(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173129
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】電子制御装置、およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20241205BHJP
G06F 1/30 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B60R16/02 645A
G06F1/30 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091337
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】324003048
【氏名又は名称】三菱電機モビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大久保 暢人
【テーマコード(参考)】
5B011
【Fターム(参考)】
5B011DA06
5B011EA10
5B011GG03
5B011GG06
5B011JA00
(57)【要約】
【課題】電源供給ラインの異常を検出して電源供給ラインを遮断する電子制御装置、およびその制御方法を提供する。
【解決手段】電子制御装置は、第1の基板(50)と第2の基板(60)を備え、第1のプロセッサIC(90)は、電源供給ラインの電流のモニタにより電源供給ラインに流れる電流に異常がないと判定したとき、第1の遮断回路(1a)をオンとして電源供給ラインにより外部電源を第2の基板(60)に供給し、かつ、第2の遮断回路(1b)をオフとし、電源供給ラインに流れる電流に異常があると判定したとき、第2の遮断回路(1b)をオフとして前記電源供給ラインによる第2の基板への外部電源の供給を遮断し、第2の制御電源のモニタにより第2の制御電源に異常があると判定したとき、第1の遮断回路(1a)および第2の遮断回路(1b)をオフとし、電源供給ラインによる第2の基板(60)への外部電源の供給を遮断する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、第2の基板と、を有し、
前記第1の基板は、第1のプロセッサICにより構成された第1の制御回路を備え、
前記第2の基板は、第2のプロセッサICにより構成された第2の制御回路を備え、
前記第1の基板と前記第2の基板とが、基板間接続により電気的に接続されてなる電子制御装置であって、
前記第1の基板は、前記電子制御装置の外部から外部電源が供給され、
前記第2の基板は、前記第1の基板から前記基板間接続を介して、前記外部電源が供給され、
前記第1の制御回路は、前記外部電源に基づいて生成された第1の制御電源が供給され、
前記第2の制御回路は、前記第1の基板から前記基板間接続を介して供給された前記外部電源に基づいて生成された第2の制御電源が供給され、
前記第1の基板に設けられ、前記第2の制御電源を前記第1のプロセッサICによりモニタするための電気量を生成する電圧モニタ回路を備え、
前記第2の基板に前記外部電源を供給する電源供給ラインに設けられ、互いに並列接続された第1の遮断回路と第2の遮断回路とを備え、
前記第1の遮断回路と、前記第2の遮断回路とは、前記第1のプロセッサICにより開閉制御され、
前記第2の遮断回路のみがオンのとき、前記電源供給ラインに流れる電流を前記第1のプロセッサICによりモニタするための電気量を生成する電流モニタ回路を備え、
前記第1のプロセッサICは、
前記電流のモニタにより前記電源供給ラインに流れる電流に異常がないと判定したときは、前記第1の遮断回路をオンとして前記電源供給ラインにより前記外部電源を前記第2の基板に供給するとともに、前記第2の遮断回路をオフとし、
前記電流のモニタにより前記電源供給ラインに流れる電流に異常があると判定したときは、前記第2の遮断回路をオフとして、前記電源供給ラインによる前記第2の基板への前記外部電源の供給を遮断し、
前記第2の制御電源のモニタにより前記第2の制御電源に異常があると判定したときは、前記第1の遮断回路および前記第2の遮断回路をオフとして、前記電源供給ラインによる前記第2の基板への前記外部電源の供給を遮断する、
ように構成されている、
ことを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
前記第2の基板に設けられた基板識別手段を備え、
前記第1の基板における前記第1のプロセッサICは、前記基板識別手段の識別情報を記憶し得るように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記第2の基板に設けられた温度モニタ回路を備え、
前記第1の基板における前記第1のプロセッサICは、前記温度モニタ回路の測定値に対応する電気量に基づいて、前記第2の基板の温度をモニタするように構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記第1の遮断回路および前記第2の遮断回路に接続された前記電源供給ラインは、前記外部電源としての車載バッテリから直接外部電源が供給されるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子制御装置。
【請求項5】
前記第1の遮断回路および前記第2の遮断回路に接続された前記電源供給ラインは、外部電源としてのプリレギュレータから直接外部電源が供給されるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子制御装置。
【請求項6】
前記第1の遮断回路と前記第2の遮断回路とは、前記第1の基板に設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子制御装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の電子制御装置を制御する制御方法であって、
出力を保持する出力保持回路を、前記第2の基板に備え、
前記出力保持回路の出力状態に対応する電気量を出力する出力保持モニタ回路を、前記第1の基板に備え、
前記第1のプロセッサICにより、
前記第2の基板に電源が投入される前に、前記第2の基板の前記出力保持回路の出力状態を、前記出力保持モニタ回路からの前記電気量に基づいてモニタすることで、前記出力保持回路の出力状態がオンであるか否かを判定し、
前記出力保持回路の出力状態がオンであると判定したときは、前記第1の遮断回路をオンとして前記第2の基板への前記外部電源の供給を開始し、
前記出力保持回路の出力状態がオフであると判定したときは、前記第2の遮断回路のみをオンとして、前記電源供給ラインに流れる電流をモニタすることにより、前記電源供給ラインに流れる電流の異常の有無を判定し、
前記電流のモニタにより前記電源供給ラインに流れる電流に異常がないと判定したときは、前記第1の遮断回路をオンとして前記電源供給ラインにより前記外部電源を前記第2の基板に供給するとともに、前記第2の遮断回路をオフとし、
前記電流のモニタにより前記電源供給ラインに流れる電流に異常があると判定したときは、前記第2の遮断回路をオフとして、前記電源供給ラインによる前記第2の基板への前記外部電源の供給を遮断し、
前記電流のモニタにより前記電源供給ラインに流れる電流に異常がないと判定した後に、前記第2の制御電源のモニタにより前記第2の制御電源の異常の有無を判定し、
前記第2の制御電源のモニタにより前記第2の制御電源に異常があると判定したときは、前記第1の遮断回路をオフとして、前記電源供給ラインによる前記第2の基板への前記外部電源の供給を遮断し、
前記第2の制御電源のモニタにより前記第2の制御電源に異常がないと判定したときは、
前記第1の遮断回路のオンを継続して、前記電源供給ラインによる前記第2の基板への前記外部電源の供給を行なう、
ことを特徴とする電子制御装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電子制御装置、およびその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の基板で構成される車載制御装置などの電子制御装置において、外部から直接電源が供給されないように構成されている基板に対しては、基板間接続を介して別の基板から電源を供給することになる。そのため、複数の基板により構成された電子制御装置を正常に動作させるためには、複数の基板が問題なく電気的に基板間接続され、外部から電源供給されない基板へ別の基板から電源が正常に供給される必要がある。
【0003】
一般的には、電子制御装置の出荷時に、電子制御装置に問題がないか否かを検査するが、電子制御装置が複数の基板により構成されているので、複数の基板を組み立てた状態で基板内の電圧、電流をプロービングして出荷検査をすることは困難である。また、基板は、使用されている間に故障することがある。そのため、電子制御装置が自身で電源の異常に対処できるように構成されていることが求められる。
【0004】
基板の故障要因としては、電源短絡、もしくは基板間接続を行なうコネクタの脱落、などがある。たとえば、基板上の電源供給ラインに搭載されたコンデンサが短絡故障することで、電源短絡が発生することがある。また、振動により基板間接続を行なうコネクタに外力が加わり、当該コネクタが基板から脱落してしまうことがある。このため、基板における上記のような故障を検出し、故障検出時に基板への電源供給を遮断させる技術が広く知られている。
【0005】
たとえば、特許文献1には、複数の基板が基板間接続された制御装置において、電源供給ラインに直列接続された抵抗と、当該抵抗の両端の電位差を増幅する差動増幅器と、差動増幅器の出力と基準電圧源の電圧とを比較するコンパレータと、からなる電源監視回路、および上記電源監視回路の出力に基づいて電源供給回路を遮断するリレー、により構成された電源供給監視技術が提案されている。特許文献1に開示された従来の電源供給監視技術によれば、電源供給ラインに直列に接続された抵抗の両端の電位差と、基準電圧と、の比較に基づいて、電源の短絡の有無を検出し、電源の短絡を検出したときは、上記リレーを動作させて電源供給ラインを遮断することができる。
【0006】
また、特許文献2には、メイン電源から電源の供給を受ける主制御基板と、当該主制御基板にバックアップ電源を供給する中継基板と、がコネクタを介して基板間接続されており、主制御基板のメインCPUは、入力ポートを介して供給電源の電圧の状態を監視する供給電源監視手段を備え、当該供給電源監視手段により、基板間接続を行なうコネクタが外された場合に、電圧が異常状態であることを検出するようにした電源供給監視技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008-132072号公報
【特許文献2】特許第4934742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された従来の技術においては、電源供給ラインの短絡を検出することはできるが、基板間接続を行なうコネクタが外れたことは検出できない。加えて、電源供給ラインに直列に抵抗を接続しているため、正常に動作している場合でも抵抗に電流が流れ、制御装置の消費電力の増加および電源供給ラインの電圧降下につながる、などのデメリットが生じる。
【0009】
一般に内燃機関のクランキング時に電源供給ラインの電圧が下がってしまう可能性があるが、このような場合でも車載制御装置としての電子制御装置が問題なく動作可能であることが求められる。したがって、特許文献1に開示された従来の技術が車載制御装置に適用された場合、電源供給ラインに直列に接続された抵抗による電圧降下は、低い電圧でも電子制御装置を正常に動作させるうえで大きな影響を及ぼす。加えて、車両のバッテリあがりを起こさないように、電源供給ラインに直列に接続された抵抗に流れる電流により生じる電力損失を小さくする必要があり、場合によっては、車載制御装置に求められる要件を満足できない可能性がある。
【0010】
また、特許文献2に開示された従来の技術においては、メインCPUにより構成される供給電源監視手段により、基板間を接続するコネクタが外れたことを検出することは可能であるが、電源供給ラインの短絡故障を検出することは困難であり、仮に基板の故障などで電源供給ラインが短絡した場合、供給電源監視手段により異常を検出する前に、短絡故障により基板が破壊されてしまう可能性がある。
【0011】
さらに、特許文献2に開示された従来の技術の場合、仮にメインCPUに供給される電源が1系統であったとすると、基板と電源供給ラインとの接続を行なうコネクタが外れたときに電源供給が停止され、メインCPUにより構成される供給電源監視手段は動作を停止し、供給電源監視手段を使用することができなくなる。したがって、特許文献2に開示された従来の技術の場合、前述のように2系統の電源供給ラインを設けることが必須となる。
【0012】
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、電源供給ラインの短絡と、基板間接続を行なうコネクタの脱落と、の何れの異常をも検出し、その異常検出時に電源供給ラインを遮断することができる、電子制御装置を提供することを目的とする。
【0013】
また、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、電源供給ラインの短絡と、基板間接続を行なうコネクタの脱落と、の何れの異常をも検出し、その異常検出時に電源供給ラインを遮断することができる電子制御装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願に開示される電子制御装置は、
第1の基板と、第2の基板と、を有し、
前記第1の基板は、第1のプロセッサICにより構成された第1の制御回路を備え、
前記第2の基板は、第2のプロセッサICにより構成された第2の制御回路を備え、
前記第1の基板と前記第2の基板とが、基板間接続により電気的に接続されてなる電子制御装置であって、
前記第1の基板は、前記電子制御装置の外部から外部電源が供給され、
前記第2の基板は、前記第1の基板から前記基板間接続を介して、前記外部電源が供給され、
前記第1の制御回路は、前記外部電源に基づいて生成された第1の制御電源が供給され、
前記第2の制御回路は、前記第1の基板から前記基板間接続を介して供給された前記外部電源に基づいて生成された第2の制御電源が供給され、
前記第1の基板に設けられ、前記第2の制御電源を前記第1のプロセッサICによりモニタするための電気量を生成する電圧モニタ回路を備え、
前記第2の基板に前記外部電源を供給する電源供給ラインに設けられ、互いに並列接続された第1の遮断回路と第2の遮断回路とを備え、
前記第1の遮断回路と、前記第2の遮断回路とは、前記第1のプロセッサICにより開閉制御され、
前記第2の遮断回路のみがオンのとき、前記電源供給ラインに流れる電流を前記第1のプロセッサICによりモニタするための電気量を生成する電流モニタ回路を備え、
前記第1のプロセッサICは、
前記電流のモニタにより前記電源供給ラインに流れる電流に異常がないと判定したときは、前記第1の遮断回路をオンとして前記電源供給ラインにより前記外部電源を前記第2の基板に供給するとともに、前記第2の遮断回路をオフとし、
前記電流のモニタにより前記電源供給ラインに流れる電流に異常があると判定したときは、前記第2の遮断回路をオフとして、前記電源供給ラインによる前記第2の基板への前記外部電源の供給を遮断し、
前記第2の制御電源のモニタにより前記第2の制御電源に異常があると判定したときは、前記第1の遮断回路および前記第2の遮断回路をオフとして、前記電源供給ラインによる前記第2の基板への前記外部電源の供給を遮断する、
ように構成されたものである。
【0015】
また、本願に開示される電子制御装置の制御方法は、
上記電子制御装置を制御する制御方法であって、
出力を保持する出力保持回路を、前記第2の基板に備え、
前記出力保持回路の出力状態に対応する電気量を出力する出力保持モニタ回路を、前記第1の基板に備え、
前記第1のプロセッサICにより、
前記第2の基板に電源が投入される前に、前記第2の基板の前記出力保持回路の出力状態を、前記出力保持モニタ回路からの前記電気量に基づいてモニタすることで、前記出力保持回路の出力状態がオンであるか否かを判定し、
前記出力保持回路の出力状態がオンであると判定したときは、前記第1の遮断回路をオンとして前記第2の基板への前記外部電源の供給を開始し、
前記出力保持回路の出力状態がオフであると判定したときは、前記第2の遮断回路のみをオンとして、前記電源供給ラインに流れる電流をモニタすることにより、前記電源供給ラインに流れる電流の異常の有無を判定し、
前記電流のモニタにより前記電源供給ラインに流れる電流に異常がないと判定したときは、前記第1の遮断回路をオンとして前記電源供給ラインにより前記外部電源を前記第2の基板に供給するとともに、前記第2の遮断回路をオフとし、
前記電流のモニタにより前記電源供給ラインに流れる電流に異常があると判定したときは、前記第2の遮断回路をオフとして、前記電源供給ラインによる前記第2の基板への前記外部電源の供給を遮断し、
前記電流のモニタにより前記電源供給ラインに流れる電流に異常がないと判定した後に、前記第2の制御電源のモニタにより前記第2の制御電源の異常の有無を判定し、
前記第2の制御電源のモニタにより前記第2の制御電源に異常があると判定したときは、前記第1の遮断回路をオフとして、前記電源供給ラインによる前記第2の基板への前記外部電源の供給を遮断し、
前記第2の制御電源のモニタにより前記第2の制御電源に異常がないと判定したときは、
前記第1の遮断回路のオンを継続して、前記電源供給ラインによる前記第2の基板への前記外部電源の供給を行なう、
ようにした制御方法である。
【発明の効果】
【0016】
本願に開示される電子制御装置、およびその制御方法によれば、電源供給ラインの短絡と、基板間接続を行なうコネクタの脱落と、の何れの異常をも検出し、その異常検出時に電源供給ラインを遮断することができる電子制御装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態1による電子制御装置の全体構成を示す回路ブロック図である。
【
図2】実施の形態1による電子制御装置における、遮断回路、および電流モニタ回路の構成例を示す回路図である。
【
図3】実施の形態1による電子制御装置における、出力保持回路の構成例を示す回路図である。
【
図4】実施の形態1による電子制御装置における、電圧モニタ、温度モニタ、および出力保持モニタ回路の構成例を示す回路図である。
【
図5】実施の形態1および実施の形態2による電子制御装置における、第1のプロセッサICから第2の基板を起動するまでのプロセスを示すフローチャートである。
【
図6】実施の形態2による電子制御装置の全体構成を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による電子制御装置の全体構成を示す回路ブロック図であって、車載制御装置として実施した例を示している。
図1において、車載制御装置としての電子制御装置130は、第1の基板50と、第2の基板60と、を備えている。第1の基板50には、基板間接続用の第1のコネクタ51が装着され、第2の基板60には、基板間接続用の第2のコネクタ61が装着されている。第1のコネクタ51と第2のコネクタ61とは、たとえば、フレキシブル基板などから構成された基板間接続部材110を介して、相互に電気的に接続されている。これにより、第1の基板50と第2の基板60とは、基板間接続されている。
【0019】
第1の基板50は、第1のプロセッサIC90により構成された第1の制御回路を備えている。また、第1の基板50は、第1の電源回路部81と、電流モニタ回路10と、電圧モニタ回路20と、出力保持モニタ回路70と、温度モニタ回路40の一部と、遮断回路1と、を備えている。遮断回路1は、第1の遮断回路1aと、第2の遮断回路1bと、により構成されている。
【0020】
第2の基板60は、第2のプロセッサIC100により構成された第2の制御回路を備えている。また、第2の基板60は、第2の電源回路部82と、出力保持回路120と、温度モニタ回路40と、を備えている。なお、温度モニタ回路40は、第2の基板60の温度をモニタする部分が第2の基板60に設けられている。
【0021】
車載バッテリとしての外部電源80は、車載制御装置としての電子制御装置130の外部に設置されている。外部電源80の正極端子は、第1の基板50に設けられた正極側外部電源接続端子50pに接続され、外部電源80の負極端子は、第1の基板50に設けられた負極側外部電源接続端子50nに接続されている。外部電源80の負極端子と、第1の基板50の負極側外部電源接続端子50nとは、車両の接地電位部GNDに電気的に接続されている。
【0022】
第1の基板50に設けられた第1の電源回路部81は、正極側外部電源接続端子50pと第1の電源供給ラインVbat1を介して外部電源80が入力され、第1の制御電源を生成して第1の制御電源ラインVsup1を介して第1のプロセッサICに入力する。第1のプロセッサIC90は、第1の電源回路部81から出力された前述の第1の制御電源が供給され、第1の制御回路として動作する。第1の電源回路部81から出力される第1の制御電源ラインの数は使用する第1のプロセッサIC90を含む第1の制御回路で必要とされる電源種の数によって決まる。
【0023】
第2の基板60に設けられた第2の電源回路部82は、第1の基板50の正極側外部電源接続端子50pと第1の遮断回路1aとを介して形成される第2の電源供給ラインVbat2により、外部電源80による外部電源が入力され、複数の第2の制御電源を生成する。
【0024】
第2の電源回路部82は、複数の第2の制御電源VC1、VC2、VC3,VC4を生成する。これらの第2の制御電源VC1、VC2、VC3,VC4は、それぞれ第2の制御電源ラインVsup21、Vsup22、Vsup23、Vsup24を介して第2のプロセッサIC100に入力される。第2のプロセッサIC100は、第2の電源回路部82から出力された前述の第2の制御電源VC1、VC2、VC3,VC4が供給され、第2の制御回路として動作する。第2の電源回路部82から出力される第2の制御電源ラインの数は使用する第2のプロセッサIC100を含む第2の制御回路で必要とされる電源種の数によって決まる。
【0025】
第2の電源回路部82から第2のプロセッサIC100に供給される複数の第2の制御電源VC1、VC2、VC3,VC4は、複数の第2の制御電源ラインVsup21、Vsup22、Vsup23、Vsup24から、基板間接続部材110を介して、それぞれ第1の基板50に設けられた電圧モニタ回路20に入力される。電圧モニタ回路20に入力された複数の第2の制御電源VC1、VC2、VC3,VC4は、後述するように、第1のプロセッサIC90により異常の有無が判定される。
【0026】
第2の基板60への第2の電源供給ラインVbat2には、前述の遮断回路1が接続されている。遮断回路1は、並列に配置された第1の遮断回路1aと、第2の遮断回路1bと、で構成されている。第1の遮断回路1aと、第2の遮断回路1bとは、第1のプロセッサIC90からの指令に基づいて、開閉制御される。
【0027】
第2の遮断回路1bには、第2の電源供給ラインVbat2に流れる電流をモニタする電流モニタ回路10が備えられており、電流モニタ回路10がモニタする第2の電源供給ラインVbat2に流れる電流は、第1のプロセッサIC90により異常の有無が判定される。
【0028】
前述のように、第1の基板50に設けられた第1のプロセッサIC90は、電流モニタ回路10からの電流モニタ値としての電気量と、電圧モニタ回路20からの電圧モニタ値としての電気量と、に基づいて、後述するように遮断回路1の通電もしくは開放を決定し、その決定に基づいて遮断回路1の開閉を制御する。
【0029】
第2の基板60は、製造した基板ごとに読み取り値が異なる基板識別手段30を備えており、第1のプロセッサIC90により基板識別手段30による識別情報をモニタし、第1のプロセッサIC90ではその読み取り値を記憶している。実施の形態1では、基板識別手段30は、一例として、基板ごとに定数の異なる識別用抵抗30aにより構成されているが、基板識別手段30は上記と異なる構成であってもよい。
【0030】
また、第2の基板60には、前述のように温度モニタ回路40が設けられており、温度モニタ回路40の検出値としての電気量に基づいて、第1のプロセッサIC90は、第2の基板60の温度をモニタしている。さらに、第2の基板60には、第2のプロセッサIC100からの出力を保持する出力保持回路120が設けられている。
【0031】
また、第1の基板50には、出力保持回路120にて保持された保持電圧の状態を、出力保持ラインVkeepを介してモニタする出力保持モニタ回路70を備えている。第1のプロセッサIC90は、出力保持モニタ回路70からの出力状態をモニタする。
【0032】
つぎに、遮断回路1と電流モニタ回路10について説明する。
図2は、実施の形態1による電子制御装置における、遮断回路、および電流モニタ回路の構成例を示す回路図である。
図2に示す構成は一例であって、遮断回路1と電流モニタ回路10は、
図2の構成に限られるものではない。
【0033】
図2において、第1の遮断回路1aと第2の遮断回路1bとは、互いに並列接続されて外部電源80から第2の基板60への第2の電源供給ラインVbat2に接続されている。
【0034】
第1の遮断回路1aは、たとえばFET(Field Effect Transistor)からなるスイッチング素子S1と、抵抗r1、r2と、トランジスタTr1と、により構成されている。スイッチング素子S1のドレイン端子とソース端子は、外部電源80からの第2の電源供給ラインVbat2に接続され、スイッチング素子S1のゲート端子は、トランジスタTr1のコレクタ端子に接続されている。トランジスタTr1のエミッタ端子は、接地電位部GNDに接続され、トランジスタTr1のベース端子は、第1のプロセッサIC90のI/Oポート90aに接続されている。
【0035】
第1のプロセッサIC90から、第1の遮断回路1aにおけるトランジスタTr1のベースへ、I/Oポート90aを介して、通電指示としてのハイレベル信号(以下、Hレベル信号と称する)が出力されると、トランジスタTr1のベース・エミッタ間に電流が流れ、トランジスタTr1はオンとなり、コレクタ・エミッタ間が導通する。これにより、第1の遮断回路1aのスイッチング素子S1のゲート・ソース間に電位差が生じてスイッチング素子S1がオンとなり、外部電源80から第2の基板60への第2の電源供給ラインVbat2は通電状態となる。
【0036】
一方、第1のプロセッサIC90から、第1の遮断回路1aにおけるトランジスタTr1のベースへ、I/Oポート90aを介して、遮断指示としてのローレベル信号(以下、Lレベル信号と称する)が出力されると、トランジスタTr1はオフとなり、スイッチング素子S1もオフとなるため、第1の遮断回路1aは遮断された状態になり、外部電源80から第2の基板60への第2の電源供給ラインVbat2は遮断状態となる。
【0037】
第2の遮断回路1bは、たとえばFETからなるスイッチング素子S2と、抵抗r3、r4と、トランジスタTr2と、により構成されている。スイッチング素子S2のドレイン端子とソース端子は、第1の遮断回路1aに対して並列接続された電流モニタライン10aに接続され、スイッチング素子S2のゲート端子は、トランジスタTr2のコレクタ端子に接続されている。トランジスタTr2のエミッタ端子は、接地電位部GNDに接続され、トランジスタTr2のベース端子は、第1のプロセッサIC90のI/Oポート90aに接続されている。
【0038】
第1のプロセッサIC90から、第2の遮断回路1bにおけるトランジスタTr2のベースへ、I/Oポート90aを介して、通電指示としてのHレベル信号が出力されると、トランジスタTr2のベース・エミッタ間に電流が流れ、トランジスタTr2はオンとなり、コレクタ・エミッタ間が導通する。これにより、第2の遮断回路1bのスイッチング素子S2のゲート・ソース間に電位差が生じてスイッチング素子S2がオンとなり、電流モニタライン10aは通電状態となる。
【0039】
一方、第1のプロセッサIC90から、第2の遮断回路1bにおけるトランジスタTr2のベースへ、I/Oポート90aを介して、遮断指示としてのLレベル信号が出力されると、トランジスタTr2はオフとなり、スイッチング素子S2もオフとなるため、第2の遮断回路1bは遮断された状態になり、電流モニタライン10aは遮断状態となる。
【0040】
電流モニタ回路10は、抵抗r5と、オペアンプOPとで構成されている。抵抗r5の両端で発生する電位差をオペアンプOPにより増幅し、第1のプロセッサIC90のA/D入力ポート90bによりA/D変換することで、第2の遮断回路1bが接続されている電流モニタライン10aを流れる電流、すなわち第2の電源供給ラインVbatt2に流れる電流をモニタする。
【0041】
つぎに、出力保持回路120について説明する。
図3は、実施の形態1による電子制御装置における、出力保持回路の構成例を示す回路図である。
図3に示す構成は一例であって、出力保持回路120は、
図3の構成に限られるものではない。
【0042】
出力保持回路120は、トランジスタと抵抗とダイオードとで構成することができる。
図3において、出力保持回路120は、第1の出力保持トランジスタ120aと、第2の出力保持トランジスタ120bと、第3の出力保持トランジスタ120cと、第1の保護ダイオード120dと、第2の保護ダイオード120eと、それぞれの出力保持トランジスタ120a、120b、120c、のベースに接続された複数の抵抗と、により構成されている。
【0043】
第1の出力保持トランジスタ120aのコレクタは、第2の出力保持トランジスタ120bのベースに抵抗を介して接続され、エミッタは、接地電位部GNDに接続されている。第2の出力保持トランジスタ120bのエミッタには、第1の電源供給ラインVbat1から電圧が印加され、コレクタは、抵抗を介して第3の出力保持トランジスタ120cのコレクタに接続されている。
【0044】
第3の出力保持トランジスタ120cのエミッタは、接地電位部GNDに接続され、コレクタは、第2の出力保持トランジスタ120bのコレクタに抵抗を介して接続されるとともに、第2の保護ダイオード120eのアノードに接続されている。第1の保護ダイオード120dのカソードは、抵抗を介して第1の出力保持トランジスタ120aのベースに接続されている。
【0045】
第2のプロセッサIC100のI/Oポート100aは、第1のポートPort1と、第2のポートPort2の、2つのポートを備えている。第1のポートPort1は、出力保持回路120をオンとするためのポートであり、第1の保護ダイオード120dのアノードに接続されている。第2のポートPort2は、出力保持回路120をオフとするためのポートであり、第3の出力保持トランジスタ120cのベースに抵抗を介して接続されている。
【0046】
出力保持回路120をオンさせる場合は、I/Oポート100aの第1のポートPort1からHレベル信号を出すことで、第1の出力保持トランジスタ120aをオンとする。これにより、第1の出力保持トランジスタ120aのコレクタ・エミッタ間が導通し、その結果、第2の出力保持トランジスタ120bもオンとなり、そのコレクタ・エミッタ間が導通することで、保持電圧ラインVkeepに保持される電圧は第1の電源供給ラインVbat1の電圧となる。保持電圧ラインVkeepが第1の電源供給ラインVbat1の電圧になると、第2の保護ダイオード120eを介して第1の出力保持トランジスタ120aのベース側には電源供給ラインVbat1の分圧電圧が印可されるためオン状態を継続し、第2のプロセッサIC100のI/Oポート100aの第1のポートPort1の状態に関わらず、前述のとおり保持電圧ラインVkeepはオン状態を保持する。
【0047】
出力保持回路120をオフさせる場合は、I/Oポートの第1のポートPort1からLレベル信号を出力し、第2のポートPort2からHレベル信号を出力することで、第3の出力保持トランジスタ120cをオンとし、そのコレクタ・エミッタ間を導通させる。
【0048】
また、第1のポートPort1からLレベル信号が出力されることで、第1の出力保持トランジスタ120aのベースに加わる電圧がLレベルとなり、第1の出力保持トランジスタ120aはオフとなり、第2の出力保持トランジスタ120bもオフとなるため、保持電圧ラインVkeepに保持される電圧は接地電位レベルとなる。
【0049】
第1の保護ダイオード120dは、出力保持回路120がオンの場合に、第2のプロセッサIC100の第1のポートPort1がLレベル信号を出力して出力保持回路120がオンの場合に、過電流が流れないようにするための保護用であり、第2の保護ダイオード120eは、第2のプロセッサIC100の第1のポートPort1と第2のポートPort2とがHレベル信号を出力した場合に、過電流が流れないようにするための保護用である。
【0050】
第2の基板60の第2の電源回路部82から制御電源が供給される第2のプロセッサIC100が動作を開始すると、第2のプロセッサIC100は、出力保持回路120の出力状態をオンに変更させる。これにより、第2の基板60が動作を終了して電源供給が停止された場合でも、出力保持回路120の出力状態はオンを保持する。その状態で、再度、第2の基板60に外部電源を供給する場合、第1のプロセッサIC90は、まず出力保持モニタ回路70から出力保持回路120の出力状態をモニタする。このとき、出力保持モニタ回路70のモニタ値がオンであれば、第2の基板60は一度電源が供給され、第2のプロセッサIC100が起動されたことがあることを判定する。
【0051】
したがって、第2の基板60に外部電源を供給するとき、まず出力保持モニタ回路70から出力保持回路120の出力状態をモニタし、出力保持モニタ回路70のモニタ値がオンの場合には、最初から第1の遮断回路1aを通電させて外部電源を供給し、出力保持モニタ回路70のモニタ値がオフの場合には、第2の遮断回路1bから通電を開始して電流モニタを実施し、電流モニタの結果、異常がなければ、第1の遮断回路1aをオンとするとともに第2の遮断回路1bをオフにする、というように、出力保持回路120による第2の基板60の出力保持の状態に基づいて、第2の基板60に対する制御の仕方を変化させることができる。
【0052】
つぎに、電圧モニタ回路20、温度モニタ回路40、出力保持モニタ回路70、について説明する。
図4は、実施の形態1による電子制御装置における、電圧モニタ、温度モニタ、および出力保持モニタ回路の構成例を示す回路図である。
図4に示す構成は一例であって、電圧モニタ回路20、温度モニタ回路40、出力保持モニタ回路70は、
図4の構成に限られるものではない。
【0053】
電圧モニタ回路20と、出力保持モニタ回路70とは、それぞれ抵抗により構成することが可能である。
図4において、電圧モニタ回路20は、複数の第2の制御電源ラインVsup21、Vsup22、Vsup23、Vsup24に供給された複数の第2の制御電源の電圧を、第1のプロセッサIC90の入力電圧範囲内に適応するように、抵抗r5と抵抗r6、抵抗r7と抵抗r8、抵抗r9と抵抗r10、抵抗r11と抵抗r12、を用いてそれぞれ分圧し、電気量としての分圧した電圧を第1のプロセッサIC90のA/D入力ポート90bに入力するように構成されている。
【0054】
第1の基板50に搭載された第1のプロセッサIC90は、電圧モニタ回路20から入力された第2の制御電源の電圧を分圧した電気量としての分圧電圧を、A/D入力ポート90bによりA/D変換し、複数の第2の制御電源をモニタする。
【0055】
第1のプロセッサIC90による第2の制御電源のモニタでは、たとえば、第2の制御電源の電圧を分圧した分圧電圧が、それぞれ、あらかじめ定められた閾値の範囲内にある場合に正常であると判定し、あらかじめ定められた閾値の範囲から外れた場合に異常であると判定することができる。
【0056】
出力保持モニタ回路70は、前述の
図1に示す第2の基板60に設けられた出力保持回路120における保持電圧ラインVkeepの電圧を、第1のプロセッサIC90の入力電圧範囲内に適応するように抵抗r13と抵抗r14を用いて分圧し、当該分圧した分圧電圧を第1のプロセッサIC90のI/Oポート90aに入力するように構成されている。
【0057】
第1の基板50に設けられた第1のプロセッサIC90は、出力保持モニタ回路70からI/Oポート90aに入力された出力電圧ラインVleepの電圧が分圧された分圧電圧に基づいて、出力保持回路120の保持電圧ラインVkeepの電圧が、第1の電源供給ラインVbat1の電圧であるHレベル信号であるか、接地電位であるLレベル信号であるか、をモニタすることができる。
【0058】
温度モニタ回路40は、第2の基板60に当接して設置されたサーミスタ(Thermistor)40aと、抵抗r15と、により構成されている。サーミスタ40aは、温度に大きく依存する抵抗特性を有しており、温度によって抵抗値が変化する。そのため、温度モニタ回路40は、抵抗r15とサーミスタ40aとにより第1の電源供給ラインVsup1の電圧を分圧し、当該分圧された分圧電圧を第1のプロセッサIC90のA/D入力ポート90bに入力するように構成されている。
【0059】
第1のプロセッサIC90のA/D入力ポート90bに入力される温度モニタ回路40からの分圧電圧としての電気量は、第2の基板60の温度に対応して、第1の電源供給ラインVsup1の電圧に対する分圧比が変化することにより変化する。したがって、第1のプロセッサIC90は、A/D入力ポート90bによりA/D変換された前述の分圧電圧の変化により、第2の基板60の温度をモニタすることができる。
【0060】
つぎに、実施の形態1による電子制御装置の動作について説明する。
図5は、実施の形態1および実施の形態2による電子制御装置における、第1のプロセッサICから第2の基板を起動するまでのプロセスを示すフローチャートである。
【0061】
図5において、第2の基板60を起動する必要が発生したスタート時点において、まず、温度モニタ回路40により第1の基板50のプロセッサIC90は、第2の基板60の温度のモニタリングし、第2の基板60の温度に異常がなければ、ステップS51において、第1の基板50の第1のプロセッサIC90は、遮断回路1における第2の遮断回路1bをオンとし、ステップS52に進む。第2の基板60の温度に異常があれば、第2の基板60を正常な第2の基板に取り換えるなどの故障原因を排除したのち、ステップS51に進む。
【0062】
ステップS52では、第1のプロセッサIC90は、第2の遮断回路1bに流れる電流値に対応した信号が電流モニタ回路10から入力された電気量に基づいて、第2の遮断回路1bに流れる電流をモニタする。ステップS52における第1のプロセッサIC90での処理は、電流モニタ値に応じて以下のように分岐する。
【0063】
すなわち、電流モニタ回路10から入力された電流モニタ値としての電気量が、あらかじめ設定された閾値の範囲を超える値であると判定した場合(J1)は、第2の遮断回路1bに流れる電流があらかじめ想定した値より大きくなっていることを示すため、ステップS53へ進む。
【0064】
ステップS53では、第1のプロセッサIC90は、第2の基板60に電源短絡(ショート)が発生していると判定し、ステップS54に進み、第2の遮断回路1bをオフにして、第2の基板60への外部電源80からの電源供給を停止し、つぎにステップS55において、第2の基板60が接続異常の状態であることを外部に通知する。
【0065】
ステップS52での電流モニタの結果、電流モニタ値としての電気量値があらかじめ設定された閾値の範囲に満たなかった場合(J2)は、ステップS56に進み、第2の遮断回路1bに流れる電流が想定より小さくなっているため、第1のプロセッサIC90は、第2の基板60が未接続状態であると判定し、ステップS54に進む。
【0066】
ステップS54では、第1のプロセッサIC90は、前述の電流モニタ値が閾値より大きな値であると判定した場合と同様に、第2の遮断回路1bをオフとして、第2の基板60への電源供給を停止し、ステップS55において、基板間接続をするための第1のコネクタ51又は第2のコネクタ61の脱落などの接続異常の状態であることを外部に通知する。
【0067】
一方、電流モニタ値が予め設定された閾値の範囲内であった場合(J3)は、第1のプロセッサIC90は、第2の基板は故障なく正常に接続されていると判定し、ステップS57に進む。ステップS57では、第1のプロセッサIC90は、第1の遮断回路1aをオンとし、つぎにステップS58に進んで、第2の遮断回路1bをオフとする。
【0068】
第1の遮断回路1aがオンとなり、第2の遮断回路1bがオフとなって、第2の基板60への電源供給が正常に開始されると、ステップS59において、第1のプロセッサIC90は、第2の電源回路部82により生成されて第2のプロセッサIC100に供給される全ての制御電源を、電圧モニタ回路20を介してモニタする。
【0069】
ステップS59での電圧のモニタの結果、第2の制御電源ラインVsup21、Vsup22、Vsup23、Vsup24のうちの少なくとも一つの電圧に異常がある場合(J4)は、第2の基板60が故障していると判定してステップS60に進み、第1のプロセッサIC90は、第1の遮断回路1aをオフとし、第2の基板60への第2の電源供給ラインVbat2による電圧の供給を停止させる。そして、ステップS55において、第2の基板60が異常状態であることを外部に通知する。
【0070】
一方、ステップS59における電圧モニタ回路20でのモニタ電圧が正常の場合(J5)は、ステップS61にて正常動作を続けながら、第2の電源回路部82により生成された複数の制御電源に対する電圧モニタを継続する。
【0071】
以上のように、車載制御装置において、第1のプロセッサICで電源供給ラインに直列に備えられた抵抗の電位差をモニタし判定することで、第2の基板の電源供給ラインで発生する短絡とコネクタが外されたことによる故障の両方を検知することができる。
【0072】
また、第2の基板への電源供給ラインに直列に抵抗が備えられた第2の遮断回路のある電源供給ラインと、抵抗が備えられていない第1の遮断回路のある電源供給ラインを並列に設けることで、故障がなく正常に動作可能な場合は抵抗が備えられていない第1の遮断回路がある電源供給ラインから電源を供給し、抵抗による消費電力増加、電圧ドロップを防ぐことができる。
【0073】
また、第2の基板に備えられたプロセッサICではなく第1の基板に備えられた第1のプロセッサICで第2の基板の電源供給ラインを監視することで、制御装置としては電源供給ラインが1系統でも第2の基板の電源供給ラインの故障を検出することが可能である。
【0074】
また、第1の基板の第1のプロセッサICにより第2の基板の電源供給ラインの電源故障を検出することができるため、出荷時にライン上で前記2枚の基板を組み立てた状態でも電源故障していないか検査することが可能である。
【0075】
実施の形態1による電子制御装置において、第2の基板60の第2の電源回路部82から、第2のプロセッサIC100に供給される複数の第2の制御電源は、電圧モニタ回路20を介して第1のプロセッサIC90によりモニタされており、当該モニタリングにより複数の第2の制御電圧の異常を検出することができる。また、第2の基板60への第2の電源供給ラインVbat2に接続された遮断回路1により、第2の基板60に異常が発生した際に、外部電源の供給を停止することが可能である。
【0076】
さらに、第2の電源供給ラインVbat2に挿入された遮断回路1は、互いに並列接続された第1の遮断回路1aと第2の遮断回路1bとを備えており、第2の遮断回路1bが接続された電流モニタライン10aのみに電流モニタ回路10が設けられ、当該電流モニタ回路10を介して第1のプロセッサIC90により第2の電源供給ラインVbat2に流れる電流をモニタするように構成されている。そのため、第1の遮断回路1aを遮断し、第2の遮断回路1bのみを通電することで、第2の電源供給ラインから第2の基板60へ流れる電流をモニタし、当該電流の電流値から電源短絡、コネクタ着脱、などの異常を検出することができ、
【0077】
電流のモニタにより電流が正常な場合は、第2の遮断回路1bをオフとし、第1の遮断回路1aをオンとして、第2の基板60へ外部電源を供給することが可能である。
【0078】
したがって、実施の形態1による、2枚の基板により構成された車載制御装置としての電子制御装置130では、第1の基板50により、第2の基板60の外部電源および制御電源を自己診断することができ、第2の基板60への第2の電源供給ラインVbat2に異常があった場合、又は、第2の制御電源ラインVsup21、Vsup22、Vsup23、Vsup24の電圧に異常がある場合に、第1のプロセッサIC90により第2の基板60への外部電源の供給を停止し、上記の異常を外部に通知することができる。
【0079】
2枚の基板により電子制御装置が構成される場合、製品出荷時に2枚の基板を組み立てた状態で基板内の電圧および電流をプロービングして出荷検査を実施することは困難である。しかし、実施の形態1による電子制御装置によれば、第1の基板50に搭載された第1のプロセッサIC90により構成された第1の制御装置により、第2の基板60の異常を自己診断することができるため、出荷検査において2枚の基板を組み立てた状態で異常の有無を検査することが可能となる。
【0080】
また、たとえば市場で第2の基板60に起因する故障が発生した場合、第2の基板60のみであれば第1の基板50により第2の基板60の自己診断が可能なため、車載制御装置としての電子制御装置130の全体を交換することなく、第2の基板60のみを交換することも可能となる。したがって、電子制御装置130の交換費用を抑制することが可能となる。
【0081】
さらに、通常、電流モニタ回路は、直列に抵抗を備え、その抵抗の両端の電位差を測定する構成が一般的であるが、この構成であれば抵抗に常に電流が流れるため、消費電力が増加し、かつ、電圧降下を生じてしまう。したがって、消費電流の大きい車載制御装置としての電子制御装置であれば、通常の電流モニタの採用は、要求される動作要件を満足するための大きな支障になることがある。しかしながら、実施の形態1による電子制御装置によれば、電源異常はなく正常であることが判断できた場合に、電流モニタ回路10に直列に抵抗が備えられていない第1の遮断回路1aに電源供給ラインを切り替えられることで、消費電力の増加および電圧降下を抑えることができる。
【0082】
また、実施の形態1による電子制御装置において、第2の基板60の上の温度を測定するように設けられた温度モニタ回路40により、第1のプロセッサIC90は、第2の基板60の温度をモニタするように構成されているので、第1のプロセッサIC90は、第2の基板60に外部電源を供給する前に、第2の基板60の温度を確認することができる。
【0083】
したがって、第1のプロセッサIC90は、第2の基板60の温度に応じて処理を変えることができる。たとえば、電子部品は温度特性を有しており、温度に応じて消費電流も変化する。そのため、車載制御装置としての電子制御装置130が搭載された車両の使用環境、起動タイミング、などによっては、温度が大きく異なり、第2の基板60に流れる電流量も大きく差が生じる可能性がある。そこで第2の基板60の温度をモニタすることで、温度に応じた消費電流の変化を把握することができ、温度特性を考慮した電流モニタ回路10の閾値に補正することが可能となる。
【0084】
また、第2の基板60の温度を把握することにより、その把握した温度に対応して第2のプロセッサIC100の処理負荷を調整し、あるいは稼働中の第2の基板60の温度が高くなりすぎた場合には、第1のプロセッサIC90から第2の基板60への電源供給を強制的に停止させることも可能となる。
【0085】
また、実施の形態1による車載制御装置としての電子制御装置は、外部電源としての車載バッテリから電源が供給されるように構成されている。したがって、車両に搭載された車載バッテリから直接電源を供給することができ、専用の電源を必要としないため車両の機器設置のための空間の省スペース化が可能となる。さらに、車載バッテリから電源を供給することが可能であることにより、大消費電力を必要とする車載制御装置にも適用することができる。
【0086】
また、実施の形態1による電子制御装置において、第1の遮断回路1aと第2の遮断回路1bとから構成された遮断回路1と、電流モニタ回路10とは、第1の基板50に備えられる。第1の基板50に遮断回路1を備えることで、第2の基板60に必要な部品点数を減らすことができる。また、たとえば、市場で第2の基板60に起因して電子制御装置130に故障が発生した場合、第2の基板60のみであれば第1の基板50により第2の基板60の自己診断が可能なため、車載制御装置としての電子制御装置130の全体を交換せずに第2の基板60のみを交換することもできる。そのため、実施の形態1による電子制御装置によれば、第2の基板60の部品点数が上記のように少ないので、第2の基板60の交換費用をさらに抑えることが可能である。
【0087】
また、実施の形態1による電子制御装置において、第2の基板60に外部電源を供給するとき、まず出力保持モニタ回路70から出力保持回路120の出力状態をモニタし、出力保持モニタ回路70のモニタ値がオンの場合には、最初から第1の遮断回路1aを通電させて外部電源を供給し、出力保持モニタ回路70のモニタ値がオフの場合には、第2の遮断回路1bから通電を開始して電流モニタを実施し、電流モニタの結果、異常がなければ、第1の遮断回路1aをオンとするとともに第2の遮断回路1bをオフとする。このように、出力保持回路120による第2の基板60の出力保持の状態に基づいて、第2の基板60に対する制御の仕方を異ならせることができる。
【0088】
したがって、出力保持回路120の出力保持状態がオフ、つまり第2の基板60が一度も電源供給されたことがなければ、第2の遮断回路1bから通電を行うことで、電流モニタに基づいて第2の基板60への第2の電源供給ラインの故障を検出することができる。そのため、車載制御装置としての電子制御装置130が組み立てられた直後、もしくは第2の基板60を交換した直後に、故障診断をすることが可能である。
【0089】
一方、毎回故障診断のために、まず第2の遮断回路1bをオンにして故障がないことを確認してから、第1の遮断回路1aをオンにして第2の基板60に電源供給を開始する、という制御を行うと、第2の基板60への電源供給の開始に時間がかかり、第2のプロセッサIC100の起動時間が長くなってしまう。そこで、短時間での起動が要求される場合には、出力保持回路120の出力保持状態がオン、つまり第2の基板60が一度電源供給されたことがあり、すでに短絡故障、コネクタの着脱などの異常がないと判断することで、最初から第1の遮断回路1aをオンにして第2の基板60への電源供給を開始することができる。このようにすることで、最初の起動時以外は起動時間を短縮することが可能となる。
【0090】
実施の形態2
つぎに、実施の形態2による電子制御装置について説明する。
図6は、実施の形態2による電子制御装置の全体構成を示す回路ブロック図である。
図6において、遮断回路1と電流モニタ回路10は、実施の形態1に示した
図2と同一であるが、実施の形態2による電子制御装置では、遮断回路1と電流モニタ回路10は、実施の形態1の場合とは異なり、第2の基板60に設けられている。
【0091】
出力保持回路120と、電圧モニタ回路20と、温度モニタ回路40と、出力保持モニタ回路70と、は実施の形態1の場合と同一構成であり。かつ、実施の形態1の場合と同様に第1の基板50に搭載されている。また、第1のプロセッサIC90から第2の基板60を起動するまでのプロセスは、実施の形態1において
図5で示したフローチャートと同一である。
【0092】
前述の実施の形態1による電子制御装置では、
図1に示すように、第1の基板50の第1のプロセッサIC90により構成された第1の制御回路には、外部電源としての車載バッテリからの電圧に基づいて生成した第1の制御電源が供給され、第2の基板60の第2のプロセッサIC100により構成された第2の制御回路には、外部電源としての車載バッテリからの電圧に基づいて生成した第2の制御電源が供給されるように構成されていたが、実施の形態2による電子制御装置では、
図6に示すように、車載バッテリに代えて、外部電源としてプリレギュレータ85を用いている。
【0093】
また実施の形態1による電子制御装置では、基板識別手段30として識別用抵抗30aを用いていたが、実施の形態2による電子制御装置では、
図6に示すように、製造された基板ごとに異なる識別情報が記憶された識別用ROM(Read Only Memory)30bを第2の基板60に設け、識別用ROM30bから識別情報を読み取ることで第2の基板60の種類を識別するように構成されている。識別用ROM30bは、基板間接続部材110を介して第1の電源回路部81から第1の制御電源が供給され、識別用ROM30bの通信バスラインは第1のプロセッサIC90に接続される。その他の構成は、実施の形態1の場合と同様である。
【0094】
以上のように構成された実施の形態2による電子制御装置においては、外部電源としてプリレギュレータ85が用いられている。プリレギュレータは車両内の別の電子制御装置にて生成された、低電圧でクランキングなどの負荷に応じた電圧変動の影響を受けない低電圧で安定した電源である。外部電源として車載バッテリを用いると、車両の負荷に応じてバッテリ電圧の変動が生じ、高い電圧が車載制御装置としての電子制御装置130に印加される可能性があるが、外部電源としてプリレギュレータ85を用いた場合、車載制御装置としての電子制御装置130が動作可能な範囲で低電圧の供給をうけることができる。
【0095】
したがって、電源供給ラインとそれに接続される電子部品に、比較的に耐圧の低い部品をもちいることができる。低耐圧の電子部品は、高耐圧の電子部品と比べて部品コストを抑えることができ、また、小型の電子部品をもちいることができる。そのため、車載制御装置としての電子制御装置130の小型化、低コスト化、を実現することが可能となる。
【0096】
実施の形態2による電子制御装置において、第2の基板60に搭載された基板識別手段としての識別用ROM30bは、第2の基板60の種類などを記憶している。また、第1のプロセッサIC90は、第1の基板50に基板間接続すべき第2の基板の種類を記憶している。第1のプロセッサIC90は、第2の基板60に外部電源を供給する前に、識別用ROM30bの記憶された基板60の種類と、第1のプロセッサIC90が記憶している基板間接続すべき第2の基板の種類と、を比較することで、第2の基板60の種類が基板間接続すべき第2の基板の種類と一致するかを確認する。
【0097】
したがって、第1のプロセッサIC90は、自身の内部で記憶されている第2の基板の識別情報と、第2の基板60の基板識別手段としての識別用ROM30bに記憶されている識別情報とを比較することで、第2の基板60が以前識別した第2の基板と同じ種類の基板であるかを判断することができる。上記の識別により、第2の基板60が以前識別した第2の基板と同じ第2の基板であるのか、異なる第2の基板であるのか、によって第1のプロセッサIC90での処理を切り替えることが可能となる。
【0098】
たとえば、第2の基板60が、制御回路のインターフェースは同じであるが、量産仕様、客先、出荷先、などにより第2のプロセッサIC100での処理、もしくは通信内容が異なる場合、基板識別手段30としての識別用ROM30bの記憶内容によって、第1のプロセッサIC90は、あらかじめ各識別情報に合わせてどのような処理が必要かをプログラムしておけば、第1の基板50や電子制御装置130そのものを取り換えなくても、第1のプロセッサIC90に記憶したプログラムの選択により対応することができる。
【0099】
また、上記の場合、第1のプロセッサICにおけるプログラムを変更する必要がなくなり、第1のプロセッサIC90自身で最適な処理を選択することができ、プログラム変更の手数などをなくすることができる。
【0100】
さらに、たとえば、第2の基板60が第1の基板50の処理をサポートするような役割を担っていた場合、車載制御装置としての電子制御装置が搭載される車両によっては、第2の基板60を必要とするほどの処理性能が要求されない場合がある。そのような場合、第2の基板60を搭載せずに第1の基板50のみが用いられることがある。
【0101】
そのため、遮断回路1を構成する第1の遮断回路1aおよび第2の遮断回路1bと、電流モニタ回路10と、を第2の基板60に搭載することで、第1の基板50に必要な部品点数を減少させることができる。遮断回路1が第2の基板60に搭載されていれば、第1の基板50の部品点数は減り、基板面積も小さくすることができるため、第1の基板50のみで用いられた場合に車載制御装置としての電子制御装置130の小型化と低コスト化をすることが可能である。
【0102】
本願は、様々な例示的な実施の形態を記載しているが、各実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。したがって、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0103】
つぎに、本願に開示した電子制御装置、およびその制御方法の態様を、以下に付記として記載する。
(付記1)
第1の基板と、第2の基板と、を有し、
前記第1の基板は、第1のプロセッサICにより構成された第1の制御回路を備え、
前記第2の基板は、第2のプロセッサICにより構成された第2の制御回路を備え、
前記第1の基板と前記第2の基板とが、基板間接続により電気的に接続されてなる電子制御装置であって、
前記第1の基板は、前記電子制御装置の外部から外部電源が供給され、
前記第2の基板は、前記第1の基板から前記基板間接続を介して、前記外部電源が供給され、
前記第1の制御回路は、前記外部電源に基づいて生成された第1の制御電源が供給され、
前記第2の制御回路は、前記第1の基板から前記基板間接続を介して供給された前記外部電源に基づいて生成された第2の制御電源が供給され、
前記第1の基板に設けられ、前記第2の制御電源を前記第1のプロセッサICによりモニタするための電気量を生成する電圧モニタ回路を備え、
前記第2の基板に前記外部電源を供給する電源供給ラインに設けられ、互いに並列接続された第1の遮断回路と第2の遮断回路とを備え、
前記第1の遮断回路と、前記第2の遮断回路とは、前記第1のプロセッサICにより開閉制御され、
前記第2の遮断回路のみがオンのとき、前記電源供給ラインに流れる電流を前記第1のプロセッサICによりモニタするための電気量を生成する電流モニタ回路を備え、
前記第1のプロセッサICは、
前記電流のモニタにより前記電源供給ラインに流れる電流に異常がないと判定したときは、前記第1の遮断回路をオンとして前記電源供給ラインにより前記外部電源を前記第2の基板に供給するとともに、前記第2の遮断回路をオフとし、
前記電流のモニタにより前記電源供給ラインに流れる電流に異常があると判定したときは、前記第2の遮断回路をオフとして、前記電源供給ラインによる前記第2の基板への前記外部電源の供給を遮断し、
前記第2の制御電源のモニタにより前記第2の制御電源に異常があると判定したときは、前記第1の遮断回路および前記第2の遮断回路をオフとして、前記電源供給ラインによる前記第2の基板への前記外部電源の供給を遮断する、
ように構成されている、
ことを特徴とする電子制御装置。
(付記2)
前記第2の基板に設けられた基板識別手段を備え、
前記第1の基板における前記第1のプロセッサICは、前記基板識別手段の識別情報を記憶し得るように構成されている、
ことを特徴とする付記1に記載の電子制御装置。
(付記3)
前記第2の基板に設けられた温度モニタ回路を備え、
前記第1の基板における前記第1のプロセッサICは、前記温度モニタ回路の測定値に対応する電気量に基づいて、前記第2の基板の温度をモニタするように構成されている、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の電子制御装置。
(付記4)
前記第1の遮断回路および前記第2の遮断回路に接続された前記電源供給ラインは、前記外部電源としての車載バッテリから直接外部電源が供給されるように構成されている、
ことを特徴とする付記1から3のうちの何れか一つに記載の電子制御装置。
(付記5)
前記第1の遮断回路および前記第2の遮断回路に接続された前記電源供給ラインは、外部電源としてのプリレギュレータから直接外部電源が供給されるように構成されている、
ことを特徴とする付記1から3のうちの何れか一つに記載の電子制御装置。
(付記6)
前記第1の遮断回路と前記第2の遮断回路とは、前記第1の基板に設けられている、
ことを特徴とする付記1から5のうちの何れか一つに記載の電子制御装置。
(付記7)
付記1から6のうちの何れか一つに記載の電子制御装置を制御する制御方法であって、
出力を保持する出力保持回路を、前記第2の基板に備え、
前記出力保持回路の出力状態に対応する電気量を出力する出力保持モニタ回路を、前記第1の基板に備え、
前記第1のプロセッサICにより、
前記第2の基板に電源が投入される前に、前記第2の基板の前記出力保持回路の出力状態を、前記出力保持モニタ回路からの前記電気量に基づいてモニタすることで、前記出力保持回路の出力状態がオンであるか否かを判定し、
前記出力保持回路の出力状態がオンであると判定したときは、前記第1の遮断回路をオンとして前記第2の基板への前記外部電源の供給を開始し、
前記出力保持回路の出力状態がオフであると判定したときは、前記第2の遮断回路のみをオンとして、前記電源供給ラインに流れる電流をモニタすることにより、前記電源供給ラインに流れる電流の異常の有無を判定し、
前記電流のモニタにより前記電源供給ラインに流れる電流に異常がないと判定したときは、前記第1の遮断回路をオンとして前記電源供給ラインにより前記外部電源を前記第2の基板に供給するとともに、前記第2の遮断回路をオフとし、
前記電流のモニタにより前記電源供給ラインに流れる電流に異常があると判定したときは、前記第2の遮断回路をオフとして、前記電源供給ラインによる前記第2の基板への前記外部電源の供給を遮断し、
前記電流のモニタにより前記電源供給ラインに流れる電流に異常がないと判定した後に、前記第2の制御電源のモニタにより前記第2の制御電源の異常の有無を判定し、
前記第2の制御電源のモニタにより前記第2の制御電源に異常があると判定したときは、前記第1の遮断回路をオフとして、前記電源供給ラインによる前記第2の基板への前記外部電源の供給を遮断し、
前記第2の制御電源のモニタにより前記第2の制御電源に異常がないと判定したときは、
前記第1の遮断回路のオンを継続して、前記電源供給ラインによる前記第2の基板への前記外部電源の供給を行なう、
ことを特徴とする電子制御装置の制御方法。
【符号の説明】
【0104】
1 遮断回路、1a 第1の遮断回路、1b 第2の遮断回路、10 電流モニタ回路、
10a 電流モニタライン、20 電圧モニタ回路、30 基板識別手段、
30a 識別用抵抗、30b 識別用ROM、40 温度モニタ回路、
40a サーミスタ、50 第1の基板、51 第1のコネクタ、
50p 正極側外部電源接続端子、50n 負極側外部電源接続端子、
61 第2のコネクタ、70 出力保持モニタ回路、80 外部電源、
81 第1の電源回路部、82 第2の電源回路部、85 プリレギュレータ、
90 第1のプロセッサIC、90a I/Oポート、90b A/D入力ポート、
100 第2のプロセッサIC,100a I/Oポート、110 基板間接続部材、
120 出力保持回路、120a 第1の出力保持トランジスタ、
120b 第2の出力保持トランジスタ、120c 第3の出力保持トランジスタ、
120d 第1の保護ダイオード、120e 第2の保護ダイオード、
130 電子制御装置、Vbat1 第1の電源供給ライン、
Vbat2 第2の電源供給ライン、Vkeep 保持電圧ライン、
Vsup1 第1の制御電源ライン、
Vsup21、Vsup22、Vsup23、Vsup24 第2の制御電源ライン