(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173194
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】射出装置とこれを備えた射出成形機、及び射出成形機の改造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/60 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B29C45/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091435
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】堀本 優也
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AP06
4F206JA07
4F206JD03
4F206JL03
4F206JP14
4F206JP30
4F206JQ11
4F206JQ90
4F206JT02
4F206JT37
4F206JT40
(57)【要約】
【課題】スクリュに連結軸が取り付けられた射出装置において、スクリュの傾きを抑制する。
【解決手段】射出装置3は、シリンダ32と、少なくとも一部がシリンダ32の内部に収容され、回転可能且つシリンダ32の軸方向に移動可能なスクリュ33と、スクリュ33を駆動する駆動軸42と、スクリュ33と駆動軸42とを連結する連結軸41と、スクリュ33と駆動軸42との間に位置し、連結軸41の回転と軸方向の移動を許容し、連結軸41を少なくとも鉛直方向に支持する支持部材52と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、
少なくとも一部が前記シリンダの内部に収容され、回転可能且つ前記シリンダの軸方向に移動可能なスクリュと、
前記スクリュを駆動する駆動軸と、
前記スクリュと前記駆動軸とを連結する連結軸と、
前記スクリュと前記駆動軸との間に位置し、前記連結軸の回転と前記軸方向の移動を許容し、前記連結軸を少なくとも鉛直方向に支持する支持部材と、を有する射出装置。
【請求項2】
前記シリンダに接続され前記連結軸を覆うスペーサ部材を有し、
前記支持部材は、前記連結軸に嵌められたブッシュと、前記スペーサ部材に取り付けられた前記ブッシュの装着部と、を有する、請求項1に記載の射出装置。
【請求項3】
前記ブッシュは前記装着部にはめ合いで装着されている、請求項2に記載の射出装置。
【請求項4】
前記装着部は、前記ブッシュの前記スクリュに近い先端部を保持する保持部を有する、請求項2に記載の射出装置。
【請求項5】
前記ブッシュは無給油ブッシュである、請求項2に記載の射出装置。
【請求項6】
前記連結軸は、前記支持部材が対向可能な区間において、前記スクリュとの接続部と同じ一定の直径を有している、請求項2に記載の射出装置。
【請求項7】
請求項1から6に記載の射出装置と、型締装置と、を有する射出成形機。
【請求項8】
シリンダと、
少なくとも一部が前記シリンダの内部に位置し、前記シリンダに対して回転可能且つ前記シリンダの軸方向に移動可能なスクリュと、
前記スクリュを駆動する駆動軸と、
前記スクリュと前記駆動軸とを連結する連結軸と、
を有する射出成形機の改造方法であって、
前記スクリュと前記駆動軸との間に、前記連結軸の回転と前記軸方向の移動を許容し、前記連結軸を少なくとも鉛直方向に支持する支持部材を取り付けることを有する射出成形機の改造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出装置とこれを備えた射出成形機、及び射出成形機の改造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機は一般に油圧式射出成形機と電動式射出成形機とに分類される。特許文献1には、油圧式射出成形機を電動式射出成形機に改造する方法が記載されている。この方法によれば、油圧式射出成形機を電動式射出成形機に改造する際に、歯車減速機の出力軸とスクリュ駆動軸とが軸継手で連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
射出成形機は主に射出装置と型締装置とから構成される。射出成形機を製作する際には、型締装置を複数のタイプから選択された一つの射出装置と組み合わせることがある。この際、選択された射出装置のスクリュの長さが不足する場合は、特許文献1に記載された思想を適用し、不足する長さを補うためにスクリュに連結軸を取り付けることが考えられる。
【0005】
スクリュに連結軸を取り付けてスクリュ長を実質的に延長すると、連結軸の自重によってスクリュが傾き、スクリュがシリンダに接する可能性がある。これによって微粉末が発生して射出材料に混入したり、射出材料が異常加熱されて変色したりすると、成形品の品質に影響が生じる可能性がある。
【0006】
本開示は連結軸が取り付けられたスクリュの傾きを抑制することが可能な射出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の射出装置は、シリンダと、少なくとも一部がシリンダに収容されたスクリュと、スクリュとスクリュを駆動する駆動軸とを連結する連結軸と、連結軸の支持部材と、を有する。支持部材はスクリュと駆動軸との間に位置し、連結軸の回転と軸方向の移動を許容し、連結軸を少なくとも鉛直方向に支持する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、連結軸が取り付けられたスクリュの傾きを抑制することが可能な射出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る射出成形機の概略正面図である。
【
図4】第1の変形例に係る射出装置の一部を示す正面図である。
【
図5A】第2の変形例に係る支持部材の正面図である。
【
図5B】第2の変形例に係る支持部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<全体構成>
図面を参照して、本発明の射出装置3とこれを備えた射出成形機1の実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係る射出成形機1の概略正面図を示している。射出成形機1は、金型を型締めする型締装置2と、射出される材料を加熱溶融して射出する射出装置3と、から概略構成されている。以下の説明で、スクリュ33の軸方向ないし移動方向をX方向という。X方向は水平方向と平行である。スクリュ33が可動盤24に向かって移動する方向、ないし材料の射出方向を+X方向、スクリュ33が可動盤24から遠ざかる方向を-X方向という。鉛直方向をZ方向という。
【0011】
<型締装置2>
型締装置2は、ベッド21上に固定され固定金型M1が搭載される固定盤22と、ベッド21上をスライド可能な型締ハウジング23と、ベッド21上をスライド可能で可動金型M2が搭載される可動盤24と、を備えている。固定盤22と型締ハウジング23は複数本のタイバー25によって連結されている。可動盤24と型締ハウジング23の間には、金型を開閉するための型締機構26が設けられている。金型を閉じることによって、固定金型M1と可動金型M2との間にキャビティ(図示せず)が形成される。型締機構26は、トグル機構27と、トグル機構27を駆動する型締モータ28と、を有している。図示は省略するが、型締機構26は直圧式の型締機構、つまり油圧式の型締シリンダから構成してもよい。
【0012】
<射出装置3>
射出装置3は基台31上に設けられている 。射出装置3は、シリンダ32と、少なくとも一部がシリンダ32に収容されたスクリュ33と、スクリュ33を駆動する駆動機構34と、を備えている。スクリュ33は駆動機構34によって回転駆動されるとともにX方向に駆動される。すなわち、スクリュ33はスクリュ33のX方向軸C周りを回転可能で、且つシリンダ32の軸方向(X方向)に移動可能である。駆動機構34はカバー(図示せず)で覆われている。シリンダ32の-X方向における端部近傍に、射出される材料を供給するホッパ36が設けられている。
【0013】
シリンダ32の+X方向の先端には、固定金型M1に突き当たって、キャビティに射出材料を供給する射出ノズル37が設けられている。射出装置3はノズルタッチ装置38を備えている。ノズルタッチ装置38は射出装置3を前進させ、それによって射出ノズル37を固定金型M1のスプルーブッシュM3にタッチさせる。ノズルタッチ装置38は駆動機構34と固定盤22とを連結している。ノズルタッチ装置38は油圧装置で構成されることが多い。
【0014】
<駆動機構34>
図2は射出装置3の一部を示す正面図である。スクリュ33は+X方向に最も移動した状態にある。駆動機構34は、連結軸41を介してスクリュ33を駆動する駆動軸42と、駆動軸42をX方向軸Cの周りで回転駆動する回転駆動部43と、駆動軸42を軸方向(X方向)に駆動する軸方向駆動部44と、を有している。回転駆動部43と軸方向駆動部44はモータ、減速装置などで構成することができるが、油圧装置で構成することもできる。駆動軸42が回転することによって、駆動軸42に連結された連結軸41と、連結軸41に接続されたスクリュ33とが回転する。連結軸41が軸方向(X方向)に移動することによって、駆動軸42とスクリュ33が軸方向に移動する。駆動軸42は連結軸41の-X方向の端部領域41Dを受け入れる連結孔45を有している。
【0015】
<連結軸41>
連結軸41はスクリュ33と駆動軸42とを連結する。連結軸41はスクリュ33に接続された接続部41Aと、接続部41Aに接続された遷移部41Bと、遷移部41Bに接続された本体部41Cと、を有している。接続部41Aと遷移部41Bと本体部41Cは円形断面を有している。接続部41Aはスクリュ33の-X方向の端部領域33Bの側面を覆うため、端部領域33Bの外径より大きな外径を有している。本体部41Cの外径は接続部41Aの外径より小さい。遷移部41Bは接続部41Aと本体部41Cの直径差を吸収するために設けられている。
【0016】
接続部41Aの+X方向端部には端部領域33Bを受け入れる連結孔46が設けられている。連結孔46の内面と端部領域33Bの側面にはスプラインが設けられている。このように接続部41Aはスクリュ33とスプライン接続されているため、連結軸41のスクリュ33に対する回転が防止される。
【0017】
本体部41Cの-X方向の端部領域41Dは駆動軸42の連結孔45に支持されている。端部領域41Dの外径は本体部41Cの他の部分の外径と同じである。-X方向の連結孔45の内面と本体部41Cの端部領域41Dの側面にはスプラインが設けられている。このように連結軸41は駆動軸42とスプライン接続されているため、連結軸41の駆動軸42に対する回転が防止される。本体部41C(端部領域41D)の外径は連結孔45の内径に合わせて決定することができる。
【0018】
連結軸41の+X方向の端部に、連結軸41のスクリュ33に対するX方向の移動を防止する内側拘束部材47が設けられている。スクリュ33はフライト33Cが形成された円筒状の主要部33Aと、シリンダ32の外部に位置する円筒状の端部領域33Bと、を有し、内側拘束部材47は端部領域33Bでスクリュ33に取り付けられている。連結軸41の接続部41Aの外面に溝48が設けられ、内側拘束部材47は溝48に嵌り込む爪部47Aを有している。
【0019】
連結軸41の駆動軸42と隣接する部分に、連結軸41の駆動軸42に対するX方向の移動を防止する外側拘束部材49が設けられている。駆動軸42の外面に溝50が設けられ、外側拘束部材49は溝50に嵌り込む爪部49Aを有している。
【0020】
<連結軸41を設ける理由>
ここで、連結軸41を設ける理由について説明する。射出成形機1は主に型締装置と射出装置で構成されるが、型締装置と射出装置は必ずしも一対一に対応しているわけではない。例えば、ある型締装置に対して複数タイプの射出装置から選択された一つの射出装置を組み合わせることがある。射出装置と型締装置の標準的な組み合わせの場合、どの射出装置を選択しても、型締装置及び射出装置の特別の改造は不要である。
【0021】
一方、成形品の仕様等によっては、射出装置と型締装置の標準的な組み合わせ以外の組み合わせがユーザから求められることがある。例えば、大型の型締装置は大型の成形品の製造に用いられるため、一般的には、大型の型締装置は射出体積の大きな射出装置と組み合わせられる。このため、大型の型締装置には射出体積の大きな射出装置が標準組み合わせとして組み合わされる。しかし、平面的に大きく薄肉の成形品を製造するような場合、型締装置は大型のものを必要とする一方、射出装置は射出体積の小さなものを用いることが望ましい。その場合、標準組み合わせの中から一つの射出装置を選択した上で、スクリュ33とシリンダ32をより射出体積の小さな射出装置のものに交換することがある。射出装置の駆動機構34(モータ等)は射出体積に対して余裕があるため、材料の射出性能に関しては大きな問題は生じない。
【0022】
しかし、射出体積の小さな射出装置は一般にスクリュ33とシリンダ32の長さが短いため、スクリュ33を駆動軸42に直接連結すると、シリンダ32の+X方向の先端部はこれに応じて相対的に金型から離れる。従って、シリンダ32がX方向に移動する距離が長くなる。ノズルタッチ装置38の機能上の制約、例えば、油圧シリンダのストロークの制限によってこの移動距離が実現できない場合、射出ノズル37は金型のスプルーブッシュM3にタッチすることができない。このため、スクリュ33とシリンダ32の長さ不足を補うためスクリュ33に連結軸41を連結し、シリンダ32に連結軸41を覆うスペーサ部材51を取り付けている。
【0023】
連結軸41とスペーサ部材51の長さは、射出ノズル37がスプルーブッシュM3にタッチすることができる限り限定されないが、選択された標準組み合わせの射出装置のスクリュ33及びシリンダ32の長さが実質的に維持されるように決定することが好ましい。すなわち、選択された標準組み合わせの射出装置のスクリュ長をS1、連結軸41のX方向長さをS2,交換されたスクリュ(本実施形態におけるスクリュ33)の長さをS3とすると、S1=S2+S3となるようにS2を決定することが好ましい。同様に、選択された標準組み合わせの射出装置のシリンダ長をC1、スペーサ部材51のX方向長さをC2,交換されたシリンダ(本実施形態におけるシリンダ32)の長さをC3とすると、C1=C2+C3となるようにC2を決定することが好ましい。
【0024】
このように連結軸41とスペーサ部材51の長さを設定することで、連結軸41とスクリュ33を合わせた実質的なスクリュ長が、選択された標準組み合わせの射出装置のスクリュ長と一致する。また、スペーサ部材51とシリンダ32を合わせた実質的なシリンダ長が、選択された標準組み合わせの射出装置のシリンダ長と一致する。従って、ノズルタッチ装置38、基台31上に設けられた射出装置3の走行レール(図示せず)等、選択された標準組み合わせの射出装置の部品をそのまま使用することができる。
【0025】
<スペーサ部材51>
スペーサ部材51は金属で作成されている。スペーサ部材51は全体としてX方向に延びて連結軸41を覆う略円筒状の部材である。スペーサ部材51は、シリンダ32に取り付けられた円筒状の基部部分51Aと、基部部分51Aに接続された円筒状の本体部分51Bと、本体部分51Bに接続された円筒状の端部部分51C、とを有している。これらは一体形成してもよいし、ボルトや溶接等で接合してもよい。
【0026】
<支持部材52>
射出装置3は支持部材52を有している。支持部材52は、連結軸41に嵌められたブッシュ53と、ブッシュ53が装着される装着部54と、を有している。装着部54はX方向からみて概ね円形の部材で、外周部がボルト55によってスペーサ部材51の端部部分51Cに固定されている。ブッシュ53は円筒形の部材で、全周で装着部54と接するように、はめ合いによって装着部54に装着されている。従って、ブッシュ53を装着部54に固定するための部材が不要であり、支持部材52の構造が単純化される。支持部材52は連結軸41のX方向軸C周りの回転と軸方向(X方向)の移動を許容し、連結軸41を少なくとも鉛直方向Zに支持する。
【0027】
ブッシュ53は無給油ブッシュであることが好ましい。ブッシュ53と連結軸41との間に潤滑油を注入する必要がないため、メンテナンスがほぼ不要である。ブッシュ53の材料は金属、樹脂のいずれでもよい。樹脂材料として4フッ化エチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどが挙げられる。金属材料として、日本工業規格Z2550;2016「焼結金属材料?仕様」に規定される純鉄系、鉄-銅系、鉄-青銅系、鉄-炭素-黒鉛系、青銅、青銅系の焼結材料、内部空間に潤滑油を含浸させた鋳鉄、銅合金に円筒状の穴をあけて、潤滑油を充填したグラファイトを埋め込んだものなどが挙げられる。
【0028】
支持部材52は連結軸41の自重を支持するため、連結軸41に連結されたスクリュ33の傾きを抑えることができる。連結軸41はスクリュ33と連結されているため、連結軸41が自重で傾くとその影響がスクリュ33に及ぶ。スクリュ33がシリンダ32の内部で傾くと、スクリュ33の回転中及び/または移動中にスクリュ33がシリンダ32の内壁と接触し微粉末が発生する可能性がある。微粉末が射出材料に混入すると、成形品に微粉末が混ざる可能性がある。また、スクリュ33とシリンダ32との接触による発熱で、周辺の射出材料が異常加熱され変色する可能性がある。導光板やレンズのような透明な成形品においては、微粉末や変色部は、例えば黒点や黄変部などの不良部として外部から視認されるため、製品の歩留まりに大きな影響が生じる可能性がある。
【0029】
支持部材52はスクリュ33と駆動軸42との間に位置して連結軸41を支持するため、連結軸41の傾きが減少し、その結果スクリュ33の傾きも減少し、スクリュ33がシリンダ32と接触しにくくなる。連結軸41の傾きの低減のためには、支持部材52をスクリュ33と駆動軸42の中間付近に設置することが好ましい。しかし、
図2に破線で示すように、連結軸41はスクリュ33とともに-X方向に移動するため、連結軸41の接続部41Aや遷移部41Bが支持部材52と接しないようにする必要がある。このため、支持部材52は遷移部41Bが-X方向に最も後退する位置と駆動軸42との間に設置している。
【0030】
図3Cに示すように、装着部54は、ブッシュ53のスクリュ33に近い先端部(+X方向の先端部)を保持する保持部55を有している。保持部55は概ね円筒状の形状を有している。スクリュ33と連結軸41は射出工程時に+X方向に高速で移動する。保持部55は、射出工程時にブッシュ53が連結軸41によって+X方向に引きずられて、装着部54から外れる可能性を低減する。保持部55が連結軸41と接触することを避けるため、保持部55の高さはブッシュ53の厚さより多少低いことが好ましい。すなわち、保持部55の内径D1はブッシュ53の内径D2より若干大きいことが好ましい。
【0031】
一方、計量工程時には、スクリュ33と連結軸41は-X方向に射出工程時よりも低速で移動する。計量工程時にはブッシュ53が装着部54から外れる可能性が低いため、装着部54でブッシュ53を保持する必要性は低い。従って、装着部54の内面の直径D3は保持部55を除き、ブッシュ53の外径D4とほぼ等しい。
【0032】
<第1の変形例>
図4に、第1の変形例の射出装置3の
図2と同様の正面図を示す。本変形例では、連結軸41は、支持部材52が対向可能な区間Fにおいて、スクリュ33との接続部41Aと同じ一定の直径を有している。換言すれば、区間Fは接続部41Aに含まれる。
図4はスクリュ33が+X方向に最も移動した位置にある。この状態からシリンダ32と連結軸41が-X方向に移動すると、内側拘束部材47は破線の位置まで来る。便宜上連結軸41を固定し支持部材52が移動すると仮定すれば、支持部材52は連結軸41に対して破線の位置まで相対移動する。支持部材52が実線で書かれている位置と破線で書かれている位置との間の区間Fで連結軸41は一定の直径となっているので、支持部材52はこの区間Fを連結軸41に対して相対移動可能である。
【0033】
従って、支持部材52をスクリュ33側、つまりスクリュ33と駆動軸42の中間付近に設置することが可能となり、連結軸41の傾きをさらに低減することができる。本変形例ではシリンダ32が-X方向に最も引き込まれた位置で、支持部材52が内側拘束部材47と接しないようにする必要がある。
【0034】
<第2の変形例>
図5A,5Bに第2の変形例の
図3A,3Bと同様の図を示す。支持部材52は連結軸41を少なくとも鉛直方向Zに支持できればよいため、連結軸41の全周を支持する必要はない。ブッシュ53は円筒形でなくてもよい。本変形例ではブッシュ53は鉛直方向Zに関し下側の半円部のみで構成され、これに応じて装着部54も下側の半部のみで構成されている。
【0035】
<射出成形機1の改造方法>
本開示は射出成形機1の改造方法に適用することができる。
図2において支持部材52とスペーサ部材51がない射出装置に支持部材52とスペーサ部材51を設けることで、本実施形態の構成を実現することができる。
【0036】
(付記)本明細書は以下の開示を含む。
[構成1]
シリンダと、
少なくとも一部が前記シリンダの内部に収容され、回転可能且つ前記シリンダの軸方向に移動可能なスクリュと、
前記スクリュを駆動する駆動軸と、
前記スクリュと前記駆動軸とを連結する連結軸と、
前記スクリュと前記駆動軸との間に位置し、前記連結軸の回転と前記軸方向の移動を許容し、前記連結軸を少なくとも鉛直方向に支持する支持部材と、を有する射出装置。
[構成2]
前記シリンダに接続され前記連結軸を覆うスペーサ部材を有し、
前記支持部材は、前記連結軸に嵌められたブッシュと、前記スペーサ部材に取り付けられた前記ブッシュの装着部と、を有する、構成1に記載の射出装置。
[構成3]
前記ブッシュは前記装着部にはめ合いで装着されている、構成2に記載の射出装置。
[構成4]
前記装着部は、前記ブッシュの前記スクリュに近い先端部を保持する保持部を有する、構成2または3に記載の射出装置。
[構成5]
前記ブッシュは無給油ブッシュである、構成2から4のいずれか1項に記載の射出装置。
[構成6]
前記連結軸は、前記支持部材が対向可能な区間において、前記スクリュとの接続部と同じ一定の直径を有している、構成2から5のいずれか1項に記載の射出装置。
[構成7]
構成1から6に記載の射出装置と、型締装置と、を有する射出成形機。
[方法1]
シリンダと、
少なくとも一部が前記シリンダの内部に位置し、前記シリンダに対して回転可能且つ前記シリンダの軸方向に移動可能なスクリュと、
前記スクリュを駆動する駆動軸と、
前記スクリュと前記駆動軸とを連結する連結軸と、
を有する射出成形機の改造方法であって、
前記スクリュと前記駆動軸との間に、前記連結軸の回転と前記軸方向の移動を許容し、前記連結軸を少なくとも鉛直方向に支持する支持部材を取り付けることを有する射出成形機の改造方法。
【符号の説明】
【0037】
1 射出成形機
3 射出装置
32 シリンダ
33 スクリュ
41 連結軸
42 駆動軸
51 スペーサ部材
52 支持部材
53 ブッシュ
54 装着部
55 保持部