(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173106
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】エア供給系統へのエア補充機能を備えた包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 9/213 20120101AFI20241205BHJP
B65B 57/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65B9/213
B65B57/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091261
(22)【出願日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000148162
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108567
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】山本 博久
【テーマコード(参考)】
3E050
【Fターム(参考)】
3E050AB02
3E050CA01
3E050CB03
3E050DC02
3E050DD03
3E050DF03
3E050DF05
3E050FA01
3E050FB01
3E050FC01
3E050GB06
(57)【要約】
【課題】包装動作装置の包装サイクル動作に基づいて生成する圧力エアを利用して、電動モータの消費電力を軽減するとともに、エア供給系統のエアチャンバーのエア補充に用いることで、エア供給系統が負う圧力エア補充負担を軽減する包装機を提供する。
【解決手段】横シール装置の昇降ユニット60のような重量の大きい包装動作装置が電動モータの出力に基づいて包装サイクル動作をするとき、連結ロッド15を介して、ポンプ機構30が当該包装サイクル動作に連係してポンプ動作をして、外気を取り込むとともに昇圧した圧力エアを吐出する。ポンプ機構30における圧力エアによる制動作用と反発作用は所定の包装サイクル動作を助ける働きをするので、駆動モータの消費電力が軽減される。ポンプ機構30から吐出される圧力エアは、エアが消費されたエア供給系統20のエアチャンバー23に補充され、エア供給系統が負う圧力エア補充負担が軽減される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータの出力に基づいて包装物を包装材に収容・封鎖するための包装サイクル動作を行う包装動作装置、
前記包装サイクル動作に付随する包装関連動作を行う一つ又は複数のアクチュエータ、並びに、前記一つ又は複数のアクチュエータを作動させるため、エア圧力源から送られる圧力エアをエアチャンバーに蓄えるとともに当該エアチャンバーから前記一つ又は複数のアクチュエータに作動エアを供給するエア供給系統を備えた包装機において、
前記包装動作装置の前記包装サイクル動作に連係してポンプ動作をするポンプ機構を備えており、
前記ポンプ機構は、前記ポンプ動作において、取り入れた外気を昇圧し、昇圧された当該外気を前記エア供給系統の前記エアチャンバーに補充すること
から成る包装機。
【請求項2】
前記包装動作装置は、前記電動モータの前記出力を変換して回転動作、往復動作又はボックスモーションのような循環動作をし、当該循環動作をする間に前記包装材にシールを施して前記包装物を当該包装材に封鎖する封鎖用シール装置であることから成る請求項1に記載の包装機。
【請求項3】
前記包装機は、
帯状包装材が通される中で当該帯状包装材を略筒状包装材に曲成するフォーマと、
当該略筒状包装材が縦方向に送られる中で当該略筒状包装材を筒状包装材に成形する縦シール装置と、
前記包装物を前記筒状包装材内に投入する包装物供給装置と、
前記筒状包装材が縦方向送られる中で前記筒状包装材に横断方向に横シールを施すことで袋を形成しながら内部に前記包装物が収容された袋包装体を形成する横シール装置
を備えている縦型製袋充填包装機であり、
前記縦シール装置又は前記横シール装置が前記封鎖用シール装置として用いられていること
から成る請求項2に記載の包装機。
【請求項4】
前記ポンプ機構は、前記包装動作装置と連係機構と連係して往復運動を行う作動部材を備えており、当該作動部材の前記往復運動によって容積が変更される容積式ポンプを備えており、
前記容積式ポンプは、前記作動部材としてシリンダ内を往復動するピストンを備えており、前記ピストンによって前記シリンダ内に前記容積を有する出力室が形成されるピストンポンプであり、
前記連係機構は、前記包装動作装置と前記ピストンポンプの前記ピストンとを連係する連係ロッドであること
から成る請求項1に記載の包装機。
【請求項5】
前記ポンプ機構は、前記ピストンポンプと前記エアチャンバーとを接続する接続管、当該接続管に介装されており、前記チャンバーから前記ピストンポンプに向かうエアの流れを遮断する一方で、前記ピストンポンプの前記出力室内のエアが前記チャンバーに送り込むのを許容する第1設定圧力が設定されている第1チェックバルブ、及び前記出力室への外気流入経路に介装されており、前記出力室への外気の流入を遮断する一方で、前記出力室内へ外気が流入するのを許容する第2設定圧力が設定されている第2チェックバルブを備えていることから成る請求項4に記載の包装機。
【請求項6】
前記第2チェックバルブは、前記ピストンに取りつけられており且つ前記シリンダの内壁に対して接離可能な弾性膜を備えた可撓弁であり、
前記可撓弁は、前記出力室の前記容積が縮小する方向に前記ピストンが動作をするときに前記弾性膜が前記シリンダの内壁に当接しつつ摺動することで前記出力室から外気への圧力エアの流出を遮断し、前記出力室の前記容積が拡大する方向に前記ピストンが動作をするときに前記弾性膜が前記シリンダの内壁から離れて移動することで前記出力室内への外気の流入を許容する
ことから成る請求項5に記載の包装機。
【請求項7】
前記エア供給系統は、
前記エア圧力源と前記エアチャンバーとを接続する第1供給管、前記エアチャンバーと前記各アクチュエータとを接続する第2供給管、及び前記第1供給管に配設されたレギュレータを備えており、
前記エア圧力源からの前記圧力エアが前記レギュレータによって前記各アクチュエータのために調圧されて前記エアチャンバーに蓄えられ、前記エアチャンバーに蓄えられた前記圧力エアが前記作動エアとして前記各アクチュエータに供給される
ことから成る請求項5に記載の包装機。
【請求項8】
前記エア供給系統は、
前記エア圧力源と前記エアチャンバーとを接続する第1供給管、前記エアチャンバーと前記各アクチュエータとを接続する第2供給管、及び前記第2供給管に配設されたレギュレータを備えており、
前記エアチャンバーからの前記圧力エアが前記レギュレータによって前記各アクチュエータのために調圧された前記作動エアとして前記各アクチュエータに供給される
ことから成る請求項5に記載の包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、製品を包装材で包装する包装サイクル動作を行う包装機において、当該包装機の各種作動機構のための駆動系として用いられるエアアクチュエータに圧力エアを供給するエア供給系統を備える包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装物である製品を包装材で包装する包装機においては、当該包装機を構成する各種作動装置のための駆動系として各種のアクチュエータが用いられている。例えば、包装機の一例として縦型製袋充填包装機が挙げられるが、当該縦型製袋充填包装機においては、近年、縦シール装置や横シール装置のシール動作というような主たる包装サイクル動作のための駆動系として動作精度や応答性等の制御性の良いサーボモータが多用されている。一方、こうした主たる包装サイクル動作の他に、当該包装サイクル動作に付随して、例えば包装材の折込み動作、袋内での製品のしごき動作、或いは製品の移動を規制するシャッタ動作等の付随動作のための駆動系については小型であって調達コストや運転コストが安い流体アクチュエータが用いられることが多い。流体アクチュエータとしては、包装機とその周囲を汚さないためにも、圧力エアを駆動流体とするエアアクチュエータが用いられており、複数のエアアクチュエータを駆動するため、共通のエアチャンバーからエア供給管を通じて各エアアクチュエータに圧力エアを分配供給するエア供給系統が備わっている。こうしたエア供給系統においては、包装機の包装サイクル動作に連係して当該分配エアのエアアクチュエータへの給排気を電磁弁で制御することにより、包装機の付随動作のためのエアアクチュエータを、簡単な構造で簡便且つ精度良く制御することを可能にしている。
【0003】
縦型製袋充填包装機は、包装材から袋を形成しながら製品を包装する包装機であり、その一例が斜視図である
図5に概略的に示されている。
図5に示す縦型製袋充填包装機(以下、
図5に関しては、「包装機」と略す。)40は、縦シール装置45と横シール装置46が共にボックスモーション動作をして、帯状包装材Fwから製作される袋Bに製品Sを充填・収容して包装する連続動作型の製袋充填包装機の一般的な例である。包装機40の背後に配設されている包装材供給部(ここでの図示及び詳細な説明を省略する。)は、帯状包装材Fwを包装材ロールから繰り出して包装機40に供給する。包装機40は、その他の基本的な構造として、フォーマ(製筒器)41、製袋充填筒(以下、「充填筒」と略す。)42、ホッパ43及び包装材送り装置44を備えている。
【0004】
包装機40においては、帯状包装材Fwは、フォーマ41によって、帯状包装材Fwの両側端縁部分fe,feが合掌状に重ね合わされる状態にまで充填筒42の周囲を取り巻いた略筒状に曲成される。帯状包装材Fwは、充填筒42の周囲を縦方向(包装材の送り方向)に送られる中で縦シール装置45によって筒状包装材Ftに成形される。充填筒42は、フォーマ41内を縦に貫通する態様で連なった製筒ユニットとしてユニット化されている。計量機から排出された計量済の製品Sが、袋Bの製作に合わせたタイミングでホッパ43に投入され、更にホッパ43に連なって配設されている充填筒42を通して筒状包装材Ft内に投入される。ガイドローラ49は、帯状包装材Fwをフォーマ41に送り込む角度等を調整するためのローラである。
【0005】
充填筒42の左右両側には、略筒状に曲成された帯状包装材Fw又は筒状包装材Ftを充填筒42の外周面に沿って縦方向に送る包装材送り装置44が配設されている。包装材送り装置44は、左右対称の対となる構造・配置を有しており且つ左右同期して作動する送りベルトユニット44a,44bから成っており、送りベルトユニット44a,44bは、それぞれ、ローラの回りに巻き掛けられて駆動・案内され且つ列状に吸引孔が並んで形成された送りベルト54a,54bと、略筒状に曲成された帯状包装材Fw又は筒状包装材Ftを、当該吸引口を通じて吸引する吸引ボックス55(一方のみを示す)を備えている。吸引ボックス55の負圧が送りベルト54a,54bに形成されている吸引孔を通して包装材を吸引して送りベルト54a,54bに吸い寄せ、包装材は左右において送りベルト54a,54bに吸引されつつ縦方向に搬送される。
【0006】
充填筒42の前方には、縦シール装置45が縦方向に延びる態様で配設されている。縦シール装置45は、シール面が互いに対向する態様で縦に並設されており且つ図示しない駆動装置によって互いに接近・離間するように開閉動作される一対の縦シールブロック45a,45bを備えている。縦シール装置45は、側端縁部分fe,feを挟み込む左右方向に接近する閉じ動作行程、側端縁部分fe,feを挟み込んでヒートシールを施しながら充填筒42の縦方向下方に移動するヒートシール動作行程、ヒートシールが施された側端縁部分fe,feから互いに離れる方向に移動する離間動作行程、及び縦方向上方に移動する戻り動作行程とからなるボックスモーション動作をする。略筒状に曲成された帯状包装材Fwは、包装材送り装置44によって停止することなく連続送りされる間に、縦シール装置45によって縦シール(センターシール)Scが施されて、筒状包装材Ftに形成される。
【0007】
包装機40において、充填筒3の下方には横シール装置46が配設されている。横シール装置46は、シール面が互いに対向する横置きの態様で並設されており且つ駆動装置によって互いに同期して接近・離間するように開閉動作される一対のバー状の横シールブロック46a,46bを備えている。各横シールブロック46a,46bは、袋Bのための底側の横シール(横シールSeの一部)を形成する上側の横シーラ部と、袋包装体Bpの天側の横シール(横シールSeの残部)を形成する下側の横シーラ部とを有する。横シール装置46は、筒状包装材Ftを挟み込む前後方向に接近する閉じ動作行程、筒状包装材Ftを挟み込んでヒートシールを施しながら縦方向下方に移動しつつヒートシール動作行程、筒状包装材Ftからその前後に離れる方向に移動する離間動作行程、及び縦方向上方に移動する戻り動作行程とからなるボックスモーション動作をする。筒状包装材Ftは、包装材送り装置44によって停止することなく連続送りされる間に、横シール装置46によって横シール(エンドシール)Seが施される。
【0008】
横シール装置46は、更に筒状包装材Ftを突き破る形態で切断するカッタ刃47を備えた横シール・カット装置として構成されている。カッタ刃47は、一方の横シールブロック46aに上下の両横シーラ部間において出没自在に取り付けられており、他方の横シールブロック46bには、両シールブロック46a,46bが相互に接近したときに突き出されたカッタ刃47が入り込み可能な溝48が形成されている。両シールブロック46a,46bが接近して筒状包装材Ftを挟み込むときに、筒状包装材Ftに横シールSeが形成されるが、それと同時にカッタ刃47が横シールSeの中間位置で溝48内に入り込むことでカッタ刃47は筒状包装材Ftを突き切って切断する。
【0009】
ホッパ13を通して充填筒3内に投入された製品Sは、筒状包装材Ftの底部、即ち、袋Bに充填される。横シール装置46が筒状包装材Ftに横シールSeを施すことによって、先行して形成され且つ内部に製品Sが包装された袋包装体Bpが製造される(袋Bの袋口が当該横シールSeによって封じられる)と同時に、当該横シールSeによって筒状包装材Ftの先端(下端)に袋底として封じられ且つ次に製品Sが投入・充填されるべき後続の袋Bが形成される。袋包装体Bpは、カッタ刃47の切断作用によって、筒状包装材Ftの下端部(製作中の袋B)から切り出される。縦シール装置45と横シール装置46の両ボックスモーション動作は、包装機の包装サイクル毎に同期しており、包装運転中、繰り返して動作する。袋Bの製作、製品Sの袋B内への充填及び袋Bの封鎖から成る包装サイクル動作を繰り返すことで、帯状包装材Fw及び筒状包装材Ftが停止することなく連続送りされる間に、袋包装体Bpが高速で且つ連続して製造される。
【0010】
この種の縦型製袋充填包装機は、縦シール装置と横シール装置としてボックスモーション動作しない装置を採用し、包装運転中、包装材が間欠的に停止する間欠動作式の包装機として構成されることもある。しかしながら、包装速度(単位時間当たりに袋包装体を製造する速度)を向上するためには、図示のように、帯状包装材Fw及び筒状包装材Ftを間欠的に停止させることなく連続的に送り、包装材が連続送りされる中で縦シール装置45及び横シール装置46が共にボックスモーション動作をして帯状包装材Fw又は筒状包装材Ftに縦シールSc又は横シールSeを施す連続作動式の包装機が用いられる。
【0011】
出願人は、縦型製袋充填包装機において、サーボモータによって2軸方向(縦方向と前後方向)それぞれにする往復運動を合成することによってボックスモーション動作をするように構成した横シール装置の例を開示している(特許文献1参照)。
図6は、ボックスモーション動作をする当該横シール装置の一例であって、
図5に示す包装機に備えることができる横シール装置を示す斜視図である。
図6に示す横シール装置については、
図5に用いたのと同じ符号を用いることができるものについては再度の詳細な説明を省略する。
図6に示す横シール装置46は、横シール装置46を昇降させるための昇降ユニット60と、昇降ユニット60上に配設されており横シールブロック46a,46bを左右に開閉させるための開閉ユニット70を有している。開閉ユニット70は、昇降ユニット60の昇降動作によって昇降しながら、横シールブロック46a,46bを前後に開閉する。
【0012】
昇降ユニット60は、装置フレーム61に対して昇降メインブロック62を昇降動作させるためのユニットである。昇降メインブロック62は、左右に対称に配置された左側昇降ブロック62a及び右側昇降ブロック62bと、これら左右の昇降ブロック62a,62bを連結する連結部材62cを有していて、平面略コ字状の構造を形成している。昇降メインブロック62は、装置フレーム61に対して縦方向に且つ互いに平行に延びる態様で取り付けられた二本の昇降用のガイドロッド63,64に沿った方向のみスライド動作可能である。昇降ユニット60は、昇降駆動用サーボモータ65と、その回転出力軸66と昇降メインブロック62(具体的には左側昇降ブロック62a)との間に配設されており回転を直線往復運動に変換する昇降用リンク機構67を有している。昇降駆動用サーボモータ65は、ガイドロッド63,64の上端に取り付けられているモータ取付け板68に設定されており、回転出力軸66はモータ取付け板68に設けられているブラケット69に支えられている。昇降ユニット60においては、昇降駆動用サーボモータ65が駆動されるとき、回転出力軸66は「a」又は「b」の方向に回転し、昇降メインブロック62は、この回転方向に応じて、昇降用リンク機構67によるリンク作用によってガイドロッド63,64に沿うように昇降動作をする。
【0013】
横シール装置6の開閉ユニット70は、昇降ユニット60の昇降メインブロック62に関連して設けられているユニットであって、横シール装置6の横シールブロック46a,46bを開閉させて横シール動作を行わせるためのユニットである。開閉ユニット70は、昇降メインブロック62の連結部材62cに取り付けられた開閉駆動用サーボモータ71と、昇降メインブロック62の左右両側の昇降ブロック62a,62bの前後両端において左右内側に延びるアーム部62d,62d;62e,62eに対して前後方向(ガイドロッド63,64が延びる方向に対して直交し、且つ横シールブロック46a,46bの開閉方向と平行な方向)にスライド可能であり且つ互いに平行に延びる前後開閉用のガイドロッド73,74と、横ヒートシーラ6a,6bがそれぞれ取り付けられている前後各側の取付けブロック75,76と、開閉駆動用サーボモータ71の回転出力軸78と前後各側の取付けブロック75,76との間にリンク作用を及ぼすように配設されており回転を直線往復運動に変換するための開閉用リンク機構79を有している。
【0014】
ガイドロッド73,74の前方端は前側の取付けブロック75に取り付けられていて、後方端は最も後方に配設されている中間ブロック77に取り付けられており、これによって前側の取付けブロック75と中間ブロック77を連結している。開閉用リンク機構79は、一方では後側の取付けブロック76に直接的に連係されており、他方では、中間ブロック77からガイドロッド73,74を介して前側の取付けブロック75に間接的に連係されている。ガイドロッド73,74は、後側の取付けブロック76に対してスライドスリーブ80,80を介してスライド可能に嵌合している。
【0015】
上記のように構成されている開閉ユニット70においては、開閉駆動用サーボモータ71が駆動されると回転出力軸78が「c」又は「d」の方向に回転し、開閉用リンク機構79のリンク作用によって直接に駆動される後側の取付けブロック76は、この回転方向に応じて、ガイドロッド73,74に沿って移動して後側の横シールブロック46bを前後方向に動作させる。また、開閉用リンク機構79のリンク作用によって中間ブロック77を駆動すると、中間ブロック77はガイドロッド73,74を介して前側の取付けブロック75を前後方向に動作させる。前後各側の取付けブロック75,76の動作方向は互いに逆であるので、回転出力軸58の出力回転方向に応じて横シールブロック46a,46bが前後方向に開動作又は閉動作される。横シールブロック46a,46bが閉じ方向の死点に近づくと、横シールブロック46a,46bは開閉用リンク機構79のトグル作用によって筒状包装材Ftを強く挟み込み、横シールSeを形成する。
【0016】
包装機40の制御装置が、昇降駆動用サーボモータ65と開閉駆動用サーボモータ71の動作をそれぞれ制御することで昇降ユニット60と開閉ユニット70の動作タイミングと動作量が制御される。昇降ユニット60の昇降動作によって横シールブロック46a,46bのボックスモーションのうちの上下移動動作が生じ、開閉ユニット70の開閉動作によって横シールブロック46a,46bのボックスモーションのうちの前後移動動作が生じる。これらの昇降動作と開閉動作が合成されて、横シール装置46の横シールブロック46a,46bは、閉じ方向に移動して筒状包装材Ftに当接し、筒状包装材Ftを挟み込みながら下降することで横シールSeを形成し、その後、横シールブロック46a,46bが開き方向に移動し、更に上昇方向に移動して、また元の位置に戻るというボックスモーション動作をする。サーボモータ65,71の回転を往復動作に変換する手段として、リンク機構67,79を説明したが、ピニオンラック機構やカム機構のような別の機構を用いても実施することが可能である。
【0017】
縦型製袋充填包装機のような包装機においては、上記したように、包装物である製品を包装材に次々に収容・封鎖して袋包装体を製造するときに、包装サイクル動作に従ってシール装置が包装材に対して繰り返してヒートシールを施す。横シール装置のような包装動作装置は、ヒータを内蔵するなど多くの部品からなるとともに、横シール動作時に求められる強度の観点から軽量化が困難であるので、結果的に大きな重量になっている。横シール装置は、サーボモータのような強力な駆動源によって往復駆動され、横シール動作時には大きな押圧力によって安定して筒状包装材を挟み込むことで確実なシールを施す。
【0018】
横シール装置46の昇降ユニット60は、強度確保上の必要から、或いは開閉ユニット70を搭載していることにも起因して大きな重量を持つ構造となっている。昇降ユニット60がボックスモーション動作の中での降下動作をする際には、その重量に起因して落下しようとする勢いが当該ボックスモーション動作で定まる降下動作に勝っている。そこで、昇降ユニット60の落下運動にブレーキを掛けるように昇降駆動用サーボモータ65の制御を行うことで、実際の降下動作がボックスモーション動作で設定される降下動作となるようにしている。このときの昇降駆動用サーボモータ65に生じる回生電力は電力量が充分ではない等、利用には不向きであるため、現状では単に捨てられている。また、昇降ユニット60がボックスモーション動作の中での上昇動作をする際には、昇降駆動用サーボモータ65が重量の大きな昇降ユニット60を重力に打ち勝って上昇するように駆動する必要がある。更に、昇降ユニット60が上昇から下降に、或いは下降から上昇に転じる等の際に、昇降停滞する待機期間がある場合には、当該待機期間の間、重量のある昇降ユニット60が自由落下を始めないように、昇降駆動用サーボモータ65に電流を供給し続ける必要もある。したがって、昇降駆動用サーボモータ65には相応の電力が消費され続けており、縦型製袋充填包装機40の運転コストの上昇原因の一つとなっている。
【0019】
一方、包装機には、その包装サイクル動作に付随する動作のための駆動系としてのエアアクチュエータを駆動するため、エア圧力源としてのコンプレッサーで生成された一次エア(高圧エア)をエアチャンバーに引き込み、エアチャンバーから送り出されるエアを更にレギュレータで減圧するなどしてエアアクチュエータに供給して駆動するエア供給系統が備わっている。エアアクチュエータが駆動の戻り方向にある場合には、シリンダに供給されたエアは大気中に排出されており、圧力エアは常に消費される一方となっている。シリンダからの排出エアを単に集めるだけでは再利用可能な充分高い圧力のエアとして集めるには至らず、現実的ではない。したがって、現状、エアアクチュエータのシリンダ内の圧力エアを再利用しようとする策は採られておらず、コンプレッサーを常に稼働させるなどして側からエアチャンバーへの高圧エアの補充が絶えず必要となっており、その結果、エア供給系統においてエア圧力源側の負担が大きくなっている、という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
そこで、包装サイクル動作を行う包装動作装置と、その包装サイクル動作に付随する包装関連動作を行うエアアクチュエータのためのエア供給系統を備える包装機において、包装動作装置が包装サイクル動作の際に生じる慣性動作に基づいて圧力エアを得て、当該圧力エアを利用することで包装サイクル動作に要する駆動モータの消費電力を軽減するとともに、その圧力エアをエア供給系統に備わるエアチャンバーのエア補充に用いる点で解決すべき課題がある。
【0022】
この発明の目的は、上記課題を解決することであり、包装機において包装動作装置が包装サイクル動作を繰り返して行うときの慣性動作に基づいて圧力エアを得て、当該圧力エアを利用することで包装サイクル動作に要する駆動モータの消費電力を軽減するとともに、その圧力エアをエア供給系統に備わるエアチャンバーのエア補充に用いることで、外部コンプレッサーのようなエア圧力源によるエアチャンバーへのエア補充量を抑え、エア圧力源が負うエア補充負担を軽減することができる包装機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記の課題を解決するため、この発明による包装機は、
電動モータの出力に基づいて包装物を包装材に収容・封鎖するための包装サイクル動作を行う包装動作装置、
前記包装サイクル動作に付随する包装関連動作を行う一つ又は複数のアクチュエータ、並びに、前記一つ又は複数のアクチュエータを作動させるため、エア圧力源から送られる圧力エアをエアチャンバーに蓄えるとともに当該エアチャンバーから前記一つ又は複数のアクチュエータに作動エアを供給するエア供給系統を備えた包装機において、
前記包装動作装置の前記包装サイクル動作に連係してポンプ動作をするポンプ機構を備えており、
前記ポンプ機構は、前記ポンプ動作において、取り入れた外気を昇圧し、昇圧された当該外気を前記エア供給系統の前記エアチャンバーに補充すること
から成っている。
【0024】
この包装機によれば、包装動作装置が電動モータの出力に基づいて包装物を包装材に収容・封鎖するための包装サイクル動作を行う。エア供給系統においては、例えばコンプレッサーのようなエア圧力源から供給される圧力エアがエアチャンバーに蓄えられ、エアチャンバーに蓄圧されている圧力エアが作動エアとして一つ又は複数のエア作動式のアクチュエータに供給される。作動エアの供給を受けてアクチュエータが作動することで、包装動作機構の包装サイクル動作に付随する包装関連動作が行われ、包装関連動作を行う毎にエアチャンバー内の圧力エアは消費される。エアチャンバーは、基本的には、エア圧力源から圧力エアの供給を受けるが、ポンプ機構が包装サイクル動作に連係してポンプ動作をするときに、ポンプ機構に取り入れられた外気が昇圧されたエアも圧力エアとして補充される。
包装動作装置は、相応の重量を備えている装置が電動モータの出力に基づいて包装サイクル動作を行うので、通常の運転状態では当該包装サイクル動作を継続的に且つ安定的に繰り返す。ポンプ機構は、包装動作装置のこのような包装サイクル動作に連係しており、この連係を介して包装動作装置から動力を得てポンプ動作をするので、外気の吸込みと吸い込んだ外気を昇圧して得られた圧力エアの吐出というポンプ動作をムラ無く且つ安定的に行う。包装動作装置の所定の包装サイクル動作に対して、ポンプ機構がポンプ作用の圧縮行程で圧力エアを生成するときには、圧力エアのエア圧は当該動作に制動作用として働き、ポンプ作用の圧縮行程後の外気取込み行程の初期では圧力エアのエア圧による反発作用によって、包装サイクル動作を助ける働きをするので、包装動作装置を所定の包装サイクル動作で作動させるのに要する電動モータの消費電力が軽減される。
【0025】
この包装機において、前記包装動作装置は、前記電動モータの前記出力を変換して回転動作、往復動作又はボックスモーションのような循環動作をし、当該循環動作をする間に前記包装材にシールを施して前記包装物を当該包装材に封鎖する封鎖用シール装置であるとすることができる。
包装動作装置は、電動モータの出力を変換して回転動作、往復動作又はボックスモーションのような循環動作をする間に、包装材に押し当てられて包装材を溶着してシールをするシールブロックを備えるヒートシール装置のような、封鎖用シール装置とすることができる。ヒートシール装置のシールブロックは、ヒータを内蔵している構造等に起因して高い強度を必要としているものであり、その強度を確保するために結果的に重量が大きい構造となっている。重量が大きいことで、シール動作時に包装材にバラツキなく安定し且つ確実なシールを施すことも可能となっている。電動モータが封鎖用シール装置を駆動するとき、封鎖用シール装置は包装サイクル動作としてのシール動作を大きな慣性により安定して繰り返すので、ポンプ機構によるポンプ動作はムラの無いスムーズな動作となり、滑らかなポンプ作用が得られる。
【0026】
この包装機は、
帯状包装材が通される中で当該帯状包装材を略筒状包装材に曲成するフォーマと、
当該略筒状包装材が縦方向に送られる中で当該略筒状包装材を筒状包装材に成形する縦シール装置と、
前記包装物を前記筒状包装材内に投入する包装物供給装置と、
前記筒状包装材が縦方向送られる中で前記筒状包装材に横断方向に横シールを施すことで袋を形成しながら内部に前記包装物が収容された袋包装体を形成する横シール装置
を備えている縦型製袋充填包装機であり、
前記縦シール装置又は前記横シール装置を前記封鎖用シール装置として用いることができる。
この包装機によれば、縦型製袋充填包装機の縦シール装置又は横シール装置は、通常、重量の大きいヒートシール装置のような封鎖用シール装置であるので、循環動作をする中で大きな慣性により縦方向に運動エネルギーと位置エネルギーとを交換するような態様で安定した動作をし、ポンプ機構のポンプ動作はムラの無いスムーズな動作をし、したがって、ポンプ機構は滑らかなポンプ作用をして外気を昇圧させた圧力エアを安定して出力する。
特に、縦型製袋充填包装機が、包装材が縦方向に停止することなく連続供給される中で縦シール又は横シールが施される連続作動式の包装機である場合、ポンプ機構は、連続する循環動作をする縦シール装置又は横シール装置が持つ縦方向(重力作用方向)の大きな慣性動作を利用して効率のよいポンプ作用をすることができる。
【0027】
この包装機において、
前記ポンプ機構は、前記包装動作装置と連係機構と連係して往復運動を行う作動部材を備えており、当該作動部材の前記往復運動によって容積が変更される容積式ポンプを備えており、
前記容積式ポンプは、前記作動部材としてシリンダ内を往復動するピストンを備えており、前記ピストンによって前記シリンダ内に前記容積を有する出力室が形成されるピストンポンプであり、
前記連係機構は、前記包装動作装置と前記ピストンポンプの前記ピストンとを連係する連係ロッドであるとすることができる。
容積式ポンプとしては、一定空間容積にある流体を作動部材の往復運動又は回転運動にて容積変化させ流体にエネルギーを与える機械であり、その分類として、例えば往復ポンプと回転ポンプがある。往復ポンプとしては、ピストンの往復動により流体の吸込み・吐出し作用を行うピストンポンプがある。ピストンポンプは回転ポンプに比べて構造が比較的簡便である。この包装機においては、包装動作装置の動作は連係ロッドを介してピストンの往復動作として伝達される。
【0028】
この包装機において、
前記ポンプ機構は、前記ピストンポンプと前記エアチャンバーとを接続する接続管、当該接続管に介装されており、前記チャンバーから前記ピストンポンプに向かうエアの流れを遮断する一方で、前記ピストンポンプの前記出力室内のエアが前記チャンバーに送り込むのを許容する第1設定圧力が設定されている第1チェックバルブ、及び前記出力室への外気流入経路に介装されており、前記出力室への外気の流入を遮断する一方で、前記出力室内へ外気が流入するのを許容する第2設定圧力が設定されている第2チェックバルブを備えているとすることができる。
この包装機によれば、ポンプ機構においては、包装動作装置の一回又は複数回の包装サイクル動作に基づいてピストンポンプの出力室内のエア圧が第2設定圧力を下回ることによって、出力室への外気流入経路に介装されている第2チェックバルブを通じて外気が当該出力室内に流入する。そして、包装動作装置の一回又は複数回の包装サイクル動作に基づいてピストンポンプの出力室内のエア圧が第1設定圧力を上回ることによって、第1チェックバルブを通じて当該出力室内の圧力エアがチャンバーに送られて、チャンバー内に圧力エアとして補充される。
【0029】
この包装機において、
前記第2チェックバルブは、前記ピストンに取りつけられており且つ前記シリンダの内壁に対して接離可能な弾性膜を備えた可撓弁であり、
前記可撓弁は、前記出力室の前記容積が縮小する方向に前記ピストンが動作をするときに前記弾性膜が前記シリンダの内壁に当接しつつ摺動することで前記出力室から外気への圧力エアの流出を遮断し、前記出力室の前記容積が拡大する方向に前記ピストンが動作をするときに前記弾性膜が前記シリンダの内壁から離れて移動することで前記出力室内への外気の流入を許容する
とすることができる。
この包装機によれば、第2チェックバルブは、ピストンに取りつけられており且つシリンダの内壁に対して接離可能な弾性膜を備えた可撓弁であるので、シリンダ内に第2チェックバルブを配置することで、ポンプ機構とその周りの構造を簡素に構成することができる。可撓弁は、出力室の容積が縮小・拡大する方向にピストンが動作をするときに応じて、弾性膜が前記シリンダの内壁に当接しつつ摺動又は内壁から離れて移動することで、可撓弁が閉じる又は開く動作をして、出力室からの圧力エアの流出を遮断又は出力室への外気の流入を許容する。
【0030】
前記ポンプ機構が第1チェックバルブ及び第2チェックバルブを備えている包装機において、
前記エア供給系統は、
前記エア圧力源と前記エアチャンバーとを接続する第1供給管、前記エアチャンバーと前記各アクチュエータとを接続する第2供給管、及び前記第1供給管に配設されたレギュレータを備えており、
前記エア圧力源からの前記圧力エアが前記レギュレータによって前記各アクチュエータのために調圧されて前記エアチャンバーに蓄えられ、前記エアチャンバーに蓄えられた前記圧力エアが前記作動エアとして前記各アクチュエータに供給される
とすることができる。
この包装機によれば、エア圧力源からの圧力エアは第1供給管を通じてエアチャンバーに供給されるが、当該圧力エアは、第1供給管に配設されたレギュレータにより各アクチュエータのために調圧されたエアとしてエアチャンバーに蓄えられる。エアチャンバー内の当該圧力エアは第2供給管を通じてそのままの圧力にて作動エアとして各アクチュエータに供給される。
【0031】
前記ポンプ機構が第1チェックバルブ及び第2チェックバルブを備えている包装機において、
前記エア供給系統は、
前記エア圧力源と前記エアチャンバーとを接続する第1供給管、前記エアチャンバーと前記各アクチュエータとを接続する第2供給管、及び前記第2供給管に配設されたレギュレータを備えており、
前記エアチャンバーからの前記圧力エアが前記レギュレータによって前記各アクチュエータのために調圧された前記作動エアとして前記各アクチュエータに供給される
とすることができる。
この包装機によれば、エア圧力源からの圧力エアは第1供給管を通じてエアチャンバーに供給される。エアチャンバーに蓄えられた圧力エアは第2供給管を通じて前記各アクチュエータに供給されるが、第2供給管に配設されたレギュレータにより各アクチュエータのために調圧された作動エアとして、各アクチュエータに供給される。
【発明の効果】
【0032】
この発明による包装機は上記のように構成されているので、包装動作装置が電動モータの出力に基づいて包装物を包装材に収容・封鎖するための包装サイクル動作を行うとき、エアチャンバー内の圧力エアが作動エアとして一つ又は複数のアクチュエータに供給される。アクチュエータが作動することで、包装動作装置の包装サイクル動作に付随する包装関連動作が行われる。包装動作装置は、電動モータの出力に基づいて通常行う包装サイクル動作をするときには、当該包装サイクル動作を継続的に且つ安定的に繰り返す。ポンプ機構は、包装動作装置の包装サイクル動作に連係しており、この連係を介して包装動作装置から動力を得てポンプ動作をするので、外気の取込みと取り込んだ外気を昇圧して得られた圧力エアの吐出というポンプ動作はムラ無く且つ安定的に行われる。包装動作装置の所定の包装サイクル動作に対して、ポンプ機構がポンプ作用の圧縮行程で圧力エアを生成するときには、圧力エアのエア圧は当該動作に制動作用として働き、ポンプ作用の圧縮行程後の外気取込み行程の初期では圧力エアのエア圧による反発作用によって、包装サイクル動作を助ける働きをするので、包装動作装置を所定の包装サイクル動作で作動させるのに要する電動モータの消費電力が軽減される。
エア供給系統においては、エア圧力源から供給される圧力エアがエアチャンバーに蓄えられ、エアチャンバーは、基本的には、エア圧力源から圧力エアの供給を受けるが、ポンプ機構が包装サイクル動作に連係してポンプ動作をするときに、ポンプ機構に取り入れられた外気が昇圧されて吐出される圧力エアもエアチャンバーに補充される。
相応の重量を備えた包装動作装置がする包装サイクル動作に連係して得られた圧力エアがエア供給系統のエアチャンバーに供給されるので、エア供給源からエアチャンバーへの高圧エアの補充量が抑えられ、エア供給源の負担、即ち、外部コンプレッサーの運転負担を軽減することができる包装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、この発明による包装機の一実施例を示す概略図であり、エア供給系統に備わるポンプ機構においてピストンポンプが外気を取り込む吸込み行程にある状態を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す包装機において、ピストンポンプが圧力エアをエアチャンバーに送り込む吐出行程にある状態を示す図である。
【
図3】
図3は、
図1、
図2に示す包装機において、ピストンポンプの出力室内におけるエア圧力推移の例を示すグラフである。
【
図4】
図4は、この発明による包装機の別の実施例を示す概略図である。
【
図5】
図5は、従来の縦型製袋充填包装機の一例を概略的に示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図4に示す縦型製袋充填包装機の横シール装置の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付した図面に基づいて、この発明による包装機の実施例を説明する。
図1、
図2はこの発明による包装機として縦型製袋充填包装機を例に採った一実施例を示す概略図である。
図1に示す実施例においては、ポンプ機構の一例としてピストンポンプを用いている。
図1は、ピストンポンプがその出力室に外気を取り込んでいる吸込み行程にある状態を示しており、
図2は当該ピストンポンプがその出力室から出力エアをエアチャンバーに送り込む吐出行程にある状態を示している。
図3は、横シール装置の包装サイクル動作に伴って、
図1、
図2に示すピストンポンプの出力室内において変動するエア圧力の圧力推移の一例を示すグラフである。
【0035】
この発明による包装機として用いることができる縦型製袋充填包装機の主要な構成(フォーマ、充填筒、包装材供給装置、縦シール装置、横シール装置、包装材供給装置等を含む主要な構造)については、
図5に示した従来周知の縦型製袋充填包装機と同様である。したがって、
図1に示す縦型製袋充填包装機の横シール装置は、
図6に示した横シール装置と同等の構成を備えており、横シール装置の構成要素には
図6で用いた符号と同じ符号を用いることで、ここでの横シール装置についての再度の詳細な説明を省略する。
【0036】
図1、
図2に示すように、この実施例において、電動モータの出力に基づいて包装物を包装材に収容・封鎖するための包装サイクル動作を行う重量の大きい包装動作機構は、縦型製袋充填包装機のシール装置、特に、筒状包装材に横シールを施す横シール装置46である。横シール装置46は、
図5を参照しつつ背景技術に関して既に説明したように、筒状包装材Ftに横シールSeを施すための熱源として加熱ユニット、筒状包装材を切断するカッタ装置、横シール動作に関連して動作するシャッタやしごき部材等の多数の部品を備えており、また横シール動作時に求められる強度の観点から軽量化が困難であるので、結果的に大きな重量になっている。電動モータはサーボモータのような強力な駆動源であり、横シール装置46はサーボモータの回転出力によって往復駆動され、横シール動作時には大きな押圧力によって筒状包装材を挟み込むことで確実なシールを施している。横シール装置46が横シール動作をするとき、当該横シール動作に連係してポンプ動作をするポンプ機構1が横シール装置46の近傍に配設されている。ポンプ機構1に備わるポンプ装置として容積式ポンプが採用されており、この実施例では、容積式ポンプとしてピストンとシリンダを有するピストンポンプ2が用いられている。
【0037】
ピストンポンプ2は、縦型製袋充填包装機のフレーム(図示せず)に縦置きにて固定されている円筒状のシリンダ3と、横シール装置46と連係して往復運動を行うポンプの作動部材としてシリンダ3内を往復動可能なピストンユニット4を備えている。ピストンポンプ2においては、縦型製袋充填包装機の包装サイクル動作に合わせて横シール装置46がする縦方向(上下方向)の往復動作に応じてピストンユニット4が上下方向に往復動作をする。ピストンユニット4は、円板状のピストン本体5とピストン本体5に固定された可撓弁6を備えている。シリンダ3の内部はピストンユニット4によりその縦方向位置に応じて容積が変動する下側室7と上側室8に分割されている。この例では、シリンダ3の下部に形成され且つピストンユニット4により容積が画定される下側室7が、圧力エアを吐出する出力室となっている。また、可撓弁6の上側の上側室8は上端壁が存在せず、外気に対して開放されている。
【0038】
ピストンユニット4のピストン本体5とシリンダ3の内壁3aとの間が環状の外気流入経路10となっており、可撓弁6が外気流入経路10に介装されている。可撓弁6は、ピストン本体5に挟み込まれた態様で取り付けられた円板状の弾性膜によって構成されており、ピストン本体5がシリンダ3内に組付けられた状態でその周辺部9がシリンダ3の内壁3aに当接可能となっている。周辺部9は、寸法形状に基づいて周縁部分ほど下方向に大きく撓む態様の変形をしており、自身の弾性復元力によって平らに戻る方向の特性によってシリンダ内壁3aに対して当接する特性を示す。可撓弁6は、円板状としたが、ピストン本体5の周囲に取り付けられた円環状の形態であってもよい。
【0039】
横シール装置46とピストンポンプ2のピストンユニット4(特にピストン本体5)とを連係する連係機構として連係ロッド15が設けられている。連係ロッド15は、具体的には、上端が横シール装置46の昇降メインブロック62(
図6参照)に取り付けられているとともに、下端がピストンユニット4のピストン本体5に取り付けられている。横シール装置46がする縦方向(上下方向)の往復動作に応じてピストンユニット4はシリンダ3内を縦方向に往復動作をする。この例では、横シール装置46が、縦型製袋充填包装機の包装動作に応じて縦方向に上昇・下降を交互に行う往復動作をするときに、その往復動作がそのまま、連結ロッド15を介してシリンダ3内におけるピストンユニット4の上昇・下降の往復動作として伝達される。
【0040】
本実施例では、連結ロッド15が下降するとピストンポンプ2も下降行程となり、それに伴って下側室7内のエア圧が上側室8のエア圧(外気圧)と同等、或いはそれよりも高圧になることに応じて、可撓弁6は、その周辺部9がシリンダ3の内壁3aに圧接されて外気流入経路10を閉じる閉弁状態となる。連結ロッド15が上昇するとピストンポンプ2も上昇行程となり、それに伴って下側室7内のエア圧が上側室8のエア圧(外気圧)よりも低くなることに応じて、可撓弁6の下方向に撓みが大きくなって周辺部9がシリンダ3の内壁3aから離間して外気流入経路10を開く開弁状態となる。開弁状態では、下側室7と上側室8とは連通し、可撓弁6は上側室8内の比較的高い圧力のエアが下側室8へ取り込まれるのを許容する。したがって、可撓弁6は、出力室である下側室7と外気に開放されている上側室との間に介装されている弁であって、シリンダ内壁3aとピストン本体5との間に形成されている外気流入経路10を閉じてピストンポンプ2の下降行程において下側室7内の圧力エアが上側室8側に流出を遮断する一方で、ピストンポンプ2の上昇行程において上側室8から下側室7内へと外気流入経路10を通じて外気が流入するのを許容するチェックバルブ(逆止弁;本発明の第2チェックバルブ)としての機能を備えている。弾性の強さの異なる可撓弁6、或いはそうした可撓弁6を備えたピストンポンプ2を選択して採用することで、下側室7と上側室8との差圧として可撓弁6が開弁する第2設定圧力の設定が可能である。なお、可撓弁6は、ピストンポンプ2の上昇行程で開弁状態となるとしたが、実際には周辺部9が弾性膜の強さに応じてシリンダ内壁3aに対して細かく当接と離間を繰り返す挙動を示すことで、外気流入経路10を時間平均的に絞った状態で開弁状態としている。
【0041】
この実施例においては、ピストンポンプ2のピストンユニット4の上下の行程は、縦型製袋充填包装機40における袋包装体Bpの縦長さに相当している。ピストン本体5が下死点に位置するときの下側に形成される下側室7の容積を大きく(小さく)設定すると、昇降ユニット60の昇降メインブロック62が下死点近傍で下降するときに、下側室7内で圧縮されたエア圧による制動作用が強く(弱く)なり、また、ポンプ機構1がエアを吐出させることなく下死点を通過した後の当該エア圧による押上げ作用も強く(弱く)なる。したがって、下側室7の容積については適宜の設定を図って、適切な制動作用と押上げ作用を得ることが好ましい。
【0042】
上記したとおり、包装材の送り、包装物である製品の供給、シール装置のシール動作等の包装機の主たる包装サイクル動作に付随する動作、即ち、包装材の折込み動作、袋内での製品のしごき動作、製品の移動を規制するシャッタ動作等の付随動作については、それらの駆動系としてエアアクチュエータが用いられることが多い。
図1、
図2に示すように、複数の付随動作のためのエアアクチュエータを駆動するため、包装機に関連するエア供給系統20では、コンプレッサー又は当該コンプレッサーにより高圧に昇圧されたエアを蓄積するエアタンク(一次エア圧力源)28から供給管21を通じて供給される高い圧力エアがレギュレータ(圧力調整弁)22によって降圧され、そうして降圧された圧力エア(圧力は約0.5MPa)がエアチャンバー23で蓄えられている。エアチャンバー23の圧力エアは供給管24を通じて分配され、当該圧力エアは、更に各エアアクチュエータの必要な動作に応じて開閉制御される複数の電磁弁25(符号25は一括して表示)を通じて、作動エアとして各エアアクチュエータに供給される。エアアクチュエータへの給排気を電磁弁25で制御することにより、包装機の付随動作のための駆動系を簡単な構造で且つ簡便に駆動制御することができる。
【0043】
ポンプ機構1において、シリンダ3の下側室7をエア供給系統20のエアチャンバー23に接続する接続管26を備えており、接続管26には、本発明による第1チェックバルブとして機能するチェックバルブ27が備わっている。即ち、接続管26は、ピストンユニット4が下死点を占めるときにも下側室7に通じる位置において、下側室7に接続されている。チェックバルブ27は、シリンダ3の下側室7のエア圧がチャンバー23のエア圧よりも高い(第1設定圧力P1以上)場合には下側室7からチャンバー23に向かう圧力エアの流れを許容するが、下側室7のエア圧がチャンバー23のエア圧よりも低い場合には、逆方向のエアの流れ、即ち、チャンバー23側から下側室7側へ圧力エアが流れるのを阻止する逆止弁である。
【0044】
上記の構成を備える実施例においては、縦型製袋充填包装機の包装動作に従って横シール装置46の昇降メインブロック62がガイドロッド63,64に摺動案内されながら上昇するときには、連結ロッド15を介してピストンユニット4がシリンダ3内を上昇する。ピストンユニット4のこの上昇行程では、シリンダ3の下側室7はその容積が強制的に拡大されるので下側室7内のエア圧が負圧傾向となり、上下両室7,8の差圧に応じてピストンポンプ3は外気の取込みが可能となる。即ち、当該上昇行程では、第1チェックバルブとしてのチェックバルブ27はその逆止作用によって通常、閉じているので、チャンバー23側からの圧力エアが接続管26を通じてシリンダ3の下側室7側へ流入することはない。一方、第2チェックバルブとしての可撓弁6が開弁状態となるときには、上側室8内のエア(外気)が低圧の下側室7へと吸い込まれて流入する。
【0045】
縦型製袋充填包装機の包装動作に従って横シール装置46が下降し、昇降メインブロック62がガイドロッド63,64に摺動案内されながら下降するとき、連結ロッド15を介して可撓弁6を含むピストンユニット4がシリンダ3内を下降する。このとき、シリンダ3の下側室7が強制的に縮小され内部のエア圧は上昇傾向となり、ピストンポンプ3は下側室7から圧力エアの吐出を行うことが可能になる。即ち、下側室7内のエア圧が第1チェックバルブとしてのチェックバルブ27で設定されている開弁圧力よりも高くなると、チェックバルブ27は開弁して下側室7内の圧力エアが接続管26を通じてチャンバー23に送出される。一方、第2チェックバルブとしての可撓弁6は閉弁状態となっているので、下側室7内の圧力エアが上側室8へと流出することはない。このように、ポンプ機構1は、外気の吸込みとその昇圧、及びチャンバー23への吐出という一連の動作を行うことでチャンバー23への圧力エアを蓄圧する補助コンプレッサーとして機能する。
【0046】
図3は、
図1に示す縦型製袋充填包装機においてエア補充機能のためのコンプレッサーとして働くピストンポンプ2の下側室7内のエア圧力推移の一例を示す図である。
図3の下側のグラフ(a)は、横シール装置46の昇降メインブロック62の上下方向の移動変化を示すグラフであり、昇降メインブロック62は電動モータの回転を制御することによって基本的に予定された三角関数の正弦曲線を描くように移動している。横シール装置46が所定の袋包装体を継続して製造する包装運転を行っている状態では、横シール装置46の昇降メインブロック62を含む昇降ユニットは、その機構上、昇降動作の上死点及び下死点の高さ位置は一定である。昇降メインブロック62を含む昇降ユニットの昇降動作は、包装機の包装サイクル動作が安定している限り、一定の周期(タイミング)で繰り返される。
図3の上側のグラフ(b)は、下側の正弦曲線を描くグラフに対応したピストンポンプ2のシリンダ3の下側室7内のエア圧の推移の一例を示すグラフである。第1チェックバルブとしてのチェックバルブ27で設定されている開弁圧力(第1設定圧力)がP1で示されており、第2チェックバルブとしての可撓弁6で設定されている開弁圧力(第2設定圧力)がP2で示されている。
【0047】
(イ)時刻t0
時刻t0では、横シール装置46の昇降メインブロック62は下死点にあり、シリンダ3の下側室7内のエア圧が第1設定圧力P1を超えて後、ピストンユニット4の下降に伴って下側室7内の圧力エアがチェックバルブ27を通じてチャンバー23に供給・補充され終わった時点であるとする。
【0048】
(ロ)期間Ta[t0<t≦t1]
期間Taでは、横シール装置46の昇降メインブロック62は下死点から上死点に向かって上昇する行程にある。
シリンダ3の下側室7は、ピストンユニット4が上昇していくことに起因して容積が強制的に拡大されていく過程にあり、内部のエア圧は低下傾向を示す。このとき、下側室7内のエア圧は可撓弁6の開弁圧力P2を下回るので、可撓弁6は開弁して、シリンダ3の上側室8内の外気が可撓弁6を通じて下側室7内に流入する。可撓弁6はその絞り作用によって下側室7への外気の流入に対して抵抗を示すために、当該外気の流入は下側室7の容積拡大に追いつかず、下側室7内のエア圧は低下するものの、外気の流入が無い場合と比較して、低下の程度は緩和される。
時刻t1において、横シール装置46の昇降メインブロック62は上死点に到達する。シリンダ3の下側室7内のエア圧は極小値を示す。
【0049】
(ハ)期間Tb[t1<t≦t2]
期間Tbでは、横シール装置46の昇降メインブロック62は上下往復動作の上死点から下死点に向かって下降する行程にある。
シリンダ3の下側室7は、ピストンユニット4が下降していくことに応じて容積が強制的に縮小する過程にあり、内部のエア圧は上昇傾向を示す。ピストンユニット4が本格的に下降していくとき、下側室7内のエア圧は負圧から正圧に上昇し可撓弁6の開弁圧力P2を上回るので、可撓弁6は閉弁する。シリンダ3の上側室8側の外気エアが下側室7に流入することはなく、その後、ピストンユニット4の更なる下降に伴って、下側室7内に閉じ込められたエアは圧縮されてエア圧は開弁圧力P2を超えて上昇する。
この期間Tbにおいては、下降行程にある横シール装置46の昇降メインブロック62は、エア圧が上昇していく下側室7内のエアによって下降動作にクッション作用、即ち、制動が掛かる。下側室7内のエアによって昇降メインブロック62に対して制動が掛からないとすると、電動モータ(昇降駆動用サーボモータ65)によって電磁気的に強制的な制動を掛けて昇降メインブロック62の下降速度を制御しなければならず、電動モータへの駆動負荷が大きくなるが、下側室7内のエアによる制動作用により、電動モータへの駆動負荷を軽減することができる。
時刻t2において、横シール装置46の昇降メインブロック62が下死点に到達する。シリンダ3の下側室7内のエア圧は極大値を示す。下側室7内のエア圧は上昇しても第1チェックバルブとしてのチェックバルブ27の開弁圧力P1には十分届かないので、下側室7内の高圧エアが接続管26を通じて下側室7からチャンバー23へ供給されることはない。
【0050】
(ニ)期間Tc[t2<t≦t3]
期間Tcでは、先の包装サイクルである期間Ta[t0<t≦t1]に生じていたのと同様の動作・圧力推移が生じる。
ただし、シリンダ3の下側室7では、期間Ta[t0<t≦t1]内に流入してきたエアが蓄積されているため、下側室7の圧力推移は期間Ta[t0<t≦t1]の期間内での推移よりも高い圧力レベルで推移する。
この期間Tcにおいては、上昇動作に転じた横シール装置46の昇降メインブロック62は、圧縮されて高いエア圧となった下側室7内のエアによって、その初期の時期ほど上昇動作に加勢する押上げ作用が働く。ポンプ機構31を設けないことで下側室7内のエアによるこの押上げ作用が無い場合には、電動モータ(昇降駆動用サーボモータ65)の出力によって強制的に上昇させて昇降メインブロック62の上昇速度を制御しなければならず、電動モータへの駆動負荷が大きくなる。本実施例のように、ポンプ機構31を設けている場合には下側室7内の高いエアによる押上げ作用が期待できるので、昇降メインブロック62の上昇動作時において電動モータへの駆動負荷を軽減することができる。
容積の拡大に起因して低下し続けた下側室7内のエア圧は、期間Tcの後半の時期から次の期間Tdの初期に亙って可撓弁6の開弁圧力P2を下回るので、可撓弁6は開弁して、シリンダ3の上側室8内の外気が可撓弁6を通じて下側室7内に吸い込まれるように流入する。この時期の下側室7への外気の流入程度は、前回の外気の流入、即ち、期間Taとその後の期間Tbの初期に亙る外気の流入の場合と比較して、流入期間が短くエア圧低下の程度も小さくなるので、流入規模(流入量)は縮小する。しかしながら、流入程度は下側室7の容積拡大に追いつくほどではないので、下側室7内のエア圧はそれでも幾分、低下する。
時刻t3において、横シール装置46の昇降メインブロック62が上死点に到達する。この時のシリンダ3の下側室7内のエア圧は時刻t1のときの極小値よりも高い極小値を示す。
【0051】
(ホ)期間Td[t3<t≦t4]
期間Tdでは、先の包装サイクルである期間Tb[t1<t≦t2]に生じていたのと同様の動作・圧力推移が生じる。
ただし、シリンダ3の下側室7では、主に期間Tc[t2<t≦t3]内に新たに流入してきたエアが更に蓄積されているため、下側室7の圧力推移は期間Tb[t1<t≦t2]内での圧力推移よりも更に高い圧力レベルで推移する。
横シール装置46の昇降メインブロック62が下降動作に転じた後の電動モータへの駆動負荷についても、期間Tbの場合と同様に軽減されるが、当該期間Td後半において、正圧を超えた下側室7のエア圧の圧力推移が更に高い圧力レベルとなることに起因して、より大きな負荷軽減が期待できる。
時刻t4において、横シール装置46の昇降メインブロック62が下死点に到達する。シリンダ3の下側室7内のエア圧は時刻t2のときの極大値よりも更に高い極大値を示す。時刻t2のときと同様、下側室7内のエア圧が更に上昇していてもチェックバルブ27が開弁する第1設定圧力P1には僅かに届かないので、依然として下側室7内の高圧エアが接続管26を通じて下側室7からチャンバー23へ供給されることはない。
【0052】
(ヘ)期間Te[t4<t≦t5]
期間Teでは、先の包装サイクルである期間Tc[t2<t≦t3]に生じていたのと同様の動作・圧力推移が生じる。
ただし、シリンダ3の下側室7では、前々回(主に期間Ta[t0<t≦t1]内)に流入してきたエアに加えて、更に前回(主に期間Tc[t2<t≦t3]内)に流入してきたエアも蓄積されているため、下側室7の圧力推移は期間Tc[t2<t≦t3]内での推移よりも更に高い圧力レベルで推移する。
期間Tcの場合と同様、シリンダ3の下側室7内の高いエアによる押上げ作用によって、昇降メインブロック62の上昇動作時における電動モータの駆動負荷の一層の軽減が期待できる。
また、容積の拡大に起因して低下し続ける下側室7内のエア圧は、期間Teの後半の時期から次の期間Tfの初期に亙って可撓弁6の開弁圧力P2を下回るので、可撓弁6は開弁して、シリンダ3の上側室8内の外気が可撓弁6を通じて下側室7内に流入する。この時期の下側室7への外気の流入程度は、前回の外気の流入、即ち、期間Tcとその後の期間Tdの初期に亙る外気の流入の場合と比較して、流入期間が更に短くエア圧低下の程度も更に小さくなるので、流入規模(流入量)は縮小する。しかしながら、流入程度は幾分あり、それに応じて下側室7内のエア圧も低下する。
時刻t5において、時刻t3の場合と同様に、横シール装置46の昇降メインブロック62が上死点に到達する。シリンダ3の下側室7内のエア圧は時刻t3のときの極小値よりも一層高い極小値を示す。上側室8内のエア圧は、時刻t3のときの極大値と同等の極大値を示す。
【0053】
(ト)期間Tf[t5<t≦t6]
期間Tfでは、先の包装サイクルである期間Td[t3<t≦t4]に生じていたのと同様の動作・圧力推移を生じようとする。
シリンダ3の下側室7では、主に期間Tb[t1<t≦t2]及び期間Td[t3<t≦t4]に加え、更に前回(主に期間Te[t4<t≦t5]内)に流入してきたエアが蓄積されてきているため、下側室7の圧力推移は期間Td[t3<t≦t4]内での圧力推移よりも更に一層高い圧力レベルで推移しようとする。その結果、下側室7内のエア圧力はチェックバルブ27の開弁圧力P1(図示の例では0.5MPa)を超えるに至るので、チェックバルブ27が開弁し、下側室7内の高圧エアが接続管26を通じて下側室7からチャンバー23へ供給される。
ピストンユニット4は下死点に到達するまで下降し続けるため、シリンダ3の下側室7のエア圧力はチェックバルブ27の開弁圧力P1よりも高い圧力となる状態が続き、チェックバルブ27の開弁が継続し、接続管26を通じて下側室7からチャンバー23へ圧力エアが供給され続ける。ただし、ピストンユニット4の下降速度は下死点に近づくに従って次第に減速するので、それに応じてチャンバー23への圧力エアの供給量も低減していく。
横シール装置46の昇降メインブロック62が下降動作に転じた後の電動モータへの駆動負荷についても、期間Tdの場合と同様に軽減されるが、当該期間Tfにおいて、正圧を超えた下側室7のエア圧の圧力推移が更に高い圧力レベルとなることに起因して、より大きな負荷軽減が期待できる。
時刻t6において、横シール装置46の昇降メインブロック62が下死点に到達する。
【0054】
(チ)期間Tg[t6<t≦t7]
期間Tgでは、期間Ta[t0<t≦t1]に生じていたのと同様の動作・圧力推移が生じる。即ち、この期間では、横シール装置46の昇降メインブロック62は下死点から上死点に向かって上昇する行程にあり、シリンダ3の下側室7は、ピストンユニット4が上昇していくことに起因して容積が強制的に拡大していく過程にある。下側室7内のエア圧は時刻t6直後から低下する。その後、可撓弁6は開弁して、シリンダ3の上側室8内の外気が下側室7内に流入するので、下側室7内のエア圧は低下するものの、低下の程度は緩和される。
時刻t7において、横シール装置46の昇降メインブロック62は上死点に到達する。以後、期間Tb[t1<t≦t2]から期間[t6<t≦t7]までの各期間での動作・圧力推移が繰り返される。
【0055】
図3のエア圧力推移に示したように、横シール装置46の昇降メインブロック62の昇降動作に応じて、シリンダ3の出力室である下側室7内のエア圧と上側室8内の外気圧との差圧が第2チェックバルブである可撓弁6の第2設定圧力を下回ることによって可撓弁6を通じて上側室8側の外気が下側室7内に流入し、横シール装置46の昇降メインブロック62の昇降動作に基づいて下側室7内のエア圧が第1チェックバルブであるチェックバルブ27の第1設定圧力P1を上回ることによって、下側室7内の圧力エアがチェックバルブ27を通じてエア供給系統20のエアチャンバー23に補充される。横シール装置46の昇降ユニットの昇降動作に応じて、少量ずつエア補充が可能となっている。
【0056】
図4は、この発明によるエア補充機能を備えた包装機として先の実施例と同じく縦型製袋充填包装機を例に採っているが、エア供給系統について構成を変更した別の実施例を示す概念図である。
図4に示す実施では、昇降ユニットやポンプ機構自体については先の実施例に記載のものと変更はなく、エア供給系統の特定の要素以外の構成については、
図1(
図2)に示す構成と同様であるので、同じ構成要素には
図1(
図2)に示す符号と同じ符号を付すことで、再度の詳細な説明を省略する。
【0057】
包装機の主たる包装サイクル動作に付随する動作のために用いられるエアアクチュエータを正確に駆動するためには、駆動用のエア圧の変動を回避するため、設定値に調圧されたエア圧を直接に供給するのが好ましい。そこで、
図4に示す実施例では、エア供給系統30において、エア圧力源(コンプレッサー)31によって生成された1次エア(0.7MPa~0.8MPa)がエアチャンバー23に直接に送られてチャンバー23に蓄えられる。即ち、先の実施例で供給管21に配設されていたレギュレータ22は用いられておらず、エアチャンバー23では、エア圧力源31又は横シール装置46で生成された二つの圧力エアのみで圧力が保たれる。一方、エアチャンバー23から電磁弁25に繋がる供給管24にはレギュレータ32が配設されている。電磁弁25には、レギュレータ32で設定値に調圧されたエア圧(例えば、約0.5MPaの圧力)が直接に供給されるので、エアアクチュエータへの作動エアの圧力変動が抑えられ、エアアクチュエータの正確な駆動が期待される。
【0058】
以上のように、エア補充機能を備えた包装機の実施例である縦型製袋充填包装機において、重量のある横シール装置に包装サイクル動作を維持させるのに要する電動モータの負荷(例えば、昇降メインブロックの下降中に下降速度が上昇しすぎようとする場合の制動に要する負荷、及び昇降メインブロックの上昇中に上昇速度が低下しすぎようとする場合の加速に要する負荷)が、ポンプ機構のエアの働きによって軽減され、また、重量のある横シール装置が包装サイクル動作をするときに持つ慣性(運動)作用を利用したポンプ機構の働きによって、昇圧された出力エアがエア供給系統のエアチャンバーに送られて補充される。
【0059】
この発明によるエア補充機能を備えた包装機の実施例を説明したが、図示の構造等に関わらず、種々の変更が可能である。例えば、重量の大きい包装動作装置の例として横シール装置を挙げて説明をしたが、縦シール装置についても、ボックスモーションをするものであれば、その動きをポンプ機構のポンプ動作のための動力として取り出すことが可能である。また、横シール装置46の昇降メインブロック62の縦方向の往復動作からポンプ動作のための動力を取り出して説明をしたが、横シール装置46のシールブロックが円軌道を描く回転シール動作からポンプ動作のための動力を取り出してもよい。また、横シール装置46の昇降メインブロック62とピストンユニット4を連結する連結ロッド15としては、直結する一つの棒状部材による一対一のそのままの連結構造を示したが、例えばリンク機構を介するなどして横シール装置46の昇降メインブロック62の行程量を変更してピストンユニット4を往復動させる運動変換機能を備える連結構造であってもよい。この場合、エアチャンバーに圧力エアが補充されるときの補充量が調整でき、エアチャンバー内のエア圧力が、略自動的に適切に保つように調整し、エア圧力源として、例えばコンプレッサーの負担を更に軽減することも可能である。更に、上記の実施例では、一つのエア補充機能を備えた包装機のためのエア供給系統に一つのエアチャンバーを備えたものとして説明したが、当該エア補充機能が十分であれば、当該エアチャンバーをエア補充機能が備わっていない別の包装機のエア供給系統にも接続して、当該エアチャンバーの圧力エアを当該別の包装機に対してその付随動作のための作動エアとして供給してもよい。
【0060】
更にまた、容積式ポンプとして、ピストンユニットとシリンダを備えるピストンポンプを例に採用したが、その他の型式の容積式ポンプ、例えば、ピストンポンプより概して高圧の出力を得る場合に好適なプランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ(膜ポンプ)、或いは往復作動型のピストン・シリンダを備える直動型ポンプでなくても、回転型ポンプを採用することも可能である。更に、製袋充填包装機のシール装置以外にも、重量の大きな具体例として、例えば、上包み包装機であれば製品を持ち上げて包装紙に押し込む製品持ち上げ機構があり、こうした機構にも本発明のエア補充機構を適用可能である。また、第2チェックバルブを備える外気流入経路として、上記の実施例ではシリンダ内壁とピストン本体との間の環状経路を例に挙げたが、ピストン本体や連結ロッドを貫いて形成されていて外気と出力室に通じる経路であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 ポンプ機構 2 ピストンポンプ
3 シリンダ 3a 内壁
4 ピストンユニット 5 ピストン本体
6 可撓弁
7 下側室(出力室) 8 上側室
9 周辺部 10 外気流入経路
15 連結ロッド
20 エア供給系統 21 供給管
22 レギュレータ 23 エアチャンバー
24 供給管 25 電磁弁
26 接続管 27 チェックバルブ
28 エア圧力源
30 エア供給系統 31 エア圧力源
32 レギュレータ
40 縦型製袋充填包装機 41 フォーマ(製筒器)
42 製袋充填筒(充填筒) 43 ホッパ
44 包装材送り装置 44a,44b 送りベルトユニット
45 縦シール装置 45a,45b 縦シールブロック
46 横シール装置 46a,46b 横シールブロック
47 カッタ刃 48 溝
49 ガイドローラ 54a,54b 送りベルト
55 吸引ボックス
60 昇降ユニット 61 装置フレーム
62 昇降メインブロック 62a,62b 昇降ブロック
62c 連結部材 62d,62d;62e,62e アーム部
63,64 ガイドロッド 65 昇降駆動用サーボモータ
66 回転出力軸 67 昇降用リンク機構
68 モータ取付け板 69 ブラケット
70 開閉ユニット 71 開閉駆動用サーボモータ
73,74 ガイドロッド 75,76 取付けブロック
77 中間ブロック 78 回転出力軸
79 開閉用リンク機構 80,80 スライドスリーブ
Fw 帯状包装材 fe,fe 側端縁部分
Ft 筒状包装材 S 製品
B 袋 Bp 袋包装体
Sc 縦シール(センターシール) Se 横シール(エンドシール)
P1 第1設定圧力