(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017312
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】ヘアドライヤー
(51)【国際特許分類】
A45D 20/12 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
A45D20/12 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119859
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森川 敏英
(72)【発明者】
【氏名】篠原 遼
(57)【要約】
【課題】屈曲部を細くできるヘアドライヤーを提供する。
【解決手段】本体部30及びグリップ部40を備え、グリップ部40は、本体部30との間に形成されるスライド面16に直交する軸27を中心に回転することによって、畳んだ状態と開いた状態とに屈曲するヘアドライヤー10であって、ヘアドライヤー10の屈曲部24は、本体部30及びグリップ部40の一方のハウジングに固定されるとともに凸部52を有する第一部材50と、本体部30及びグリップ部40の他方のハウジングに固定されるとともに凹部62を有する第二部材60と、を有し、第一部材50及び第二部材60は、スライド面16に直交する方向に重ねて配置され、第一部材50及び第二部材60の少なくとも一方は、畳んだ状態と開いた状態との間を移行するときに弾性変形し、凸部52及び凹部62は畳んだ状態と開いた状態において嵌合し、グリップ部40の回転を規制する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部及びグリップ部を備え、
前記グリップ部は、前記本体部との間に形成されるスライド面に直交する軸を中心に回転することによって、畳んだ状態と開いた状態とに屈曲するヘアドライヤーであって、
前記ヘアドライヤーの屈曲部は、前記本体部及び前記グリップ部の一方のハウジングに固定されるとともに凸部を有する第一部材と、前記本体部及び前記グリップ部の他方のハウジングに固定されるとともに凹部を有する第二部材と、を有し、
前記第一部材及び第二部材は、前記スライド面に直交する方向に重ねて配置され、前記第一部材及び第二部材の少なくとも一方は、前記畳んだ状態と前記開いた状態との間を移行するときに弾性変形し、前記凸部及び凹部は、前記畳んだ状態及び前記開いた状態において嵌合し、前記グリップ部の回転を規制する、ヘアドライヤー。
【請求項2】
前記スライド面は、前記グリップ部の延び方向に斜めに交差している、請求項1に記載のヘアドライヤー。
【請求項3】
前記第一部材及び前記第二部材はいずれもリング状をなし、前記第一部材及び前記第二部材の中心部は前記スライド面に直交する方向に貫通している、請求項1に記載のヘアドライヤー。
【請求項4】
前記第一部材において、前記凸部の位置と、前記一方のハウジングに固定される凸側固定部の位置とは、前記軸を中心とする周方向にずれている、請求項1又は請求項2に記載のヘアドライヤー。
【請求項5】
前記第二部材は、前記凸部との接触によって弾性変位する変位部と、前記他方のハウジングに固定される凹側固定部とを有し、
前記凹側固定部は、前記軸を中心とする周方向において前記変位部の両側に設けられている、請求項1又は請求項2に記載のヘアドライヤー。
【請求項6】
前記他方のハウジングは、前記変位部を支持する台座部を有している、請求項5に記載のヘアドライヤー。
【請求項7】
前記凹部は、前記軸を中心とする周方向に傾斜した傾斜面を有している、請求項1又は請求項2に記載のヘアドライヤー。
【請求項8】
前記第二部材は、前記傾斜面と隣接した位置に第二の傾斜面を有し、
前記スライド面を基準とする前記傾斜面の傾斜角度は、前記スライド面を基準とする前記第二の傾斜面の傾斜角度よりも急である、請求項7に記載のヘアドライヤー。
【請求項9】
前記グリップ部を第一方向に回転することで前記畳んだ状態から前記開いた状態になり、前記第一方向とは反対の第二方向に回転することで前記開いた状態から前記畳んだ状態になるものであり、
前記本体部のハウジング及び前記グリップ部のハウジングは、前記開いた状態から前記第一方向への回転を制限する第一ストッパ部と、前記畳んだ状態から前記第二方向への回転を制限する第二ストッパ部と、を有している、請求項1に記載のヘアドライヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアドライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本体部とグリップ部との連結部分を屈曲してコンパクトに折りたためるヘアドライヤーが知られている(例えば下記特許文献1に記載)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなヘアドライヤーにおいて屈曲部を細くしたいという要望があった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、屈曲部を細くできるヘアドライヤーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のヘアドライヤーは、本体部及びグリップ部を備え、前記グリップ部は、前記本体部との間に形成されるスライド面に直交する軸を中心に回転することによって、畳んだ状態と開いた状態とに屈曲するヘアドライヤーであって、前記ヘアドライヤーの屈曲部は、前記本体部及び前記グリップ部の一方のハウジングに固定されるとともに凸部を有する第一部材と、前記本体部及び前記グリップ部の他方のハウジングに固定されるとともに凹部を有する第二部材と、を有し、前記第一部材及び第二部材は、前記スライド面に直交する方向に重ねて配置され、前記第一部材及び第二部材の少なくとも一方は、前記畳んだ状態と前記開いた状態との間を移行するときに弾性変形し、前記凸部及び凹部は、前記畳んだ状態及び前記開いた状態において嵌合し、前記グリップ部の回転を規制するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第一部材及び第二部材は、スライド面に直交する方向に重ねて配置されているから、ヘアドライヤーの屈曲部を細くできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1におけるヘアドライヤーであって、開いた状態を示す側面図
【
図2】ヘアドライヤーであって、畳んだ状態を示す側面図
【
図6】開いた状態の屈曲部において第一部材及び第二部材を取り外した状態を示す断面図
【
図7】第一部材、第二部材、本体ハウジング及びグリップハウジングの関係を示す分解斜視図
【
図8】開いた状態の屈曲部を示す断面図であって、
図5のA-A位置における断面に相当する断面図
【
図9】嵌合状態の第一部材及び第二部材を示す側面図
【
図10】嵌合状態の第一部材及び第二部材を示す側面図であって、
図9とは直交する方向から見た側面図
【
図11】嵌合状態の第一部材及び第二部材を示す平面図
【
図12】嵌合状態の第一部材及び第二部材を示す底面図
【
図13】開いた状態の屈曲部を示す断面図であって、
図5のB-B位置における断面に相当する断面図
【
図14】第二部材を示す断面図であって、
図12のC-C位置における断面に相当する断面図
【
図15】実施例2おけるヘアドライヤーの第一部材及び第二部材を示す側面図
【
図17】実施例3おけるヘアドライヤーの第一部材及び第二部材を示す側面図
【
図18】実施例4おけるヘアドライヤーの第一部材及び第二部材を示す側面図
【
図20】制御部による第1制御及び第2制御を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい形態を以下に示す。
【0010】
本発明のヘアドライヤーにおいて、前記スライド面は、前記グリップ部の延び方向に斜めに交差しているものとしてもよい。このような構成によれば、本体部とグリップ部との間のコの字部分に手を引っ掛けて使用できる。
【0011】
また、本発明のヘアドライヤーにおいて、前記第一部材及び前記第二部材はいずれもリング状をなし、前記第一部材及び前記第二部材の中心部は前記スライド面に直交する方向に貫通しているものとしてもよい。このような構成によれば、第一部材及び第二部材の内周側に電線を配索できるから、第一部材及び第二部材の外周側に電線を配索する場合よりも、ヘアドライヤーの屈曲部を細くできる。
【0012】
また、本発明のヘアドライヤーの前記第一部材において、前記凸部の位置と、前記一方のハウジングに固定される凸側固定部の位置とは、前記軸を中心とする周方向にずれているものとしてもよい。このような構成によれば、第一部材にかかる力を分散できるから、第一部材の耐久性を向上できる。
【0013】
また、本発明のヘアドライヤーにおいて、前記第二部材は、前記凸部との接触によって弾性変位する変位部と、前記他方のハウジングに固定される凹側固定部とを有し、前記凹側固定部は、前記軸を中心とする周方向において前記変位部の両側に設けられているものとしてもよい。このような構成によれば、変位部は、凹側固定部よって両端支持されるから、第一部材及び第二部材の強度を確保しつつ、トルクを大きくできる。
【0014】
また、本発明のヘアドライヤーにおいて、前記他方のハウジングは、前記変位部を支持する台座部を有しているものとしてもよい。このような構成によれば、変位部は、ハウジングの台座部に支持されるから、凹部を有する部材の耐久性を向上でき、かつトルクを大きくできる。
【0015】
また、本発明のヘアドライヤーにおいて、前記凹部は、前記軸を中心とする周方向に傾斜した傾斜面を有しているものとしてもよい。このような構成によれば、凸部は、傾斜面に沿って移動するから、グリップ部をスムーズに回転できる。
【0016】
また、本発明のヘアドライヤーにおいて、前記第二部材は、前記傾斜面と隣接した位置に第二の傾斜面を有し、前記スライド面を基準とする前記傾斜面の傾斜角度は、前記スライド面を基準とする前記第二の傾斜面の傾斜角度よりも急であるものとしてもよい。このような構成によれば、畳んだ状態又は開いた状態を解除するために必要なトルクは、畳んだ状態又は開いた状態にするために必要なトルクよりも大きい。したがって、畳んだ状態及び開いた状態を不用意に解除しにくくできる。
【0017】
また、本発明のヘアドライヤーは、前記グリップ部を第一方向に回転することで前記畳んだ状態から前記開いた状態になり、前記第一方向とは反対の第二方向に回転することで前記開いた状態から前記畳んだ状態になるものであり、前記本体部のハウジング及び前記グリップ部のハウジングは、前記開いた状態から前記第一方向への回転を制限する第一ストッパ部と、前記畳んだ状態から前記第二方向への回転を制限する第二ストッパ部と、を有しているものとしてもよい。このような構成によれば、グリップ部の回転範囲を制限できるから、使いやすくできる。本体部のハウジング及びグリップ部のハウジングの回転範囲を制限できるため、内部の配線が過剰にねじれてしまうことによる配線の抜けや断線を防止できる。
【0018】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した一実施例について、
図1~
図14、
図20及び
図21を参照しつつ詳細に説明する。本実施例におけるヘアドライヤー10は、
図1に示すように、本体部30、グリップ部40及び操作部14を備えている。グリップ部40は、本体部30よりも細く握りやすい形状である。本体部30の先端には、風の吹出口11が設けられている。吹出口11には、各種のノズル13を着脱できる。
図1~
図3には、ノズル13を取り付けた状態のヘアドライヤー10を示し、
図4には、ノズル13を取り付けていない状態のヘアドライヤー10を示す。
【0019】
本体部30の後端には、空気の吸気口12が設けられている。吸気口12は、メッシュフィルターによって覆われている。メッシュフィルターは、本体部30の後端面全体と、後端面の前側に連なっている周面全体とに孔を有しており、広範囲から空気を吸い込めるようになっている。メッシュフィルターは、細かい網目状となっているため、ごみや毛髪が入り込みにくくなっている。
【0020】
グリップ部40は、スライド面16に直交する回転軸27(
図5及び
図6参照)を中心に時計回り及び反時計回りに回転する。ヘアドライヤー10は、グリップ部40の回転によって、開いた状態(
図1参照)と畳んだ状態(
図2参照)とになる。
【0021】
ヘアドライヤー10を開いた状態において、グリップ部40は、本体部30から離れる方向に延出している(
図2参照)。ヘアドライヤー10を畳んだ状態において、グリップ部40は、本体部30に対して略平行に延出している。ヘアドライヤー10を畳んだ状態において、本体部30とグリップ部40との間には、グリップ部40の太さと同程度の空間17があいている。この空間17は、使用者の手指を差し込み可能な大きさを有しているため、本体部30とグリップ部40との間のコの字部分に手を引っ掛けて使用できる。
【0022】
スライド面16は、
図1に示すように、グリップ部40の延び方向に対して斜めに交差している。スライド面16は、側面視において、前側から後側に向かって下側に傾いている。
【0023】
各図においてスライド面16に直交する方向をY軸で示し、スライド面16に平行な方向をX軸及びZ軸で示す。X軸の正方向側は前側、X軸の負方向側は後側、Y軸の正方向側は上側、Y軸の負方向側は下側、Z軸の正方向側は左側、Z軸の負方向側は右側を示す。Y軸は、回転軸27と平行である。
【0024】
本体部30は、
図4に示すように、送風部18、加熱部19、イオナイザ(図示せず)、第1温度センサ28、第2温度センサ29及び制御部21と、これらを内部に収容する本体ハウジング32とを有している。
【0025】
送風部18は、本体ハウジング32の後端部に配置されている。送風部18は、小型で軽量のブラシレスDCモーターを有している。モーターは、100,000rpm以上の高回転数で駆動する。これにより、送風部18から速くて高い圧力の風を送ることができる。
【0026】
加熱部19は、送風部18よりも前側に配置されている。加熱部19は、送風部18から送られる風を加熱する。加熱部19は、発熱体として例えばニクロム線等の電熱線を有している。発熱体の最大消費電力は、1000W±5%であり、発熱体の発熱量は消費電力に比例する。
【0027】
イオナイザは、マイナスイオンを発生する。マイナスイオンは、吹出口11から送風される風にのって使用者の毛髪に届き、毛髪の静電気を抑制する。吹出口11には、遠赤外線を放出するセラミックがコーティングされている。
【0028】
第1温度センサ28及び第2温度センサ29は、例えばNTCサーミスタにより構成されている。第1温度センサ28は、送風部18と加熱部19との間に配置されている。第1温度センサ28は、制御部21の制御基板21Sに搭載されている。第1温度センサ28は、吸気口12から吸入される空気の温度(外気温)を計測している。
【0029】
第2温度センサ29は、本体部30の前端部に備えられている。第2温度センサ29は、本体部30の前端部の内部温度を計測している。
【0030】
本体ハウジング32は、風洞部38を有している。風洞部38は、本体ハウジング32の前端部の内側に固定されている。風洞部38は、筒状をなしている。風洞部38は、先細り形状である。風洞部38の内周面には、先端に向かって内周側に緩く傾いた傾斜面が形成されている。風洞部38によって、モーターが生み出す風の速さ及び圧力を高めることができる。
【0031】
本体部30の下面には、突出部31が設けられている。突出部31は、本体部30の一部であり下方に突出している。突出部31の付け根は括れている(
図1及び
図3参照)。
【0032】
グリップ部40は、
図4に示すように、AC基板22等を収容可能なグリップハウジング41を有している。グリップ部40は、後述する連結部25によって突出部31の下側に連結されている。突出部31の外周面とグリップ部40の外周面とは、面一になっている。
【0033】
グリップ部40の上下方向の中間部は、上端及び下端よりも若干太くなっている(
図1及び
図3参照)。グリップ部40の下端には、電源コード15が延出している。
【0034】
本体ハウジング32及びグリップハウジング41はいずれも合成樹脂製であり、例えばポリカーボネート樹脂により成形されている。本体ハウジング32は、
図3に示すように、左側本体ハウジング32L及び右側本体ハウジング32Rを有している。グリップハウジング41は、左側グリップハウジング41L及び右側グリップハウジング41Rを有している。左側本体ハウジング32L及び右側本体ハウジング32R、並びに左側グリップハウジング41L及び右側グリップハウジング41Rは、左右方向における中心に合わせ面23を有している。左側本体ハウジング32L及び右側本体ハウジング32R、並びに左側グリップハウジング41L及び右側グリップハウジング41Rは、外面のデザイン(操作部14の有無等)を除き、合わせ面23を基準に左右対称である。
【0035】
操作部14は、第1操作部14F、第2操作部14S及び第3操作部14Tを有している。使用者は、操作部14を操作することによって、ヘアドライヤー10の起動、停止、風量の調節、風の温度の調節、及び使用モードの切り替えを行うことができる。
【0036】
ヘアドライヤー10の風量は、強弱2段階に切り替えられる。具体的には、ヘアドライヤー10の風量は、強い風を吹き出す「HIGHモード」と、弱い風を吹き出す「LOWモード」とに切り替えられる。風量は、送風部18のモーターに供給される電力により制御される。「HIGHモード」において、風量は0.9m3/s、風速は、20~26m/sである。「LOWモード」において、風量は0.6m3/s、風速は、12~18m/sである。
【0037】
ヘアドライヤー10の風の温度は、高低2段階に切り替えられる。具体的には、ヘアドライヤー10の風の温度は、温風を吹き出す「HOTモード」と、冷風を吹き出す「COOLモード」とに切り替えられる。ヘアドライヤー10の風の温度は、加熱部19の発熱体に供給される電力により制御される。「COOLモード」は、発熱体への電力を供給せずに常温の風を吹出口11から送風する。
【0038】
ヘアドライヤー10の「HOTモード」において、使用モードを切り替えることができる。具体的には、ヘアドライヤー10の使用モードは、「標準モード」、「第1モード」、及び「第2モード」に切り替えられる。「標準モード」は、80℃~90℃の温風を吹き出す。「第1モード」は、第1設定温度以下の温風を吹き出す。「第2モード」は、第2設定温度以下の温風を吹き出す。第1設定温度及び第2設定温度は、「標準モード」の風の温度よりも低い。第1設定温度及び第2設定温度は、互いに異なる。具体例として、第1設定温度は、使用者の毛髪の表面温度が50℃になるように想定された温度である。「第1モード」は、頭皮及び毛髪の根元を乾かすのに適したモードである。第2設定温度は、使用者の毛髪の表面温度が60℃になるように想定された温度である。「第2モード」は、毛先を乾かすのに適したモードである。
【0039】
第1操作部14Fは、グリップ部40に設けられている。第1操作部14Fの操作によって、ヘアドライヤー10の起動、停止、温風、冷風の切り替えを行うことができる。具体的には、第1操作部14Fの操作によって、「電源OFF」→「COOLモード」→「HOTモード」に順に切り替わる。第1操作部14Fは、ヘアドライヤー10を開いた状態では、グリップ部40の前面に配置され、ヘアドライヤー10を畳んだ状態では、グリップ部40の下面に配置される(
図1及び
図2参照)。
【0040】
第2操作部14S及び第3操作部14Tは、本体部30に設けられている。第2操作部14Sの操作によって、ヘアドライヤー10の風量を調整できる。具体的には、第2操作部14Sの操作によって、「HIGHモード」→「LOWモード」に順に切り替わる。
【0041】
第3操作部14Tの操作によって、ヘアドライヤー10の使用モードを切り替えできる。具体的には、第3操作部14Tの操作によって、「標準モード」→「第1モード」→「第2モード」に順に切り替わる。第2操作部14S及び第3操作部14Tは、本体部30の右側面に設けられている。
【0042】
ヘアドライヤー10は、屈曲部24において屈曲し、開いた状態と畳んだ状態とになる。屈曲部24は、
図5及び
図6に示すように、スライド面16、連結部25、ストッパ部26、第一部材50及び第二部材60を有している。
【0043】
スライド面16は、
図5に示すように、本体側スライド部33と、グリップ側スライド部42とによって構成されている。本体側スライド部33は、突出部31の下端を塞ぐ壁である。グリップ側スライド部42は、グリップハウジング41の上端を塞ぐ壁である。
【0044】
連結部25は、本体側連結部34とグリップ側連結部43とによって構成されている。本体側連結部34は、本体側スライド部33から下側に突出している。本体側連結部34の内周面及び外周面は、回転軸27を中心とした円筒状をなしている。本体側連結部34の下端には、外周側に突出した鍔部35が設けられている。
【0045】
グリップ側連結部43は、グリップ側スライド部42に設けられている。グリップ側スライド部42には、連結穴44が形成されている。連結穴44は、回転軸27を中心とした円形状である。本体側連結部34は、連結穴44に嵌合し、鍔部35は、連結穴44の周縁部に下側から引っ掛かる。グリップ側スライド部42のうち連結穴44の周縁部は、グリップ側連結部43である。これによってグリップ部40と本体部30とは相対的に回転可能に連結される。
【0046】
第一部材50及び第二部材60は、
図5に示すように、Y軸方向に重ねて配置されている。第一部材50及び第二部材60は、グリップ部40の上端部に収容されている。第一部材50は、本体ハウジング32に固定されている。第二部材60は、グリップハウジング41に固定されている。
【0047】
第一部材50及び第二部材60はいずれも合成樹脂製であり、ポリアセタール樹脂などで成形されている。第一部材50及び第二部材60は、いずれもリング状をなしている(
図7参照)。第一部材50及び第二部材60の中心部は、Y軸方向に貫通している。第一部材50及び第二部材60の中心部には、電線Wが配置されている(
図5参照)。電線Wは、第一部材50及び第二部材60の中心部を通って、本体部30側とグリップ部40側とに延びている。
【0048】
第一部材50は、本体側連結部34に固定されている(
図7参照)。本体側連結部34の下面には、第一部材50を固定する本体側固定部36が設けられている。本体側固定部36は、本体側連結部34の下面において上側に凹んでいる。本体側固定部36は、左側本体ハウジング32Lと右側本体ハウジング32Rとに2つずつ設けられている。
図7には、左側本体ハウジング32Lのみを示している。
【0049】
第二部材60は、グリップ部40の上端部に固定されている。グリップ部40の上端部には、第二部材60を固定するグリップ側固定部45が設けられている。グリップ側固定部45は、
図6に示すように、前後一対の側壁46、及び下壁47を有している。側壁46及び下壁47は、グリップハウジング41の内壁面から突出している。グリップ側固定部45は、左側グリップハウジング41L及び右側グリップハウジング41Rの両方に設けられている(
図13参照)。
【0050】
ヘアドライヤー10は、
図8に示すように、グリップ部40を第一方向R1に回転することで、畳んだ状態から開いた状態になり、第一方向R1とは反対の第二方向R2に回転することで、開いた状態から畳んだ状態になる。第一方向R1は、下側から見て時計回りである。第二方向R2は、下側から見て反時計回りである。グリップ部40の回転は、ストッパ部26によって最大180度に制限されている。
【0051】
ストッパ部26は、本体側ストッパ部37とグリップ側ストッパ部48とを有している。本体側ストッパ部37は、本体側連結部34に1つ設けられている。本体側ストッパ部37は、鍔部35の外周面に設けられ、外周側に突出している。
【0052】
グリップ側ストッパ部48は、グリップ部40の上端部に設けられている(
図6参照)。グリップ側ストッパ部48は、
図8に示すように、左側グリップハウジング41L及び右側グリップハウジング41Rの両方に設けられている。ヘアドライヤー10を開いた状態では、本体側ストッパ部37と左側グリップハウジング41Lのグリップ側ストッパ部48とが当たることによって、グリップ部40の第一方向R1への回転は制限される。ヘアドライヤー10を畳んだ状態では、本体側ストッパ部37と右側グリップハウジング41Rのグリップ側ストッパ部48とが当たることによって、グリップ部40の第二方向R2への回転は制限される。本体側ストッパ部37と、左側グリップハウジング41Lのグリップ側ストッパ部48とは、第一ストッパ部を構成する。本体側ストッパ部37と、右側グリップハウジング41Rのグリップ側ストッパ部48とは、第二ストッパ部を構成する。
【0053】
第一部材50は、
図9及び
図10に示すように、環状部51と、凸部52と、凸側固定部53とを有している。環状部51の厚さ寸法は概ね一定である。環状部51の上面と下面とは略平行である。
【0054】
凸部52は、環状部51の下面に設けられ、下側に突出している。凸部52は、2つ設けられている。2つの凸部52は、回転軸27を基準に180度反対の位置に設けられている(
図11参照)。2つの凸部52は、回転軸27を基準に対称な形状をなしている。
【0055】
凸側固定部53は、環状部51の上面に設けられ、上側に突出している。凸側固定部53は、4つ設けられている(
図11参照)。凸側固定部53はそれぞれ角柱状をなしている。凸側固定部53は、本体側固定部36に嵌合する。これにより、第一部材50は、スライド面16に平行な方向の移動を制限される。
【0056】
凸部52の位置と、凸側固定部53の位置とは、
図11に示すように、回転軸27を中心とする周方向(以後、単に周方向と言う。)にずれている。凸部52及び凸側固定部53は、周方向において等角度間隔で配置されている。凸部52及び凸側固定部53は、環状部51のうち回転軸27を中心とする径方向(以後、単に径方向と言う。)において中心側に寄った位置に配置されている。
【0057】
第二部材60は、
図9及び
図10に示すように、環状部61と、凹部62と、変位部63と、凹側固定部64とを有している。環状部61は、平面視において回転軸27を中心とした環状をなしている(
図11参照)。環状部61の外径寸法は、第一部材50の環状部51の外径寸法よりも小さい。環状部61の内径寸法は、環状部51の内径寸法よりも大きい。平面視において、環状部61の全体は、環状部51と重なっている。環状部61の幅寸法61Wは、環状部51の幅寸法51Wよりも小さい(
図12参照)。環状部61の幅寸法61W及び環状部51の幅寸法51Wはいずれも径方向の寸法である。
【0058】
凹部62は、2つ設けられている。凹部62は、周方向に並んだ2つの山部65の間に形成されている。各凹部62は、隣接する山部65の頂部66から凹部62の最下点に向かって傾斜した傾斜面67を有している。凹部62の最下点の両側の傾斜面67は、凹部62の最下点を基準に対称であり、等しい傾斜角度を有している。凹部62の深さ寸法は、凸部52の突出寸法と同等である。2つの凹部62は、2つの凸部52と対応した位置に設けられている。2つの凹部62は、回転軸27を中心に180度反対の位置に設けられている(
図13参照)。2つの凹部62は、回転軸27を中心に対称な形状をなしている。凹部62の周方向の寸法は、平面視において、外周側から内周側へ向かって次第に小さくなっている。
【0059】
凸部52と凹部62とが嵌合した状態(嵌合状態と称する。)において、第一部材50と第二部材60とは相対的な回転を制限される。嵌合状態において、凸部52及び凹部62の周方向の両端は同時に当たっている。これにより、嵌合状態において凸部52と凹部62との周方向のガタツキは防止される。凸部52及び凹部62は、第一部材50及び第二部材60の回転方向に2つ設けられている。これによって、回転軸27を中心としたトルクを大きくできる。具体的には例えば、トルクの大きさは、500~1500Nmmであることが好ましく、600~1200Nmmであることがより好ましい。
【0060】
変位部63は、環状部61のうち凹部62及び凹側固定部64を除く部分である。変位部63は、畳んだ状態と開いた状態との間を移行する時(移行状態と称する。)に、凸部52との接触によって下側に弾性変位する。変位部63は、
図10に示すように、周方向の両端を凹側固定部64によって支持固定されている。変位部63は、周方向の両端から中央に向かって緩やかに下がる湾曲形状をなしている。変位部63の周方向の両端部は山部65によって構成されている。変位部63は、傾斜面67と隣接した位置に第二の傾斜面68を有している。スライド面16を基準とする傾斜面67の傾斜角度は、スライド面16を基準とする第二の傾斜面68の傾斜角度よりも急である。
【0061】
変位部63の最下点には、
図10に示すように、突片69が設けられている。突片69は、外周側に突出している(
図12参照)。突片69の先端は、第一部材50の環状部51の外周面よりも内側に位置している。突片69を含む変位部63の最下点の上下両面は、スライド面16と平行である(
図9参照)。突片69は、グリップハウジング41に設けられた台座部49に支持される(
図5及び
図13参照)。
【0062】
台座部49は、
図5及び
図13に示すように、グリップハウジング41の内壁面から突出し、左右方向に延びている。台座部49は、2つの突片69に対応して、前側と後側とに設けられている。前後の台座部49はいずれも、左側グリップハウジング41L及び右側グリップハウジング41Rの両方から延出し、連なっている(
図13参照)。台座部49を備えることによって、第二部材60は、台座部49に支持された状態で径方向に変形する。第二部材60は両端支持となることで、第二部材60が変形する際にかかる力が2カ所に分散されるため、第二部材60の耐久性を向上しつつ、トルクを大きく確保できる。
【0063】
前側の台座部49は、
図5に示すように、グリップハウジング41の前面から後方に延出している。前側の台座部49は、スライド面16と平行な壁面を有する壁状である。後側の台座部49は、上側へ立ち上がっている。後側の台座部49は、回転軸27と平行な壁面を有する壁状である。前後の台座部49はいずれも薄い形状をなしている。これによって、グリップハウジング41の当該部分が肉厚となることを防ぎ、ヒケの発生を防止できる。
【0064】
凹側固定部64は、
図10に示すように、周方向において変位部63の両側に設けられている。凹側固定部64はそれぞれ外周側に突出した形状をなしている。凹側固定部64は、凹部62の真下に位置している(
図9参照)。凹側固定部64は、周方向よりも上下方向に長いブロック状をなしている。凹側固定部64の周方向の両面は平行である。凹側固定部64は、
図13に示すように、グリップ側固定部45の側壁46の間に嵌合する。これにより、第二部材60は、スライド面16に平行な方向の移動を制限される。
【0065】
第二部材60は、
図14に示すように、径方向の外周側から内周側に向かって下向きに傾いた内向き傾斜面71を有している。内向き傾斜面71は、第二部材60の上面の全周に設けられている。スライド面16を基準とする内向き傾斜面71の傾斜角度は、周方向に変化している。内向き傾斜面71の傾斜角度は、山部65の頂部66の位置において最も大きい。内向き傾斜面71を設けることによって、トルクを大きくできる。
【0066】
制御部21は、
図4に示すように、制御基板21Sと、制御基板21Sに実装された複数個の電子部品とを備えている。制御基板21Sは本体ハウジング32に固定されている。電子部品は、EEPROM、RAM等の記憶部品やマイクロコンピュータ等である。記憶部品は、各種の使用モードを行うためのコンピュータプログラムや各種のパラメータ等を記憶している。マイクロコンピュータは、記憶部品に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより、各種の使用モードに対応して送風部18や加熱部19を制御する。制御部21は、第2温度センサ29によって本体部30の前端部の内部温度を計測し、高温(例えば105℃以上)になった場合に異常温度と判断し、加熱部19への通電を停止する。
【0067】
制御部21は、
図20及び
図21に示すように、「HOTモード」において第1制御及び第2制御を適宜実行する。第1制御及び第2制御はそれぞれ、外気温T、風量及び使用モードに応じてプログラムされている。外気温Tは、第1温度センサ28によって計測される。風量及び使用モードは、使用者によって選択される。第1制御及び第2制御は、温度T1,T2を基準として制御する。温度T1,T2は、風量が大きい場合よりも小さい場合において低く設定されている。具体的には、「LOWモード」においてT1=20℃、T2=35℃であり、「HIGHモード」においてT1=25℃、T2=40℃である。「HIGHモード」の場合、風速が早いため加熱部19にて風が暖められる時間が短い。「LOWモード」の場合、風速が遅いため加熱部19にて風が暖められる時間が長い。これらを考慮して、「HIGIモード」及び「LOWモード」の基準温度を異なる温度に設定している。
【0068】
第1制御は、発熱体の出力を制御するものである。第1制御は、オンデューティ比(Dutyと称する。)にしたがって発熱体の出力を変更する。Dutyは、発熱体への通電のオンオフ1周期に占めるオン期間τの割合である。Dutyは、外気温T及び風量に対応して予め記憶されている。Dutyは、各使用モードにおいて温度T1を境界にして、外気温Tが高いときより低いときの方を大きく設定している。
【0069】
Dutyは、風量が大きい(強い)場合に大きく、小さい(弱い)場合に小さい。風量が大きい場合、送風部18から送り出された風は加熱部19を短時間で通過する。Dutyを大きくすることによって、風の温度を各使用モードの目標温度まで上げることができる。風量が小さい場合、送風部18から送り出された風は加熱部19の通過に長い時間を要する。Dutyを小さくすることによって、温風の温度が高くなりすぎることを防止できる。
【0070】
第2制御は、温風運転と冷風運転とを切り替えるものである。第2制御は、温風運転時間Th及び冷風運転時間Tcにしたがって温風運転と冷風運転とを切り替える。温風運転と冷風運転との切り替えは繰り返される。温風運転時間Th及び冷風運転時間Tcは、外気温T及び風量に対応して予め記憶されている。
【0071】
温風運転時間Th及び冷風運転時間Tcは、各使用モードにおいて温度T2を境界にして異なる。各使用モードにおいて外気温Tが温度T2より低い場合の温風運転時間Thは、冷風運転時間Tcよりも長い。外気温Tが温度T2より高い場合の温風運転時間Thと冷風運転時間Tcとは等しい。
【0072】
各使用モードにおける制御の一例を説明する。「標準モード」において制御部21は、第1制御を実行し、第2制御を実行しない。風量「LOWモード」である場合、Duty=2/3である。風量「HIGHモード」である場合、Duty=1である。
【0073】
頭皮及び毛髪の根元を乾かすのに適した「第1モード」において、制御部21は、第1制御及び第2制御を実行する。風量「LOWモード」である場合、T<T1においてDuty=1/2、Th=2s、Tc=1sであり、T1<T<T2においてDuty=1/3、Th=2s、Tc=1sであり、T2<TにおいてDuty=1/3、Th=2s、Tc=2sである。風量「HIGHモード」である場合、T<T1においてDuty=2/3、Th=2s、Tc=1sであり、T1<T<T2においてDuty=1/2、Th=2s、Tc=1sであり、T2<TにおいてDuty=1/2、Th=2s、Tc=2sである。
【0074】
毛先を乾かすのに適した「第2モード」において、制御部21は、第1制御及び第2制御を実行する。風量「LOWモード」である場合、T<T1においてDuty=2/3、Th=2s、Tc=1sであり、T1<T<T2においてDuty=1/2、Th=2s、Tc=1sであり、T2<TにおいてDuty=1/2、Th=2s、Tc=2sである。風量「HIGHモード」である場合、T<T1においてDuty=1、Th=2s、Tc=1sであり、T1<T<T2においてDuty=3/4、Th=2s、Tc=1sであり、T2<TにおいてDuty=3/4、Th=2s、Tc=2sである。
【0075】
Dutyの分母を4以下に設定することが望ましい。これにより、フリッカー現象を発生しにくくできる。
【0076】
次に、本実施例におけるヘアドライヤー10の使用方法の一例を説明する。へアドライヤー10を畳んだ状態から開いた状態にする場合、グリップ部40を第一方向R1に回転させる。グリップ部40に加えられた回転力によって、凹部62の傾斜面67と凸部52とは強く当たり合う。傾斜面67の傾斜角度は比較的きついので、嵌合状態を解除するために大きいトルクを要する。トルクの増加に伴って、凹部62は凸部52から離脱し、変位部63は凸部52に当たることによって下側に弾性変位する。突片69は台座部49に当たって支持される。第二の傾斜面68と凸部52とが接触した状態で、第二部材60は回転する。第二の傾斜面68の傾斜は比較的緩やかなので、第二部材60はスムーズに回転する。ヘアドライヤー10が開いた状態になる直前、山部65は凸部52に当たり、変位部63の弾性変位量は増し、突片69は台座部49に支持される。その後、山部65は凸部52を乗り越え、凹部62は凸部52の位置に至り、変位部63は弾性復帰し、嵌合状態になる。同時に、ヘアドライヤー10は開いた状態になり当該状態に保持される。ここで、グリップ部40をさらに第一方向R1に回転させようとした場合、
図8に示すように、左側グリップハウジング41Lのグリップ側ストッパ部48は、本体側ストッパ部37に当たり、それ以上の回転を制限する。
【0077】
ヘアドライヤー10を開いた状態から畳んだ状態にする場合、グリップ部40を第二方向R2に回転させる。第二部材60は、畳んだ状態から開いた状態にする場合と同様に移行状態において弾性変位する。凸部52及び凹部62は、畳んだ状態になると嵌合し、グリップ部40の回転を止める。ここで、グリップ部40をさらに第二方向R2に回転させようとした場合、右側グリップハウジング41Rのグリップ側ストッパ部48は、本体側ストッパ部37に当たり、それ以上の回転を制限する。
【0078】
畳んだ状態のヘアドライヤー10はコンパクトであるから、容易に収納できる。また、畳んだ状態のへアドライヤー10を使用することで、狙ったところに風を当てやすくなる。具体的には、畳んだ状態のヘアドライヤー10の空間17に手をいれ、本体部30を把持する。吹出口11に近いところを把持することで、吹出口11を正確に狙った向きにできる。
【0079】
次に、上記のように構成された実施例の作用および効果について説明する。ヘアドライヤー10は、本体部30及びグリップ部40を備えている。グリップ部40は、スライド面16に直交する回転軸27を中心に回転自在である。ヘアドライヤー10は、グリップ部40の回転によって畳んだ状態と開いた状態とに屈曲する。ヘアドライヤー10の屈曲部24は、第一部材50と、第二部材60と、を有している。第一部材50は、本体ハウジング32に固定されるとともに凸部52を有している。第二部材60は、グリップハウジング41に固定されるとともに凹部62を有している。第一部材50及び第二部材60は、スライド面16に直交する方向に重ねて配置されている。第一部材50及び第二部材60の少なくとも一方は、畳んだ状態と開いた状態との間を移行するときに弾性変形する。凸部52及び凹部62は畳んだ状態及び開いた状態において嵌合し、グリップ部40の回転を規制する。
【0080】
この構成によれば、第一部材50及び第二部材60は、スライド面16に直交する方向に重ねて配置されている。ここで、例えば2つのリング状部材を径方向の内側と外側とに配置する場合、屈曲部の径方向の寸法は大きくなりがちである。しかしながら、ヘアドライヤー10の第一部材50及び第二部材60は、スライド面16に直交する方向に重ねて配置されているから、屈曲部24の径方向の寸法を小さくでき、もってヘアドライヤー10の屈曲部24を細くできる。
【0081】
また、スライド面16は、グリップ部40の延び方向に斜めに交差している。この構成によれば、本体部30とグリップ部40との間のコの字部分に手を引っ掛けて使用できる。
【0082】
また、第一部材50及び第二部材60はいずれもリング状をなしている。第一部材50及び第二部材60の中心部はスライド面16に直交する方向に貫通している。この構成によれば、第一部材50及び第二部材60の内周側に電線Wを配索できるから、第一部材50及び第二部材60の外周側に電線Wを配索する場合よりも、ヘアドライヤー10の屈曲部24を細くできる。
【0083】
また、第一部材50において、凸部52の位置と凸側固定部53の位置とは、回転軸27を中心とする周方向にずれている。この構成によれば、第一部材50にかかる力を分散できるから、第一部材50の耐久性を向上できる。
【0084】
また、第二部材60は、変位部63と凹側固定部64とを有している。凹側固定部64は、回転軸27を中心とする周方向において変位部63の両側に設けられている。この構成によれば、変位部63は、凹側固定部64よって両端支持されるから、第二部材60の強度を確保しつつ、トルクを大きくできる。
【0085】
また、グリップハウジング41は、変位部63を支持する台座部49を有している。この構成によれば、変位部63は、ハウジングの台座部49に支持されるから、凹部62を有する部材の耐久性を向上でき、かつトルクを大きくできる。
【0086】
また、凹部62は、回転軸27を中心とする周方向に傾斜した傾斜面67を有している。この構成によれば、凸部52は、傾斜面67に沿って移動するから、グリップ部40をスムーズに回転できる。
【0087】
また、第二部材60は、傾斜面67と隣接した位置に第二の傾斜面68を有している。スライド面16を基準とする傾斜面67の傾斜角度は、スライド面16を基準とする第二の傾斜面68の傾斜角度よりも急である。この構成によれば、畳んだ状態又は開いた状態を解除するために必要なトルクは、畳んだ状態又は開いた状態にするために必要なトルクよりも大きい。したがって、畳んだ状態及び開いた状態を不用意に解除しにくくできる。
【0088】
また、ヘアドライヤー10は、グリップ部40を第一方向R1に回転することで畳んだ状態から開いた状態になり、第一方向R1とは反対の第二方向R2に回転することで開いた状態から畳んだ状態になる。本体ハウジング32及びグリップハウジング41は、開いた状態から第一方向R1への回転を制限する第一ストッパ部(左側グリップハウジング41Lのグリップ側ストッパ部48及び本体側ストッパ部37)と、畳んだ状態から第二方向R2への回転を制限する第二ストッパ部(右側グリップハウジング41Rのグリップ側ストッパ部48及び本体側ストッパ部37)と、を有している。この構成によれば、グリップ部40の回転範囲を制限できるから、使いやすくできる。また、本体ハウジング32及びグリップハウジング41の回転範囲を制限できるため、内部の電線Wの過剰なねじれを防ぎ、電線Wの抜けや断線を防止できる。
【0089】
また、ヘアドライヤー10の制御部21は、外気温T及び風量に基づき、第1制御及び第2制御を組み合わせて対象物(頭皮、毛髪の根元、毛先等)への温度制御を行う。第1制御は、Dutyによって発熱体の出力を制御するものである。第2制御は、温風運転と冷風運転とを切り替るものである。このような構成によれば、対象物の温度を狭い温度範囲で設定できる。外気温Tが高温の場合、毛髪の温度が急激に上昇しやすかったり、外気温Tが低温の場合、毛髪の温度も冷たく温度が上がるまでに時間がかかったりするため、対象物を狙いの温度にするためには、外気温Tを考慮することが重要である。また、風量が大きい場合、送風部18から送り出された風は加熱部19を短時間で通過するため、風の温度が上がりづらい。風量が小さい場合、送風部18から送り出された風は加熱部19の通過に長い時間を要するため、温風の温度が上がりやすい。そのため、対象物を狙いの温度にするためには、風量についても考慮することが重要である。
【0090】
第1制御のみによって温度制御を行う場合、対象物の設定温度を細かく制御することは可能だが、Dutyによって発熱体の出力を細かく制御するためには、Dutyの分母を大きくする必要がある。そうすると、フリッカー現象が発生しやすくなるため、Dutyによる対象物の設定温度の細かな制御をすることは、好ましくない。
【0091】
第2制御のみによって温度制御を行う場合、対象物の温度を一定温度に留めることが難しいという問題がある。なぜなら、Dutyを変化させずに温風運転を続ける場合、対象物の温度は急激に上昇しやすい。対象物の温度を一定温度に留めるためには、冷風運転の時間を長くする必要がある。そうすると、風の温度変化の上下幅が大きくなり、対象物の狙いの温度からのぶれが大きくなってしまうため、使用時の体感が悪くなってしまうからである。
【0092】
しかしながら、制御部21は、Dutyによって発熱体の出力を制御する第1制御と、温風運転と冷風運転とを切り替る第2制御とを組み合わせて行う。これによって、フリッカー現象の発生を抑制しながら、使用時の体感を悪くすることなく、対象物の温度を細かく設定できる。具体的には、制御部21の制御によって、狭い温度範囲、具体的には目標温度値の±5℃程度で、対象物の温度を設定できる。また、対象物の狙いの温度から外れた際に、素早く狙いの温度へと復帰できるようにするために、温度を急激に上げたい場合は第1制御によって対応を行い、温度を急激に下げたい場合は第2制御によって対応を行うという制御も可能となる。
【0093】
<実施例2>
次に、本発明を具体化した実施例2に係るヘアドライヤーの第一部材100及び第二部材101を
図15及び
図16によって説明する。なお、実施例1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0094】
本実施例に係るヘアドライヤーは、実施例1と同様に、本体部30及びグリップ部40を備えている。グリップ部40は、実施例1と同様に、スライド面16に直交する回転軸27を中心に回転自在である。
【0095】
第一部材100及び第二部材101は、実施例1と同様、スライド面16に直交する方向に重ねて配置されている。第一部材100及び第二部材101は、実施例1と同様、いずれもリング状をなしている。
【0096】
第一部材100は、グリップハウジング41に固定されている。第一部材100は、環状部51と、凸部52と、凸側固定部53とを有している。
【0097】
凸部52は、環状部51の上面に設けられ、一段上側に突出している。凸部52は、実施例1と同様、2つ設けられている(
図16参照)。凸部52は、平面視において、径方向の内側に突出した頂点102を有している。凸部52の幅寸法(周方向の寸法)は、平面視において、頂点102に向かって次第に小さくなっている。凸部52の周面は、平面視において、湾曲している。
【0098】
凸側固定部53は、環状部51の下面に設けられ、下側に突出している。凸部52の位置と、凸側固定部53の位置とは、実施例1と同様、周方向にずれている。
【0099】
第二部材101は、本体ハウジング32に固定されている。第二部材101は、環状部61と、台部103と、凹部62と、凹側固定部64とを有している。環状部61の厚さ寸法は概ね一定である。台部103は、環状部61の下面に設けられている。台部103は、一段下側に突出している。台部103は、2つ設けられている(
図16参照)。2つの台部103は、回転軸27を中心に対称な形状をなしている。
【0100】
2つの凹部62は、実施例1と同様、2つの凸部52と対応した位置に配置されている。凹部62は、2つの台部103の外周側に1つずつ形成されている。凹部62は、径方向の内側に凹んだ形状である。凹部62は、実施例1と同様、2つの傾斜面67を有している。
【0101】
台部103の外周面は、凹部62と隣接した案内面104を有している。案内面104は、凹部62に向かって凸部52を案内するように傾斜している。
【0102】
グリップ部40を第一方向R1又は第二方向R2に回転すると、凸部52と台部103とが当たり合うことによって、第一部材100及び第二部材101は弾性変位し、凸部52と凹部62とが嵌合状態になったり、嵌合解除されたりする。
【0103】
以上のように本実施例においては、実施例1と同様、第一部材100及び第二部材101は、スライド面16に直交する方向に重ねて配置されているからヘアドライヤーの屈曲部24を細くできる。
【0104】
<実施例3>
次に、本発明を具体化した実施例3に係るヘアドライヤーの第一部材110及び第二部材111を
図17によって説明する。なお、実施例1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0105】
本実施例に係るヘアドライヤーは、実施例1と同様に、本体部30及びグリップ部40を備えている。グリップ部40は、実施例1と同様に、スライド面16に直交する回転軸27を中心に回転自在である。
【0106】
第一部材110及び第二部材111は、実施例1と同様、スライド面16に直交する方向に重ねて配置されている。第一部材110及び第二部材111は、実施例1と同様、いずれもリング状をなしている。
【0107】
第一部材110は、グリップハウジング41に固定されている。第一部材110は、環状部51と、凸部52と、凸側固定部53とを有している。環状部51の厚さ寸法は概ね一定である。
【0108】
凸部52は、環状部51の上面に設けられ、一段上側に突出している。凸部52は、実施例1と同様、2つ設けられている。凸部52の上面は、側面視において、円弧状に湾曲している。
【0109】
凸側固定部53は、環状部51の下面に設けられ、下側に突出している。凸部52の位置と、凸側固定部53の位置とは、実施例1と同様、周方向にずれている。
【0110】
第二部材111は、本体ハウジング32に固定されている。第二部材111は、環状部61と、凹部62と、凹側固定部64とを有している。環状部61の厚さ寸法は概ね一定である。凹部62は、環状部61の下面に設けられている。凹部62は、実施例1と同様、2つの山部65の間に形成されている。凹部62は、山部65の間において上側に凹んだ形状である。凹部62は、実施例1と同様、2つの傾斜面67を有している。2つの傾斜面67は、実施例1と同様、等しい傾斜角度を有している。2つの凹部62は、実施例1と同様、2つの凸部52と対応した位置に設けられている。山部65は、実施例1と同様、凹部62と周方向に隣接して第二の傾斜面68を有している。第二の傾斜面68は、実施例1と同様、傾斜面67よりも緩い傾斜角度を有している。
【0111】
グリップ部40を第一方向R1又は第二方向R2に回転すると、凸部52と山部65とが当たり合うことによって、第一部材110及び第二部材111は弾性変位し、凸部52と凹部62とが嵌合状態になったり、嵌合解除されたりする。
【0112】
以上のように本実施例においては、実施例1と同様、第一部材110及び第二部材111は、スライド面16に直交する方向に重ねて配置されているから、ヘアドライヤーの屈曲部24を細くできる。
【0113】
<実施例4>
次に、本発明を具体化した実施例4に係るヘアドライヤーの第一部材120及び第二部材121を
図18及び
図19によって説明する。なお、実施例1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0114】
本実施例に係るヘアドライヤーは、実施例1と同様に、本体部30及びグリップ部40を備えている。グリップ部40は、実施例1と同様に、スライド面16に直交する回転軸27を中心に回転自在である。
【0115】
第一部材120及び第二部材121は、実施例1と同様、スライド面16に直交する方向に重ねて配置されている。第一部材120及び第二部材121は、実施例1と同様、いずれもリング状をなしている。
【0116】
第一部材120は、グリップハウジング41に固定されている。第一部材120は、環状部51と、凸部52と、凸側固定部53とを有している。環状部51の厚さ寸法は概ね一定である。
【0117】
凸部52は、環状部51の上面に設けられ、一段上側に突出している。凸部52は、実施例1と同様、2つ設けられている。凸部52は、半球形のドーム状をなしている。凸部52の上面は、側面視において、円弧状に湾曲している。凸部52は、平面視において、円形状をなしている(
図19参照)。
【0118】
凸側固定部53は、環状部51の下面に設けられ、下側に突出している。凸部52の位置と、凸側固定部53の位置とは、実施例1と同様、周方向にずれている。
【0119】
第二部材121は、本体ハウジング32に固定されている。第二部材121は、環状部61と、凹部62と、凹側固定部64とを有している。環状部61の厚さ寸法は概ね一定である。
【0120】
凹部62は、環状部61の下面に設けられている。凹部62は、
図19に示すように、隣接した2つの山部65の内周側に形成されている。2つの山部65は、環状部61の外周縁部に設けられている。凹部62は、外周側に凹んでいる。凹部62は、平面視、円弧状をなしている。凹部62は、2つの傾斜面67を有している。2つの傾斜面67は連なって円弧を形成している。2つの凹部62は、実施例1と同様、2つの凸部52と対応した位置に配置されている。山部65は、案内面122を有している。案内面122は、凸部52を凹部62に案内するように湾曲している。案内面122は、平面視、円弧状である。
【0121】
グリップ部40を第一方向R1又は第二方向R2に回転すると、凸部52と山部65とが当たり合うことによって第一部材120及び第二部材121は弾性変位し、凸部52と凹部62とが嵌合状態になったり、嵌合解除されたりする。
【0122】
以上のように本実施例においては、実施例1と同様、第一部材120及び第二部材121は、スライド面16に直交する方向に重ねて配置されているから、ヘアドライヤーの屈曲部24を細くできる。
【0123】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例において、台座部49はグリップハウジング41に一体に形成されている。これに限らず、台座部は、グリップハウジングと別体に形成し、グリップハウジングに組み付けても良い。
(2)上記実施例において1つの凹部62に形成された2つの傾斜面67の傾斜角度は等しい。これに限らず、1つの凹部に形成された2つの傾斜面の傾斜角度は、異なっていても良い。この場合、平面視において、回転軸を通る対角線上に配置される2つの凹部の傾斜面の傾斜角度を等しくしてもよい。
(3)上記実施例においてグリップ部の回転は、最大180度に制限されている。これに限らず、グリップ部の回転は、180度とは異なる角度に制限してもよいし、制限しなくてもよい。
(4)上記実施例において第一部材50の環状部51及び第二部材60の環状部61はいずれも全周において繋がっている。これに限らず、第一部材の環状部及び第二部材の環状部のいずれか一方もしくは両方の周方向の一部に切れ目があってもよい。言い換えると、いずれかの環状部の周方向の一部は切りかかれ、中心部は径方向に開放されていてもよい。
(5)上記実施例において環状部61の全体は、環状部51と重なっている。これに限らず、第二部材の環状部の一部は、第一部材の環状部と重なっていなくてもよい。また、第一部材の環状部の全体が、第二部材の環状部と重なっていてもよい。
(6)上記実施例において風量や風の温度等に係る数値を例示したが、これらは適宜変更してもよい。
(7)上記実施例においてDuty、温風運転時間Th、冷風運転時間Tcの具体的な数値を例示したが、これらは適宜変更してもよい。
(8)上記実施例においてスライド面16は、グリップ部40の延び方向に対して斜めに交差している。これに限らず、スライド面は、グリップ部の延び方向に対して平行であってもよい。具体的には、スライド面は、XY平面に平行であってもよく、グリップ部の回転軸は、Z軸方向に延びていてもよい。この場合、第一部材及び第二部材は、回転軸の延び方向に重ねあわされる配置で、グリップ部の中心軸を挟んで左右に配置してもよい。
【符号の説明】
【0124】
R1…第一方向
R2…第二方向
10…ヘアドライヤー
16…スライド面
24…屈曲部
27…回転軸(軸)
30…本体部
37…本体側ストッパ部
40…グリップ部
48…グリップ側ストッパ部
49…台座部
50,100,110,120…第一部材
52…凸部
53…凸側固定部
60,101,111,121…第二部材
62…凹部
63…変位部
64…凹側固定部
67…傾斜面
68…第二の傾斜面