(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173096
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】トークン管理システム、トークン管理方法及びトークン管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0234 20230101AFI20241205BHJP
【FI】
G06Q30/0234
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091241
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】522432918
【氏名又は名称】株式会社クエストリー
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100224719
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 隆治
(72)【発明者】
【氏名】内田 善彦
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB07
5L049BB07
(57)【要約】
【課題】
本発明は、商品の価値を高め、ひいては消費者からの対価を向上させる行為をした者に対してトークン等を配布する新規な技術を提供することを課題とする。
【解決手段】
トークン管理システムであって、トークン配布部、及びトークン利用部を有し、ビジネスオーナーがコンシューマーに販売した販売プロパティの売上に対するボーディングメンバーの貢献量を記録したデータがあり、前記トークン配布部は、前記貢献量に基づき、各ボーディングメンバーに提供される現実のプロパティである報酬プロパティの提供数量を決定し、前記提供数量に基づき、報酬プロパティへの交換数量、及び該報酬プロパティの識別情報が記録された報酬NFTの発行処理を行って、各ボーディングメンバーに報酬NFTを配布し、前記トークン利用部は、前記報酬NFTを前記報酬プロパティへ交換する為の交換処理を実施して、交換がなされた報酬NFTを無効化する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トークン管理システムであって、
トークン配布部、及びトークン利用部を有し、
ビジネスオーナーがコンシューマーに販売した販売プロパティの売上に対するボーディングメンバーの貢献量を記録したデータがあり、
前記トークン配布部は、前記貢献量に基づき、各ボーディングメンバーに提供される現実のプロパティである報酬プロパティの提供数量を決定し、
前記提供数量に基づき、報酬プロパティへの交換数量、及び該報酬プロパティの識別情報が記録された報酬NFTの発行処理を行って、各ボーディングメンバーに報酬NFTを配布し、
前記トークン利用部は、前記報酬NFTを前記報酬プロパティへ交換する為の交換処理を実施して、交換がなされた報酬NFTを無効化する、トークン管理システム。
【請求項2】
前記報酬プロパティの総提供数量を示すデータがあり、
前記トークン利用部は、前記総提供数量を参照可能に構成され、前記総提供数量を充足する現実の報酬プロパティが確保されたか否かを示す検証結果を、裏付けデータとして登録する、請求項1に記載のトークン管理システム。
【請求項3】
前記報酬プロパティについて、1つの報酬NFTあたりに提供される単位提供数量を記録したデータがあり、
前記トークン配布部は、前記単位提供数量を前記交換数量とする複数の前記報酬NFTの発行処理を行って、各ボーディングメンバーにトークンを配布する、請求項1又は2に記載のトークン管理システム。
【請求項4】
前記トークン配布部はさらに、
ボーディングメンバーの貢献量又はボーディングメンバーへの報酬プロパティの提供数量、並びにボーディングメンバーの識別情報が記録された移転不能トークンの発行処理を行って、各ボーディングメンバーに移転不能トークンを配布する、請求項1又は2に記載のトークン管理システム。
【請求項5】
トークン管理システムはさらに、販売プロパティをコンシューマーに販売する為のプロパティ販売部、及び前記報酬NFTを移転する為のトークン移転部を有し、
前記販売プロパティ及び報酬プロパティが同一のプロパティであって、
前記トークン移転部は、前記プロパティ販売部における前記プロパティの販売価格に応じて、該プロパティに対応する報酬NFTの販売価格を決定する、請求項1又は2に記載のトークン管理システム。
【請求項6】
トークン管理システムはさらに、前記報酬NFTを移転する為のトークン移転部を有し、
前記報酬NFTについて、報酬NFTの発行日、対応する報酬プロパティの生産日、加工日、対応する報酬プロパティに対する報酬NFTの発行数量、対応する報酬プロパティの総提供数量、対応する報酬プロパティに対する報酬NFTのうち無効化された報酬NFTの総数量、無効化された報酬NFTに対応する報酬プロパティの総交換数量、並びに、これらの1又は複数を用いて得られたパラメータの少なくとも何れかの情報を記録したデータがあり、
前記トークン移転部は、該情報を表示処理する、請求項1又は2に記載のトークン管理システム。
【請求項7】
前記トークン移転部では、板取引形式、インターネット販売サイト形式、若しくはAMM形式で前記報酬NFTの取引が行われる請求項5に記載のトークン管理システム。
【請求項8】
トークン管理方法であって、
1又は複数のコンピュータが、ビジネスオーナーがコンシューマーに販売した販売プロパティの売上に対するボーディングメンバーの貢献量を示すデータを記録しており、
前記コンピュータのプロセッサが、前記貢献量に基づき、各ボーディングメンバーに提供される現実のプロパティである報酬プロパティの提供数量を決定する工程と、
前記提供数量に基づき、報酬プロパティへの交換数量、及び該報酬プロパティの識別情報が記録された報酬NFTの発行処理を行って、各ボーディングメンバーに報酬NFTを配布するトークン配布工程と、
前記報酬NFTを前記報酬プロパティへ交換する為の交換処理を実施して、交換がなされた報酬NFTを無効化するトークン利用工程と、を実行するトークン管理方法。
【請求項9】
トークン管理プログラムであって、
ビジネスオーナーがコンシューマーに販売した販売プロパティの売上に対するボーディングメンバーの貢献量を示すデータを記録した1又は複数のコンピュータを、トークン配布部及びトークン利用部として機能させ、
前記トークン配布部は、前記貢献量に基づき、各ボーディングメンバーに提供される現実のプロパティである報酬プロパティの提供数量を決定し、
前記提供数量に基づき、報酬プロパティへの交換数量、及び該報酬プロパティの識別情報が記録された報酬NFTの発行処理を行って、各ボーディングメンバーにトークンを配布し、
前記トークン利用部は、前記報酬NFTを前記報酬プロパティへ交換する為の交換処理を実施して、交換がなされた報酬NFTを無効化するトークン管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トークン管理システム、トークン管理方法及びトークン管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品やサービスの消費促進や購買パターンの追跡等を目的として商品等の消費者を対象にトークンを付与するシステムが知られている(例えば下記特許文献1参照)。
【0003】
また、近年、実際に商品を購入あるいはサービスを利用した消費者が、ネットワーク上のサイトや掲示板等を利用して商品やサービスの評価に関する情報を発信する「クチコミ」がよく行われている。この「クチコミ」は消費者の声を意味する。このような「クチコミ」はインターネットやSNS(Social networking service)等を介して短時間で急激に拡散することがあり、これにより評価の対象とされた商品やサービスが一躍話題となり注目を集めることがある。このようにして注目を得ることを、最近の流行り言葉で「バズる」という。「バズる」と、大抵の場合、商品等の売れ行きが大幅に変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した近年の状況に鑑み、本発明の発明者は、消費者の声に経済的価値を持たせるとの着想を得て、商品等の売れ行きの増加に寄与する情報(例えば高評価する旨の「クチコミ」)をより多く発信する等、商品等の売上増加に間接的に寄与する行為をした者に対してトークンやマネーといった財を付与する仕組みを創案した。
【0006】
しかし、従来のシステムでは、トークンの付与対象となるのは、主として、商品の購入者等売上に直接寄与した消費者であって、商品の内容や評価に関する情報の発信者にトークンを付与することは想定されていない。このため、かかる従来のシステムの構成を前述した新たな仕組みを実現するシステムに適用するのは困難である。そこで、本発明では、例えば商品に関する情報を発信する行為等、商品の提供者と共に商品の価値を高め、ひいては消費者からの対価を向上させる行為をした者に対してトークン等を配布する新規な技術を提供することを目的とする。
【0007】
また、金銭や暗号資産に代わり、流動性を備え、実体資産による裏付けがなされた新たな価値表象手段を用いて報酬を付与する新規な技術を提供することも本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トークン管理システムであって、トークン配布部、及びトークン利用部を有し、ビジネスオーナーがコンシューマーに販売した販売プロパティの売上に対するボーディングメンバーの貢献量を記録したデータがあり、前記トークン配布部は、前記貢献量に基づき、各ボーディングメンバーに提供される現実のプロパティである報酬プロパティの提供数量を決定し、前記提供数量に基づき、報酬プロパティへの交換数量、及び該報酬プロパティの識別情報が記録された報酬NFTの発行処理を行って、各ボーディングメンバーに報酬NFTを配布し、前記トークン利用部は、前記報酬NFTを前記報酬プロパティへ交換する為の交換処理を実施して、交換がなされた報酬NFTを無効化する。
【0009】
このような構成とすることで、現実のプロパティと交換可能なトークンを、貢献を行った者に対して報酬として配布することができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記報酬プロパティの総提供数量を示すデータがあり、前記トークン利用部は、前記総提供数量を参照可能に構成され、前記総提供数量を充足する現実の報酬プロパティが確保されたか否かを示す検証結果を、裏付けデータとして登録する。
このような構成とすることで、報酬プロパティによる実体的な裏付けのある報酬NFTの提供を行うことができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記報酬プロパティについて、1つの報酬NFTあたりに提供される単位提供数量を記録したデータがあり、前記トークン配布部は、前記単位提供数量を前記交換数量とする複数の前記報酬NFTの発行処理を行って、各ボーディングメンバーにトークンを配布する。
このような構成とすることで、現実のプロパティを一定まで分解して移転することが可能となり、報酬NFT(報酬プロパティ)の流動性の向上に寄与する。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記トークン配布部はさらに、ボーディングメンバーの貢献量又はボーディングメンバーへの報酬プロパティの提供数量、並びにボーディングメンバーの識別情報が記録された移転不能トークンの発行処理を行って、各ボーディングメンバーに移転不能トークンを配布する。
このような構成とすることで、更に、ボーディングメンバーの貢献の履歴を記録することができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、トークン管理システムはさらに、販売プロパティをコンシューマーに販売する為のプロパティ販売部、及び前記報酬NFTを移転する為のトークン移転部を有し、前記販売プロパティ及び報酬プロパティが同一のプロパティであって、前記トークン移転部は、前記プロパティ販売部における前記プロパティの販売価格に応じて、該プロパティに対応する報酬NFTの販売価格を決定する。
このような構成とすることで、報酬NFT(報酬プロパティ)の金銭的価値を決定することができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、トークン管理システムはさらに、前記報酬NFTを移転する為のトークン移転部を有し、前記報酬NFTについて、報酬NFTの発行日、対応する報酬プロパティの生産日、加工日、対応する報酬プロパティに対する報酬NFTの発行数量、対応する報酬プロパティの総提供数量、対応する報酬プロパティに対する報酬NFTのうち無効化された報酬NFTの総数量、無効化された報酬NFTに対応する報酬プロパティの総交換数量、並びに、これらの1又は複数を用いて得られたパラメータの少なくとも何れかの情報を記録したデータがあり、前記トークン移転部は、該情報を表示処理する。
本発明の好ましい形態では、前記トークン移転部では、板取引形式、インターネット販売サイト形式、若しくはAMM(Automated Market Maker)形式で前記報酬NFTの取引が行われる。
このような構成とすることで、市場原理に基づく、現実のプロパティに対する価格調整に近い形で、報酬NFTに対する価格調整が働くことが期待できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プロパティの価値を高め、ひいては、売上を向上させる行為をしたボーディングメンバーに対して現実のプロパティと交換可能なトークンを付与することで、プロパティの売上増加を図ることができる。また、本発明のシステムによれば、ボーディングメンバーに対して現実のプロパティと交換可能なトークンを付与することで、新たな価値表象手段を用いて報酬を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態におけるトークン管理システムの一例と、当該システムを利用したサービスの一例を示す概略図である。
【
図2】一実施形態におけるサーバー等のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態におけるプロジェクトの登録からトークンの配布までの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明をよりに詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されるが、本発明は、異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。本実施形態ではトークン管理システムの構成、動作等について説明するが、システムによって実行される方法、コンピュータプログラム等によっても、同様の作用効果を奏することができる。コンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されてもよい。
【0018】
まず、本明細書で使用される用語及び語句の定義を示し、次いで、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
<1.1.用語等の定義1>
図1は、トークン管理システム100の一例を示すと共に、当該システムを利用したサービスの一例を示す概略図である。
図1及び本明細書で使用される用語及び語句の定義は次のとおりである。
プロパティ(Property)とは、提供する価値をいう。特に、後述するコンシューマーに対して提供されるプロパティを販売プロパティ、後述するボーディングメンバー等のNFTホルダーに対して提供される報酬となるプロパティを報酬プロパティと呼称する。
ビジネスオーナー(Business Owner)とは、販売プロパティを後述するコンシューマーに、報酬プロパティを後述するNFTホルダーに提供する者をいう。
コンシューマー(Consumer)とは、販売プロパティを受け取りビジネスオーナーに対し対価(例えばお金等)を払う者をいう。
ボーディングメンバー(Boarding Member)とは、ビジネスオーナーと共に販売プロパティの価値や消費量を高め、コンシューマーからの対価を向上させる者をいう。
貢献とは、販売プロパティの価値や消費量を高め、コンシューマーからの対価を向上させる行為をいう。
移転不能トークン(NTT:Non-Transferable Token)とは移転不能なトークンである。本実施形態では、移転不能トークンとして、ボーディングメンバーの貢献量等が記録される。
報酬NFT(Non-Fungible Token)とは、交換可能な報酬プロパティと、その数量が記録された移転可能トークン(TT:Transferable Token)である。
報酬プロパティ交換所とは、報酬NFTを使用することで、現実の報酬プロパティを受け取ることができる現実又はインターネット上の場所を指す。
報酬NFTホルダーとは、報酬NFTの保有者を指す。原始的には、ビジネスオーナーから報酬NFTを受け取ったボーディングメンバーがNFTホルダーとなる。
【0020】
<1.2.処理概要1>
図1に示す例では、運営者(サーバー30)は、プロパティ販売部3(例えば、プロパティ販売プラットフォーム等)を介してビジネスオーナーの販売プロパティをコンシューマーに提供することによって、コンシューマーから回収した売上(対価、お金等)の一部をビジネスオーナーに渡す。運営者(サーバー10)は、トークン配布部1(例えば、プロジェクト管理プラットフォーム等)を介して、ボーディングメンバー(端末20)に対する移転不能トークンの発行を行う。これにより、運営者(サーバー10)は、例えば販売プロパティの情報をSNSで発信する等、売上の増加に貢献をしたボーディングメンバー(端末20)に対して貢献の量に応じて移転不能トークン(NTT:Non-Tradable Token)を配布する。
【0021】
その後、運営者(サーバー10)は、ボーディングメンバー(端末20)に対する報酬NFTの発行を行う。これにより、運営者(サーバー10)は、移転不能トークンに紐づいて、ボーディングメンバー(端末20)に貢献の量に応じて報酬NFTを配布する。なお、報酬NFTに加えて、暗号資産をボーディングメンバー(端末20)に送付してもよい。
【0022】
暗号資産とは、インターネット上でやりとりできる財産的価値を有し、貨幣代替的に利用される移転可能トークンであり、次の性質をもつものをいう。
(1)不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米国ドル等)と相互に交換できる。
(2)電子的に記録され、移転できる。
(3)法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない。
代表的な暗号資産には、ビットコイン(登録商標)やイーサリアム(登録商標)等がある。
【0023】
運営者(サーバー10)がビジネスオーナーに渡す売上は、
図1に示す例では、お金(例えば電子マネー)であるが、これに限定されず、例えば、暗号資産であってもよい。また、後述するように、運営者がトークンに紐ついてボーディングメンバーに送付するものとしては、暗号資産に限定されず、例えば、当該暗号資産と同価値の法定通貨等であってもよい。
【0024】
<1.3.処理概要2>
運営者(サーバー40)は、トークン利用部4(例えば、報酬プロパティ交換所等)を介して、報酬NFTホルダー(端末20)から、報酬NFTと現実の報酬プロパティとの交換要求を受け付ける。交換がなされると、運営者(サーバー40)は報酬NFTの使用を記録する。これにより、報酬NFTは、現実の報酬プロパティと交換可能な新たな価値表象手段として機能する。また、運営者(サーバー50)は、トークン移転部5(例えば、トークン移転プラットフォーム等)を介して、ユーザ(端末20)間での報酬NFTの移転要求を受け付け、報酬NFTの移転を記録する。交換に利用された報酬NFTは焼却(Burn)されるものとするが、運営者等が保有する特定のアカウントに所有権を移転する等、それ以上交換、移転がなされなければよい。
【0025】
<1.4.用語等の定義2>
上記定義に引き続き、本明細書で使用される用語及び語句について次のように定義する。
ボーディングメンバープロポーション(Boarding Member Proportion)とは、ボーディングメンバーに与える売上の比率である。
カットオフポイント(cutoff point)とは、ボーディングメンバーによる貢献効果を判定する為の売上に対する閾値である。例えば、前期の売上額をカットオフポイントとし、今期の売上がカットオフポイントを上回る場合に、ボーディングメンバーによる貢献効果が発揮されたものとして、ボーディングメンバーに対する報酬を付与する。
これらはビジネスオーナーがボーディングメンバーの募集に先駆けて、事前に決めておく指標である。なお、ボーディングメンバーに送付されるNFTの価値は、ボーディングメンバープロポーション、カットオフポイント、及び後述するコントリビューションを用いて算出される。
キャッシュフローオブザベーション(Cash Flow Observation)とは、売上等ボーディングメンバーの貢献を計る指標をいう。
コントリビューション(Contribution)とは、ボーディングメンバーの貢献の量をいう。
ここで、運営者は、一般的な株式会社等とは異なり、組織の代表者が存在していない分散型自律組織(DAO:Decentralized Autonomous Organization)を想定している。その特徴点は、概ね、次のとおりである。即ち、上記組織は、中央集権的な権限を持った管理者がいないので参加者全員が平等であり、オープンソースなので組織として非常に透明性が高い。また、上記組織は、ガバナンストークンを発行することで資金調達等ができる、といった特徴を有しても良い。
【0026】
できる限り、「バズる」状況を生じさせて商品やサービスの売上げ増加を図ると共に、ボーディングメンバーにトークンやマネーのリターンを多くすることが、本発明の目的であるので、DAOのような組織が望ましい。もっとも、通常の会社が運営することも、想定外ではない。また、ビジネスオーナーに投資をする者、投資家に対しても、DAOからマネーが流れる仕組みを構築することで、投資を増やすことも想定している。
【0027】
<2.1.システム構成>
図1に示すように、トークン管理システム100は、サーバー10、30、40、50(サーバー10等と呼称する場合がある)と、端末20と、ブロックチェーンネットワークBCを備える。本実施形態において、サーバー10はトークン配布部1(プロジェクト管理プラットフォーム)として機能し、サーバー30はプロパティ販売部3(プロパティ販売プラットフォーム)として機能し、サーバー40はトークン利用部4(報酬プロパティ交換所)として機能し、サーバー50はトークン移転部5(トークン移転プラットフォーム)として機能する。サーバー10等は、端末20及びブロックチェーンネットワークBCとネットワークNetを介して接続されている。ネットワークNetは、例えばインターネット等のIPネットワークである。
【0028】
本実施形態では、トークン(移転不能トークン及び報酬NFT)は、ブロックチェーンネットワークBC上において記録、管理されるものとする。なお、移転不能トークン及び報酬NFTは同じブロックチェーンネットワークBC上で記録、管理されても良いし、別々のブロックチェーンネットワークBC上で記録、管理されてもよい。また、ブロックチェーンネットワークBCは、パブリックチェーンとする。一方でトークンは、コンソーシアムチェーン等の中央集権的なブロックチェーンネットワーク、若しくは特定の主体が管理するデータベースシステム又はIPFS(Inter Planetary Filesystem)等の非ブロックチェーン型のデータベースにおいて記録、管理されるものであってもよい。サーバー10、40及び50の一部又は全部は、トークンを記録、管理するブロックチェーンネットワークBCを構成するノード、若しくは当該ノードに対してトランザクションの発行要求が可能なサーバーである。サーバー30も当該ノード又は当該サーバーであってよい。
【0029】
また、トークン配布部1、プロパティ販売部3、トークン利用部4、及びトークン移転部5はトークン管理システム100の運営者によって管理されるものとして説明するが、これらの一部が別の主体によって管理されてもよい。また、少なくともこれらの一部が非中央集権的な分散システムであってもよく、例えばトークン移転部5は、ブロックチェーンネットワークBC上にスマートコントラクトとして実装されるユニスワップ等の分散型取引所(DEX:Decentralized Exchange)であってもよい。
【0030】
トークン配布部1は、ビジネスオーナーがコンシューマーに販売した販売プロパティの売上に応じてボーディングメンバーに移転不能トークン及び報酬NFTを渡す仕組みをコンピュータ上で構築したシステムである。プロパティ販売部3は、ビジネスオーナーによるコンシューマーへの販売プロパティの販売を管理する仕組みをコンピュータ上で構築したシステムである。トークン利用部4は、報酬NFTと現実の報酬プロパティの交換を管理する仕組みをコンピュータ上で構築したシステムである。トークン移転部5は、報酬NFTの移転を管理する仕組みをコンピュータ上で構築したシステムである。
【0031】
なお、ここでいうコンピュータ上で構築したシステムには、上記の仕組みを1台のコンピュータを用いて行うシステム、及び複数のコンピュータを有するネットワークを用いて行うシステムも含まれる。また、本実施形態ではサーバー10等に、トークン配布部1、プロパティ販売部3、トークン利用部4、及びトークン移転部5のそれぞれの機能が分けて配置されるものとするが、これらの一部又は全部が同じサーバーによって機能提供されてもよい。また、トークン管理システム100の各部が有する機能の一部は、同じコンピュータ又はサーバーに設けられてもよい。サーバーは仮想サーバーであってもよく、1のコンピュータによって複数の仮想サーバーが実行されてもよい。また、トークン管理システム100は、各機能の一部又は全てをクラウドコンピューティングにより行うものであってもよい。かかる場合、サーバー10等の構成の一部あるいは全ては、ネットワークNet上のコンピュータに設けられる。
【0032】
<2.2.ハードウェア構成>
図2は、サーバー10等のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバー10は通信部11、制御部12及び記憶部13を、サーバー30は通信部31、制御部32及び記憶部33を、サーバー40は通信部41、制御部42及び記憶部43を、サーバー50は通信部51、制御部52及び記憶部53を備え、各部及び各工程の作用発揮に用いられる。記憶部13、33、43、53には、サーバー10等における後述する処理・機能を実現するためのプログラム14、34、44、54が記憶されており、当該プログラム14、34、44、54の実行により、トークン配布部1、プロパティ販売部3、トークン利用部4及びトークン移転部5の各機能構成要素が実現される。これは、ソフトウェア(記憶部等に一過的又は非一過的に記憶されたプログラム)による情報処理が、ハードウェア(制御部等)によって具体的に実現されたものである。
【0033】
通信部11、31、41、51は、ネットワークNetに物理的に接続するためのインタフェースを有し、ネットワークNetとの通信制御を実行して端末20又はブロックチェーンネットワークBCに接続されることで、例えば、端末20から送信されるデータの受信や、端末20へのデータ送信、ブロックチェーンネットワークBCへのトランザクション処理要求、トークンデータの収集等を行う。通信部11、31、41、51は、例えば、上記コンピュータにインストールされた専用のアプリケーションソフトウェア等により実現される。
【0034】
制御部12、32、42、52は、命令セットを実行可能なCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、一時記憶手段としてのRAM(Random Access Memory)等で構成され、プログラム14、34、44、54に基づいて演算や処理を実行する。プログラム14はコントリビューション計算プログラム15を有したトークン配布プログラム17を含み、制御部12はトークン配布プログラム17を実行することでトークン配布部1として機能する。また、プログラム34は販売管理プログラム37を含み、制御部32は販売管理プログラム37を実行することでプロパティ販売部3として機能する。また、プログラム44はトークン利用プログラム47を含み、制御部42はトークン利用プログラム47を実行することでトークン利用部4として機能する。また、プログラム54はトークン移転プログラム57を含み、制御部52はトークン移転プログラム57を実行することでトークン移転部5として機能する。
【0035】
記憶部13、33、43、53は、各種データを記憶する装置であり、例えばSSD(Solid State Drive)等の不揮発性の記録媒体から構成される。記憶部13、33、43、53には、上記したプログラム14、34、44、54に加えて、各種のデータ16、36、46、56が記憶されている。なお、これらプログラム14、34、44、54を総称して、トークン管理プログラムと呼称する。
【0036】
データ16は、トークンデータ16b、貢献データ16d、貢献マスタデータ16e(重み付けデータ16c)、ユーザデータ16f、及びプロジェクトデータ16gを含む。データ36は、販売プロパティデータ16a、及び売上データ36bを含む。データ46は、裏付けデータ45として利用される報酬プロパティデータ46a、及び交換履歴データ46bを含む。データ56は、取引履歴データ56aを含む。なお、各種のデータ16、36、46、56のデータ構造、格納先は任意である。本実施形態では、記憶部13、33、43、53がデータ16を格納するものとして説明するが、例えば、データ16の一部又は全部は、ブロックチェーンネットワークBCのオンチェーンであったり、ブロックチェーンネットワークBC又は図示しないネットワーク上に構築されたIPFS等の分散データベースに格納されてもよい。
【0037】
端末20は、ビジネスオーナー、ボーディングメンバー、又はNFTホルダーとなるユーザが所持し、ネットワークNetを介してサーバー10等と通信可能に接続されている。端末20は、不図示の制御部、記憶部及び通信部と、キーボード等の入力部と、ディスプレイ等の表示部とを有しており、例えばPC(パーソナルコンピュータ)やスマートフォン、タブレット端末等により構成されている。
【0038】
<3.1.処理フロー>
次いで、
図3及び
図4を用いて、トークン管理システム100の処理の詳細について説明する。
図3は、プロジェクトの登録からトークンの配布までの流れを示すフローチャートである。
図4は、トークン管理システム100のデータ構成例を示すデータ構成図である。
【0039】
<3.2.ユーザデータの登録>
ステップS301において、トークン管理システム100のトークン配布部1は、ビジネスオーナー及びボーディングメンバーとなるユーザのユーザデータ16fの登録を受け付ける。ユーザは、端末20を介して、トークン配布部1にユーザ登録を行うと共に、ユーザが保有するブロックチェーンウォレットのウォレットアドレスの登録を行う。これにより、トークン管理システム100のトークン配布部1は、ユーザデータ16fを格納する。なお、プロジェクトに参加する(ボーディングメンバーの)ユーザ登録は、S302の前に限られず、S302~S306の任意のタイミングに行われてよい。
【0040】
図4に示すように、ユーザデータ16fは、ユーザの識別情報(ユーザID)、ウォレットアドレス等を含む。なお、以降でも、識別情報はトークン管理システム100等で割り振られたIDとするが、名前やその他の文字列等、データを識別できる記号であれば構わない。
【0041】
ブロックチェーンウォレットには、それぞれ固有の秘密鍵が対応付けられており、後述する報酬NFTの交換要求や移転要求はこの秘密鍵を用いて行われる。以降では、秘密鍵の介在については説明を省略する。なお、ウォレットアドレスがユーザの識別情報として用いられてもよい。トークン配布部1は、第三者が提供する認証サービスを利用して、ユーザ登録を受け付けてもよい。その場合、第三者が提供するアプリケーションにおける識別情報等が、ユーザの識別情報と紐づけてユーザデータ16fとして保持される。また、トークン配布部1は、ブロックチェーンウォレットの生成手段及びブロックチェーンウォレット機能を有していてもよい。その場合、ユーザ登録が行われると、トークン配布部1は秘密鍵やウォレットアドレス等を生成し、記憶部13等において秘密鍵等の情報を管理する。
【0042】
また、トークン配布部1が、ボーディングメンバーによるSNS等の特定プラットフォームでの活動(投稿数やインプレッション数)を貢献データとして収集する場合は、ユーザデータ16fに、SNSアカウントの識別情報等を含むアカウント情報が対応付けられてもよい。
【0043】
インプレッションとは、一般的に、ウェブサイト等に掲載される広告の効果を表す指標の一つであり、ウェブサイトにおいて広告が1回表示されるとき、インプレッション数は1とカウントされる。SNSのインプレッション数とは、例えばSNS上での投稿数やSNS上で表示された回数であり、例えば、SNS上で1度表示されたとき、SNSのインプレッション数を1とカウントする。
【0044】
<3.3.プロジェクトの登録>
ステップS302において、トークン管理システム100は、プロジェクト管理プラットフォームにおいて、ビジネスオーナーとなるユーザより、プロジェクトに関する種々のデータの登録を受け付ける。まず、ビジネスオーナーは、端末20を介して、トークン配布部1にプロジェクトの期間を示すプロジェクト期間(特定の期間を示すデータ)、プロジェクトの成否を示すカットオフポイント、ボーディングメンバープロポーションデータ、売上率等の登録を行う。これにより、トークン管理システム100のトークン配布部1は、プロジェクトデータ16gを格納する。
【0045】
ここで、プロジェクト期間は、任意の期間を設定することが可能であり、例えば、2022年7月30日から同年8月15日までの期間や、ある日時を基準としてその基準日時から所定の日時経過までの期間等のように設定される。
【0046】
カットオフポイントは、トークン管理システム100を利用したプロジェクトの成否を示す閾値である。本実施形態では、カットオフポイントとして任意の売上額が設定され、プロジェクト期間中の売上データがカットオフポイントを超える場合に、プロジェクトが成功したと判断される。カットオフポイントは売上を示す指標であればよく、例えば、販売プロパティの販売数や販売量等を示す売上数量であってもよい。
【0047】
ボーディングメンバープロポーションデータは、ビジネスオーナーによって指定される売上に対する、ボーディングメンバーへ還元される報酬の割合を指す。例えば、ボーディングメンバープロポーションは、プロジェクト期間中の総売上全体に対する割合であっても良いし、プロジェクト期間中の総売上げからカットオフポイントを差し引いた売り上げ(即ち、トークン管理システム100を適用することで生じた売上の増加分)等であってもよい。報酬は、現実の報酬プロパティと交換が可能な報酬NFTを含む。売上率(0≦ξ≦1)は、プロパティ販売部3における売上のうち、どれだけをボーディングメンバープロポーションの適用範囲とするか定義するデータである。
【0048】
<3.4.販売プロパティデータの登録>
また、ビジネスオーナーは、端末20を介して、プロパティ販売部3に販売プロパティに関する情報の登録を行う。これにより、トークン管理システム100のプロパティ販売部3は販売プロパティデータ36aを格納する。
図4に示すように、本実施形態では、販売プロパティデータ36aは、販売プロパティマスタデータ及び販売プロパティ詳細データによって定義される。
【0049】
販売プロパティマスタデータは、販売プロパティの識別情報(販売プロパティID)、この販売プロパティについてのプロジェクトの識別情報(プロジェクトID)、販売プロパティ名、販売単位、種類等を含む。販売プロパティ詳細データは、販売プロパティ詳細データの識別情報(販売プロパティ詳細ID)、販売プロパティの識別情報(販売プロパティID)、販売単位量当たりの単価(販売価格)、在庫量等を含む。例えば、販売プロパティ名が「○○町○○さんのお米」の時、販売単位が「1kg」や「5kg」等となり、種類が「米」等となり、単価が「1000円/kg」、「4500円/5kg」等となり、在庫量が「500kg」等となる。
【0050】
<3.5.報酬プロパティデータの登録>
また、ビジネスオーナーは、端末20を介して、トークン利用部4に報酬プロパティに関する情報の登録を行う。これにより、トークン管理システム100のトークン利用部4は報酬プロパティデータ46aを格納する。また、運営者(サーバー40)は、サーバー10において登録された報酬プロパティの総提供数量を示すデータを参照し、ビジネスオーナーから受け取った報酬プロパティの数量を検品や監査等行った後、裏付けデータを登録する。トークン利用部4は、総提供数量を参照可能に構成され、総提供数量を充足する現実の報酬プロパティが確保されたか否かを示す検証結果を、裏付けデータとして登録する。
【0051】
図4に示すように、報酬プロパティデータ46aは、報酬プロパティの識別情報(報酬プロパティID)、この報酬プロパティが報酬となるプロジェクトの識別情報(プロジェクトID)、報酬プロパティ名、提供単位、提供単位当たりの単価、報酬プロパティの生産日又は加工日、裏付けデータ45等を含む。なお、販売プロパティと報酬プロパティは、同一のプロパティであってもよい。
【0052】
なお、本実施形態では、ビジネスオーナー(端末20)が、プロジェクト管理プラットフォームとして機能するサーバー10において販売プロパティデータ36aや報酬プロパティデータ46aを登録し、それらがサーバー30、40に受け渡されるものとする。ここで、必要に応じて加工や集計等を行ったうえでデータを受け渡してもよいし、ビジネスオーナー(端末20)がサーバー30、40に販売プロパティデータ36aや報酬プロパティデータ46aを格納してもよいし、サーバー30、40がサーバー10に格納されたこれらデータを、ネットワークを介して取得するようにしてもよい。
【0053】
<3.6.ボーディングメンバーの募集>
トークン配布部1は、プロジェクト管理プラットフォームにおいて、ステップS302において登録されたプロジェクトデータ16g、販売プロパティデータ36a及び報酬プロパティデータ46aを公開し、プロジェクトに参加するボーディングメンバーの募集を行う。本実施形態では、ステップS304におけるプロジェクト期間の開始までの間(ステップS304でNO)、ボーディングメンバーの募集を行うものとするが(ステップS303)、プロジェクト期間の開始後もボーディングメンバーの募集を行うように構成してもよい。ユーザ(端末20)がプロジェクトに参加すると、トークン管理システム100のトークン配布部1は、ユーザとプロジェクトを対応付けるボーディングメンバーデータ16hを格納する。
図4に示すように、ボーディングメンバーデータ16hは、ボーディングメンバーの識別情報(ボーディングメンバーID)、ユーザの識別情報(ユーザID)、プロジェクトの識別情報(プロジェクトID)等を含む。
【0054】
<3.7.販売プロパティの販売>
プロジェクト期間中、ステップS305において、プロパティ販売部3は、販売プロパティをコンシューマーに販売する。プロパティ販売部3は、販売プロパティをコンシューマーに販売する為のプロパティ販売プラットフォームとして機能し、コンシューマーからの販売プロパティの購入を受け付ける。コンシューマーが販売プロパティを購入すると、トークン管理システム100のプロパティ販売部3は、売上データ36bを格納する。売上データ36bは、プロパティ販売部3において、ビジネスオーナーがコンシューマーに販売したプロパティの売上が記録されたデータである。
図4に示すように、売上データ36bは、注文の識別情報(注文ID)、販売プロパティの識別情報(販売プロパティID)、販売プロパティの注文数量、日時、注文を行ったコンシューマーに関する情報(住所や氏名等)等を含む。日時は、本実施形態では、注文日時とする。
【0055】
なお、本実施形態では、プロパティ販売プラットフォームとして機能するサーバー30において生の売上データ36bが登録され、必要に応じて加工や集計等を行ったうえでサーバー10に受け渡すものとする。サーバー10がサーバー30に格納された売上データ36bを、ネットワークを介して取得するようにしてもよい。
【0056】
<3.8.ボーディングメンバーによる貢献の記録>
本実施形態では、貢献マスタデータ16eに、貢献の種類(内容)が定義される。貢献マスタデータ16eは、貢献マスタの識別情報(貢献マスタID)、貢献の名称、及びその重みを示す重み付けデータ16c等を含む。重み付けデータ16cは、重み付けが記憶されたデータであり、ボーディングメンバーが行った貢献の種類に対応して設定される。本実施形態では、運営者が貢献マスタデータ16e定義するものとするが、ビジネスオーナーによって定義可能であってもよい。また、ビジネスオーナー(端末20)が、プロジェクトデータ16gの登録に際して、貢献マスタデータ16eの中から、自身のプロジェクトで集計対象とする貢献の種類を選択するように構成してもよい。販売プロパティの種類と貢献の種類が1対多の関係で紐付けて記憶部13等に記録され、販売プロパティの種類を登録することで、貢献の種類の選択がなされてもよい。
【0057】
貢献の種類に対応して設定される重み付けについては、例えば、プロパティが米の場合、ボーディングメンバーによる貢献の種類は、SNSのインプレッション、感想・体験談のインプレッション、合せる料理に関する投稿・二次創作の投稿のインプレッション、解説の投稿のインプレッション、ボーディングメンバーが投稿したアフィリエイトリンクを経由した販売ページへのアクセス、アフィリエイトリンクを経由した販売プロパティの購入の6つが挙げられ、これら6つの貢献のそれぞれに対して重み付けが設定される。
【0058】
重み付けの数値は、例えば、売上増加の寄与度の高い貢献であればあるほど高くなるように、当該寄与度に応じて設定されてもよい。
【0059】
プロジェクト期間中、ステップS305において、トークン管理システム100のトークン配布部1は、ボーディングメンバーによる貢献を記録する。SNS等の特定プラットフォームでの活動(投稿数やインプレッション数)を貢献データとして収集する場合は、トークン配布部1は、ユーザデータ16fに含まれたSNSアカウントの識別情報等と、SNSが提供するAPI等を利用して、ボーディングメンバーによる貢献を記録・計測することができる。例えば、あるボーディングメンバーがSNSに投稿を行ったとき、トークン配布部1は、当該投稿をしたボーディングメンバーの識別情報や識別情報に紐づけられた情報(例えばSNSのID)、貢献をした日時等の情報を受け取り、記憶部13に貢献データ16dが格納される。
【0060】
また、ボーディングメンバーがSNS等自身のウェブサイトに設置したハイパーリンク等に対するアクセス数や販売プロパティの購入数等を記録・計測する場合、ハイパーリンクにボーディングメンバーを識別可能なパラメータを埋め込んだり、遷移先の画面や販売プロパティの購入完了画面に、トークン配布部1に対してパラメータを送信するタグ等を埋め込むことで、記録・計測することができる。
【0061】
図4に示すように、貢献データ16dは、ボーディングメンバーが行った貢献に関する情報が記憶されたデータであり、行った貢献の識別情報(貢献ID)、貢献マスタの識別情報(貢献マスタID)、貢献を行ったユーザの識別情報(ユーザID)、及び貢献の日時等の情報を含む。トークン配布部1は、蓄積された貢献データ16dを集計することで、ボーディングメンバー毎の、貢献の種類毎の貢献量を得ることができる。
【0062】
<3.9.プロジェクト成否の判定>
ステップS307においてプロジェクト期間が終了すると、トークン配布部1は、売上データ36bの日時から、プロジェクトデータ16gにおけるプロジェクト期間(特定の期間を示すデータ)に属する売上を集計する。そして、トークン配布部1は、プロジェクト期間においてボーディングメンバーの貢献により売上が予め設定されたカットオフポイントを上回ると判断した場合に、引き続き以下の処理を実行する。
【0063】
本実施形態では、特定期間の売上が予め設定されたカットオフポイントを上回る場合に、ボーディングメンバーの貢献により売り上げが増加したと判断する。カットオフポイントは、例えば、プロジェクト実施前の(何もしていない)比較可能な期間におけるキャッシュフローオブザベーションである。売上が増加した場合(ステップS308でYES)、ステップS309に進む。売上が増加しなかった場合(ステップS308でNO)、処理を終了する。なお、売り上げが増加しなかった場合にも、後述する移転不能トークンの配布を行うように構成しても構わない。
【0064】
<3.10.コントリビューションの算出>
ステップS309において、トークン配布部1は、貢献データ16dから、各ボーディングメンバーが行った各貢献の種類毎の貢献量を集計すると共に、重み付けデータ16cから、貢献の種類に対応する重み付けを読み取る。
【0065】
そして、トークン配布部1は、コントリビューション計算プログラム15を実行し、特定の期間におけるボーディングメンバーkのコントリビューションを計算する。このとき、トークン配布部1は、次の計算式を用いて特定の期間のコントリビューションを計算する。
【数1】
C
kは、ボーディングメンバーkの各貢献の貢献量y
k
iを変数に含む関数であり、貢献量y
k
iと重み付けの数値とを用いて算出される。
式1において、C
kは、ボーディングメンバーkのコントリビューションであり、下記式2の条件を満たす。fは、下記式3の条件を満たしそれぞれの貢献量y
k
iに対して単調増加である。式1のnは、貢献の種類の数である。
【数2】
式2において、mは現在のボーディングメンバーの数である。
【数3】
【0066】
このように、トークン配布部1は、貢献量と重み付けのデータを用いるとともに、式1の計算式を用いて計算することでコントリビューションCkを算出する。ここで、式1の計算式を用いて計算するとは、貢献量yk
iに関する関数を用いて計算することをいう。したがって、例えば、いずれも後述するように、式1-1からコントリビューションCkを算出したり、式1-2を利用してコントリビューションCkを計算したりすることも、式1の計算式を用いて計算することに含まれる。
【0067】
式1は、具体的には、例えば下記式1-1であってもよい。即ち、コントリビューション計算プログラム15において、C
kを算出する計算式として、下記式1-1が適用されてもよい。
【数4】
式1-1において、nは貢献の種類の数、y
k
iはボーディングメンバーkの貢献の種類iの貢献量、w
iは貢献iの重み(0<w
i≦1)である。ボーディングメンバーkのコントリビューションC
kは、式1と同様に、貢献量y
k
iと重みw
iとを用いて算出される。
このとき、トークン配布部1は、上述したように、貢献データ16dから特定の期間の貢献量(y
k
i)を読み取ると共に、重み付けデータ16cから対応する重み付けの数値(w
i)を読み取り、これらの数値に基づいてコントリビューションC
kを算出する。
【0068】
<3.11.移転不能トークンの配布>
続いて、ステップS310において、トークン配布部1は、算出した(つまり数値化した)コントリビューションCkに対応した移転不能トークンを発行処理する。トークン配布部1は、発行処理として、ブロックチェーンネットワークBCに対してボーディングメンバーkのウォレットアドレス、並びに、コントリビューションCk又はボーディングメンバーkへの報酬プロパティの提供数量を含むNTT発行トランザクションを送信し、トークンIDを含む処理結果を受け取る。受け取ったデータは、トークンデータ16bを構成するデータとして記憶部13に記録される。なお、本実施形態では、トークンデータ16bを記憶部13に格納することとしたが、トークンデータ16bの一部又は全部の情報は、必ずしもオフチェーン(記憶部13等)に格納される必要はない。その場合、トークン配布部1等は、ブロックチェーンネットワークBC上(オンチェーン)のデータを参照して、必要な情報を取得してよい。
【0069】
なお、トークン配布部1は、これまでボーディングメンバーに対して複数のプロジェクトで獲得した移転不能トークンに記録されたコントリビューションCk又はボーディングメンバーへの報酬プロパティの提供数量を集計し、ボーディングメンバー(端末20)に対して表示させてもよい。集計されたコントリビューションCk又はボーディングメンバーへの報酬プロパティの提供数量は、ユーザデータ16fと紐付けて格納されてよく、ユーザの貢献を示す指標として利用され得る。
【0070】
<3.12.報酬プロパティの提供数量>
ボーディングメンバーが複数人(m≧2)の場合、トークン配布部1は、これらの複数のボーディングメンバーに対して、コントリビューションCkの比率に応じて報酬を還元する。このとき、トークン配布部1は、ボーディングメンバーkに対して、報酬を全て報酬プロパティと交換可能な報酬NFTによって還元しても良いし、報酬を全てお金や仮想通貨等によって還元しても良いし、報酬NFT、及びお金や仮想通貨等を組み合わせて還元してもよい。トークン配布部1は、予め、ビジネスオーナー、又は個々のボーディングメンバーkによって、プロジェクト毎、又はボーディングメンバーk毎に定義された報酬の種別の配分(報酬NFT/別の対価(お金や仮想通貨等))の登録を受け付け、その配分に従って報酬を付与してもよい。
【0071】
トークン配布部1は、コントリビューションC
kの比率に応じて還元される報酬プロパティの数量を決定し、報酬NFTを配布する。例えば、トークン配布部1は、報酬プロパティの総提供数量を記憶部13等に記録しておき、報酬として還元される報酬プロパティの総提供数量に対してコントリビューションC
kを乗算することで、ボーディングメンバーkに対して還元される報酬プロパティの数量を決定することができる。なお、報酬プロパティの総提供数量は、ボーディングメンバーに還元される売上から換算されても良いし、売上とは無関係に、所与の条件として与えられてもよい。報酬プロパティの総提供数量は、プロジェクトデータ16gを登録する際に記憶部13等に記録されても良いし、プロジェクトの終了後、ボーディングメンバーに還元する売上が算出された後に記憶部13等に記録されてもよい。また、トークン配布部1は、例えば式4により、ボーディングメンバーkに対して分配する金銭的価値を算出し、この金銭的価値に基づいて還元される報酬プロパティの数量を決定し、報酬NFTを配布してもよい。かかる場合、トークン配布部1は、下記式4の各値(ξ、C
k等)をデータ16から読み取り計算する。
【数5】
式4において、D
kはボーディングメンバーkが受取る売上、zはプロジェクト期間の売上データを集計することで得られた当期キャッシュフローオブザベーションである。z
0は、プロジェクト実施前の(何もしていない)前期キャッシュフローオブザベーションであり、既述のカットオフポイントに対応する。即ち、z
0は、同じビジネスにトークン管理システム100を適用する前の売上であり、例えば、新規に立ち上げるビジネスの場合には予め定められた計画上の売上である。ξはトークン配布部1に流す売上率(0≦ξ≦1)であり、ξ=1の場合は増加した売上分に対してのみ分配させ、ξ=0の場合は売上全体に対して分配をさせる。Xは、ボーディングメンバープロポーションである(0≦X≦1)。なお、カットオフポイントとz
0は必ずしも同一でなくてもよい。
【0072】
<3.13.報酬NFTの配布>
トークン管理システム100のトークン配布部1は、コントリビューションCkに対応する報酬NFTを配布することで、売上の一部をボーディングメンバーkに対して還元する。プロジェクト毎において配布される報酬の種別の配分は、ビジネスオーナーが用意可能な報酬プロパティの総提供数量ドリブンで決定されてもよい。例えば、当該プロジェクトにおいて全てのボーディングメンバーに配布可能な報酬プロパティの金銭的価値の合計が、ボーディングメンバーに還元される売上((z―ξz0)*X)を上回る場合、ボーディングメンバーに対して還元される報酬は全て報酬NFTであってもよい。
【0073】
一方で、下回る場合には、例えば、受取る売上Dkのうち、報酬プロパティの総提供可能数量に対してコントリビューションCkを乗算した数量に基づいて、ボーディングメンバーに対して報酬NFTとして配布される報酬プロパティの数量が決定すると共に、売上Dkから配布される報酬NFTの金銭的価値を指し引いた差分が別の対価(お金や仮想通貨等)によって還元される。なお、ボーディングメンバーによる事前の合意があれば、下回る場合に、別の対価による還元が行われなくてもよい。また、上回る場合にも、端数となる差額について別の対価によって還元されるように構成してもよい。
【0074】
ステップS311において、報酬プロパティについて、裏付けデータ45が記録されているか否か判断されてもよい。裏付けデータ45は、トークン利用部4において交換可能に確保された現実のプロパティの数量(総提供可能数量)を示すデータであり、例えば、現実の報酬プロパティ交換所に納品され、検品や監査等された後に、トークン利用部4に登録される。トークン配布部1は、裏付けデータ45(総提供可能数量)、及び報酬NFTによって交換が行われる報酬プロパティの総提供数量に基づく検証を行い、総提供可能数量が総提供数量以上確報されている場合(ステップS311でYES)、ステップS312に進み、報酬NFTの発行処理を行う。
【0075】
本実施形態では、報酬NFTは、1単位数量の報酬プロパティと交換可能なトークンである。トークン配布部1は、報酬プロパティの総提供数量に対してコントリビューションCkを乗算し、ボーディングメンバーkに対して提供される報酬NFTの数量tk(=0,1,2,・・・)を決定する。トークン配布部1は、必要に応じて、ボーディングメンバーに対して提供される報酬プロパティの数量が単位数量倍になる様に、総提供数量に対してコントリビューションCkを乗算した値を丸め計算してもよい。
【0076】
ステップS312において、トークン配布部1は、tk個分の報酬NFTをボーディングメンバーkに配布すべく、報酬NFTの発行処理を行う。トークン配布部1は、報酬NFTの発行処理として、ブロックチェーンネットワークBCに対してボーディングメンバーkのウォレットアドレス(ボーディングメンバーの識別情報)、報酬プロパティの識別情報(報酬プロパティID)、1トークンで交換可能な報酬プロパティの数量を示す提供単位、を含むtk個分のNFT発行トランザクションを送信し、トークンIDを含む処理結果を受け取る。受け取ったデータは、トークンデータ16bを構成するデータとして記憶部13に記録される。これにより、ボーディングメンバーkは、報酬NFTホルダーとなる。
【0077】
本実施形態では、報酬NFTは、1単位数量の報酬プロパティと交換可能なトークンとし、ボーディングメンバーkにはtk個の報酬NFTが配布されるものとした。一方で、ボーディングメンバーkにはそれぞれ1個又は複数個の報酬NFTが配布されるものとし、報酬NFTに貢献量に応じた報酬プロパティの交換可能数量が記録されてもよい。複数個の報酬NFTがボーディングメンバーkに対して配布される場合には、個々の報酬NFTに対して、記録可能な報酬プロパティの数量上限が設けられてもよい。例えば、数量上限が50、報酬プロパティの数量が80の場合、50の報酬プロパティと交換可能な1個の報酬NFTと、30の報酬プロパティと交換可能な1個の報酬プロパティ、合計2個の報酬NFTがボーディングメンバーに配布される。なお、交換される報酬プロパティの提供単位や交換可能数量は、ブロックチェーンネットワークBC上のブロックやIPFSに記録されても良いし、ブロックチェーンネットワークBC外のデータベースに記録され、報酬プロパティの識別情報に基づいて参照可能に構成されてもよい。
【0078】
トークンデータ16bは、売上や貢献等に応じて、ボーディングメンバーに渡したトークンを記録したデータであり、本実施形態ではブロックチェーンネットワークBC上に記録された移転不能トークン及び報酬NFTに係るトランザクションデータを取得することで、格納される。
図4に示すように、トークンデータ16bは、トークンの識別情報(トークンID)、移転不能又は報酬NFTの何れであるかを示すトークン種別、トークンが紐付けられたプロジェクトの識別情報(プロジェクトID)、トークンを保有するユーザの識別情報(ユーザID)、特に移転不能トークンの場合にトークンに記録された貢献量、及びトークンの配布日時等の情報を含む。
【0079】
このように、トークン管理システム100では、特定の期間においてボーディングメンバーkの貢献により販売プロパティの売上が増加した場合、トークン配布部1は、特定したボーディングメンバーkの貢献量yk
i及び重みwiを貢献データ16dから読み取り、これらの数値を用いてコントリビューションCkを計算し、コントリビューションCkに応じた移転不能トークン及び報酬NFTをボーディングメンバーkに配布する。したがって、トークン管理システム100によれば、ボーディングメンバーに対して貢献を促すことができ、ひいては販売プロパティの売上増加を図ることができる。
【0080】
<4.1.報酬NFTと報酬プロパティの交換>
トークン利用部4は、報酬プロパティ交換所として機能し、報酬NFTホルダー(端末20)からの報酬NFTの交換要求を受け付けて、報酬プロパティとの交換処理を行う。交換要求には、交換する報酬NFTの識別番号が含まれており、トークン利用部4は交換要求に含まれた報酬NFTの識別番号を用いて、ブロックチェーンネットワークBCやトークンデータ16bを参照することで、交換される報酬プロパティ及びその数量を把握する。
【0081】
トークン利用部4は、交換処理が完了すると、交換履歴データ46bを格納する。交換履歴データ46bは、交換履歴の識別情報(交換履歴ID)、交換が行われた報酬NFTの識別番号(トークンID)、及び交換が行われた日時等を含む。トークン利用部4は、一度に複数の報酬NFTについての交換要求を受付可能であってもよい。
【0082】
トークン利用部4は交換要求を受け付けると、報酬NFTを報酬プロパティへ交換する為の交換処理を実施して、交換がなされた報酬NFTを無効化する。本実施形態では、トークン利用部4は、交換処理として、ブロックチェーンネットワークBCに対して、交換がなされた報酬NFTの識別番号を含むNFT焼却トランザクションを送信し、交換がなされた報酬NFTを無効化する。
【0083】
<4.2.報酬NFTの移転>
トークン移転部5は、NFTホルダー及び購入希望者(端末20)からの報酬NFTの移転要求を受け付けて、報酬NFTの移転処理を行う。トークン移転部5は、例えば、板取引形式、インターネット販売サイト形式、若しくはAMM(Automated Market Maker)形式で報酬NFTの取引を行うトークン移転プラットフォームとして機能する。ここで、トークン移転部5における報酬NFTの価格決定に、プロパティ販売部3における販売プロパティの販売価格を用いてもよい。板取引形式は成り行き注文及び/又は指値注文により約定する方式を指す。インターネット販売サイト形式は、売り手やトークン移転部5が報酬NFTの販売価格を決定し、その価格での取引を行う方式である。トークン移転部5が販売価格を決定する場合とは、売り手が指定した価格に所定の手数料等を付加する場合や、販売プロパティの価格を用いて販売価格が決定される場合を指す。AMM形式とは、流動性プールに報酬NFTを含む2種類以上のトークン(例えば、ビットコイン等の暗号資産)が預けられており、交換レートの決定式に従って、交換レートが動的に決定される方式である。
【0084】
トークン移転部5は、トークンデータ16b、報酬プロパティデータ46a、交換履歴データ46b、ブロックチェーンネットワークBCにおけるトランザクションデータ等の1又は複数を参照し、報酬NFTに関する(1)~(7)のの少なくとも何れかの情報を、ユーザ(端末20)に対して表示させてもよい。トークン移転部5は、(1)~(6)の少なくとも何れかの情報を用いてパラメータ(7)を求め、記憶部53等に格納してもよい。
(1)報酬NFTの発行日
(2)対応する報酬プロパティの生産日・加工日
(3)対応する報酬プロパティに対する報酬NFTの発行数量
(4)対応する報酬プロパティの総提供数量
(5)対応する報酬プロパティに対する報酬NFTのうち無効化された報酬NFTの総数量
(6)無効化された報酬NFTに対応する報酬プロパティの総交換数量
(7)(1)~(6)の1又は複数を用いて得られたパラメータ
【0085】
また、トークン移転部5は、第1の報酬プロパティと交換可能な第1の報酬NFTと、第2の報酬プロパティと交換可能な第2の報酬NFTと、を交換するトークン交換プラットフォームであってもよく、その場合、第1及び第2の報酬NFTの交換レートの決定に、プロパティ販売部3における販売プロパティの販売価格を用いてもよい。
【0086】
続いて、トークン管理システム100の実施例について概略的に説明する。
(実施例1)
ある月に米が100kg売れた時、カットオフポイントを100kgとする。ここで、ボーディングメンバーの貢献により、翌月、その米が200Kg売れたとする。かかる場合、トークン管理システム100は、売上増加分(即ち、100kg分の売上)を、SNS発信者(ボーディングメンバー)の貢献によるものとみなしてこれらの者に移転不能トークン及び、この米と交換可能な報酬NFTを配布する。トークン配布部1は、貢献量(yi)及び重み付け(wi)の値に基づいてコントリビューション(C)を計算する。かかる計算において、貢献量は、例えば、SNS上の発信回数とする。また、重み付けは、例えば、SNS上で発信した文字データの単語数をカウントしたときに一万ワード未満の場合は0.4、一万ワード以上の場合は0.8とする。
【0087】
また、例えば、酒類の販売にトークン管理システム100を適用する場合ビジネスオーナーは事業者、販売プロパティは商品(つまり酒類)、コンシューマーは購入者及び酒類を飲む人、ボーディングメンバーはファン及び購入者となる。かかる場合において、ボーディングメンバープロポーションは例えば20%、キャッシュフローオブザベーションは売上であり、貢献の種類は、SNSのインプレッション、感想・体験談のインプレッション、酒類に合わせる料理の投稿、二次創作の投稿のインプレッション、解説の投稿のインプレッションである。これら各貢献(例えばSNSのインプレッション等)の貢献量(例えばSNSのインプレッション数等)の数値y1~y5は、それぞれ、SNSのインプレッション数(y1)、感想・体験談のインプレッション数(y2)、酒類に合わせる料理の投稿の数(y3)、二次創作の投稿のインプレッション数(y4)、解説の投稿のインプレッション数(y5)であり、貢献の種類の数(n)は5である。ボーディングメンバーに対して提供される報酬プロパティは販売プロパティと同じ酒類であり、1の報酬NFTを、当該酒類100mlと交換することができる。
【0088】
以上、実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0089】
100・・・トークン管理システム(システム)
10、30、40、50・・・サーバー
20・・・端末
1・・・トークン配布部
3・・・プロパティ販売部
4・・・トークン利用部
5・・・トークン移転部