージの、スピーカー39からの出力であってもよい。これに代えて、或いは、これに加えて、異常通報部11gは、情報通信網Cnを介して管理装置70や、予め設定された通信端末に、異常発生を通報してもよい。
【0075】
このような見守りシステムS1では、例えば作業者が一人で剪定等の農作業を行っている場合でも、作業者に発生した異常(例えば、転倒や体調不良)を、大きな時間を空けることなく検知できる。
【0076】
また、リピート動作検出部11eによって検出される動作(寸進指令入力部35のオン操作)は、農作業のなかで行われる動作の一つである。そのため、例えば作業者に対して定期的に応答を要求するシステムに比して、作業者の負担を軽減できる。
【0077】
図3で示す圃場には定置作業場Pbが設置されている。定置作業場Pbで作業している作業者W2についても、見守りシステムS1は機能してもよい。定置作業場Pbで作業する作業者W2は、荷下ろしなどの定置作業を行い、それが終了すると、発進指令入力部36をオン操作(すなわち、走行開始指令の入力操作)する。リピート動作検出部11eは、例えば発進指令入力部36のオン操作を検出してもよい。このような定置作業についても基準動作時間が設定されてよい。この場合、リピート動作検出部11eは、車両V1の定置作業場Pbへの到着時点から、計時を開始する。そして、異常検出部11fは、到着時点から、基準動作時間を超えても、次の発進指令入力部36のオン操作が検出されない場合に、異常が発生したと判断してよい。
【0078】
[基準動作時間の設定]
なお、異常検出条件は、作業者に応じて設定されてよい。例えば、作業者に応じて、異なる基準動作時間が設定されてよい。記憶装置13には、作業者の情報(以下では「作業者情報」)が格納されていてよい。作業者情報は、例えば、作業者の年齢や、性別、農作業の経験歴、障害の内容、障害の程度などを含んでよい。条件設定部11hは、作業者情報に基づいて基準動作時間を算出してもよい。
【0079】
図5Aは、作業者情報の例を示すテーブル(以下では「作業者テーブル」と称する)を示す図である。同図に示すように、作業者テーブルでは、例えば、作業者ID(各作業者に割り当てられた識別情報)に、作業者の氏名、年齢、性別、農作業の経験歴が対応づけられている。条件設定部11hは、例えば、作業者テーブルを参照し、これから農作業を開始する作業者の情報に基づいて基準動作時間を算出してもよい。
【0080】
経験が浅い作業者は、経験豊富な作業者に比して、農作業に多くの時間を要すると推察される。そのため、経験が浅い作業者についての基準動作時間は、経験豊富な作業者についての基準動作時間よりも長く設定されてよい。また、高齢の作業者や障害を有する作業者についての基準動作時間は、そうでない作業者(例えば、若年の作業者)の基準動作時間よりも長く設定されてよい。
【0081】
条件設定部11hは、基準動作時間に代えて、或いは、基準動作時間に加えて、他の異常検出条件を、作業者情報に基づいて設定してもよい。例えば、若年の作業者については、基準動作時間内に次の寸進指令入力部35のオン操作がなく、且つ応答要求に対する応答がない場合に、異常が発生したと判断してよい。その一方、高齢の作業者については、基準動作時間内に次の寸進指令入力部35のオン操作がない場合に、直ちに異常が発生したと判断してよい。このようにすれば、高齢の作業者に異常が発生した可能性が認められる場合、若年層の作業者の場合に比して、短い時間で異常発生が通報されることとなる。
【0082】
異常検出条件は、農作業の内容に応じて設定されてよい。作業内容には、農作業の対象となる果樹種(例えば、みかんやリンゴなど)と、作業種(例えば、収穫、剪定など)とが含まれてよい。果樹種によって作業に要する時間が異なったり、剪定や収穫などの作業種によって作業に要する時間が異なっている。そこで、例えば、異常検出条件を規定する基準動作時間は、果樹種に応じて設定されたり、作業種に応じて設定されてよい。
【0083】
作業内容と、基準動作時間とを対応づける情報が、記憶装置13に格納されていてよい。
図5Bは、そういった情報が記録された「基準動作時間テーブル」の例を示す図である。基準動作時間テーブルでは、作業内容に対応して基準動作時間が規定されている。
図5Bでは、例として、「みかんの剪定」について50秒が、「みかんの収穫」について120秒が基準動作時間としてそれぞれ規定されている。
【0084】
基準動作時間テーブル(
図5B)に規定されている基準動作時間と、作業者テーブル(
図5A)から得られた情報とに基づいて、条件設定部11hは基準動作時間を算出してもよい。例えば、農作業経験が浅い作業者や、高齢の作業者、障害のある作業者については、条件設定部11hは、基準動作時間テーブルに規定されている時間に、補正値を加算したり、或いは補正値を乗算してよい。
【0085】
なお、記憶装置13に格納されている情報は、
図5A及び
図5Bで示す例に限られない。例えば、
図5Cに示す基準動作時間テーブルでは、作業者IDと作業内容とに対応づけて基準動作時間が規定されている。例えば、「作業内容:みかんの剪定」について、「ID:A001」の作業者には50秒が設定され、「ID:A002」の作業者には70秒が設定されている。これによれば、作業者の年齢や、性別、農作業の経験歴に応じた基準動作時間を設定することができる。
【0086】
[作業入力画面]
作業者のIDや作業内容は、見守りシステムS1を構成する入出力装置37(
図2参照)を通して入力できてよい。その入力は、作業者自身になされてもよいし、監督者や、管理者によってなされてもよい。条件設定部11hは、作業者テーブル(
図5A参照)や、基準動作時間テーブル(
図5B、
図5C参照)などを参照し、入力された情報に応じた基準動作時間を設定してよい。
【0087】
図6は、入出力装置37に表示される作業入力画面の例を示す図である。同図に示す作業入力画面Bは、作業者のIDを入力するID領域B1と、IDに紐付けられた作業者の氏名を表示する領域B2とを有している。また、作業入力画面Bは、作業内容を示す領域を有してよい。具体的には、果樹種を入力するための果樹種領域B3と、作業種を入力するための作業種領域B4とを有してよい。
【0088】
条件設定部11hは、例えば、作業者テーブル(
図5A)及び基準動作時間テーブル(
図5B)を参照し、作業入力画面Bで入力された情報に対応する基準動作時間を算出してよい。或いは、条件設定部11hは、例えば、
図5Cで例示した基準動作時間テーブルを参照し、作業入力画面Bで入力された情報に対応する基準動作時間を算出してよい。算出された基準動作時間は、例えば
図6で例示する領域B5に表示される。
【0089】
剪定や収穫などの作業に要する時間は、農作物の状態・成育にも依拠する。例えば、成育が乏しい年には、剪定や収穫などの作業に要する時間は相対的に短くなると予想される。そこで、作業者は、
図5A~
図5Cで例示するテーブルから得られた基準動作時間を、農作物の状態・成育等を考慮しながら、補正できてもよい。
図6で示す作業入力画面Bには、補正値を入力するための補正値領域B6が規定されている。
図6で示す図では、補正値領域B6に「+10秒」が補正値として入力されている。
【0090】
条件設定部11hは、テーブルから算出された基準動作時間(領域B5)と、補正値(領域B6)とに基づいて、今回の作業において用いられる基準動作時間を算出してもよい。
図6で示す例では、基準動作時間テーブルから得られた基準動作時間に補正値(+10秒)が加算されている。そして、その加算結果が、実際に使用される基準動作時間として領域B7に表示されている。これとは異なり、基準動作時間テーブルから得られた基準動作時間に補正値が乗じられてもよい。そして、その乗算結果が、今回の作業において用いられる基準動作時間として領域B7に表示されてよい。
【0091】
条件設定部11hは、圃場の環境に応じて基準動作時間を補正してもよい。圃場の環境には、例えば気温が含まれる。気温が高い場合、農作業に要する時間が長くなる可能性がある。そこで、条件設定部11hは、上述したテーブルを参照して得られた基準動作時間を、気温に基づいて補正してもよい。
【0092】
[基準動作時間の更新]
条件設定部11hは、異常検出部11fの検出結果に基づいて、基準動作時間を更新してもよい。見守りシステムS1の一例では、異常検出部11fは、基準動作時間を経過しても次の寸進指令入力部35のオン操作が検出されない場合に、作業者の応答を要求するメッセージを出力する。そして、要求に対して予め規定された応答(例えば、ボタン操作)がない場合に、異常検出部11fは、異常が生じていると判断する。条件設定部11hは、そのような応答要求の頻度や回数に基づいて、基準動作時間を更新してもよい。例えば、応答要求の頻度が多い場合、条件設定部11hは、
図5Cで示す基準動作時間テーブルにおいて規定されている基準動作時間を長くしてもよい。また、このような基準動作時間の更新には、圃場の気温が利用されてもよい。例えば、圃場の気温が閾値よりも高い場合には、基準動作時間を長くする更新・補正が実行されなくてよい。また、圃場の気温が高い場合には、圃場の気温が低い場合に比して、基準動作時間を長くする量が相対的に小さく設定されてもよい。
【0093】
制御装置11は、異常検出部11fの検出結果を含む作業履歴を表す情報を、記憶装置13に格納していてよい。そして、条件設定部11hは、その情報に基づいて基準動作時間を更新してもよい。
図5Dは作業履歴テーブルの例を示す図である。作業履歴テーブルでは、作業の開始日時と終了日時とが記録される。また、作業履歴テーブルでは、作業内容と、異常検出部11fの検出結果が記録される。例えば、作業者への応答要求の回数が記録される。また、作業履歴テーブルには、応答要求に対する応答がなく、異常発生と判断された回数が記録されてもよい。作業履歴テーブルには、寸進指令入力部35のオン操作の実際の時間間隔や、応答要求(音声メッセージ)に対する応答に要した時間(反応時間)などが記録されてもよい。
【0094】
条件設定部11hは、作業履歴テーブル(例えば、作業者への応答要求の回数)を参照し、
図5C等で示した基準動作時間テーブル中の基準動作時間を更新してもよい。例えば、作業者への応答要求の回数が多い場合には、
図5C等で示した基準動作時間テーブル中の基準動作時間を長くしてもよい。このような処理によれば、作業者への応答供給が無駄に出力されることを抑えることができる。
【0095】
定置作業場Pbでの作業者についても、
図6で例示した作業入力画面Bが提示されてよい。定置作業場Pbでの作業者に提示される作業入力画面も、
図6の例と同様に、ID領域B1や、作業内容を入力する領域が設けられてよい。この作業入力画面では、作業内容としては「収穫物の積み替え」や「荷下ろし」などが入力されてよい。定置作業についても、条件設定部11hは、例えば、作業者テーブル(
図5A)及び基準動作時間テーブル(
図5B)を参照し、入力された情報に対応する基準動作時間を算出してよい。また、条件設定部11hは、例えば、
図5Cで例示した基準動作時間テーブルを参照し、入力された情報に対応する基準動作時間を算出してよい。
【0096】
基準動作時間は予めスケジュールされて記憶装置において保存されていてよい。すなわち、作業が実行される日にち及び/又は時間帯を含む日時情報と、基準動作時間とが対応づけて、記憶装置に格納されていてよい。この場合、異常検出部11fは、作業が実行される日時に対応する基準動作時間を利用して、異常が生じているか否かを判定してもよい。このような日時情報に対応づけられた基準動作時間は、管理装置70の記憶装置72に予め保存され、管理装置70から制御装置11に送信されたり、或いは、入出力装置37を通して制御装置11の記憶装置13に予め保存されてよい。
【0097】
このように基準動作時間が予めスケジュールされている場合、作業者は、例えば、作業入力画面において、
図6で例示した作業内容等の入力事項に加えて、作業時間(日時情報)を入力してよい。そして、条件設定部11hは、記憶装置に格納されている情報(例えば、日時情報と基準動作時間とを対応付けるテーブル)に基づいて、その作業時間に対応する基準動作時間を算出し、これを今回の作業において利用する基準動作時間として設定してよい。
【0098】
[制御装置による処理の流れ]
以下では、制御装置11が実行する処理の流れについて説明する。
図7は、寸進モードにおける処理の流れの例を示し、
図8は自律走行モードにおける処理の流れを示している。制御装置11は、
図7及び
図8の処理に先立って、
図6で例示する作業入力画面Bを作業者に提示し、作業者IDや、作業内容を受け付ける。そして、条件設定部11hは、今回の作業についての基準動作時間を算出する。
【0099】
制御装置11(リピート動作検出部11e)は寸進指令入力部35がオン操作(寸進指令の入力操作)されたか否かを判定する(S101)。寸進指令入力部35のオン操作がなされた場合(S101において「yes」)、制御装置11(異常検出部11f)は、それまでにカウントしている時間をリセットし、計時を開始する(S108)。また、制御装置11(寸進部11a)は、寸進距離又は寸進時間だけ果樹列Fに沿って車両V1を前進させる(S109)。車両V1が停止すると、制御装置11は、停止位置が、寸進モードから自律走行モードへのモード変更位置であるか否かを判断する(S110)。停止位置がモード変更位置である場合(S110において「yes」)、制御装置11は自律走行モードに移行して、今回の処理を終了する。一方、停止位置がモード変更位置ではない場合(S110において「no」)、制御装置11はS101に戻る。
【0100】
S101において寸進指令入力部35がオン操作されていない場合、制御装置(異常検出部11f)は、カウントしている時間が基準動作時間を経過したか否かを判定する(S102)。カウントしている時間が基準動作時間を経過していない場合、制御装置11は、S101に戻る。
【0101】
一方、基準動作時間が経過した場合(S102において「yes」)、基準動作時間を超えても寸進指令入力部35がオン操作されていないこととなるので、制御装置11(異常検出部11f)は、作業者に応答を求めるメッセージ(例えば、「異常はありませんか?」といった音声メッセージ)を出力する(S103)。また、制御装置11は作業履歴テーブル(
図5D参照)を更新し、そのようなメッセージを出力したことを同テーブルに記録する(S104)。上述したように、ここで記録された情報は、作業者が次に作業を行う場合の基準動作時間の算出に利用されてよい。
【0102】
所定の時間(例えば、数秒~十数秒)以内に作業者から回答を受けた場合(例えば、寸進指令とは異なるボタン操作がなされた場合、S105において「yes」)、制御装置11(異常検出部11f)は、それまでにカウントされている時間をリセットした上で、計時を再開し(S111)、S101に戻る。
【0103】
一方、所定の時間を経過しても作業者から回答がない場合(S105において「no」)、剪定等の作業者に異常が生じている可能性がある。そこで、制御装置11(異常通報部11g)は、予め規定された施設(例えば、管理装置70)に異常発生を通報する(S106)。また、制御装置11は作業履歴テーブル(
図5D参照)を更新し、異常発生を同テーブルに記録し(S107)、制御装置11は処理を終了する。以上が、寸進モードにおける制御装置11が行う処理の流れである。
【0104】
なお、
図7のS102において使用する基準動作時間は、作業履歴テーブル(
図5D参照)を利用して、寸進モードにおける処理の間に更新されてもよい。例えば、S105における作業者から応答の回数に応じて、基準動作時間が長くなってもよい。こうすることで、基準動作時間を農作業の進行速度に合うように適切化できる。
【0105】
自律走行モードにおける処理の例について説明する。
【0106】
制御装置11(走行制御部11A)は、計画経路に沿って自動走行をする(S101)。そして、制御装置11は、車両V1が、計画経路上の停止位置に到達したか否かを判定する(S102)。車両V1が停止位置に到達していない場合、制御装置11の処理はS101に戻る。一方、車両V1が停止位置に到達した場合、制御装置11は、その停止位置が定置作業場Pdがであるか否かを判定する(S203)。停止位置が定置作業場Pdでない場合(S203において「no」)、制御装置11は、その停止位置が、自律走行モードから寸進モードへのモード変更位置であるか否かを判定する(S212)。停止位置がこのモード変更位置である場合、制御装置11は寸進モードに移行して、今回の処理を終了する。一方、停止位置がモード変更位置でない場合(S203において「no」)、制御装置11は今回の処理を終了してもよい。
【0107】
S203において停止位置が定置作業場Pdと判断される場合、制御装置11(異常検出部11f)は、それまでにカウントされている時間をリセットし、計時を新たに開始する(S204)。制御装置11(リピート動作検出部11e)は、発進指令入力部36のオン操作(走行開始指令の入力操作)がなされたか否かを判断する(S204)。発進指令入力部36のオン操作がなされた場合(S204において「yes」)、制御装置11(自律走行部11b)はS201に戻り、次の停止位置まで計画経路に沿って車両V1を走行させる。一方、発進指令入力部36のオン操作がなされていない場合(S205において「no」)、制御装置11(異常検出部11f)は基準動作時間が経過したか否かを判断する(S206)。未だ基準動作時間が経過していない場合(S206において「no」)、制御装置11の処理はS205に戻る。
【0108】
一方、基準動作時間が経過した場合(S206において「yes」)、制御装置11(異常検出部11f)は、作業者に応答を求めるメッセージ(例えば、「異常はありませんか?」といった音声メッセージ)を出力する(S207)。また、制御装置11は作業履歴テーブル(
図5D参照)を更新し、そのような応答要求を出力したことを同テーブルに記録する(S208)。上述したように、ここで記録された情報は、作業者が次に作業を行う場合の基準動作時間の算出に利用されてよい。
【0109】
所定時間(例えば、数秒~十数秒)以内に作業者から回答を受けた場合(例えば、発進指令とは異なるボタン操作がなされた場合、S209において「yes」)、制御装置11はS204に戻る。一方、所定時間を経過しても作業者から回答がない場合(S209において「no」)、定置作業場Pdの作業者に異常が生じている可能性がある。そこで、制御装置11(異常通報部11g)は、予め定められた施設(例えば、管理装置70)に異常発生を通報する(S210)。また、制御装置11は作業履歴テーブル(
図5D参照)を更新し、異常発生を同テーブルに記録し(S211)、制御装置11は処理を終了する。以上が、自律走行モードにおける制御装置11が行う処理の流れである。
【0110】
なお、自律走行モードにおいて実行される処理は、
図8で示す例に限られない。例えば、図で示す例では、自律走行モードから寸進モードへの移行に際して、S203、S212、及びS213の結果、車両V1が停止した後に、その停止位置が、自律走行モードから寸進モードへのモード変更位置であるか否かが判断されていた。しかしながら、自律走行モードから寸進モードへのモード変更に際して、車両V1は停止しなくてもよい。
【0111】
例えば、制御装置11は、自律走行モードにおいて走行している間、現在位置が自律走行モードから寸進モードへのモード変更位置であるか否かを、定期的に判定してもよい。そして、現在位置がモード変更位置である場合、制御装置11は、車両V1を停止させることなく、自律走行モードから寸進モードに移行してもよい。
【0112】
図8で示す例において制御装置11(リピート動作検出部11e)は、車両V1が停止作業場Pdに停止した後、発進指令入力部36のオン操作が無いまま基準動作時間が経過したときに、異常が発生したと判断していた。しかしながら、自律走行モードの実行中に検出される動作は、これに限られない。例えば、制御装置11は、発進指令入力部36がオン操作される時間間隔が基準動作時間を超える場合に、異常が発生したと判断してもよい。この処理は、例えば、計画経路上の走行開始位置から次の停止位置までの距離が短い場合に実行されてよい。
【0113】
例えば、制御装置11(リピート動作検出部11e)は、走行開始位置において発進指令入力部36のオン操作がなされた時点から計時を開始する。そして、基準動作時間が経過しても、次の発進指令入力部36のオン操作が検出されない場合、制御装置11(異常検出部11f)は、作業者に応答を求めるメッセージ(例えば、「異常はありませんか?」といった音声メッセージ)を出力する。その後は、
図8のS207より後に規定される処理を実行する。
[追従モードを有する例]
【0114】
[追従部]
制御装置11が実行する制御は、以上説明した例に限られない。例えば、車両V1は、農作業者に追従しながら走行してもよい。この追従走行は、例えば果樹列Fに沿って行われる。追従走行は枕地領域R1・R2において実行されてもよい。
【0115】
図9は、この追従走行を実現するための制御装置11が有する機能を示すブロック図である。同図に示すように、走行制御部11Aは、追従部11cを有している。走行制御部11Aは、上述した寸進部11aと自律走行部11bとを有していてもよいし、これらのうち一方又は双方を有していなくてもよい。
【0116】
追従部11cは、例えば周囲観察装置30の出力に基づいて、農作業者と車両V1との相対位置(農作業者と車両V1との距離と、車両V1に対する農作業者の方向)を算出する。追従部11cは、例えば、カメラ32で得られた動画像に基づいて、農作業者と車両V1との相対位置を算出する。
【0117】
そして、農作業者と車両V1との距離が所定の距離(以下では、「追従開始距離」と称する)より大きくなったとき、追従部11cは、車両V1の走行を開始する。すなわち、車両V1が農作業者に向かって走行するように、ステアリング機構23等を制御する。これとは異なり、追従部11cは、車両V1と農作業者との距離が追従開始距離より大きくなり、且つ、農作業者が寸進指令入力部35(又は発進指令入力部36)をオン操作(寸進指令の入力操作)したとき、車両V1の走行を開始してもよい。以下では、追従部11cによって実行される車両V1の走行モードを「追従モード」と称する。追従走行の結果、車両V1と農作業者との距離が所定の距離(例えば、1~5メートル、以下では「追従停止距離」と称する)よりも小さくなったときに、追従部11cは、車両V1を停止してよい。
【0118】
[リピート動作検出部]
車両V1が追従モードで制御されている場合、農作業者は、ある位置での農作業(剪定や収穫等)が終わると、移動作業路G上の別の位置に移動する。そうすると、追従部11cは、農作業者を追いかける様に移動し、農作業者は、その位置で再び農作業を行う。追従モードが実行される場合、リピート動作検出部11eによって検出される動作は、周囲観察装置30の観察領域に作業者が入ることであってよい。リピート動作検出部11eによって検出される動作は、作業者が観察領域内で動くことであってもよい。ここで検出される観察領域内での動きとは、特に限定されず、農作業自体であってもよいし、車両V1の周囲を歩くことであってもよい。リピート動作検出部11eは、例えばカメラ32で取得した動画像について画像処理を行うことで、観察領域内に作業者が入ったことを検知したり、作業者が動いていることを検知できる。観察領域(カメラ32の撮像範囲)は、例えば、車両V1の前側に規定された所定の角度範囲であってよい。リピート動作検出部11eによって検出される動作が、作業者が観察領域内で動くことである場合、観察領域(カメラ32の撮像角度範囲)は、車両V1の全周(360度)であってよい。
【0119】
リピート動作検出部11eによって検出される動作は、周囲観察装置30の観察領域の内側に規定された特定の範囲(例えば、車両V1の前側に規定された所定の角度範囲や距離)に、作業者が入ることであってもよい。また、リピート動作検出部11eによって検出される動作は、作業者がその特定の範囲で動いていることであってもよい。
【0120】
また、リピート動作検出部11eによって検出される動作(観察領域内に規定される範囲)は、樹木の密度や配置など圃場の状態によって変更されてもよい。
【0121】
[異常検出部]
異常検出部11fは、リピート動作検出部11eの検出結果に基づいて、農作業者の異常を検出する。異常検出の少なくとも1つの条件は、所定時間以下の時間間隔で、上述した動作(すなわち、周囲観察装置30の観察領域に入らないこと、或いは、観察領域に入っているものの動いていないこと)であってよい。
【0122】
車両V1が果樹列Fに沿って走行している間、車両V1の周囲で作業している作業者は、車両V1の左右で農作業したり、車両V1の後側で農作業したりすることがある。従って、周囲観察装置30の観察領域が車両V1の前側に設定されている場合、周囲観察装置30によって作業者が観察されない期間が生じることがある。作業者が順調に農作業を進めている場合、作業者が観察されない期間は一時的である。ところが、作業者が転倒するなど異常が生じた場合、作業者が観察されない期間が長く続く。
【0123】
そこで、所定時間(例えば、数十秒から数分)以下の時間間隔で、周囲観察装置30の観察範囲で作業者が検出されない場合、異常検出部11fは、農作業者に異常が発生していると判断する。異常検出部11fは、周囲観察装置30によって作業者が検出された時点から、計時を開始する。そして、作業者が検出された時点から、リピート動作検出部11eによる次の検出が、基準動作時間を超えても成されない場合に、異常が発生したと判断する。
【0124】
なお、異常検出には、更に他の条件が設けられていてもよい。例えば、基準動作時間を経過しても、次の検出がなされない場合(作業者が再び観察領域に入ることが検出されない場合)、異常検出部11fは、作業者に応答を要求してもよい。例えば、異常検出部11fは、作業者に状況を問い合わせるメッセージをスピーカー38を通して出力してもよい。そして、その問い合わせに対して、予め規定された応答(例えば、ボタン操作)がない場合に、異常検出部11fは、作業者に異常が生じていると判断してもよい。
図4を参照しながら説明した例と同様、異常通報部11gは、異常検出部11fによって異常が検出された場合に、異常発生を通報する。
【0125】
[追従モードと寸進モードとの選択]
図9で示すように、制御装置11は、その機能として、上述した寸進モードを実行する寸進部11aと、追従モードを実行する追従部11cとを有してよい。追従モードと寸進モードとの選択は、例えば、入出力装置37から作業者によって入力される情報に基づいて選択されてもよい。追従モードにおいてリピート動作検出部11eによって検出される動作と、寸進モードにおいてリピート動作検出部11eによって検出される動作は、相互に異なっていてよい。具体的には、追従モードにおいて検出される動作は、周囲観察装置30の観察領域に作業者が入ることである。一方、寸進モードにおいて検出される動作は、寸進指令入力部35のオン操作(寸進指令の入力操作)であってもよい。
【0126】
[追従モードでの処理の流れ]
追従モードで実行される処理の流れについて説明する。
図10は、追従モードにおいて実行される処理の例を示す図である。
【0127】
制御装置11(リピート動作検出部11e)は、周囲観察装置30(例えば、カメラ32)の観察領域に作業者が入ったか否かを判断する(S301)。ここで、作業者が観察領域に入った場合(S301において「yes」)、制御装置11(追従部11c)は、車両V1と作業者との相対位置を算出し、作業者が車両V1から追従開始距離(例えば、5~10メートル)より大きく離れたか否かを判断する(S308)。作業者と車両V1との距離が追従開始距離よりも小さい場合(S308において「no」)、制御装置11の処理はS302に戻る。S308においては、作業者に動きがあるか否かが判定されてもよい。そして、作業者と車両V1との距離が追従開始距離よりも小さく作業者に動きがない場合、御装置11の処理はS302に戻ってもよい。
【0128】
S308において、作業者が車両V1から追従開始距離より大きく離れた場合(S308において「yes」)、制御装置11(異常検出部11f)はそれまでにカウントした時間をリセットし、計時を開始する(S309)。また、制御装置11(追従部11c)は、車両V1を作業者に向けて自動で走行させ、作業者との距離が追従停止距離より小さくなったときに、車両V1を停止する(S310)。
【0129】
制御装置11は、車両V1の停止位置が、追従モードから自律走行モードへのモード変更位置であるか否かを判定する(S311))。停止位置が、追従モードから自律走行モードへのモード変更位置ではない場合、制御装置11はS101に戻る。一方、停止位置がモード変更位置ではない場合、制御装置11は、その処理を終了してもよい。
【0130】
S301において作業者が周囲観察装置30(例えば、カメラ32)の観察領域に検出されない場合、制御装置11(異常検出部11f)は、S308或いはS312の計時開始)から、基準動作時間が経過したか否かを判断する(S302)。この基準動作時間は、条件設定部11hによって、今回の作業内容(例えば、みかんの剪定)について設定された時間である。未だ、基準動作時間が経過していない場合(S302において「no」)、制御装置11の処理はS301に戻る。一方、基準動作時間が経過した場合(S302において「yes」)、制御装置11(異常検出部11f)は、作業者に応答を求めるメッセージ(例えば、「異常はありませんか?」といった音声メッセージ)を出力する(S303)。また、制御装置11は作業履歴テーブル(
図5D参照)を更新し、そのようなメッセージを出力したことを同テーブルに記録する(S304)。ここで記録された情報は、作業者が次に作業を行う場合の基準動作時間の算出に利用されてよい。
【0131】
制御装置11は、所定時間(例えば、数秒~十数秒)以内に作業者から回答を受けた場合(例えば、ボタン操作がなされた場合、S305において「yes」)、制御装置11は、それまでにカウントされていた時間をリセットし、計時を再開した上で(S312)、S301に戻る。一方、所定時間を経過しても作業者から回答がない場合(S305において「no」)、剪定等の作業者に異常が生じている可能性がある。そこで、制御装置11(異常通報部11g)は、予め設定された施設(例えば、管理装置70)に異常発生を通報する(S306)。また、制御装置11は作業履歴テーブル(
図5D参照)を更新し、異常発生を同テーブルに記録し(S307)、制御装置11は処理を終了する。
【0132】
なお、
図10のS302において使用する基準動作時間は、作業履歴テーブル(
図5D参照)を利用し、追従モードの実行中に更新されてよい。例えば、S305における作業者からの所定の時間内での応答の回数に応じて、基準動作時間が長くなってもよい。こうすることで、基準動作時間を農作業の進行速度に合うように適切化できる。
【0133】
[まとめ]
(1)本開示で提案する農作業者の見守りシステムS1は、圃場内を走行する農作業支援車両V1の周囲で作業する作業者によって繰り返し行われる所定動作を検出するリピート動作検出部11eと、基準動作時間以下の時間間隔で所定動作が検出されないことを少なくとも1つの条件として、異常が発生したと判断する異常検出部11fとを含む。
【0134】
このシステムS1によると、例えば作業者が一人で農作業を行っている場合でも、作業者に発生した異常(例えば、転倒や体調不良)を、異常発生から大きな時間を空けることなく検知できる。また、農作業のために繰り返し行われる動作が異常検出に利用されるので、例えば作業者に対して定期的に応答を要求するシステムS1に比して、作業者の負担を軽減できる。
【0135】
(2)(1)の見守りシステムS1において、異常検出部11fは、リピート動作検出部11eによって所定動作が検出された後、基準動作時間を超えても次の所定動作が検出されないことを少なくとも1つの条件として、異常が発生したと判断してよい。
【0136】
(3)(1)又は(2)の見守りシステムS1は、車両V1の周囲で作業している作業者が操作可能な入力部と、作業者による走行指令を入力部35で受け付けたときに、車両V1を寸進距離又は寸進時間だけ走行させる走行制御部11Aとを含んでよい。リピート動作検出部11eにより検出される所定動作は、入力部に対する走行指令の入力操作を含んでよい。この走行制御部11A及び入力部によれば、作業者の農作業の進行に合わせて車両V1を進めることができる。また、その入力部に対する走行指令の入力操作が異常検出に利用されるので、例えば作業者に対して定期的に応答を要するシステムS1に比して、作業者の負担を軽減できる。
【0137】
(4)(1)又は(2)の見守りシステムS1は、車両V1の周囲を観察する周囲観察装置30を含んでよい。リピート動作検出部11eにより検出される所定動作は、周囲観察装置30の観察領域に作業者が入ること及び/又は観察領域内で作業者が動いていることを含んでよい。異常検出に利用される動作が周囲観察装置30の観察領域に入ることであったり、作業者が観察領域内で動いていることであるので、例えば作業者に対して定期的に応答を要するシステムS1に比して、作業者の負担を軽減できる。
【0138】
(5)(1)~(4)の見守りシステムS1は、作業者が行う作業内容(果樹種や作業種など)を受け付ける入出力装置37を含んでよい。異常検出部11fは、作業者が行う作業内容に応じて設定された異常検出条件が充足するか否かを判断してよい。これによれば、作業内容に適した条件で異常検出を行うことができる。
【0139】
(6)(5)の見守りシステムS1において、異常検出条件は、基準動作時間以下の時間間隔で所定動作が検出されないことを含んでよい。基準動作時間が作業内容に応じて設定されてよい。これによれば、作業内容に適した時間内に所定動作が検出されない場合に、異常を検出できる。
【0140】
(7)(5)又は(6)の見守りシステムS1において、入出力装置37が受け付ける作業内容には、作業の対象となる果樹種が含まれてよい。これによれば、果樹種によって農作業に要する時間や負荷が異なる場合に、果樹種に適した条件で異常検出を行うことができる。
【0141】
(8)(1)~(7)の見守りシステムS1は、作業者の情報を受け付ける入出力装置37を含んでよい。異常検出部11fは、作業者の情報に応じて設定された異常検出条件が充足するか否かを判断してよい。これによれば、例えば作業者の経験や年齢に適した条件で異常検出を行うことができる。
【0142】
(9)(8)の見守りシステムS1は、異常検出条件は、基準動作時間以下の時間間隔で所定動作が検出されないことを含み、基準動作時間が作業者の情報に応じて設定されている。これによれば、作業者の経験や年齢に適した時間内に所定動作が検出されない場合に、異常を検出できる。
【0143】
(10)(1)~(9)の見守りシステムS1は、車両V1の周囲で作業する作業者が操作可能な寸進指令入力部35と、車両V1の周囲を観察する周囲観察装置30とを含んでよい。また、見守りシステムS1は、作業者による走行指令を入力部で受け付けたときに、車両V1を寸進距離又は寸進時間だけ走行させる寸進モードと、周囲観察装置30を利用して作業者に追従するように車両V1を走行させる追従モードとを実行する走行制御部11Aとを含んでよい。寸進モードにおいてリピート動作検出部11eにより検出される所定動作は、寸進指令入力部35に対する走行指令の入力操作を含む。追従モードにおいてリピート動作検出部11eにより検出される所定動作は、周囲観察装置30の観察範囲に作業者が入ること及び/又は観察領域内で作業者が動いていることを含む。
【0144】
(11)(1)~(10)の見守りシステムS1において、異常検出部11fは、基準動作時間以下の時間間隔で所定動作が検出されない場合に、作業者に応答を要求し、その結果に基づいて異常が発生したか否かを判断してよい。これによれば、例えば異常の誤検知を低減できる。
【0145】
(12)(1)~(11)の見守りシステムS1は、異常検出部11fによって異常が検出された場合に、異常発生を通報する異常通報部11gを有してよい。
【0146】
なお、本開示で提案する農作業者の見守りシステムは、上述した見守りシステムS1に限られず、種々の変更がなされてよい。
【符号の説明】
【0147】
1:農作業支援システム、11:制御装置、11A:走行制御部、11B:見守り部、11a:寸進部、11b:自律走行部、11c:追従部、11e:リピート動作検出部、11f:異常検出部、11g:異常通報部、11h:条件設定部、12:処理装置、13:記憶装置、19:荷台、21:駆動機構、22:ブレーキ機構、23:ステアリング機構、30:周囲観察装置、31:LiDAR、32:カメラ、34:GNSS受信機、35:寸進指令入力部、36:発進指令入力部、37:入出力装置、38:通信装置、39:スピーカ、70:管理装置、71:処理装置、72:記憶装置、73:通信装置、74:出力装置、Cn:情報通信網、D1:果樹列縦方向、F・F1~F4:果樹列、G・G1~G3:移動作業路、L1~L3:計画経路、M:マーカー、Pb:定置作業場、R1・R2:枕地領域、S1:見守りシステム、V1:農作業支援車両、W1・W2:作業者。