(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173114
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】情報提供システム、情報提供方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/20 20120101AFI20241205BHJP
【FI】
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091283
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】永倉 賢二
(72)【発明者】
【氏名】大喜 恒甫
(72)【発明者】
【氏名】橋本 利紀
(72)【発明者】
【氏名】池田 裕行
(72)【発明者】
【氏名】佐野 綾
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC34
5L050CC34
(57)【要約】
【課題】 提供対象者に合ったキャリアプランに関する情報を出力する技術を提供する。
【解決手段】 取得手段は、見本となる経歴を持つ人物であるロールモデルの行動を表す情報と発言を表す情報と文章を表す情報のうちの少なくとも一つの情報を取得する。推定手段は、取得された情報を利用してロールモデルの人物像を推定する。生成手段は、キャリアプラン提案モデルと、提供対象者の属性情報とを用いて、提供対象者に提案するキャリアプランの情報を生成する。キャリアプラン提案モデルは、ロールモデルの推定された人物像を表す人物像情報とロールモデルの経歴を表す経歴情報が関連付けられた情報を機械学習することにより生成される。出力手段は、生成されたキャリアプランの情報を支援情報として出力する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
見本となる経歴を持つ人物であるロールモデルの行動を表す情報と発言を表す情報と文章を表す情報のうちの少なくとも一つの情報を取得する取得手段と、
取得された情報を利用してロールモデルの人物像を推定する推定手段と、
ロールモデルの推定された人物像を表す人物像情報とロールモデルの経歴を表す経歴情報が関連付けられた情報を機械学習することにより生成され提供対象者の属性情報を入力とし当該提供対象者に提案するキャリアプランの情報を出力とするキャリアプラン提案モデルと、提供対象者の属性情報とを用いて、提供対象者に提案するキャリアプランの情報を生成する生成手段と、
生成されたキャリアプランの情報を支援情報として出力する出力手段と
を備える情報提供システム。
【請求項2】
提供対象者の人物像に関連する情報を取得し当該取得した情報を用いて提供対象者の人物像を判断する判断手段をさらに備え、
前記生成手段が用いる提供対象者の属性情報は、前記判断手段により判断された提供対象者の人物像の情報を含む
請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記判断手段が取得する情報は、人物像を判断するために用意されたアンケートに対する提供対象者の回答を含む
請求項2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記判断手段が取得する情報は、提供対象者が公開した情報を含む
請求項2に記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記キャリアプラン提案モデルは、提供対象者に提案するキャリアプランの根拠の説明をも出力する説明可能なモデルであり、
前記出力手段は、前記キャリアプラン提案モデルから出力された根拠の説明を支援情報に関連付けて出力する
請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項6】
前記キャリアプラン提案モデルは、複数のキャリアプランの情報を出力し、
前記出力手段は、前記キャリアプラン提案モデルから出力された複数のキャリアプランの情報を出力する
請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項7】
コンピュータによって、
見本となる経歴を持つ人物であるロールモデルの行動を表す情報と発言を表す情報と文章を表す情報のうちの少なくとも一つの情報を取得し、
取得された情報を利用してロールモデルの人物像を推定し、
ロールモデルの推定された人物像を表す人物像情報とロールモデルの経歴を表す経歴情報が関連付けられた情報を機械学習することにより生成され提供対象者の属性情報を入力とし当該提供対象者に提案するキャリアプランの情報を出力とするキャリアプラン提案モデルと、提供対象者の属性情報とを用いて、提供対象者に提案するキャリアプランの情報を生成し、
生成されたキャリアプランの情報を支援情報として出力する
情報提供方法。
【請求項8】
見本となる経歴を持つ人物であるロールモデルの行動を表す情報と発言を表す情報と文章を表す情報のうちの少なくとも一つの情報を取得する処理と、
取得された情報を利用してロールモデルの人物像を推定する処理と、
ロールモデルの推定された人物像を表す人物像情報とロールモデルの経歴を表す経歴情報が関連付けられた情報を機械学習することにより生成され提供対象者の属性情報を入力とし当該提供対象者に提案するキャリアプランの情報を出力とするキャリアプラン提案モデルと、提供対象者の属性情報とを用いて、提供対象者に提案するキャリアプランの情報を生成する処理と、
生成されたキャリアプランの情報を支援情報として出力する処理と
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、キャリアプランを立てる際の参考情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
中学生や高校生がキャリアプランを考える場合に、キャリアプランをうまく立てることができずに行き詰ってしまうことがある。キャリアプランとは、理想の職業や働き方などの将来像を描き、そこに至るための道筋などの計画である。このようなキャリアプランを中学生や高校生が考えようとしても、職業についての情報不足のために、理想の職業や働き方などの将来像を思い描くことができず、キャリアプランを立てることができないという事態になってしまうことがある。
【0003】
なお、特許文献1には、指定された職業の既従事者に関する経歴実例情報をユーザ端末に送信する技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
中学生や高校生がキャリアプランを考える際に参考とする情報としては、学校の先生の話や、塾や大学などにより提供される職業アドバイスや就職先情報などがあるが、そのような情報は、学校や塾などにとって都合の良い情報になっている場合があることが考えられる。また、新聞や雑誌やインターネットなどに職業紹介などの情報が載っていることがあるが、それら情報は膨大であり、その膨大な情報のなかから自分に合った情報を見つけ出すのは容易ではない。
【0006】
本開示の主な目的は、キャリアプランを策定しようとしている人に合ったキャリアプランに関する情報を出力可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示における情報提供システムは、その一態様として、
見本となる経歴を持つ人物であるロールモデルの行動を表す情報と発言を表す情報と文章を表す情報のうちの少なくとも一つの情報を取得する取得手段と、
取得された情報を利用してロールモデルの人物像を推定する推定手段と、
ロールモデルの推定された人物像を表す人物像情報とロールモデルの経歴を表す経歴情報が関連付けられた情報を機械学習することにより生成され提供対象者の属性情報を入力とし当該提供対象者に提案するキャリアプランの情報を出力とするキャリアプラン提案モデルと、提供対象者の属性情報とを用いて、提供対象者に提案するキャリアプランの情報を生成する生成手段と、
生成されたキャリアプランの情報を支援情報として出力する出力手段と
を備える。
【0008】
また、本開示における情報提供方法は、その一態様として、
コンピュータによって、
見本となる経歴を持つ人物であるロールモデルの行動を表す情報と発言を表す情報と文章を表す情報のうちの少なくとも一つの情報を取得し、
取得された情報を利用してロールモデルの人物像を推定し、
ロールモデルの推定された人物像を表す人物像情報とロールモデルの経歴を表す経歴情報が関連付けられた情報を機械学習することにより生成され提供対象者の属性情報を入力とし当該提供対象者に提案するキャリアプランの情報を出力とするキャリアプラン提案モデルと、提供対象者の属性情報とを用いて、提供対象者に提案するキャリアプランの情報を生成し、
生成されたキャリアプランの情報を支援情報として出力する。
【0009】
さらに、本開示におけるコンピュータプログラムは、その一態様として、
見本となる経歴を持つ人物であるロールモデルの行動を表す情報と発言を表す情報と文章を表す情報のうちの少なくとも一つの情報を取得する処理と、
取得された情報を利用してロールモデルの人物像を推定する処理と、
ロールモデルの推定された人物像を表す人物像情報とロールモデルの経歴を表す経歴情報が関連付けられた情報を機械学習することにより生成され提供対象者の属性情報を入力とし当該提供対象者に提案するキャリアプランの情報を出力とするキャリアプラン提案モデルと、提供対象者の属性情報とを用いて、提供対象者に提案するキャリアプランの情報を生成する処理と、
生成されたキャリアプランの情報を支援情報として出力する処理と
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、キャリアプランを策定しようとしている人に合ったキャリアプランに関する情報を出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示における情報提供システムの構成の一例を説明する図である。
【
図3】提案する情報についての根拠の説明をも表示する場合の表示例を表す図である。
【
図4】更になる詳細な情報をも表示する場合の表示例を表す図である。
【
図5】情報提供システムの一実施形態における学習装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
【
図6】情報提供システムの一実施形態における提供装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
【
図7】本開示における情報提供システムの別の構成の一例を説明する図である。
【
図8】情報提供システムのさらに別の構成の一例を説明する図である。
【
図9】情報提供システムにおける動作の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
<第1実施形態>
第1実施形態の情報提供システムは、キャリアプランの策定を支援する情報(以下、支援情報とも称する)を提供対象者に提供可能なシステムである。提供対象者は、例えば、キャリアプランを策定しようとしている人であり、中学生や高校生やその親が一具体例として挙げられる。また、提供対象者の別の具体例としては、就職先を検討している学生や、転職を検討している社会人も挙げられる。なお、提供対象者は、それら具体例で挙げた人に限定されず、それ以外の人である場合も有り得る。
【0014】
第1実施形態の情報提供システム1は、
図1に示されるような提供装置2と学習装置3を備える。提供装置2は、コンピュータ装置であり、端末装置5と情報通信網を介して接続される。端末装置5は、情報提供システム1が提供対象者に支援情報を提供する装置であり、通信機能と表示制御機能を備えた情報機器(コンピュータ装置)である。端末装置5としては、パソコン(パーソナルコンピュータ)、タブレット、スマートフォンなどが例として挙げられる。なお、パソコンには、ノート型パソコンのように表示装置と一体的になっている種類と、別体の表示装置に接続する種類とがあるが、ここでは、何れの種類であってもよく、以下における表示制御機能に関連する説明では、そのような種類を区別せずに説明する。また、
図1の例では、端末装置5は1つであるが、提供装置2に接続する端末装置5は複数であってもよく、その数は限定されない。
【0015】
端末装置5は、提供装置2との間で情報や指令を通信することにより提供装置2からの支援情報の提供に係る処理を実行する。このような端末装置5の処理には、当該端末装置5にインストールされたこの情報提供システム用のアプリケーションプログラム(アプリ)や提供装置2によるウェブサイトが用いられる。ここでは、アプリとウェブサイトのいずれが用いられてもよく、限定されない。
【0016】
提供装置2は、端末装置5から提供要求(支援情報の提供を要求する指令)を受信すると、その提供要求に応じて支援情報を端末装置5に返信する。提供装置2は、例えば、提供対象者に支援情報を提供するサービスを住民サービスの一つとして行う自治体(地方公共団体)や、転職や就職に関連するサービスを行う会社などに設けられる。学習装置3は、コンピュータ装置であり、提供装置2が提供要求に応じた支援情報を生成する処理で用いるモデル(キャリアプラン提案モデル)をAI(Artificial Intelligence)技術による機械学習により生成する機能を備える。
【0017】
提供装置2と学習装置3のうち、まず、学習装置3について説明する。学習装置3は、情報通信網を介して情報源7に接続されている。情報源7は、ロールモデルの行動や発言や文章を表す情報を公開している情報源である。学習装置3に接続される情報源7は、
図1の例では1つであるが、当該情報源7の種類やその数は限定されず、必要に応じた情報源7が学習装置3に接続される。
【0018】
ロールモデルとは、ここでは、見本となる経歴を持つ人物である。ロールモデルの行動を表す情報とは、ロールモデルが活動した活動内容の情報や、ロールモデルの歩き方やくせを表す情報が例として挙げられる。ロールモデルの発言を表す情報とは、ロールモデルがインタビューに答えているインタビュー映像や、新聞や雑誌などに掲載されたインタビュー記事、また、ロールモデルがSNS(Social Networking Service)に投稿したコメントなどの情報が例として挙げられる。さらに、ロールモデルの文章を表す情報とは、学会で発表した論文や、執筆した新聞や雑誌などの記事や本の内容などの情報が例として挙げられる。学習装置3は、上述したようなロールモデルの行動や発言や文章を表す情報を公開(発信)している情報源7に接続されている。
【0019】
学習装置3は、演算装置30と記憶装置50を備えている。記憶装置50は、データや、コンピュータプログラム(以下、プログラムとも記す)を記憶する記憶媒体を備えている。記憶装置には複数の種類があり、学習装置3が備える記憶装置50の種類は1つに限定されるものではない。コンピュータ装置には複数種の記憶装置が備えられることが多い。ここでは、学習装置3に備えられる記憶装置50の種類や数は限定されず、その説明は省略される。また、学習装置3に複数種の記憶装置50が備えられる場合には、それらをまとめて記憶装置50と記すこととする。なお、学習装置3は、外付けの記憶装置(データベース)と接続し、当該外付けの記憶装置との間でもデータなどの読み書きを行う場合も考えられるが、ここでは、外付けの記憶装置とのデータなどの読み書きが行われる場合があっても当該説明は省略することとする。
【0020】
演算装置30は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサにより構成される。当該演算装置30は、記憶装置50に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、当該プログラムに基づいた様々な機能を持つことができる。ここでは、演算装置30は、その機能部として、取得部31と、推定部32と、学習部33とを備えている。
【0021】
取得部31は、予め定められたタイミングで、情報源7から、ロールモデルの行動の情報と発言の情報と文章の情報のうちの少なくとも一つの情報を解析対象情報として取得する。取得部31が解析対象情報を取得するタイミングは、その一例として、予め設定された時間間隔ごと(週次、月次、隔月など)というような周期的なタイミングが挙げられる。また、取得部31の情報取得の別のタイミングとしては、例えば、情報源7におけるロールモデルに関する情報が更新されたことを検知したタイミングが挙げられ、この場合には、情報が更新されたロールモデルの情報が情報源7から取得部31により取得される。さらに、取得部31の情報取得の別のタイミングとしては、例えば、学習装置3の操作者によって学習装置3に情報取得要求が入力されたことを検知したタイミングが挙げられる。このように、取得部31の情報取得のタイミングには複数のタイミングが考えられる。ここでは、取得部31の情報取得のタイミングは限定されず、学習装置3の操作者などにより設定される。
【0022】
取得部31は、取得した解析対象情報を記憶装置50に書き込んで記憶させる。記憶装置50に記憶されている解析対象情報には、当該解析対象情報に関連するロールモデルを識別するロールモデル識別情報が関連付けられている。また、記憶装置50には、ロールモデルの経歴を表す経歴情報がそのロールモデルに対応するロールモデル識別情報に関連付けられて記憶されている。
【0023】
ここでは、様々な職業からそれぞれ選定された複数のロールモデルの解析対象情報が取得部31により取得される。ロールモデルの選定は、システムの設計者などの人により行われてもよいし、学習装置3などのコンピュータ装置により行われてもよい。コンピュータ装置によるロールモデルの選定は、例えば、インターネットなどの情報通信網を介して取得した職業関連情報(職業についての情報を含む情報)を解析することにより行われる。ロールモデルの選定手法は、ここでは限定されないので、その説明は省略される。また、ロールモデルの経歴情報は、学習装置3の操作者が学習装置3を操作することにより、あるいは、学習装置3による自動検索処理により、ロールモデルの経歴情報を発信可能な情報源の検索および検索された情報源からの取得が実行されて記憶装置50に格納される。
【0024】
推定部32は、同じロールモデル識別情報に関連付けられている解析対象情報と経歴情報を記憶装置50から読み出し、読み出した情報を用いて、そのロールモデル識別情報に対応するロールモデルの人物像を推定する。ここでの人物像とは、性格や人柄や思考の傾向を含む。解析対象情報から人物像を推定する手法には、例えば、AI技術が用いられる。人物像を推定するAI技術の手法には複数の手法が提案されており、ここでは、そのAI技術の手法は限定されないので、その説明は省略される。また、推定部32がロールモデルの人物像を推定するタイミングは、例えば、ロールモデルそれぞれについて、予め定められた種類や情報量の情報が取得部31により取得されて記憶装置50に格納されたことを検知したタイミングが挙げられる。また、別のタイミングとしては、例えば、人物像の推定済みのロールモデルに関し、人物像が推定された以降に新たな情報が記憶装置50に格納されたことを検知したタイミングが挙げられる。このタイミングは、ロールモデルの人物像の更新タイミングとも言える。
【0025】
推定部32は、推定した人物像を表す人物像情報を、当該人物像に対応するロールモデルのロールモデル識別情報に関連付けて記憶装置50に書き込んで記憶させる。
【0026】
ここでは、前述したように、様々な職業からそれぞれ選定された複数のロールモデルの解析対象情報が取得部31により取得される。そして、取得された解析対象情報を用いてロールモデルそれぞれの人物像が推定部32により推定される。これにより、様々な職業から選定された複数のロールモデルの人物像情報および経歴情報が記憶装置50に記憶される。
【0027】
学習部33は、AI技術を用いてキャリアプラン提案モデルを生成する。キャリアプラン提案モデルとは、提供対象者の属性情報を入力とし当該提供対象者に提案するキャリアプランの情報を出力とするモデルである。
【0028】
ここでは、提供対象者の属性情報は、年齢(学年)などの提供対象者の予め定められた基本情報の他に、提供対象者の性格や人柄などの人物像を表す情報を少なくとも含む。属性情報は、さらに、提供対象者が就きたいと思っている職業を表す情報や、興味がある分野を表す情報や、保有資格の情報や、住んでみたい地域を表す情報というような職業の選択に関連すると考えられる情報(以下、職業選択関連情報とも称する)が含まれていてもよい。
【0029】
提供対象者に提案するキャリアプランの情報とは、提供対象者に提案(推奨)する職業、および、提供対象者がその職業に就くまでの道筋(進路)を表す情報(以下、進路情報とも称する)を含む。進路情報とは、例えば提供対象者が中学生や高校生である場合には、進学を勧める大学の学部の情報や、取得した方が良い資格の情報を含む。また、提供対象者が就業者である場合には、提供対象者の年齢などを考慮し、提案(推奨)する職業に就くまでの進路の情報には、例えば、進学を勧める大学の学部の情報は含まず、提案する職業に就くために必要な資格の情報が含まれる。このように進路情報は、例えば、提供対象者の年齢や就業しているか否かというような属性情報から得られる道筋(進路)の始点が考慮された情報であってもよい。
【0030】
学習部33は、キャリアプラン提案モデルの機械学習による生成に、次のような教師データを用いる。つまり、ここでの教師データとは、様々な職業から選定されたロールモデルの人物像情報と経歴情報が関連付けられているデータである。ロールモデルの人物像情報は、推定部32により推定されたロールモデルの人物像の情報であり、記憶装置50に格納されている。また、ロールモデルの経歴情報も前述したように記憶装置50に格納されている。同じロールモデルの人物像情報と経歴情報はロールモデル識別情報により関連付けられている。このような記憶装置50に格納されているロールモデルの人物像情報と経歴情報が関連付けられている。そのような教師データを用いて学習部33により生成されるキャリアプラン提案モデルは、当該モデルに入力される提供対象者の属性情報(つまり、提供対象者の人物像の情報を含む情報)が考慮されたキャリアプランの情報を出力できる。また、ここでは、キャリアプラン提案モデルの生成に用いられるロールモデルの人物像情報は、ロールモデル自身やロールモデルの知人たちの主観による人物像ではなく、推定部32により推定された客観的な人物像の情報である。このため、キャリアプラン提案モデルが出力するキャリアプランの情報は、人の主観による人物像の情報を用いて生成されたモデルからの出力に比べて、信頼性の向上が期待される。
【0031】
学習部33により生成されるキャリアプラン提案モデルは、出力するキャリアプランの提案が1つであるモデルである場合もあるし、複数のキャリアプランを提案するモデルである場合もあるし、また、提案するキャリアプランの根拠の説明をも出力可能なモデルである場合もある。このようにAI技術により生成されるキャリアプラン提案モデルには、出力態様が異なる複数の種類があり、これら複数種の中から、例えばシステムの設計者などによって採用するモデルの種類が決定される。なお、キャリアプラン提案モデルを生成するAI技術には様々な手法が提案されており、ここでは、キャリアプラン提案モデルの生成に採用されるAI技術は限定されないので、その説明は省略される。
【0032】
学習装置3の学習部33により生成されたキャリアプラン提案モデルは、記憶装置50に保持され、また、提供装置2に提供され、当該提供装置2により保持される。なお、前述したような取得部31や推定部32によって、記憶装置50に格納されているロールモデルの情報の更新が図られている。このことを考慮し、ここでは、学習部33は、キャリアプラン提案モデルを予め定められたタイミングでもって更新する。このようにキャリアプラン提案モデルが更新されることにより、キャリアプラン提案モデルからの出力に対する信頼性(精度)を高めていくことができる。なお、このようなキャリアプラン提案モデルの更新に際し、記憶装置50に格納されているロールモデルに関する情報のうち、種類によっては、古すぎる情報は教師データとして適さない場合がある。このようなことを考慮し、記憶装置50に格納されている情報を定期的にメンテナンスする処理が行われてもよい。例えば、情報の種類や格納日を含む削除条件が予め定められており、記憶装置50に格納されている情報の種類や格納日が削除条件に合う情報が削除されるというようなメンテナンス処理が定期的に実行されてもよい。
【0033】
次に、提供装置2の構成について説明する。提供装置2は、例えばサーバ装置であり、演算装置20と記憶装置40を備える。記憶装置40は、データやプログラムを記憶する記憶媒体を備えている。提供装置2が備える記憶装置40の種類や数は限定されず、その説明は省略される。また、提供装置2に複数種の記憶装置40が備えられる場合には、それらをまとめて記憶装置40と記すこととする。提供装置2の記憶装置40には、学習装置3により生成されたキャリアプラン提案モデルが格納される。
【0034】
演算装置20は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサにより構成される。当該演算装置20は、記憶装置40に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、当該プログラムに基づいた様々な機能を持つことができる。ここでは、演算装置20は、その機能部として、受付部21と、生成部22と、出力部23とを備えている。
【0035】
受付部21は、提供装置2に接続されている端末装置5から提供装置2に出力された指令や情報を受け付ける。端末装置5から提供装置2に出力される指令としては、例えば、支援情報の提供を要求する提供要求がある。また、端末装置5から提供装置2に出力される情報としては、提供対象者の属性情報がある。この提供対象者の属性情報は提供要求に関連付けられて端末装置5から提供装置2に出力される。ここでは、端末装置5から出力される提供対象者の属性情報は、キャリアプラン提案モデルに入力する情報であり、例えば、年歳(学年)などの基本情報の他に、提供対象者の性格や人柄などの人物像を表す情報を少なくとも含む。なお、提供対象者の属性情報は例えば提供対象者によって端末装置5に入力される。その端末装置5への属性情報の入力の手間を軽減するために、次のような機能が備えられていてもよい。例えば、属性情報として入力する複数の項目のそれぞれにおいて、端末装置5に備えられている表示装置の表示画面に選択肢が表示され、選択肢の中から提供対象者により選択された選択肢が当該提供対象者の属性情報を構成する一つの項目の情報として設定される。
【0036】
生成部22は、受付部21により受け付けられた提供対象者の属性情報と、学習装置3により生成されキャリアプラン提案モデルとを用いて、提供対象者に提案するキャリアプランの情報を生成する。つまり、生成部22は、提供対象者の属性情報をキャリアプラン提案モデルに入力し、これにより、キャリアプラン提案モデルから出力されたキャリアプランの情報を、提供対象者に提案するキャリアプランの情報として取得する(生成する)。
【0037】
出力部23は、生成部22により生成(取得)されたキャリアプランの情報を支援情報として、提供要求を発信した端末装置5に返信する。支援情報を受け取った端末装置5においては、支援情報を予め与えられている表示態様でもって表示装置の画面に表示する。
図2には、その支援情報の表示態様の一例が表されている。
図2の例では、複数の進路情報を含むキャリアプランを提供可能なキャリアプラン提案モデルが用いられた場合の例である。つまり、支援情報は、提案する職業と、当該職業に就くまでの複数の進路情報とを含み、当該支援情報の表示画面では、提案する職業が表されると共に、当該職業に就くまでの複数の進路情報が表されている。さらに、キャリアプラン提案モデルが根拠の説明をも出力する説明可能なモデルである場合には、支援情報に根拠の説明が関連付けられて出力部23から出力される。この場合には、
図3に表されるように、提案する職業の根拠の説明が別のウインドウにより表示されてもよい。さらに、
図4に表されるように、提案する職業の説明やその具体例が別のウインドウにより表示されてもよい。さらに、進路情報に表されている情報(例えば、学部や会社の情報)の詳細な情報や参考情報(例えばオープンキャンパスやインターンなどの開催予定の情報)などが別のウインドウにより表示されてもよい。
【0038】
なお、
図2~
図4の例では、支援情報が、提案する職業と、当該職業に就くまでの複数の進路情報とを含む場合における支援情報の表示例である。そのような支援情報に代えて、例えば、キャリアプラン提案モデルによっては、支援情報は、提案する複数の職業と、当該職業に就くまでの少なくとも1つの進路情報とを含む場合がある。支援情報に含まれる情報に応じた表示態様が予め定められ、当該定められた表示態様でもって支援情報が表示される。
【0039】
このように端末装置5によって、キャリアプランについての支援情報が画面表示されることにより、提供対象者に支援情報が提供される。
【0040】
以下に、学習装置3と提供装置2のそれぞれの動作の一例を
図5、
図6を参照しながら説明する。
図5は、学習装置3におけるキャリアプラン提案モデルの生成処理に係る動作の一例を表すフローチャートである。
図6は、提供装置2における支援情報の提供処理に係る動作の一例を表すフローチャートである。
【0041】
まず、学習装置3におけるキャリアプラン提案モデルの生成処理に係る動作の一例を説明する。例えば、学習装置3の取得部31が、ロールモデルに関する情報を情報源7から解析対象情報として取得する(
図5におけるステップ101)。ここでは、この取得動作よりも前に、様々な職業からロールモデルが選定されているとする。また、取得部31が取得するロールモデルに関する情報とは、前述したように、ロールモデルの行動の情報と発言の情報と文章の情報のうちの少なくとも一つの情報を含む情報である。また、一つの職業から選定されるロールモデルは一人に限定されず複数人である場合もある。
【0042】
その後、推定部32が、取得されたロールモデルの解析対象情報を用いて、ロールモデルの人物像を推定する(ステップ102)。
【0043】
然る後に、学習部33がAI技術による機械学習によってキャリアプラン提案モデルを生成する(ステップ103)。この機械学習では、学習部33は、様々な職業から選定されたロールモデルの人物像情報と経歴情報が関連付けられているデータを教師データとして用いる。
【0044】
このように生成されたキャリアプラン提案モデルは学習装置3から提供装置2に出力される。また、上述したようなステップ101,102,103のそれぞれの動作を、それぞれ予め設定されたタイミングでもって実行することにより、キャリアプラン提案モデルの更新が行われる。学習装置3は、更新されたキャリアプラン提案モデルを提供装置2に出力することにより、提供装置2に保持されているキャリアプラン提案モデルを更新することができる。
【0045】
次に、提供装置2における支援情報の提供処理に係る動作の一例を説明する。提供装置2は、学習装置3において生成されたキャリアプラン提案モデルを用いることができる状態において、端末装置5から提供要求が送信されてくると、受付部21が提供要求を受け付ける。さらに、受付部21は、提供要求に関連付けられて端末装置5から送信されてきた提供対象者の属性情報を受け付ける(ステップ201)。
【0046】
その後、生成部22が、提供対象者の属性情報をキャリアプラン提案モデルに入力する(ステップ202)。そして、生成部22は、キャリアプラン提案モデルから出力されたキャリアプランの情報を支援情報として取得(生成)する(ステップ203)。
【0047】
然る後に、出力部23が、生成された支援情報を、提供要求を発信した端末装置5に返信(出力)する(ステップ204)。支援情報を受信した端末装置5によって、支援情報が画面表示されることにより、支援情報が提供対象者に提供される。
【0048】
第1実施形態の情報提供システム1は、上述したように構成されている。つまり、学習装置3は、様々な職業から選定されたロールモデルについて取得した情報を用いてロールモデルの人物像を推定し、ロールモデルの推定した人物像の情報と経歴情報を用いてキャリアプラン提案モデルを生成する。これにより、学習装置3は、ロールモデル自身やその知人というような人によるロールモデルの主観的な人物像の情報を用いて生成する場合よりも、客観的なデータを用いたキャリアプラン提案モデルの生成(学習)が成されることとなる。このため、学習装置3は、キャリアプラン提案モデルから出力される支援情報に対する信頼性を高めることができる。情報提供システム1は、そのようなキャリアプラン提案モデルを用いて、キャリアプランを策定しようとしている人などの提供対象者に支援情報を提供することから、提供対象者に合った支援情報を提供できる。
【0049】
<第2実施形態>
以下に、本開示に係る第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態の情報提供システムの構成の説明にて使用した構成要素の名称と同一の名称部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0050】
第2実施形態の情報提供システム1は、第1実施形態の情報提供システム1の構成に加えて、
図7に表されているように、提供装置2に判断部24が備えられている。判断部24は、提供対象者の人物像を判断(推定)する機能を備えている。
【0051】
すなわち、第2実施形態では、受付部21は、提供対象者の人物像を判断(推定)するための情報を端末装置5から受け付ける構成をさらに備える。提供対象者の人物像を判断するための情報(以下、人物像判断用情報とも称する)の一例としては、例えば、人物像(性格や人柄や思考の傾向など)を判断するアンケートに対する提供対象者の回答が挙げられる。つまり、第2実施形態では、提供装置2が端末装置5から提供要求を受け付けると、人物像を判断する材料となる情報を収集するために用意されたアンケートが提供装置2から端末装置5に送信される。これにより、端末装置5における表示装置には、そのようなアンケートの画面が表示される。提供対象者がそのアンケートに対する回答を端末装置5に入力することにより、アンケートの回答が人物像判断用情報として端末装置5から提供装置2に返信(送信)される。このように端末装置5から提供装置2に送信された人物像判断用情報が受付部21により受け付けられる。
【0052】
判断部24は、そのように受け付けられた人物像判断用情報を取得し、当該人物像判断用情報を用いて、提供対象者の人物像を判断(推定)する。ここでの人物像の判断手法は限定されず、その説明は省略される。
【0053】
第2実施形態では、生成部22がキャリアプラン提案モデルに入力する提供対象者の属性情報は、判断部24により判断された提供対象者の人物像の情報が含まれる。
【0054】
第2実施形態における情報提供システム1の上述した構成以外の構成は第1実施形態の情報提供システム1の構成と同様である。
【0055】
第2実施形態の情報提供システム1は、上述したように、ロールモデルの人物像だけでなく、提供対象者の人物像も推定することから、提供対象者により合った支援情報を提供できる。
【0056】
<その他の実施形態>
本発明は上述した第1や第2の実施形態に限定されずに様々な実施の形態を採り得る。例えば、第2実施形態では、提供対象者の人物像を判断するための人物像判断用情報は、人物像判断に用いる情報を収集するアンケートに対する回答である。アンケート回答に代えて、あるいは、アンケート回答に加えて、提供対象者の行動や発言や文章を表す情報を含む公開されている情報が例えば
図7に表されている情報源9から取集される。そして、当該収集された情報が人物像判断用情報として用いられて、判断部24により提供対象者の人物像が判断されてもよい。
【0057】
また、第1と第2の実施形態では、提供装置2と学習装置3は、別々のコンピュータ装置により表されているが、提供装置2と学習装置3は、共通のコンピュータ装置により実現されてもよい。
【0058】
さらに、その他の実施形態としての情報提供システムは、
図8に表されるような構成を備える。すなわち、情報提供システム80は、取得手段81と、推定手段82と、生成手段83と、出力手段84とを備える。取得手段81は、見本となる経歴を持つ人物であるロールモデルの行動を表す情報と発言を表す情報と文章を表す情報のうちの少なくとも一つの情報を取得する。推定手段82は、取得された情報を利用してロールモデルの人物像を推定する。生成手段83は、キャリアプラン提案モデルと、提供対象者の属性情報とを用いて、提供対象者に提案するキャリアプランの情報を生成する。キャリアプラン提案モデルは、ロールモデルの推定された人物像を表す人物像情報とロールモデルの経歴を表す経歴情報が関連付けられた情報を機械学習することにより生成される。このように生成されたキャリアプラン提案モデルは、提供対象者の属性情報を入力とし当該提供対象者に提案するキャリアプランの情報を出力とする。出力手段84は、生成されたキャリアプランの情報を支援情報として出力する。第1や第2の実施形態で説明した取得部31、推定部32、生成部22および出力部23は、それぞれ、取得手段81、推定手段82、生成手段83および出力手段84の一例である。
【0059】
次に、情報提供システム80における動作の一例を、
図9を参照しながら説明する。
図9は、情報提供システム80における動作の一例を説明するフローチャートである。
【0060】
例えば、取得手段81は、ロールモデルの行動を表す情報と発言を表す情報と文章を表す情報のうちの少なくとも一つの情報(ロールモデルに関する情報)を取得する(ステップ301)。そして、推定手段82が、その取得された情報を利用してロールモデルの人物像を推定する(ステップ302)。然る後に、ロールモデルの推定された人物像を表す人物像情報とロールモデルの経歴を表す経歴情報が関連付けられた情報を機械学習することによって、キャリアプラン提案モデルが生成される。
【0061】
このようなキャリアプラン提案モデルが生成されている状態において、情報提供システム80が提供対象者の属性情報を受け付ける(ステップ303)。これにより、生成手段83が、提供対象者の属性情報と、キャリアプラン提案モデルとを用いて、提供対象者に提案するキャリアプランの情報を生成する(ステップ304)。そして、出力手段84が、生成されたキャリアプランの情報を支援情報として出力する(ステップ305)。この出力された支援情報は、例えば、提供対象者が操作している端末装置の表示装置に表示されることにより、提供対象者に提供される。
【0062】
この情報提供システム80では、上述したように、取得手段81により取得された情報を用いてロールモデルの人物像が推定され、推定されたロールモデルの人物像の情報と経歴情報が関連付けられている教師データを用いてキャリアプラン提案モデルが生成される。情報提供システム80は、そのようにロールモデルの客観的な人物像の情報を用いて生成されたキャリアプラン提案モデルと、提供対象者の属性情報とによって、提案するキャリアプランの情報を支援情報として提供対象者に向けて出力する。これにより、ロールモデルの主観的な人物像の情報を用いてキャリアプランの情報を提案する場合に懸念されるロールモデルと情報提供者の人物像のずれの問題が軽減され、情報提供システム80は、提供対象者に合ったキャリアプランに関する情報を出力できる。
【符号の説明】
【0063】
1 情報提供システム
2 提供装置
3 学習装置
21 受付部
22 生成部
23 出力部
31 取得部
32 推定部
33 学習部
81 取得手段
82 推定手段
83 生成手段
84 出力手段