IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ゼンリンデータコムの特許一覧

特開2024-173185配達システム、方法、及び、プログラム
<>
  • 特開-配達システム、方法、及び、プログラム 図1
  • 特開-配達システム、方法、及び、プログラム 図2
  • 特開-配達システム、方法、及び、プログラム 図3
  • 特開-配達システム、方法、及び、プログラム 図4
  • 特開-配達システム、方法、及び、プログラム 図5
  • 特開-配達システム、方法、及び、プログラム 図6
  • 特開-配達システム、方法、及び、プログラム 図7
  • 特開-配達システム、方法、及び、プログラム 図8
  • 特開-配達システム、方法、及び、プログラム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173185
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】配達システム、方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20240101AFI20241205BHJP
【FI】
G06Q10/083
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091422
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 祐友
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】台車を使用するか否かを容易に判断することのできる技術を提供する。
【解決手段】配達システムは、荷物と荷物の配達先とが記録された荷物情報を記憶する記憶部と、荷物情報から、配達対象の荷物と、配達対象の荷物の配達先とを特定する特定部と、特定された荷物及び配達先の少なくとも一方に応じて、台車の使用を提案するか否かを判断する判断部と、判断部による判断の結果に従って、台車の使用を提案する提案部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物と前記荷物の配達先とが記録された荷物情報を記憶する記憶部と、
前記荷物情報から、配達対象の荷物と、前記配達対象の荷物の配達先とを特定する特定部と、
特定された前記荷物及び前記配達先の少なくとも一方に応じて、台車の使用を提案するか否かを判断する判断部と、
前記判断部による判断の結果に従って、前記台車の使用を提案する提案部と、
を備える配達システム。
【請求項2】
請求項1に記載の配達システムであって、
前記荷物情報には、前記荷物ごとに、前記荷物のサイズが記録されており、
前記判断部は、特定された前記荷物のサイズに応じて前記台車の使用を提案するか否かを判断する、配達システム。
【請求項3】
請求項2に記載の配達システムであって、
前記特定部は、複数の前記配達対象の荷物を特定し、
前記判断部は、特定された前記荷物のサイズ毎の個数と、前記サイズ毎に応じて予め定められた点数と、を乗算して積算した合計値が、予め定められた閾値以上の場合に、前記台車の使用を提案すると判断する、配達システム。
【請求項4】
請求項1に記載の配達システムであって、
前記判断部は、一の配達先に対して予め定められた個数以上の荷物が特定された場合に、前記台車の使用を提案すると判断する、配達システム。
【請求項5】
請求項1に記載の配達システムであって、
前記判断部は、同一の集合住宅内に複数の配達先が特定された場合に、前記台車の使用を提案すると判断する、配達システム。
【請求項6】
請求項1に記載の配達システムであって、
前記判断部は、予め定められた距離範囲に複数の配達先が特定された場合に、前記台車の使用を提案すると判断する、配達システム。
【請求項7】
請求項1に記載の配達システムであって、
前記判断部は、前記台車が使用できない配達先については、前記台車の使用を提案しないと判断する、配達システム。
【請求項8】
請求項7に記載の配達システムであって、
前記判断部は、前記台車が通行可能な道路の繋がり状態を表す道路ネットワークデータを用いて、前記配達先に対する前記台車の使用可否を判断する、配達システム。
【請求項9】
請求項1に記載の配達システムであって、
前記荷物情報には、前記荷物ごとに、前記荷物の種類が記録されており、
前記判断部は、特定された前記荷物の種類に応じて前記台車の使用を提案するか否かを判断する、配達システム。
【請求項10】
荷物と前記荷物の配達先とが記録された荷物情報から、配達対象の荷物と、前記配達対象の荷物の配達先とを特定する工程と、
特定された前記荷物及び前記配達先の少なくとも一方に応じて、台車の使用を提案するか否かの判断を行う工程と、
前記判断の結果に従って、前記台車の使用を提案する工程と、
を備える方法。
【請求項11】
荷物と前記荷物の配達先とが記録された荷物情報から、配達対象の荷物と、前記配達対象の荷物の配達先とを特定する機能と、
特定された前記荷物及び前記配達先の少なくとも一方に応じて、台車の使用を提案するか否かの判断を行う機能と、
前記判断の結果に従って、前記台車の使用を提案する機能と
をコンピュータに実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配達システム、方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
荷物の配達員は、荷物を配達車両から台車に乗せ換えて配達先まで配達する場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-144655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
台車を使用する場合と台車を使用しない場合とで、荷物の配達効率は異なる。従来、配達に台車を使用するか否かは、配達員が自身の経験に基づいて判断していた。そのため、配達員の経験にかかわらず、台車を使用すべきか否かを容易に判断することのできる技術が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、配達システムが提供される。この配達システムは、荷物と前記荷物の配達先とが記録された荷物情報を記憶する記憶部と、前記荷物情報から、配達対象の荷物と、前記配達対象の荷物の配達先とを特定する特定部と、特定された前記荷物及び前記配達先の少なくとも一方に応じて、台車の使用を提案するか否かを判断する判断部と、前記判断部による判断の結果に従って、前記台車の使用を提案する提案部と、を備える。
このような形態の配達システムによれば、配達対象の荷物とその配達先とに応じて台車の使用が提案される。そのため、配達員は、経験によらず、台車を使用するか否かを容易に判断できる。
(2)上記形態において、前記荷物情報には、前記荷物ごとに、前記荷物のサイズが記録されており、前記判断部は、特定された前記荷物のサイズに応じて前記台車の使用を提案するか否かを判断してもよい。このような形態であれば、荷物のサイズに応じて台車の使用が提案される。
(3)上記形態において、前記特定部は、複数の前記配達対象の荷物を特定し、前記判断部は、特定された前記荷物のサイズ毎の個数と、前記サイズ毎に応じて予め定められた点数と、を乗算して積算した合計値が、予め定められた閾値以上の場合に、前記台車の使用を提案すると判断してもよい。このような形態であれば、台車に対して複数の荷物を効率的に搭載できるので、配達を効率的に行うことができる。
(4)上記形態において、前記判断部は、一の配達先に対して予め定められた個数以上の荷物が特定された場合に、前記台車の使用を提案すると判断してもよい。このような形態であれば、一の配達先に対して効率的に荷物を配達できる。
(5)上記形態において、前記判断部は、同一の集合住宅内に複数の配達先が特定された場合に、前記台車の使用を提案すると判断してもよい。このような形態であれば、配達車両に戻ることなく同一の集合住宅内の複数の配達先に対して効率的に荷物を配達できる。
(6)上記形態において、前記判断部は、予め定められた距離範囲に複数の配達先が特定された場合に、前記台車の使用を提案すると判断してもよい。このような形態であれば、近隣の複数の配達先に対して、配達車両に戻ることなく効率的に荷物を配達できる。
(7)上記形態において、前記判断部は、前記台車が使用できない配達先については、前記台車の使用を提案しないと判断してもよい。このような形態であれば、台車への荷物の無駄な積み替え作業が発生することを抑制できる。
(8)上記形態において、前記判断部は、前記台車が通行可能な道路の繋がり状態を表す道路ネットワークデータを用いて、前記配達先に対する前記台車の使用可否を判断してもよい。このような形態であれば、道路ネットワークデータを利用して台車が使用可能であるか否かを判断できる。
(9)上記形態において、前記荷物情報には、前記荷物ごとに、前記荷物の種類が記録されており、前記判断部は、特定された前記荷物の種類に応じて前記台車の使用を提案するか否かを判断してもよい。このような形態であれば、荷物の種類に応じて台車を使用すべきか否かを提案できる。
本開示は、上述した配達システム以外にも、方法やプログラム、そのプログラムがコンピュータによって読み取り可能に記録された一時的でない有形な記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】配達システムの概略構成を示す説明図である。
図2】荷物データベースの例を示す図である。
図3】台車使用提案処理のフローチャートである。
図4】配達対象の荷物を特定するための画面の例を示す図である。
図5】荷物情報が表示された画面の例を示す図である。
図6】台車使用判断処理において用いる条件の一覧を示す図である。
図7】台車の使用が提案された場合の画面の例を示す図である。
図8】台車マークをタッチした場合に表示される画面の例を示す図である。
図9】台車が使用できないことを報知する画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における配達システム10の概略構成を示す説明図である。配達システム10は、配達車両50及び台車60を用いて荷物の配達を行う配達業務に用いられるシステムである。配達システム10は、配達車両50を運転する配達員によって利用される端末装置100と、配達管理サーバ200とを備える。配達車両50には、台車60が搭載されており、配達車両50を運転する配達員は、台車60を用いて配達車両50に積載された荷物を配達先に配達することができる。
【0009】
配達管理サーバ200は、CPU210と、通信部202と、記憶部220とを備えるコンピュータとして構成されている。通信部202は、インターネット80を介して端末装置100と通信を行うための回路を備える。CPU210は、記憶部220に記憶されたプログラムを実行することによって、配達管理サーバ200の動作全体を制御する。記憶部220には、CPU210によって実行されるプログラムに加えて、地図情報222と、荷物データベース224とが記憶されている。
【0010】
地図情報222には、道を表すリンクデータと、交差点や屈曲点、行き止まりを表すノードデータとにより道路の繋がり状態が表された道路ネットワークデータが記憶されている。リンクデータには、その道の通過に要する旅行時間を表すコストと共に、その道路が駐停車禁止であるか否かを示す情報や、車線数、幅員、一方通行であるか否か、通行禁止であるか否か、などを表す属性情報が関連づけられている。地図情報222には、移動手段毎に道路ネットワークデータが記憶されている。具体的には、本実施形態では、配達車両50が通行可能な道路の繋がり状態を表す車両用ネットワークデータと、台車60が通行可能な道路の繋がり状態を表す台車用ネットワークデータとが記憶されている。台車60が通行可能な道路には、車道に限らず、歩道やスロープ、建物内の通路、エレベータなども含まれる。地図情報222には、その他、歩道の繋がり状態を表す歩行者用ネットワークデータや、駐車場の位置を表す情報、地図データ等も記憶されている。なお、台車用ネットワークデータは、自転車が通行可能な道路の繋がり状態を表す自転車用ネットワークデータと共通化されていてもよい。
【0011】
図2は、荷物データベース224の例を示す図である。荷物データベース224には、配達員毎に、その配達員が配達を担当する荷物の荷物情報が登録されている。荷物情報には、荷物ごとに、荷物IDと、配達先と、サイズと、荷物の種類とが関連付けて記録されている。荷物IDは、個々の荷物を識別するための識別情報であり、例えば、伝票番号によって表される。配達先を表す情報には、郵便番号、住所、受取人の名前、電話番号、配達先の経緯度が含まれる。住所には、集合住宅の名称や部屋番号が含まれる。サイズを表す情報は、例えば、「大」、「中」、「小」、「封筒」、といった情報を表す。サイズは、荷物の大きさと重さの少なくとも何れか一方を表す。荷物の種類を表す情報は、例えば、「精密機器」、「生鮮品」、「割れ物」、といった情報である。荷物情報は、例えば、配達管理サーバ200の管理者によって登録される。荷物情報は、電子商取引業者などの配達委託業者から送信される情報に基づき荷物データベース224に登録されてもよい。
【0012】
端末装置100は、通信キャリア70或いは無線LANを介して、インターネット80に接続された配達管理サーバ200にアクセスすることができる。端末装置100は、CPU110と、記憶部120と、測位部122と、表示部124と、タッチパネル126と、通信部128と、を備えるコンピュータとして構成されている。端末装置100は、例えば、スマートフォンやタブレット端末、ノートパソコン等の携帯端末である。
【0013】
測位部122は、GNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)受信機を備えており、GNSSを構成する人工衛星から受信した電波に基づいて、端末装置100の現在位置である緯度及び経度を測位する。
【0014】
表示部124は、例えば、液晶モニタや有機ELモニタ等であり、配達対象の荷物に関する情報や地図を表示する装置である。タッチパネル126は、表示部124に重畳して設けられており、指やペンによるユーザからのタッチ操作を受け付ける。端末装置100は、タッチパネル126に限らず、各種ボタンやジョイスティック、タッチパッドなどの他の入力装置を備えてもよい。
【0015】
通信部128は、通信キャリア70を介した配達管理サーバ200とのデータ通信、或いは無線LAN通信などを行うための回路を備える。
【0016】
CPU110は、端末装置100の各部の制御を統括する。記憶部120には、配達用アプリケーションプログラム(以下、配達アプリという)が格納されている。CPU110が、記憶部120に格納された配達アプリを実行することにより、特定部112、判断部114、提案部116など、図1に示した各機能部が実現される。これらの機能部は、回路などのハードウェアによって実現されてもよい。配達アプリは、メモリカードなどの一時的でない有形な記録媒体に記録されていてもよい。
【0017】
記憶部120には、配達アプリに加えて、荷物情報及び地図情報が記憶される。CPU110は、端末装置100を利用する配達員に割り当てられた荷物情報を、配達管理サーバ200の荷物データベース224から取得して記憶部220に記憶させる。また、CPU110は、測位部122によって測位された現在位置周辺の地図情報を配達管理サーバ200から取得して記憶部220に記憶させる。
【0018】
特定部112は、荷物情報から、配達対象の荷物と、その配達先とを特定する。判断部114は、特定された荷物及び配達先の少なくとも一方に応じて、配達員に台車60の使用を提案するか否かを判断する。提案部116は、判断部114による判断の結果に従って、表示部124に所定の表示を行うことによって配達員に台車60の使用を提案する。これらの機能部によって実現される処理内容を、以下、フローチャートを参照して説明する。
【0019】
図3は、台車使用提案処理のフローチャートである。この処理は、配達員に対して台車60の使用を提案するための処理であり、端末装置100において配達アプリが実行されている間に実行される。
【0020】
ステップS10において、端末装置100の特定部112は、配達員からの指示に従い、記憶部120に記憶された荷物情報から、配達対象の荷物と、配達対象の荷物の配達先とを特定する。
【0021】
図4は、配達対象の荷物を特定するための画面の例を示す図である。端末装置100の表示部124には、現在位置周辺の地図が表示される。地図は、配達員によるタッチ操作により、拡大、縮小、スクロールなどを行うことができる。また、画面上に配置されている検索ボックスに住所や郵便番号を入力することにより、任意の地点の地図を表示することができる。地図上には、荷物のアイコンが表示される。各アイコンの位置は、そのアイコンが表す荷物の配達先の住所に対応する位置である。各アイコンには、荷物の配達時間帯を表す情報が表示されている。「AM」は、午前中を表し、「14」は14~16時を表し、「16」は16~18時を表し、「18」は、18~20時を表す。なお配達時間帯は、文字や数値によって表されるのではなく、色分け表示されてもよい。画面上には、配達員がその日に配達すべき荷物の残数が表示されている。
【0022】
配達員は、地図上に表示された荷物のアイコンをタッチする。すると、特定部112は、そのアイコンに対応する荷物を配達対象の荷物と特定し、特定された荷物に対応する配達先を、配達対象の荷物の配達先として特定する。配達対象の荷物の配達先に対して荷物情報に複数の荷物が登録されている場合には、それら全ての荷物が配達対象として特定される。なお、表示部124には、荷物がリスト状に表示され、配達員はそのリストの中から配達対象の荷物を選択してもよい。また、地図上に荷物が表示される表示態様と、リスト状に荷物が表示される表示態様とが切り替え可能であってもよい。配達対象の荷物及び配達先が特定されると、特定部112は、その荷物の荷物情報を表示部124に表示する。
【0023】
図5は、荷物情報が表示された画面の例を示す図である。上記ステップS10において配達対象の荷物及び配達先が特定されると、特定部112は、特定した配達先の周辺の地図を拡大して画面の上半分に表示する。そして、画面の下半分に、その荷物の荷物情報を表示する。図5では荷物情報として、荷物の配達先の住所及び受取人の名前の情報が表示されている。なお、荷物情報としては、これら以外に、荷物ID、受取人の電話番号、荷物のサイズ、荷物の種類などが表示されてもよい。
【0024】
なお、図5に示した例では、画面の下半分の一部に、「ナビ」ボタンBTが表示されている。配達員によってこの「ナビ」ボタンBTが押されると、CPU110は、現在位置から地図上に表示されている荷物の配達先までの経路探索を配達管理サーバ200に要求する。配達管理サーバ200は、この要求に従って、車両用の道路ネットワークデータを用いて経路探索を行い、探索された経路を表す経路情報を、端末装置100に送信する。CPU110は、配達管理サーバ200から経路情報を受信し、その経路を表示部124に表示することで、配達員に対して経路案内を行う。
【0025】
図3のステップS20において、判断部114は、ステップS10で特定された配達先への配達に台車60が使用可能であるか否かを判断する。具体的には、本実施形態では、まず、判断部114が、現在位置、又は、配達先近辺の駐車可能スペース(例えば、駐車場や駐停車可能な道路)から配達先までの経路探索を配達管理サーバ200に要求する。配達管理サーバ200のCPU210は、地図情報222に含まれる台車用の道路ネットワークデータを用いて、配達先までの経路探索を行い、探索結果を端末装置100に送信する。判断部114は、配達管理サーバ200から送信された探索結果に、配達先まで到達する経路が含まれていれば、配達先への配達に台車60が使用可能であると判断する。これに対して、配達管理サーバ200から経路が送信されなかった場合、又は、送信された経路が配達先まで到達しない経路であった場合、判断部114は、配達先への配達に台車60が使用不能であると判断する。配達先まで到達しない経路とは、例えば、配達先から所定距離以上(例えば、50m以上)離れた地点が目的地となる経路である。台車60が使用不能と判断した場合、判断部114は、台車60の使用を提案しないと判断し、当該台車使用提案処理を終了させる。
【0026】
ステップS20において、配達先への配達に台車60が使用可能と判断された場合、判断部114は、ステップS30において、台車60の使用を提案するか否かを判断するための台車使用判断処理を実行する。本実施形態では、判断部114は、予め定められた複数の条件に基づき、台車60の使用を提案するか否かを判断する。
【0027】
図6は、台車使用判断処理において用いる条件の一覧を示す図である。本実施形態では判断部114は、荷物情報を参照して、配達対象として特定された荷物及びその配達先が、図6及び以下に示す条件1~条件6の少なくとも何れか一つに該当する場合に、台車60の使用を提案すると判断する。
【0028】
・条件1:配達対象の荷物のサイズが予め定められたサイズ(例えば、「大」)以上のサイズである。
・条件2:サイズに応じた点数×個数の合計値が閾値以上である。
・条件3:一の配達先に対して、配達対象の荷物が予め定められた個数(例えば、3個)以上ある。
・条件4:配達対象の荷物の配達先と同一の集合住宅内に複数の配達先がある。
・条件5:配達対象の荷物の配達先から予め定められた距離範囲(例えば、50m)内に複数の配達先がある。
・条件6:荷物の種類が、予め定められた特定の種類である。
【0029】
条件1によれば、配達対象の荷物のサイズが大きい場合に、台車60の使用が提案されることになるので、配達員は荷物を効率的に配達できる。
【0030】
条件2は、配達先に対して複数の荷物が特定された場合の条件である。本実施形態では、「大」サイズには5点、「中」サイズには4点、「小」サイズには2点、「封筒」サイズには1点などと、荷物のサイズ毎に予め点数が定められているものとする。判断部114は、複数の荷物のそれぞれのサイズと点数とを乗算し、それらを積算して点数の合計値を算出する。その合計値が、予め定められた閾値(例えば、7点)以上となる場合に、判断部114は、台車60の使用を提案すると判断する。閾値は、例えば、台車60の積載可能容積や積載可能重量に応じて定められている。この条件2によれば、配達員は台車60に対して複数の荷物を効率的に搭載できるので、配達を効率的に行うことができる。
【0031】
条件3によれば、一の配達先に対して複数の荷物の配達が必要の場合に、台車60の使用が提案されることになるので、一の配達先に対して荷物を効率的に配達できる。
【0032】
条件4によれば、同一集合住宅内の複数の配達先に対して台車60の使用が提案されることになるので、配達車両50に戻ることなく同一集合住宅内の複数の配達先に対して効率的に荷物を配達できる。特定された配達先と同一の集合住宅内に複数の配達先があるか否かは、例えば、荷物情報に含まれる住所情報を参照することで判断できる。
【0033】
条件5によれば、近隣の複数の配達先に対して台車60の使用が提案されることになるので、配達車両50に戻ることなく複数の配達先に対して効率的に荷物を配達できる。予め定められた距離範囲内に複数の配達先が存在するか否かは、例えば、特定された配達先の経緯度と、荷物情報に含まれる他の配達先の経緯度とに基づきそれらの距離を算出することで判断できる。閾値となる距離範囲と配達の効率性の関係は、配達員の運動能力によって異なる場合がある。そのため、閾値となる距離範囲は、表示部124上に表示されるスライドバー等によって、配達員が任意に設定可能であってもよい。
【0034】
条件6によれば、荷物の種類に応じて台車60を使用すべきか否かを提案できる。例えば、割れ物以外について台車60の使用を提案し、割れ物については台車60の使用を提案しないこととすれば、割れ物の荷物に台車60の振動等の影響が及ぶことを抑制できる。台車60の使用を許可する荷物の種類と配達の効率性の関係は、配達員の技量によって異なる場合がある。そのため、台車60の使用を許可する荷物の種類は、表示部124上に表示されるチェックボックス等によって、配達員が任意に設定可能であってもよい。
【0035】
図3のステップS40では、上記台車使用判断処理において、台車60の使用を提案すると判断したか否かを判断する。台車60の使用を提案しないと判断された場合、判断部114は、当該台車使用提案処理を終了させる。一方、台車60の使用を提案すると判断された場合、提案部116は、ステップS50において、表示部124を制御して、台車60の使用を配達員に提案する。
【0036】
図7は、提案部116によって台車60の使用が提案された場合の画面の例を示す図である。本実施形態において、提案部116は、表示部124に台車マークMKを表示することで、配達員に対して台車60の使用を提案する。
【0037】
図8は、配達員が、画面上の台車マークMKをタッチした場合に表示される画面の例を示す図である。配達対象の荷物及び配達先が上記条件4、5を満たす場合、配達員が、画面上の台車マークMKをタッチすることで、CPU210は、表示部124に、配達対象の複数の荷物の荷物情報を表示すると共に、配達対象の荷物を表すアイコンを、地図上に複数表示する。こうすることで、配達員は、台車60に乗せる荷物とその配達先を容易に確認することができる。
【0038】
以上で説明した本実施形態の配達システム10によれば、配達対象の荷物とその配達先とに応じて台車60の使用が提案される。そのため、配達員は、経験によらず、台車60を使用するか否かを容易に判断できる。この結果、配達効率を向上させることができる。
【0039】
また、本実施形態では、台車60が使用できない配達先については、台車60の使用が提案されない。そのため、台車60が使用できない配達先に対して、台車60の使用が提案されることがないので、台車60への荷物の無駄な積み込み作業が発生することを抑制できる。
【0040】
なお、上述した台車使用提案処理では、ステップS20において台車60の使用が不可と判断された場合、或いは、ステップS40において台車60の使用を提案しないと判断された場合、CPU210は、図9に示すように、台車マークMKに×印を付したりグレーアウトしたりするなどして、台車60の使用を推奨しないこと配達員に報知してもよい。
【0041】
B.他の実施形態:
(B1)上記実施形態では、特定部112、判断部114、提案部116の各機能部が、端末装置100のCPU210によって実現される。これに対して、これらの機能部の一部又は全部は、配達管理サーバ200のCPU210によって実現されてもよい。
【0042】
(B2)上記実施形態では、判断部114は、台車60が通行可能な道路の繋がり状態を表す道路ネットワークデータを用いて台車60の使用可否を判断している。これに対して、例えば、配達先となり得る各住所に対して、台車60の使用可否を表す情報を属性情報として予め対応付けておき、判断部114は、その属性情報を参照することで、台車60の使用可否を判断してもよい。属性情報は、台車60の使用可否を表す情報以外にも、例えば、宅配ボックスの有無や、玄関までの段差又は階段の有無、などの情報を含んでもよい。判断部114は、台車60の使用可否を表す情報として、玄関までの段差又は階段の有無を表す情報を用いてもよい。この場合、判断部114は、玄関までに段差又は階段が存在する配達先に対しては、台車60が使用できないと判断する。
【0043】
(B3)上記実施形態において、判断部114は、図6に示す条件のすべてを判断する必要はなく、これらのうちの一又は複数の条件を判断することによって、台車60の使用を提案するか否かを判断してもよい。
【0044】
(B4)上記実施形態において、図3に示した台車使用提案処理のステップS20の処理は省略してもよい。つまり、判断部114は、配達先に対する台車60の使用可否を判断しなくてもよい。
【0045】
(B5)上記実施形態において、端末装置100の記憶部220に、地図情報222及び荷物データベース224を記憶させることで、端末装置100単体で配達システムを構成することも可能である。
【0046】
(B6)上記実施形態において、端末装置100の判断部114は、配達員によって配達対象の荷物が特定される前に、図4に示した各配達先に対して台車60が使用可能であるか否かを判断し、その判断結果に従って、各配達先に対応するアイコンの色や形状を変更してもよい。こうすることで、配達員は、地図上に表示されたアイコンを参照するだけで、その配達先に対して台車60が使用可能であるかを確認できる。そのため、配達効率を向上させることができる。
【0047】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、或いは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
10…配達システム、50…配達車両、60…台車、70…通信キャリア、80…インターネット、100…端末装置、110…CPU、112…特定部、114…判断部、116…提案部、120…記憶部、122…測位部、124…表示部、126…タッチパネル、128…通信部、200…配達管理サーバ、202…通信部、210…CPU、220…記憶部、222…地図情報、224…荷物データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9