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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173206
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】電力変換装置の制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20241205BHJP
【FI】
H02M7/48 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091459
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100111763
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆
(72)【発明者】
【氏名】西澤 是呂久
(72)【発明者】
【氏名】荒海 竜之介
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA05
5H770BA01
5H770DA03
5H770DA22
5H770DA27
5H770DA41
5H770EA01
(57)【要約】
【課題】 出力電圧に関して厳しい制限を課すことなく、コモンモード電圧の変化およびそれに伴う電磁干渉を低減可能な電力変換装置の制御装置を提供する。
【解決手段】 制御装置40は、第1処理部43は、複数組の巻線組の中性点に発生するコモンモード電圧をゼロとするゼロコモンモード電圧ベクトルから電圧指令ベクトルに対応した出力電圧ベクトルを合成する第1処理を実行する第1処理部43と、第1処理により電圧指令ベクトルに対応した出力電圧ベクトルを合成することが可能か否かを判定するモード判定部42と、第1処理により電圧指令ベクトルに対応した出力電圧ベクトルを合成することが可能でない場合に、第1処理以外の第2処理によりスイッチング信号を生成する第2処理部44と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧をスイッチングすることにより複数組の巻線組に交流電圧を供給する電力変換装置の制御装置において、
前記複数組の巻線組に対する各出力電圧を成分とし, 電圧指令ベクトルに対応した出力電圧ベクトルを前記電力変換装置から得るためのスイッチング信号を生成するスイッチング制御部を具備し、
前記スイッチング制御部は、
前記複数組の巻線組の中性点に発生するコモンモード電圧をゼロとするゼロコモンモード電圧ベクトルから前記電圧指令ベクトルに対応した出力電圧ベクトルを合成する第1処理を実行する第1処理部と、
前記第1処理により前記電圧指令ベクトルに対応した出力電圧ベクトルを合成することが可能か否かを判定するモード判定部と、
前記第1処理により前記電圧指令ベクトルに対応した出力電圧ベクトルを合成することが可能でない場合に、前記第1処理以外の第2処理により前記スイッチング信号を生成する第2処理部と、
を有する制御装置。
【請求項2】
前記モード判定部は、前記電圧指令ベクトルに基づいて、前記第1処理により前記電圧指令ベクトルに対応した出力電圧ベクトルを合成することが可能か否かを判定する請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第2処理部は、ベクトル空間を複数のゼロコモンモード電圧ベクトルにより複数のセクタに分割し、前記電圧指令ベクトルが属するセクタ内における前記第2処理では、前記コモンモード電圧を非ゼロの最小値とする非ゼロコモンモード電圧ベクトルを第0適用ベクトルとし、当該セクタの境界をなす2個のゼロコモンモード電圧ベクトルを第1適用ベクトルおよび第2適用ベクトルとし、当該セクタを当該電圧指令ベクトルの変調率に応じた角度を持った中央の第0領域とその両側の第1および第2領域に分割し、当該電圧指令ベクトルが前記第0領域に属する期間は前記第0適用ベクトルを出力し、当該電圧指令ベクトルが前記第1領域に属する期間は前記第1適用ベクトルを出力し、当該電圧指令ベクトルが前記第2領域に属する期間は前記第2適用ベクトルを出力する第1過変調処理を実行する請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記複数組の巻線組は、第1組および第2組からなり、
前記第2処理部は、
前記第1適用ベクトルの成分のうち前記第1組に対応した成分の平均値と、前記第1適用ベクトルの成分のうち前記第2組に対応した成分の平均値とが近付くように、かつ、前記第1領域内において平均された前記第1適用ベクトルを変化させないように、前記第1領域内の一部の区間において前記第1適用ベクトルの一部の成分のレベルを反転させ、
前記第2適用ベクトルの成分のうち前記第1組に対応した成分の平均値と、前記第2適用ベクトルの成分のうち前記第2組に対応した成分の平均値とが近付くように、かつ、前記第2領域内において平均された前記第2適用ベクトルを変化させないように、前記第2領域内の一部の区間において前記第2適用ベクトルの一部の成分のレベルを反転させる、
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記複数組の巻線組は、第1組および第2組からなり、
前記第2処理部は、ベクトル空間を複数のゼロコモンモード電圧ベクトルにより複数のセクタに分割し、前記電圧指令ベクトルが属するセクタ内における前記第2処理では、前記コモンモード電圧を非ゼロの最小値とする非ゼロコモンモード電圧ベクトルを第0適用ベクトルとし、当該セクタの境界をなす2個のゼロコモンモード電圧ベクトルの外側にあり前記第1組に対応した成分と前記第2組に対応した成分とが対称をなす非ゼロコモンモード電圧ベクトルを第1適用ベクトルおよび第2適用ベクトルとし、当該セクタを当該電圧指令ベクトルの変調率に応じた角度を持った中央の第0領域とその両側の第1および第2領域に分割し、当該電圧指令ベクトルが前記第0領域に属する期間は前記第0適用ベクトルを出力し、当該電圧指令ベクトルが前記第1領域に属する期間は前記第1適用ベクトルを出力し、当該電圧指令ベクトルが前記第2領域に属する期間は前記第2適用ベクトルを出力する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記複数組の巻線組は、第1組および第2組からなり、
前記第2処理では、第1キャリアと前記電圧指令ベクトルから得られる電圧指令値とを比較することにより前記出力電圧ベクトルの成分のうち前記第1組に対応した成分を生成するためのスイッチング信号を生成し、前記第1キャリアに対して位相がずれた第2キャリアと前記電圧指令ベクトルから得られる電圧指令値とを比較することにより前記出力電圧ベクトルの成分のうち前記第2組に対応した成分を生成するためのスイッチング信号を生成するインタリーブ変調処理を実行する請求項1に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インバータ等の電力変換装置の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2台の三相インバータにより2組の3相巻線組を駆動する電力変換装置の制御装置が知られている。ここで、2組の3相巻線組は、モータの巻線組であってもよく、例えばトランス等、モータ以外の負荷であってもよい。
【0003】
この種の電力変換装置では、インバータのスイッチ素子のON/OFFに伴い、直流電源電圧の中性点と各巻線組の中性点との電位差であるコモンモード電圧が発生する。このコモンモード電圧は、伝導性及び放射性の電磁干渉(EMI)の原因となる漏れ電流を発生させる。電磁干渉の低減のためには、コモンモード電圧の変化幅が小さく、また、変化する頻度が少ないことが好ましい。
【0004】
特許文献1に開示された技術では、複数台並列三相インバータシステムの合計コモンモード電圧を評価関数とし、コモンモード電圧の変化が最小となる最適スイッチングパターンをオフライン導出する。導出したスイッチングパターンを適用して、並列三相インバータシステムを駆動することで、コモンモード電圧に伴う電磁干渉を低減する。
【0005】
非特許文献1に開示された技術では、2台並列三相インバータシステムの合計コモンモード電圧がゼロとなるスイッチングパターンのみを用いることで、コモンモード電圧をゼロに固定したまま、三相インバータの駆動を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-103266号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Common-Mode Voltage Reduction for Paralleled Inverters, Dong Jiang, IEEE TRANSACTIONS ON POWER ELECTRONICS, VOL. 33, NO. 5, MAY 2018
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1には、導出した最適スイッチングパターンをどのように生成するかについて具体的に記載されていない。このため、特許文献1に開示された技術は、実施に課題がある。
【0009】
また、非特許文献1に開示されているように合計コモンモード電圧がゼロとなるスイッチングパターンのみを用いる場合、出力不可能な領域(高電圧・高変調率領域)が生じる。従って、非特許文献1に開示された技術は、2台並列三相インバータの出力電圧を低下させた限定的な動作条件にしか適用できない。
【0010】
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、複数組の巻線組を駆動する電力変換装置において、出力電圧に関して厳しい制限を課すことなく、コモンモード電圧の変化およびそれに伴う電磁干渉を低減することができる技術的手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の一態様による電力変換装置の制御装置は、直流電圧をスイッチングすることにより複数組の巻線組に交流電圧を供給する電力変換装置の制御装置において、前記複数組の巻線組に対する各出力電圧を成分とし, 電圧指令ベクトルに対応した出力電圧ベクトルを前記電力変換装置から得るためのスイッチング信号を生成するスイッチング制御部を具備し、前記スイッチング制御部は、前記複数組の巻線組の中性点に発生するコモンモード電圧をゼロとするゼロコモンモード電圧ベクトルから前記電圧指令ベクトルに対応した出力電圧ベクトルを合成する第1処理を実行する第1処理部と、前記第1処理により前記電圧指令ベクトルに対応した出力電圧ベクトルを合成することが可能か否かを判定するモード判定部と、前記第1処理により前記電圧指令ベクトルに対応した出力電圧ベクトルを合成することが可能でない場合に、前記第1処理以外の第2処理により前記スイッチング信号を生成する第2処理部と、を有する。
【0012】
好ましい態様において、前記モード判定部は、前記電圧指令ベクトルに基づいて、前記第1処理により前記電圧指令ベクトルに対応した出力電圧ベクトルを合成することが可能か否かを判定する。
【0013】
他の好ましい態様において、前記第2処理部は、ベクトル空間を複数のゼロコモンモード電圧ベクトルにより複数のセクタに分割し、前記電圧指令ベクトルが属するセクタ内における前記第2処理では、前記コモンモード電圧を非ゼロの最小値とする非ゼロコモンモード電圧ベクトルを第0適用ベクトルとし、当該セクタの境界をなす2個のゼロコモンモード電圧ベクトルを第1適用ベクトルおよび第2適用ベクトルとし、当該セクタを当該電圧指令ベクトルの変調率に応じた角度を持った中央の第0領域とその両側の第1および第2領域に分割し、当該電圧指令ベクトルが前記第0領域に属する期間は前記第0適用ベクトルを出力し、当該電圧指令ベクトルが前記第1領域に属する期間は前記第1適用ベクトルを出力し、当該電圧指令ベクトルが前記第2領域に属する期間は前記第2適用ベクトルを出力する第1過変調処理を実行する。
【0014】
他の好ましい態様において、前記複数組の巻線組は、第1組および第2組からなり、前記第2処理部は、前記第1適用ベクトルの成分のうち前記第1組に対応した成分の平均値と、前記第1適用ベクトルの成分のうち前記第2組に対応した成分の平均値とが近付くように、かつ、前記第1領域内において平均された前記第1適用ベクトルを変化させないように、前記第1領域内の一部の区間において前記第1適用ベクトルの一部の成分のレベルを反転させ、前記第2適用ベクトルの成分のうち前記第1組に対応した成分の平均値と、前記第2適用ベクトルの成分のうち前記第2組に対応した成分の平均値とが近付くように、かつ、前記第2領域内において平均された前記第2適用ベクトルを変化させないように、前記第2領域内の一部の区間において前記第2適用ベクトルの一部の成分のレベルを反転させる。
【0015】
他の好ましい態様において、前記複数組の巻線組は、第1組および第2組からなり、前記第2処理部は、ベクトル空間を複数のゼロコモンモード電圧ベクトルにより複数のセクタに分割し、前記電圧指令ベクトルが属するセクタ内における前記第2処理では、前記コモンモード電圧を非ゼロの最小値とする非ゼロコモンモード電圧ベクトルを第0適用ベクトルとし、当該セクタの境界をなす2個のゼロコモンモード電圧ベクトルの外側にあり前記第1組に対応した成分と前記第2組に対応した成分とが対称をなす非ゼロコモンモード電圧ベクトルを第1適用ベクトルおよび第2適用ベクトルとし、当該セクタを当該電圧指令ベクトルの変調率に応じた角度を持った中央の第0領域とその両側の第1および第2領域に分割し、当該電圧指令ベクトルが前記第0領域に属する期間は前記第0適用ベクトルを出力し、当該電圧指令ベクトルが前記第1領域に属する期間は前記第1適用ベクトルを出力し、当該電圧指令ベクトルが前記第2領域に属する期間は前記第2適用ベクトルを出力する。
【0016】
他の好ましい態様において、前記複数組の巻線組は、第1組および第2組からなり、前記第2処理では、第1キャリアと前記電圧指令ベクトルから得られる電圧指令値とを比較することにより前記出力電圧ベクトルの成分のうち前記第1組に対応した成分を生成するためのスイッチング信号を生成し、前記第1キャリアに対して位相がずれた第2キャリアと前記電圧指令ベクトルから得られる電圧指令値とを比較することにより前記出力電圧ベクトルの成分のうち前記第2組に対応した成分を生成するためのスイッチング信号を生成するインタリーブ変調処理を実行する。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、複数組の巻線組を駆動する電力変換装置において、出力電圧に関して厳しい制限を課すことなく、コモンモード電圧の変化およびそれに伴う電磁干渉を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の第1実施形態である電力変換装置の構成を示す回路図である。
図2】同電力変換装置の出力電圧ベクトルを示す図である。
図3】同電力変換装置の制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】同制御装置の動作を示すフローチャートである。
図5】同制御装置が実行する第1処理を説明する図である。
図6】同制御装置の第2処理の動作例を示す図である。
図7】同第2処理の動作を示すフローチャートである。
図8】同第2処理におけるホールド角を示す図である。
図9】同第2処理の動作例を示すタイムチャートである。
図10】この発明の第2実施形態における第2処理を示すタイムチャートである。
図11】この発明の第3実施形態における第2処理を示すタイムチャートである。
図12】同第2処理におけるホールド角を示す図である。
図13】この発明の第4実施形態における第2処理を示すタイムチャートである。
図14】同第2処理を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつこの発明の実施形態について説明する。
【0020】
<第1実施形態>
図1はこの発明の第1実施形態である電力変換装置1の構成を示す回路図である。この電力変換装置1は、直流電源部10と、2個のインバータ主回路部21および22と、負荷30と、制御装置40とを有する。
【0021】
直流電源部10は、電源電圧Vdcを出力する直流電源11を有する。この直流電源11の正極は正電源線14pに接続され、負極は負電源線14nに接続されている。正電源線14pおよび負電源線14n間には大容量のキャパシタ13が接続されている。電力変換装置1の筐体は接地されている。キャパシタ12pは、正電源線14pと筐体との間に介在する寄生キャパシタであり、キャパシタ12nは、負電源線14nと筐体との間に介在する寄生キャパシタである。電力変換装置1において、キャパシタ12pおよび12nの共通接続点である筐体は接地されている。ここで、キャパシタ12pおよび12nは、大容量のキャパシタであり、かつ、略同じ値を有する。このため、正電源線14pには正の電源電圧+Vdc/2が出力され、負電源線14nには負の電源電圧-Vdc/2が出力され、キャパシタ12pおよび12nの共通接続点(すなわち、接地)が中性点Oとなる。
【0022】
インバータ主回路部21および22は、いずれも正電源線14pおよび負電源線14n間に出力される直流電圧Vdcを3相交流電圧に変換し、負荷30に対して出力する。本実施形態において、インバータ主回路部21および22の各々は、正電源線14pおよび負電源線14n間に各々直列接続されたU相のスイッチング素子QおよびQと、V相のスイッチング素子QおよびQと、W相のスイッチング素子QおよびQとを有する。スイッチング素子Q~Qの各々は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor;絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)と、これに逆並列接続されたダイオードとにより構成されている。そして、インバータ主回路部21および22では、スイッチング素子QおよびQの共通接続点がU相の交流電圧を出力するノードU、スイッチング素子QおよびQの共通接続点がV相の交流電圧を出力するノードV、スイッチング素子QおよびQの共通接続点がW相の交流電圧を出力するノードWとなっている。
【0023】
以下では、正電源線14pに接続されたスイッチング素子Q、QおよびQを上側スイッチング素子、負電源線14nに接続されたスイッチング素子Q、QおよびQを下側スイッチング素子と呼ぶ場合がある。
【0024】
インバータ主回路部21および22は、いずれもゲートドライバGDを有している。このゲートドライバGDは、制御装置40から与えられるスイッチング信号に従ってスイッチング素子Q~Qの各々をターンオン駆動またはターンオフ駆動する回路である。インバータ主回路部21および22では、このようにスイッチング素子Q~Qのスイッチングが行われることにより3相の交流電圧が発生され、ノードU、VおよびWから出力される。
【0025】
負荷30は、2組の3相巻線組31および32を含む。3相巻線組31には、インバータ主回路部21から出力される3相の交流電圧Vu1o、Vv1oおよびVw1oが与えられる。3相巻線組32には、インバータ主回路部22から出力される3相の交流電圧Vu2o、Vv2oおよびVw2oが与えられる。3相巻線組31および32は、各々の中性点が共通接続されており、この共通接続された中性点Nと、電力変換装置1の接地との間には寄生インピーダンス33が介在している。
【0026】
電力変換装置1では、インバータ主回路部21および22の各スイッチング素子のON/OFF変化に伴い、直流電源部10の中性点Oと負荷30の中性点Nとの電位差であるコモンモード電圧Vcmが発生する。このコモンモード電圧Vcmは次式により与えられる。
【数1】
【0027】
このコモンモード電圧Vcmは、伝導性および放射性の電磁干渉(EMI)の原因となる漏れ電流を発生させる。電磁干渉の低減のためには、コモンモード電圧の変化幅が小さく、また、変化する頻度が少ないことが好ましい。
【0028】
制御装置40には、上位装置から電圧指令ベクトルが与えられる。制御装置40は、電圧指令ベクトルに対応した出力電圧ベクトルをインバータ主回路部21および22から得るためのスイッチング信号を生成するスイッチング制御部として機能する。ここで、出力電圧ベクトルとは、インバータ主回路部21から出力される3相の交流電圧Vu1o、Vv1oおよびVw1oと、インバータ主回路部22から出力される3相の交流電圧Vu2o、Vv2oおよびVw2oとを成分とする電圧ベクトルである。
【0029】
図2は電力変換装置1が出力可能な電圧ベクトルを示す図である。図2では、出力可能な電圧ベクトルが矢印で示され、かつ、電圧ベクトルの終点に、三桁の数値が示されている。この三桁の数値は、U相、V相およびW相において、関連する上側スイッチング素子および下側スイッチング素子のON/OFF状態を各々示している。例えば210という数値が付された電圧ベクトルは、当該電圧ベクトルの出力時、U相はインバータ主回路部21および22の2台とも上側スイッチング素子がON、かつ、下側スイッチング素子がOFFとなり、V相は1台のみ上側スイッチング素子がON、かつ、下側スイッチング素子がOFFとなり、W相は2台とも上側スイッチング素子がOFF、かつ、下側スイッチング素子がONとなることを示している。
【0030】
図2には上述した式(1)のコモンモード電圧Vcmをゼロにするゼロコモンモード電圧ベクトルが示されている。このゼロコモンモード電圧ベクトルは、インバータ主回路部21および22の合計6相の出力ノードのうち上側スイッチング素子がONとなる相数が3相である電圧ベクトルであり、図2では210、120、021、012、102、201、111が相当する。
【0031】
本実施形態において、ベクトル空間は、ゼロコモンモード電圧ベクトル201、210、120、021、012、102によりセクタ1~6に分割される。本実施形態では、可能な限り、電圧指令ベクトルが属するセクタの境界をなすゼロコモンモード電圧ベクトルを用いて電圧指令ベクトルに対応した出力電圧ベクトルを合成する。
【0032】
図3は本実施形態においてスイッチング制御部として機能する制御装置40の機能構成を示すブロック図である。制御装置40は、プログラムを記憶したメモリと、メモリ内のプログラムを実行するプロセッサを含む。プロセッサは、メモリ内のプログラムを実行することにより、指令取得部41、モード判定部42、第1処理部43および第2処理部44として機能する。
【0033】
指令取得部41は、上位装置から電圧指令ベクトルを取得する手段である。モード判定部42は、第1処理部43により電圧指令ベクトルに対応した出力電圧ベクトルを合成可能か否かを判定する手段である。
【0034】
第1処理部43は、電圧指令ベクトルが属するセクタの境界をなす2個のゼロコモンモード電圧ベクトルを求め、このゼロコモンモード電圧ベクトルを用いて電圧指令ベクトルに対応した出力電圧ベクトルを合成し、この出力電圧ベクトルを出力するために必要なスイッチング信号をインバータ主回路部21および22に供給する第1処理を実行する手段である。具体的には、第1処理は、電圧指令値と三角波キャリアとを比較することによりスイッチング信号を生成するPWMモードの処理である。
【0035】
第2処理部44は、第1処理部43により電圧指令ベクトルに対応した出力電圧ベクトルを合成することが可能でない場合に、第1処理以外の第2処理により、電圧指令ベクトルに対応した出力電圧ベクトルを得るためのスイッチング信号を生成し、インバータ主回路部21および22に供給する手段である。
【0036】
図4は制御装置40の動作を示すフローチャートである。また、図5は本実施形態における第1処理部43の動作を示す図である。本実施形態において、制御装置40は、図4に示す処理を所定時間間隔で繰り返し実行する。
【0037】
まず、制御装置40は、現時点における電圧指令ベクトルが属するセクタを判別する(ステップS11)。図5に示す例の場合、制御装置40は、現時点の電圧指令ベクトルVが属するセクタをセクタ1と判別する。
【0038】
次に制御装置40は、第1処理で使用する電圧ベクトルの出力時間を算出する(ステップS12)。以下、この処理について説明する。
【0039】
図5に示す例の場合、第1処理では、電圧指令ベクトルVが属するセクタ1の境界をなす2個のゼロコモンモード電圧ベクトル210および201と、負荷30に与える電圧がゼロであるゼロコモンモード電圧ベクトル111とを時間軸上において重み付け加算し、電圧指令ベクトルVに対応した出力電圧ベクトルを合成する。この合成処理は次式により表される。
【数2】
【0040】
上記式(2)において、t210はゼロコモンモード電圧ベクトル210の出力時間、t201はゼロコモンモード電圧ベクトル201の出力時間、t111はゼロコモンモード電圧ベクトル111の出力時間、Tsは制御周期の長さ(すなわち、スイッチング信号を生成するためのPWMに使用されるキャリアの1周期)である。また、V210α、V201α、V111αは、ゼロコモンモード電圧ベクトル210、201、111のα軸成分であり、V210β、V201β、V111βは、ゼロコモンモード電圧ベクトル210、201、111のβ軸成分である。また、V α、V βは、電圧指令ベクトルV*のα軸成分、β軸成分である。
【0041】
ここで、上記式(2)を成立させる出力時間t210、t201、t111は、以下に示す式(3)~(5)により算出することができる。
【数3】
【数4】
【数5】
【0042】
なお、上記式(3)~(5)において、行列式detAにおける行列Aは、次式の通りである。
【数6】
以上が出力時間t210、t201、t111の算出方法である。
【0043】
次に制御装置40は、ステップS12において算出した出力時間(図5の例では出力時間t210、t201、t111)が0以上かつTs以下であるか否かを判断する(ステップS13)。
【0044】
電圧指令ベクトルVがゼロコモンモード電圧ベクトル201、210、120、021、012、102の終点を頂点とする正六角形の内側にある場合、ステップS13の判断結果は「YES」となる。この場合、制御装置40は、第1処理を実行する(ステップS14)。
【0045】
図5の例の場合、第1処理において、制御装置40は、1制御周期Ts内において、ゼロコモンモード電圧ベクトル210、201および111の出力時間がt210、t201、t111となるように、各電圧ベクトルの成分を発生するPWM処理に関係する電圧指令値を設定する。第1処理(ステップS14)が終了すると、制御装置40は、図4に示す処理を終了する。
【0046】
一方、図6に例示するように、電圧指令ベクトルVがゼロコモンモード電圧ベクトル201、210、120、021、012、102の終点を頂点とする正六角形の外側にある場合、ステップS13の判断結果は「NO」となる。この場合、制御装置40は、第2処理を実行し(ステップS15)、図4に示す処理を終了する。
【0047】
ここで、第2処理(ステップS15)の具体的な動作例について説明する。図7は第2処理の流れを示すフローチャートである。まず、制御装置40は、適用ベクトルの選択を行う(ステップS21)。図6に示す例では、コモンモード電圧Vcmを非ゼロの最小値(この例でが-Vdc/6)とする非ゼロコモンモード電圧ベクトル200を第0適用ベクトルとし、セクタ1の境界をなす2個のゼロコモンモード電圧ベクトル201および210を第1適用ベクトルおよび第2適用ベクトルとする。このようにすることで、適用ベクトルの切り換えに伴うコモンモード電圧Vcmの変化幅ΔVcmが最小値Vdc/6となる。
【0048】
次に制御装置40は、電圧指令ベクトルVが示す変調率mに基づいてホールド角θxを決定する(ステップS22)。このホールド角θxは、第0適用ベクトルの出力を行う電圧指令ベクトルVの位相の範囲の長さを決定する情報である。図8は変調率mとホールド角θxとの関係を示す図である。図8に示すようにホールド角θxは、変調率mの1からの増加に対しておおよそ線形に変化する。
【0049】
次に制御装置40は、適用ベクトルの出力順を決定する(ステップS23)。図6に示す例の場合、第1適用ベクトルはゼロコモンモード電圧ベクトル201、第0適用ベクトルは非ゼロコモンモード電圧ベクトル200、第2適用ベクトルはゼロコモンモード電圧ベクトル210である。従って、制御装置40は、電圧指令ベクトルVの終点が第1領域→第0領域→第2領域と移動するのに従い、ゼロコモンモード電圧ベクトル201→非ゼロコモンモード電圧ベクトル200→ゼロコモンモード電圧ベクトル210の順に出力することを決定する。
【0050】
次に制御装置40は電圧指令値の設定処理を行う(ステップS24)。具体的には、制御装置40は、セクタ1を電圧指令ベクトルVの変調率mに応じた角度2θxを持った中央の第0領域とその両側の第1および第2領域に分割し、当該電圧指令ベクトルが第0領域に属する期間は第0適用ベクトルを出力し、当該電圧指令ベクトルが第1領域に属する期間は第1適用ベクトルを出力し、当該電圧指令ベクトルが第2領域に属する期間は第2適用ベクトルを出力する。例えば電圧指令ベクトルが第0領域に属する期間は、第0適用ベクトルが出力されるように、キャリアと比較する電圧指令値をHレベル(キャリアの正のピークレベルより高いレベル)またはLレベル(キャリアの負のピークレベルより低いレベル)に固定する。第1領域および第2領域についても同様である。
以上が第2処理の内容である。
【0051】
図9は以上説明した第2処理の動作例を示すタイムチャートである。この例では、位相が330°~-θxの範囲内にある第1領域ではゼロコモンモード電圧ベクトル201が出力され、位相がθx~30°の範囲内にある第2領域ではゼロコモンモード電圧ベクトル210が出力され、コモンモード電圧Vcmがゼロとなる。このため、コモンモード電圧の変化およびそれに伴う電磁干渉を低減することができる。
【0052】
また、位相が-θx~θxの範囲内にある第0領域では、非ゼロコモンモード電圧ベクトル200が出力されるため、変調率mを高めることができる。
【0053】
以上のように、本実施形態によれば、電圧ベクトル合成部である制御装置40は、複数組の3相巻線組の中性点Nに発生するコモンモード電圧をゼロ電圧とするゼロコモンモード電圧ベクトルから電圧指令ベクトルに対応した出力電圧ベクトルを合成する第1処理を実行する第1処理部43と、第1処理により電圧指令ベクトルに対応した出力電圧ベクトルを合成することが可能か否かを判定するモード判定部42と、第1処理により電圧指令ベクトルに対応した出力電圧ベクトルを合成することが可能でない場合に、第1処理以外の第2処理により電圧指令ベクトルに対応した出力電圧ベクトルを合成する第2処理部44と、を有するので、出力電圧に関して厳しい制限を課すことなく、コモンモード電圧の変化およびそれに伴う電磁干渉を低減可能な電力変換装置の制御装置40を実現することができる。
【0054】
<第2実施形態>
上述した第1実施形態の第2処理(図9参照)において、ゼロコモンモード電圧ベクトル201を出力する第1領域では、3相巻線組31の3相電圧Vu1o、Vv1oおよびVw1oを平均した中性点電圧が-Vdc/6となり、3相巻線組32の3相電圧Vu2o、Vv2oおよびVw2oを平均した中性点電圧がVdc/6となるため、合計6相の電圧を平均したコモンモード電圧Vcmはゼロになる。しかしながら、3相巻線組32の中性点電圧がVdc/6、3相巻線組31の中性点電圧が-Vdc/6であるため、3相巻線組32の中性点から3相巻線組31の中性点にノーマルモード循環電流が流れる。
【0055】
また、ゼロコモンモード電圧ベクトル210を出力する第2領域では、3相巻線組31の3相電圧Vu1o、Vv1oおよびVw1oを平均した中性点電圧がVdc/6となり、3相巻線組32の3相電圧Vu2o、Vv2oおよびVw2oを平均した中性点電圧が-Vdc/6となるため、合計6相を平均したコモンモード電圧Vcmはゼロになる。しかしながら、3相巻線組31の中性点電圧がVdc/6、3相巻線組32の中性点電圧が-Vdc/6であるため、3相巻線組31の中性点から3相巻線組32の中性点にノーマルモード循環電流が流れる。
【0056】
この発明の第2実施形態における第2処理は、このようなノーマルモード循環電流を抑制するものである。図10は本実施形態による第2処理の動作例を示すタイムチャートである。この図10に示す動作例は、上記第1実施形態と同様、上述の図6の例における第2処理の動作例を示している。
【0057】
本実施形態では、第1適用ベクトル(ゼロコモンモード電圧ベクトル201)の成分のうち3相巻線組31に対応した成分Vu1o、Vv1oおよびVw1oの平均値と、第1適用ベクトルの成分のうち3相巻線組32に対応した成分Vu2o、Vv2oおよびVw20の平均値とが近付くように、かつ、第1領域内において平均された第1適用ベクトルを変化させないように、第1領域内の一部の区間において第1適用ベクトルの一部の成分のレベルを反転させる。具体的には、第1領域を2分割した区間201aおよび201bにおいて成分Vw1oおよびVw2oのレベルを反転させている。
【0058】
また、本実施形態では、第2適用ベクトル(ゼロコモンモード電圧ベクトル210)の成分のうち3相巻線組31に対応した成分Vu1o、Vv1oおよびVw1oの平均値と、第2適用ベクトル210の成分のうち3相巻線組32に対応した成分Vu2o、Vv2oおよびVw2oの平均値とが近付くように、かつ、第2領域内において平均された第2適用ベクトルを変化させないように、第2領域内の一部の区間において第2適用ベクトルの一部の成分のレベルを反転させる。具体的には、第2領域を2分割した区間210aおよび210bにおいて成分Vv1oおよびVv2oのレベルを反転させている。
【0059】
本実施形態によれば、3相巻線組31および32の各中性点間を経由するノーマルモード循環電流の発生を抑制することができる。なお、本実施形態では、上記第1実施形態に比べ、インバータ主回路部21および22のスイッチング素子のスイッチング回数が増加する。しかし、本実施形態では、第2処理に上記第1実施形態と同様な過変調モードを採用しており、これによりスイッチング回数が減少するので問題ない。
【0060】
<第3実施形態>
この発明の第3実施形態における第2処理は、上記第2実施形態と同様、ノーマルモード循環電流を抑制するものである。図11は本実施形態による第2処理の動作例を示すタイムチャートである。この図11に示す動作例は、上記第1実施形態と同様、上述の図6の例における第2処理の動作例を示している。
【0061】
本実施形態の第2処理では、ベクトル空間を複数のゼロコモンモード電圧ベクトルにより複数のセクタに分割する。そして、電圧指令ベクトルが属するセクタ内における第2処理では、コモンモード電圧Vcmを非ゼロの最小値とする非ゼロコモンモード電圧ベクトルを第0適用ベクトルとする。図11の例では、非ゼロコモンモード電圧ベクトル200を第0適用ベクトルとしている。また、当該セクタの境界をなす2個のゼロコモンモード電圧ベクトルの外側にあり3相巻線組31に対応した成分と3相巻線組32に対応した成分とが対称をなす非ゼロコモンモード電圧ベクトルを第1適用ベクトルおよび第2適用ベクトルとする。図11の例では、非ゼロコモンモード電圧ベクトル202および220を第1適用ベクトルおよび第2適用ベクトルとしている。
【0062】
そして、第2処理では、当該セクタを当該電圧指令ベクトルの変調率に応じた角度(すなわち、ホールド角θx)を持った中央の第0領域とその両側の第1および第2領域に分割し、当該電圧指令ベクトルが第0領域に属する期間は第0適用ベクトル(非ゼロコモンモード電圧200)を出力し、当該電圧指令ベクトルが第1領域に属する期間は第1適用ベクトル(非ゼロコモンモード電圧ベクトル202)を出力し、当該電圧指令ベクトルが第2領域に属する期間は第2適用ベクトル(非ゼロコモンモード電圧ベクトル220)を出力する。これが本実施形態の第2処理において行われる第2過変調処理である。本実施形態の第2処理は、第1領域および第2領域の適用ベクトルが上記第1および第2実施形態の第2処理と異なるため、ホールド角θxは上記第1および第2実施形態の第2処理と異なったものになる。図12は本実施形態における変調率mとホールド角度θxの関係を示している。図12に示すように、ホールド角θxは、変調率mが1から増加するのに応じて0から増加する。ホールド角θxの増加の勾配は、変調率mが1のときに最大であり、変調率mが高くなるのに従って減少し、一定値に収束する。
【0063】
本実施形態によれば、第1適用ベクトルにおける3相巻線組31に対応した成分と3相巻線組32に対応した成分とが対称をなし、第2適用ベクトルにおける3相巻線組31に対応した成分と3相巻線組32に対応した成分とが対称をなすため、ノーマルモード循環電流の発生が抑制される。
【0064】
<第4実施形態>
この発明の第4実施形態における第2処理では、インタリーブ変調によりインバータ主回路部21および22を駆動するスイッチング信号を生成する。図13および図14は、本実施形態におけるインタリーブ変調の動作例を示すタイムチャートである。
【0065】
インタリーブ変調では、第1キャリアφ1と電圧指令ベクトルから得られる電圧指令値(図13の例では電圧指令値V )とを比較することにより出力電圧ベクトルのうち3相巻線組31に対応した成分(図13の例では電圧Vu1o)を生成する。また、第1キャリアφ1に対して位相がずれた第2キャリアφ2(具体的には位相が180°ずれたキャリア)と電圧指令ベクトルから得られる電圧指令値(図13の例では電圧指令値V )とを比較することにより出力電圧ベクトルのうち3相巻線組32に対応した成分(図14の例では電圧Vu2o)を生成する。
【0066】
インタリーブ変調を行った場合、図14に示すように、t-t間のみ非ゼロコモンモード電圧ベクトル220が出力され、他のt-t間、t-t間、t-t間、t-t間は、ゼロコモンモード電圧ベクトル111、210、210、111が出力される。従って、コモンモード電圧を抑制することができる。
【0067】
<他の実施形態>
以上、この発明の第1~第4実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
【0068】
(1)上記各実施形態において、電力変換装置は2組の巻線組を駆動したが、電力変換装置は3組以上の巻線組を駆動するものであってもよい。
【0069】
(2)上記各実施形態において、電力変換装置は3相の交流電圧を出力したが、電力変換装置が出力する交流電圧の相数は3相以外であってもよい。
【符号の説明】
【0070】
1……電力変換装置、10……直流電源部、11……直流電源、12p,12n……寄生キャパシタ、13……キャパシタ、14p……正電源線、14n……負電源線、21.22……インバータ主回路部、Q~Q……スイッチング素子、GD……ゲートドライバ、U,V,W……ノード、30……負荷、31,32……3相巻線組、33……寄生インピーダンス、40……制御装置、41……指令取得部、42……モード判定部、43……第1処理部、44……第2処理部。
図1
図2
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図4
図5
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図10
図11
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