(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173143
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】数値制御装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G05B 19/18 20060101AFI20241205BHJP
G05B 19/4155 20060101ALI20241205BHJP
B23Q 3/155 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G05B19/18 T
G05B19/4155 M
B23Q3/155 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091364
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】久留美 賢祐
【テーマコード(参考)】
3C002
3C269
【Fターム(参考)】
3C002AA03
3C002BB07
3C002HH01
3C269AB01
3C269BB05
3C269CC02
3C269EF02
3C269EF15
3C269EF19
3C269EF39
3C269MN16
3C269MN27
(57)【要約】
【課題】工具交換時間を短縮できる数値制御装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】工具収納時、数値制御装置のCPUは、Y軸方向において、主軸を第一復帰位置からATC準備位置を経由して、ATC位置へ移動する。Y軸方向のATC準備位置からATC位置への主軸の移動は、Z軸方向においてW9に主軸がATC準備位置に到達してから開始される。Y軸方向の第一復帰位置からATC準備位置への主軸の移動を、Z軸方向において主軸がW3に第一復帰位置を通過するのを契機に、待機時間T1が経過してから開始する。これにより、W9にY軸方向におけるATC準備位置からの移動開始時に、Y軸方向の主軸の移動速度を最大速度をV
Yにできる。よって数値制御装置は、Y軸方向におけるATC準備位置からATC位置への移動時間を短縮できる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具を装着する主軸と、工具を収納する複数の収納部を有するマガジンと、ワークを固定する台とを備えた工作機械を制御する数値制御装置において、
前記ワークの加工終了時における前記主軸の位置である終了位置から、
前記終了位置に対して前記主軸の軸方向に離れた位置であり、前記主軸に装着した装着工具が前記ワークに衝突しない第一復帰位置、
前記装着工具を前記マガジンの前記収納部に収納する収納位置、
及び、前記第一復帰位置及び前記収納位置の間にあり、前記軸方向に直交する第一直交方向において前記収納位置から離れた位置である準備位置
の各位置を、前記第一復帰位置、前記準備位置、前記収納位置の順に前記主軸を経由させた後、
前記収納位置に対して前記軸方向に沿って前記マガジンから離れる方向に位置し、且つ前記装着工具が前記収納部に残り前記主軸から抜ける抜き位置へ、前記主軸を移動する収納制御部を備え、
前記工作機械は、少なくとも前記軸方向及び前記第一直交方向における前記主軸の位置を検出する位置検出部を備えており、
前記収納制御部は、
前記軸方向における前記主軸の前記終了位置から前記第一復帰位置への移動を指示する第一指示部と、
前記軸方向における前記主軸の前記第一復帰位置から前記準備位置への移動を指示する第二指示部と、
前記第一直交方向における前記主軸の前記第一復帰位置から前記準備位置への移動を指示する第三指示部と、
前記第一直交方向における前記主軸の前記準備位置から前記収納位置への移動を指示する第四指示部と、
前記位置検出部の検出結果に基づき、前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置に到達したか否かを判断する第一判断部と、
計時開始から所定時間が経過したか否かを判断する第二判断部と、
前記位置検出部の検出結果に基づき、前記主軸が前記軸方向において前記準備位置に到達したか否かを判断する第三判断部と
を備え、
前記第一指示部による指示の出力が開始又は完了した場合、或いは前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置に到達したと前記第一判断部が判断した場合に前記所定時間の計時を開始し、
前記所定時間が経過したと前記第二判断部が判断した場合に前記第三指示部による指示の出力を開始し、
前記主軸が前記軸方向において前記準備位置に到達したと前記第三判断部が判断した場合に前記第四指示部による指示の出力を開始すること
を特徴とする数値制御装置。
【請求項2】
前記収納制御部は、
前記第一指示部による指示の出力が完了した場合に前記第二指示部による指示の出力を開始すること
を特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
【請求項3】
前記収納制御部は、
前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置に到達したと前記第一判断部が判断した場合に前記所定時間の計時を開始するものであり、
前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置を通過してから前記準備位置に到達するまでにかかる第一時間と、
前記主軸が前記第一直交方向における前記第一復帰位置から前記準備位置へ向けての移動において前記主軸が前記第一直交方向に移動する速度である第二移動速度から停止状態へ向けて減速を開始する直前までにかかる第二時間と
に基づいて前記所定時間を演算する演算部を備え、
前記演算部は、
前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置から前記準備位置まで移動する距離である第一移動距離と、
前記主軸が前記軸方向に移動する速度である第一移動速度と、
前記軸方向への移動において前記主軸が前記第一移動速度から停止状態となるまでの減速にかかる時間である第一減速時間と
に基づいて前記第一時間を演算し、
更に、
前記主軸が前記第一直交方向において前記第一復帰位置から前記準備位置まで移動する距離である第二移動距離と、
前記第二移動速度と
に基づいて前記第二時間を演算すること
を特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
【請求項4】
前記工作機械の前記位置検出部は更に、前記軸方向に対して直交し、且つ前記第一直交方向に対して直交する第二直交方向における前記主軸の位置を検出し、
前記収納制御部は、
前記第二直交方向における前記主軸の前記第一復帰位置から前記準備位置への移動を指示する第五指示部と、
前記位置検出部の検出結果に基づき、前記主軸が前記第二直交方向において前記準備位置に到達したか否かを判断する第四判断部と
を備え、
前記演算部は、
前記主軸が前記第一直交方向において前記第一復帰位置から前記準備位置まで移動する距離である第三移動距離と、
前記主軸が前記第一直交方向に移動する速度である第三移動速度と、
前記軸方向への移動において前記主軸が前記第一移動速度から停止状態となるまでの減速にかかる時間である第二減速時間と
に基づいて、前記主軸が前記第二直交方向において前記第一復帰位置を通過してから前記準備位置に到達するまでにかかる第三時間を演算し、
且つ、
前記第二時間と、
前記第三時間と
に基づいて前記所定時間を演算し、
前記収納制御部は、
前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置に到達したと前記第一判断部が判断した場合に前記所定時間の計時を開始し、
前記所定時間が経過したと前記第二判断部が判断した場合に前記第三指示部による指示の出力を開始し、
前記第三指示部による指示の出力が完了し、且つ、前記主軸が前記軸方向において前記準備位置に到達したと前記第三判断部が判断し、更に、前記主軸が前記第二直交方向において前記準備位置に到達したと前記第四判断部が判断した場合に前記第四指示部による指示の出力を開始すること
を特徴とする請求項3に記載の数値制御装置。
【請求項5】
前記工作機械の前記位置検出部は更に、前記軸方向に対して直交し、且つ前記第一直交方向に対して直交する第二直交方向における前記主軸の位置を検出し、
前記収納制御部は、
前記位置検出部の検出結果に基づき、前記主軸が前記第二直交方向において前記準備位置に到達したか否かを判断する第四判断部
を備え、
前記第三指示部による指示の出力が完了し、且つ、前記主軸が前記軸方向において前記準備位置に到達したと前記第三判断部が判断し、更に、前記主軸が前記第二直交方向において前記準備位置に到達したと前記第四判断部が判断した場合に前記第四指示部による指示の出力を開始すること
を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の数値制御装置。
【請求項6】
前記マガジンの複数の前記収納部のうち、次の加工に用いる工具である次工具を収納する前記収納部が前記収納位置に対応する位置に配置された状態で、
前記抜き位置から、前記収納位置、前記準備位置の順に経由させ、前記次工具による前記ワークの加工開始時における前記主軸の位置である開始位置に対して前記軸方向に離れた位置であり、前記次工具が前記ワークに衝突しない第二復帰位置に前記主軸を移動させた後、前記開始位置へ移動する装着制御部
を更に備え、
前記装着制御部は、
前記第一直交方向における前記主軸の前記収納位置から前記準備位置への移動を指示する第六指示部と、
前記第一直交方向における前記主軸の前記準備位置から前記第二復帰位置への移動を指示する第七指示部と、
前記軸方向及び前記第二直交方向における前記主軸の前記準備位置から前記第二復帰位置への移動を指示する第八指示部と、
前記位置検出部の検出結果に基づき、前記主軸が前記第一直交方向において前記準備位置に到達したか否かを判断する第五判断部と
を備え、
前記第六指示部による指示の出力が完了した場合に前記第七指示部による指示の出力を開始し、
前記主軸が前記第一直交方向において前記準備位置に到達したと前記第五判断部が判断した場合に前記第八指示部による指示の出力を開始すること
を特徴とする請求項5に記載の数値制御装置。
【請求項7】
工具を装着する主軸と、工具を収納する複数の収納部を有するマガジンと、ワークを固定する台とを備えた工作機械を制御するため、
前記ワークの加工終了時における前記主軸の位置である終了位置から、
前記終了位置に対して前記主軸の軸方向に離れた位置であり、前記主軸に装着した装着工具が前記ワークに衝突しない第一復帰位置、
前記装着工具を前記マガジンの前記収納部に収納する収納位置、
及び、前記第一復帰位置及び前記収納位置の間にあり、前記軸方向に直交する第一直交方向において前記収納位置から離れた位置である準備位置
の各位置を、前記第一復帰位置、前記準備位置、前記収納位置の順に前記主軸を経由させた後、
前記収納位置に対して前記軸方向に沿って前記マガジンから離れる方向に位置し、且つ前記装着工具が前記収納部に残り前記主軸から抜ける抜き位置へ、前記主軸を移動する収納制御ステップ
を備えた数値制御装置の制御方法において、
前記収納制御ステップは、
前記軸方向における前記主軸の前記終了位置から前記第一復帰位置への移動を指示する第一指示ステップと、
前記軸方向における前記主軸の前記第一復帰位置から前記準備位置への移動を指示する第二指示ステップと、
前記第一直交方向における前記主軸の前記第一復帰位置から前記準備位置への移動を指示する第三指示ステップと、
前記第一直交方向における前記主軸の前記準備位置から前記収納位置への移動を指示する第四指示ステップと、
前記工作機械が備え、少なくとも前記軸方向及び前記第一直交方向における前記主軸の位置を検出する位置検出部の検出結果に基づき、前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置に到達したか否かを判断する第一判断ステップと、
計時開始から所定時間が経過したか否かを判断する第二判断ステップと、
前記位置検出部の検出結果に基づき、前記主軸が前記軸方向において前記準備位置に到達したか否かを判断する第三判断ステップと
を備え、
前記第一指示ステップによる指示の出力が開始又は完了した場合、或いは前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置に到達したと前記第一判断ステップが判断した場合に前記所定時間の計時を開始し、
前記所定時間が経過したと前記第二判断ステップが判断した場合に前記第三指示ステップによる指示の出力を開始し、
前記主軸が前記軸方向において前記準備位置に到達したと前記第三判断ステップが判断した場合に前記第四指示ステップによる指示の出力を開始すること
を特徴とする制御方法。
【請求項8】
工具を装着する主軸と、工具を収納する複数の収納部を有するマガジンと、ワークを固定する台とを備えた工作機械を制御するため、
前記ワークの加工終了時における前記主軸の位置である終了位置から、
前記終了位置に対して前記主軸の軸方向に離れた位置であり、前記主軸に装着した装着工具が前記ワークに衝突しない第一復帰位置、
前記装着工具を前記マガジンの前記収納部に収納する収納位置、
及び、前記第一復帰位置及び前記収納位置の間にあり、前記軸方向に直交する第一直交方向において前記収納位置から離れた位置である準備位置
の各位置を、前記第一復帰位置、前記準備位置、前記収納位置の順に前記主軸を経由させた後、
前記収納位置に対して前記軸方向に沿って前記マガジンから離れる方向に位置し、且つ前記装着工具が前記収納部に残り前記主軸から抜ける抜き位置へ、前記主軸を移動する収納制御ステップ
を備えた数値制御装置を機能させるプログラムにおいて、
コンピュータに、
前記収納制御ステップにおいて、
前記軸方向における前記主軸の前記終了位置から前記第一復帰位置への移動を指示する第一指示ステップと、
前記軸方向における前記主軸の前記第一復帰位置から前記準備位置への移動を指示する第二指示ステップと、
前記第一直交方向における前記主軸の前記第一復帰位置から前記準備位置への移動を指示する第三指示ステップと、
前記第一直交方向における前記主軸の前記準備位置から前記収納位置への移動を指示する第四指示ステップと、
前記工作機械が備え、少なくとも前記軸方向及び前記第一直交方向における前記主軸の位置を検出する位置検出部の検出結果に基づき、前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置に到達したか否かを判断する第一判断ステップと、
計時開始から所定時間が経過したか否かを判断する第二判断ステップと、
前記位置検出部の検出結果に基づき、前記主軸が前記軸方向において前記準備位置に到達したか否かを判断する第三判断ステップと
を実行させ、
前記第一指示ステップによる指示の出力が開始又は完了した場合、或いは前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置に到達したと前記第一判断ステップが判断した場合に前記所定時間の計時を開始し、
前記所定時間が経過したと前記第二判断ステップが判断した場合に前記第三指示ステップによる指示の出力を開始し、
前記主軸が前記軸方向において前記準備位置に到達したと前記第三判断ステップが判断した場合に前記第四指示ステップによる指示の出力を開始すること
を特徴とするプログラム。
【請求項9】
工具を装着する主軸と、工具を収納する複数の収納部を有するマガジンと、ワークを固定する台とを備えた工作機械を制御するため、
前記ワークの加工終了時における前記主軸の位置である終了位置から、
前記終了位置に対して前記主軸の軸方向に離れた位置であり、前記主軸に装着した装着工具が前記ワークに衝突しない第一復帰位置、
前記装着工具を前記マガジンの前記収納部に収納する収納位置、
及び、前記第一復帰位置及び前記収納位置の間にあり、前記軸方向に直交する第一直交方向において前記収納位置から離れた位置である準備位置
の各位置を、前記第一復帰位置、前記準備位置、前記収納位置の順に前記主軸を経由させた後、
前記収納位置に対して前記軸方向に沿って前記マガジンから離れる方向に位置し、且つ前記装着工具が前記収納部に残り前記主軸から抜ける抜き位置へ、前記主軸を移動する収納制御ステップ
をコンピュータに実行させる数値制御装置を制御するプログラムであって、
コンピュータに、
前記収納制御ステップにおいて、
前記軸方向における前記主軸の前記終了位置から前記第一復帰位置への移動を指示する第一指示ステップと、
前記軸方向における前記主軸の前記第一復帰位置から前記準備位置への移動を指示する第二指示ステップと、
前記第一直交方向における前記主軸の前記第一復帰位置から前記準備位置への移動を指示する第三指示ステップと、
前記第一直交方向における前記主軸の前記準備位置から前記収納位置への移動を指示する第四指示ステップと、
前記工作機械が備え、少なくとも前記軸方向及び前記第一直交方向における前記主軸の位置を検出する位置検出部の検出結果に基づき、前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置に到達したか否かを判断する第一判断ステップと、
計時開始から所定時間が経過したか否かを判断する第二判断ステップと、
前記位置検出部の検出結果に基づき、前記主軸が前記軸方向において前記準備位置に到達したか否かを判断する第三判断ステップと
を実行させ、
前記第一指示ステップによる指示の出力が完了した場合、或いは前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置に到達したと前記第一判断ステップが判断した場合に前記所定時間の計時を開始し、
前記所定時間が経過したと前記第二判断ステップが判断した場合に前記第三指示ステップによる指示の出力を開始し、
前記主軸が前記軸方向において前記準備位置に到達したと前記第三判断ステップが判断した場合に前記第四指示ステップによる指示の出力を開始させるプログラム
を記憶することを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数値制御装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の工作機械は横形であり、主軸の軸方向は水平方向である。工具交換を行う際、工具がワーク及び治具に衝突しないよう、主軸を開始位置から復帰位置に移動後、Y軸方向においては機械原点に移動してから準備位置に移動する。開始位置はワークの加工終了時の主軸の位置である。復帰位置は工具がワーク及び治具に衝突しない主軸の位置である。機械原点は、主軸の軸方向における主軸の機械座標が原点寸法の位置であり、且つ、主軸の軸方向と直交する方向における主軸の機械座標が0の位置である。主軸の軸方向の原点寸法の位置は工作機械の構造に応じて決まる。準備位置は、工具を保持する工具ホルダをマガジンのグリップアームに把持する準備のため主軸を配置する位置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
主軸は復帰位置から機械原点に一旦移動してから準備位置に移動するので、工具交換時間が長くなるという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、工具交換時間を短縮できる数値制御装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様によれば、工具を装着する主軸と、工具を収納する複数の収納部を有するマガジンと、ワークを固定する台とを備えた工作機械を制御する数値制御装置において、前記ワークの加工終了時における前記主軸の位置である終了位置から、前記終了位置に対して前記主軸の軸方向に離れた位置であり、前記主軸に装着した装着工具が前記ワークに衝突しない第一復帰位置、前記装着工具を前記マガジンの前記収納部に収納する収納位置、及び、前記第一復帰位置及び前記収納位置の間にあり、前記軸方向に直交する第一直交方向において前記収納位置から離れた位置である準備位置の各位置を、前記第一復帰位置、前記準備位置、前記収納位置の順に前記主軸を経由させた後、前記収納位置に対して前記軸方向に沿って前記マガジンから離れる方向に位置し、且つ前記装着工具が前記収納部に残り前記主軸から抜ける抜き位置へ、前記主軸を移動する収納制御部を備え、前記工作機械は、少なくとも前記軸方向及び前記第一直交方向における前記主軸の位置を検出する位置検出部を備えており、前記収納制御部は、前記軸方向における前記主軸の前記終了位置から前記第一復帰位置への移動を指示する第一指示部と、前記軸方向における前記主軸の前記第一復帰位置から前記準備位置への移動を指示する第二指示部と、前記第一直交方向における前記主軸の前記第一復帰位置から前記準備位置への移動を指示する第三指示部と、前記第一直交方向における前記主軸の前記準備位置から前記収納位置への移動を指示する第四指示部と、前記位置検出部の検出結果に基づき、前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置に到達したか否かを判断する第一判断部と、計時開始から所定時間が経過したか否かを判断する第二判断部と、前記位置検出部の検出結果に基づき、前記主軸が前記軸方向において前記準備位置に到達したか否かを判断する第三判断部とを備え、前記第一指示部による指示の出力が開始又は完了した場合、或いは前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置に到達したと前記第一判断部が判断した場合に前記所定時間の計時を開始し、前記所定時間が経過したと前記第二判断部が判断した場合に前記第三指示部による指示の出力を開始し、前記主軸が前記軸方向において前記準備位置に到達したと前記第三判断部が判断した場合に前記第四指示部による指示の出力を開始することを特徴とする数値制御装置が提供される。
【0007】
第一直交方向における主軸の準備位置から収納位置への移動は、第三判断部が、主軸が軸方向において準備位置に到達したと判断した場合に行われる。故に収納制御部は、主軸の第一直交方向への移動において、主軸を第一復帰位置から準備位置へ移動させる指示と、準備位置から収納位置へ移動させる指示を連続して出力できるように、第三指示部による指示の出力を、所定時間の経過を待ってから行う。これにより主軸は、第一直交方向において、準備位置へ向けての移動速度の減速を行わず、次の収納位置へ向けて移動を継続することができるので、第一直交方向において、第一復帰位置から収納位置へ、より早く移動することができる。故に数値制御装置は、工具交換時間を短縮することができる。
【0008】
第一態様において、前記収納制御部は、前記第一指示部による指示の出力が完了した場合に前記第二指示部による指示の出力を開始してもよい。収納制御部は、主軸の軸方向への移動において、主軸を終了位置から第一復帰位置へ移動させる指示と、第一復帰位置から準備位置へ移動させる指示を連続して出力する。これにより主軸は、軸方向において、第一復帰位置へ向けての移動速度の減速を行わず、次の準備位置へ向けて移動を継続することができる。例えば、第一指示部による指示の出力が完了し、主軸が第一復帰位置に到達したことをインポジションチェックによって確認してから第二指示部による指示が出力される場合と比べ、主軸は、軸方向において、終了位置から準備位置へ、より早く移動することができる。故に数値制御装置は、工具交換時間を短縮することができる。
【0009】
第一態様において、前記収納制御部は、前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置に到達したと前記第一判断部が判断した場合に前記所定時間の計時を開始するものであり、前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置を通過してから前記準備位置に到達するまでにかかる第一時間と、前記主軸が前記第一直交方向における前記第一復帰位置から前記準備位置へ向けての移動において前記主軸が前記第一直交方向に移動する速度である第二移動速度から停止状態へ向けて減速を開始する直前までにかかる第二時間とに基づいて前記所定時間を演算する演算部を備え、前記演算部は、前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置から前記準備位置まで移動する距離である第一移動距離と、前記主軸が前記軸方向に移動する速度である第一移動速度と、前記軸方向への移動において前記主軸が前記第一移動速度から停止状態となるまでの減速にかかる時間である第一減速時間とに基づいて前記第一時間を演算し、更に、前記主軸が前記第一直交方向において前記第一復帰位置から前記準備位置まで移動する距離である第二移動距離と、前記第二移動速度とに基づいて前記第二時間を演算してもよい。主軸が軸方向において第一復帰位置を通過して準備位置に至るまでにかかる第一時間から、主軸が第一直交方向において第一復帰位置から準備位置に向けて移動し、準備位置にて停止する場合の減速を開始するタイミングまでにかかる第二時間を求め、その差分によって、所定時間を求めることができる。故に主軸は、第一直交方向において、第一復帰位置へ向けての移動速度の減速を行わず、次の準備位置へ向けて移動を継続することができる。
【0010】
第一態様において、前記工作機械の前記位置検出部は更に、前記軸方向に対して直交し、且つ前記第一直交方向に対して直交する第二直交方向における前記主軸の位置を検出し、前記収納制御部は、前記第二直交方向における前記主軸の前記第一復帰位置から前記準備位置への移動を指示する第五指示部と、前記位置検出部の検出結果に基づき、前記主軸が前記第二直交方向において前記準備位置に到達したか否かを判断する第四判断部とを備え、前記演算部は、前記主軸が前記第一直交方向において前記第一復帰位置から前記準備位置まで移動する距離である第三移動距離と、前記主軸が前記第一直交方向に移動する速度である第三移動速度と、前記軸方向への移動において前記主軸が前記第一移動速度から停止状態となるまでの減速にかかる時間である第二減速時間とに基づいて、前記主軸が前記第二直交方向において前記第一復帰位置を通過してから前記準備位置に到達するまでにかかる第三時間を演算し、且つ、前記第二時間と、前記第三時間とに基づいて前記所定時間を演算し、前記収納制御部は、前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置に到達したと前記第一判断部が判断した場合に前記所定時間の計時を開始し、前記所定時間が経過したと前記第二判断部が判断した場合に前記第三指示部による指示の出力を開始し、前記第三指示部による指示の出力が完了し、且つ、前記主軸が前記軸方向において前記準備位置に到達したと前記第三判断部が判断し、更に、前記主軸が前記第二直交方向において前記準備位置に到達したと前記第四判断部が判断した場合に前記第四指示部による指示の出力を開始してもよい。主軸は、軸方向への移動よりも第二直交方向への移動に時間がかかる場合がある。故に演算部は、主軸が第二直交方向において第一復帰位置を通過して準備位置に至るまでにかかる第三時間と、第二時間とに基づいて、所定時間を演算する。よって主軸は、第一直交方向において、準備位置へ向けての移動速度の減速を行わず、次の収納位置へ向けて移動を継続することができる。
【0011】
第一態様において、前記工作機械の前記位置検出部は更に、前記軸方向に対して直交し、且つ前記第一直交方向に対して直交する第二直交方向における前記主軸の位置を検出し、前記収納制御部は、前記位置検出部の検出結果に基づき、前記主軸が前記第二直交方向において前記準備位置に到達したか否かを判断する第四判断部を備え、前記第三指示部による指示の出力が完了し、且つ、前記主軸が前記軸方向において前記準備位置に到達したと前記第三判断部が判断し、更に、前記主軸が前記第二直交方向において前記準備位置に到達したと前記第四判断部が判断した場合に前記第四指示部による指示の出力を開始してもよい。第一直交方向における主軸の準備位置から収納位置への移動は、第三判断部が、主軸が軸方向において準備位置に到達したと判断し、且つ、第四判断部が、主軸が第二直交方向において準備位置に到達したと判断した場合に行われる。収納制御部は、主軸の第一直交方向への移動において、主軸を第一復帰位置から準備位置へ移動させる指示と、準備位置から収納位置へ移動させる指示を連続して出力できるように、第三指示部による指示の出力を、所定時間の経過を待ってから行う。これにより主軸は、第一直交方向において、第一復帰位置へ向けての移動速度の減速を行わず、次の準備位置へ向けて移動を継続することができるので、第一直交方向において、第一復帰位置から収納位置へ、より早く移動することができる。故に数値制御装置は、工具交換時間を短縮することができる。
【0012】
第一態様において、前記マガジンの複数の前記収納部のうち、次の加工に用いる工具である次工具を収納する前記収納部が前記収納位置に対応する位置に配置された状態で、前記抜き位置から、前記収納位置、前記準備位置の順に経由させ、前記未装着工具による前記ワークの加工開始時における前記主軸の位置である開始位置に対して前記軸方向に離れた位置であり、前記未装着工具が前記ワークに衝突しない第二復帰位置に前記主軸を移動させた後、前記開始位置へ移動する装着制御部を更に備え、前記装着制御部は、前記第一直交方向における前記主軸の前記収納位置から前記準備位置への移動を指示する第六指示部と、前記第一直交方向における前記主軸の前記準備位置から前記第二復帰位置への移動を指示する第七指示部と、前記軸方向及び前記第二直交方向における前記主軸の前記準備位置から前記第二復帰位置への移動を指示する第八指示部と、前記位置検出部の検出結果に基づき、前記主軸が前記第一直交方向において前記準備位置に到達したか否かを判断する第五判断部とを備え、前記第六指示部による指示の出力が完了した場合に前記第七指示部による指示の出力を開始し、前記主軸が前記第一直交方向において前記準備位置に到達したと前記第五判断部が判断した場合に前記第八指示部による指示の出力を開始してもよい。主軸の第一直交方向への移動において、第六指示部による指示が出力されると、主軸は、収納位置から準備位置へ向けての移動速度を0から加速し始め、指示の出力が完了すると、通常は、準備位置にて移動を停止するように、移動速度の減速をし始める。一方、本発明では、第七指示部による指示の出力は、第六指示部による指示の出力が完了した場合に行われる。即ち、第六指示部による指示と、第七指示部による指示が連続して出力される。故に主軸は、準備位置へ向けての移動速度の減速を行わず、次の第二復帰位置へ向けて移動を継続する。例えば、第六指示部による指示の出力が完了し、主軸が準備位置に到達したことをインポジションチェックによって確認してから第七指示部による指示が出力される場合と比べ、主軸は、第一直交方向において、収納位置から第二復帰位置へ、より早く移動することができる。故に数値制御装置は、工具交換時間を短縮することができる。
【0013】
本発明の第二態様によれば、工具を装着する主軸と、工具を収納する複数の収納部を有するマガジンと、ワークを固定する台とを備えた工作機械を制御するため、前記ワークの加工終了時における前記主軸の位置である終了位置から、前記終了位置に対して前記主軸の軸方向に離れた位置であり、前記主軸に装着した装着工具が前記ワークに衝突しない第一復帰位置、前記装着工具を前記マガジンの前記収納部に収納する収納位置、及び、前記第一復帰位置及び前記収納位置の間にあり、前記軸方向に直交する第一直交方向において前記収納位置から離れた位置である準備位置の各位置を、前記第一復帰位置、前記準備位置、前記収納位置の順に前記主軸を経由させた後、前記収納位置に対して前記軸方向に沿って前記マガジンから離れる方向に位置し、且つ前記装着工具が前記収納部に残り前記主軸から抜ける抜き位置へ、前記主軸を移動する収納制御ステップを備えた数値制御装置の制御方法において、前記収納制御ステップは、前記軸方向における前記主軸の前記終了位置から前記第一復帰位置への移動を指示する第一指示ステップと、前記軸方向における前記主軸の前記第一復帰位置から前記準備位置への移動を指示する第二指示ステップと、前記第一直交方向における前記主軸の前記第一復帰位置から前記準備位置への移動を指示する第三指示ステップと、前記第一直交方向における前記主軸の前記準備位置から前記収納位置への移動を指示する第四指示ステップと、前記工作機械が備え、少なくとも前記軸方向及び前記第一直交方向における前記主軸の位置を検出する位置検出部の検出結果に基づき、前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置に到達したか否かを判断する第一判断ステップと、計時開始から所定時間が経過したか否かを判断する第二判断ステップと、前記位置検出部の検出結果に基づき、前記主軸が前記軸方向において前記準備位置に到達したか否かを判断する第三判断ステップとを備え、前記第一指示ステップによる指示の出力が開始又は完了した場合、或いは前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置に到達したと前記第一判断ステップが判断した場合に前記所定時間の計時を開始し、前記所定時間が経過したと前記第二判断ステップが判断した場合に前記第三指示ステップによる指示の出力を開始し、前記主軸が前記軸方向において前記準備位置に到達したと前記第三判断ステップが判断した場合に前記第四指示ステップによる指示の出力を開始することを特徴とする制御方法が提供される。故に第二態様は、第一態様と同様の効果を奏する。
【0014】
本発明の第三態様によれば、工具を装着する主軸と、工具を収納する複数の収納部を有するマガジンと、ワークを固定する台とを備えた工作機械を制御するため、前記ワークの加工終了時における前記主軸の位置である終了位置から、前記終了位置に対して前記主軸の軸方向に離れた位置であり、前記主軸に装着した装着工具が前記ワークに衝突しない第一復帰位置、前記装着工具を前記マガジンの前記収納部に収納する収納位置、及び、前記第一復帰位置及び前記収納位置の間にあり、前記軸方向に直交する第一直交方向において前記収納位置から離れた位置である準備位置の各位置を、前記第一復帰位置、前記準備位置、前記収納位置の順に前記主軸を経由させた後、前記収納位置に対して前記軸方向に沿って前記マガジンから離れる方向に位置し、且つ前記装着工具が前記収納部に残り前記主軸から抜ける抜き位置へ、前記主軸を移動する収納制御ステップを備えた数値制御装置を機能させるプログラムにおいて、コンピュータに、前記収納制御ステップにおいて、前記軸方向における前記主軸の前記終了位置から前記第一復帰位置への移動を指示する第一指示ステップと、前記軸方向における前記主軸の前記第一復帰位置から前記準備位置への移動を指示する第二指示ステップと、前記第一直交方向における前記主軸の前記第一復帰位置から前記準備位置への移動を指示する第三指示ステップと、前記第一直交方向における前記主軸の前記準備位置から前記収納位置への移動を指示する第四指示ステップと、前記工作機械が備え、少なくとも前記軸方向及び前記第一直交方向における前記主軸の位置を検出する位置検出部の検出結果に基づき、前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置に到達したか否かを判断する第一判断ステップと、計時開始から所定時間が経過したか否かを判断する第二判断ステップと、前記位置検出部の検出結果に基づき、前記主軸が前記軸方向において前記準備位置に到達したか否かを判断する第三判断ステップとを実行させ、前記第一指示ステップによる指示の出力が開始又は完了した場合、或いは前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置に到達したと前記第一判断ステップが判断した場合に前記所定時間の計時を開始し、前記所定時間が経過したと前記第二判断ステップが判断した場合に前記第三指示ステップによる指示の出力を開始し、前記主軸が前記軸方向において前記準備位置に到達したと前記第三判断ステップが判断した場合に前記第四指示ステップによる指示の出力を開始することを特徴とするプログラムが提供される。故に第三態様は、第一態様と同様の効果を奏する。
【0015】
本発明の第四態様によれば、工具を装着する主軸と、工具を収納する複数の収納部を有するマガジンと、ワークを固定する台とを備えた工作機械を制御するため、前記ワークの加工終了時における前記主軸の位置である終了位置から、前記終了位置に対して前記主軸の軸方向に離れた位置であり、前記主軸に装着した装着工具が前記ワークに衝突しない第一復帰位置、前記装着工具を前記マガジンの前記収納部に収納する収納位置、及び、前記第一復帰位置及び前記収納位置の間にあり、前記軸方向に直交する第一直交方向において前記収納位置から離れた位置である準備位置の各位置を、前記第一復帰位置、前記準備位置、前記収納位置の順に前記主軸を経由させた後、前記収納位置に対して前記軸方向に沿って前記マガジンから離れる方向に位置し、且つ前記装着工具が前記収納部に残り前記主軸から抜ける抜き位置へ、前記主軸を移動する収納制御ステップをコンピュータに実行させる数値制御装置を制御するプログラムであって、コンピュータに、前記収納制御ステップにおいて、前記軸方向における前記主軸の前記終了位置から前記第一復帰位置への移動を指示する第一指示ステップと、前記軸方向における前記主軸の前記第一復帰位置から前記準備位置への移動を指示する第二指示ステップと、前記第一直交方向における前記主軸の前記第一復帰位置から前記準備位置への移動を指示する第三指示ステップと、前記第一直交方向における前記主軸の前記準備位置から前記収納位置への移動を指示する第四指示ステップと、前記工作機械が備え、少なくとも前記軸方向及び前記第一直交方向における前記主軸の位置を検出する位置検出部の検出結果に基づき、前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置に到達したか否かを判断する第一判断ステップと、計時開始から所定時間が経過したか否かを判断する第二判断ステップと、前記位置検出部の検出結果に基づき、前記主軸が前記軸方向において前記準備位置に到達したか否かを判断する第三判断ステップとを実行させ、前記第一指示ステップによる指示の出力が開始又は完了した場合、或いは前記主軸が前記軸方向において前記第一復帰位置に到達したと前記第一判断ステップが判断した場合に前記所定時間の計時を開始し、前記所定時間が経過したと前記第二判断ステップが判断した場合に前記第三指示ステップによる指示の出力を開始し、前記主軸が前記軸方向において前記準備位置に到達したと前記第三判断ステップが判断した場合に前記第四指示ステップによる指示の出力を開始させるプログラムを記憶することを特徴とする記憶媒体が提供される。故に第四態様は、第一態様と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】前方右上方から見た工作機械1の斜視図である。
【
図2】後方右上方から見た工作機械1の斜視図である。
【
図3】後方右下方から見た工作機械1(マガジンカバー省略)の斜視図である。
【
図4】工作機械1(マガジンカバー省略)の右側面図である。
【
図7】工作機械1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図8】工具交換動作の往路における主軸7の移動速度と時間との関係を示すタイミングチャートである。
【
図9】待機時間T1の算出において用いられる待機時間テーブル70の一例を示す図である。
【
図12】往路実行処理のフローチャートの続きである。
【
図14】復路実行処理のフローチャートの続きである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態を説明する。以下説明は図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。工作機械1の左右方向、上下方向、前後方向は夫々、工作機械1のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向である。
図1に示す工作機械1は、主軸7が前後方向(Z軸方向)に延びる横形であり、コラム5がX軸方向とZ軸方向に移動する工作機械である。
【0018】
図1~
図4を参照し、工作機械1の構造を説明する。工作機械1は基台2、コラム5、X軸移動機構11、Z軸移動機構12、Y軸移動機構13、主軸ヘッド6、主軸7(
図2参照)、制御箱8、回転テーブル9、ATC装置30(
図3参照)、マガジンカバー10等を備える。
【0019】
基台2はZ軸方向に長い略直方体状の鉄製土台である。X軸移動機構11は基台2上面後部に設け、移動体15をX軸方向に移動可能に支持する。Z軸移動機構12は移動体15上面に設ける。Z軸移動機構12はコラム5をZ軸方向に移動可能に支持する。コラム5は上下方向に延びる立柱である。コラム5は前面に縦長矩形状の貫通口5A(
図3参照)を備える。貫通口5Aはコラム5を前後方向に貫通する。枠カバー20はコラム5前面に取り付ける。枠カバー20は正面視縦長矩形状の枠体であり、コラム5と主軸ヘッド6の間を覆う。Y軸移動機構13はコラム5前面に設け、主軸ヘッド6をY軸方向に移動可能に支持する。X軸移動機構11、Z軸移動機構12、Y軸移動機構13は例えばガイド、ボールネジ、モータ(
図7に示すX軸モータ11A、Z軸モータ12A、Y軸モータ13A)を備え、該モータの動力で夫々、移動体15、コラム5、主軸ヘッド6をガイドに沿って移動させる。
【0020】
主軸ヘッド6はZ軸方向に延び、Y軸移動機構13によりコラム5前面に沿ってY軸方向に移動可能に設ける。主軸ヘッド6はY軸方向において加工領域とATC領域(
図4,
図5参照)の間を移動可能である。加工領域はY軸原点よりも基台2側(下側)の空間に設けられる。Y軸原点はY軸の機械座標が0の位置である。ATC領域は、Y軸原点に対して加工領域とは反対側(上側)の空間に設けられる。加工領域は回転テーブル9に固定されたワークW(
図5参照)の加工を行う領域である。ATC領域はATC装置30による工具交換を行う領域である。ATC領域はY軸方向において加工領域の上側で、且つZ軸方向にて加工領域と重なる位置に設けられる。
【0021】
主軸ヘッド6は上部カバー28とカバー85を備える。上部カバー28は主軸ヘッド6上面後端部に固定する。上部カバー28は正面視略矩形状の金属板であり、主軸ヘッド6上面後端部から上方に延出する。カバー85は主軸ヘッド6下面後端部に吊り下げた状態で固定する。カバー85は複数の金属板を上下方向に並べて備え、上下方向にテレスコピックに伸縮する。上部カバー28は主軸ヘッド6と一体して上下動することで、コラム5前面の主軸ヘッド6よりも上側の領域を常時覆う。カバー85は主軸ヘッド6の上下動に応じて上下方向に伸縮することで、コラム5前面の主軸ヘッド6よりも下側の領域を常時覆う。
【0022】
主軸7は主軸ヘッド6内にて主軸ヘッド6と同軸上に設ける。主軸ヘッド6は主軸7を回転可能に支持する。主軸ヘッド6後部にはモータ保持箱27(
図3参照)を固定する。モータ保持箱27は主軸ヘッド6後部から後方に延び、主軸モータ26を内側に保持する。モータ保持箱27はコラム5の貫通口5Aから後方に突出する。主軸モータ26(
図7参照)の出力軸は前方に延び、主軸7の後端部と同軸上に連結する。
【0023】
主軸7は工具装着穴40、ホルダ保持部材19(
図5参照)を備える。工具装着穴40は主軸7先端部(前端部)に設ける。工具装着穴40は主軸7の先端部に向けて拡径する略円錐状の工具装着穴40である。ホルダ保持部材19は工具装着穴40の奥側に設ける。工具装着穴40には、工具ホルダ90(
図5参照)が着脱自在に装着する。工具ホルダ90は一端側に工具91を保持し、他端側にテーパ部とプルスタッド93(
図5参照)を備える。テーパ部は略円錐状であり、主軸7の工具装着穴40に密着する。プルスタッド93はテーパ部の頂上部から軸方向に突出する。工具装着穴40にテーパ部を装着すると、ホルダ保持部材19はプルスタッド93を保持し、主軸7に工具ホルダ90を固定する。
【0024】
基台2後部には一対の支持部材17,18を設ける。支持部材17,18は左右方向に互いに離間し且つ上方に延び、制御箱8を下方から支持する。制御箱8は内部に制御盤(図示略)を収納する。制御盤は工作機械1の動作を制御する。基台2上面前側には固定台16を設ける。回転テーブル9は固定台16に固定する。回転テーブル9は主軸ヘッド6の前方に位置する。回転テーブル9は上面にワークW(
図5参照)を治具(図示略)で固定し、Y軸方向に平行な回転軸を中心に360°回転可能である。
【0025】
基台2上面前側で且つ左右両側には一対の支持柱21,22を設ける。
図3に示すように、支持柱21と22の互いに対向する夫々の上部の間には連結板23を固定する。ATC装置30は連結板23前面に固定する。故にATC装置30は支持柱21,22により、コラム5と回転テーブル9の間で且つ主軸ヘッド6上方に位置する。ATC装置30は工具マガジン31、減速機32、マガジンモータ33等を備える。工具マガジン31はマガジンベース37と複数のグリップアーム35を備える。マガジンベース37は略円盤状であり、Z軸方向に平行な一軸線を中心に連結板23前面にて回転可能に支持する。減速機32とマガジンモータ33は工具マガジン31に取り付ける。マガジンモータ33の出力軸(図示略)は減速機32を介してマガジンベース37の回転軸(図示略)と接続する。マガジンモータ33の動力は減速機32を介してマガジンベース37の回転軸に伝達する。複数のグリップアーム35はマガジンベース37外周部に沿って並んで設け、径方向外側に向けて放射状に延びる。グリップアーム35は先端部に工具ホルダ90を把持し、工具ホルダ90に保持する工具91を後述するマガジンカバー10内に収納する。即ち、複数のグリップアーム35は、それぞれに、工具91を保持する工具ホルダ90を把持することで、複数の工具91をマガジンカバー10内に収納できる。主軸7と工具交換を行うグリップアーム35は工具マガジン31のATC位置C(
図5参照)に移動する。ATC位置Cは工具マガジン31の最下部の位置である。
【0026】
図1,
図2に示すように、支持柱21,22の夫々の上部前面には、マガジンカバー10を固定する。マガジンカバー10は箱状であり工具マガジン31の周囲を覆う。マガジンカバー10は切粉と切削液の飛沫が工具マガジン31に付着するのを防止する。マガジンカバー10の底壁101には開口部102を設ける。開口部102は底面視矩形状であり、工具マガジン31の最下部であるATC位置Cの直下に位置する。開口部102にはシャッター103を設ける。シャッター103は制御盤の制御により開口部102を開閉する。シャッター103の開放時、主軸7は開口部102を通過し、ATC位置Cに移動できる。
【0027】
図5,
図6を参照し、工具交換動作の概要について説明する。工作機械1がワークWを切削する加工状態では、主軸7は加工領域に位置する。主軸7に装着した工具91による加工が終了した後、工作機械1は工具交換動作を実行する。工具交換動作は、使用した工具91を工具マガジン31に収納する工具収納動作と、次に使用する次工具92を主軸7に装着し、加工を開始する位置へ移動する工具装着動作を含む。主軸7が工具収納時に移動する経路を往路とし、工具装着時に移動する経路を復路とする。なお、本実施形態において「主軸7を移動する」とは、「主軸ヘッド6を移動する」と同義である。
【0028】
往路は、主軸7を加工終了位置Q1からATC原点位置Dまで移動する経路(
図5参照)である。復路は、主軸7をATC原点位置Dから加工開始位置Q2まで移動する経路(
図6参照)である。加工終了位置Q1は、NCプログラムに従ってワークWの加工が終了した時の主軸7の位置である。ATC原点位置Dは、ATC領域に設けられる工具交換時の基準点であり、工具マガジン31が回転可能な位置である。加工開始位置Q2は、NCプログラムに従ってワークWの加工を開始する時の主軸7の位置であり、工具交換後に主軸7を移動させる目標位置である。
【0029】
往路について説明する。
図5に示すように、工作機械1は、主軸7を加工終了位置Q1からZ軸+方向に移動し、第一復帰位置A1を経由して、ATC準備位置Bまで移動する。第一復帰位置A1は、加工終了位置Q1に対してZ軸+方向に離れ、主軸7に装着した工具91が回転テーブル9上に固定したワークW及び治具に接触しない位置に設定される。ATC準備位置Bは、ATC位置CとZ軸方向において同一座標の位置である。ATC位置Cは、工具マガジン31のグリップアーム35が工具ホルダ90を把持する位置である。ATC準備位置Bは、ATC位置Cに対してY軸-方向に離れ、グリップアーム35による工具ホルダ90の把持及び解放をY軸方向に行うため主軸7を配置する位置である。
【0030】
工作機械1は、Z軸+方向において主軸7を加工終了位置Q1からATC準備位置Bに移動する過程で、X軸方向においても、主軸7を第一復帰位置A1からATC準備位置Bに移動する。Z軸+方向における第一復帰位置A1からATC準備位置Bまでの主軸7の移動距離と、X軸方向における第一復帰位置A1からATC準備位置Bまでの主軸7の移動距離は、加工終了位置Q1に応じて異なる。よって、第一復帰位置A1からATC準備位置Bまでの主軸7の移動は、Z軸+方向においてX軸方向よりも先に完了する場合があれば、X軸方向においてZ軸+方向よりも先に完了する場合もある。
【0031】
工作機械1は、主軸7をATC準備位置BからATC位置Cまで上昇する。このとき、工具マガジン31直下にある空のグリップアーム35のポット位置(把持位置)に対して、主軸7に装着した工具91を保持する工具ホルダ90が下方から係合することで、グリップアーム35は工具91を保持する工具ホルダ90を把持する。この状態で、工作機械1は、主軸7をATC位置CからZ軸+方向に後進し、ATC原点位置Dまで移動する。このとき、工具ホルダ90を介してグリップアーム35に把持されることによって工具91の位置は固定されているので、主軸7から工具91が引き抜かれる。これにより工具収納時における主軸7の往路の移動が完了する。
【0032】
復路について説明する。工作機械1は工具マガジン31を回転し、次に装着する次工具92を保持する工具ホルダ90を把持するグリップアーム35を工具マガジン31直下に位置決めする。このとき、次工具92が主軸7の前方に対向する。この状態で、
図6に示すように、工作機械1は、ATC原点位置Dにある主軸7をZ軸-方向に前進し、ATC位置Cまで移動する。これにより、主軸7に次工具92が装着される。
【0033】
主軸7に次工具92が装着されると、工作機械1は、主軸7をATC位置CからATC準備位置Bまで下降する。次いで、工作機械1は、主軸7をATC準備位置Bから第二復帰位置A2まで移動した後、加工開始位置Q2に移動する。第二復帰位置A2は、加工開始位置Q2に対してZ軸+方向に離れ、主軸7に装着した工具91が回転テーブル9上に固定したワークW及び治具に接触しない位置に設定される。これにより工具装着時における主軸7の復路の移動が完了し、一連の工具交換動作が完了する。
【0034】
図7を参照し、工作機械1の電気的構成について説明する。工作機械1は、数値制御装置50、主軸モータ26、X軸モータ11A、Y軸モータ13A、Z軸モータ12A、マガジンモータ33、シャッターモータ34、駆動回路61~66、エンコーダ26A,11B,12B,13B,33A,34A、操作パネル25等を備える。
【0035】
数値制御装置50はCPU51、ROM52、RAM53、記憶装置54、通信I/F55、入出力インターフェイス56等を備える。CPU51は数値制御装置50を統括制御する。ROM52は、NC制御プログラム等の各種プログラム等を記憶する。NC制御プログラムは、後述のNC制御処理(
図10参照)を実行するものである。RAM53は各種処理実行中の各種データを記憶する。記憶装置54は不揮発性メモリであり、例えば加工する為のNCプログラムの他、各種データに加え、後述する往路実行処理(
図11参照)において待機時間T1の算出に用いられる待機時間テーブル70と、待機時間T2の算出に用いられる待機時間テーブル(図示略)を記憶する。通信I/F55は、有線又は無線で端末(図示略)と接続可能である。入出力インターフェイス56は操作パネル25と駆動回路61~66と接続する。
【0036】
主軸モータ26は工具を装着した主軸7を回転する。X軸モータ11A、Z軸モータ12A、Y軸モータ13Aは、ワークWと主軸7をX軸、Z軸、Y軸方向に相対的に移動する。マガジンモータ33は工具マガジン31を回転する。シャッターモータ34はシャッター103を開閉する。主軸モータ26、X軸モータ11A、Z軸モータ12A、Y軸モータ13A、マガジンモータ33、シャッターモータ34はサーボモータである。駆動回路61はCPU51からの制御信号に基づき主軸モータ26を制御する。駆動回路62はCPU51からの制御信号に基づきX軸モータ11Aを制御する。駆動回路63はCPU51からの制御信号に基づきZ軸モータ12Aを制御する。駆動回路64はCPU51からの制御信号に基づきY軸モータ13Aを制御する。駆動回路65はCPU51からの制御信号に基づきマガジンモータ33を制御する。駆動回路66はCPU51からの制御信号に基づきシャッターモータ34を制御する。
【0037】
エンコーダ26Aは主軸モータ26の回転位置を検出し、該検出信号を駆動回路61に送信する。駆動回路61は検出信号に基づき主軸モータ26のフィードバック制御を行う。エンコーダ11BはX軸モータ11Aの回転位置を検出し、該検出信号を駆動回路62に送信する。駆動回路62は検出信号に基づきX軸モータ11Aのフィードバック制御を行う。エンコーダ12BはZ軸モータ12Aの回転位置を検出し、該検出信号を駆動回路63に送信する。駆動回路63は検出信号に基づきZ軸モータ12Aのフィードバック制御を行う。エンコーダ13BはY軸モータ13Aの回転位置を検出し、該検出信号を駆動回路64に送信する。駆動回路64は検出信号に基づきY軸モータ13Aのフィードバック制御を行う。エンコーダ33Aはマガジンモータ33の回転位置を検出し、該検出信号を駆動回路65に送信する。駆動回路65は検出信号に基づきマガジンモータ33のフィードバック制御を行う。エンコーダ34Aはシャッターモータ34の回転位置を検出し、該検出信号を駆動回路66に送信する。駆動回路66は検出信号に基づきシャッターモータ34のフィードバック制御を行う。操作パネル25は各種情報の表示と入力が可能である。
【0038】
工具交換動作の指令形式について説明する。工具交換動作は、NCプログラムの制御指令で設定できる。指令形式は、例えば、G100やM06等のコマンドを使用できる。加工開始位置Q2の座標値、第一復帰位置A1及び第二復帰位置A2のZ軸の座標値は、工具交換指令に含めて指定される。G100とM06の具体例は以下の通りである。
・G100T_L_X_Y_Z_R_
・M06T_L_X_Y_Z_R_
T、L、X、Y、Z、Rはアドレスである。Tは工具番号、ポット番号、又はグループ番号である。LはG100後のTモーダル値を指定する。X、Y、Zは加工開始位置Q2のX、Y、Zの座標値である。Rは第一復帰位置A1、第二復帰位置A2のZ軸の座標値であって、工具がテーブル上のワーク及び治具に接触しない位置の座標値である。また、第一復帰位置A1、第二復帰位置A2への主軸7の位置決めについて、CPU51は工具長オフセットをかけて動作する。工具長オフセットとは、工具の先端が基準点になるように、Z軸の座標値を補正することである。
【0039】
図5、
図8、
図9を参照し、後述する往路実行処理において、主軸7のY軸+方向における第一復帰位置A1からATC位置Cへの移動の開始時機を待機する待機時間Tの算出方法について、各軸の移動速度と移動時機との関係に基づいて説明する。
図5及び
図8(A)に示すように、往路実行処理において、工作機械1は、W0に、加工終了位置Q1から第一復帰位置A1へ向けて、主軸7のZ軸+方向への移動を開始する。主軸7のZ軸+方向への移動速度は加速し、W1に、最大速度V
Zに達する。W2に第一復帰位置A1へ向けた移動指令(後述)の出力が完了し、そのまま主軸7のZ軸+方向への移動速度が減速した場合、主軸7はW4に第一復帰位置A1に到達し、移動速度が0になる。
【0040】
工作機械1は、W2に第一復帰位置A1へ向けた移動指令の出力が完了すると、第一復帰位置A1からATC準備位置Bへ向けて、Z軸+方向における主軸7の移動指令を出力する。よって主軸7は、W2以降も最大速度VZを維持したまま移動し、W3に第一復帰位置A1に到達する。Z軸+方向におけるATC準備位置Bへ向けた移動指令の出力はW7に完了し、主軸7は減速してW9にZ軸+方向においてATC準備位置Bに到達し、移動速度が0になる。
【0041】
工作機械1は、W2に第一復帰位置A1へ向けた移動指令の出力が完了すると、X軸方向においても第一復帰位置A1からATC準備位置Bへ向けた主軸7の移動指令を出力する。主軸7のX軸方向への移動速度は加速し、W4に、最大速度VXに達する。X軸方向におけるATC準備位置Bへ向けた移動指令の出力はW6に完了し、主軸7は減速してW8にX軸方向においてATC準備位置Bに到達し、移動速度が0になる。
【0042】
工作機械1は、W9に主軸7がZ軸+方向においてATC準備位置Bに到達すると(X軸方向はW8に到達済み)、Y軸+方向においてATC準備位置BからATC位置Cへ向けた主軸7の移動指令を出力する。よって工作機械1は、W9以前の時機(本実施形態ではW5)に、Y軸+方向において第一復帰位置A1からATC準備位置Bへ向けた主軸7の移動指令を出力する。工作機械1は、主軸7がZ軸+方向において第一復帰位置A1に到達するW3を基準にW5までATC準備位置Bへの移動指令の出力を待機する待機時間Tを算出する。
【0043】
仮にW3に、Y軸+方向におけるATC準備位置Bへの移動指令を出力した場合、主軸7はW9以前にATC準備位置Bに到達し、W9においてY軸+方向の移動速度が0となっている場合がある。この場合、主軸7のATC準備位置BからATC位置Cへの移動にかかる時間として、移動速度を0から最大速度VYに加速する時間と最大速度VYから0に減速する時間が必要となる。待機時間Tは、主軸7のY軸+方向における第一復帰位置A1からATC位置Cに到達するまでの移動を連続して行えるようにするため、ATC準備位置Bへの移動指令の出力をW3からW5まで待機する時間である。これにより工作機械1は、W9における主軸7のY軸+方向の移動速度が最大速度VYとなるように第一復帰位置A1からATC位置Cまでの移動を連続して行うことで、主軸7がATC位置Cに到達するW12を従来のW13よりも早め、工具交換時間を短縮する。即ち工作機械1は、例えば近似値で、W11に速度VYからの減速を開始してからW13に停止するまでの減速時間tYの1/2時間分早いW10に減速を開始でき、工具交換時間を短縮することができる。待機時間Tの算出方法については後述する。
【0044】
工作機械1は、W12に主軸7がY軸+方向においてATC位置Cに到達すると、Z軸+方向においてATC位置CからATC原点位置Dへ向けた主軸7の移動指令を出力する。主軸7のZ軸+方向への移動速度は加速し、W14に、最大速度VZに達する。Z軸+方向におけるATC原点位置Dへ向けた移動指令の出力はW15に完了し、主軸7は減速してW16にATC原点位置Dに到達し、工具交換動作の往路を完了する。
【0045】
待機時間Tは、以下のように算出する。主軸7がZ軸+方向において第一復帰位置A1に到達するW3から、ATC準備位置Bに到達するW9までの時間をT
Zとする。主軸7は減速してW9にZ軸+方向においてATC準備位置Bに到達し、移動速度が0になる。第一復帰位置A1からATC準備位置BまでのZ軸方向の距離をL
ZAB、Z軸方向の主軸7の最大速度をV
Z、W7に速度V
Zからの減速を開始してからW9に停止するまでの減速時間(時定数)をt
Zとしたとき、距離L
ZABは、W3からW9までの速度と時間を積算することによって近似できる。具体的には、距離L
ZABは、速度V
Zを維持するW3からW7までのJの部分の面積と、速度がV
Zから0に減速するW7からW9までのKの部分の面積との和を求めた(1)式によって近似することができる。
【数1】
よって、(1)式より、
【数2】
を得ることができる。
【0046】
図8(A)において、主軸7は、X軸方向においてW8にATC準備位置Bに到達するのに対し、Z軸+方向においてはW8より遅いW9にATC準備位置Bに到達する。このような場合の待機時間をT1とする。また、第一復帰位置A1からATC準備位置BまでのY軸方向の距離をL
YAB、Y軸方向の主軸7の最大速度をV
Yとしたとき、距離L
YABは、W5からW9までのHの部分の面積を求めた(3)式によって近似することができる。
【数3】
よって、(2)式、(3)式より、
【数4】
を得ることができる。
【0047】
次に、
図8(B)に示す例では、主軸7が、Z軸+方向においてW8にATC準備位置Bに到達するのに対し、X軸方向においてはW8より遅いW9にATC準備位置Bに到達する。このような場合、工作機械1は、W9に主軸7がX軸方向においてATC準備位置Bに到達すると(Z軸+方向はW8に到達済み)、Y軸+方向においてATC準備位置BからATC位置Cへ向けた主軸7の移動指令を出力する。このような場合の待機時間をT2とする。また、第一復帰位置A1からATC準備位置BまでのX軸方向の距離をL
XAB、X軸方向の主軸7の最大速度をV
Xとしたとき、(1)~(4)式と同様の手順により、
【数5】
を得ることができる。
【0048】
主軸7がX軸方向よりもZ軸+方向においてATC準備位置Bに遅く到達する場合には、(4)式により求めたT1を待機時間Tとして適用し、主軸7がZ軸+方向よりもX軸方向においてATC準備位置Bに遅く到達する場合には、(5)式により求めたT2を待機時間Tとして適用する。なお、ATC準備位置Bへ向けたY軸+方向への移動よりも先にZ軸+方向への移動が完了する場合、待機時間Tは0以下である。このような場合は、距離LZABが比較的短い場合や、距離LYABが比較的長い場合に生ずる。よって待機時間Tが0以下となる場合、ATC準備位置Bへ向けたY軸+方向への主軸7の移動は、主軸7がZ軸+方向において第一復帰位置A1に到達するW3に開始する。
【0049】
主軸7の最大速度V
X,V
Y,V
Zと減速時間(時定数)t
Z,t
Xは、予め定められている。待機時間Tの算出に必要となるパラメータは、第一復帰位置A1からATC準備位置BまでのZ軸+方向の距離L
ZABと、X軸方向の距離L
XABである。
図9に示すように、本実施形態の工作機械1は、距離L
ZABと、距離L
YABとの関係に応じて待機時間T1を決定する待機時間テーブル70を有する。例えば、距離L
ZABが100mmでL
YABが150mmの場合、待機時間T1は38msである。なお、待機時間テーブル70において斜線で記された組み合わせは、待機時間Tが0以下となる組み合わせである。図示しないが、工作機械1は、距離L
XABと、距離L
YABとの関係に応じて待機時間T2を決定する待機時間テーブルも有する。待機時間テーブル70を用いるので、工作機械1は、待機時間Tの算出を容易に且つ素早くできる。
【0050】
図10~
図14を参照し、NC制御処理について説明する。ユーザは操作パネル25でNCプログラムを選択する。CPU51は、操作パネル25で選択されたNCプログラムの実行の操作を受け付けると、ROM52からNC制御プログラムを読み出し、本処理を実行する。
【0051】
図10に示すように、CPU51は選択されたNCプログラムを記憶装置54から読み込む(S11)。CPU51は読み込んだNCプログラムの先頭行から1ブロック解釈する(S12)。CPU51は解釈したブロックの制御指令がM30(終了コマンド)か否か判断する(S13)。解釈した制御指令がM30でなかった場合(S13:NO)、CPU51は解釈した制御指令がG100若しくはM06であるか否か判断する(S14)。G100及びM06の何れでもない場合(S14:NO)、CPU51は解釈した制御指令を実行する(S15)。CPU51は次ブロックに移動し(S19)、S12に戻って上記処理を繰り返す。解釈したブロックの制御指令がG100若しくはM06であった場合(S14:YES)、CPU51は往路実行処理を実行する。
【0052】
図11、
図12を参照し、往路実行処理について説明する。往路実行処理が実施される時、主軸7は、ワークWに対する加工が終了した加工終了位置Q1に位置する。
図11に示すように、CPU51は制御指令に含まれる第一復帰位置A1のZ軸の座標値と、加工終了位置Q1の座標値と、工具長オフセット値とに基づき、第一復帰位置A1の座標値を算出する(S21)。CPU51は、加工終了位置Q1の座標値と第一復帰位置A1の座標値とに基づいて、主軸7を加工終了位置Q1から第一復帰位置A1へ移動させるための移動指令を算出する(S22)。移動指令は移動対象とする方向に対する主軸7の移動量と移動速度を指定する。主軸7を移動する場合、CPU51は、移動指令から移動量を記憶するとともに、指令されている速度に基づきサンプリング周期における移動量を算出する。CPU51はサンプリング周期における移動量を指令されている軸の駆動回路に出力し、記憶した移動量から出力した移動量を減算する。指令されている軸の駆動回路は出力された移動量から移動平均フィルタを用いて加速し、指令速度に達したら速度を維持するように指令された軸のモータを駆動する。CPU51は記憶した移動量が0になると、指令されている軸の駆動回路に0を出力する。CPU51が駆動回路に0を出力するとき移動指令の出力が完了したことになる。指令されている軸の駆動回路は移動量が0である場合、移動平均フィルタを用いて減速しモータを停止する。尚、X軸モータ11A,Z軸モータ12A,Y軸モータ13Aはサーボモータである。このため、主軸7の移動距離は、サーボモータの加減速を考慮して演算する必要がある。CPU51は、サーボモータが加速し、最大速度で駆動し、減速して停止するまでの間に主軸7が移動する距離が、加工終了位置Q1と第一復帰位置A1との間の距離と一致するように、移動指令の出力を継続するサンプリング周期の回数を算出する。CPU51は、算出した回数分に、加工終了位置Q1から第一復帰位置A1への移動指令を分配して生成する。
【0053】
加工終了位置Q1に対して第一復帰位置A1はZ軸+方向にある。CPU51は、分配したすべての移動指令の出力を完了するまでは(S23:NO)、S24~S27の処理を実行する。CPU51は、シャッター103の開放を指示する指令を出力する。なお、当該指令は初回実行時のみ出力される。シャッターモータ34は駆動し、シャッター103の開放を開始する(S24)。CPU51はオリエントを開始する指令を出力する。なお、当該指令は初回実行時のみ出力される。主軸モータ26は駆動し、主軸7の回転位置をオリエント位置へ向けて、主軸7を回転を開始する(S26)。オリエント位置は、主軸7の回転位置が0°又は180°の位置であり、主軸7の工具装着穴40に工具ホルダ90を装着した時の主軸7と工具91の向きとの位置決めがなされる位置である。オリエントは、主軸7を回転し、主軸7の回転位置をオリエント位置に合わせる動作をいう。CPU51は、サンプリング周期毎に繰り返しZ軸方向において分配した移動指令を出力する(S27)。主軸7は加工開始位置Q2からZ軸+方向に移動し、第一復帰位置A1まで後進し始める。CPU51は、分配したすべての移動指令の出力を完了すると(S23:YES)、処理をS31に進める。移動指令の出力が完了した時点において、第一復帰位置A1へ向けたZ軸+方向における主軸7の移動速度は最大速度である。後述するが、Z軸+方向における第一復帰位置A1からATC準備位置Bへの移動指令は、加工終了位置Q1から第一復帰位置A1への移動指令に連続して出力される。第一復帰位置A1からATC準備位置Bへの移動指令が加工終了位置Q1から第一復帰位置A1への移動指令に連続して出力されない場合、第一復帰位置A1からATC準備位置Bへの移動指令の出力が完了すると、主軸7の移動速度は減速される。即ち、第一復帰位置A1からATC準備位置Bへの移動指令の出力が完了した時点において、主軸7は、Z軸+方向における移動速度の減速が開始される直前の状態である。
【0054】
CPU51は、ATC準備位置Bの座標値を算出する(S31)。ATC準備位置Bの座標値は、予め規定されているデフォルトの座標値から機器固有のパラメータに応じて算出される。CPU51は、第一復帰位置A1の座標値とATC準備位置Bの座標値とに基づいて、主軸7を第一復帰位置A1からATC準備位置Bへ移動させるための移動指令を算出する(S32)。CPU51は、加減速を考慮した上での主軸7の移動距離が、第一復帰位置A1とATC準備位置Bとの間の距離と一致するように、X軸,Z軸,Y軸方向の各方向への移動指令をそれぞれ分配して生成する。
【0055】
CPU51は、制御指令に含まれる第一復帰位置A1の座標値、及び予め規定されたATC準備位置Bの座標値に基づき、距離LZAB、距離LYAB、距離LXABをそれぞれ求める。次いでCPU51は、記憶装置54に記憶する待機時間テーブル70と、距離LZAB、距離LYAB、距離LXABから、主軸7のZ軸方向の移動に合わせた場合の待機時間T1と、主軸7のX軸方向の移動に合わせた待機時間T2を算出する(S33)。CPU51は、待機時間T1と待機時間T2を比較し、待機時間T1が待機時間T2より大きい場合(S34:YES)、待機時間T1を待機時間Tとして設定し(S36)、待機時間T1が待機時間T2以下の場合(S34:NO)、待機時間T2を待機時間Tとして設定する(S37)。
【0056】
CPU51は、X軸,Z軸,Y軸の各方向において分配したすべての移動指令の出力を完了するまでは(S38:NO)、S38~S47の処理を実行する。CPU51は、分配したZ軸及びX軸方向に対する移動指令を、サンプリング周期毎に繰り返し出力する(S39)。X軸方向における主軸7の移動が開始される。また、Z軸方向における第一復帰位置A1からATC準備位置Bへの移動指令は、分配が完了したばかりのZ軸方向における加工終了位置Q1から第一復帰位置A1への移動指令の出力が完了する次のサンプリング周期から、出力が開始される。即ち、Z軸方向における第一復帰位置A1からATC準備位置Bへの移動指令は、Z軸方向における加工終了位置Q1から第一復帰位置A1への移動指令に続いて連続して出力される。主軸7は、第一復帰位置A1へ向けた移動速度の減速を開始することなく、最大速度を維持し、ATC準備位置Bへ向けた移動を継続する。即ち主軸7は、Z軸方向において、第一復帰位置A1においてインポジションチェックを行うことなく、加工終了位置Q1からATC準備位置Bへの移動を継続して行う。
【0057】
Z軸方向に対する移動指令の出力は、主軸7がZ軸方向において第一復帰位置A1を通過する前に開始される(S41:NO)。主軸7のX軸,Z軸,Y軸の各方向における位置は、エンコーダ11B,12B,13Bによる駆動回路62~64のフィードバック制御に基づいて、常時モニタリングされている。主軸7がZ軸方向において第一復帰位置A1を通過した場合(S41:YES)、CPU51は、S36又はS37で設定された待機時間Tが0より大きいか判断し(S43)、0以下の場合はS47に進む(S43:NO)。待機時間Tが0より大きい場合(S43:YES)、CPU51は待機時間Tのカウントを開始する(S44)。CPU51は、待機時間Tが経過する前は、処理をS38に戻す(S46:NO)。サンプリング周期毎に待機時間Tのカウントが進められ、待機時間Tが経過すると(S46:YES)、CPU51は、分配したY軸方向に対する移動指令を、サンプリング周期毎に繰り返し出力する(S47)。CPU51は、X軸,Z軸,Y軸の各方向において分配したすべての移動指令の出力を完了すると(S38:YES)、処理をS51に進める。移動指令の出力が完了した時点において、ATC準備位置Bへ向けたY軸+方向における主軸7の移動速度は最大速度である。後述するが、Y軸+方向におけるATC準備位置BからATC位置Cへの移動指令は、第一復帰位置A1からATC準備位置Bへの移動指令に連続して出力される。ATC準備位置BからATC位置Cへの移動指令が第一復帰位置A1からATC準備位置Bへの移動指令に連続して出力されない場合、第一復帰位置A1からATC準備位置Bへの移動指令の出力が完了すると、主軸7の移動速度は減速される。即ち、第一復帰位置A1からATC準備位置Bへの移動指令の出力が完了した時点において、主軸7は、Y軸+方向における移動速度の減速が開始される直前の状態である。
【0058】
図12に示すように、CPU51は、ATC位置Cの座標値を算出する(S51)。ATC位置Cの座標値は、予め規定されているデフォルトの座標値から機器固有のパラメータに応じて算出される。CPU51は、ATC準備位置Bの座標値とATC位置Cの座標値とに基づいて、主軸7をATC準備位置BからATC位置Cへ移動させるための移動指令を算出する(S52)。ATC準備位置Bに対してATC位置CはY軸+方向にある。CPU51は、加減速を考慮した上での主軸7の移動距離が、ATC準備位置BとATC位置Cとの間の距離と一致するように、Y軸方向への移動指令を分配して生成する。
【0059】
CPU51は、分配したすべての移動指令の出力を完了するまでは(S53:NO)、S54~S61の処理を実行する。CPU51は、待機時間T1と待機時間T2を比較し、待機時間T1が待機時間T2より大きい場合(S54:YES)、主軸7がZ軸方向においてATC準備位置Bに到達したか否かを判断する(S56)。CPU51は、フィードバック制御に基づき、主軸7がZ軸方向においてATC準備位置Bに到達していないと判断した場合には(S56:NO)、処理をS53に戻す。一方、待機時間T1が待機時間T2以下の場合(S54:NO)、CPU51は、主軸7がX軸方向においてATC準備位置Bに到達したか否かを判断する(S57)。CPU51は、フィードバック制御に基づき、主軸7がX軸方向においてATC準備位置Bに到達していないと判断した場合には(S57:NO)、処理をS53に戻す。CPU51は、フィードバック制御に基づき、シャッター103の開放が済んでいないと判断した場合には(S58:NO)、処理をS53に戻す。CPU51は、フィードバック制御に基づき、主軸7の回転位置がオリエント位置にないと判断した場合には(S59:NO)、処理をS53に戻す。
【0060】
主軸7がZ軸又はX軸方向においてATC準備位置Bに到達しており(S56:YES、S57:YES)、シャッター103が開放済みであり(S58:YES)、主軸7がオリエント位置にある場合(S59:YES)、CPU51は、分配したY軸方向に対する移動指令を、サンプリング周期毎に繰り返し出力する(S61)。待機時間TによってY軸方向における主軸7の第一復帰位置A1からATC準備位置Bへの移動の開始時機が調整されたので、Y軸方向におけるATC準備位置BからATC位置Cへの移動指令は、Y軸方向における第一復帰位置A1からATC準備位置Bへの移動指令の出力が完了する次のサンプリング周期から、出力が開始される。即ち、Y軸方向におけるATC準備位置BからATC位置Cへの移動指令は、Y軸方向における第一復帰位置A1からATC準備位置Bへの移動指令に続いて連続して出力される。主軸7は、Y軸方向においてATC準備位置Bへ向けた移動速度の減速を開始することなく、最大速度を維持し、ATC位置Cへ向けた移動を継続する。即ち主軸7は、Y軸方向において、ATC準備位置Bにおいてインポジションチェックを行うことなく、第一復帰位置A1からATC位置Cへの移動を継続して行う。CPU51は、Y軸方向において分配したすべての移動指令の出力を完了すると(S53:YES)、処理をS71に進める。
【0061】
CPU51は主軸7をATC準備位置BからY軸+方向に移動し、ATC位置Cまで上昇する。ATC位置Cは、工具マガジン31直下のグリップアーム35のポット位置(把持位置)に対応する。よって、主軸7がATC位置Cまで上昇することで、空のポットに対して主軸7に装着した工具91を保持する工具ホルダ90が下から係合することで、グリップアーム35は工具91を保持する工具ホルダ90を把持する。
【0062】
CPU51は、ATC原点位置Dの座標値を算出する(S71)。ATC原点位置Dの座標値は、予め規定されているデフォルトの座標値から機器固有のパラメータに応じて算出される。CPU51は、ATC位置Cの座標値とATC原点位置Dの座標値とに基づいて、主軸7をATC位置CからATC原点位置Dへ移動させるための移動指令を算出する(S72)。ATC位置Cに対してATC原点位置DはZ軸+方向にある。CPU51は、加減速を考慮した上での主軸7の移動距離が、ATC位置CとATC原点位置Dとの間の距離と一致するように、Z軸方向への移動指令を分配して生成する。
【0063】
CPU51は、分配したすべての移動指令の出力を完了するまでは(S73:NO)、S74~S76の処理を実行する。CPU51は、フィードバック制御に基づき、主軸7がY軸方向においてATC位置Cに到達していないと判断した場合には(S74:NO)、処理をS73に戻す。主軸7がY軸方向においてATC位置Cに到達していれば(S74:YES)、CPU51は、分配したZ軸方向に対する移動指令を、サンプリング周期毎に繰り返し出力する(S76)。CPU51は、Z軸方向において分配したすべての移動指令の出力を完了すると(S73:YES)、処理をS77に進める。工具91を保持する工具ホルダ90は、グリップアーム35に把持されているので、主軸7がZ+方向に移動することで主軸7から引き抜かれる。CPU51は、フィードバック制御に基づき、主軸7がZ軸方向においてATC原点位置Dに到達するのを待機し(S77:NO)、到達すれば(S77:YES)、往路実行処理を終了する。
【0064】
図10のフローに戻り、CPU51は、次に装着する次工具92を準備する処理を行う(S17)。工作機械1は工具マガジン31を回転し、次工具92を保持する工具ホルダ90を把持するグリップアーム35を工具マガジン31直下に位置決めする。次いで、CPU51は、復路実行処理を実行する(S18)。
【0065】
図13、
図14を参照し、復路実行処理について説明する。復路実行処理が実施される時、主軸7は、ATC原点位置Dに位置する。
図13に示すように、CPU51は、ATC位置Cの座標値を算出する(S81)。CPU51は算出した座標値に基づいて、主軸7をATC原点位置DからATC位置Cへ移動させるための移動指令を算出する(S82)。ATC原点位置Dに対してATC位置CはZ軸-方向にあり、CPU51は、Z軸方向への移動指令を分配して生成する。CPU51は、分配したすべての移動指令の出力を完了するまでは(S83:NO)、サンプリング周期毎に繰り返しZ軸方向において分配した移動指令を出力する(S84)。CPU51は、分配したすべての移動指令の出力を完了すると(S83:YES)、フィードバック制御に基づき、主軸7がZ軸方向においてATC位置Cに到達するのを待機する(S86:NO)。
【0066】
主軸7がZ軸方向においてATC位置Cに到達すると(S66:YES)、CPU51は、ATC準備位置Bの座標値を算出する(S87)。CPU51は算出した座標値に基づいて、主軸7をATC位置CからATC準備位置Bへ移動させるための移動指令を算出する(S88)。ATC位置Cに対してATC準備位置BはY軸-方向にあり、CPU51は、Y軸方向への移動指令を分配して生成する。CPU51は、分配したすべての移動指令の出力を完了するまでは(S89:NO)、サンプリング周期毎に繰り返しY軸方向において分配した移動指令を出力する(S91)。CPU51は、分配したすべての移動指令の出力を完了すると(S89:YES)、処理をS101に進める。移動指令の出力が完了した時点において、ATC準備位置Bへ向けたY軸-方向における主軸7の移動速度は最大速度である。後述するが、Y軸-方向におけるATC準備位置Bから第二復帰位置A2への移動指令は、ATC位置CからATC準備位置Bへの移動指令に連続して出力される。ATC準備位置Bから第二復帰位置A2への移動指令がATC位置CからATC準備位置Bへの移動指令に連続して出力されない場合、ATC位置CからATC準備位置Bへの移動指令の出力が完了すると、主軸7の移動速度は減速される。即ち、ATC位置CからATC準備位置Bへの移動指令の出力が完了した時点において、主軸7は、Y軸-方向における移動速度の減速が開始される直前の状態である。
【0067】
図14に示すように、CPU51は制御指令に含まれる第二復帰位置A2のZ軸の座標値と、加工開始位置Q2の座標値と、工具長オフセット値とに基づき、第二復帰位置A2の座標値を算出する(S101)。CPU51は算出した座標値に基づいて、主軸7をATC準備位置Bから第二復帰位置A2へ移動させるための移動指令を算出する(S102)。CPU51は、加減速を考慮した上での主軸7の移動距離が、ATC準備位置Bと第二復帰位置A2との間の距離と一致するように、X軸,Z軸,Y軸方向の各方向への移動指令をそれぞれ分配して生成する。
【0068】
CPU51は、X軸,Z軸,Y軸の各方向において分配したすべての移動指令の出力を完了するまでは(S103:NO)、S104~S108の処理を実行する。CPU51は、分配したY軸方向に対する移動指令を、サンプリング周期毎に繰り返し出力する(S104)。これにより、Y軸方向におけるATC準備位置Bから第二復帰位置A2への移動指令は、分配が完了したY軸方向におけるATC位置CからATC準備位置Bへの移動指令の出力が完了する次のサンプリング周期から、出力が開始される。即ち、Y軸方向におけるATC準備位置Bから第二復帰位置A2への移動指令は、Y軸方向におけるATC位置CからATC準備位置Bへの移動指令に続いて連続して出力される。主軸7は、Y軸方向においてATC準備位置Bへ向けた移動速度の減速を開始することなく、最大速度を維持し、第二復帰位置A2へ向けた移動を継続する。即ち主軸7は、Z軸方向において、ATC準備位置Bにおいてインポジションチェックを行うことなく、ATC位置Cから第二復帰位置A2への移動を継続して行う。
【0069】
Y軸方向に対する移動指令の出力は、主軸7がY軸方向においてATC準備位置Bを通過する前に開始される(S106:NO)。フィードバック制御に基づき、主軸7がY軸方向においてATC準備位置Bを通過した場合(S106:YES)、CPU51は、シャッター103の閉鎖を指示する指令を出力する。なお、当該指令は初回実行時のみ出力される。シャッターモータ34は駆動し、シャッター103の閉鎖を開始する(S107)。CPU51は、分配したX軸及びZ軸方向に対する移動指令を、サンプリング周期毎に繰り返し出力する(S108)。CPU51は、X軸,Z軸,Y軸の各方向において分配したすべての移動指令の出力を完了すると(S103:YES)、処理をS111に進める。移動指令の出力が完了した時点において、第二復帰位置A2へ向けたZ軸-方向における主軸7の移動速度は最大速度である。後述するが、Z軸-方向における第二復帰位置A2から加工開始位置Q2への移動指令は、ATC準備位置Bから第二復帰位置A2への移動指令に連続して出力される。第二復帰位置A2から加工開始位置Q2への移動指令がATC準備位置Bから第二復帰位置A2への移動指令に連続して出力されない場合、ATC準備位置Bから第二復帰位置A2への移動指令の出力が完了すると、主軸7の移動速度は減速される。即ち、ATC準備位置Bから第二復帰位置A2への移動指令の出力が完了した時点において、主軸7は、Z軸-方向における移動速度の減速が開始される直前の状態である。
【0070】
CPU51は、加工開始位置Q2の座標値を算出する(S111)。加工開始位置Q2の座標値は、制御指令に含まれる。CPU51は座標値に基づいて、主軸7を第二復帰位置A2から加工開始位置Q2へ移動させるための移動指令を算出する(S112)。第二復帰位置A2に対して加工開始位置Q2はZ軸-方向にある。CPU51は、加減速を考慮した上での主軸7の移動距離が、第二復帰位置A2と加工開始位置Q2との間の距離と一致するように、Z軸方向への移動指令を分配して生成する。
【0071】
CPU51は、分配したすべての移動指令の出力を完了するまでは(S113:NO)、S114~S117の処理を実行する。CPU51は、フィードバック制御に基づき、主軸7がX軸方向において第二復帰位置A2に到達していないと判断した場合には(S114:NO)、処理をS113に戻す。CPU51は、フィードバック制御に基づき、主軸7がY軸方向において第二復帰位置A2に到達していないと判断した場合には(S116:NO)、処理をS113に戻す。
【0072】
主軸7がX軸及びY軸方向において第二復帰位置A2に到達している場合(S114:YES、S116:YES)、CPU51は、分配したZ軸方向に対する移動指令を、サンプリング周期毎に繰り返し出力する(S117)。ここで、主軸7がZ軸方向において第二復帰位置A2に到達する前に、X軸及びY軸方向において第二復帰位置A2に到達していれば、Z軸方向における第二復帰位置A2から加工開始位置Q2への移動指令は、Z軸方向におけるATC準備位置Bから第二復帰位置A2への移動指令の出力が完了する次のサンプリング周期から、出力が開始される。即ち、Z軸方向における第二復帰位置A2から加工開始位置Q2への移動指令は、Z軸方向におけるATC準備位置Bから第二復帰位置A2への移動指令に続いて連続して出力される。主軸7は、Z軸方向において第二復帰位置A2へ向けた移動速度の減速を開始することなく、最大速度を維持し、加工開始位置Q2へ向けた移動を継続する。即ち主軸7は、Z軸方向において、第二復帰位置A2においてインポジションチェックを行うことなく、ATC準備位置Bから加工開始位置Q2への移動を継続して行う。CPU51は、Z軸方向において分配したすべての移動指令の出力を完了すると(S113:YES)、処理をS118に進める。CPU51は、フィードバック制御に基づき、主軸7がZ軸方向において加工開始位置Q2に到達するのを待機し(S118:NO)、到達すれば(S118:YES)、復路実行処理を終了する。
【0073】
図10のフローに戻り、CPU51はG100の一連の工具交換動作が終了したので、次ブロックに移動し(S19)、その次ブロックについて解釈する(S12)。解釈した次ブロックがM30であった場合(S13:YES)、CPU51は本処理を終了する。
【0074】
以上説明したように、Y軸方向における主軸7のATC準備位置BからATC位置Cへの移動は、CPU51が、主軸7がZ軸方向においてATC準備位置Bに到達したと判断した場合に行われる。故にCPU51は、主軸7のY軸方向への移動において、主軸7を第一復帰位置A1からATC準備位置Bへ移動させる指示と、ATC準備位置BからATC位置Cへ移動させる指示を連続して出力できるように、CPU51による指示の出力を、待機時間Tの経過を待ってから行う。これにより主軸7は、Y軸方向において、ATC準備位置Bへ向けての移動速度の減速を行わず、次のATC位置Cへ向けて移動を継続できるので、Y軸方向において、第一復帰位置A1からATC位置Cへ、より早く移動できる。故に数値制御装置50は、工具交換時間を短縮できる。
【0075】
CPU51は、主軸7のZ軸方向への移動において、主軸7を加工終了位置Q1から第一復帰位置A1へ移動させる指示と、第一復帰位置A1からATC準備位置Bへ移動させる指示を連続して出力する。これにより主軸7は、Z軸方向において、第一復帰位置A1へ向けての移動速度の減速を行わず、次のATC準備位置Bへ向けて移動を継続できる。例えば、加工終了位置Q1から第一復帰位置A1へ移動させる指示の出力が完了し、主軸7が第一復帰位置A1に到達したことをインポジションチェックによって確認してから、第一復帰位置A1からATC準備位置Bへ移動させる指示が出力される場合と比べ、主軸7は、Z軸方向において、加工終了位置Q1からATC準備位置Bへ、より早く移動できる。故に数値制御装置50は、工具交換時間を短縮できる。
【0076】
主軸7がZ軸方向において第一復帰位置A1を通過してATC準備位置Bに至るまでにかかる時間TZから、主軸7がY軸方向において第一復帰位置A1からATC準備位置Bに向けて移動し、ATC準備位置Bにて停止する場合の減速を開始するタイミングまでにかかる時間(TZ-T1)を求め、その差分によって、待機時間T1を求めることができる。故に主軸7は、Y軸方向において、第一復帰位置A1へ向けての移動速度の減速を行わず、次のATC準備位置Bへ向けて移動を継続できる。
【0077】
主軸7は、Z軸方向への移動よりもX軸方向への移動に時間がかかる場合がある。故にCPU51は、主軸7がX軸方向において第一復帰位置A1を通過してATC準備位置Bに至るまでにかかる時間TXと、時間(TX-T2)に基づいて、待機時間T2を演算する。よって主軸7は、Y軸方向において、ATC準備位置Bへ向けての移動速度の減速を行わず、次のATC位置Cへ向けて移動を継続できる。
【0078】
主軸7のY軸方向への移動において、CPU51よるATC準備位置Bへの移動の指示が出力されると、主軸7は、ATC位置CからATC準備位置Bへ向けての移動速度を0から加速し始める。指示の出力が完了すると、主軸7は、通常の場合、ATC準備位置Bにて移動を停止するように、移動速度の減速をし始める。一方、本発明では、ATC準備位置Bから第二復帰位置A2への移動指示は、ATC位置CからATC準備位置Bへの移動指示の出力が完了すると、次のサンプリング周期において出力が開始される。即ち、ATC準備位置Bへの移動指示と第二復帰位置A2への移動の指示は、連続して出力される。故に主軸7は、ATC準備位置Bへ向けての移動速度の減速を行わず、次の第二復帰位置へ向けて移動を継続する。例えば、ATC準備位置Bへの移動指示の出力が完了し、主軸7がATC準備位置Bに到達したことをインポジションチェックによって確認してから、第二復帰位置A2への移動指示が出力される場合と比べ、主軸7は、Y軸方向において、ATC位置Cから第二復帰位置へ、より早く移動できる。故に数値制御装置50は、工具交換時間を短縮できる。
【0079】
上記説明において、グリップアーム35は、本発明の「収納部」の一例である。工具マガジン31は、本発明の「マガジン」の一例である。工具91は、本発明の「装着工具」の一例である。加工終了位置Q1は、本発明の「終了位置」の一例である。X軸方向は、本発明の「軸方向」の一例である。ATC位置Cは、本発明の「収納位置」の一例である。ATC準備位置Bは、本発明の「準備位置」の一例である。ATC原点位置Dは、本発明の「抜き位置」の一例である。往路実行処理を実行するCPU51は、本発明の「収納制御部」の一例である。Y軸方向は、本発明の「第一直交方向」の一例である。X軸方向は、本発明の「第二直交方向」の一例である。エンコーダ11B,12B,13Bは、本発明の「位置検出部」の一例である。S27の処理を実行するCPU51は、本発明の「第一指示部」の一例である。S39の処理を実行するCPU51は、本発明の「第二指示部」の一例である。S47の処理を実行するCPU51は、本発明の「第三指示部」の一例である。S61の処理を実行するCPU51は、本発明の「第四指示部」の一例である。S41の処理を実行するCPU51は、本発明の「第一判断部」の一例である。待機時間T,T1,T2は、本発明の「所定時間」の一例である。S56の処理を実行するCPU51は、本発明の「第二判断部」の一例である。
【0080】
時間TZは、本発明の「第一時間」の一例である。時間(TZ-T1)は、本発明の「第二時間」の一例である。速度VZは、本発明の「第一移動速度」の一例である。速度VYは、本発明の「第二速度」の一例である。S33の処理を実行するCPU51は、本発明の「演算部」の一例である。距離LZABは、本発明の「第一移動距離」の一例である。時間tZは、本発明の「第一減速時間」の一例である。距離LYABは、本発明の「第二移動距離」の一例である。X軸方向は、本発明の「第二直交方向」の一例である。S39の処理を実行するCPU51は、本発明の「第五指示部」の一例である。S57の処理を実行するCPU51は、本発明の「第四判断部」の一例である。距離LXABは、本発明の「第三移動距離」の一例である。速度VXは、本発明の「第三移動速度」の一例である。時間tXは、本発明の「第二減速時間」の一例である。時間TXは、本発明の「第三時間」の一例である。S57の処理を実行するCPU51は、本発明の「第四判断部」の一例である。
【0081】
加工開始位置Q2は、本発明の「開始位置」の一例である。S91の処理を実行するCPU51は、本発明の「第六指示部」の一例である。S104の処理を実行するCPU51は、本発明の「第七指示部」の一例である。S108の処理を実行するCPU51は、本発明の「第八指示部」の一例である。S106の処理を実行するCPU51は、本発明の「第五判断部」の一例である。
【0082】
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更を加えることができる。工作機械1は横形の工作機械であるが、主軸の軸方向が上下方向である縦形の工作機械であってもよい。工作機械1は、コラム5をX軸方向、主軸7をZ軸方向、主軸7をY軸方向に移動することで、ワークWと工具91を相対的にX軸、Y軸、Z軸に移動するが、これ以外の構造であってもよく、例えば、コラム5をX軸方向とZ軸方向の2軸方向に移動し、主軸7をY軸方向に移動するようにしてもよい。
【0083】
待機時間Tのカウントを開始する時機は、主軸7がZ軸+方向において第一復帰位置A1に到達するW3を基準としたが、適宜設定してもよい。例えば、工具交換動作が開始されるW0、Z軸+方向における主軸7の第一復帰位置A1へ向けた移動の指示が完了し、且つZ軸+方向における主軸7のATC準備位置Bへの移動が開始されるW2等を、待機時間をカウントする基準の時機としてもよい。
【0084】
待機時間Tは、Z軸方向におけるATC準備位置Bへ向けた移動に対して算出されるT1と、X軸方向におけるATC準備位置Bへ向けた移動に対して算出されるT2とのうち、大きい方が選択されたが、T1を待機時間Tとし、T2については対象外としてもよい。
【0085】
S54~S57では待機時間T1,T2の長い方に応じたZ軸又はX軸方向への主軸7の移動がATC準備位置Bに到達したかを判断したが、S54の処理をなくし、S56ではYESの場合にS57に進み、NOの場合にはS53に戻り、S57ではYESの場合にS58に進み、NOの場合にはS53に戻るようにして、必ず、Z軸及びX軸方向への主軸7の移動において、それぞれATC準備位置Bに到達したか否かの判断が行われるようにしてもよい。
【0086】
この場合、Y軸方向における主軸7のATC準備位置BからATC位置Cへの移動は、CPU51が、主軸7がZ軸方向においてATC準備位置Bに到達したと判断し、且つ、第四判断部が、主軸7がX軸方向においてATC準備位置Bに到達したと判断した場合に行われる。CPU51は、主軸7のY軸方向への移動において、主軸7を第一復帰位置A1からATC準備位置Bへ移動させる指示と、ATC準備位置BからATC位置Cへ移動させる指示を連続して出力できるように、CPU51は、待機時間Tの経過を待ってから、ATC準備位置BからATC位置Cへ移動させる指示の出力を行う。これにより主軸7は、Y軸方向において、第一復帰位置A1へ向けての移動速度の減速を行わず、次のATC準備位置Bへ向けて移動を継続することができるので、Y軸方向において、第一復帰位置A1からATC位置Cへ、より早く移動することができる。故に数値制御装置50は、工具交換時間を短縮することができる。
【0087】
待機時間T1,T2の算出は、待機時間テーブル70によらず、(4)式、(5)式を実際に演算することによって求めてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 工作機械
7 主軸
11B,12B,13B エンコーダ
16 固定台
31 工具マガジン
35 グリップアーム
50 数値制御装置
51 CPU
91 工具
92 次工具
A1 第一復帰位置
A2 第二復帰位置
B ATC準備位置
C ATC位置
D ATC原点位置
Q1 加工終了位置
Q2 加工開始位置
W ワーク