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特開2024-173149給紙装置、画像形成システム、及び、給紙装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173149
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】給紙装置、画像形成システム、及び、給紙装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/48 20060101AFI20241205BHJP
   B65H 3/06 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65H3/48 320A
B65H3/06 350A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091372
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 元
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA02
3F343GA01
3F343GB01
3F343GD01
3F343JD28
3F343KB03
3F343KB04
3F343LD07
3F343MA14
3F343MA15
3F343MC13
(57)【要約】
【課題】用紙を捌く機能を維持しながら、給紙される用紙の位置バラつきを抑えることができる給紙装置、画像形成システム、及び、給紙装置の制御方法を提供する。
【解決手段】第1側端規制部材側から用紙束の側面にエアを吹き付ける第1側端送風部と、第2側端規制部材側から用紙束の側面にエアを吹き付ける第2側端送風部とを備える。第1側端送風部からエアを吹き付ける吹き付け制御を開始した後、第2側端送風部からエアを吹き付ける吹き付け制御を開始する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の用紙が重ねられた用紙束が載置される用紙載置台と、
前記用紙の搬送方向に直交する幅方向において、前記用紙束の一方の側面位置を規制する第1側端規制部材と、
前記用紙の搬送方向に直交する幅方向において、前記用紙束の他方の側面位置を規制する第2側端規制部材と、
前記第1側端規制部材側から前記用紙束の側面にエアを吹き付ける第1側端送風部と、
前記第2側端規制部材側から前記用紙束の側面にエアを吹き付ける第2側端送風部と、
前記第1側端送風部からエアを吹き付ける吹き付け制御を開始した後、前記第2側端送風部からエアを吹き付ける吹き付け制御を開始する制御部と、
を備える給紙装置。
【請求項2】
前記第1側端規制部材及び第2側端規制部材と、前記用紙束との間には、それぞれ所定幅の隙間が設けられている
請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記第1側端送風部におけるエアの吹き付け口は、前記第2側端送風部におけるエアの吹き付け口よりも、前記用紙束の高さ方向において低い位置に設けられている
請求項1に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記用紙束の上下方向における上方において、浮上した用紙を吸着して搬送する吸着搬送部を備える
請求項1に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記用紙束の高さ方向において、前記第1側端規制部材の上端部には、前記用紙の浮上高さを規制する上端規制部材が設けられており、
前記上端規制部材は、前記吸着搬送部の吸着面よりも低い位置に設置されている
請求項4に記載の給紙装置。
【請求項6】
前記第1側端送風部及び第2側端送風部の風量は個別に制御可能に構成されており、
前記制御部は、前記第1側端送風部の風量が前記第2側端送風部の風量よりも大きくなるように制御する
請求項1に記載の給紙装置。
【請求項7】
前記吸着搬送部は、前記用紙を吸引する吸引部、及び、吸引した用紙を吸着して搬送する吸着搬送ベルトで構成され、
前記吸引部の吸引面には、前記制御部により開閉状態が制御されるシャッターが設けられ、
前記制御部は、少なくとも、前記第1側端送風部からのエアの吹き付け制御を開始した後、前記第2側端送風部からのエアの吹き付け制御を開始するまでの間には、前記シャッターを閉じた状態とする
請求項4に記載の給紙装置。
【請求項8】
前記吸引面は、前記幅方向におい、少なくとも2つ以上に分割され、
前記シャッターは前記分割された吸引面毎に複数個設けられ、
前記制御部は、少なくとも、前記第1側端送風部からのエアの吹き付け制御を開始した後、前記第2側端送風部からのエアの吹き付け制御を開始するまでの間には、前記第1側端規制部材に近い側のシャッターを閉じた状態とする
請求項7に記載の給紙装置。
【請求項9】
前記第2側端規制部材には、前記用紙が当接したことを検出する用紙検出センサーが設けられており、
前記制御部は、前記第1側端送風部からエアを吹き付ける吹き付け制御を開始した後、前記用紙検出センサーの検出信号に基づいて、前記第2側端送風部からエアを吹き付ける吹き付け制御を開始する
請求項1に記載の給紙装置。
【請求項10】
前記第2側端規制部材は、前記用紙束の高さ方向において、前記第1側端規制部材よりも高く構成され、
前記第1側端規制部材、前記第2側端規制部材、及び、前記用紙載置台は、一体に引き出し可能に構成されており、
前記第2側端規制部材は、引き出し方向手前側に配置されている
請求項1に記載の給紙装置。
【請求項11】
用紙に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置に用紙を給紙する給紙装置と、を備え、
前記給紙装置は、
複数枚の用紙が重ねられた用紙束が載置される用紙載置台と、
前記用紙の搬送方向に直交する幅方向において、前記用紙束の一方の側面位置を規制する第1側端規制部材と、
前記用紙の搬送方向に直交する幅方向において、前記用紙束の他方の側面位置を規制する第2側端規制部材と、
前記第1側端規制部材側から前記用紙束の側面にエアを吹き付ける第1側端送風部と、
前記第2側端規制部材側から前記用紙束の側面にエアを吹き付ける第2側端送風部と、
前記第1側端送風部からエアを吹き付ける吹き付け制御を開始した後、前記第2側端送風部からエアを吹き付ける吹き付け制御を開始する制御部と、を備える
画像形成システム。
【請求項12】
前記画像形成装置の用紙の幅方向における位置基準となる側と、前記第2側端規制部材が配置される側が同じ方向である
請求項11に記載の画像形成システム。
【請求項13】
複数枚の用紙が重ねられた用紙束が載置される用紙載置台と、
前記用紙の搬送方向に直交する幅方向において、前記用紙束の一方の側面位置を規制する第1側端規制部材と、
前記用紙の搬送方向に直交する幅方向において、前記用紙束の他方の側面位置を規制する第2側端規制部材と、を備える給紙装置の制御方法であって、
前記第1側端規制部材側から前記用紙束の側面にエアの吹き付けを開始し、
前記第1側端規制部材側からエアの吹き付けを開始した後、前記第2側端規制部材側からエアの吹き付けを開始する
給紙装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙装置、画像形成システム、及び、給紙装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機等の画像形成装置に、一枚ずつ用紙を供給する給紙装置において、給紙部に収容された給紙前の用紙の側面にファンからエアを吹き付け、用紙を浮上させることで用紙を一枚ずつ分離するエア捌き機構が知られている(特許文献1)。
【0003】
エア捌き機構を有する給紙装置では、給紙部に積載された用紙にエアを吹き付けて用紙を浮上させるため、用紙の搬送方向に直交する幅方向に配置された規制部材は、用紙の浮上の妨げになり得る。したがって、給紙部において、用紙の搬送方向に直交する幅方向に配置された規制部材と、積載された用紙との間に、所定の隙間が有ることが好ましい。特許文献1では、エア裁き機構を有する給紙部において、用紙の搬送方向に直交する幅方向における規制部材と、用紙束との間の隙間を最適化することで、用紙の搬送方向と直交する幅方向の位置ずれを極力抑えることができるシート給送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-8619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、エアを吹き付けて用紙を捌く給紙部において、用紙の搬送方向に直交する幅方向における規制部材と、用紙束との間の隙間を最適化したとしても、用紙の幅方向における位置ばらつきを抑えるのには限界がある。したがって、エアを吹き付けて用紙を捌くことができる給紙装置において、用紙を捌く機能を維持しつつ、用紙の幅方向における位置ばらつきを抑えることが求められている。
【0006】
そこで、本発明は、エアを吹き付けて用紙を捌く機能を維持しながら、給紙される用紙の位置バラつきを抑えることができる給紙装置、画像形成システム、及び、給紙装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の給紙装置は、複数枚の用紙が重ねられた用紙束が載置される用紙載置台と、用紙の搬送方向に直交する幅方向において、用紙束一方の側面位置を規制する第1側端規制部材とを備える。用紙の搬送方向に直交する幅方向において、用紙束の他方の側面位置を規制する第2側端規制部材を備える。また、第1側端規制部材側から用紙束の側面にエアを吹き付ける第1側端送風部と第2側端規制部材側から前記用紙束の側面にエアを吹き付ける第2側端送風部と、を備える。さらに、第1側端送風部からエアを吹き付ける吹き付け制御を開始した後、第2側端送風部からエアを吹き付ける吹き付け制御を開始する制御部を備える。
【0008】
本発明の画像形成システムは、上記給紙装置を備える。
【0009】
本発明の給紙装置の制御方法は、上記の給紙装置において、第1側端規制部材側からエアの吹き付けを開始した後、第2側端規制部材側からのエアの吹き付けを開始する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、用紙を捌く機能を維持しながら、給紙される用紙の位置バラつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成システム300の全体構成図である。
図2】給紙ユニット210の構成を示す斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る画像形成システム300の制御構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る大容量給紙装置200の制御フローを示した図である。
図5図5A図5Cは、第1の実施形態の制御フローで実行される給紙ユニット210の動作例を示した図(その1)である。
図6図6D図6Gは、第1の実施形態の制御フローで実行される給紙ユニット210の動作例を示した図(その2)である。
図7】第2の実施形態に係る給紙ユニット310の動作時における概略構成図である。
図8】第3の実施形態に係る給紙ユニット410の動作時における概略構成図である。
図9】第4の実施形態に係る給紙ユニット210の動作時における概略構成図である。
図10】第5の実施形態に係る給紙ユニット210の動作時における概略構成図である。
図11】第6の実施形態に係る給紙ユニット610の動作時における概略構成図である。
図12】第7の実施形態に係る給紙ユニット710の概略構成図である。
図13】大容量給紙装置200の給紙ユニット710が挿入される引き出し部700を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る給紙装置、画像形成システム、及び、給紙装置の制御方法の一例を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。以下で説明する各図において、共通の部材には同一の符号を付している。
【0013】
1.第1の実施形態(画像形成システム)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成システム300の全体構成図である。図1に示す画像形成システム300は、用紙Pに対して画像形成を含む所定の処理を行うシステムであり、複数の装置から構成されている。本実施形態では、画像形成システム300は、画像形成装置100と、画像形成装置100に用紙Pを供給する大容量給紙装置200(本発明の給紙装置に相当)とで構成されている。これらの装置は、用紙搬送方向の上流側から下流側にかけて、大容量給紙装置200、画像形成装置100の順番で配列されているが、個々の装置が同一の筐体内に収容されるものであってもよい。また、画像形成システム300として、画像形成装置100の下流側に、画像形成が為された用紙Pに種々の加工を施す後処理装置が配置される構成であってもよい。
【0014】
1-1.画像形成装置
画像形成装置100は、大容量給紙装置200から給紙された用紙P、又は、画像形成装置100内に設置された給紙部25が保有する用紙Pに画像を形成する装置である。画像形成装置100は、例えば電子写真方式の画像形成装置であり、複数の感光体を一本の中間転写ベルトに対面させて縦方向に配列することによりフルカラーの画像を形成する、いわゆる、タンデム型カラー画像形成装置である。
【0015】
画像形成装置100は、操作表示部60と、給紙部25と、用紙搬送部20とを有する。また、画像形成装置100は、原稿読取部90と、画像形成部70と、定着部50と、制御部40とを有する。画像形成装置100では、これらの要素が一つの筐体内に収容されている。
【0016】
操作表示部60は、操作部と表示部とから構成される。表示部は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置により構成され、制御部40から入力される表示信号の指示に従って各種画面を表示する。操作部は、表示部の表示画面上を覆うように形成されたタッチパネルや、数字ボタン、スタートボタン等の各種操作ボタンを備え、ユーザーの操作に基づく操作信号を後述する制御部40に出力する。操作部は、ユーザーからの操作指示を受け付ける。
【0017】
原稿読取部90は、ADF(Auto Document Feeder:自動原稿給紙装置)からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、光源から原稿へ照明走査した光の反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー等で構成されるラインセンサーの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。原稿読取部SCでは、ラインセンサーで取得した画像信号に対して、A/D変換、シェーディング補正、圧縮等の処理を施した後、画像データとして制御部40に入力する。なお、制御部40に入力される画像データとしては、原稿読取部90で読み取ったものに限らず、例えば、画像形成装置100に接続されたパーソナルコンピューター、他の画像形成装置から受信したもの、又は半導体メモリといった可搬性の記録媒体から読み込んだものであってもよい。
【0018】
給紙部25は、複数の給紙トレイ21を備える。各給紙トレイ21には用紙Pが収納されている。給紙トレイ21に収納されている用紙Pは、用紙搬送部20によって搬送され、画像形成部70に供給される。
【0019】
用紙搬送部20は、複数の搬送ローラー23で構成されており、給紙トレイ21から給紙された用紙P、又は、大容量給紙装置200から給紙された用紙Pを搬送経路に従って搬送する。用紙搬送部20には、搬送ローラー23、搬送ガイド(図示を省略する)の他、給紙トレイ21から用紙Pを給紙する給紙ローラー22、画像形成された用紙Pを画像形成装置100から排紙トレイ29側に排紙する排紙ローラー28、及び、切り替えゲート30等が含まれる。
【0020】
画像形成部70は、4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、中間転写ベルト16と、二次転写ローラー7とを有する。画像形成部70では、画像データに基づいて、用紙Pに画像が形成される。
【0021】
画像形成ユニット10Yでは、イエロー色の画像が形成される。この画像形成ユニット10Yは、ドラム状の感光体1Y、帯電部2Y、露光部3Y、現像部4Y、一次転写ローラー(一次転写部)6Yおよびクリーニング部5Yを含んでいる。帯電部2Y、露光部3Y、現像部4Y、一次転写ローラー(一次転写部)6Y、およびクリーニング部5Yは、感光体1Yの周囲に、感光体1Mの回転方向(図1の矢印方向、例えば、紙面反時計回り方向)に沿ってこの順に配置されている。
【0022】
画像形成ユニット10Mでは、マゼンタ色の画像が形成される。この画像形成ユニット10Mは、ドラム状の感光体1M、帯電部2M、露光部3M、現像部4M、一次転写ローラー(一次転写部)6Mおよびクリーニング部5Mを含んでいる。帯電部2M、露光部3M、現像部4M、一次転写ローラー(一次転写部)6M、およびクリーニング部5Mは、感光体1Mの周囲に、感光体1Mの回転方向に沿ってこの順に配置されている。
【0023】
画像形成ユニット10Cでは、シアン色の画像が形成される。この画像形成ユニット10Cは、ドラム状の感光体1C、帯電部2C、露光部3C、現像部4C、一次転写ローラー(一次転写部)6Cおよびクリーニング部5Cを含んでいる。帯電部2C、露光部3C、現像部4C、一次転写ローラー(一次転写部)6C、およびクリーニング部5Cは、感光体1Cの周囲に、感光体1Cの回転方向に沿ってこの順に配置されている。
【0024】
画像形成ユニット10Kでは、黒色画像が形成される。この画像形成ユニット10Kは、ドラム状の感光体ドラム1K、帯電部2K、露光部3K、現像部4K、一次転写ローラー(一次転写部)6Kおよびクリーニング部5Kを含んでいる。帯電部2K、露光部3K、現像部4K、一次転写ローラー(一次転写部)6Kおよびクリーニング部5Kは、感光体ドラム1Kの周囲に、感光体ドラム1Kの回転方向に沿ってこの順に配置されている。
【0025】
帯電部2Y,2M,2C,2Kは、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kを一様に帯電させる。露光部3Y,3M,3C,3Kは、レーザー光源、ポリゴンミラー、レンズ等から構成され、各色の画像データに基づいて感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kの表面をレーザービームにより走査露光して静電潜像を形成する。現像部4Y,4M,4C,4Kは、感光体ドラム1Y,1M,1C,1K上の静電潜像に各色のトナーを付着させ、現像を行う。
【0026】
一次転写ローラー6Y,6M,6C,6Kは、感光体ドラム1Y,1M,1C,1K上に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト16上に逐次転写させる(一次転写)。すなわち、中間転写ベルト16上には、4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
【0027】
二次転写ローラー7は、中間転写ベルト16と圧接して配置されており、二次転写ローラー7と中間転写ベルト16との間に転写ニップが形成される。二次転写ローラー7は、給紙部25又は大容量給紙装置200から供給され、用紙搬送部20によって搬送されてきた用紙Pが転写ニップを通過するタイミングで、中間転写ベルト16上のカラートナー像を、用紙Pの一方の面上に一括して転写させる(二次転写)。
【0028】
定着部50は、用紙の搬送方向において、二次転写ローラー7の下流側に配置されている。定着部50では、定着ローラー51と加圧ローラー52により形成されるニップ部にトナー像が形成された用紙Pを通過させることで、加熱・加圧により、用紙P上にトナー像を定着させる。定着処理が施された用紙Pは、排紙ローラー28により機外(排紙トレイ29)へと排出される。
【0029】
用紙Pの裏面にも画像形成を行う場合、用紙表面に対する画像形成を終えた用紙Pは、切替ゲート30により、再給紙搬送経路に搬送される。再給紙搬送経路では、搬送された用紙Pの後端が反転ローラーにより挟持された後、逆送することによって用紙Pの表裏が反転させられる。表裏が反転させられた用紙Pは、複数の搬送ローラー23によって搬送され、用紙裏面に対する画像形成に供するために、二次転写ローラー7よりも上流側の搬送経路に合流させられる。
【0030】
制御部40は、画像形成装置100及び後述する大容量給紙装置200の動作を制御する。制御部40の構成について後で詳述する。
【0031】
1-2.大容量給紙装置
次に、大容量給紙装置200の構成について説明する。本実施形態の大容量給紙装置200は、用紙Pを給紙する給紙装置である。大容量給紙装置200は、1つ以上の給紙ユニット210、例えば上段、中段及び下段に配置された3つの給紙ユニット210と、給紙ユニット210から給紙される用紙Pを画像形成装置100側に搬送する用紙搬送部260と、制御部250とを備えており、これらの要素が一つの筐体内に収容されている。
【0032】
図2は、給紙ユニット210の構成を示す斜視図である。給紙ユニット210は、複数の用紙P(用紙束)を収容し、用紙束から用紙P(最上位の用紙P)を1枚ずつ給紙する。給紙ユニット210は、用紙載置台211、先端規制部材212、後端規制部材213、第1側端規制部材214A、第2側端規制部材214B、吸着搬送部220、先端送風部230、第1側端送風部240A、第2側端送風部240Bを主体に構成されている。それぞれの給紙ユニット210は、引き出し部700(図13参照)に収納されており、引き出し部700は、ガイドレール570(図1参照)が設けられている。これにより、それぞれの給紙ユニット210の用紙載置台211を含む一部は、個別に大容量給紙装置200の筐体から引き出し可能に構成されている。
【0033】
給紙ユニット210において、用紙束は用紙載置台211に載置されている。用紙載置台211には、電動式の昇降機構が設けられており、上下方向に沿って昇降可能に構成されている。
【0034】
先端規制部材212は、用紙載置台211に載置された個々の用紙Pの先端、すなわち、用紙搬送方向(図2のXで示す方向)の下流側に位置付けられる用紙束の面(先端面)を規制する部材である。
【0035】
後端規制部材213は、用紙載置台211に載置された個々の用紙Pの後端、すなわち、用紙搬送方向の上流側に位置付けられる用紙束の面(後端面)を規制する部材である。後端規制部材213は、用紙搬送方向に沿って移動可能に構成されており、用紙サイズに応じて、その位置が調整される。
【0036】
後端規制部材213には、用紙載置台211上に載置された用紙束の高さを検出する高さセンサー(図示せず)が配置されている。制御部250(図1参照)は、高さセンサーの信号に基づいて昇降機構を駆動させ、用紙載置台211の昇降を制御する。この制御により、用紙載置台211上に載置された用紙束の最上位の用紙Pが一定の高さに維持される。
【0037】
第1側端規制部材214A及び第2側端規制部材214Bは、用紙載置台211に載置された個々の用紙Pの側端、すなわち、用紙搬送方向と平行する用紙束の面(側面)を規制する部材である。第1側端規制部材214A及び第2側端規制部材214Bのそれぞれは、用紙束を隔てた状態で、互いに対向するように配置されている。第1側端規制部材214A及び第2側端規制部材214Bの一方又は両方は、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向(図2のYで示す方向)に沿って移動可能に構成されており、用紙サイズに応じて、その位置が調整される。また、第1側端規制部材214Aと用紙束との間、及び、第2側端規制部材214Bと用紙束との間には、用紙Pを浮上させるために必要な隙間が設けられる。
【0038】
吸着搬送部220は、用紙載置台211(用紙P)の上方に、当該用紙載置台211と対向して配置されている。吸着搬送部220は、用紙載置台211に載置された用紙束の最上位の用紙Pから、一定の距離だけ離間した状態で配置されている。吸着搬送部220は、エアの吹き付けによって用紙束から浮上した用紙P(最上位の用紙P)を吸引して、搬送経路へと給紙する。吸着搬送部220は、吸着搬送ベルト221と、吸引部226とを主体に構成されている。
【0039】
吸着搬送ベルト221は、吸着された用紙Pを前方へと搬送(給紙)する機能を担っており、駆動ローラー221b及び従動ローラー221cに架け渡された無端状のベルトで構成されている。吸着搬送ベルト221は、駆動ローラー221bが回転駆動することにより回動し、用紙Pと対向するベルト領域(下側のベルト領域)が用紙搬送方向に移動する。吸着搬送ベルト221には、それぞれ小径からなる複数の貫通孔221aが設けられている。
【0040】
吸引部226は、浮上した用紙Pを吸引して吸着搬送ベルト221に吸着する。吸引部226は、吸着搬送ベルト221の内側に配置され、吸着搬送ベルト221を隔てて用紙Pと対峙している。吸引部226は、エアを吸引する吸引ファン(図示を省略する)と、吸着搬送ベルト221の内側に配置され、吸引ファンへとエアを導くダクト(図示を省略する)とを備えている。ダクトの下部には、吸着搬送ベルト221と対向する吸引口(図示を省略する)が設けられている。吸引ファンが動作すると、吸着搬送ベルト221の内側が負圧とされる。これにより、吸着搬送ベルト221の下側からダクトへと向かうエアの流れが形成され、用紙Pが吸引される。
【0041】
また、吸着搬送部220には、吸着搬送ベルト221への用紙Pの吸着を検出する吸着センサー270(図3参照)が設けられている。吸着センサー270によって検出される情報は、制御部250によって読み込まれる。
【0042】
先端送風部230は、用紙束の先端面かつ吸着搬送部220の近傍に配置されている。先端送風部230は、用紙載置台211に載置された用紙束に対して用紙先端側から送風を行う。この送風により、最上位の用紙Pと2枚目以降の用紙Pとの間にエアが導入され、最上位の用紙Pと2枚目以降の用紙Pとを捌くことができる。
【0043】
先端送風部230は、送風機231と、送風口232とを主体に構成されている。送風機231は、例えば多翼ファン(シロッコファン)である。送風口232は、送風機231から送風されたエアを、用紙束の上部に向けて吹き付ける。
【0044】
第1側端送風部240A及び第2側端送風部240Bは、用紙束の左右側面に対応して、互いに対向して配置されている。本実施形態において、第1側端送風部240Aは、第1側端規制部材214Aの内部に設けられている。第2側端送風部240Bは、第2側端規制部材214Bの内部に設けられている。すなわち、第1側端送風部240Aは、第1側端規制部材214Aを構成する筐体の内部に構成され、また、第2側端送風部240Bは、第2側端規制部材214Bを構成する筐体の内部に構成される。また、第1側端送風部240A及び第2側端送風部240Bは、その構成要素が同じであり、用紙束を中心に左右対称な構成とされている。
【0045】
第1側端送風部240A、及び、第2側端送風部240Bは、それぞれ、送風機241、ダクト(図示を省略する)、及び、吹き付け口243を備えている。本実施形態では、第1側端規制部材214A及び第2側端規制部材214Bを構成する筐体内部に送風機241が設けられると共に、筐体内部にダクトが構成され、筐体の開口部が吹き付け口243を構成している。送風機241は、例えば多翼ファン(シロッコファン)であり、エアを送風する。ダクトは、送風機241から送風されたエアを吹き付け口243に導く。ダクトの上部には、吹き付け口243が接続されている。吹き付け口243は、ダクト内を流れたエアを用紙束の側面に向けて吹き付ける。吹き付け口243から用紙束の側面に吹き付けられるエアは、最上位の用紙Pを浮上させるためのエアとして機能する。
【0046】
用紙搬送部260は、搬送経路に沿って配置された複数の搬送ローラー261で構成され、給紙ユニット210から供給された用紙Pを、画像形成装置100側に搬送する。
【0047】
制御部250(図1参照)は、大容量給紙装置200の動作を制御する。本実施形態では、制御部250は、画像形成装置100における画像形成のタイミングに応じて、所定の給紙ユニット210に積載された用紙束から用紙P(最上位の用紙P)を、図2の矢印Xで示す方向に給紙する給紙動作を実行する。本実施形態では、制御部250による制御により、給紙ユニット210の用紙Pを吸着搬送ベルト221に吸着させる際に、第1側端規制部材214A又は第2側端規制部材214B側に寄せてから吸着搬送ベルト221に吸着させる点に特徴を有する。制御部250による制御方法については後で詳述する。
【0048】
2.画像形成システムの制御系の構成
次に、画像形成システム300の制御系の構成について説明する。図3は、本実施形態の画像形成システム300の制御構成を示すブロック図である。
【0049】
2-1.画像形成装置の制御構成
図3に示すように、画像形成装置100は、制御部40、記憶部81、通信部82、操作表示部60、原稿読取部90、給紙部25、画像形成部70、及び、用紙搬送部20を備える。
【0050】
制御部40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only
Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成される。制御部40は、画像形成装置100の各部の動作を制御するコンピューターの一例として用いられる。CPUは、画像形成装置100に係わる演算部の一例であり、ROM(用紙の一例)に格納された画像形成システム300の各種処理に係わるソフトウェアのプログラムコードを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って、画像形成装置100の各部の動作を集中制御する。なお、CPUに代えて、MPU(Micro Processing Unit)等の他の演算装置を演算部として用いてもよい。ROMは、画像形成装置100の各部を制御するための各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターやデータテーブル、各種のファイル等を記憶している。RAMは、揮発性の半導体メモリにより構成され、CPUにより実行制御される各種処理において、ROMから読み出された各種処理プログラム、入力若しくは出力データ及びパラメーター等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0051】
記憶部81は、不揮発性ストレージ等からなる用紙の一例であり、CPUにより実行される各種処理プログラム、OS等のプログラム、当該プログラムの実行に必要な自装置の処理機能に関する情報、原稿読取部90が読み取った画像データ、図示しないクライアント装置などから入力された画像データ、制御部40が演算に用いる各種データテーブル等を記憶する。記憶部81は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や、SSD(Solid State Drive)、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード等が用いられる。
【0052】
通信部82は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成され、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続されている。本実施形態では、通信部82は、通信ネットワークを介して、大容量給紙装置200の他、外部の情報機器(例えばクライアント装置)との間で各種データの送受信を行う。
【0053】
2-2.大容量給紙装置の制御構成
大容量給紙装置200は、制御部250、記憶部281、通信部282、用紙搬送部260及び複数の給紙ユニット210(本実施形態では3つ)を備える。それぞれの給紙ユニット210は、先端送風部230、第1側端送風部240A、第2側端送風部240B、吸着ファン、用紙搬送ベルト、及び用紙吸着センサーを備える。なお、以下では上述の図1に示す画像形成システム300の説明と重複する構成は説明を省略する。
【0054】
制御部250は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only
Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成される。制御部250は、大容量給紙装置200の各部の動作を制御するコンピューターの一例として用いられる。CPUは、大容量給紙装置200に係わる演算部の一例であり、ROM(用紙の一例)に格納された大容量給紙装置200の各種処理に係わるソフトウェアのプログラムコードを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って、大容量給紙装置200の各部の動作を集中制御する。なお、CPUに代えて、MPU(Micro Processing Unit)等の他の演算装置を演算部として用いてもよい。ROMは、大容量給紙装置200の各部を制御するための各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターやデータテーブル、各種のファイル等を記憶している。RAMは、揮発性の半導体メモリにより構成され、CPUにより実行制御される各種処理において、ROMから読み出された各種処理プログラム、入力若しくは出力データ及びパラメーター等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0055】
記憶部81は、不揮発性ストレージ等からなる用紙の一例であり、CPUにより実行される各種処理プログラム、OS等のプログラム、当該プログラムの実行に必要な自装置の処理機能に関する情報、制御部250が演算に用いる各種データテーブル等を記憶する。記憶部81は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や、SSD(Solid State Drive)、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード等が用いられる。
【0056】
通信部282は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成され、大容量給紙装置200を、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続する。本実施形態では、通信部282は、画像形成装置100の通信部82との間で各種データの送受信を行う。その他、通信部282は、外部の情報機器(例えばクライアント装置)との間で各種データの送受信を行う構成であってもよい。
【0057】
吸着センサー270は、吸着搬送ベルト221に用紙Pが吸着したことを検知するセンサーである。吸着センサー270における検知信号は制御部250に送信される。
【0058】
大容量給紙装置200では、制御部250の制御により、先端送風部230、第1側端送風部240A、第2側端送風部240B、吸引部226、吸着搬送ベルト221が駆動制御される。これにより、トレイに積載された用紙束の一番上の用紙Pが搬送される。本実施形態では、大容量給紙装置200における先端送風部230、第1側端送風部240A、第2側端送風部240B、吸引部226及び吸着搬送ベルト221の制御方法に特徴を有する。以下に、大容量給紙装置200の制御方法について説明する。
【0059】
3.大容量給紙装置の制御方法
以下に、本実施形態の大容量給紙装置200の制御方法について説明する。図4は、本実施形態の大容量給紙装置200の制御フローを示した図である。また、図5A図6Gは、本実施形態の制御フローで実行される給紙ユニット210の動作例を示した図である。なお、図5A図6Gでは、先端送風部230の図示を省略する。
【0060】
図5Aは、給紙ジョブが開始される前の給紙ユニット210の様子を示した図である。図5Aに示すように、給紙ジョブが開始されるまでは、先端送風部230、第1側端送風部240A、第2側端送風部240B、吸引部226及び吸着搬送ベルト221は駆動されていない。図4の制御フローは、例えば、通信部282を介して画像形成装置100から大容量給紙装置200側に給紙ジョブが入力されたことをトリガーとして、制御部250により実行されるフローである。
【0061】
給紙ジョブが入力された場合、制御部250は、給紙動作を開始する(ステップS1)。ステップS1では、例えば、制御部250は、給紙対象の用紙Pの情報を取得すると共に、給紙動作を開始する給紙ユニット210を決定する。
【0062】
次に、制御部250は、第1側端送風部240A及び吸引部226を制御し、第1側端送風部240Aからのエアの吹き付けを開始すると共に、吸引部226による吸引動作を開始する(ステップS2)。ここでは、第1側端送風部240Aからは、図5Bの矢印d1方向に送風が開始され、吸引部226では、矢印d2方向に吸引が開始される。
【0063】
これにより、図5Cに示すように、用紙束の上部側の用紙Pが浮上すると共に、第2側端規制部材214B側に寄る。このように、本実施形態では、まず、第1側端送風部240Aのみから送風を行うことで、用紙Pを第2側端規制部材214B側に寄せながら浮上させる。ここでの浮上を「予備浮上」とする。
【0064】
次に、ステップS2から所定時間経過後、制御部250は、第2側端送風部240Bを制御し、第2側端送風部240Bからのエアの吹き付けを開始する(ステップS3)。ここでは、第2側端送風部240Bから、図6Dの矢印d3方向に送風が開始される。また、図6Dでは図示を省略するが、第2側端送風部240Bからの送風の開始と同じタイミングか、又は、少し後のタイミングで、制御部250は、先端送風部230を制御し、先端送風部からのエアの吹き付けも開始する(ステップS4)。
【0065】
これにより、図6Eに示すように、浮上した用紙Pが吸着搬送部220の吸着搬送ベルト221に対して平行に浮上する。ここでの浮上を「本浮上」とする。そして、図6Eの段階では、先端送風部230からの送風も開始されているため、図6Eに示すように、浮上した用紙Pのうち、最上位の用紙Pが捌かれて、吸着搬送ベルト221に吸着される。これにより、搬送される用紙Pの搬送位置が固定される。そして、図6Eに示す状態では、吸着搬送ベルト221への用紙Pの吸着が、吸着センサー270によって検知される。
【0066】
吸着搬送ベルト221への用紙Pの吸着が検知された後、制御部250は、第2側端送風部240Bを制御し、第2側端送風部240Bからのエアの吹き付けを遮断すると共に、吸着搬送ベルト221を制御し、吸着した用紙Pの搬送を開始する(ステップS5)。これにより、図6Fに示すように、最上位の用紙Pが搬送される。ステップS5では、第2側端送風部240Bからのエアの吹き付けを遮断することにより、吸着搬送ベルト221に吸着された最上位以外の用紙Pは、図6Fに示すように、第2側端送風部240B側の端部が用紙束側に下がる。これにより、最上位以外の用紙Pが吸着搬送ベルト221に吸着され、複数の用紙Pが重なって給紙される重送を防ぐことができる。
【0067】
最上位の用紙Pの搬送が終了した後、制御部250は吸着搬送ベルト221を制御して、吸着搬送ベルト221の動作を停止する(ステップS6)。これにより、図6Gに示すように、ステップS3で示した図5Cの状態(予備浮上の状態)に戻る。
【0068】
その後、制御部250は、給紙ジョブが終了したか否かを判定する(ステップS7)。制御部250において、給紙ジョブにおける所定の枚数の給紙が終了していないと判断された場合には、ステップS3に戻りステップS3~ステップS7の制御を繰り返す。一方、制御部250において、給紙ジョブで定められた所定の枚数の給紙が終了したと判定された場合には、先端送風部230、第1側端送風部240Aを制御してエアの吹き付け動作を終了すると共に、吸引部226を制御し、吸着動作を終了する(ステップS8)。
【0069】
以上のように、本実施形態では、用紙Pの幅方向に設置された第1側端送風部240A、第2側端送風部240Bのうち、第1側端送風部240Aからのエアの吹き付けを第2側端送風部240Bからのエアの吹き付けよりも先に開始する。これにより、予備浮上として、浮上する用紙Pを、幅方向において、第2側端規制部材214B側に寄せることができる。この結果、用紙の幅方向において、積載された用紙束と、第1側端規制部材214A、及び、第2側端規制部材214Bとの間のそれぞれの隙間を最適化しつつ、搬送時における位置ばらつきを抑えることができる。また、本実施形態では、用紙Pを捌く機能も損なわれないため、用紙Pを捌き機能を維持しつつ、用紙Pの幅方向における位置ばらつきを抑えることができる。
【0070】
また、第2側端送風部240B及び第2側端規制部材214Bを、画像形成装置100側における用紙Pの幅方向の位置基準となる側に設定することで、画像形成装置100において、用紙Pに形成される画像の位置ずれを抑えることができる。このように、本実施形態の画像形成システム300では、画像形成装置100における用紙Pの幅方向の位置基準となる側に寄せて大容量給紙装置200から用紙を供給することができるため、形成される画像の位置ずれが低減される。
【0071】
本実施形態では、図3のステップS2において、吸引部226による吸着動作を開始する例としたが、ステップ3と同時か、ステップS2とステップS3との間のタイミングで吸引部226の吸着を開始してもよい。すなわち、予備浮上によって用紙Pが第2側端規制部材214B側に寄せられた後に、吸引部226による吸着を開始する。このように、少なくとも予備浮上時には吸引部226の吸引をオフすることで、用紙Pの用紙幅方向における位置が、第2側端規制部材214B側に定まる前に、吸着搬送ベルト221に吸着されるのを防ぐことができる。
【0072】
なお、吸引部226における吸着の開始、終了は、制御部250によって開閉状態が制御されるシャッターの開閉制御によって行うことができる。例えば、吸引ファンを作動させた状態で、吸引口に設けられたシャッターをオンして開けることで吸着を開始することができる。また、吸引口に設けられたシャッターをオフして閉じることで、吸着を終了することができる。
【0073】
本実施形態では、画像形成装置100の制御部40と、大容量給紙装置200の制御部250を別に構成する例としたが、画像形成装置100の制御部40で大容量給紙装置200を制御する構成であってもよい。
【0074】
本実施形態における大容量給紙装置200からの給紙動作、及び、給紙ユニット210の構成は種々の変更が可能である。以下に、大容量給紙装置200における給紙動作が第1の実施形態と異なる例、及び、給紙ユニットの構成が第1の実施形態と異なる例について説明する。
【0075】
4.第2の実施形態(吹き出し口の高さを異ならせる例)
図7は、第2の実施形態に係る給紙ユニット310の概略構成図である。図7では、第1側端送風部240Aの吹き出し口の高さのみが、第1の実施形態と異なる例である。したがって、その他の構成は、第1の実施形態と同様である。図7において、図2と同一部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0076】
第2の実施形態では、第1側端送風部240Aの吹き出し位置が、第2側端送風部240Bの吹き出し位置よりも低く構成されている。第1側端送風部240Aの吹き出し位置と、第2側端送風部240Bの吹き出し位置の差Δh1は、エアの吹き付けを開始した際に、上部に積載された用紙Pが、より第2側端規制部材214B側に寄りやすく、かつ、最上位の用紙Pのみを浮上させることができるように設定されている。
【0077】
第2の実施形態では、第1側端送風部240Aのエアの吹き付け位置を第2側端送風部240Bのエアの吹き付け位置よりも低く設定することで、用紙Pの第1側端送風部240A側の端部をより持ち上げることができる。これより、持ち上がった用紙Pの面に第1側端送風部240Aからの風を当てることができるため、第2側端規制部材214B側へ移動する力をより大きくすることができる。この結果、用紙Pをより確実に第2側端規制部材214B側に寄せることができる。
【0078】
5.第3の実施形態(上端規制部材を設ける例)
図8は、第3の実施形態に係る給紙ユニット410の概略構成図である。図8では、第1側端送風部の上端部に上端規制部材を設けた点が、第1の実施形態と異なる。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、図8において、図2と同一部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0079】
図8に示すように、第3の実施形態に係る給紙ユニット410では、第1側端規制部材214Aの上下方向における上端部に、上端規制部材400が設けられている。上端規制部材400は、第1側端規制部材214Aから、用紙束側に突出するように設けられた板状部材であり、吸着搬送ベルト221の吸着面よりも低い位置に設けられている。また、上端規制部材400は、用紙Pの吸着搬送ベルト221への吸着を妨げない大きさに構成されている。
【0080】
第3の実施形態では、上端規制部材400が設けられていることにより、第1側端規制部材214A側において、用紙Pの積載方向における浮上高さを規制することができる。これにより、予備浮上の段階において、第1側端規制部材214A側に近い用紙端部が、第2側端規制部材214Bに近い側の用紙端部よりも先に吸着搬送ベルト221に吸着されるのを防ぐことができる。これにより、最上位の用紙Pが、第2側端規制部材214B側に移動する前に吸着搬送ベルト221に吸着されるのを防ぐことができる。この結果、用紙をより確実に第2側端規制部材214B側に寄せることができる。
【0081】
6.第4の実施形態(第1側端送風部と第2側端送風部の送風量を異ならせる例)
図9は、第4の実施形態に係る給紙ユニット210の動作時における概略構成図である。図9では、図4のステップS3における第1側端送風部240Aと第2側端送風部240Bからの送風量が、第1の実施形態と異なる例である。したがって、給紙ユニット210の構成は第1の実施形態と同様である。
【0082】
第4の実施形態では、図3のステップS3において、第1側端送風部240Aからの送風量を、第2側端送風部240Bからの送付量よりも大きくする。これにより、用紙Pが第2側端規制部材214B側に移動する力を大きくすることができる。この結果、用紙Pをより確実に第2側端規制部材214B側に寄せることができる。
【0083】
7.第5の実施形態(吸引部の吸着面の構成が異なる例)
図10は、第5の実施形態に係る給紙ユニット210の動作時における概略構成図である。図10では、図3のステップS2における吸引部226による吸着面の構成が、第1の実施形態と異なる例である。第5の実施形態では、吸引部226による吸引面を、用紙Pの幅方向において少なくとも2つ以上に分割し、個別に制御可能に構成されている。吸引部226による吸引面の分割は、例えば、制御部250の制御により開閉自在に設けられた複数のシャッターを吸引口に設け、吸引面毎にシャッターの開閉を制御することで実行することができる。
【0084】
第5の実施形態では、図3のステップS2の動作時(予備浮上時)において、用紙Pの幅方向における第1側端規制部材214A側の吸引口のシャッターを閉じ、第2側端規制部材214B側の吸引口のシャッターを開く。これにより、第1側端規制部材214A側において用紙Pが吸引部226側に吸引されない。この結果、図3のステップS2において持ち上がった用紙Pが第2側端規制部材214B側に寄り切る前に、吸着搬送ベルト221に吸着されるのを防ぐことができる。
【0085】
第5の実施形態では、ステップS2の動作(予備浮上)が終了した後、ステップS3の段階で、閉じられていた第1側端規制部材214A側の吸引口のシャッターを開くことで、用紙P全体を用紙吸着ベルト221に吸着させる。このように、第5の実施形態では、予備浮上時に用紙Pをより確実に第2側端規制部材214B側に寄せることができ、その後、吸着搬送ベルト221に吸着させることができる。
【0086】
8.第6の実施形態(用紙検出センサーを設ける例)
図11は、第6の実施形態に係る給紙ユニット610の動作時における概略構成図である。図11では、第2側端規制部材214Bに、用紙検出センサー600を設けた点で、第1の実施形態と異なる。したがって、その他の構成は、第1の実施形態と同様である。図11において、図2と同一部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0087】
用紙検出センサー600は、例えば反射型や接触式のセンサーで構成され、第2側端規制部材214Bに用紙Pが当接したこと(第2側端規制部材214B側に寄ったこと)を検知する。第6の実施形態では、図4のステップS2において、用紙検出センサー600が用紙Pを検知した場合に、この検知信号をトリガーとして、制御部250は、図3のステップS3を開始する。これにより、第1側端送風部240Aからの送風後、予備浮上した用紙Pが第2側端規制部材214Bに当接した後に本浮上させることができる。
【0088】
9.第7の実施形態(第2側端規制部材を、第1側端規制部材よりも高くする例)
図12は、第7の実施形態に係る給紙ユニット710の概略構成図である。図12では、第2側端規制部材714Bの高さが、第1側端規制部材714Aの高さよりも高く設定されている点で、第1の実施形態と異なる。そのほかの構成は、第1の実施形態と同様であるため、図12において、図2と同一部分には同一符号を付し、重複説明を称省略する。
【0089】
第7の実施形態では、第1側端規制部材714Aは、その高さが、吸着搬送ベルト221の吸着面よりも低くなるように設定されている。また、第2側端規制部材714Bは、その高さが、吸着搬送ベルト221の吸着面よりも高くなるように設定されている。図13は、大容量給紙装置200の給紙ユニット710が挿入される引き出し部700を示した図である。図13に示すように、給紙ユニット710は、図13に示すような引き出し部700を構成する筐体内部に設置され、給紙ユニット710を構成する第1側端規制部材714A、第2側端規制部材714B、及び、用紙載置台211は、引き出し部700の筐体と一体に構成されている。そして、第7の実施形態に示す給紙ユニット710では、引き出し部700の引き出し方向手前側(図13の矢印Y1で示す方向)に、第2側端規制部材714Bが設置される。
【0090】
第7の実施形態では、第2側端規制部材714Bの高さが吸引面よりも高く構成されるため、浮上した用紙Pをより確実に、第2側端規制部材714Bに当接させることができる。また、第7の実施形態では、第2側端規制部材714Bは、引き出し部700の引き出し方向手前側に設置され、また、第1側端規制部材714Aが吸引面よりも低く設定されている。このため、引き出し部700を引き出した際に、第2側端規制部材714B及び第1側端規制部材714Aも引き出されるが、それぞれ、装置内部に固定されている部材に接触しない。
【0091】
以上のように、本発明によれば、第1側端送風部からのエアの吹き付けにより、第2側端規制部材側に用紙Pを寄せながら浮上(予備浮上)させた後、第2側端送風部からのエアの吹き付けを開始する。これにより、用紙Pを第2側端規制部材側に寄せた状態で浮上(本浮上)させることができる。したがって、吸着搬送ベルトへの吸着位置のばらつきを抑えることができる。また、本実施形態の大容量給紙装置における第2側端規制部材が配置される側を、画像形成装置における用紙幅方向の位置基準となる側と同じ方向にすることで、用紙内の画像形成位置のばらつきも抑えることができる。
【0092】
上述した実施形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成について他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0093】
300…画像形成システム、16…中間転写ベルト、20…用紙搬送部、21…給紙トレイ、22…給紙ローラー、23…搬送ローラー、25…給紙部、30…切替ゲート、40…制御部、50…定着部、51…定着ローラー、52…加圧ローラー、60…操作表示部、70…画像形成部、81…記憶部、82…通信部、90…原稿読取部、100…画像形成装置、200…大容量給紙装置、210…給紙ユニット、211…用紙載置台、212…先端規制部材、213…後端規制部材、214A…第1側端規制部材、214B…第2側端規制部材、220…吸着搬送部、221…吸着搬送ベルト、221a…貫通孔、221b…駆動ローラー、221c…従動ローラー、226…吸引部、230…先端送風部、231…送風機、232…送風口、240A…第1側端送風部、240B…第2側端送風部、241…送風機、250…制御部、260…用紙搬送部、261…搬送ローラー、270…吸着センサー、281…記憶部、282…通信部
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