(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173134
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】需要管理装置、需要管理システム、並びに需要管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20241205BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091349
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000222037
【氏名又は名称】東北電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】友部 修
(72)【発明者】
【氏名】足立 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】三宅 俊之
(72)【発明者】
【氏名】永井 雅彰
(72)【発明者】
【氏名】松田 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 亮
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】蓄電池を有する需要家であっても蓄電池を有さない需要家であっても,需要家にデマンドレスポンスDRに応じてもらいやすくするための需要管理装置、需要管理システム、並びに需要管理方法を提供する。
【解決手段】需要家の電力消費行動を変化させる可能性のある要因となる時間帯別のインセンティブを含む広告データ候補を得る入力手段と,需要家の電力消費を予測する需要予測部と,需要家における需要応答の可能性を時間帯別に推定する需要応答可能性推定部と,需要応答の可能性とインセンティブを含む広告データ候補とを時間帯別に需要応答を有効に起こさせることを想定してマッチングさせる時間帯別インセンティブマッチング部と,予測された需要消費と時間帯別インセンティブとから需要家における設備機器の運用計画を立案する最適立案部とを有することを特徴とする需要管理装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要家の電力消費行動を変化させる可能性のある要因となる時間帯別のインセンティブを含む広告データ候補を得る入力手段と,需要家の電力消費を予測する需要予測部と,需要家における需要応答の可能性を時間帯別に推定する需要応答可能性推定部と,需要応答の可能性とインセンティブを含む広告データ候補とを時間帯別に需要応答を有効に起こさせることを想定してマッチングさせる時間帯別インセンティブマッチング部と,予測された需要消費と時間帯別インセンティブとから需要家における設備機器の運用計画を立案する最適立案部とを有することを特徴とする需要管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の需要管理装置であって,
前記需要家における設備機器の運用計画は、前記設備機器に蓄電池を含む場合に前記蓄電池の充放電計画であることを特徴とする需要管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の需要管理装置であって,
前記需要家における設備機器の運用計画は、予測された需要予測と時間帯別インセンティブと蓄電池充電率の制約に基づき蓄電池の充放電計画を複数の需要家のコストが最小となるよう最適立案することを特徴とする需要管理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の需要管理装置であって,
需要家が複数である場合に,需要家の需要予測に際し、類似の電力契約条件,地域,電力消費傾向,世帯構成,年齢,アンケート結果を参照することを特徴とする需要管理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の需要管理装置であって,
複数の需要家は,量子化によりベクトル化した電力契約条件,地域,電力消費傾向,世帯構成,年齢,アンケート結果からクラスタリングにより分類された同一クラスタに属する複数の需要家であることを特徴とする需要管理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の需要管理装置であって,
前記需要応答可能性推定部は,需要家の時間帯に対する電力消費の感度,気温に対する電力消費の感度,インセンティブに対する感度を入力とする確率分布関数によって0から1の間の値に変換し,需要応答の可能量をモンテカルロシミュレーションにより計算することを特徴とする需要管理装置。
【請求項7】
請求項5に記載の需要管理装置であって,
同一クラスタに分類された複数の需要家の保有する特徴ベクトル間の因果関係を抽出する因果推論により,広告候補を抽出することを特徴とする需要管理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の需要家装置と需要家が保有する端末とが通信可能とされた需要管理システムであって、
前記端末は、前記需要管理装置から広告候補を受け取る広告候補配信部と,定められた時間帯に現地の店舗への誘導情報を表示する表示部とを備え,
需要家が前記端末を持って現地の店舗に来店したことを判定し,当該店舗へ誘導された際にポイント取得の計算を行い,当該店舗にて商品を前述の端末により決済すると商品価格減免する、もしくは新たなポイント取得することを特徴とする需要管理システム。
【請求項9】
請求項1に記載の需要家装置と需要家が保有する端末を用いた需要管理方法であって、
前記端末は、前記需要管理装置から広告候補を受け取る広告候補配信部と,定められた時間帯に現地の店舗への誘導情報を表示する表示部とを備え,
需要家が前記端末を持って現地の店舗に来店したことを判定し,当該店舗へ誘導された際にポイント取得の計算を行い,当該店舗にて商品を前述の端末により決済すると商品価格減免する、もしくは新たなポイント取得することを特徴とする需要管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力需要家に対する需要管理装置、需要管理システム、並びに需要管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デマンドレスポンスDR(Demand Response)とは,電力の需要と供給のバランスを維持するために,需要家(一般家庭,商業施設,工場等)自身の行動変容によって電力消費量の低減を促すことである。例えば電力需要が大きい時期であればエアコンの使用率が高い夏の暑い日に電力の使用量を減らすよう需要家に推奨することが挙げられる。
【0003】
デマンドレスポンスDRのためには,需要家自身の行動変容が必要であることから,電力供給の事情を把握している電力会社から需要家に対しなんらかの情報提供が必要である。この情報提供を「シグナリング」と呼ぶ。「シグナリング」の方法として,需要家が電力使用量の大きい時間帯に電力使用量を削減するための金銭的インセンティブを提供する方法,もしくは,電力会社から電話や通信を使用して電力使用量の削減を依頼する方法に大別できる。デマンドレスポンスDRを適切に運用できれば,需要家の満足度を維持しつつ,電力会社は,発電における燃料備蓄や各種予備力に加え,新規の設備増強を行うことなく需給インバランスに伴う大停電のリスクを低減することが期待できる。
【0004】
デマンドレスポンスDRには,次のような方式が存在する。まず時間帯別料金設定(TOU:Time Of Use)方式は、需要家はピーク時に電気料金を高く支払い,オフピーク時には料金を抑制する方式である。これにより,需要家が使用をオフピーク時にシフトするインセンティブが提供される。契約により大多数に適用できるメリットがある反面,需要家の反応は不確実であるため,効果が不確実という特徴もある。
【0005】
クリティカルピーク料金(CPP:Critical Peak Pricing)方式は、特定の需要の高いイベント中にのみ適用され,電力会社が追加の削減を要求する方式である。電力需要抑制効果は認められるものの,電力小売自由化後において極端に電力料金が高くなることを避けたい需要家は,この料金メニューを選択しない傾向にあることが指摘されている等の特徴がある。
【0006】
経済的インセンティブ(Economic Incentive)方式は、ピーク時のエネルギー使用を削減するための金銭的インセンティブを顧客に提供する方式である。インセンティブ型デマンドレスポンスDRとも呼ばれており,国による省エネポイント付与もその中に含まれる。電力価格を時間帯毎に変えることでデマンドレスポンスDRを誘発することと金銭的にほぼ等しいものの,デマンドレスポンスDRに応じた成果報酬が別途得られることから需要家にとって受容性が高いと考えられている。さらには,電力会社が顧客管理システムに付帯するポイント付与スキームと連動させることで新たな経済効果が期待できる。
【0007】
直接負荷制御(DLC: Direct Load Control)方式は、通信技術を使用し需要の高い時間帯に特定の電化製品の使用量を自動的に削減する方式である。この方式には,HEMS連携させたエアコン等の家庭用機器を短時間調整にすることが含まれる。
【0008】
緊急時デマンドレスポンス方式は、異常気象に起因する大規模自然災害などで緊急事態が発生した場合,停電を防ぐために使用量を減らすよう需要家へ依頼する方式である。
【0009】
1990年代から2000年代にかけ,「電力市場の設立を含む電力自由化」「実時間での電力取引を可能とするICTの進化(技術進歩)」「スマートグリッド化」「低炭素社会に向けた環境に対する意識変化」などのニーズが高まり発展した。
【0010】
そのような社会情勢の中,電力の小売自由化の波も2000年に訪れ,デマンドレスポンスDRに対して大きな注目が集まった。2010年には日本初の本格的なスマートグリッド(次世代送電網)の実証実験が始まり,横浜市,豊田市,けいはんな学研都市,北九州市の4地域を選定し,一般家庭,事業所などを結ぶ送電網をはじめ太陽光発電なども活用し,5年の事業期間をかけて低炭素社会のためのシステム構築が目指された。また,東日本大震災以降は,政府主導によりスマートコミュニティ4地区実証事業の中でも社会実験が実施され,2013年12月から2015年3月には,経済産業省資源エネルギー庁の実証事業として,DR事業者(アグリゲーター)と電力会社が,インセンティブ型デマンドレスポンス実証を行っている。
【0011】
2016年4月からは家庭向けなどを含めた電力の小売全面自由化がスタートし,多くの新電力会社が市場に参入した。これにより,事業者間の競争がうながされ,高度な配電網管理が事業者の技術進展によって最適化されれば,天候や時間帯に発電量が左右される太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーを導入しやすくなる。配電事業制度を活用した地域の新電力会社がエネルギーの地産地消の取り組みを加速させることも考えられる。地域新電力によって再生可能エネルギーで発電した「クリーンな電力」が提供することにより,地元企業のカーボンニュートラル実現や地域への環境貢献にもつながる。一般需要家においても,ライフスタイルなどに合わせて電力会社を自由に選ぶことができるようになり,電力料金の抑制につながることが期待できる。
【0012】
近年では,気候変動問題に対応したカーボンニュートラルの機運の高まりによる原油等の燃料産出量の制限やロシアのウクライナ侵攻による国際的な燃料価格の高水準,LNGの船舶輸送費の高騰,老朽火力発電の撤廃,新規火力への投資抑制,異常気象による寒暖差の拡大によるエアコン需要の急増など,国内外の電力供給に関わる様々な問題が浮上しており,電力ひっ迫が現実の問題となってきている。このため緊急的な調整力ばかりでなく通常の電力料金の高騰もニュースになってきている。こうした電力ひっ迫による停電や電力料金高騰といった問題回避のため,需要家サイドを巻き込んだデマンドレスポンスによる節電がますます求められている。
【0013】
このような背景から,経産省は2022年6月に節電ポイント制度を発表した。この制度は,電力会社の節電プログラムに参加して節電した家庭に対し,幅広く使用できるようなポイントを付与する支援制度である。例えば,電力消費が大きい夏季や冬季の夕方5時~8時,もしくはPV出力が無い時間帯に節電プログラムを実施し,需要家が節電行動を起こすことができれば,電力ひっ迫解消が期待できる。さらには,需要家のデマンドレスポンスDRの認知度が上がれば,今まで以上にデマンドレスポンスDRに対する参加意欲が高まり,デマンドレスポンスDR効果が向上することが期待できる。
【0014】
このためには,需要家は金銭と同等である節電ポイントを取得することがインセンティブとなり,節電行動を取ることが期待されている。さらには,DX(Digital Transformation)の活用により店舗などでのポイント利用と紐づけることができれば,需要家の家での電力使用量を抑えつつ,他の店舗で需要家に消費を促す副次的な効果が期待できる。
【0015】
需要家が適切な節電行動を取り電力の消費パターンを変える要因の一つとして,電力価格の変更を需要家に伝えること(シグナリング)が挙げられる。もしも,電力価格が固定均一価格である場合,オフピーク時,ピーク時ともに適正な価格を設定できなければ,オフピーク時の電力消費量減少および,ピーク時の電力消費量増加を招いてしまい,非効率となる。一方,オフピーク時において,需要曲線が左下に存在していれば,その時の価格が適正な価格となる(オフピーク価格)。一方,ピーク時において,需要曲線が右上に移動し,適正な価格も右上に移動する(ピーク価格)。
【0016】
現状のデマンドレスポンスDRでは,時間帯別に料金を設定するといった形が取られており,経済状況の変化や気候条件の変化など日々変化する要因を捉え切れていない。そのため,需要家のスマートメータデータや,需要家からの様々な情報,需要家周辺の気象データを用いて,経済状況の変化や気候条件の変化を推定し,柔軟に電力料金を設定することが求められる。
【0017】
また,前述の国内の節電ポイント施策では蓄電池などの需要家の有する機器を想定しておらず,節電チャレンジという形で競争原理を促進しているものの需要家個人の努力に追うところが大きい。
【0018】
この方式では参加する人としない人が乖離し,あるいは節電疲れなどにより参加者離れが起きる可能性がある。需要家において蓄電池の所有が拡大しており,蓄電池を有効活用できれば参加者離れを抑え,DR効果を高めることが期待できる。
【0019】
デマンドレスポンスDRに関連して、特許文献1が知られている。特許文献1では、ユーザがデマンドレスポンスDRの途中経過をリアルタイムで把握することのできる制御装置を提供することを目的として、「需要家の電力機器を制御する、当該需要家に設置された制御装置であって、前記需要家における発電量および受電量の少なくとも一方を示す電力量を取得する電力量取得部と、前記電力量取得部が取得した前記電力量に基づいて、デマンドレスポンスで要請される削減電力についての暫定的な達成率を算出する算出部と、前記算出部が算出した前記暫定的な達成率を、表示画面に表示する表示制御部と、を備える制御装置。」のように構成することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
特許文献1に開示されている装置を用いれば、電力管理装置から制御結果やインセンティブの提供を受けることができない場合などには、デマンドレスポンスDRの制御結果やインセンティブの表示ができない等の課題があった。この課題に対しては,デマンドレスポンスで要請される削減電力についての暫定的な達成率を算出する算出部により対応していた。
【0022】
しかしながら,インセンティブのタイミングの具体的な算出手段が開示されていないことから,需要家のデマンドレスポンスDR量に伴う一括インセンティブ付与の場合,積極的なDR参加者のみとなり,電力会社やアグリゲータが総量としてのデマンドレスポンスDR量を確保しにくい。さらには,蓄電池を有する需要家の蓄電池をデマンドレスポンスDRにより有効活用できていないといった課題もあった。
【0023】
本発明は、このような状況にかんがみてなされたものであり,蓄電池を有する需要家であっても蓄電池を有さない需要家であっても,需要家にデマンドレスポンスDRに応じてもらいやすくするための需要管理装置、需要管理システム、並びに需要管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
以上のことから本発明においては「需要家の電力消費行動を変化させる可能性のある要因となる時間帯別のインセンティブを含む広告データ候補を得る入力手段と,需要家の電力消費を予測する需要予測部と,需要家における需要応答の可能性を時間帯別に推定する需要応答可能性推定部と,需要応答の可能性とインセンティブを含む広告データ候補とを時間帯別に需要応答を有効に起こさせることを想定してマッチングさせる時間帯別インセンティブマッチング部と,予測された需要消費と時間帯別インセンティブとから需要家における設備機器の運用計画を立案する最適立案部とを有することを特徴とする需要管理装置」としたものである。
【0025】
また本発明においては「需要家装置と需要家が保有する端末とが通信可能とされた需要管理システムであって、端末は、需要管理装置から広告候補を受け取る広告候補配信部と,定められた時間帯に現地の店舗への誘導情報を表示する表示部とを備え,需要家が端末を持って現地の店舗に来店したことを判定し,当該店舗へ誘導された際にポイント取得の計算を行い,当該店舗にて商品を前述の端末により決済すると商品価格減免する、もしくは新たなポイント取得することを特徴とする需要管理システム」としたものである。
【0026】
また本発明においては「需要家装置と需要家が保有する端末を用いた需要管理方法であって、端末は、需要管理装置から広告候補を受け取る広告候補配信部と,定められた時間帯に現地の店舗への誘導情報を表示する表示部とを備え,需要家が端末を持って現地の店舗に来店したことを判定し,当該店舗へ誘導された際にポイント取得の計算を行い,当該店舗にて商品を前述の端末により決済すると商品価格減免する、もしくは新たなポイント取得することを特徴とする需要管理方法」としたものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明の代表的な一形態によれば、需要家から有効なデマンドレスポンスDRを得られる可能性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施例に係る需要管理装置の全体構成例を示す図。
【
図4】蓄電池充放電計画の定式化における決定変数と制約条件と目的関数の関係を整理した図。
【
図5】需要家装置20内の所内設備機器およびその周辺機器を示す図。
【
図7】需要家反応幅計算(需要応答可能性推定部14a)の処理を示すフロー図。
【
図8】時間帯別インセンティブマッチング部14bの処理を示すフロー図。
【
図9】最適立案部14c(制約設定部14c1と蓄電池充放電計画部14c2)の処理を示すフロー図。
【
図10】インセンティブ発行手段1,需要管理装置12,需要家装置20,端末9の間のデータのやり取りを示したシーケンス図。
【
図11】需要家の需要予測とDRポテンシャル量の関係を示す図。
【
図14】インセンティブ発行手段1が与える広告の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【実施例0030】
図1は、本発明の実施例に係る需要管理システムの全体構成例を示す図である。需要管理システム5は,インセンティブ発行手段1,需要管理装置10,需要家装置20,端末9を主たる構成要素として構成されている。このうちインセンティブ発行手段1と需要管理装置10、端末9、並びに需要家装置20の一部は、計算機を用いて実現される。なお以下の説明において、デマンドレスポンス又はこれに関する説明を、単にDRとのみ記載することがある。
【0031】
図1の需要管理システム5の中の、インセンティブ発行手段1は,電子広告や電子クーポンなどを蓄積し配信する装置である。
図14は、インセンティブ発行手段1が与える広告の一例を示しており、広告ID,有効公告日、有効公告時間帯,広告店舗情報のほかに、クーポン情報などのインセンティブを含んで構成されている。この広告は、需要家の電力消費を変化させる可能性のある要因となる時間帯別のインセンティブを含む広告(広告データ候補)である。
【0032】
需要管理装置10は,その処理内容を計算機における処理機能として示すならば、需要予測部12と,DRポテンシャル推定部14の機能から構成されている。需要予測部12は,スマメデータD1,気温データD2,カレンダーからのデータD3に基づき需要家における将来の需要予測結果D6を出力する機能を有する。また,DRポテンシャル推定部14は,需要家装置20からの蓄電池に関する仕様データD4,インセンティブ発行手段1からの広告候補データデータD5や需要予測データD6を用いてDRポテンシャルを推定し、需要家装置20に電力運用計画D7を与える。需要家装置20が蓄電池装置を含む場合に、電力運用計画D7には蓄電池の充放電計画を含んでいる。このため需要管理装置10は、図示せぬ入力手段を介してこれらのデータを入力し、図示せぬ出力手段を介して電力運用計画D7などを出力する。
【0033】
上記した需要管理装置10の機能をごく簡便に表すならば、その詳細を以下に示すように「需要家の電力消費行動を変化させる可能性のある要因となる時間帯別のインセンティブを含む広告データ候補を得る入力手段と,需要家の電力消費を予測する需要予測部と,需要家における需要応答の可能性を時間帯別に推定する需要応答可能性推定部と,需要応答の可能性とインセンティブを含む広告データ候補とを時間帯別に需要応答を有効に起こさせることを想定してマッチングさせる時間帯別インセンティブマッチング部と,予測された需要消費と時間帯別インセンティブとから需要家における設備機器の運用計画を立案する最適立案部とを有することを特徴とする」ものである
図2は,需要予測部12の構成例を示す図である。需要予測部12は,スマメデータD1,気温データD2,カレンダーからのデータD3をデータ収集部12aにより集約し,ならびに欠損補間を行い,時系列解析処理12bを行う。時系列解析処理12bとしては,ARMA(自己回帰移動平均:Autoregressive Moving Average)やデータ同化技術たとえば,カルマンフィルタ,非線形カルマンフィルタ,粒子フィルタにて実現する。
【0034】
データ同化とは,シミュレーション結果と実際の観測結果が各々不確実性を持つ場合であっても,現実に即した形で将来の状態を推定する手法である。データ同化の適用例として,気象予測や流体シミュレーション等,大規模な物理シミュレーション結果と実際の物理現象との間に数理的な関係性を持たせて不確実性を減らしながら高精度な将来予測を行うこと等が挙げられる。例えば,気象予報の高精度化のために,誤差を有する様々な粒度の観測データを天気予報シミュレーションの入力とする。天気予報シミュレーションによる複数の結果を新たな観測値とのデータ同化により解析値として天気予報を確定する。
【0035】
データ同化の種類として,線形カルマンフィルタ(LKF)は,状態空間モデルと呼ばれる数理モデルにおいて,内部の見えない状態を効率的に推定するための計算手法であり,アポロ11号の宇宙空間上の正確な位置の推定にも用いられた。拡張カルマンフィルタ(EKF)は,非線形システムを各時刻において係数行列Aをヤコビ行列により線形化し,それぞれの時刻において時変カルマンフィルタを適用するという考え方を採用しており,時間軸方向の物理モデルが存在している場合に有効である。アンセンテッドカルマンフィルタ(UKF)は,1990年代半ばごろにオックスフォード大学のS.J.JulierとJ.K.Uhlmannによって提案された手法であり,対象が非線形システムであってもEKFのように線形化を必要としないといった特徴がある。アンサンブルカルマンフィルタ(EnKF)は,複数の状態空間のLKF計算からのアンサンブルをもちいて予測する手法である。粒子フィルタは,粒子と呼ばれる状態ベクトルの実現値を多数用意し統計的分布から予測精度を高める手法である。
【0036】
図2の時系列解析処理12bでは、これらの公知手法を適用して配電系統やアグリゲータの運用管理をより適切に行うことを目的に,需要家単位でのミクロ的な観点からの需要予測を実行する。具体的には,多数の需要家を対象に,各々の需要家の過去スマメデータD1や気温データD2への重み係数の逐次更新による需要予測手法を検討する。共通点は,入力されるスマメや気温のデータ等を用いて重み係数を最適化し,求めた重み係数を用いて予測値を出力する点である。なお一括予測方式については,予測期間全体に対して一括で予測するのに対し,予測期間内の1時刻断面について最新データを用いて逐次的に更新していく点である。これにより,メモリ使用量を抑えられる他,最新の予測値から予測誤差をフィードバックすることで徐々に予測精度が向上されていくという効果が期待できる。
【0037】
図3は,DRポテンシャル推定部14の構成例を示す図である。DRポテンシャル推定部14は,需要応答可能性推定部14a,時間帯別インセンティブマッチング部14b、最適立案部14cの機能から構成される。また最適立案部14cは、制約設定部14c1,蓄電池&蓄熱放熱装置充放電畜放熱計画部(以下簡便化して、蓄電池充放電計画部というものとする)14c2の機能を備える。個別の需要家レベルでのDR量を十分確保するためには前述のとおりDRポテンシャル量の把握が不可欠である。
【0038】
DRポテンシャル推定は,スマメデータD1や気温データD2,カレンダーのデータD3などにより,個別の需要家レベルの需要予測値D6を算出したのちに,需要家レベルの需要予測データD6をベースラインとし,各需要家へインセンティブを時間帯毎に付与することで,デマンドレスポンスDRを誘発する。次に,需要家の日常の電力消費の特性をDRポテンシャル推定部14により把握し,蓄電池を有する需要家であれば,蓄電池の充放電タイミングを適切に決めることで需要家の利益が最大となるようDRポテンシャルを導く。
【0039】
需要応答可能性推定部14aと時間帯別インセンティブマッチング部14bの機能の組み合わせは、要するに需要応答可能性の高い時間帯、望ましくはさらに需要応答可能量の大きい時間帯(以下これを単に需要応答可能性と称する)と、インセンティブを含む広告データ候補の時間帯がマッチングするように調整するものである。逆の言い方をすると、需要応答可能性の高い時間帯にインセンティブの高い広告データ候補が割り当てられるように調整したものということができる。
【0040】
このためここではまず需要応答可能性推定部14aにおいて、時間帯別に需要応答可能性を推定し、時間帯別インセンティブマッチング部14bでは時間帯別に応答可能性とインセンティブのマッチングを図る。ここで求める需要家の反応幅は,スマメの大きさ,スマメ変化量(気温による微分),気温,インセンティブから、DR確率およびDR範囲を指標として算出し推定する。
【0041】
DR確率の計算においては,後述する(5)式のシグモイド関数を用いる。シグモイド関数のxが4つの要素を持つものとし,それぞれスマメの項,スマメ変化量(気温による微分)の項,気温の項,インセンティブの項とした。各項の計算式を以下に示す。なおKiは係数であり,大きいほどDR確率への影響度が大きくなる。
【0042】
図3の最適立案部14cにおける制約設定部14c1では,需要家との間の電力契約15を参照し、この契約内容を制約条件の一部とする。また需要家が蓄電池を有する場合には、さらに蓄電池の制約条件として,各時刻断面でのSOC(State of charge)の上下限,充放電電力とSOCとの時刻断面間の関係を加味して設定する。
【0043】
図3の最適立案部14cにおける蓄電池充放電計画部14c2では,数理最適化手法には,問題の特性が線形,非線形の区別により様々な手法が存在するが,本実施例では安定した解を得ることが可能な線形計画法を用いる。定式化は以下の通りである。
【0044】
定式化には、決定変数と、制約条件と、目的関数を要する。
図4は、この関係を整理した表である。このうち決定変数は、各時刻断面tの需要家の買電電力(kwh),各時刻断面tの蓄電池の充放電力(kwh)である。
【0045】
制約条件は、各時刻断面tにおいて,以下の(1)式、(2)式、(3)式を満たすものとされる。
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
目的関数は、以下の(4)式を最小化するものである。
【0050】
【0051】
図5は,需要家装置20内の所内設備機器およびその周辺機器を示している。需要家装置20は、電力系統を構成する発電所30,変電所31,配電線32,変圧器33を介して電力供給を受けている。
【0052】
また需要家装置20は,負荷機器24,発電機器26,蓄電池28,スマートメータ22ならびに,宅内配線34などの所内設備機器を備えて構成されている。負荷装置24は,需要家の所有するエアコン,冷蔵庫などを総称している。発電機器26は,太陽光発電などの機器を示している。また,蓄電池28は,熱を蓄積する蓄熱装置であっても良い。スマートメータ22は,需要家装置20が受電する電力量を計測し,スマメデータD1として配信する。また,蓄電池28は,DRポテンシャル推定14のために蓄電池28の仕様を送信ののち,DRポテンシャル推定部14から充放電計画値を含む電力運用計画D7を受信し,充放電制御をおこなう。
【0053】
また需要家装置20を有する所有者である需要家Mは,端末9を保持しており,需要管理装置10から広告データを受け取り,節電に関連する行動を促される。なお
図5の例では、需要家装置20は,蓄電池28を備えており、蓄電池28に対する充放電計画D7を受ける例を示しているが、これは蓄電池28を供えない構成であってもよく、この場合には需要家装置20内の所内設備機器についての運用計画D7が示されることになる。
【0054】
図6は,
図2に示した需要予測部12bの処理を示すフローチャートである。需要予測部12bの処理ではまず処理ステップS11においてスマメデータD1,気温データD2,などの過去のデータの参照に必要な情報を取得し,処理ステップS12において過去のデータ取得範囲の組合せをケースラン情報として作成する。次に処理ステップS13において,需要予測のためのプログラムを起動し,先に生成したケースラン情報に基づき,処理ステップS14においてスマメデータD1,気温データD2を取得する。その後処理ステップS15において,カルマンフィルタにより,逐次的に需要予測に必要となる重み係数を更新し,予測期間内の需要予測を実施する。そのあと処理ステップS16においてケースごとに結果を出力し,処理ステップS17において予測プログラムを終了する。
【0055】
次に、需要家反応幅計算(需要応答可能性推定部14a)の処理の考え方について説明する。ここでは、最終的にDR範囲(需要家反応幅)を計算するが、このための基本的な考え方は以下のようである。
【0056】
まず一般的に,需要家Mは,様々な精神的,身体的状況下で自らの行動を決定し,電力消費などの行動を行う。その中でも需要家Mの電力消費は,屋内の室温状況に大きく依存しつつ確率的な挙動のもとで電力を使用すると考えられる。このため,一元的にスケジュール決定のように電力消費動向を把握することは困難であった。こうした背景のもとで窓開閉,空調発停といった負荷機器の確率モデルに対しマルコフモデルを適用しようとする報告が存在する。
【0057】
この過程は,現在時刻における室温などの状態からの状態遷移確率の連鎖,すなわちマルコフ過程として表現するというものである。負荷機器のオン・オフの状態遷移確率としてオン→オフ,オフ→オンの確率をシグモイド関数f(x)で近似する。このシグモイド関数f(x)は定義域が-∞~+∞に対し,値域として0~1の値を取る。
【0058】
これに対し、負荷機器のオン・オフの状態遷移確率は,着目する世帯により変わってくる。このため,なんらかの形でシグモイド関数を変形し近似する必要がある。そこで,一般化したシグモイド関数を想定し,ロジスティック回帰により,ある説明変数x1と目的変数(0or1)の組から,係数a1,a0を決定する方法が考えられる。
【0059】
(5)式は、一般化したシグモイド関数を示している。
【0060】
【0061】
これに対し、ロジスティック回帰のためには,(6)式を用いる。
【0062】
【0063】
なお,(6)式の左辺は対数オッズ(=ロジット)と呼ばれている。係数a,bの算出には,最尤法と呼ばれる方法があり,統計ソフト等により算出可能である。なお,説明変数は上式の例ではxは1つであったが説明変数xi(i=1,2,…,n)と対応する係数ai(i=0,1,2,…,n)は複数あってもよい。
【0064】
またDRポテンシャル量の計算は,需要家の有する確率的な挙動を模擬するためにモンテカルロシミュレーションによって行う。モンテカルロシミュレーションとは,乱数サンプリングを繰り返し実行することによって,ある範囲の結果が発生する可能性を算定する計算アルゴリズムである。乱数により,DR実施/未実施の分岐,およびDR実施の場合のDR量を変化させる。n回目のシミュレーションにおけるDR実施/未実施の分岐は,乱数(n)(範囲:0~1)を振り,先で求めたDR確率と比較することで決定する。(7)式は、モンテカルロシミュレーションの式である。
【0065】
【0066】
DR量の計算式においては,DR確率の計算でも用いた上記4つの項(スマメの項,スマメ変化量(気温による微分)の項,気温の項,インセンティブの項)の計算式を用いる。なお,係数Kiが大きいほど,DR量への影響度が大きくなる。4つの項の合算値に乱数(n)を掛けたものをn回目のシミュレーションにおけるDR量とする。
【0067】
上記した需要応答可能性推定部14aは,需要家の時間帯に対する電力消費の感度,気温に対する電力消費の感度,インセンティブに対する感度を入力とする確率分布関数によって0から1の間の値に変換し,需要応答の可能量をモンテカルロシミュレーションにより計算したものである
上記したところの基本的な処理方針に則り、具体的には需要家反応幅計算(需要応答可能性推定部14a)の処理を
図7に示すフローチャートにより実行する。需要家反応幅計算の処理ではまず処理ステップS21においてスマメデータD1,気温データD2,などの対象期間のデータを取得する。
【0068】
処理ステップS22では、時刻tにおけるDR確率を以下の(8)式で求める。但し(8)式において、smtは時刻tのスマメデータ,sm0はスマメのベースライン、Ttは時刻tの気温,T0は基準気温、Itは時刻tのインセンティブ、Kiは各項の係数を示している。
【0069】
【0070】
処理ステップS23では、DR確率に従い,DR実施のシミュレートをN回試行する。この例では、以下の(9)式を繰り返し実行する。なお、式中の乱数の範囲は0~1である。
【0071】
【0072】
処理ステップS24では、N回試行の平均値と標準偏差から時刻tにおけるDR範囲を求める。
【0073】
需要応答可能性推定部14aで求めたDR範囲を用いて、次に時間帯別インセンティブマッチング部14bでは時間帯別に応答可能性とインセンティブのマッチングを図る。
図8は、時間帯別インセンティブマッチング部14bの処理を示すフロー図である。
【0074】
図8の処理ステップS31ではDR可能量範囲下限閾値U[kWh]を設定し、処理ステップS32ではマッチング率下限T[%]を設定し、処理ステップS33ではDR可能量が、範囲が閾値U[kWh]よりも大きい時間帯を選択し、処理ステップS34では広告配信装置からの広告データの有効な時間帯とDR可能量が大きい時間帯がT%以上合致する広告を候補としインセンティブを付与する。これにより時間帯別インセンティブマッチング手段14bでは、クーポン効果を有する広告データ候補と前記時間帯別のインセンティブとから時間帯が最も合致する広告候補を絞り込む。これにより例えばDR可能量が大きい時間帯に、インセンティブの高い広告を組み込むようにしていく。
【0075】
図9は,最適立案部14c(制約設定部14c1と蓄電池充放電計画部14c2)の処理を示している。まず処理ステップS41において目的関数を構成する変数(決定変数)を設定し、処理ステップS42では需要家所有の蓄電池の充放電動作上の制約条件を設定し、処理ステップS43では需要家の需要予測データを設定し、処理ステップS44では需要家コストを最小化する目的関数を設定し、最終的に処理ステップS45において数理最適化を実行する。
【0076】
図10は,インセンティブ発行手段1,需要管理装置12,需要家装置20,端末9の間のデータのやり取りを示したシーケンス図である。なお
図10は、需要家に対する処理の開始が指示されたときの一連の処理を示しており、別の需要家に対する処理指示に対しては別途当初から実行を行うものである。
【0077】
処理指示に対して需要管理装置12は,まず気象庁から気温などの気象データD2を取得する。さらには,需要家装置20のスマメデータ計測によりスマメデータD1を取得する。さらには,当該需要家Mの保有する端末9から個人属性データを取得して、これらデータを用いたクラスタリング処理を実行する。なお個人属性データはインセンティブ発行手段1に与えられ、興味を引きそうな広告の解析などに利用される。
【0078】
その後,需要管理装置12は,需要予測処理を行い,需要家反応幅計算処理を行う。需要管理装置12は,インセンティブ発行手段1からは広告データ候補を取得し,DRポテンシャルと広告マッチングによりDRポテンシャルが大きい時間帯と,たとえば8割以上時間帯が合致する広告データ候補を選択し,時刻とポイントを付与の上で,端末9へ配信する。ここで,8割という値は,需要管理装置12の運用者が決定するパラメタ値であるため,運用者によって適時パラメタ値の変更が可能である。
【0079】
端末9で受け取った広告データ候補をみた端末の保有者Mは,省エネ関連の行動を取るようなインセンティブを得ることになる。このインセンティブは,店舗で活用可能なポイントであっても良いし,広告による来店を誘導するクーポンであっても良い。さらに,蓄電池を有する需要家であれば,蓄電池充放電計画を策定の上,充放電計画データを蓄電池制御のために需要家装置へ渡すことになる。なお,蓄電池は,蓄熱装置であってもよく,その場合畜放熱計画を立案し,需要家装置へ畜放熱計画データを渡し,畜放熱制御をしてもよい。なお蓄電池を有しない需要家に対しては、需要家が保有する所内設備の電力運用計画を提示するのがよい。また蓄電池の有無にかかわらず、電力運用計画D7としては需要家における電力消費のコストミニマムの観点から計画するのがよい。
【0080】
図11は,需要家の需要予測とDRポテンシャル量の関係を示している。縦軸は電力消費量,横軸は時刻を示している。グラフ40では,インセンティブが無い場合の下げDRの適用時のDRポテンシャル量が示されている。一方グラフ42では,11時から13時の時間帯別インセンティブを与える例を示している。このインセンティブが有る場合のDRポテンシャルの場合のグラフ44のようにDRポテンシャル量が11時から13時の時間帯で増加することが分かる。
【0081】
図12は,時間帯別インセンティブの例を示す図である。蓄電池を有する需要家において,時間帯別インセンティブ(電力料金と時間帯別インセンティブのグラフ50)を効率的に得るために,数理最適化により適切に蓄電池の充放電計画を立案し,受電が2-7時に早めシフトしていることが分かる(DR前後の需要予測の変化を示すグラフ52)。
【0082】
図13は,計算機60の構成を示している。計算機60は,CPU61,ROM62,RAM63がバス64に接続しており計算結果のやり取りをしている。さらには,入出力インタフェース65を介して,入力部66,出力部67,記憶部68,通信部69が接続しており,計算機60の外部と情報のやり取りをし,CPU61における計算に必要となるデータを受け渡している。計算機60は,インセンティブ発行手段1,需要管理装置12,需要家装置20,端末9,スマメデータD1,蓄電池&畜放熱装置28,負荷機器24,発電機器26いずれにおいても用いられている。
【0083】
なお本発明を実施する場合には、さらに以下の点を考慮するのがよい。例えば、需要家における設備機器の運用計画は、予測された需要予測と時間帯別インセンティブと蓄電池充電率の制約に基づき蓄電池の充放電計画を複数の需要家のコストが最小となるよう最適立案するのがよい。
【0084】
また需要家が複数である場合に,需要家における需要予測に際し、類似の電力契約条件,地域,電力消費傾向,世帯構成,年齢,アンケート結果を参照するのがよい。さらに複数の需要家は,量子化によりベクトル化した電力契約条件,地域,電力消費傾向,世帯構成,年齢,アンケート結果からクラスタリングにより分類された同一クラスタに属する複数の需要家とされるのがよい。また同一クラスタに分類された複数の需要家の保有する特徴ベクトル間の因果関係を抽出する因果推論により,広告候補を抽出するのがよい。
【0085】
また需要家装置と需要家が保有する端末とを通信可能に構成して、端末には、需要管理装置から広告候補を受け取る広告候補配信部と,定められた時間帯に現地の店舗への誘導情報を表示する表示部とを備え,需要家が端末を持って現地の店舗に来店したことを判定し,当該店舗へ誘導された際にポイント取得の計算を行い,当該店舗にて商品を前述の端末により決済すると商品価格減免する、もしくは新たなポイント取得するようにするのがよい。