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特開2024-173131配線・配管材配設具装置および波付管配設構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173131
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】配線・配管材配設具装置および波付管配設構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/14 20060101AFI20241205BHJP
   F16L 3/24 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F16L3/14 Z
F16L3/24 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091342
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑原 圭汰
(72)【発明者】
【氏名】北村 祐介
【テーマコード(参考)】
3H023
【Fターム(参考)】
3H023AA03
3H023AC04
3H023AD08
3H023AE02
(57)【要約】
【課題】張設されたワイヤに配線・配管材を簡易な作業で支持させることを可能とする配線・配管材配設具装置を提供する。
【解決手段】配線・配管材配設具装置は、ワイヤと配線・配管材との間に配置される台座と、ワイヤおよび配線・配管材を台座とともに巻回するための巻回体とを備える。台座は、ワイヤに対向する一方側を向く第1面、および、配線・配管材に対向する他方側を向く第2面を有する本体部と、本体部の一方側に設けられ、ワイヤに取り付けられる取着部と、本体部の第2面に設けられ、配線・配管材に添接される添接部と、を備える。巻回体は、台座と、台座に添接された配線・配管材と、台座に取り付けられたワイヤとを、配線・配管材の周方向に巻回するように構成される。台座には、巻回体の巻回位置を台座の幅方向内側に維持するように、巻回体を幅方向両側から係止する位置決め部が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
張設されたワイヤに配線・配管材を支持させるための配線・配管材配設具装置であって、
前記ワイヤと前記配線・配管材との間に配置される台座と、
前記ワイヤおよび前記配線・配管材を前記台座とともに巻回するための帯状または索状の巻回体とを備え、
前記台座は、
前記ワイヤに対向する一方側を向く第1面、および、前記配線・配管材に対向する他方側を向く第2面を有する本体部と、
前記本体部の一方側に設けられ、前記本体部の幅方向が前記ワイヤの軸方向を向くとともに前記本体部の延在方向が前記配線・配管材の周方向を向くようにして、前記ワイヤに取り付けられる取着部と、
前記本体部の前記第2面に設けられ、前記配線・配管材に添接される添接部と、を備え、
前記巻回体は、前記台座と、前記台座に添接された前記配線・配管材と、前記台座に取り付けられた前記ワイヤとを、前記配線・配管材の周方向に巻回するように構成され、
前記台座には、前記巻回体の巻回位置を前記台座の幅方向内側に維持するように、前記巻回体を幅方向両側から係止する位置決め部が設けられていることを特徴とする配線・配管材配設具装置。
【請求項2】
前記配線・配管材は、軸方向外面に環状の凹部および凸部が交互に連続する波付管であり、前記波付管の前記凹部に挿入される挿入部が前記本体部の前記第2面に設けられ、前記位置決め部は、前記本体部の幅方向両側に対向配置された一対の係止部を備え、前記挿入部は、前記一対の係止部の幅方向の略中間位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の配線・配管材配設具装置。
【請求項3】
前記台座は合成樹脂材料からなり、
前記取着部は、前記本体部の幅方向に互いに離隔した位置で一方側に突出形成された一対の取着体を備え、前記各取着体は、先端側を前記ワイヤに押し付けることで前記ワイヤを保持可能に構成され、前記一対の取着体は、前記台座が前記ワイヤに取着されたときに少なくとも前記台座の自重落下を防止するように構成され、
前記一対の取着体の間には、前記取着部に取着された前記ワイヤを露出させる窓部が形成され、前記窓部を介して前記巻回体を前記ワイヤに直に巻回することが可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の配線・配管材配設具装置。
【請求項4】
前記台座には、前記ワイヤが前記取着部に取着された状態で、前記窓部に配置された前記ワイヤと、前記本体部との間に前記巻回体が進入することを規制する規制部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の配線・配管材配設具装置。
【請求項5】
前記位置決め部は、第1の幅を有する第1の巻回体に対応する第1位置決め部と、第1の幅よりも大きい第2の幅を有する第2の巻回体に対応する第2位置決め部と、備え、
前記第1位置決め部は、前記本体部の延設方向の先端縁から基端側へと切り欠かれた窪み部の幅方向に対向する内面からなり、
前記第2位置決め部は、前記本体部の延在方向先端で一方側に突出形成された、幅方向に対向する一対の突出片からなることを特徴とする請求項1または2に記載の配線・配管材配設具装置。
【請求項6】
波付管配設構造であって、
長手方向に張力が付与された状態で吊設されたワイヤと、
前記ワイヤに沿って配管された、軸方向外面に環状の凹部および凸部が交互に連続する波付管と、
前記ワイヤの長手方向に間隔をあけて配置され、前記ワイヤと前記波付管とを連結する複数の管保持具と、
前記複数の管保持具のうち隣接する管保持具の間に配置され、前記ワイヤと前記波付管との間に介在し、一方側が前記ワイヤに当接し、他方側が前記波付管に添設された1または複数の台座と、
前記台座の他方側に添接された前記波付管と、前記台座の一方側に当接する前記ワイヤとを、前記台座とともに前記波付管の周方向に巻回する、1または複数の帯状または索状の巻回体と、を備え、
前記各管保持具の設置箇所における前記ワイヤと前記波付管の間の第1離間距離と、前記台座の設置箇所における前記ワイヤと前記波付管の間の第2離間距離とが略同一であることを特徴とする波付管配設構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線・配管材配設具装置および波付管配設構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高圧架空線又は低圧配電線に加えて電柱に対して通信電線等を含む配線・配管材を架設すべく、該配線・配管材(例えば、配線材を収容する保護管)を空中で吊り下げ支持するために種々の装置が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1は、配線・配管材をワイヤに対して長尺方向に沿って併設させるように一体的に保持するための保持具(以下、管保持具という。)およびワイヤ付き配線・配管材を開示する。以下、当該段落において、()内に特許文献1の符号を示す。特許文献1の管保持具(100)は、ワイヤ(11)および配線・配管材(12)を物理的に一体保持するように構成されている。複数の管保持具(100)が、協働して、ワイヤ(11)に対して配線・配管材(12)を吊下げ支持するように用いられる。そして、ワイヤ付き配線・配管材(10)が、ワイヤ(11)、配線・配管材(12)および複数の管保持具(100)が一体的に組み付けられた状態で設置のために準備される。管保持具(100)は、配線・配管材(12)を包囲して保持するための帯状体(101)と、該帯状体(101)の一端部および他端部に形成され、互いに連結されて帯状体(101)を環状に維持するための一対の連結片(102,103)と、ワイヤ(11)の所定位置に管保持具(100)を固定するようにワイヤ(11)の外面を挟圧するためのワイヤ挟持部(117)と、一対の連結片(102,103)を締結するためのボルト(111)およびナット(115)と、を備える。帯状体(101)は、環状をなして保持対象である配線・配管材(12)を包囲可能であるとともに、その外面に圧接可能な長さで延在している。ボルト(111)およびナット(115)が一対の連結片(102,103)を締結したときに、帯状体(101)が配線・配管材(12)の外面に係合または圧接するとともに、ワイヤ挟持部(117)がワイヤ(11)の外面を挟圧固定する。一方、ボルト(111)およびナット(115)の締結が緩められたとき、ワイヤ挟持部(117)によるワイヤ(11)への挟圧状態が解除され、ワイヤ(11)と配線・配管材(12)の長尺方向への相対移動が可能となる。すなわち、特許文献1の管保持具(100)は、配線・配管材(12)をワイヤに対して配設する際に、ボルト(111)およびナット(115)を操作することで、ワイヤ(11)と配線・配管材(12)との相対位置の調整を容易に行うことを可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-20209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の従来技術は、複数の管保持具を操作して、配線・配管材を設置する際に、ワイヤと配線・配管材との相対位置の調整を可能とするものである。しかしながら、従来の管保持具によるワイヤ付き配線・配管材は、設置の際、主として、複数の管保持具がワイヤおよび配線・配管材に一体的に組み付けられた状態で準備されるものであることから、管保持具を用いて空中に張設されたワイヤに対して配線・配管材を配設するには、ワイヤに対して配線・配管材を帯状体で巻きつけながら管保持具のボルトおよびナットを操作することが必要となる。このような作業は、作業者にとって困難且つ負担であることが第1の課題として挙げられる。さらに、従来の設置されたワイヤ付き配線・配管材では、その設置後に配線・配管材の撓みなどで管保持具間で配線・配管材の垂れ下がりが生じることがある。これに対し、配線・配管材に一体保持された管保持具をスライドさせたとしても、配線・配管材の垂れ下がり箇所が長さ方向に移動するだけで、垂れ下がりの解消をするには、全ての管保持具を緩めたり、再設置したりすることが必要となるが、このような作業は大きな負担となる。すなわち、設置後のワイヤ付き配線・配管材の配設構造において、管保持具の垂れ下がりを簡単に解消するか、あるいは、管保持具の垂れ下がりを予防することもさらなる課題として挙げられる。
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一方を解決するためになされたものであり、その目的は、張設されたワイヤに配線・配管材を簡易な作業で支持させることを可能とする配線・配管材配設具装置を提供することにある。また、本発明は、ワイヤに対して配線・配管材を配設した後の設置構造において、配線・配管材の垂れ下がりの解消および/または予防に用いることが可能である配線・配管材配設具装置を提供するものである。さらに、本発明は、ワイヤに対して配線・配管材の垂れ下がりの解消および/または予防がなされた波付管配設構造をも提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の配線・配管材配設具装置は、張設されたワイヤに配線・配管材を支持させるための配線・配管材配設具装置であって、
前記ワイヤと前記配線・配管材との間に配置される台座と、
前記ワイヤおよび前記配線・配管材を前記台座とともに巻回するための帯状または索状の巻回体とを備え、
前記台座は、
前記ワイヤに対向する一方側を向く第1面、および、前記配線・配管材に対向する他方側を向く第2面を有する本体部と、
前記本体部の一方側に設けられ、前記本体部の幅方向が前記ワイヤの軸方向を向くとともに前記本体部の延在方向が前記配線・配管材の周方向を向くようにして、前記ワイヤに取り付けられる取着部と、
前記本体部の前記第2面に設けられ、前記配線・配管材に添接される添接部と、を備え、
前記巻回体は、前記台座と、前記台座に添接された前記配線・配管材と、前記台座に取り付けられた前記ワイヤとを、前記配線・配管材の周方向に巻回するように構成され、
前記台座には、前記巻回体の巻回位置を前記台座の幅方向内側に維持するように、前記巻回体を幅方向両側から係止する位置決め部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の配線・配管材配設具装置は、請求項1に記載の配線・配管材配設具装置において、前記配線・配管材は、軸方向外面に環状の凹部および凸部が交互に連続する波付管であり、前記波付管の前記凹部に挿入される挿入部が前記本体部の前記第2面に設けられ、前記位置決め部は、前記本体部の幅方向両側に対向配置された一対の係止部を備え、前記挿入部は、前記一対の係止部の幅方向の略中間位置に配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の配線・配管材配設具装置は、請求項1または2に記載の配線・配管材配設具装置において、前記台座は合成樹脂材料からなり、
前記取着部は、前記本体部の幅方向に互いに離隔した位置で一方側に突出形成された一対の取着体を備え、前記各取着体は、先端側を前記ワイヤに押し付けることで前記ワイヤを保持可能に構成され、前記一対の取着体は、前記台座が前記ワイヤに取着されたときに少なくとも前記台座の自重落下を防止するように構成され、
前記一対の取着体の間には、前記取着部に取着された前記ワイヤを露出させる窓部が形成され、前記窓部を介して前記巻回体を前記ワイヤに直に巻回することが可能であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の配線・配管材配設具装置は、請求項3に記載の配線・配管材配設具装置において、前記台座には、前記ワイヤが前記取着部に取着された状態で、前記窓部に配置された前記ワイヤと、前記本体部との間に前記巻回体が進入することを規制する規制部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の配線・配管材配設具装置は、請求項1または2に記載の配線・配管材配設具装置において、前記位置決め部は、第1の幅を有する第1の巻回体に対応する第1位置決め部と、第1の幅よりも大きい第2の幅を有する第2の巻回体に対応する第2位置決め部と、備え、
前記第1位置決め部は、前記本体部の延設方向の先端縁から基端側へと切り欠かれた窪み部の幅方向に対向する内面からなり、
前記第2位置決め部は、前記本体部の延在方向先端で一方側に突出形成された、幅方向に対向する一対の突出片からなることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の波付管配設構造は、波付管配設構造であって、
長手方向に張力が付与された状態で吊設されたワイヤと、
前記ワイヤに沿って配管された、軸方向外面に環状の凹部および凸部が交互に連続する波付管と、
前記ワイヤの長手方向に間隔をあけて配置され、前記ワイヤと前記波付管とを連結する複数の管保持具と、
前記複数の管保持具のうち隣接する管保持具の間に配置され、前記ワイヤと前記波付管との間に介在し、一方側が前記ワイヤに当接し、他方側が前記波付管に添設された1または複数の台座と、
前記台座の他方側に添接された前記波付管と、前記台座の一方側に当接する前記ワイヤとを、前記台座とともに前記波付管の周方向に巻回する、1または複数の帯状または索状の巻回体と、を備え、
前記各管保持具の設置箇所における前記ワイヤと前記波付管の間の第1離間距離と、前記台座の設置箇所における前記ワイヤと前記波付管の間の第2離間距離とが略同一であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の配線・配管材配設具装置によれば、張設されたワイヤと配線・配管材との間に台座を配置した状態で、巻回体でワイヤおよび配線・配管材を巻回することによって、張設されたワイヤに配線・配管材を容易に支持させることが可能である。特には、台座の本体部の一方側の取着部がワイヤに取り付けられ、本体部の他方側の第2面に設けられた添接部が配線・配管材に添接された状態で、台座がワイヤと配線・配管材との間に介在される。作業者は、配線・配管材およびワイヤに対して巻回体を台座ごと配線・配管材の周方向に張力をかけて巻回することにより、張設されたワイヤに対して配線・配管材をしっかりと支持させることができる。つまり、作業者はワイヤに取り付けた台座に対して配線・配管材を宛がって、その外側から巻回体を巻き付けるという簡単な作業によって、張設されたワイヤに対して配線・配管材を支持させることができる。また、台座には、巻回体の巻回位置を台座の幅方向内側に維持する位置決め部が設けられていることから、作業者は、巻回体が配線・配管材の長さ方向にずれることを気にせずに、効率的に支持作業を行うことが可能である。すなわち、本発明の配線・配管材配設具装置は、例えばボルトナットの操作などの複雑な工程を必要とせず、張設されたワイヤに対して配線・配管材を支持させる作業を大幅に改善するものである。さらに、配線・配管材配設具装置は、管保持具を用いて張設されたワイヤに対して配設された配線・配管材の設置構造に対して、配線・配管材の垂れ下がりの解消および/または予防を目的として、追加で設置されるように使用されることができる。特には、設置構造の隣接する管保持具の間の箇所で、台座を配線・配管材とワイヤとの間に差し込んで、台座をワイヤに取着するとともに配線・配管材に添接させて、巻回体を巻き付けることによって、新たな支持箇所を簡単に追加することが可能である。したがって、本発明の配線・配管材配設具装置は、ワイヤ、配線・配管材および管保持具からなる設置構造に対して、配線・配管材の垂れ下がりを解消および/または予防することをも可能とするものである。
【0014】
請求項2に記載の配線・配管材配設具装置によれば、請求項1の発明の効果に加え、台座の本体部の第2面には、波付管の凹部に挿入される挿入部が設けられ、当該挿入部が位置決め部をなす一対の係止部の略中間位置に配置されている。凹部に挿入された挿入部は、波付管を長さ方向に係止することから、波付管が長さ方向にずれることを防止することができる。また、挿入部によって、波付管が添接部に添接されたときの波付管の凸部の長さ方向の位置決めがなされ、添接部を波付管の隣接する2つの凸部外面に安定した姿勢で当接させることができる。
【0015】
請求項3に記載の配線・配管材配設具装置によれば、請求項1または2の発明の効果に加え、台座が合成樹脂材料からなることにより、軽量で取り扱いが容易となる。また、取着部は、その先端側をワイヤに押し付けることでワイヤを保持可能に構成された一対の取着体であることにより、台座のワイヤへの取付操作が容易である。さらに、台座がワイヤに取着部を介して取着されたときに少なくとも台座の自重落下が防止される。これにより、作業者が、ワイヤに台座を取り付けたまま、手を離して作業を継続することを可能とし、支持作業を改善することができる。そして、一対の取着体の間には、取着部に取着されたワイヤを露出させる窓部が形成されている。作業者は、窓部を介して巻回体をワイヤに直に接触させて巻き付ける作業を容易に行うことが可能である。
【0016】
請求項4に記載の配線・配管材配設具装置によれば、請求項3の発明の効果に加え、台座に設けられた規制部が、ワイヤが取着部に取着された状態において、窓部に配置されたワイヤと、本体部との間に巻回体が進入することを規制することにより、作業者が誤ってワイヤを包囲せずに巻回体を巻き付けることを予防することができる。
【0017】
請求項5に記載の配線・配管材配設具装置によれば、請求項1または2の発明の効果に加え、位置決め部を、互いに異なる形態を有する第1位置決め部および第2位置決め部とから構成することにより、台座が2種類の幅の異なる第1および第2巻回体に対応することを可能とした。
【0018】
請求項6に記載の波付管配設構造によれば、長手方向に張力が付与された状態で吊設されたワイヤに対して複数の管保持具で配線・配管材を配設した設置構造に対し、隣接する管保持具の間の箇所で、ワイヤと配線・配管材との間に台座を配置して、巻回体でワイヤおよび配線・配管材を巻回することによって、波付管の垂れ下がりを解消および/または予防することが可能である。特には、台座の一方側がワイヤに当接し、台座の他方側が配線・配管材に添接された状態で、台座がワイヤと配線・配管材との間に介在される。作業者は、配線・配管材およびワイヤに対して巻回体を台座ごと配線・配管材の周方向に張力をかけて巻回することにより、張設されたワイヤに対して配線・配管材をしっかりと支持させることができる。つまり、作業者はワイヤに取り付けた台座に対して配線・配管材を宛がって、その外側から巻回体を巻き付けるという簡単な作業によって、張設されたワイヤに対して配線・配管材を括り付けることができる。この作業は、例えばボルトナットの操作などの複雑な工程を必要とせず、従来と比べてその作業性を大幅に改善するものである。さらに、波付管配設構造では、各管保持具の設置箇所におけるワイヤと波付管の間の第1離間距離と、台座の設置箇所におけるワイヤと波付管の間の第2離間距離とが略同一に維持され、管保持具による連結箇所および台座を介した支持箇所の距離が略一定となって、見栄えが悪くなることがない。したがって、本発明の波付管配設構造は、ワイヤ、波付管および管保持具からなる設置構造に対して、配線・配管材の垂れ下がりが解消および/または予防されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態の配線・配管材配設具装置の分解斜視図。
図2図1の配線・配管材配設具装置の台座の(a)上方から見た概略斜視図および(b)下方から見た概略斜視図。
図3図2の台座の(a)正面図、(b)平面図、(c)側面図、および(d)底面図。
図4図3の台座の(a)A-A断面図、(b)B-B断面図、および(c)C-C断面図。
図5】本発明の一実施形態の配線・配管材配設具装置を用いて、張設されたワイヤに配線・配管材を支持させた支持構造を示す概略斜視図。
図6図5の支持構造の(a)正面図、(b)平面図、および(c)側面図。
図7図6の支持構造のD-D断面図。
図8図6の支持構造のE-E断面図。
図9図6の支持構造のF-F断面図。
図10】本発明の別実施形態の配線・配管材配設具装置を用いて、張設されたワイヤに配線・配管材を支持させた支持構造を示す概略斜視図。
図11図10の支持構造の(a)正面図、(b)平面図、および(c)側面図。
図12図11の支持構造のD’-D’断面図。
図13図11の支持構造のE’-E’断面図。
図14図11の支持構造のF’-F’断面図。
図15】本発明の一実施形態の配線・配管材配設具装置を用いて、ワイヤに対して配線・配管材を支持させる方法を示し、台座をワイヤに対して取り付ける工程を示す模式図。
図16】本発明の一実施形態の配線・配管材配設具装置を用いて、ワイヤに対して配線・配管材を支持させる方法を示し、配線・配管材を台座に添接し、巻回体で巻回する工程を示す模式図。
図17】本発明の配線・配管材配設具装置の別使用例を示し、(a)より小径の配線・配管材を支持する支持構造を示し、(b)より大径の配線・配管材を支持する支持構造を示す概略図。
図18】本発明の一実施形態の波付管配設構造の概略斜視図。
図19図18の波付管配設構造の側面図。
図20】本発明の配線・配管材配設具装置の台座の変形例を示す模式図。
図21図20の台座による配線・配管材配設具装置を用いた支持構造の断面図。
図22】本発明の配線・配管材配設具装置の台座の変形例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。また、本発明における上下左右の方向は、相対的な位置を示す概念にすぎず、これらを入れ替えて適用可能であることは言うまでもない。
【0021】
本発明の一実施形態の配線・配管材配設具装置100は、1又は複数の電柱や構造物などの支持体に対して高所に設置され、例えば、通信電線等の配線材を空中で吊下げ配線するために、長尺方向に架設されたワイヤに対して、波付管などの配線・配管材を支持させることに用いられる。配線・配管材配設具装置100は、単独で、配線・配管材をワイヤに対して配設するように使用されてもよく、あるいは、既に設置されたワイヤ、配線・配管材および(特許文献1の保持具で例示されるような)管保持具からなる設置構造に対して、管保持具と協働して使用されてもよい。
【0022】
本明細書において、配線・配管材配設具装置によってワイヤに対して配線・配管材が支持された支持箇所の構造を支持構造と定義する。また、ワイヤ、配線・配管材および管保持具からなる既に設置された構造を設置構造と定義する。さらに、ワイヤ、配線・配管材としての波付管、管保持具および配線・配管材配設具装置からなる構造を波付管配設構造と定義する。また、配線・配管材配設具装置のワイヤ側に配置される側を、「一方」側または「上」側とし、配線・配管材配設具装置の配線・配管材に配置される側を、「他方」側または「下」側と定める。
【0023】
図1は、本実施形態の配線・配管材配設具装置100の分解斜視図である。図1に示すように、配線・配管材配設具装置100は、ワイヤと配線・配管材との間に配置される台座110と、ワイヤおよび配線・配管材を台座110とともに巻回するための帯状または索状の巻回体130とを備える。本実施形態では、巻回体130は、所定の幅および長さを有する結束バンドである。巻回体130は、長尺のバンド部131と、対象に巻回するときに環状に変形させたバンド部131を留めるための留め部132とを有する。巻回体130は、高い耐候性および耐久性を有するステンレスバンドであることが好ましいが、合成樹脂製の結束バンドであってもよい。
【0024】
図2乃至図4を参照して、一実施形態の配線・配管材配設具装置100の台座110の構成について説明する。図2(a)、(b)は、台座110の上方および下方から見た概略斜視図である。図3(a)~(d)は、台座110の正面図、平面図、側面図および底面図である。図4(a)~(c)は、台座110のA-A断面図、B-B断面図およびC-C断面図である。
【0025】
台座110は、合成樹脂製の成形体からなり、所定の幅(幅方向の寸法)、延在長さ(延在方向の寸法)および高さ(垂直方向の寸法)を有してなる。ここで、台座110(または本体部111)の幅方向が、設置時におけるワイヤの軸方向を向く方向として定められるとともに、台座110(または本体部111)の(幅方向と直交する)延在方向が、設置時における配線・配管材の周方向を向く方向として定められる。そして、幅方向および延在方向の両方に直交する方向が垂直方向として定められる。なお、台座110は、金属製であってもよいが、合成樹脂製の方がより軽量であるので好ましい。
【0026】
台座110は、ワイヤと配線・配管材との間に介在する本体部111と、ワイヤに取り付けられる取着部113と、配線・配管材に添接される添接部114と、巻回体130の台座110上の巻回位置を定める位置決め部116、117とを備える。
【0027】
本体部111は、一方側(図3(a)の正面視の上側)を向く第1面および他方側(図3(a)の正面視の下側)を向く第2面を有する。つまり、本体部111の第1面がワイヤ側を向く面と定められ、第2面がその反対側の配線・配管材側を向く面と定められる。また、本体部111は、その正面視において、略三角形状の基部111aと、該基部111aから互いに離れる方向に延在する一対の腕部111bとからなる。基部111aは三角形の上部に頂面を有し、この頂面(第1面)と第2面との間の距離が本体部111の最大の垂直高さに相当する。基部111aの頂面は、ワイヤを載置するためのワイヤ載置部118として、ワイヤの外周形状に対応する凹状の湾曲面を成している。また、一対の腕部111bの各腕部111bは、台座110の延在方向に所定の長さで延びる板形状からなる。また、一対の腕部111bは、正面視において円弧状に延在し、好ましくは、基部111aを支点として弾性変形可能である。
【0028】
取着部113は、ワイヤに取着するために本体部111の一方側に設けられている。この取着部113は、本体部111の幅方向がワイヤの軸方向を向くとともに本体部111の延在方向が配線・配管材の周方向を向くようにして、ワイヤに取り付けられるように構成されている。この取着部113は、本体部111の幅方向に互いに離隔した位置で一方側に突出形成された一対の取着体113a、113aと、一対の取着体113a、113aの間に定められた窓部113bとを備える。
【0029】
各取着体113aは、基部111aの幅方向の側面から突出し、一方側(ワイヤ側)に向けて延びるように形成されている。取着体113aの先端は、第1面の一部をなす基部111aの頂面よりも上方に位置し、第1面から上方に離間した位置でワイヤを取着するように構成されている。つまり、一対の取着体113a、113aは、本体部111の第1面に干渉しないように、本体部111の幅方向の両側方に配置されるとともに、第1面の上方に延在している。より具体的には、一対の取着体113a、113aは、基部111aの頂面(ワイヤ載置部118)を幅方向両側から挟む位置に配置されている。
【0030】
各取着体113aは、ワイヤを挟持するように幅方向に直交する方向に対向する一対の挟持片からなる。一対の挟持片は、互いに離間する方向に弾性変形可能である。また、一対の挟持片は、その先端において離間し、ワイヤをその内側または基端側にガイドするための傾斜面を有している。すなわち、一対の挟持片は、その先端部分をワイヤに押し付けることで、離間方向に弾性変形してワイヤを一対の挟持片の間に圧入し、圧入後にその弾性復帰力でワイヤを挟持するように構成されている。そして、一対の取着体113a、113aは、4つの挟持片が協働してワイヤを挟持することにより、台座110がワイヤに取着されたときに少なくとも台座110の自重で落下することを防止するように構成されている。一方で、台座110がワイヤに取着された状態で、台座110に対して、(台座110の自重による力よりも少なくとも大きい)離脱方向の力を加えることによって、対向する挟持片を離間方向に強制的に弾性変形させて、各取着体113aをワイヤから取り外すことが可能である。
【0031】
また、図4(a)、(b)に示すように、本体部111の幅方向に離間した一対の取着体113a、113aの間には、窓部113bが設けられている。この窓部113bは、第1面の一部である基部111aの頂面(ワイヤ載置部118)の上方に位置する空隙であり、一対の取着体113a、113aの間に挟持されたワイヤを上方に露出させるものである。すなわち、取着部113は、それ自体が巻回体130に干渉しないように、窓部113bを介して、巻回体130をワイヤに直に接触させて巻回可能であるように構成されている。
【0032】
さらに、各取着体113aの一対の挟持片の対向面と、ワイヤ載置部118とが、所定のワイヤ径に対応する円形のワイヤの収容空間を形成している。本実施形態では、取着体113aは、一対の挟持片の対向面とワイヤ載置部118にワイヤ外周面を当接させた状態で(所定のワイヤ径を有する)ワイヤを保持可能である。このように、ワイヤが取着部113に取着された状態で、ワイヤがワイヤ載置部118に当接し、ワイヤと本体部111との間に隙間を生じさせないことで、当該ワイヤ載置部118は、窓部113bに配置されたワイヤと、本体部111との間に巻回体130が進入することを規制する規制部として機能し得る。
【0033】
添接部114は、台座110を配線・配管材の外周面に添接させるべく、本体部111の基部111aおよび腕部111bの他方側(下方)を向く第2面に設けられている。本体部111の第2面は、凹曲面を成すように円弧状に形成されている。この第2面の曲率は、添接部114が配線・配管材の外周面に沿うように、使用される配線・配管材の外周に対応していることが好ましい。しかしながら、第2面の曲率が配線・配管材の径に対応していない場合であっても、一対の腕部111bを配線・配管材の外周形状に合わせて撓ませることによって、添接部114を配線・配管材の外周面に沿わせるように添接させることが可能である(図17参照)。
【0034】
また、本体部111の第2面には、添接部114と併せて、配線・配管材としての波付管の凹部に挿入される挿入部115が設けられている。本実施形態では、配線・配管材は、軸方向外面に環状の凹部および凸部が交互に連続する波付管12(図5等参照)である。挿入部115は、本体部111の幅方向の略中間位置で本体部111の延在方向に沿って突出している。後述するように、添接部114が波付管12の外周面に添接されたときに、挿入部115が波付管12の凹部に挿入されることで、波付管12の長さ方向へのずれを規制するとともに、添接部114の波付管12に対する長さ方向の相対位置を位置決めすることが可能である。
【0035】
位置決め部116、117は、台座110を介在させたワイヤおよび配線・配管材に巻回体130を巻回する際、巻回体130の巻回位置を台座110の幅方向内側に維持するように、巻回体130を幅方向両側から係止するように構成されている。つまり、位置決め部116、117は、配線・配管材の長さ方向に対して、本体部111の第1面上に巻回体130の巻回位置を維持し得る。位置決め部116、117は、本体部111の幅方向両側に対向配置された一対の係止部を備えるように構成されている。また、本実施形態では、位置決め部116、117は、第1の幅を有する第1の巻回体130(図5等参照)に対応する第1位置決め部116、および、第1の幅よりも大きい第2の幅を有する第2の巻回体130’(図10等参照)に対応する第2位置決め部117から構成される。すなわち、位置決め部116、117は、2種類の幅の異なる巻回体130、130’に対応するものである。
【0036】
第1位置決め部116は、一対の腕部111bのそれぞれの先端部位に設けられている。各腕部111bの先端には、本体部の延設方向の先端縁から基端側へと平面視矩形状に切り欠かれた窪み部116aが設けられている。この窪み部116aは、幅狭の巻回体130が通過可能な切り欠き幅を有している。好ましくは、切り欠き幅は、巻回体130の幅とほぼ等しいか、それよりも僅かに大きい。そして、図4(c)に示すように、この窪み部116aの幅方向に対向する内面に、幅狭の巻回体130を幅方向に係止し得る一対の係止部が定められる。つまり、一対の係止部は、本体部111の延在方向先端で幅方向両側に対向配置されている。そして、図3(d)に示すように、挿入部115が一対の係止部の幅方向の略中間位置に配置されている。
【0037】
第2位置決め部117は、第1位置決め部116と同様に、一対の腕部111bのそれぞれの先端部位に設けられている。この第2位置決め部117は、第1位置決め部116の幅方向外側に配置されている。各腕部111bの先端には、その幅方向外側を向く両側面から一方側に突出形成された、幅方向に対向する一対の突出片117a、117aが設けられている。一対の突出片117a、117aは、幅広の巻回体130’が通過可能な離間距離で対向配置されている。好ましくは、離間距離は、幅広の巻回体130’の幅とほぼ等しいか、それよりも僅かに大きい。そして、図4(c)に示すように、この一対の突出片117a、117aの幅方向に対向する内面に、幅広の巻回体130’を幅方向に係止し得る一対の係止部が定められる。つまり、一対の係止部は、本体部111の延在方向先端で幅方向両側に対向配置されている。そして、図3(d)に示すように、挿入部115が一対の係止部の幅方向の略中間位置に配置されている。
【0038】
このように、配線・配管材配設具装置100(または台座110)は、設置状況に応じて2種類の異なる幅の巻回体130、130’を用いることを可能とする。すなわち、配線・配管材配設具装置100は、第1の幅を有する第1の巻回体130と、第1の幅よりも大きい第2の幅を有する第2の巻回体130’とを備えており、第1の巻回体130および第2の巻回体130’のいずれか一方が選択されて使用される構成としても解釈され得る。
【0039】
次に、図5乃至図9を参照して、配線・配管材配設具装置100を用いて、張設されたワイヤ11に配線・配管材としての波付管12を支持させた支持構造について説明する。図5は、支持構造の概略斜視図である。図6(a)~(c)は、支持構造の正面図、平面図、および側面図である。図7図9は、支持構造のD-D断面図、E-E断面図およびF-F断面図である。
【0040】
ワイヤ11は、直線状に張設される長尺体であり、メッセンジャーワイヤとも称される。ワイヤ11は、一般的に、芯材として鋼製の軸芯と、該軸芯を被覆する軟質合成樹脂製の被覆材とからなる。軸芯は、複数の鋼線が束ねて構成されて十分な強度を有している。ワイヤ11は、例えば、電柱(図示せず)に両端が固定されて空中で張架可能である。あるいは、ワイヤ11の一端が電柱に固定され、他端が建造物等の他の構造物に固定されることにより、空中で張設される。該ワイヤ11は、電柱等の構造物の間に架設可能な長さを有しているが、その長さは任意に定められる。また、ワイヤ11は、設置に際して十分な強度な発揮し得る径で構成されるが、その径は任意に定められる。
【0041】
配線・配管材としての波付管12は、長尺方向に延びる可撓性の合成樹脂製の保護管である。すなわち、波付管12は、巻回又は屈曲自在な柔軟性を有している。波付管12は、所定厚の管壁を有し、該管壁には凹部及び凸部が交互に長尺方向に連続している。なお、波付管12の長さ及び径は、内部に配設する線材の径又は長さに応じて、任意に定められる。また、凹部外面と凸部外面との距離(即ち、凸部の高さ)や、凹部外面及び凸部外面の長尺方向の幅も任意に定めることが可能である。すなわち、本発明の配線・配管材は、本実施形態の波付管12の形状・寸法に限定されない。
【0042】
本実施形態の支持構造では、図5図8に示すように、台座110がワイヤ11と波付管12との間に介在し、本体部111の一方(上方)側の取着部113がワイヤ11に取着されるとともに、本体部111の他方側(下方)側の添接部114が波付管12の外周面に添接している。具体的には、図7および図8に示すように、基部111aのワイヤ載置部118がワイヤ11に隙間無く当接した状態で、取着体113aがワイヤ11を挟持している。このとき、各取着体113aの一対の挟持片の先端が閉塞されて、ワイヤ11が対向する挟持片の内側にしっかりと保持されている。
【0043】
また、図7に示すように、本体部111の添接部114を成す湾曲する第2面が、波付管12の凸部の外周面に沿って当接している。そして、図8に示すように、台座110の幅方向中央の挿入部115が、波付管12の凹部に挿入されていることにより、台座110の添接部114が、波付管12の(当該凹部の両側の)隣接する2つの凸部の外周面に当接している。このように添接部114を、隣接する2つの凸部の外周面に確実に当接させることで、台座110の姿勢が(波付管12の長さ方向に傾くことなく)安定的に維持され、ワイヤ11と波付管12とを平行に支持することが可能である。そして、図7および図8に示すように、台座110の基部111aの頂面と第2面との距離(本体部111の垂直高さ)の分、ワイヤ11外面と波付管12外面とが離間されている。換言すると、台座110によってワイヤ11外面と波付管12外面との離間距離が一定に維持された状態で、ワイヤ11に対して波付管12が支持されている。
【0044】
そして、巻回体130が、台座110を介在するワイヤ11と波付管12とを、径方向外方から周方向に巻回している。ここで、巻回体130には、第1の幅を有する幅狭のステンレスバンドが選択された。この巻回体130は、バンド部131に張力がかかった状態で留め部132に留められており、少なくともワイヤ11の上面部分と波付管12の下面部分に直接的に巻き付いている。より詳細には、図8に示すように、巻回体130は、一対の取着体113aの間の窓部113bを通過して、ワイヤ11の上面部分に直に接触している。そして、当該巻回体130の張力によって、ワイヤ11が台座110の第1面(ワイヤ載置部118)に押し付けられているとともに、波付管12が台座110の第2面(添接部114)に押し付けられている。すなわち、支持構造において、巻回体130の締め付けによって、ワイヤ11、台座110および波付管12が互いに一体的に支持されるように圧接している。
【0045】
また、図9に示すように、巻回体130の一部は、第1位置決め部116を成す窪み部116a内に配置されている。巻回体130は、窪み部116aの幅方向に対向する内面(一対の係止部)に挟まれていることによって、その幅方向にずれることが規制されている。この第1位置決め部116によって、巻回体130は、台座110の幅方向の中央に維持されている。すなわち、挿入部115による台座110の波付管12に対する位置決めと相まって、巻回体130のバンド部130aを波付管12の隣接する2つの凸部の外周面にしっかりと当接させることが可能である。したがって、当該支持構造において、配線・配管材配設具装置100が、波付管12に垂れ下がりや弛みを生じさせることなく、ワイヤ11および波付管12を台座110を介して巻回体130で一体的且つ強固に支持している。
【0046】
図10乃至図14は、第2の幅を有する幅広の巻回体130’を選択的に用いて、配線・配管材配設具装置100によってワイヤ11に波付管12を支持させた第2の支持構造を示している。幅広の巻回体130’は、本体部111の幅とほぼ同じ幅を有する。図10は、第2の支持構造の概略斜視図である。図11(a)~(c)は、第2の支持構造の正面図、平面図、および側面図である。図12図14は、第2の支持構造のD’-D’断面図、E’-E’断面図およびF’-F’断面図である。
【0047】
図10図13に示すとおり、第2の支持構造においても、幅狭の巻回体130を選択した第1の支持構造と同様に、配線・配管材配設具装置100が、波付管12に垂れ下がりや弛みを生じさせることなく、ワイヤ11および波付管12を台座110を介して巻回体130’で一体的且つ強固に支持している。ここで、第2の支持構造は、巻回体130’の幅方向の位置決めについて第1の支持構造と異なる形態を有している。図12および図14に示すように、相対的に幅広の巻回体130’は、窪み部116aに挿通されることなく、第2位置決め部117を成す一対の突出片117a、117aの間に配置されている。巻回体130’は、一対の突出片117a、117aの幅方向に対向する内面(一対の係止部)に挟まれていることによって、その幅方向にずれることが規制されている。この第2位置決め部117によって、巻回体130’は、台座110の幅方向の中央に維持されている。
【0048】
続いて、図15および図16を参照して、一実施形態の配線・配管材配設具装置100を用いて、ワイヤ11に対して波付管12を支持させる方法を説明する。
【0049】
まず、台座110を把持して、取着部113(一対の取着体113a)の先端をワイヤ11に押し付けると、図15に示すように、各取着体113aの対向する挟持片の先端が弾性変形しつつ拡開する。そして、基部111aの頂面(ワイヤ載置部118)がワイヤ11を当接するまで、台座110をワイヤ11に押し付けると、各取着体113aの対向する挟持片が弾性復帰して、その先端が(ワイヤ11の通過を許容しないように)閉塞する。すなわち、ワイヤ11を取着部113に対して圧入することで、台座110を取着部113をワイヤ11に保持させることが可能である。このとき、作業者は、台座110から手を離しても、取着部113の弾性保持力により、台座110がワイヤ11に吊下げられたまま自重で落下することはない。また、台座110をワイヤ11に取着して吊下げたまま、ワイヤ11の長さ方向にスライドさせて位置調整することも可能である。
【0050】
次いで、図16に示すように、ワイヤ11に吊下げられて保持された台座110の添接部114に対して、波付管12を持ち上げて、その外周面を添接させる。このとき、添接部114から突出する挿入部115を波付管12の凹部に挿入する。この添接させた姿勢を維持しつつ、巻回体130(130’)で、ワイヤ11の上方および波付管12の下方から台座110、ワイヤ11および波付管12の全てを包囲するようにループを形成する。このとき、(規制部としての)ワイヤ載置部118とワイヤ11との間に隙間が生じていないことから、作業者が、間違えて、巻回体130を本体部111とワイヤ11との間に通すことが防止される。そして、ループを縮径させつつ巻回体130のバンド部131を締め付けて、留め部132で留めることによって、ワイヤ11に対して波付管12(またはその支持箇所)を支持させることができる。この巻回作業は、一般的に、ボルト、ナットや工具などを必要とせずに簡単に行うことができる。
【0051】
上記方法において、支持構造を形成する支持箇所が波付管12の長さ方向に複数ある場合、作業者は全ての台座110を波付管12の長さ方向の異なる位置に取り付けた後で、巻回体130による巻回作業を連続して行ってもよい。あるいは、作業者は、支持箇所ごとに、上記一連の工程を繰り返して行ってもよい。また、図15および図16は、波付管12が設置されていないように描写されているが、既に波付管12がワイヤ11に並設された設置構造(図18参照)に対しても、同様の方法によって、例えば、波付管12の垂れ下がった箇所を、配線・配管材配設具装置100を用いてワイヤ11に対して支持させることができる。
【0052】
なお、本実施形態の配線・配管材配設具装置100は、異なる径の配線・配管材(波付管12’、12”)にも対応可能である。図17(a)は、配線・配管材配設具装置100によって、より小径の波付管12’を支持する支持構造を示している。図17(a)に示すように、台座110の一対の腕部111bが、巻回体130の張力で波付管12’に押し付けられることで縮径方向に撓み、添接部114が波付管12’の外周面の一部に添接されている。そして、配線・配管材配設具装置100によって、ワイヤ11に対して小径の波付管12’が支持されている。他方、図17(b)は、配線・配管材配設具装置100によって、より大径の波付管12”を支持する支持構造を示している。図17(b)に示すように、台座110の一対の腕部111bが、巻回体130の張力で波付管12”に押し付けられることで拡径方向に撓み、添接部114が波付管12”の外周面の一部に添接されている。そして、配線・配管材配設具装置100によって、ワイヤ11に対して大径の波付管12”が支持されている。
【0053】
続いて、図18および図19を参照して、複数の管保持具13によってワイヤ11に波付管12が予め配設された設置構造に対して、波付管12の垂れ下がりの予防および/または解消を目的として、1または複数の配線・配管材配設具装置100を導入した波付管配設構造10について説明する。図18は、波付管配設構造10の概略斜視図である。図19は、波付管配設構造10の側面図である。
【0054】
図18および図19に示すように、波付管配設構造10は、長手方向に張力が付与された状態で吊設されたワイヤ11と、該ワイヤ11に沿って配管された、軸方向外面に環状の凹部および凸部が交互に連続する波付管12と、ワイヤ11の長手方向に間隔をあけて配置され、ワイヤ11および波付管12を連結する複数の管保持具13と、複数の管保持具13のうち隣接する管保持具13の間に配置され、ワイヤ11および波付管12の間に介在し、一方側がワイヤ11に当接し、他方側が波付管12に添設された1または複数の台座110と、該台座110の他方側に添接された波付管12および台座110の一方側に当接するワイヤ11を、台座110とともに波付管12の周方向に巻回する1または複数の帯状または索状の巻回体130とを備える。すなわち、波付管配設構造10は、隣接する管保持具13の間に、配線・配管材配設具装置100による支持箇所(または支持構造)が追加的に形成されたものである。そして、各管保持具13の設置箇所におけるワイヤ11と波付管12の間の第1離間距離と、台座110の設置箇所におけるワイヤ11と波付管12の間の第2離間距離とが略同一である。つまり、台座110の垂直方向の寸法が、管保持具13によって定まるワイヤ11と波付管12との第1離間距離に関連付けられている。これにより、設置構造の設置後に、台座110の導入によって波付管12の垂れ下がりが予防や解消された状態であっても、見栄えが悪くなることが防止される。すなわち、本実施形態の波付管配設構造10は、ワイヤ11と波付管12を平行に維持しつつ、垂れ下がりの予防および/または解消を措置したものである。
【0055】
なお、波付管配設構造10は、本実施形態の配線・配管材配設具装置100の使用例の1つであり、管保持具13および配線・配管材配設具装置100(台座110)を波付管12の長さ方向に交互に設置したものである。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、管保持具13に対する配線・配管材配設具装置100の設置間隔や頻度が任意に変更されてもよい。また、配線・配管材配設具装置100は、管保持具13を使用せずに、単体で複数設置されることでワイヤ11に対して波付管12を配設してもよい。
【0056】
以下、本発明に係る一実施形態の配線・配管材配設具装置100の作用効果について説明する。
【0057】
本発明の一実施形態の配線・配管材配設具装置100によれば、張設されたワイヤ11と配線・配管材としての波付管12との間に台座110を配置した状態で、巻回体130でワイヤ11および波付管12を巻回することによって、張設されたワイヤ11に波付管12を容易に支持させることが可能である。特には、台座110の本体部111の一方側の取着部113がワイヤ11に取り付けられ、本体部111の他方側の第2面に設けられた添接部114が波付管12に添接された状態で、台座110がワイヤ11と波付管12との間に介在される。作業者は、波付管12およびワイヤ11に対して巻回体130を台座110ごと波付管12の周方向に張力をかけて巻回することにより、張設されたワイヤ11に対して波付管12をしっかりと支持させることができる。つまり、作業者はワイヤ11に取り付けた台座110に対して波付管12を宛がって、その外側から巻回体130を巻き付けるという簡単な作業によって、張設されたワイヤ11に対して波付管12を支持させることができる。また、台座110には、巻回体130の巻回位置を台座110の幅方向内側に維持する位置決め部116、117が設けられていることから、作業者は、巻回体130が波付管12の長さ方向にずれることを気にせずに、効率的に支持作業を行うことが可能である。すなわち、本実施形態の配線・配管材配設具装置100は、例えばボルトナットの操作などの複雑な工程を必要とせず、張設されたワイヤ11に対して波付管12を支持させる作業を大幅に改善するものである。さらに、配線・配管材配設具装置100は、管保持具13を用いて張設されたワイヤ11に対して配設された波付管12の設置構造に対して、波付管12の垂れ下がりの解消および/または予防を目的として、追加で設置されるように使用されることができる。特には、設置構造の隣接する管保持具13の間の箇所で、台座110を波付管12とワイヤ11との間に差し込んで、台座110をワイヤ11に取着するとともに波付管12に添接させて、巻回体130を巻き付けることによって、新たな支持箇所を簡単に追加することが可能である。したがって、本実施形態の配線・配管材配設具装置100は、ワイヤ11、波付管12および管保持具13からなる設置構造に対して、波付管12の垂れ下がりを解消および/または予防することをも可能とするものである。
【0058】
本発明の一実施形態の波付管配設構造10によれば、長手方向に張力が付与された状態で吊設されたワイヤ11に対して複数の管保持具13で波付管12を配設した設置構造に対し、隣接する管保持具13の間の箇所で、ワイヤ11と波付管12との間に台座110を配置して、巻回体130でワイヤ11および波付管12を巻回することによって、波付管12の垂れ下がりを解消および/または予防することが可能である。特には、台座110の一方側がワイヤ11に当接し、台座110の他方側が波付管12に添接された状態で、台座110がワイヤ11と波付管12との間に介在される。作業者は、波付管12およびワイヤ11に対して巻回体130を台座110ごと波付管12の周方向に張力をかけて巻回することにより、張設されたワイヤ11に対して波付管12をしっかりと連結することができる。つまり、作業者はワイヤ11に取り付けた台座110に対して波付管12を宛がって、その外側から巻回体130を巻き付けるという簡単な作業によって、張設されたワイヤ11に対して波付管12を括り付けることができる。この作業は、例えばボルトナットの操作などの複雑な工程を必要とせず、従来と比べてその作業性を大幅に改善するものである。さらに、波付管配設構造10では、各管保持具13の設置箇所におけるワイヤ11と波付管12の間の第1離間距離と、台座110の設置箇所におけるワイヤ11と波付管12の間の第2離間距離とが略同一に維持され、管保持具13による連結箇所および台座110を介した支持箇所の距離が略一定となって、見栄えが悪くなることがない。したがって、本実施形態の波付管配設構造10は、ワイヤ11、波付管12および管保持具13からなる設置構造に対して、波付管12の垂れ下がりが解消および/または予防されたものである。
【0059】
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の実施形態や変形例を取り得る。以下、本発明の別実施形態を説明する。各実施形態において、下二桁の符番が共通する構成要素は、特定のない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
【0060】
(1)本発明の配線・配管材配設具装置は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、台座のワイヤ載置部が、取着部に保持されたワイヤと台座との間の隙間を埋める規制部として構成されたが、本発明はこれに限定されない。図20および図21は、別実施形態の配線・配管材配設具装置200の台座210およびその支持構造を示している。図20に示す台座210は、本体部211の基部211aの第1面の傾斜部分から上方に突出する規制部としての規制壁219を備える。規制壁219は、例えば、仮想線で示すようにワイヤ21が小径であり、台座210をワイヤ21に吊下げたときに、取着部213内のワイヤ21の収容空間の下方に隙間が生じる場合に有用である。図20に示すように、比較的小径のワイヤ21と、台座210のワイヤ載置部218との間に隙間が生じると、作業者が誤って巻回体230をその間に差し込んでしまうおそれがあった。これに対し、本実施形態の配線・配管材配設具装置200では、規制壁219が、延在方向の外側から取着部213のワイヤ21を収容する空間の少なくとも一部を覆うように所定の突出高さで突出している。規制壁219は、台座210がワイヤ21に吊下げられた状態で、台座210のワイヤ載置部218との間に隙間を側方から隠し、巻回体230を当該隙間に差し込めない、または差し込みにくい状況を作ることによって、作業者が誤って巻回体230を差し込むことを予防している。なお、規制壁219は、保持されたワイヤ21の上端よりも低い位置であり、且つ、ワイヤ21の下端位置よりも高い位置まで突出していることが好ましい。
【0061】
図21に示す配線・配管材配設具装置200による支持構造では、小径のワイヤ21が、台座210のワイヤ載置部218に圧接するように、ワイヤ収容空間内で下方に相対移動している。規制壁219が、ワイヤ載置部218に当接したワイヤ21の上端位置よりも低い位置にあることから、巻回体230が、規制壁219に妨げられることなく、ワイヤ21の上面に接するように巻回されている。したがって、当該支持構造においても同様に、配線・配管材配設具装置200が、波付管22に垂れ下がりや弛みを生じさせることなく、ワイヤ21および波付管22を台座120を介して巻回体230で一体的且つ強固に支持している。
【0062】
(2)本発明の配線・配管材配設具装置は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。本発明の配線・配管材配設具装置の台座について、腕部が省略され、または、腕部の長さが変更されてもよい。あるいは、台座から挿入部が省略されてもよい。
【0063】
図22(a)、(b)は、配線・配管材配設具装置300の台座310およびその支持構造を示している。図22(a)に示す台座310は、上記台座110の本体部111から一対の腕部111b、および、挿入部115を省略したものである。すなわち、台座310は、ワイヤ31に対向する一方側を向く第1面、および、配線・配管材32に対向する他方側を向く第2面を有する本体部311と、本体部311の一方側に設けられ、本体部311の幅方向がワイヤ31の軸方向を向くとともに本体部311の延在方向が配線・配管材32の周方向を向くようにして、ワイヤ31に取り付けられる取着部313と、本体部311の第2面に設けられ、配線・配管材32に添接される添接部314と、を備える。添接部314は、本体部311の基部311aの下面に定められている。また、台座310には、巻回体330の巻回位置を台座310の幅方向内側に維持するように、巻回体330を幅方向両側から係止する位置決め部317が設けられている。本形態では、基部311aの延在方向の両端に位置決め部317が形成されている。また、位置決め部317は、本体部311の延在方向先端で一方側に突出形成された、幅方向に対向する一対の突出片317a、317aのみからなる。図22(b)に示すように、添接部314に対して配線・配管材32を添接した状態で巻回体330をワイヤおよび配線・配管材32に巻回したときに、一対の突出片317a、317aが、巻回体330の幅方向の両側に配置されるように突出している。すなわち、本実施形態では、一対の突出片317a、317aが、十分な突出長さを有することで、巻回体330の幅方向への移動を規制している。
【0064】
(3)本発明の配線・配管材配設具装置は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、本体部の腕部が、種々の径の配線・配管材(図17参照)に添接部をより安定的に添接させるように弾性変形可能に構成された。しかしながら、本発明において、本体部の腕部は、その第2面を予め定められた径の配線・配管材の外周に沿うような湾曲形状として、弾性変形しない構造を有してもよい。
【0065】
(4)本発明の配線・配管材配設具装置は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。本発明の配線・配管材配設具装置の取着部は、上記実施形態のような、ワイヤに押し付けてワイヤを挟持可能である一対の挟持片の形態に限定されず、種々の形態をとってもよい。例えば、取着部は、ワイヤに掛止されるフック状の掛止手段、ワイヤを嵌め付ける嵌合手段、クランプ手段、クリップ手段などのワイヤを取着するための任意の手段から構成されてもよい。また、取着部は、ワイヤへの巻回体の巻回に妨げない位置に形成された1つの取着片から構成されてもよい。
【0066】
(5)本発明の配線・配管材配設具装置は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、配線・配管材は、内部に配線材を保護する波付の保護管であるが、本発明はこれに限定されない。配線・配管材は、ケーブル、ダクトなど任意の長尺材であってもよい。
(6)本発明の波付管配設構造は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、隣接する管保持具の間で、位置決め部を備える台座がワイヤに波付管を支持するために使用されたが、本発明の波付管配設構造はこれに限定されない。すなわち、波付管配設構造において、位置決め部が省略された台座が用いられてもよい。
【0067】
(7)本発明の配線・配管材配設具装置および波付管配設構造は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、ワイヤが空中に張設され、配線・配管材がワイヤから吊下げられるが、本発明はこれに限定されない。例えば、ワイヤは壁に沿って垂直方向に敷設されてもよい。
【0068】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。
【符号の説明】
【0069】
10 波付管配設構造
11 ワイヤ
12 波付管(配線・配管材)
13 管保持具
100 配線・配管材配設具装置
110 台座
111 本体部
111a 基部
111b 腕部
113 取着部
113a 取着体
113b 窓部
114 添接部
115 挿入部
116 第1位置決め部
116a 窪み部
117 第2位置決め部
117a 突出片
118 ワイヤ載置部(規制部)
130 巻回体
131 バンド部
132 留め部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
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図22