(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017318
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】容器処理システム
(51)【国際特許分類】
B65B 3/04 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B65B3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119871
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000222727
【氏名又は名称】PACRAFT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】中川 晃一
【テーマコード(参考)】
3E118
【Fターム(参考)】
3E118AA07
3E118BA01
3E118BA03
3E118BA10
3E118CA10
3E118DA20
3E118EA04
3E118FA20
(57)【要約】
【課題】容器に関する各種処理を簡単且つ効果的に行う容器処理システムを提供する。
【解決手段】容器処理システム70は、容器処理を行う容器処理装置51、71~80と、容器の構成体のうち光反応物質が存在する光反応領域に反応光を照射することで、光反応物質を反応光に反応させて光反応領域を昇温させる光照射装置20と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器処理を行う容器処理装置と、
容器の構成体のうち光反応物質が存在する光反応領域に反応光を照射することで、前記光反応物質を前記反応光に反応させて前記光反応領域を昇温させる光照射装置と、
を備える容器処理システム。
【請求項2】
前記光反応領域は、前記構成体のうちシール処理を受ける予定の箇所を含む
請求項1に記載の容器処理システム。
【請求項3】
前記光反応物質の少なくとも一部は、前記構成体の内部に存在する
請求項1又は2に記載の容器処理システム。
【請求項4】
前記光反応物質は、前記構成体の表面上に存在する
請求項1又は2に記載の容器処理システム。
【請求項5】
前記容器は、袋を含み、
前記容器処理は、前記光反応物質を有するフィルム材を使って、前記袋を製造する処理を含む
請求項1又は2に記載の容器処理システム。
【請求項6】
前記容器処理は、前記容器の口部を介して前記容器の内側スペースに内容物を導入する処理を含み、
前記光反応領域は、前記容器のうち少なくとも前記口部を含み、
前記光照射装置は、前記容器の外側で前記反応光を発する
請求項1又は2に記載の容器処理システム。
【請求項7】
前記容器処理は、前記容器の口部を介して前記容器の内側スペースに内容物を導入する処理を含み、
前記光反応領域は、前記容器のうち少なくとも前記口部を含み、
前記光照射装置は、前記容器の内側で前記反応光を発する
請求項1又は2に記載の容器処理システム。
【請求項8】
前記容器は、容器本体と、前記容器本体に取り付けられる装着物とを含み、
前記容器処理は、前記容器本体に前記装着物を取り付ける処理を含み、
前記光反応領域は、前記容器本体のうち前記装着物が取り付けられる予定の箇所と、前記装着物の少なくとも一部と、のうちの少なくともいずれか一方を含む
請求項1又は2に記載の容器処理システム。
【請求項9】
容器処理を行う容器処理装置と、
容器の構成体のうち光反応物質が存在する光反応領域に反応光を照射することで、前記光反応物質を前記反応光に反応させて前記光反応領域を降温させる光照射装置と、
を備える容器処理システム。
【請求項10】
前記光反応領域は、前記構成体のうちシール処理を受ける予定の箇所を含む
請求項9に記載の容器処理システム。
【請求項11】
前記光反応物質の少なくとも一部は、前記構成体の内部に存在する
請求項9又は10に記載の容器処理システム。
【請求項12】
前記光反応物質は、前記構成体の表面上に存在する
請求項9又は10に記載の容器処理システム。
【請求項13】
前記容器は、袋を含み、
前記容器処理は、前記光反応物質を有するフィルム材を使って、前記袋を製造する処理を含む
請求項9又は10に記載の容器処理システム。
【請求項14】
前記容器処理は、前記容器の口部を介して前記容器の内側スペースに内容物を導入する処理を含み、
前記光反応領域は、前記容器のうち少なくとも前記口部を含む
請求項9又は10に記載の容器処理システム。
【請求項15】
前記容器は、容器本体と、前記容器本体に取り付けられる装着物とを含み、
前記容器処理は、前記容器本体に前記装着物を取り付ける処理を含み、
前記光反応領域は、前記容器本体のうち前記装着物が取り付けられる予定の箇所と、前記装着物の少なくとも一部と、のうちの少なくともいずれか一方を含む
請求項9又は10に記載の容器処理システム。
【請求項16】
容器処理を行う容器処理装置と、
容器の構成体のうち光反応物質が存在する光反応領域に反応光を照射することで、前記光反応物質を前記反応光に反応させて気体が光反応領域を通過し難くさせる光照射装置と、
を備える容器処理システム。
【請求項17】
前記光反応物質が前記反応光と反応することで、前記構成体における通気孔の通気可能な面積が低減する
請求項16に記載の容器処理システム。
【請求項18】
前記光反応物質の少なくとも一部は、前記構成体の内部に存在する
請求項16又は17に記載の容器処理システム。
【請求項19】
前記光反応物質は、前記構成体の表面上に存在する
請求項16又は17に記載の容器処理システム。
【請求項20】
前記容器は、袋を含み、
前記容器処理は、前記光反応物質を有するフィルム材を使って、前記袋を製造する処理を含む
請求項16又は17に記載の容器処理システム。
【請求項21】
前記容器処理は、前記容器の口部を介して前記容器の内側スペースに内容物を導入する処理を含み、
前記光反応領域は、前記容器の外側表面及び内側表面のうち少なくともいずれか一方の領域を含み、
前記光照射装置は、前記容器の外側で前記反応光を発する
請求項16又は17に記載の容器処理システム。
【請求項22】
前記容器処理は、前記容器の口部を介して前記容器の内側スペースに内容物を導入する処理を含み、
前記光反応領域は、前記容器の内側表面を含み、
前記光照射装置は、前記容器の内側で前記反応光を発する
請求項16又は17に記載の容器処理システム。
【請求項23】
容器処理を行う容器処理装置と、
容器の構成体のうち光反応物質が存在する光反応領域に反応光を照射することで、前記光反応物質を前記反応光に反応させて前記光反応物質の色を変化させる光照射装置を備える容器処理システム。
【請求項24】
前記光照射装置は、前記光反応領域に前記反応光を照射することで、前記光反応物質の色を変化させて前記構成体上に文字及び図柄のうち少なくともいずれか一方を表示する
請求項23に記載の容器処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は容器処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
多数の容器を連続的に処理する容器処理システムが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器処理システムでは、容器の各種処理(例えば加熱処理、冷却処理、通気性コントロール処理及び印字処理)を簡単且つ効果的に行うことが求められている。
【0005】
特に、容器処理システムでは様々なタイプの容器に関して様々な容器処理が実行されうるため、汎用性及び応用性に優れたやり方で、容器に関する各種処理が行われることが好ましい。
【0006】
本開示は上述の事情に鑑みてなされたものであり、容器に関する各種処理を簡単且つ効果的に行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、容器処理を行う容器処理装置と、容器の構成体のうち光反応物質が存在する光反応領域に反応光を照射することで、光反応物質を反応光に反応させて光反応領域を昇温させる光照射装置と、を備える容器処理システムに関する。
【0008】
光反応領域は、構成体のうちシール処理を受ける予定の箇所を含んでもよい。
【0009】
光反応物質の少なくとも一部は、構成体の内部に存在してもよい。
【0010】
光反応物質は、構成体の表面上に存在してもよい。
【0011】
容器は、袋を含み、容器処理は、光反応物質を有するフィルム材を使って、袋を製造する処理を含んでもよい。
【0012】
容器処理は、容器の口部を介して容器の内側スペースに内容物を導入する処理を含み、光反応領域は、容器のうち少なくとも口部を含み、光照射装置は、容器の外側で反応光を発してもよい。
【0013】
容器処理は、容器の口部を介して容器の内側スペースに内容物を導入する処理を含み、光反応領域は、容器のうち少なくとも口部を含み、光照射装置は、容器の内側で反応光を発してもよい。
【0014】
容器は、容器本体と、容器本体に取り付けられる装着物とを含み、容器処理は、容器本体に装着物を取り付ける処理を含み、光反応領域は、容器本体のうち装着物が取り付けられる予定の箇所と、装着物の少なくとも一部と、のうちの少なくともいずれか一方を含んでもよい。
【0015】
本開示の他の態様は、容器処理を行う容器処理装置と、容器の構成体のうち光反応物質が存在する光反応領域に反応光を照射することで、光反応物質を反応光に反応させて光反応領域を降温させる光照射装置と、を備える容器処理システムに関する。
【0016】
光反応領域は、構成体のうちシール処理を受ける予定の箇所を含んでもよい。
【0017】
光反応物質の少なくとも一部は、構成体の内部に存在してもよい。
【0018】
光反応物質は、構成体の表面上に存在してもよい。
【0019】
容器は、袋を含み、容器処理は、光反応物質を有するフィルム材を使って、袋を製造する処理を含んでもよい。
【0020】
容器処理は、容器の口部を介して容器の内側スペースに内容物を導入する処理を含み、光反応領域は、容器のうち少なくとも口部を含んでもよい。
【0021】
容器は、容器本体と、容器本体に取り付けられる装着物とを含み、容器処理は、容器本体に装着物を取り付ける処理を含み、光反応領域は、容器本体のうち装着物が取り付けられる予定の箇所と、装着物の少なくとも一部と、のうちの少なくともいずれか一方を含んでもよい。
【0022】
本開示の他の態様は、容器処理を行う容器処理装置と、容器の構成体のうち光反応物質が存在する光反応領域に反応光を照射することで、光反応物質を反応光に反応させて気体が光反応領域を通過し難くさせる光照射装置と、を備える容器処理システムに関する。
【0023】
光反応物質が反応光と反応することで、構成体における通気孔の通気可能な面積が低減してもよい。
【0024】
光反応物質の少なくとも一部は、構成体の内部に存在してもよい。
【0025】
光反応物質は、構成体の表面上に存在してもよい。
【0026】
容器は、袋を含み、容器処理は、光反応物質を有するフィルム材を使って、袋を製造する処理を含んでもよい。
【0027】
容器処理は、容器の口部を介して容器の内側スペースに内容物を導入する処理を含み、光反応領域は、容器の外側表面及び内側表面のうち少なくともいずれか一方の領域を含み、光照射装置は、容器の外側で反応光を発してもよい。
【0028】
容器処理は、容器の口部を介して容器の内側スペースに内容物を導入する処理を含み、光反応領域は、容器の内側表面を含み、光照射装置は、容器の内側で反応光を発してもよい。
【0029】
本開示の他の態様は、容器処理を行う容器処理装置と、容器の構成体のうち光反応物質が存在する光反応領域に反応光を照射することで、光反応物質を反応光に反応させて光反応物質の色を変化させる光照射装置を備える容器処理システムに関する。
【0030】
光照射装置は、光反応領域に反応光を照射することで、光反応物質の色を変化させて構成体上に文字及び図柄のうち少なくともいずれか一方を表示してもよい。
【発明の効果】
【0031】
本開示によれば、容器に関する各種処理を簡単且つ効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、容器処理システムの一例である包装処理システムの概略構成例を示す平面図である。
【
図2】
図2は、容器処理システムの他の例である製袋処理システムの概略構成例を示す側方図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る装置構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る装置構成の他の例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る装置構成の他の例を示す図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る装置構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態に係る装置構成の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、第3実施形態に係る装置構成の他の例を示す図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態に係る装置構成の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本開示の容器処理技術の実施形態について例示的に説明する。
【0034】
なお本開示技術を適用可能な「容器」は限定されない。例えば、袋やカップなどの「容器本体」のみによって構成される容器に対してだけではなく、そのような「容器本体」と、当該容器本体に取り付けられるスパウトなどの「装着物」とを具備する容器に対しても、本開示の容器処理技術を応用可能である。このように「容器」は、その一部又は全体として、袋などの容器本体を含んでいてもよい。
【0035】
また本開示技術を適用可能な「容器処理」も限定されない。例えば、容器を使った各種処理に対してだけではなく、容器が作られる前の容器に関連する各種処理(例えば容器を製造する処理)に対しても、本開示技術を応用可能である。
【0036】
[容器処理システム]
図1及び
図2を参照して、本開示技術を応用可能な容器処理システムの例について説明する。
【0037】
図1は、容器処理システムの一例である包装処理システム70の概略構成例を示す平面図である。
図1に示す包装処理システム70は、袋を搬送する容器搬送ユニット51と、各種の容器処理を行う処理装置(袋供給装置71~放出装置80)と、を備える。
【0038】
容器搬送ユニット51は、所定の搬送軌道に沿って袋を間欠的に搬送する。容器搬送ユニット51によって搬送される各袋は、第1処理ステーションS1~第8処理ステーションS8の各々において間欠的に停止する。本例の容器搬送ユニット51は、円盤状の回転テーブルと、回転テーブルの外周部に等間隔(等角度間隔)に取り付けられる複数の容器保持ユニットと、を備える。回転テーブルは、
図1の紙面に垂直に延びる回転軸線(本例では中心軸線)を中心に、間欠的に回転する。複数の容器保持ユニットは、処理ステーションと同じ数(本例では8つ)だけ設けられ、回転テーブルとともに間欠的に回転する。本例の各容器保持ユニットは、袋の両側部を把持する1又は複数のグリッパーペアを有し、当該グリッパーペアにより把持される1又は複数の袋とともに第1処理ステーションS1~第8処理ステーションS8を順次巡る。
【0039】
第1処理ステーションS1には、袋供給処理を行う袋供給装置71及び袋引渡装置72が設けられている。袋供給装置71には多数の袋(例えば平袋)が貯留されており、人手又は機械によって新たな袋が適宜供給される。袋引渡装置72は、1又は複数の袋を袋供給装置71から取り出して、第1処理ステーションS1において間欠的に停止している容器保持ユニットに渡す。容器保持ユニットは、第1処理ステーションS1で受け取った1又は複数の袋を保持しつつ、第1処理ステーションS1から第2処理ステーションS2に移動する。
【0040】
第2処理ステーションS2には、印字処理を行う印字装置73が設けられている。印字装置73は、第2処理ステーションS2において対応の容器保持ユニットとともに間欠的に停止している1又は複数の袋に、各種情報(例えば製造年月日や賞味期限など)を印字する。なお印字処理の具体的なやり方は限定されない。印字処理が終了した後、容器保持ユニットは、保持している1又は複数の袋とともに、第2処理ステーションS2から第3処理ステーションS3に移動する。
【0041】
第3処理ステーションS3には、印字検査処理を行う印字検査装置74が設けられている。印字検査装置74は、第3処理ステーションS3において対応の容器保持ユニットとともに間欠的に停止している1又は複数の袋の印字状態が適切か否かを検査する。印字検査装置74は、任意の手法(例えば袋の撮影画像の画像処理)に基づいて印字検査処理を行うことができる。当該検査の結果は、印字検査装置74から制御装置(図示省略)に送信され、印字不良を有する袋の排除する処理などの他の処理に使用されうる。印字検査処理が終了した後、容器保持ユニットは、保持している1又は複数の袋とともに、第3処理ステーションS3から第4処理ステーションS4に移動する。
【0042】
第4処理ステーションS4には、袋開口処理を行う袋開口装置75が設けられている。袋開口装置75は、第4処理ステーションS4において対応の容器保持ユニットとともに間欠的に停止している1又は複数の袋の口部(本例では袋の上端部)を開く。袋開口装置75は、任意の手法(例えば移動可能に設けられる一対の吸盤を使った吸着処理)に基づいて袋開口処理を行うことができる。袋開口処理が終了した後、容器保持ユニットは、保持している1又は複数の袋とともに、第4処理ステーションS4から第5処理ステーションS5に移動する。
【0043】
第5処理ステーションS5には、内容物導入処理を行う内容物導入装置76が設けられている。内容物導入装置76は、第5処理ステーションS5において対応の容器保持ユニットとともに間欠的に停止している1又は複数の袋の内側に内容物を導入する。内容物導入装置76は、任意の手法(例えばホッパーや注入ノズルを使った手法)に基づいて内容物導入処理を行うことができ、任意の内容物(例えば固形状内容物及び/又は液状内容物)が各袋内に導入される。内容物導入処理が終了した後、容器保持ユニットは、保持している1又は複数の袋とともに、第5処理ステーションS5から第6処理ステーションS6に移動する。
【0044】
第6処理ステーションS6及び第7処理ステーションS7には、シール処理(特に加熱シール処理)を行う第1シール処理装置77及び第2シール処理装置78が設けられている。第1シール処理装置77は、第6処理ステーションS6において対応の容器保持ユニットとともに間欠的に停止している1又は複数の袋の口部をシールする。同様に、第2シール処理装置78は、第7処理ステーションS7において対応の容器保持ユニットとともに間欠的に停止している1又は複数の袋の口部をシールする。第1シール処理装置77及び第2シール処理装置78は、任意の手法(例えば一対の熱板によって袋の口部を加圧する手法)でシール処理を行うことができる。第1シール処理装置77及び第2シール処理装置78は、各袋の同じ箇所をシールしてもよいし、各袋の一部又は全体が異なる箇所をシールしてもよい。第6処理ステーションS6及び第7処理ステーションS7におけるシール処理が終了した後、容器保持ユニットは、保持している1又は複数の袋とともに、第7処理ステーションS7から第8処理ステーションS8に移動する。
【0045】
第8処理ステーションS8には、冷却放出処理を行う冷却放出装置79及び放出搬送装置80が設けられている。冷却放出装置79は、第8処理ステーションS8において間欠的に停止している対応の容器保持ユニットから1又は複数の袋を受け取って、当該1又は複数の袋の口部(特にシールされた箇所)を冷却し、その後、当該1又は複数の袋をリリースする。放出搬送装置80は、冷却放出装置79からリリースされた袋を受け取って後段に搬送する。
【0046】
図2は、容器処理システムの他の例である製袋処理システム85の概略構成例を示す側方図である。
【0047】
図2に示す製袋処理システム85は、無端状搬送ベルト及び案内ローラーを有する容器搬送ユニット52と、各種の容器処理を行う処理装置(フィルム繰出ユニット86~後段処理ユニット89)と、を備える。
【0048】
フィルム繰出ユニット86は、袋B(容器)の構成体Cであるフィルム材Fを、製袋シールユニット87に供給する装置である。本例のフィルム繰出ユニット86は、フィルム材ロールF0からシート状のフィルム材Fを繰り出して、当該フィルム材Fを製袋シールユニット87に向けて案内する。
図1に示す例では単一のフィルム材ロールF0から製袋シールユニット87にフィルム材Fが供給されるが、2以上のフィルム材ロールF0から製袋シールユニット87に複数のフィルム材Fが並行的(同時的)に供給されてもよい。
【0049】
製袋シールユニット87は、供給されるフィルム材Fにシール処理を施すことで、お互いにつながった状態の複数の袋Bを含むシート状の袋連続シートB0を製造する。製袋シールユニット87が袋連続シートB0を製造する方法は限定されず、既知の各種製造方法によってフィルム材Fから袋連続シートB0を製造でき、例えば袋連続シートB0のシール箇所を冷却する冷却処理が製袋シールユニット87により行われてもよい。製袋シールユニット87によって製造された袋連続シートB0は、容器搬送ユニット52によって製袋シールユニット87から袋切出ユニット88に送られる。
【0050】
袋切出ユニット88は、供給される袋連続シートB0を切断することで、袋連続シートB0に含まれる個々の袋Bを分離する。このようにして製造された個々の袋Bは、容器搬送ユニット52によって袋切出ユニット88から後段処理ユニット89に送られる。
【0051】
後段処理ユニット89は、供給される個々の袋Bを使った任意の袋処理(容器処理)を行う。一例として、後段処理ユニット89は
図1に示す包装処理システム70を含んでいてもよく、後段処理ユニット89に新たに供給される袋Bは袋供給装置71に貯留されてもよい。他の例として、各袋Bに対してスパウトなどの装着物を取り付ける袋処理が後段処理ユニット89によって行われてもよい。各袋Bに対して装着部を取り付ける装置は限定されず、既知の各種取付装置によって各袋Bの所望箇所(例えば上端部)に装着部を取り付けることができる。
【0052】
本開示技術を適用可能な容器処理システムは、上述の包装処理システム70(
図1参照)及び製袋処理システム85(
図2参照)のような形態をとることができ、容器処理を行う容器処理装置(
図1に示す容器搬送ユニット51及び袋供給装置71~放出搬送装置80や
図2に示す容器搬送ユニット52及びフィルム繰出ユニット86~後段処理ユニット89)に加え、光照射装置を更に備える。
【0053】
光照射装置は、袋B(容器)の構成体Cのうち光反応物質が存在する光反応領域に反応光(例えば励起光)を照射することで、光反応領域における光反応物質を反応させる。ここでの光反応物質は限定されず、反応光の照射によって様々な反応を示す物質が光反応物質として容器に与えられうる。例えば、紫外線などの光が照射されることで触媒作用を示す光触媒(例えば酸化チタン)が、光反応物質として用いられうる。
【0054】
図1に示す包装処理システム70では、袋供給装置71から容器保持ユニットに供給される袋が、光反応物質が与えられる容器の構成体となりうる。一方、
図2に示す製袋処理システム85では、袋Bだけではなく、袋Bが製造される前のフィルム材F及び袋連続シートB0も、光反応物質が与えられる容器の構成体Cとなりうる。また
図2に示す製袋処理システム85の後段処理ユニット89において、袋Bの装着物(例えばスパウト)を用いた処理が行われる場合、当該装着物が、光反応物質が与えられる容器の構成体となりうる。
【0055】
容器の構成体に対する光反応物質の与え方は限定されず、容器の構成体は先天的に光反応物質を有していてもよいし、後天的に光反応物質が与えられてもよい。したがって光反応物質の少なくとも一部は、容器の構成体の内部に存在していてもよい。例えば、予め光反応物質が練り込まれた構成体(予め光反応物質を含有する構成体)によって袋が製造されてもよい。また光反応物質は、容器の構成体の表面上に存在してもよい。例えば、袋の製造後に袋の表面に光反応物質が付与(例えば塗布やスプレー)されてもよいし、袋の製造前及び/又は製造中に、袋の構成体Cであるフィルム材F(
図2参照)の表面に光反応物質が付与されてもよい。
【0056】
例えば
図2に示す製袋処理システム85のように、容器処理システムは光反応物質付与装置30を備えていてもよく、当該光反応物質付与装置30によって袋Bの構成体Cの表面(
図2に示す例ではフィルム材Fの表側面及び裏側面の両方)に光反応物質Sが付与されてもよい。
【0057】
以下、光反応物質の光反応のタイプがお互いに異なる各種実施形態について説明する。
【0058】
[第1実施形態]
本実施形態では、容器の構成体のうち光反応物質が存在する光反応領域に対し、光照射装置からの反応光が照射されることで、当該光反応領域が昇温する。このような光反応物質の具体的な組成は限定されない。
【0059】
図3は、第1実施形態に係る装置構成の一例を示す図である。本例の装置構成によれば、容器保持デバイス53(グリッパーペア)によって保持される袋B(袋本体B1、構成体C)の口部が、光反応物質Sを有する光反応領域Rとして構成される。当該光反応領域R(特に袋Bの内側表面を形成する部分)は、光照射装置20の発光部21から発せられる反応光Lによって照射される。その結果、光反応領域Rを構成する袋Bの口部(特に内側表面)の温度が上昇させられる。
【0060】
図3に示す光照射装置20は、高さ方向に延び且つ下方先端部を含むノズル形状部を有する。このように細長形状を有するノズル形状部の下方先端部には発光部21が設けられ、当該ノズル形状部は、高さ方向に上下動可能に設けられている。光反応領域Rに反応光Lを照射する間、光照射装置20のノズル形状部は降下位置に配置され、袋Bの開口状態の光反応領域R(口部)の近傍に発光部21が位置づけられる。この際、発光部21は、袋Bの開口状態の光反応領域R(口部)の内側(すなわち袋Bの内側スペース)に位置づけられてもよいし、袋Bの外側(例えば口部の上方)に位置づけられてもよい。
【0061】
図4は、第1実施形態に係る装置構成の他の例を示す図である。本例の装置構成によれば、袋Bの外側(特に当該袋Bの上方の位置)に配置される複数の光照射装置20から発せられる反応光Lが、光反応領域Rを構成する袋Bの口部に照射される。その結果、光反応領域Rを構成する袋Bの口部(特に内側表面)の温度が上昇させられる。
【0062】
そのような複数の光照射装置20の具体的な配置位置及びそれぞれの光照射装置20からの反応光Lの放出方向(進行方向)は限定されない。光反応領域Rが、十分な光強度を有する反応光Lによって全体的且つ均一的に照射されるように、複数の光照射装置20からの反応光Lの放出方向は決められてもよい。
図4に示す例では、一方の光照射装置20からの反応光Lが、袋Bの一方の側壁部(特に光反応領域Rを構成する口部を形成する部分)の内側表面に向けて放出される。また他方の光照射装置20からの反応光Lが、袋Bの他方の側壁部(特に光反応領域Rを構成する口部を形成する部分)の内側表面に向けて放出される。
【0063】
図5は、第1実施形態に係る装置構成の他の例を示す図である。本例の装置構成によれば、袋B(袋本体B1)に取り付けられる装着物(スパウト)B2が、光反応領域Rを有する容器の構成体Cを構成する。装着物B2の光反応領域Rに、複数の光照射装置20から発せられる反応光Lが照射される。その結果、光反応領域Rにおける光反応物質Sが反応して昇温し、光反応領域Rを構成する装着物B2の部分の温度が上昇させられる。
【0064】
図5に示す例では、袋Bに取り付けられる前の装着物B2のうち、袋Bに対してシール(溶着)により取り付けられる部分(取付予定部位)が、「光反応物質Sが存在する光反応領域R」を構成する。
【0065】
本例においても、複数の光照射装置20の具体的な配置位置及びそれぞれの光照射装置20からの反応光Lの放出方向(進行方向)は限定されない。例えば、水平方向に対向する位置に設けられた2つの光照射装置20(特に発光部)から、装着物B2の光反応領域Rに向けて反応光Lが放出されることで、光反応領域Rの全体に反応光Lが照射されてもよい。
【0066】
上述のように本実施形態の容器処理システムによれば、容器(袋B(袋本体B1及び/又は装着物B2))の構成体Cのうち光反応物質Sが存在する光反応領域Rに反応光Lが照射されることで、光反応物質Sが反応光Lに反応して光反応領域Rが昇温させられる。
【0067】
例えば袋Bのシール予定箇所の一部又は全体を光反応領域Rとして構成し、袋Bのシール処理に先立って、光反応領域Rに反応光Lを照射してもよい(
図3及び
図4参照)。この場合、光反応物質Sが反応光Lに反応して光反応領域Rが予熱され、その後のシール処理によって、袋Bのシール予定箇所をより短い時間で及び/又はより確実にシールすることができる。そのようなシール予定箇所の予熱処理は、例えば上述の
図1の第6処理ステーションS6よりも前段(例えば第5処理ステーションS5及び/又は第5処理ステーションS5と第6処理ステーションS6との間)に光照射装置20を設けることによって、実行可能である。
【0068】
また袋Bのシール箇所を構成する部分(例えば外表面)の一部又は全体を光反応領域Rとして構成し、袋Bのシール処理の最中及び/又は後に、光反応領域Rに反応光Lを照射してもよい。そのようなシール箇所の昇温処理は、例えば上述の
図1の第5処理ステーションと第6処理ステーションとの間、第6処理ステーションS6、第6処理ステーションS6と第7処理ステーションS7との間、及び/又は第7処理ステーションS7に光照射装置20を設けることによって、実行可能である。
【0069】
また装着物B2に光反応領域Rを設けて、装着物B2を袋本体B1に取り付けるシール処理の前、最中及び/又は後に、光反応領域Rに反応光Lを照射してもよい(
図5参照)。この場合、装着物B2をより短い時間で及び/又はより確実に袋本体B1に取り付けることができる。そのような装着物B2の光反応領域Rの昇温処理は、例えば上述の
図2の製袋処理システム85の後段処理ユニット89に光照射装置20を設けることによって、実行可能である。
【0070】
このように光反応領域Rが、袋B(袋本体B1、装着物B2)の構成体Cのうちのシール予定箇所及びシール箇所を含む場合、シール処理の確実性を向上させることができる。
【0071】
また
図1に示す包装処理システム70のように、容器処理システムの容器処理装置が行う容器処理が、袋B(容器)の口部を介して袋Bの内側スペースに内容物を導入する処理を含む場合、袋Bの光反応領域Rは口部を含んでいてもよい。この場合、例えば袋Bの内側スペースに内容物を導入した後且つ口部が閉じられる前に、光反応領域R(例えば袋Bの口部を構成する部分の内側表面)に反応光Lを照射して光反応領域Rを昇温してもよい。
【0072】
また
図1に示す包装処理システム70のように、容器処理システムの容器処理装置が行う容器処理が、袋B(容器)の口部を介して袋Bの内側スペースに内容物を導入する処理を含む場合、光反応領域Rは、袋Bのうち少なくとも口部(特に袋Bの内側表面を形成する部分)を含んでいてもよい。この場合、例えば袋Bの内側スペースに内容物を導入した後且つ口部が閉じられる前に、光照射装置20は袋Bの外側で又は内側で反応光Lを放出して当該反応光Lを光反応領域Rに照射することで、光反応領域Rを昇温してもよい。
【0073】
[第2実施形態]
本実施形態において、上述の第1実施形態と同一又は対応の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0074】
本実施形態では、容器の構成体のうち光反応物質が存在する光反応領域に対し、光照射装置からの反応光が照射されることで、当該光反応領域が降温する。このような光反応物質の具体的な組成は限定されない。
【0075】
図6は、第2実施形態に係る装置構成の一例を示す図である。本例の装置構成によれば、容器保持デバイス53(グリッパーペア)によって保持される袋B(袋本体B1、構成体C)の口部が、光反応物質Sを有する光反応領域Rとして構成される。当該光反応領域R(特に袋Bの外側表面を形成する部分)は、光照射装置20の発光部21から発せられる反応光Lによって照射される。その結果、光反応領域Rを構成する袋Bの口部の温度が低下させられる。
【0076】
このように光反応領域Rが、袋Bの構成体Cのうちシール処理を受けた箇所を含む場合、シール処理後に光反応領域Rに反応光Lを照射することで、袋Bのシール箇所の冷却を促すことができる。したがって、例えば
図1に示す包装処理システム70において、冷却放出装置79が設けられる第8処理ステーションS8及び/又は第7処理ステーションS7と第8処理ステーションS8との間に光照射装置20を設置することで、システム全体として袋のシール箇所を冷却する冷却処理能力を向上させることができる。
【0077】
なお本実施形態においても光反応物質Sの少なくとも一部は、袋B(容器)の構成体Cの内部に存在していてもよいし、構成体Cの表面上に存在していてもよい。
【0078】
また例えば
図2に示す製袋処理システム85の容器処理装置によって行われる容器処理が、光反応物質Sを有するフィルム材Fを使って、袋Bを製造する処理を含んでいてもよい。
【0079】
また
図1に示す包装処理システム70のように、容器処理システムの容器処理装置が行う容器処理が、袋B(容器)の口部を介して袋Bの内側スペースに内容物を導入する処理を含む場合、袋Bの光反応領域Rは口部を含んでいてもよい。この場合、例えば袋Bの口部の加熱シールが行われた後に、光反応領域R(例えば袋Bの口部を構成する部分の外側表面)に反応光Lを照射して光反応領域Rを冷却してもよい。
【0080】
また袋Bが、袋本体B1と、袋本体B1に取り付けられる装着物B2とを含み、容器処理システムの容器処理装置が行う容器処理が、袋本体B1に装着物B2を取り付ける処理(溶着処理(シール処理))を含む場合、光反応領域Rは、袋本体B1のうち装着物B2が取り付けられる予定の箇所と、装着物B2の少なくとも一部(袋本体B1に取り付けられる予定の箇所)と、のうちの少なくともいずれか一方を含んでいてもよい。この場合、例えば装着物B2を袋本体B1に取り付けるためのシール処理が行われた後に、光反応領域Rに反応光Lを照射して光反応領域Rを冷却してもよい。
【0081】
[第3実施形態]
本実施形態において、上述の第1実施形態及び第2実施形態と同一又は対応の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0082】
本実施形態では、容器の構成体のうち光反応物質が存在する光反応領域に対し、光照射装置からの反応光が照射されることで、当該光反応領域のバリア性が向上する。ここで言う「バリア性」は、気体(特に容器の周囲及び/又は内側の空気等の気体)の光反応領域における通過し難さを意味し、バリア性が高いほど、光反応領域(ひいては容器の構成体)における気体の通過がより困難になる。したがって本実施形態では、光反応領域に反応光を照射することで、気体が光反応領域を通過し難くさせて、例えば容器内の内容物に対する外気の影響(例えば酸素による内容物の酸化)を低減できる。
【0083】
反応光の照射によって容器のバリア性を向上させるような光反応物質の具体的な組成は限定されない。例えば、反応光と反応することで、容器の構成体における通気孔の大きさ(気体が通過可能な開口面積)を低減させるような物質を、本実施形態の光反応物質として使用できる。
【0084】
図7は、第3実施形態に係る装置構成の一例を示す図である。本例の装置構成によれば、容器保持デバイス53(グリッパーペア)によって保持される袋B(袋本体B1、構成体C)の全体が、光反応物質Sを有する光反応領域Rとして構成される。当該光反応領域R(特に袋Bの外側表面を形成する部分)は、光照射装置20から発せられる反応光Lによって照射される。その結果、袋Bの全体のバリア性が向上する。
【0085】
図8は、第3実施形態に係る装置構成の他の例を示す図である。本例の装置構成によれば、光照射装置20が、高さ方向に延び且つ下方先端部を含むノズル形状部を有する。当該ノズル形状部の下方先端部には発光部21が設けられ、当該ノズル形状部は、高さ方向に上下動可能に設けられている。
【0086】
光反応領域Rに反応光Lを照射する間、光照射装置20のノズル形状部は降下位置に配置されて袋Bの口部を貫通し、発光部21が袋Bの内側スペースに位置づけられる。その結果、発光部21から発せられる反応光Lが、袋Bのうち内側スペースを区画する内側表面の全体(光反応領域R)に照射され、当該内側表面の全体のバリア性が向上させられる。なお袋Bが移動する際、光照射装置20のノズル形状部は上昇位置に配置されて袋Bの外側に位置づけられ、袋Bの移動を阻害しない。
【0087】
図9は、第3実施形態に係る装置構成の他の例を示す図である。本例の装置構成によれば、光照射装置20が、袋Bの外側(特に袋Bの口部の上方)に設けられ、袋Bの開口状態の口部を介して袋Bの内側スペースに向けて反応光Lを放射する。その結果、発光部21から発せられる反応光Lが、袋Bのうち内側スペースを区画する内側表面の全体(光反応領域R)に照射され、当該内側表面の全体のバリア性が向上させられる。
【0088】
なお本実施形態においても光反応物質Sの少なくとも一部は、袋B(容器)の構成体Cの内部に存在していてもよいし、構成体Cの表面上に存在していてもよい。
【0089】
また例えば
図2に示す製袋処理システム85の容器処理装置によって行われる容器処理が、光反応物質Sを有するフィルム材Fを使って、袋Bを製造する処理を含んでいてもよい。
【0090】
また
図1に示す包装処理システム70のように、容器処理システムの容器処理装置が行う容器処理が、袋B(容器)の口部を介して袋Bの内側スペースに内容物を導入する処理を含む場合、光反応領域Rは、袋Bの外側表面及び内側表面のうちの少なくともいずれか一方の領域を含んでいてもよく、光照射装置20は、袋Bの外側で反応光Lを発してもよい。この場合、例えば袋Bの内側に内容物を導入する前に、袋Bの外側表面及び内側表面のうちの少なくともいずれか一方の領域に対する反応光Lの照射によって、袋Bのバリア性を向上させることができる。
【0091】
また
図1に示す包装処理システム70のように、容器処理システムの容器処理装置が行う容器処理が、袋B(容器)の口部を介して袋Bの内側スペースに内容物を導入する処理を含む場合、光反応領域Rは袋Bの内側表面の領域を含み、光照射装置20は袋Bの内側で反応光Lを発してもよい。この場合、例えば袋Bの内側に内容物を導入する前に、袋Bの内側表面の領域に対する反応光Lの照射によって、袋Bのバリア性を向上させることができる。
【0092】
[第4実施形態]
本実施形態において、上述の第1実施形態~第3実施形態と同一又は対応の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0093】
本実施形態では、容器の構成体のうち光反応物質が存在する光反応領域に対し、光照射装置からの反応光が照射されることで、光反応物質の色を変化させる。このような光反応物質の具体的な組成は限定されない。
【0094】
例えば光照射装置は、光反応領域に反応光を照射することで、光反応物質の色を変化させて容器の構成体上に文字及び図柄のうちの少なくともいずれか一方を表示させることができる。反応光の照射の前後における光反応物質の色は限定されないが、反応光の照射される前の色が透明である光反応物質は汎用性及び応用性に優れる。
【0095】
例えば
図1に示す包装処理システム70において、印字装置73は、第2処理ステーションS2で間欠的に停止している袋の表面(すなわち光反応領域を構成する袋表面)に対し、そのような光反応物質を付与してもよい。この場合、例えば第2処理ステーションS2と第3処理ステーションS3との間に設けられる光照射装置20(
図1参照)から発せられる反応光によって、袋の表面に付与された光反応物質が照射されてもよい。これにより、第2処理ステーションS2から第3処理ステーションS3に移動する間に袋の光反応領域に存在する光反応物質の色が変化し、袋の表面上に文字及び/又は図柄を表示させることができる。このようにして袋に表示される文字及び/又は図柄の状態は、袋が第3処理ステーションS3に配置されている間に、印字検査装置74によって検査される。
【0096】
[変形例]
上述のように反応光に反応して様々な効果を発揮する物質を光反応物質として用いることが可能である。上述の各実施形態では、単一種類の光反応を示す単一種類の光反応物質が各容器(袋)で用いられるが、複数種類の光反応を示す単一種類又は複数種類の光反応物質が各容器(袋)で用いられてもよい。例えば、反応光Lの照射によって昇温反応を示す光反応物質と、反応光Lの照射によって降温反応を示す光反応物質とが、各容器(袋)の構成体に付与されてもよい。また反応光Lの照射によって色変化反応を示す光反応物質と、反応光Lの照射によってバリア性能を向上させる反応を示す光反応物質とが、各容器(袋)の構成体に付与されてもよい。この場合、例えば、色変化反応を示す光反応物質により各容器において印字が付与された後に、バリア性能を向上させる反応を示す光反応物質を反応させて各容器の印字部分のバリア性を向上させてもよい。
【0097】
このように複数種類の光反応物質が使われる場合、そのような複数種類の光反応物質は異なるタイミングで容器の構成体に付与されてもよい。例えば、昇温反応を示す光反応物質が、シール処理(加熱処理)が行われる前に容器の構成体に付与される一方で、降温反応を示す光反応物質が、シール処理(加熱処理)の後且つ冷却処理の前に、容器の構成体に付与されてもよい。また、色変化反応を示す光反応物質が、印字処理が行われる前に容器の構成体に付与される一方で、バリア性能を向上させる反応を示す光反応物質が印字処理後に容器の構成体に付与されてもよい。
【0098】
[モノマテリアル]
複数の異種素材から作られる多層フィルムはリサイクルが難しい傾向があり、そのような多層フィルムの分別や分解は簡単ではない。したがって、そのような多層フィルムを処分するために、不要となった多層フィルムは燃焼されることが多いが、そのような燃焼処理は二酸化炭素などの温室効果ガスをもたらす。また、そのような多層フィルムの殆どは自然には分解されない一方で、動物がそのような多層フィルムを摂取する懸念がある。
【0099】
したがって複数の異種素材を含む多層フィルムによってもたらされうる生態系に対する影響は、可能な限り回避されることが望ましい。とりわけ昨今の地球環境の保全の意識の高まりとともに、多層フィルムの代替材料の開発が進んでいる。そのような代替材料として、いわゆるモノマテリアル(単一素材)が最近では注目されている。モノマテリアルは、リサイクル性に優れており、包材の構成材料としても広く使われている。
【0100】
しかしながらモノマテリアル包材では、シーラント材と外装材との間の溶融温度差が小さいことが通常である。そのようなモノマテリアル包材に対して高温シール処理を行うと、シーラント材(内装材)が十分に溶ける前に、外装材が溶けてしまい、その結果、モノマテリアル包材の美観(外観)が損なわれる。一方、低温条件下で長時間にわたってモノマテリアル包材を加熱してシールする方法も考えられるが、この場合、シール処理に時間がかかるため、高速処理の実現には限界がある。また低温条件下で短時間だけモノマテリアル包材を加熱してシールする方法も考えうるが、そのような場合には本来的にシール強度が弱くなり、例えばシール箇所に内容物等の異物(例えば液体)が付着している場合にシール不良が簡単に生じうる懸念がある。
【0101】
またモノマテリアル包材においてバリア性を確保する場合、PP(ポリプロピレン)材料やPE(ポリエチレン)材料が併用されることがあるが、そのような包材は結果的に多層フィルムとなる。またモノマテリアル包材において外装プリントを付加する場合にも他の材料が併用されて、包材が多層フィルムになることがある。
【0102】
一方、上述の実施形態に基づく技術は、モノマテリアル包材のシール美観、包装能力及びシール強度の確保に有利であり、モノマテリアル包材のバリア性の付与も可能である。このように本開示技術は、リサイクル可能なモノマテリアル包材を提供することも可能であり、地球環境の保全にも有用である。
【0103】
本明細書で開示されている実施形態及び変形例はすべての点で例示に過ぎず限定的には解釈されないことに留意されるべきである。上述の実施形態及び変形例は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態での省略、置換及び変更が可能である。例えば上述の実施形態及び変形例が全体的に又は部分的に組み合わされてもよく、また上述以外の実施形態が上述の実施形態又は変形例と組み合わされてもよい。また、本明細書に記載された本開示の効果は例示に過ぎず、その他の効果がもたらされてもよい。
【0104】
上述の技術的思想を具現化する技術的カテゴリーは限定されない。例えば上述の装置を製造する方法或いは使用する方法に含まれる1又は複数の手順(ステップ)をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムによって、上述の技術的思想が具現化されてもよい。またそのようなコンピュータプログラムが記録されたコンピュータが読み取り可能な非一時的(non-transitory)な記録媒体によって、上述の技術的思想が具現化されてもよい。
【0105】
[付記]
本開示は、以下の構成をとることもできる。
【0106】
[項目1]
容器処理を行う容器処理装置と、
容器の構成体のうち光反応物質が存在する光反応領域に反応光を照射することで、前記光反応物質を前記反応光に反応させて前記光反応領域を昇温させる光照射装置と、
を備える容器処理システム。
【0107】
[項目2]
前記光反応領域は、前記構成体のうちシール処理を受ける予定の箇所を含む
項目1に記載の容器処理システム。
【0108】
[項目3]
前記光反応物質の少なくとも一部は、前記構成体の内部に存在する
項目1又は2に記載の容器処理システム。
【0109】
[項目4]
前記光反応物質は、前記構成体の表面上に存在する
項目1又は2に記載の容器処理システム。
【0110】
[項目5]
前記容器は、袋を含み、
前記容器処理は、前記光反応物質を有するフィルム材を使って、前記袋を製造する処理を含む
項目1~4のいずれかに記載の容器処理システム。
【0111】
[項目6]
前記容器処理は、前記容器の口部を介して前記容器の内側スペースに内容物を導入する処理を含み、
前記光反応領域は、前記容器のうち少なくとも前記口部を含み、
前記光照射装置は、前記容器の外側で前記反応光を発する
項目1~5のいずれかに記載の容器処理システム。
【0112】
[項目7]
前記容器処理は、前記容器の口部を介して前記容器の内側スペースに内容物を導入する処理を含み、
前記光反応領域は、前記容器のうち少なくとも前記口部を含み、
前記光照射装置は、前記容器の内側で前記反応光を発する
項目1~5のいずれかに記載の容器処理システム。
【0113】
[項目8]
前記容器は、容器本体と、前記容器本体に取り付けられる装着物とを含み、
前記容器処理は、前記容器本体に前記装着物を取り付ける処理を含み、
前記光反応領域は、前記容器本体のうち前記装着物が取り付けられる予定の箇所と、前記装着物の少なくとも一部と、のうちの少なくともいずれか一方を含む
項目1~7のいずれかに記載の容器処理システム。
【0114】
[項目9]
容器処理を行う容器処理装置と、
容器の構成体のうち光反応物質が存在する光反応領域に反応光を照射することで、前記光反応物質を前記反応光に反応させて前記光反応領域を降温させる光照射装置と、
を備える容器処理システム。
【0115】
[項目10]
前記光反応領域は、前記構成体のうちシール処理を受ける予定の箇所を含む
項目9に記載の容器処理システム。
【0116】
[項目11]
前記光反応物質の少なくとも一部は、前記構成体の内部に存在する
項目9又は10に記載の容器処理システム。
【0117】
[項目12]
前記光反応物質は、前記構成体の表面上に存在する
項目9又は10に記載の容器処理システム。
【0118】
[項目13]
前記容器は、袋を含み、
前記容器処理は、前記光反応物質を有するフィルム材を使って、前記袋を製造する処理を含む
項目9~12のいずれかに記載の容器処理システム。
【0119】
[項目14]
前記容器処理は、前記容器の口部を介して前記容器の内側スペースに内容物を導入する処理を含み、
前記光反応領域は、前記容器のうち少なくとも前記口部を含む
項目9~13のいずれかに記載の容器処理システム。
【0120】
[項目15]
前記容器は、容器本体と、前記容器本体に取り付けられる装着物とを含み、
前記容器処理は、前記容器本体に前記装着物を取り付ける処理を含み、
前記光反応領域は、前記容器本体のうち前記装着物が取り付けられる予定の箇所と、前記装着物の少なくとも一部と、のうちの少なくともいずれか一方を含む
項目9~14のいずれかに記載の容器処理システム。
【0121】
[項目16]
容器処理を行う容器処理装置と、
容器の構成体のうち光反応物質が存在する光反応領域に反応光を照射することで、前記光反応物質を前記反応光に反応させて気体が光反応領域を通過し難くさせる光照射装置と、
を備える容器処理システム。
【0122】
[項目17]
前記光反応物質が前記反応光と反応することで、前記構成体における通気孔の通気可能な面積が低減する
項目16に記載の容器処理システム。
【0123】
[項目18]
前記光反応物質の少なくとも一部は、前記構成体の内部に存在する
項目16又は17に記載の容器処理システム。
【0124】
[項目19]
前記光反応物質は、前記構成体の表面上に存在する
項目16又は17に記載の容器処理システム。
【0125】
[項目20]
前記容器は、袋を含み、
前記容器処理は、前記光反応物質を有するフィルム材を使って、前記袋を製造する処理を含む
項目16~19のいずれかに記載の容器処理システム。
【0126】
[項目21]
前記容器処理は、前記容器の口部を介して前記容器の内側スペースに内容物を導入する処理を含み、
前記光反応領域は、前記容器の外側表面及び内側表面のうち少なくともいずれか一方の領域を含み、
前記光照射装置は、前記容器の外側で前記反応光を発する
項目16~20のいずれかに記載の容器処理システム。
【0127】
[項目22]
前記容器処理は、前記容器の口部を介して前記容器の内側スペースに内容物を導入する処理を含み、
前記光反応領域は、前記容器の内側表面を含み、
前記光照射装置は、前記容器の内側で前記反応光を発する
項目16~20のいずれかに記載の容器処理システム。
【0128】
[項目23]
容器処理を行う容器処理装置と、
容器の構成体のうち光反応物質が存在する光反応領域に反応光を照射することで、前記光反応物質を前記反応光に反応させて前記光反応物質の色を変化させる光照射装置を備える容器処理システム。
【0129】
[項目24]
前記光照射装置は、前記光反応領域に前記反応光を照射することで、前記光反応物質の色を変化させて前記構成体上に文字及び図柄のうち少なくともいずれか一方を表示する
項目23に記載の容器処理システム。
【符号の説明】
【0130】
20 光照射装置、21 発光部、30 光反応物質付与装置、51 容器搬送ユニット、52 容器搬送ユニット、53 容器保持デバイス、70 包装処理システム、71 袋供給装置、72 袋引渡装置、73 印字装置、74 印字検査装置、75 袋開口装置、76 内容物導入装置、77 第1シール処理装置、78 第2シール処理装置、79 冷却放出装置、80 放出搬送装置、85 製袋処理システム、86 フィルム繰出ユニット、87 製袋シールユニット、88 袋切出ユニット、89 後段処理ユニット、B 袋、B0 袋連続シート、B1 袋本体、B2 装着物、C 構成体、F フィルム材、F0 フィルム材ロール、L 反応光、R 光反応領域、S 光反応物質、S1 第1処理ステーション、S2 第2処理ステーション、S3 第3処理ステーション、S4 第4処理ステーション、S5 第5処理ステーション、S6 第6処理ステーション、S7 第7処理ステーション、S8 第8処理ステーション