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特開2024-173115位置推定装置、位置推定方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173115
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】位置推定装置、位置推定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/28 20060101AFI20241205BHJP
   G01C 21/20 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G01C21/28
G01C21/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091284
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】安達 英夫
(72)【発明者】
【氏名】大場 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】荒井 貴成
(72)【発明者】
【氏名】板倉 州優
(72)【発明者】
【氏名】八幡 正典
(72)【発明者】
【氏名】田中 優美
(72)【発明者】
【氏名】石川 和広
(72)【発明者】
【氏名】浅川 義博
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129AA11
2F129AA14
2F129BB15
2F129BB33
2F129CC14
2F129CC15
2F129CC23
2F129CC31
2F129EE78
2F129FF02
2F129FF19
2F129GG17
2F129HH20
2F129HH21
(57)【要約】
【課題】 地表面に位置を特定するための情報が得られる対象が無くても、GNSSを使用できない場合であっても位置を推定できる位置推定装置等を提供する。
【解決手段】 本開示の一態様に係る位置推定装置は、移動体が受信した、対象からの前記対象を特定する信号である特定信号の情報を受け取る特定信号受取手段と、前記特定信号から前記対象の三次元位置である対象位置を特定する対象位置特定手段と、前記移動体に搭載された撮像装置によって撮像された画像を受け取る画像受取手段と、前記特定信号によって特定される前記対象の情報を使用して、前記画像から前記対象を検出する対象検出手段と、前記画像において前記対象が検出された位置である検出位置と前記対象の前記対象位置とから、前記移動体の三次元位置である移動体位置を推定する位置推定手段と、前記移動体の前記移動体位置を出力する出力手段と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体が受信した、対象からの前記対象を特定する信号である特定信号の情報を受け取る特定信号受取手段と、
前記特定信号から前記対象の三次元位置である対象位置を特定する対象位置特定手段と、
前記移動体に搭載された撮像装置によって撮像された画像を受け取る画像受取手段と、
前記特定信号によって特定される前記対象の情報を使用して、前記画像から前記対象を検出する対象検出手段と、
前記画像において前記対象が検出された位置である検出位置と前記対象の前記対象位置とから、前記移動体の三次元位置である移動体位置を推定する位置推定手段と、
前記移動体の前記移動体位置を出力する出力手段と、
を備える位置推定装置。
【請求項2】
前記特定信号受取手段は、移動する前記対象からの前記特定信号の情報を受信する
請求項1に記載の位置推定装置。
【請求項3】
前記特定信号受取手段は、船舶である前記対象からの、船舶自動識別装置のための前記対象の位置情報を含む信号を、前記特定信号として受信し、
前記対象位置特定手段は、前記特定信号の情報から、前記対象の前記対象位置を抽出する
請求項2に記載の位置推定装置。
【請求項4】
前記対象検出手段は、前記特定信号から前記対象の識別情報を抽出し、当該特定信号によって特定される船舶の情報を使用して、前記画像から前記対象を検出する
請求項3に記載の位置推定装置。
【請求項5】
前記特定信号受取手段は、航空機である前記対象から、放送型自動従属監視の、前記対象の位置情報を含む信号を、前記特定信号として受信し、
前記対象位置特定手段は、前記特定信号の情報から、前記対象の前記対象位置を抽出する
請求項2に記載の位置推定装置。
【請求項6】
前記対象検出手段は、前記特定信号から前記対象の種類を抽出し、抽出された前記種類の航空機の情報を使用して、前記画像から前記対象を検出する
請求項5に記載の位置推定装置。
【請求項7】
前記特定信号受取手段は、他の移動体である前記対象から、前記他の移動体の位置を表す情報を含む信号を、前記特定信号として受信し、
前記対象位置特定手段は、前記特定信号の情報から、前記対象の前記対象位置を抽出する
請求項2に記載の位置推定装置。
【請求項8】
前記位置推定手段は、
前記対象から、前記特定信号に対する所定の概算用選択方法に従って概算用対象を選択し、
当該概算用対象の前記検出位置と前記概算用対象の前記対象位置とから、前記移動体の概算三次元位置を算出し、
当該概算三次元位置と前記対象の前記対象位置との間の相対位置に基づく所定の精算用選択方法に従って、前記対象から精算用対象を選択し、
当該精算用対象の前記検出位置と前記精算用対象の前記対象位置とから、前記移動体の前記移動体位置を算出する
請求項1又は2に記載の位置推定装置。
【請求項9】
移動体が受信した、対象からの前記対象を特定する信号である特定信号の情報を受け取り、
前記特定信号から前記対象の三次元位置である対象位置を特定し、
前記移動体に搭載された撮像装置によって撮像された画像を受け取る画像受取手段と、
前記特定信号によって特定される前記対象の情報を使用して、前記画像から前記対象を検出し、
前記画像において前記対象が検出された位置である検出位置と前記対象の前記対象位置とから、前記移動体の三次元位置である移動体位置を推定し、
前記移動体の前記移動体位置を出力する、
位置推定方法。
【請求項10】
移動体が受信した、対象からの前記対象を特定する信号である特定信号の情報を受け取る特定信号受取処理と、
前記特定信号から前記対象の三次元位置である対象位置を特定する対象位置特定処理と、
前記移動体に搭載された撮像装置によって撮像された画像を受け取る画像受取処理と、
前記特定信号によって特定される前記対象の情報を使用して、前記画像から前記対象を検出する対象検出処理と、
前記画像において前記対象が検出された位置である検出位置と前記対象の前記対象位置とから、前記移動体の三次元位置である移動体位置を推定する位置推定処理と、
前記移動体の前記移動体位置を出力する出力処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、位置推定装置、位置推定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドローン等の飛翔体を含む移動体の位置の推定には、一般的に、GNSS(Global Navigation Satellite System)が使用される。しかし、GNSSを利用するための装置の故障又は異常等の発生によってGNSSを利用できない場合、位置を特定できなくなる。位置を特定できない場合、危険である。
【0003】
特許文献1には、GPS(Global Positioning System)を利用できない場合に、カメラで撮像した画像の海岸線の形状から、自機の位置を推定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-035670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術は、特徴的な海岸線を撮像できる範囲において、GPSを利用できなくても飛翔体の位置を推定することができる。しかし、特許文献1の技術では、特徴的な海岸線を撮像できる範囲以外では、位置を推定することはできない。言い換えると、特許文献1の技術では、地表面に位置を特定するための情報が得られる海岸線が存在しなければ、位置を推定することはできない。
【0006】
本開示の目的の1つは、地表面に位置を特定するための情報が得られる対象が無くても、GNSSを使用できない場合であっても位置を推定できる位置推定装置、位置推定方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る位置推定装置は、移動体が受信した、対象からの前記対象を特定する信号である特定信号の情報を受け取る特定信号受取手段と、前記特定信号から前記対象の三次元位置である対象位置を特定する対象位置特定手段と、前記移動体に搭載された撮像装置によって撮像された画像を受け取る画像受取手段と、前記特定信号によって特定される前記対象の情報を使用して、前記画像から前記対象を検出する対象検出手段と、前記画像において前記対象が検出された位置である検出位置と前記対象の前記対象位置とから、前記移動体の三次元位置である移動体位置を推定する位置推定手段と、前記移動体の前記移動体位置を出力する出力手段と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る位置推定方法は、移動体が受信した、対象からの前記対象を特定する信号である特定信号の情報を受け取り、前記特定信号から前記対象の三次元位置である対象位置を特定し、前記移動体に搭載された撮像装置によって撮像された画像を受け取る画像受取手段と、前記特定信号によって特定される前記対象の情報を使用して、前記画像から前記対象を検出し、前記画像において前記対象が検出された位置である検出位置と前記対象の前記対象位置とから、前記移動体の三次元位置である移動体位置を推定し、前記移動体の前記移動体位置を出力する。
【0009】
本開示の一態様に係るプログラムは、移動体が受信した、対象からの前記対象を特定する信号である特定信号の情報を受け取る特定信号受取処理と、前記特定信号から前記対象の三次元位置である対象位置を特定する対象位置特定処理と、前記移動体に搭載された撮像装置によって撮像された画像を受け取る画像受取処理と、前記特定信号によって特定される前記対象の情報を使用して、前記画像から前記対象を検出する対象検出処理と、前記画像において前記対象が検出された位置である検出位置と前記対象の前記対象位置とから、前記移動体の三次元位置である移動体位置を推定する位置推定処理と、前記移動体の前記移動体位置を出力する出力処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示には、地表面に位置を特定するための情報が得られる対象が無くても、GNSSを使用できない場合であっても位置を推定できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の実施形態に係る位置推定装置の構成の例を表すブロック図である。
図2図2は、本開示の実施形態に係る位置推定装置の動作の例を表すフローチャートである。
図3図3は、本開示の実施形態に係る位置推定装置の構成の例を表すブロック図である。
図4図4は、本開示の実施形態に係る位置推定装置の接続の例を表す図である。
図5図5は、本開示の実施形態に係る位置推定装置の動作の例を表すフローチャートである。
図6図6は、本開示の実施形態に係る位置推定装置の動作の例を表すフローチャートである。
図7図7は、本開示の実施形態に係る位置推定装置の接続の例を表す図である。
図8図8は、本開示の実施形態に係る位置推定装置の構成の例を表すブロック図である。
図9図9は、本開示の実施形態に係る移動体の構成の例を表すブロック図である。
図10図10は、本開示の実施形態に係る移動体の構成の例を表すブロック図である。
図11図11は、本開示の実施形態に係る位置推定装置及び変形例に係る位置推定装置を実現できる、コンピュータのハードウェア構成の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本開示の実施形態について、図面を使用して詳細に説明する。
【0013】
<第1の実施形態>
まず、本開示の第1の実施形態について、図面を使用して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本開示の実施形態に係る位置推定装置の構成の例を表すブロック図である。
【0015】
本開示の第1の実施形態に係る位置推定装置について、図1を使用して説明する。図1に示す例では、位置推定装置10は、特定信号受取部110と、対象位置特定部120と、画像受取部130と、対象検出部140と、位置推定部150と、出力部160と、を備える。位置推定装置10は、飛翔体と、通信可能である。位置推定装置10は、例えば、無線を使用した通信経路を介して、飛翔体と通信可能に接続されていてもよい。位置推定装置100は、飛翔体に搭載されていてもよい。
【0016】
特定信号受取部110は、移動体が受信した、対象からの前記対象を特定する信号である特定信号の情報を受け取る。対象位置特定部120は、前記特定信号から前記対象の三次元位置である対象位置を特定する。画像受取部130は、前記移動体に搭載された撮像装置によって撮像された画像を受け取る。対象検出部140は、前記特定信号によって特定される前記対象の情報を使用して、前記画像から前記対象を検出する。位置推定部150は、前記画像において前記対象が検出された位置である検出位置と前記対象の前記対象位置とから、前記移動体の三次元位置である移動体位置を推定する。出力部160は、前記移動体の前記移動体位置を出力する。
【0017】
対象は、対象を特定する情報及び対象の種類を特定する情報の少なくとも一方を含む情報を、例えば電波などの信号として発信する、例えば船舶、航空機、ドローン及び空飛ぶクルマなどの移動体である。特定信号は、対象が発信する、対象を特定する情報及び対象の種類を特定する情報の少なくとも一方(対象の識別情報とも表記)を含む情報を表す上述の信号である。特定信号は、対象の三次元位置等を含んでいてよい。三次元位置は、例えば、緯度、経度、及び、高さによって表される、三次元空間内の位置を表す情報である。高さは、あらかじめ定められた基準面からの高さであってよい。
【0018】
対象が船舶である場合、特定信号は、船舶自動識別装置(AIS:Automatic Identification System)において使用される、船舶が発信する電波の信号である。この場合、特定信号は、船舶の情報、例えば、位置情報、時刻、対地進路、対地速度、国際海事機関識別番号(IMO(International Marine Organization)番号)、船の種類などの情報を含む。一般に、船舶は、水面上を航行する。すなわち、船舶の高さは、ゼロとみなすことができる。従って、この場合の位置情報は、緯度及び経度を表していてよい。そして、船舶の緯度及び経度は、高さがゼロとみなすことができるので、船舶の三次元位置を表す。
【0019】
対象が航空機である場合、特定信号は、放送型自動従属監視(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast;ADS-B)において使用される、航空機が発信する電波の信号である。この場合、特定信号は、航空機の情報、例えば、三次元位置(すなわち、位置及び高度)、機首方位、機体識別情報、航空機の種類、便名等の情報を含む。
【0020】
対象がドローンである場合、特定信号は、ドローンに取り付けられたリモートID(Identification)と呼ばれる発信器から発信される信号である。この場合、特定信号は、登録番号、製造番号、位置情報等の情報を含む。この場合の位置情報は、三次元位置を表していてよい。ドローンは、リモートIDではない発信器から、ドローンを特定する識別情報とドローンの三次元位置の情報とを表す特定信号を発信するように構成されていてもよい。
【0021】
上述のように、対象は、いわゆる空飛ぶクルマ(すなわち、人が搭乗できる小型の航空機)であってもよい。この場合、空飛ぶクルマは、空飛ぶクルマを特定する識別情報を含む対象信号を発信するように構成される。空飛ぶクルマは、その空飛ぶクルマの識別情報とその空飛ぶクルマの三次元位置とを含む対象信号を発信するように構成されていてもよい。
【0022】
対象は、以上の例に限られない。対象は、対象を特定する信号である特定信号を発信する他の装置等であってもよい。対象は、対象の三次元位置を含まない特定信号を発信する装置等であってもよい。その場合、対象は、対象の三次元位置を測定し、測定した三次元位置を特定信号によらない通信の経路を介して、他のサーバ等(以下、対象情報サーバと表記)又は位置推定装置100に送信するように構成される。対象が対象の三次元位置を対象情報サーバに送信するように構成されている場合、位置推定装置10の例えば対象位置特定部120が、対象情報サーバから対象の三次元位置の情報を受け取る。
【0023】
移動体は、例えば、ドローンなどの飛翔体である。移動体は、地表を移動する車両、又は、水面を移動する船舶等であってもよい。移動体は、特定信号を受信する信号受信部と、画像を撮像する撮像装置と、位置推定装置10と通信を行う通信装置とを備える。移動体は、信号受信部によって特定信号を受信する。移動体は、受信した特定信号を表す情報を、通信装置によって位置推定装置10に送信する。移動体は、さらに、撮像装置によって画像を撮像する。移動体は、撮像装置によって撮像した画像を、通信装置によって位置推定装置10に送信する。移動体は、複数の撮像装置を備えていてもよい。その場合、移動体は、複数の撮像装置の1つ以上が撮像した画像を、位置推定装置10に送信する。
【0024】
なお、撮像装置の、画角、焦点距離、解像度等のカメラパラメータは、予め、位置推定装置10に与えられている。さらに、移動体おける撮像装置の取り付けられ方は、予め、位置推定装置10に与えられている。移動体おける撮像装置の取り付けられ方とは、例えば、移動体に設定された座標系(以下、移動体座標系と表記)と、撮像装置に設定された座標系(以下、カメラ座標系と表記)と、撮像装置が撮像した画像における座標系(以下、画像座標系と表記)との間の関係を表す。撮像装置のカメラパラメータ及び移動体おける撮像装置の取り付けられ方を表す情報を、撮像装置情報と表記する。
【0025】
特定信号受取部110、対象位置特定部120、画像受取部130、対象検出部140、位置推定部150及び出力部160については、後でさらに詳細に説明する。
【0026】
<動作>
図2は、本開示の実施形態に係る位置推定装置10の動作の例を表すフローチャートである。
【0027】
以下では、本開示の第1の実施形態に係る位置推定装置10の動作を、図2を使用して詳細に説明する。
【0028】
図2に示す例では、まず、特定信号受取部110が、移動体が受信した、対象からの、対象を特定する信号である特定信号の情報を受け取る(ステップS11)。次に、対象位置特定部120が、特定信号から、対象の三次元位置である対象位置を特定する(ステップS12)。また、画像受取部130は、移動体に搭載された撮像装置によって撮像された画像を受け取る(ステップS13)。
【0029】
次に、対象検出部140が、特定信号によって特定される対象の情報を使用して、画像から対象を検出する(ステップS14)。そして、位置推定部150が、画像において対象が検出された位置である検出位置と対象の対象位置とから、移動体の三次元位置である移動体位置を推定する(ステップS15)。出力部160は、移動体の移動体位置を出力する(ステップS16)。
【0030】
<効果>
地表面に位置を特定するための情報が得られる対象が無くても、GNSSを使用できない場合であっても位置を推定できるという効果がある。
【0031】
その理由は、対象位置特定部120が、特定信号から対象の三次元位置である対象位置を特定するからである。特定信号は、上述のように、移動体が受信した、対象からの対象を特定する信号である。そして、対象検出部140が、特定信号によって特定される対象の情報を使用して、移動体に搭載された撮像装置によって撮像された画像から対象を検出するからである。さらに、位置推定部150が、上述の画像において対象が検出された位置である検出位置と対象の対象位置とから、移動体の三次元位置である移動体位置を推定するからである。これにより、地表面に位置を特定するための情報が得られる対象が無くても、移動体の位置の推定が可能になる。
【0032】
<第1の実施形態の詳細例>
<特定信号受取部110>
上述のように、特定信号受取部110は、移動体が受信した、対象からの、対象を特定する信号である特定信号の情報を受け取る。特定信号受取部110は、特定信号の情報を、移動体から受け取る。なお、本実施形態では、特定信号受取部110は、3つ以上の対象の特定信号の情報を受け取る。
【0033】
<対象位置特定部120>
上述のように、対象位置特定部120は、特定信号から対象の三次元位置である対象位置を特定する。対象位置特定部120は、特定信号が対象の位置の情報である位置情報を含む場合、特定信号の情報から対象位置を抽出する。対象位置特定部120は、特定信号が対象の位置の情報である位置情報を含まない場合、特定信号の情報に含まれる対象を特定する情報が表す対象の三次元位置の情報を、上述の対象情報サーバから受け取る。
【0034】
<画像受取部130>
上述のように、画像受取部130は、移動体に搭載された撮像装置によって撮像された画像を受け取る。画像は、静止画像であってもよい。画像は、動画像であってもよい。
【0035】
<対象検出部140>
上述のように、対象検出部140は、特定信号によって特定される対象の情報を使用して、画像から対象を検出する。
【0036】
本実施形態では、特定信号によって特定される対象の情報は、対象検出部140に予め与えられている。対象の情報は、例えば、特定信号が含む対象の識別情報によって特定される対象又は識別情報によって特定される種類の対象の、表面の情報(例えば、表面の形状及び表面の模様の少なくとも一方)の情報を含む。表面の情報は、例えば、表面の形状の情報である。表面の情報は、表面の形状の情報と、表面のデザインの情報とを含んでいてもよい。表面のデザインの情報は、例えば、表面の領域ごとの色、模様、描かれているロゴなどの情報である。
【0037】
例えば、対象が船舶である場合、特定信号によって特定される対象の情報は、特定信号の情報に含まれる例えばIMO番号によって特定される船舶の表面の情報(例えば、表面の形状、又は、表面の形状及び表面のデザイン等)の情報を含む。例えば、対象が航空機である場合、特定信号によって特定される対象の情報は、特定信号の情報に含まれる航空機の機体識別情報が示す航空機の機体の表面の形状の情報と、その航空機の機体のデザイン(例えば機体の色及びロゴなど)の情報を含む。例えば、対象がドローンであり場合、特定信号によって特定される対象の情報は、特定信号の情報に含まれるドローンの登録番号及び製造番号の少なくとも一方と関連付けられている、ドローンの機体の形状の情報を含む。特定信号によって特定される対象の情報は、特定信号の情報に含まれるドローンの登録番号及び製造番号の少なくとも一方と関連付けられている、ドローンの機体のデザイン(形状及び色等)の情報を含んでいてもよい。
【0038】
対象検出部140は、例えば三次元の物体を画像において検出する既存の画像認識技術を使用して、画像から対象を検出する。そして、対象検出部140は、画像において対象が検出された位置(すなわち、画像座標系における二次元の位置)を、検出位置とする。
【0039】
なお、対象検出部140は、3つ以上の対象を検出する。
【0040】
<位置推定部150>
位置推定部150は、例えば以下で説明するように、画像において対象が検出された位置である検出位置とその対象の対象位置とから、移動体の三次元位置である移動体位置を推定する。
【0041】
位置推定部150は、例えば、画像において対象が検出された二次元の位置である検出位置と、対象の三次元位置である対象位置とを使用して、対象の三次元位置から移動体が搭載する撮像装置のカメラ中心への方向を算出する。
【0042】
具体的には、まず、位置推定部150は、画像における対象の検出位置である二次元位置を使用して、例えばカメラ座標系におけるベクトルによって表される、撮像装置のカメラ中心から対象の三次元位置によって示される点への方向を算出する。カメラ座標系は、上述のように、撮像装置に設定された三次元座標系である。
【0043】
画像おける対象が検出された検出位置である二次元位置は、画像に設定された二次元座標系(すなわち、画像座標系)の座標によって表される。画像座標系は、三次元空間において撮像装置によって撮像される画像が投影される画像面に設定される二次元座標系に相当する。画像おける対象が検出された検出位置である二次元位置が示す点は、三次元空間における画像面上の点に対応する。画像座標系と撮像装置に設定された三次元座標系(すなわち、カメラ座標系)との関係は、上述のように予め得られている。従って、画像座標系における点(以下、画像点と表記)の座標から、画像面上の前述の画像点に対応する点の、カメラ座標系における座標を計算できる。位置推定部150は、画像おける対象が検出された検出位置の画像座標系における座標から、画像おける対象が検出された検出位置に対応する画像面上の点の、カメラ座標系における座標を算出する。カメラ座標系は撮像装置を中心に設定された座標系であるので、カメラ座標系における撮像装置のカメラ中心の座標は得られている。例えば、撮像装置のカメラ中心は、カメラ座標系の原点であってよい。位置推定部150は、カメラ座標系における、カメラ中心から、画像おける対象が検出された検出位置に対応する画像面上の点へのベクトルを、カメラ座標系における、カメラ中心から対象の三次元位置によって示される点への方向を表すベクトルとする。
【0044】
位置推定部150は、上述の3つ以上の対象の各々の、カメラ中心から対象の三次元位置によって示される点への方向を表すベクトルを算出する。
【0045】
移動体に複数の撮像装置が搭載され、上述の3つ以上の対象の少なくともいずれか1つが他の対象が撮像された撮像装置とは異なる撮像装置によって撮像された場合、位置推定部150は、対象が撮像された撮像装置のカメラ座標系における上述のベクトルを算出する。上述のように、移動体に設定された三次元座標系(すなわち、移動体座標系)と、移動体に搭載されている撮像装置のカメラ座標系との関係は既知である。
位置推定部150は、移動体座標系と撮像装置のカメラ座標系との関係を使用して、異なるカメラ座標系における上述のベクトルを、移動体座標系との関係が既知である三次元座標系(以下、対象座標系と表記)の1つにおいて表されたベクトルに変換する。対象座標系は、移動体座標系であってもよい。対象座標系は、複数の撮像装置のカメラ座標系のいずれか1つであってもよい。対象座標系は、移動体座標系との関係があらかじめ定まっている他の三次元座標系であってもよい。
【0046】
上述の対象座標系と、上述の対象の三次元位置を示す座標(例えば、緯度、経度及び高さ)の、三次元空間内に定義された三次元座標系(以下、空間座標系)との間の変換は、三次元空間内における回転及び並進ベクトルによって表される。また、前述のカメラ中心を通り前述の対象座標系におけるベクトルによって表される方向の直線は、対象の三次元位置を通る。すなわち、対象の三次元位置を示す座標に上述の回転を表す変換を行った座標は、上述の直線を表す式を満たす。
【0047】
位置推定部150は、例えば、複数の対象の三次元位置の上述の式から、空間座標系の座標から対象座標系への変換(すなわち回転及び並進ベクトル)を表すパラメータを算出する。位置推定部150は、カメラ中心から対象の三次元位置によって示される点への方向を表すベクトルに対して、上述の変換の逆変換(すなわち、対象座標系の座標から空間座標系の座標への変換)を適用することによって、空間座標系における、カメラ中心から対象の三次元位置によって示される点への方向を表すベクトルが得られる。
【0048】
位置推定部150は、例えば、3つ以上の対象についての、対象の三次元位置を通り、カメラ中心から対象の三次元位置によって示される点への方向を表すベクトルの方向の直線に対する、距離の二乗の和が最も小さい点の座標を、例えば最小二乗法によって算出する。位置推定部150は、算出された座標を、移動体の位置とする。
【0049】
<出力部160>
出力部160は、位置推定部150によって推定された、移動体の移動体位置を出力する。出力部160は、移動体の移動体位置を、その移動体に対して出力する。
【0050】
<第2の実施形態>
以下では、本開示の第2の実施形態について、図面を使用して詳細に説明する。
【0051】
<構成>
図3は、本開示の実施形態に係る位置推定装置の構成の例を表すブロック図である。本開示の第2の実施形態に係る位置推定装置100について、図3を使用して詳細に説明する。
【0052】
図3に示す例では、位置推定装置10は、特定信号受取部110と、対象位置特定部120と、画像受取部130と、対象検出部140と、位置推定部150と、出力部160と、対象情報取得部170と、対象情報記憶部180とを備える。
【0053】
本実施形態の特定信号受取部110、対象位置特定部120、画像受取部130、対象検出部140、位置推定部150及び出力部160は、以下で説明する相違点を除いて、第1の実施形態の、同じ名称と同じ符号とが付与されている部と同じである。第1の実施形態の詳細例は、以下で説明する相違点を除いて、本実施形態に適用できる。
【0054】
図4は、本開示の実施形態に係る位置推定装置100の接続の例を表す図である。
【0055】
本実施形態では、位置推定装置100は、例えば通信ネットワーク400を介して、移動体200と通信可能に接続されている。また、位置推定装置100は、例えば通信ネットワーク400を介して、対象情報サーバ300と接続されている。
【0056】
<移動体200>
移動体200は、信号受信部210と、撮像装置220と、位置取得部230と、制御部240とを含む。移動体200は、例えば、ドローンなどの飛翔体である。移動体200は、地表面を移動する車両又は水面を移動する船舶等であってもよい。移動体200は、第1の実施形態の移動体に対応する。
【0057】
信号受信部210は、上述の特定信号を検出する。信号受信部210は、検出した特定信号を受信する。信号受信部210は、受信した特定信号を、制御部240を介して位置推定装置100に送信する。
【0058】
撮像装置220は、画像を撮像する。画像は、静止画像であってよい。画像は、動画像であってもよい。撮像装置220は、撮像した画像を、制御部240を介して、位置推定装置100に送信する。移動体200は、1つ以上の撮像装置220を含んでいてよい。
【0059】
位置取得部230は、例えばGNSS等の位置を取得するためのシステムを利用して、位置を取得する。
【0060】
制御部240は、信号受信部210から特定信号の情報を受け取る。制御部240は、撮像装置220から、撮像された画像を受け取る。制御部240は、位置取得部230から、取得された位置の情報を受け取る。位置取得部230は、特定信号の情報と画像とを、位置推定装置100に送信する。位置取得部230は、位置推定装置100から、移動体200の推定された位置の情報を受け取る。制御部240は、さらに、通信ネットワーク400に接続されている他の装置(例えば、位置推定装置100)と、通信ネットワーク400を介して通信を行うことができる。
【0061】
本実施形態の移動体200は、位置取得部230が位置を取得できなかった場合に、位置推定装置100によって推定された位置を、移動体200の位置とする。移動体200は、位置取得部230が位置を取得できなかった場合に、特定信号を表す情報と画像とを位置推定装置100に送信してよい。移動体200は、位置取得部230が位置を取得できている場合、特定信号を表す情報と画像とを位置推定装置100に送信しなくてよい。
【0062】
<対象情報サーバ300>
対象情報サーバ300は、上述の対象の情報を収集する。対象情報サーバ300は、上述の対象の情報を記憶する。対象情報サーバ300は、位置推定装置100から対象の情報の要求を受け取ると、要求された対象の情報を位置推定装置100に送信する。本実施形態の対象情報サーバ300は、第1の実施形態の詳細例における対象情報サーバに対応する。
【0063】
なお、本実施形態では、特定信号に対象の三次元位置の情報が含まれていない場合、対象の情報は、対象の三次元位置の情報を含んでいてよい。三次元位置の情報を含まない特定信号を発信する対象は、対象情報サーバ300に、三次元位置の情報を送信する。対象情報サーバ300は、対象から三次元位置の情報を受け取った場合、その対象から受け取った三次元位置の情報を、その対象の情報の一部として記憶する。なお、対象の情報が対象の三次元位置の情報を含む場合、対象検出部140は、画像から対象を検出するために対象の三次元位置の情報を使用しなくてよい。
【0064】
<対象情報取得部170>
対象情報取得部170は、特定信号によって特定される対象の情報が対象情報記憶部180に格納されていない場合、特定信号によって特定される対象の情報を、対象情報サーバ300から取得する。
【0065】
具体的には、対象情報取得部170は、対象情報記憶部180に格納されていない対象の情報の要求を、対象情報サーバ300に送信する。さらに具体的には、対象情報取得部170は、対象情報記憶部180に格納されていない対象の情報の要求を、対象検出部140から受け取る。対象情報取得部170は、対象の情報の要求を対象検出部140から受け取った場合、その対象の情報の要求を、対象情報サーバ300に送信する。
【0066】
対象情報取得部170は、対象情報サーバ300から、対象情報記憶部180に格納されていない対象の情報を受け取る。対象情報取得部170は、受け取った対象の情報を、対象検出部140に送出する。対象情報取得部170は、さらに、受け取った対象の情報を、対象情報記憶部180に格納する。
【0067】
<対象情報記憶部180>
対象情報記憶部180は、第1の実施形態の詳細例において説明した、対象の情報を記憶する。
【0068】
<対象検出部140>
対象検出部140は、特定信号の情報によって特定される対象の情報が、対象情報記憶部180に格納されている場合、特定信号の情報によって特定される対象の情報を対象情報記憶部180から読み出す。対象検出部140は、特定信号の情報によって特定される対象の情報が、対象情報記憶部180に格納されていない場合、特定信号の情報によって特定される対象の情報の要求を、対象情報取得部170に送出する。
【0069】
以上を除いて、本実施形態の対象検出部140は、第1の実施形態の対象検出部140と同じである。
【0070】
<動作>
図5及び図6は、本開示の実施形態に係る位置推定装置100の動作の例を表すフローチャートである。
【0071】
本開示の第2の実施形態に係る位置推定装置100の動作について、図5及び図6を使用して詳細に説明する。
【0072】
図5及び図6に示す動作の例では、まず、図5に示す動作において、特定信号受取部110が、移動体が受信した、対象からの、対象を特定する信号である特定信号の情報を受け取る(ステップS101)。次に、対象位置特定部120が、特定信号から、対象の三次元位置である対象位置を特定する(ステップS102)。また、画像受取部130は、移動体に搭載された撮像装置によって撮像された画像を受け取る(ステップS103)。
【0073】
対象情報取得部170は、特定信号によって特定される対象の情報を取得する(ステップS104)。なお、特定信号によって特定される対象の情報が対象情報記憶部180に格納されている場合、対象検出部140は、特定信号によって特定される対象の情報を、対象情報記憶部180から読み出す。
【0074】
次に、対象検出部140が、特定信号によって特定される対象の情報を使用して、画像から対象を検出する(ステップS105)。
【0075】
そして、図6に示す動作において、位置推定部150が、画像において対象が検出された位置である検出位置と対象の対象位置とから、移動体の三次元位置である移動体位置を推定する(ステップS106)。出力部160は、移動体の移動体位置を出力する(ステップS107)。
【0076】
<効果>
以上で説明した本実施形態には、第1の実施形態の効果と同じ効果がある。その理由は、第1の実施形態の効果が生じる理由と同じである。
【0077】
<第2の実施形態の第1の変形例>
次に、第2の実施形態の第1の変形例について説明する。本変形例は、以下で説明する相違点を除いて、第2の実施形態と同じである。
【0078】
図7は、本開示の実施形態に係る位置推定装置100の接続の例を表す図である。
【0079】
本変形例では、図7に示す例のように、位置推定装置100は、移動体201に搭載される。移動体201は、信号受信部210,撮像装置220、位置取得部230、制御部240及び位置推定装置100を含む。位置推定装置100は、制御部240を介して、対象情報サーバ300から対象の情報を取得する。
【0080】
<第2の実施形態の第2の変形例>
本開示の第2の実施形態の第2の変形例では、対象は、地上に設置され、対象信号を発信する設備等を含む。地上に設置された対象を、固定発信対象と表記する。固定発信対象は、例えば、電波基地局である。飛翔体の信号受信部210は、基準局から発信される基準信号を、特定信号として受信する。電波基地局の三次元位置の情報は、例えば対象情報サーバ300及び対象情報記憶部180の少なくとも一方に格納されている、対象の情報に含まれる。
【0081】
特定信号受取部110は、固定発信対象からの、固定発信対象を特定する特定信号の情報を更に受け取る。
【0082】
対象情報取得部170は、固定発信対象の情報を、対象情報サーバ300からさらに受け取る。固定発信対象の情報は、上述の対象の情報に対応する。固定発信対象の情報は、固定発信対象の上述の表面の情報と、固定発信対象の三次元位置の情報とを含む。
【0083】
対象検出部140は、固定発信対象の情報のうち、固定発信対象の表面の情報を使用して、画像から固定発信対象を検出する。
【0084】
本変形例の対象検出部140は、固定発信対象を固定発信対象ではない対象(以下、移動対象と表記)と区別せずに、特定信号が検出された対象を検出してもよい。対象検出部140は、特定信号が検出された移動対象の数が3に満たない場合に、固定発信対象を検出してもよい。対象検出部140は、特定信号が検出された固定発信対象の数が3に満たない場合に、移動対象を検出してもよい。
【0085】
位置推定部150は、固定発信対象の三次元位置と、画像において固定発信対象が検出された検出位置とをさらに使用して、移動体の三次元位置を推定する。
【0086】
<第2の実施形態の第3の変形例>
第2の実施形態の第3の変形例の対象検出部140は、さらに、地上に設置され特定信号を発信しない対象(以下、固定対象と表記)を検出してもよい。固定対象は、例えば、建造物の表面、及び、地名等が記載された道路標識及び看板等の設置物等である。
【0087】
上述の対象の情報に対応する固定対象の情報は、固定対象の特徴と、固定対象の三次元位置とを含む。固定対象の情報は、予め対象情報記憶部180に格納されていてもよい。対象情報取得部170が、固定対象の情報を対象情報サーバ300から取得してもよい。
固定対象の特徴は、対象検出部140が固定対象を画像から検出するために使用する固定対象の情報である。
【0088】
固定対象が建造物の表面である場合、固定対象の特徴は、例えば、建造物の表面の画像から抽出される特徴量である。この特徴量は、例えば、いわゆる物体指紋の特徴量である。固定対象が道路標識及び看板等の設置物である場合、固定対象の特徴は、例えば、設置物の表面の画像、及び、設置物の表面に描かれた文字及び図形の情報の少なくとも一方である。
【0089】
固定対象が建造物の表面である場合、対象検出部140は、画像から建造物の表面の領域を検出する。そして、対象検出部140は、検出された建造物の表面の領域から、特徴量を抽出する。対象検出部140は、抽出された特徴量を、固定対象の情報に含まれる特徴量と照合する。この照合の方法は、例えば、物体指紋の照合の方法の1つである。対象検出部140は、抽出された特徴量との照合が成功した特徴量が固定対象の情報に含まれる固定対象が、特徴量が抽出された画像の領域において検出されたと判定する。
【0090】
固定対象が道路標識及び看板等の設置物である場合、対象検出部140は、画像から、固定対象の特徴を検出する。画像から固定対象の特徴が検出された場合、対象検出部140は、固定対象の特徴が検出された位置において、検出された固定対象の特徴が固定対象の情報に含まれる固定対象が検出されたと判定する。
【0091】
この場合、固定対象の表面における散乱及び反射によって移動体200の撮像装置220に到達した光が、固定対象の特定信号であるとみなすこともできる。
【0092】
本変形例の対象検出部140は、固定対象を固定対象ではない対象(以下、発信対象と表記)と区別せずに、対象として検出してもよい。対象検出部140は、特定信号が検出された発信対象の数が3に満たない場合に、固定対象を検出してもよい。対象検出部140は、検出された固定対象の数が3に満たない場合に、発信対象を検出してもよい。
【0093】
固定対象は、特徴的な形状の建造物等(例えば、建築物、橋梁、道路などの人工的に建造された物体)であってもよい。その場合、固定対象の情報は、固定対象の表面の形状の情報を含む。固定対象は、特徴的な自然地形(例えば、山の頂上、河川の特徴部分、河口等の自然の地形)であってもよい。河川の特徴部分は、例えば、複数の流路が合流する合流部分、複数の流路に分岐する分岐部分、河川の曲率が所定値以上である屈曲部分、中洲などである。その場合、固定対象の情報は、固定対象の表面の形状(例えば、山の形、河川の特徴部分の形状、河口の形状等の情報)を含む。
【0094】
<第2の実施形態の第4の変形例>
第2の実施形態の第4の変形例では、位置推定部150は、対象からの特定信号に対する所定の概算用選択方法に従って、対象から概算用対象を抽出する。そして、位置推定部150は、概算用対象の検出位置と、概算用対象の対象位置(すなわち、三次元位置)とから、移動体200の位置を、概算三次元位置として算出する。
【0095】
上述の所定の概算用選択方法は、例えば、受信した特定信号の強さが強い方から、特定信号を発信する所定個数以上の対象を選択することであってよい。この場合、移動体200の信号受信部210は、検出した特定信号の強さを判定する。そして、信号受信部210は、特定信号を表す情報と、特定信号の強さを表す情報とを含む、特定信号の情報を、位置推定装置100に送信する。位置推定装置100の特定信号受取部110は、特定信号を表す情報と特定信号の強さを表す情報とを含む特定信号の情報を、移動体200から受け取る。
【0096】
上述の所定の概算用選択方法は、他の方法であってもよい。概算用選択方法は、例えば、対象から、ランダムに、所定個数以上の対象を選択することであってもよい。概算用選択方法は、例えば、対象の種類に対して付与された優先順位に従って、付与されている優先順位が高い移動体200から、所定個数以上の対象を選択することであってもよい。この方法によって対象を選択する際、例えば同じ種類の対象から1つ以上の対象を選択する場合、特定信号の強さが強い方から対象を選択してもよい。この方法によって対象を選択する際、例えば同じ種類の対象から1つ以上の対象を選択する場合、ランダムに対象を選択してもよい。
【0097】
位置推定部150は、さらに、移動体200の概算三次元位置と、対象の対象位置(すなわち三次元位置)との間の相対位置に基づく所定の精算用選択方法に従って、対象から、精算用対象を選択する。位置推定部150は、画像における精算用対象の検出位置と、精算用対象の対象位置(すなわち、三次元位置)とから、移動体の三次元位置(すなわち、移動体位置)を算出する。
【0098】
精算用選択方法は、例えば、移動体の概算三次元位置からの距離の短さの順位が高い方から所定個数以上の対象を選択することであってもよい。
【0099】
位置推定部150は、次のような精算用選択方法に従って、所定個数以上の対象を選択してもよい。すなわち、位置推定部150は、例えば、移動体の概算三次元位置からの距離が最も短い対象を最初に選択する。位置推定部150は、対象の各々について、移動体の概算三次元位置と対象の三次元位置とを通る直線を算出する。位置推定部150は、移動体の概算三次元位置と既に選択されている対象の三次元位置とを通る直線と、移動体の概算三次元位置と対象の三次元位置とを通る直性とがなす角度が最も大きい対象を選択する。位置推定部150は、選択されている対象が所定個数以上になるまで、同様に対象の選択を繰り返す。
【0100】
精算用選択方法は、以上で説明した方法以外の方法であってもよい。
【0101】
<第2の実施形態の第5の変形例>
図8は、本開示の実施形態に係る位置推定装置の構成の例を表すブロック図である。
【0102】
第2の実施形態の第5の変形例を、図8を使用して説明する。本変形例の位置推定装置101は、以下で説明する相違点を除いて、第2の実施形態の位置推定装置100と同じである。
【0103】
本変形例の位置推定装置101は、第2の実施形態の位置推定装置100の各部と、移動体情報取得部191と、精度比較部192とを含む。
【0104】
移動体情報取得部191は、移動体200から、移動体200の位置取得部230が取得した三次元位置(以下、取得移動体位置とも表記)の推移を取得する。三次元位置の推移は、三次元位置の情報と、その三次元位置の情報が得られた時刻との組み合わせを複数含む情報である。取得移動体位置の推移を、取得位置推移とも表記する。移動体情報取得部191は、位置取得部230が移動体200の三次元位置を取得する度に、移動体200から、移動体200の位置取得部230が取得した三次元位置の情報を受け取ってもよい。移動体情報取得部191は、受け取った移動体200の三次元位置の情報と、その三次元位置の情報を受け取った時刻を表す情報と、の組み合わせを、保持している取得位置推移に追加してもよい。
【0105】
精度比較部192は、位置推定部150によって推定された、移動体200の移動体位置(すなわち三次元位置)の推移を保持する。推定された移動体位置を、推定移動体位置とも表記する。推定された移動体位置の推移を、推定位置推移とも表記する。推定位置推移は、推定された移動体位置を表す情報と、移動体位置が推定された時刻の情報と、の組み合わせを複数含む情報である。精度比較部192は、位置推定部150が移動体位置を推定する度に、推定された移動体位置を受け取ってもよい。精度比較部192は、推定された移動体位置を位置推定部150から受け取った時刻を、移動体位置が推定された時刻としてもよい。精度比較部192は、受け取った移動体位置を表す情報と、移動体位置が推定された時刻の情報との組み合わせを、保持している推定位置推移に追加してもよい。
【0106】
精度比較部192は、推定された移動体の移動体位置の推移である推定位置推移と、取得位置推移とから、移動体位置と取得移動体位置との精度の比較を行う。精度比較部192は、過去の所定時間内の推定位置推移と取得位置推移とを使用して、移動体位置と取得移動体位置との精度の比較を行ってもよい。
【0107】
精度比較部192は、最新の推定移動体位置と時刻との組み合わせを除く、推定位置推移から、最新の移動体の三次元位置を予測してもよい。精度比較部192は、三次元位置を予測する方法として、過去の位置の推移から最新の位置を予測する既存の様々な予測方法の1つを使用してよい。精度比較部192は、最新の推定移動体位置と予測された三次元位置との差の大きさを算出する。精度比較部192は、さらに、最新の取得移動体位置と時刻との組み合わせを除く、取得位置推移から、最新の移動体の三次元位置を予測してもよい。精度比較部192は、最新の取得移動体位置と予測された三次元位置との差の大きさを算出する。移動体200の最新の三次元位置に加わっているノイズの大きさが大きいほど、最新の三次元位置と予測された三次元位置との差が大きくなることが想定される。精度比較部192は、最新の推定移動体位置と予測された三次元位置との差の大きさが、最新の取得移動体位置と予測された三次元位置との差の大きさよりも小さい場合、推定移動体位置の精度が、取得移動体位置の精度よりも高いと判定してよい。精度比較部192は、最新の推定移動体位置と予測された三次元位置との差の大きさが、最新の取得移動体位置と予測された三次元位置との差の大きさよりも大きい場合、推定移動体位置の精度が、取得移動体位置の精度よりも低いと判定してよい。
【0108】
精度比較部192は、例えば、推定位置推移から、移動体200の速度の推移を算出する。精度比較部192は、さらに、推定位置推移から算出された速度の推移から、速度の大きさの分散(以下、推定位置推移に基づく速度の分散とも表記)を算出する。精度比較部192は、さらに、取得位置推移から、移動体200の速度の推移を算出する。
【0109】
精度比較部192は、さらに、取得位置推移から算出された速度の推移から、速度の大きさの分散(以下、取得位置推移に基づく速度の分散とも表記)を算出する。移動体の三次元位置に加わるノイズが多いほど、三次元位置から算出される速度の分散が大きくなることが考えられる。精度比較部192は、推定位置推移に基づく速度の分散の大きさが、取得位置推移に基づく速度の分散の大きさよりも小さい場合、推定移動体位置の精度が、取得移動体位置の精度よりも高いと判定してよい。精度比較部192は、推定位置推移に基づく速度の分散の大きさが、取得位置推移に基づく速度の分散の大きさよりも大きい場合、推定移動体位置の精度が、取得移動体位置の精度よりも高いと判定してよい。
【0110】
精度比較部192は、推定位置推移から算出された最新の速度を除く、推定位置推移から算出された速度の推移から、最新の移動体の速度を予測してもよい。精度比較部192は、速度を予測する方法として、過去の速度の推移から最新の速度を予測する既存の様々な予測方法の1つを使用してよい。精度比較部192は、推定位置推移から算出された最新の速度と予測された速度との差の大きさを算出する。精度比較部192は、さらに、取得位置推移から算出された最新の速度を除く、取得位置推移から算出された速度の推移から、最新の移動体の速度を予測する。精度比較部192は、取得位置推移から算出された最新の速度と予測された速度との差の大きさを算出する。移動体200の最新の三次元位置に加わっているノイズの大きさが大きいほど、最新の速度と予測された速度との差が大きくなることが想定される。精度比較部192は、推定位置推移から算出された最新の速度と推定位置推移から予測された速度との差の大きさが、取得位置推移から算出された最新の速度と取得位置推移から予測された速度の差の大きさよりも小さい場合、推定移動体位置の精度が、取得移動体位置の精度よりも高いと判定してよい。精度比較部192は、推定位置推移から算出された最新の速度と推定位置推移から予測された速度との差の大きさが、取得位置推移から算出された最新の速度と取得位置推移から予測された速度の差の大きさよりも大きい場合、推定移動体位置の精度が、取得移動体位置の精度よりも低いと判定してよい。
【0111】
精度比較部192は、例えば、推定位置推移から、移動体200の加速度の推移を算出する。精度比較部192は、さらに、推定位置推移から算出された加速度の推移から、加速度の大きさの分散(以下、推定位置推移に基づく加速度の分散とも表記)を算出する。精度比較部192は、さらに、取得位置推移から、移動体200の加速度の推移を算出する。精度比較部192は、さらに、取得位置推移から算出された加速度の推移から、加速度の大きさの分散(以下、取得位置推移に基づく加速度の分散とも表記)を算出する。移動体の三次元位置に加わるノイズが多いほど、三次元位置から算出される加速度の分散が大きくなることが考えられる。精度比較部192は、推定位置推移に基づく加速度の分散の大きさが、取得位置推移に基づく加速度の分散の大きさよりも小さい場合、推定移動体位置の精度が、取得移動体位置の精度よりも高いと判定してよい。精度比較部192は、推定位置推移に基づく加速度の分散の大きさが、取得位置推移に基づく加速度の分散の大きさよりも大きい場合、推定移動体位置の精度が、取得移動体位置の精度よりも高いと判定してよい。
【0112】
精度比較部192は、推定位置推移から算出された最新の加速度を除く、推定位置推移から算出された加速度の推移から、最新の移動体の加速度を予測してもよい。精度比較部192は、加速度を予測する方法として、過去の速度及び加速度の少なくとも一方の推移から最新の加速度を予測する既存の様々な予測方法の1つを使用してよい。精度比較部192は、推定位置推移から算出された最新の加速度と予測された加速度との差の大きさを算出する。精度比較部192は、さらに、取得位置推移から算出された最新の加速度を除く、取得位置推移から算出された加速度の推移から、最新の移動体の加速度を予測する。精度比較部192は、取得位置推移から算出された最新の加速度と予測された加速度との差の大きさを算出する。移動体200の最新の三次元位置に加わっているノイズの大きさが大きいほど、最新の加速度と予測された加速度との差が大きくなることが想定される。精度比較部192は、推定位置推移から算出された最新の加速度と推定位置推移から予測された加速度との差の大きさが、取得位置推移から算出された最新の加速度と取得位置推移から予測された加速度の差の大きさよりも小さい場合、推定移動体位置の精度が、取得移動体位置の精度よりも高いと判定してよい。精度比較部192は、推定位置推移から算出された最新の加速度と推定位置推移から予測された加速度との差の大きさが、取得位置推移から算出された最新の加速度と取得位置推移から予測された加速度の差の大きさよりも大きい場合、推定移動体位置の精度が、取得移動体位置の精度よりも低いと判定してよい。
【0113】
精度を比較する方法は、以上の例に限られない。
【0114】
出力部160は、精度の比較の結果を出力する。精度の比較の結果は、推定移動体位置の精度が取得移動体位置の精度よりも高いことを示す情報、推定移動体位置の精度が取得移動体位置の精度よりも低いことを示す情報、推定移動体位置の精度と取得移動体位置の精度とが同等であることを示す情報であってよい。出力部160は、精度の比較の結果を、例えば移動体に出力してもよい。
【0115】
図9は、本開示の実施形態に係る移動体の構成の例を表すブロック図である。
【0116】
本変形例に係る移動体202について、図9を使用して説明する。本変形例の移動体202は、以下で説明する相違点を除いて、第2の実施形態の移動体200と同じである。
【0117】
移動体202は、第2の実施形態の移動体200の各部に加えて、位置決定部250を含む。
【0118】
本変形例の制御部240は、位置推定装置101から、推定移動体位置と取得移動体位置との精度の比較の結果を受け取る。精度の比較の結果は、上述のように、精度の比較の結果は、推定移動体位置の精度が取得移動体位置の精度よりも高いことを示す情報、推定移動体位置の精度が取得移動体位置の精度よりも低いことを示す情報、推定移動体位置の精度と取得移動体位置の精度とが同等であることを示す情報であってよい。
【0119】
位置決定部250は、精度の比較の結果に従って、移動体位置と取得移動体位置とのいずれかを移動体202の三次元位置に決定する。位置決定部250は、精度の比較の結果が、推定移動体位置の精度が取得移動体位置の精度よりも高いことを示す場合、推定移動体位置を、移動体202の三次元位置とする。位置決定部250は、精度の比較の結果が、推定移動体位置の精度が取得移動体位置の精度よりも低いことを示す場合、取得移動体位置を、移動体202の三次元位置とする。位置決定部250は、精度の比較の結果が、推定移動体位置の精度と取得移動体位置の精度とが同等であることを示す場合、移動体位置と取得移動体位置とのうち予め定められている三次元位置を、移動体202の三次元位置としてよい。
【0120】
図10は、本開示の実施形態に係る移動体の構成の例を表すブロック図である。
【0121】
本変形例を第2の実施形態の第1の変形例に適用する場合の移動体の構成は、図10に示す移動体203の構成である。図10に示す移動体203は、移動体203が位置推定装置100を含んでいることを除いて、図9の移動体202と同様である。
【0122】
<第2の実施形態の第6の変形例>
地表(具体的には、地表面又は建造物)に、移動体を測定するセンサ(例えば、移動体を撮像する撮像装置、LiDAR、レーダ等)が設置されていてもよい。そして、移動体を測定する装置によって測定された移動体の情報(例えば、移動体が撮像された画像)と、センサの三次元位置とから、移動体の位置を推定する、移動体位置推定装置が設置されていてもよい。測定の際に、移動体位置推定装置は、移動体に対して、レーザ光及び電波などを照射するように、レーザ光及び電波などを照射する照射装置を制御してもよい。移動体位置推定装置は、位置推定装置100と通信可能に接続されている。
【0123】
この場合、移動体位置推定装置は、移動体の位置を算出するために、センサによって得られた測定値(例えば画像上の移動体の位置を表す座標)が表す直線を使用する場合、その直線から算出された移動体までの距離を算出する。移動体位置推定装置は、移動体の位置を算出するために、センサによって得られた測定値(例えばレーダによって得られたアンテナから移動体の位置までの距離)が表す平面を使用する場合、その平面から算出された移動体までの距離を算出する。移動体位置推定装置は、複数のセンサによる測定値を使用して算出された上述の距離の二乗の平均を、精度を表す値として算出してもよい。
【0124】
以下では、本変形例に係る位置推定装置101について、図8を使用して説明する。
【0125】
本開示の位置推定装置101の各部は、以下で説明する相違点を除いて、第2の実施形態の位置推定装置100の同じ名称と同じ符号とが付与された部と同じである。
【0126】
本変形例の移動体情報取得部191は、移動体位置推定装置から、移動体位置推定装置が推定した移動体の位置を表す情報(推定移動体位置とも表記)を取得する。本変形例の移動体情報取得部191は、移動体位置推定装置から、精度を表す値(以下、地表測定精度と表記)を取得してもよい。
【0127】
上述の位置推定部150は、例えば、3つ以上の対象についての、対象の三次元位置を通り、カメラ中心から対象の三次元位置によって示される点への方向を表すベクトルの方向の直線に対する、距離の二乗の平均が最も小さい点の座標を、例えば最小二乗法によって算出する。位置推定部150は、算出された座標を、移動体の位置とする。
【0128】
本変形例では、位置推定部150は、移動体の位置から、対象の三次元位置を通り、カメラ中心から対象の三次元位置によって示される点への方向を表すベクトルの方向の直線への距離の二乗の平均を、移動体の位置の精度を表す値(以下、移動体測定精度と表記)として算出してもよい。精度比較部192は、移動体測定精度を、位置推定部150から受け取ってよい。
【0129】
位置推定部150は、移動体から画像が取得されない場合、及び、取得した画像から3つ以上の登録対象の位置を特定できなかった場合に、移動体位置推定装置から取得した移動体の位置を、移動体の位置として推定してもよい。この場合、位置推定部150は、移動体から画像が取得され、取得された画像から3つ以上の対象の位置を特定できた場合に、移動体から画像を使用して推定された移動体の位置を、移動体の位置とする。
【0130】
位置推定部150は、移動体測定精度が所定の精度の高さの基準を満たさなかった場合に、移動体位置推定装置から取得した移動体の位置を、移動体の位置として推定してもよい。この場合、位置推定部150は、移動体測定精度が所定の精度の高さの基準を満たす場合は、移動体から画像を使用して推定された移動体の位置を、移動体の位置とする。
【0131】
精度比較部192は、移動体測定精度が表す精度が、地表測定精度が表す精度との比較を行ってもよい。
【0132】
位置推定部150は、移動体測定精度が表す精度が、地表測定精度が表す精度以上である場合に、移動体から画像を使用して推定された移動体の位置を、移動体の位置としてもよい。この場合、位置推定部150は、移動体測定精度が表す精度が、地表測定精度が表す精度よりも低い場合に、移動体位置推定装置から取得した移動体の位置を、移動体の位置とする。
【0133】
移動体位置推定装置は、センサから移動体の位置に向かう直線の情報を、位置推定装置100に送信してもよい。移動体情報取得部191は、移動体位置推定装置から、センサから移動体の位置に向かう直線の情報を取得してもよい。
【0134】
この場合、位置推定部150は、センサから移動体の位置に向かう直線の情報を更に使用して、移動体の位置を推定してもよい。具体的には、位置推定部150は、対象の二次元位置を使用して算出した直線への距離と、移動体位置推定装置から情報を取得した直線への距離と、の二乗の和が最も小さくなる点の座標を、例えば最小二乗法によって、移動体の位置を表す座標として算出する。
【0135】
<第2の実施形態の第7の変形例>
本変形例では、移動体200は、例えばq移動しながらGNSSを利用して移動体200の位置の情報を取得する度に、GNSSを利用して特定した移動体200の位置の情報と、その位置において撮像された画像とを記憶する。
【0136】
本変形例の移動体200は、GNSSを利用した移動体200の三次元位置を取得できず、本開示の実施形態又は他の変形例に係る位置推定装置から、推定された移動体の三次元位置を取得できなかった場合、以下のように、移動体200の出発地に帰還する。
【0137】
移動体200は、移動体200に搭載されている撮像装置の撮像によって得られる画像が、記憶している画像のうち、最も新しく撮像された画像に近くなるように移動する。その際、移動体200は、例えば、移動体200に搭載されている撮像装置の撮像によって得られる画像から建造物又は他の対象を抽出する。移動体200は、抽出された対象を、記憶している画像のうち最も新しく撮像された画像から抽出する。移動体200は、移動体200に搭載されている撮像装置の撮像によって得られる画像から対象が抽出された位置と、その対象が、記憶している画像のうち最も新しく撮像された画像から抽出された位置との差を使用して、移動する方向を決定する。移動体200は、決定した方向に移動する。
【0138】
移動体200は、移動体200に搭載されている撮像装置の撮像によって得られる画像と、記憶している画像のうち最も新しく撮像された画像との差が、所定基準よりも小さくなった場合、移動体200に搭載されている撮像装置の撮像によって得られる画像と、記憶している画像のうち、次に新しく撮像された画像とを使用して、上述の方法と同様に、移動する方向を決定する。移動体200は、決定した方向に移動する。
【0139】
移動体200は、出発地に帰還するまで、記憶している画像を、画像が撮像された順序と逆の順序で使用しながら、移動する方向の決定と決定した方向への移動とを繰り返す。
【0140】
<他の実施形態>
本開示の実施形態に係る位置推定装置及び変形例に係る位置推定装置は、記憶媒体から読み出されたプログラムがロードされたメモリと、そのプログラムを実行するプロセッサとを含むコンピュータによって実現できる。本開示の実施形態に係る位置推定装置及び変形例に係る位置推定装置は、専用のハードウェアによって実現できる。本開示の実施形態に係る位置推定装置及び変形例に係る位置推定装置は、前述のコンピュータと専用のハードウェアとの組み合わせによって実現できる。
【0141】
図11は、本開示の実施形態に係る位置推定装置及び変形例に係る位置推定装置を実現できる、コンピュータ1000のハードウェア構成の一例を表す図である。図11に示す例では、コンピュータ1000は、プロセッサ1001と、メモリ1002と、記憶装置1003と、I/O(Input/Output)インタフェース1004とを含む。また、コンピュータ1000は、記憶媒体1005にアクセスすることができる。メモリ1002と記憶装置1003は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクなどの記憶装置である。記憶媒体1005は、例えば、RAM、ハードディスクなどの記憶装置、ROM(Read Only Memory)、可搬記憶媒体である。記憶装置1003が記憶媒体1005であってもよい。プロセッサ1001は、メモリ1002と、記憶装置1003に対して、データやプログラムの読み出しと書き込みを行うことができる。プロセッサ1001は、I/Oインタフェース1004を介して、例えば、飛翔体及び対象情報サーバ300にアクセスすることができる。プロセッサ1001は、記憶媒体1005にアクセスすることができる。記憶媒体1005には、コンピュータ1000を、上述の位置推定装置として動作させるプログラムが格納されている。
【0142】
プロセッサ1001は、記憶媒体1005に格納されている、コンピュータ1000を、上述の位置推定装置として動作させるプログラムを、メモリ1002にロードする。そして、プロセッサ1001が、メモリ1002にロードされたプログラムを実行することにより、コンピュータ1000は、上述の位置推定装置として動作する。
【0143】
特定信号受取部110、対象位置特定部120、画像受取部130、対象検出部140、位置推定部150、出力部160、対象情報取得部170、移動体情報取得部191、精度比較部192は、例えば、メモリ1002にロードされたプログラムを実行するプロセッサ1001によって実現できる。対象情報記憶部180は、コンピュータ1000が含むメモリ1002やハードディスク装置等の記憶装置1003によって実現できる。特定信号受取部110、対象位置特定部120、画像受取部130、対象検出部140、位置推定部150、出力部160、対象情報取得部170、対象情報記憶部180、移動体情報取得部191、精度比較部192の一部又は全部は、その部の機能を実現する専用の回路によって実現できる。
【0144】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0145】
(付記1)
移動体が受信した、対象からの前記対象を特定する信号である特定信号の情報を受け取る特定信号受取手段と、
前記特定信号から前記対象の三次元位置である対象位置を特定する対象位置特定手段と、
前記移動体に搭載された撮像装置によって撮像された画像を受け取る画像受取手段と、
前記特定信号によって特定される前記対象の情報を使用して、前記画像から前記対象を検出する対象検出手段と、
前記画像において前記対象が検出された位置である検出位置と前記対象の前記対象位置とから、前記移動体の三次元位置である移動体位置を推定する位置推定手段と、
前記移動体の前記移動体位置を出力する出力手段と、
を備える位置推定装置。
【0146】
(付記2)
前記特定信号受取手段は、移動する前記対象からの前記特定信号の情報を受信する
付記1に記載の位置推定装置。
【0147】
(付記3)
前記特定信号受取手段は、船舶である前記対象からの、船舶自動識別装置のための前記対象の位置情報を含む信号を、前記特定信号として受信し、
前記対象位置特定手段は、前記特定信号の情報から、前記対象の前記対象位置を抽出する
付記2に記載の位置推定装置。
【0148】
(付記4)
前記対象検出手段は、前記特定信号から前記対象の識別情報を抽出し、当該特定信号によって特定される船舶の情報を使用して、前記画像から前記対象を検出する
付記3に記載の位置推定装置。
【0149】
(付記5)
前記特定信号受取手段は、航空機である前記対象から、放送型自動従属監視の、前記対象の位置情報を含む信号を、前記特定信号として受信し、
前記対象位置特定手段は、前記特定信号の情報から、前記対象の前記対象位置を抽出する
付記2に記載の位置推定装置。
【0150】
(付記6)
前記対象検出手段は、前記特定信号から前記対象の種類を抽出し、抽出された前記種類の航空機の情報を使用して、前記画像から前記対象を検出する
付記5に記載の位置推定装置。
【0151】
(付記7)
前記特定信号受取手段は、他の移動体である前記対象から、前記他の移動体の位置を表す情報を含む信号を、前記特定信号として受信し、
前記対象位置特定手段は、前記特定信号の情報から、前記対象の前記対象位置を抽出する
付記2に記載の位置推定装置。
【0152】
(付記8)
前記対象検出手段は、前記特定信号から前記対象の識別情報を特定し、当該識別情報を使用して前記対象の種類を特定し、抽出された前記種類の移動体の情報を使用して、前記画像から前記対象を検出する
付記7に記載の位置推定装置。
【0153】
(付記9)
前記位置推定手段は、
前記対象から、前記特定信号に対する所定の概算用選択方法に従って概算用対象を選択し、
当該概算用対象の前記検出位置と前記概算用対象の前記対象位置とから、前記移動体の概算三次元位置を算出し、
当該概算三次元位置と前記対象の前記対象位置との間の相対位置に基づく所定の精算用選択方法に従って、前記対象から精算用対象を選択し、
当該精算用対象の前記検出位置と前記精算用対象の前記対象位置とから、前記移動体の前記移動体位置を算出する
付記1又は2に記載の位置推定装置。
【0154】
(付記10)
前記特定信号受取手段は、地上に設置され前記特定信号を発信する固定発信対象からの当該固定発信対象を特定する前記特定信号の情報をさらに受け取り、
前記対象検出手段は、前記特定信号によって特定される前記固定発信対象の情報を使用して、前記画像から前記固定発信対象を検出し、
前記位置推定手段は、前記固定発信対象の三次元位置と、前記画像における前記固定発信対象が検出された位置とをさらに使用して、前記移動体の前記移動体位置を推定する
付記1又は2に記載の位置推定装置。
【0155】
(付記11)
前記対象検出手段は、前記画像から、さらに、地上に設置され前記特定信号を発しない固定対象の特徴を使用して当該固定対象を検出し、
前記位置推定手段は、前記固定対象の三次元位置と、前記画像における前記固定対象が検出された位置とをさらに使用して、前記移動体の前記移動体位置を推定する
付記1又は2に記載の位置推定装置。
【0156】
(付記12)
前記移動体は、当該移動体が備える位置情報取得手段によって前記移動体の三次元位置を取得できなかった場合、前記移動体の前記三次元位置として、出力された前記移動体の前記移動体位置を使用する
付記1又は2に記載の位置推定装置。
【0157】
(付記13)
前記移動体から、当該移動体が取得した当該移動体の三次元位置である取得移動体位置の推移である取得位置推移を受け取る移動体情報受取手段と、
推定された前記移動体の前記移動体位置の推移である推定位置推移と、前記取得位置推移とから、前記移動体位置と前記取得移動体位置との精度の比較を行う精度比較手段と、
をさらに備え、
前記出力手段は、前記精度の比較の結果を出力する
付記1又は2に記載の位置推定装置。
【0158】
(付記14)
前記移動体は、前記精度の比較の結果を受け取り、前記精度の比較の結果が、前記取得移動体位置の精度よりも前記移動体位置の精度が高いことを示す場合、前記移動体位置を前記移動体の三次元位置とし、前記精度の比較の結果が、前記移動体位置の精度よりも前記取得移動体位置の精度が高いことを示す場合、前記取得移動体位置を前記移動体の三次元位置とする
付記13に記載の位置推定装置。
【0159】
(付記15)
前記対象検出手段は、前記特定信号によって特定される前記対象の表面の三次元の情報を使用して、前記画像から前記対象を検出する
付記1又は2に記載の位置推定装置。
【0160】
(付記16)
移動体が受信した、対象からの前記対象を特定する信号である特定信号の情報を受け取り、
前記特定信号から前記対象の三次元位置である対象位置を特定し、
前記移動体に搭載された撮像装置によって撮像された画像を受け取る画像受取手段と、
前記特定信号によって特定される前記対象の情報を使用して、前記画像から前記対象を検出し、
前記画像において前記対象が検出された位置である検出位置と前記対象の前記対象位置とから、前記移動体の三次元位置である移動体位置を推定し、
前記移動体の前記移動体位置を出力する、
位置推定方法。
【0161】
(付記17)
移動体が受信した、対象からの前記対象を特定する信号である特定信号の情報を受け取る特定信号受取処理と、
前記特定信号から前記対象の三次元位置である対象位置を特定する対象位置特定処理と、
前記移動体に搭載された撮像装置によって撮像された画像を受け取る画像受取処理と、
前記特定信号によって特定される前記対象の情報を使用して、前記画像から前記対象を検出する対象検出処理と、
前記画像において前記対象が検出された位置である検出位置と前記対象の前記対象位置とから、前記移動体の三次元位置である移動体位置を推定する位置推定処理と、
前記移動体の前記移動体位置を出力する出力処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【0162】
以上、実施形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0163】
10 位置推定装置
100 位置推定装置
101 位置推定装置
110 特定信号受取部
120 対象位置特定部
130 画像受取部
140 対象検出部
150 位置推定部
160 出力部
170 対象情報取得部
180 対象情報記憶部
191 移動体情報取得部
192 精度比較部
200 移動体
201 移動体
202 移動体
203 移動体
210 信号受信部
220 撮像装置
230 位置取得部
240 制御部
250 位置決定部
300 対象情報サーバ
400 通信ネットワーク
1000 コンピュータ
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 記憶装置
1004 I/Oインタフェース
1005 記憶媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11