(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017310
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置、および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20240201BHJP
【FI】
G06T19/00 600
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119857
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】593022629
【氏名又は名称】株式会社ジェーシービー
(71)【出願人】
【識別番号】519091041
【氏名又は名称】JP GAMES株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】間下 公照
(72)【発明者】
【氏名】南井 享
(72)【発明者】
【氏名】田畑 端
【テーマコード(参考)】
5B050
【Fターム(参考)】
5B050AA10
5B050BA09
5B050CA07
5B050CA08
5B050EA09
5B050EA18
5B050EA27
(57)【要約】
【課題】ネットワーク上の仮想空間において、現実空間の記録データを利用する際に、複数の公開先のそれぞれに対して公開態様を使い分けることができるプログラム、情報処理装置、および情報処理方法を提供する。
【解決手段】プログラムは、コンピュータに、現実空間または第1仮想空間における第1ユーザの体験を記録した第1記録データを取得する取得手段と、第1仮想空間における複数の公開先を設定する設定手段と、第1ユーザの第1ユーザ装置から、複数の公開先のそれぞれに対して、第1記録データの編集を受け付ける受付手段と、編集された第1記録データの少なくとも一部に基づいて、複数の公開先のそれぞれの第1仮想空間データであって第1仮想空間を生成するための第1仮想空間データを加工する加工手段と、複数の公開先のそれぞれに対応する装置に、加工された第1仮想空間を出力させる出力手段と、を実現させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
現実空間または第1仮想空間における第1ユーザの体験を記録した第1記録データを取得する取得手段と、
前記第1仮想空間における複数の公開先を設定する設定手段と、
前記第1ユーザの第1ユーザ装置から、前記複数の公開先のそれぞれに対して、前記第1記録データの編集を受け付ける受付手段と、
前記編集された第1記録データの少なくとも一部に基づいて、前記複数の公開先のそれぞれの第1仮想空間データであって前記第1仮想空間を生成するための第1仮想空間データを加工する加工手段と、
前記複数の公開先のそれぞれに対応する装置に、前記加工された第1仮想空間を出力させる出力手段と、を実現させる、
プログラム。
【請求項2】
前記取得手段は、現実空間または第2仮想空間における第2ユーザの体験を記録した第2記録データであって前記第1記録データとは異なる第2記録データを取得し、
前記受付手段は、前記第1ユーザ装置から、前記複数の公開先のそれぞれの第1仮想空間データの中から、前記第2記録データの反映先とする前記第1仮想空間データの選択を受け付け、
前記加工手段は、前記第2記録データの少なくとも一部に基づいて、前記選択された第1仮想空間データを加工する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記取得手段は、現実空間または前記第1仮想空間における前記第1ユーザの体験の記録に関する環境情報を取得し、
前記加工手段は、前記環境情報にさらに基づいて、前記第1仮想空間データを加工する、
請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記第1記録データは、前記第1ユーザの体験が記録された日時を示す日時情報を含み、
前記受付手段は、前記第1ユーザ装置から、前記日時情報の編集を受け付け、
前記取得手段は、前記編集された日時に対応する前記環境情報を取得する、
請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記第1記録データは、前記第1ユーザの体験が記録された位置を示す位置情報を含み、
前記受付手段は、前記第1ユーザ装置から、前記位置情報の編集を受け付け
前記取得手段は、前記編集された位置に対応する前記環境情報を取得する、
請求項3に記載のプログラム。
【請求項6】
前記取得手段は、前記複数の公開先のそれぞれに対応する装置のアクセス環境を示すアクセス環境情報を取得し、
前記出力手段は、前記複数の公開先のそれぞれに対応する装置において、前記アクセス環境情報に応じて、前記加工された第1仮想空間の出力態様を変更する、
請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項7】
前記取得手段は、前記複数の公開先のそれぞれに対応する装置のユーザの行動履歴を示す行動履歴情報を取得し、
前記出力手段は、前記複数の公開先のそれぞれに対応する装置に、前記行動履歴情報に応じて、前記加工された第1仮想空間の出力態様を変更する、
請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項8】
現実空間または第1仮想空間における第1ユーザの体験を記録した第1記録データを取得する取得部と、
前記第1仮想空間における複数の公開先を設定する設定部と、
前記第1ユーザの第1ユーザ装置から、前記複数の公開先のそれぞれに対して、前記第1記録データの編集を受け付ける受付部と、
前記編集された第1記録データの少なくとも一部に基づいて、前記複数の公開先のそれぞれの第1仮想空間データであって前記第1仮想空間を生成するための第1仮想空間データを加工する加工部と、
前記複数の公開先のそれぞれに対応する装置に、前記加工された第1仮想空間を出力させる出力部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが、
現実空間または第1仮想空間における第1ユーザの体験を記録した第1記録データを取得し、
前記第1仮想空間における複数の公開先を設定し、
前記第1ユーザの第1ユーザ装置から、前記複数の公開先のそれぞれに対して、前記第1記録データの編集を受け付け、
前記編集された第1記録データの少なくとも一部に基づいて、前記複数の公開先のそれぞれの第1仮想空間データであって前記第1仮想空間を生成するための第1仮想空間データを加工し、
前記複数の公開先のそれぞれに対応する装置に、前記加工された第1仮想空間を出力させる、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理装置、および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、仮想空間を表示させる際に、現実空間で記録されたユーザの写真もしくは動画などの画像データ、またはユーザの位置データなどのデータ(以下、「記録データ」ともいう)に基づいて、ユーザの仮想空間を加工する技術が存在する。例えば、下記特許文献1には、現実空間において撮影手段で撮影された撮影画像と合成して仮想画像を表示させ、この撮影手段の移動に関する移動情報に基づいてこの仮想画像を加工する表示制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザの記録データのネットワーク上における公開にあたって、セキュリティまたは個人情報保護などの観点から、家族または友達、一般などの複数の公開先のそれぞれに対する公開態様の使い分けが求められている。しかしながら、上記従来技術では、仮想空間上において、現実空間の撮影画像および移動情報で加工された仮想画像が、複数の公開先に対して画一的な公開態様となってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解決するため、ネットワーク上の仮想空間において、現実空間の記録データを利用する際に、複数の公開先のそれぞれに対して公開態様を使い分けることができるプログラム、情報処理装置、および情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、現実空間または第1仮想空間における第1ユーザの体験を記録した第1記録データを取得する取得手段と、第1仮想空間における複数の公開先を設定する設定手段と、第1ユーザの第1ユーザ装置から、複数の公開先のそれぞれに対して、第1記録データの編集を受け付ける受付手段と、編集された第1記録データの少なくとも一部に基づいて、複数の公開先のそれぞれの第1仮想空間データであって第1仮想空間を生成するための第1仮想空間データを加工する加工手段と、複数の公開先のそれぞれに対応する装置に、加工された第1仮想空間を出力させる出力手段と、を実現させる。
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、現実空間または第1仮想空間における第1ユーザの体験を記録した第1記録データを取得する取得部と、第1仮想空間における複数の公開先を設定する設定部と、第1ユーザの第1ユーザ装置から、複数の公開先のそれぞれに対して、第1記録データの編集を受け付ける受付部と、編集された第1記録データの少なくとも一部に基づいて、複数の公開先のそれぞれの第1仮想空間データであって第1仮想空間を生成するための第1仮想空間データを加工する加工部と、複数の公開先のそれぞれに対応する装置に、加工された第1仮想空間を出力させる出力部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、現実空間または第1仮想空間における第1ユーザの体験を記録した第1記録データを取得し、第1仮想空間における複数の公開先を設定し、第1ユーザの第1ユーザ装置から、複数の公開先のそれぞれに対して、第1記録データの編集を受け付け、編集された第1記録データの少なくとも一部に基づいて、複数の公開先のそれぞれの第1仮想空間データであって第1仮想空間を生成するための第1仮想空間データを加工し、複数の公開先のそれぞれに対応する装置に、加工された第1仮想空間を出力させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ネットワーク上の仮想空間において、現実空間の記録データを利用する際に、複数の公開先のそれぞれに対して公開態様を使い分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係るVRシステムのシステム構成例を説明するための図である。
【
図2】本実施形態に係るVRシステムの概要を説明するための図である。
【
図3】本実施形態に係るVRシステムの概要を説明するための図である。
【
図4】本実施形態に係るVRシステムの概要を説明するための図である。
【
図5】本実施形態に係るサーバ装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係るサーバ装置の動作例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係るサーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態(以下、「本実施形態」という)について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一または同様の構成を有する。
【0012】
本発明において、「部」、「手段」、「装置」、または「システム」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」、「手段」、「装置」、または「システム」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」、「手段」、「装置」、または「システム」が有する機能が、物理的手段、装置、またはソフトウェア・モジュールの2つ以上の組み合わせにより実現されても、2つ以上の「部」、「手段」、「装置」、または「システム」の機能が、1つの物理的手段、装置、またはソフトウェア・モジュールにより実現されても良い。
【0013】
<1.システム構成>
図1を参照して、本実施形態に係るVRシステム1のシステム構成の例を説明する。VRシステム1は、VR(Virtual Reality)技術による仮想空間をユーザに提供するためのシステムである。
【0014】
VRシステム1では、現実空間または仮想空間におけるユーザの体験を、ネットワーク上の仮想空間でも疑似的に体験することができる。具体的には、VRシステム1では、現実空間または仮想空間におけるユーザの体験を記録したデータ(以下、「記録データ」ともいう)を仮想空間に反映して、仮想空間上でこのユーザの体験を再現(言い換えれば、リプレイ)することができる。現実空間または第1仮想空間における第1ユーザの体験を記録したデータを、「第1記録データ」ともいう。また、現実空間または第2仮想空間における第2ユーザの体験を記録したデータを、「第2記録データ」ともいう。第2記録データは、例えば、第1記録データとは異なるデータであってもよい。この場合でも、第1記録データおよび第2記録データのそれぞれは、例えば、第1ユーザと第2ユーザの両者の体験を記録したデータを含んでもよい。言い換えると、第1記録データには、第1ユーザが体験して、かつ第2ユーザが体験していない記録のデータが含まれており、他方、第2記録データには、このデータは含まれていなくてもよい。
【0015】
記録データは、例えば、ユーザの写真などの静止画像もしくは動画像(以下、単に「画像」ともいう)、または2次元もしくは3次元の画像データ、ユーザの音声などの音声データを含んでもよい。また、記録データは、これらの画像データまたは音声データに付帯する情報(以下、「付帯情報」ともいう)を含んでもよい。付帯情報は、記録データを記録した日時(以下、「記録日時」ともいう)を示す日時情報、および/または記録した位置(以下、「記録位置」ともいう)を示す位置情報を含んでもよい。また、付帯情報は、例えば、画像データの場合、画質に関する情報を含んでもよい。画質に関する情報とは、例えば、画像の色味または明るさなどであってもよい。また、付帯情報は、画像データまたは音声データに付されたコメント(アノテーションを含む)を示すコメント情報を含んでもよい。
【0016】
図1に示すように、VRシステム1は、仮想空間を提供するサーバ装置100と、仮想空間でプレイする第1ユーザが使用する第1ユーザ装置200と、第1ユーザとは異なる仮想空間でプレイする第2ユーザが使用する第2ユーザ装置300と、を含む。サーバ装置100と、第1ユーザ装置200と、第2ユーザ装置300とは、ネットワークNを介して互いに接続されている。なお、第1ユーザ装置200と第2ユーザ装置300とは、特に区別の必要がない場合、総称して「ユーザ装置」ともいう。
【0017】
ネットワークNは、無線ネットワークや有線ネットワークにより構成される。ネットワークNの一例としては、携帯電話網や、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN(Local Area Network、IEEE802.11に準拠する通信(いわゆるWi-Fi(登録商標))を含む)、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、WiMax(登録商標)、赤外線通信、可視光通信、Bluetooth(登録商標)、有線LAN、電話線、電力線通信ネットワーク、IEEE1394等に準拠したネットワークがある。
【0018】
[サーバ装置]
サーバ装置100は、ユーザ装置と外部システム500との通信が可能な情報処理装置である。サーバ装置100は、例えば、VRシステム1を運営する者(以下、単に「運営者」ともいう)が使用する装置である。サーバ装置100は、所定のプログラムを実行することにより、記録データを含む素材データに対するユーザからの編集を受け付け、この編集に基づいて仮想空間を加工し、加工された仮想空間をユーザ装置に出力させる。また、この仮想空間では、複数のユーザによるマルチプレイが可能であってもよく、いわゆるメタバースであってもよい。また、このマルチプレイは、例えば、サーバ装置100を含むクラウド上で実現される仮想空間(例えば、クラウドゲームなど)におけるマルチプレイであってもよい。クラウド上で実現される仮想空間の場合、サーバ装置100は、いわゆるクラウドゲームのように、ストリーミング配信技術により実現してもよい。このような構成によれば、ユーザ装置は、汎用のビューア(例えば、Webブラウザ)を介して、仮想空間を利用することができる。
【0019】
[ユーザ装置]
ユーザ装置は、例えば、スマートフォンまたはラップトップ、ヘッドマウントディスプレイなどの情報処理装置であり、ユーザに仮想空間または記録データのためのメニュー(以下、「編集メニュー」ともいう)を出力したり、出力した編集メニューを介してユーザからの編集を受け付けたり、サーバ装置100との通信を行うことが可能である。
【0020】
ユーザ装置には、例えば、所定のプログラムとして、VRシステム1専用のアプリケーションプログラム(以下、「VRアプリ」という)がインストールされてもよい。VRアプリは、例えば、各ユーザに対してVRシステム1を利用するためのユーザIFを提供するネイティブアプリであってもよい。ユーザ装置は、アプリケーションストアやサーバ装置100などからインストールしてVRアプリを利用する。
【0021】
所定のプログラムは、例えば、VRアプリの他に、Webブラウザ、またはVRシステム1用に提供されたホワイトレーベルを利用して実装されたサードパーティによるアプリなどであってもよい。また、例えば、VRシステム1では、VRアプリとWebブラウザのどちらもユーザIFとして利用できるようにしてもよい。
【0022】
[外部システム]
外部システム500は、いわゆるサードパーティシステムである。外部システム500は、例えば、現実空間または仮想空間の環境に関する情報(以下、「環境情報」ともいう)などの外部情報を提供するシステムであってもよい。外部システム500は、例えば、ユーザの記録データを管理するオンラインストレージサービス、ユーザの記録データが登録されたSNSサービス、またはユーザの記録データが登録されたホームページ・ブログ作成サービスを提供するシステムであってもよい。
【0023】
環境情報は、例えば、現実空間または仮想空間における特定地域および特定時点の周辺環境に関する情報である。この特定時点は、特定の年代などとして幅を持たせてもよい。環境情報は、例えば、特定地点周辺の気象情報、地図情報、周辺の都市を構成するための都市情報(例えば、都市にある工作物、建築物、および/または建造物などに関する情報を含む)、および/またはイベントの開催情報などを含む。
【0024】
環境情報は、例えば、現実空間または仮想空間における特定地域および特定の時代に関する情報を含んでもよい。この時代に関する情報とは、例えば、特定地域および特定の時代における人または風景などを撮影した写真または動画などの画像を含んでもよい。この時代に関する情報は、例えば、特定地域および特定の時代で発生した出来事に関する情報であってもよい。例えば、特定の時代は江戸時代で特定地域は日本橋付近であってもよく、この場合、時代に関する情報は、日本橋に当時あった越後屋呉服店が開店した出来事に関する情報、日本橋を行き交いする商人を撮影した画像、および/または当時の刊行された文芸作品の情報(作品名および作者など)、当時流行ったものに関する情報などのいわゆる当時のTips情報を含んでもよい。越後屋呉服店が開店した出来事に関する情報は、例えば、越後屋呉服店とその周辺を撮影した画像を含んでもよい。
【0025】
<2.概要>
図2~4を参照して、本実施形態に係るVRシステム1の概要を説明する。
【0026】
<2-1.記録データの編集・仮想空間の加工>
図2を参照して、VRシステム1が提供する記録データの編集機能と仮想空間の加工機能の一例を説明する。本例では、記録データを、第1ユーザの体験の記録として現実空間において撮影された写真画像Dとする。また、第1ユーザがログインできる、言い換えれば、第1ユーザが自己のみで使用または他のユーザと共同で使用できる仮想空間を「第1仮想空間」ともいう。より具体的には、第1仮想空間は、第1ユーザが操作権限を有する仮想空間であってもよい。この操作権限は、例えば、記録データを含む素材データ、または仮想空間データに対する作成権限(Create)、閲覧権限(Read)、更新権限(Update)、または削除権限(Delete)であってもよい。また、第2ユーザがログインできて、かつ第1ユーザがログインできない仮想空間を「第2仮想空間」ともいう。すなわち、第2仮想空間は、第2ユーザが自己のみで使用、または第1ユーザとは異なるユーザと共同で使用する空間である。この操作権限は、各ユーザに対して設定部112により設定され、権限情報として記憶部130に記憶させてもよい。
【0027】
(1)
図2に示すように、第1ユーザは、第1ユーザ装置200から、現実空間において2021月7月3日にスカイツリーに行った際に撮影された写真画像Dをサーバ装置100にアップロードする。サーバ装置100は、このアップロードされた写真画像Dを取得する。
【0028】
(2)第1ユーザは、複数の公開先のそれぞれに対して、写真画像Dを編集することができる。この公開先とは、仮想空間の公開範囲を示すものである。例えば、(ア)プライベート用(第1ユーザのアカウントのみ閲覧可能)、(イ)フォロワー・フレンド用(第1ユーザ以外に、第1ユーザのアカウントに対してフォロワー登録またはフレンド登録したユーザのアカウントも閲覧可能)、(ウ)フレンド用(第1ユーザ以外に、第1ユーザのアカウントとフレンド登録されたユーザのアカウントのみ閲覧可能)、(エ)一般用(全てのユーザのアカウントが閲覧可能)などの第1ユーザと他のユーザとの関係に応じて公開先が設定されてもよい。このフォロワー登録とフレンド登録の違いは、例えば、フォロワー登録は第1ユーザの承認なしに他のユーザが一方的に登録することが可能であり、他方、フレンド登録は他のユーザからの登録要求に対して第1ユーザが承認することをもってはじめて登録することが可能であってもよい。本例では、第1ユーザと第2ユーザとの関係として、フレンド登録されているものとする。
【0029】
記録データの編集の態様は、例えば、(A)記録データそのものを編集して上書き保存、または編集後の記録データを編集前とは別の記録データとして新規に生成する。(B)記録データを解析して抽出された仮想空間を実現するためのパラメータを編集する、というような態様が考えられる。この仮想空間を実現するためのパラメータ(以下、「VRパラメータ」ともいう)とは、例えば、仮想空間の3D空間を実現するためのポリゴンデータおよびテクスチャデータ、キャラクターを含むオブジェクトの動作を制御するためのアクションデータなどであってもよい。本例においては、上記(A)では、写真画像Dそのものを編集して写真画像D1を生成する。他方、上記(B)では、写真画像Dを画像解析して抽出されたVRパラメータを編集することとなる。
【0030】
(2a)第1ユーザは、第1ユーザ装置200から、上記(ア)のプライベート用の第1仮想空間に対して、後述する編集・加工メニューを介して写真画像Dを編集する。本例では、写真画像Dに写った第1ユーザ本人をうさぎのキャラクター(いわゆる、アバター)に変更し、飼い犬のキャラクターを追加する編集をしたものとする。(3a)サーバ装置100は、この編集を受け付けて、この編集に基づいてプライベート用の第1仮想空間を加工する。(4a)サーバ装置100は、この加工したプライベート用の第1仮想空間を第1ユーザ装置200に出力させる。
【0031】
(2b)第1ユーザは、第1ユーザ装置200から、上記(イ)のフレンド用の第1仮想空間に対して、編集・加工メニューを介して写真画像Dを編集する。本例では、写真画像Dに対して、写った第1ユーザ本人をうさぎのキャラクターに変更し、傘のオブジェクトを追加し、記録日時を2021年7月3日から2021年6月12日に変更したものとする。(2b’)また、この記録日時の変更に伴い、変更した記録日時の気象情報を外部システム500から取得して反映し、天候を晴天から雨天に変更する。(3b)サーバ装置100は、この編集を受け付けて、この編集した写真画像D2に基づいてフレンド用の第1仮想空間を加工する。(4b)サーバ装置100は、この加工したフレンド用の第1仮想空間を第1ユーザ装置200と第2ユーザの第2ユーザ装置300とに出力させる。
【0032】
上記構成のもと、VRシステム1は、プライベート用とフレンド用のそれぞれの第1仮想空間に対して、記録データをそれぞれ編集し、編集した記録データで加工することができる。このため、VRシステム1では、例えば、プライベート用では写真画像Dの記録日時を編集せずそのままとし、他方、フレンド用ではこの記録日時を編集することができる。したがって、VRシステム1では、ネットワーク上の仮想空間において、現実空間の記録データを利用する際に、複数の公開先のそれぞれに対して公開態様を使い分けることができる。
【0033】
<2-2.編集・加工プロセスの全体像>
図3を参照して、VRシステム1全体が実行する仮想空間の編集および加工プロセスの一例を説明する。本例では、ユーザIFとしてVRアプリを使用するものとする。
【0034】
<ユーザ認証>
(1)
図3に示すように、第1ユーザは、第1ユーザ装置200から、第1仮想空間にログインするために、VRアプリを起動させ、第1ユーザのユーザアカウント(以下、「第1ユーザアカウント」ともいう)に対するユーザ認証を要求する。サーバ装置100は、この要求を受け付けて、ユーザ認証を実行する。ユーザ認証が成功すると、サーバ装置100は、第1ユーザに、第1ユーザアカウントに対して設定されている操作権限に基づいてログインさせる。
【0035】
<同意・権限管理>
(2)第1ユーザは、第1ユーザ装置200から、記録データ(編集前および編集後)並びに第1仮想空間における他のユーザの操作権限に対する同意の設定を要求する。サーバ装置100は、この要求を受け付けて、他のユーザの操作権限に対する同意の設定を行う。設定された同意の内容は、同意情報として記憶部130に記憶させる。
【0036】
<編集・加工メニュー>
(3)サーバ装置100は、第1ユーザの操作権限と第1ユーザアカウントに関連付けて登録されている各種データに基づいて、記録データを編集し仮想空間を加工するための編集・加工メニューを出力させるための出力情報を生成する。第1ユーザアカウントに関連付けて登録されている各種データは、例えば、第1仮想空間を構築するための素材のデータ(以下、「素材データ」ともいう)、外部システム500から提供される外部情報(例えば、環境情報)を含んでもよい。(4)サーバ装置100は、生成した出力情報に基づいて、第1ユーザ装置200のVRアプリに、編集・加工メニューを出力させる。
【0037】
仮想空間を構築するための素材(以下、単位「素材」ともいう)は、例えば、背景に関する素材(画像)、アバターなどのキャラクターに関する素材(画像および音声)、その他のオブジェクトに関する素材などを含む。また、素材データは、例えば、記録データを含んでもよい。第1ユーザが使用可能な素材(以下、「第1素材」ともいう)は、例えば、既存の第1仮想空間を構築している素材、および/またはVRシステム1が有償または無償で提供するその他の素材(汎用的な素材)などを含んでもよい。また、第1素材は、例えば、第2ユーザの記録データおよび/または第2仮想空間を構築している素材などを含んでもよい。
【0038】
<データ編集・加工>
(5)第1ユーザは、第1ユーザ装置200に出力された編集・加工メニューから、複数の公開先(プライベート用・フレンド用)のそれぞれに対して、記録データの登録および編集、並びに編集した記録データによる第1仮想空間の加工を要求する。(6)サーバ装置100は、公開先ごとに、第1ユーザからの要求に基づいて記録データを編集する。(7)サーバ装置100は、編集した記録データに基づいて、公開先ごとの第1仮想空間、すなわち、第1仮想空間を生成するためのデータ(以下、「第1仮想空間データ」ともいう)をそれぞれ加工する。
【0039】
<空間提供>
(8)サーバ装置100は、第1ユーザからの出力の要求と設定された操作権限に応じて、第1ユーザ装置200のVRアプリに、第1仮想空間(プライベート用・フレンド用)を出力させる。第1ユーザは、操作権限に基づいて、第1ユーザ装置200のVRアプリから、この出力された第1仮想空間に対する操作を行う。(9)サーバ装置100は、第2ユーザからの要求と設定された操作権限に応じて、第2ユーザ装置300のVRアプリに、第1仮想空間(フレンド用)または第2仮想空間を出力させる。第2ユーザは、操作権限に基づいて、第2ユーザ装置300のVRアプリから、この出力された第1仮想空間(フレンド用)または第2仮想空間に対する操作を行う。
【0040】
<2-3.編集・加工プロセスにおける処理の流れ>
図4を参照して、VRシステム1全体が実行する仮想空間の編集および加工プロセスにおける処理の一例を説明する。
【0041】
(1)
図4に示すように、第1ユーザは、第1ユーザ装置200から、サーバ装置100に、第1記録データとこの第1記録データに関する同意情報をアップロード、すなわち送信する。サーバ装置100の取得部111は、第1ユーザ装置200から、この送信された第1記録データと同意情報とを取得する。
【0042】
(2)サーバ装置100の取得部111は、取得された第1記録データを、第1仮想空間の第1素材として素材記憶部133に記憶させる。(3)サーバ装置100の設定部112は、取得された同意情報に基づいて、第1ユーザの操作権限および/または第2ユーザを含む他のユーザの操作権限を設定する。
【0043】
(3)第1ユーザは、第1ユーザ装置200から、複数の公開先のそれぞれに対して、第1記録データを含む第1素材の素材データの編集を要求する。サーバ装置100の受付部113は、第1ユーザ装置200から、この編集を受け付ける。サーバ装置100の編集部114aは、上記設定された操作権限の範囲内において、複数の公開先のそれぞれにおいて、この受け付けられた編集を素材データに反映する。なお、編集対象の素材は、既存の第1仮想空間から抽出してもよい。具体的には、編集部114aは、編集対象の素材の素材データを第1仮想空間データから抽出し、この抽出された素材データを、第1ユーザからの編集に基づいて更新させる。
【0044】
(4)第1ユーザは、第1ユーザ装置200から、複数の公開先(自己参照用または他者公開用)のそれぞれに対して、上記編集された素材データを第1仮想空間に反映するための加工を要求する。サーバ装置100の受付部113は、第1ユーザ装置200から、この加工の要求を受け付ける。サーバ装置100の加工部114は、上記設定された操作権限の範囲内において、この要求に基づいて、編集された素材データの少なくとも一部を反映するよう、第1仮想記憶部131が記憶する第1仮想空間データを加工する。
【0045】
(5)サーバ装置100の出力部115は、加工された自己参照用の第1仮想空間データに基づいて、第1ユーザ装置200に、自己参照用の第1仮想空間を出力させる。また、サーバ装置100の出力部115は、加工された他者公開用の第1仮想空間データに基づいて、第1ユーザ装置200と第2ユーザ装置300に、他者公開用の第1仮想空間を出力させる。
【0046】
<3.機能構成>
図5を参照して、本実施形態に係るサーバ装置100の機能構成を説明する。
図5に示すように、サーバ装置100は、制御部110と、通信部120と、記憶部130と、を備える。
【0047】
制御部110は、取得部111と、設定部112と、受付部113と、加工部114と、出力部115と、を備える。また、制御部110は、判定部116を備えてもよい。
【0048】
[取得部]
取得部111は、記憶部130、第1ユーザ装置200または外部システム500(例えば、オンラインストレージシステム)などから、第1記録データを取得する。取得部111は、取得した第1記録データを、仮想空間の素材として素材記憶部133に記憶してもよい。
【0049】
取得部111は、例えば、記憶部130、第2ユーザ装置300または外部システム500などから、第2ユーザの体験を記録した第2記録データを取得してもよい。
【0050】
取得部111は、例えば、記憶部130または外部システム500から、現実空間または第1仮想空間における第1ユーザまたは第2ユーザの体験の記録に関する環境情報を取得してもよい。取得部111は、例えば、記録データの付帯情報に含まれる記録日時および/または記録位置を検索キーとして記憶部130に記憶されている環境情報を検索して、ヒットする環境情報、すなわち記録日時および/または記録位置が検索キーにヒットする環境情報を取得してもよい。この検索キーにヒットするとは、例えば、検索キーの値との部分一致、または検索キーを丸めた値との一致(例えば、分単位の記録日時であれば日単位または時間単位に丸めるなど)することであってもよい。
【0051】
取得部111は、例えば、第1ユーザにより編集された記録日時に対応する環境情報を取得してもよい。このような構成によれば、第1ユーザが希望する日時(例えば、江戸時代などの第1ユーザが存在しない日時も含む)に対応する環境情報を取得して、第1仮想空間データを加工することができる。このため、第1ユーザが現実では体験できない環境を仮想空間に取り入れることができる。また、これにより、公開先を上記(エ)の一般用とするなど仮想空間を広く公開する場合などにおいて、実際の記録日時の機密性を確保することもできる。
【0052】
取得部111は、例えば、第1ユーザにより編集された記録位置に対応する環境情報を取得してもよい。このような構成によれば、第1ユーザが希望する位置(例えば、高級リゾートホテルの敷地内または人が立ち入ることが難しい北極圏または南極圏などの海外)に対応する環境情報を取得して、第1仮想空間データを加工することができる。このため、第1ユーザが現実では体験できない環境を仮想空間に取り入れることができる。また、これにより、公開先を上記(エ)の一般用とするなど仮想空間を広く公開する場合などにおいて、実際の記録日時の機密性を確保することもできる。
【0053】
取得部111は、例えば、複数の公開先のそれぞれに対応する装置(ユーザ装置を含む。以下同じ。)のアクセス環境を示す情報(以下、「アクセス環境情報」ともいう)を取得してもよい。このアクセス環境情報は、例えば、第2ユーザ装置300の第1仮想空間へのアクセス時点の位置情報、または、アクセスした日時を示す日時情報を含んでもよい。
【0054】
取得部111は、例えば、複数の公開先のそれぞれに対応する装置のユーザの行動履歴を示す情報(以下、「行動履歴情報」ともいう)を取得してもよい。この行動履歴情報は、例えば、第2ユーザが行動した履歴として、各行動における、行動した日時、行動した場所、行動に伴う第2ユーザ装置300に対する操作の履歴、行動の内容などを含んでもよい。より具体的には、第2ユーザの行動が1年前の旅行の場合、行動履歴情報は、この旅行における、旅行した期間、旅行した場所、旅行に伴う地図アプリおよび/または旅行サイトに対する操作の履歴、旅行の工程などを含んでもよい。
【0055】
[設定部]
設定部112は、第1ユーザの設定の要求または複数のユーザ共通のパラメータ(例えば、デフォルト値)として、第1仮想空間における複数の公開先を設定する。設定部112は、例えば、第1ユーザの公開先として、上記の(ア)プライベート用、(イ)フォロワー・フレンド用、(ウ)フレンド用、(エ)一般用とする第1ユーザと他のユーザとの関係を設定してもよい。また、他の例として、設定部112は、例えば、第1ユーザの公開先として、第1ユーザが指定した複数のユーザにより構成された任意のグループであってもよい。例えば、設定部112は、新規にユーザアカウントを登録した際には、デフォルトとして上記(エ)の一般用のみを公開先として設定し、その後、第1ユーザの登録の要求に応じて上記(ウ)のフレンド用として登録されたユーザを公開先として増やしてもよい。設定部112は、例えば、第1ユーザの公開先の新規設定にあたって、同意情報と照合して、照合の結果不整合がない場合は設定可能としてもよい。
【0056】
設定部112は、例えば、第1ユーザからの要求を受け付けて、他のユーザの操作権限に対する同意の設定をしてもよい。設定部112は、この設定された同意の内容を、同意情報として記憶部130に記憶させてもよい。また、設定部112は、例えば、ユーザごとに、操作権限を設定してもよい。さらに、設定部112は、例えば、仮想空間ごとに、操作権限を設定してもよい。設定部112は、この設定された操作権限の内容を、権限情報として記憶部130に記憶させてもよい。
【0057】
[受付部]
受付部113は、ユーザ装置または外部システム500から、各種情報または各種要求などを受け付ける。受付部113は、第1ユーザ装置200から、複数の公開先のそれぞれに対して、第1記録データの編集を受け付ける。
【0058】
受付部113は、例えば、第1ユーザ装置200から、複数の公開先のそれぞれの第1仮想空間データの中から、第2記録データの反映先とする第1仮想空間データの選択を受け付けてもよい。
【0059】
第1ユーザの体験が記録された記録日時を示す日時情報を第1記録データが含む場合、受付部113は、例えば、第1ユーザ装置200から、この日時情報の編集を受け付けてもよい。また、第2ユーザの体験が記録された記録日時を示す日時情報を第2記録データが含む場合、受付部113は、例えば、第1ユーザ装置200から、この日時情報の編集を受け付けてもよい。
【0060】
第1ユーザの体験が記録された記録位置を示す位置情報を第1記録データが含む場合、受付部113は、第1ユーザ装置200から、この位置情報の編集を受け付けてもよい。
【0061】
[加工部]
加工部114は、素材記憶部133が記憶する素材データまたは外部システム500から提供される外部情報に基いて、仮想空間データを加工する。
【0062】
加工部114は、第1ユーザにより編集された第1記録データの少なくとも一部に基づいて、複数の公開先のそれぞれの第1仮想空間データを加工する。加工部114は、例えば、第1ユーザにより編集された第1記録データを第1仮想空間に反映するよう、第1仮想空間データを加工してもよい。
【0063】
加工部114は、例えば、第1記録データが画像の場合、人または自動車などの前景の画像と、建造物などの背景の画像とを分離してもよい。加工部114は、この分離した前景の画像を第1仮想空間に反映するよう、第1仮想空間内のオブジェクト(ユーザのアバターなどのキャラクターを含む)の新規作成、該当するオブジェクトのパラメータの更新、または該当するオブジェクトの削除などを行う。加工部114は、例えば、オブジェクトの新規作成と既存オブジェクトの削除とにより、キャラクターの置き換えを行ってもよい。また、加工部114は、この分離した背景情報を第1仮想空間に反映するよう、分離した背景の画像を該当する空間にあてはめてもよい。
【0064】
加工部114は、例えば、記録データを仮想空間に反映する際、記録データに含まれるユーザの個人情報を匿名加工した上で仮想空間に反映してもよい。加工部114は、例えば、個人情報の項目削除もしくはセル削除、個人情報の全部もしくは一部を抽象化、上位概念化もしくは数値による短縮化によって置き換える一般化、トップ(ボトム)コーディング、データ交換、またはノイズ(誤差)の付加などを施すことによって匿名加工してもよい。
【0065】
加工部114は、例えば、既存の第2仮想空間を生成している第2仮想空間データから素材データを抽出してもよい。加工部114は、この抽出された素材データに基いて第1仮想空間を加工してもよい。加工部114は、例えば、第2ユーザの同意情報に基づいて、第2仮想空間データから素材データを抽出してもよい。この第2ユーザの同意情報は、例えば、第1ユーザなどの他のユーザの操作権限に対する第2ユーザの同意の内容を示す情報であってもよい。このような構成によれば、第1ユーザはログインができない第2仮想空間に含まれる素材であっても、第1仮想空間の素材として利用することができる。
【0066】
加工部114は、例えば、取得部111により取得された第2記録データの少なくとも一部に基づいて、第1ユーザにより反映先として選択された第1仮想空間データを加工してもよい。このような構成によれば、第1ユーザの体験を記録したデータではない他のユーザの体験を記録したデータにより第1仮想空間を加工することができる。このため、より多様な種類の加工を仮想空間に対して行うことができる。
【0067】
加工部114は、例えば、取得部111により取得された環境情報にさらに基づいて、第1仮想空間データを加工してもよい。加工部114は、例えば、取得部111により取得された環境情報が記録データの記録日時および記録位置に関する気象情報の場合、この気象情報が示す気象(例えば、晴天または雨天など)を第1仮想空間で再現するように、第1仮想空間データを加工してもよい。また、加工部114は、例えば、環境情報が記録データの記録日時および記録位置で開催されたイベントの開催情報の場合、この開催情報が示すイベント(例えば、ミュージシャンのライブまたは地域のお祭りなど)を第1仮想空間で再現するように、第1仮想空間データを加工してもよい。
【0068】
例えば、記録した媒体がカメラの場合、カメラのフレームにおさまるユーザの体験には制限があり、周辺の環境までは記録しきれないことがある。上記構成によれば、第1ユーザの体験を記録した第1記録データでは記録しきれないような周辺の環境を環境情報により第1仮想空間に再現することができる。このため、よりリアリティのある仮想空間を実現することができる。
【0069】
加工部114は、例えば、編集部114aを備えてもよい。編集部114aは、同意情報および/または権限情報に基づいて、複数の公開先のそれぞれにおいて、受付部113により受け付けられた編集を、素材記憶部133に記憶されている素材データ(記録データを含む)に反映する。
【0070】
[出力部]
出力部115は、ユーザ装置に、各種情報を出力させる。出力部115は、例えば、仮想空間を画面および音声で出力させるための出力情報を生成し、ユーザ装置にこの出力情報を送信してもよい。出力部115は、例えば、サーバ装置100側で仮想空間の画像を描画する場合は、出力情報はこの描画された画像であってもよい。また、出力部115は、ユーザ装置のVRアプリ側で描画する場合は、出力情報はVRアプリで描画するためのオブジェクトなどのVRパラメータであってもよい。出力部115は、複数の公開先のそれぞれに対応する装置に、加工された第1仮想空間を出力させる。
【0071】
上記構成によれば、VRシステム1は、複数の公開先のそれぞれに対して、記録データをそれぞれ編集し、編集した記録データで加工した第1仮想空間を出力させることができる。このため、複数の公開先のそれぞれに合わせて、記録データ(付帯情報も含む)の各データ項目を編集したり編集せずにそのままとしたりすることができる。したがって、ネットワーク上の仮想空間において、現実空間の記録データを利用する際に、複数の公開先のそれぞれに対して公開態様を使い分けられるようにすることができる。
【0072】
[出力部]
出力部115は、ユーザ装置に、記録データを編集し仮想空間を加工するための編集・加工メニューを出力させてもよい。また、出力部115は、同意情報および/または権限情報に基づいて、編集・加工メニューをユーザ装置に出力させてもよい。
【0073】
編集・加工メニューは、編集用のテンプレートを用いた素材データの編集を可能にするものであってもよい。また、編集・加工メニューは、加工用のテンプレートを用いた仮想空間の加工を可能にするものであってもよい。編集・加工メニューは、例えば、VRのトーン(例えば、ゲーム調、モノクロムービー、高画質など)の選択、および/またはVRシステム1が提供するVRプラットフォームとは異なるVRプラットフォームとの連携の指定などを操作できるものであってもよい。この異なるVRプラットフォームとの連携を指定すると、この指定されたVRプラットフォームの仮想空間に対して、VRシステム1が提供するVRプラットフォームと同様に、複数の公開先のそれぞれについて、記録データを編集したり仮想空間を加工したりすることができる。
【0074】
出力部115は、例えば、複数の公開先のそれぞれに対応する装置において、取得部111により取得されたアクセス環境情報に応じて、加工部114により加工された第1仮想空間の出力態様を変更してもよい。出力部115は、例えば、第1仮想空間の公開先の一つである第2ユーザ装置300のアクセス環境が米国の場合、第1仮想空間で出力するテキストおよび音声を、普段使用する言語として予め設定されている日本語から米国で最も使用されている言語(英語)に変更してもよい。出力部115は、例えば、第1仮想空間の公開先の一つである第2ユーザ装置300のアクセス環境が米国の場合、第1仮想空間における昼夜を示すモードを、システム時刻が示す昼夜モードから米国の時間に対応する昼夜モードに切り替えてもよい。
【0075】
上記構成によれば、出力部115は、公開先のユーザが第1仮想空間にアクセスしている際のアクセス環境をふまえた出力を実現することができる。このため、公開先のユーザにとって、自身がアクセスしている環境に適したリアリティのある空間を提供することができる。
【0076】
出力部115は、例えば、複数の公開先のそれぞれに対応する装置に、行動履歴情報に応じて、加工部114により加工された第1仮想空間の出力態様を変更してもよい。出力部115は、例えば、行動履歴が5年前に京都に旅行したことを示し、第1仮想空間上でも第2ユーザのアバターが(仮想の)京都にいる場合、5年前に訪れた場所と同じ仮想空間上の場所にいることを示すメッセージを第2ユーザ装置300のVRアプリに出力させてもよい。
【0077】
上記構成によれば、出力部115は、公開先のユーザの行動履歴をふまえた出力を実現することができる。このため、公開先のユーザにとって、自身の行動の傾向または嗜好に適したリアリティのある空間を提供することができる。
【0078】
[通信部]
通信部120は、ネットワークNを介して、ユーザ装置および/または外部システム500との間で、各種情報を送受信する。
【0079】
[記憶部]
記憶部130は、VRシステム1で処理される同意情報および/または権限情報などの各種情報を記憶する。記憶部130は、例えば、これらの情報を相互に関連付けて記憶してもよい。記憶部130は、データベースマネジメントシステム(DBMS)を利用して各種情報を記憶してもよいし、ファイルシステムを利用して各種情報を記憶してもよい。DBMSを利用する場合は、情報ごとにテーブルを設けて、このテーブル間を関連付けて各種情報を管理してもよい。記憶部130は、例えば、第1仮想記憶部131と、第2仮想記憶部132と、素材記憶部133と、を備えてもよい。
【0080】
第1仮想記憶部131は、第1ユーザの複数の公開先のそれぞれにおける第1仮想空間データを記憶する。第2仮想記憶部132は、第2ユーザの複数の公開先のそれぞれにおける第2仮想空間データを記憶する。素材記憶部133は、記録データを含む素材データを記憶する。
【0081】
<4.動作例>
図6を参照して、サーバ装置100の動作例を説明する。なお、以下に示す処理の順番は一例であって、適宜、変更されてもよい。
【0082】
図6に示すように、サーバ装置100の取得部111は、現実空間または第1仮想空間における第1ユーザの体験を記録した第1記録データを取得する(S10)。設定部112は、第1仮想空間における複数の公開先を設定する(S11)。受付部113は、第1ユーザの第1ユーザ装置200から、複数の公開先のそれぞれに対して、第1記録データの編集を受け付ける(S12)。加工部114は、この編集された第1記録データの少なくとも一部に基づいて、複数の公開先のそれぞれの第1仮想空間データであって第1仮想空間を生成するための第1仮想空間データを加工する(S13)。出力部115は、複数の公開先のそれぞれに対応する装置に、この加工された第1仮想空間を出力させる(S14)。
【0083】
<5.ハードウェア構成>
図7を参照して、上述してきたサーバ装置100をコンピュータ800により実現する場合のハードウェア構成の一例を説明する。なお、それぞれの装置の機能は、複数台の装置に分けて実現することもできる。
【0084】
図7に示すように、コンピュータ800は、プロセッサ801と、メモリ803と、記憶装置805と、入力I/F部807と、データI/F部809と、通信I/F部811、及び表示装置813を含む。
【0085】
プロセッサ801は、メモリ803に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ800における様々な処理を制御する。例えば、サーバ装置100の制御部110が備える各機能部などは、メモリ803に一時記憶されたプログラムを、プロセッサ801が実行することにより実現可能である。
【0086】
メモリ803は、例えばRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体である。メモリ803は、プロセッサ801によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0087】
記憶装置805は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体である。記憶装置805は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。この他、記憶装置805は、記録データ、同意情報、権限情報または出力情報などの各種情報を登録するテーブルと、当該テーブルを管理するDBを記憶することも可能である。このようなプログラムやデータは、必要に応じてメモリ803にロードされることにより、プロセッサ801から参照される。
【0088】
入力I/F部807は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部807の具体例としては、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイスなどが挙げられる。入力I/F部807は、例えばUSB(Universal Serial Bus)などのインタフェースを介してコンピュータ800に接続されても良い。
【0089】
データI/F部809は、コンピュータ800の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部809の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置などがある。データI/F部809は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F部809は、例えばUSBなどのインタフェースを介してコンピュータ800へと接続される。
【0090】
通信I/F部811は、コンピュータ800の外部の装置と有線または無線により、ネットワークNを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部811は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F部811は、例えばUSBなどのインタフェースを介してコンピュータ800に接続される。
【0091】
表示装置813は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置813の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイなどが挙げられる。表示装置813は、コンピュータ800の外部に設けられても良い。その場合、表示装置813は、例えばディスプレイケーブルなどを介してコンピュータ800に接続される。また、入力I/F部807としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置813は、入力I/F部807と一体化して構成することが可能である。
【0092】
なお、上記実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに、当業者であれば、上記に述べる各要素を均などなものに置換した実施の形態を採用することが可能であり、かかる実施の形態も本発明の範囲に含まれる。
【0093】
また、上記実施形態で記載されたサーバ装置が備える構成要素は、記憶装置805に格納されたプログラムがプロセッサ801によって実行されることで、定められた処理が他のハードウェアと協働して実現されるものとする。また、言い換えれば、これらの構成要素は、ソフトウェアまたはファームウェアとしても、それと対応するハードウェアとしても想定され、その双方の概念において、「機能」、「手段」、「部」、「処理回路」、「ユニット」、または「モジュール」などとも記載され、またそれぞれに読み替えることができる。
【0094】
[変形例]
なお、本発明を上記実施形態に基づいて説明してきたが、以下のような場合も本発明に含まれる。
【0095】
[変形例1]
上記実施形態では、クライアントサーバ形式を例に説明したが、本発明に係るVRシステムはこれに限定されない。本発明に係るVRシステムは、例えば、エッジ側のユーザ装置のみで実現するP2P形式(スター型またはフルメッシュ型)を採用してもよい。この場合、サーバ装置100が備える各構成の全部または一部は、ユーザ装置が備えていてもよい。ユーザ装置は、例えば、インストールされたVRアプリを実行することで、サーバ装置100の制御部110が備える各機能部の機能を実現してもよい。
【0096】
[変形例2]
上記実施形態では、説明を容易にするために一つのVRプラットフォームを例に説明したが、本発明に係るVRプラットフォームはこれに限定されない。例えば、本発明に係るVRシステムが連携するVRプラットフォームは複数存在してもよい。第1仮想空間は、連携する複数のVRプラットフォームのそれぞれにおいて生成されてもよい。この場合、第1仮想空間データは、複数のVRプラットフォームのそれぞれについて第1仮想記憶部131に記憶されていてもよい。また、本発明に係る受付部は、記録データの編集について、複数のVRプラットフォームのそれぞれに対して受け付けてもよい。
【0097】
[変形例3]
上記実施形態では、第1仮想空間データを記憶する第1仮想記憶部と、第2仮想空間データを記憶する第2仮想記憶部とをサーバ装置100の記憶部が備える例を示したが、本発明をこれに限る趣旨ではない。例えば、これらの記憶部の少なくとも一部は、外部システム500の装置が備えてもよい。
【0098】
[変形例4]
上記実施形態では示していないが、編集・加工メニューは、ユーザ自身または他のユーザが実施した記録データの編集方法および/または仮想空間の加工の方法(以下、「編集・加工方法」ともいう)を含んでもよい。編集・加工方法は、例えば、記録データの編集または仮想空間の加工の際、ユーザ装置に出力された編集・加工メニューに対して行われたユーザの操作の内容であってもよい。また、編集・加工方法は、例えば、編集・加工の対象、編集・加工に用いる素材、および/または編集・加工の手順などを含んでもよい。
【0099】
編集・加工方法は、例えば、記録データの編集方法の場合、編集の対象として記録データ(例えば、記録データそのものまたは記録データを識別するための情報であってもよい)、編集の対象として記録データの種類(例えば、写真画像または音声ファイルなど)、編集に用いる素材としての画像(例えば、アバターの画像など)、および/または編集の手順(例えば、アバター画像を写真画像に貼り付けるなど)などを含んでもよい。
【0100】
編集・加工方法は、例えば、仮想空間の加工方法の場合、加工の対象の仮想空間データ(例えば、仮想空間データそのものまたは仮想空間データを識別するための情報であってもよい)、加工に用いる素材としての編集済みの記録データ、および/または加工の手順(例えば、仮想空間に記録データを反映させるなど)などを含んでもよい。
【0101】
編集・加工方法は、例えば、編集または加工をユーザが実施した際に自動で記録されてもよい。例えば、第2ユーザが第2記録データを編集した際に、受付部113は、この編集の操作を受け付けて、この受け付けた操作の履歴を示す操作履歴情報を第2ユーザが実施した編集の方法として記憶部130に記録してもよい。次に、出力部115は、操作履歴情報に基づいて、第1ユーザ装置200に、この第2ユーザが実施した編集方法を出力させる。そして、この出力された編集方法を第1ユーザが指定した場合、受付部113がこの指定を受け付けて、この編集方法を用いて第1記録データを編集部114aが編集する。また、この出力された編集方法を指定する際、この編集方法の一部を指定できるようにしてもよい。この場合、編集部114aは、指定された部分の編集方法を用いて、第1記録データを編集してもよい。
【0102】
上記構成によれば、自身または他のユーザが過去に実施した編集・加工方法を用いて、記録データを編集したり、仮想空間を加工したりすることができる。このため、ユーザは、編集・加工方法を一から調べたり一から操作したりする必要がない。よって、ユーザにとって使い勝手のよい、すなわち使用性の高い編集・加工メニューを実現することができる。
【0103】
受付部113は、例えば、ユーザ装置から、他のユーザが実施した編集・加工方法に対するユーザの評価(以下、「ユーザ評価」ともいう)を受け付けてもよい。ユーザ評価は、例えば、編集・加工方法に対する「いいね」もしくは「Like」という好感を示す評価、または「よくないね」もしくは「Dislike」という反感を示す評価であってもよい。出力部115は、ユーザ評価の統計値(例えば、合計値、平均値、または最頻値など)を算出して、この算出した統計値をユーザ装置に出力させてもよい。このような構成によれば、他のユーザに人気がある編集・加工方法、または人気がない編集・加工方法を確認することもできる。
【0104】
[変形例5]
上記実施形態では示していないが、出力部115は、ユーザ装置に、編集・加工メニューにおける各メニューを、ユーザごと、または複数のユーザ共通で、各メニューの使用に関する統計値に応じて優先出力させてもよい。例えば、出力部115は、ユーザごとに、単位期間において使用回数がより多い、すなわち使用頻度がより高いメニューを、編集・加工メニューの画面のより上部に配置させるように出力させてもよい。具体的には、出力部115は、編集・加工メニューの画面において、各メニューを使用頻度で降順にソート表示させてもよい。このような構成によれば、ユーザがよく使うメニューなどを優先的に出力させることが出来る。このため、ユーザにとって使い勝手のよい、すなわち使用性の高い編集・加工メニューを実現することができる。
【0105】
[変形例6]
上記実施形態では示していないが、出力部115は、ユーザ装置に、編集・加工メニューにおける各メニューを、ユーザごと、または複数のユーザ共通で、各メニューに対するユーザ評価に関する統計値に応じて優先出力させてもよい。例えば、出力部115は、複数のユーザ共通で、単位期間において「いいね」と評価された合計回数がより多いメニューを、編集・加工メニューの画面のより上部に配置させるように出力させてもよい。具体的には、出力部115は、編集・加工メニューの画面において、各メニューを使用頻度で降順にソート表示させてもよい。このような構成によれば、ユーザに人気のあるメニューを優先的に出力させることが出来る。このため、ユーザにとって使い勝手のよい、すなわち使用性の高い編集・加工メニューを実現することができる。
【符号の説明】
【0106】
1…VRシステム、100…サーバ装置、110…制御部、111…取得部、112…設定部、113…受付部、114…加工部、115…出力部、120…通信部、130…記憶部、200…第1ユーザ装置、300…第2ユーザ装置、500…外部システム、800…コンピュータ、801…プロセッサ、803…メモリ、805…記憶装置、807…入力I/F部、809…データI/F部、811…通信I/F部、813…表示装置。