(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173122
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】筋稼働状態管理装置、筋稼働状態管理方法および筋稼働状態管理プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20241205BHJP
A61B 5/16 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A61B5/11 200
A61B5/16 100
A61B5/16 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091292
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】須藤 元喜
(72)【発明者】
【氏名】山城 由華吏
(72)【発明者】
【氏名】水本 理恵
(72)【発明者】
【氏名】植田 智也
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038PP03
4C038PQ00
4C038VA12
4C038VB01
4C038VB31
4C038VB35
4C038VC20
(57)【要約】
【課題】筋の稼働状態を確実に管理すること。
【解決手段】筋稼働状態管理装置であって、ユーザの身体の左右における中心線である正中線上に配置された加速度センサから、ユーザが身体を動かして所定動作を行い、筋稼働状態となっている間の筋稼働状態加速度データを取得する筋稼働状態加速度データ取得部と、取得した筋稼働状態加速度データに基づいて、所定動作を動きの位相ごとに切り分ける位相切り分け部と、切り分けられた動きの位相のそれぞれについて、筋稼働状態加速度データに基づいて、ユーザの心身機能を、基準心身機能と比較することにより、改善が必要なユーザの身体部位及び心の状態の少なくとも一方を特定する改善部位特定部と、特定された改善が必要なユーザの身体部位及び心の状態の少なくとも一方に応じた改善方法を生成する改善方法生成部と、生成された改善方法をユーザに提案する提案部と、を備えた。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの身体の左右における中心線である正中線上に配置された加速度センサから、前記ユーザが身体を動かして所定動作を行い、筋稼働状態となっている間の筋稼働状態加速度データを取得する筋稼働状態加速度データ取得部と、
取得した前記筋稼働状態加速度データに基づいて、前記所定動作を動きの位相ごとに切り分ける位相切り分け部と、
切り分けられた前記動きの位相のそれぞれについて、前記筋稼働状態加速度データに基づいて、前記ユーザの心身機能を、基準心身機能と比較することにより、改善が必要な前記ユーザの身体部位及び心の状態の少なくとも一方を特定する改善部位特定部と、
特定された改善が必要な前記ユーザの身体部位及び心の状態の少なくとも一方を表示させる表示制御部と、
を備えた筋稼働状態管理装置。
【請求項2】
特定された改善が必要な前記ユーザの身体部位及び心の状態の少なくとも一方に応じた改善方法を生成する改善方法生成部と、
生成された前記改善方法を前記ユーザに提案する提案部と、
をさらに備えた請求項1に記載の筋稼働状態管理装置。
【請求項3】
前記所定動作を行っている前記ユーザを撮像した映像を取得する映像取得部をさらに備え、
前記位相切り分け部は、取得した前記筋稼働状態加速度データ及び前記映像から、前記所定動作を動きの位相ごとに切り分け、
前記改善部位特定部は、切り分けられた前記動きの位相のそれぞれについて、前記筋稼働状態加速度データ及び前記映像に基づいて、前記ユーザの心身機能を、基準心身機能と比較することにより、改善が必要な前記ユーザの身体部位及び心の機能を特定する請求項1に記載の筋稼働状態管理装置。
【請求項4】
前記動きの位相は、歩行周期、立ち上がり動作及び座り動作の少なくとも1つを含む請求項1~3のいずれか1項に記載の筋稼働状態管理装置。
【請求項5】
前記ユーザの心身機能は、関節の可動域、柔軟性、バランス、姿勢、左右差、ゆがみ及びくせのうちの少なくとも1つを含む請求項1~4のいずれか1項に記載の筋稼働状態管理装置。
【請求項6】
前記改善方法生成部は、前記改善方法として、コレクティブエクササイズを生成する請求項2項に記載の筋稼働状態管理装置。
【請求項7】
ユーザの身体の左右における中心線である正中線上に配置された加速度センサから、前記ユーザが身体を動かして所定動作を行い、筋稼働状態となっている間の筋稼働状態加速度データを取得する筋稼働状態加速度データ取得ステップと、
取得した前記筋稼働状態加速度データに基づいて、前記所定動作を動きの位相ごとに切り分ける位相切り分けステップと、
切り分けられた前記動きの位相のそれぞれについて、前記筋稼働状態加速度データに基づいて、前記ユーザの心身機能を、基準心身機能と比較することにより、改善が必要な前記ユーザの身体部位及び心の状態の少なくとも一方を特定する改善部位特定ステップと、
特定された改善が必要な前記ユーザの身体部位及び心の状態の少なくとも一方を表示させる表示制御ステップと、
を含む筋稼働状態管理方法。
【請求項8】
ユーザの身体の左右における中心線である正中線上に配置された加速度センサから、前記ユーザが身体を動かして所定動作を行い、筋稼働状態となっている間の筋稼働状態加速度データを取得する筋稼働状態加速度データ取得ステップと、
取得した前記筋稼働状態加速度データに基づいて、前記所定動作を動きの位相ごとに切り分ける位相切り分けステップと、
切り分けられた前記動きの位相のそれぞれについて、前記筋稼働状態加速度データに基づいて、前記ユーザの心身機能を、基準心身機能と比較することにより、改善が必要な前記ユーザの身体部位及び心の状態の少なくとも一方を特定する改善部位特定ステップと、
特定された改善が必要な前記ユーザの身体部位及び心の状態の少なくとも一方を表示させる表示制御ステップと、
をコンピュータに実行させる筋稼働状態管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋稼働状態管理装置、筋稼働状態管理方法および筋稼働状態管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、計測されたユーザの筋力や筋肉量、歩行速度、歩行バンス、バイタルデータを解析して、ユーザの身体能力を評価し、評価結果に基づいて、ユーザに推奨する運動内容及び食事内容を決定することが開示されている(段落[0014]~[0017]、[0040]等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2020/208945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、ユーザの身体能力を動きの位相ごとに解析していないので、筋の稼働状態を確実に管理できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る筋稼働状態管理装置は、
ユーザの身体の左右における中心線である正中線上に配置された加速度センサから、前記ユーザが身体を動かして所定動作を行い、筋稼働状態となっている間の筋稼働状態加速度データを取得する筋稼働状態加速度データ取得部と、
取得した前記筋稼働状態加速度データに基づいて、前記所定動作を動きの位相ごとに切り分ける位相切り分け部と、
切り分けられた前記動きの位相のそれぞれについて、前記筋稼働状態加速度データに基づいて、前記ユーザの心身機能を、基準心身機能と比較することにより、改善が必要な前記ユーザの身体部位及び心の状態の少なくとも一方を特定する改善部位特定部と、
特定された改善が必要な前記ユーザの身体部位及び心の状態の少なくとも一方に応じた改善方法を生成する改善方法生成部と、
生成された前記改善方法を前記ユーザに提案する提案部と、
を備えた。
【0006】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る筋稼働状態管理方法は、
ユーザの身体の左右における中心線である正中線上に配置された加速度センサから、前記ユーザが身体を動かして所定動作を行い、筋稼働状態となっている間の筋稼働状態加速度データを取得する筋稼働状態加速度データ取得ステップと、
取得した前記筋稼働状態加速度データに基づいて、前記所定動作を動きの位相ごとに切り分ける位相切り分けステップと、
切り分けられた前記動きの位相のそれぞれについて、前記筋稼働状態加速度データに基づいて、前記ユーザの心身機能を、基準心身機能と比較することにより、改善が必要な前記ユーザの身体部位及び心の状態の少なくとも一方を特定する改善部位特定ステップと、
特定された改善が必要な前記ユーザの身体部位及び心の状態の少なくとも一方に応じた改善方法を生成する改善方法生成ステップと、
生成された前記改善方法を前記ユーザに提案する提案ステップと、
を含む。
【0007】
さらに、上記目的を達成するため、本発明に係る筋稼働状態管理プログラムは、
ユーザの身体の左右における中心線である正中線上に配置された加速度センサから、前記ユーザが身体を動かして所定動作を行い、筋稼働状態となっている間の筋稼働状態加速度データを取得する筋稼働状態加速度データ取得ステップと、
取得した前記筋稼働状態加速度データに基づいて、前記所定動作を動きの位相ごとに切り分ける位相切り分けステップと、
切り分けられた前記動きの位相のそれぞれについて、前記筋稼働状態加速度データに基づいて、前記ユーザの心身機能を、基準心身機能と比較することにより、改善が必要な前記ユーザの身体部位及び心の状態の少なくとも一方を特定する改善部位特定ステップと、
特定された改善が必要な前記ユーザの身体部位及び心の状態の少なくとも一方に応じた改善方法を生成する改善方法生成ステップと、
生成された前記改善方法を前記ユーザに提案する提案ステップと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザの身体機能を動きの位相ごとに解析するので、筋の稼働状態を確実に管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る筋稼働状態管理装置の動作の概要を説明するための図である。
【
図2A】本発明の第1実施形態に係る筋稼働状態管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【
図2B】本発明の第1実施形態に係る筋稼働状態管理装置による動作の動きの位相ごとへの切り分けについて説明する図である。
【
図3A】本発明の第1実施形態に係る筋稼働状態管理装置が有する加速度データテーブルの一例について説明するための図である。
【
図3B】本発明の第1実施形態に係る筋稼働状態管理装置が有する心の状態判定テーブルの一例について説明するための図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る筋稼働状態管理装置のハードウェア構成を説明するための図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る筋稼働状態管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る筋稼働状態管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【
図7A】本発明の第2実施形態に係る筋稼働状態管理装置が有する心の状態改善テーブルの一例について説明するための図である。
【
図7B】本発明の第2実施形態に係る筋稼働状態管理装置が有する身体部位改善テーブルの一例について説明するための図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る筋稼働状態管理装置のハードウェア構成を説明するための図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る筋稼働状態管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る筋稼働状態管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【
図11】本発明の第3実施形態に係る筋稼働状態管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して、例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている、構成、数値、処理の流れ、機能要素などは一例に過ぎず、その変形や変更は自由であって、本発明の技術範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0011】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る筋稼働状態管理装置について、
図1~
図5を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る筋稼働状態管理装置100の動作の概要を説明するための図である。筋稼働状態管理装置100は、ユーザの筋の稼働状態を動きの位相ごとに解析して、改善すべき身体部位及び心の状態を特定し、改善方法を提案する装置である。
【0012】
図1に示したように、例えば、ユーザ110が、歩行や駆け足などをしているとする。筋稼働状態管理装置100は、ユーザ110が歩行や駆け足などの所定動作を行って、筋稼働状態となっている間の加速度データを、ユーザ110が所持している加速度センサから取得する。なお、加速度センサは、ユーザ110の身体の正中線上に配置されている。加速度センサは、ユーザ110が持ったままであっても、ユーザ110の身体に装着されたものであってもよい。
【0013】
そして、筋稼働状態管理装置100は、取得した加速度データに基づいて、ユーザ110の動きを位相ごとに切り分ける。筋稼働状態管理装置100は、切り分けられた動きの位相ごとに、ユーザ110の心身機能(歩行動作)を基準となる心身機能(歩行動作)などと比較することにより、改善が必要な身体部位などを特定する。筋稼働状態管理装置100は、特定された身体部位などを、例えば、ユーザ110が所持するスマートフォンなどの携帯端末の表示画面に表示させる。ユーザ110は、表示画面の表示を見て、自身の改善すべき身体部位や心の状態を認識することができる。
【0014】
図2Aを参照して本実施形態に係る筋稼働状態管理装置100の構成について説明する。筋稼働状態管理装置100は、筋稼働状態加速度データ取得部201、位相切り分け部202、改善部位特定部203及び表示制御部204を有する。
【0015】
≪筋稼働状態加速度データ取得部201≫
筋稼働状態加速度データ取得部201は、ユーザ110の身体の左右における中心線である正中線上に配置された加速度センサから、ユーザ110が身体を動かして所定動作を行い、筋稼働状態となっている間の筋稼働状態加速度データを取得する。筋稼働状態加速度データ取得部201は、加速度センサから筋稼働状態加速度データをリアルタイム取得しても、加速度センサに記録されたデータをユーザ110の所定動作終了後に取得してもよい。また、筋稼働状態加速度データ取得部201は、加速度センサから無線通信または有線通信を介して筋稼働状態加速度データを取得してもよい。あるいは、筋稼働状態加速度データ取得部201は、加速度センサに記録された筋稼働状態加速度データをコンピュータで読み取り可能な所定記録媒体を介して取得してもよい。
【0016】
ここで、加速度センサは、例えば、ユーザ110が所持しているスマートフォンなどの携帯端末に内蔵されているものを用いる。しかしながら、加速度センサは、例えば、ユーザ110の身体に装着するウェアラブルデバイス、加速度データを記録できるデータロガーなどのデバイスなどを用いてもよい。
【0017】
例えば、ユーザ110がスマートフォンを用いて所定動作中の加速度データを記録する場合、ユーザ110は、まず、スマートフォンを自身の身体の正中線上に構えるようにする。なお、ユーザ110が、確実にスマートフォンを正中線上に構えられるように、筋稼働状態管理装置100は、スマートフォンを介して、ユーザ110に対して、音声や画像などで指示を与えるようにしてもよい。そして、加速センサからのデータが一定値の時間が所定時間継続したら、筋稼働状態管理装置100は、ユーザ110がスマートフォンを正中線上に構えたと判断する。筋稼働状態管理装置100は、この状態における加速度データを取得することにより、重力方向を決定することができる。
【0018】
ユーザ110は、スマートフォンを正中線上に構えた状態で、身体を動かして所定動作を行う。なお、筋稼働状態管理装置100が、スマートフォンを介して、ユーザ110に身体を動かすタイミングを通知してもよい。このようにして、筋稼働状態加速度データ取得部201は、ユーザ110が、所定動作を行っている間の加速度データを取得する。なお、所定動作は、例えば、歩行や駆け足、立ち座り、スポーツの動作などを含むが、これらには限定されない。
【0019】
≪位相切り分け部202≫
位相切り分け部202は、取得した筋稼働状態加速度データに基づいて、所定動作を動きの位相ごとに切り分ける。ここで、
図2Bを参照して、動きの位相ごとの切り分けについて説明する。例えば、ユーザ110が歩行を行っている場合(220)を考える。この場合、ユーザ110は、右足を地面に接地する初期接地(0%)から反対側の左足を地面に接地する対側初期接地(50%)を経て、再度右足を地面に接地する次の初期接地(100%)までの一連の動きを行う。これに対して、筋稼働状態管理装置100は、ユーザ110の動作を検出するのではく、歩行という動きを位相ごとに切り分けることで、切り分けられた動きの位相の中での、筋の稼働状態を管理する。
【0020】
動きの位相については、歩行の場合(220)、立脚相(221)と遊脚相(222)との2つの位相に切り分けることができる。すなわち、初期接地(0%)で右足を地面に接地させてから、左足を地面に接地させて対側接地(50%)させ、右足の指で地面を蹴る足指離地(60%)までの間が、立脚相と呼ばれる相となっている。そして、足指が離地(60%)してから、再度右足が地面に接地する次の初期接地(100%)までの間が、遊脚相と呼ばれる相となっている。このように、ユーザ110が、歩行する場合の動きの位相は、2つの位相(立脚相、遊脚相)に分けられる。
【0021】
同様に、ユーザ110が、椅子に腰掛けた状態から立ち上がるまでの一連の動きである立位(230)の場合、動きの位相は、次のように3つの相に分けられる。つまり、座位姿勢から臀部離床までの第1相(231)、臀部離床から足関節最大背屈位までの第2相(232)、最大背屈位から股関節伸展終了までの第3相(233)の3つの相である。
【0022】
以上のようにして、位相切り分け部202は、取得した筋稼働状態加速度データを解析して、ユーザ110の動作を動きの位相ごとに切り分ける。なお、切り分けられる位相は、上述した歩行周期や立ち上がり動作などには限定されず、例えば、座り動作などであってもよい。
【0023】
≪改善部位特定部203≫
改善部位特定部203は、切り分けられた動きの位相のそれぞれについて、筋稼働状態加速度データに基づいて、ユーザ110の心身機能を、基準心身機能と比較することにより、改善が必要なユーザ110の身体部位及び心の状態の少なくとも一方を特定する。ここで心身機能には、例えば、関節の可動域、柔軟性、バランス、姿勢、左右差、ゆがみ及びくせのうち少なくとも1つが含まれる。
【0024】
<身体部位の特定>
例えば、ユーザ110が歩行している状態の筋稼働状態加速度データを取得した場合、加速度データからユーザ110の歩行を解析して、基準となる歩行と比較する。筋稼働状態加速度データからは、骨盤角度、股関節角度、膝関節角度、足関節角度、歩行速度、歩幅などのデータを取ることができる。したがって、改善部位特定部203は、筋稼働状態加速度データから得られた骨盤角度などのデータを、基準となる骨盤角度などと比較して、改善が必要なユーザ110の身体部位を特定する。なお、改善部位特定部203により特定される身体部位は、骨盤、股関節、膝関節、足関節であるが、これらには、限定されない。
【0025】
<心の状態の特定>
心の状態は、歩行速度や歩幅などに変化を与える。例えば、ユーザ110が落ち込んだ気分のときなどは、とぼとぼと歩くため、歩幅が狭くなったり、歩行速度が遅くなったりする。このような、心の状態とユーザ110の動作との関係性から、改善部位特定部203は、改善が必要なユーザ110の心の状態を特定する。なお、改善部位特定部203により特定される心の状態は、喜怒哀楽、疲労、ストレス及びリラックスなどの状態であるが、これらには、限定されない。
【0026】
ユーザ110の歩行の解析は、例えば、次のようにして行われる。改善部位特定部203は、予め算出された重回帰モデルを用いて、動きの各位相(立脚相、遊脚相)における筋稼働状態加速度データから、各位相における右半身及び左半身の少なくとも一方の関節角度データを算出することにより行われる。
【0027】
ここで、重回帰モデルは、予め計測された複数の被験者の歩行中の筋稼働状態加速度データと、当該歩行中の被験者を撮像した映像を解析して得られた関節角度データとをサンプルとして、主成分分析及び重回帰分析を行い算出される。なお、重回帰モデルの算出に用いられる筋稼働状態加速度データ及び関節角度データは、歩行における2つの位相(立脚相、遊脚相)を含んだものとなっている。すなわち、重回帰モデルは、歩行の位相ごとに区別されているのではなく、2つの位相において共通する1つのモデルとなっている。
【0028】
関節角度データは、被験者の歩行姿勢を示すものであり、人体の関節を構成する骨間の角度を表し、右半身の関節角度データ及び左半身の関節角度データを含む。また、関節角度データは、本実施形態においては、被験者の下半身、すなわち、腰より下の関節、具体的には、左右の骨盤、股関節、膝関節、足関節を対象としている。さらに、関節角度データは、矢状面における角度(横から見た角度)、前額面における角度(正面から見た角度)及び水平面における角度(上から見た角度)を含んでおり、関節角度データは、1計測タイミング当たり、4か所×3方向=12の計測値を有している。なお、ユーザ110の歩行の解析は、上述した例には限定されず、様々な手法を用いることができる。
【0029】
≪表示制御部204≫
表示制御部204は、特定された改善が必要な身体部位及び心の状態の少なくとも一方を表示させる。特定された改善が必要な身体部位などは、例えば、ユーザ110が所持するスマートフォンやタブレット端末などの携帯端末に表示される。表示制御部204は、例えば、ユーザ110の歩行状況を表示することにより、改善が必要な身体部位等を表示させてもよい。また、表示制御部204は、ユーザ110の過去の歩行状況と現在の歩行状況とを表示させることにより、改善が必要な身体部位等を表示させてもよい。あるいは、表示制御部204は、ユーザ110の歩行状況と理想とすべき歩行状況とを表示させることにより、理想的な歩行状況との差異を認識できるようになる。
【0030】
次に、
図3Aは、筋稼働状態管理装置100が有する加速度データテーブル301の一例を示す図である。加速度データテーブル301は、加速度データ311に関連付けて角度データ312を記憶する。加速度データ311は、加速度センサから取得した、ユーザ110が身体を動かして所定動作を行い、筋稼働状態となっている間の加速度データである。角度データ312は、加速度センサから取得したデータから解析される身体の各部位の角度に関するデータである。そして、改善部位特定部203は、加速度データテーブル301を参照して、得られた筋稼働状態の加速度データにおける、身体部位の角度データを特定し、ユーザ110が動作中の改善すべき身体の部位を特定する。
【0031】
また、
図3Bは、筋稼働状態管理装置100が有する心の状態判定テーブル302の一例を示す図である。心の状態判定テーブル302は、身体部位321に関連付けて心の状態322を記憶する。身体部位321は、筋稼働状態加速度データから解析されたユーザ110の身体部位の動きの状態である。心の状態322は、身体部位の動きに応じたユーザ110の心理状態を示している。
【0032】
図4を参照して、筋稼働状態管理装置100のハードウェア構成について説明する。CPU(Central Processing Unit)410は、演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで
図2の筋稼働状態管理装置100の各機能構成を実現する。CPU410は複数のプロセッサを有し、異なるプログラムやモジュール、タスク、スレッドなどを並行して実行してもよい。ROM(Read Only Memory)420は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびその他のプログラムを記憶する。また、ネットワークインタフェース430は、ネットワークを介して他の装置などと通信する。なお、CPU410は1つに限定されず、複数のCPUであっても、あるいは画像処理用のGPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。また、ネットワークインタフェース430は、CPU410とは独立したCPUを有して、RAM(Random Access Memory)440の領域に送受信データを書き込みあるいは読み出しするのが望ましい。また、RAM440とストレージ450との間でデータを転送するDMAC(Direct Memory Access Controller)を設けるのが望ましい(図示なし)。さらに、CPU410は、RAM440にデータが受信あるいは転送されたことを認識してデータを処理する。また、CPU410は、処理結果をRAM440に準備し、後の送信あるいは転送はネットワークインタフェース430やDMACに任せる。
【0033】
RAM440は、CPU410が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM440には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する記憶領域が確保されている。加速度データ441は、加速度センサから取得したユーザ110が、身体を動かして筋稼働状態となっている間の加速度のデータである。切り分け位相442は、取得した筋稼働状態加速度データに基づいて切り分けられた所定動作の位相に関するデータである。基準心身機能データ443は、改善が必要なユーザ110の身体機能や心の状態を特定するための基準となるデータである。改善部位データ444は、改善が必要とされる身体部位や心の状態に関するデータである。表示先データ445は、特定された改善が必要な身体部位や心の状態を表示させる端末等についてのデータであり、例えば、ユーザ110が所持するスマートフォンなどを識別するためのデータである。
【0034】
送受信データ446は、ネットワークインタフェース430を介して送受信されるデータである。また、RAM440は、各種アプリケーションモジュールを実行するためのアプリケーション実行領域447を有する。
【0035】
ストレージ450には、データベースや各種パラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ストレージ450は、加速度データテーブル301及び心の状態判定テーブル302を格納する。加速度データテーブル301は、
図3Aに示した、加速度データ311と角度データ312との関係を管理するテーブルである。心の状態判定テーブル302は、
図3Bに示した、身体部位321と心の状態322との関係を管理するテーブルである。
【0036】
ストレージ450は、さらに、筋稼働状態加速度データ取得モジュール451、位相切り分けモジュール452、改善部位特定モジュール453及び表示制御モジュール454を格納する。筋稼働状態加速度データ取得モジュール451は、ユーザ110が身体を動かして所定動作を行い、筋稼働状態となっている間の筋稼働状態加速度データを取得するモジュールである。位相切り分けモジュール452は、取得した筋稼働状態加速度データに基づいて、所定動作を動きの位相ごとに切り分けるモジュールである。改善部位特定モジュール453は、切り分けられた動きの位相のそれぞれについて、ユーザ110の心身機能を基準心身機能と比較することにより、改善が必要なユーザ110の身体部位及び心の状態の少なくとも一方を特定するモジュールである。表示制御モジュール454は、特定された改善が必要なユーザの身体部位及び心の状態の少なくとも一方を表示させるモジュールである。これらのモジュール451~454は、CPU410によりRAM440のアプリケーション実行領域447に読み出され、実行される。制御プログラム455は、筋稼働状態管理装置100の全体を制御するためのプログラムである。
【0037】
入出力インタフェース460は、入出力機器との入出力データをインタフェースする。入出力インタフェース460には、表示部461、操作部462、が接続される。また、入出力インタフェース460には、さらに、記憶媒体464が接続されてもよい。さらに、音声出力部であるスピーカ463や、音声入力部であるマイク(図示せず)、あるいは、GPS位置判定部が接続されてもよい。なお、
図4に示したRAM440やストレージ450には、筋稼働状態管理装置100が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関するプログラムやデータは図示されていない。
【0038】
次に
図5に示したフローチャートを参照して、筋稼働状態管理装置100の処理手順について説明する。このフローチャートは、
図4のCPU410がRAM440を使用して実行し、
図2の筋稼働状態管理装置100の各機能構成を実現する。
【0039】
ステップS501において、筋稼働状態加速度データ取得部201は、ユーザ110が身体を動かして所定動作を行い、筋稼働状態となっている間の加速度データを取得する。ステップS503において、位相切り分け部202は、取得した筋稼働状態の加速度データに基づいて、所定動作を動きの位相ごとに切り分ける。ステップS505において、切り分けられた動きの位相のそれぞれについて、改善が必要なユーザ110の身体部位及び心の機能の少なくとも一方を特定する。ステップS507において、改善部位特定部203は、改善が必要な身体部位及び心の機能の少なくとも一方が存在するか否かを判定する。
【0040】
改善が必要な身体部位等が存在する場合(ステップS507のYES)、改善部位特定部203は、ステップS509へ進む。ステップS509において、表示制御部204は、特定された改善が必要な身体部位及び心の状態の少なくとも一方を表示させる。表示させる内容は、例えば、ユーザ110の歩行状況や、ユーザ110の過去と現在との歩行状況、ユーザ110が理想とすべき歩行状況などであるが、これらには、限定されない。また、改善が必要な身体部位等が存在しない場合(ステップS507のNO)、筋稼働状態管理装置100は、処理を終了する。
【0041】
本実施形態によれば、動きの位相ごとに改善すべき身体部位や心の状態を特定するので、より確実に、筋の稼働状態を確実に管理することができ、動作の改善を促すことができる。また、ユーザは、改善すべき身体部位や心の状態、あるいは、歩行状況、過去と現在の歩行状況、理想歩行状況について、表示画面等を通じて容易に認識することができる。
【0042】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係る筋稼働状態管理装置について、
図6~
図9を用いて説明する。
図6は、本実施形態に係る筋稼働状態管理装置600の構成を説明するためのブロック図である。本実施形態に係る筋稼働状態管理装置600は、上記第1実施形態と比べると、改善方法生成部601及び提案部602を有する点で異なる。その他の構成および動作は第1実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。筋稼働状態管理装置600は、改善方法生成部601及び提案部602をさらに有する。
【0043】
≪改善方法生成部601≫
改善方法生成部601は、特定された改善が必要なユーザ110の身体部位及び心の状態の少なくとも一方に応じた改善方法を生成する。改善方法生成部601は、例えば、改善が必要な身体部位が、骨盤の前額左右差であれば、これを修正するための歩き方やエクササイズなどを改善方法として生成する。改善方法は、例えば、歩き方やエクササイズ(コレクティブエクササイズ)、スポーツ、マッサージ器具やトレーニング器具を用いた方法、塗布剤の塗布の推奨などであってもよい。
【0044】
さらに、改善方法は、下肢・臍下部着用物(靴下、サポートインナー、シューズ、インソール等)の推奨、既存のヘルスケア用品(入浴剤、温熱具などの血行促進用品)の推奨などであってもよい。さらにまた、改善方法は、食事や飲料物(カロリーやPFC(Protein Fat Carbohydrate)バランス、サプリメント、健康系の市販ドリンクなど)の推奨などであってもよい。上述した改善方法のうち、エクササイズやマッサージは、ユーザ110が即時の爽快感を感じることができるので、身体部位の改善が見込め、その他改善方法であっても、身体部位が変わる(改善する)ことで、心の状態の変化(改善)を期待することができる。
【0045】
≪提案部602≫
提案部602は、生成された改善方法をユーザ110に提案する。提案部602は、例えば、ユーザ110が所持するスマートフォンなどの携帯端末へ、生成された改善方法を送信等することにより、ユーザ110に改善方法を提案する。改善方法は、テキストメッセージや所定のWebページへのリンク(URL:Uniform Resource Locator)が記載されたメッセージ、動画が添付されたテキストメッセージ、などの形式で送信される。しかしながら、改善方法の提案形式は、ユーザ110に提案可能な方法であれば、ここに示した形式には限定されない。
【0046】
次に、
図7Aは、筋稼働状態管理装置600が有する心の状態改善方法テーブル701の一例を示す図である。心の状態改善テーブル701は、心の状態322に関連付けて改善及び維持方法711を記憶する。心の状態322は、
図3Bで説明したものと同じである。改善及び維持方法711は、心の状態322のそれぞれに応じた、改善方法あるいはそれらを維持する方法である。改善及び維持方法711は、歩き方、その他を含んでいる。例えば、改善方法生成部601は、心の状態改善方法テーブル701を参照して、心の状態322が楽しい場合には、それを維持するために、歩き方として、歩幅を大きく歩く、その他として、スポーツなどを改善及び維持方法として生成する。
【0047】
また、
図7Bは、筋稼働状態管理装置600が有する身体部位改善テーブル702の一例を示す図である。身体部位改善方法テーブル702は、身体部位721に関連付けて位相722および改善及び維持方法723を記憶する。身体部位721は、ユーザ110が改善すべき身体の部位であり、骨盤、股関節、膝関節、足関節などの下半身の部位を含む。位相722は、動きの位相におけるユーザ110の動作の基準に対する評価を示している。また、同図に示したように、歩行動作の場合には、位相には、立脚相と遊脚相とが含まれる。改善及び維持方法723は、各位相において身体部位に改善等が必要とされた場合の、各部位に対する改善等の方法である。そして、提案部602は、身体部位改善テーブル702を参照して、ユーザ110に対して、改善方法を提案する。
【0048】
図8を参照して、筋稼働状態管理装置600のハードウェア構成について説明する。RAM840は、CPU410が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM840には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する記憶領域が確保されている。改善方法データ841は、改善が必要とされた身体部位等を改善するための方法に関するデータであり、動作の仕方やエクササイズに関するデータである。提案先データ842は、生成された改善方法を提案する携帯端末などの宛先に関するデータである。
【0049】
ストレージ850には、データベースや各種パラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ストレージ850は、心の状態改善テーブル701および身体部位改善テーブル702を格納する。心の状態改善テーブル701は、
図7Aに示した、心の状態322と改善及び維持方法711との関係を管理するテーブルである。また、身体部位改善テーブル702は、
図7Bに示した、身体部位721と改善及び維持方法723などとの関係を管理するテーブルである。
【0050】
ストレージ850は、さらに、改善方法生成モジュール851及び提案モジュール852を格納する。改善方法生成モジュール851は、特定された改善が必要なユーザ110の身体部位及び心の状態の少なくとも一方に応じた改善方法を生成するモジュールである。提案モジュール852は、生成された改善方法をユーザ110に提案するモジュールである。これらのモジュール851~852は、CPU410によりRAM840のアプリケーション実行領域447に読み出され、実行される。
【0051】
次に
図9に示したフローチャートを参照して、筋稼働状態管理装置600の処理手順について説明する。このフローチャートは、
図8のCPU410がRAM840を使用して実行し、
図6の筋稼働状態管理装置600の各機能構成を実現する。
【0052】
ステップS901において、改善方法生成部601は、改善が必要な身体部位等に応じた改善方法を生成する。ステップS903において、提案部602は、生成された改善方法をユーザ110に提案し、処理を終了する。
【0053】
本実施形態によれば、ユーザが改善すべき身体部位及び心の状態について、改善方法を生成し、ユーザに提案するので、ユーザは、提案された改善方法を実践するだけで、身体部位及び心の状態を容易に改善することができる。
【0054】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態に係る筋稼働状態管理装置について、
図10及び
図11を用いて説明する。
図10は、本実施形態に係る筋稼働状態管理装置1000の構成を説明するためのブロック図である。本実施形態に係る筋稼働状態管理装置1000は、上記第1実施形態及び第2実施形態と比べると、映像取得部1001を有する点で異なる。その他の構成および動作は第1実施形態及び第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0055】
筋稼働状態管理装置1000は、映像取得部1001をさらに有する。映像取得部1001は、所定動作を行っているユーザ110を撮像した映像を取得する。取得する映像は、ユーザ110が所定動作を行っている間の関節角度が分かる映像であれば、いずれの映像であってもよい。
【0056】
そして、位相切り分け部202は、取得した筋稼働状態加速度データ及び映像から、所定動作を動きの位相ごとに切り分ける。改善部位特定部203は、切り分けられた動きの位相のそれぞれについて、筋稼働状態加速度データ及び映像に基づいて、ユーザ110の心身機能を、基準心身機能と比較することにより、改善が必要なユーザ110の身体部位及び心の機能を特定する。
【0057】
ここで、所定動作中のユーザ110を撮像する撮像機器は、例えば、動画を撮像可能なカメラや、人やモノなどの対象物の形状を立体としてとらえることができる深度センサ(3Dセンサ)などが挙げられる。また、撮像機器として、深度センサなどを使わずにカメラ画像を使用しての人の骨格を検出することのできるAI(Artificial Intelligence)姿勢推定エンジンやマーカレスモーションキャプチャ映像を撮像可能な機器などを用いることができる。このような機器を用いることにより、例えば、ユーザ110が、歩行中の各関節の角度を容易に推定することができる。なお、撮像機器として用いることができる機器は、ここに示した機器等には限定されない。
【0058】
このようにして、加速度センサから得られた加速度のデータに、さらに、これらの撮像機器から得られるデータを用いて、ユーザ110の各関節の角度などを推定することが可能となる。
【0059】
したがって、位相切り分け部202は、このようにして得られた映像を用いて、所定動作を動きの位相ごとに切り分ける。そして、改善部位特定部203は、切り分けられた位相ごとに、改善が必要なユーザ110の身体部位及び心の状態の少なくとも一方を特定する。
【0060】
次に
図11に示したフローチャートを参照して、筋稼働状態管理装置1000の処理手順について説明する。このフローチャートは、不図示のCPUがRAMを使用して実行し、
図10の筋稼働状態管理装置1000の各機能構成を実現する。
【0061】
ステップS1101において、映像取得部1001は、所定動作を行っているユーザ110を撮像した映像を取得する。ステップS1103において、位相切り分け部202は、筋稼働状態加速度データ及び映像から、所定動作を動きの位相ごとに切り分ける。ステップS1105において、改善部位特定部203は、切り分けられた位相ごとに、加速度データ及び映像に基づいて、改善が必要なユーザ110の身体部位及び心の機能を特定する。
【0062】
本実施形態によれば、加速度データに加え、映像データを用いて、ユーザの所定動作を動きの位相ごとに切り分けるので、より精度高く所定動作の動きを位相ごとに切り分けられるので、ユーザに適切な改善方法を提案することができる。
【0063】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0064】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に供給され、内蔵されたプロセッサによって実行される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、プログラムを実行するプロセッサも本発明の技術的範囲に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の技術的範囲に含まれる。