(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173157
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】施錠装置及びロッカー装置
(51)【国際特許分類】
E05B 65/02 20060101AFI20241205BHJP
E05C 3/24 20060101ALI20241205BHJP
E05B 47/06 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
E05B65/02 B
E05C3/24
E05B47/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091387
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】506226658
【氏名又は名称】株式会社アルファロッカーシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】礒飛 峰
(72)【発明者】
【氏名】水島 賢治
(57)【要約】
【課題】風等で容易に開かないようにするとともに利用者が容易に開けることができる施錠装置及びその施錠装置を備えるロッカー装置を提供する。
【解決手段】電気錠1は、筐体101側に設けられ、扉103側に設けられたストライカー30と係合するラッチレバー8と、ソレノイド6の作動によりラッチレバー8の作動を規制するソレノイド連動レバー7と、扉103が閉じるとラッチレバー8の作動を規制するボタン連動レバー5と、操作力によりボタン連動レバー5による規制を解除する押ボタン2と、を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に設けられ、前記筐体に開閉可能に取り付けられた扉に設けられた被係合部材と前記扉が閉じた際に係合する係合部材と、
電気的な信号が入力される電気部品の作動により前記係合部材の作動を規制する第1規制部材と、
前記扉が閉じると前記係合部材の作動を規制する第2規制部材と、
前記筐体外部からの操作力により前記第2規制部材による規制を解除する第1操作部と、
を備えることを特徴とする施錠装置。
【請求項2】
前記第1規制部材による前記係合部材の規制が解除された際に、前記第2規制部材は、前記第1操作部の前記操作力により前記係合部材の作動の規制を解除し、前記扉を開放状態にする、
ことを特徴とする請求項1に記載の施錠装置。
【請求項3】
前記第1操作部は押ボタンで構成され、
前記第2規制部材は、前記押ボタンの押圧により、前記係合部材の規制を解除する、
ことを特徴とする請求項1に記載の施錠装置。
【請求項4】
前記係合部材は、回動することによって前記被係合部材と係合するラッチレバーとして構成され、
前記ラッチレバーは、前記被係合部材との係合を解除する回動方向に付勢されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の施錠装置。
【請求項5】
前記第2規制部材は、前記ラッチレバーと前記被係合部材とが係合している状態で前記ラッチレバーを係止するレバー部材を備え、
前記レバー部材は、前記第1操作部の前記操作力により前記ラッチレバーの係止を解除することを特徴とする請求項4に記載の施錠装置。
【請求項6】
前記扉が開放状態から閉められた際には、前記ラッチレバーと前記被係合部材とが係合し、前記レバー部材が前記ラッチレバーを係止して前記扉を閉じた状態に固定する、
ことを特徴とする請求項5に記載の施錠装置。
【請求項7】
前記被係合部材は、前記筐体に向かって突出するように設けられており、
前記ラッチレバーは、前記被係合部材との係合が解除された状態に移行する際に前記被係合部材の先端を押す押圧部が設けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載の施錠装置。
【請求項8】
複数のロッカーボックスと、少なくとも前記ロッカーボックスの施解錠の操作が可能な第2操作部を備える制御部と、を備えたロッカー装置において、
前記複数のロッカーボックスそれぞれには、請求項1から7のうちいずれか一項に記載の施錠装置が設けられていることを特徴とするロッカー装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記ロッカーボックスの前記扉を閉めた際には、前記第1規制部材により前記係合部材の作動を規制させ、その後、所定時間以内に前記第2操作部の操作が行われない場合は、前記第1規制部材による規制を解除することを特徴とする請求項8に記載のロッカー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッカーボックス等の扉を施錠する施錠装置及びその施錠装置を備えるロッカー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コインロッカー等のロッカー装置は、荷物等が預けられている利用状態では扉は施錠されるが、利用されていない待機状態では解錠され扉は開閉自在となっているものが多い。この場合、強風時に扉がバタついて騒音を生じさせたり、扉が勢い良く閉まることで変形破損することがある。さらには、風雨による庫内汚れといったことが発生する場合もある。
【0003】
このような課題に対応するために、例えば、特許文献1には、マグネットを取り付けて扉を閉状態に保持し、扉が風で開くことを抑制することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のようにマグネットを使用した場合、風で開くことを抑制するのを重視して磁力を強くすると扉が開けにくくなる。一方、扉を開け易くするために磁力を弱くすると強風で開いてしまう恐れがある。したがって、扉開力とのバランスをとるのが難しいという問題がある。
【0006】
また、荷物等を預け入れるロッカー装置は、複数種類のサイズのロッカーボックスを有するものがある。その場合、扉の大きさも複数種類となり、それぞれの扉に合った磁力を設定する必要があるため、より扉開力とのバランスをとるのが困難となる。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような問題点に鑑み、風等で容易に開かないようにするとともに利用者が容易に開けることができる施錠装置及びその施錠装置を備えるロッカー装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、筐体に設けられ、前記筐体に開閉可能に取り付けられた扉に設けられた被係合部材と前記扉が閉じた際に係合する係合部材と、電気的な信号が入力される電気部品の作動により前記係合部材の作動を規制する第1規制部材と、前記扉が閉じると前記係合部材の作動を規制する第2規制部材と、前記筐体外部からの操作力により前記第2規制部材による規制を解除する第1操作部と、を備えることを特徴とする施錠装置である。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば、係合部材と被係合部材との係合により、強固に固定されるため、風等では容易に開かないようにすることができる。また、第1操作部の操作力で解錠できるため、利用者の操作で容易に開けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる施錠装置を有するロッカー装置の正面図である。
【
図2】
図1に示されたA-A線に沿う断面図である。
【
図3】
図2に示されたB-B線に沿う断面図である。
【
図4】
図3に示された電気錠の施錠状態を示した図である。
【
図5】
図3に示された電気錠の施錠中に押ボタンが操作された状態を示した図である。
【
図6】
図3に示された電気錠の施錠保持状態を示した図である。
【
図7】
図3に示された電気錠の解錠状態を示した図である。
【
図8】
図1に示されたロッカー装置の預け入れ時と取り出し時の動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかるロッカー装置の正面図である。
【0012】
図1に示したロッカー装置100は、縦方向に配列された複数段のロッカーボックス102の列が3列設けられた筐体101を有している。
【0013】
ロッカーボックス102は、前面に扉103が取り付けられている。また、扉103は、不図示のヒンジにより開閉可能となっている。このヒンジにはバネ等の付勢部材が設けられており、扉103を閉じる方向に付勢している。
【0014】
また、ロッカーボックス102には扉103を開けるための押ボタン2が設けられている。この押ボタン2は、筐体101側に設けられており、扉103に設けられた孔を貫通してロッカー装置100の表面に露出している。
【0015】
また、ロッカー装置100には、集中制御部104が1つ設けられている。集中制御部104は、各ロッカーボックス102の電気錠1(
図2等を参照)を制御するマイコン等が実装された制御基板やタッチパネル105等を備えている。タッチパネル105は、ロッカーボックス102の施錠及び解錠の操作や利用料金の精算等の操作を行うことができる。
【0016】
図2は、
図1のA-A線に沿う断面図である。なお、
図2においては1つのロッカーボックス102について図示し、隣接するロッカーボックス102については記載を省略する。
【0017】
図2に示したように、ロッカー装置100の筐体101の框には、本発明の一実施形態にかかる施錠装置として機能する電気錠1が設けられている。電気錠1は、ケース11を有し、押ボタン2及び後述するコイルバネ3以外の部分は、基本的にケース11内に収容されている。
【0018】
図3は、
図2のB-B線に沿う断面図である。
図2に示したように、電気錠1は、押ボタン2と、コイルバネ3と、リンク4と、ボタン連動レバー5と、ソレノイド6と、ソレノイド連動レバー7と、ラッチレバー8と、トーションバネ9と、マイクロスイッチ10と、を備えている。
【0019】
押ボタン2は、略円筒状に形成されている。押ボタン2を構成する円筒の底面部2aは、その外面が利用者等により操作される表面部となる。一方、底面部2aの内面略中心部には、リンク4が挿入されて固定される円柱部2bが設けられている。
【0020】
リンク4は略円柱の棒状に形成されている。リンク4の一端部は、前記した押ボタン2の円柱部2bに挿入されて固定されている。リンク4の他端部は、ボタン連動レバー5と連結されている。また、リンク4は、ケース11に設けられた孔から一端部が突出して押ボタン2に固定されている。
【0021】
コイルバネ3は、リンク4の一端側に設けられている。コイルバネ3は、押ボタン2の円柱部2bとケース11に挟まれるように設けられている。つまり、コイルバネ3は、押ボタン2をケース11から離れる方向に付勢している。
【0022】
ボタン連動レバー5は、リンク4と連結され、リンク4の移動により回動軸12を中心として回動するレバー部材である。また、ボタン連動レバー5は、ラッチレバー8を係止する係止部5a(
図5等を参照)が設けられている。ボタン連動レバー5は、リンク4の移動と連動して回動することでラッチレバー8を係止したり係止が解除されたりする。
【0023】
ソレノイド6は、集中制御部104からの制御信号により作動する。ソレノイド6は、ソレノイド本体6aとソレノイド本体6aから突出または後退可能なプランジャ6bとを備えている。ソレノイド6は、上記した制御信号に基づいてソレノイド本体6aの内部に配置されたコイルに電圧が印加されることでプランジャ6bをコイルに引き寄せて後退させる。一方、コイルへの電圧の印加が停止されるとプランジャ6bをコイルから離して突出させる。
【0024】
なお、本実施形態では、電気部品としてソレノイド6で説明するが、モータ等を用いてもよい。電気部品とは、外部からの電気的な信号が入力されて作動し、レバー等の機構部品を直接的又は間接的に駆動する部品を意味する。
【0025】
プランジャ6bは、上述したようにソレノイド本体6aから後退又は突出可能であり、先端部にソレノイド連動レバー7が連結されている。
【0026】
ソレノイド連動レバー7は、プランジャ6bと連結され、プランジャ6bの移動により回動軸12を中心として回動する。つまり、ソレノイド連動レバー7はボタン連動レバー5と回動軸12を共有する。但し、ソレノイド連動レバー7はボタン連動レバー5と独立して回動する。また、ソレノイド連動レバー7は、ラッチレバー8を係止する係止部7aが設けられている。ソレノイド連動レバー7は、ソレノイド6と連動して回動することでラッチレバー8を係止したり係止が解除されたりする。
【0027】
ラッチレバー8は、扉103が閉じた際にストライカー30と係合する。ラッチレバー8は、回動軸13を中心として回動可能に設けられている。ラッチレバー8は、扉103に設けられたストライカー30と係合する係合部8aと、上述したボタン連動レバー5やソレノイド連動レバー7により係止される被係止部8bと、が形成されている。また、ラッチレバー8は、係合部8aの近傍に係止の解錠時にストライカー30の先端を押して扉103をポップアップさせる押圧部8cが形成されている。
【0028】
また、ラッチレバー8には、回動軸13と同軸にトーションバネ9が設けられている。トーションバネ9は、周知のようにコイル状に巻回された巻回部と、巻回部の一端側から延長された一方のアーム部と、巻回部の他端側から延長された他方のアーム部からなる。トーションバネ9は、一方のアーム部がケース11に固定され、他方のアーム部はラッチレバー8に固定されている。そして、ラッチレバー8は、トーションバネ9によりストライカー30との係合を解除する方向(
図3では反時計回り)に回動するように付勢されている。
【0029】
マイクロスイッチ10は、ラッチレバー8の近傍に設けられている。マイクロスイッチ10は、ラッチレバー8がストライカー30と係合した状態でON、ラッチレバー8がストライカー30との係合を解除した状態でOFFとなる。このマイクロスイッチ10の状態は集中制御部104に出力され、集中制御部104で扉103の開閉状態を把握することができる。
【0030】
上述した構成のうち、リンク4と、ボタン連動レバー5と、ソレノイド6と、ソレノイド連動レバー7と、ラッチレバー8と、トーションバネ9と、マイクロスイッチ10と、はケース11内に設けられている。なお、リンク4は、他端部のみがケース11内に設けられている。
【0031】
ストライカー30は、扉103の裏側(筐体101に対向する側)に設けられ、係合部材であるラッチレバー8と係合する被係合部材である。ストライカー30は、扉103の裏側から電気錠1(筐体101)に向かって突出するように設けられている。
【0032】
次に、上述した構成の電気錠1の動作を説明する。
図4は、施錠状態を示した図である。施錠状態では、施錠信号等を受けてソレノイド6がONとなっており、内部のコイルに電圧が印加されプランジャ6bがコイルに引き寄せられて後退している。この状態では、ソレノイド連動レバー7の係止部7aはラッチレバー8の被係止部8bを係止している。また、ラッチレバー8の係合部8aは、ストライカー30と係合している。また、マイクロスイッチ10は、ON状態になっている。
【0033】
図4の状態では、ラッチレバー8が、ストライカー30と係合している。さらに、ソレノイド連動レバー7はラッチレバー8を係止し、ソレノイド6はONとなっており、プランジャ6bは後退状態で固定されている。したがって、扉103は閉じた状態にロックされている。つまり、扉103は施錠状態となっている。また、
図4の状態では、ボタン連動レバー5の係止部5aは、ソレノイド連動レバー7の係止部7aとともに、ラッチレバー8の被係止部8bを係止している。
【0034】
即ち、ソレノイド連動レバー7は、ソレノイド6(電気部品)の作動によりラッチレバー8(係合部材)の作動を規制する第1規制部材として機能する。
図4等に示したように、ソレノイド連動レバー7は、ラッチレバー8を係止することでラッチレバーの作動(回動)を規制している。
【0035】
次に、扉103がソレノイド6により施錠中に押ボタン2が操作された(押された)状態を
図5を参照して説明する。ソレノイド6により施錠中に押ボタン2が操作されると、押ボタン2に連動してリンク4が移動し、ボタン連動レバー5を回動させる。ボタン連動レバー5が回動すると、ボタン連動レバー5の係止部5aによるラッチレバー8の被係止部8bの係止が解除される。
【0036】
しかし、ソレノイド6がON状態であるので、プランジャ6bが後退状態であり、ソレノイド連動レバー7はラッチレバー8の被係止部8bを係止した状態である。そのため、ラッチレバー8がストライカー30と係合した位置で規制された状態であり、ラッチレバー8の回動が規制される。したがって、ストライカー30との係合も解除されず、扉103は施錠状態が維持される。
【0037】
次に、解錠保持状態について
図6を参照して説明する。解錠保持状態とは、ソレノイド連動レバー7によるラッチレバー8の規制は解除されているが、ボタン連動レバー5によるラッチレバー8の規制は継続している状態である。この解錠保持状態では、解錠信号等を受けてソレノイド6がOFFとなっており、内部のコイルへの電圧印加が停止されプランジャ6bがコイルから離れて突出している。この状態では、ソレノイド連動レバー7の係止部7aはラッチレバー8の被係止部8bの係止を解除している。
【0038】
しかし、ボタン連動レバー5の係止部5aはラッチレバーの被係止部8bの係止を解除しないため、ラッチレバー8の回動が規制される。したがって、ストライカー30との係合も解除されず、扉103は施錠状態が維持される。
【0039】
次に、解錠状態について
図7を参照して説明する。解錠状態では、解錠信号等を受けてソレノイド6がOFFとなっており、内部のコイルへの電圧印加が停止されプランジャ6bがコイルから離れて突出している。この状態では、ソレノイド連動レバー7の係止部7aはラッチレバー8の被係止部8bの係止を解除する。即ち、ソレノイド連動レバー7は、ラッチレバー8がストライカー30と係合した位置からの規制を解除している。この規制の解除は、
図6も同様である。但し、
図6の場合は、ボタン連動レバー5によりラッチレバー8の回動が規制されているため、押ボタン2を操作しない限り、つまり解錠状態にしない限り扉103を開けることができない。
【0040】
また、解錠状態では、押ボタン2が操作(押圧)され、リンク4の移動に連動してボタン連動レバー5の係止部5aはラッチレバーの被係止部8bの係止を解除する。したがって、ラッチレバー8は、回動が規制されなくなり、トーションバネ9の付勢力によって回動し、ストライカー30との係合が解除され、扉103を開けることができる。
【0041】
即ち、押ボタン2が、筐体101外部からの操作力によりボタン連動レバー5による規制を解除する第1操作部として機能する。そして、ラッチレバー8(係合部材)がストライカー30(被係合部材)と係合した位置からの規制を解除した際に、ボタン連動レバー5は、押ボタン2(第1操作部)の操作力によりラッチレバー8の作動の規制を解除し、扉103が開く状態にしている。ここで、押ボタン2の操作力とは、押ボタン2が利用者の手指等により押される力を意味する。
【0042】
ストライカー30との係合が解除されると、ラッチレバーの押圧部8cによりストライカー30が押される。トーションバネ9の付勢力は扉103のヒンジの付勢力よりも大きく設定されており、ストライカー30が押されることで扉103が僅かに開く(ポップアップする)。また、マイクロスイッチ10は、ラッチレバー8がストライカー30との係合を解除した状態となるためOFFとなる。
【0043】
ここで、押ボタン2は、利用者等が手指を離すとコイルバネ3の付勢力により初期位置(
図4等参照)に復帰する。押ボタン2が初期位置に復帰することで、リンク4も移動し、ボタン連動レバー5も回動して係止部5aが被係止部8bを係止しようとするが、解錠状態ではラッチレバー8は回動しているので、係止部5aは被係止部8bを係止できずにラッチレバー8の周縁部に接する状態で静止する。
【0044】
上記したように、
図3等に示した構成では、電気錠1のソレノイド6がOFFとなっても押ボタン2を操作しない限り扉103は開かない。
【0045】
一方、扉103を閉じる際は、利用者の手等により扉103を閉める方向に押す。すると、ストライカー30によりラッチレバー8の押圧部8cが押される。ラッチレバー8の押圧部8cが押されるとトーションバネ9の付勢力に逆らってラッチレバー8が回動し、ストライカー30と係合部8aが係合する。そして、ボタン連動レバー5の係止部5aは被係止部8bを係止する。したがって、
図6に示した解錠保持状態となり、扉103を閉じた状態に固定する。即ち、ボタン連動レバー5が、扉103が閉じるとラッチレバー8(係合部材)の作動を規制する第2規制部材として機能する。
【0046】
次に、上述したロッカー装置100の預け入れ時と取り出し時の動作のフローチャートを
図8を参照して説明する。まず、押ボタン2を操作する(ステップS11)。押ボタン2を操作すると、上述したようにストライカー30とラッチレバー8の係合が解除され、扉103がポップアップし、扉103が開放される(ステップS12)。
【0047】
扉103が開放されると、利用者は、預け入れる荷物をロッカーボックス102内に入庫する(ステップS13)。そして、利用者は扉103を閉める(ステップS14)。扉103を閉めると、上述したように、解錠保持状態となる。以降この状態を仮施錠と呼ぶ。
【0048】
次に、利用者が預け入れ操作を継続する場合は(ステップS15:Yes)、集中制御部104において、タッチパネル起動ボタンを操作する(ステップS16)。タッチパネル起動ボタンとは、集中制御部104に設けられた操作ボタンであり、このボタンを操作することでタッチパネル105が起動し、例えば預け入れ操作用のUI(User Interface)等が表示される。一方、預け入れ操作を継続しない場合は(ステップS15:No)、ステップS11に戻る。預け入れ操作を継続しない場合とは、例えば荷物の預け入れを中止する場合などが挙げられる。この場合は、押ボタン2を操作して(ステップS11)扉103を開放し(ステップS12)、預け入れた荷物を取り出す。荷物を取り出した後は、利用者が扉103を閉めて仮施錠状態とする。
【0049】
タッチパネル起動ボタンを操作後、利用者がタッチパネル105を操作してテンキーを表示させる(ステップS17)。そして、利用者がテンキーに荷物を預け入れた扉番号を入力する(ステップS18)。すると、集中制御部104は、当該扉番号に対応するロッカーボックス102に設けられた電気錠1のソレノイド6をONにする。ソレノイド6がONになると、上述したように、ソレノイド連動レバー7の係止部7aがラッチレバー8の被係止部8bを係止する。したがって、
図4に示した施錠状態となる。以降この状態を本施錠と呼ぶ。なお、ここでは、タッチパネル105にテンキーを表示させて扉番号を入力しているが、これに限定されない。例えば、タッチパネル105にロッカー装置全体の模式図を表示させ、図中の該当するロッカーボックス102の箇所を選択するようにしても良い。要するに本施錠するロッカーボックス102を指定できれば方法は限定されない。
【0050】
次に取り出し時の動作を説明する。まず、集中制御部104において、タッチパネル起動ボタンを操作する(ステップS21)。そして、タッチパネル105を操作してテンキーを表示させる(ステップS22)。そして、テンキーに荷物を預け入れた扉番号を入力する(ステップS23)。すると、集中制御部104は、当該扉番号に対応するロッカーボックス102に設けられた電気錠1のソレノイド6をOFFにする。ソレノイド6がOFFになると、上述したように、ソレノイド連動レバー7の係止部7aはラッチレバー8の被係止部8bの係止を解除する。したがって、本施錠が解錠された状態となり(ステップS24)、
図6に示した解錠待機状態、つまり仮施錠状態となる。
【0051】
次に、押ボタン2を操作すると(ステップS25)、ストライカー30とラッチレバー8の係合が解除され、扉103がポップアップし、扉103が開放される(ステップS26)。
【0052】
次に、利用者が荷物を取り出した場合は(ステップS27:Yes)、利用者が扉103を閉めて仮施錠状態にする(ステップS28)。すると、以降当該ロッカーボックス102は預け入れ可能な待機状態となる(ステップS29)。
【0053】
一方、利用者が荷物を取り出さず、再度預け入れる場合は(ステップS27:No)、ステップS14に戻り、扉を閉めて仮施錠状態にし、タッチパネル105の操作をして本施錠する(ステップS15~S19)。
【0054】
本実施形態によれば、電気錠1は、筐体101側に設けられ、扉103側に設けられたストライカー30と係合するラッチレバー8と、ソレノイド6の作動によりラッチレバー8の作動を規制するソレノイド連動レバー7と、扉103が閉じるとラッチレバー8の作動を規制するボタン連動レバー5と、筐体101外部からの操作力によりボタン連動レバー5による規制を解除する押ボタン2と、を備えている。
【0055】
電気錠1が上記のように構成されていることにより、ソレノイド6がOFFの場合でも、ボタン連動レバー5がラッチレバー8の作動を規制するので、仮施錠時も本施錠時と同等の強度で固定されるため、風等では容易に開かないようにすることができる。また、仮施錠時には押ボタン2の操作力で解錠できるため、利用者の操作で容易に開けることができる。
【0056】
また、ソレノイド連動レバー7によるラッチレバー8の規制が解除された際に、ボタン連動レバー5は、押ボタン2の操作力によりラッチレバー8の作動の規制を解除し、扉103が開く状態にする。このようにすることにより、仮施錠の場合には押ボタン2の操作で容易に扉103を開けることができる。
【0057】
また、ボタン連動レバー5は、押ボタン2の押圧により、ラッチレバー8の規制を解除しているので、簡単な操作でラッチレバー8とストライカー30との係合が解除でき扉103を開けることができる。
【0058】
また、ラッチレバー8は、ストライカー30との係合を解除する方向に付勢されているので、ボタン連動レバー5やソレノイド連動レバー7による係止が解除されると、付勢力によって自動的に係合を解除することができる。
【0059】
また、ボタン連動レバー5は、押ボタン2の操作力によりラッチレバー8の係止を解除するので、利用者の手指等で押す力で扉103を開けることができる。また、押ボタン2から扉103を開けるまでの機構としては全て機械的な機構で構成されているので、仮施錠用のソレノイドといった電気部品が不要となり、コストを削減することができる。
【0060】
また、扉103が開放状態から閉めた際には、ラッチレバー8とストライカー30とが係合し、ボタン連動レバー5がラッチレバー8を係止して扉103を閉じた状態に固定する。このようにすることにより、利用者が扉103を閉めるだけでラッチレバー8とストライカー30とが係合し、扉103を閉じた状態に固定することができる。
【0061】
また、ストライカー30は、筐体101に向かって突出するように設けられており、ラッチレバー8は、ストライカー30との係合が解除された状態に移行する際にストライカー30の先端を押す押圧部8cが設けられている。このようにすることにより、押ボタン2を操作した際に扉103がポップアップして扉103が開放されたことを認識できるとともに、扉103が開け易くなる。
【0062】
また、ロッカー装置100は、上述した電気錠1を各ロッカーボックス102に備えているので、各ロッカーボックス102の扉103は、本施錠時と同等の強度で固定されるため、風等では容易に開かないようにすることができる。また、押ボタン2の操作力で解錠できるため、利用者の操作で容易に開けることができる。
【0063】
なお、上述した実施形態は、
図8のフローチャートで、仮施錠(ステップS14)してから本施錠(ステップS19)するまでの間は、押ボタン2を操作すれば誰でも扉103を開ける状態にある。そこで、仮施錠のタイミングで一時的に本施錠をしてもよい。
【0064】
例えば仮施錠となり、ラッチレバー8がストライカー30と係合するとマイクロスイッチ10がONになるので、そのONを集中制御部104が検出し、ソレノイド6をONにする。ソレノイド6がONになるとソレノイド連動レバー7がラッチレバー8の被係止部8bを係止するので本施錠となる。集中制御部104では、ソレノイド6をONにしてから所定時間をタイマ等で計時する。所定時間以内にタッチパネル起動ボタン操作やテンキー表示等の操作が行われない場合は、使用の意思が無いと見做してソレノイド6をOFFにして本施錠を解除する。本施錠が解除されると仮施錠となり、押ボタン2で誰でも開ける状態となる。
【0065】
即ち、集中制御部104は、ロッカーボックス102の扉103を閉めた際には、ソレノイド連動レバー7によりラッチレバー8の作動を規制させ、その後、所定時間以内にタッチパネル105の操作が行われない場合は、ソレノイド連動レバー7による規制を解除してもよい。このようにすることにより、仮施錠状態のロッカーボックス102において、他人等により不用意に押ボタン2を操作されて扉103を開けられることを防止することができる。また、所定時間が経過すると使用の意思が無いと見做して押ボタン2で扉103を開けることができるので、例えばタッチパネル104等でキャンセル操作等を行う手間が省ける。
【0066】
また、上述した実施形態では、扉を閉めると框が隠れるような構成であったが、扉を閉めても框が露出し、押ボタンが框部分に設けられるような構成でもよい。また、第1操作部として押ボタンに限らず、スライドスイッチ等、「押す」以外の操作であってもよい。
【0067】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の施錠装置及びロッカー装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0068】
1 電気錠
2 押ボタン(第1操作部)
5 ボタン連動レバー(第2規制部材、レバー部材)
6 ソレノイド(電気部品)
7 ソレノイド連動レバー(第1規制部材)
8 ラッチレバー(係合部材)
8c 押圧部
30 ストライカー(被係合部材)
100 ロッカー装置
101 筐体
102 ロッカーボックス
103 扉
104 集中制御部(制御部)
105 タッチパネル(第2操作部)