(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017314
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】通信装置、通信スイッチ及びiTAS周期設定方法
(51)【国際特許分類】
H04L 47/24 20220101AFI20240201BHJP
H04L 45/24 20220101ALI20240201BHJP
H04L 12/28 20060101ALI20240201BHJP
H04L 47/41 20220101ALI20240201BHJP
【FI】
H04L47/24
H04L45/24
H04L12/28 200D
H04L47/41
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119863
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】引持 憲一
(72)【発明者】
【氏名】西村 和人
(72)【発明者】
【氏名】三宅 昭二
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 二郎
(72)【発明者】
【氏名】佐別當 祥和
【テーマコード(参考)】
5K030
5K033
【Fターム(参考)】
5K030GA02
5K030HD03
5K030LC01
5K033AA01
5K033CB06
5K033CB17
(57)【要約】
【課題】高優先フローの出力遅延を抑制できる通信装置等を提供する。
【解決手段】通信装置は、伝送装置とMC-LAGで接続する通信装置である。通信装置は、MC-LAGを構成する他方の通信装置とパスを用いて接続する第1の出力ポートと、パスと異なる他のパスと接続する第2の出力ポートと、を有する。通信装置は、第1の出力ポート及び第2の出力ポートに夫々配置され、設定中のiTAS周期に基づき、高優先フローを優先出力するiTAS装置を有する。通信装置は、取得部と、設定部とを有する。取得部は、第1の出力ポートに配置されたiTAS装置に設定される第1のiTAS周期と、パスと接続する、他方の通信装置内の第3の出力ポートに配置されたiTAS装置に設定される第2のiTAS周期とを取得する。設定部は、第1のiTAS周期及び第2のiTAS周期に基づき、第2の出力ポートに配置されたiTAS装置のiTAS周期を設定する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送装置とMC-LAG(Multi-Chassis Link Aggregation)で接続する通信装置であって、
前記MC-LAGを構成する他方の通信装置とパスを用いて接続する第1の出力ポートと、
前記パスと異なる他のパスと接続する第2の出力ポートと、
前記第1の出力ポート及び前記第2の出力ポートに夫々配置され、設定中のiTAS(Intelligent Time Aware Shaper)周期に基づき、高優先フローを優先出力するiTAS装置と、
前記第1の出力ポートに配置された前記iTAS装置に設定される第1のiTAS周期と、前記パスと接続する、前記他方の通信装置内の第3の出力ポートに配置されたiTAS装置に設定される第2のiTAS周期とを取得する取得部と、
前記第1のiTAS周期及び前記第2のiTAS周期に基づき、前記第2の出力ポートに配置された前記iTAS装置のiTAS周期を設定する設定部と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第2の出力ポートは、
第1のパスと接続する第4の出力ポートと、
第2のパスを用いて前記伝送装置と接続する第5の出力ポートと、を有し、
前記設定部は、
前記第1のiTAS周期と前記第2のiTAS周期とが衝突しない第3のiTAS周期を前記第5の出力ポートに配置された前記iTAS装置に設定すると共に、前記第2のiTAS周期を前記第4の出力ポートに配置された前記iTAS装置に設定することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第1のiTAS周期と前記第2のiTAS周期とが衝突しない第3のiTAS周期は、前記第1のiTAS周期と前記第2のiTAS周期との最小公倍数のiTAS周期であることを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
伝送装置と、MC-LAG(Multi-Chassis Link Aggregation)で前記伝送装置と接続する2台の通信装置と、を有する通信スイッチであって、
前記2台の通信装置の内の第1の通信装置は、
前記2台の通信装置の内の第2の通信装置とパスを用いて接続する第1の出力ポートと、
前記パスと異なる他のパスと接続する第2の出力ポートと、
前記第1の出力ポート及び前記第2の出力ポートに夫々配置され、設定中のiTAS(Intelligent Time Aware Shaper)周期に基づき、高優先フローを優先出力するiTAS装置と、
前記第1の出力ポートに配置された前記iTAS装置に設定される第1のiTAS周期と、前記パスと接続する、前記第2の通信装置内の第3の出力ポートに配置されたiTAS装置に設定される第2のiTAS周期とを取得する第1の取得部と、
前記第1のiTAS周期及び前記第2のiTAS周期に基づき、前記第2の出力ポートに配置された前記iTAS装置のiTAS周期を設定する第1の設定部と、
を有することを特徴とする通信スイッチ。
【請求項5】
前記第2の出力ポートは、
第1のパスと接続する第4の出力ポートと、
第2のパスを用いて前記伝送装置と接続する第5の出力ポートと、を有し、
前記第1の設定部は、
前記第1のiTAS周期と前記第2のiTAS周期とが衝突しない第3のiTAS周期を前記第5の出力ポートに配置された前記iTAS装置に設定すると共に、前記第2のiTAS周期を前記第4の出力ポートに配置された前記iTAS装置に設定することを特徴とする請求項4に記載の通信スイッチ。
【請求項6】
前記第2の通信装置は、
第3のパスと接続する第6の出力ポートと、
前記第2のパスを用いて前記伝送装置と接続する第7の出力ポートと、
前記第1の通信装置と前記パスを用いて接続する前記第3の出力ポートと、
前記第6の出力ポート、前記第7の出力ポート及び前記第3の出力ポートに夫々配置され、設定中のiTAS周期に基づき、高優先フローを優先出力する他方のiTAS装置と、
前記第1のiTAS周期と、前記第2のiTAS周期とを取得する第2の取得部と、
前記第1のiTAS周期と前記第2のiTAS周期とが衝突しない第3のiTAS周期を前記第7の出力ポートに配置された前記他方のiTAS装置に設定すると共に、前記第1のiTAS周期を前記第6の出力ポートに配置された前記他方のiTAS装置に設定する第2の設定部と、
を有することを特徴とする請求項5に記載の通信スイッチ。
【請求項7】
前記第1の通信装置は、
MC-LAGのアクティブ状態の場合、前記第1のパスから流入する第1の高優先フローの第1の周期、前記第2のパスから前記第1のパスに流入する第2の高優先フローの第2の周期及び、前記第2のパスから前記第1の通信装置経由で前記パスに流入する第3の高優先フローの第3の周期を抽出する第1の抽出部と、
前記第1の周期、前記第2の周期及び前記第3の周期を、前記パスを用いて前記第2の通信装置に通知する第1の通信部と、を有し、
前記第2の通信装置は、
MC-LAGのスタンバイ状態の場合、前記第3のパスから流入する第4の高優先フローの第4の周期を抽出する第2の抽出部と、
前記第4の周期を、前記パスを用いて前記第1の通信装置に通知すると共に、前記第1の通信装置からの前記第1の周期、前記第2の周期及び前記第3の周期を受信する第2の通信部と、
を有することを特徴とする請求項6に記載の通信スイッチ。
【請求項8】
前記第1の取得部は、
前記第1の周期及び前記第3の周期に基づき、前記第1の周期と前記第3の周期とが衝突しない周期である前記第1のiTAS周期を取得し、
前記第1の通信部は、
前記第1のiTAS周期を前記第2の通信装置に通知し、
前記第2の取得部は、
前記第2の周期及び前記第4の周期に基づき、前記第2の周期と前記第4の周期とが衝突しない周期である前記第2のiTAS周期を取得し、
前記第2の通信部は、
前記第2のiTAS周期を前記第1の通信装置に通知することを特徴とする請求項7に記載の通信スイッチ。
【請求項9】
伝送装置とMC-LAG(Multi-Chassis Link Aggregation)で接続する通信装置であって、
前記MC-LAGを構成する他方の通信装置とパスを用いて接続する第1の出力ポートと、
前記パスと異なる他のパスと接続する第2の出力ポートと、
前記第1の出力ポート及び前記第2の出力ポートに夫々配置され、設定中のiTAS(Intelligent Time Aware Shaper)周期に基づき、高優先フローを優先出力するiTAS装置と、を有し、
前記通信装置は、
前記第1の出力ポートに配置された前記iTAS装置に設定される第1のiTAS周期と、前記パスと接続する、前記他方の通信装置内の第3の出力ポートに配置されたiTAS装置に設定される第2のiTAS周期とを取得し、
前記第1のiTAS周期及び前記第2のiTAS周期に基づき、前記第2の出力ポートに配置された前記iTAS装置のiTAS周期を設定する
処理を実行することを特徴とするiTAS周期設定方法。
【請求項10】
前記第2の出力ポートは、
第1のパスと接続する第4の出力ポートと、
第2のパスを用いて前記伝送装置と接続する第5の出力ポートと、を有し、
前記通信装置は、
前記第2の出力ポートに配置された前記iTAS装置のiTAS周期を設定する処理として、前記第1のiTAS周期と前記第2のiTAS周期とが衝突しない第3のiTAS周期を前記第5の出力ポートに配置された前記iTAS装置に設定すると共に、前記第2のiTAS周期を前記第4の出力ポートに配置された前記iTAS装置に設定する
処理を実行することを特徴とする請求項9に記載のiTAS周期設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信スイッチ及びiTAS周期設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、第5世代移動通信システム(5G)の実現に向け、例えば、BBU(Baseband Unit)及びRRH(Remote Radio Head)や、CU(Centralized Unit)、DU(Distributed Unit)及びRU(Radio Unit)で構成するC-RAN(Centralized Radio Access Network)が検討されている。DUとRUとの間のMFH(Mobile Front Haul)回線は、無線の信号をEther Frameに格納して伝送するeCPRI(Enhanced Common Public Radio Interface)方式の採用が検討されている。
【0003】
MFH回線と接続する通信システムでは、情報がレイヤ2パケットとして扱われるため、基地局間を接続するMBH(Mobile Back Haul)回線や有線ネットワーク等との間でネットワークを共有できる。しかしながら、通信システムでは、MFH回線からのMFHパケットが、他のパケットフロー、例えば、MBH回線からのMBHフローとのタイミング競合で出力遅延が生じるため、出力遅延を抑制する優先制御処理が知られている。優先制御処理は、後続の高優先フローが、キューイングされている低優先フローを追い越して優先的に読み出されることになるため、高優先フロー、すなわちMFHフローの出力遅延を抑制できる。
【0004】
また、更なるMFHフローの出力遅延を抑制する方法としてIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.1TSN(Time Sensitive Networking)が検討されている。TSNには、MFHフローの出力遅延を抑制するデータプレーン機能としてIEEE802.1QbvというTAS(Time Aware Shaper)方式がある。
【0005】
TAS技術を採用したTAS装置では、受信フローの種別毎に設けられたゲートの開閉を制御するGCL(Gate Control List)に基づき、各ゲートを開閉する。各ゲートは、MFHフローの出力を開閉するゲートと、MBHフローの出力を開閉するゲートとを有する。GCLは、MFHフローのトラフィックパターンを利用してTS(Time slot)毎の各ゲートの開閉を制御する開閉情報を管理している。TAS装置は、GCLを参照してTS毎の各ゲートの開閉を制御することで、MFHフローを優先的に出力できる。
【0006】
また、TAS装置では、マイクロ秒オーダの非常にセンシティブなゲート開閉設定を実現するために、それを維持する仕組が求められている。そこで、TAS装置では、MFHフロー及びMBHフローのタイミングを取得し、これらパケットフローの転送周期・位相等を自律学習する。そして、TAS装置では、自律学習した内容に基づき、MFHフロー又はMFHフローの出力タイミングを管理するGCLのテーブル内容を修正するiTAS(Intelligent TAS)技術を採用している。
【0007】
図24は、iTAS処理に関わる各iTAS装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図24においてiTAS装置では、周期判定フェーズを実行する(ステップS101)。周期判定フェーズを実行するiTAS装置は、MFHフローのバースト信号をサンプリングすることで、MFHフローのバースト信号の周期性を繰り返し検出することになる。そして、iTAS装置は、繰り返し検出したMFHフローのバースト信号の周期性に基づき、GCLのリスト長を調整する。
【0008】
更に、iTAS装置は、周期判定フェーズを実行した後、クローズTS決定フェーズを実行する(ステップS102)。クローズTS決定フェーズを実行するiTAS装置は、MFHフローのバースト信号のトラフィックパターン(バースト長さ,位置等)を検出する。そして、iTAS装置は、MFHフローの出力タイミングで非MFHフローの出力を停止するためのクローズTSを決定してGCLを生成する。
【0009】
そして、iTAS装置は、クローズTS決定フェーズを実行した後、運用を開始する定常監視フェーズを実行する(ステップS103)。定常監視フェーズを実行するiTAS装置は、GCLに基づき、各パケットフローの出力ゲートの開閉動作を実行する。尚、定常監視フェーズでは、クロック偏差等により学習時とパケット到着タイミングとでずれる可能性があるため、このズレを監視しながら、GCL内のクローズTSを修正する。その結果、高優先フローの出力遅延を抑制できる。
【0010】
また、近年、LAG(Link Aggregation)の拡張技術として、MC-LAG(Multi-Chassis Link Aggregation)が知られている。MC-LAGは、LAGを隣接する通信装置間に拡張し、複数の通信装置を論理的に1個の通信装置のように見せかけてLAGを構築する技術である。MC-LAGには、例えば、2本の経路の内、一方の経路を運用とする通信装置のACT(Active)状態と、他方の経路を予備とする他方の通信装置のSTBY(Standby)状態とするACT/STBYの冗長構成がある。
【0011】
図25は、MC-LAGのパケットスイッチ100の一例を示す説明図である。
図25に示すパケットスイッチ100は、MC-LAGを構成する通信装置である第1のNE(Network Element)101Aと、MC-LAGを構成する通信装置である第2のNE101Bと、第3のNE120とを有する。第3のNE120は、MC-LAG方式で第1のNE101A及び第2のNE101Bと接続する伝送装置である。第1のNE101A及び第2のNE101Bには、宛先MACアドレス、出力ポート及びVLANの組合せを管理するFDB(Forwarding DataBase)を有し、FDBを参照し、受信パケットを転送先ポートに出力することになる。
【0012】
また、第1のNE101Aと第2のNE101Bとの間はIPL(Inter Peer Link)113で接続する。IPL113は、第1のNE101Aと第2のNE101Bとの間でFDB同期を実行するための専用線である。
【0013】
第1のNE101Aは、外部のL2SWと接続するL2SW側ポート111と、第3のNE102と接続するMC-LAG側ポート112と、第2のNE101Bと接続するIPL側ポートとを有する。第1のNE101A内のL2SW側ポート111は、L2SWにパケットフローを出力するL2SW出力ポート111Aを有する。第1のNE101A内のMC-LAG側ポート112は、第3のNE120にパケットフローを出力するMC-LAG出力ポート112Aを有する。第1のNE101A内のIPL側ポートは、第2のNE101Bにパケットフローを出力するIPL出力ポート113Aを有する。
【0014】
第2のNE101Bは、外部のL2SWと接続するL2SW側ポート111と、第3のNE120と接続するMC-LAG側ポート112と、第2のNE101Bと接続するIPL側ポートとを有する。第2のNE101B内のL2SW側ポート111は、L2SWにパケットフローを出力するL2SW出力ポート111Bを有する。第2のNE101B内のMC-LAG側ポート112は、第3のNE120にパケットフローを出力するMC-LAG出力ポート112Bを有する。第2のNE101B内のIPL側ポートは、第1のNE101Aにパケットフローを出力するIPL出力ポート113Bを有する。
【0015】
第3のNE120は、外部のL2SWと接続するL2SW側ポート122と、第1のNE101Aと接続すると共に、第2のNE101Bと接続するLAG側ポート121とを有する。第3のNE120内のLAG側ポート121は、第1のNE101Aにパケットフローを出力するLAG出力ポート121Aと、第2のNE101Bにパケットフローを出力するLAG出力ポート121Bとを有する。
【0016】
第3のNE120は、第1のNE101AがACT状態、第2のNE101BがSTBY状態の場合、ACT状態の第1のNE101Aとのパスを用いてパケットフローの通信を実現する。更に、第1のNE101Aと第3のNE120との間のパスに障害が発生した場合、第1のNE101AがSTBY状態、第2のNE101BがACT状態になる。その結果、第3のNE120は、第2のNE101Bとの間のパスを用いてパケットフローの通信を実現する。その結果、MC-LAGでは、通信信頼性を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2017-183873号公報
【特許文献2】特開2020-77994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、従来のMC-LAGのパケットスイッチでは、通信信頼性を確保するMC-LAG内の通信装置(NE)内のポート毎に、高優先フローの出力遅延を抑制するiTAS装置を採用することが求められている。
【0019】
一つの側面では、通信信頼性を確保しながら、高優先フローの出力遅延を抑制できる通信装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
一つの態様の通信装置は、伝送装置とMC-LAG(Multi-Chassis Link Aggregation)で接続する通信装置である。通信装置は、前記MC-LAGを構成する他方の通信装置とパスを用いて接続する第1の出力ポートと、前記パスと異なる他のパスと接続する第2の出力ポートと、を有する。更に、通信装置は、前記第1の出力ポート及び前記第2の出力ポートに夫々配置され、設定中のiTAS(Intelligent Time Aware Shaper)周期に基づき、高優先フローを優先出力するiTAS装置を有する。更に、通信装置は、取得部と、設定部とを有する。取得部は、前記第1の出力ポートに配置された前記iTAS装置に設定される第1のiTAS周期と、前記パスと接続する、前記他方の通信装置内の第3の出力ポートに配置されたiTAS装置に設定される第2のiTAS周期とを取得する。設定部は、前記第1のiTAS周期及び前記第2のiTAS周期に基づき、前記第2の出力ポートに配置された前記iTAS装置のiTAS周期を設定する。
【発明の効果】
【0021】
一つの態様では、通信信頼性を確保しながら、高優先フローの出力遅延を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、通信システムの一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、パケットスイッチの構成の一例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、NEのハードウェア構成の一例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、iTAS装置の構成の一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、第1のNE及び第2のNEの機能構成の一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、ACT状態の第1のNEでのL2SWから第3のNEへの高優先フローの流れの一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、ACT状態の第2のNEでのL2SWから第3のNEへの高優先フローの流れの一例を示す説明図である。
【
図8】
図8は、ACT状態の第1のNEでの第3のNEからL2SWへの高優先フローの流れの一例を示す説明図である。
【
図9】
図9は、ACT状態の第2のNEでの第3のNEからL2SWへの高優先フローの流れの一例を示す説明図である。
【
図10】
図10は、iTAS種別毎の特徴の一例を示す説明図である。
【
図11】
図11は、iTAS周期の最小公倍数に設定する理由を示す説明図である。
【
図12】
図12は、iTAS周期確定処理に関わる第1のNE及び第2のNEの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、周期判定処理に関わる第1のNE及び第2のNEの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、L2SWから流入する高優先フローの第1のNE及び第2のNEの周期判定処理に関わる説明図である。
【
図15】
図15は、第3のNEから流入する高優先フローの第1のNEの周期判定処理に関わる説明図である。
【
図16】
図16は、周期情報同期処理に関わる第1のNE及び第2のNEの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、L2SWから流入する高優先フローのMFH周期を同期する際の周期情報同期処理に関わる第1のNE及び第2のNEの処理動作の一例を示す説明図である。
【
図18】
図18は、第3のNEから流入する高優先フローのMFH周期を同期する際の周期情報同期処理に関わる第1のNE及び第2のNEの処理動作の一例を示す説明図である。
【
図19】
図19は、IPL側ポート周期確定処理に関わる第1のNE及び第2のNEの処理動作の一例を示す説明図である。
【
図20】
図20は、IPL周期情報同期処理に関わる第1のNE及び第2のNEの処理動作の一例を示す説明図である。
【
図21】
図21は、L2SW側ポート周期確定処理に関わる第1のNE及び第2のNEの処理動作の一例を示す説明図である。
【
図22】
図22は、MC-LAG側ポート周期確定処理に関わる第1のNE及び第2のNEの処理動作の一例を示す説明図である。
【
図23】
図23は、定常監視フェーズに関わる第1のNE及び第2のNEの処理動作の一例を示す説明図である。
【
図24】
図24は、iTAS処理に関わる各iTAS装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図25】
図25は、MC-LAGのパケットスイッチの一例を示す説明図である。
【
図26】
図26は、比較例のパケットスイッチ内のACT状態の第1のNEの処理動作の一例を示す説明図である。
【
図27】
図27は、比較例のパケットスイッチ内の第1のNEと第3のNEとの間のパス障害時の処理動作の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<比較例>
図26は、比較例のパケットスイッチ200内のACT状態の第1のNE201Aの処理動作の一例を示す説明図である。
図26に示すパケットスイッチ200は、MC-LAGを構成する第1のNE201A(201)と、MC-LAGを構成する第2のNE201B(201)と、第3のNE220とを有する。第3のNE220は、MC-LAG方式で第1のNE201A及び第2のNE201Bと接続する。第1のNE201A及び第2のNE201Bには、宛先MACアドレス、出力ポート及びVLANの組合せを管理するFDBを有し、FDBを参照し、受信パケットを転送先ポートに出力することになる。
【0024】
また、第1のNE201Aと第2のNE201Bとの間はIPL213で接続する。IPL213は、第1のNE201Aと第2のNE201Bとの間でFDB同期を実行するための専用線である。
【0025】
第1のNE201Aは、外部のL2SWと接続するL2SW側ポート211と、第3のNE220と接続するMC-LAG側ポート212と、第2のNE201Bと接続するIPL側ポートとを有する。第1のNE201Aは、ポート毎にiTAS装置250を備えている。第1のNE201A内のL2SW側ポート211は、L2SWにパケットフローを出力するL2SW出力ポート211Aを有する。第1のNE201A内のMC-LAG側ポート212は、第3のNE220にパケットフローを出力するMC-LAG出力ポート212Aを有する。第1のNE201A内のIPL側ポートは、第2のNE201Bにパケットフローを出力するIPL出力ポート213Aを有する。第1のNE201Aは、例えば、L2SW出力ポート211Aに配置されたiTAS装置250と、MC-LAG出力ポート212Aに配置されたiTAS装置250と、IPL出力ポート213Aに配置されたiTAS装置250とを有する。
【0026】
第2のNE201Bは、外部のL2SWと接続するL2SW側ポート211と、第3のNE202と接続するMC-LAG側ポート212と、第1のNE201Aと接続するIPL側ポートとを有する。第2のNE201Bは、ポート毎にiTAS装置250を備えている。第2のNE201B内のL2SW側ポート211は、L2SWにパケットフローを出力するL2SW出力ポート211Bを有する。第2のNE201B内のMC-LAG側ポート212は、第3のNE220にパケットフローを出力するMC-LAG出力ポート212Bを有する。第2のNE201B内のIPL側ポートは、第2のNE201Bにパケットフローを出力するIPL出力ポート213Bを有する。第2のNE201Bは、例えば、L2SW出力ポート211Bに配置されたiTAS装置250と、MC-LAG出力ポート212Bに配置されたiTAS装置250と、IPL出力ポート213Bに配置されたiTAS装置250とを有する。
【0027】
第3のNE220は、外部のL2SWと接続するL2SW側ポート222と、第1のNE201A及び第2のNE201Bと接続するLAG側ポート221と、を有する。第3のNE220内のLAG側ポート221は、第1のNE201Aにパケットフローを出力するLAG出力ポート221Aと、第2のNE201Bにパケットフローを出力するLAG出力ポート221Bと、を有する。L2SW側ポート222は、L2SWにパケットフローを出力する出力ポートである。第3のNE220は、ポート毎にiTAS装置250を備えている。第3のNE202は、例えば、LAG出力ポート221Aに配置されたiTAS装置250と、LAG出力ポート221Bに配置されたiTAS装置250と、L2SW側ポート222に配置されたiTAS装置250とを有する。
【0028】
iTAS装置250は、単独のパケットスイッチ200で高優先フローの到着パケットを監視し、到着パケットの周期性を特定し、到着パケットの到着タイミングを予測する。高優先フローの到着タイミングでは、低優先フローの出力を停止することで、高優先フローと低優先フローとの衝突遅延を回避することで、高優先フローを優先出力することになる。
【0029】
第1のNE201AがACT状態、第2のNE201BがSTBY状態で、第1のNE201A内のiTAS装置250は、例えば、L2SW出力ポート211A経由でL2SWからの高優先フローを受信したとする。第1のNE201A内のiTAS装置250は、学習済みのGCLを参照し、現在TS番号に対応する高優先フローの開閉情報がオープンの場合に当該高優先フローをMC-LAG出力ポート212Aから第3のNE220に出力する。この際、第1のNE201Aは、GCLの内容を学習しながら、定常監視フェーズを継続する。これに対して、第2のNE201Bは、STBY状態のため、GCLの内容が未学習の状態である。
【0030】
図27は、比較例のパケットスイッチ200内の第1のNE201Aと第3のNE220との間のパス障害時の処理動作の一例を示す説明図である。第1のNE201Aは、第3のNE220との間のパスで障害が発生した場合、第1のNE201AがSTBY状態に切り替えると共に、第2のNE201BがACT状態に切り替える。そして、第2のNE201Bと第3のNE220との間のパスがACT状態となる。そして、第1のNE201A内のiTAS装置250は、L2SW出力ポート211A経由で高優先フローを受信した場合、高優先フローをIPL13のIPL出力ポート213Aから第2のNE201Bに出力する。
【0031】
更に、第2のNE201B内のiTAS装置250は、第1のNE201AからIPL213経由で高優先フローを受信した場合、高優先フローをMC-LAG出力ポート212B経由で第3のNE220に出力する。従って、第2のNE201B内のiTAS装置250は、STBY状態からACT状態に切り替えると、受信する高優先フローの周期性に基づき、GCL内のTS番号毎の高優先フローの開閉情報を自律的に学習する。従って、第2のNE201Bは、STBY状態からACT状態に切り替えられた場合、GCLの内容が未学習のため、GCLの内容を学習する周期判定フェーズ及びクローズTS決定フェーズを実行することになる。しかしながら、第2のNE201Bは、定常監視フェーズに移行するまでに時間を要するため、高優先フローを優先出力する通信が中断して高優先フローの出力遅延を発生することになる。
【0032】
MC-LAGのパケットスイッチ200では、第1のNE201Aから第2のNE201Bにアクティブ状態となるパスが切り替えられた場合でも、通信が中断されることになく、高優先フローの出力遅延が抑制できるシステムが求められている。
【0033】
そこで、iTAS装置を内蔵したMC-LAG内のNE210間でパス切替が発生した場合でも、通信を継続できるMC-LAGのパケットスイッチの実施の形態につき、実施例として以下に説明する。
【実施例0034】
図1は、通信システム1の一例を示す説明図である。
図1に示す通信システム1は、MBH回線2Aと、MFH回線2Bと、基地局3と、RU4と、ユーザ端末5と、パケットスイッチ6と、MEC(Multi-access Edge Computing)9とを有する。MBH回線2Aは、複数の基地局(eNB:evolved Node B)3間若しくは、基地局3とメトロコアネットワーク7との間を接続する回線である。MFH回線2Bは、例えば、RU4と基地局3内のDUとの間を接続する回線である。RU4は、ユーザ端末5と無線で接続する。MFH回線2Bは、RU4とDUとの間で無線信号をL2フレームのMFHフローで伝送するeCPRI方式を採用している。パケットスイッチ6は、MBH回線2AからのMBHフロー、MFH回線2BからのMFHフロー等の各種パケットフローを伝送する。MFHフローは、MBHフローに比較して出力遅延の抑制が強く求められている。
【0035】
DUは、無線区間のスケジューリング機能を有する。スケジューリング機能は、1サブフレームに送信すべき、例えば、ユーザデータ、符号化率及び変調方式等の各種要素を決定する機能である。DUは、ユーザデータをL2フレームに分割してMFHパケットをRU4宛に伝送する。つまり、DUは、サブフレーム間隔、例えば、1m秒毎にMFHフローをRU4宛に伝送する。また、RU4は、受信した無線信号のユーザデータをL2フレームに分割してMFHフローをDU宛に伝送する。MEC9は、ユーザ端末5、例えば、ローカル5G端末、Wi-Fi機器、IoT機器等からのアクセスに考慮したエッジサーバである。
【0036】
図2は、パケットスイッチ6内の構成の一例を示す説明図である。パケットスイッチ6は、MC-LAGを構成する通信装置である第1のNE10Aと、MC-LAGを構成する通信装置である第2のNE10Bと、第3のNE20とを有する通信スイッチである。第3のNE20は、MC-LAG方式で第1のNE10A及び第2のNE10Bと接続する伝送装置である。第1のNE10A及び第2のNE10Bには、宛先MACアドレス、出力ポート及びVLANの組合せを管理するFDBを有し、FDBを参照し、受信パケットフローを転送先ポートに出力することになる。
【0037】
また、第1のNE10Aと第2のNE10Bとの間はIPL13で接続する。IPL13は、第1のNE10Aと第2のNE10Bとの間でFDB同期を実行するための専用線である第3のパスである。第1のNE10A及び第2のNE10Bは、IPL13を使用して相互に通信し、例えば、障害有無に応じて、自装置がACT状態又はSTBY状態であることを自律的に認識できる。
【0038】
第1のNE10Aは、第1のパス61Aを用いてL2SW8と接続するL2SW側ポート11と、第2のパス62を用いて第3のNE20と接続するMC-LAG側ポート12と、IPL13を用いて第2のNE10Bと接続するIPL側ポートと、を有する。第1のNE10A内のL2SW側ポート11は、第1のパス61Aと接続し、L2SW8Aにパケットフローを出力するL2SW出力ポート11Aを有する。第1のNE10A内のMC-LAG側ポート12は、第2のパス62と接続し、第3のNE20にパケットフローを出力するMC-LAG出力ポート12Aを有する。第1のNE10A内のIPL側ポートは、IPL13と接続し、第2のNE10Bにパケットフローを出力するIPL出力ポート13Aを有する。第1のNE10Aは、ポート毎にiTAS装置15を備えている。第1のNE10Aは、例えば、L2SW出力ポート11Aに配置されたiTAS装置15と、MC-LAG出力ポート12Aに配置されたiTAS装置15と、IPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15とを有する。
【0039】
第2のNE201Bは、第4のパス61Bを用いてL2SW8と接続するL2SW側ポート11と、第2のパス62を用いて第3のNE20と接続するMC-LAG側ポート12と、IPL13を用いて第1のNE10Aと接続するIPL側ポートとを有する。第2のNE10B内のL2SW側ポート11は、第4のパス61Bと接続し、L2SW8Bにパケットフローを出力するL2SW出力ポート11Bを有する。第2のNE10B内のMC-LAG側ポート12は、第2のパス62と接続し、第3のNE20にパケットフローを出力するMC-LAG出力ポート12Bを有する。第2のNE10B内のIPL側ポートは、IPL13と接続し、第1のNE10Aにパケットフローを出力するIPL出力ポート13Bを有する。第2のNE10Bは、ポート毎にiTAS装置15を備えている。第2のNE10Bは、例えば、L2SW出力ポート11Bに配置されたiTAS装置15と、MC-LAG出力ポート12Bに配置されたiTAS装置15と、IPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15とを有する。
【0040】
第3のNE20は、外部のL2SW8C(8)と接続するL2SW側ポート22と、第1のNE10A及び第2のNE10Bと接続するLAG側ポート21と、を有する。第3のNE20内のLAG側ポート21は、第2のパス62を用いて第1のNE10Aにパケットフローを出力するLAG出力ポート21Aと、第2のパス62を用いて第2のNE10Bにパケットフローを出力するLAG出力ポート21Bとを有する。第3のNE20は、ポート毎にiTAS装置15を備えている。第3のNE20は、例えば、LAG出力ポート21Aに配置されたiTAS装置15と、LAG出力ポート21Bに配置されたiTAS装置15と、L2SW側ポート22に配置されたiTAS装置15とを有する。
【0041】
iTAS装置15は、単独のパケットスイッチ6で高優先フローの到着パケットを監視し、到着パケットの周期性を特定し、到着パケットの到着タイミングを予測する。高優先フローの到着タイミングでは、低優先フローの出力を停止することで、高優先フローと低優先フローとの衝突遅延を回避し、高優先フローを優先出力することになる。
【0042】
第1のNE10AがACT状態、第2のNE10BがSTBY状態で、第1のNE10A内のiTAS装置15は、例えば、L2SW出力ポート11A又はIPL出力ポート13B経由でL2SW8からの高優先フローを受信する。第1のNE10A内のiTAS装置15は、学習済みのGCLを参照し、現在TS番号に対応する高優先フローの開閉情報がオープンの場合に、当該高優先フローをMC-LAG出力ポート12Aから第3のNE20に出力する。この際、第1のNE10A内のiTAS装置15は、GCLの内容を学習しながら、定常監視フェーズを継続する。
【0043】
第1のNE10AがSTBY状態、第2のNE10BがACT状態で、第2のNE10B内のiTAS装置15は、例えば、L2SW出力ポート11B又はIPL出力ポート13A経由でL2SW8からの高優先フローを受信する。第2のNE10B内のiTAS装置15は、学習済みのGCLを参照し、現在TS番号に対応する高優先フローの開閉情報がオープンの場合に、当該高優先フローをMC-LAG出力ポート12Bから第3のNE20に出力する。この際、第2のNE10B内のiTAS装置15は、GCLの内容を学習しながら、定常監視フェーズを継続する。
【0044】
図3は、NE10(20)のハードウェア構成の一例を示す説明図である。尚、NE10(20)は、例えば、第1のNE10A、第2のNE10B又は第3のNE20である。
図3に示すNE10(20)は、IF(Interface)カード31と、通信プロセッサ32と、CPU(Central Processing Unit)36と、NVSRAM(Non-Volataile RAM)34と、RAM(Random Access Memory)35とを有する。IFカード31は、FPGA(Field Programmable Gate Array)31Aと、複数のポート31Bと、を有する。IFカード31は、回線速度に対応した通信カードである。FPGA31Aは、例えば、光ON/OFF、モジュールPowerON/OFF等のIFカード31全体を制御する。FPGA31Aは、ポート31B毎にiTAS装置15を内蔵している。
【0045】
ポート31Bは、例えば、NE10が第1のNE10Aの場合、L2SW側ポート11、MC-LAG側ポート12やIPL側ポート等である。また、ポート31Bは、例えば、NE10が第2のNE10Bの場合、L2SW側ポート11、MC-LAG側ポート12やIPL側ポート等である。また、ポート31Bは、例えば、NE20が第3のNE20の場合、L2SW側ポート22やLAG側ポート21等である。
【0046】
通信プロセッサ32は、パケットスイッチ6のL2等の通信機能を制御するプロセッサである。L2等の通信機能としては、例えば、VLAN(Virtual LAN)、MAC(Media Access Control)、QOS(Quality of Service)、OAM(Operation Administration Maintenance)等を有する。NVSRAM34は、データベース等の構成情報等が保持される不揮発性メモリである。RAM35は、ソフトウェアが使用する、例えば、第1の周期管理部362A(第2の周期管理部362B)で管理する周期情報を保持する揮発性メモリである。
【0047】
CPU36は、NE10(20)全体を制御する。NE10が第1のNE10Aの場合、CPU36は、第1のNE10A全体を制御する。NE10が第2のNE10Bの場合、CPU36は、第2のNE10B全体を制御する。NE20が第3のNE20の場合、CPU36は、第3のNE20全体を制御する。
【0048】
次にNE10(20)内のFPGA31Aに配置された各iTAS装置15について説明する。iTAS装置15は、MBHフロー及びMFHフローの他に、様々なパケットフローを伝送する。iTAS装置15は、IEEE802.1QbvのTAS(Time Aware Shaper)方式を適用し、MFHフローを高優先フローとして出力する。
【0049】
図4は、iTAS装置15のハードウェア構成の一例を示す説明図である。
図4に示すiTAS装置15は、入出力IF41と、複数のパケット処理部42と、SW(Switch)43と、メモリ44と、CPU45とを有する。入出力IF41は、MBH回線2A及びMFH回線2B等の各種回線と接続し、パケットフローを入出力するIFである。入出力IF41は、例えば、RU4、DU、他のiTAS装置15と接続する。パケット処理部42は、iTAS方式を適用したパケット処理を実行する。SW43は、パケット処理部42の入出力を切替えるスイッチである。メモリ44は、各種情報を記憶する領域である。CPU45は、iTAS装置15全体を制御する。
【0050】
パケット処理部42は、MBHフロー及びMFHフローの出力タイミングは勿論のこと、MFHフローの優先出力のタイミングを制御する。パケット処理部42は、複数のキュー51と、複数のゲート52と、MUX(Multiplexer)53と、MAC54と、統計情報記憶部55と、TS管理部56と、収集部57と、解析部58と、制御部59とを有する。
【0051】
各キュー51は、到来する受信パケットフローの種別毎に備え、種別毎の受信パケットフローをキューイングする格納部である。尚、受信パケットフローの種別としては、例えば、MFHフロー及びMBHフローを有する。MFHフローは、高優先フローであるのに対し、MBHフローは、MFHフローに比較して低優先の低優先フローである。
【0052】
複数のキュー51内の第1のキュー51Aは、到来する受信パケットフローの内、MBHフローをキューンイングする格納部である。また、複数のキュー51内の第2のキュー51Bは、到来する受信パケットフローの内、MFHフローをキューイングする格納部である。
【0053】
SW43は、受信パケットフロー内のVLANタグのPビットを識別し、その識別結果に基づき、受信パケットフローの種別に応じたキュー51に当該種別の受信パケットフローを転送するものである。
【0054】
各ゲート52は、キュー51毎に備え、キュー51に格納中の受信パケットフローの出力をTS単位で開閉する。尚、1TSは、例えば、0.5μ秒とする。複数のゲート52の内、第1のゲート52Aは、第1のキュー51A内のMBHフローの出力をTS単位で開閉する。複数のゲート52の内、第2のゲート52Bは、第2のキュー51B内のMFHフローの出力をTS単位で開閉する。
【0055】
MUX53は、各ゲート52の出力パケットを選択出力する。MAC54は、MUX53の出力パケットにMACアドレスを付加し、付加した出力パケットを入出力IF41に出力する。統計情報記憶部55は、受信パケットフローの周期パターンを統計情報として記憶する領域である。TS管理部56は、現在カウンタ値をTS単位でカウントするタイムカウンタを有する。
【0056】
収集部57は、受信パケットフローの統計情報を収集する。統計情報は、時間帯毎の受信パケット量である。尚、パケット量は、例えば、パケット数やバイト数である。解析部58は、受信パケットの統計情報を解析し、受信パケットフローの周期性及びパターン等の周期性パターンを特定する。解析部58は、受信パケットフローの到着間隔(周期性)及びパターン(平均到着量、バーストの揺らぎ度合)を学習する。
【0057】
図5は、第1のNE10A及び第2のNE10Bの機能構成の一例を示す説明図である。第1のNE10A内のCPU36は、機能として、第1の抽出部361Aと、第1の周期管理部362Aと、第1の通信部363Aとを有する。第1の抽出部361Aは、第1のNE10A内のポート毎に配置されたiTAS装置15に流入する高優先フローの周期であるMFH周期を抽出する。第1の周期管理部362Aは、第1のNE10Aに使用する周期情報を管理する。第1の周期管理部362Aは、第1の取得部362A1と、第1の設定部362A2とを有する。第1の通信部363Aは、IPL13を用いて第2のNE10B内の第2の通信部363Bと通信する。
【0058】
第1の取得部362A1は、第1のNE10Aに使用する周期情報を取得する。第1のNE10Aに使用する周期情報は、IPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15に設定される第1のiTAS周期αと、IPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15に設定される第2のiTAS周期βとを有する。
【0059】
第1の設定部362A2は、第1のiTAS周期αと第2のiTAS周期βとが衝突しない第3のiTAS周期θをMC-LAG出力ポート12Aに配置されたiTAS装置15に設定する。尚、第3のiTAS周期θは、例えば、第1のiTAS周期αと第2のiTAS周期βとの最小公倍数の周期で求める、第1のiTAS周期αと第2のiTAS周期βとが重ならない、高優先パケット出力が競合しない周期である。しかしながら、最小公倍数の周期に限定されるものではなく、第1のiTAS周期αと第2のiTAS周期βのオア(OR)をとる周期であれば良い。第1の設定部362A2は、第2のiTAS周期βをL2SW出力ポート11Aに配置されたiTAS装置15に設定する。
【0060】
第2のNE10B内のCPU36は、機能として、第2の抽出部361Bと、第2の周期管理部362Bと、第2の通信部363Bとを有する。第2の抽出部361Bは、第2のNE10B内のポート毎に配置されたiTAS装置15に流入する高優先フローの周期であるMFH周期を抽出する。第2の周期管理部362Bは、第2のNE10Bに使用する周期情報を管理する。第2の周期管理部362Bは、第2の取得部362B1と、第2の設定部362B2とを有する。第2の通信部363Bは、IPL13を用いて第1のNE10A内の第1の通信部363Aと通信する。
【0061】
第2の取得部362B1は、第2のNE10Bに使用する周期情報を取得する。第2のNE10Bに使用する周期情報は、IPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15に設定される第1のiTAS周期αと、IPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15に設定される第2のiTAS周期βとを有する。
【0062】
第2の設定部362B2は、第1のiTAS周期αと第2のiTAS周期βとが衝突しない第3のiTAS周期θをMC-LAG出力ポート12Bに配置されたiTAS装置15に設定する。第2の設定部362B2は、第2のiTAS周期βをL2SW出力ポート11Bに配置されたiTAS装置15に設定する。
【0063】
説明の便宜上、第1のNE10AをACT状態、第2のNE10BをSTBY状態とする。第1の抽出部361Aは、第1のNE10A内の出力ポート毎に備えた各iTAS装置15に流入するMFHフローのMFH周期を各iTAS装置15から抽出し、抽出したMFH周期等の第1の周期情報を第1の周期管理部362Aに通知する。第1の周期情報は、第1のNE10AのL2SW側ポート11から流入する第1の高優先フローのMFH周期Bや、第1のNE10AのMC-LAG側ポート12から流入する第5の高優先フローのMFH周期E及び第6の高優先フローのMFH周期Fの情報である。第1の周期管理部362Aは、第1の周期情報をRAM35に記憶する。
【0064】
更に、第1の通信部363Aは、IPL13を通じて第2のNE10Bと通信する。第1の通信部363Aは、IPL13を通じてRAM35に記憶中の第1の周期情報を第2のNE10Bに通知すると共に、IPL13を通じて第2のNE10Bから、後述する第2の周期情報を受信する。
【0065】
第1の周期管理部362Aは、第2の周期情報を受信した場合、第2の周期情報をRAM35に記憶する。そして、第1の周期管理部362Aは、第1のNE10A側の各iTAS装置15の第1の周期情報及び第2のNE10B側の各iTAS装置15の第2の周期情報を記憶する。
【0066】
第2の抽出部361Bは、第2のNE10B内の出力ポート毎に備えた各iTAS装置15に流入するMFHフローのMFH周期を各iTAS装置15から抽出し、抽出したMFH周期等の第2の周期情報を第2の周期管理部362Bに通知する。尚、第2の周期情報は、第2のNE10B内のL2SW側ポート11から流入する第2の高優先フローのMFH周期A等の情報である。第2の周期管理部362Bは、第2の周期情報をRAM35に記憶する。
【0067】
更に、第2の通信部363Bは、IPL13を通じてRAM35に記憶中の第2の周期情報を第1のNE10Aに通知すると共に、IPL13を通じて第1のNE10Aから第1の周期情報を受信する。
【0068】
第2の周期管理部362Bは、第1の周期情報を受信した場合、第1の周期情報をRAM35に記憶する。そして、第2の周期管理部362Bは、自装置である第2のNE10B側の各iTAS装置15の第2の周期情報及び対向装置である第1のNE10A側の各iTAS装置15の第1の周期情報を記憶する。
【0069】
第1の周期管理部362A内の第1の取得部362A1は、第1の周期情報及び第2の周期情報であるMFH周期A,B,E,F内のMFH周期B及びEに基づき、IPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15の第1のiTAS周期αを算出する。そして、第1の周期管理部362A内の第1の設定部362A2は、算出した第1のiTAS周期αをIPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15に設定する。
【0070】
更に、第1の周期管理部362Aは、算出した第1のiTAS周期αをRAM35に記憶する。更に、第1の通信部363Aは、IPL13を通じて、第1のiTAS周期αを第2のNE10Bに通知する。そして、第2の周期管理部362Bは、受信した第1のiTAS周期αをRAM35に記憶する。
【0071】
また、第2の周期管理部362B内の第2の取得部362B1は、第1の周期情報及び第2の周期情報であるMFH周期A,B,E,F内のMFH周期A及びFに基づき、IPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15の第2のiTAS周期βを算出する。そして、第2の周期管理部362B内の第2の設定部362B2は、算出した第2のiTAS周期βをIPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15に設定する。
【0072】
更に、第2の周期管理部362Bは、算出した第2のiTAS周期βをRAM35に記憶する。更に、第2の通信部363Bは、IPL13を通じて、第2のiTAS周期βを第1のNE10Aに通知する。そして、第1の周期管理部362Aは、受信した第2のiTAS周期βをRAM35に記憶する。
【0073】
第1の設定部362A2は、RAM35に記憶中の第2のiTAS周期βをL2SW出力ポート11Aに配置されたiTAS周期に設定する。更に、第1の取得部362A1は、RAM35に記憶中のiTAS周期α及びβに基づき、第1のNE10A内のMC-LAG出力ポート12Aに配置されたiTAS装置15の第3のiTAS周期θを算出する。そして、第1の設定部362A2は、算出した第3のiTAS周期θを第1のNE10A内のMC-LAG出力ポート12Aに配置されたiTAS装置15に設定する。
【0074】
また、第2の設定部362B2は、RAM35に記憶中の第1のiTAS周期αをL2SW出力ポート11Bに配置されたiTAS周期に設定する。更に、第2の取得部362B1は、RAM35に記憶中のiTAS周期α及びβに基づき、第2のNE10B内のMC-LAG出力ポート12Bに配置されたiTAS装置15の第3のiTAS周期θを算出する。そして、第2の設定部362B2は、算出した第3のiTAS周期θを第2のNE10B内のMC-LAG出力ポート12Bに配置されたiTAS装置15に設定する。
【0075】
次に第1のNE10A及び第2のNE10Bの各iTAS装置15のiTAS周期の考え方について説明する。
図6は、ACT状態の第1のNE10AでのL2SW8から第3のNE20への高優先フローの流れの一例を示す説明図である。第1のNE10AがACT、第2のNE10BがSTBYの状態とする。そして、第1のNE10A内のL2SW側ポート11から第3のNE20に流れる第1の高優先フローのMFH周期をB、第2のNE10B内のL2SW側ポート11からIPL13経由で第3のNE20に流れる第2の高優先フローのMFH周期をAとする。この場合、MC-LAG出力ポート12Aに配置されたiTAS装置15内のiTAS周期は、第1の高優先フロー及び第2の高優先フローが合流するため、第1の高優先フローのMFH周期Bと第2の高優先フローのMFH周期Aとが衝突しないiTAS周期である。MC-LAG出力ポート12Aに配置されたiTAS装置15内のiTAS周期は、例えば、iTAS周期A及びiTAS周期Bの最小公倍数で得たiTAS周期Cである。尚、第1のNE10AのIPL13のIPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15のiTAS周期はBとする。
【0076】
図7は、ACT状態の第2のNE10BでのL2SW8から第3のNE20への高優先フローの流れの一例を示す説明図である。第2のNE10BがACT、第1のNE10AがSTBYの状態とする。そして、第2のNE10B内のL2SW側ポート11から第3のNE20に流れる第2の高優先フローのMFH周期をA、第1のNE10A内のL2SW側ポート11からIPL13経由で第3のNE20に流れる第1の高優先フローのMFH周期をBとする。この場合、MC-LAG出力ポート12Bに配置されたiTAS装置15のiTAS周期は、第1の高優先フロー及び第2の高優先フローが合流するため、第1のフローのiTAS周期Bと第2のフローのiTAS周期Aとが衝突しないiTAS周期である。MC-LAG出力ポート12Bに配置されたiTAS装置15のiTAS周期は、例えば、iTAS周期A及びiTAS周期Bの最小公倍数で得たiTAS周期Cである。尚、第2のNE10BのIPL13のIPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15のiTAS周期はAとする。
【0077】
図8は、ACT状態の第1のNE10Aでの第3のNE20からL2SW8への高優先フローの流れの一例を示す説明図である。第1のNE10AがACT、第2のNE10BがSTBYの状態とする。第3のNE20のLAG出力ポート21AからL2SW8Aに流れる第5の高優先フローのMFH周期がE、第3のNE20内のLAG出力ポート21Aから第1のNE10A及びIPL13経由でL2SW8Bに流れる第6の高優先フローのMFH周期がDとする。更に、第3のNE20内のLAG出力ポート21Aから第1のNE10A内のMC-LAG側ポート12に流れる第5の高優先フロー及び第6の高優先フローが含む第4の高優先フローである。この場合、第1のNE10A内のL2SW出力ポート11Aに配置されたiTAS装置15のiTAS周期は、第5の高優先フローのMFH周期Eである。第1のNE10A内のIPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15のiTAS周期は、第6の高優先フローのMFH周期Dである。更に、第2のNE10B内のL2SW出力ポート11Bに配置されたiTAS装置15のiTAS周期は、第6の高優先フローのMFH周期Dと実質同一のMFH周期Fとする。
【0078】
図9は、ACT状態の第2のNE10Bでの第3のNE20からL2SW8への高優先フローの流れの一例を示す説明図である。第2のNE10BがACT、第1のNE10AがSTBYの状態とする。そして、第3のNE20内のLAG出力ポート21BからL2SW8Aに流れる第5の高優先フローのMFH周期がE、第3のNE20内のLAG出力ポート21AからL2SW8Bに流れる第6の高優先フローのMFH周期がFとする。更に、第3のNE20内のLAG出力ポート21Aから第2のNE10B内のMC-LAG側ポート12に流れる第5の高優先フロー及び第6の高優先フローが含む第4の高優先フローである。この場合、第2のNE10B内のIPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15のiTAS周期は、第5の高優先フローのMFH周期Gである。更に、第1のNE10A内のL2SW出力ポート11Aに配置されたiTAS装置15のiTAS周期は、第6の高優先フローのMFH周期Fである。更に、第1のNE10A内のL2SW出力ポート11Aに配置されたiTAS装置15のiTAS周期は、第5の高優先フローのMFH周期Eと実質同一のMFH周期Gとする。
【0079】
図10は、iTAS種別毎の特徴の一例を示す説明図である。iTAS種別iTAS-Aは、
図6に示すように第2のNE10B内のIPL13のIPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15のiTAS周期である。iTAS種別iTAS-Aは、第2のNE10Bから第1のNE10Aに流れる第2の高優先フローのMFH周期Aである。iTAS種別iTAS-Bは、
図6に示すように第1のNE10A内のIPL13のIPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15のiTAS周期である。iTAS種別iTAS-Bは、第1のNE10AからIPL13経由で第2のNE10Bに流れる第1の高優先フローのMFH周期Bである。
【0080】
iTAS種別iTAS-Cは、
図6に示すように第1のNE10A内のMC-LAG出力ポート12Aに配置されたiTAS装置15のiTAS周期である。iTAS種別iTAS-Cは、第1のNE10Aから第3のNE20に流れる第3の高優先フローのMFH周期Cである。iTAS種別iTAS-Cは、iTAS種別iTAS-A及びiTAS種別iTAS-Bの最小公倍数である。また、iTAS種別iTAS-Cは、
図7に示すように第2のNE10B内のMC-LAG出力ポート12Bに配置されたiTAS装置15のiTAS周期である。iTAS種別iTAS-Cは、第2のNE10Bから第3のNE20に流れる第3の高優先フローのMFH周期Cである。iTAS種別iTAS-Cは、iTAS種別iTAS-A及びiTAS種別iTAS-Bの最小公倍数である。
【0081】
iTAS種別iTAS-Dは、
図7に示すように第1のNE10A内のIPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15のiTAS周期である。iTAS種別iTAS-Dは、第1のNE10AからIPL13経由で第2のNE10Bに流れる高優先フローのMFH周期である。
【0082】
iTAS種別iTAS-Gは、
図7に示すように第2のNE10B内のIPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15のiTAS周期である。iTAS種別iTAS-Gは、第2のNE10BからIPL13経由で第1のNE10Aに流れる高優先フローのMFH周期である。
【0083】
iTAS種別iTAS-Eは、
図8に示すように第1のNE10A内のL2SW出力ポート11Aに配置されたiTAS装置15のiTAS周期である。iTAS種別iTAS-Eは、第1のNE10AからL2SW8Aに流れる高優先フローのMFH周期である。この際、iTAS種別iTAS-Eは、iTAS種別iTAS-Gと同一のiTAS周期である。
【0084】
iTAS種別iTAS-Fは、
図9に示すように第2のNE10B内のL2SW出力ポート11Bに配置されたiTAS装置15のiTAS周期である。iTAS種別iTAS-Fは、第2のNE10BからL2SW8Bに流れる高優先フローのMFH周期である。この際、iTAS種別iTAS-Fは、iTAS種別iTAS-Dと同一のiTAS周期である。
【0085】
IPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15のiTAS周期は、MFH周期Bと、MFH周期Eとの最小公倍数となる第1のiTAS周期αである。IPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15のiTAS周期は、MFH周期Aと、MFH周期Fとの最小公倍数となる第2のiTAS周期βである。
【0086】
L2SW出力ポート11Aに配置されたiTAS装置15のiTAS周期は、IPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15の第2のiTAS周期βである。L2SW出力ポート11Bに配置されたiTAS装置15のiTAS周期は、IPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15の第1のiTAS周期αである。
【0087】
MC-LAG出力ポート12A及び12Bに配置されたiTAS装置15のiTAS周期は、第1のiTAS周期αと第2のiTAS周期βとの最小公倍数である。
【0088】
ACT状態の第1のNE10A内の第1の周期管理部362Aは、第1のiTAS周期α及び第2のiTAS周期βに基づき、第1のNE10A内のMC-LAG出力ポート12A及びL2SW出力ポート11Aに配置されたiTAS装置15のiTAS周期を算出する。STBY状態の第2のNE10B内の第2の周期管理部362Bも、第1のiTAS周期α及び第2のiTAS周期βに基づき、第2のNE10B内のMC-LAG出力ポート12B及びL2SW出力ポート11Bに配置されたiTAS装置15のiTAS周期を算出する。その結果、MC-LAGのパス切替が発生した場合でも、再学習が不要となるため、迅速に高優先フローの出力遅延を抑制できる。
【0089】
iTAS周期の最小公倍数について説明する。
図11は、iTAS周期の最小公倍数に設定する理由を示す説明図である。第1の高優先フローは、MFH周期、例えば、2m秒毎に同じ波形が現れる高優先フローとする。また、第2の高優先フローは、MFH周期、例えば、3m秒毎に同じ波形が現れる高優先フローとする。この際、第1の高優先フロー及び第2の高優先フローが合流するポイントのiTAS装置15では、第1の高優先フローと第2の高優先フローとが衝突しないようにするため、MFH周期が衝突しないようにするiTAS周期を設定する必要がある。そこで、MFH周期が衝突しない周期としては、異なるMFH周期の最小公倍数で簡単に算出できる。従って、合流するポイントのiTAS装置15のiTAS周期は、2m秒及び3m秒の最小公倍数である6m秒周期となる。そして、第1の高優先フロー及び第2の高優先フローが合流するiTAS装置15は、算出した6m秒周期をiTAS周期としてGCLに設定する。そして、iTAS装置15は、GCLの内容に基づき、ゲート制御することで、第1の高優先フロー及び第2の高優先フローを衝突することなく、高優先フローを優先出力できる。
【0090】
図12は、iTAS周期確定処理に関わる第1のNE10A及び第2のNE10Bの処理動作の一例を示すフローチャートである。iTAS周期確定処理は、運用中の所定タイミングに応じてパケットスイッチ6内の第1のNE10A及び第2のNE10B内のCPU36が実行する処理である。尚、説明の便宜上、第1のNE10AはACT状態、第2のNE10BはSTBY状態とする。
【0091】
第1のNE10A内のCPU36及び第2のNE10B内のCPU36は、周期情報を判定する周期判定処理を実行する(ステップS11)。周期情報は、ACT状態の第1のNE10Aの第1の周期情報と、STBY状態の第2のNE10Bの第2の周期情報とを含む。第1の周期情報は、L2SW8Aから第1のNE10A内のL2SW側ポート11に流入する第1の高優先フローのMFH周期Bを含む。第1の周期情報は、第3のNE20から第1のNE10A内のMC-LAG側ポート12に流入する第5の高優先フローのMFH周期E及び第6の高優先フローのMFH周期Fを含む。第2のNE10Bの第2の周期情報は、L2SW8Bから第2のNE10B内のL2SW側ポート11に流入する第2の高優先フローのMFH周期Aを含む。
【0092】
尚、周期判定処理は、第3のNE20から第1のNE10A内のMC-LAG側ポート12に流入する第5及び第6の高優先フローのMFH周期E及びFを判定する周期判定を有する。更に、周期判定処理は、ACT状態の第1のNE10Aから第3のNE20に流入する第1の高優先フローのMFH周期Bを判定する周期判定を有する。更に、周期判定処理は、STBY状態の第2のNE10BからIPL13及び第1のNE10A経由で第3のNE20に流入する第2の高優先フローのMFH周期Aを判定する周期判定を有する。
【0093】
第1のNE10A内のCPU36及び第2のNE10B内のCPU36は、周期判定処理を実行した後、周期情報同期処理を実行する(ステップS12)。周期情報同期処理は、ACT状態である第1のNE10Aの第1の周期情報と、STBY状態である第2のNE10Bの第2の周期情報とを第1のNE10Aと第2のNE10Bとの間で同期させる処理である。
【0094】
第1のNE10A内のCPU36及び第2のNE10B内のCPU36は、周期情報同期処理を実行した後、IPL周期確定処理を実行する(ステップS13)。IPL周期確定処理は、ACT状態の第1のNE10Aの第1の周期情報と、STBY状態の第2のNE10Bの第2の周期情報とに基づき、IPL出力ポート13A及び13Bに配置されたiTAS装置15のiTAS周期を確定する処理である。IPL周期確定処理は、第1のNE10A内のIPL出力ポート13Aに備えたiTAS装置15の第1のiTAS周期αと、第2のNE10B内のIPL出力ポート13Bに備えたiTAS装置15の第2のiTAS周期βとを確定する処理である。
【0095】
第1のNE10A内のCPU36及び第2のNE10B内のCPU36は、IPL周期確定処理を実行した後、IPL周期情報同期処理を実行する(ステップS14)。IPL周期情報同期処理は、IPL出力ポート13Aに備えたiTAS装置15の第1のiTAS周期αと、IPL出力ポート13Bに備えたiTAS装置15の第2のiTAS周期βとを第1のNE10Aと第2のNE10Bとの間で同期させる処理である。
【0096】
第1のNE10A内のCPU36及び第2のNE10B内のCPU36は、IPL周期情報同期処理を実行した後、L2SW側ポート周期確定処理を実行する(ステップS15)。L2SW側ポート周期確定処理では、第1のiTAS周期α及び第2のiTAS周期βに基づき、L2SW出力ポート11A及びL2SW出力ポート11Bに配置されたiTAS装置15のiTAS周期を確定する処理である。
【0097】
第1のNE10A内のCPU36及び第2のNE10B内のCPU36は、L2SW側ポート周期確定処理を実行した後、MC-LAG側ポート周期確定処理を実行する(ステップS16)。MC-LAG側ポート周期確定処理では、第1のiTAS周期α及び第2のiTAS周期βに基づき、MC-LAG出力ポート12A及びMC-LAG出力ポート12Bに配置されたiTAS装置15の第3のiTAS周期θを確定する処理である。
【0098】
ACT状態の第1のNE10Aは、IPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15の第1のiTAS周期α及び、MC-LAG出力ポート12Aに配置されたiTAS装置15の第3のiTAS周期θをRAM35に保持する。更に、ACT状態の第1のNE10Aは、L2SW出力ポート11Aに配置されたiTAS装置15のiTAS周期βをRAM35内に保持する。同様に、STBY状態の第2のNE10Bも、IPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15のiTAS周期β及び、MC-LAG出力ポート12Bに配置されたiTAS装置15の第3のiTAS周期θをRAM35内に保持する。STBY状態の第2のNE10Bは、L2SW出力ポート11Bに配置されたiTAS装置15の第1のiTAS周期αをRAM35内に保持する。従って、第2のNE10Bは、STBY状態からACT状態に切り替えられた場合でも、IPL出力ポート13B、L2SW出力ポート11B及びMC-LAG出力ポート12Bに配置された各iTAS装置15に第1のiTAS周期α、θ及びβを設定する。そして、第2のNE10Bは、クローズTS決定フェーズ及び定常監視フェーズを実行する。その結果、NE10は、STBY状態からACT状態に切り替えられた場合でも、通信を継続しながら、高優先フローの出力遅延を抑制できる。
【0099】
図13は、周期判定処理に関わる第1のNE10A及び第2のNE10Bの処理動作の一例を示すフローチャートである。第1のNE10A内のCPU36内の第1の抽出部361Aは、L2SW8から流入する高優先フローのMFH周期を夫々抽出する(ステップS21)。第1のNE10A内のCPU36内の第1の周期管理部362Aは、抽出したMFH周期Bを含む周期情報をRAM35に夫々記憶する(ステップS22)。
【0100】
第1のNE10A内のCPU36は、抽出したMFH周期をRAM35に記憶した後、自装置がACT状態のMC-LAGのNE10であるか否かを判定する(ステップS23)。
【0101】
第1の抽出部361Aは、自装置がACT状態のMC-LAGのNE10である場合(ステップS23:Yes)、第3のNE20から第1のNE10Aに流入する第5及び第6の高優先フローのMFH周期を抽出する(ステップS24)。そして、第1の周期管理部362Aは、抽出したMFH周期E及びFを含む第1の周期情報をRAM35に記憶し(ステップS25)、
図13に示す処理動作を終了する。第1のNE10A内のCPU36は、自装置がACT状態のMC-LAGのNE10でない場合(ステップS23:No)、
図13に示す処理動作を終了する。つまり、ACT状態の第1のNE10Aは、第1の周期情報をRAM35に記憶することになる。
【0102】
第2のNE10B内の第2の抽出部361Bは、L2SW8から流入する高優先フローのMFH周期を夫々抽出する(ステップS21)。第2のNE10B内の第2の周期管理部362Bは、抽出したMFH周期Aを含む第2の周期情報をRAM35に夫々記憶する(ステップS22)。第2のNE10B内のCPU36は、抽出したMFH周期をRAM35に記憶した後、自装置がACT状態のMC-LAGのNE10であるか否かを判定する(ステップS23)。
【0103】
第2の抽出部361Bは、自装置がACT状態のMC-LAGのNE10である場合(ステップS23:Yes)、第3のNE20から第2のNE10Bに流入する第5及び第6の高優先フローのMFH周期を抽出する(ステップS24)。そして、第2の周期管理部362Bは、抽出したMFH周期E及びFを含む第2の周期情報をRAM35に記憶し(ステップS25)、
図13に示す処理動作を終了する。第2のNE10B内のCPU36は、自装置がACT状態のMC-LAGのNE10でない場合、
図13に示す処理動作を終了する。
【0104】
また、第2のNE10B内のCPU36は、自装置がACT状態のMC-LAGのNE10でない、すなわち、STBY状態のNE10と判定することになるため(ステップS23:No)、
図13に示す処理動作を終了する。STBY状態の第2のNE10Bは、第2の周期情報をRAM35に記憶することになる。
【0105】
つまり、ACT状態の第1のNE10Aは、第1の高優先フローのMFH周期B、第4の高優先フローのMFH周期E及び第5の高優先フローのMFH周期Fを含む第1の周期情報をRAM35に記憶する。更に、STBY状態の第2のNE10Bは、第2の高優先フローのMFH周期Aを含む第2の周期情報をRAM35に記憶する。
【0106】
図14は、L2SW8から流入する高優先フローの第1のNE10A及び第2のNE10Bの周期判定処理に関わる説明図である。第1のNE10A内の第1の抽出部361Aは、L2SW8Aから流入する第1の高優先フローのMFH周期Bを抽出する。そして、第1のNE10A内の第1の周期管理部362Aは、抽出したMFH周期BをRAM35に記憶する。また、第2のNE10B内の第2の抽出部361Bは、L2SW8Bから流入する第2の高優先フローのMFH周期Aを抽出する。第2のNE10B内の第2の周期管理部362Bは、抽出したMFH周期AをRAM35に記憶する。
【0107】
図15は、第3のNE20から流入する高優先フローの第1のNE10Aの周期判定処理に関わる説明図である。尚、第1のNE10AはACT状態、第2のNE10BはSTBY状態とする。第1のNE10A内の第1の抽出部361Aは、第3のNE20から流入する第5の高優先フローのMFH周期E及び第6の高優先フローのMFH周期Fを抽出する。第1のNE10A内の第1の周期管理部362Aは、抽出したMFH周期E、FをRAM35に記憶する。尚、第2のNE10Bは、STBY状態であるため、第5の高優先フローのMFH周期E及び第6の高優先フローのMFH周期Fを抽出する処理を実行しないものとする。
【0108】
図16は、周期情報同期処理に関わる第1のNE10A及び第2のNE10Bの処理動作の一例を示すフローチャートである。第1のNE10A内のCPU36及び第2のNE10B内のCPU36は、RAM35に記憶中のL2SW8から流入した高優先フローのMFH周期A及びBを第1のNE10Aと第2のNE10Bとの間で同期させる(ステップS31)。つまり、第1のNE10A内のRAM35及び第2のNE10B内のRAM35には、同一の内容のMFH周期A及びBを記憶する。
【0109】
第1のNE10A内のCPU36及び第2のNE10B内のCPU36は、自装置がACT状態のMC-LAGのNE10であるか否かを判定する(ステップS32)。
【0110】
第1のNE10A内のCPU36は、自装置がACT状態のMC-LAGのNE10である場合(ステップS32:Yes)、RAM35に記憶中のMFH周期E及びFを第1のNE10Aとの間で同期させる(ステップS33)。尚、MFH周期E及びFは、第3のNE20から流入する第5の高優先フローのMFH周期E及び第6の高優先フローのMFH周期Fである。つまり、第1のNE10A内のRAM35及び第2のNE10B内のRAM35は、MFH周期A、B、E及びFを記憶する。
【0111】
また、第2のNE10B内のCPU36は、自装置がACT状態のMC-LAGのNE10でない、すなわち、STBY状態のNE10と判定することになるため(ステップS32:No)、
図16に示す処理動作を終了する。
【0112】
図17は、L2SW8から流入する高優先フローのMFH周期を同期する際の周期情報同期処理に関わる第1のNE10A及び第2のNE10Bの処理動作の一例を示す説明図である。第1のNE10A内の第1の通信部363Aは、L2SW8Aから流入する第1の高優先フローのMFH周期Bを、IPL13を通じて第2のNE10Bに通知する。第2のNE10B内の第1の周期管理部362Aは、第1のNE10Aから受信したMFH周期BをRAM35に記憶する。第2のNE10B内の第2の通信部363Bは、L2SW8Bから流入する第2の高優先フローのMFH周期Aを、IPL13を通じて第1のNE10Aに通知する。第1のNE10A内の第1の周期管理部362Aは、第2のNE10Bから受信したMFH周期AをRAM35に記憶する。その結果、第1のNE10A内のRAM35及び第2のNE10B内のRAM35の記憶内容(MFH周期A及びB)が同一となる。
【0113】
図18は、第3のNE20から流入する高優先フローのMFH周期を同期する際の周期情報同期処理に関わる第1のNE10A及び第2のNE10Bの処理動作の一例を示す説明図である。第1のNE10A内の第1の通信部363Aは、第3のNE20から流入する高優先フローのMFH周期E及びFを、IPL13を通じて第2のNE10Bに通知する。第2のNE10B内の第2の周期管理部362Bは、第1のNE10AからMFH周期E及びFを受信した場合、受信したMFH周期E及びFをRAM35に記憶する。その結果、第1のNE10A内のRAM35及び第2のNE10B内のRAM35の記憶内容(MFH周期A,B,E及びF)が同一となる。
【0114】
図19は、IPL回線周期確定処理に関わる第1のNE10A及び第2のNE10Bの処理動作の一例を示す説明図である。第1のNE10A内の第1の周期管理部362Aは、RAM35に記憶中のMFH周期B及びMFH周期Eが衝突しない第1のiTAS周期αを算出する。更に、第1の周期管理部362Aは、算出した第1のiTAS周期αをRAM35に記憶する。尚、第1のiTAS周期αは、例えば、MFH周期B及びMFH周期Eの最小公倍数で算出する周期である。更に、第1のNE10A内の第1の設定部362A2は、RAM35に記憶中の第1のiTAS周期αをIPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15内のGCLに設定する。尚、IPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15の第1のiTAS周期αを計算する際にMFH周期B及びMFH周期Eを使用する。その理由は、IPL出力ポート13Aから出力する高優先フローがL2SW8Aから流入する第1の高優先フロー及び、第3のNE20から流入する第5の高優先フローのみだからである。
【0115】
第2のNE10B内の第2の周期管理部362Bは、RAM35に記憶中のMFH周期A及びMFH周期Fが衝突しない第2のiTAS周期βを算出する。第2の周期管理部362Bは、算出した第2のiTAS周期βをRAM35に記憶する。尚、第2のiTAS周期βは、例えば、MFH周期A及びMFH周期Fの最小公倍数で算出する周期である。更に、第2のNE10B内の第2の設定部362B2は、RAM35に記憶中の第2のiTAS周期βをIPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15内のGCLに設定する。尚、IPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15に設定する第2のiTAS周期βを計算する際にMFH周期A及びMFH周期Fを使用する。その理由は、IPL出力ポート13Bから出力する高優先フローがL2SW8Bから流入する第2の高優先フロー及び、第3のNE20から流入する第6の高優先フローのみだからである。
【0116】
つまり、第1のNE10A内の第1の設定部362A2は、記憶中の第1のiTAS周期αをIPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15内のGCLに設定する。第2のNE10B内の第2の設定部362B2は、記憶中の第2のiTAS周期βをIPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15内のGCLに設定する。その結果、STBY状態からACT状態に切り替えられた場合でも、IPL出力ポート13A及び13Bに配置されたiTAS装置15のiTAS周期を簡単に設定できる。
【0117】
図20は、IPL周期情報同期処理に関わる第1のNE10A及び第2のNE10Bの処理動作の一例を示す説明図である。第1のNE10A内の第1の通信部363Aは、RAM35に記憶中のIPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15の第1のiTAS周期αを、IPL13を通じて第2のNE10Bに通知する。更に、第2のNE10B内の第2の周期管理部362Bは、第1のNE10Aから第1のiTAS周期αを受信した場合、受信した第1のiTAS周期αをRAM35に記憶する。
【0118】
第2のNE10B内の第2の通信部363Bは、RAM35に記憶中のIPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15の第2のiTAS周期βを、IPL13を通じて第1のNE10Aに通知する。更に、第1のNE10A内の第1の周期管理部362Aは、第2のNE10Bから第2のiTAS周期βを受信した場合、受信した第2のiTAS周期βをRAM35に記憶する。
【0119】
その結果、第1のNE10Aの第1の周期管理部362Aは、IPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15の第1のiTAS周期αと、IPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15の第2のiTAS周期βとを記憶する。第2のNE10Bの第2の周期管理部362Bも、IPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15の第1のiTAS周期αと、IPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15の第2のiTAS周期βとを記憶する。
【0120】
図21は、L2SW側ポート周期確定処理に関わる第1のNE10A及び第2のNE10Bの処理動作の一例を示す説明図である。第1のNE10A内の第1の設定部362A2は、RAM35に記憶中の第2のNE10B内のIPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15の第2のiTAS周期βを、L2SW出力ポート11Aに配置されたiTAS装置15のiTAS周期に設定する。尚、L2SW出力ポート11Aに配置されたiTAS装置15に第2のiTAS周期βを設定する理由は、L2SW出力ポート11Aから出力する高優先フローが第2のNE10Bから流入する高優先フローだからである。
【0121】
第2のNE10B内の第2の設定部362B2は、RAM35に記憶中の第1のNE10A内のIPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15の第1のiTAS周期αを、L2SW出力ポート11Bに配置されたiTAS装置15のGCLに設定する。尚、L2SW出力ポート11Bに配置されたiTAS装置15に第1のiTAS周期αを設定する理由としては、L2SW出力ポート11Bから出力する高優先フローが第1のNE10Aから流入する高優先フローのみだからである。
【0122】
第1のNE10Aは、記憶中の第2のNE10B内のIPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15の第2のiTAS周期βを、L2SW出力ポート11Aに配置されたiTAS装置15のiTAS周期に設定する。第2のNE10Bは、記憶中の第1のNE10A内のIPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15の第1のiTAS周期αを、L2SW出力ポート11Bに配置されたiTAS装置15のiTAS周期に設定する。その結果、STBY状態からACT状態に切り替えられた場合でも、iTAS周期の学習に要する時間を大幅に削減することで、L2SW出力ポート11A及び11Bに配置されたiTAS装置15のiTAS周期を簡単に設定できる。
【0123】
図22は、MC-LAG出力ポート周期確定処理に関わる第1のNE10A及び第2のNE10Bの処理動作の一例を示す説明図である。第1のNE10A内の第1の周期管理部362Aは、RAM35に記憶中のiTAS周期α及びβが衝突しないように第3のiTAS周期θを算出する。第1のNE10A内の第1の設定部362A2は、第3のiTAS周期θをMC-LAG出力ポート12Aに配置されたiTAS装置15のiTAS周期に設定する。尚、MC-LAG出力ポート12Aに配置されたiTAS装置15に第3のiTAS周期θを設定する理由は、MC-LAG出力ポート12Aから出力する高優先フローが第2のNE10B及びL2SW8Aから流入する高優先フローだからである。
【0124】
第2のNE10B内の第2の周期管理部362Bは、RAM35に記憶中のiTAS周期α及びβが衝突しないように第3のiTAS周期θを算出する。第2のNE10B内の第2の設定部362B2は、第3のiTAS周期θをMC-LAG出力ポート12Bに配置されたiTAS装置15のiTAS周期に設定する。尚、MC-LAG出力ポート12Bに配置されたiTAS装置15に第3のiTAS周期θを設定する理由は、MC-LAG出力ポート12Bから出力する高優先フローが第1のNE10A及びL2SW8Bから流入する高優先フローだからである。
【0125】
第1のNE10A内の第1の設定部362A2は、第3のiTAS周期θをMC-LAG出力ポート12Aに配置されたiTAS装置15のiTAS周期に設定する。第2のNE10B内の第2の設定部362B2は、第3のiTAS周期θをMC-LAG出力ポート12Bに配置されたiTAS装置15のiTAS周期に設定する。その結果、STBY状態からACT状態に切り替えられた場合でも、iTAS周期の学習に要する時間を大幅に削減することで、MC-LAG出力ポート12A及び12Bに配置されたiTAS装置15のiTAS周期を簡単に設定できる。
【0126】
図23は、定常監視フェーズに関わる第1のNE10A及び第2のNE10Bの処理動作の一例を示す説明図である。第1のNE10A内のL2SW出力ポート11Aに配置されたiTAS装置15は、第2のiTAS周期βが設定されると、第2のiTAS周期βに応じたGCLの内容を更新した後、クローズTS決定フェーズを実行する。そして、第1のNE10A内のL2SW出力ポート11Aに配置されたiTAS装置15は、クローズTS決定フェーズ実行後のGCLの内容に基づき、定常監視処理を実行する。
【0127】
更に、第1のNE10A内のMC-LAG出力ポート12Aに配置されたiTAS装置15は、第3のiTAS周期θが設定されると、第3のiTAS周期θに応じたGCLの内容を更新した後、クローズTS決定フェーズを実行する。そして、第1のNE10A内のMC-LAG出力ポート12Aに配置されたiTAS装置15は、クローズTS決定フェーズ実行後のGCLの内容に基づき、定常監視処理を実行する。
【0128】
更に、第1のNE10A内のIPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15は、第1のiTAS周期αが設定されると、第1のiTAS周期αに応じたGCLの内容を更新した後、クローズTS決定フェーズを実行する。そして、第1のNE10A内のIPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15は、クローズTS決定フェーズ実行後のGCLの内容に基づき、定常監視処理を実行する。
【0129】
第2のNE10B内のL2SW出力ポート11Bに配置されたiTAS装置15は、第1のiTAS周期αが設定されると、第1のiTAS周期αに応じたGCLの内容を更新した後、クローズTS決定フェーズを実行する。そして、第2のNE10B内のL2SW出力ポート11Bに配置されたiTAS装置15は、クローズTS決定フェーズ実行後のGCLの内容に基づき、定常監視処理を実行する。
【0130】
更に、第2のNE10B内のMC-LAG出力ポート12Bに配置されたiTAS装置15は、第3のiTAS周期θが設定されると、第3のiTAS周期θに応じたGCLの内容を更新した後、クローズTS決定フェーズを実行する。そして、第2のNE10B内のMC-LAG出力ポート12Bに配置されたiTAS装置15は、クローズTS決定フェーズ実行後のGCLの内容に基づき、定常監視処理を実行する。
【0131】
更に、第2のNE10B内のIPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15は、第2のiTAS周期βが設定されると、第2のiTAS周期βに応じたGCLの内容を更新した後、クローズTS決定フェーズを実行する。そして、第2のNE10B内のIPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15は、クローズTS決定フェーズ実行後のGCLの内容に基づき、定常監視処理を実行する。
【0132】
つまり、ACT状態の第1のNE10A内の各iTAS装置15は、クローズTS決定フェーズを実行した後、高優先フローの優先出力を実行しながら、GCLの内容を自律学習する定常監視フェーズを実行する。STBY状態の第2のNE10B内の各iTAS装置15は、iTAS周期α、β及びθを記憶しているため、STBY状態からACT状態に切り替えると、iTAS周期α、β及びθを各iTAS装置15に設定する。その結果、第2のNE10Bは、STBY状態からACT状態に切り替えたとしても、各iTAS装置15内に各iTAS周期を設定するので、通信信頼性を確保しながら、高優先フローの出力遅延を抑制できる。
【0133】
本実施例の第1のNE10Aでは、IPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15の第1のiTAS周期αと、IPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15の第1のiTAS周期αとを記憶する。第1のNE10Aは、第1のiTAS周期αと第2のiTAS周期βとが衝突しない第3のiTAS周期θをMC-LAG出力ポート12Aに配置されたiTAS装置15に設定する。更に、第1のNE10Aは、第2のiTAS周期βをL2SW出力ポート11Aに配置されたiTAS装置15に設定する。その結果、第1のNE10Aは、iTAS周期の学習に要する時間を大幅に削減することで、IPL出力ポート13A、MC-LAG出力ポート12A及びL2SW出力ポート11Aに配置されたiTAS装置15のiTAS周期を簡単に設定できる。
【0134】
第2のNE10Bでは、IPL出力ポート13Aに配置されたiTAS装置15の第1のiTAS周期αと、IPL出力ポート13Bに配置されたiTAS装置15の第1のiTAS周期αとを記憶する。第2のNE10Bは、第1のiTAS周期αと第2のiTAS周期βとが衝突しない第3のiTAS周期θをMC-LAG出力ポート12Bに配置されたiTAS装置15に設定する。更に、第2のNE10Bは、第2のiTAS周期βをL2SW出力ポート11Bに配置されたiTAS装置15に設定する。その結果、第2のNE10Bは、iTAS周期の学習に要する時間を大幅に削減することで、IPL出力ポート13B、MC-LAG出力ポート12B及びL2SW出力ポート11Bに配置されたiTAS装置15のiTAS周期を簡単に設定できる。
【0135】
本実施例では、iTAS周期の自律学習に時間がかかる周期判定フェーズをスキップしてクローズTS決定フェーズ及び定常監視フェーズへの移行を早めることで、MC-LAG切替発生時でも高優先フローの出力遅延を抑制できる。更に、各出力ポートに配置されたiTAS装置個別に学習するのではなく、周期情報が必要な最小限のポートによる学習でiTAS制御が可能になるため、MC-LAG構成時のiTAS学習を効率的に実現できる。
【0136】
尚、
図12に示すiTAS周期確定処理は、運用中の定期的な所定タイミングで実行する場合を例示したが、自律学習中にGCL内に修正が発生したタイミングで実行しても良く適宜変更可能である。
【0137】
iTAS周期確定処理では、L2SW側ポート周期確定処理を実行した後にMC-LAG側ポート周期確定処理を実行する場合を例示した。しかしながら、MC-LAG側ポート周期確定処理を実行した後にL2SW側ポート周期確定処理を実行しても良く、適宜変更可能である。
【0138】
iTAS周期確定処理では、所定タイミングに応じて周期判定処理を実行した後、周期情報同期処理を実行する場合を例示した。しかしながら、周期判定処理を実行した後、前回の周期情報と今回の周期情報とが異なる場合にのみ、周期情報同期処理を実行しても良く、適宜変更可能である。
【0139】
また、第1のNE10A及び第2のNE10Bの夫々は、L2SW出力ポート11A(11B)、MC-LAG出力ポート12A(12B)、IPL出力ポート13A(13B)の3個の出力ポートを例示した。しかしながら、3個の出力ポートに限定されるものではなく、第1のNE10A及び第2のNE10Bの出力ポート数が同数であれば、4個以上の出力ポートでも良く、適宜変更可能である。各ポートを流れる高優先フローの経路を考慮しながら、IPL出力ポート13A(13B)のiTAS装置15のiTAS周期に基づき、他の出力ポートに配置されたiTAS装置15のiTAS周期を決定できる。
【0140】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0141】
更に、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良い。また、各種処理機能は、CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良いことは言うまでもない。