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特開2024-173170風車の輸送支援装置及び風車の輸送支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173170
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】風車の輸送支援装置及び風車の輸送支援方法
(51)【国際特許分類】
   F03D 13/40 20160101AFI20241205BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F03D13/40
F03D1/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091404
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100213388
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 康司
(72)【発明者】
【氏名】小林 修
(72)【発明者】
【氏名】山本 純一
(72)【発明者】
【氏名】佛川 隆晃
(72)【発明者】
【氏名】河西 秀明
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勇介
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB77
3H178CC02
3H178DD12Z
3H178DD67X
(57)【要約】
【課題】本発明は、長尺部材であるブレードを実際に輸送する前に車両及びブレードと干渉する地物の範囲を明確にする風車の輸送支援装置を提供する。
【解決手段】風車の輸送支援装置10は、風力発電設備の風車に用いるブレードを輸送する輸送経路に沿った三次元経路データと、三次元データの車両モデルと、を取得する取得部21と、車両モデルを移動させる移動処理部22と、地物データが車両モデルに干渉するか否かを判定する判定部23と、干渉する範囲を算出する範囲算出部24と、車両モデルの形態を変形させる探索処理部27と、を備える。探索処理部27は、判定部23において地物データが車両モデルに干渉すると判定する場合に、ブレードを水平に所定角度旋回させて車両モデルを変形させる。移動処理部22、判定部23及び範囲算出部24は、変形後の車両モデルに対して各処理を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電設備の風車に用いるブレードを輸送する輸送経路に沿った三次元経路データと、前記ブレードを輸送する車両と当該車両に積載された前記ブレードとを含む三次元データの車両モデルと、を取得する取得部と、
前記三次元経路データにおける前記輸送経路に沿って、前記車両モデルを移動させる移動処理部と、
前記移動処理部の処理において前記三次元経路データに含まれる地物データが前記車両モデルに干渉するか否かを判定する判定部と、
前記判定部の処理における干渉する範囲を算出する範囲算出部と、
前記ブレードを水平に旋回させて前記車両モデルの形態を変形させる探索処理部と、
を備え、
前記探索処理部は、前記判定部において前記地物データが前記車両モデルに干渉すると判定する場合に、前記ブレードを水平に所定角度旋回させて前記車両モデルを変形させ、
前記移動処理部、前記判定部及び前記範囲算出部は、変形後の前記車両モデルに対して各処理を実行することを特徴とする、風車の輸送支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の風車の輸送支援装置において、
前記範囲は、道路を拡幅する範囲及び/または樹木を伐採する範囲であることを特徴とする、風車の輸送支援装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の風車の輸送支援装置において、
前記探索処理部は、前記ブレードを伏した状態から起立した状態で積載する前記車両モデルに変形する起立変形処理を実行し、
前記移動処理部、前記判定部及び前記範囲算出部は、起立変形後の前記車両モデルに対して各処理を実行することを特徴とする、風車の輸送支援装置。
【請求項4】
風力発電設備の風車に用いるブレードを輸送する輸送経路に沿った三次元経路データと、前記ブレードを輸送する車両と当該車両に積載された前記ブレードとを含む三次元データの車両モデルと、を取得し、
前記三次元経路データにおける前記輸送経路に沿って前記車両モデルを移動させて、前記三次元経路データに含まれる地物データが前記車両モデルに干渉するか否かを判定する第1判定処理を実行し、
前記第1判定処理において前記地物データが前記車両モデルに干渉すると判定された場合に、前記ブレードを水平旋回させると共に起立させて前記ブレードが最も小さい起立角度で前記地物データに変形後の前記車両モデルが干渉しない水平旋回角度及び起立角度を探索し、
探索した結果、全ての水平旋回角度及び起立角度に変形した前記車両モデルに前記地物データが干渉すると判定された場合に、前記地物データにおける干渉する範囲を算出することを特徴とする、風車の輸送支援方法。
【請求項5】
風力発電設備の風車に用いるブレードを輸送する輸送経路に沿った三次元経路データと、前記ブレードを輸送する車両と当該車両に積載された前記ブレードとを含む三次元データの車両モデルと、を取得し、
前記三次元経路データにおける前記輸送経路に沿って前記車両モデルを移動させて、前記三次元経路データに含まれる地物データが前記車両モデルに干渉するか否かを判定する第1判定処理を実行し、
前記第1判定処理において前記地物データが前記車両モデルに干渉すると判定された場合に、前記ブレードを水平に所定角度旋回させた前記車両モデルに変形する水平変形処理を実行し、
前記三次元経路データにおける前記輸送経路に沿って変形後の前記車両モデルを移動させて、前記三次元経路データに含まれる前記地物データが変形後の前記車両モデルに干渉するか否かを判定する第2判定処理を実行し、
全ての角度に前記ブレードを水平旋回するまで、または、前記地物データが変形後の前記車両モデルに干渉しなくなるまで、前記水平変形処理と前記第2判定処理を繰り返し実行し、
前記第2判定処理において前記地物データが変形後の前記車両モデルに干渉しないと判定される場合に、干渉しないと判定された水平旋回角度を算出し、
前記第2判定処理において前記地物データが変形後の前記車両モデルに干渉すると判定される場合に、前記地物データにおける干渉する範囲を算出することを特徴とする、風車の輸送支援方法。
【請求項6】
請求項5に記載の風車の輸送支援方法において、
全ての角度に前記ブレードを水平旋回しても前記地物データが変形後の前記車両モデルに干渉する場合に、前記ブレードを所定角度起立させた前記車両モデルに変形する起立変形処理を実行し、
前記三次元経路データにおける前記輸送経路に沿って起立変形後の前記車両モデルを移動させて、前記三次元経路データに含まれる前記地物データが起立変形後の前記車両モデルに干渉するか否かを判定する第3判定処理を実行し、
前記第3判定処理において前記地物データが起立変形後の前記車両モデルに干渉すると判定する場合に、当該起立角度で全ての角度に前記ブレードを水平旋回するまで、または、当該起立角度で前記地物データが水平変形後の前記車両モデルに干渉しなくなるまで、前記水平変形処理と前記第2判定処理を繰り返し実行し、
全ての角度に前記ブレードを起立するまで、または、前記地物データが変形後の前記車両モデルに干渉しなくなるまで、前記水平変形処理に戻って各処理を繰り返し実行し、
前記水平旋回角度を算出する工程は、少なくとも前記第2判定処理または前記第3判定処理において干渉しないと判定された起立角度及び水平旋回角度を算出し、
前記干渉する範囲を算出する工程は、少なくとも全ての起立角度において前記第2判定処理及び前記第3判定処理を実行して干渉すると判定された場合に実行することを特徴とする、風車の輸送支援方法。
【請求項7】
風力発電設備の風車に用いるブレードを輸送する輸送経路に沿った三次元経路データと、前記ブレードを輸送する車両と当該車両に積載された前記ブレードとを含む三次元データの車両モデルと、を取得し、
前記三次元経路データにおける前記輸送経路に沿って前記車両モデルを移動させて、前記三次元経路データに含まれる地物データが前記車両モデルに干渉するか否かを判定する第1判定処理を実行し、
前記第1判定処理において前記地物データが前記車両モデルに干渉すると判定された場合に、前記ブレードを所定角度起立させた前記車両モデルに変形する起立変形処理を実行し、
前記三次元経路データにおける前記輸送経路に沿って起立変形後の前記車両モデルを移動させて、前記三次元経路データに含まれる前記地物データが起立変形後の前記車両モデルに干渉するか否かを判定する第2判定処理を実行し、
全ての角度に前記ブレードを起立するまで、または、前記地物データが変形後の前記車両モデルに干渉しなくなるまで、前記起立変形処理に戻って各処理を繰り返し実行し、
全ての起立角度において前記地物データが前記車両モデルに干渉すると判定された場合に、前記ブレードを水平に所定角度旋回させた前記車両モデルに変形する水平変形処理を実行し、
前記三次元経路データにおける前記輸送経路に沿って水平変形後の前記車両モデルを移動させて、前記三次元経路データに含まれる前記地物データが水平変形後の前記車両モデ
ルに干渉するか否かを判定する第3判定処理を実行し、
全ての角度に前記ブレードを水平旋回するまで、または、当該水平旋回角度で前記地物データが変形後の前記車両モデルに干渉しなくなるまで、前記起立変形処理に戻って各処理を繰り返し実行し、
少なくとも前記第2判定処理または前記第3判定処理において干渉しないと判定された起立角度及び水平旋回角度を算出し、
少なくとも全ての起立角度において前記第2判定処理及び前記第3判定処理を実行して干渉すると判定された場合に、前記地物データにおける干渉する範囲を算出することを特徴とする、風車の輸送支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電設備に用いる風車の特に長尺部材であるブレードを輸送する輸送支援装置及び輸送支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然エネルギーの活用が注目されており、風力発電設備が沿岸地域や山岳部に建設されている。特に山岳部における風力発電設備の建設は、風車を構成する大型の部材を陸上輸送しなければならない。風車は、円柱状に直立するタワー、タワーの上端に載せるナセル、及びナセルに回転可能に取り付けられる複数のブレード(羽根)などから構成される。風車の部材の中でもブレードは、特に長尺の部材であって、一般に40m以上あり、60m以上のものも存在する。そのため、山岳部に風車を建設する場合、長尺のブレードを積載した大型の車両は、狭く曲がりくねった山道の移動が困難である。
【0003】
そのため、ブレードを片持ち支持する起伏機構を備える運搬用装置が提案されている(特許文献1)。このような運搬用装置は、直線状の道路ではブレードが伏した(倒れた)状態で車両を走行させ、カーブではブレードが起立した状態に変更して旋回径を小さくして走行させることができる。また、特許文献1の運搬用装置は、荷台に旋回機構を備え、起立状態のブレードが上方にある障害物を避けるために、ブレードを左右に旋回することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-243805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような起伏機構及び旋回機構を備える運搬用装置を用いても山岳部における風車の部材輸送に際しては、輸送経路における道路の拡幅や樹木の伐採といった多くの準備が必要となる。そして、経験豊富な輸送作業者による測量等を実施し、道路台帳、付属の平面図を用いて拡幅や伐採の計画を立てても、実際の輸送作業において道路の縦断勾配、法面勾配、樹木の高さ等により拡幅する範囲や伐採する範囲が変更になることがある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、長尺部材であるブレードを実際に輸送する前に車両及びブレードと干渉する地物の範囲を明確にする風車の輸送支援装置及び風車の輸送支援方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0008】
[1]本発明に係る風車の輸送支援装置の一態様は、
風力発電設備の風車に用いるブレードを輸送する輸送経路に沿った三次元経路データと、前記ブレードを輸送する車両と当該車両に積載された前記ブレードとを含む三次元データの車両モデルと、を取得する取得部と、
前記三次元経路データにおける前記輸送経路に沿って、前記車両モデルを移動させる移動処理部と、
前記移動処理部の処理において前記三次元経路データに含まれる地物データが前記車両モデルに干渉するか否かを判定する判定部と、
前記判定部の処理における干渉する範囲を算出する範囲算出部と、
前記ブレードを水平に旋回させて前記車両モデルの形態を変形させる探索処理部と、
を備え、
前記探索処理部は、前記判定部において前記地物データが前記車両モデルに干渉すると判定する場合に、前記ブレードを水平に所定角度旋回させて前記車両モデルを変形させ、
前記移動処理部、前記判定部及び前記範囲算出部は、変形後の前記車両モデルに対して各処理を実行することを特徴とする。
【0009】
[2]前記風車の輸送支援装置の一態様において、
前記範囲は、道路を拡幅する範囲及び/または樹木を伐採する範囲であることができる。
【0010】
[3]前記風車の輸送支援装置の一態様において、
前記探索処理部は、前記ブレードを伏した状態から起立した状態で積載する前記車両モデルに変形する起立変形処理を実行し、
前記移動処理部、前記判定部及び前記範囲算出部は、起立変形後の前記車両モデルに対して各処理を実行することができる。
【0011】
[4]本発明に係る風車の輸送支援方法の一態様は、
風力発電設備の風車に用いるブレードを輸送する輸送経路に沿った三次元経路データと、前記ブレードを輸送する車両と当該車両に積載された前記ブレードとを含む三次元データの車両モデルと、を取得し、
前記三次元経路データにおける前記輸送経路に沿って前記車両モデルを移動させて、前記三次元経路データに含まれる地物データが前記車両モデルに干渉するか否かを判定する第1判定処理を実行し、
前記第1判定処理において前記地物データが前記車両モデルに干渉すると判定された場合に、前記ブレードを水平旋回させると共に起立させて前記ブレードが最も小さい起立角度で前記地物データに変形後の前記車両モデルが干渉しない水平旋回角度及び起立角度を探索し、
探索した結果、全ての水平旋回角度及び起立角度に変形した前記車両モデルに前記地物データが干渉すると判定された場合に、前記地物データにおける干渉する範囲を算出することを特徴とする。
【0012】
[5]本発明に係る風車の輸送支援方法の一態様は、
風力発電設備の風車に用いるブレードを輸送する輸送経路に沿った三次元経路データと、前記ブレードを輸送する車両と当該車両に積載された前記ブレードとを含む三次元データの車両モデルと、を取得し、
前記三次元経路データにおける前記輸送経路に沿って前記車両モデルを移動させて、前記三次元経路データに含まれる地物データが前記車両モデルに干渉するか否かを判定する第1判定処理を実行し、
前記第1判定処理において前記地物データが前記車両モデルに干渉すると判定された場合に、前記ブレードを水平に所定角度旋回させた前記車両モデルに変形する水平変形処理を実行し、
前記三次元経路データにおける前記輸送経路に沿って変形後の前記車両モデルを移動させて、前記三次元経路データに含まれる前記地物データが変形後の前記車両モデルに干渉するか否かを判定する第2判定処理を実行し、
全ての角度に前記ブレードを水平旋回するまで、または、前記地物データが変形後の前記車両モデルに干渉しなくなるまで、前記水平変形処理と前記第2判定処理を繰り返し実
行し、
前記第2判定処理において前記地物データが変形後の前記車両モデルに干渉しないと判定される場合に、干渉しないと判定された水平旋回角度を算出し、
前記第2判定処理において前記地物データが変形後の前記車両モデルに干渉すると判定される場合に、前記地物データにおける干渉する範囲を算出することを特徴とする。
【0013】
[6]前記風車の輸送支援方法において、
全ての角度に前記ブレードを水平旋回しても前記地物データが変形後の前記車両モデルに干渉する場合に、前記ブレードを所定角度起立させた前記車両モデルに変形する起立変形処理を実行し、
前記三次元経路データにおける前記輸送経路に沿って起立変形後の前記車両モデルを移動させて、前記三次元経路データに含まれる前記地物データが起立変形後の前記車両モデルに干渉するか否かを判定する第3判定処理を実行し、
前記第3判定処理において前記地物データが起立変形後の前記車両モデルに干渉すると判定する場合に、当該起立角度で全ての角度に前記ブレードを水平旋回するまで、または、当該起立角度で前記地物データが水平変形後の前記車両モデルに干渉しなくなるまで、前記水平変形処理と前記第2判定処理を繰り返し実行し、
全ての角度に前記ブレードを起立するまで、または、前記地物データが変形後の前記車両モデルに干渉しなくなるまで、前記水平変形処理に戻って各処理を繰り返し実行し、
前記水平旋回角度を算出する工程は、少なくとも前記第2判定処理または前記第3判定処理において干渉しないと判定された起立角度及び水平旋回角度を算出し、
前記干渉する範囲を算出する工程は、少なくとも全ての起立角度において前記第2判定処理及び前記第3判定処理を実行して干渉すると判定された場合に実行することができる。
【0014】
[7]本発明に係る風車の輸送支援方法の一態様は、
風力発電設備の風車に用いるブレードを輸送する輸送経路に沿った三次元経路データと、前記ブレードを輸送する車両と当該車両に積載された前記ブレードとを含む三次元データの車両モデルと、を取得し、
前記三次元経路データにおける前記輸送経路に沿って前記車両モデルを移動させて、前記三次元経路データに含まれる地物データが前記車両モデルに干渉するか否かを判定する第1判定処理を実行し、
前記第1判定処理において前記地物データが前記車両モデルに干渉すると判定された場合に、前記ブレードを所定角度起立させた前記車両モデルに変形する起立変形処理を実行し、
前記三次元経路データにおける前記輸送経路に沿って起立変形後の前記車両モデルを移動させて、前記三次元経路データに含まれる前記地物データが起立変形後の前記車両モデルに干渉するか否かを判定する第2判定処理を実行し、
全ての角度に前記ブレードを起立するまで、または、前記地物データが変形後の前記車両モデルに干渉しなくなるまで、前記起立変形処理に戻って各処理を繰り返し実行し、
全ての起立角度において前記地物データが前記車両モデルに干渉すると判定された場合に、前記ブレードを水平に所定角度旋回させた前記車両モデルに変形する水平変形処理を実行し、
前記三次元経路データにおける前記輸送経路に沿って水平変形後の前記車両モデルを移動させて、前記三次元経路データに含まれる前記地物データが水平変形後の前記車両モデルに干渉するか否かを判定する第3判定処理を実行し、
全ての角度に前記ブレードを水平旋回するまで、または、当該水平旋回角度で前記地物データが変形後の前記車両モデルに干渉しなくなるまで、前記起立変形処理に戻って各処理を繰り返し実行し、
少なくとも前記第2判定処理または前記第3判定処理においてに干渉しないと判定され
た起立角度及び水平旋回角度を算出し、
少なくとも全ての起立角度において前記第2判定処理及び前記第3判定処理を実行して干渉すると判定された場合に、前記地物データにおける干渉する範囲を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の風車の輸送支援装置及び風車の輸送支援方法によれば、ブレードを実際に輸送する前に車両及びブレードと干渉する地物の範囲を明確にすることができるため、輸送作業を行う者の経験に頼らずに道路の拡幅や樹木の伐採の計画を立案できる。そのため、本発明の風車の輸送支援装置及び風車の輸送支援方法によれば、輸送作業を行う者を支援して、作業効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る風車の輸送支援装置の概略構成図である。
図2】三次元経路データの一例を説明するための模式図である。
図3】ブレードを伏した状態の車両モデルの一例を説明するための模式図である。
図4】変形後の車両モデルの一例を説明するための模式図である。
図5】地図データ上に干渉する範囲を表示した一例を説明するための模式図である。
図6】本実施形態に係る風車の輸送支援方法のフローチャートである。
図7】変形例1に係る探索シミュレーションのフローチャートである。
図8】変形例2に係る探索シミュレーションのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0018】
1.風車の輸送支援装置
本実施形態に係る風車の輸送支援装置は、風力発電設備の風車に用いるブレードを輸送する輸送経路に沿った三次元経路データと、前記ブレードを輸送する車両と当該車両に積載された前記ブレードとを含む三次元データの車両モデルと、を取得する取得部と、前記三次元経路データにおける前記輸送経路に沿って、前記車両モデルを移動させる移動処理部と、前記移動処理部の処理において前記三次元経路データに含まれる地物データが前記車両モデルに干渉するか否かを判定する判定部と、前記判定部の処理における干渉する範囲を算出する範囲算出部と、前記ブレードを水平に旋回させて前記車両モデルの形態を変形させる探索処理部と、を備え、前記探索処理部は、前記判定部において前記地物データが前記車両モデルに干渉すると判定する場合に、前記ブレードを水平に所定角度旋回させて前記車両モデルを変形させ、前記移動処理部、前記判定部及び前記範囲算出部は、変形後の前記車両モデルに対して各処理を実行する。
【0019】
図1図5を用いて、本実施形態に係る風車の輸送支援装置10(以下、単に「輸送支援装置10」という)について説明する。図1は、本実施形態に係る輸送支援装置10の概略構成図であり、図2は、三次元経路データ50の一例を説明するための模式図であり、図3は、ブレード64を伏した状態の第1車両モデル65の一例を説明するための模式図であり、図4は、変形後の第2車両モデル66の一例を説明するための模式図であり、図5は、地図データ57上に干渉する範囲を表示した一例を説明するための模式図である。
【0020】
図1に示すように、輸送支援装置10は、例えば、処理部20と、記憶部30と、操作部32と、表示部34とを備える。輸送支援装置10は、例えば、コンピュータ装置であり、タブレット型の端末などでもよく、複数のサーバ装置を互いに接続して構成してもよい。処理部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサである。記憶部30は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disk Drive)などの記憶媒体である。操作部32は、例えば、マウス、タッチパネル、キーボードなどのユーザインターフェースである。表示部34は、例えば、液晶画面(LCD(Liquid Crystal Display))や公知の他の表示装置(例えば有機EL(Electro Luminescence)等)であり、操作部32の一部として各種ユーザインターフェース(GUI(Graphical User Interface))を備えてもよい。輸送支援装置10は、外部のシステムに対して高速データ通信を行う通信インターフェースを備えていてもよい。図1の例では、外部のシステムとしてMMS40(Mobile Mapping System)と携帯端末46が接続されているが、これに限られるものではない。また、輸送支援装置10の一部または全部は、インターネットを介してクラウド上に設けられてもよい。
【0021】
処理部20は、少なくとも取得部21と、移動処理部22と、判定部23と、範囲算出部24と、を備える。また、処理部20は、角度算出部25と、出力制御部26とをさらに備えてもよい。なお、本実施形態において、「部」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」が有する機能をプログラムによって実現する場合も含む。また、1つの「部」が有する機能が2つ以上の物理的手段やプログラムにより実現されてもよい。
【0022】
図2図4に示す例において、取得部21は、風力発電設備の風車に用いるブレード64を輸送する輸送経路52に沿った三次元経路データ50と、ブレード64を輸送する車両60と当該車両60に積載されたブレード64とを含む三次元データの車両モデル(65,66)と、を取得する。図3の車両モデルはブレード64を車両60に伏した状態で積載する第1車両モデル65であり、図4の変形後の車両モデルはブレード64を車両60に対して起立した状態で積載する第2車両モデル66である。第2車両モデル66におけるブレード64の状態は一例であり、実際に使用される車両に合わせて、例えば車両60に対して起立角度θ及び水平旋回角度γの範囲でブレード64を移動させることができる。三次元経路データ50、第1車両モデル65及び第2車両モデル66は、例えば記憶部30に記憶されている。
【0023】
図2に示すように、三次元経路データ50は、例えば、道路である輸送経路52、輸送経路52に隣接する法面54、及び輸送経路52に隣接する樹木56などの地物データを含む。三次元経路データ50に含まれる地物データは、さらに、ガードレール、道路縁、縁石などの道路構造物、白線などのペイント表記、道路標識、信号機などの標柱、道路近傍の建築物などを含んでもよい。また、三次元経路データ50は、地物データの各対象物の三次元座標系の位置データを含むことができる。
【0024】
三次元経路データ50は、予定されている輸送経路52に沿って地物の計測を行う移動式の測定装置により作成することができる。移動式の測定装置としては、例えば、計測器42を備える車両型のMMS40やドローンのような無人航空機などを採用することができる。MMS40は、市販されている公知のモービル・マッピング・システムを用いることができる。計測器42は、例えば、MMS40の位置データを得るためのGNSS(Global navigation Satellite System)受信機、IMU(Inertial Measurement Unit)、オドメータなど、3次元
点群データを得るためのレーザースキャナ、地物の画像を撮影するカメラなどを含む。レーザースキャナは、レーザ光を用いたリモートセンシング技術であるLIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)技術が適用できる。また、三次元経路データ50は、MMS40だけでなく、例えば人手による測量結果やインターネット上で提供される公知の地図情報を取り込んでもよい。
【0025】
図3及び図4に示すように、第1車両モデル65及び第2車両モデル66は、ブレード64の輸送時における実際の車両の形態に基づいて作成される三次元データである。第1車両モデル65及び第2車両モデル66は、実際の車両60及びブレード64の大きさ及び形状を反映したものが好ましいが、処理速度向上のために、例えば、実際のサイズより例えば50cm~100cm程度大きくした形状としてもよいし、最大幅、最大長、最大高さが反映された箱型モデルであってもよい。このように第1車両モデル65及び第2車両モデル66が実際のサイズより大きいことにより、処理速度向上の他に地物データと実際の地物とに差があった場合にも実際の輸送では干渉を回避できるからである。第1車両モデル65及び第2車両モデル66は、例えば、運転手が乗る牽引車61とブレード64が載せられる被牽引車62を備えるトレーラー型の車両60と、被牽引車62上に設置された駆動機構63と、駆動機構63に起伏可能及び水平旋回可能に支持されたブレード64と、が含まれる。ここで、「起伏」動作はブレード64を伏した状態の最少起立角度(θ=0度)から最大起立角度θまでの間で所定角度ずつブレード64が起立する動作である。また、「水平旋回」動作とは、ブレード64の端部を支持する部分が鉛直軸を中心に最大水平旋回角度γの範囲内で回転して、ブレード64の自由端が水平面内を所定角度ずつ旋回する動作である。第1車両モデル65とブレード64の角度が異なる複数の形態の第2車両モデル66を別のモデルとして用意してもよい。また、第1車両モデル65と第2車両モデル66は、単にブレード64の状態が異なるだけなので、ブレード64の起立角度θ及び水平旋回角度γを変化可能な第1車両モデル65を用いて第2車両モデル66としてもよい。駆動機構63は、ブレード64を支持し、かつ、ブレード64が略水平方向に延びる伏した状態からブレード64が例えば水平面に対して例えば60度に起立させた状態に変更する駆動部とブレード64の自由端が水平に例えば左右に30度ずつ旋回させた状態に変更する駆動部とを備える。起立角度θ及び水平旋回角度γや起立支点及び水平旋回支点などは実際の車両60に合わせて設定される。風車のタワーも長尺部材であるが、一般に輸送可能な程度の長さに切り分けられて輸送されるため、駆動機構63を用いて輸送されることはない。これに対し、ブレード64は切断できないため、ブレード64を伏したままではタワーに比べて干渉範囲が広いため、駆動機構63や干渉範囲の伐採などの対策が必要になるのである。
【0026】
移動処理部22は、図2に示すような三次元経路データ50における輸送経路52に沿って、図3に示すような第1車両モデル65を移動させる処理を実行する。また、移動処理部22は、図4に示すような水平旋回変形後または起立変形後の第2車両モデル66に対して移動処理を実行することができる。移動処理部22は、例えば操作部32からの入力操作によって、取得部21で取得した三次元経路データ50内の輸送経路52の三次元座標値に沿って第1車両モデル65または第2車両モデル66を移動させ、実際の輸送を想定してシミュレートすることができる。そのため、第1車両モデル65及び第2車両モデル66は、車両60のタイヤも実際の車両60に近い操作が可能であることが好ましく、牽引車61と被牽引車62も実際の車両60に近い操作が可能であることが好ましい。
【0027】
判定部23は、移動処理部22の処理において三次元経路データ50に含まれる地物データが第1車両モデル65に干渉するか否かを判定する処理を実行する。また、判定部23は、水平旋回変形後または起立変形後の第2車両モデル66に対して判定処理を実行することができる。輸送経路52に沿って第1車両モデル65または第2車両モデル66を移動させると例えば山道のカーブにおいてブレード64が大きく旋回することにより、地
物データ例えば法面54や樹木56に第1車両モデル65または第2車両モデル66の特にブレード64が接触する箇所がある。その場合、判定部23は、「干渉する」と判定し、同時に干渉すると判定した輸送経路52における当該一部経路を出力することができる。また、判定部23で「干渉する」と判定された場合には、移動処理部22及び判定部23おいてさらに変形後の第2車両モデル66を用いて干渉するか否かを判定することができる。逆に判定部23で「干渉しない」と判定された場合には、第1車両モデル65を第2車両モデル66に変更するまでもなく輸送経路52に沿って走行可能であると判断できる。なお、例えば、風車のタワーを輸送する場合にもブレード64と同様に伏した状態で輸送するため、タワーを輸送する車両モデルを三次元化すれば第1車両モデル65のように輸送経路52における地物データとの干渉を判断することができる。そして、タワーが干渉する場合には干渉範囲の地物を除去してもよいし、タワーを切断して短くするなどの対応が可能である。
【0028】
範囲算出部24は、判定部23の処理における干渉する範囲を算出する処理を実行する。範囲算出部24は、第1車両モデル65が地物データに干渉する範囲を算出することができる。範囲算出部24は、水平旋回後または起立変形後の第2車両モデル66が地物データに干渉する範囲を算出することができる。算出した範囲は、後述する出力制御部26により記憶部30、表示部34または外部の装置等に出力できる。第1車両モデル65または第2車両モデル66を移動させて判定部23で干渉すると判定された場合には、干渉する範囲の実際の地物に対して走行可能な程度まで変更を加えることが好ましい。範囲算出部24が干渉する範囲を算出することにより、ブレード64を実際に輸送する前に車両60及びブレード64と干渉する地物の範囲を明確にすることができる。これにより輸送作業を行う者の経験に頼らずに道路の拡幅や樹木56の伐採の計画を的確に立案することができる。このような計画立案は、輸送作業を行う者への支援となる。そして、輸送作業を行う者への支援が、輸送の際に突然の干渉回避作業を減少させることになり、結果として作業効率を向上することができる。
【0029】
範囲算出部24が算出した干渉する範囲は、例えば、道路を拡幅する範囲及び/または樹木56を伐採する範囲である。道路を拡幅することによりブレード64と地物に接触しないように車両60を走行できるようになり、また、樹木56を伐採することによりブレード64と樹木56との接触を回避できる。
【0030】
出力制御部26は、例えば、記憶部30、表示部34または外部の装置に干渉する範囲を出力できる。出力制御部26は、範囲算出部24で算出された干渉する範囲を例えば表示部34に出力する。図5に示すように、表示部34は、干渉する範囲(伐採範囲58、拡幅範囲59)を表示してもよい。干渉する範囲を地図データ57と共に表示部34に表示することにより、輸送作業を行う者が干渉する範囲を把握しやすい。また、出力制御部26から出力された干渉する範囲を三次元経路データ50に重ねて表示部34に表示することができ、また、干渉する範囲を横断図や縦断図として表示部34に表示してもよい。また、このような出力情報は紙媒体に印刷してもよい。干渉する範囲を出力することにより、例えば、施工計画を住民や地物などの管理者(国、自治体)にわかりやすく説明することができ、横断図や縦断図などは追加工事の設計などに利用することができる。出力制御部26は、外部の、例えば携帯端末46やカーナビゲーションシステムなどに干渉する範囲を出力してもよい。表示部34及び携帯端末46などの表示装置は、輸送経路52上に上記でシミュレートした車両60の走行ルートを曲線として表示してもよい。表示部34及び携帯端末46などに表示された走行ルートを見ながら車両60の運転手が輸送作業を行ってもよい。
【0031】
探索処理部27は、移動処理部22及び判定部23と共に、ブレード64を水平旋回及び/または起立させてブレード64が地物データに変形後の第2車両モデル66が干渉し
ない水平旋回角度γ及び/または起立角度θを探索する。探索処理部27は、ブレード64を少なくとも水平に旋回させて車両モデル(第1車両モデル65及び第2車両モデル66)の形態を変形させる。探索処理部27は、判定部23において地物データが第1車両モデル65に干渉すると判定する場合に、ブレード64を水平に所定角度旋回させて第1車両モデル65を第2車両モデル66に変形させる処理を実行する。また、探索処理部27は、ブレード64を所定角度旋回させた第2車両モデル66が地物データに干渉すると判定部23が判定する場合に、さらにブレード64を水平に所定角度旋回させて第2車両モデル66を変形させる処理を実行することができる。探索処理部27は、例えば、この処理を繰り返し実行してもよい。所定角度は、例えば5度に設定することができ、ブレード64を伏した状態(初期位置であり、例えば水平旋回角度0度、起立角度0度)から所定角度旋回する処理を複数回繰り返して、最大水平旋回角度γまで全ての角度に変更できる。
【0032】
探索処理部27は、ブレード64を伏した状態から起立した状態で積載する第2車両モデル66に変形する起立変形処理を実行してもよい。起立変形処理は、所定角度ごとに複数回繰り返すことができる。所定角度は、例えば5度に設定することができ、ブレード64を伏した状態(初期位置であり、例えば水平旋回角度0度、起立角度0度)から所定角度起立する処理を複数回繰り返して、最大起立角度θまで全ての角度に変更できる。ブレード64を起立させると風などの影響を受けやすいため、安定した輸送のためには、なるべくブレード64は伏した状態に近い方が好ましい。そのため、探索処理部27は、起立変形処理よりも水平旋回処理を優先することが好ましい。
【0033】
また、探索処理部27は、さらにブレード64を軸回転する処理を実行してもよい。軸回転処理は、ブレード64の長手方向に沿って延びる仮想回転軸を中心に回転させる処理である。例えばブレード64がわずかに地物データに干渉する場合にブレード64を軸回転することにより、干渉を回避することができる。
【0034】
表示部34は、出力制御部26で説明した表示の他に、例えば、第2車両モデル66を移動させる開始点53aと終了点53bとを地図データ上に表示することができる。開始点53a及び終了点53bは、移動処理部22において輸送経路52の一部に沿って第2車両モデル66を移動させた移動開始点と移動終了点である。開始点53a及び終了点53bを地図データ57上に表示することにより、輸送作業を行う者がブレード64の水平旋回作業及び/または起立作業を開始する場所と、ブレード64を元に戻す場所または他の角度に変形する場所を明確に認識することができ、輸送速度が向上する。例えば、輸送作業の前に表示部34などに表示された開始点53aと終了点53bに合わせて実際の輸送経路上に三角コーンなどの目印や警備員を配置することで輸送作業を円滑化できる。また、開始点53a及び終了点53bを明確化することにより、不要な範囲まで拡幅したり伐採したりすることを防止できるので、費用削減の効果もある。
【0035】
2.風車の輸送支援方法
本実施形態に係る風車の輸送支援方法は、風力発電設備の風車に用いるブレードを輸送する輸送経路に沿った三次元経路データと、前記ブレードを輸送する車両と当該車両に積載された前記ブレードとを含む三次元データの車両モデルと、を取得し、前記三次元経路データにおける前記輸送経路に沿って前記車両モデルを移動させて、前記三次元経路データに含まれる地物データが前記車両モデルに干渉するか否かを判定する第1判定処理を実行し、前記第1判定処理において前記地物データが前記車両モデルに干渉すると判定された場合に、前記ブレードを水平旋回させると共に起立させて前記ブレードが最も小さい起立角度で前記地物データに変形後の前記車両モデルが干渉しない水平旋回角度及び起立角度を探索し、探索した結果、全ての水平旋回角度及び起立角度に変形した前記車両モデルに前記地物データが干渉すると判定された場合に、前記地物データにおける干渉する範囲
を算出することを特徴とする。
【0036】
図6のフローチャートに従って、図1図5で説明した輸送支援装置10を用いた風車の輸送支援方法の一例について説明する。図6は、本実施形態に係る風車の輸送支援方法のフローチャートである。
【0037】
図6に示すように、風車の輸送支援方法(以下、単に「輸送支援方法」という)は、データ等を取得する工程(S10)、第1車両モデル65を移動する工程(S20)、干渉を判定する第1判定処理(S30)、及び探索シミュレーション(S40)を含む。輸送支援方法は、さらに、図6に示すように、干渉する範囲を算出する工程(S32)、出力する工程(S34)、及び出力する工程(S70)を含んでもよい。輸送支援方法は、例えば記憶部30に保存されたプログラムを処理部20が実行することでS10~S70を実行することができ、外部から通信インターフェースを介して受信したプログラムに従って実行してもよい。輸送支援方法は、例えば、長い輸送経路52を複数の区間に分けて各区間に対して実行することができる。
【0038】
S10:データ等を取得する工程は、輸送支援装置10における処理部20の取得部21が風力発電設備の風車に用いるブレード64を輸送する輸送経路52(例えば図5に示した輸送経路52の1区間)に沿った三次元経路データ50と、ブレード64を輸送する車両60と当該車両60に積載されたブレード64とを含む三次元データの第1車両モデル65及び第2車両モデル66と、を例えば記憶部30及びMMS40から取得する工程である。それぞれの三次元データを取得することで輸送作業のシミュレーションを実行できるようになる。
【0039】
S20:第1車両モデル65を移動する工程は、例えば移動処理部22において、取得部21が取得した三次元経路データ50における輸送経路52に沿って取得部21が取得した第1車両モデル65を移動させる工程である。この工程によって、第1車両モデル65を三次元経路データ50と同じ三次元座標系に配置させて、第1車両モデル65の走行をシミュレートすることができる。この工程によれば、輸送作業者の経験にあまり影響されない。
【0040】
S30:干渉を判定する工程は、S20における第1車両モデル65の移動の際に、例えば判定部23において、三次元経路データ50に含まれる地物データ(法面54及び樹木56など)が第1車両モデル65に干渉するか否かを判定する第1判定処理(S30)を実行する工程である。S30において、地物データが第1車両モデル65と干渉する(YES)と判定した場合は、S40を実行する。干渉すると判定された輸送経路52の一部は、第1車両モデル65のままでは走行できない範囲である。また、S30において、地物データが第1車両モデル65と干渉しない(NO)と判定した場合は処理を終了する。S20とS30とを繰り返すことにより輸送経路52において第1車両モデル65が地物と干渉する範囲が最も少ない走行ルートを求めてもよい。S30は、S20の実行中に処理してもよい。
【0041】
S32:干渉する範囲を算出する工程は、S30で地物データが第1車両モデル65に干渉する(YES)と判定された場合に、範囲算出部24が地物データにおける第1車両モデル65に干渉する範囲を算出する工程である。前述したタワーように水平旋回機構や起伏機構を用いない車両による輸送では、S32で算出された範囲に対して伐採や道路の拡幅を行えばよい。S32は、S30の実行中に処理してもよい。
【0042】
S34:出力する工程は、出力制御部26が範囲算出部24で算出された干渉する範囲を例えば表示部34、携帯端末46及び図示しない印刷装置に出力する工程である。S3
4における出力情報としては、三次元データでもよいし、これを利用した地図などの二次元データでもよい。S34で出力された範囲を例えば風車設置のための住民説明会などに利用することができる。また、S34で出力された範囲を図6の全ての処理が終了した後で作業者が検証作業をしてもよく、その際に例えば樹木56を僅かに伐採するだけで干渉を回避できそうだと判断すれば干渉を避けるように地物データを変更してもよい。
【0043】
S40:探索シミュレーション工程は、第1判定処理(S30)において地物データが第1車両モデル65に干渉すると判定された場合(YES)に、探索処理部27がブレード64を水平旋回させると共に起立させてブレード64が最も小さい起立角度θで地物データに変形後の第2車両モデル66が干渉しない水平旋回角度γ及び起立角度θを探索する工程である。起立角度θが大きくなると実際の車両60の安定性が低下するため、なるべく小さい起立角度θで干渉を回避することが好ましい。そのため、水平旋回角度γを変化させることを優先して、起立角度θを0度から順に大きく変化させて、所定起立角度θごとに水平旋回させて干渉しない角度を探索することが好ましい。また、探索処理部27は、例えば、全ての水平旋回角度γ及び起立角度θの組み合わせに変化させた第2車両モデル66を移動してブレード64が地物データに干渉しない角度の組み合わせを探索してもよい。
【0044】
さらに、探索シミュレーション(S40)は、探索した結果、全ての水平旋回角度γ及び起立角度θに変形した第2車両モデル66に地物データが干渉すると判定部23に判定された場合に、範囲算出部24が地物データにおける干渉する範囲(図5の例では樹木56の伐採範囲58及び道路の拡幅範囲59)を算出する。
【0045】
本実施形態に係る輸送支援方法によれば、ブレード64を実際に輸送する前に車両60及びブレード64と干渉する地物の範囲を明確にすることができるため、輸送作業を行う者の経験に頼らずに道路の拡幅や樹木56の伐採の計画を立案できる。そのため、本実施形態の輸送支援方法によれば、輸送作業を行う者を支援して、作業効率を向上することができる。
【0046】
S70:出力する工程は、出力制御部26がS40で算出された範囲を二次元の地図、三次元経路及び設計図などに反映した上で、例えば表示部34、携帯端末46及び図示しない印刷装置に出力する工程である。また、出力する工程(S70)は、S40で算出された干渉しない角度の組み合わせを出力制御部26が表示部34に出力し、さらにS40で算出された範囲に当該角度の組み合わせで第2車両モデル66を走らせるシミュレーションを動画で表示してもよい。
【0047】
3.変形例1
変形例1に係る風車の輸送支援方法の一態様は、風力発電設備の風車に用いるブレードを輸送する輸送経路に沿った三次元経路データと、前記ブレードを輸送する車両と当該車両に積載された前記ブレードとを含む三次元データの車両モデルと、を取得し、前記三次元経路データにおける前記輸送経路に沿って前記車両モデルを移動させて、前記三次元経路データに含まれる地物データが前記車両モデルに干渉するか否かを判定する第1判定処理を実行し、前記第1判定処理において前記地物データが前記車両モデルに干渉すると判定された場合に、前記ブレードを水平に所定角度旋回させた前記車両モデルに変形する水平変形処理を実行し、前記三次元経路データにおける前記輸送経路に沿って変形後の前記車両モデルを移動させて、前記三次元経路データに含まれる前記地物データが変形後の前記車両モデルに干渉するか否かを判定する第2判定処理を実行し、全ての角度に前記ブレードを水平旋回するまで、または、前記地物データが変形後の前記車両モデルに干渉しなくなるまで、前記水平変形処理と前記第2判定処理を繰り返し実行し、前記第2判定処理において前記地物データが変形後の前記車両モデルに干渉しないと判定される場合に、干
渉しないと判定された水平旋回角度を算出し、前記第2判定処理において前記地物データが変形後の前記車両モデルに干渉すると判定される場合に、前記地物データにおける干渉する範囲を算出することを特徴とする。なお、ここでは起立変形処理をさらに含む例について説明する。
【0048】
図6及び図7を用いて変形例1に係る輸送支援方法について説明する。図7は、変形例1に係る探索シミュレーション(S40)のフローチャートである。変形例1に係る輸送支援方法は、図1の輸送支援装置10を用いるため、重複する説明は省略する。
【0049】
変形例1に係る輸送支援方法は、S40を除いて、図6を用いて説明した輸送支援方法と同じであるため、重複する説明は省略する。
【0050】
図7に示すように、変形例1に係る輸送支援方法は、探索シミュレーション(S40)としてS41~S51を実行する。
【0051】
S41:探索処理部27は、第1判定処理(S30)において地物データが第1車両モデル65に干渉すると判定部23に判定された場合(YES)に、ブレード64を水平に所定角度旋回させた第2車両モデル66に変形する水平変形処理を実行する。また、探索処理部27は、後述するS44において判定結果がNOの場合とS48において判定結果がYESの場合に、第2車両モデル66のブレード64をさらに所定角度旋回させた第2車両モデル66に変形する水平変形処理(S41)を実行する。水平変形処理(S41)は、当該変形前の第2車両モデル66をさらに所定角度旋回させた形態の第2車両モデル66に置き換えることも含む。
【0052】
S42:移動処理部22は、三次元経路データ50における輸送経路52に沿って変形後の第2車両モデル66を移動させる処理を実行する。輸送経路52は、当該経路に沿って複数の区分に分割され、それぞれの区分で探索シミュレーション(S40)が実行されることが好ましい。
【0053】
S43:判定部23は、S42における移動に際して、三次元経路データ50に含まれる地物データがS41における変形後の第2車両モデル66に干渉するか否かを判定する第2判定処理を実行する。判定部23が干渉する(YES)と判定すればS44を実行し、判定部23が干渉しない(NO)と判定すればS50を実行する。S43は、S30で第1車両モデル65が干渉する(YES)と判定された輸送経路52の全ての区間についてそれぞれ判定を実行する。
【0054】
S44:判定部23は、S43において第2車両モデル66で変更可能な全ての水平旋回角度γについて干渉の有無を確認したかを判定する処理を実行する。S44において判定部23が確認した(YES)と判定すればS45を実行する。また、S44において判定部23がまだ確認していない水平旋回角度γがある(NO)と判定すれば全ての角度にブレード64を水平旋回するまで、または、地物データが変形後の第2車両モデル66に干渉しなくなるまで、水平変形処理(S41)、移動処理(S42)及び第2判定処理(S43)を繰り返し実行する。変形例1においては、第2車両モデル66が起立変形可能であるため、S45~S48を実行する例について説明するが、起立変形できない第2車両モデル66の場合にはS45~S48を省略してもよい。その場合、S44がYESであれば、S49を実行する。
【0055】
S45:判定部23は、S41~S44において第2車両モデル66で変更可能な全ての起立角度θについて干渉の有無を確認したかを判定する処理を実行する。S45において判定部23が確認した(YES)と判定すればS49を実行する。また、S45におい
て判定部23がまだ確認していない起立角度θがある(NO)と判定すればS46を実行することができる。処理部20は、全ての角度にブレード64を起立する(S46)まで、または、地物データが変形後の第2車両モデル66に干渉しなくなる(S43)まで、水平変形処理(S41)に戻って各処理(S41~S45)を繰り返し実行する。
【0056】
S46:探索処理部27は、全ての角度にブレード64を水平旋回しても地物データが変形後の第2車両モデル66に干渉する場合(S44でYES)に、ブレード64を所定角度起立させた第2車両モデル66に変形する起立変形処理を実行する。起立角度θの変更は、ブレード64を伏した状態(θ=0度)から所定角度ずつ徐々に大きい起立角度θに変化することが好ましい。輸送のためにはなるべく小さい起立角度θであることが現実の車両60の走行安定性のために好ましいからである。起立変形処理S46は、当該変形前の第2車両モデル66をさらに所定角度起立させた形態の第2車両モデル66に置き換えることも含む。
【0057】
S47:移動処理部22は、三次元経路データ50における輸送経路52に沿って起立変形後の第2車両モデル66を移動させる処理を実行する。移動させる処理(S47)は、S43で干渉するとされた輸送経路52の一部に対して実行してもよい。
【0058】
S48:判定部23は、三次元経路データ50に含まれる地物データが起立変形後の第2車両モデル66に干渉するか否かを判定する第3判定処理を実行する。第3判定処理(S48)において地物データが起立変形後の第2車両モデル66に干渉すると判定する場合(YES)に、当該起立角度θで全ての角度にブレード64を水平旋回する(S44でYES)まで、または、当該起立角度θで地物データが水平変形後の第2車両モデル66に干渉しなくなる(S43でYES)まで、水平変形処理(S41)、移動処理(S42)及び第2判定処理(S43)を繰り返し実行する。第3判定処理(S48)でNOの場合は、S50を実行する。
【0059】
S49:範囲算出部24は、第2判定処理(S43)において地物データが変形後の第2車両モデル66に干渉すると判定される場合(YES)に、地物データにおける干渉する範囲を算出する処理を実行する。本実施形態では起立変形が可能であるので、干渉する範囲を算出する工程(S49)は、少なくとも全ての起立角度θにおいて第2判定処理(S43)及び第3判定処理(S48)を実行して干渉すると判定された場合(YES)に実行することができる。すなわち、S45がYESの場合にS49を実行する。この結果を受けた作業者は、S43で算出された範囲に対して伐採や道路の拡幅を行えばよい。
【0060】
S50:角度算出部25は、第2判定処理(S43)において地物データが変形後の第2車両モデル66に干渉しないと判定される場合(NO)に、干渉しないと判定された水平旋回角度γを算出する処理を実行する。また、本実施形態では起立変形可能であるので、水平旋回角度γを算出する工程(S50)は、第3判定処理(S48)において地物データが変形後の第2車両モデル66に干渉しないと判定される場合(NO)に、干渉しないと判定された少なくとも干渉しないと判定された起立角度θ及び水平旋回角度γを角度算出部25が算出する処理を実行することができる。一方で、S50においてS45がYESの場合、S49で算出される範囲(例えば最も範囲が狭くなる場合)に対応する起立角度θ及び水平旋回角度γの組み合わせを角度算出部25が算出する処理を実行してもよい。
【0061】
S51:記憶部30は、S41~S50のシミュレーション結果を記憶して、変形例1の探索シミュレーションS40を終了することができる。
【0062】
変形例1の輸送支援方法によれば、ブレード64を実際に輸送する前に車両60及びブ
レード64と干渉する地物の範囲を明確にすることができるため、輸送作業を行う者の経験に頼らずに道路の拡幅や樹木56の伐採の計画を立案できる。そのため、変形例1の輸送支援方法によれば、輸送作業を行う者を支援して、作業効率を向上することができる。
【0063】
4.変形例2
本実施形態に係る風車の輸送支援方法の一態様は、風力発電設備の風車に用いるブレードを輸送する輸送経路に沿った三次元経路データと、前記ブレードを輸送する車両と当該車両に積載された前記ブレードとを含む三次元データの車両モデルと、を取得し、前記三次元経路データにおける前記輸送経路に沿って前記車両モデルを移動させて、前記三次元経路データに含まれる地物データが前記車両モデルに干渉するか否かを判定する第1判定処理を実行し、前記第1判定処理において前記地物データが前記車両モデルに干渉すると判定された場合に、前記ブレードを所定角度起立させた前記車両モデルに変形する起立変形処理を実行し、前記三次元経路データにおける前記輸送経路に沿って起立変形後の前記車両モデルを移動させて、前記三次元経路データに含まれる前記地物データが起立変形後の前記車両モデルに干渉するか否かを判定する第2判定処理を実行し、全ての角度に前記ブレードを起立するまで、または、前記地物データが変形後の車両モデルに干渉しなくなるまで、前記起立変形処理に戻って各処理を繰り返し実行し、全ての起立角度において前記地物データが前記車両モデルに干渉すると判定された場合に、前記ブレードを水平に所定角度旋回させた前記車両モデルに変形する水平変形処理を実行し、前記三次元経路データにおける前記輸送経路に沿って水平変形後の前記車両モデルを移動させて、前記三次元経路データに含まれる前記地物データが水平変形後の前記車両モデルに干渉するか否かを判定する第3判定処理を実行し、全ての角度に前記ブレードを水平旋回するまで、または、当該水平旋回角度で前記地物データが変形後の前記車両モデルに干渉しなくなるまで、前記起立変形処理に戻って各処理を繰り返し実行し、少なくとも前記第2判定処理または前記第3判定処理においてに干渉しないと判定された起立角度及び水平旋回角度を算出し、少なくとも全ての起立角度において前記第2判定処理及び前記第3判定処理を実行して干渉すると判定された場合に、前記地物データにおける干渉する範囲を算出することを特徴とする。
【0064】
図6及び図8を用いて変形例2に係る輸送支援方法について説明する。図8は、変形例2に係る探索シミュレーション(S40)のフローチャートである。変形例2に係る輸送支援方法は、図1の輸送支援装置10を用いるため、重複する説明は省略する。
【0065】
変形例2に係る輸送支援方法は、S40を除いて、図6を用いて説明した輸送支援方法と同じであるため、重複する説明は省略する。
【0066】
図8に示すように、変形例2に係る輸送支援方法は、探索シミュレーション(S40)としてS61~S69及びS50,51を実行する。
【0067】
S61:探索処理部27は、第1判定処理(S30)において地物データが第1車両モデル65に干渉すると判定された場合(YES)に、ブレード64を所定角度起立させた第2車両モデル66に変形する起立変形処理を実行する。
【0068】
S62:移動処理部22は、三次元経路データ50における輸送経路52に沿って起立変形後の第2車両モデル66を移動させる処理を実行する。
【0069】
S63:判定部23は、三次元経路データ50に含まれる地物データが起立変形後の第2車両モデル66に干渉するか否かを判定する第2判定処理を実行する。判定部23が干渉する(YES)と判定すればS64を実行し、判定部23が干渉しない(NO)と判定すればS50を実行する。S63は、S30で第1車両モデル65が干渉する(YES)
と判定された輸送経路52の全ての区間についてそれぞれ判定を実行する。
【0070】
S64:探索処理部27は、全ての起立角度θについて干渉の有無を確認したかを判定する。判定部23が確認したと判定した場合(YES)にS65を実行し、まだ確認していない起立角度θがあると判定した場合(NO)にS61に戻ってS61を実行する。処理部20は、全ての角度にブレード64を起立するまで、または、地物データが変形後の第2車両モデル66に干渉しなくなるまで、起立変形処理(S61)に戻って各処理(S61~S64)を繰り返し実行する。探索処理部27は、小さい起立角度θから順に所定角度ずつ変形させることが好ましい。小さい起立角度θの方が実際の輸送時の安定性に優れるからである。
【0071】
S65:探索処理部27は、全ての起立角度θにおいて地物データが第2車両モデル66に干渉すると判定された場合(S64でYES)に、ブレード64を水平に所定角度旋回させた第2車両モデル66に変形する水平変形処理を実行する。
【0072】
S66:移動処理部22は、三次元経路データ50における輸送経路52に沿って水平変形後の第2車両モデル66を移動させる処理を実行する。
【0073】
S67:判定部23は、三次元経路データ50に含まれる地物データが水平変形後の第2車両モデル66に干渉するか否かを判定する第3判定処理を実行する。判定部23が干渉すると判定した場合(YES)にS68を実行し、干渉しないと判定した場合(NO)にS50を実行する。
【0074】
S68:探索処理部27は、全ての水平旋回角度γについて干渉の有無を確認したかを判定する。判定部23が確認したと判定した場合(YES)にS69を実行し、まだ確認していない水平旋回角度γがあると判定した場合(NO)にS61に戻ってS61を実行する。処理部20は、全ての角度にブレード64を水平旋回するまで、または、当該水平旋回角度で地物データが変形後の第2車両モデル66に干渉しなくなるまで、起立変形処理(S61)に戻って各処理(S61~S68)を繰り返し実行する。探索処理部27は、S63及びS67においてNOと判定された場合でも、全ての起立角度θ及び全ての水平旋回角度γについて干渉の有無を判定してもよい。そして、角度算出部25は、干渉が無いとされた角度の組み合わせの中から好ましい組み合わせ、例えば最も小さい起立角度θで干渉が回避できる水平旋回角度γを算出してもよい。
【0075】
S69:範囲算出部24は、少なくとも全ての起立角度θにおいて第2判定処理(S63)及び第3判定処理(S67)を実行して干渉すると判定された場合(YES)に、地物データにおける干渉する範囲を算出する処理を実行する。
【0076】
S50:角度算出部25は、少なくともS63またはS67において地物データが変更後の第2車両モデル66に干渉しないと判定された起立角度θ及び水平旋回角度γを算出する処理を実行する。
【0077】
S51:記憶部30は、S61~S69、S50,51のシミュレーション結果を記憶して、変形例2の探索シミュレーションS40を終了することができる。
【0078】
変形例2の輸送支援方法によれば、ブレード64を実際に輸送する前に車両60及びブレード64と干渉する地物の範囲を明確にすることができるため、輸送作業を行う者の経験に頼らずに道路の拡幅や樹木56の伐採の計画を立案できる。そのため、変形例2の輸送支援方法によれば、輸送作業を行う者を支援して、作業効率を向上することができる。
【0079】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0080】
10…輸送支援装置、20…処理部、21…取得部、22…移動処理部、23…判定部、24…範囲算出部、25…角度算出部、26…出力制御部、27…探索処理部、30…記憶部、32…操作部、34…表示部、40…MMS、42…計測器、46…携帯端末、50…三次元経路データ、52…輸送経路、53a…開始点、53b…終了点、54…法面、56…樹木、57…地図データ、58…伐採範囲、59…拡幅範囲、60…車両、61…牽引車、62…被牽引車、63…駆動機構、64…ブレード、65…第1車両モデル、66…第2車両モデル、θ…起立角度、γ…水平旋回角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8