IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産自動車株式会社の特許一覧

特開2024-17320データ収集方法、心理的評価予測方法及びデータ収集装置
<>
  • 特開-データ収集方法、心理的評価予測方法及びデータ収集装置 図1
  • 特開-データ収集方法、心理的評価予測方法及びデータ収集装置 図2A
  • 特開-データ収集方法、心理的評価予測方法及びデータ収集装置 図2B
  • 特開-データ収集方法、心理的評価予測方法及びデータ収集装置 図3
  • 特開-データ収集方法、心理的評価予測方法及びデータ収集装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017320
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】データ収集方法、心理的評価予測方法及びデータ収集装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240201BHJP
   A61B 5/18 20060101ALI20240201BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G08G1/00 D
A61B5/18
A61B5/16 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119875
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】岡本 雅己
【テーマコード(参考)】
4C038
5H181
【Fターム(参考)】
4C038PP03
4C038PQ03
4C038PR01
4C038PS00
4C038PS05
4C038PS07
4C038VA17
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181EE02
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL07
5H181LL09
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】予測モデルの機械学習に用いる学習データを効率的に収集する。
【解決手段】周辺情報取得部101が、自車両V1の周辺に存在する他車両V2の情報を含む周辺情報を取得する。心理的情報入力部102は、自車両V1のユーザの心理状態に対応する心理的情報の入力を受け付ける。シーン判別部103は、他車両V2が自車両V1の挙動に影響を与える又は与える可能性がある収集対象のシーンか否かを、周辺情報取得部101が取得した周辺情報に基づいて判別する。収集部104は、収集対象のシーンについて周辺情報取得部101が取得した周辺情報と収集対象のシーンについて心理的情報入力部102が入力を受け付けた心理的情報とを関連付ける。収集部104は、関連付けた周辺情報と心理的情報とを、車両が周辺の移動体の挙動に与える影響を心理的評価として予測する予測モデルの機械学習に用いる学習データとして収集し、記憶部105に記憶させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ又は前記ユーザが乗車する自車両の周辺に存在する他車両の情報を含む周辺情報を取得し、
前記ユーザの心理状態に対応する心理的情報の入力を受け付け、
前記他車両が前記ユーザ又は前記自車両の挙動に影響を与える又は与える可能性がある収集対象のシーンか否かを、前記周辺情報に基づいて判別し、
前記収集対象のシーンについて取得した前記周辺情報と前記収集対象のシーンについて入力を受け付けた前記心理的情報とを関連付けて、車両が周辺の移動体の挙動に与える影響を心理的評価として予測する予測モデルの機械学習に用いる学習データとして収集する、
データ収集方法。
【請求項2】
前記学習データが記憶された記憶部に、前記収集対象のシーンについて取得した前記周辺情報との類似度が所定値以上の前記周辺情報を含む前記学習データが記憶されていない場合に、前記収集対象のシーンに対する前記心理的情報のデータの入力を促す請求項1に記載のデータ収集方法。
【請求項3】
前記ユーザの身体の情報を検出するセンサの出力信号を、前記心理的情報の入力として受け付ける請求項1に記載のデータ収集方法。
【請求項4】
前記周辺情報は、前記他車両の位置及び走行速度のうち少なくとも一方を含む請求項1に記載のデータ収集方法。
【請求項5】
前記周辺情報における前記他車両の予想進路が、前記ユーザ又は前記自車両の予想進路と干渉する場合に、前記収集対象のシーンであると判別する請求項1に記載のデータ収集方法。
【請求項6】
前記周辺情報として、前記ユーザが乗車する前記自車両の周辺に存在する前記他車両の情報を含む情報を取得し、
前記ユーザが乗車する車両の挙動に前記他車両が影響を与える又は与える可能性があるシーンか否かを判別する、
請求項1に記載のデータ収集方法。
【請求項7】
請求項1に記載のデータ収集方法によって収集した前記学習データを用いて前記予測モデルの機械学習を行い、
走行中の車両において取得した前記周辺情報から、前記走行中の車両の前記心理的評価を前記予測モデルにより予測する、
心理的評価予測方法。
【請求項8】
インターネット上のクラウドサーバが、前記自車両から前記学習データを収集し、前記クラウドサーバが、前記学習データを用いて前記予測モデルの機械学習を行う請求項7に記載の心理的評価予測方法。
【請求項9】
前記学習データとして収集されていない前記周辺情報であって、前記収集対象のシーンについて取得した前記走行中の車両の前記周辺情報から、前記心理的評価を前記予測モデルにより予測する請求項7に記載の心理的評価予測方法。
【請求項10】
前記予測モデルにより予測した前記心理的評価を、前記走行中の車両に対して提示する請求項8に記載の心理的評価予測方法。
【請求項11】
前記走行中の車両は、自動運転制御される車両であり、提示する前記心理的評価を前記自動運転制御に反映させる請求項10に記載の心理的評価予測方法。
【請求項12】
前記予測モデルにより、前記心理的評価として、前記心理的評価の社会的平均値又は前記心理的評価の分布を予測する請求項8に記載の心理的評価予測方法。
【請求項13】
ユーザ又は前記ユーザが乗車する自車両の周辺に存在する他車両の情報を含む周辺情報を取得する周辺情報取得部と、
前記ユーザの心理状態に対応する心理的情報が入力される心理的情報入力部と、
前記他車両が前記ユーザ又は前記自車両の挙動に影響を与える又は与える可能性がある収集対象のシーンか否かを、前記周辺情報に基づいて判別するシーン判別部と、
前記収集対象のシーンについて取得した前記周辺情報と前記収集対象のシーンについて入力された前記心理的情報とを関連付けて、車両が周辺の移動体の挙動に与える影響を心理的評価として予測する予測モデルの機械学習に用いる学習データとして収集する収集部と、
を備えるデータ収集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ収集方法、心理的評価予測方法及びデータ収集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、後方車両への影響を考慮した自動運転パターンを生成又は評価するための基礎データを収集する技術が記載されている。この技術では、対象車両を模した被撮影車両が走行する様子を、後方車両を模した周辺車両の運転手の視点位置から撮影し、撮影した映像を記録する。記録した映像をディスプレイで見た被験者は、安全性に関する心理的影響度を申告する。被験者が申告した心理的影響度の情報は、基礎データとして収集する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-79722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1の技術では、被験者に見せる映像を撮影し記録した後でなければ、被験者が心理的影響度を申告できない。映像の場面で後方車両の運転手が感じる心理的影響度を、映像を見た被験者の申告によって基礎データとして収集するまでには、時間と手間がかかる。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、運転中の車両が周辺の移動体の挙動に与える影響を心理的評価として予測する予測モデルの機械学習に用いる学習データを、効率的に収集できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一つの態様では、ユーザ又はユーザが乗車する自車両の周辺に存在する他車両の情報を含む周辺情報を取得する。また、ユーザの心理状態に対応する心理的情報の入力を受け付ける。取得した周辺情報に基づいて、他車両がユーザ又は自車両の挙動に影響を与える又は与える可能性がある収集対象のシーンか否かを判別する。収集対象のシーンについて取得した周辺情報と、収集対象のシーンについて入力を受け付けた前記心理的情報とを関連付けて、学習データとして収集する。収集した学習データは、車両が周辺の移動体の挙動に与える影響を心理的評価として予測する予測モデルの機械学習に用いる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転中の車両が周辺の移動体の挙動に与える影響を心理的評価として予測する予測モデルの機械学習に用いる学習データを、効率的に収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るデータ収集装置及び心理的評価予測装置の構成の一例を示す図である。
図2A図2Aは、図1のシーン判別部が収集対象と判別するシーンの一例を示す図である。
図2B図2Bは、図1のシーン判別部が収集対象と判別するシーンの一例を示す図である。
図3図3は、図1のデータ収集装置において収集する学習データの一例を示す図である。
図4図4は、図1のデータ収集装置及び心理的評価予測装置の各部によるデータ収集処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1を参照して、本発明の一実施形態に係るデータ収集装置及び心理的評価予測装置の構成を説明する。
【0011】
本実施形態に係るデータ収集装置100は、ユーザによって所持され、あるいは、車両に搭載される。データ収集装置100は、本発明の一実施形態に係るデータ収集方法を実行することができる。本実施形態に係る心理的評価予測装置200は、周辺の移動体の挙動に与える影響を心理的評価として予測する対象の車両に搭載してもよく、インターネット上のクラウドサーバに構築してもよい。心理的評価予測装置200を搭載する車両がデータ収集装置100を搭載しているか否かは任意である。心理的評価予測装置200は、本発明の一実施形態に係る心理的評価予測方法を実行することができる。
【0012】
データ収集装置100及び心理的評価予測装置200は、不図示の汎用のマイクロコントローラをそれぞれ有している。マイクロコントローラは、不図示のCPU(Central Processing Unit )及びメモリを備える。メモリは、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。
【0013】
マイクロコントローラは、メモリに記憶させたプログラムをCPUが実行することで、複数の情報処理回路を仮想的に構築することができる。複数の情報処理回路は、後述するデータ収集装置100の各部101~104,106、心理的評価予測装置200の各部201~203を構成するのに用いることができる。
【0014】
本実施形態では、マイクロコントローラに構築される複数の情報処理回路をソフトウェアによって実現する例を示す。もちろん、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。専用のハードウェアは、各部101~104,106,201~203の後述する機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC;application specific integrated circuit )、従来型の回路部品のような装置を含む。
【0015】
データ収集装置100のマイクロコントローラは、仮想的に構築する複数の情報処理回路により、周辺情報取得部101、心理的情報入力部102、シーン判別部103、収集部104及び入力促進部106を構成することができる。
【0016】
周辺情報取得部101は、ユーザ又はユーザが乗車する自車両の周辺に存在する他車両の情報を含む周辺情報を取得する。周辺情報取得部101は、周辺情報を間欠的に繰り返して取得することができる。
【0017】
自車両とは、データ収集装置100を搭載した車両のことである。自車両は、手動運転される車両と自動運転制御される車両との両方を含む。自車両に乗車するユーザとは、手動運転車両の場合は運転者又は乗車者のことであり、自動運転車両の場合は乗車者のことである。周辺情報は、ユーザが乗車した自車両の周辺情報でもよく、車両に乗車していない歩行者等のユーザの周辺情報でもよい。
【0018】
周辺情報における他車両の情報は、他車両の位置及び走行速度のうち少なくとも一方を含む。他車両の位置又は走行速度により、後述する自車両の予想進路と他車両の予想進路とが干渉するか否かを判断しやすくすることができる。他車両の位置及び走行速度は、ユーザ又は自車両に対する相対的な位置及び走行速度であってもよい。
【0019】
周辺情報は、他車両の情報の他、ユーザ又は自車両の周辺の道路の情報を含んでいてもよい。道路の情報は、例えば、交差点、カーブ、車線数等、道路の形状の情報を含む。周辺情報は、ユーザ又は自車両の位置及び速度を含んでいてもよい。
【0020】
ユーザが車両に乗車している場合、車両の周辺情報は、例えば、データ収集装置100を搭載した車両の車両制御装置(ECU;Electronic Control Unit )300から取得することができる。車両制御装置300には、例えば、速度センサ、車外を撮影するカメラ、レーダー、ライダー(LiDAR)等、車両に搭載されたデバイスから、車両の周辺情報が入力される。車両制御装置300は、周辺情報取得部101に、車両の周辺情報を供給することができる。
【0021】
ユーザが車両に乗車していない場合、ユーザの周辺情報は、例えば、ユーザが身に付けたウェアラブル端末装置400から取得することができる。ウェアラブル端末装置400は、例えば、スマートフォンであってもよく、スマートウォッチ等であってもよい。ウェアラブル端末装置400は、内蔵の不図示のカメラ、センサ等のデバイスにより、ユーザの周辺情報を取得することができる。ウェアラブル端末装置400は、周辺情報取得部101に、ユーザの周辺情報を供給することができる。
【0022】
周辺情報は、ユーザ又は自車両の周辺の道路上にいる他車両の情報を含んでいる。周辺情報により、ユーザ又は自車両の周辺の道路に、ユーザ又は自車両と他車両とがどのような位置関係で存在するかを示すシーン(scene )を特定することができる。
【0023】
心理的情報入力部102は、ユーザの心理状態に対応する心理的情報の入力を受け付ける。心理的情報入力部102が入力を受け付ける心理的情報の内容は、ユーザの心理状態の変化に対応して変化する。ユーザの心理状態は、例えば、ユーザ又は自車両の周辺の車両の挙動によって変化する。ユーザの心理的情報は、ユーザ又は自車両の周辺の車両が、ユーザ又は自車両の挙動に与える影響を表す指標と考えることができる。
【0024】
ユーザが車両に乗車している場合、ユーザの心理的情報は、例えば、車両に搭載されたセンサ310を用いて車両制御装置300に収集し、車両制御装置300から心理的情報入力部102に入力することができる。センサ310は、例えば、ユーザの心理的情報として、車両に乗車したユーザの身体の情報を検出するセンサであってもよい。ユーザの身体の情報は、例えば、体温、血圧、心拍数、視線の動き等、ユーザの1又は複数の生体情報を含んでいてもよい。センサ310は、例えば、ユーザの心理的情報として、車両に乗車したユーザの発話内容を検出するセンサであってもよい。
【0025】
ユーザが、車両に乗車していない歩行者である場合、ユーザの心理的情報は、例えば、ユーザのウェアラブル端末装置400によって収集し、ウェアラブル端末装置400から心理的情報入力部102に入力することができる。ウェアラブル端末装置400は、例えば、ウェアラブル端末装置400に内蔵された不図示のセンサによって、車両に乗車したユーザの心理的情報を検出してもよい。ユーザの心理的情報は、例えば、1又は複数の生体情報を含むユーザの身体の情報であってもよく、ユーザの発話内容であってもよい。
【0026】
心理的情報入力部102は、心理的情報入力部102に入力されたユーザの心理的情報を、ユーザの心理状態に対応する心理的評価値に数値化することができる。心理的評価値は、例えば、ユーザが感じる迷惑度の大きさを数値で表したものとすることができる。心理的評価値は、ユーザの身体の情報を数値解析し、又は、ユーザの発話内容を言語解析することで、従来公知の方法を用いて求めることができる。心理的情報の心理的評価値への数値化は、例えば、両者を対応付けたテーブルを用いて行うことができる。
【0027】
心理的情報入力部102は、心理的情報のデータの入力を促すメッセージを、例えば、音声によって出力させてもよい。音声によるメッセージは、例えば、心理的情報入力部102が車両制御装置300又はウェアラブル端末装置400に音声メッセージの出力を要求することで、車両又はウェアラブル端末装置400の不図示のスピーカから出力させることができる。
【0028】
シーン判別部103は、周辺情報取得部101が取得した周辺情報に基づいて、周辺情報の他車両がユーザ又は自車両の挙動に影響を与える又は与える可能性がある収集対象のシーンか否かを判別する。シーン判別部103は、周辺情報からシーンを特定し、特定したシーン中の他車両の予想進路が、例えば、ユーザ又は自車両の予想進路と干渉するような、インタラクティブな関係にある場合に、収集対象のシーンであると判別する。
【0029】
図2Aに示すように、直進する自車両V1に他車両V2が右側から接近するシーンでは、自車両V1の予想進路C1と他車両V2の予想進路C2とが合流して干渉する。高速道路等において、本線の自車両V1に加速車線の他車両V2が接近するシーンでも、予想進路C1,C2が干渉する。信号のないT字路を直進する自車両V1に、T字路の突き当たりで自車両V1の進行方向に左折又は右折する他車両V2が接近するシーン、及び、反対車線の他車両V2がUターンして自車両V1の車線に入るシーンでも、予想進路C1,C2が干渉する。隣の車線の他車両V2が自車両V1の車線に移動するシーン、及び、自車両V1が周回中の環状交差点(ラウンドアバウト)に他車両V2が進入するシーンでも、予想進路C1,C2が干渉する。
【0030】
図2Bに示すように、自車両V1が直進する交差点において、反対車線の他車両V2が自車両V1の車線を跨いで曲がるシーンでは、自車両V1の予想進路C1と他車両V2の予想進路C2とが交差し干渉する。
【0031】
図2A図2Bは、ユーザが自車両V1に乗車する場合の例である。ユーザが歩行者である場合は、図2A図2Bの予想進路C1がユーザの予想進路となる。
【0032】
他車両V2の予想進路C2がユーザ又は自車両V1の予想進路C1と干渉するシーンでは、他車両V2と干渉する前にユーザが立ち止まったり自車両V1が制動をかけたりする必要があり、ユーザが心理的な負担を感じる可能性がある。このようなシーンを、シーン判別部103は収集対象のシーンであると判別する。
【0033】
シーン判別部103が収集対象のシーンであると判別するシーンは、予想進路C1,C2が干渉するシーン以外のシーンを含んでいてもよい。ユーザが歩行者として、あるいは、自車両V1に乗った状態で、他車両V2の存在により心理的な負担を感じるシーンを、シーン判別部103が収集対象のシーンであると判別するシーンとすることができる。
【0034】
収集部104は、収集対象のシーンについて取得した周辺情報と収集対象のシーンについて入力を受け付けた心理的情報とを関連付けて、学習データとして収集し、記憶部105に記憶させる。学習データは、心理的評価予測装置200の後述するモデル学習部201が行う予測モデルの機械学習に用いる。予測モデルは、心理的評価予測装置200の後述する予測部202において、車両が周辺の移動体の挙動に与える影響を心理的評価として予測するのに用いるモデルである。
【0035】
収集部104は、周辺情報と関連付けて学習データとする心理的情報として、心理的情報入力部102が数値化した心理的評価値を用いる。学習データの心理的評価値は、自車両V1及び他車両V2の立場を周辺情報の内容から逆転させたシーンについて、自車両V1が他車両V2の挙動に与える影響を予測モデルにより予測する場合の、心理的評価値の正解値を定義する。
【0036】
記憶部105には、図3に示すように、シーン判別部103が収集対象のシーンであると判別したシーンに対応する周辺情報をそれぞれ含んだ学習データD1,D2,D3,・・・が記憶される。
【0037】
例えば、学習データD1は、交差点I11に直進で進入する車両V11が自車両V1で、交差点I11を右折する対向車線の車両V12が他車両V2であるシーンに対応する周辺情報を含んでいる。学習データD1の心理的評価値は、学習データD1のシーンにおける、車両V11に乗車したユーザの心理状態に対応する心理的情報を数値化したものである。学習データD1は、自車両V1と他車両V2とを入れ替えたシーンにおいて、自車両V1である車両V12が他車両V2である車両V11の挙動に与える影響を予測する予測モデルの、教師データとなる。
【0038】
学習データD1は、交差点I11の横断歩道PC11の付近の歩行者P11を自車両V1と考えた場合の、車両V11及び車両V12が他車両V2であるシーンに対応する周辺情報も含んでいる。この場合、学習データD1の心理的評価値は、学習データD1のシーンにおける、歩行者P11であるユーザの心理状態に対応する心理的情報を数値化したものとなる。この場合の学習データD1は、自車両V1と他車両V2とを入れ替えたシーンにおいて、自車両V1である車両V11又は車両V12が、他車両V2と考える歩行者P11の挙動に与える影響を予測する予測モデルの、教師データとなる。
【0039】
図1の記憶部105は、例えば、データ収集装置100のマイクロコントローラが備えるメモリの記憶領域を利用して構成することができる。記憶部105は、例えば、データ収集装置100に設けた、不図示のアクセス可能な記憶装置で構成してもよい。記憶装置は、例えば、SSD(Solid State Drive )又はHDD(Hard Disk Drive )によって構成することができる。
【0040】
入力促進部106は、記憶部105に、収集対象のシーンについて取得した周辺情報との類似度が所定値以上の周辺情報を含む学習データが記憶されていない場合に、収集対象のシーンに対する心理的情報のデータの入力を促す。
【0041】
周辺情報の類似度は、例えば、周辺情報から特定されるシーン中の、ユーザ又は自車両V1の予想進路C1と他車両V2の予想進路C2との干渉の形態、ユーザ又は自車両V1と他車両V2との位置関係等に基づいて、数値化することができる。
【0042】
予想進路C1,C2の干渉の形態は、例えば、図2A図2Bを参照して説明した、予想進路C1,C2の合流、交差を含む。例えば、2つのシーンにおける予想進路C1,C2の干渉の形態が一致する場合は、一致しない場合よりも、2つのシーンに対応する2つの周辺情報の類似度を表す数値を、高い値とすることができる。
【0043】
自車両V1と他車両V2との位置関係は、例えば、それぞれの道路上の位置、それぞれの予想進路C1,C2の方向、それぞれの速度等の要素を用いて、定義することができる。ユーザが歩行者で、ユーザを自車両V1と考える場合も、自車両V1と他車両V2との位置関係を同様に定義することができる。例えば、2つのシーンにおける各要素の内容が一致する場合は、一致しない場合よりも、2つのシーンに対応する2つの周辺情報の類似度を表す数値を、高い値とすることができる。
【0044】
2つの周辺情報の類似度を表す数値は、予想進路C1,C2の干渉の形態と、自車両V1又は自車両V1と考えるユーザと他車両V2との位置関係とで、異なる係数で重み付けしてもよい。
【0045】
図1の入力促進部106は、収集対象のシーンについて取得した周辺情報と、学習データとして記憶部105に記憶された周辺情報との類似度が所定値以上か否かを、例えば、2つの周辺情報の類似度を上述した方法で数値化した値から判定することができる。入力促進部106は、例えば、先に説明した音声メッセージを車両又はウェアラブル端末装置400の不図示のスピーカから出力させて、収集対象のシーンに対する心理的情報のデータの入力を促すことができる。
【0046】
心理的評価予測装置200のマイクロコントローラは、仮想的に構築する複数の情報処理回路により、モデル学習部201、予測部202及び心理的評価提示部203を構成することができる。
【0047】
モデル学習部201は、データ収集装置100によって収集した記憶部105の学習データD1,D2,D3,・・・を用いて、予測部202の予測モデルの機械学習を行う。
【0048】
心理的評価予測装置200は、データ収集装置100を搭載した車両に搭載されている場合、同じ車両のデータ収集装置100が収集した記憶部105の学習データD1,D2,D3,・・・を取得する。学習データD1,D2,D3,・・・の取得は、CAN(Controller Area Network )等の車載ネットワーク、専用の通信回線等を介して行うことができる。モデル学習部201は、心理的評価予測装置200を搭載した車両で収集された学習データD1,D2,D3,・・・を、機械学習に用いる。
【0049】
心理的評価予測装置200は、インターネット上のクラウドサーバに構築されている場合、データ収集装置100を搭載した車両から、データ収集装置100が収集した記憶部105の学習データD1,D2,D3,・・・を取得する。学習データD1,D2,D3,・・・の取得は、インターネットを介して行うことができる。心理的評価予測装置200を搭載した車両以外の車両がデータ収集装置100を搭載している場合、モデル学習部201は、他の車両で収集された学習データD1,D2,D3,・・・を、機械学習に用いることができる。
【0050】
予測部202は、走行中の車両において取得した周辺情報から、走行中の車両の心理的評価を予測モデルにより予測する。予測モデルによって予測する心理的評価とは、心理的評価予測装置200を搭載した車両が、走行中に、周辺の移動体の挙動に与える影響を示すものである。移動体には、車両及び歩行者が含まれる。予測部202は、心理的評価として、心理的評価値を予測モデルによって予測する。走行中の車両の周辺情報は、例えば、データ収集装置100を搭載した車両において車両の周辺情報を取得するのと同じ方法で、走行中の車両において取得することができる。
【0051】
心理的評価予測装置200が、データ収集装置100を搭載した車両に搭載されている場合、予測部202は、例えば、データ収集装置100が学習データD1,D2,D3,・・・を収集する場合と同じく、車両制御装置300から車両の周辺情報を取得する。予測部202は、取得した周辺情報から、予測モデルにより心理的評価値を予測する。心理的評価予測装置200がクラウドサーバに構築されている場合、予測部202は、例えば、走行中の車両で取得した周辺情報をインターネットを介して走行中の車両から取得し、取得した周辺情報を走行中の車両の周辺情報として、心理的評価値を予測する。
【0052】
心理的評価提示部203は、予測部202が予測モデルにより予測した走行中の車両の心理的評価値を、走行中の車両に対して提示する。
【0053】
心理的評価予測装置200が車両に搭載されている場合、心理的評価提示部203は、心理的評価値の提示を、例えば、車両の不図示のディスプレイにおける心理的評価値の表示によって行うことができる。不図示のディスプレイにおける表示は、車両制御装置300を通じて行うことができる。
【0054】
心理的評価予測装置200がクラウドサーバに構築されている場合、心理的評価提示部203は、例えば、予測部202が予測した心理的評価値をインターネットを通じて走行中の車両に送信することで、走行中の車両に心理的評価値を提示することができる。インターネットを通じて心理的評価値を受信した走行中の車両では、受信した心理的評価値を、例えば、車両に搭載した不図示のディスプレイに表示させることができる。
【0055】
予測部202が予測した心理的評価値は、数値のまま提示してもよく、心理的評価値に基づいて加工した態様で提示してもよい。
【0056】
心理的評価予測装置200がインターネット上のクラウドサーバに構築されていない場合、モデル学習部201が機械学習に用いるのは、車両に搭載されているデータ収集装置100が収集した学習データD1,D2,D3,・・・となる。この学習データD1,D2,D3,・・・の心理的評価値は、歩行者の時又は車両に乗車している時の、ユーザの心理状態に基づいた値である。この学習データD1,D2,D3,・・・を用いて機械学習した予測モデルによって予測部202が予測する心理的評価値には、ユーザの心理状態が反映される。
【0057】
心理的評価予測装置200がクラウドサーバに構築されている場合、モデル学習部201が機械学習に用いるのは、心理的評価予測装置200にアクセス可能な車両のデータ収集装置100が収集した学習データD1,D2,D3,・・・となる。複数の車両がクラウドサーバの心理的評価予測装置200にアクセス可能であれば、複数の車両のデータ収集装置100で収集した学習データD1,D2,D3,・・・が、モデル学習部201の機械学習に用いられる。
【0058】
学習データD1,D2,D3,・・・が複数の車両で収集されると、モデル学習部201が機械学習に用いる学習データD1,D2,D3,・・・に、異なるユーザの心理状態が反映された心理的評価値を含む学習データが混在することになる。この学習データD1,D2,D3,・・・を用いて機械学習した予測モデルで予測部202が予測する心理的評価値には、特定のユーザの心理状態が反映され難くなる。
【0059】
複数の車両で収集された学習データD1,D2,D3,・・・で予測モデルを機械学習すると、予測部202が予測する心理的評価値は、予測モデルに入力された周辺情報に対応する、心理的評価値の社会的平均値という性質を帯びたものとなる。複数の車両で収集された学習データD1,D2,D3,・・・を機械学習に用いる場合、予測部202は、走行中の車両が周辺の移動体の挙動に与える影響を示す心理的評価の社会的平均値を、予測モデルにより予測すると考えることができる。
【0060】
学習データD1,D2,D3,・・・が複数の車両で収集されると、同じシーンの周辺情報に対して異なる心理的評価値が対応付けられた学習データが発生し易くなる。そこで、予測部202は、モデル学習部201が機械学習に用いた学習データD1,D2,D3,・・・のうち、予測モデルに入力された周辺情報と同じ周辺情報を含む学習データの心理的評価値の分布を、予測モデルにより予測してもよい。心理的評価値の分布は、上述した心理的評価の社会的平均値と一緒に、予測モデルにより予測した心理的評価として提示してもよく、単独で、予測モデルにより予測した心理的評価として提示してもよい。
【0061】
心理的評価予測装置200が、走行中の車両とインターネット上のクラウドサーバとの両方に存在する場合は、車両とクラウドサーバとで予測部202がそれぞれ予測した心理的評価値を、車両において一緒に提示してもよい。
【0062】
次に、データ収集装置100による学習データD1,D2,D3,・・・の収集と、心理的評価予測装置200による予測モデルの機械学習及び予測モデルによる心理的評価値の予測とに関する処理の流れを、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0063】
図4では、説明の理解を容易にするために、データ収集装置100が行うステップS001~S005の処理と、心理的評価予測装置200が行うステップS006~S010の処理とを、連続する一連の処理として記載している。しかし、データ収集装置100が行う処理と心理的評価予測装置200が行う処理とは、それぞれ独立して行うことができる。
【0064】
まず、データ収集装置100が、学習データD1,D2,D3,・・・の収集について、ステップS001~S005の処理を行う。ステップS001では、周辺情報取得部101が、周辺情報を取得し、ステップS002では、シーン判別部103が、収集対象のシーンであるか否かを判別する。収集対象のシーンでない場合は(ステップS002でNO)、ステップS001にリターンする。
【0065】
収集対象のシーンである場合は(ステップS002でYES)、収集部104が、収集対象のシーンについて取得した周辺情報を記憶部105に記憶させる(ステップS003)。また、収集部104は、収集対象のシーンについて心理的情報入力部102が入力を受け付けた心理的情報である心理的評価値を、ステップS003で記憶部105に記憶させた周辺情報と関連付けて記憶部105に記憶させる(ステップS004)。
【0066】
ステップS003の処理とステップS004の処理とは、周辺情報と心理的評価値とが関連付けられる限り、前後して行われてもよく、同時に行われてもよい。関連付けた周辺情報と心理的評価値とは、1つの学習データを構成する。
【0067】
ステップS005では、データ収集装置100が、収集した記憶部105の学習データD1,D2,D3,・・・を、インターネット上のクラウドサーバの心理的評価予測装置200に伝送する。心理的評価予測装置200は、データ収集装置100から伝送された学習データD1,D2,D3,・・・を、心理的評価予測装置200のマイクロコントローラのメモリに記憶させることができる。
【0068】
データ収集装置100は、心理的評価予測装置200がクラウドサーバに構築されている場合に、ステップS005の処理を実行する。心理的評価予測装置200がクラウドサーバに構築されていない場合は、データ収集装置100は、ステップS005の処理をスキップする。
【0069】
次に、心理的評価予測装置200が、予測モデルの機械学習及び予測モデルによる心理的評価値の予測について、ステップS006~S010の処理を行う。ステップS006及びステップS007の処理は、データ収集装置100を搭載した車両に搭載された心理的評価予測装置200が行う。ステップS008及びステップS009の処理は、インターネット上のクラウドサーバに構築された心理的評価予測装置200が行う。ステップS010の処理は、車両及びクラウドサーバのどちらの心理的評価予測装置200も行う。
【0070】
ステップS006では、モデル学習部201が、自己モデル学習を行う。自己モデル学習では、心理的評価予測装置200を搭載した自己の車両のデータ収集装置100から収集した学習データD1,D2,D3,・・・を用いて、モデル学習部201が予測モデルの機械学習を行う。
【0071】
ステップS007では、予測部202が、自己予測を行う。自己予測では、心理的評価予測装置200を搭載した自己の車両で取得した周辺情報を用いて、予測部202が、予測モデルにより心理的評価値を予測する。
【0072】
ステップS008では、クラウドサーバの心理的評価予測装置200において、モデル学習部201が、社会モデル学習を行う。社会モデル学習では、データ収集装置100を搭載した車両のデータ収集装置100から収集した学習データD1,D2,D3,・・・を用いて、モデル学習部201が予測モデルの機械学習を行う。
【0073】
複数の車両で収集された学習データD1,D2,D3,・・・を機械学習に用いると、特定の車両のユーザの心理状態が予測モデルの機械学習に反映されにくくなる。クラウドサーバの心理的評価予測装置200でモデル学習部201が行う予測モデルの機械学習は、平均的なユーザの心理状態を予測モデルに反映させて、予測モデルを社会的な内容に近づける性質のものとなる。
【0074】
ステップS007では、予測部202が、社会モデル予測を行う。社会モデル予測では、走行中の車両で取得した周辺情報を用いて、予測部202が、ステップS008の機械学習により社会的な内容に近づけられた予測モデルにより心理的評価値を予測する。
【0075】
ステップS010では、心理的評価提示部203が、予測部202が予測した心理的評価値を、予測モデルに入力した周辺情報を取得した走行中の車両に対して提示する。
【0076】
本実施形態のデータ収集装置100では、周辺情報取得部101が、ユーザ又はユーザが乗車する自車両V1の周辺に存在する他車両V2の情報を含む周辺情報を取得する。心理的情報入力部102は、ユーザの心理状態に対応する心理的情報の入力を受け付ける。シーン判別部103は、他車両V2がユーザ又は自車両V1の挙動に影響を与える又は与える可能性がある収集対象のシーンか否かを、周辺情報取得部101が取得した周辺情報に基づいて判別する。
【0077】
収集部104は、収集対象のシーンについて周辺情報取得部101が取得した周辺情報と収集対象のシーンについて心理的情報入力部102が入力を受け付けた心理的情報とを関連付ける。収集部104は、関連付けた周辺情報と心理的情報とを、車両が周辺の移動体の挙動に与える影響を心理的評価として予測する予測モデルの機械学習に用いる学習データD1,D2,D3,・・・として収集し、記憶部105に記憶させる。
【0078】
例えば、データ収集装置100が収集する学習データD1は、歩行者であるユーザ、又は、車両V11に乗車したユーザが、周辺の車両V12又は車両V11,V12から感じる心理的情報を数値化した心理的評価値を含んでいる。学習データD1は、ユーザと周辺の車両との立場を入れ替えたシーンで、ユーザが乗車した車両V12が周辺の歩行者P11、車両V11の挙動に与える影響を、心理的評価値として予測する予測モデルを、心理的評価予測装置200で機械学習する際に用いる。
【0079】
データ収集装置100は、データ収集装置100を所持したユーザ又は搭載した車両の周辺で、シーン判別部103が収集対象のシーンであると判別するシーンが発生すると、学習データD1,D2,D3,・・・をリアルタイムで収集できる。学習データD1,D2,D3,・・・を収集する際に、収集対象のシーンを人手によって準備したり、収集対象のシーンに対する心理的評価を人の主観によって決めてデータ化する手間も必要ない。本実施形態のデータ収集装置100では、運転中の車両が周辺の移動体の挙動に与える影響を心理的評価として予測する予測モデルの機械学習に用いる学習データを、効率的に収集することができる。
【0080】
シーン判別部103が収集対象として判別したシーンが、記憶部105のどの学習データD1,D2,D3,・・・の周辺情報とも所定値以上の類似度を有していない場合、入力促進部106は、収集対象のシーンに対する心理的情報のデータの入力を促す。周辺情報の類似度が所定値以上の学習データD1,D2,D3,・・・が記憶部105になければ、シーン判別部103が収集対象として判別したシーンは、そのシーンのような周辺情報を含む学習データが、まだ収集されていないことになる。
【0081】
入力促進部106が心理的情報のデータの入力を促すことで、類似した周辺情報を含む学習データをまだ収集していないシーンを、シーン判別部103が収集対象とした場合に、そのシーンの周辺情報を含む学習データの収集漏れを減らすことができる。
【0082】
ユーザの身体の情報を検出するセンサの出力信号を、心理的情報入力部102がユーザの心理的情報の入力として受け付けることで、ユーザの心理的情報を客観的な情報で受け付けることができる。また、心理的情報を心理的評価値に数値化し易くすることができる。
【0083】
周辺情報が、他車両V2の位置及び走行速度のうち少なくとも一方を含むことで、自車両V1の予想進路C1と他車両V2の予想進路C2とが干渉するか否かを判断しやすくし、シーン判別部103による収集対象のシーンか否かの判別を容易にすることができる。
【0084】
周辺情報における他車両V2の予想進路C2が、歩行者P11であるユーザ又はユーザが乗車した自車両V1の予想進路C1と干渉すると、歩行者P11又は自車両V1のユーザは、他車両V2との干渉を避けるための停止又は減速で心理的な負担を感じ易い。このシーンを収集対象のシーンとすることで、ユーザが心理的に負担を感じやすいシーンについて、心理的情報を含む学習データD1,D2,D3,・・・を収集することができる。
【0085】
周辺情報として、ユーザが乗車する自車両V1の周辺に存在する他車両V2の情報を含む情報を取得すると、データ収集装置100は、自車両V1でユーザが感じた他車両V2に対する心理的情報を含む学習データD1,D2,D3,・・・を収集する。この学習データD1,D2,D3,・・・を予測モデルの機械学習に用いると、ユーザが他車両V2の立場になったシーンで自車両V1の相手に感じさせる心理的評価値の、予測モデルによる予測精度が向上する。
【0086】
ユーザが乗車する自車両V1の周辺の他車両V2に情報を周辺情報に含めることで、ユーザの車両が相手の車両に与える心理的負担を心理的評価値として予測する予測モデルの機械学習に適した学習データD1,D2,D3,・・・を収集することができる。
【0087】
本実施形態の心理的評価予測装置200では、モデル学習部201が、データ収集装置100によって収集した学習データD1,D2,D3,・・・を用いて予測モデルの機械学習を行う。予測部202は、走行中の車両において取得した周辺情報から、走行中の車両の心理的評価を予測モデルにより予測する。
【0088】
心理的評価予測装置200では、データ収集装置100がリアルタイムで収集した学習データD1,D2,D3,・・・により、逆の立場のシーンでユーザの車両が周辺の移動体に与える影響を予測モデルで予測する精度を向上させることができる。
【0089】
心理的評価予測装置200をインターネット上のクラウドサーバに構築すると、複数の車両で収集された学習データD1,D2,D3,・・・を用いて予測モデルを機械学習するようになる。学習データD1,D2,D3,・・・に特有の個人の心理状態が強く反映されることがないので、機械学習後の予測モデルを、機械学習前よりも、平均的なユーザの心理状態が反映された社会的な内容に近いモデルにすることができる。
【0090】
予測部202は、予測モデルを用いて、走行中の車両において取得した周辺情報と同じ周辺情報を含む学習データD1,D2,D3,・・・がなくても、走行中の車両の周辺情報から心理的評価を予測することができる。
【0091】
予測モデルで予測した心理的評価値を、予測モデルに入力した周辺情報の取得元の車両に対して提示することで、その車両の走行に心理的評価値を反映させて、相手の心理的な負担を考慮した走行を車両に行わせることができる。自動運転制御される車両の場合は、予測モデルで予測した心理的評価値を自動運転制御に反映させて、人間が感じる心理的な負担を自動運転制御に反映させて、自動運転制御の内容を人間の運転に近づけることができる。
【0092】
クラウドサーバに構築した心理的評価予測装置200では、複数の車両で収集した学習データD1,D2,D3,・・・を予測モデルの機械学習に用いる。予測モデルに入力された周辺情報と同じ周辺情報を含む学習データD1,D2,D3,・・・の心理的評価値の分布、又は、心理的評価の社会的平均値を提示すると、予測モデルにより予測した心理的評価値がどういう値かを知る指標とすることができる。
【0093】
なお、上述の実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0094】
100 データ収集装置
101 周辺情報取得部
102 心理的情報入力部
103 シーン判別部
104 収集部
105 記憶部
106 入力促進部
200 心理的評価予測装置
201 モデル学習部
202 予測部
203 心理的評価提示部
310 センサ
400 ウェアラブル端末装置
D1,D2,D3, 学習データ
V1 自車両
V2 他車両
図1
図2A
図2B
図3
図4