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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173092
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】野菜束ね具
(51)【国際特許分類】
   A01G 22/15 20180101AFI20241205BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A01G22/15
A01G7/00 604Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091228
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】591206500
【氏名又は名称】株式会社 ダイサン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小瀧 大蔵
【テーマコード(参考)】
2B022
【Fターム(参考)】
2B022AA03
2B022AB11
(57)【要約】
【課題】作業者が白菜等の野菜の外葉に沿ってスムーズに持ち上げて野菜の胴回り部分に装着し、野菜の内葉部を包むように外葉を束ねた状態で保持できる野菜束ね具を提供する。
【解決手段】野菜束ね具10は、両端部を重ね合わせることにより円形の環状体30を形成することができ、環状体30とされたときに内周面24となる側の表面が幅方向の両側の外縁部22から中央部26Cにかけて径方向の内側に向かって凸状になるよう湾曲している帯部材20と、帯部材20の一方端部26Aに形成された係合部と、帯部材20の他方端部26Bに形成され、他方端部26Bが一方端部26Aに重ね合わされた状態で帯部材20が環状体30とされたとき係合部と係合する被係合部と、を備え、係合部又は被係合部のうち少なくとも一方は、帯部材20の長さ方向に沿って複数形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部を重ね合わせることにより円形の環状体を形成することができ、環状体とされたときに内周面となる側の表面が幅方向の両側の外縁部から中央部にかけて径方向の内側に向かって凸状になるよう湾曲している帯部材と、
前記帯部材の一方端部に形成された係合部と、前記帯部材の他方端部に形成され、前記他方端部が前記一方端部に重ね合わされた状態で前記帯部材が環状体とされたとき前記係合部と係合する被係合部と、
を備え、
前記係合部又は前記被係合部のうち少なくとも一方は、前記帯部材の長さ方向に沿って複数形成されている、野菜束ね具。
【請求項2】
前記係合部は、前記帯部材が環状体とされたとき、前記帯部材の幅方向の外縁部から径方向外側へ張り出している張出片であり、
前記被係合部は、前記帯部材の幅方向の前記外縁部に設けられ、前記帯部材が環状体とされたとき前記張出片と嵌合する鉤部である、
請求項1に記載の野菜束ね具。
【請求項3】
前記帯部材が前記環状体とされたとき、前記帯部材の幅方向の一方外縁部が成す円周の内径は、他方外縁部が成す円周の内径より大きい、
請求項1に記載の野菜束ね具。
【請求項4】
前記帯部材が前記環状体とされたとき、前記内周面における前記湾曲の曲率は、前記帯部材の幅方向の中央部に比べ、少なくとも一方の外縁部の方が大きい、
請求項3に記載の野菜束ね具。
【請求項5】
前記帯部材の一方端部の先端部に形成され、前記帯部材の両端部を重ねて前記環状体とするとき、前記他方端部をガイドするガイド部をさらに備える、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の野菜束ね具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜束ね具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、白菜の根元に、弾性板材で環状に形成された環の切口を拡げて差し込み、環を上方に持ち上げることで、地面に垂れ下がった白菜外葉を持上げ、白菜外葉で白菜球を覆う束ね作業をすることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-333536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の外葉結束装置では、作業者が装置を白菜に装着するとき、環を白菜の根元から上方の胴回り位置まで白菜外葉に沿って持ち上げるが、このとき、白菜の根元から胴回りにかけての大きさの変化に応じて環の径が強制的に変化し、環が白菜外葉を強く圧迫しながら移動するため、環のエッジ部が白菜外葉に引っ掛かり持ち上げ難いという問題がある。また、作業者が環の切口の両端部分を手で握って環状態を維持しながら持ち上げる必要があり、指先が白菜外葉に触れるため、環を持ち上げ難いという問題もある。
【0005】
本発明は、作業者が白菜等の野菜(以下、単に「野菜」ともいう。)の外葉に沿ってスムーズに持ち上げて野菜の胴回り部分に装着し、野菜の内葉部を包むように外葉を束ねた状態で保持できる野菜束ね具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様の野菜束ね具は、両端部を重ね合わせることにより円形の環状体を形成することができ、環状体とされたときに内周面となる側の表面が幅方向の両側の外縁部から中央部にかけて径方向の内側に向かって凸状になるよう湾曲している帯部材と、前記帯部材が環状体とされたとき、前記帯部材の幅方向の外縁部から径方向外側へ張り出している張出片と、前記帯部材の幅方向の外縁部に設けられ、前記帯部材が環状体とされたとき前記張出片と嵌合する鉤部と、を備え、前記張出片又は前記鉤部のうち少なくとも一方は、前記帯部材の長さ方向に沿って複数形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、作業者が白菜等の野菜の外葉に沿ってスムーズに持ち上げて野菜の胴回り部分に装着し、野菜の内葉部を包むように外葉を束ねた状態で保持できる野菜束ね具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る野菜束ね具の斜視図であり、帯部材両端部の先端が離れた様子を示す図である。
図2】本発明に係る野菜束ね具の斜視図であり、帯部材の両端部を重ね合わせ、係合部としての張出片と被係合部としての鉤部とを嵌合させて帯部材の両端部を固定した様子を示す図である。
図3図2における2A-2A線から視た本発明に係る野菜束ね具の断面図である。
図4図2における2B-2B線から視た本発明に係る野菜束ね具の断面図である。
図5】本発明における白菜を覆う方法を説明する図であり、野菜束ね具を配置する様子を示す図である。
図6】本発明における白菜を覆う方法を説明する図であり、野菜束ね具を持ち上げる様子を示す図である。
図7】本発明における白菜を覆う方法を説明する図であり、野菜束ね具を持ち上げた様子を示す図である。
図8】本発明における白菜を覆う方法を説明する図であり、野菜束ね具が白菜外葉と接触する様子を示す斜視図である。
図9】本発明における白菜を覆う方法を説明する図であり、野菜束ね具が白菜外葉と接触し、白菜外葉が束ねられる様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示により、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において、同一又は等価な構成要素及び部品には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。また、本開示の説明において、野菜に対しては、野菜の芯部が生長して伸びていく方向を「上方」、「上側」又は「上部」、その反対方向を「下方」、「下側」又は「下部」とも呼称し、野菜束ね具及びその部材における上下の位置関係についても、野菜に装着した状態を想定して、同様の呼称を用いる。また、特に断らない限り、野菜又は野菜束ね具に対し、野菜の芯部が生長して伸びていく方向に垂直に芯部から離れていく方向を「外向き」、「外側」又は「外部」、その反対方向を「内向き」、「内側」又は「内部」とも呼称する。また、特に断らない限り、野菜束ね具が環状体を形成した状態で、環状体の周に沿った方向を「周方向」、環状体の中心に向かう方向を「径方向」とも呼称する。
【0010】
なお、各図面において、矢印Hは、鉛直方向の上方、又は、野菜束ね具10における幅方向(径方向と直交する方向)を示す。また、矢印Rは、野菜束ね具10における径方向を示す。また、矢印θは、野菜束ね具10における帯部材20の延びる方向であり、また、野菜束ね具10が環状体30とされた場合における周となる方向を示す。
【0011】
(構成)
図1から図4は、本実施形態に係る野菜束ね具10を示す図である。図1に示されるように、本実施形態に係る野菜束ね具10は、帯部材20と、張出片42と、鉤部44と、ガイド部46と、を備える。
【0012】
図1に示されるように、帯部材20は、周方向に端を有する略環状の部材であり、図2に示されるように両端部を重ね合わせることが可能とされている。言い換えれば、本実施形態における帯部材20は、周方向に切り口を有する部材である。なお、本実施形態における以後の説明では、図2に示されるように、帯部材20の両端部が重ね合わされた状態を、環状体30であるとする。
【0013】
また、帯部材20は、図4に示されるように、断面が幅方向(帯部材20の高さ方向)の他方(図4における紙面下側)から一方(図4における紙面上側)に向かうにつれて、径方向外側に向かって弓なりに湾曲する部材である。言い換えれば、帯部材20は、図4に示されるように、幅方向の一方側の縁である一方外縁部22Uが、幅方向の他方側の縁である他方外縁部22Dよりも径方向の外側にある。また言い換えれば、帯部材20は、後述するように環状体30とされたとき、帯部材20の幅方向の一方外縁部22Uが成す円周の内径は、他方外縁部22Dが成す円周の内径より大きい。
【0014】
また、帯部材20は、図1及び図2に示されるように、周方向の全体が湾曲した形状とされている。このため、本実施形態における帯部材20は、環状体30とされた場合に、内周面24となる側の表面が、径方向の内側に向かって凸状になるように湾曲している。
【0015】
また、図4に示されるように、本実施形態における帯部材20は、帯部材20の一方端部26Aと他方端部26Bとを重ね合わせた状態で、相互に当接する外周面と内周面24との間に隙間が生じない形状とされている。
【0016】
なお、帯部材20の内周面24は、図4に示されるように、外縁部22側と、幅方向の中央部26Cとで、湾曲の曲率が異なる。本実施形態における帯部材20の外縁部22側の曲率をr1とし、幅方向の中央部26Cの曲率をr2とした場合に、r1>r2とされていることが好ましい。
【0017】
張出片42は、図1に示されるように、帯部材20の外縁部22から径方向外側に向かって張り出す部分である。この張出片42は、帯部材20の他方端部26Bから周方向の内側(一方端部26A及び他方端部26Bから周方向に離れる側)に向かって、周方向に間隔を空けて複数形成されている。張出片42は、本実施形態では、図1及び図2に示されるように、一例として8個形成されている。
【0018】
また、張出片42は、周方向に略等間隔に並んで形成されている。なお、張出片42が、径方向外側に向かって張り出す長さ、及び周方向に延びる長さは、後述する鉤部44と係合するように適宜設計される。
【0019】
鉤部44は、図1に示されるように、帯部材20の外縁部22から径方向外側に向かって形成された鉤状の部分である。より具体的には、鉤部44は、図1及び3に示されるように、径方向の外側に向かって張り出す基部44Bと、基部44Bから幅方向の一方に向かって立ち上る立上り部44Rと、立上り部44Rから周方向の他方に向かって伸びる延出部44Eと、を有している。
【0020】
なお、本実施形態では、基部44Bが帯部材20の外縁部22から径方向外側に向かって張り出す長さは、張出片42と同等とされている。また、立上り部44Rが基部44Bから立ち上がる長さは、張出片42における幅方向の厚さと同等とされている。また、延出部44Eが周方向の他方に向けて延びる長さは、張出片42と同等とされている。これにより、図3に示されるように、本実施形態に係る野菜束ね具10では、帯部材20の一方端部26Aと他方端部26Bとを重ね合わせた状態で張出片42と、鉤部44とを係合することが可能とされている。すなわち、本実施形態に係る張出片42及び鉤部44は、係合部及び被係合部の一例である。
【0021】
また、図1に示されるように、本実施形態に係る鉤部44は、帯部材20の一方端部26Aから周方向の内側に向かって、周方向に間隔を空けて複数形成されている。鉤部44は、周方向に略等間隔に並んで形成されている。鉤部44は、本実施形態では、図1及び図2に示されるように、一例として6個形成されている。
【0022】
ガイド部46は、図1から図4に示されるように、帯部材20の一方端部26Aの先端部における内周面24に形成され他方端部26Bと係合する部分である。より具体的には、ガイド部46は、内周面24から径方向の内側に向かって張り出す基部46Bと、基部46Bから幅方向の一方に向かって立上る立上り部46Rと、を有している。
【0023】
なお、本実施形態では、基部46Bが帯部材20の内周面24から径方向内側に向かって張り出す長さは、帯部材20の厚さと同等とされている。また、立上り部46Rが基部46Bから立ち上がる長さは、一例として帯部材20における幅方向の大きさの約4分の1と同等とされている。また、基部46B及び立上り部46Rにおける周方向の長さは、一例として張出片42と同等とされている。
【0024】
そして、本実施形態に係る野菜束ね具10では、図4に示されるように、帯部材20の一方端部26Aと他方端部26Bとを重ね合わせた状態で、帯部材20の他方端部26Bがガイド部46の立上り部46Rと、一方端部26Aの内周面24との間に嵌る。言い換えれば、本実施形態における野菜束ね具10の他方端部26Bは、ガイド部46によって、一方端部26Aと重ね合わされた部分が周方向にガイドされる。
【0025】
なお、本実施形態に係る野菜束ね具10は、少なくとも帯部材20が弾性を有する硬質の材料であれば、どのような材料で形成されていてもよい。本実施形態に係る野菜束ね具10を形成する材料は、一例として熱可塑性樹脂であるポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)等)、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアリーレンサルファイド(ポリフェニレンサルファイド等)、(メタ)アクリル樹脂、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネートが挙げられる。
【0026】
なお、本実施形態に係る野菜束ね具10では、帯部材20、張出片42、鉤部44、ガイド部46は、いずれも同一の部材から一体に形成されている。
【0027】
なお、本実施形態に係る野菜束ね具10は、張出片42と鉤部44とを係合させていない状態において、図1に示されるように、一方端部26Aと他方端部26Bとが重なり合わない形状とされていることが好ましい。また言い換えれば、本実施形態に係る野菜束ね具10では、図2に示されるように、一方端部26Aと他方端部26Bとを重ね合わせて環状体30とした状態では、帯部材20の弾性により、一方端部26Aと他方端部26Bとが径方向に拡がる方向に付勢されていることが好ましい。
【0028】
次に、図5から図9を適宜参照しながら、本実施形態に係る野菜束ね具10を用いて、作業者Wが野菜の一例である白菜CCの外葉Lを束ねる様子を説明する。なお、図8及び図9では、白菜CCにおおける外葉Lを1枚のみ示し、白菜CCの外葉L以外の葉部分については図示を省略している。
【0029】
(白菜CCの外葉Lを束ねる手順)
まず、作業者Wは、図5に示されるように、本実施形態に係る野菜束ね具10の一方端部26A及び他方端部26Bを持って、帯部材20の端を拡げた状態で、白菜CCの根元側(高さ方向の下側)に野菜束ね具10を差し込む。
【0030】
次に、作業者Wは、図6に示されるように、白菜CCが帯部材20における径方向の内側に位置する状態で、帯部材20の一方端部26Aと他方端部26Bとを近づける。そして、作業者Wは、野菜束ね具10における帯部材20の一方端部26Aと他方端部26Bとを握った状態で、野菜束ね具10を上方に持ち上げ、野菜の外葉Lを野菜束ね具10の径方向の内側に向かって巻き込む。
【0031】
そして、作業者Wは、図7に示されるように、外葉Lで白菜CCを覆った状態で、野菜束ね具10の一方端部26Aと他方端部26Bとを重ね合わせる。より具体的には、作業者Wは、図7に示される状態で、張出片42と、鉤部44とを係合させることにより、野菜束ね具10を環状体30とする。
【0032】
なお、作業者Wは、図7に示されるように、野菜束ね具10を環状体30とする際に、周方向に並ぶ複数の張出片42、及び周方向に並ぶ複数の鉤部44のうち、任意のものを選択して係合させる。言い換えれば、作業者Wは、張出片42及び鉤部44を係合させた状態において、白菜CCが外葉Lに覆われた状態となるように、鉤部44及び張出片42の組合せを選択することにより、環状体30の内径を決定する。
【0033】
また、作業者Wは、図7に示された状態において、帯部材20の他方端部26Bを、一方端部26Aの内周面24に形成されたガイド部46にガイドさせる。
【0034】
なお、図7に示されるように、本実施形態に係る野菜束ね具10では、張出片42と鉤部44とが係合した状態では、帯部材20の弾性により、環状体30の内径が拡がる方向に付勢されている。ここで、鉤部44は、立上り部44Rから延出部44Eが周方向の中央部26Cに向かって延びているため、張出片42は、前記の付勢により鉤部44の立上り部44Rに押し付けられた状態となる。このため、本実施形態に係る野菜束ね具10では、図7に示されるように、帯部材20を環状体30とした場合に、その形状が保たれる。
【0035】
(野菜束ね具10が外葉Lと接触する様子)
なお、本実施形態に係る野菜束ね具10を用いて白菜CCの外葉Lを束ねる場合、図6から図7までの段階において、作業者Wは、野菜束ね具10を径方向外側から内側に向けて押し付けるように白菜CCに接触させる。このため、本実施形態における白菜CCを束ねる手順では、図8に示されるように、白菜CCの外葉Lと帯部材20の内周面24とが接触する。
【0036】
ここで、本実施形態に係る野菜束ね具10では、帯部材20が径方向の内側に向かって凸状とされているため、主として帯部材20における内周面24の凸状部が白菜CCの外葉Lと接触する。また、図9に示されるように、帯部材20が外葉Lに接触した状態で、帯部材20を外葉Lに対して、高さ方向の下方から上方に向かって移動させた場合、帯部材20の内周面24に形成された湾曲により、白菜CCの外葉Lは、帯部材20の外縁部22Uに引っ掛かることなく、内周面24に沿ってスムーズに案内される。
【0037】
このように、図6に示された状態から、更に帯部材20を高さ方向の上方に向かって移動させることにより、外葉Lは、野菜束ね具10の径方向の内側に向かって巻き込まれる。そして、図7に示されるように、外葉Lが白菜CCを覆った状態で、白菜CCの外葉Lは、野菜束ね具10によって束ねられる。
【0038】
続いて、本実施形態に係る野菜束ね具10による作用及び効果を説明する。
【0039】
(作用及び効果)
この野菜束ね具10によれば、作業者Wは、帯部材20の外縁部22に設けられている張出片42又は鉤部44を手掛かりとして把持し、帯部材20の両端部を接近させて略円形に保ち、帯部材20の両端部の隙間を拡げた状態で白菜CCの根元に挟むように差し込み、帯部材20の両端部を重ね合わせて環状体30を形成し、帯部材20の成す環状体30の径を白菜CCの胴回りの大きさに合わせて調整しながら外葉Lをすくい上げるようにして上方に持ち上げ、白菜CCの内葉部を包むようにしながら外葉Lを束ねる。この作業において、環状体30の内周面24が径方向の内側に向かって凸状に湾曲しているので、滑らかに湾曲した頂部付近が野菜の外葉Lに接触して移動するため、外葉Lをまとめながら、スムーズに上方に持ち上げることができる。
【0040】
また、この野菜束ね具10は、白菜CCの根元に差し込んで上方に持ち上げ、白菜CCの内葉部を包むようにしながら外葉Lをまとめた後、白菜CCの胴回りの適切な位置において環状体30の内周面24と外葉Lの外側を密着させた状態で、外縁部22から径方向外側に張り出す張出片42と鉤部44とを嵌合させる。この状態では帯部材20が弾性により径方向に拡がる方向に付勢されているため、帯部材20の外側に向かって張り出した張出片42と鉤部44とが嵌合した際に、張出片42が鉤部44の立上り部44Rに押し付けられた状態となることにより、手を離しても環状体30の状態が保持され、白菜CCの外葉Lが束ねられた状態で保たれる。
【0041】
また、この野菜束ね具10は、張出片42又は鉤部44のうち、少なくとも一方が帯部材20の長さ方向に沿って複数形成されているため、帯部材20の両端部を重ねて環状体30とするときに、互いに嵌合する張出片42と鉤部44との組合せを選択することで、環状体30の内径を選択することができる。
【0042】
本実施形態の野菜束ね具10は、帯部材20が、両端部を重ね合わせることにより円形の環状体30を形成することができる。また、帯部材20は、環状体30とされたときに内周面24となる側の表面が幅方向の両側の外縁部22から中央部26Cにかけて径方向の内側に向かって凸状になるよう湾曲している。また帯部材20が環状体30とされたとき、帯部材20の幅方向の外縁部22から径方向外側へ張り出している張出片42と、帯部材20の幅方向の外縁部22に設けられ、帯部材20が環状体30とされたとき張出片42と嵌合する鉤部44と、を備えている。そして本実施形態における野菜束ね具10は、張出片42又は鉤部44のうち少なくとも一方は、帯部材20の長さ方向に沿って複数形成されている。
【0043】
この野菜束ね具10を用いて白菜CCの外葉Lを束ねる場合、作業者Wは、帯部材20の外縁部22に設けられている張出片42又は鉤部44を手掛かりとして把持する。続いて、作業者Wは、帯部材20の両端部を接近させて略円形に保ち、帯部材20の両端部の隙間を拡げた状態で白菜CCの根元に挟むように差し込む。そして作業者Wは、帯部材20の両端部を重ね合わせて環状体30を形成し、帯部材20の成す環状体30の径を白菜CCの胴回りの大きさに合わせて調整しながら外葉Lをすくい上げるようにして上方に持ち上げ、白菜CCの内葉部を包むようにしながら外葉Lを束ねる。この作業において、環状体30の内周面24が径方向の内側に向かって凸状に湾曲しているので、滑らかに湾曲した頂部付近が野菜の外葉Lに接触して移動するため、外葉Lをまとめながら、スムーズに上方に持ち上げることができる。
【0044】
また、この野菜束ね具10は、白菜CCの根元に差し込んで上方に持ち上げ、白菜CCの内葉部を包むようにしながら外葉Lをまとめた後、白菜CCの胴回りの適切な位置において環状体30内面と外葉Lの外側を密着させた状態で、外縁部22から径方向外側に張り出す張出片42と鉤部44とを嵌合させる。この状態では帯部材20が弾性により径方向に拡がる方向に付勢されているため、帯部材20の外側に向かって張り出した張出片42と鉤部44とが嵌合した際に、張出片42が鉤部44の立上り部44Rに押し付けられた状態となることにより、手を離しても環状体30の状態が保持され、野菜の外葉Lが束ねられた状態で保たれる。
【0045】
また、この野菜束ね具10は、張出片42又は鉤部44のうち少なくとも一方が帯部材20の長さ方向に沿って複数形成されているため、帯部材20の両端部を重ねて環状体30とするときに、互いに嵌合する張出片42と鉤部44との組合せを選択することで、環状体30の内径を選択することができる。
【0046】
また、本実施形態の野菜束ね具10は、帯部材20が環状体30とされたとき、帯部材20の幅方向の一方の外縁部22が成す円周の内径は、他方の外縁部22が成す円周の内径より大きい。
【0047】
この野菜束ね具10によれば、環状体30を成す帯部材20の一方の外縁部22の円周内径を他方の外縁部22の円周内径より大きくすることで、内径の大きい方の外縁部22が上側になるように配置すれば、環状体30の内周面24がラッパ状に上方に向かって広がるように傾斜する。このため、野菜束ね具10を白菜CCに沿って上方に持ち上げるとき、野菜の外葉Lが環状体30の内周面24に案内され、外葉Lをスムーズに内側に寄せて束ねることができる。
【0048】
また、本実施形態の野菜束ね具10は、帯部材20が環状体30とされたとき、内周面24における湾曲の曲率は、帯部材20の幅方向の中央部26Cに比べ、少なくとも一方の外縁部22の方が大きい。
【0049】
この野菜束ね具10によれば、環状体30を成す帯部材20の幅方向の中央部26Cよりも外縁部22の曲率を大きくすることで、中央部26Cは比較的緩やかな湾曲で、外縁部22は大きく反り返る形状を呈する。このため、野菜束ね具10を白菜CCの外葉Lに沿って上下に移動させるとき、外葉Lに接する中央部26Cは、緩やかな湾曲によってスムーズな移動が可能にすると共に、外葉Lとの接触面積を比較的広く保てるため、白菜CCを緊縛して局部的に圧迫する程度が緩和され、一方、大きく反り返った外縁部22は、外葉Lが外縁部22のエッジ部分に接触して引っ掛かることを防止し、外葉Lをスムーズに内側に寄せて束ねることができる。
【0050】
また、本実施形態の野菜束ね具10は、帯部材20の一方の端部の先端部に形成され、帯部材20の両端部を重ねて環状体30とするとき、他方の端部をガイドするガイド部46をさらに備える。
【0051】
この野菜束ね具10によれば、帯部材20の一方の端部の先端部に他方の端部をガイドするガイド部46を有するため、帯部材20を環状体30とするときに、帯部材20の一方の端部と他方の端部とを重ねやすい。
【0052】
また、本実施形態の野菜束ね具10は、係合部としての張出片42及び被係合部としての鉤部44が、帯部材20の幅方向の一方外縁部22Uから外側に張り出している。したがって、野菜束ね具10を持ち上げる際に、張出片42や鉤部44に手を掛けて持ち上げやすい。なお、本発明では、野菜束ね具の作業性を向上する目的で、帯部材の幅方向の外縁部から径方向外側に張り出し、作業者が把手として利用できる支持片を任意の位置に別途設けることを妨げない。
【0053】
また、本実施形態の野菜束ね具10は、帯部材20が、径方向の内側に向かって凸状に湾曲している。言い換えれば本発明に係る野菜束ね具10は、帯部材20における幅方向の一方外縁部22Uが径方向の外側に向かって反り返っている。したがって、この湾曲によって帯部材20の一方外縁部22Uに設けられた張出片42及び鉤部44又は支持片が更に外側に位置するため、野菜束ね具10を外葉Lに沿って上方に持ち上げる際に、張出片42及び鉤部44又は、支持片が設けられている場合には、支持片に手を掛けて持ち上げやすい。
【0054】
また、特許文献1に記載の外葉結束装置では、環状束ね具の素材として弾性材を用い、環状束ね具の一箇所を切断しておき、その切断部である環の切口を押し開いて環径を拡大することで、自然状態での環径より胴回りが多少大きい野菜でも、束ねることを可能とする方法が開示されているが、一方、自然状態での環径より胴回りが小さい野菜に対しては、適切な緊縛力が得られず使用不能となるため、野菜の品種毎に異なる環径の束ね具を用意しておく必要があり、また、同じ品種であっても天候や生産地等の影響で野菜の生育状況が異なると、やはり異なる環径の束ね具を用いる必要があるという問題がある。
【0055】
また、特許文献1に記載の外葉結束装置では、野菜の苗を植えた段階で苗の周囲の地面に配置し、野菜が生長してから野菜の郷廻まで引き上げて用いる切口のない完全な輪形の環と、野菜が生長した段階で野菜の胴回りに横から差し込むようにして装着する一部に切口を設けてその部分で左右に分割されている環とが開示されており、前者は、生長後の野菜胴回りが一定している場合に用いられれば、最適の緊縛性が得られるという利点があり、後者は、生長後の野菜胴回りが一定しない場合に用いられ、ある程度胴回りに変動があっても一定の緊縛性が得られるという利点があるが、それぞれの用途に対する共用性がなく、用途に応じて別々の外葉結束装置を要するという問題がある。
【0056】
本発明は、白菜等結球野菜を含むがそれに限らない圃場において外葉で内葉部を包むように束ねる必要のある野菜(本発明において、単に「野菜」とも称する。)の周りの地面に垂れ下がっているような食用に適さない外葉を持上げ、その外葉Lで食用になる内葉部を包むように束ねて野菜を傷めることなく覆うことができる束ね具であって、かつ、広範なサイズの野菜に対応できる束ね具を提供するという課題に対しても有用な効果を得ることができる。
【0057】
(変形例)
なお、本実施形態において、野菜束ね具10は、一方端部26Aの内周面24に他方端部26Bをガイドするガイド部46を有していたが、本発明に係る野菜束ね具の構成は、これに限られない。すなわち、本発明に係る野菜束ね具は、ガイド部を有していない形状とされていてもよい。
【0058】
また、本実施形態において、野菜束ね具10は、帯部材20が環状体30とされたとき、内周面24における湾曲の曲率は、帯部材20の幅方向の中央部26Cに比べ、少なくとも一方の外縁部22の方が大きいとされていたが、本発明に係る野菜束ね具の構成は、これに限られない。すなわち、本発明に係る野菜束ね具は、例えば、帯部材における幅方向の全体の湾曲の曲率が同等とされていてもよい。
【0059】
また、本実施形態において、野菜束ね具10は、帯部材20が環状体30とされた場合に、幅方向の上方の外縁部22の内周が成す内径は、幅方向の下方の外縁部22が成す円周の内径よりも大きいとされていたが、本発明に係る野菜束ね具の構成は、これに限られない。すなわち、本発明に係る野菜束ね具は、例えば、幅方向の下方の外縁部が成す円周の内径が、幅方向の上方の外縁部が成す円周の内径よりも大きくてもよい。
【0060】
また、本実施形態において、張出片42は帯部材20の上側の外縁部22に設けられているが、本発明においては、これに限らず、例えば、下側の外縁部又は両側の外縁部に設けることを妨げられない。
【0061】
また、本実施形態において、張出片42は、外縁部22の周方向に沿って飛び飛びに等間隔で外側に張り出す複数の突出部の形状で設けられているが、本発明においては、これに限らず、例えば、外縁部の全長に亘って連続して外側に張り出す形状で設けられてもよく、又は、外縁部の長さ方向に沿って必要な部分だけ断続的に外側に張り出す形状で設けられてもよい。
【0062】
また、本実施形態において、帯部材20の一方端部26Aに係合部としての張出片42が設けられ、他方端部26Bに被係合部としての鉤部44が設けられているが、本発明においては、これに限らず、例えば、係合部は、帯部材の一方端部の先端部において、幅方向の任意の位置に貼付した両面テープ等粘着性部材であって、被係合部は、両面テープ等粘着性部材が粘着可能な他方端部表面であってもよく、又は、係合部は、帯部材の一方端部の先端部に付設された磁石であって、被係合部は、他方端部における幅方向の少なくとも一部が長さ方向に沿って磁性体金属、磁性粉体を混入した磁性体樹脂、或いは樹脂に磁性体を埋設した樹脂金属複合体等の磁石が吸着する素材で出来ている他方端部表面であってもよい。
【0063】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明したが、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0064】
10 野菜束ね具
20 帯部材
22 外縁部
24 内周面
26A 一方端部
26B 他方端部
26C 中央部
30 環状体
42 張出片(係合部の一例)
44 鉤部(被係合部の一例)
44B 基部
44R 立上り部
44E 延出部
46 ガイド部
46B 基部
46R 立上り部
CC 白菜(野菜の一例)
L 外葉
W 作業者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9