(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173172
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】アンダーカバーの固定構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B62D25/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091407
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】596002767
【氏名又は名称】トヨタ自動車九州株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 亮成
(72)【発明者】
【氏名】松本 邦広
(72)【発明者】
【氏名】榎田 奨
(72)【発明者】
【氏名】松本 崇紀
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203BB03
3D203CB09
3D203CB10
3D203CB28
(57)【要約】
【課題】アンダーカバーの中央部分に新たに固定部を設けて走行中のアンダーカバーの振動を低減することができ、さらに、固定対象となる組付け部品の周辺部品の破損を防止することが可能なアンダーカバーの締結構造を提供する。
【解決手段】自動車の車体の下部を覆うアンダーカバーを組付け部品に固定するアンダーカバーの固定構造であって、前記組付け部品及び前記アンダーカバーのいずれか一方側から突出し、先端部に前記組付け部品及び前記アンダーカバーのいずれか他方側に対して固定される固定面部を有する固定用突出部を備え、前記固定用突出部は、前記組付け部品及び前記アンダーカバーのいずれか一方側に固定される基部と、前記基部と前記固定面部とをつなぐ脆弱部と、を有することにより課題を解決した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体の下部を覆うアンダーカバーを組付け部品に固定するアンダーカバーの固定構造であって、
前記組付け部品及び前記アンダーカバーのいずれか一方側から突出し、先端部に前記組付け部品及び前記アンダーカバーのいずれか他方側に対して固定される固定面部を有する固定用突出部を備え、
前記固定用突出部は、
前記組付け部品及び前記アンダーカバーのいずれか一方側に固定される基部と、
前記基部と前記固定面部とをつなぐ脆弱部と、を有する
ことを特徴とするアンダーカバーの固定構造。
【請求項2】
前記脆弱部は、一端側を前記基部につなげるとともに他端側を前記固定面部につなげるとともに前記基部側の部分に対して前記固定面部側の部分を屈曲させた屈曲形状を有する複数の板状の部分を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のアンダーカバーの固定構造。
【請求項3】
前記固定用突出部は、前記固定面部及び前記基部のいずれか一方を、前記固定用突出部の突出方向視での外形を前記固定面部及び前記基部のいずれか他方より小さいものとし、全体的に略テーパー形状に形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のアンダーカバーの固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車の車体の下部に設けられるアンダーカバーの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の下部には、車体の下部を覆うように略扁平状のアンダーカバーが設けられている。このアンダーカバーには、車体の下部を覆うことで車体下方を流通する空気の抵抗を低減し空力性能を高める効果や、静粛性を高める効果がある。
【0003】
アンダーカバーの取り付けの構成として、剛性の高く安定した固定が行えるフロントバンパーとサスペンションフレームにアンダーカバーを締結する構成が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、走行中の車両が前面から受ける空気は、自動車のフロントバンパーにより、自動車の上面に沿って流れるものと、自動車の下方に流れるものとに分離される。フロントバンパーにより分離され自動車の下方へ流れる空気は、分離時の応力と相まって上下方向に渦巻状の気流となる。その渦巻状の気流の空気は、車体の下部を流通する際に、アンダーカバーを上方に押し上げるように断続的に衝突を繰り返していくこととなる。
【0006】
そのため、アンダーカバーは、自動車の下方を流通する空気によって振動し、その振動が自動車内部に伝導して、乗車した人に騒音として感知されてしまう。
【0007】
そこで、アンダーカバーの振動を低減するために、アンダーカバーの従来の固定部とは別に、アンダーバーの上方に位置する自動車の組付け部品に固定部を設けることで剛性を高め、振動を低減することが考えられる。
【0008】
具体的には、アンダーカバーの固定を行う自動車の組付け部品として、例えば、アンダーカバーの上方に位置するロアアブソーバーの下面に脚部(構造体)を設け、その脚部にアンダーカバーを固定する構造とすることが考えられる。
【0009】
しかしながら、ロアアブソーバーに対してアンダーカバーを固定した構造によれば、例えばアンダーカバーが地面に衝突した場合など、アンダーカバーに対して下方から比較的大きな外力が入力した場合、ロアアブソーバーが固定部分を介してアンダーカバーと一緒に上方へ突き上げられて、ロアアブソーバーの周辺部分まで破損する虞がある。
【0010】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、走行中のアンダーカバーの振動を低減することができ、さらに、固定対象となる組付け部品の周辺部品の破損を防止することが可能なアンダーカバーの締結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るアンダーカバーの固定構造は、自動車の車体の下部を覆うアンダーカバーを組付け部品に固定するアンダーカバーの固定構造であって、前記組付け部品及び前記アンダーカバーのいずれか一方側から突出し、先端部に前記組付け部品及び前記アンダーカバーのいずれか他方側に対して固定される固定面部を有する固定用突出部を備え、前記固定用突出部は、前記組付け部品及び前記アンダーカバーのいずれか一方側に固定される基部と、前記基部と前記固定面部とをつなぐ脆弱部と、を有するものである。
【0012】
また、本発明に係るアンダーカバーの固定構造の他の態様は、前記脆弱部は、一端側を前記基部につなげるとともに他端側を前記固定面部につなげるとともに、前記基部側の部分に対して前記固定面部側の部分を屈曲させた屈曲形状を有する複数の板状の部分を含むものである。
【0013】
また、本発明に係るアンダーカバーの固定構造の他の態様は、前記固定用突出部は、前記固定面部及び前記基部のいずれか一方を、前記固定用突出部の突出方向視での外形を前記固定面部及び前記基部のいずれか他方より小さいものとし、全体的に略テーパー形状に形成されているものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アンダーカバーの取付け剛性を高めることにより、自動車の下方を流通する空気による振動を低減して自動車の内部の静粛性を高めることができるとともに、アンダーカバーに対して下方から比較的大きな外力が入力した場合でも、外力による部品の破損を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】走行中に自動車のフロントバンパーにより分離する空気の流れについての説明図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るアンダーカバーの固定構造を示す模式的端面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る固定用突出部を示す正面図及び斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る固定用突出部の外力の入力による圧壊状態についての説明図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る固定用突出部を設ける位置についての説明図である。
【
図6】本発明に係る固定用突出部の他の実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、自動車の車体の下部を覆うアンダーカバーの固定構造において、自動車の組付け部品及びアンダーカバーのいずれか一方側から組付け部品及びアンダーカバーのいずれか他方側に突出した固定用突出部によりアンダーカバーを固定することにより、走行時のアンダーカバーの振動を低減させ、自動車の内部の静粛性を高めんとするものである。以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1(a)、(b)に示すように、自動車Vにおいて前・後輪の4つの車輪Wに支持された車体Bの前端部には、車体Bの下部を覆うように略扁平状のアンダーカバー3が設けられている。アンダーカバー3は、車体Bの前部に搭載されたエンジン(図示略)の下側に設けられるものであるため、例えばエンジンアンダーカバー等と称される。
【0018】
自動車Vの走行中には、
図1(a)に示すように、自動車Vのフロントバンパー1に衝突した空気Aは、上下方向に分離する。分離した空気Aのうち、下方に流れる空気は、アンダーカバー3の下方を走行中の自動車Vに対して相対的に後方へ向かって流通することとなる。このとき、アンダーカバーの下方を流通する気流(以下、下方気流aという)は、
図1(b)に示すように、分離時の応力と相まって上下方向に渦巻状の気流となり、その渦巻状の気流の空気がアンダーカバー3を上方に押し上げるように断続的に衝突を繰り返していくこととなる。その振動は、自動車内部に伝導し、騒音として乗車した人に感知される。
【0019】
本実施形態に係るアンダーカバー3の固定構造(以下「アンダーカバー固定構造」という。)は、
図2に示すように、アンダーカバー3を自動車Vの組付け部品であるロアアブソーバー4に固定するものである。アンダーカバー固定構造は、ロアアブソーバー4側から突出した固定用突出部5を備えている。固定用突出部5は、ロアアブソーバー4の下側に設けられており、下方に向けて突出している。固定用突出部5は、ロアアブソーバー4以外にもラジエーターへ風を送るための整流板やクロスメンバー等に設けることが考えられる。
【0020】
固定用突出部5は、全体を合成樹脂で形成されている。固定用突出部5は、具体的な構成として、
図3に示すように、板状の基部51と、基部51と一定の間隔をあけて設けられる板状の固定面部52と、基部51と固定面部52との間をつなぐ複数の屈曲板状の部分である屈曲板部を含む脆弱部53とからなる。固定用突出部5は、
図3(a)に示すような側面視で左右対称または略左右対称な形状を有し、ロアアブソーバー4からの突出方向視(下面視)で車体Bの前後方向に対応する上下方向、及び左右方向の各方向について対称または略対称な形状を有する。
【0021】
また、固定用突出部5は、基部51の上面、すなわち、脆弱部53側と反対側の面を自動車Vの組付け部品でアンダーカバー3の上方に位置する部品であるロアアブソーバー4に固定される。
【0022】
基部51及び固定面部52は、いずれも矩形板状の部分であり、固定面部52は、基部51の下方に位置し、基部51と平行となるように設けられる。また、固定面部52は、矩形状の外形寸法を、基部51の外形寸法よりも小さいものとしている。
【0023】
固定面部52の中央部分には、アンダーカバー3を固定するために用いられるクリップ等の固定具6を挿入するための取付孔521を穿設している。すなわち、アンダーカバー3は、固定面部52の下面に接した状態で固定具6によって固定用突出部5に固定される。
【0024】
脆弱部53は、いずれも矩形板状の基部51及び固定面部52の矩形状の外形における各辺部に対応するように4つ設けられる板状の部分である連結体531により構成されている。連結体531は、基部51の下面の周縁部から垂直に延出する基部側部531aと、基部側部531aの下端に基部51よりも小さい固定面部52の側縁部へ向けて傾斜するように延出する方形状の固定側部531bとからなる。すなわち、基部側部531aと固定側部531bとの連結箇所は、屈曲形状である屈曲部531cを形成している。
【0025】
この屈曲部531cは、垂直に設けられる基部側部531aと基部側部531aから基部51よりも小さい固定面部52に向けて傾斜する固定側部531bとより形成されることから、屈曲部531cの角度θは必ず鈍角に形成される。あくまでも一例であるが、角度θは、160°程度である。
【0026】
また、本実施形態において、連結体531を形成する固定側部531bは、固定面部52の下側縁部と同様の幅員の板状としている。連結体531を構成する基部側部531aは、固定側部531bとの連結箇所となる辺は固定側部531bと同じ幅員とし、基部51との連結箇所となる辺は固定側部531bとの連結箇所となる辺よりも長くなる台形状としている。つまり、基部側部531aは、基部51側(上側)から固定面部52側(下側)にかけて徐々に幅を狭くした台形状(截頭二等辺三角形状)を有する。
【0027】
固定用突出部5は、上述したように、基部51と基部51よりも小さい固定面部52とを脆弱部53によりつないだ構成としていることにより、全体を下方先細りの略テーパー形状としている。また、固定用突出部5は、板状の基部51と固定面部52と脆弱部53とで構成されていることにより、内部に空間54を有している。固定用突出部5の内部の空間54は、隣り合う連結体531間の隙間、及び固定面部52の取付孔521を介して外部と連通している。
【0028】
固定用突出部5は、ロアアブソーバー4とは別体の突出部形成用の部材(以下「突出部形成体」という。)をロアアブソーバー4に取り付けることにより設けられている。突出部形成体は、基部51、固定面部52および脆弱部53を有する一体の部品である。突出部形成体は、基部51の上面(固定面部52側と反対側の面)をロアアブソーバー4に対する固定面とする。ロアアブソーバー4に対する突出部形成体の固定方法としては、突出部形成体の基部51のロアアブソーバー4に対する接地面に両面テープや接着剤や熱溶着等を用いてロアアブソーバー4に固着させることが考えられる。ただし、固定用突出部5は、必ずしもロアアブソーバー4と別体とする必要はなく、樹脂製のロアアブソーバー4の成形時にロアアブソーバー4と一体の部分として形成されるものであってもよい。
【0029】
アンダーカバー3と固定用突出部5との固定方法としては、
図2に示すように、ロアアブソーバー4の下部から突出した固定用突出部5の固定面部52に穿設された取付孔521に向けて下方から挿入される固定具6により行われる。固定具6は、アンダーカバー3に形成された固定用の孔部を貫通するとともに、取付孔521を貫通し、固定面部52をアンダーカバー3に対して係止固定させる。固定具6としては、例えば車両部品の組付けに用いられるリベット状のクリップやボルト等が用いられる。
【0030】
ただし、アンダーカバー3と固定用突出部5との固定方法としては、固定具6による固定を必ずしも行う必要はなく、接着剤や両面テープや熱溶着によって固定されてもよい。また、その場合固定面部52に取付孔521を穿設する必要がないことは云うまでもない。
【0031】
また、アンダーカバー3の車体Bへの基本的な取付けに関しては、固定用突出部5とは別に、自動車Vの進行方向に対して、固定用突出部5の前方には前締結部31を設け、固定用突出部5の後方には後締結部32とを設けることで行われる。
【0032】
本実施形態においては、前締結部31を自動車Vのフロントバンパー1の後端部近傍に設け、後締結部32を自動車Vのラジエーターサポート2の下面に設けている。すなわち、アンダーカバー3は、比較的重量があり剛性の高いフロントバンパー1とラジエーターサポート2とに締結されることで、安定して車体Bの下部に固定される。
【0033】
固定用突出部5によれば、アンダーカバー3を自動車Vの車体Bの下部に安定して固定することができ、また、ロアアブソーバー4とアンダーカバー3との間にある空洞部Sに設け、固定用突出部5にアンダーカバー3を固定させることで、アンダーカバー3の取り付け状態における上下方向に対する剛性を高めることができる。
【0034】
なお、前締結部31は、固定用突出部5よりも自動車Vの進行方向に対して前方に位置し、アンダーカバー3を自動車Vへ安定して固定できればよく、フロントバンパー1に限らずラジエーターへ風を送るための整流板やクロスメンバーに設けられてもよい。
【0035】
また、後締結部32は、固定用突出部5よりも進行方向に対して後方に位置し、前締結部31と同様にアンダーカバー3を自動車Vへ安定して固定できればよく、フロントサスペンションメンバーやさらに後方のフロアに設けられてもよい。
【0036】
本実施形態に係るアンダーカバー固定構造によれば、
図1に示したように、走行中に生起する下方気流aがアンダーカバー3を上方に押し上げるように断続的に衝突を繰り返したとしても、アンダーカバー3が上下に振動すること可及的に防止することができる。本実施形態に係るアンダーカバー固定構造によれば、アンダーカバー3の振動を低減することで、走行中の自動車内部の静粛性を高めることができる。
【0037】
固定用突出部5は、
図4に示すように、内部に空間54を備える構成とすることで、例えば基部51と固定面部52の間が中実の(ソリッドな)部分である構成と比べて、脆弱な部分となる。すなわち、固定用突出部5は、アンダーカバー3が地面に衝突した場合など、アンダーカバー3に対して下方から比較的大きな外力Fが入力した場合に、外力Fにより上下方向に圧壊しやすい部分となる。これにより、アンダーカバー3から固定用突出部5を介したロアアブソーバー4の突き上げを防止することができる。したがって、自動車Vの車体Bの下部が路面や障害物に衝突した際の破損部分を可及的に減らすことができる。
【0038】
また、固定用突出部5は、屈曲部531cを連結体531に備えることで、下方から入力された外力Fにより、より圧壊しやすい構造としている。具体的には、
図4(a)が示すように、下方からの外力Fがアンダーカバー3を押し上げた際に、
図4(b)が示すように、屈曲部531cを起点として、外側に折れ曲がり全体を上下方向に圧壊させることができる。
【0039】
また、固定面部52から延出する連結体531の固定側部531bは傾斜状としていることで、下方からの外力が上方へ真っ直ぐ伝達しないような形状となっており、ロアアブソーバー4と固定された基部51と基部51から延出した連結体531の基部側部531aに作用する力を低減させることができる。
【0040】
固定用突出部5による固定部の配置の例としては、
図2及び
図5に示すように、自動車Vの進行方向に対してロアアブソーバー4の略中央部分(
図5中、上側が自動車Vの進行方向側(前側)として図示している)に設けられ、且つ、ロアアブソーバー4の車幅方向に一定間隔で計6つ設けている。
【0041】
固定用突出部5による固定部を自動車Vの進行方向に対してロアアブソーバー4の略中央部分とすることで、
図2に示すように、アンダーカバー3の前方部をフロントバンパー1と締結し、アンダーカバー3の後方部をラジエーターサポート2と締結した際に、比較的剛性の低いアンダーカバー3の前後中央部分の剛性を高めることができる。
【0042】
ただし、本実施形態において、固定用突出部5は、ロアアブソーバー4の車幅方向に一定間隔で計6つ設けた構成としているが、必ずしも6つの固定用突出部5を設ける必要はなく、本発明のアンダーカバーの固定構造を用いる自動車Vの車幅に適した数が設けられるとよい。
【0043】
また、複数設ける固定用突出部5同士の間隔は、特に限定されず、一定間隔にこだわる必要もない。固定用突出部5は、アンダーカバー3の剛性が弱い部位に設定することが好ましく、例えば車幅方向の寸法に対して1/3程度を目安に設定されることが考えられる。
【0044】
また、本実施形態では、固定用突出部5がロアアブソーバー4の車幅方向に一列に設けられているが、これに限らず前後に互い違いに配置したり、アトランダムに配置したりしてもよい。これも、本発明のアンダーカバーの固定構造を用いる自動車Vの車体Bの下部形状等を鑑みて適した位置に設けられるとよい。
【0045】
ただし、固定用突出部5の設ける位置や個数やそれぞれの間隔は、各自動車Vの車種により最も好ましい値が変動する。そのため、例えば、シミュレーションソフトを用いて、アンダーカバー3の全体剛性が均等になるように設けられることが最も好ましい。
【0046】
また、本実施形態において固定用突出部5は、基部51をロアアブソーバー4、すなわち組付け部品へ予め固定し、他方端部となる固定面部52にアンダーカバー3を取付けるように記載している。ただし、それに限らず、固定用突出部5は、反対に基部51をアンダーカバー3へ予め固定し、他方端部となる固定面部52をロアアブソーバー4に取付けるような構成としてもよい。つまり、固定用突出部5は、アンダーカバー3側から上方に向けて突出し、先端部にロアアブソーバー4側に対して固定される固定面部52を有する部分であってもよい。
【0047】
また、本実施形態に係る固定用突出部5の脆弱部53は、4つの連結体531からなるように構成されている。しかしながら、脆弱部53をなす連結体531の数は限定されない。固定用突出部5においては、走行中の下方気流aによる上下振動を低減させることができるほどの剛性が得られればよく、基部51と固定面部52とを繋ぐ脆弱部53の連結体531が少なくとも1つ以上設けられていればよい。
【0048】
また、本実施形態に係る固定用突出部5は、全体を略テーパー形状とし、連結体531を基部側部531aと固定側部531bとに分けその連結箇所が屈曲状とした屈曲部531cを設けている。しかし、必ずしも固定用突出部5は、このような形態である必要はなく、外力の入力により崩壊する脆弱部53を備えたものであればよい。
【0049】
したがって、固定用突出部5の他の態様としては、
図6に示すように、基部51と固定面部52を略同じ外形寸法を有する部分とするとともに、全体を略立方体形状とし、脆弱部53が基部51と固定面部52とを垂直につなぐ連結体531からなる構成とすることが考えられる。
【0050】
その場合、連結体531は、一定以上の外力の入力によって崩壊する脆弱性を備えるために、連結体531の一部を肉薄にした薄肉部531dを有した構造(
図6(a)に図示)や、連結体531の一部又は全体に断面く字状の崩壊の起点となる崩壊起点部531eを複数有した蛇腹状の構造(
図6(b)に図示)とすることが考えられる。
【0051】
上述した実施形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施形態に限定されることはない。このため、上述した実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。また、上述した各種効果は、本発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0052】
V 自動車
B 車体
W 車輪
A 空気
a 下方気流
S 空洞部
F 外力
1 フロントバンパー
2 ラジエーターサポート
3 アンダーカバー
31 前締結部
32 後締結部
4 ロアアブソーバー
5 固定用突出部
51 基部
52 固定面部
521 取付孔
53 脆弱部
531 連結体
531a 基部側部
531b 固定側部
531c 屈曲部
531d 薄肉部
531e 崩壊起点部
54 空間
6 固定具