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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173118
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】オゾン発生装置及びオゾン送風装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 13/11 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
C01B13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091287
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 正悟
(72)【発明者】
【氏名】藤森 春充
(72)【発明者】
【氏名】内田 直孝
(72)【発明者】
【氏名】野澤 成樹
【テーマコード(参考)】
4G042
【Fターム(参考)】
4G042CA01
4G042CB29
4G042CC23
4G042CE04
(57)【要約】
【課題】オゾンの放出に加え、放熱を考慮したオゾン発生装置を提供する。
【解決手段】
オゾン発生装置1Aは、オゾンを発生させるオゾン発生体2と、オゾン発生体2の周囲を覆う電磁シールド3を備え、電磁シールド3は、オゾン発生体2の放電部を通る風Wの流路に面した第1の開口部51と、流路に沿った第2の開口部52を備え、第1の開口部51は、単位面積当たりの開口率が70%以上90%以下であり、第2の開口部52は、単位面積当たりの開口率が30%以上90%以下であり、最短ピッチが0mm超10mm以下で複数の開口が設けられる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾンを発生させるオゾン発生体と、
前記オゾン発生体の周囲を覆う電磁シールドを備え、
前記オゾン発生体は、放電によりオゾンを発生させる放電部と、少なくとも電源を含む制御部を備え、前記放電部が、送風装置から排出された風の流路に配置され、
前記電磁シールドは、
前記放電部を通る風の流路に面した第1の開口部と、前記放電部を通る風の流路に沿った第2の開口部を備え、
前記第1の開口部は、単位面積当たりの開口率が70%以上90%以下であり、
前記第2の開口部は、単位面積当たりの開口率が30%以上90%以下であり、最短ピッチが0mm超10mm以下で複数の開口が設けられる
オゾン発生装置。
【請求項2】
前記電磁シールドは、金属で構成される
請求項1に記載のオゾン発生装置。
【請求項3】
前記電磁シールドは、ステンレスで構成される
請求項2に記載のオゾン発生装置。
【請求項4】
前記第1の開口部は、金属の網で構成される
請求項1に記載のオゾン発生装置。
【請求項5】
前記第1の開口部及び前記第2の開口部は、金属の板を貫通した複数の穴で構成される
請求項1に記載のオゾン発生装置。
【請求項6】
前記第1の開口部及び前記第2の開口部は、多角形の穴、円形の穴、長穴の何れか、または、その組み合わせである
請求項5に記載のオゾン発生装置。
【請求項7】
前記制御部が設けられた部位の前記オゾン発生体と、前記電磁シールドとの距離が10mm以上である
請求項1に記載のオゾン発生装置。
【請求項8】
前記電磁シールドは、前記放電部に触れることが可能な大きさの第3の開口部33と、前記第3の開口部を開閉可能な蓋部を備えた
請求項1に記載のオゾン発生装置。
【請求項9】
前記蓋部は、金属で構成される
請求項8に記載のオゾン発生装置。
【請求項10】
オゾン発生装置と、
風を排出する送風装置とを備えたオゾン送風装置であって、
前記オゾン発生装置は、
オゾンを発生させるオゾン発生体と、
前記オゾン発生体の周囲を覆う電磁シールドを備え、
前記オゾン発生体は、放電によりオゾンを発生させる放電部と、少なくとも電源を含む制御部を備え、前記放電部が、前記送風装置から排出された風の流路に配置され、
前記電磁シールドは、
前記放電部を通る風の流路に面した第1の開口部と、前記放電部を通る風の流路に沿った第2の開口部を備え、
前記第1の開口部は、単位面積当たりの開口率が70%以上90%以下であり、
前記第2の開口部は、単位面積当たりの開口率が30%以上90%以下であり、最短ピッチが0mm超10mm以下で複数の開口が設けられる
オゾン送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電によりオゾンを発生させるオゾン発生装置、オゾン発生装置を備えたオゾン送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の除菌などに利用するオゾンを、放電により発生させる装置が知られている。このような装置では、放電により発生したノイズが外部に漏れないようにするために、電極を有した放電部などを覆うようにしてシールドが配設されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、オゾン発生器をシールドで囲み、オゾン誘導管を通じて送風機の流路にオゾンを分散させるようにした装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)
【0004】
さらに、電磁ノイズの発生源となるパルス圧縮回路と放電反応器を、それぞれ独立したシールドで覆う装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-95770号公報
【特許文献2】特開平6-304438号公報
【特許文献3】特開2011-37650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、シールドを構成する筐体は、放電部に対して通気させることができる穴が開けられている。しかし、高電圧発生部を備えた制御部に対して、放熱のための通気を行えるようにする穴が設けられていない。
【0007】
また、特許文献2では、シールド部は、オゾンをオゾン誘導管に送る開口以外に、放熱のための開口が設けられていない。さらに、特許文献3では、パルス圧縮回路を覆うシールドに、放熱のための開口を設けることについての記載がない。
【0008】
放電部と、発熱源となる電源などが含まれる制御部が一体に構成されるオゾン発生装置では、シールドで制御部が覆われる。このため、制御部で発生した熱をシールド外に排出できるようにすることが求められる。しかし、従来は、放熱について考慮がなされていなかった。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためなされたもので、オゾンの放出に加え、放熱を考慮したオゾン発生装置及びオゾン送風装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明は、オゾンを発生させるオゾン発生体と、オゾン発生体の周囲を覆う電磁シールドを備え、オゾン発生体は、放電によりオゾンを発生させる放電部と、少なくとも電源を含む制御部を備え、放電部が、送風装置から排出された風の流路に配置され、電磁シールドは、放電部を通る風の流路に面した第1の開口部と、放電部を通る風の流路に沿った第2の開口部を備え、第1の開口部は、単位面積当たりの開口率が70%以上90%以下であり、第2の開口部は、単位面積当たりの開口率が30%以上90%以下であり、最短ピッチが0mm超10mm以下で複数の開口が設けられるオゾン発生装置である。
【0011】
また、本発明は、オゾン発生装置と、風を排出する送風装置とを備えたオゾン送風装置であって、オゾン発生装置は、オゾンを発生させるオゾン発生体と、オゾン発生体の周囲を覆う電磁シールドを備え、オゾン発生体は、放電によりオゾンを発生させる放電部と、少なくとも電源を含む制御部を備え、放電部が、送風装置から排出された風の流路に配置され、電磁シールドは、放電部を通る風の流路に面した第1の開口部と、放電部を通る風の流路に沿った第2の開口部を備え、第1の開口部は、単位面積当たりの開口率が70%以上90%以下であり、第2の開口部は、単位面積当たりの開口率が30%以上90%以下であり、最短ピッチが0mm超10mm以下で複数の開口が設けられるオゾン送風装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電磁ノイズの漏洩防ぎ、かつ、放電部に十分な酸素を供給し、効率良く電磁シールドの外部にオゾンを放出できる。また、効率良く電磁シールドの外部に熱を放出できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本実施の形態のオゾン発生装置の一例を示す斜視図である。
図1B】本実施の形態のオゾン発生装置の一例を示す斜視図である。
図1C】本実施の形態のオゾン発生装置の一例を示す平面図である。
図2】本実施の形態のオゾン送風装置の一例を示す要部斜視図である。
図3A】本実施の形態のオゾン発生装置の一例を示す側断面図である。
図3B】本実施の形態のオゾン発生装置の一例を示す正面断面図である。
図4A】オゾン発生体の一例を示す斜視図である。
図4B】オゾン発生体の一例を示す斜視図である。
図5A】電磁ノイズの漏洩抑制効果と開口率の関係の一例を示すグラフである。
図5B】電磁ノイズの漏洩抑制効果と開口率の関係の一例を示すグラフである。
図6A】電磁ノイズの漏洩抑制効果と開口ピッチの関係の一例を示すグラフである。
図6B】電磁ノイズの漏洩抑制効果と開口ピッチの関係の一例を示すグラフである。
図7A】開口率及び開口穴ピッチと、オゾンの放出効率及び電磁ノイズの漏洩抑制効果の関係の一例を示すグラフである。
図7B】開口率及び開口穴ピッチと、放熱効率及び電磁ノイズの漏洩抑制効果の関係の一例を示すグラフである。
図8】本実施の形態のオゾン発生装置の変形例を示す斜視図である。
図9A】第1の開口部及び第2の開口部の例を示す平面図である。
図9B】第1の開口部及び第2の開口部の例を示す平面図である。
図9C】第1の開口部及び第2の開口部の例を示す平面図である。
図9D】第1の開口部及び第2の開口部の例を示す平面図である。
図9E】第1の開口部及び第2の開口部の例を示す平面図である。
図9F】第1の開口部及び第2の開口部の例を示す平面図である。
図9G】第1の開口部及び第2の開口部の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明のオゾン発生装置及びオゾン送風装置の実施の形態について説明する。
【0015】
<本実施の形態のオゾン発生装置及びオゾン送風装置の構成例>
図1A図1Bは、本実施の形態のオゾン発生装置の一例を示す斜視図、図1Cは、本実施の形態のオゾン発生装置の一例を示す平面図である。また、図2は、本実施の形態のオゾン送風装置の一例を示す要部斜視図である。さらに、図3Aは、本実施の形態のオゾン発生装置の一例を示す側断面図、図3Bは、本実施の形態のオゾン発生装置の一例を示す正面断面図である。
【0016】
オゾン発生装置1Aは、オゾンを発生させるオゾン発生体2と、オゾン発生体2を覆う電磁シールド3を備える。
【0017】
オゾン送風装置10は、上述したオゾン発生装置1Aと、風を排出する送風装置11を備える。オゾン送風装置10は、オゾン発生装置1Aと送風装置11が図示しない外装で覆われる。
【0018】
送風装置11は、図示しないモータに駆動される羽根車11aと、風の流れを生成するファンケース11bを備える。送風装置11は、ファンケース11bに設けられた図示しない吸気口から空気を吸い込む。また、送風装置11は、排気口11cから風Wを排出する。
【0019】
オゾン発生装置1Aは、送風装置11の排気口11cに取り付けられる。オゾン発生装置1Aは、排気口11cの中で風が強い位置に取り付けられる。
【0020】
図4A図4Bは、オゾン発生体の一例を示す斜視図である。オゾン発生体2は、放電によりオゾンを発生させる放電部20を備える。また、オゾン発生体2は、放電部20に印加される電圧を発生させる図示しないパルス発生回路、電源などを含む制御部21を備える。制御部21は、筐体22の内部に収容される。また、オゾン発生体2は、放電部20が筐体22から露出する。オゾン発生体2は、無声放電方式でオゾンを発生させる。
【0021】
次に、オゾン発生装置1Aの構成について各図を参照して説明する。オゾン発生装置1Aは、流路30を備える。流路30は、風Wが通る。風Wは、送風装置11の排気口11cから排出される。流路30は、電磁シールド3の内部に形成される。流路30は、主に風Wが通る範囲である。オゾン発生体2は、流路30に放電部20が位置する。これにより、送風装置11から排出される風Wは、放電部20を通る。
【0022】
電磁シールド3は、流路30を通る風Wの流れに対して、流路30に面した下流側を覆う第1の面31aを備える。また、電磁シールド3は、流路30を通る風Wの流れに対して、流路30に面した上流側を覆う第2の面31bを備える。さらに、電磁シールド3は、流路30を通る風Wの流れに対して、流路30に沿った側部を覆う第1の側面32a、第2の側面32b、第3の側面32c及び第4の側面32dを備える。
【0023】
電磁シールド3は、オゾン発生体2で発生する電磁波などのノイズを減衰させるため、金属で構成される。電磁シールド3は、オゾンに対する耐腐食性などを考慮してステンレス(例えばSUS304)で構成される。第1の面31aと、第1の側面32a、第2の側面32b、第3の側面32c及び第4の側面32dと、第2の面31bは、電気的に導通する。電磁シールド3の各面は、金属の板材を所定の形状を曲げることで一体につながる形態でもよい。また、電磁シールド3の各面は、ネジの締結でつながる形態でもよい。さらに、電磁シールド3の各面は、溶接や導電性接着剤でつながる形態でもよい。
【0024】
第1の面31aは、流路30に面した下流側で、オゾン発生体2の放電部20及び制御部21を覆う。第1の面31aは、流路30の主に下流側から電磁シールド3の外部に放射されるノイズを減衰させる。
【0025】
また、第2の面31bは、流路30に面した上流側で、オゾン発生体2の放電部20を覆う。第2の面31bは、流路30の主に上流側から電磁シールド3の外部に放射されるノイズを減衰させる。
【0026】
なお、オゾン発生体2は、筐体22に送風装置11に対する取付部23が設けられる。また、オゾン発生体2は、筐体22に電磁シールド3に対する取付部24が設けられる。オゾン発生体2は、筐体22に図示しない金属の板が入れられている。この金属の板は、ノイズを減衰させる効果を持つ。このため、電磁シールド3は、流路30に面した上流側で、取付部23と対向する部位には、第2の面31bが設けられておらず、取付部23が露出する。
【0027】
また、電磁シールド3は、被取付部31cを備える。被取付部31cは、オゾン発生体2の取付部24が取り付けられる。被取付部31cは、第2の面31bからつながる形態で設けられる。取付部24は、電磁シールド3の外部に露出する。取付部24は、被取付部31cに取り付けられる。
【0028】
さらに、第1の側面32a、第2の側面32b、第3の側面32c及び第4の側面32dは、流路30に沿った側部で、オゾン発生体2の放電部20及び制御部21を覆う。第1の側面32a、第2の側面32b、第3の側面32c及び第4の側面32dは、流路30に沿った主に側部から電磁シールド3の外部に放射されるノイズを減衰させる。
【0029】
電磁シールド3は、流路30に面して第1の開口部51を備え、流路30に沿って第2の開口部52を備える。本例では、電磁シールド3は、流路30を通る風Wの流れに対して、流路30に面した下流側に第1の開口部51aを備える。また、電磁シールド3は、流路30を通る風Wの流れに対して、流路30に面した上流側に第1の開口部51bを備える。
【0030】
第1の開口部51aは、流路30を通る風Wの流れに対して、下流側で流路30に面した第1の面31aに設けられる。第1の面31aにおける単位面積当たりの開口率は、70%以上90%以下とする。第1の開口部51aは、この開口率となるように、穴の形状、大きさ、密度などが規定される。第1の開口部51aは、第1の面31aに表裏を貫通した四角形の穴が開けられる。第1の開口部51aは、この穴に金属の網53aが取り付けられる。網53aは、例えば溶接で第1の面31aに取り付けられる。これにより、第1の面31aと網53aは、電気的に導通する。
【0031】
第1の開口部51bは、流路30を通る風Wの流れに対して、上流側で流路30に面した第2の面31bに設けられる。第2の面31bにおける単位面積当たりの開口率は、70%以上90%以下とする。第1の開口部51bは、この開口率となるように、穴の形状、大きさ、密度などが規定される。第1の開口部51bは、第2の面31bに表裏を貫通した四角形の穴が開けられる。第1の開口部51bは、この穴に金属の網53bが取り付けられる。網53bは、例えば溶接で第2の面31bに取り付けられる。これにより、第2の面31bと網53bは、電気的に導通する。
【0032】
第1の開口部51a及び51bは、穴の形状、大きさ、密度などが、上記規定を満たす範囲で同じでも良いし異なっていても良い。
【0033】
電磁シールド3は、流路30に沿った第1の側面32aに第2の開口部52aを備える。また、電磁シールド3は、流路30に沿った第2の側面32bに第2の開口部52bを備える。さらに、電磁シールド3は、流路30に沿った第3の側面32cに第2の開口部52cを備える。
【0034】
第2の開口部52aは、第1の側面32aの表裏を貫通した複数の穴である。第1の側面32aにおける単位面積当たりの開口率は、30%以上90%以下とする、第2の開口部52aは、この開口率となるように、穴の形状、大きさ、密度などが規定される。また、第2の開口部52aは、複数の穴の最短ピッチが0mm超10mm以下となるように、穴の形状、大きさ、密度などが規定される。第2の開口部52aは、穴の形状が例えば円形である。
【0035】
第2の開口部52bは、第2の側面32bの表裏を貫通した複数の穴である。第2の側面32bにおける単位面積当たりの開口率は、30%以上90%以下とする。第2の開口部52bは、この開口率となるように、穴の形状、大きさ、密度などが規定される。また、第2の開口部52bは、複数の穴の最短ピッチが0mm超10mm以下となるように、穴の形状、大きさ、密度などが規定される。第2の開口部52bは、穴の形状が例えば円形である。
【0036】
第2の開口部52cは、第3の側面32cの表裏を貫通した複数の穴である。第3の側面32cにおける単位面積当たりの開口率は、30%以上90%以下とする。第2の開口部52cは、この開口率となるように、穴の形状、大きさ、密度などが規定される。また、第2の開口部52cは、複数の穴の最短ピッチが0mm超10mm以下となるように、穴の形状、大きさ、密度などが規定される。第2の開口部52cは、穴の形状が例えば円形である。
【0037】
第2の開口部52a、52b及び52cは、穴の形状、大きさ、密度などが、上記規定を満たす範囲で同じでも良いし異なっていても良い。
【0038】
なお、電磁シールド3は、オゾン発生体2の制御部21と対向する部位の第1の面31aに、第2の開口部52dを備えてもよい。
【0039】
電磁シールド3は、第3の開口部33と、第3の開口部33を開閉可能な蓋部34を備える。第3の開口部33は、本例では、第1の面31aの第1の開口部51aが形成された部位と、第1の側面32aがつながる形態の開口である。第3の開口部33は、電磁シールド3の外部から清掃用の工具などが入れられ、この工具などが放電部20に触れることが可能な大きさである。
【0040】
蓋部34は、第1の面31aの第1の開口部51aが形成された部位と、第1の側面32aで構成される。蓋部34は、第1の面31aの第1の開口部51aが形成された部位と、第1の側面32aがつながり、第3の開口部33を開閉することが可能な形状である。電磁シールド3は、第1の開口部51aと第2の開口部52aが蓋部34に設けられる。
【0041】
蓋部34は、金属で構成され、電磁シールド3と電気的に導通する。蓋部34は、電磁シールド3と同様に、オゾンに対する耐腐食性などを考慮してステンレス(例えばSUS304)で構成される。
【0042】
蓋部34は、図示しないヒンジ部を介して、電磁シールド3の第1の面31aに取り付けられる。蓋部34は、図示しないヒンジ部を支点とした回転で、第3の開口部33を開閉する。蓋部34は、第3の開口部33を閉じると、第1の面31aの第1の開口部51aが形成された部位と、第1の側面32aを構成する。
【0043】
電磁シールド3は、第3の開口部33を閉じた蓋部34を支持する支持部35、36を備える。支持部35は、第1の面31aにおいて第3の開口部33の左右の縁部を構成する部位に設けられ、第3の開口部33の縁部から内側に突出する。支持部36は、第2の面31bにおいて第3の開口部33の前側下方の縁部を構成する部位に設けられ、第3の開口部33の縁部から内側に突出する。これにより、蓋部34は、第3の開口部33を閉じると、第3の開口部33から電磁シールド3の内部に入り込むことなく、第3の開口部33を閉じた位置で支持される。
【0044】
電磁シールド3は、蓋部34を閉じた状態で係止する係止部37を備える。また、蓋部34は、係止部37に係止される被係止部38を備える。
【0045】
係止部37は、第2の側面32b及び第3の側面32cにおいて、閉じた状態の蓋部34の第1の側面32aと対向する部位に設けられる。
【0046】
係止部37は、蓋部34が開閉する動作で第1の側面32aが移動する方向に沿って段差が形成される凹部37aを備える。
【0047】
被係止部38は、蓋部34が開閉する動作で第1の側面32aが移動する方向に沿って段差が形成される凸部38aを備える。また、被係止部38は、第1の側面32aと一体につながる部位が固定端となり、弾性変形可能な変形部38bを備える。変形部38bは、凸部38aが設けられる側が自由端となる。
【0048】
電磁シールド3は、蓋部34で第3の開口部33を閉じると、変形部38bが弾性変形しながら、被係止部38の凸部38aが係止部37の凹部37aに係合される。これにより、蓋部34は、第3の開口部33を閉じた状態で保持され、不用意な力で開くことが抑制される
【0049】
電磁シールド3は、蓋部34を開ける力が加わると、変形部38bが弾性変形しながら、被係止部38の凸部38aが係止部37の凹部37aから外れる。これにより、蓋部34は、第3の開口部33を開閉可能な状態となる。なお、電磁シールド3の一部または全部が、工具などを用いずにオゾン送風装置10から着脱可能な構成としてもよい。
【0050】
電磁シールド3は、オゾン発生体2の図示しない電源から放射される電磁波の影響を考慮して、オゾン発生体2の制御部21からの距離を確保する必要がある。そこで、電磁シールド3は、第1の面31aと、オゾン発生体2の制御部21との間隔L1を10mm以上とした。また、電磁シールド3は、第2の側面32bと、オゾン発生体2の制御部21との間隔L2を10mm以上とした。さらに、電磁シールド3は、第3の側面32cと、オゾン発生体2の制御部21との間隔L3を10mm以上とした。また、電磁シールド3は、第4の側面32dと、オゾン発生体2の制御部21との間隔L4を10mm以上とした。これにより、電磁シールド3は、図示しない電源を含むオゾン発生体2の制御部21の周囲に、それぞれ10mm以上の距離が確保されるように配置される。
【0051】
<本実施の形態のオゾン発生装置及びオゾン送風装置の動作例>
以下に、各図を参照して、オゾン発生装置1A及びオゾン送風装置10でオゾンを放出する動作について説明する。
【0052】
オゾン送風装置10は、送風装置11の羽根車11aが回転することで、排気口11cから風Wが排出される。
【0053】
オゾン発生装置1Aは、送風装置11の排気口11cから排出された風Wが、第1の開口部51bから電磁シールド3の中に入る。オゾン発生装置1Aは、第1の開口部51bから電磁シールド3の中に入り、流路30を通る風Wにより、オゾン発生体2の放電部20に酸素が供給されるオゾン発生装置1Aは、オゾン発生体2の放電部20における放電現象により発生する電子によって、空気中の酸素(O)をオゾン(O)に変換する。オゾン発生装置1Aは、放電部20における放電現象により発生したオゾンが、流路30を通る風Wにより、主に第1の開口部51aから電磁シールド3の外部に排出される。
【0054】
オゾン発生体2は、放電部20での放電により、放電部20及び制御部21などから電磁ノイズが放射される。オゾン発生装置1Aは、オゾン発生体2から放射された電磁ノイズが、電磁シールド3の各面で減衰される。
【0055】
また、オゾン発生体2は、図示しない電源を含む制御部21を備える構成であるため、主に制御部21で熱が発生する。このため、オゾン発生装置1Aは、電磁シールド3内の空気が、オゾン発生体2で発生した熱で暖められる。オゾン発生装置1Aは、オゾン発生体2で発生した熱で暖められた空気が、主に第2の開口部52a、52b、52c、52dから電磁シールド3の外部に排出される。
【0056】
オゾン発生装置1Aは、放電によりオゾンを発生させるオゾン発生体2から放射される電磁ノイズを外部に漏らさないようにする必要がある。このため、オゾン発生装置1Aは、オゾン発生体2を金属の板などで構成される電磁シールド3で囲う構成である。一方、十分なオゾンを発生させるためには、放電部20に酸素供給が必要である。また、発生させたオゾンを室内の除菌に利用するには、オゾンを効率良く電磁シールド3の外部に放出させる必要がある。
【0057】
そのため、電磁シールド3に開口を設けることになるが、電磁ノイズの漏洩も発生する。さらに、電源を含む制御部21を備える構成であるため、排熱のための風の流れも確保する必要がある。
【0058】
そこで、電磁シールド3は、流路30に面して第1の開口部51a、51bを備える。また、電磁シールド3は、流路30に沿って第2の開口部52a、52b、52c、52dを備える。
【0059】
第1の開口部51a、51bは、電磁ノイズの漏洩防ぎ、かつ、十分な酸素を供給し効率良くオゾンを放出できるようにするため、穴の形状、大きさ、密度などが規定される。また、第2の開口部52a、52b、52c、52dは、電磁ノイズの漏洩防ぎ、かつ、効率良く熱を放出できるようにするため、穴の形状、大きさ、密度などが規定される。
【0060】
図5A図5Bは、電磁ノイズの漏洩抑制効果と開口率の関係の一例を示すグラフである。また、図6A図6Bは、電磁ノイズの漏洩抑制効果と開口ピッチの関係の一例を示すグラフである。
【0061】
図5A図5B図6A図6Bにおいて、均一な電解発生面と、検証対象の金属の網の間の電磁界測定ポイントにおける電解スペクトラムを実線で示す。また、図5A図5B図6A図6Bにおいて、検証対象の金属の網の後の電磁界測定ポイントにおける電解スペクトラムを一点鎖線で示す。
【0062】
金属の網の開口穴が正方形である場合、開口穴ピッチをm、網の線径をnとしたとき、開口率A(%)は以下の(1)式で求められる。
A=((m-n)/m)×100・・・(1)
【0063】
図5Aは、検証対象の金属の網の開口率が64.5%の場合を示し、図5Bは、開口率が92.3%の場合を示す。図5A図5Bのいずれも、開口穴ピッチは5mmである。
【0064】
図5A図5Bに示すように、開口率が小さいほうが電界の減衰量が大きくなり、電磁ノイズの漏洩抑制効果が高いことが分かる。
【0065】
図6Aは、検証対象の金属の網の開口穴ピッチが5mmの場合を示し、図6Bは、開口穴ピッチが10mmの場合を示す。図6A図6Bのいずれも、開口率が81.3%である。
【0066】
図6A図6Bに示すように、開口穴ピッチが小さいほうが電界の減衰量が大きくなり、電磁ノイズの漏洩抑制効果が高いことが分かる。
【0067】
図7Aは、開口率及び開口穴ピッチと、オゾンの放出効率及び電磁ノイズの漏洩抑制効果の関係の一例を示すグラフである。また、図7Bは、開口率及び開口穴ピッチと、放熱効率及び電磁ノイズの漏洩抑制効果の関係の一例を示すグラフである。
【0068】
図7Aに示すように、開口率が70%以上であると、オゾンの放出効率が高くなり、室内の除菌で使用するのに十分な量のオゾンを放出できる。一方、開口率が70%未満であると、オゾンの放出効率が低く、室内の除菌で使用するのに十分な量のオゾンを放出できない。開口率が90%を超えても、オゾンの放出効率は高い。但し、電磁ノイズの漏洩抑制効果が低下する。また、開口穴ピッチが10mmを超えると、電磁ノイズの漏洩抑制効果が低下する。
【0069】
そこで、第1の開口部51a、51bに関しては、オゾンの放出効率を考慮すると、開口率の好ましい範囲E1が70%以上90%以下である。また、開口穴ピッチの好ましい範囲E2が0mm超10mm以下である。
【0070】
図7Bに示すように、開口率が30%以上であると、放熱効率が高くなり、電磁シールド3内の熱を十分に排出して、オゾン発生体2の温度上昇の抑制効果が得られる。一方、開口率が30%未満であると、放熱効率が低く、電磁シールド3内の熱を十分に排出することができず、オゾン発生体2の温度上昇の抑制効果が得られない。開口率が90%を超えても、放熱効率は高い。但し、電磁ノイズの漏洩抑制効果が低下する。また、開口穴ピッチが10mmを超えると、電磁ノイズの漏洩抑制効果が低下する。
【0071】
そこで、第2の開口部52a、52b、52c、52dに関しては、放熱効率を考慮すると、開口率の好ましい範囲E3が30%以上90%以下である。また、開口穴ピッチの好ましい範囲E2が0mm超10mm以下である。
【0072】
これにより、第1の開口部51a、51bは、電磁ノイズの漏洩防ぎ、かつ、十分な酸素を供給し効率良くオゾンを放出できる。また、第2の開口部52a、52b、52c、52dは、電磁ノイズの漏洩防ぎ、かつ、効率良く熱を放出できる。
【0073】
無声放電方式でオゾンを発生させるオゾン発生体2では、放電時に空気中の窒素(N)と酸素(O)と水分(HO)が反応して硝酸(HNO)が生成される。硝酸が放電部20に付着、堆積すると、放電ができなくなり、オゾンの発生量が徐々に低下していく。このため、放電部20に付着、堆積した硝酸の清掃が必要となる。
【0074】
そこで、オゾン発生装置1Aは、電磁シールド3に第3の開口部33と、第3の開口部33を開閉可能な蓋部34を備える。第3の開口部33は、電磁シールド3の外部から清掃用の工具などが入れられ、この工具などが放電部20に接することが可能な大きさである。これにより、オゾン発生装置1Aは、蓋部34を開けることで、放電部20に付着、堆積した硝酸の清掃が可能である。したがって、オゾン送風装置10は、放電部20の清掃のために、オゾン発生装置1Aやオゾン発生体2を送風装置11から取り外す必要がない。よって、放電部20の清掃が容易である。
【0075】
蓋部34は、第3の開口部33を閉じると、被係止部38の凸部38aが係止部37の凹部37aに係合される。これにより、蓋部34は、第3の開口部33を閉じた状態で保持され、不用意な力で開くことが抑制される
【0076】
また、蓋部34は、開けようとする所定の力が加わると、被係止部38の凸部38aが係止部37の凹部37aから外れる。これにより、蓋部34は、工具を使用することなく、第3の開口部33を開閉できる。
【0077】
<本実施の形態のオゾン発生装置の変形例>
図8は、本実施の形態のオゾン発生装置の変形例を示す斜視図である。オゾン発生装置1Bにおいて、オゾン発生装置1Aと同じ構成の部位については、同じ番号を付して説明する。
【0078】
オゾン発生装置1Bは、第1の開口部51(51c、51d)を備える。第1の開口部51(51c、51d)は、複数の四角形の穴で構成される。また、オゾン発生装置1Bは、第2の開口部52(52e、52f、52g、52h)を備える。第2の開口部52(52e、52f、52g、52h)は、複数の四角形の穴で構成される。
【0079】
第1の開口部54a、54bは、開口率を90%に近づけることで、オゾンの放出効率が向上する。また、第2の開口部55a、55b、55c、55dは、開口率を90%に近づけることで、放熱効率が向上する。更に、電磁シールド3は、電磁ノイズの漏洩抑制効果を確保できる。
【0080】
図9A図9B図9C図9D図9E図9F及び図9Gは、第1の開口部及び第2の開口部の例を示す平面図である。
【0081】
図9A図9Bは、第1の開口部51(51e)、第2の開口部52(52i)が、円形の穴である構成である。図9Aは、円形の穴である第1の開口部51e、第2の開口部52iが、直列に設けられる。図9Bは、円形の穴である第1の開口部51e、第2の開口部52iが、千鳥状に設けられる。第1の開口部51e、第2の開口部52iは、何れか一方を直列に配置し、他方を千鳥状に配置してもよい。
【0082】
図9C図9Dは、第1の開口部51(51f)、第2の開口部52(52j)が、正方形の穴である構成である。図9Cは、正方形の穴である第1の開口部51f、第2の開口部52jが、直列に設けられる。図9Dは、正方形の穴である第1の開口部51f、第2の開口部52jが、千鳥状に設けられる。第1の開口部51f、第2の開口部52jは、何れか一方を直列に配置し、他方を千鳥状に配置してもよい。
【0083】
図9E図9Fは、第1の開口部51(51g)、第2の開口部52(52k)が、長手方向の両端を円弧状とした長穴である構成である。図9Eは、長穴である第1の開口部51g、第2の開口部52kが、長手方向及び短手方向に直列に設けられる。図9Fは、長穴である第1の開口部51g、第2の開口部52kが、短手方向に千鳥状に設けられる。第1の開口部51g、第2の開口部52kは、何れか一方を直列に配置し、他方を千鳥状に配置してもよい。
【0084】
図9Gは、第1の開口部51(51h)、第2の開口部52(52m)が、ひし形の穴である構成である。図9Gは、ひし形の穴である第1の開口部51h、第2の開口部52mが、千鳥状に設けられる。ひし形の穴である第1の開口部51h、第2の開口部52mは、千鳥状に設けられることで、開口率を高めることができる。
【0085】
第1の開口部51、第2の開口部52は、長方形の穴でもよい。また、第1の開口部51、第2の開口部52は、三角形以上の多角形の穴でもよい。
さらに、第1の開口部51、第2の開口部52は、多角形の穴、円形の穴、長穴の組み合わせであってもよい。
【符号の説明】
【0086】
1A・・・オゾン発生装置、10・・・オゾン送風装置、11・・・送風装置、11a・・・羽根車、11b・・・ファンケース、11c・・・排気口、2・・・オゾン発生体、20・・・放電部、21・・・制御部、22・・・筐体、3・・・電磁シールド、30・・・流路、31a・・・第1の面、31b・・・第2の面、32a・・・第1の側面、32b・・・第2の側面、32c・・・第3の側面、32d・・・第4の側面、33・・・第3の開口部、34・・・蓋部、35、36・・・支持部、37・・・係止部、37a・・・凹部、38・・・被係止部、38a・・・凸部、38b・・・変形部、51、51a、51b、51c、51d、51e、51f、51g、51h・・・第1の開口部、52、52a、52b、52c、52d、52e、52f、52g、52h、52i、52j、52k、52m・・・第2の開口部、53a、53b・・・網
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G