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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173188
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】輻射ヒータ
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/00 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
H05B3/00 310C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091425
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】入江 将嗣
【テーマコード(参考)】
3K058
【Fターム(参考)】
3K058AA94
3K058BA01
3K058CA02
3K058CA23
3K058CA62
3K058CB02
3K058CE05
3K058CE12
3K058CE19
3K058CE29
(57)【要約】
【課題】輻射ヒータを簡易な構成とする。
【解決手段】輻射ヒータ10は、正温度係数特性を有する第1発熱体110と、前記第1発熱体の抵抗値を検出する検出部200と、前記第1発熱体への通電を制御する制御部であって、前記第1発熱体の抵抗値に基づく前記第1発熱体の温度に応じて前記第1発熱体への通電のオン・オフを切り替える、制御部400と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輻射ヒータ(10)であって、
正温度係数特性を有する第1発熱体(110)と、
前記第1発熱体の抵抗値を検出する検出部(200)と、
前記第1発熱体への通電を制御する制御部であって、前記第1発熱体の抵抗値に基づく前記第1発熱体の温度に応じて前記第1発熱体への通電のオン・オフを切り替える、制御部(400)と、
を備える輻射ヒータ。
【請求項2】
請求項1に記載の輻射ヒータであって、
前記第1発熱体は、抵抗変態点が60度である材料で形成されており、
前記制御部は、前記第1発熱体の抵抗値に基づいて前記第1発熱体が60度以上であることを検出すると、前記第1発熱体への通電をオフする、
輻射ヒータ。
【請求項3】
請求項2に記載の輻射ヒータであって、
絶縁性材料により形成された第1フレキシブル基板(120)、
をさらに備え、
前記第1発熱体は、前記第1フレキシブル基板上に配置された前記正温度係数特性を有する材料の層(110a、110b)から構成されている、
輻射ヒータ。
【請求項4】
請求項3に記載の輻射ヒータであって、
前記制御部は、
前記第1発熱体へ通電がオンになっている間に、前記第1発熱体の抵抗値に基づいて前記第1発熱体の温度があらかじめ設定された第1基準温度(T_off11)以上であることを検出した場合、
および、
前記第1発熱体へ通電がオンになっている間に、前記第1発熱体の抵抗値に基づいて前記第1発熱体の温度があらかじめ設定された第2基準温度(T_off12)以下であることを検出した場合に、
前記第1発熱体への通電をオフする、
輻射ヒータ。
【請求項5】
請求項4に記載の輻射ヒータであって、
第2フレキシブル基板(150)と、前記第2フレキシブル基板上に配置され、前記正温度係数特性を有する材料の層(140a、140b、140c)から構成される第2発熱体(140)と、をさらに備え、
前記第1発熱体は、前記正温度係数特性を有する材料から形成された複数の第1要素(110a)を含み、
複数の前記第1要素は、前記第1フレキシブル基板上において直列に接続されており
前記第2発熱体は、前記正温度係数特性を有する材料から形成された複数の第2要素(140a)を含み、
複数の前記第2要素は、前記第2フレキシブル基板上において並列に接続されており、
前記検出部は、
前記第1発熱体を構成する複数の前記第1要素の直列合成抵抗値(Rt1)を検出し、
前記第2発熱体を構成する複数の前記第2要素の並列合成抵抗値(Rt2)を検出し、
前記制御部は、
前記直列合成抵抗値があらかじめ設定された第1基準値(R11)以上である場合、および、前記並列合成抵抗値があらかじめ設定された第2基準値(R22)以下である場合、前記第1発熱体および前記第2発熱体への通電をオフする、
輻射ヒータ。
【請求項6】
請求項5に記載の輻射ヒータであり、
前記第1発熱体を構成する複数の前記第1要素は、2以上の前記第1要素をそれぞれ含む2以上の第1要素グループに分けられ、
同一の前記第1要素グループに属する2以上の前記第1要素は直列に接続され、
異なる前記第1要素グループにそれぞれ属する2以上の前記第1要素は互いに接続されておらず、
前記第2発熱体を構成する複数の前記第2要素は、2以上の前記第2要素をそれぞれ含む2以上の第2要素グループに分けられ、
同一の前記第2要素グループに属する2以上の前記第2要素は並列に接続され、
異なる前記第2要素グループにそれぞれ属する2以上の前記第2要素は互いに接続されておらず、
前記検出部は、
前記第1要素グループそれぞれについて、前記第1要素グループに属する2以上の前記第1要素についての第1合成抵抗値を検出し、
前記第2要素グループそれぞれについて、前記第2要素グループに属する2以上の前記第2要素についての第2合成抵抗値を検出し、
前記制御部は、
検出された前記第1合成抵抗値を用いて、通電をオフする前記第1要素グループを特定し、特定した前記第1要素グループと、特定した前記第1要素グループと重なり合う位置に配置されている前記第2要素グループへの通電をオフし、
検出された前記第2合成抵抗値を用いて、通電をオフする前記第2要素グループを特定し、特定した前記第2要素グループと、特定した前記第2要素グループと重なり合う位置に配置されている前記第1要素グループへの通電をオフする
輻射ヒータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、輻射ヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、輻射熱を放射する輻射ヒータについての技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/061702号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、ヒータ本体部の温度変化を検出する温度センサが設けられ、サーミスタ等の温度センサにより検出された温度に基づいて、ヒータ本体部の温度が制御される輻射ヒータについて記載されている。
【0005】
また、安全の観点から人または物のヒータ本体部への接触を検出するため、人または物のヒータ本体部への接触を検出するため、サーミスタ等の温度センサを用いてヒータ本体部の温度を検出することがある。ヒータ本体部の全体の温度分布を検出する場合には、複数の温度センサを用意し、個々の温度センサから検出値を得る必要があった。よって、ヒータ本体部の全体の温度分布の変化を簡易な構成で検出できる技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態によれば、輻射ヒータ(10)が提供される。この輻射ヒータは、正温度係数特性を有する第1発熱体(110)と、前記第1発熱体の抵抗値を検出する検出部(200)と、前記第1発熱体への通電を制御する制御部であって、前記第1発熱体の抵抗値に基づく前記第1発熱体の温度に応じて前記第1発熱体への通電のオン・オフを切り替える、制御部(400)と、を備える。
【0007】
上記形態によれば、正温度係数特性を有する第1発熱体の抵抗値に基づいて第1発熱体の温度を検出する。これにより、輻射ヒータに温度センサを別途設ける必要がない。よって、輻射ヒータを簡易な構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】輻射ヒータの配置例を示す説明図である。
図2】輻射ヒータの概略構成を表すブロック図である。
図3】ヒータ本体部の構成を表す説明図である。
図4】温度の上昇時のヒータの制御についての説明図である。
図5】温度の低下時のヒータの制御についての説明図である。
図6】第2実施形態にかかるヒータ本体部の構成を表す説明図である。
図7】他の実施形態1にかかるヒータ本体部の構成を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
図1に示すように、輻射ヒータ10は、車両の暖房装置として用いられる。輻射ヒータ10は、ステアリングホイールSWの下部に配置された内部パネルIPの表面に設けられている。より具体的には、輻射ヒータ10は、乗員VPが座席VCに座っている状態において、乗員VPの下腿に対向する位置に配置されている。
【0010】
図2に示すように、輻射ヒータ10は、コントローラ50と、ヒータ本体部100とを備える。
【0011】
図3に示すように、ヒータ本体部100は、第1発熱体110と、第1基板120とを備える。第1発熱体110は、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータである。
【0012】
第1発熱体110は、一端に設けられた接点と他端に設けられた接点との間に電圧がかけられることにより通電されると発熱する。第1発熱体110は、正温度係数特性を有する材料により形成されている。このため、第1発熱体110の温度があらかじめ定められた抵抗変態点を超えるまで、第1発熱体110の抵抗値はほぼ一定である。第1発熱体110の温度が抵抗変態点を超えると、第1発熱体110の抵抗値は急激に上昇する。抵抗変態点は、第1発熱体110の抵抗値が急激に上昇する温度である。抵抗変態点はキュリー温度と一致する。第1発熱体110の抵抗値が急激に上昇するとは、抵抗変態点を超えた後の温度上昇による抵抗値の増加率が、抵抗変態点を超える前の温度上昇による抵抗値の増加率に比べて10倍以上となることをいう。第1発熱体110の抵抗変態点は温度TC1である。第1発熱体110の抵抗変態点である温度TC1は、第1発熱体110を形成する材料に応じて定められる。例えば、第1発熱体110について温度TC1は120度に設定されている。
【0013】
第1基板120は、絶縁性材料で形成されたフレキシブル基板である。第1基板120は、フィルム状に形成されている。第1基板120の上側(+Z側)の面に第1発熱体110が配置される。第1基板120を第1フレキシブル基板ともよぶ。
【0014】
第1発熱体110は、複数の発熱部110aおよび複数の接続部110bを含む。第1基板120上に導電性の粒子を含有したPTCインクを印刷することにより、複数の発熱部110aおよび複数の接続部110bが形成される。PTCインクは、例えば、導電性の材料と樹脂を含む有機質材料から構成される。導電性の材料は、例えば、カーボン、銀である。図3に示す例では、複数の発熱部110aは帯状に形成されている。複数の発熱部110aはY軸方向に沿って延びて配置されている。なお、発熱部110aの形状は任意である。複数の発熱部110aはX軸方向に沿って配列されている。接続部110bは隣り合う2つの発熱部110aの端部をY軸上の同じ位置で接続する。
【0015】
第1発熱体110の一端に設けられた接点と他端に設けられた接点とはコネクタCN1に接続されている。コネクタCN1は、不図示の配線を介して、コントローラ50が備える不図示のコネクタに接続される。このようにして、第1発熱体110は、コントローラ50に電気的に接続される。複数の発熱部110aが数珠つなぎで接続されているため、複数の抵抗が直列接続された回路とみなすことができる。このようにして、複数の発熱部110aは直列に接続されている。ヒータ本体部100は可撓性を有するシート状に構成されているため、ヒータ本体部100の形状の自由度が高い。よって、ヒータ本体部100は幅広い設置場所に対応して設置可能である。なお、ヒータ本体部100が車両に設置された後、外部から力が加えられることにより、ヒータ本体部100が変形させられることは想定していない。
【0016】
図2に示す、コントローラ50は、検出部200と、電源部300と、制御部400とを備える。検出部200は、決められた時間間隔で第1発熱体110の抵抗値を検出する。検出部200は、電流検出部210と、電圧検出部220とを備える。図2図3においては図示していないが、第1発熱体110の一方の接点にシャント抵抗が直列に接続されている。シャント抵抗の抵抗値は既知である。電流検出部210は、ヒータ駆動部410からヒータ本体部100に流れる電流量を検出する。電圧検出部220は、シャント抵抗の両端の電位差を検出する。また、電圧検出部220は、第1発熱体110の一方の接点と他方の接点との間の電位差を検出する。
【0017】
電源部300は、車両に備えられている不図示のバッテリーから供給された電源の電圧を適宜変換して、電圧変換後の電源を後述するヒータ駆動部410に供給する。
【0018】
制御部400は、ヒータ駆動部410と演算部420とを備える。
【0019】
ヒータ駆動部410は、電源部300と第1発熱体110とを電気的に接続または切断するためのスイッチング素子を備える。ヒータ駆動部410は、演算部420から受ける指令に応じて第1発熱体110への通電のオン・オフを切り替える。また、ヒータ駆動部410は、第1発熱体110へ通電する際には、演算部420の演算処理により決定された出力電圧で第1発熱体110に電流を流す。
【0020】
演算部420は、プロセッサ、メモリを備えるマイクロコンピュータである。演算部420は、シャント抵抗の両端の電位差についての検出値とシャント抵抗の既知の抵抗値と基づいて第1発熱体110を流れる電流値を演算する。さらに、演算部420は、求めた電流値と、電圧検出部220により検出された接点C1と接点C2との間の電圧値と、に基づいて第1発熱体110の抵抗値を求める。演算部420は、第1発熱体110の抵抗値に基づいて第1発熱体110の温度を求める。例えば、演算部420は、例えば、あらかじめ用意されている第1発熱体110の抵抗値と、第1発熱体110の温度との対応関係を表す変換テーブルを用いて、第1発熱体110の温度を求める。
【0021】
演算部420は、第1発熱体110の抵抗値に基づく第1発熱体110の温度に応じて、第1発熱体110への通電のオン・オフをヒータ駆動部410を介して切り替える。また、第1発熱体110への通電をオンする際には、演算部420は、第1発熱体110の温度をあらかじめ設定された温度T_normalに維持するための出力電圧を決定し、決定した出力電圧を指定する指令をヒータ駆動部410に出力する。温度T_normalは、例えば、乗員VPが十分な暖かさを得られる程度に、第1発熱体110が輻射熱を放射できる温度である。
【0022】
演算部420は、第1発熱体110への通電がオンになっており、温度上昇により、第1発熱体110の温度があらかじめ定められた温度T_off11に達した場合に、第1発熱体110への通電をオフする指令をヒータ駆動部410に出力する。温度T_off11は温度T_normalより高い温度として設定されている。温度T_off11は第1発熱体110が維持すべき温度の範囲の上限値である。温度T_off11を第1基準温度ともよぶ。第1発熱体110の温度が温度T_off11以上となることは、第1発熱体110の温度が維持すべき温度の範囲から外れたことを意味する。温度T_off11のときの第1発熱体110の抵抗値が抵抗値R11であるとする。演算部420が備えるメモリには、第1発熱体110の温度が温度T_off11のときの第1発熱体110の抵抗値R11の情報があらかじめ格納されている。演算部420は、第1発熱体110への通電がオンになっている間に第1発熱体110の抵抗値が抵抗値R11以上となった場合に、第1発熱体110への通電をオフするための指令をヒータ駆動部410へ出す。この結果、第1発熱体110への通電がオフされる。
【0023】
例えば、第1発熱体110の温度の上昇は以下のような場合に生じる。第1発熱体110に断熱性の高い物質が接触して、接触している部分において熱がこもることがある。よって、第1発熱体110の温度が温度T_off11以上に上昇することがある。過昇温を抑制するため、演算部420は、第1発熱体110の温度が温度T_off11以上となると第1発熱体110への通電をオフする。
【0024】
図4に、第1発熱体110の温度が上昇した場合の演算部420による第1発熱体110への通電の制御の一例を示す。図4において、縦軸の「ヒータ温度」は第1発熱体110の温度を表し、横軸の「時間」は制御開始からの経過時間を表す。図4に示す例では、演算部420は、時刻T0に第1発熱体110への通電をオンしている。時刻T1に、第1発熱体110の温度が温度T_normal以上となっている。時刻T2に、第1発熱体110の温度が温度T_off11に達している。演算部420は、第1発熱体110の抵抗値に基づいて第1発熱体110の温度が温度T_off11に達したことを検出する。このため、演算部420は、時刻T3に第1発熱体110への通電をオフする。時刻T1から時刻T3の間の温度の上昇は、例えば、第1発熱体110に断熱性の高い物質が接触して、接触している部分において熱がこもっていることを示す。その後、演算部420は、第1発熱体110の抵抗値に基づいて第1発熱体110の温度があらかじめ決められた温度以下に低下したことを検出すると、第1発熱体110への通電をオンする。もしくは、演算部420は、あらかじめ決められた時間が経過すると第1発熱体110への通電をオンする。図示する例では、時刻T4に第1発熱体110への通電がオンされている。
【0025】
さらに、演算部420は、第1発熱体110への通電がオンになっており、温度低下により、第1発熱体110の温度があらかじめ定められた温度T_off12に達した場合に、第1発熱体110への通電をオフする指令をヒータ駆動部410に出力する。温度T_off12は温度T_normalより低い温度として設定されている。温度T_off12は第1発熱体110が維持すべき温度の範囲の下限値である。温度T_off12を第2基準温度ともよぶ。第1発熱体110が温度T_off12以下となることは、第1発熱体110の温度が維持すべき温度の範囲から外れたことを意味する。温度T_off12のときの第1発熱体110の抵抗値が抵抗値R12であるとする。演算部420が備えるメモリには、第1発熱体110の温度が温度T_off12のときの第1発熱体110の抵抗値R12の情報があらかじめ格納されている。演算部420は、第1発熱体110への通電がオンになっている間に第1発熱体110の抵抗値が抵抗値R12以下となった場合に、第1発熱体110への通電をオフするための指令をヒータ駆動部410へ出す。この結果、第1発熱体110への通電がオフされる。
【0026】
例えば、第1発熱体110の温度の低下は以下のような場合に生じる。第1発熱体110に人の身体の一部が接触することにより吸熱が起こることがある。よって、第1発熱体110の温度が温度T_off12以下に低下することがある。乗員VPの保護のため、演算部420は、第1発熱体110の温度が温度T_off12以下となると第1発熱体110への通電をオフする。
【0027】
図5に、第1発熱体110の温度が低下した場合の演算部420による第1発熱体110への通電の制御の一例を示す。図5に示す例では、温度低下により、時刻T5に、第1発熱体110の温度が温度T_off12に達している。演算部420は、第1発熱体110の抵抗値に基づいて第1発熱体110の温度が温度T_off12に達したことを検出する。このため、演算部420は、時刻T6に第1発熱体110への通電をオフする。その度、演算部420は、第1発熱体110の抵抗値に基づいて第1発熱体110の温度があらかじめ決められた温度以下に低下したことを検出すると第1発熱体110への通電をオンする。もしくは、演算部420は、あらかじめ決められた時間が経過すると第1発熱体110への通電をオンする。
【0028】
本実施形態においては、演算部420が、正温度係数特性を有する第1発熱体110の抵抗値に基づいて第1発熱体110の温度を検出する。これにより、輻射ヒータ10に、温度センサを別途設ける必要がない。よって、輻射ヒータ10を簡易な構成とすることができる。
【0029】
また、本実施形態においては、例えば、第1発熱体110に断熱性の高い物質が接触することにより第1発熱体110の温度が上昇したことを容易に検出できる。第1発熱体110の温度に応じて、第1発熱体110の過昇温を抑制するために第1発熱体110への通電をオフすることができる。また、例えば、第1発熱体110に人の身体の一部が接触して生じる吸熱により、第1発熱体110の温度が低下したことを容易に検出できる。よって、火傷の発生を防止するため第1発熱体110への通電をオフすることができる。
【0030】
B.第2実施形態:
第2実施形態においては、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。第1実施形態においては、第1発熱体110の抵抗値に基づいて、輻射ヒータ10の温度の上昇および低下を検出した。しかしながら、第1発熱体110においては、第1発熱体110の抵抗値に基づいて温度の低下を検出する精度が高くない。詳細については後述するが、第1発熱体110において複数の発熱部110aが直列に接続されているためである。発熱部110aを第1要素ともよぶ。
【0031】
図6に示すように、第2実施形態において、ヒータ本体部100は、第1発熱体110と、第1基板120と、電気配線130と、第2発熱体140と、第2基板150とを備える。第1発熱体110の構成は第1実施形態と同様である。
【0032】
電気配線130は、電源部300(図2を参照)から供給される電源を第1発熱体110および第2発熱体140に供給するための配線である。電気配線130は、導電性材料でフィルム状に形成されている。電気配線130は、第1基板120の下側(-Z側)の面に接して配置される。電気配線130には、コネクタCN2が設けられている。コネクタCN2は、不図示の配線を介して、コントローラ50が備える不図示のコネクタに接続される。
【0033】
第1発熱体110の一端に設けられた接点C1は、第1基板120に形成されたスルーホールを解して電気配線130に接続されている。第1発熱体110の他端に設けられた接点C2は、第1基板120に形成されたスルーホールを解して電気配線130に接続されている。なお、電気配線130の第1基板120に対向する面の、接点C1に接する部分および接点C2に接する部分を除く範囲には絶縁性材料で絶縁膜が形成されている。
【0034】
第2発熱体140は通電されると発熱する。第2発熱体140は、第1発熱体110と同様に、正温度係数特性を有する材料により構成されている。このため、第2発熱体140の温度があらかじめ定められた第2発熱体140についての抵抗変態点を超えるまで、第2発熱体140の抵抗値はほぼ一定である。第2発熱体140の温度が抵抗変態点を超えると、第2発熱体140の抵抗値は急激に上昇する。第2発熱体140の抵抗変態点は温度TC2である。第2発熱体140の抵抗変態点である温度TC2は、第2発熱体140を形成する材料に応じて定められる。例えば、第2発熱体140についての温度TC2は、第1発熱体110についての温度TC1と同様に、120度に設定されている。
【0035】
第2基板150は、第1基板120と同様に、絶縁性材料で形成されたフレキシブル基板である。第2基板150は、電気配線130の下側(-Z側)の面に接して配置される。第2基板150の上側(+Z側)の面に第2発熱体140が配置される。第2基板150を第2フレキシブル基板ともよぶ。
【0036】
第2発熱体140は、複数の発熱部140a、複数の接続部140b、および、第2接続部140cを含む。発熱部140aを第2要素ともよぶ。第2基板150上に導電性の粒子を含有したPTCインクを印刷することにより、複数の発熱部140aが形成される。複数の接続部140b、および、第2接続部140cは銅線で形成される。銅は、PTCより抵抗温度係数が低い。図4に示す例では、複数の発熱部140aは矩形状に形成されている。なお、発熱部140aの形状は任意である。接続部140bは、X軸方向に沿って延びて配置されている。接続部140bは、X軸方向に沿って配置されている7つの発熱部140aをひとつにまとめて接続する。1つにまとめられた7つの発熱部140aを発熱部群という。第2基板150上には、6つの発熱部群がY軸方向に沿って配列されている。第2接続部140cはY軸方向に沿って伸びて配置されている。第2接続部140cは、接続部140bそれぞれの-X側の端部を接続する。よって、6つの発熱部群が接続される。
【0037】
第2接続部140cの一端に設けられた接点C3は電気配線130に接続されている。各発熱部140aも電気配線130に接続されている。なお、電気配線130の第2基板150に対向する面の、接点C3および各発熱部140aに接する部分を除く範囲には、絶縁性材料で絶縁膜が形成されている。よって、接点C3および各発熱部140aが、電気配線130に電気的に接続されている。各発熱部140aが電気配線130に電気的に接続されているため、複数の抵抗が並列接続された回路とみなすことができる。このようにして、複数の発熱部140aは並列に接続されている。
【0038】
本実施形態において、検出部200(図2を参照)は、第1発熱体110の抵抗値に加え、第2発熱体140の抵抗値を検出する。検出部200は、決められた時間間隔で、第1発熱体110の抵抗値と第2発熱体140の抵抗値とをそれぞれ検出する。抵抗値の検出の方法は、第1実施形態と同様である。検出部200は、第1発熱体110の抵抗値と第2発熱体140の抵抗値とをそれぞれ検出するために必要な構成を備えているものとする。
【0039】
演算部420は、第1発熱体110または第2発熱体140の温度に応じて、第1発熱体110および第2発熱体140への通電のオン・オフを、ヒータ駆動部410を介して切り替える。
【0040】
本実施形態においては、演算部420は、第1発熱体110の抵抗値に基づいて輻射ヒータ10の温度の上昇を検出する。さらに、演算部420は、第2発熱体140の抵抗値に基づいて輻射ヒータ10の温度の低下を検出する。
【0041】
演算部420は、温度上昇により、第1発熱体110の温度があらかじめ定められた温度T_off11に達した場合に、電気配線130への通電をオフする指令をヒータ駆動部410に出力する。温度T_off11は温度T_normalより高い温度として設定されている。温度T_off11は第1発熱体110が維持すべき温度の範囲の上限値である。第1発熱体110の温度が温度T_off11以上となることは、第1発熱体110の温度が維持すべき温度の範囲から外れたことを意味する。温度T_off11のときの第1発熱体110の抵抗値が抵抗値R11であるとする。演算部420が備えるメモリには抵抗値R11の情報があらかじめ格納されている。抵抗値R11を第1基準値ともよぶ。演算部420は、第1発熱体110および第2発熱体140への通電がオンになっている間に検出された第1発熱体110の抵抗値が抵抗値R11以上である場合に、電気配線130への通電をオフするための指令をヒータ駆動部410へ出す。この結果、第1発熱体110および第2発熱体140への通電がオフされる。
【0042】
また、演算部420は、温度低下により、第2発熱体140の温度があらかじめ定められた温度T_off22に達した場合に、電気配線130への通電をオフする指令をヒータ駆動部410に出力する。温度T_off22は、温度T_normalより低い温度として設定されている。温度T_off22は、第2発熱体140が維持すべき温度の範囲の下限値である。第2発熱体140が温度T_off22以下となることは、第2発熱体140の温度が維持すべき温度の範囲から外れたことを意味する。温度T_off22のときの第2発熱体140の抵抗値が抵抗値R22であるとする。演算部420が備えるメモリには抵抗値R22の情報があらかじめ格納されている。抵抗値R22を第2基準値ともよぶ。演算部420は、第1発熱体110および第2発熱体140への通電がオンになっている間に検出された第2発熱体140の抵抗値が抵抗値R22以下である場合に、電気配線130への通電をオフするための指令をヒータ駆動部410へ出す。この結果、第1発熱体110および第2発熱体140への通電がオフされる。
【0043】
以下、第1発熱体110の抵抗値に基づいて輻射ヒータ10の温度の上昇を検出し、第2発熱体140の抵抗値に基づいて輻射ヒータ10の温度の低下を検出する理由を説明する。
【0044】
検出部200が出力する第1発熱体110の抵抗値は、直列に接続された複数の発熱部110aと、複数の接続部110bとの合成抵抗である。本実施形態においては、技術の理解を容易にするため、接続部110bの抵抗値については考慮しない。直列に接続された複数の発熱部110aの合成抵抗Rt1を第1発熱体110の抵抗値として扱う。合成抵抗Rt1を直列合成抵抗値ともよぶ。
【0045】
温度TC21であるときに、各発熱部110aの抵抗値がRs[Ω]であるとする。第1発熱体110が100個の発熱部110aを含むとする。温度TC21であるときの100個の発熱部110aの合成抵抗Rt1は100Rs[Ω]である。例えば、第1発熱体110を構成する100個の発熱部110aのうち、1つの発熱部110aに断熱性の高い物質が接触したとする。この結果、その発熱部110aの温度が上昇し、その発熱部110aの抵抗値がもとの抵抗値の10倍の10Rs[Ω]に増加したとする。残りの99個の発熱部110aの抵抗値は変化していないものとする。この場合、100個の発熱部110aの合成抵抗Rt1を求める式は、Rt1=99Rs+10Rs=109Rsとなる。温度上昇後の合成抵抗Rt1は、109Rs[Ω]となる。温度の上昇前に比べ、合成抵抗Rt1の値が9パーセント増加している。
【0046】
また、検出部200が出力する第2発熱体140の抵抗値は、並列に接続された複数の発熱部140aと、複数の接続部140bと、第2接続部140cとの合成抵抗である。本実施形態においては、技術の理解を容易にするため、接続部140bおよび第2接続部104cの抵抗値については考慮しない。並列に接続された複数の発熱部140aの合成抵抗Rt2を第2発熱体140の抵抗値として扱う。合成抵抗Rt2を並列合成抵抗値ともよぶ。
【0047】
温度TC22であるときに、各発熱部140aの抵抗値が100Rp[Ω]であるとする。第2発熱体140が100個の発熱部110aを含むとする。100個の発熱部140aの合成抵抗Rt2の逆数は、100個の発熱部140aの抵抗の逆数の和で求められる。よって、温度TC22であるときの100個の発熱部140aの合成抵抗Rt2はRp[Ω]である。例えば、第2発熱体140を構成する100個の発熱部140aのうち、1つの発熱部140aに人の身体の一部が接触することにより、吸熱が起こったとする。この結果、その発熱部110aの温度が低下し、その発熱部140aの抵抗値がもとの抵抗値の1/10の10Rp[Ω]に減少したとする。残りの99個の発熱部140aの抵抗値は変化していないものとする。この場合、100個の発熱部140aの合成抵抗Rt2は、Rt2=1/[{99/(100Rp)}+{1/(10Rp)}]と求められる。温度低下後の合成抵抗Rt2は、0.91Rp[Ω]となる。温度の低下前に比べ、合成抵抗Rt2の値が9パーセント低下している。
【0048】
比較のため、温度の低下を第1発熱体110の合成抵抗を用いて検出する例を説明する。温度TC11であるときに、各発熱部110aの抵抗値がRs[Ω]であるとする。100個の発熱部110aの合成抵抗Rt1は100Rs[Ω]である。1つの発熱部110aの温度が低下し、その発熱部110aの抵抗値がもとの抵抗値の1/10の1/10Rs[Ω]に減少したとする。残りの99個の発熱部110aの抵抗値は変化していないものとする。この場合、100個の発熱部110aの合成抵抗を求める式は、Rt1=99Rs+0.1Rs=99.1Rsとなる。合成抵抗は、99.1Rs[Ω]となる。温度の低下前に比べ、合成抵抗の値が、0.9パーセント低下している。
【0049】
このように、温度が低下した場合については、複数の発熱部140aが並列に接続されている第2発熱体140についての合成抵抗Rt2の方が、複数の発熱部110aが直列に接続されている第1発熱体110についての合成抵抗Rt1より、変化の度合いが大きい。これは、正温度係数特性を有する材料における抵抗温度特性が非線形であり、温度上昇による抵抗変化の度合いに比べて温度低下による抵抗変化の度合いが小さいためである。並列に接続されている複数の発熱部140aの合成抵抗Rt2は、各発熱部140aの抵抗値の逆数を用いて求めるため、直列に接続されている複数の発熱部110aの合成抵抗Rt1を用いる態様にくらべて、微少な抵抗変化を検出しやすい。このため、本実施形態においては、第2発熱体140についての合成抵抗値を用いて温度の低下を検出する。よって、発熱体の温度の低下を容易に検出できる。
【0050】
C.他の実施形態:
C1.他の実施形態1:
また、ヒータ本体部100全体を複数の区画に分け、区画した単位でヒータのオン・オフを切り替えてもよい。
【0051】
図7に示すように、第1発熱体110を構成する複数の発熱部110aが2以上のグループに分けられる。図7に示す例では、第1発熱体110を構成する複数の発熱部110aがグループG11,G12,G13,G13の4つのグループに分けられている。各グループには2以上の発熱部110aが含まれる。同一のグループに属する発熱部110aは直列に接続されている。異なるグループに属する2以上の発熱部110aは互いに接続されていない。
【0052】
また、第2発熱体140を構成する複数の発熱部140aが2以上のグループに分けられる。図7に示す例では、第2発熱体140を構成する複数の発熱部140aがグループG21,G22,G23,G23の4つのグループに分けられている。各グループには2以上の発熱部140aが含まれている。同一のグループに属する発熱部140aは並列に接続されている。異なるグループに属する2以上の発熱部140aは互いに接続されていない。
【0053】
また、電気配線130のコネクタの図示は省略しているが、他の実施形態1においては、グループ単位で通電のオン・オフを切り替えることができるように、第1発熱体110および第2発熱体140と、電気配線130との電気的な接続が構成されている。ただし、対応する第1発熱体110についてのグループと第2発熱体140についての2つのグループとは、同時に通電がオンまたはオフされる。対応する第1発熱体110についてのグループと第2発熱体140についてのグループとは、第1基板120と、電気配線130と、第2基板150とが重ねられた状態で、上方から(-Z方向に)ヒータ本体部100を見たときに、重なり合う位置に配置されている2つのグループである。図7に示す例では、グループG11とグループG21とが対応する。グループG12とグループG22とが対応する。グループG13とグループG23とが対応する。グループG14とグループG24とが対応する。
【0054】
検出部200は、第1発熱体110におけるグループ(第1要素グループ)ごとの合成抵抗値(第1合成抵抗値)を検出する。検出されるのは、第1発熱体110における各グループに属する発熱部110aと接続部110bとの合成抵抗値である。また、検出部200は、第2発熱体140におけるグループ(第2要素グループ)ごとに合成抵抗値(第2合成抵抗値)を検出する。検出されるのは、第2発熱体140における各グループに属する発熱部140a、接続部140b、および、第2接続部140cの合成抵抗値である。電流検出部210は、グループ単位で電流量を検出でき、電圧検出部220は、グループ単位で電圧を検出できる構成を備えるものとする。
【0055】
制御部400は、検出された第1発熱体110におけるグループごとの第1合成抵抗値を用いて、通電をオフする第1発熱体110におけるグループを特定する。具体的には、第1合成抵抗値があらかじめ決められた第1閾値以上であるグループが、通電をオフする対象として特定される。第1合成抵抗値が第1閾値以上となることは、そのグループの温度が維持すべき温度の範囲から外れたことを意味する。制御部400は、特定した第1発熱体110におけるグループに属する発熱部110aと、対応する第2発熱体140におけるグループに属する発熱部110aとへの通電をオフする。
【0056】
また、制御部400は、検出された第2発熱体140におけるグループごとの第2合成抵抗値を用いて、通電をオフする第2発熱体140におけるグループを特定する。具体的には、第2合成抵抗値があらかじめ決められた第2閾値以下であるグループが、通電をオフする対象として特定される。第2合成抵抗値が第2閾値以下となることは、そのグループの温度が維持すべき温度の範囲から外れたことを意味する。制御部400は、特定した第2発熱体140におけるグループに属する発熱部140aと、対応する第1発熱体110におけるグループに属する発熱部110aへの通電をオフする。
【0057】
グループごとに通電のオン・オフを切り替えるので、断熱性が高い物体が接触している部位に重なる位置に存在する発熱部110a等が属する第1発熱体110のグループと、対応する第2発熱体140のグループとへの通電をオフし、他のグループについては引き続き通電を継続できる。また、人の身体の一部が接触している部位に重なる位置に存在する発熱部110a等が属する第1発熱体110のグループと、対応する第2発熱体140のグループへの通電をオフし、他のグループについては引き続き通電を継続できる。よって、第1発熱体110および第2発熱体140の全体が停止してしまうことを防止できるので、快適性を向上できる。
【0058】
C2.他の実施形態2:
第1実施形態においては、第1発熱体110の抵抗値が急激に変化する温度TC1が120度に設定される例を説明した。あるいは、第1発熱体110の抵抗値が急激に変化する温度TC1が60度に設定されてもよい。第1実施形態で説明したように、制御部400は、第1発熱体110の抵抗値に基づいて第1発熱体110の温度が60度以上であることを容易に検出でき、第1発熱体110への通電をオフすることができる。第1発熱体110の温度が、接触により瞬時に火傷が生じる温度である60度以上となった場合に、第1発熱体110への通電がオフされることにより、第1発熱体110に人の身体の一部が触れて、火傷してしまうことを防止できる。
【0059】
また、第2実施形態にかかる構成においても、第1発熱体110についての温度TC1および第2発熱体140についての温度TC2を60度に設定してもよい。この場合も、制御部400は、温度が60度以上となったことを容易に検出でき、第1発熱体110および第2発熱体140への通電をオフすることができる。よって、火傷の発生を防止できる。
【0060】
C3.他の実施形態3:
第1実施形態、第2実施形態においては、検出された第1発熱体110および第2発熱体140の抵抗値が、第1発熱体110および第2発熱体140の温度が維持すべき温度の範囲から外れたことを示す場合に、第1発熱体110および第2発熱体140への通電をオフする例を説明した。あるいは、第1発熱体110および第2発熱体140の抵抗値単位時間当たりの変化量が閾値以上である場合に、第1発熱体110および第2発熱体140への通電をオフしてもよい。
【0061】
C4.他の実施形態4:
第1実施形態においては第1基板120がフレキシブル基板である例を説明した。しかしながら、第1基板120はリジッド基板であってもよい。第2基板150もリジッド基板であってもよい。また、配線はフィルム状に形成されていなくてもよい。
【0062】
C5.他の実施形態5:
輻射ヒータ10においては、第1発熱体110の温度があらかじめ設定された温度T_off11以上であることを検出した場合にのみ、通電がオフされてもよい。第1発熱体110の温度があらかじめ設定された温度T_off12以下である場合には、通電が継続されてもよい。この場合、例えば、人の身体の一部が、第1発熱体110に触れないように、第1発熱体110を覆う保護部材が設けられてもよい。保護部材は、金属あるいは樹脂により形成されたメッシュ状の板状部材であってもよい。
【0063】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0064】
10…輻射ヒータ、100…ヒータ本体部、110…第1発熱体、110a…発熱部、110b…接続部、120…第1基板、130…電気配線、140…第2発熱体、140a…発熱部、140b…接続部、140c…第2接続部、150…第2基板、200…検出部、300…電源部、400…制御部、410…ヒータ駆動部、420…演算部、Rt1…合成抵抗、Rt2…合成抵抗、T_off11…温度、T_off22…温度、TC1…温度、TC2…温度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7