(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173137
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ミシン
(51)【国際特許分類】
D05B 73/04 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
D05B73/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091352
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱島 敦司
(72)【発明者】
【氏名】菅 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】脇田 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】冨成 恵子
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150GA06
3B150JA13
3B150JA28
(57)【要約】
【課題】パネルを開閉すること。
【解決手段】ミシンは、ミシン針が装着される針棒を有するヘッド部と、記針棒よりも下方に配置され、縫製対象を支持するテーブルと、テーブルに設けられている開口に配置されるパネルと、パネルの少なくとも一部よりも下方に配置され、パネルが閉じられた状態でパネルをテーブルに固定するロック位置と、パネルの少なくとも一部をテーブルから上昇させるリフト位置とに回動可能な回動部材と、回動部材を回動させるアクチュエータと、を備える。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミシン針が装着される針棒を有するヘッド部と、
前記針棒よりも下方に配置され、縫製対象を支持するテーブルと、
前記テーブルに設けられている開口に配置されるパネルと、
前記パネルの少なくとも一部よりも下方に配置され、前記パネルが閉じられた状態で前記パネルを前記テーブルに固定するロック位置と、前記パネルの少なくとも一部を前記テーブルから上昇させるリフト位置とに回動可能な回動部材と、
前記回動部材を回動させるアクチュエータと、を備える、
ミシン。
【請求項2】
前記回動部材の前記リフト位置への回動により、前記パネルの一端部が前記テーブルに接続されている状態で、前記パネルの他端部が前記テーブルから上昇する、
請求項1に記載のミシン。
【請求項3】
前記パネルは、プレート部と、前記プレート部の下面から下方に突出し、孔部を有する突出部と、を含み、
前記回動部材は、前記ロック位置への回動により前記孔部に挿入されるフック部と、前記リフト位置への回動により前記突出部を上昇させるリフト部と、を有する、
請求項1に記載のミシン。
【請求項4】
前記パネルは、プレート部と、前記プレート部の下面から下方に突出し、ブロック部を有する突出部と、を含み、
前記回動部材は、前記ロック位置への回動により前記ブロック部に掛けられるフック部と、前記リフト位置への回動により前記突出部を上昇させるリフト部と、を有する、
請求項1に記載のミシン。
【請求項5】
前記パネルは、前記プレート部の一端部に設けられ、前記テーブルの少なくとも一部に着脱される爪部を有し、
前記プレート部の一端部と前記突出部との距離は、前記プレート部の他端部と前記突出部との距離よりも長く、
前記リフト部は、前記爪部が前記テーブルに接続されている状態で、前記突出部を上昇させる、
請求項3又は請求項4に記載のミシン。
【請求項6】
前記パネルは、前記ヘッド部よりも後方に配置され、
前記突出部は、前記プレート部の下面の後部から下方に突出し、
前記回動部材の少なくとも一部は、前記突出部よりも後方に配置される、
請求項4に記載のミシン。
【請求項7】
前記回動部材の前記リフト位置への回動により、前記リフト部が前記突出部の下端部に接触して前記突出部を上昇させ、
前記回動部材の前記ロック位置への回動により、前記リフト部が前記突出部の下端部に接触した状態で下降するとともに、前記フック部が前記突出部よりも後方から前記孔部に挿入される、
請求項3に記載のミシン。
【請求項8】
前記回動部材の前記リフト位置への回動により、前記リフト部が前記突出部の下端部に接触して前記突出部を上昇させ、
前記回動部材の前記ロック位置への回動により、前記リフト部が前記突出部の下端部に接触した状態で下降するとともに、前記フック部が前記突出部よりも後方から前記ブロック部に掛けられる、
請求項4に記載のミシン。
【請求項9】
前記アクチュエータは、前記パネルよりも後方に配置されるエアシリンダである、
請求項1に記載のミシン。
【請求項10】
前記テーブルを支持するフレーム部材を備え、
前記エアシリンダは、前記フレーム部材に支持される、
請求項9に記載のミシン。
【請求項11】
前記テーブルを支持するフレーム部材を備え、
前記回動部材は、前記フレーム部材に回動可能に支持される、
請求項1に記載のミシン。
【請求項12】
前記パネルが閉じられた状態で、前記テーブルの上面と前記パネルの上面とは、同一平面内に配置される、
請求項1に記載のミシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、ミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
ミシンに係る技術分野において、特許文献1に開示されているような縫製装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ミシンは、縫製対象を支持するテーブルと、テーブルに設けられている開口に配置されるパネルとを備える。縫製対象を縫製する場合、パネルが閉じられる。例えばボビンを取り出したりミシンのメンテナンスを実施したりする場合、パネルが開けられる。
【0005】
本明細書で開示する技術は、パネルを開閉することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示する技術に従えば、ミシン針が装着される針棒を有するヘッド部と、針棒よりも下方に配置され、縫製対象を支持するテーブルと、テーブルに設けられている開口に配置されるパネルと、パネルよりも下方に配置され、パネルが閉じられた状態でパネルをテーブルに固定するロック位置と、パネルの少なくとも一部をテーブルから上昇させるリフト位置とに回動可能な回動部材と、回動部材を回動させるアクチュエータと、を備える、ミシンが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本明細書で開示する技術によれば、パネルを開閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るミシンを示す後方からの斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るミシンの一部を示す後方からの斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るミシンの一部を示す後方からの斜視図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るパネルを示す下方からの斜視図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るミシンの一部を示す側面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るミシンの一部を示す前方からの斜視図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係るミシンの一部を示す側面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係るミシンの一部を示す後方からの斜視図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係るミシンの一部を示す後方からの斜視図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係る回動部材及びパネルの動作を示す図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係るミシンの効果を説明するための図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係るミシンの効果を説明するための図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係るパネルを示す下方からの斜視図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態に係る回動部材及びパネルの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。実施形態においては、左、右、前、後、上、及び下の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、ミシン1の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。
【0010】
〔第1実施形態〕
第1実施形態について説明する。
【0011】
[ミシンの概要]
図1は、実施形態に係るミシン1を示す後方からの斜視図である。
図2は、実施形態に係るミシン1の一部を示す後方からの斜視図である。
図2は、
図1の一部を拡大した図に相当する。実施形態において、ミシン1は、工業用ミシンである。ミシン1は、電子サイクルミシンである。ミシン1の操作者は、ミシン1よりも後方において、ミシン1を操作する。
【0012】
図1及び
図2に示すように、ミシン1は、ヘッド部2と、途中停止スイッチ3と、制御盤4と、操作パネル5と、糸立て台6と、テーブル7と、針板8と、パネル9とを備える。ヘッド部2は、針棒10と、天秤11と、中押さえ12と、糸調子13と、ガード14とを有する。
【0013】
針棒10は、ミシン針15を保持する。ミシン針15は、針棒10に装着される。針棒10は、上下方向に往復移動する。ミシン針15は、上糸が通過する糸通し孔を有する。ミシン針15は、糸通し孔の内面で上糸を保持する。針棒10が上下方向に往復移動することにより、ミシン針15は、上糸を保持した状態で上下方向に往復移動する。
【0014】
天秤11は、ミシン針15に上糸を供給する。天秤11は、上下方向に往復移動する。天秤11は、上糸を保持した状態で上下方向に往復移動する。天秤11は、上糸が通過する保持孔を有する。天秤11は、保持孔の内面で上糸を保持する。天秤11は、上下方向に往復移動することによって、縫製対象の縫製に使用される上糸を繰り出したり上糸を引き上げたりする。
【0015】
中押さえ12は、針板8に支持される縫製対象を上方から押さえる。中押さえ12は、ミシン針15の周囲の少なくとも一部に配置される。
【0016】
糸調子13は、天秤11と針棒10との間において、ミシン針15に供給される上糸に張力を付与する。
【0017】
ガード14は、折れたミシン針15がヘッド部2の周囲に飛散することを抑制する。ガード14は、ミシン針15よりも後方に配置される。ガード14がミシン針15よりも後方に配置されるので、ガード14よりも後方に存在する操作者に折れたミシン針15が飛散することが抑制される。
【0018】
途中停止スイッチ3は、操作者に操作される。途中停止スイッチ3が操作されることにより、ミシン1の動作が停止する。
【0019】
制御盤4は、ミシン1の動作を制御する。制御盤4は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサと、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリと、信号及びデータを入出力可能な入出力回路を含む入出力インターフェースとを有する。
【0020】
操作パネル5は、フラットパネルディスプレイ及びタッチパネルを含む。操作パネル5は、操作者に操作される。操作パネル5は、テーブル7の後部の下方に設けられる。操作パネル5が操作されることにより生成された操作信号は、制御盤4に送信される。制御盤4は、操作パネル5からの操作信号に基づいて、ミシン1の動作を制御する。
【0021】
糸立て台6は、ミシン針15に供給される上糸を保持する。
【0022】
テーブル7は、縫製対象を支持する。テーブル7は、針棒10よりも下方に配置される。操作者は、テーブル7よりも後方において、ミシン1を操作する。
【0023】
図3は、実施形態に係るミシン1の一部を示す後方からの斜視図である。
図3において、テーブル7、針板8、及びパネル9を仮想線で示す。
図3に示すように、ミシン1は、テーブル7を下方から支持するフレーム部材16を有する。
【0024】
針板8は、針棒10の下方に配置される。針板8は、縫製対象を下方から支持する。針板8は、針棒10の下方において縫製対象を支持する。針棒10に保持されているミシン針15と針板8とは対向する。針板8は、ミシン針15が通過可能な針穴を有する。針板8に支持される縫製対象を貫通したミシン針15は、針穴を通過する。ミシン1は、針板8の下方に配置される釜17を備える。下糸が巻かれたボビンが釜17に装着される。釜17は、縫製対象に下糸を供給する。
【0025】
パネル9は、テーブル7に設けられている開口18に配置される。開口18は、針板8よりも後方に設けられる。パネル9は、ヘッド部2よりも後方に配置される。パネル9は、開口18を開閉する。実施形態において、パネル9は、テーブル7に着脱される。
【0026】
以下の説明において、パネル9により開口18を閉じることを適宜、パネル9を閉じる、と称し、開口18を開けることを適宜、パネル9を開ける、と称する。縫製対象を縫製する場合、パネル9が閉じられる。例えばボビンを取り出したりミシン1のメンテナンスを実施したりする場合、パネル9が開けられる。
【0027】
[パネル]
図4は、実施形態に係るパネル9を示す下方からの斜視図である。パネル9は、プレート部9Aと、突出部9Bと、爪部9Cとを有する。
【0028】
プレート部9Aの外形は、長方形状である。プレート部9Aの上面は、平坦面である。パネル9が閉じられた状態で、テーブル7の上面とパネル9のプレート部9Aの上面とは、同一平面内に配置される。すなわち、パネル9が閉じられた状態で、テーブル7の上面とプレート部9Aの上面とは、面一である。
【0029】
突出部9Bは、プレート部9Aの下面から下方に突出する。プレート部9Aの前端部と突出部9Bとの距離は、プレート部9Aの後端部と突出部9Bとの距離よりも長い。突出部9Bは、プレート部9Aの下面の後部から下方に突出する。突出部9Bは、孔部9Dを有する。
【0030】
爪部9Cは、プレート部9Aの前端部に設けられる。爪部9Cは、プレート部9Aの前端部から前方に突出する。爪部9Cは、テーブル7の少なくとも一部に着脱される。爪部9Cは、開口18の前端部を規定するテーブル7の一部に着脱される。
【0031】
[開閉装置]
図5は、実施形態に係るミシン1の一部を示す側面図である。
図6は、実施形態に係るミシン1の一部を示す前方からの斜視図である。ミシン1は、パネル9を開閉させる開閉装置20を備える。開閉装置20は、回動部材21と、アクチュエータ22とを有する。
【0032】
回動部材21は、パネル9の少なくとも一部よりも下方に配置される。回動部材21は、パネル9のプレート部9Aよりも下方に配置される。回動部材21の少なくとも一部は、パネル9の突出部9Bよりも後方に配置される。回動部材21は、フレーム部材16の少なくとも一部に回動可能に支持される。回動部材21は、連結ピン23を介してフレーム部材16に連結される。回動部材21は、左右方向に延びる回動軸AX1を中心に回動する。回動軸AX1は、連結ピン23の中心を通る。
【0033】
回動部材21は、ボディ部21Aと、フック部21Bと、リフト部21Cとを有する。ボディ部21Aは、連結ピン23を介してフレーム部材16に連結される。フック部21Bは、ボディ部21Aの上部から前方に突出する。フック部21Bの前端部は、尖っている。リフト部21Cは、ボディ部21Aの下部から前方に突出する。回動軸AX1に直交する面内において、リフト部21Cの前部の外形は、円弧状である。
【0034】
アクチュエータ22は、回動部材21を回動させる動力を発生する。実施形態において、アクチュエータ22は、パネル9よりも後方に配置されるエアシリンダである。以下の説明において、アクチュエータ22を適宜、エアシリンダ22、と称する。
【0035】
エアシリンダ22は、回動部材21よりも後方に配置される。エアシリンダ22は、フレーム部材16の少なくとも一部に支持される。エアシリンダ22は、シリンダチューブ22Aと、シリンダチューブ22Aに対して前後方向に移動するピストンロッド22Bと、ピストンロッド22Bの前端部に設けられる連結部材22Cとを有する。ピストンロッド22Bが前後方向に移動することにより、連結部材22Cは、ピストンロッド22Bと一緒に前後方向に移動する。連結部材22Cは、回動ピン22Dを介して回動部材21のボディ部21Aに連結される。連結部材22Cとボディ部21Aとは、左右方向に延びる回動軸AX2を中心に相対回動する。回動軸AX2は、回動ピン22Dの中心を通る。回動軸AX2は、回動軸AX1よりも上方に規定される。
【0036】
シリンダチューブ22Aは、フレーム部材16の少なくとも一部に支持される。ピストンロッド22Bの先端部は、シリンダチューブ22Aよりも前方に配置される。以下の説明において、シリンダチューブ22Aに対してピストンロッド22Bが前方に移動することを適宜、エアシリンダ22が伸びる、と称し、シリンダチューブ22Aに対してピストンロッド22Bが後方に移動することを適宜、エアシリンダ22が縮む、と称する。エアシリンダ22は、伸縮する。
【0037】
エアシリンダ22は、操作スイッチ24が操作されることにより伸縮する。操作スイッチ24は、テーブル7の後部の下方に配置される。操作者は、操作スイッチ24を操作することにより、エアシリンダ22を伸縮させることができる。
【0038】
図2及び
図5等に示すように、エアシリンダ22が伸びた状態において、パネル9は、閉じられる。エアシリンダ22が伸びた状態において、フック部21Bが孔部9Dに挿入される。フック部21Bは、孔部9Dの後方から孔部9Dに挿入される。フック部21Bが孔部9Dに挿入されることにより、パネル9は、開口18を閉じた状態でテーブル7に固定される。
【0039】
図7は、実施形態に係るミシン1の一部を示す側面図である。
図8は、実施形態に係るミシン1の一部を示す後方からの斜視図である。
図7及び
図8のそれぞれは、開閉装置20によりパネル9が開いている状態を示す。
図7及び
図8に示すように、エアシリンダ22が縮むと、パネル9が開く。
【0040】
エアシリンダ22が縮むと、回動ピン22Dが後方に移動し、リフト部21Cが上方に移動するように回動部材21が回動軸AX1を中心に回動する。リフト部21Cは、パネル9の突出部9Bの下端部に接触した状態で上昇する。リフト部21Cの上昇により、突出部9Bが上昇する。リフト部21Cの外形が円弧状なので、リフト部21Cと突出部9Bとは、円滑に摺動する。リフト部21Cは、パネル9の前端部がテーブル7に接続されている状態で、パネル9の後端部をテーブル7から上昇させる。実施形態において、リフト部21Cは、爪部9Cがテーブル7に接続されている状態で、突出部9Bを上昇させる。突出部9Bが上昇することにより、プレート部9Aの後端部が上昇し、開口18が開く。
【0041】
図9は、実施形態に係るミシンの一部を示す後方からの斜視図である。パネル9は、テーブル7に着脱可能である。操作者は、プレート部9Aの後端部が上昇してテーブル7から離れた後、プレート部9Aの少なくとも一部を保持して、テーブル7からパネル9を外すことができる。操作者は、プレート部9Aの後端部が上昇してテーブル7から離れた後、爪部9Cがテーブル7から離れるようにプレート部9Aを持ち上げることにより、テーブル7からパネル9を外すことができる。テーブル7からパネル9が外されることにより、開口18が開放される。操作者は、開口18を介して、例えば釜17からボビンを取り出したりミシン1のメンテナンスを実施したりすることができる。
【0042】
[回動部材及びパネルの動作]
図10は、実施形態に係る回動部材21及びパネル9の動作を示す図である。エアシリンダ22が伸縮することにより、パネル9が開閉する。エアシリンダ22の伸縮により、回動部材21は、パネル9が閉じられた状態でパネル9をテーブル7に固定するロック位置と、パネル9の少なくとも一部をテーブル7から上昇させるリフト位置とに回動する。実施形態において、エアシリンダ22が伸びると、回動部材21がロック位置に回動する。エアシリンダ22が縮むと、回動部材21がリフト位置に回動する。
【0043】
パネル9を開ける場合、操作者は、エアシリンダ22が縮むように操作スイッチ24を操作する。エアシリンダ22が縮むことにより、回動部材21は、ロック位置からリフト位置に回動する。回動部材21のリフト位置への回動により、パネル9の前端部がテーブル7に接続されている状態で、パネル9の後端部がテーブル7から上昇する。回動部材21のリフト位置への回動により、フック部21Bが孔部9Dから抜去され、リフト部21Cが突出部9Bを上昇させる。回動部材21のリフト位置への回動により、フック部21Bが孔部9Dの後方に抜去され、リフト部21Cが突出部9Bの下端部に接触して突出部9Bを上昇させる。
【0044】
リフト部21Cは、爪部9Cがテーブル7に接続されている状態で、突出部9Bを上昇させる。突出部9Bが上昇することにより、プレート部9Aの後端部が上昇し、開口18が開く。テーブル7からのプレート部9Aの後端部の上昇量は、僅かである。テーブル7からのプレート部9Aの後端部の上昇量が僅かなので、テーブル7の上面側の物体が開口18を介してテーブル7の下方に落下することが抑制される。
【0045】
回動部材21のリフト位置への回動によりパネル9の後端部が上昇した後、操作者は、爪部9Cがテーブル7から離れるようにプレート部9Aを持ち上げることにより、テーブル7からパネル9を外すことができる。
図9を参照して説明したように、テーブル7からパネル9が外されることにより、開口18が開放される。操作者は、開口18を介して、例えば釜17からボビンを取り出したりミシン1のメンテナンスを実施したりすることができる。
【0046】
パネル9を閉じる場合、操作者は、回動部材21がリフト位置に配置されている状態で、爪部9Cをテーブル7に接続し、突出部9Bをリフト部21Cに乗せる。爪部9Cがテーブル7に接続され、突出部9Bがリフト部21Cに乗った後、操作者は、エアシリンダ22が伸びるように操作スイッチ24を操作する。エアシリンダ22が伸びることにより、回動部材21は、リフト位置からロック位置に回動する。回動部材21のロック位置への回動により、パネル9の爪部9Cがテーブル7に接続されている状態で、リフト部21Cが下降する。回動部材21のロック位置への回動により、リフト部21Cが突出部9Bの下端部に接触した状態で下降するとともに、フック部21Bが突出部9Bよりも後方から孔部9Dに挿入される。フック部21Bが孔部9Dに挿入されることにより、開口18がパネル9により閉じられた状態で、パネル9がテーブル7に固定される。
【0047】
実施形態においては、パネル9が閉じられた後、フック部21Bが孔部9Dに挿入される。すなわち、パネル9が閉じられる前においては、フック部21Bは孔部9Dに挿入されない。そのため、例えばパネル9とテーブル7との間に手や物体が挟まった状態で、パネル9がテーブル7に固定されることが抑制される。
【0048】
図11及び
図12のそれぞれは、実施形態に係るミシン1の効果を説明するための図である。
図11に示すように、パネル9が開いている状態で、パネル9とテーブル7との間に操作者の手が配置されても、パネル9が閉じられる前においては、フック部21Bは孔部9Dに挿入されない。そのため、手がパネル9とテーブル7とに挟まれることが抑制される。
【0049】
回動部材21がリフト位置からロック位置に回動すると、パネル9は自重により降下して、開いた状態から閉じた状態に変化する。
図12に示すように、パネル9が閉じられる過程において、孔部9Dに対するフック部21Bの挿入が開始される。孔部9Dに対するフック部21Bの挿入が完了することにより、パネル9が完全に閉じられる。すなわち、孔部9Dに対するフック部21Bの挿入が完了することにより、パネル9の上面とテーブル7の上面とが面一になる。
図12に示すように、孔部9Dに対するフック部21Bの挿入が開始された後、パネル9のエッジに手が触れても、パネル9の上面とテーブル7の上面とが面一になるまで、孔部9Dに対するフック部21Bの挿入が完了しないので、手に負荷が掛かることが抑制される。
【0050】
[効果]
以上説明したように、実施形態に係るミシン1は、ミシン針15が装着される針棒10を有するヘッド部2と、針棒10よりも下方に配置され、縫製対象を支持するテーブル7と、テーブル7に設けられている開口18に配置されるパネル9と、パネル9の少なくとも一部よりも下方に配置され、パネル9が閉じられた状態でパネル9をテーブル7に固定するロック位置と、パネル9の少なくとも一部をテーブル7から上昇させるリフト位置とに回動可能な回動部材21と、回動部材21を回動させるアクチュエータ22と、を備える。
【0051】
実施形態によれば、回動部材21が回動するだけで、パネル9が開閉される。開閉装置20の構造の複雑化が抑制された状態で、パネル9が開閉される。また、開口18を開く場合、パネル9が上昇するので、テーブル7の下方に配置されている釜17等の装置とパネル9との干渉が抑制される。
【0052】
回動部材21のリフト位置への回動により、パネル9の前端部がテーブル7に接続されている状態で、パネル9の後端部がテーブル7から上昇する。操作者に面するパネル9の後端部がテーブル7から上昇するので、操作者は、パネル9がテーブル7から上昇した後、テーブル7からパネル9を円滑に外すことができる。
【0053】
パネル9は、プレート部9Aと、プレート部9Aの下面から下方に突出し、孔部9Dを有する突出部9Bと、を含む。回動部材21は、ロック位置への回動により孔部9Dに挿入されるフック部21Bと、リフト位置への回動により突出部9Bを上昇させるリフト部21Cと、を有する。これにより、回動部材21が回動するだけで、パネル9がテーブル7に固定されたりパネル9がテーブル7から上昇したりすることができる。
【0054】
パネル9は、プレート部9Aの前端部に設けられ、テーブル7の少なくとも一部に着脱される爪部9Cを有する。プレート部9Aの前端部と突出部9Bとの距離は、プレート部9Aの後端部と突出部9Bとの距離よりも長い。突出部9Bは、プレート部9Aの後部に配置される。リフト部21Cは、爪部9Cがテーブル7に接続されている状態で、突出部9Bを上昇させる。これにより、回動部材21が回動するだけで、操作者に面するパネル9の後端部がテーブル7から上昇する。
【0055】
パネル9は、ヘッド部2よりも後方に配置される。突出部9Bは、プレート部9Aの下面の後部から下方に突出する。回動部材21の少なくとも一部は、突出部9Bよりも後方に配置される。これにより、操作者に面するパネル9の後端部がテーブル7から上昇する。
【0056】
回動部材21のリフト位置への回動により、リフト部21Cが突出部9Bの下端部に接触して突出部9Bを上昇させる。回動部材21のロック位置への回動により、リフト部21Cが突出部9Bの下端部に接触した状態で下降するとともに、フック部21Bが突出部9Bよりも後方から孔部9Dに挿入される。これにより、パネル9は円滑に開閉され、円滑にテーブル7に固定される。
【0057】
回動部材21を回動させるアクチュエータは、パネル9よりも後方に配置されるエアシリンダである。エアシリンダに供給されるエアの流量が調整されることにより、パネル9の移動速度が調整される。
【0058】
テーブル7は、フレーム部材16により下方から支持される。エアシリンダ22は、フレーム部材16の少なくとも一部に支持される。回動部材21は、フレーム部材16の少なくとも一部に回動可能に支持される。開閉装置20は、テーブル7の上方に配置されないので、縫製対象が円滑に縫製される。
【0059】
パネル9が閉じられた状態で、テーブル7の上面とパネル9の上面とは、同一平面内に配置される。これにより、縫製対象が円滑に縫製される。
【0060】
〔第2実施形態〕
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0061】
図13は、実施形態に係るパネル90を示す下方からの斜視図である。パネル90は、プレート部9Aと、突出部9Bと、爪部9Cとを有する。上述の実施形態と同様、突出部9Bは、プレート部9Aの下面から下方に突出する。プレート部9Aの前端部と突出部9Bとの距離は、プレート部9Aの後端部と突出部9Bとの距離よりも長い。突出部9Bは、プレート部9Aの下面の後部から下方に突出する。爪部9Cは、プレート部9Aの前端部に設けられる。爪部9Cは、プレート部9Aの前端部から前方に突出する。
【0062】
実施形態において、突出部9Bにブロック部9Eが設けられる。ブロック部9Eは、突出部9Bの後面の下部から後方に突出するように設けられる。
【0063】
図14は、実施形態に係る回動部材21及びパネル90の動作を示す図である。エアシリンダ22が伸縮することにより、パネル9が開閉する。エアシリンダ22の伸縮により、回動部材21は、パネル9が閉じられた状態でパネル9をテーブル7に固定するロック位置と、パネル9の少なくとも一部をテーブル7から上昇させるリフト位置とに回動する。実施形態において、エアシリンダ22が伸びると、回動部材21がロック位置に回動する。エアシリンダ22が縮むと、回動部材21がリフト位置に回動する。
【0064】
パネル9を開ける場合、操作者は、エアシリンダ22が縮むように操作スイッチ24を操作する。エアシリンダ22が縮むことにより、回動部材21は、ロック位置からリフト位置に回動する。回動部材21のリフト位置への回動により、パネル9の前端部がテーブル7に接続されている状態で、パネル9の後端部がテーブル7から上昇する。回動部材21のリフト位置への回動により、フック部21Bがブロック部9Eから離れ、リフト部21Cが突出部9Bを上昇させる。回動部材21のリフト位置への回動により、フック部21Bがブロック部9Eから後方に離れ、リフト部21Cが突出部9Bの下端部に接触して突出部9Bを上昇させる。
【0065】
リフト部21Cは、爪部9Cがテーブル7に接続されている状態で、突出部9Bを上昇させる。突出部9Bが上昇することにより、プレート部9Aの後端部が上昇し、開口18が開く。
【0066】
回動部材21のリフト位置への回動によりパネル9の後端部が上昇した後、操作者は、爪部9Cがテーブル7から離れるようにプレート部9Aを持ち上げることにより、テーブル7からパネル9を外すことができる。テーブル7からパネル9が外されることにより、開口18が開放される。操作者は、開口18を介して、例えば釜17からボビンを取り出したりミシン1のメンテナンスを実施したりすることができる。
【0067】
パネル9を閉じる場合、操作者は、回動部材21がリフト位置に配置されている状態で、爪部9Cをテーブル7に接続し、突出部9Bをリフト部21Cに乗せる。爪部9Cがテーブル7に接続され、突出部9Bがリフト部21Cに乗った後、操作者は、エアシリンダ22が伸びるように操作スイッチ24を操作する。エアシリンダ22が伸びることにより、回動部材21は、リフト位置からロック位置に回動する。回動部材21のロック位置への回動により、パネル9の爪部9Cがテーブル7に接続されている状態で、リフト部21Cが下降する。回動部材21のロック位置への回動により、リフト部21Cが突出部9Bの下端部に接触した状態で下降するとともに、フック部21Bがブロック部9Eよりも後方からブロック部9Eの上部に掛けられる。フック部21Bがブロック部9Eの上部に掛けられることにより、開口18がパネル9により閉じられた状態で、パネル9がテーブル7に固定される。
【0068】
実施形態においては、パネル9が閉じられた後、フック部21Bがブロック部9Eに掛けられる。すなわち、パネル9が閉じられる前においては、フック部21Bはブロック部9Eに掛けられない。そのため、例えばパネル9とテーブル7との間に手や物体が挟まった状態で、パネル9がテーブル7に固定されることが抑制される。
【0069】
〔その他の実施形態〕
上述の実施形態において、回動部材21を回動させるアクチュエータ22がエアシリンダであることとした。アクチュエータ22は、例えば電動モータでもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…ミシン、2…ヘッド部、3…途中停止スイッチ、4…制御盤、5…操作パネル、6…糸立て台、7…テーブル、8…針板、9…パネル、9A…プレート部、9B…突出部、9C…爪部、9D…孔部、9E…ブロック部、10…針棒、11…天秤、12…中押さえ、13…糸調子、14…ガード、15…ミシン針、16…フレーム部材、17…釜、18…開口、20…開閉装置、21…回動部材、21A…ボディ部、21B…フック部、21C…リフト部、22…エアシリンダ(アクチュエータ)、22A…シリンダチューブ、22B…ピストンロッド、22C…連結部材、22D…回動ピン、23…連結ピン、24…操作スイッチ、90…パネル、AX1…回動軸、AX2…回動軸。