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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173132
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ディスペンサー容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20241205BHJP
   B65D 83/08 20060101ALI20241205BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20241205BHJP
   B65D 25/52 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65D83/00 K
B65D83/08 A
B65D83/08 G
B65D47/34 110
B65D25/52 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091343
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】521034270
【氏名又は名称】内田 雅巳
(74)【代理人】
【識別番号】110002882
【氏名又は名称】弁理士法人白浜国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 雅巳
【テーマコード(参考)】
3E014
3E062
3E084
【Fターム(参考)】
3E014MC06
3E014PA01
3E014PB04
3E014PC03
3E014PD12
3E014PE14
3E014PE15
3E014PE16
3E014PE25
3E014PF10
3E062AA09
3E062AB13
3E062AC02
3E062BA01
3E062BB02
3E062BB09
3E062KA09
3E062LA01
3E062LA07
3E062LA10
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084AB09
3E084AB10
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FB01
3E084GA04
3E084GB04
3E084KB01
3E084LC06
3E084LD22
3E084LD25
(57)【要約】
【課題】従来のディスペンサー容器の改良であって、吐出物が付着される被付着物が収容される収容部を備え、利便性に優れたディスペンサー容器の提供。
【解決手段】ディスペンサー容器10は、容器本体20,70と、容器本体20,70の収容空間S内に位置する吐出構造体40と、吐出物5が付着される被付着物60とを備える。容器本体20,70の外周面には被付着物60を取り出すための取り出し口25,75が形成されていて、被付着物60は容器本体20,70の外周面21,74と吐出構造体40との間に画成された外周収容部S1に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向と、周方向とを有し、上面に吐出物の吐出口を備えるディスペンサー容器であって、
容器本体と、前記容器本体の収容空間内に位置する吐出構造体と、前記吐出物が付着される被付着物とを備え、
前記容器本体は、外周面を有し、前記外周面には前記被付着物を取り出すための取り出し口が形成されていて、
前記被付着物は前記容器本体の外周面と前記吐出構造体との間に画成された外周収容部に配置されることを特徴とする前記ディスペンサー容器。
【請求項2】
前記容器本体は円筒状を有し、前記被付着物はロール状の吸収シートであって、前記上下方向に連通する開口からなる中芯部を有し、前記中芯部に前記吐出構造体が配置される請求項1に記載のディスペンサー容器。
【請求項3】
前記容器本体を上側から被覆するカバーをさらに有し、前記カバーは、上面壁と、前記上面壁から下方へ延出する外周壁とを有し、前記外周壁には切欠が形成されていて、前記切欠と前記容器本体の前記取り出し口とが重なる位置に前記カバーを移動させることによって、前記被付着物を取り出すことができる請求項1又は2に記載のディスペンサー容器。
【請求項4】
前記外周収容部は隔離壁によって区分された複数の収容室を有し、前記収容室はそれぞれ前記取り出し口を有する請求項1又は2に記載のディスペンサー容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消毒液、除菌液や化粧液等を繰り返し吐出することのできるディスペンサー容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吐出構造体から液体や泡を繰り返し吐出することができるディスペンサーは公知である。例えば、特許文献1には、発泡性液体と空気を混合させることで、石鹸(ソープ)の泡を吐出することができるディスペンサー容器が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、容器本体と、上蓋とを備え、容器本体に収容したウエットティッシュを容器本体の取り出し口から取り出すことができるウエットティッシュ容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-199319号公報
【特許文献2】特開2015-13681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示のディスペンサー容器においては、液状ソープが泡状で吐出されるので、使用者の手を簡易に洗浄することができる。しかしながら、例えば、外出先において、吸収シートやティッシュにソープ泡を付着させてテーブル等の汚れを拭き取るときに、別途、吸収シートやティッシュを携帯する必要があり、手間である。
【0006】
特許文献2に開示のウエットティッシュ容器においては、予めティッシュに洗浄液等が含浸されていることから、そのまま使用者の手やテーブル等の汚れを拭き取ることができるが、上蓋を開きっ放しにした状態で放置したときに、容器内のウエットティッシュが乾燥してしまい、ウエット状態で拭き取りを行うことができなくなるおそれがある。また、消毒剤や除菌剤を含有するウエットティッシュは、揮発や乾燥をすると、殺菌効果などの有効性を失い、雑菌などが繁殖し、衛生的にも好ましくない。
【0007】
本発明の課題は、従来のディスペンサー容器の改良であって、吐出物が付着される被付着物が収容される収容部を備え、利便性に優れたディスペンサー容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上下方向と、周方向とを有し、上面に吐出物の吐出口を備えるディスペンサー容器に関する。
【0009】
本発明に係るディスペンサー容器は、容器本体と、前記容器本体の収容空間内に位置する吐出構造体と、前記吐出物が付着される被付着物とを備え、前記容器本体は、外周面を有し、前記外周面には前記被付着物を取り出すための取り出し口が形成されていて、前記被付着物は前記容器本体の外周面と前記吐出構造体との間に画成された外周収容部に配置されることを特徴とする。
【0010】
本願発明に係るディスペンサー容器は、以下の実施態様を含む。
(1)前記容器本体は円筒状を有し、前記被付着物はロール状の吸収シートであって、前記上下方向に連通する開口からなる中芯部を有し、前記中芯部に前記吐出構造体が配置される。
(2)前記容器本体を上側から被覆するカバーをさらに有し、前記カバーは、上面壁と、前記上面壁から下方へ延出する外周壁とを有し、前記外周壁には切欠が形成されていて、前記切欠と前記容器本体の前記取り出し口とが重なる位置に前記カバーを移動させることによって、前記被付着物を取り出すことができる。
(3)前記外周収容部は隔離壁によって区分された複数の収容室を有し、前記収容室はそれぞれ前記取り出し口を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る一つ以上の実施態様のディスペンサー容器では、被付着物が容器本体の外周面と吐出構造体との間に画成された外周収容部に配置されることから、被付着物を別途準備、携帯する必要がなく利便性に優れるとともに、全体としてコンパクトな大きさを有し、収容性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面は、本開示に係るディスペンサー容器の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
図1】本発明の第1実施形態に係るディスペンサー容器の斜視図。
図2】ディスペンサー容器の上蓋を上方へ移動させた状態における図1と同様の図。
図3】ディスペンサー容器の分解斜視図。
図4図2のIV-IV線に沿う断面図。
図5】吐出構造体の一部拡大断面図。
図6】容器本体の取り出し口から被付着物を取り出す様子を示す図。
図7】被付着物に吐出物を付着、吸収させる様子を示す図。
図8】第2実施形態に係るディスペンサー容器の斜視図。
図9】ディスペンサー容器の分解斜視図。
図10】被付着物に吐出物を付着、吸収させる様子を示す図。
図11】第2実施形態に係るディスペンサー容器の実施例の一例におけるディスペンサー容器の斜視図。
図12】ディスペンサー容器の分解斜視図。
図13】被付着物に吐出物を付着、吸収させる様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面を参照して、本発明に係るディスペンサー容器10の詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0014】
<第1実施形態>
図1図3に示すように、第1実施形態に係るディスペンサー容器10は、上面の吐出口14aから吐出物5を繰り出すことができる吐出物供給装置であって、上下方向Yと、周方向Lとを有し、吐出構造体40と被付着物60とが収容された容器本体20と、上蓋12と、下蓋13とを含む。
【0015】
上蓋12の上面には、吐出構造体40から吐出される吐出物が滞留するための受け皿14と、受け皿14の中央部分から突出する吐出口14aとが位置している。また、上蓋12の外周面には、上蓋の開蓋操作又は閉蓋操作を誘導するための「LOCK」と「OPEN」との文字を有する表示要素15が位置していて、上蓋12の内面には表示要素15の下方に係止突起16が位置している。なお、受け皿14はオプションであって、吐出物5は、上蓋12に直接吐出されるものであってもよい。また、受け皿14は、液体が安易に上蓋12外へ流出しないように凹みを設ける構造を有する。図示してないが、例えば、吐出物5が噴水のように吹き出さないように吹出口14aに天蓋を設けても良く、天蓋をなくし吹き出す構造であってもよい。
【0016】
容器本体20は、中空状であって、収容空間Sと、外周面21と、中間部と、上蓋12が被着される上開口端部22と、下蓋13が被着される下開口端部23とを有する。上下開口端部22,23は中間部よりも径寸法が小さく、それらの境界には段差22a,23aが形成されている。また、中間部には、略楕円形状の取り出し口25が形成されている。
【0017】
容器本体20の上開口端部23の外周面21には、開口縁から周方向Lへ延び、かつ、段差まで上下方向Yへ延びる第1部分26aと、第1部分26aの下端から周方向へ延びる第2部分26bとからなる案内溝26が形成されている。
【0018】
上蓋12の係止突起16が案内溝26の第2部分26bの端部に位置することで上蓋12の上方への移動が規制されてロックされた状態となり、上蓋12を表示要素15の「OPEN」の方向へ回転させ、係止突起16を第1部分26aに沿って上方へ移動するように上蓋12を引き上げることによって、上蓋12を容器本体20から取り外すことができる。
【0019】
このように、上蓋12は容器本体20に着脱可能に取り付けられている。上蓋12を取り外すことで、吐出構造体40及び被付着物60を容易に配置、交換することができる。下蓋13は、容器本体20の下開口端部23に着脱可能又は着脱不能に取り付けられている。さらに、内容物の識別や装飾性を向上させるために、上蓋12及び/又は下蓋13の色を変えたり、内容物の内容を表示した文字や記号等による識別要素、キャラクターや模様等からなる装飾デザインを付与してもよい。
【0020】
容器本体20と上下蓋12,13とは、射出成形やプレス成形等の各種公知の製法によって製造されるものであって、材料としては、プラスチックが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ABS樹脂、EVA樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、バイオプラスチック等を用いることができる。また、プラスチックのほかに、ガラス、紙、金属、木材、陶磁器等から形成することもできる。
【0021】
本実施形態において、容器本体20並びにディスペンサー容器10は円筒状であるが、ディスペンサー容器10全体として球状、三角形状、四角形状や五角形状等の矩形状であってもよい。また、取り出し口25の開口も同様に略楕円形状に限らず、各種公知の形状を採用することができる。
【0022】
図4及び図5を参照すると、吐出構造体40は、充填液4を泡状に吐出する装置であって、通常使用されている泡吐出装置と同様の機構を有する。具体的には、吐出構造体40は、大径のエアシリンダー41と、小径の液シリンダー42とが一体に形成されたカートリッジ本体40aと、カートリッジ本体40aの口部に装着されるベースキャップ43とを備える。液シリンダー42の下方には逆止弁付き吸液入孔42aと、さらにその下方に延びる吸液管42bが位置している。また、吐出構造体40は、受け皿14の下方円筒部14bに篏挿される中空ピストン軸48と、外部の空気を吸排気するための吸排気孔47a,47bを備える。
【0023】
エアシリンダー41と液シリンダー42にはそれぞれエアピストン44、液ピストン45をそれぞれ篏合し、液シリンダー42内に液ピストン45を摺動可能に篏合し、液シリンダー42内に液ピストン45を押し上げるスプリング46を設ける。中空ピストン軸48内には、空気と充填液4とが混合される混合室49が形成されている。
【0024】
吐出構造体40を使用する際には、使用者が受け皿14を押すと中空ピストン軸48が押し下げられ、両ピストン44,45が下方し、液シリンダー42内の充填液が中心孔を通り混合室49に入る。エアシリンダー41内の空気がエアピストン44で圧縮されて混合室49に入って泡を形成し、この泡が受け皿14の吐出口14aから外部に吐出される。
【0025】
使用者が受け皿14から手を離すと、スプリング46の復元力で両ピストン44,45が上昇する。この際、液ピストン45が液シリンダー42内に液を吸引し、エアシリンダー41内には空気が吸引され、吐出構造体40の上部気室には、吸排気孔47a,47bから空気が補給されて、元の状態に戻る。
【0026】
図3及び4を参照すると、容器本体20の収容空間Sにおける吐出構造体40と容器本体20の外周面21との間に位置し、周方向Lへ延びる外周収容部S1には、被付着物60が配置されている。被付着物60は、吸収シート61が巻回された形成されたものであって、中央部には上下方向Yに連通した開孔からなる中芯部(芯筒)62が形成されている。収容空間S内において、被付着物60の中芯部62に吐出構造体40が位置している。すなわち、被付着物60は、吐出構造体40を取り囲むように配置されている。
【0027】
被付着物60は、ティッシュ、繊維不織布シート等の吸収シート61から形成されている。繊維不織布には、SMS(スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド)繊維不織布、スパンボンド繊維不織布若しくはエアスルー繊維不織布等の公知の繊維不織布を用いることができる。被付着物60は、吸収シート61が分離できるように複数の切れ目63を有する。
【0028】
図6,7に示すとおり、容器本体20の取り出し口25から被付着物60の一部が露出しており、使用者が取り出し口25から露出する被付着物60を摘持して引っ張り出すことによって、切れ目63に沿って吸収シート61が分離される。吸収シート61を摘持した状態でそのまま受け皿14を押し下げることによって、吐出口14aから泡が吐出されて吸収シート61に付着、吸収される。使用者がウエット状態にある吸収シート61で身体やテーブル等の器物の汚れを拭き取ることで、洗浄、除菌を効果的に行うことができる。
【0029】
通常、消毒液や除菌液等の液体や泡を繰り返し吐出するこのできるディスペンサー容器を使用する場合には、液体や泡を吸収させるためのティッシュ等が収容された袋等を別途用意する必要があり、例えば、外出先においては、ディスペンサー容器とは別に携帯所持する必要があり手間であって、収容するバックの中が嵩張るために不便でもあった。
【0030】
本発明に係るディスペンサー容器10においては、吐出構造体40と被付着物60とが一体に収容されていることから、使用する際に被付着物60が収容された袋等を別途用意する必要がなく手間を省くことができ、また、外出先において嵩張ることがなく、利便性に優れる。
【0031】
また、予め薬剤等が含浸されたウエットティッシュ容器の場合には、取り出し口を被覆する上蓋を閉め忘れたときに、ティッシュが乾燥してしまうおそれがあるが、本発明に係るディスペンサー容器10においては、乾燥状態で被付着物60を収容しており、使用するときに薬剤等の吐出物5を付着、吸収させることができることから、かかる不利益を生じるおそれはない。
【0032】
本発明に係るディスペンサー容器10の使用態様としては、1)使用者が指で直接受け皿14をプッシュして泡を指に付着させて、または掬い上げて手を洗浄する態様、2)吸収シート61等の被付着物60を取り出して乾燥状態でそのまま使用する態様、3)被付着物60に吐出物5を付着、吸収、含浸させ、ウエットな状態で洗浄、除菌等を行う態様、の3つの態様が考えられる。ディスペンサー容器10は、使用者のニーズに合わせて、このように3つの使用態様を有することから、生活における様々な場面で使用することができる。
【0033】
また、被付着物60を吐出構造体40を中心としてそれを囲むように外周に配置していることによって、それらを上下方向Y又は横方向に並置する場合に比べてコンパクトに収容でき、ディスペンサー容器10の小型化及び携帯性の向上を実現できるといえる。
【0034】
まとめると、ディスペンサー容器10は、液体と素材を本容器10内で別々に収容し、液体の乾燥や揮発、成分の変質を防止し、素材の劣化や変色を軽減、かつ簡単な開閉操作で素材が衛生的に収容可能で、簡単な構成で吹出の誤操作を防止し、また、液体と素材はそれぞれ単独で使用が可能なうえ、さらには、液体と収容素材を含浸、反応または付着させ、容易に複合材をつくることが可能な機能を備えるものである。その場で含浸及び反応させて出来上がったばかりの複合材は、品質がよく、時間経過による、変質や劣化の恐れもなく、有効成分の変化などの心配もない、清潔で衛生的につくることが可能となる。
【0035】
本発明において、吐出構造体40は、液体を収容して泡を吐出する構造を有するものであるが液状、霧状、ジェル状、クリーム状等の形態で吐出される構造を有するものであってもよい。また、「吐出物5」には、水、アルコール、消毒液・殺菌剤・洗浄剤・除菌剤・消臭剤・芳香剤等の薬剤、化粧品、精油、エッセンシャルオイル、除光液、砂糖やチョコレート等の甘味料、調味料、香辛料、香料、さらには、工業用のニスや水性又は油性等の塗料、着色剤等用途に合わせて公知の材料を制限なく用いることができる。
【0036】
また、「被付着物60」は、ティッシュや繊維不織布のように、液体や泡を吸収するもの以外に、プラスチックフィルムや天然又は合成のゴム等のように、液体や泡を吸収しない非吸収性のものを含む。例えば、吐出物5が霧状の化粧品の場合には、被付着物60はコットンであったり、吐出物5がクリーム状のチョコレートの場合には、被付着物60はスティック状の菓子であったり、吐出物5の内容に合わせて適宜公知の材料を採用することができる。
【0037】
ディスペンサー容器10の実施例の一例において、吐出構造体40に収容された液体(吐出物5)として、「みえる除菌液」を使用することができる。「みえる除菌液」は、特許公報第6961870号に開示されたものであって、エタノールで溶解したpH指示薬のチモールフタレインと、強アルカリ電解水を含有し、pH10.5以上のウイルス・菌や汚れの除去及び除菌液であって、塩基性側では色がつき、除菌力・消毒力が視認でき、着色された色は酸性側に反応し塩基性を失うと無色になるという特性を有する。
【0038】
洗浄液・消毒液の効果を有効にするためには、適切な一定以上の除去時間を経過させる必要があるが、洗浄剤や消毒剤が透明の場合、どの程度拭き取りを行ったのか確認することができないことから、十分な除去時間が経過していないにも拘わらず、拭き取りをすぐに止めてしまい、十分な拭き取り効果を発揮できない場合が多い。
【0039】
「みえる除菌液」は、洗浄剤や消毒剤に視認できるように着色し、塩基性から酸性側に反応すると無色になるpH指示薬を、塩基性物質に含有させることで、拭き取りを始めて十分な除去時間を経過するまで着色が消失しないことから、十分な除去時間を視覚的に確認することができる。それにより、何度も新しく薬液を塗布して拭き取りを行うことを抑制することができることから、必要最小限の液剤で洗浄や消毒を安定して実施することができる。
【0040】
本発明に係るディスペンサー容器10においては、吐出構造体40内に充填される充填液4として「みえる除菌液」を使うことで、最小限度量の薬液及び被付着物によって、洗浄、除菌効果を発揮しうることから、材料の交換、充填頻度を抑えることができ、経済性に優れる。したがって、ディスペンサー容器10は、発展途上国等の物資の乏しい国における洗浄、除菌用の製品として好適に使用されるものといえる。
【0041】
<第2実施形態>
図8図10は、第2実施形態に係るディスペンサー容器10の説明図であって、本実施形態に係るディスペンサー容器10の基本構造は、第1実施形態と同様であるから、相違する点についてのみ以下に説明する。
【0042】
図8及び図9を参照すると、本実施形態に係るディスペンサー容器10は、容器本体70と、容器本体70を上方から被覆するカバー80とを有する。容器本体70は、円筒状であって、開口端縁71aを有する上側開口端部71と、底面72と、取り出し口75を有する外周面74とを含む。容器本体70の外周面74の外面の取り出し口75の下方には、突起状のストッパー76が位置する。吐出構造体40は、その底面が容器本体の底面72の内面に固定された状態で、容器本体70の収容空間S内に配置されている。
【0043】
カバー80は、上方へ凸曲した形状を有する上面壁81と、上面壁81から下方へ延びる外周壁82とを有し、外周壁82は、下端縁から上方へ凸となる形状を有する切欠83を含む。図9に示すとおり、切欠83は、容器本体70の取り出し口75よりもひと回り大きな外形寸法を有する。上面壁81には受け皿14が配置されている。
【0044】
容器本体70の上側開口端部71を被覆するように容器本体70にカバー80を上方側から被せた状態において、カバー80の下端縁部80aがストッパー76に当接される。カバー80が容器本体70を被覆した状態において、容器本体70の上端開口縁とカバー80の上面壁81とは上下方向Yにおいて離間している。
【0045】
使用者が、カバー80を把持して周方向へ回転操作することによって、カバー80は、アダプタを回転軸として周方向へ回転する。回転時には、カバー80の外周壁82と容器本体70の外周面74、カバー80の下端縁部80aとストッパー76とが互いに摺接される。図示していないが、ストッパー76は円形状であるが、楕円状、矩形状等の各種公知の形状であってもよく、カバー80の下端縁部80aが安定して当接されるように、上端に下端縁部80aの厚さに合わせた溝が形成されていてもよい。
【0046】
図10を参照すると、ディスペンサー容器10を使用する場合には、カバー80を容器本体70に対して切欠83と取り出し口75とが互いに重なる位置に回転して移動させることによって、使用者は取り出し口75から被付着物60を容易に取り出すことができる。
【0047】
一方で、ディスペンサー容器10を使用しない場合には、カバー80を容器本体70に対して切欠83と取り出し口75とが互いに重ならない位置に回転して移動させることによって、取り出し口75全体がカバー80に被覆された状態となることから、取り出し口75から容器本体70の内部に塵芥が入り込むのを防止することができ、より衛生的に被付着物60を収容することができる。
【0048】
図11図13は、第2実施形態に係るディスペンサー容器10の実施例の一例におけるディスペンサー容器10の説明である。本実施例においては、容器本体70の収容空間のうちの吐出構造体40と外周面21との間に位置する外周収容部S1は、隔離壁91~93を介して複数の収容室R1~R3に区分されている。各収容室R1~R3の外周面には、取り出し口94~96が形成されている。
【0049】
図11図13を参照すると、各収容室R1~R3には、それぞれ、異なる被付着物60が収容されていて、図示例においては、被付着物60として、ティッシュ袋60a、コットン60b、綿棒60cがそれぞれ収容されている。カバー80の切欠83が各収容室R1~R3の取り出し口94~96と重なる位置にカバー80を回転移動させることによって、各収容室R1~R3から被付着物を取り出すことができる。また、各収容室R1~R3のいずれの取り出し口94~96とも重ならない位置に切欠83を移動させることによって、すべての取り出し口94~96がカバー80によって被覆された状態となり、未使用状態において塵芥が容器本体70の内部に入り込むことを抑制することができる。
【0050】
吐出構造体40内の充填液4は身体用の洗浄液であって、顔や体の一部等の洗浄箇所に合わせて、適宜、ティッシュ袋60a、コットン60b、綿棒60cのうちのいずれかを選択して洗浄液を付着、吸収させて使用することができる。このように、容器本体70の外周収容部S1を区分して複数の収容室R1~R3を形成することで、異なる種類の被付着物60を衛生的に収容することができる。なお、収容室R1~R3の取り出し口94~96は、同じ大きさ及び形状であるが、収容される被付着物60の大きさ等に合わせて、互いに異なる大きさや形状であってもよい。
【0051】
また、図示していないが、第1実施形態においても外周収容部S1が複数の収容室R1~R3に区分されていてもよい。さらに、第2実施形態に示すように、被付着物60は、吐出構造体40の外周に位置する外周収容部S1に収容される限りにおいては、ロール状ではなく、個別独立して収容されるものであってもよい。
【0052】
本発明に係るディスペンサー容器10を構成する各構成材料には、特に記述がない場合を除き、この種の分野において通常用いられる、各種の公知の材料を制限なく用いることができる。
【0053】
すなわち、ディスペンサー容器10の構成材料には、使い捨ての消耗品または、筆、刷毛、メイク道具、歯ブラシ、小物類等の素材と液体等の吐出物をそれぞれ単独で使用が可能であって、その組み合わせは任意である。ディスペンサー容器10は、水が少ない、または使えない環境や災害などの緊急用の容器として、小物入れや衛生用品、生理用品などの携帯用の収容容器として使用することができる。本発明に係るディスペンサー容器10は、殺菌剤、消毒剤、除菌剤、洗浄剤、衛生用品、除菌用品、化粧品、工業用品、雑貨、消耗品、食料品等を収容する容器として産業の可能性が大きいといえる。
【符号の説明】
【0054】
5 吐出物
10 ディスペンサー容器
20 容器本体
25 取り出し口
40 吐出構造体
60 被付着物
61 吸収シート
62 中芯部
70 容器本体
75 取り出し口
80 カバー
81 上面壁
82 外周壁
83 切欠
91,92,93 隔離壁
94,95,96 取り出し口
L 周方向
R1,R2,R3 収容室
S 収容空間
S1 外周収容部
Y 上下方向
図1
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