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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173138
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】センサ取付構造
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/24 20060101AFI20241205BHJP
   G01D 11/16 20060101ALI20241205BHJP
   H05K 7/12 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G01D11/24 A
G01D11/16 S
H05K7/12 B
H05K7/12 H
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091354
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 慎平
(72)【発明者】
【氏名】野本 真吾
(72)【発明者】
【氏名】山内 啓右
(72)【発明者】
【氏名】安藤 慎平
(72)【発明者】
【氏名】小川 覚
【テーマコード(参考)】
4E353
【Fターム(参考)】
4E353AA30
4E353BB02
4E353BB03
4E353CC04
4E353CC07
4E353CC16
4E353CC18
4E353DD05
4E353DD06
4E353DR04
4E353DR14
4E353DR15
4E353DR23
4E353DR27
4E353DR32
4E353DR36
4E353DR45
4E353DR49
4E353GG12
4E353GG21
4E353GG29
(57)【要約】
【課題】良好な作業性の下でセンサの取付けが可能であるとともに、誤取付けが生じた場合でもダメージを抑えることができるセンサ取付構造を提供する。
【解決手段】センサ取付構造1は、センサ110と、センサ受け部120と、を備え、センサ受け部120が、座面122aから突出して鍔部分112の一部に係止する受け側係止部124を備え、センサ110における鍔部分112が、受け側係止部124に係止するセンサ側係止部112aと、センサ側係止部112aが受け側係止部124に係止する正規姿勢P11から、中心軸X1回りに所定角度ずれた誤り姿勢でセンサ本体111がセンサ挿入孔123に挿入された状態で受け側係止部124と重なる部分に、センサ挿入孔123へのセンサ本体111の挿入方向について受け側係止部124との干渉を回避する形状で形成された干渉回避部112bと、を備えていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状のセンサ本体、及び、当該センサ本体の長手方向の中間位置において前記センサ本体の外周面から当該センサ本体の太さ方向に張り出した鍔部分、を有するセンサと、
前記センサ本体が、その中心軸回りに回転可能に挿入されるセンサ挿入孔が設けられ、当該センサ挿入孔の周囲の座面に前記鍔部分が当接するまで前記センサ挿入孔に前記センサ本体が挿入された状態で前記センサを支持するセンサ受け部と、を備え、
前記センサ受け部が、
前記座面から突出して前記鍔部分の一部に係止する受け側係止部を備え、
前記センサにおける前記鍔部分が、
前記受け側係止部に係止するセンサ側係止部と、
前記センサ側係止部が前記受け側係止部に係止する正規姿勢から、前記中心軸回りに所定角度ずれた誤り姿勢で前記センサ本体が前記センサ挿入孔に挿入された状態で前記受け側係止部と重なる部分に、前記センサ挿入孔への前記センサ本体の挿入方向について前記受け側係止部との干渉を回避する形状で形成された干渉回避部と、
を備えていることを特徴とするセンサ取付構造。
【請求項2】
前記鍔部分における前記干渉回避部は、前記鍔部分の外周から前記センサ本体の前記中心軸に向かって凹んだ凹部が形成され、当該凹部の内側に前記誤り姿勢のときの前記受け側係止部を収める部位であることを特徴とする請求項1に記載のセンサ取付構造。
【請求項3】
前記センサは、前記中心軸回りに前記センサ側係止部が前記受け側係止部から離れた状態で前記センサ本体が前記センサ挿入孔に挿入された後、前記センサ側係止部が前記受け側係止部に近づく係止回転方向に、前記センサ側係止部が前記受け側係止部に係止するまで回されて前記正規姿勢に至るものであることを特徴とする請求項1に記載のセンサ取付構造。
【請求項4】
前記干渉回避部は、前記誤り姿勢で前記センサ本体が前記センサ挿入孔に挿入された状態では、前記中心軸回りについて前記受け側係止部と干渉することで前記センサの前記係止回転方向への回転を規制することを特徴とする請求項3に記載のセンサ取付構造。
【請求項5】
前記センサ側係止部は、前記鍔部分の外周に沿って前記係止回転方向の前方側から後方側へと切れ込みが設けられることで形成された、前記後方側が固定端で前記前方側が自由端のカンチレバー状の部位であり、前記自由端に前記受け側係止部に係止する係止フックが形成され、前記センサが前記係止回転方向に回されると前記中心軸に向かって撓んで前記係止フックが前記受け側係止部を乗り越えて係止するものであることを特徴とする請求項3に記載のセンサ取付構造。
【請求項6】
前記係止フックにおける前記係止回転方向の前方側と、前記受け側係止部における前記係止回転方向の後方側と、のそれぞれには、前記センサが前記係止回転方向に回されるときに互いに摺擦し合って前記係止フックの前記受け側係止部の乗越えを案内する案内傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のセンサ取付構造。
【請求項7】
前記センサ本体には、前記挿入方向について前記鍔部分よりも前方側で前記外周面から前記太さ方向に突出し、前記センサ本体が前記センサ挿入孔に挿入されて前記センサが前記係止回転方向に回されて前記正規姿勢に至ると、前記鍔部分との間に前記センサ受け部の一部を挟んで抜止めとして機能する抜止め突起が少なくとも一対設けられており、
前記センサ受け部には、前記中心軸回りに前記センサ側係止部が前記受け側係止部から離れた状態で前記センサ本体が前記センサ挿入孔に挿入される際に各前記抜止め突起が通過する突起通過路が前記センサ挿入孔の内周縁から径方向外側へと切り込まれて形成されており、更に、前記座面において各前記突起通過路に前記係止回転方向の前方側で隣接する部分を含む一部座面壁が前記正規姿勢で前記鍔部分と前記抜止め突起とで挟まれるように、各前記一部座面壁の前記座面に対する裏面側に前記抜止め突起の収容空間が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のセンサ取付構造。
【請求項8】
前記抜止め突起が、前記中心軸回りに互いに180°離れて一対設けられており、
前記誤り姿勢が、前記正規姿勢から、前記中心軸回りに180°ずれた反転姿勢であることを特徴とする請求項7に記載のセンサ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
センサ受け部にセンサを取り付けるセンサ取付構造に関するものとなっている。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば温度センサ等のセンサを、温度等の測定対象の装置に設けられたセンサ受け部に取り付けるセンサ取付構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載のセンサ取付構造は、センサの外周面にネジが形成されており、センサ受け部に設けられたネジ孔にセンサがねじ込まれて取り付けられる構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2485023号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載のセンサ取付構造は、ねじ締結構造でありセンサの取付け姿勢が略一意的に決まるため、誤取付けの可能性は低い。他方で、ねじ締結に際して厳密なトルク管理等が必要となり、作業性が良くないという問題がある。また、ねじ締結以外のセンサ取付構造については、誤取付けの可能性があり、誤取付けが生じたときにセンサやセンサ受け部にダメージを与える恐れがあるという問題がある。
【0005】
従って、本発明は、上記のような問題に着目し、良好な作業性の下でセンサの取付けが可能であるとともに、誤取付けが生じた場合でもダメージを抑えることができるセンサ取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、センサ取付構造は、棒状のセンサ本体、及び、当該センサ本体の長手方向の中間位置において前記センサ本体の外周面から当該センサ本体の太さ方向に張り出した鍔部分、を有するセンサと、前記センサ本体が、その中心軸回りに回転可能に挿入されるセンサ挿入孔が設けられ、当該センサ挿入孔の周囲の座面に前記鍔部分が当接するまで前記センサ挿入孔に前記センサ本体が挿入された状態で前記センサを支持するセンサ受け部と、を備え、前記センサ受け部が、前記座面から突出して前記鍔部分の一部に係止する受け側係止部を備え、前記センサにおける前記鍔部分が、前記受け側係止部に係止するセンサ側係止部と、前記センサ側係止部が前記受け側係止部に係止する正規姿勢から、前記中心軸回りに所定角度ずれた誤り姿勢で前記センサ本体が前記センサ挿入孔に挿入された状態で前記受け側係止部と重なる部分に、前記センサ挿入孔への前記センサ本体の挿入方向について前記受け側係止部との干渉を回避する形状で形成された干渉回避部と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記のセンサ取付構造によれば、良好な作業性の下でセンサの取付けが可能であるとともに、誤取付けが生じた場合でもダメージを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るセンサ取付構造を示す斜視図である。
図2図1に示されているセンサ取付構造におけるセンサを示す斜視図である。
図3図1に示されているセンサ取付構造におけるセンサ受け部を示す斜視図である。
図4図1及び図2に示されている抜止め突起が、図1及び図3に示されている突起通過路を通過して抜止めとして機能する様子を、センサ受け部における座面に対する裏側からセンサ取付構造を見て示した斜視図である。
図5図1及び図2に示されている抜止め突起が、図1及び図3に示されている突起通過路を通過して抜止めとして機能する様子を、センサ取付構造における、センサ本体の中心軸に沿って一対の抜止め突起を通る断面で示した図である。
図6】誤り姿勢での誤取付けが生じた場合にセンサやセンサ受け部へのダメージが抑えられることを説明するために、図1図5のセンサ取付構造に対する比較例を示した図である。
図7図6に示されている比較例に対し、図1図5のセンサ取付構造において誤取付けが生じた場合にセンサやセンサ受け部へのダメージが抑えられる様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、センサ取付構造の一実施形態について説明する。
【0010】
図1は、一実施形態に係るセンサ取付構造を示す斜視図であり、図2は、図1に示されているセンサ取付構造におけるセンサを示す斜視図であり、図3は、図1に示されているセンサ取付構造におけるセンサ受け部を示す斜視図である。
【0011】
本実施形態のセンサ取付構造1は、例えば温度センサ等として利用される棒状のセンサ本体111を有するセンサ110を、センサ挿入孔123が設けられたセンサ受け部120に取り付ける構造となっている。センサ110は、センサ本体111及び鍔部分112を有している。センサ受け部120は、温度等の測定対象の装置等の外壁2に設けられた円筒状の部位であり、筒本体部121及び肉厚円板状の座面部122を有しており、センサ挿入孔123が座面部122から筒本体部121を経て外壁2を貫通するように形成されている。センサ110では、センサ本体111におけるセンサ挿入孔123への挿入方向D11の先端側に検知部111aが設けられており、センサ110は、この検知部111aが外壁2を貫通して装置等の内部に達するようにセンサ受け部120に取り付けられる。また、センサ本体111における検知部111aと反対側の端部は、センサ110の取付け時に作業者が把持する摘まみ部111bとなっている。
【0012】
棒状のセンサ本体111では、検知部111a及び中間部111cが、検知部111aが小径で及び中間部111cが大径の円柱形状の部分となっている。他方、摘まみ部111bは、センサ本体111の中心軸X1に対する交差断面が楕円状となった、作業者が摘まみ易い扁平形状の部分となっている。
【0013】
センサ110における鍔部分112は、センサ本体111の長手方向D12の中間位置においてセンサ本体111の外周面111dから当該センサ本体111の太さ方向D13に張り出した略円板状の部位である。
【0014】
センサ受け部120における座面部122におけるセンサ挿入孔123の周囲は、センサ本体111がセンサ挿入孔123に挿入されたときに鍔部分112が当接する座面122aとなっている。センサ本体111は、その中心軸X1回りに回転可能にセンサ挿入孔123に挿入され、センサ受け部120は、座面122aに鍔部分112が当接するまでセンサ挿入孔123にセンサ本体111が挿入された状態でセンサ110を支持する。そして、このセンサ受け部120には、座面122aから突出して鍔部分112の一部である後述のセンサ側係止部112aに係止する受け側係止部124が設けられている。
【0015】
他方、センサ110における鍔部分112には、センサ側係止部112aと干渉回避部112bとが設けられている。
【0016】
センサ側係止部112aは、図1に示されている正規姿勢P11でセンサ110が取り付けられたときに受け側係止部124に係止する部位である。ここで、本実施形態では、センサ側係止部112aは、後述するカンチレバー状の部位となっており、その自由端に受け側係止部124に係止する係止フック112a-1が形成されている。
【0017】
センサ110は、センサ受け部120への取付け時には、まず、中心軸X1回りにセンサ側係止部112aの係止フック112a-1が受け側係止部124から離れた状態でセンサ本体111がセンサ挿入孔123に挿入される。その後、係止フック112a-1が受け側係止部124に近づく係止回転方向D14に、係止フック112a-1が受け側係止部124に係止するまで回されて正規姿勢P11に至る。
【0018】
自由端に係止フック112a-1が形成されたカンチレバー状のセンサ側係止部112aは、鍔部分112の外周に沿って係止回転方向D14の前方側から後方側へと延在する切れ込み112a-2が設けられることで形成されている。このセンサ側係止部112aは、係止回転方向D14の後方側が固定端で前方側が自由端となっており、その自由端に係止フック112a-1が形成されている。センサ本体111の挿入後、係止回転方向D14にセンサ110が回されると、センサ側係止部112aが中心軸X1に向かって撓んで係止フック112a-1が受け側係止部124を乗り越えて正規姿勢P11に至る。この正規姿勢P11において、係止フック112a-1が受け側係止部124に係止する。
【0019】
また、係止フック112a-1における係止回転方向D14の前方側には、センサ側案内傾斜面112a-3が形成され、受け側係止部124における係止回転方向D14の後方側には受け側案内傾斜面124aが形成されている。センサ110が係止回転方向D14に回されるときには、センサ側案内傾斜面112a-3及び受け側案内傾斜面124aが、互いに摺擦し合って係止フック112a-1の受け側係止部124の乗越えを案内する。
【0020】
また、鍔部分112に設けられる干渉回避部112bは、上記の正規姿勢P11から中心軸X1回りに所定角度ずれた誤り姿勢でセンサ本体111が挿入されたときに、鍔部分112と受け側係止部124との干渉を回避するための部位である。この干渉回避部112bは、鍔部分112において、誤り姿勢でセンサ本体111が挿入された状態で受け側係止部124と重なる部分に形成されている。そして、干渉回避部112bは、センサ挿入孔123へのセンサ本体111の挿入方向D11について受け側係止部124との干渉を回避する形状で形成されている。具体的には、干渉回避部112bは、鍔部分112の外周からセンサ本体111の中心軸X1に向かってL字型に凹んだ凹部112b-1が形成され、当該凹部112b-1の内側に誤り姿勢のときの受け側係止部124を収める。ここで、本実施形態では、誤り姿勢が、詳細については後述するように正規姿勢P11から中心軸X1回りに180°ずれた反転姿勢となっている。このため、干渉回避部112bにおける凹部112b-1は、センサ側係止部112aに対して中心軸X1回りに180°ずれた部分を含むように設けられている。
【0021】
また、本実施形態では、センサ本体111に、挿入方向D11について鍔部分112よりも前方側で外周面111dから太さ方向D13に突出するように一対の抜止め突起111eが設けられている。他方、センサ受け部120には、センサ本体111の挿入時に一対の抜止め突起111eが一対一に通過する一対の突起通過路125が設けられている。
【0022】
図4は、図1及び図2に示されている抜止め突起が、図1及び図3に示されている突起通過路を通過して抜止めとして機能する様子を、センサ受け部における座面に対する裏側からセンサ取付構造を見て示した斜視図である。また、図5は、図1及び図2に示されている抜止め突起が、図1及び図3に示されている突起通過路を通過して抜止めとして機能する様子を、センサ取付構造における、センサ本体の中心軸に沿って一対の抜止め突起を通る断面で示した図である。
【0023】
センサ110における棒状のセンサ本体111から太さ方向D13に突出する一対の抜止め突起111eは、上述のように、挿入方向D11について鍔部分112よりも前方側に設けられている。また、一対の抜止め突起111eは、センサ本体111の中心軸X1回りに互いに180°ずれた位置に設けられた角柱状の突起となっている。
【0024】
上述したように、センサ取付構造1では、センサ本体111がセンサ挿入孔123に挿入されてセンサ110が係止回転方向D14に回されて正規姿勢P11に至る。センサ受け部120には、中心軸X1回りにセンサ側係止部112aの係止フック112a-1が受け側係止部124から離れた状態でセンサ本体111に挿入される際に一対の抜止め突起111eが一対一に通過する一対の突起通過路125が設けられている。これら一対の突起通過路125は、円板状の座面部122が、センサ挿入孔123の内周縁から径方向外側へと切り込まれて形成されている。センサ110が正規姿勢P11に至る際には、突起通過路125を通過した抜止め突起111eは、突起通過路125からずれて係止回転方向D14に回転移動する。すると、抜止め突起111eは、鍔部分112との間にセンサ受け部120の一部である一部座面壁126を挟んで抜止めとして機能する。一部座面壁126は、座面部122の座面122aにおいて突起通過路125に係止回転方向D14の前方側で隣接する部分を含む外壁部分である。そして、この一部座面壁126の座面122aに対する裏面側には、突起通過路125を通過した抜止め突起111eが係止回転方向D14に回転移動可能に収容される収容空間127が形成されている。
【0025】
以上に説明したセンサ取付構造1によれば、センサ挿入孔123へのセンサ本体111の挿入と、センサ側係止部112aの受け側係止部124への係止と、によってセンサ110がセンサ受け部120に取り付けられる。このセンサ取付構造1では、ねじ締結構造が使われていないのでトルク管理等が不要であり、その分、良好な作業性の下でセンサ110の取付けが可能となっている。また、このセンサ取付構造1によれば、正規姿勢P11から中心軸X1回りにずれた誤り姿勢での誤取付けが生じた場合、鍔部分112の干渉回避部112bによってセンサ110や取付け箇所としてのセンサ受け部120へのダメージが次のように抑えられる。
【0026】
図6は、誤り姿勢での誤取付けが生じた場合にセンサやセンサ受け部へのダメージが抑えられることを説明するために、図1図5のセンサ取付構造に対する比較例を示した図である。また、図7は、図6に示されている比較例に対し、図1図5のセンサ取付構造において誤取付けが生じた場合にセンサやセンサ受け部へのダメージが抑えられる様子を示す説明図である。尚、図6では、図1図5及び図7に示されている構成要素と同等な構成要素については、図1図5及び図7(主に図7)と同じ符号が付されており、以下では、それら同等な構成要素についての重複説明を割愛する。
【0027】
図6に示されている比較例のセンサ取付構造5では、本実施形態において誤取付けが生じた場合のダメージの抑制を担っている干渉回避部112bが鍔部分512に設けられていない。比較例のセンサ取付構造5は、この他は、本実施形態のセンサ取付構造1と同等な構成を有している。この比較例のセンサ取付構造5では、本実施形態のセンサ取付構造1と同様に、正規姿勢P11から中心軸X1回りに180°ずれた反転姿勢を誤り姿勢P12とした誤取付けが生じる可能性がある。この場合、比較例のセンサ取付構造5では、センサ受け部120における受け側係止部124とセンサ510における鍔部分512とが干渉し、何れか一方、又は両方がダメージを受ける恐れがある。
【0028】
これに対し、本実施形態のセンサ取付構造1では、誤り姿勢P12での誤取付けが生じた場合には、干渉回避部112bによってセンサ受け部120における受け側係止部124とセンサ110における鍔部分112との干渉が回避される。本実施形態のセンサ取付構造1によれば、この干渉回避により、誤取付けが生じた場合のセンサ110やセンサ受け部120へのダメージが抑えられる。このように、上記のセンサ取付構造1によれば、良好な作業性の下でセンサ110の取付けが可能であるとともに、誤取付けが生じた場合でもダメージを抑えることができる。
【0029】
ここで、本実施形態では、鍔部分112における干渉回避部112bは、凹部112b-1の内側に誤り姿勢P12のときの受け側係止部124を収める部位となっている。この構成によれば、干渉回避部112bに形成された凹部112b-1の内側に受け側係止部124を収めることで、誤り姿勢P12での誤取付けが生じた場合の鍔部分112と受け側係止部124との干渉を効果的に回避することができる。
【0030】
また、本実施形態では、センサ側係止部112aが受け側係止部124から離れた状態でセンサ本体111がセンサ挿入孔123に挿入された後、センサ110が係止回転方向D14に回されて正規姿勢P11に至るものとなっている。この構成によれば、センサ側係止部112aを受け側係止部124から離した状態でのセンサ本体111の挿入と、係止回転方向S14へのセンサ110の回転と、の2ステップの操作によりセンサ110が取り付けられる。このようにセンサ110の取付け操作が2段階に分かれていることで、1ステップで取り付けられる構造に比べると、誤り姿勢P12による誤取付けに作業者が気付く機会が増えるので、誤取付けの発生を抑えることができる。
【0031】
また、本実施形態では、干渉回避部112bは、誤り姿勢P12でセンサ本体111がセンサ挿入孔123に挿入された状態では、中心軸X1回りについて受け側係止部124と干渉することでセンサ110の係止回転方向D14への回転を規制する。この構成によれば、誤取付けが生じた場合には係止回転方向D14へのセンサ110の回転が規制されるので、作業者が誤取付けに気付き易くなり、誤取付けの発生を更に抑えることができる。
【0032】
また、本実施形態では、センサ側係止部112aは、係止回転方向D14の後方側が固定端で前方側が自由端のカンチレバー状の部位であり、自由端に受け側係止部124に係止する係止フック112a-1が形成されている。センサ110が係止回転方向D14に回されるとセンサ側係止部112aが中心軸X1に向かって撓んで係止フック112a-1が受け側係止部124を乗り越えて係止する。この構成によれば、正規姿勢P11でセンサ110が正しく取付けられた場合には、係止フック112a-1が受け側係止部124を乗り越えて係止することによるクリック感を作業者に感得させることができる。作業者は、このクリック感の有無によって作業者が誤取付けに気付き易くなり、誤取付けの発生を更に抑えることができる。
【0033】
また、本実施形態では、センサ110が係止回転方向D14に回されるときには、センサ側案内傾斜面112a-3と受け側案内傾斜面124aが互いに摺擦し合って係止フック112a-1の受け側係止部124の乗越えを案内する。この構成によれば、センサ側案内傾斜面112a-3と受け側案内傾斜面124aの摺擦により、係止フック112a-1が受け側係止部124を乗り越える際の抵抗が低減されるので、センサ110の取付けに関する作業性を一層向上させることができる。
【0034】
また、本実施形態では、センサ本体111に一対の抜止め突起111eが設けられ、センサ受け部120に抜止め突起111eが一対一に通過する一対の突起通過路125が形成されている。更に、センサ受け部120には、各突起通過路125に係止回転方向D14の前方側で隣接する一部座面壁126の裏面側に抜止め突起111eの収容空間127が形成されている。この構成によれば、抜止め突起111eが突起通過路125を通過可能な姿勢以外でのセンサ110の取付けが回避されるので、誤取付けの発生を一層抑えることができる。また、収容空間127の内部に位置付けられた抜止め突起111eと鍔部分112で突起通過路125に隣接する一部座面壁126を挟むことでセンサ110の抜止めがなされるので、センサ110を安定した状態でセンサ受け部120に取り付けることができる。
【0035】
また、本実施形態では、抜止め突起111eが、中心軸X1回りに互いに180°離れて一対設けられており、誤り姿勢P12が、正規姿勢P11から、中心軸X1回りに180°ずれた反転姿勢となっている。この構成によれば、中心軸X1に対して回転対称の位置に配置された必要最小限の一対の抜止め突起111eにより、バランス良くセンサ110の抜止めを行うことができる。また、正規姿勢P11からの誤り姿勢P12のずれ角度を180°という大きな角度とすることで、この誤り姿勢P12での誤取付けの発生を更に抑えることができる。
【0036】
尚、以上に説明した実施形態は、センサ取付構造の代表的な形態を示したに過ぎない。センサ取付構造は、これに限定されるものではなく種々変形して実施することができる。
【0037】
例えば、上述した実施形態では、センサ取付構造の一例として、例えば温度センサ等として利用されるセンサ110を、温度等の測定対象の装置等の外壁2に設けられたセンサ受け部120に取り付けるセンサ取付構造1が例示されている。しかしながら、センサ取付構造は、これに限るものではなく、センサの具体的な種類やセンサ受け部の具体的な設置場所は、検知目的等に応じて適宜に設定し得るものである。
【0038】
また、上述した実施形態では、センサの一例として、小径の検知部111a、大径の中間部111c、及び扁平形状の摘まみ部111bで構成されたセンサ本体111と、略円板状の鍔部分112と、を備えたセンサ110が例示されている。また、センサ受け部の一例として、円筒状の筒本体部121及び肉厚円板状の座面部122を有するセンサ受け部120が例示されている。しかしながら、センサ及びセンサ受け部は、これらに限るものではない。センサは、棒状のセンサ本体とその太さ方向に張り出した鍔部分を有するものであれば、各部の具体的な形状等は、これを問うものではない。また、センサ受け部は、センサ本体が回転可能に挿入されるセンサ挿入孔が設けられ、その周囲の座面に鍔部分が当接するまでセンサ本体が挿入された状態でセンサを支持するものであれば、各部の具体的な形状等は、これを問うものではない。
【0039】
また、上述した実施形態では、干渉回避部の一例として、鍔部分112の外周から中心軸X1に向かって凹んだ凹部112b-1の内側に誤り姿勢P12のときの受け側係止部124を収める干渉回避部112bが例示されている。しかしながら、干渉回避部は、これに限るものではなく、鍔部分の厚み方向に凹んで内側に誤り姿勢のときの受け側係止部を収める窪みや、鍔部分を厚み方向に貫通して内側に誤り姿勢のときの受け側係止部を収める貫通孔等が形成された部位であってもよい。即ち、干渉回避部は、センサ本体の挿入方向について誤り姿勢のときの受け側係止部との干渉を回避する形状で形成されたものであれば、その具体的な形状等と問うものではない。ただし、外周から中心軸X1に向かって凹んだ凹部112b-1が形成された干渉回避部112bによれば、誤り姿勢P12での干渉を効果的に回避することができる点は上述した通りである。
【0040】
また、上述した実施形態では、センサ取付構造の一例として、センサ本体111がセンサ挿入孔123に挿入された後、センサ110が係止回転方向D14に回されてセンサ側係止部112aが受け側係止部124に係止するセンサ取付構造1が例示されている。しかしながら、センサ取付構造は、これに限るものではなく、例えばセンサ本体がセンサ挿入孔に挿入されると同時にセンサ側係止部が受け側係止部に係止する構造等であってもよい。ただし、センサ本体111の挿入と回転との2ステップでセンサ側係止部112aを受け側係止部124に係止させる構造によれば、誤取付けの発生を抑えることができる点は上述した通りである。
【0041】
また、上述した実施形態では、センサ取付構造の一例として、誤り姿勢P12でのセンサ110の係止回転方向D14への回転が、干渉回避部112bと受け側係止部124との干渉によって規制されるセンサ取付構造1が例示されている。しかしながら、センサ取付構造は、これに限るものではなく、誤り姿勢でのセンサの係止回転方向への回転が特には規制されないものであってもよい。ただし、誤り姿勢P12でのセンサ110の回転規制によれば、誤取付けの発生を更に抑えることができる点は上述した通りである。
【0042】
また、上述した実施形態では、センサ側係止部の一例として、自由端に受け側係止部124に係止する係止フック112a-1が形成されたカンチレバー状のセンサ側係止部112aが例示されている。しかしながら、センサ側係止部は、これに限るものではなく、センサ受け部に対する具体的な係止構造を問うものではない。ただし、自由端に係止フック112a-1が形成されたカンチレバー状のセンサ側係止部112aによれば、正規姿勢でセンサ110が取り付けられたとき生ずるクリック感の有無により、誤取付けの発生を更に抑えることができる点は上述した通りである。
【0043】
また、上述した実施形態では、係止フック及び受け側係止部の各一例として、センサ側案内傾斜面112a-3が設けられた係止フック112a-1及び受け側案内傾斜面124aが設けられた受け側係止部124が例示されている。しかしながら、係止フック及び受け側係止部は、これらに限るものではなく、センサの回転時に互いに摺擦し合う如何なる傾斜面も設けられていないものであってもよい。しかしながら、センサ110の回転時に、センサ側案内傾斜面112a-3と受け側案内傾斜面124aが互いに摺擦し合う構造によれば、センサ110の取付けに関する作業性を一層向上させることができる点は上述した通りである。
【0044】
また、上述した実施形態では、センサ取付構造の一例として、センサ本体111に一対の抜止め突起111eが設けられ、センサ受け部120に一対の突起通過路125と一対の収容空間127が設けられたセンサ取付構造1が例示されている。しかしながら、センサ取付構造は、これに限るものではなく、センサ本体には如何なる抜止め突起も設けず、センサ受け部には抜止め突起に対応する如何なる通過路や収容空間も設けないこととしてもよい。ただし、抜止め突起111e、突起通過路125、及び収容空間127を設けたセンサ取付構造1によれば、誤取付けの発生を一層抑えることができ、センサ110を安定した状態でセンサ受け部120に取り付けることができる点は上述した通りである。
【0045】
また、上述した実施形態では、センサ取付構造の一例として、抜止め突起111eが、互いに180°離れて一対設けられ、誤り姿勢P12が、正規姿勢P11から180°ずれた反転姿勢となったセンサ取付構造1が例示されている。しかしながら、センサ取付構造は、これに限るものではなく、抜止め突起が少なくとも一対設けられるのであれば、抜止め突起の具体的な数や、正規姿勢に対する誤り姿勢の具体的な位置関係等については、適宜に設定し得るものである。ただし、抜止め突起111eを上記のように一対設け、誤り姿勢P12を上記の反転姿勢としたセンサ取付構造1によれば、バランス良くセンサ110の抜止めを行い、誤り姿勢P12での誤取付けの発生を更に抑えることができる点は上述した通りである。
【符号の説明】
【0046】
1 センサ取付構造
2 外壁
110 センサ
111 センサ本体
111a 検知部
111b 摘まみ部
111c 中間部
111d 外周面
111e 抜止め突起
112 鍔部分
112a センサ側係止部
112a-1 係止フック
112a-2 切れ込み
112a-3 センサ側案内傾斜面
112b 干渉回避部
112b-1 凹部
120 センサ受け部
121 筒本体部
122 座面部
122a 座面
123 センサ挿入孔
124 受け側係止部
124a 受け側案内傾斜面
125 突起通過路
126 一部座面壁
127 収容空間
D11 挿入方向
D12 長手方向
D13 太さ方向
D14 係止回転方向
P11 正規姿勢
P12 誤り姿勢
X1 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7